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1964-02-25 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   委員の異動 二月二十五日   辞任      補欠選任    辻  武寿君  鬼木 勝利君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君            市川 房枝君    委員            井川 伊平君            石谷 憲男君            沢田 一精君            館  哲二君            松野 孝一君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            鬼木 勝利君            辻  武寿君   国務大臣    自 治 大 臣 早川  崇君   政府委員    警察庁長官   江口 俊男君    警察庁保安局長 大津 英男君    自治大臣官房参    事官      宮沢  弘君    自治省税務局長 細郷 道一君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治省財政局財    政課長     岡田 純夫君   参考人    六大都府県公安    委員会連絡協議    会代表東京都公    安委員長    堀切善次郎君    毎日新聞論説委    員       五島 貞次君    東京喫茶業    環境衛生同業    組合理事長   斎藤 頴夫君    中央青少年問    題協議会委員    青少年問題研    究会理事長   増谷達之輔君    東京婦人相談    員婦相会会長  中村 聖子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方交付税法等の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○地方行政改革に関する調査昭和  三十九年度地方財政計画に関する  件) ○風俗営業等取締法の一部を改正する  法律案内閣提出)     —————————————
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  本日は、地方税法一部改正案審査を行ないました後、午前中時間がありますれば地方交付税法等一部改正案及び三十九年度地方財政計画説明を聴取し、午後は一時から、風俗営業等取締法一部改正案について参考人から意見を聴取、並びに質疑を行なう予定でございます。  初めに、地方税法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に続き質疑を行ないます。  御質疑の方は御発言願います。  ——御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。   〔「討論なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 討論は終局したものと認めまして、これより採決を行ないます。  地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。  本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 多数であります。よって本法は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  5. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。早川自治大臣
  6. 早川崇

    国務大臣早川崇君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  地方交付税算定につきましては、逐年その合理化をはかってまいりましたが、明年度におきましては、新道路整備五カ年計画に基づく道路整備事業をはじめとする、各種公共事業の増大、社会保障制度拡充等に伴う地方団体所要経費並びに地方公務員給与改定の平年度化等により増加する給与関係経費等に対応する財源関係地方公共団体に付与する必要がありますのと、市町村分基準財政需要額算定内容充実及び市町村分基準税率引き上げ等により市町村相互間の財源均衡化をさらに推進することが必要であると考えられます。  また、高等学校生徒急増に伴う高等学校施設整備に要する経費につきましては、昭和三十九年度におきましても、昭和三十七年度及び昭和三十八年度と同様、基準財政需要額に加算する特例措置を講ずる必要があります。以上がこの法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案内容要旨につきまして御説明申し上げます。  その一は、単位費用引き上げ基準財政需要額増額することであります。  まず、道府県及び市町村を通じまして、(1)生活保護基準引き上げ失業対策事業にかかる労力費引き上げ等により増加する社会保障関係経費基準財政需要額に算入するため、生活保護費労働費等にかかる単位費用引き上げ、(2)新たに住宅関係経費基準財政需要額に算入するため、その他の土木費単位費用増額するとともに、(3)給与改定の平年度化に伴い増加する給与関係費及び各般の制度改正に伴い増加する経費基準財政需要額に算入するため、関係費目にかかる単位費用引き上げることといたしましたのであります。  次に、道府県分につきましては、(1)道路整備事業農業基盤整備事業治山事業等公共投資充実に必要な財源を付与するため、関係費目にかかる単位費用引き上げることとし、(2)農業構造改善事業促進中小企業設備近代化事業に要する経費等増加額基準財政需要額に算入するため、農業行政費商工行政費等関係費目単位費用引き上げることといたしました。  次に、市町村分につきましては、(1)道路整備事業及び街路整備等都市計画事業にかかる投資的経費増額するため関係費目単位費用引き上げ、(2)小学校及び中学校における学校経費充実するため、小学校費及び中学校費単位費用引き上げ、(3)土地改良事業等増加額基準財政需要額に算入するため、農業行政費単位費用引き上げることといたしました。  その二は、基準財政需要額算定方法に関し、経費種類及び測定単位を新設することであります。  近時国民生活向上発展に伴い、清掃関係経費充実は、緊急な課題とされてまいったのでありますが、従来、市町村分衛生費中に含まれていたこれら経費について、新たに人口を測定単位として清掃費という経費種類を設けることとし、経費算定合理化経費の一そうの充実をはかることといたしました。  その三は、測定単位の数値の補正に関することであります。  まず、道府県分につきましては、道路費のうち、道路の延長を測定単位とする分につきましても、交通量等に基づく割り増し補正を行なうことといたしました。なお、今後補正係数を定めるにあたりましては、従来、河川費港湾費等について適用してまいりました事業費の額に応ずる経費割り増し補正を強化してまいりたいと考えております。  次に、市町村分につきましては、新たに離島等隔遠地市町村につき、態容補正一環として、隔遠地にあるための増高経費基準財政需要額に算入するための補正を行なうこととし、このため態容補正市町村区分につき所要の規定の整備をはかっております。また、弱小市町村に対する財源傾斜的配分をはかるため、従来に引き続きまして、都市的形態の度合いに応じて定められている態容補正係数改正し、その格差をさらに縮小してまいる所存であります。  その四は、市町村分基準税率引き上げであります。  市町村基準財政収入額算定にあたりましては、従来基準税率を百分の七十としておりましたが、市町村における基準財政需要額算定が漸次的確になってまいりましたことに伴い、今回これを百分の七十五に高め、市町村間の財源均衡化を一そう推進することにいたしたのであります。  その五は、高等学校生徒急増対策に関する事項であります。  高等学校生徒急増に伴う高等学校施設整備費につきましては、昭和三十七年度及び昭和三十八年度に引き続き、昭和三十九年度においても政府策定いたしました計画に基づく昭和三十九年度分の国庫支出金及び地方債控除した残額九十一億円を基準財政需要額に算入することといたしたのであります。  以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  7. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本案についての質疑は、後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  8. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 次に、地方行政改革に関する調査といたしまして、昭和三十九年度地方財政計画に関する件を議題といたします。  まず、自治大臣から概要説明を願います。
  9. 早川崇

    国務大臣早川崇君) ただいまお手元に配付いたしました昭和三十九年度地方財政計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和三十九年度地方財政計画策定にあたりましては、国と同一の基調により健全均衡財政を堅持しつつ、地方行政水準の一そうの向上をはかり、かつ、地域開発促進地域格差是正をはかることを目標といたしました。すなわち、計画策定具体的方針といたしましては、  第一に、産業経済発展に即応し、国民生活水準向上を期するため、道路港湾等産業基盤施設下水道等環境衛生施設及び住宅等整備促進するため補助事業及び単独事業を通じて、公共投資充実をはかることといたしました。  第二に、地方独立財源充実しつつ、地方税負担合理化をはかるため、(ア)昭和三十九年度及び昭和四十年度の二年度間において、市町村民税課税方式本文方式に統一するとともに、現行準拠税率標準税率に改め、(イ)電気ガス税税率を一%引き下げるとともに、これによる減収を補てんするため、たばこ専売益金委譲により市町村たばこ消費税税率引き上げることといたしました。  第三に、地域格差是正促進するため、地方交付税制度改正して、引き続き財政力の貧弱な地方団体財源充実をはかるとともに、辺地における公共的施設の総合的な整備促進するため、地方債増額をはかることといたしました。  以上の方針のもとに昭和三十九年度地方財政計画策定いたしたのでありますが、その結果歳入歳出規模は、三兆一千三百八十六億円となり、昭和三十八年度地方財政計画に比較して、五千五十億円の増加となります。  次に、歳入及び歳出のおもな内容について簡単に御説明申し上げます。  第一に、歳入について申し上げます。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、地方独立財源充実しつつ地方税負担合理化をはかるため、本年度及び明年度の二年度間で、市町村民税課税方式本文方式に統一するとともに、準拠税率標準税率に改めることとし、昭和三十九年度においては、まず可及的にただし書き方式の諸控除本文方式に近づけることとし、百五十億円程度減税を行なうことといたしました。また、電気ガス税税率を一%引き下げるとともに、その減収補てん措置として、市町村たばこ消費税税率を一・六%引き上げることといたしました。  以上のほか、住宅建設促進するため、不動産取得税及び固定資産税において所要軽減措置を講じ、また、中小企業者負担軽減合理化をはかるため、事業税においても事業主控除引き上げ軽減税率適用範囲を拡大することといたしました。なお、新道路整備五カ年計画によって増大する地方負担に対処するため、この際軽油引取税税率を二〇%引き上げることといたしました。この結果、地方税収入は前年度に比し二千三百二十六億円の増加となり、総額は一兆二千九百八億円と見込まれるのであります。  その二は、地方譲与税であります。軽油引取税増徴同一趣旨により、地方道路譲与税基礎になる地方道路税についても、その税率を一〇%引き上げるとともに、国際収支改善対策一環として、特別とん税の税率を二倍に引き上げることとし、これに関連して明年度以降五年間に限り、外航船舶にかかる固定資産税を免除することといたしました。この結果、地方譲与税は前年度に比し九十四億円増加し、総額は四百五十二億円となります。  その三は、地方交付税であります。地方交付税につきましては、所得税法人税及び酒税の収入見込み額基礎として算定し、その総額を六千三百五十一億円と見込みましたが、このうちには昭和三十八年度国の補正予算で追加となった地方交付税のうち昭和三十九年度に繰り越すことを予定しております百三十七億円を含んでおります。  その四は、国庫支出金であります。国庫支出金は、義務教育職員給与費国庫負担金二百四十四億円の増、その他の普通補助負担金五百六十四億円、公共事業費補助負担金五百五十五億円の増、失業対策事業費補助負担金の増五億円、国有提供施設等所在市町村助成交付金の増一億五千万円、合計千三百七十億円増加し、総額八千五百九十四億円となっております。  その五は、地方債であります。地方債につきましては、昭和三十九年度は、(1)住宅建設及び生活環境施設整備促進、(2)地域開発の推進、(3)地方公営企業整備拡充、(4)市町村民税減税による減収補てん等に重点を置いて地方債計画策定いたしました。この結果、昭和三十九年度における地方債発行予定額は、三千九百八十四億円となり、前年度と比較して八百三十四億円の増となります。このうち地方財政計画に算入いたしますのは、一般会計債の千二百十八億円、特別地方債地域開発事業債のうちの一般会計分八十六億円、合計一千三百四億円であり、昭和三十八年度に比較して三百七億円の増加となっております。この中には、市町村民税臨時減税補てん債百五十億円を含んでおりますが、これは、今次市町村民税減税趣旨及びそれが市町村財政に及ぼす影響を考慮し、これによる減収額を補てんするため発行を許可するものでありまして、全額政府資金によって引き受ける予定であります。また、その償還額の三分の二につきましては、国が元利補給を行ない、残余の三分の一につきましては、その全額地方交付税措置することといたしております。  その六は、使用料手数料及び雑収入であります。使用料手数料及び雑収入につきましては、総額を千七百七十七億円と前年度に比較して百五億円の増加を見込んでおります。  第二は歳出であります。  その一は、給与関係費であります。給与費につきましては、(1)給与改定の平年度化に伴う経費 (2)高等学校の教職員、警察官の増員等制度改正等に伴う職員増加に要する経費等を見込み、総額一兆千二百二十五億円、前年度に比し千四百四億円増加となっております。  その二は、一般行政経費であります。この一般行政経費のうち (1)国庫補助負担金を伴う経費は、総額三千七百十億円と見込まれ、前年度に比し七百八十一億円増加いたしましたが、これは生活保護費結核医療費児童保護費精神衛生費農業構造改善事業費中小企業近代化促進費等国庫予算増加に伴い増加を見たものであります。(2)国庫補助負担金を伴わない経費は、一般行政事務増加等事情を勘案して算定いたしました結果、前年度に比し三百八十億円増加し、総額二千八百六十七億円になっております。  その三は、公債費であります。公債費につきましては、既発行地方債昭和三十八年度現債額及び昭和三十九年度新規発行予定額基礎として算定した結果、前年度に比し九十九億円増加し、総額一千百四十三億円となっております。  その四は、維持補修費であります。道路、橋梁、校舎、その他公用公共用施設維持補修費につきましては、単価の上昇、施設増加等事情を考慮して算定いたしました結果、前年度に比し、百五十八億円増加し、その総額は七百九十二億円になっております。  その五は、投資的経費であります。投資的経費につきましては、産業基盤充実強化住宅及び下水道等生活環境施設整備が強く要請されている実情にかんがみ、特にその充実に意を用いたところであります。(1)まず、国の直轄事業に伴う地方公共団体負担金は、前年度に比し八十五億円増加し、五百六億円を計上いたしました。(2)次に、国庫補助負担金を伴うものにつきましては、新道路整備五カ年計画実施に伴う道路整備事業費治山治水事業費港湾整備事業費住宅対策費公立文教施設費等増加により、前年度に比し九百九十三億円の増加となり、総額は六千五百五億円と見込まれます。(3)国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましては、産業経済の発達と国民生活水準向上に即応することができるよう道路、その他の産業基盤施設高等学校等文教施設住宅等整備に要する経費を中心として増額をはかりました結果、前年度に比し、道路関係で五百三十四億円、その他で六百十六億円、計千百五十億円の増加となり、その規模は四千三百六十億円となったのであります。なお、投資的経費増額に伴い、前年度に引き続き地方交付税算定方法改善を加え、財政力の貧弱な市町村財源を傾斜的に増額する措置を講ずることといたしたのであります。  以上が、昭和三十九年度地方財政計画概要であります。  これを通観いたしますと、昭和三十九年度におきましても、従前に引き続き公共投資及び社会保障拡充等の諸要請にこたえるとともに、産業経済発展国民生活向上に即応して地方団体が独自に実施する経費充実がはかられているのでありまして、これにより地方行政水準は一そう向上していくものと期待いたしているのであります。
  10. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 続いて補足説明を願います。岡田財政課長
  11. 岡田純夫

