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1964-08-01 第46回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月一日(土曜日)    午前十時二十一分開会     —————————————  出席者は左のとおり。   委員長      高野 一夫君   理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            松本 賢一君   委員            小林 武治君            竹中 恒夫君            館  哲二君            千葉千代世君            林  虎雄君            松澤 兼人君            光村 甚助君            辻  武寿君            基  政七君            市川 房枝君   国務大臣    自 治 大 臣 吉武 恵市君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   説明員    自治政務次官  高橋 禎一君    消防庁長官   松村 清之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査山陰  地方等における豪雨災害に関する  件)     —————————————
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。  吉武自治大臣並びに高橋政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
  3. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) 私は、このたびの内閣改造に際しまして、はからずも自治大臣国家公安委員会委員長に就任いたしました。微力のものでございますが、一生懸命で努力するつもりでございますので、よろしくお願いを申し上げます。  地方自治治安の問題につきまして、日ごろ御尽瘁をいただいております委員各位に対しまして、今後格別の御指導と御協力を賜わりますようお願いをする次第でございます。  この機会に、地方自治治安行政の当面の問題につきまして所懐一端を申し述べたいと存じます。  まず、地方行政につきましては、社会経済発展に伴い、広域的処理を必要とする行政事務がますます増大してきております。これに対処するため、特に府県の問題を中心として合併あるいは連合等の諸案が論議されてきたところでありますが、広域行政処理方策地方制度の根本に触れる重要問題でありますので、現在継続して御審議をお願いしている地方行政連絡会議の設置とも相まって、前向きの姿勢でこの問題と取り組み、十分な検討をいたしていくつもりであります。  次に、地域開発の推進と地域間の格差の是正についてでありますが、現在、新産業都市建設をはじめとする地域開発促進施策が強力に展開されている一方、いろいろな面で地域間の格差が目立ってきていると考えられます。  自治省といたしましては、新産業都市等建設が円滑に進められるよう必要な財源措置を講ずるため、目下具体案を検討いたしておるところでありますが、地域間の格差を是正するためその他の諸方策についても引き続き努力をいたしてまいる所存であります。  次に、当面焦眉の問題となっております地方公営企業経常改善についてでありますが、最近における地方公営企業経営悪化状況にかんがみ、その再建について、当面とるべき方策と将来にわたる健全な発展をはかるための企業のあり方について、さきに発足をみました地方公営企業制度調査会にその意見を求めることといたしましたが、調査会の御意見を十分尊重し、早急にこの問題に対処してまいる所存であります。  さらに、消防の問題につきましては、最近新潟地震、大井の爆発事故等、石油、爆発物等による特殊火災が相次ぎ、科学消防充実が緊急な課題となっておりますことにかんがみ、保安規制強化予防行政充実救急業務拡充等について一段の工夫をいたしますとともに消防力の一そうの充実をはかり、万全を期してまいりたい考えであります。  次に、国家公安委員会委員長としましての私の所信を申し述べたいと思います。  私は、法秩序の維持は、すべての行政の基本であるとも考えておりまして、この意味におきましても新しい任務につきましての責任の重大さを痛感いたしておる次第であります。  当面の警察行政運営方針といたしましては、第一に暴力犯罪絶滅、第二に交通事故の半減、この二つに重点を置き、この目標達成のため努力いたしたいと存じます。いわゆる暴力団は、わが国の社会に暗い影を投じている存在でありまして、これを放置して明るい社会建設は不可能であります。私は、これらの組織暴力に対しては警察の総力をあげて対決し、これが絶滅をはかる所存であります。  