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政府委員(江口俊男君)
風俗営業等取締法の一部を
改正する
法律案の内容につきまして、逐条御説明申し上げます。
第一は、風俗営業の
範囲を明確にするための
改正でございます。
第一条におきましては、風俗営業の定義を定めているのでありますが、同条第一号及び第二号におきましては、客席で客の接待をして客に飲食をさせることを風俗営業の要件といたしておりますため、たとえば、カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせているバーなどにつきましては、地域によって、その取り扱いが区々になっておりますので、この際カウンター越しに客の接待をして客に飲食をさせている営業も風俗営業に該当するものであることを明確にし、その取り扱いの斉一を期するため、第一号においては「客席で」を削り、第二号においては、客に飲食をさせる風俗営業についての用語を統一するため、「客席で」を「設備を設けて」に改めることといたした次第であります。
第二は、遊技場営業の許可の更新期間を延長することについての
改正であります。
第二条第三項におきましては、パチンコ屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては一月ごとに、その他の営業については三月ごとに許可の更新を受けなければ、その効果を失う旨を定めているのであります。この更新は、同条第四項において、公安
委員会は、更新を求めた者に滞納にかる娯楽施設利用税があるときは、原則として、その許可を更新しないものとしていることでもわかりますように、もっぱら徴税の
確保を目的としたものでありますが、遊技場営業の変動が特に激しかったころであれば格別、最近では、これらの営業も比較的安定してまいりまして、徴税上も支障がないということでございますので、営業者の利便と許可事務の合理化をはかるため、パチコン屋その他これに類する営業で都道府県が条例で指定するものについては三カ月、その他の営業については六カ月それぞれ許可の更新期間を延長することといたしたのであります。
第三は、都道府県が、条例により風俗営業に対し制限を定めることができる
範囲を明確にするための
改正であります。
第三条におきましては、都道府県は条例により風俗営業における営業の場所、営業時間及び営業所の構造設備等について、必要な制限を定めることができる旨を定めているのでありますが、本条におきましては営業を営もうとする者の資格及び営業を営む者の行為について制限を定めることができるかどうかについて、法文上明らかにされておりませんので、この際、本条に営業を営もうとする者の資格及び営業を営む者の行為を明記することといたしたのであります。
第四は、風俗営業者に対する営業停止の処分の長期を定めることについての
改正であります。
第四条におきましては、公安
委員会は、風俗営業者に対し、風俗営業の許可の取り消し、営業停止等の処分をすることができる旨を定めているのでありますが、営業を停止できる期間については定めがありませんので、今回、営業を停止できる期間を六カ月をこえない
範囲に限ることといたしたのであります。
第五は、風俗営業者に対して風俗営業の許可の取り消し、もしくは営業の停止を命じたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営んだときは、公安
委員会は当該違反行為にかかる飲食店営業につきましても、営業の停止を命ずることができるものとすることについての
改正であります。
客に飲食をさせる風俗営業と食品衛生法にいう飲食店営業との差異はきわめて微妙であり、外見上ほとんど区別しがたいものが少なくないという実情にありますため、飲食店営業の名において、許可を受けない風俗営業を営んでいる者や、風俗営業の許可を取り消された者等で、なお、依然として飲食店営業の名のもとに風俗営業と同じ形態の営業を継続している者が増加しつつあるのが、最近の実状であります。もし、このような状態を放置いたしますならば、本法が風俗営業を許可にかからしめておりますことも、風俗営業に対して営業の許可の取り消し、または営業の停止の処分をすることができるとしておりますることも、事実上その効果の大半が失われることになるのであります。
したがいまして、本法の風俗営業等に対する規制の目的を達成いたしますために、第四条に第二項及び第三項を設けまして、風俗営業者に対し、営業の許可の取り消しもしくは営業の停止の処分をしたとき、または飲食店営業者が無許可で風俗営業を営みましたときは、公安
委員会は、当該違反をした者が当該施設を用いて営む飲食店営業につきましても、風俗営業に対して営業停止を命じたときはその期間、その他の場合は六カ月をこえない
範囲内で飲食店営業の停止を命ずることができることといたしたのであります。
第六は、設備を設けて客に飲食をさせる営業に対する規制の
範囲を明確にするための
改正でございます。
現在、深夜喫茶等に対する規制の根拠となっている第四条の二第一項におきましては、都道府県は条例により、客席を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における業態について必要な制限を定めることができる旨を定めておりますが、ここにいう業態の意義について明確を欠いておりまするため、
現実には、営業の手段、
方法として行なわれる行為及びこれに付随して行なわれる行為について規制されているにすぎないのが実情でございます。そこで、この種営業に対しましては、営業の場所、営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備について必要な制限を定めることができることといたしたのであります。
この
改正は、深夜喫茶等が風俗事犯の温床になっており、特に少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場になっている実情にかんがみまして、これらの営業に対して必要な規制を行なうことができることとするために行なうものでございます。
この
改正によりまして、たとえば、都道府県が条例によって、深夜において喫茶店を営んではならない場所を定めますと、そこにおきましては、いわゆる深夜喫茶はなくなることになるわけでございます。
第七は、設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における法令違反に対する行政処分についての
改正でございます。
第四条第二項におきましては、いわゆる喫茶店等を営む者が深夜における当該営業に関し、深夜において、法令または第四条の二第一項に基づく都道府県の条例に違反する行為をしたときは、当該営業を営む者が、当該施設を用いて営む深夜における喫茶店等の営業の停止を命ずることができるとしているのでありますが、この種の営業の深夜における法令違反等の行為は、業の
一体性にかんがみ、深夜以外の部分におきましても善良の風俗を害するおそれがありまするので、このような場合には六カ月をこえない
範囲内で、当該施設を用いて悩む飲食店営業を停止することができることといたしております。
第八は、年少者に関する禁止行為を定めることについての
改正であります。
最近、風俗営業やいわゆる深夜喫茶等が、少年の非行を誘発し、非行少年のたまり場となっているような事例が増加の傾向にありますので、新たに第四条の三を設け、風俗営業者に対しまして、営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせ、または客の相手となってダンスをさせること、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること、営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、また、設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者に対して、都道府県が条例で定めた場合を除き、深夜の営業において、十八歳未満の者を客に接する
業務に従事させ、もしくは十八歳米満の者を営業所に客として立ち入らせること、または営業所で二十歳未満の客に酒類を提供することを、それぞれ禁止することといたしたのであります。
第九は、罰則規定を整備することについての
改正であります。
設備を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における順守事項違反に対しましては、罰則規定を欠いておりますため、これに対し有効な取り締まりを加えることが困難な実情にありますので、新たに設けられた年少者に関する禁止行為違反とともにこれを罰則規定にかからしめることといたしております。
なお、年少者に関する禁止行為違反のうち、風俗営業者が十八歳未満の者に客の接待をさせ、もしくは客の相手となってダンスをさせたとき、または設備を設けて客に飲食をさせる営業を営む者が、深夜において、十八歳未満の者を客に接する
業務に従事させたときは、これらの違反行為の特質にかんがみ、過失による行為をも処罰の
対象にすることといたしております。
以上今回の
改正案について、その内容を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。