    説明員岡田純夫君) それじゃお手元に配付されております「昭和三十九年度地方財政計画説明」によりまして御説明申し上げます。ただいま大臣から御説明のありました部分と若干重複する場合もあるかもしれませんけれども、御了承願いまして御説明申し上げます。  まず第一に、策定方針につきましては、  1に書いておりますように、国といわば協力いたしまして、道路港湾等産業基盤施設でありますとか、下水道等環境衛生施設充実に特に意を用いてございます。その結果、補助事業単独事業を通じまして公共投資充実がはかられておりますし、また、そういうふうな方針策定いたしたのであります。  2には、地方独立財源充実し、地方税負担合理化をはかるという方針のもとに、(1)には、二年度にわたりまして住民税負担均衡化を実現いたしますために、課税方式本文方式に統一するとともに、現行準拠税率標準税率に改めるというふうな構想を財政計画の中にも織り込んでおるわけでございます。(2)には、電気ガス税税率を一%引き下げ、これの見返りとしてのたばこ専売益金委譲によりまして市町村たばこ消費税税率を一・六%現行よりも上げるということも織り込んであるわけでございます。(3)には、地域格差是正、そのために、そこにも書いてございますように起債におきましては辺地整備債現行十億程度ございますものを三十九年度からさらに五億増しまして十五億のワクを設けております。あるいは交付税におきましては基準税率現行市町村の場合七〇%でございますけれども、それを七五%に基準税率引き上げまして、これによりまして結果として後進的な市町村によけい交付税が回るような配慮をいたしておるのでございます。それからまた、連年続けてまいりました低種地市町村に対する態容補正引き上げまして、やはりこれまた、後進的な市町村のほうへ交付税が配分されるようにウエートをつけて、改正交付税に織り込んでおります。それからまた、新たな補正といたしまして隔遠地についての需要費を十分に配慮いたしたいという考え方を織り込んでおります。  以上申しましたようなことで、その次の表に入るわけでございますけれども、総額は三兆一千三百八十六億円ということになります。三十八年度の二兆六千三百三十六億円に対比しますというと五千五十億円の増加で、伸び率としては一九・二%の伸び率になっております。ちなみに、三十七年度から三十八年度への伸び率は一五・三%でございましたので、伸び率としても上回ってきておるというふうな姿になっております。  歳入から若干補足的に御説明申し上げますというと、地方税につきましては、ごらんのように三十九年度一兆二千九百八億円、改正を織り込みまして二千三百二十六億円の増収平均伸び率二二%と相なっております。普通税では増加が二千九十億円でございます。この中には電気ガス税の一%減税によるところの約七十二億円減税分を織り込み、別に見返りとしての、先ほど触れましたたばこの一・六%引き上げによるところの約六十六億円の増収というものも織り込まれておるわけでございます。それから、目的税につきましては、二百三十六億円の増でございまして、この中には例の軽油引取税を二〇%引き上げまして、キロリットル当たり四千四百円にする。これによるところの増収分約八十七億円も含まれておるわけでございます。  税の概要はそういうことにいたしまして、地方譲与税につきましては、地方道路譲与税は国の揮発油税同一歩調におきまして地方道路税の一〇%引き上げによりますところの増収分三十三億円も含み七十八億円の増収、それから特別とん譲与税現行の倍率を倍に引き上げますものを含めまして十六億円、全体としまして地方譲与税は九十四億円も増しまして、四百五十二億円になることになっております。  次に、地方交付税につきましては、国の予算の計算では八百十一億円の伸びということに相なっておりますけれども、先ほど大臣からも触れましたところの百三十七億円の特別措置によりますところの繰り越し分を織込み、一方三十七年度から三十八年度に繰り越されましたものを差し引きまして、純増八百四十八億円の増加ということで、結果といたしまして明年度は六千三百五十一億円に相なるわけでございます。  次に、国庫支出金のほうは、これは歳出と関連がございますので、そのほうに譲ります。  地方債にまいりますというと、地方債は、地方債の全体計画としましては三千九百八十四億円ということでございますが、その中から一般会計債と、その他一部の準公営事業関係に含まれておりますものの中で一般会計債的なものを把握いたしまして千三百四億円ということになっておりまして、本年度対比三百七億円の増加と相なっております。伸び率にしまして三〇・八%でございますが、この中には住民税減収に対する補てん分、三十九年度の百五十億が含まれておるのでございますので、ネットでいきますというと百五十七億円ということに相なるわけでございます。  それから、使用料手数料雑収入等につきましては、いままでの連年の伸び状況等を勘案いたしまして、それぞれ五ないし七%増加するものと見込みましたので、歳入としまして三兆千三百八十六億円を見込んでおるのでございます。  次に、歳出について御説明申し上げます。  歳出につきましては、まず給与関係経費で一兆一千二百二十五億円、本年に対比しまして千四百四億円の増加ということになっており、一四・三%の増加ということでございます。それにつきましては、恐縮でございますけれども、五ページを見ていただきますと、給与関係増加の内訳が書いてございます。その中で、人事院勧告によりますところの——勧告のあったのが三十八年八月十日、実施は十月一日からでございますが、それの平年度化によるものを主体といたしまして、人事院勧告に基づくものが八百五十億の増加ということになっております。それから(イ)といたしまして、連年行なわれますところの昇給等によりますところの増加、一般職員で申しますと、毎年大体四・二%くらいの昇給率を見込んでおりますけれども、そういうものによりまして計算いたしまして三百五十四億円、それから後に申し上げますところの義務教育職員、警察官等の増員に基づく増加百三十三億円がございます。それから(エ)といたしまして、その他、そこに書いてございますような委員報酬等の手直しといったようなものを含みまして四十六億円というもので、都合千四百三億円の増加ということに相なっております。  元へ戻っていただきまして、次に一般行政経費、これは投資的経費を除くところの諸政策費あるいは対策費等でございます。これは六千五百七十七億円、本年度対比千百六十一億円の増加、二一%の伸び率になっております。そのうちのおもなものは生活保護費で二七・三%伸びて千四百四十八億円となっておりますが、これは国の予算措置に基づきますところの、たとえば扶助人につきましての扶助基準の一三%の引き上げといったようなものを中心にいたしまして、生活保護の充実をはかる。児童措置についても同様でございます。それから、おもなものといたしましては、(e)の中小企業近代化促進費というもので三八%の伸び率で百七十九億、その他というようなことになっております。それから最後の(イ)に、国庫補助負担金を伴わないもの、単独に地方公共団体が行ないますところのこの種一般行政経費につきましては一五%伸びまして、二千八百六十七億円を計上いたしております。  次に公債費は、地方債の償還分と三十九年度新たに起こしますところの地方債の償還利子等を見込みまして千百四十三億円を計上いたしております。  次に維持補修費につきましても、ある程度増加をはかったものの一つでございまして、約二五%伸びまして七百九十二億円。建物、道路の砂利代等につきまして手直しをはかったものでございます。  それから投資的経費につきましては、直轄事業負担金は五百六億円でありまして、本年度対比二〇・二%増になっております。増加は八十五億円でございます。このうち増加の約半ば程度というものは道路直轄事業負担金伸びということになっております。それから次に国庫補助負担金を伴うもの、(ア)公共事業費、(イ)といたしまして失対事業費とに分かれますが、公共事業費につきましては、大体財政規模全体の伸びと同程度の一九・七%の伸び。その次の普通建設事業費でまいりますと二一%伸びまして九百十七億円の増で五千二百三十五億円になるわけでございます。そこで、その備考のほうにちょっと書いてございますように九百十七億円普通建設事業費伸びますが、そのうち約半ばに相当するところの四百九億円は、道路五カ年計画の初年度分の公共事業費地方負担。公共事業費の関係で伸びますものの半ばが道路の関係であります。それから補助金を伴わない、いわゆる単独事業費、これは3に書いてございますが、国庫補助負担金を伴わないもの、これは三五%ばかり伸びまして四千三百六十億円ということになっており、その中で災害を除きました普通建設事業費のうち単独部門は四千二百四十三億円ということになっております。増加は本年度対比千百三十四億円でございますが、これまた、その半ばに相当する五百三十四億円というものは、道路の五カ年計画の初年度単独事業費。道路五カ年計画では八千億の単独事業費が見込まれております。そのうち初年度は単独千百四十億円ということになっておりますので、前年度対比がここに書いてございますように五百三十四億円の増加ということに相なっておるわけでございます。  最後に、いわゆる不交付団体におきましても、質の高い行政をやらなけばならない部分といううものは、従来どおりの額を計上いたしております。したがって、歳入歳出ともに三兆一千三百八十六億円でございます。  その次、一枚めくっていただきまして、歳入歳出のそれぞれの構成割合の面からながめた表が四ページにございます。これによりまして簡単に触れさせていただきます。  歳入につきましては、地方税において三十八年度対比構成比率が一%ふえました。そのかわり地方交付税のほうで一%減ってきておるというふうな姿になっております。  次に、歳出のほうでは、義務的経費であるところの給与関係経費、これが三十八年度に比べましては一%圧縮をしたかっこうになっております。三六%。それに比較しまして投資的経費のほうが逆に一%ふえました。三六%になっておる。こういったような姿は、この面からだけは申せませんけれども、まあ悪い姿とは言えない、いい姿になっておるとも見られるというふうに考えております。  それから次に、五ページが、先ほど人件費の増加について触れましたところの増加の内訳でございまして、特に申し上げるところもない。先ほど申し上げましたように、生活保護費でございますとか、道路関係投資的経費等の伸びが著しいものになっております。  次に六ページに増員関係のアウトラインを出しておりますが、第四表に義務教育関係教職員数の増減状況、これでまいりますというと、左の欄にございますように、三十八年度現行計画の人員は五十八万四千百九十人でございますが、それに対しまして指定統計の置きかえでございますとか、児童生徒数の減でございますとか、標準法の改正等に伴いますところの算定を織り込みまして、三十九年度は五十八万九千四百六人、約五千二百人の増加ということに計画上なっております。  次に、七ページをごらんいただきますと、いま申し上げた義務教育の職員以外の教員と一般職員増加状況を一覧表として掲げております。一般職員でまいりますというと、六十八万六千四百八十人ということでございまして、おもなものといたしましては、老人福祉関係の職員、老人福祉対策のためにケースワーカーを百四名配置することになっておりますとか、精薄施設整備と申しますか、設置に伴いまして関係職員を配置するためのもの、二百八十七名でございますとか、家庭福祉司等を配置させまして家庭の児童対策をするため五十二名。精神衛生鑑定職員、最近ふえてまいりましたところの精神病者についての鑑定関係職員百三十八名。それから清掃施設等、三十九年度では交付税におきましても清掃施設整備にできるだけの配慮をいたしたつもりでございまして、職員につきましても増員をはかっております結果、千三百七十四名。それから給食従事職員につきましては千七百四十一名というようなことで、六十八万六千余人になっております。その他消防職員、高校教員、大学教員、その他教員等を合算いたしまして、義務教育職員以外では八十六万六千七百九人ということになっております。で、ここに合計が書いてございませんが、地方公務員の総数はこれで約百六十一万人ということに相なるわけでございます。  概略、以上のとおりでございます。
  12. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本件につきましては、後日に質疑を行なうことといたしたいと思います。  それでは、午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時二十五分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  13. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 休憩前に引き続き、委員会を開会いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  本日は初めに、本法律案について参考人の方々から御意見を伺いたいと存じます。  参考人の方々におかれましては、日ごろ御多忙中にもかかわりませず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。これよりさっそく御意見をお伺いいたしたいと存じます。それぞれのお立場から御自由にお話ししていただきたいと存じます。なお、時間の関係上、お一人十五分程度にお願いいたしたいと存じます。また、委員の方々に申し上げますが、参考人の方々に対する質疑は、参考人の方々のお話が全部終わりましてから、お願いするように運びたいと存じますが、五島参考人は重要な会議を中座して一時四十五分に出席されたいとのことでございまするので、五島参考人に対する質疑はお話の後すぐしていただき、他の方への御質疑は全部終わりましてから、お願いしたいと存じます。それでは初めに、堀切参考人にお願いいたします。
  14. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) 私は、東京都の公安委員長といたしまして意見を申し上げたいと思いますが、一番初めに、先ごろ六大都市関係の公案委員会から皆さま方のほうに風俗営業法の改正につきまして要望を差し上げてありますので、このことをまず初めに申し上げたいと存じます。おととしの、三十七年の九月にお手元意見書を差し上げてありますが、これはその当時、六大都市関係の公安委員東京に集まりまして——三十七年の五月に警視庁に集まりましていろいろ意見の交換をいたしました際、大阪の委員のほうから風俗営業法の改正に関する意見を出されまして、それを中心にいろいろ話し合いをいたしたのでありますが、結局六大都市関係の各都府県の公安委員が、みな、関係方面に改正に関する要望書を差し出そうということになったわけなんであります。それで経過を申し上げますと、その席で各都府県からいろいろな意見が出ましたが、それをまとめます関係上、しばらく間をおきまして、その間に実際の取り締まりに当たっております各都府県の防犯部長を集めまして、そこでまたいろいろ意見の調整をいたしまして、結局九月になりましてからお手元に差し上げてある意見書を、要望書として差し出したような次第であります。  その内容を一通り申し上げたいと思いますが、これはその当時、やはり深夜飲食店を主にしていろいろ議論があったわけなんでありますが、この六大都市関係のほうから出ました要望書には、四カ条を掲げてあるのであります。なお、つけ加えて申し上げたいと思いますが、公安委員会といたしましては昨年の秋、全国の公安委員の会議が開かれました際にも、北海道の委員から、風俗営業法の改正に関する意見が出まして、深夜食飲店を風俗営業の中に入れて取り締まるようにしてほしいという意見が出されまして、各府県の意見も大体それにみな同意であったのであります。これは警察庁のほうで目下改正案を進行中であるからということで、別に決議をするというようなことにはなりませんでしたが、そういう経過のありましたことを申し上げておきます。この六大都市関係の公安委員会からお手元に差し上げましたものは、その第一といたしまして、飲食店営業で接待行為を伴わないものであっても、バンド演奏またはショウを行なうなどして、享楽的雰囲気を醸成するような方法で、客に飲食または遊興させる業態のものは、これは風俗営業の中に追加して規制をしたいという点が第一点であります。これはジャズ喫茶とか、あるいは音楽喫茶とか、あるいはロカビリー、ツィストなどというような種類の喫茶店、あるいはまた、ヌードスタジオのような一種の享楽的の雰囲気を醸成すをような方法で、客に飲食または遊興させる業態のもの、そうして接待行為が伴わないもの、これらのものについては、これを風俗営業としてやはり風俗営業法のうちに追加をして、風俗営業として取り締まるようにしたいという意見が第一点であります。これらの業態は、善良の風俗を維持する上から考えましても、あるいはまた、青少年の保護育成の点から考えましても、これを取り締まる必要があり、これを放任しておくべきではないと考えている次第であります。  それから、この要望書の第二の点は、いわゆる五号営業の照度の基準を現在の十ルクス以下から、十六ルクス以下に引き上げ、その基準の範囲も改正したいという意見でありますが、これは御承知のように十ルクス以下のものについては、風俗営業法で現在風俗営業の中に入っておりますが、十ルクスちょっと出たものについてはそれに入らない、放任されている状態でありますが、しかし、暗い場所でいろいろな好ましくないことが行われる危険が非常に多いと思いますから、営業の場所をなるべく明るいようにしたいという、そういう考えから明るさの程度を十ルクスから十六ルクスに引き上げて、そしてどの場所でも十五ルクス以上の明るさに保つように営業指導をしてほしいという考えからこれが出ているわけであります。十ルクスになりましても、たいした違いはないとも考えられますが、幾らかでもこれを明るくして、営業の場所を明るい場所にしてほしいという意見から出ているわけであります。  それから第三番目には、酒を販売するものにつきましては、その販売時間を十二時までとしまして、午後の十二時過ぎには販売をさせないというようなふうにしてほしいということであります。これまで深夜飲食店を中心としていろいろな問題があるわけでありますが、このとき、六大都市の公安委員の間の話し合いでは、これを規制する方法といたしまして、酒を販売するという点から考えまして、販売を十二時までに限って、十二時以後の販売は禁止したい。御承知のように、夜おそくまで飲んでおりますということは、結局いろいろな間違いのもとになりますので、十二時で禁止するようにしてほしいということなのであります。この点につきましては、このたびの法律の改正案で、深夜飲食業に対して強い規制をされます改正案趣旨のようでありますから、この目的は大体達せられるかと思います。しかし、それでもやはりまだ残る点があるかと考えられますので、これはさらに一歩を進めて、十二時で禁止するというようにやっていただくことが一番いいのではないかと考えておるのであります。  それから第四番目の要望といたしまして、ホテルとか旅館業等においてダンスパーティーその他各種のパーティーを催す際に、婦女を、女を招いて接待行為が伴うなど風俗営業類似の行為をする場合には、事前に公安委員会の承認を要するものとするというふうにしていただきたいということであります。これは近ごろホテル、旅館等におきましてダンスパーティーとか、その他この種類のパーティーがたびたび催される実情がありますが、この現在のまま、これが放任されておりますと、正当の手続をして許可を受けましたキャバレーとか、ナイトクラブとか、ダンスホールとかいうほうと、はなはだ不均衡の結果になります。そういう点から、これは事前に公安委員会の承認を要するということにしたいということでありまして、東京都で警視庁におきましては、ただいまのところこの点は東京都の条例によりまして警察署長に届け出をするということになっておりますが、六大都市全体がそうなっているとも限りませんし、また届け出では不十分でありますから、これを承認を要するということにしていただきたいという要望であります。この点は、これはホテル、旅館等において行なわれますものにつきましては、別に青少年の保護育成の上に対する影響はわりあい少ないかとは思いますが、正式の手続を経て許可を受けております業者との均衡上、それらに対して公平を期する上から、やはりこの手続を、承認を要するものとするというように、やっていただきたいという考えを持っているわけであります。  で、これらの四カ条の要望を、一昨年皆さん方のお手元にも申し上げておるわけでありますが、このたびの風俗営業法の改正案によりまして、このうちの幾分は目的を達せられることになります。ことに深夜飲食店に対しまして規制を加えられますことは、非常にけっこうなことでありまして、われわれも前からこれを熱望しておりましたその一番重要な点が解決されることになりますことは、まことにけっこうなことだと考えておる次第であります。  なお、公安委員会といたしましても、しょっちゅう問題になって論議の的となり、いろいろと苦心しております問題が幾つかあるのでありますが、それらについて二、三申し上げてみたいと思います。  その第一は、トルコぶろであります。これは東京都の現状におきましては非常に急速に増加しておりまして、その内容は実は取り締まりができないのでありまして、詳細なことは何ともわかりませんが、しかしながら、これはどうも善良の風俗を維持する上において放任できないもののようなふうに察知されます。このままにしておくということは、どうもはなはだ好ましくない状態なのではないかという疑いを非常に深くしております。これをちゃんとした、はっきりした明朗なものにしていくということが必要なんではないかということを考えておる次第であります。  それから、その第二はボーリングであります。これも東京都の現状を申し上げますと、急激に増加しつつあります。そうして夜おそくまで——深夜まで営業しているのが相当にありまして、しかもこれの入場者の二割ないし三割が少年であるというような状況であります。深夜までこういうことに熱中しているということは、少年の補導上これは看過し得ない問題ではないかと考えるのであります。まだ数はわずかでありますが、現在どんどんと増加しようとする傾向を持っており、そうして夜おそくまで若い者がこれに熱中しているというような状況を考えますと、これはやはり放任しておくべきものではない、何か風俗営業法としても考える必要のある問題ではないかと考えておるのであります。  それから第三番目に申し上げたいと思いますのは、深夜興行場であります。劇場、あるいは映画館等が深夜まで営業をするという傾向が、これも最近に顕著になっておりまして、おそくまで、あるいは深夜まで映画を見ているとか、あるいは劇場のようなところにいるということは、これもやはり善良の風俗を維持する上において、あるいはまた青少年を育成保護していく上において、やはり看過できない問題であるように思います。これらについても十分に考慮をする必要があるのだろうということを考えている次第であります。  終わりに申し上げたいと思いますのは、今回の改正案は、われわれ公安委員会といたしましても、非常にけっこうな、一番大事な点を改正される、まことにいい改正案だと考えているのであります。これまで申し上げましたいろいろな——まだこれ以上にやっていただきたい希望をたくさん持っているのでありますが、しかし今回の改正案は、その一番大事なところをつかれた非常にいい改正案だと考えているわけでありまして、従来、東京都の公安委員会といたしましても、たとえば深夜喫茶飲食店の営業を、違法なことがあったために深夜の営業を停止処分にした場合も数多いのでありますが、今日までの経過を申し上げますと、業者によりましては、営業停止の処分を受けますと直ちに廃業をして、そして別の名義人をつくって直ちにまた開業の許可を申請する、そうすると、厚生省関係の保健所で扱っておられるようでありますが、保健所のほうではそれを拒否する理由がないからということで、直ちにまた、それを許可をされます。営業停止をするとすぐに廃業し、廃業して直ちにまた新たに開業するということで、全くその処分の効果もないような実情になっております。これらの点も、この法の改正でははっきりいたしますので、非常にけっこうないい改正案だと考えているような次第であります。  一通り私の考えておりますことを申し上げた次第でありますが、まだ何か御質疑がありますれば、それによってお答え申し上げます。
