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説明員(高橋幹夫君) お手元に差し上げてございます「オリンピック
東京大会時における警察活動の概要」という資料に基づきまして、概略御
説明申し上げたいと存じます。
もうすでに選手村等あるいは聖火リレー等が始まっておりますので、それらの問題につきましては、具体的な結果等について織りまぜて御
説明申し上げたいと存じます。
警察活動の基本的な問題といたしましては、このオリンピックの行事に伴う警察活動と、オリンピック行事のために警察力がこれらのほうに集中されるために生ずるであろうと思われる
一般治安維持のための警察活動をさらに充実しなければならない、こういうような意味におきまして、オリンピック行事に伴う警察活動と
一般治安維持のための警察活動、こう二つに分けて私
ども重点を指向している次第でございます。
なお、警察活動の体制と基本方針は、もうすでに御
承知のことと思いますが、警視庁はじめ神奈川、埼玉、長野、千葉、こういうところがそれぞれ会場を持っておりますところの警察でございます。さらに聖火リレーにつきましては、それぞれの全都道
府県がこれに
関係するわけでございます。大体警視庁におきましては延べ十七万二千人、さらに他
府県からの応援というのは管区学校に千名の警察官がございますので、これを毎日応援を求めまして延べ三万一千、あるいは先ほど申し上げました
一般治安維持のために九万七千という警察官を動員をいたしまして、できるだけこの期間中は警察官の勤務体制も強化いたしまして、充実をした体制をしきたい。すでに警視庁におきましては最高警備本部を設けられまして総監が陣頭に立って指揮をされておる、こういう
状況でございます。
オリンピック大会に伴う問題につきましては、自衛隊、消防その他オリンピック組織
委員会と緊密な連絡をとりまして警察の担当いたしますところの仕事をやるわけでございます。
一つは交通規制の問題でございます。
一つは雑踏整理の問題でございます。
一つは天皇・皇后両陛下あるいは皇太子・同妃両殿下、皇族あるいは外国の元首、これらの方々の内外の要人に対する警衛・警護、その身辺の安全を確保する、こういう問題がございます。
さらにオリンピックの選手及び役員の生命、身体、財産の保護に当たる、これらが警察活動の体制と基本方針でございます。
一般治安維持のためには、オリンピック
東京大会時に発生が予想される犯罪、いろいろなことがございますが、すり犯の防止であるとか、あるいは風俗犯罪であるとか、あるいはその他の暴力事犯等につきまして、来日される外国人あるいは国民の安全と平穏をはかるために充実をした方策をとりたい、こう考えておるわけであります。
特に問題になりますのは交通規制問題でございますが、これは一番問題になりますのは十月十日の
開会式でございますが、この日はオリンピックのための特別の交通事情が、われわれは約九千台くらいの車がふえるであろう、それからこれらの行事を見るために来られる国立競技場に入る者あるいは外でこれらを見るというような者、まあ十数万さらに多くなる見込みでございます。これらの中でトーチ・リレーが行なわれ、あるいは、天皇・皇后両陛下、外国の元首、内外の要人、選手の入場、こういうものが行なわれますので、
開会式当日とそれから閉会式の当日、これらについては十分な警察力と交通規制を徹底いたしまして万全を期したい。特にこの機会におきましては、明治パークを周辺とするところの内周遮断線と、ある一定の地域を結びますところの外周制限線というものを設けまして、一定の車両の通行を禁止をする、こういうような
措置をとつております。これらの交通制限は
開会式、閉会式あるいはマラソンのある日、あるいはその他の路上競技のある日に重点を指向いたしまして厳重な交通規制をいたしますが、その他は、そのときどきの
状況に応じました適切な交通規制をはかりまして、大会運営のための車両とそれから
一般国民のための車両の円滑な運営をはかるということに重点を置いていきたいと、こういうふうに考えております。特にマラソンの問題につきましては、すでに御
承知のとおり、朝日、毎日マラソンにおいて三十万から五十万の人が出ましたが、これは無料の観覧ができる
関係で、おそらく百万出るであろう、現在の聖火リレーの
状況から申しますと百万をこすのではないだろうか、こういう想定に立っておりますが、これらにつきましては、すでに過去に二回にわたる経験を持っておりますので、十分な体制をしいてやっていきたい。このときには甲州街道及びその周辺道路の交通につきましては相当の厳重な交通規制がしかれる、特に甲州街道は一定の時間車町の通行どめをいたす、こういうことにいたしております。あるいは五十キロ競歩とか自転車ロードレース、これらにつきましてもこれに準じた取り扱いをいたす、その他につきましては明治公園あるいは
東京体育館あるいは駒沢とか、その他各競技場につきましてそれぞれの環境に応じたところの交通規制、雑踏整理の方策を講じたい。特にこれらの問題でいろいろ問題がありますのは、審判の判定等をめぐって紛争が発生するおそれもあるということで、これらの紛争の処理につきましては、組織
委員会なりあるいは大会を運営される競技
団体なりとの間に十分な打ち合わせをいたしまして、なるべく警察力等を出してこれを処理するということは最後の手段にしていきたい、できるだけ大会運営者の間でこれらの紛争事案を処理いたしますが、必要に応じては組織
委員会等の要請に応じまして警察力を出して
所要の
措置を講ずる、あるいはこの期間中に災害とか天候異変その他の問題が起きましたときには、自衛隊等と緊密な連絡をとりまして、そういう災害対策も用意いたしておる次第でございます。
聖火リレーも七日に四コースから入ってまいりますが、これは御
承知のとおり各県でやや警察の不手ぎわで、いろんな問題が起こっておりますが、それほど重大な問題でもございません。しかし、中にけが人等も出ておりますし、交通事故等も一、二出ておりますが、それらの点を除きまして非常に人が多く出たということでございます。