次に、交通問題についてでありますが、この問題につきましては、ひとり警察のみの力によって解決し得るものではなく、いまやまさに国家的な問題となっているのであります。私は交通問題解決のために、その本質を的確にとらえ、これに対する各般施策につきまして関係機関との連絡、協調を一そう緊密にし、問題の早急な解決につとめたいと存じます。  最後に、オリンピック東京大会の問題でありますが、御承知のようにその開催があと七十日余の後に迫っております。警察といたしましては、交通規制、雑踏の整理、防犯対策等各般の問題につきまして周到な準備を進め、この大会を成功裏に終了させるようあらゆる努力を傾ける所存であります。  以上、所管行政の当面の問題について、所懐一端を申し述べたのでありますが、これらの問題につきましては、いずれも皆さま方の特段の御協力なくしてはその実効をおさめることができないと考えられますので、重ねて、格別の御協力を賜らんことをひとえにお願いする次第でございます。
  4. 高橋禎一

    説明員高橋禎一君) ごあいさつ申し上げます。過日私は自治政務次官に任命をされたのでございます。しかし、御承知のように至って不敏、未熟でございまして、そしてさらに地方自治という問題につきましては全くの未経験者でございまして、はたしてこの任務が十分果たせるかどうか非常に心配をいたしておるようなわけでございます。しかしながら、せっかくこの立場に立たされました以上、そしてまた委員長はじめ委員皆さま方は平素私の畏敬いたしておる方々でございまして、私自身むちうって精進いたしますと同時に、委員長はじめ皆さま方の御理解ある御協力をいただきますならば、何とか曠職のそしりを受けるということなくして私の任務を果たしていけるのじゃないかという明るい気持ちを持っておるようなわけでございます。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、山陰地方等における豪雨災害に関する件を議題といたします。まず当局報告お願いします。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武恵市君) お手元にたしか届いておるかと思いますが、「山陰地方集中豪雨災害調査団報告書」というのがございます。これによりまして概略お話を申し上げますので、あとはこれをお読みいただきたいと思います。  御承知のように十九日日曜日の朝のテレビで、突然島根県に死者二十数名出たというのを私見まして、これはちょっと普通の災害でないぞという感じがいたしましたから、直ちに警察当局並びに消防当局を通じまして刻々の現地の情報をとったわけであります。そうしますると、午後になりまするとだんだんに死者がふえてまいりまして相当の数にのぼっておるようでございます。そこで、災害規模は詳細にわかりませんけれども、死傷者の数が多いということは、相当大規模災害であろうということで、箱根の総理のほうにも早速連絡をいたしましたところ、それはひとつ直ちに現地視察に行ってくれないか、こういうことでございました。そこで翌日二十日になりまして、午前中に内閣防災会議を開かれまして、その結果、係官を連れて調査団長として現地へ行くようにということでございましたので、さっそく防衛庁飛行機を依頼いたしまして、防衛庁飛行機をもって午後一時に羽田を出発したのでございます。係官は、ここの一ページの終わりから二ページに書いてございまするように、各省の係官を帯同して飛行機で参りました。飛行機中で気がつきましたことは、うっかりすると、おりても水のために現地視察がしにくいかもわからない。そこで、まず低空飛行ができるならば低空飛行現地概略をひとつ見てからにしようじゃないかということで、四時ころ松江の上空に差しかかりましたので、急に操縦士に依頼をいたしまして、低空飛行で約四十分くらい宍道湖周辺を回りました。回ってみますると、松江の郊外はすでに水浸しでございます。もう農地は全部水没をしておりました。それから隣の斐川に参りますと、斐川のほうも農地はほとんど水没をしております。それからその次にひどかった加茂町の付近へ入りまして、上から堤防決壊状況、さらに決壊によるその付近農地水没状況というようなものを見まして、さらに出雲市に出ました。出雲市から平田市、これは斐伊川の下流でございます。ここへ参りますると、左岸は全部農家水浸しでございます。水の中に小さな森がぽつぽつ見える程度でございます。森が見えるのは何かと思ってよく見ますと、防波林でございまして、防波林の中に農家が一軒ずつある、それがみんな水没しておるという状況でございます。これはたいへんだなという感じを受けまして、それから美保の飛行場に着陸をしたのでございます。この点は二ページのところに書いてございます。飛行場鳥取県の知事が来ておりまして、鳥取県の状況飛行場で聞きまして、特に米子付近水浸しになったということで、その付近を見ましたが、もうすでにそのときは米子市は水が引いておりました。  それから引き続き鳥取県に入りまして、県庁対策本部に六時過ぎに参りました。