  15. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) どうもありがとうございました。  次に、斎藤参考人にお願い申し上げます。
  16. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) 私は、喫茶業の全国の連合会会長をしている斎藤頴夫であります。  このたびの風俗営業法並びに喫茶業改正案につきましては、まず、青少年の育成の問題から申し上げても当然のような考え方を持っておりますし、それには何ら異議は申し上げませんのでございますが、ただ、私のほうの業界は、家族を入れますと約三十万人ございますが、いま、喫茶業と申しましても、いまからちょうど四、五年前に厚生省の環境衛生法が制定されまして、いち早く許可されまして、今日までわれわれの業界のあり方を指導してまいった関係上、いわゆる深夜喫茶そのものと申されましても、私どもの業界には、深夜喫茶と一口に申されても、あまりそれは数が少ないのでございまして、ただ、喫茶という許可があまり簡便であるために、キャバレーあるいはバー、ほかのお酒を飲む飲食店のほうにも、何かの場合に喫茶店の許可で、どちらの業界にも入らないで、自由に、法の盲点をついて営業しているという業者が数千東京都にもございます。こういう方たちが、やはり喫茶の許可で営業しておる関係で、いちずに私たちの喫茶業同一視されるということが非常に心外である。いま、堀切委員長も申されましたが、いわゆる音楽喫茶とか、あるいは何々喫茶、何々喫茶といって看板を上げますのは、私のほうの業界とは全然違う業界でございます。しかし世論では、これをやはり喫茶業として同一視されております。私のほうは、東京都にも五十支部ございまして、このうち四十二支部が確立されております。一支部が大きいところで二百八十軒、小さいところで六十軒くらいになっております。これは保健所を単位に一支部、一支部と結成しておりまして、お互いに牽制し、組合本部が指導、監督して今日まで参っておりまして、これは飲食店業としましても、自分で申し上げてははなはだなんですが、調理士の資格免状から、すべての衛生面までが、わが国では一と言って二に下がらないと、自分でも考えております。ただ営業時間が——婦女を接待せしめないというたてまえから、自分で自由に営業を締める傾向になっておりまして、たまたまこの点が、大体十二時で締めております。これが本改正法案になりますと、十一時という限定になりますと、この点がいささか困難視され、ここ数日問題になっておりますが、この点は何とか御高配願って、とにかく零細業者であるために、長時間営業しなくては、ちょっと飽和状態になりまして——軒数もふえましたために、お互いに競争が激しくなりまして、それでお互いに牽制して、変わった営業をしたり、あまり過当な競争をするときには、各自がお互いに監視し、そうして本部に通報しているような始末がいまの現状であります。最後のこの十一時から十二時という間が、千円売り上げるか二千円売り上げるかの問題ですが、これがいまわれわれ業界の一番いわゆるもうける——最後の一時間で売ったのが利益になるというのが、いまの現状であります。この点がちょっとこの法案に対して——一昨々年の暮れ、堀切委員長並びに渡辺防犯部長にも陳情書を出して、去年まいりましたのですが——、あと、問題は明るさのルクスの問題も、十五ルクスなんてことをいわずに、二十ルクスでけっこうであります。私も、オリンピックを控えまして各国を回りましたが、これからはもう衛生観念が最も高度にならなければいけない、日本の国も自由化になるのだから、各自がもう昼間と同じようなあかりをもって営業しなくては衛生的にいかん、こういうことを主張しまして、まあ大多数の人たちも、まず二十ルクスが至当ではないか、警視庁が十ルクスなんというのは手ぬるいのだ。この点は昨年の暮れにも、陳情書にありますように、二十ルクスにしようじゃないかというくらいに、みんな考えております。ただし、いかがわしい業者は、これは喫茶店であるのか、バーであるのか、キャバレーであるのか、どっちかわからない。数千のいかがわしい業者の中に深夜喫茶がたくさんございます。私らの業界では、その近所の幾分の人たちは、どうしてもそっちへお客を取られるので、やむを得ずそれに引きずられる、近所の同業者から非難を浴びるまで引きずられる傾向がございます。これは一番多いところが、新宿とか、あるいは池袋とかいうかいわいの繁華街にありますが、他の地区ではもうそういう考え方は持っておりません。ですから、このアウトサイダーの業者をわれわれ業者の支部へは入れない、ああいうのを入れては困るのだ——こういうことばも、これは当を得ない。入れて感化し、指導していくか、放任しておけば汚名は私たちのところにかぶさってくるのだ。こういういま結論で、なかなか業界でも議論が沸騰しております。ですから幾分——これは警視庁あたりで統計をとっているようでございますが、本組合の違反者は、ルクスの違反者がわりあい少数でございますが、アウトサイダーには数倍の違反者があります。これは警視庁で統計をとってございますが、そういう状態でございます。ただ、零細業者といたしまして——いま委員長がお酒を十二時まででとめていただきたいと——実にけっこうな話だと私は思います。私たちのほうはコーヒー、紅茶、そういう嗜好品でございますから、この点も、お酒を十二時まで売るんならば、われわれのそういうトーストパンやコーヒー、紅茶も十二時まで何とか御高配を願えれば非常に幸甚で、その辺ならば、すべて全国の業者も納得いくんじゃないか。ましてやオリンピックを控えて、衛生観念を第一に、そしてわれわれ業者はいわゆるこびを売るというような業種でございませんで、大衆のいこい、大衆が安易に休息して、そして一日の疲れを休めていただくというところの業種ですが、それがだいぶ変化してまいりまして、ケーキあるいはもち菓子を自分のところで製造して、そしてお茶と一緒に販売するという物品販売に移行しつつある状態でございます。ただ深夜喫茶といって、いちずにそういう悪徳業者と同一視されるということが、われわれ業者としてこれは許せない。これを何とかしてPRして、この汚名をどうして取り除きたいというのが、現在、ここ数日会合している総員の意見でございます。そういう意味で、先ほども堀切委員長が、営業停止を食わしても、すぐ別人の名義に変えて営業許可をとると、これも相当三国人系統に多うございます。こういう点も実に私たちとしては困っております。で、私たちのほうはそういう意味で、一地区に二百からございますので、非常にお互いに牽制し合っております。いわゆる朝のサービスタイムも全廃しようじゃないか。隣はトーストパンを出した。今度は卵まで出す。これじゃ営業が成り立たないと、こういう意味で、いわゆる環境衛生同業組合ができましたために、それからはそういう過当の競争をやめて——そして、お互いに牽制していますから、少しでも常識はずれの営業をいたしますときには、近所隣の業者が黙っておりません。すぐに本部に通報いたしまして、それは問題になります。ましてや青少年が入るなんということは、知っていても知らなくても、年を隠して入っても、それらしい人が入った場合には即座にこれを追い出す。あるいは警察当局に、出ない人があったら知らしてもいいんじゃないか。この前、警視庁の志村保安課長ですか、業者でそういう監視人を置くのもいいじゃないかという御意見で、それもけっこうなことだ。そういうことで各支部で十名から十五名ぐらいの監視人を置いて、それでこれを監視しようという制度をいま設けつつある現状でございます。ただ、そういうわれわれの業種と、そういうお酒を売る業態と、この中間に位する何業種であるかという数千の業種を、これをどういうふうに取り締まるかということは、これはやはり公安委員長のほうでも非常にお困りだと思います。私のほうもはなはだ迷惑千万ですが、これもいたし方がございません。ただし、この方たちは喫茶の許可で営業しております。喫茶の許可は簡単にとれるものですから、喫茶の許可で営業しているために、私たち純粋の喫茶業種と同一視されるということが、はなはだ残念でございます。これをどうか何らかの方法によって——警視庁が取り締まるより、われわれ業者が監視人を出してこれを取り締まるというか、通報するか、そういうことでいちずに解決つけ得ると私は思います。しかし警察権があるわけじゃございませんが、常識的にこの地区でこういう営業をしては困るという程度の通報は可能だと思います。それですから、一地区に二百軒からありますから、少しでもいかがわしいとか違反した営業をする場合は、即座に、もう一時間たたないうちにわかります、このことを何らか具体化して、不良業者を——要するにオリンピックで前のイタリーあたりは風紀問題で非常な評判になっておりますが、日本はそこまでやりたくないということから、いろいろとそういう常識的な指導をしておりますが、どうかひとつ零細業者、いま三十万人の一時間の時間——十一時で切られますと、この点即生活を非常におびやかすということだけが一つの悩みでございます。どうかこの一時間を、もし違反者があるならばどういう厳罰もあえて辞しません、けっこうでございます、即時営業停止を食わされてもけっこうでございます。また、そういうことは本部といたしましてもほんとうにお知らせします。ですから、どうか厳罰もけっこうでございますから、何とか十一時から十二時までの間の一時間の御延長を、いままでどおり十二時限度ということにしていただければ、実にわれわれ三十万人の生活権が一応……。もしそれもだめだ、やかましいというならば、一つの期間を設けて、たとえば半年とか、まずオリンピックまでとかいうならば、またその間にその営業の純益が少なくなるものはほかの方法、ほかのほうに営業を転向するという方法もございますが、とにかくお酒を十二時にとめていただきたいという、先ほどの委員長のおことばがあったとおりの時間まで、できるならばお酒でない嗜好品の営業を十二時までは、これは可能のように自分も思うし、いまの三十万人の生活も、これまでならば何とかいい方法に持っていけるのじゃないかと、この点をお願いしてやまないのであります。いまルクスなんという問題は、もうすでにそういう問題はおかしいです。ですから、われわれ業種は、まずいまから二月中に二十ルクスまで引き上げようという傾向で、これも費用がかかりますので、即というわけにはまいりませんが、二十ルクス引き上げつつございます。どうかその点をよろしく御推察願いまして、十二時まで善良な喫茶店の営業をお認め願えることができましたならば、非常に幸甚だと思うのでございます。  以上をもちまして終わります。
  17. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) どうもありがとうございました。  次に、五島参考人にお願いを申し上げます。
  18. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 私、五島でございます。私は一介の新聞人でございまして、ただ、平素から青少年問題に非常に関心を持っております。きょうここへ私が呼ばれました趣旨は、今度の風俗営業等取締法改正についての意見ということでございますが、私は、すでに御発言になった方もあるかとは思いますけれども、焦点を、いまの日本の青少年問題と、それと深夜喫茶を、はじめといたしまして深夜におけるいろいろな遊興的なものあるいは飲食関係、娯楽的な業態、そういったものと青少年非行との間に一体現実にどういう関連があるのかという問題につきまして、私のいままでにいろいろものを読みましたり、実地に見ました範囲内におきまして考え方を申し述べたいと思うのであります。  最初に、やや問題の焦点をはずれるかもわかりませんけれども、私、平素青少年の非行という問題を考えます場合に、このごろの世の中の一種の風潮といたしまして、青少年が何か非行をやりますと、これは政治や社会が悪いのである、自分には結局責任がないといったようなことを申す青少年もおりますし、おとなの中にも、青少年を責める前に、まず社会あるいは全体のおとなが反省すべきであるというようなことを、おっしゃる方も少なくないわけであります。しかしながら、たとえ少年にいたしましても、一定の年齢以上に達した場合には、やはりその本人がみずから犯した非行に対しては、これに責任を持って、世の中に与えた罪に対してはみずからこれを償うという、そういうこと々教育する必要があるというふうに考えるのであります。そういたしませんと、青少年の自律自制の精神をそこなうことになるわけでありますし、同時に少年たちの基本的な人格を否定することになるのではないかと、そのように考えるわけであります。しかしながら問題は、これは青少年に対しておとなが対抗する場合のことでありまして、おとな自身が一体いまの青少年問題にどう対処していけばいいかということを考えます場合には、やはりあくまでもおとなが一体何をやるべきか、おとなの責任において一体われわれは何をすべきかということを考える必要があると思うのであります。そういう観点からいまの青少年問題を考えますと、いまのいわゆる非行少年とかあるいは非行に走るおそれのある少年たちは、自分の内側とそれから同時に外側の両方からいわば攻撃を受けているのではないかと思うのであります。内側からの攻撃と申しますのは、いわゆる少年たちが持っておる劣等感とか、あるいは欲求不満とか疎外感とか無力感とかいった、そういう精神状況であります。こういう精神状況に少年たちがなぜ置かれるかということを考えますと、これは要するにいまのいろいろな消費ムードとか、あるいは教育制度の欠陥にあると言えるのでありますけれども、これと同時に、少年たちはいまのこの消費ムードの中において外側から非常に強い攻撃を受けているというふうに私は診断しているのであります。その外側からの攻撃は何かと申しますと、御承知のようにそれは、いわゆるテレビとかあるいは出版物、映画、広告といった、そういったマスコミの中の少年に好ましくない影響を与えると思われるいわゆる有害な文化財の問題であります。第二はいわゆる暴力団でありまして、これが常に少年に魔手を伸ばすような態勢をとっておるわけであります。第三は、いわゆるきょうここで問題になりますところの深夜喫茶とかあるいは深夜の遊興的な娯楽とか、そういうものがあげられると思うのであります。  で、深夜喫茶の問題を最初に取り上げますと、これは具体的に警視庁でこの深夜喫茶の補導——深夜喫茶における少年たちの補導された数字が出ておりますけれども、これは新聞の記事で私は読んだのでありますが、一昨年警視庁で補導された約二十六万人の少年の中で、六割に達する十五万人が、いわゆる深夜喫茶の常連であったというふうに出ておるわけであります。そういう深夜喫茶に出入りいたしまするところの少年は、大体、家の金を持って家出をしまして、そこで深夜喫茶を根城に、金に困ると盗みとかおどしとか、そういう悪事をやっているというわけであります。で、これもある新聞記事に出ておった深夜喫茶のルポでありますけれども、ある深夜喫茶で、少年の手の甲の上にアズキぐらいの大きさの水ぶくれが五つあったわけであります。それは何かと言いますと、そこで、たばこの火を手の甲の上に落としまして、そのがまん比べをして、それに負けた者がお茶代を払うという、そういう一つのゲームであります。で、その深夜喫茶の中には、夜中になりますと百五十円から三百円にお茶代を上げるといったところもあるということであります。また東京のある少年補導連絡会長は、昨年の警察庁の非行少年対策懇話会におきまして、銀座の深夜喫茶の中で、未成年者を入れて酒を出しているところがあって、それが不良のたまり場になっているということを発言しておられるわけであります。また、これは警視庁で最近お調べになったことでありますけれども、深夜喫茶を調べたところが、三十名の少年のうちで、十九名が無断で外泊をしておったというわけであります。しかもその中で、十五名が、十五歳から十七歳の少女であったということであります。大体こういう若い十代の少女が外へ出ているのに、これに全然無関心でおったという、そういう親のあり方自体がすでに異常ではありますけれども、こういうこの深夜喫茶の中における風景というものは、確かにわれわれの常識から考えまして、異常であるというふうに感じるわけであります。  もっとも、この深夜喫茶に関しまして、いろいろな弁護論のあることも事実であります。しかも、その弁護論の中には、必ずしも軽々しく看過できないものもあると思われるのであります。たとえば深夜喫茶をなくしても、深夜喫茶をなくすだけでは非行少年はなくならない。おそらく、なくせばまた別の新しいそういう場所を発見して、そこに非行少年が集まるだろうということが、弁護論の一つであります。もう一つは、これはある人から聞いた話でありますけれども、深夜喫茶に行く少年を必ずしも非難できない。たとえばある少年は、夜、自分の家に帰りましても、非常に住宅が狭くて、一つの狭い部屋に家族と一緒になっている。そうして家の中でその少年がちょっと歩こうとしますと、寝ているおやじさんの頭の上をまたいでいかなくちゃいかぬと、そういうような非常に狭隘な住宅に住んでいる少年が、夜外へ出まして、そうして甘い音楽を聞き、しかも深々としたいすの中に身を埋めて、一ときの休息をとるのはどこが悪いのかと、そういう弁護論もあるわけであります。この問題は少し大局的に考えますと、現在の日本の住宅政策の問題にも関連してきますし、あるいは少年が自分の家において、たとえば父親と母親の人間関係が崩壊しているとか、あるいは父親がどこへ行ったかわからないとか、そういう家庭の中の問題にも、一つの原因はあると思うのでありますけれども、ただ、私はこの際は、そういう弁護論は一応別にいたしまして、とにかく現実に弊害が起こっている場所に対しては、やはり手を打たなければならない。そうして、そういう手を打ったあとで、別の新しい弊害が出てきましたならば、それに対してそのときに対処すればいいのではないか。とにかく現実に弊害が出ているのだ、そういう弊害に対しては、やはりわれわれおとなが——少なくとも少年非行に対しまして責任を持つおとなが、少年があやまってもそういう場所に行けないように、そういう場所に対して手を打つ必要があるのではないかというふうに考えるわけであります。  で、ただし、そういう深夜喫茶の営業時間を何時までにすべきか、あるいはそれに対して、何歳までの少年を入れないようにすべきかという、いろいろな技術的な問題があることは事実であります。たとえば十一時で店を打ち切るとか、あるいは十二時で店を打ち切るというふうに、かりに考えました場合でも、それであれば、一体少年でもその時間までは入れていいようにするのか、あるいは少年と申しましても、二十歳以下を少年と考える考え方もありますし、十八歳以下という考え方もありますけれども、かりに、こういう喫茶店を十二時で店を打ち切るといたしましても、たとえば十五歳の少女が数名連れ立って、十一時半にそういう店に行くと、こういう事態を放置しておいていいのかという問題も出てくると思うのであります。そういう意味におきまして、閉店時間の問題と同時に、ただ一律に二十歳以下とか十八歳以下ということよりも、もう少し年齢的に何かこまかい配慮が必要ではないかというふうに思うわけであります。  それから深夜喫茶以外の問題といたしまして、ボーリング場の問題があるわけであります。これも現在東京には十数カ所のボーリング場があるわけでありますけれども、まあ、警察当局の行政指導といいますかによりまして、若干ボーリング業界が自粛をされまして、現在は原則として十二時、ただし日曜あるいは祭日の前の日には三時というふうに自粛されておるやに聞いておりますけれども、しかし、私は大体二時、三時までこういうボーリング場をなぜ営業する必要があるのか。しかも、そういうボーリング場へ行っている入場者の中の大体三割は未成年者であるということを聞きますと、やはりこの二時、三時という営業時間は、どう考えても私には納得できないというように思うのであります。  もちろん、業界の方から見られまして、いろいろこれは生活権の問題もありましょうし、営業上のいろいろな問題もありましょうけれども、私の立場といたしまして、少なくとも青少年とそういう深夜喫茶との関連を考えました場合には、やはり現状をこのまま放置しておくわけにはいかない。やはりそこには時間の制限なり、入場に関しまして適切な処置が必要ではないか、このように考えるわけであります。  以上をもちまして、私の公述を終わりたいと思います。
  19. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ありがとうございました。  この際、各委員に申し上げますが、先ほど五島参考人が、時間的に非常にお急ぎのようで、五島参考人に対する質疑は引き続きやるということを申し上げましたが、ただいま五島参考人のほうから時間に融通がついたということでありますので、全参考人の方々の御意見を拝聴いたしましてから、他の参考人と同様に後ほど質疑をしていただきたい、かように思います。  続いて、増谷参考人にお願い申し上げます。
  20. 増谷達之輔