東京においては相当の人が出るであろうということで、私
ども十分な体制をしきまして、いま警視庁を中心にして綿密な最終的な警備体制をとっておるわけでございます。
選手村には約七千人、これはその後の報道によりますと相当ふえるという予定でございますが、男六千三百、女子七百、こういう予定でございますが、それらにつきましては、現在のところ特別の支障はございません。女子村につきましては、婦人警察官等を配置いたしまして選手、役員の保護に任ずる、村内については自衛隊が担当いたしまして、村内を警察によってパトロールその他の犯罪防止に当たる、こういうことにいたしております。分村等も設けられておりますが、これらについても特に問題はございません。
あとは選手の輸送の問題、これはやはり練習に行くための選手の時間の
関係もありますし、いまの
東京の交通事情等から見て、選手輸送につきましては、自衛隊の輸送の部隊と協力いたしまして白バイ、パトカーをつけてできるだけやる。問題は練習時の問題でございますが、現在すでにいろいろ問題ございますが、まあいろいろな点で
一般車両に迷惑をかけておりますが、いろいろとPRをいたしまして、できるだけ制限を甘受していただきまして、国際的な競技でございますので、マラソン、競歩、自転車のいわゆる練習時の路上における交通制限等の
措置をとっておりますが、たまたま、これは路上ではございませんが、タイ国の選手が自転車競技場内で衝突をいたしまして一人重傷を負った、その他の点については、現在問題ございません。
なお、交通情報センター等の機能も増大いたしまして、できるだけ都内の
一般交通の円滑化をはかるということを考えております。
なお、通訳等の問題につきましては、警視庁の、現在の市ケ谷に通訳センターを設けまして、ここに通訳の要員をそろえまして、また、
一般警察官の中で語学のできる者をできるだけ派出所等に配置をいたしまして、問題の起きたときには、その派出所から通訳センターに一一〇番に類似した方法で電話をかけさせるというようなことで、現在まで相当いろいろな問題を処理いたしております。さらに
全国から各国語のできる警察官をできるだけこの通訳センターに応援をさせまして、そういう点の運営をはかっておるわけでございます。
なお、通訳専用のパトロールカー等を数台用意いたしまして都内を回る、こういうこともやっております。
羽田空港、横浜港等においても、いろいろ選手等の入国等につきましては、
関係方面と協力をいたしまして、雑踏によるところの被害あるいはその他の危険の防止という点について努力をいたしておりますので、現在まで入国された選手や役員等について特別の問題はございません。いろいろ問題になっておりますインドネシア選手の問題も、
新聞等で報道されましたように、選手村には直接入られないで、学生会館に入っておられる、こういうようなことで、これらの点については組織
委員会が中心になってやっておりますので、警察としては特別な
措置をとっておるわけではございません。
外国人の運転者対策ですが、これは先般の道交法の改正で、いわゆる国際免許が通りましたので、具体的にどういうふうになっておるか、まだ詳細私は
承知いたしておりませんが、だんだんとこれらの者に対しても出ると思っております。
その他
一般治安維持のために、先ほど申し上げましたように、各種の犯罪予防、このために列車警乗をやる、あるいはホテル、旅館等に対する防犯
指導をやる等、あるいは環境の浄化のために風俗営業の取り締まり、売春の取り締まり、あるいは浮浪者、泥酔者、精神錯乱者に対する防犯対策をやる。あるいは防犯モデル地区をつくって、選手、役員等がこれらの地区で飲食あるいは買いものをした際に暴利をむさぼられたり、あるいはその他トラブルの起きないように、できるだけ
関係団体を
指導いたしまして、それらの点について努力をいたしております。
暴力犯罪の取り締まり等についても、すでに数回にわたりまして、いろいろ取り締まりをやっておるわけでございます。
すり犯につきましても、大体
全国に二千五百から三千人ぐらいのすりがおりますが、これらのすりについても、もうすでにいろいろと取り締まりをやりまして、これらについても対策を講じておるわけでございます。あるいは不良外国人善良な方々ばかりではありませんので——不良外国人に対する犯罪の防止と取り締まりというような問題、あるいは民族、宗教、風俗を異にする外国人同士の問題、選手、役員等の問題あるいは日本人がこれらの外国人に対して宗教的な慣習、民族的な慣習等について理解が足りないというようなことから、いろいろなトラブルが発生することもおもんぱかりまして、それらの点についての処置を十分にいたしたい、こう考えております。
さらに
一般交通の問題としては、白タクの取り締まりとか、あるいは乗車拒否その他の点についても十分努力をいたしてまいりたい。
最後に、要人等の警護につきましては、警護センターを設けまして、
所要のボデイ・ガード四百五十人の要員を養成いたしまして、これらをいつでもそれぞれの必要な向きにつけられるという体制をとっております。
さらに問題は、これは出入国管理局の問題でございますが、亡命等の取り扱いについては、十分
関係省庁との連絡を密にして、もしも警察が直面した場合におけるその
措置等について、十分なやり方というものについてできるだけの
措置を講じたい、こう考えております。
以上が、現在われわれが方針なり体制としてやっております概要でございますが、いまのところ聖火リレー等について事故が二、三起こったということ、それから問題は新興国問題について、組織
委員会等を中心にして今後どうなるかということに関連しての問題、それらの以外の問題につきましては、警察上の保安、交通、警備等の問題については、十月十日以後の本番に直面して、いかなる事態が出るかということが問題かと思いますが、それらの点については、基本的な方針を堅持しまして、それぞれの事象に応じた適切な
措置のとれるように努力をして万全の
措置を講じて、大会が無事終わるように、私
どもせっかくの努力をいたしたいと、こう考えておる次第でございます。
以上であります。