ここで、知事は不在でございまして、伊達副知事以下幹部の方々と会いまして、災害状況をつぶさに聞きました。そうして同時に地元要望を、これは手回しよく印刷にできておりましたので、その一々について御要望を承ったのでございます。これは島根県庁からの陳情書がおそらくお手元のほうにも届いておるかと思います。いずれももっともな要望でございます。  そこで一応聞きまして、七時に県庁を発しまして、おそくはございましたけれども、現地視察に出かけたのでございます。  松江から次は斐川村というのが隣にございます。この斐川村に行く途中の道路は水浸しでございまして、ようやくジープが通れる、車輪が隠れる程度でございますして、両側のたんぼは全部水没でございまするので、御想像いただけるかと思います。斐川村におきまして斐川当局方々及び先ほど申しました隣の平田市、これは農地が全部水没したのでございます、この市長も来ておりまして、事情を承り、見舞いを申したのでございます。それからすぐ八時ごろに出雲市に入りました。出雲市に入りましてわかりましたことは、死者の一番多く出たのがこの付近でございます。出雲市だけで約四十人の、死者が出ておりまして、ここで市長から災害の当時の状況を詳しく承ったのでございます。  どうしてそういうふうな災害が出たかということは、五ページにその事情を簡単に私書き抜いておるのでございますが、死者は結局百五名、そこへ行くえ不明が三名、これは私が帰りまして自分で筆をとった報告でございまするから、その後多少、不明者死者になっておるかもしれません。五ページでございます。これを簡単に申し上げますが、十五、十六日に非常に梅雨前線の雨が終日続きまして、十七日にちょっと小やみになったので、ひと安心をしておりますと、十八日の日にまた朝からどしゃ降りになりまして、特に夜分になりますと三百ミリ以上の雨が降り出しました。そこで夜のことですから農家はみんな寝静まっておりますと、夜の零時半ごろから山くずれが始まって、あちらでも家がつぶれて死者が出た、こちらにも死者が出たという報告がどんどん出てきて大騒ぎになったわけでございます。どういうふうにしてなったかと申しますると、山の土が——あの辺の土質は花崗岩の風土化した土だといっておりますが、俗にいう赤土に砂のまじったような土でございます。それが連日の雨で水を含み切っておりますところへどしゃ降りでございますから、これがくずれ出して、山のふもとの農家がつぶれて全滅した、線路に落ち込めば、それが線路を遮断しまして交通不通、こういうことでございまして、そういう地帯なのでございまして、特別に危険な地帯に家があったということでなくして、そういう地帯は、他にも現地を翌日見てみますると、あるわけでございます。したがいまして、農家方々は、まさか自分の家がつぶれるとは思いません。夜中ににわかに山くずれになりまして、一家全滅の方も相当ございます。また、中からようやくはい出して助かった人もございますが、そういうのがあちらにもこちらにもあるというので、一ヵ所でそれだけの多数が出たのじゃなく、どこの山陰、あちらの谷間というふうなので、出雲市だけで四十名、それからいま申しましたその出雲地区全体で百五名にのぼる死者が出たのでございます。まことに悲惨でございまして、報告の途中、出雲市長はむせび泣きまして報告が一時とぎれたような状況でございますので、その地元状況というものは御想像いただけるかと思います。  そこで、前に返りまして、地元状況を承って夜十時過ぎに一たん引き揚げまして、翌日早朝に係官を集めまして、陳情の次第を一つ一つ私は詰めて聞いたわけでございます。係官説明も、聞いてみますというと、要望の筋はいずれももっともであって、何とかできるであろうということでございます。多少立法もしなければならない問題もあるかとは思いましたけれども、大体において、やればやれる状況でございましたので、翌日八時半に再び出発をいたしまして、もう一つ被害の甚大であった加茂町に行ったわけでございます。加茂町に参りますというと、これが被害中心地帯でございまして、ここはどういうことかと申しますと、斐伊川という宍道湖に流れる大きい川の支流に赤川という川がございます。その赤川——中小河川でございますが——堤防決壊いたしまして、その堤防のすぐ下にある加茂町という約四百戸、二千人の部落が全部水浸しになったのであります。この地帯は、かつて一度下のほうが決壊したことがございますので、町民は、あらかじめ警戒はしておったようでございます。しかし、まさかと思っておりますると、だんだん水かさが上がりまして、堤防を越えるようになったので、町長が十一時半に避難命令を出しました。このときに農協長有線放送を使いまして、全町民に、早く避難してくれ、あぶないからということで、中腹の小学校に全部を避難させました。避難が終わりました一時間後の三時過ぎごろに、その町の上手の堤防決壊いたしまして、怒濤を巻いて流れ込んで、家も、それこそ三分の一近く流され、倒れ、水は二階家の上の屋根の付近まで水浸しになりました。