    参考人増谷達之輔君) 私は、青少年問題研究会を主宰しております増谷達之輔でございます。私の平素の関係の仕事に関連しまして、ここでは主として青少年対策、青少年の非行防止という点に限って私の意見を述べさしていただきたいと思います。  このたび、風営法が改正になるということでありまして、その改正個所を私拝見したのでございますが、その中で、私どもが特に関心を持つ点が三つございます。  一つは、第四条の三にあります十八歳未満の者の入場を禁止するということでございますが、これはこの法案が出るまでもなく、施行地方条例におきましても、たとえば東京都あるいは広島県というような地方条例におきましても、もうすでに十八歳未満の者の入場は禁止するという規定がございます。それからまた、各府県に、ここ数年間青少年の保護育成条例というのが設けられております。これは全国、全府県に設けられてはございませんで、大体いまのところ二十一、二道府県かと思いますが、その青少年保護育成条例の中にも、青少年の深夜外出の禁止——八時以後のところもありますが、また十時以後という規定のところもございます。そしてまた、深夜外出の禁止と同時に、そういった風俗営業に青少年を立ち寄らしてはいけない、こういうことになっております。この場合に、その責任は保護者と業者に負わされておりまして、青少年がそこに立ち入るということについても、青少年に対する責任は、これは負わされていないようでございますが、とにかくそういう措置がとられている。そういうような状況でございまして、この際これが法律の中にはっきりと明示されましたことは、おそらく今後この問題について徹底した措置がとられるようになるのじゃないかというように思います。  それから第二点は、酒類の提供の禁止ということが特にうたってございますが、これは、もうすでに大正十一年に未成年者禁酒法というのが出ておりまして、われわれはもう二十歳未満の青少年は酒を飲んじゃいかぬものだと、こういうふうに考えておりましたですが、今度の法案の中に特にそれがうたわれているということについては、私、法律のほうはあまり詳しくございませんので、ちょっと理解に苦しむところでございますけれども、しかし、とにかく、この風俗営業法の中に特にそれをうたった。そうして酒類を提供した者に対して何らかの罰則を設けているということは、私はさらにこの趣旨を徹底する意味においていいのじゃないか、こういうふうに考えます。  それから第三番目は、いわゆる深夜営業の許可の問題でございますが、これは十一時以後の深夜営業を許可するについて、いままでは比較的簡単な条文で、地方の施行条例をつくるときに適当な裁量が加えられるという余地が残してございましたが、今度の条文によりますというと、場所、時間、それから営業行為あるいは構造設備というふうな点を明確にうたってありますので、おそらくこれは今後の地方の施行条例をつくる上に非常にはっきりした形をとってあらわれるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。  この深夜営業の問題、深夜喫茶の問題につきましては、もうすでに私が関係しております中央青少年問題協議会でも昭和三十三年の八月十一日に意見具申として、深夜営業が青少年の非行あるいは健全育成に非常に大きな関係があるから、これに対して政府として善処してもらいたい、という意見具申を総理大臣に提出してございます。それからまた、毎年青少年問題協議会の各ブロック会議が各ブロックごとに開かれているのでございますが、私は、なるべくその会議には出席することにして出席しておりますが、その際に必ずこの深夜喫茶の問題というものがこのブロックの人々の間に議論されるのでございます。それからもう一つ、先ほど申しました青少年の保護育成条例の中にも、やはり深夜喫茶に対して青少年を近寄らしてはいけないということがうたわれておるのでございまして、もうすでに一般のこの方面の関係者の間には、深夜喫茶というものに青少年を近づけてはいけない、青少年は深夜喫茶に近づいてはいけないという世論が固まっておるのでございまして、それが今回この法律の中にはっきりとうたわれてきたということには、私ども非常にうれしい気持ちがいたします。  そういうようなわけで、大体、新しい発見はこの法案の中に私どもは見ませんけれども、しかしながら、もう世論が固まっておる、世論がそういう方向に向いている、その世論を法文の上に明確に出したということは、これは今後の地方条例をつくるときに非常に大きな勇気を持たせるのじゃないかということと、もう一つは、社会全体が、政府がこの問題について真剣に乗り出してきた、国がこの問題について真剣に乗り出してきたという印象を与える、そのプラスの面が非常にあるのじゃないか、こういうように私は考えます。  それから、法文のことにつきましては、そのくらいにいたしまして、私はこの風営法が改正され、これが施行されるにあたりましても、なお、そこにいろいろな問題があるのじゃないか。その一つ、二つを考えてみたいのでございますが、その第一は、この風営法によって十八満未満の青少年は、そういった喫茶店からも、また料理屋からも、パチンコ屋からも、マージャン屋からも、みんな締め出されるということが徹底するわけでございますが、心配するのは、先ほど五島参考人も申されましたように、そこから締め出された子供たちは一体どこへ行くかということなんでございます。特にそこへ集まる子供は、一応何らかの複雑な問題をかかえている子供たちでございます。これがただ、おとなしく、そういうところへ行けないから自分の家に帰ろうというような、そういうような子供ではないのでありまして、そこへ行くことを締め出されれば、どこかへ行ってその不満を発散させなければならぬ、そういう傾向のある子供でございますので、この子供をどうするかということを、ひとつこの際考えていただきたいと思うのでございます。  それから第二番目といたしましては、主として青少年の集まる深夜喫茶というのは、全国で、この統計によりますというと約七千ございます。この七千という数は、全体の風俗営業が約十五万ございますが、これは昭和三十七年の統計だと思いますけれども、十五万のうち、わずか六千や七千の深夜喫茶を閉鎖して、一体どれだけの効果があるかと、そういう疑問が一応持たれるのでございます。それは、その理由としては、深夜喫茶に行く子供というのは、先ほど相当多数の数字をあげられましたけれども、しかしながら、その数字も警察庁で発表しております犯罪少年あるいは虞犯少年、この数は全体で、昭和三十八年の七月現在で約百二十万近くなっておるのでございます。この百二十万近くの犯罪少年が深夜喫茶に行く。深夜喫茶があるために、ただそこから犯行をしているというように簡単に考えるわけにはいかないのでございます。なるほど深夜喫茶は、青少年の非行の温床にはなっておりますけれども、しかし、もっと私はその背後に深い原因があるのじゃないか、青少年非行の原因があるのじゃないかというようなことを考えるのでございまして、その点を、深夜喫茶を閉鎖したから、青少年の非行がなくなるというように簡単に考えないで、それと同時に、ほかにもっと原因がありはしないかということも、この際ひとつお考え願いたい、こういうふうに希望いたすのでございます。  それからもう一つは、それに関連いたしますけれども、かりに深夜喫茶とか青少年の群がるところを閉鎖いたしましても、先ほど申しましたように、犯行は減らない。その犯行の背後にはもっと深いものがあるということを申しましたが、それは私は結局このおとなの世界、おとなの行動というものを規制しなければどうにもならないのじゃないかということについて申し上げたいと思うのでございます。風営法が子供は締め出した、しかしおとなに関する限りはこれはノータッチになっております、現在のところ。時間が十一時とか、いろいろなこまかい制限はあるにいたしましても、一応おとなに対しては、風営法は今回の改正においてはノータッチになっておる。そういたしますというと、おとなはやはりいままでどおり自由に、夜になれば料理屋に行く、あるいはパチンコをやる、マージャンをやる、あるいはキャバレーに行く、ダンスホールに行くといったような自由な行動をとるのでございますが、そういうおとなの行動というものが、そしてそのおとなの行動からかもし出されてくる社会的な雰囲気というものが、私は子供たちにどういう影響を与えるかということを考えるのでございまして、そういう風俗環境を正さなければ、私は、青少年の非行というものは根本的には直らないということを考えておる者の一人でございまして、そういう点についても、ひとつこの際何らかの方法をお考え願いたい。ちょうどこの青少年の非行というのは、たとえて申しますというと、カビのようなものでございまして、一つのもちにはえたカビ——そのもちの種類によって青いカビもはえれば、赤いカビもはえる、あるいは黄色いカビもはえれば、黒いカビもはえるということなんでございまして、このカビのはえる、これを私ども培養基と申しておりますが、培養基を第一に正さなければならぬ。この培養基は、これは私は社会のあり方というものを考えてみますときに、社会というものの構造とか、社会のあり方というものが非常に大事だ。それから、それに与える——カビは、温度とか湿度とかいうものがカビをはやさせるためには必要なんでございますが、その温度、湿度の高低によって青いカビがはえたり、黒いカビがはえたりということになるのでございまして、その温度、湿度に相当するのは、私は社会の風俗環境というように考えております。ですから、カビをはやさないためには、そういった温度、湿度である社会環境、社会の風俗環境というものを改めなければ、私はそのカビを根本的に取り除くわけにはいかない。警察力によってもちの上にはえたカビをぬぐうことはできます。しかしながら、またそのカビははえてくる。結局、追っかけっこになるのじゃないかということで、近ごろ青少年対策ブームでありまして、だれでもかれでも青少年対策——こうあれということを申しておりますけれども、しかし一つとしてそれが実行に移されていない。政府としてもその必要は感じておられると思いますけれども、私は政府の青少年非行対策というものは非常になまぬるいような気がいたしておるのでございますが、とにかくブーム、ブームで騒ぎ立てないで、一つ一つを、その原因をとらえてよくするような方法をひとつ講じていただきたいと、こういうように私は考えます。警察の非行少年の補導ということがございますが、これはたとえれば火事を消すようなものでございまして、その場にその必要はあるのでございますが、ただ先ほども申しましたように、そういうようなことだけでなく、その根本的な対策というものをこの際考える必要があるのじゃないか、こういうように思います。  で、環境の浄化とか、教育の適正化とか、あるいは家庭教育の強化というようなものによって、そういった対策が私は立つのずゃないかと思うのでございますが、青少年の生活態度を正すということは、やはり教育の適正化とか、あるいは家庭教育を強化するとか、あるいはおとなのつくり上げている環境を浄化するということによって、初めて青少年の生活というものは正せるのじゃないかと思いますので、私いつも感ずるのでございますが、朝からおとながゴルフバッグをかついで勤務日に、ウイークデーに出かけていくとか、あるいは電車に乗っていますと、朝から競馬や競輪に出かける人を見かけるとか、そういった空気が私は子供たちにとって非常に悪い環境的な影響を与えておるのじゃないか、この点何とか考慮することはできないかということを私は常に考えているのでございます。  それから最後に、私申し上げたいと思いますけれども、そういうように青少年を、風俗営業と申しましても彼らはただ喫茶店でお茶を飲むという程度にしか考えていないかもしれませんが、そういった風俗営業から締め出すということと同時に、青少年のためにもっと健康な施設を私は与えていただきたいと思うのであります。現在でも青年の家とか、勤労青少年の家とか、あるいはユースホステル、スポーツセンター、スキー場、スケート場、ハイキングコース、キャンプ場といったようなものは公共の機関として設けられておるところはございますけれども、しかし、なお私は、数が足りない。なかなかそこへ出かけていっても非常に人が混雑しておって思うように遊べないというようなことでございまして、それだけでなく、とにかく青少年がレクリエーション——を余暇を有効に利用し得るような施設を一方に考えてやらなければ、私は角をためて牛を殺すようなことになってしまいはしないかということを感じます。  以上、私この法案の改正にあたりまして感じましたことを簡単に申し上げて御参考にいたします。
  21. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) どうもありがとうございました。  続いて、中村参考人にお願いします。
  22. 中村聖子

