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1964-01-28 第46回国会 参議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年一月二十八日(火曜日)    午前十時九分開会   ―――――――――――――    委員の異動  十二月二十三日   辞任      補欠選任    小柳  勇君  千葉千代世君    秋山 長造君  松澤 兼人君  一月二十三日   辞任      補欠選任    重宗 雄三君  松野 孝一君   ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     竹中 恒夫君    理事            西郷吉之助君            松本 賢一君            林   塩君    委員            井川 伊平君            石谷 憲男君            沢田 一精君            占部 秀男君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            松澤 兼人君            辻  武寿君   政府委員    警察庁長官官房    長       浜中 英二君    自治大臣官房長 松島 五郎君    自治大臣官房会    計課長     宮崎  剛君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○地方行政改革に関する調査  (昭和三十九年度自治省関係予算並  びに今期国会提出予定法律案に関す  る件)  (昭和三十九年度警察庁関係予算並  びに今期国会提出予定法律案に関す  る件) ○派遣委員報告   ―――――――――――――
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに、理事辞任についておはかりいたします。林虎雄君から都合により理事辞任いたしたいとの申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。前例により互選の方法は省略いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、さよう取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 御異議ないと認めます。それでは委員長から松本賢一君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  5. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 本日は、自治省並び警察庁当局から、三十九年度関係予算びに今期国会提出予定法律案につきまして説明を聴取いたしまして後、先般行ないました委員派遣につき、その報告を聴取することにいたしたいと思います。  それでは、地方行政改革に関する調査を議題といたします。  初めに、自治省並び警察庁当局から、三十九年度関係予算びに今期国会提出予定法律案について説明を聴取いたします。自治省松島官房長
  6. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) お手元にお配りいたしました「昭和三十九年度予算の概要」という刷りものによって御説明を申し上げたいと思います。  昭和三十九年度の自治省関係一般会計歳出予算額は六千二百八十九億二千四百七十七万二千円でございまして、前年度に比較いたしまして五百九億八千八百五十一万六千円の増と相なっております。  主要な項目について御説明を申し上げます。第二ページ、第三ページに主要項目の一覧表を掲げてございますが、その内容につきましては第四ページ以降に説明書を加えてございますので、それによって御説明申し上げます。  まず、自治本省の第一は、広域行政の調査及び地域開発関係経費でございます。一千百十七万四千円でございますが、この経費は広域行政の問題に対処いたしますために必要な調査を行ないます経費と、地域開発行政の積極的な推進指導を行ないますために要する経費でございます。  第二番は、住民台帳制度合理化調査会の設置に要する経費八十九万二千円でございます。市町村におきましては、住民登録をはじめといたしまして、選挙人名簿、学籍簿その他各種の台帳が住民の住所等を中心にいたしまして作成されておるわけでございますが、それらの台帳がそれぞれ根拠法を異にすることによりまして若干ずつ異なる様式のものが作成されなければならないということから、住民にとりましてもたいへん不便がございます。また、これを取り扱っております市町村のほうから申しましてもたいへん事務が複雑になっているという状態でございますので、これらの台帳を統一をして、できるだけ事務の簡素合理化、住民の便宜をはかることが必要であると考えられます。しかし、これらの台帳は、その基礎がそれぞれ関係法律によって定められておりまして、所管事務といたしましては各省にまたがる事務にも関係いたしますので、この際総理府に住民台帳制度合理化調査会を設置いたしまして、その統一化、合理化について御審議をいただくというようなことを進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。この合理化調査会は総理府に設けられますので、したがって、その庶務は自治省で取り扱いますが、予算は自治省所管の予算と総理府所管の予算と、両方にわたって計上されております。  