平家は全部水没をした状況でございます。これは指揮よろしきを得たために死傷者がなかったのでありますが、一歩誤ればおそらくこの町の婦女子は危険にさらされたんじゃないかと思いまして、ぞっとしたのでございます。そこで、避難をいたしておりまする各学校の部屋々々を見て回って参りましたが、応急の災害救助作業は、町当局の行き届いた手で一応はできておったようでございます。これは加茂町のみならず、被害町村の、いわゆる罹災救助地域でございますが、これは大体そういうふうな報告を受けております。そこで、私は同時に、その町の中を歩いてみまして、水没をしたその家々も訪問してみますると、大体この町は、中小の店屋がたくさんございます。その他はサラリーマンの住宅でございます。で、町の中小の店は、品物は全部水浸しで、もうどろどろでございます。したがって、中小企業に対する融資その他のめんどうを見なきゃならぬということを深く感じました。と同時に、これだけのどろ水の、便所も何も一緒くたでございますから、うっかり水が引いたと思って入るというと、たいへんな伝染病になる。せっかく命の助かったことであるから、あとはひとつ思い切った消毒をして、心配のない状態で入るようにということを懇々と指示いたしまして、ちょうど保健職員も数十名来ておりましたから、その点を厳重に指示をして帰ったわけでございます。  ここで私は、もう一つ皆様方に御報告を申し上げたいと思いますことは、ここばかりではございません。ほかの災害地域の話を聞きましても、大きい河川は大体改修は行なわれておりますが、いわゆる中小河川が、なかなか手が回らない。この赤川も三年前の三十六年に一回下手が決壊いたしまして、それを災害復旧中でございます。まだ完成しない途上にあったのでありますが、こういった危険地域における中小河川につきましては、格別復旧強化をしないというと、同じことを繰り返すおそれはないかという点を深く感じた次第でございます。  一応、以上の点がおもな点でございまして、自治省といたしましては、要望のうち、いわゆる交付税の繰り上げ交付を急いでくれ、地元町村はちょうど夏枯れで資金のないときであるからということでございましたので、私は帰りまして直ちに繰り上げ交付指令を出しております。なお、地方税の減免につきましても、早速関係市町村に対して指令を出したような次第でございます。  なお、鳥取県のほうへは、現地視察団の各係官を出して調査をさしてまいった状況でございます。  ごく概略でございますけれども、以上御報告申し上げます。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記をつけて。  ただいまの自治大臣の御報告に対しまして何か御質疑がございましたら御発言を願います。——質疑ございませんか。——別に御発言もなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度にとどめておきたいと存じます。
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、昨日の委員会におきまして、千葉委員質問に対する松村消防庁長官の答弁中、一部保留されている部分がございましたので、この際、長官発言を求めます。
  10. 松村清之

    説明員松村清之君) 昨日御質問のありました先般の勝島倉庫火災によります負傷者のその後の状況でございますが、お手元プリントがお配りしてございますので、それで明瞭かと思いますが、この機会に御説明をいたしますと、この倉庫火災で負傷しました消防職員、団員のうち、医療機関入院した者は二十一名でございまして、その二十一名のうちすでに八名が退院しておりまして、現在十三名がなお入院中でございます。この十三名のうち七名は、あと一週間程度で退院できますが残りの六名につきましては、そのうち一名はなお二週間程度、二名は三週間程度あと二名は四週間程度、一名は二カ月程度入院を要する見込みでございます。  以上でございます。
  11. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 別に御発言ございませんか。
  12. 松本賢一

    松本賢一君 千葉さん見えないので、私から何ですが、別に質問というわけではないですが、日付がないので、ただいまとおっしゃるのは、いつのことか、きょうのことですか。
  13. 松村清之

    説明員松村清之君) これはプリントのときに落としたのでございますが、きのう現在というふうに……。
  14. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 別に御発言ございませんか。——別に御発言がなければ、本件に関する本日の質疑はこの程度で終了いたします。  次回は九月三十日水曜日並びに十月一日木曜日の両日にわたって開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十時四十九分散会