    参考人(中村聖子君) 本日は、この委員会にお呼び出しにあずかりまして、参考人として種々実情を申し述べる機会を得ましたことを、厚くお礼を申し上げます。  私は、昭和三十二年施行の売春防止法によって設置されました婦人相談員として、法施行の当初より要保護女子の保護更生の仕事についてまいりました。売春は他の犯罪に比較いたしまして、犯罪の意識がきわめて薄いのでございます。要保護女子はもちろんのこと、社会有識者の中にも、売春は必要悪であるという考え方をする人があり、かつての赤線、青線業者の中にはそうした一部の人々の考え方を強く取り上げられまして、赤線復活を夢見る業者もおり、この法律が常にゆれ動いているという感じがするのでございます。もちろん、国際条約に批准されており、復活などということは夢物語にすぎないのでありますが、こうした社会情勢においてはなかなか一般の協力も得られず、罪の意講も感じない要保護女子の保護更正に当たる仕事は、非常に困難をきわめております。要保護女子の更正には非常な忍耐と高度の技術と、そしてあたたかい人間愛が必要でございます。けれども、一度転落してしまった女子に対しては、その効果は苦労に比べれてなかなかあがらないようでございます。私どもは、毎々こうした意味から転落女子の更生につとめるとともに、一歩前進いたしまして、転落未然防止という点にも心がけてまいりました。  深夜喫茶につきましては、かねてから売春への直線コースであるとの観点から、私どもも深い関心を寄せてまいりました。最近は、売春婦がここを利用いたしまして、時によれば客を物色し、非行少女らに対しては甘いことばをもって売春婦となるよう勧誘するといったぐあいでございます。深夜喫茶を契機とする転落のケースについては、今回の改正によりまして転落を未然に防止するために大きな役割りを果たすものと私どもも喜んでいる次第でございます。しかし、地方条例にまかされるということは、規制の上にでこぼこができて、その効果に一まつの不安がございます。とかく風紀上の問題を起こしておりますトルコぶろやヌードスタジオ等については、今度の改正に含まれないということについて、私どもはまことに残念に存じております。ヌードスタジオにいたしましても、トルコぶろにしましても、売春が行なわれている事実がわかっていても取り締まりの網の目からこぼれているという実情について、二、三事例を申し上げながら問題点を提起いたしたいと存じます。  まず、ヌードスタジオに働いておりましたA子のケースについて御説明をいたします。十八才のときにA子は——この家庭は両親がバタヤをしておりまして、非常に貧困なケースでございましたけれども、たまたま新聞広告によりましてヌードスタジオの事務員の広告を見て、さっそく応募したわけでございますが、そのヌードスタジオにまいりますと、そこの店主から、あなたはたいへんりっぱなからだをしているから——いいからだをしているから、事務員なんかになるよりもヌードスタジオのダンサーになりなさい、モデルになりなさいと言われて、はだかにされてしまったのでございます。そして、事務員よりもむしろ収入が多いから、このモデルをするようにすすめられて、とうとうモデルになったわけでございます。ところがその、ヌードスタジオと申しましても、スケッチをするとかまた写真をとるというのは二の次で、からだの——はだかになっておりますからだのあらゆる部分に客がさわるというような目にあいまして、非常な屈辱を感じたということでございます。こうした中にあって、このA子は、そのスタジオに勤めている間に客からさそわれまして、ついに売春におちいってしまったのでございます。このスタジオは池袋のほうで営業しておりましたのですが、このスタジオに手入れがございますて、手入れがあってそこは閉鎖されることになったときに、そこの業者からA子は、あなたは私の経営している同じ店が三島にあるから、三島のほうに行って働いてもらいたいと、こう言われて三島のスタジオに行ったのでございます。ところが、そのときにはすでに池袋の業者は、三島の業者からあっせん料と称して五万円をとっております。それから二年間A子は三島、伊豆長岡、伊東等々を転々といたしまして、再三再四にわたり人工中絶をいたしましてたあげくに、その後の処置が悪かったものか、あるいはたびたびの人工中絶によるものか、非常な貧血に襲われまして、神田の駅前で倒れたのでござます。そのときに、たまたま救急車によって運ばれて、病院に入りましたときに、治療費の問題が浮かび上がってきて、母親が福祉事務所にまいりまして、この治療代を何とかしてもらえないかということで、婦人相談員のところと最初の結びつきができたというわけでございます。  しかし、このケースは、非常にたびたびの中絶によって、女性の器官もすでにめちゃめちゃにこわされておりまして、もう子宮は摘出しなければならないというし、そういうような悲惨な状態になっておりまして、生活保護をかけまして治療を終え、その間に婦人相談員が、婦人の更生寮もあるから、あなたはもうそういうところに行かないで更生したほうがいい、何とでもお手伝いをするから——ということでございましたけれども、その後、からだがなおると同時に、また伊豆のほうに行ってしまいまして、その子は婦人相談員の手から離れてしまったのでございます。  次の事例につきましては、これはやはりヌードスタジオで働いた経験を持つケースでございますが、これは家庭で義兄とあまり仲がよくなくて、家出をしてまいりました。上野で男に、御承知のようにうまいことを言われまして、宿屋に連れ込まれて、そうしてその晩、その男から六十円もらった。たった六十円でその子は、からだをその男に与えてしまったのでございます。この子が転々と転落してまいりますうちに、男のひもがつきまして、男から、熱海に行けばもうかる、パンパン宿があるから、そこに行けというこで、男に連れられて熱海にまいりました。熱海にまいりまして、その男は前借りをしようとして話をしましたが、一見のみ屋風であるので、そのパンパン宿と称する場所から怪しまれて、そこでは断わらております。ところが、次にヌードスタジオにまいりまして、ヌードスタジオで働くような契約ができまして、そこではあっせん料の形で男はお金を受け取っております。スタジオ内での状況は、すでに御承知でございましょうけれども、やはり芸術的な雰囲気は何もなく、全裸の形になりまして、風船を前のところにあてがってポーズをとるというような、まことに私が口にするのも恥ずかしいような、あの状況でございます。そうして箱根等に出張すれば、歩合いがついてお金も非常に多くなり、十万円くらいにもなったそうでございます。そうして、客などにすすめられれば売春もいたしておった。そうこうしておりますうちに、この女にやくざの男との間に情交が結ばれまして、この男にすすめられて、今度はヌードダンサーよりも、もっと収入のよい芸者になったほうがよいと言われまして、芸者になっております。客を世話されたときには、一人一万円で売春をいたしておったということでございます。  それから次に、これはトルコぶろに働いておりました女の子についてお話を申し上げます。この女子も二十才までは普通の家庭の女子といたしまして、家庭から会社に通勤いたしておりましたけれども、これがたまたま病気で会社を休むようになってから、何となく会社を退職してしまいまして、そうして、ある日のこと、新宿の深夜喫茶にまいりまして、そこにたむろしている者から、トルコぶろなら非常にお金になるということを聞かされて、そうしてトルコぶろに行って働くようになったのでございます。トルコぶろは、個室の勤務は客とのじか取引で、その店からは一銭の保証もないのでございます。大衆ぶろのほうは、一日六、七人くらい扱いまして、たいへん重労働ではあるけれども、売春のおそれはなかったようでございます。個室におけるサービス料というものについては、シングルで千円、ダブルで千五百円、売春をすれば四千円から五千円くらいになるということでございます。こうしたサービス料金によるサービスの違いというものは何を意味するものであるのか。そこにおいておのずから売春の要素が含まれていると考え、ざるを得ません。売春は、お客から強要する場合もございますし、また、ミス・トルコから挑発するといったような場合もあるわけでございます。  次に、三人の事例を簡単にお話し申し上げましたが、問題点として考えられますことは、あっせん料と称して五万円受け取り、ほかのスタジオに世話しているということは、人身売買の疑いが濃いのではないかという考えでございます。それから、ひも的存在の男から男へと食いものにされている点でございます。それから、街頭でお客をとればうるさいけれども、トルコぶろならば安心してお客をとれるということを、要保護女子みずからがそう申しております。そうして要保護女子たちは、お金がもうかるから、そこに行きたいのだということを申しますので、指導上まことに私たちは困っております。それから個室は独立しておって、サービス料も直接客から取るということは、売春をしても他人にわからぬようになっている点でございます。それからマッサージを表看板にいたしておりますが、事実上、マッサージの訓練を受けていない者が個室の係りになって売春を行なっているという点でございます。相当高額の収入がありまして、アパートを二軒も建てたという要保護女子もおるのでございます。それからまた、婦人科手術の傷が腹部にあるので採用されなかったという事実もございます。指名等がございまして営業時間は午前三時ごろまででございます。早番と、おそ番がございまして、早番の場合には最終電車に間に合う程度に帰れますけれども、おそ番の場合には午前三時でございますので、家に帰るわけにまいりません。そこは泊まれるように、ふとんも貸してくれるようになっているということでございました。  それから、これは神戸のことでございますけれども、中学の新規卒業者が、新聞の広告を見まして、トルコぶろを普通のおふろと勘違いいたしまして就職してまいったのでございますが、九州からはるばる神戸のトルコぶろに就職してまいりましたけれども、その実情に驚いて婦人相談員のところに相談に来ておるということでございます。  それからもう一つは、地方条例によって規制されることに問題があると思われます。たとえば都条例などにおいて規制されましても、都下には十三の市がございます。市の場合に、そういったものが全面的に行なわれるかどうかということによって、規制のでこぼこが生ずることで、この効果があがらないのではないかと心配されますので、ぜひこの点は、本法において規制されることのできるようにお骨折り願いたいと存じます。  こうした数々の問題点をかかえたまま、野放しの状態におかれております非常な風紀の紊乱は、目に余るものがあり、人づくりを叫ばれているおりから、青少年に与える影響も多く、まことに寒心にたえないのでございます。先ほどの方も申されましたが、環境の浄化という点で、おとながそういうところで、そうした風俗を乱すような行為を続けられているということは、ほんとうに考えなければならないことだと存じます。  本年は、オリンピックの年でもございまして、このオリンピックを当て込んで、かつての業者が九州地方に帰った元の従業婦たちに呼びかけまして、旅費も出そう、宿舎も提供する、もちろん待遇もよくするから、ぜひ上京するようにといって、早くも女の子集めに乗り出しているという状況も報告されてきております。そうしたときに、トルコぶろ等が売春の場に利用されるおそれも十分にあると考えられますので、この際ぜひともトルコぶろ、ヌードスタジオ等についても御審議いただくことをお願い申し上げる次第でございます。この資料は婦人相談員の取り扱いましたケースの中から、ほんの一部を取り出してまいりましたにすぎません。こうしたケースはほかにも多数ございます。  最後に、売春を必要悪だと申すならば、先に述べました彼女たちはまさに必要悪の犠牲者であると申さねばなりません。この大きな犠牲を彼女たちの上に負わしておいてよろしいものかどうか。A子の場合には二十才そこそこで、これから先の長い人生を廃人同様に生きていかねばならぬということを思いますときに、私はまことに哀れを感ずるのでございます。どうぞこうした犠牲者を一人でも少なくするために、諸先生のお力添えを切にお願いいたしまして、私の口述を終わりたいと思います。
  23. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) どうもありがとうございました。参考人の方の意見陳述は、これにて一応全部終了いたしました。  御質疑の方は、順次御発言を願います。
  24. 林虎雄