第三は、選挙の常時啓発費五億五千万円でございます。公職選挙法第六条第一項の規定に基づいて、選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行なわれるように、あらゆる機会を通じて政治意識の向上につとめなければならない旨、法に規定されているわけでございますが、これらの公明選挙を推進しますために要する経費といたしまして、前年度に比較いたしまして五千万円増の五億五千万円を計上したわけでございます。  第四番目は、地方公営企業制度調査会の設置に要する経費再十五万六千円でございます。地方公営企業法が制定されましてからすでに十余年を経て、今日地方公営企業はますます増大し、地方にとって重要な役割を果たしてまいっておりますが、一方において法律制定後十余年を経表したので、いろいろと問題がございますので、これらの問題について基礎的な調査をお願いして、地方公営企業制度の合理化をはかってまいりたいと、かように考えるわけでございます。  第五番目は、住居表示制度の整備に必要な経費六千七百五十四万六千円でございます。従前からやっております住居表示に関する法律に基づきます住居表示の実施を円滑に行ないますために、これを行ないます市町村に対しまする補助金が大部分でございます。  その次に、第六番目は、地方財政再建促進特別措置費六千百五十二万一千円でございます。地方財政再建促進特別措置法に基づきます地方公共団体財政再建も順調に進行しておりまして、かつては十数億ございました利子補給金も、現在では五千百八十四万一千円という額にまで縮小してまいっております。  第七番目は、奄美群島振興事業に必要な経費十四億四千八百九十五万九千円でございます。奄美群島復興十カ年計画は、昭和三十八年度をもって一応終了するのでございますが、なお今日の奄美群島の状況にかんがみまして、引き続き産業を中心とする振興計画を立てて、群島の振興を推進する必要があるということから、さらに昭和三十九年度を初年度といたしまして、次期五カ年計画を立てて、その事業を推進せんとするものでございます。  第八番目は、奄美群島振興信用基金出資金五千万円でございます。現在奄美群島振興信用基金に対しましては、三億七千万円の出資金がすでに行なわれておるのでございますが、出資金の運用の現状にかんがみまして、さらに五千万円の増加をせんとするものでございます。  第九番目は、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れ経費六千二百十四億八百九十五万六千円でございます。昭和三十九年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額は、一番最後の一三ページにございますが、二兆一千三百九十二億七千五百万円でございます。これに対する二八・九%が六千百八十二億五千四十七万五千円でございます。なお、昭和三十七年度に収入されました国税三税に相当する地方交付税額は四千七百三十二億三千八百三十六万七千円でございますが、昭和三十七年度中に交付されました額は、四千七百億七千九百八十八万六千円でございますので、差し引き差額三十一億五千八百四十八万一千円を精算額として昭和三十九年度に交付しなければなりません。この額を加えまして、これを一般会計から繰り入れるものでございます。なお、三番目に書いてあります地方交付税法第十九条第二項の規定に基づく、返還金四百二方五千円は、これは特別会計に返ってまいりましたものを特別会計から出資するものでございますので、一般会計からの繰り出しには含まれておりません。  十番目は、国有提供施設等所在市町村助成交付金十三億五千万円でございます。これは通常基地交付金と略称されているものでございますが、基地交付金対象資産の価額の増及び基地所在市町村における財政状況等を勘案いたしまして、一億五千万円増額いたしまして十三億五千万円といたしたものでございます。  十一番目は、小災害地方債元利補給金十七億七千四百八万三千円でございます。これは昭和三十三年以降昭和三十八年までに発生いたしました公共土木施設、農地等の小災害に対しまして、特例法ないしは激甚災害に対処するための地方団体に対する財政援助の法律等に基づきまして元利補給をいたすこととなっております分の昭和三十九年度分の元利補給額でございます。  第十二番目は、固定資産税制限税率引き下げに伴う特例債の元利補給金三億六千四百十六万七千円、これは地方税法を改正いたしまして固定資産税制限税率を引き下げました際に、その減収を補てんするために発行が認められました地方債に対します元利補給金でございます。  十三番目は、市町村民税臨時減収補てん債元利補給金三億円、市町村民税所得割につきましては本文方式ただし書き方式と二とおりございますが、これを明年度から二カ年計画で統一をしていこうとするわけでございますが、それによって生じます減収につきましては国が昭和三十九年度において百五十億円の地方債の発行を認めることによって補てんをしよう、その地方債百五十億円のうち百億円につきましては国が全額元利を補てんするという取り扱いといたしたいと考えております。昭和三十九年度は初年度でもございますので、さしあたりは年度中途から生じます、発行いたしました分についての利息相当額が必要となりますので、概算で三億円を計上したものでございます。  十四、その他の経費は、自治省の人件費その他一般事務費でございます。  次は、消防庁について申し上げます。  第一、非常火災対策に必要な経費二千二百二万一千円は非常火災時における消火、避難、救助等に関します科学的な調査研究を行ないますために必要とする経費でございます。  