    ○林虎雄君 堀切公安委員長にお伺いいたしますが、ただいま中村参考人から口述のありましたトルコぶろ、それからヌードスタジオ、これについての公安委員委員長としての御感想といいますか、対策について御意見ございましょうか。
  25. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) お答え申し上げます。いまお話のありましたとおりで、まことに不つごうな存在だと思います。何とかこれを規制することができますれば、非常にけっこうだと思っております。
  26. 林虎雄

    ○林虎雄君 五島先生の御趣旨いかがでございましょうか、いまのヌードスタジオとトルコぶろに対して。
  27. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 私ども、実はトルコぶろ、ヌードスタジオの実情は、まあおぼろげながらうわさ程度には聞いておりましたけれども、ただいま中村参考人からのお話を聞きまして、非常に驚いているわけであります。ただこれも、たとえばトルコぶろにいたしましても、これは千差万別であって、その業者の中には非常に堅実ということばが当たるかどうかは存じませんけれども、少なくとも売春とかそういう行為は、一切やっていない業者の方もあるのではないかと思います。また事実一部にはそういう話も聞きますので、これは一律にどうするということはなかなかむずかしいのではないか。やはりたとえば現行の売春防止法とか、その他私はいまここではちょっとわかりませんけれども、現行の法規で一応取り締まれる範囲内でまずやってみて、そうしてその効果がどうしても壁にぶつかりまして、しかも片方で弊害がどんどん出まして、どうにもならないという状態になりましたならば、そこでやはり新しい何か方法を考えるべきではないか、そのようにまあ考えております。
  28. 林虎雄

    ○林虎雄君 わかりました。  中村参考人にお願いいたしたいと思いますが、この法律は御指摘になりましたように、おおむね地方条例の制定にゆだねてあるわけでございますが、御意見の点は東京都の場合は他の市に及ばないかどうかということでございますか。それとも全国的に見まして、地方条例は非常にまちまちになるおそれがあるので、むしろ法律ではっきり規制したほうがよろしいという意味でございますか。その点いかがでございますか。
  29. 中村聖子

    参考人(中村聖子君) おっしゃいましたように、東京都の場合を例にとりましただけで、全国的にそういうふうにしていただきたいと思います。
  30. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま参考人の方からたいへん詳しく伺いまして、私どもの地方行政委員でこの間、実地視察にまいりましてほんとうに考えさせられましたのですが、中村参考人がお話しになったようなことがあるということを、私ほんとうに直観いたしました。そうした中で、いま一番問題になっておりますのは、地方条例ではまちまちで困るから本法の中に入れてほしいという、こういうお話がございました。そこで、五島参考人に伺いますが、五島参考人がおっしゃいました中に、現状は放置できないたくさんの実情があるので、適切な措置が大事だと、こうおっしゃられたわけですけれども、それについて、いま法との関係を、どのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。もしお考えがございましたらお聞かせください。
  31. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) いまの御質問は、今度の風俗営業の改正との関連でございますか。
  32. 千葉千代世

    千葉千代世君 いまの風俗営業の中の改正には、トルコ等のことには全然触れておりません。中村参考人から、本法にこれからでも直して入れてほしいという御意見があったわけです。あなたの御意見の中には現状は放置できない、適切な処置を考えてほしいということでございましたので、法との関係についてどうしたらいいとお考えになっていらっしゃいますか、御意見ございましたらお聞かせいただきたい。
  33. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 深夜喫茶の問題でございますね。
  34. 千葉千代世

    千葉千代世君 深夜喫茶もそうですし、関連したトルコぶろ等の関係も。
  35. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 深夜喫茶の問題につきましては、私は十八才未満の者を一定の時刻までは入れる——入ることを認めるという点に多少疑点がございまして——と申しますのは、先ほども申し上げましたように、たとえばその一定の時間、この深夜常業をかりに十二時なら十二時で一切あとは営業を認めない、しかし十二時までは入れるという場合に、かりにそれでは十五才あるいは十四才の少女がそういう場所に入っていた場合に、これに対して全然規制できないというように、私今度の法律を解釈しておるのでございます。その点に疑問を持っているというわけでございます。
  36. 千葉千代世

    千葉千代世君 斎藤参考人にお伺いいたしますけれども、喫茶店の許可されたものが大体五千くらいある。そのほかにいわゆる喫茶店の許可をとりながら純喫茶ではなくて、ほかの営業、たとえば音楽喫茶とかいろいろなものをやっているものがかなりあるとおっしゃったわけですが、これを純喫茶の中に入れるか入れないかということをちょっと触れられましたですね。迷惑だと言ったでしょう。いろんないかがわしいようなことは、たいへんまじめにやっている人が迷惑しているとおっしゃいましたのですが、そうすると許可基準というものは非常に安易にできているようにうかがわれますね。
  37. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) そのきらいはありますね。
  38. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、あなた方がまじめにやっているのに、そういういかがわしいのがあるために非常な迷惑をこうむっている。そういうものに対して自分たちはそれと違うのだというのは、法の上で規制したほうがよろしいのでしょうか。それとも、ただこのままで、そういういかがわしいものの自粛を待つだけでよろしいとお考えになっておりますでしょうか。
  39. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) 願わくば法の上で区別していただければ、けっこうだと思います。
  40. 千葉千代世

    千葉千代世君 と言うのは、地方条例やなんかでなくて、法で規制しなければ許可基準は直らないというお考えなんでしょうか。
  41. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) ごもっともです。
  42. 市川房枝

    ○市川房枝君 堀切先生に伺いたいのですが、堀切先生は東京都の公安委員長でおいでになりますが、今度の風俗営業等取締法の一部改正案の中で、政府側は、新聞などで今度は深夜喫茶は禁止されるのだと、こう盛んにおっしゃっておりますが、法案を見まするというと、ひとつも深夜喫茶を禁止するとは書いてない。全部地方条例によって深夜の飲食店営業の場所、時間等々を規制、制限することができると、こうなっておるのです。そこで、この法律がかりに参議院を通り、衆議院を通りまして法律になった場合に、東京においては東京都議会がこの東京都内における深夜喫茶を、場所を指定して禁止するといいますか、そういうことを条例できめていただかないと、実際問題として深夜喫茶はなくならない。そこで先生、東京都の公安委員長として東京都の都議会は、この深夜喫茶についてどんなふうな規制をなさるのか、どの辺を禁止なさるかというようなことについて、何かお聞きになっておりますか、あるいは先生としてはっきりおっしゃりにくいかもしれませんけれども、私どもも、その辺はたいへん心配しているのですが、いかがでしょうか。
  43. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) お答え申し上げます。条例でこの法律に規定してありますようないろいろなことをきめることになりますが、その準備をいま警視庁でやっております。いろいろやってはおりますが、まだむろん法律も通りませんから最終的にはきまりませんですが、この法律が通過いたしますれば、その趣旨に従って条例の案を警視庁で立てまして、都議会のほうに提出していただくような手続をとるつもりでおりますが、その詳細な内容は目下熱心に検討中でありまして、まだ確定的には申し上げられません。
  44. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうすると、公安委員会といいますか、警視庁のほうで条例の案をおつくりになってお出しになる。こういうことでございますね。
  45. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) そうでございます。
  46. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうしますと、東京都の条例の中で、はたして東京都全区域内の深夜喫茶が禁止されるのか、あるいは二十三区内だけの深夜喫茶が禁止されるのか、あるいは二十三区の中でも非常に弊害のはなはだしいといわれる新宿あるいは池袋、渋谷といったような警察署の管内だけが禁止されるのかということが、まだはっきりしないわけでございますね。
  47. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) まだはっきりいたしませんが、大体はやはり二十三区内は規制しなくちゃなるまいというような考えをもって進んでおります。そのほかの地方につきましてはどの市を入れるかというようなことが問題になると思いますが、研究中でございます。
  48. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ二十三区内は大体禁止すると、しかし都内のそのほかの市及び町村はまだ研究中だということでございますが、もし二十三区だけ禁止して、都内の市は許すということになりますと、今度はその市の深夜喫茶店というものは深夜も営業する。そっち側が繁盛するということに当然なると思うのですが、あるいは市も禁止すると、今度は町村のほうへ移動していって、そこがまた繁盛するといういうことになるのですが、そういう点で東京都はかりに今お話しのように少なくとも二十三区だけは禁止するということは、警視庁のほうでおきまりになっておるとしても、私、全国のほかの都市、大都市というか、府県なんかで、そのどこを禁止してくださるのか、結局はその各都道府県の警察といいますか、公安委員会、あるいはその議会——最終的には議会が御決定になるのでございますので、はなはだ心配だといいますか、はたして政府御自身が深夜喫茶の弊害を除去して、青少年の非行化の温床である深夜喫茶を禁止をする、こうおっしゃる趣旨も私は届かないことになるんじゃないか。そこで、さっき中村さんがおっしゃいましたが、これをむしろ、そのものずばりと、深夜喫茶を禁止するということを法の中で規定していただけば安心ができるわけなんですけれども、先生、御意見いかがでございましょうか。
  49. 堀切善次郎

    参考人堀切善次郎君) やはり各地方に、それぞれ実情の違ったところがあると思います。東京都と、いなかのほうの青森県、山形県あたりとは、また非常に事情の違ったところがあると思いますから、この各府県の条例できめるということにも十分な理由があるのじゃないかと思います。東京都につきましては、まだ、いま申し上げましたように研究中でありまして、きまってはおりませんが、二十三区内を規制するといたしましても、そのほかのところは規制しないというわけにもいかないと思いますし、そうかといって、西多摩、南多摩のほうの村までもこれに入れる必要があるかどうかというような点も、十分にこれは研究してみる必要があると思って、慎重に研究している次第であります。
  50. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの、その地方によって事情が違うという御意見、一応ごもっともにも思いますけれども、ただ私ども心配するのは、地方の議会に対しては、いろいろな、いわゆる業者の方たちはもちろん反対でありましょうから、政治的な圧力といいますか、そういうものが相当強く加わるのではないか。したがって、いまほんとうに必要であるところも条例で禁止することが必ずしもできないのじゃないかという心配を実はしている一人でございますが、五島参考人、この問題はいかがお考えか、ちょっと御意見を伺いたいと思います。
  51. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 私も、いま堀切参考人がおっしゃったように、やはり東京の場合でも、これはたとえば二十三区と、それからまあ郡部の市町村、これはやはり実情が非常に違いまして、いまおっしゃったように、たとえば二十三区で禁止しても、そうすれば規制のない郡部の市町村に行くであろうという御心配、私どもまことにもっともだと思いますが、しかしいま、当面打つべき手としては、やはり現に弊害が出ている地域をまずやって、そうして、そのあとで、まあ若干その後の情勢を見まして、またそれが郡部のほうへどんどんとふえていくというような事態になりましたならば——これは必ずしも、なるかならないかはわからないと思いますが、かりになりました場合には、そのときに、また手を打つということでいいのではないかという気がいたします。
  52. 市川房枝

    ○市川房枝君 五島参考人の最初のお話のときに、深夜喫茶を今度一応禁止しますね、そうすると、そういうそこを利用していた暴力団といいますか、チンピラといいますか、そういうのが今度は根城をほかに変えるだろう。そういうことが想像される。一体それはどこへ行くのか、どういうふうにやっていくかということを、幾らか心配されておりますけれども、それはどうお考えになりますか。
  53. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) 私は、先ほどちょっと申し上げましたボーリング場でございますね、ボーリング場といいましても、どうもただボーリングをやるだけの場所というのではなくて、その中にたとえば喫茶店をつくるというようなことになりますと、さしあたり、それの営業時間がかりに夜中の三時というような場合には、そこらあたりがまあ一応考えられる場所ではないかという気がいたします。  それからもう一つ、ちょっと御質問の直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、私、考えが少し違っておりまして、ある現実に弊害が起こっておるある場所を規制して、そこに青少年が行けないようにすれば、今度は何か新しい場所を探していくのではないかという、そういう見方は非常に有力なわけでございますけれども、私は先ほども申し上げましたように、結局青少年のエネルギーというものは、いい方向に向かうか、悪い方向に向かうかという二つの方向がございまして、悪い方向へ向かおうとするエネルギーがありましたならば、一つの場所をつぶしましても何かまた新しい場所に行くであろうということは、当然考えられるのでありますけれども、私はやはり今の青少年が一体何を求めているのであるか。それは国なり社会なり、一般のおとなに対して何を求めているかということを、よくわれわれが反省いたしまして、今の青少年がそのエネルギーを民族なり国の繁栄のために、同時に自分の人格を完成するために——この両方が一つの線に合致いたしまして、そこにもっていって若い人たちがそのエネルギーを一ぱいに発揮できるという方向へあらゆる制度——これは単に風俗営業というような、そういう一部の問題ではなくて、教育問題にいたしましても、あるいは就職の問題にいたしましても、あらゆる制度におきまして、そういう若い人たちのエネルギーを健全な方向に向けていくという、そういう基本線をもう一度よく確認いたしまして、あらゆる面に、これは決して一部の人がいかに努力いたしましても、どうにもなりませんので、あらゆる分野のおとなの人がそういう考え方の基調の上に立って、青少年を指導していく責任があるのではないか。そのように基本的には考えております。
  54. 市川房枝

    ○市川房枝君 いまの五島参考人の御意見、私も非常に同感でございますが、青少年にあまり感心しない、そういう施設を許しておいて、行っちゃいかんなどということは、むごい話なんです。むしろ、そういうところは締めてしまって、そうして青少年を、お話のようなほんとうに本人のためにも、国のためにもなるほうへ向けていくということのために、あらゆる施設なり、いろいろ考えなければならん。私どももそういう考えでおります。さっき五島参考人、ボーリングがたいへん心配だとおっしゃっておりましたが、私どもボーリングを見に行ったり、あるいはいろいろな陳情を伺ったりして、どうしたって、あれは健全なスポーツなんかとは言えないのであって、取り締まりがぜひ必要だと思うのですが、あれを風俗営業に入れるのはちょっと筋が違っているのではないか。やはり別個にボーリングを一つの健全なスポーツならスポーツとするような法律的な規制が必要ではないか。それには日本のボーリングは高過ぎて子供たちにはとても行かれない。そういうことによって、かえって悪の道を行くことにもなるので、値段の規制あるいは時間の規制等も加えた別個の法律が必要ではないかと思うのですが、いかがですか。
  55. 五島貞次

    参考人(五島貞次君) ちょっと私、お答えする自信はないのですけれども、実はきょう私、警視庁のある方から伺ったんですが、以前は大体夜明けの三時まで——東京都内に十何カ所でございますが、三時まで営業をやっておられた。しかも、そこの入場者の三割が未成年者であるということで、警察でも、これはやはり放置できないということで、一応協力を要請されたということです。その結果、日曜と、祭日の前日でございますね、前日だけを三時までにして、あとは十二時ということにされているということでございますが、何か一カ所か二カ所まだやはりずっと三時までやっておられるというお話ですが、私は、やはりこれも、いかにボーリングがおもしろいかにたしましても、夜中の三時までそういう営業があっていいのかどうかという点に非常に疑問を持っているわけです。したがいまして、さしあたりは、時間的にこれはもう、いますぐこれを法律で規制するというところまでいかなくても、やはり行政的な指導によって、これは業者の方とのいろいろ話し合いもありましょうし、そういう指導的な面で、この時間をもう少し上へ繰り上げ、同時に未成年者がそういう場所に一定の時間——たとえばこれは何時がよろしいでしょうか、ちょっといますぐお答えできませんけれども、たとえば十一時とか十時とか、いろいろ時間はありましょうけれども、未成年者の入場を時間的に規制するという、そういう漸進的なやり方で一応成果をみた上で、しかもそれでまだどうにもならないという場合には、やはり新しい方法を考えるべきではないか、まあそういうふうに考えております。
  56. 市川房枝

    ○市川房枝君 喫茶業の連合会の会長さんにちょっと伺います。さっきお話のあった、望ましからざる喫茶店の経営者といいますか、そういう人たちの組合というものはございますか。
  57. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) それは大体外国人がまあ多いようでございまして、そういうものはどうしても規模が大きい。総合的あるいは法人的といいますか、そういう同士的の結合があるようでございます。ただ私たちのような、こういうふうな団体はないと思います。ですから、みんなばらばらでございます。これは、えてして、もとキャバレーを経営したとか、そういうふうななまめかしいほうの経営者がいろいろ法的な穴を考えて寄ってくるといいますか、営業をしているという方が大多数のように思われます。もとからそういう正当な、純真な考え方で経営している方とはちょっと違います。そういう意味で業者でも、なかなかそういう人たちは入れたくないという考えをこっちでもみんな持っております。ですから、この環境衛生同業組合の法律が国会を通過したときに、国会はそういう業者も入れなくちゃならないのじゃないかという常識論も一応伺われましたが、まずその手前に、和が保てないということと、営業を指導していけないということで一応そういう常識的な営業を営めないことがわかっておりますので、われわれの組合では、入れることよりも呼びかけることをちゅうちょし、また暗黙裏に入れないという、組合の各支部支部であれはまずいからというので、理事会にかけますと大体そういう人たちは落ちてしまう。向こうも、しいて入れてくれとは言わないということで今日に及んでおりますが、最近池袋、新宿では、どうかこちらへ入れていただきたい、そういう組合が池袋で組合をつくりつつあります。これを池袋の私のほうでやはり警視庁本庁にお願いして、これを私のほうの、正しい組合と一緒にしては困る——また正しい組合をそれに引きずり込むような運動まで池袋ではしております。そうすれば自分たちがカムフラージュできるという考え方を持っているようです。これに私、支部から質問がございましたので、一応その人たちのところに参りまして、こっちの組合はこうだということを話しましたら、よく納得したようですが、そのすぐ直後私と話し合いがついたというようなことを活版で刷りまして、いかにも団体に入れるようなことに地方には配布したようで、非常に私も残念に思っております。ただ私は人となりと営業なりを説明しまして、こちらの組合はほんとうの正しい組合だ、それがこっちのモットーであるから、いかがわしい考えではとうていだめだということをお説きに参った、そういう実情です。ですから、一、二こういう規制を警察庁でやるということが耳に入っているから、うろうろ動き出して結成して入れるようにしたい、私のほうでこういう問題に対する協議会を開きますと、それが組合に連れてこられて、まじって入ってくるというような傾向に今なっております。これがいわゆる悪の温床と私たち組合員自体も認めております。こういうことは、これは同伴席だとか——私もそういうことは知らなくて、業者に引っ張られて新宿を視察しましたところが、なるほど同伴席を設けてありました。そういうのは私らの業界とは全然相反しておりますし、もともと性格的に違う業種が考えて営業しておるのであります。そのためにどうしても一緒にはなれない。これをいろいろ警視庁の志村保安課長から、入れて指導したらどうかというおことばがありまして、入れてくれと言われたときには、法律では入れなければならないじゃないか、環境衛生組合は一都道府県に一つしかできないから、こういう考え方から、許可したならば入れなくてはならないかなと——ただし業態、営業の性質が違うのです。私のほうは喫茶店でもコーヒー、パン、ケーキ、もち菓子を売るのが主体であって、今日では婦女子をなるたけ使わないような傾向に持っていっております。婦女子はなかなか高くて使いきれないので、だんだん男のほうに従業員を移しつつありますが、そういう意味で、そういういかがわしい考え方の業種とはなかなか相反して、考え方が一致しないので、一応入れないとは言わないが、各支部がなかなか和合しませんので、支部の理事会を通過しないのが多いのです。たまたまそっちのほうの業種が私のほうの組合員をそそのかして、こっちにも入れといって、最近ではそういう団体を——これはやってもできないと思いますが、そういう動きはあります。知らないから、まあ顔を持ってこられたから入ったが、これはしようがないのだ、義理で入っただけだというのが、まあ全支部で十名程度、この間支部から申告がございました。これも早晩抜けなくちゃいけないというふうに持っていっております。
  58. 市川房枝

    ○市川房枝君 まあ今度のこの法律が通りまして、そうして条例ができると、いわゆる深夜喫茶は、少なくとも二十三区では、さきの公安委員長のお話のように十一時以後禁止されるということになるわけです。いまの望ましからざる喫茶店といいますか、いわゆる同伴席などを置いているようなのは、深夜はないけれども、今度は十一時までならかまわない、相変わらずやはり暗い同伴席というものを設けて営業を継続していくということにおいては、やはり青少年に与える悪影響というものは続いていくわけですね。
  59. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) それは、そういう方たちは何か法の盲点々々を突いていくということをずっと続けてきておりますから、私は何か考え出すと思います。こういう方たちは数でいいますと大差はないのですが、規模が大きいのでございまして、非常に世の中の世論から目ざとく感じられます。ですから、組合などに入って経営の研究をしようとか、商法の研究をしようとか、資金のあっせんを願おうとかいう考えは持っておりません。一人で三種の人間の結合であるから——そして経営の盲点をついていく業者だ、これは私たち業者とキャバレー、バー、この間を縫って歩いている業者だと思います。これはどちらにも所属しない業者だと思います。しいて言うならば、キャバレーから変じてきたと言っても過言ではないという気がいたします。
  60. 市川房枝

    ○市川房枝君 キャバレーなんかでしたら、これは風俗営業として警察の取り締まりのもとにあるわけですけれども、しかしキャバレーではない、やはり喫茶店ということであれば、所管は保健所ですね。保健所の監督を受けるわけなんで、あなた方ももちろん保健所のわけですけれども、そういう喫茶店もやはり保健所でございましょうね。
  61. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) ごもっともでございます。喫茶という営業は簡単で届出制度で済んでおりますから、そういう法の盲点を考えることに妙を得ている連中ですから、キャバレー、バーがひまになってくれば喫茶店に切りかえて、そして法に穴があるところをねらって、喫茶店のようにカムフラージュしながら、その実はキャバレー類似の営業をしているというような結果になります。ですから、どこまでも女というなまめかしいところに盲点がいっていると思います。ですから、コーヒーでも高うございまして、私らの考えでは想像もつかない百五十円、二百円の高いコーヒーをあえて売っても差しつかえないし、またコーヒーを飲みに行くお客を引っ張ろうという考えの——お客をお客とは考えておりません。いわばほかのほうヘポイントがいって、ただコーヒーはつけ足しでありますから、われわれ業者では受け入れられないということでございます。
  62. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっきお話しのように、環境衛生法によれば、やはりアウトサイダーをあまり認めない、やはり一つの組合をつくらなければなりませんね。ところが、いま、それは望ましくないから入れたくもないしという御意見ですが、しかし監督者のほうからいえば、法に従ってやはり入れなくちゃならぬというわけですね。それはまあ保健所といいますか、厚生省関係のほうも、あなた方のそういうやり方に対しては別に異議は言っていないのですか。これは認めておりますか。
  63. 斎藤頴夫

    参考人(斎藤頴夫君) それは厚生省並びに、東京都でいいますと衛生局あたりでも、何か問題が起きたときに困るから、環境衛生法は法文で一カ所一団体しか認めていないから、なるべく入れるようにしていただきたいという申し出はございます。しかし、実際において、環境衛生法では御承知のとおり調理士——日本の料飲業界で私たちの団体だけがこの法に基づいて調理士の試験をし、その資格を持っている、こういうのは私たちの団体一つしかありません。あとは全部、ほかの業種はそういう資格を持っておりません。そういう意味で、キャバレーのほうからなど流れてくるもの、こういうのは厚生省の方にもアウトサイドです。ですから、どうしても性格的にお金をもうけるのに手段を選ばないという人間が多いのです。ですから、われわれの組合では、法律はそういう一本になってはいるけれども、どうしても入れていくということが各支部で摩擦の種になりますし、たとえば従業員を引き抜くなんということは平気でやりますし、たとえばそういうふうにものを売って利潤をもうけるというよりも、何か盲点で金をもうけるというほうが重点であるために、喫茶店というのは看板だけでして、内容は全然違うのです、考え方が。ですから、厚生省の局長が幾ら申されても、なかなかわれわれ業者がそれを受け入れられないという立場になっていますが、こういう問題が起きてきたために、いつでも正しい業者が汚名をかぶって、ああいう寄生虫的存在の業者のために——もうそういう連中はいまからもう次の法の盲点を研究しております。たとえば、それならば主食を売る何かをしようじゃないか、主食を売るならば喫茶店の何からのがれる、喫茶店がやかましくなれば、今度は主食のほうの何かをやろうというので、もうすでに主食をどういう方向で売るかということを考えております。そういうふうで、すでに、こっちがやかましくなればそっちへ行くという、こういうのが数千軒東京都内にあります。これがいま一番われわれ業者も困っていますし、その汚名をわれわれ業者がいましょって立っているわけです。まあ隣にいらっしゃる毎日新聞の方も、まだ研究が少し足りないようでございます、業界の研究が。ですから、この点もまあ少し研究していただきたい。この点を何らかの方法と申しましても、どうもあれはくさいじゃないか——私の支部では淀橋支部、あそこが一番難点でございますが、約二百軒の支部員がございます。二百軒の支部員が、もう最近ではかたきのような立場になることが往々にして起きるのです。というのは、この深夜喫茶で、一応町会としてはつき合いがあるが、業界としてはつき合いがない。あいつは少しコウモリ的な営業をしているから、あれは入れてはいけない。こうなってきますと、どうも私のほうの組合に入って運動もしてみたいというふうで、私は今日この問題が起きましても、正式に運動を開始するということは、いままで押えておったのです、絶対いかんと。正しいわれわれの営業が青少年育成のためにどういうふうに法文化されようとも当然で、それは甘んじて受けるべきだという考え方から、いろいろやはり警視庁、公安委員会から漏れ承ると、今回の法令で、都条例は徹底的にやかましくなる、けっこうな話であるという考え方で来ましたが、ここまでまいりますと、世論に対して——このいかがわしい営業者のために、われわれ正しい業者が深夜喫茶である、その深夜喫茶というものも、十一時までを大体昼の営業時間とみなす、あとの一時間で、十二時に締まっても深夜喫茶の仲間に入るのであります。これは非常に遺憾に思っております。ですから深夜喫茶のほうは、それから先まだ続けますが、そのあとの一時間、十二時まで営業しても深夜喫茶に包含されるということが、大多数の業者の頭痛の種になっております。ですから、そういういかがわしい業者は何業であるか、いまのところどこへ所属するか、組合がないのであります。
  64. 市川房枝

    ○市川房枝君 ありがとうございました。増谷さんにちょっと一つだけ伺います。中央青少年問題協議会で、ボーリングが問題になったことがございますか。あるいは、なったとしたらどんなふうな問題のなり方でございますか。
  65. 増谷達之輔

    参考人増谷達之輔君) ボーリングの問題は、特に取り上げられたことはございません。ただ私ども個人といたしまして、市川先生たしかあそこの探訪記を御発表になっております。あれを拝見したところによると、決して青少年にとっては健全な場所ではない。あそこに行くために相当な経費を使う、その経費が不足すれば、窃盗もやる、強盗もやる、自動車強盗もやるというような、そういうあぶない場所だということは、私ども考えておりまして、何かそれに対して、ボーリングというのは本来非常に健康な運動だと私は思っておるのでございます。ですから、あれをどこまでもスポーツ場としてやっていくように行政指導なり、あるいは規定を設けるなりというようにしていただければいいと思いますけれども、先ほど申しましたように深夜喫茶から——とにかく風俗営業から十八歳未満の青少年は全部締め出されるということになりますというと、案外そういうものの中からボーリングに入り込んで、そうしてそこの喫茶店にたむろして、何かたくらむというような危険があるのではないかということは考えております。中青協としては、特にそれが取り上げられて議題になったというようには私記憶しておりません。
  66. 市川房枝

    ○市川房枝君 さっき五島参考人から、ボーリングが問題になっているというお話がありましたが、私はボーリングがやはりいま非常に問題だと思っているのです。それでこれはすばらしい勢いで伸びて、ふえているのです。しかも大資本、何億円という大資本でこれが伸びています。そして値段は非常に高いんです。きょうもあるところでお聞きしましたら、ボーリングの国産品が今度できるようになって、そうすると一レーンが外国から買うと五百五十万円ぐらいだけれども百万円ぐらい安くできる、そして外貨も要らないし、アフターサービスもできるし、どんどんそういうのがふえるだろうと言うのです。そうすると、国産品でそれだけ安くできれば、ゲームも少し安くなっていいわけですねと言いましたら、その一ゲーム二百五十円ということはあれは一つの協定であって、それは下げられない、まあ、お昼間の学生たちなんかであれば幾らか割引をして、そこで値がくずれてくるんだけれども、これは下げないと言います。それで、やはり資本は三年で減価償却できるのだ、こうおっしゃる。それから税金は、あれは入場料というのは取っていないわけですね。それで一レーンについて、月に税金が二万円だと、こう言うのですけれども、一体入場料を全然取らないといいますか、そういうところにも問題があると思うのです。それからいま行政指導をしているのですけれども、この行政指導というのは、法律がないから、行政指導よりほかにしょうがないわけです。これは私ども見に行ったところでは、それは午前三時までやっているのであって、しかもボーリング場の三時とか十二時とかいうのは、あやしいもので、受付を三時まで、あと入ったら朝まで、やるわけなんで、時間の規定なんというのは、私、やはりちょっと簡単には安心できないし、やはりまあ法の規制が必要だと思う。まあ、様子を見ていてと、こう警察当局はおっしゃっておりますけれども、さて、いつまで様子をごらんになりますか、やはり先の見通しもつけて、これが青少年のために非常によくないということであれば、できるだけ早く私はやはり手をつけて、そうして被害を少なくするということが必要じゃないかと思います。中央青少年問題協議会は政府の機関で、有力な方たちがメンバーにおなりになっていますし、私は、あそこでまだこれが問題になっていないというのは、少しふしぎに思うのです。ぜひひとつ、これは問題にして取り上げていただいて、そうして何らかこの問題について手を打つようにといいますか、ひとつ、お骨折りを願いたいと、私はお願い申し上げておきます。
  67. 増谷達之輔

    参考人増谷達之輔君) いまの市川先生のお話、私、中央青少年問題協議会の委員会が開かれましたときに、そのとおりお伝えしたいと思います。
  68. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに、参考人の方に対する御質疑はございませんか。   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) それでは、これにて終了いたしたいと存じます。  参考人の方に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたりりまして、きわめて貴重な御意見を詳細にお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会の審査のためにきわめて有益な御意見を伺いましたことを、心から厚く御礼を申し上げる次第であります。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十四分散会      —————・—————