第二番目の、退職消防団員報償費六千六百五十万四千円は、多年非常勤消防団員として勤務されました方が退職いたしました際に、国から銀杯を贈与いたしておりますが、それに要する経費でございます。  第三番目は、消防吏員及び消防団員に授与する償じゅつ金一千万円、これは消防吏員または消防団員が職務を遂行したことによって災害を受け、そのために死亡または不具廃疾となった場合、特に功労のある者に、その功労の程度によって支給する償じゅつ金でございます。  第四番目は、消防団員等公務災害補償等共済基金に対する補助金三千四百四十七万一千円でございます。これは従来の公務災害補償責任共済基金に対します国の事務費の補助と、昭和三十九年度から新たに予定をいたしております退職消防団員に対しまして、長年勤続されました方が退職します際に退職報償金を支給しようといたしておりますが、その退職報償金の支給を共済制度によって実施をいたしたい、その事務をこの公務災害等共済基金において同時に取り扱うことといたしたいと考えておりまして、それに対する事務費の補助、合わせまして三千四百四十七万一千円でございます。  五番目は、消防施設等整備費補助金七億一千六百万円でございますが、これは消防ポンプ火災報知機消防専用無線電話機等消防施設の整備に対します補助金でございます。  六番目は、消防庁の人件費その他一般事務費でございます。  次に、特別会計について申し上げます。  自治省関係特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がございますが、この昭和三十九年度の歳入は六千六百七十三億九千四百五万六千円でございます。なお歳出は六千六百六十六億八千四百五十八万一千円となっております。その内容のおもなものは一二ページにございますが、歳出におきましては、一般会計より受け入れました国税三税の二八・九%をもって地方交付税交付金として六千二百十四億一千二百九十八万一千円を支出する予定でございます。また、地方道路譲与税譲与金として四百二十三億一千五百万円ございます。この地方道路譲与税譲与金は前年度と比較いたしまして七十八億七千九百万円の増と相なっておりますが、このうち三十三億円は揮発油課税一〇%引き上げに伴います地方道路税引き上げ分に相当するものでございます。  それから、特別とん譲与税譲与金二十九億二千二百万円、前年度に比較いたしまして十五億六千八百万円の増となっておりますが、このうち約十億円は特別とん税引き上げに伴うものでございます。なお、昨年度までございました臨時地方特別交付金は精算が全部終了いたしましたので、本年度よりゼロとなっております。  以上が、自治省所管の予算のおもなものでございます。   ―――――――――――――  次に、第四十六回国会に提出を予定されております法律案について御説明を申し上げます。  第一は、自治省設置法の一部を改正する法律案でございます。自治省の定員は十五名の増加が予算上認められましたので、その増をはかろうとするものと、地方公営企業制度調査会を設置しようとするものでございます。なお、従来ございました住居表示審議会はその任務を終了いたしましたので、削除いたしたいと思います。  第二は、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案でございます。内容の第一点は、奄美群島復興特別措置法に基づく復興十カ年計画は、昭和三十八年度で先ほども申し上げましたように終了いたしますので、新たに奄美群島振興五カ年計画を立てまして、これに基づく事業を推進しようとするものでございます。第二点は、従来の奄美群島復興審議会奄美群島振興審議会に改めるというものでございます。第三点は、奄美群島復興信用基金奄美群島振興信用基金に改めまして、国の出資金を、先ほど御説明いたしましたように、五千万円増額いたしまして、四億二千万円としようとするものでございます。  第三は、地方交付税法の一部を改正する法律案でございます。内容の第一点は、市町村にかかる基準税率、現在七割で計算しておりますものを引き上げよう、具体的にどこまで引き上げるかについては、なお検討中でございますが、七割五分程度に引き上げようということが第一の内容でございます。第二は、従来どおり交付税の増加に伴いまして地方公共団体に交付すべき基準財政需要額の増額をはかりますため、単位費用の改正を行なおうとするものでございます。  第四は、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案でございます。公営企業金融公庫に対する出資金が二十五億となりますので、この際政府は予算の定めるところによって出資額を増加することができる。その出資額の増加があった場合には公庫は資本金を増額することができるという一般規定に改めたいという内容のものでございます。  第五番目は、地方税法等の一部を改正する法律案でございます。内容の第一点は、事業税について負担の軽減をはかるための措置を講ずることであります。具体的には個人事業税につきましては、事業主控除を二十万円から二十二万円に引き上げる、中小法人に対する軽減税率の適用範囲の拡大をはかるというような内容でございます。第二点は、不動産取得税について住宅の基礎控除額引き上げるということでございます。これは具体的には住宅、宅地ともに基礎控除額を百五十万円まで引き上げたいということを予定いたしております。第三点は、市町村民税の負担の不均衡を是正するための措置を講ずること。これはただし書き方式本文方式との統一並びに標準税率制限税率制度の設定の問題でございます。二カ年間――三十九年度及び四十年度の二カ年間で、市町村民税ただし書き方式を廃止して、本文方式に統一いたしますとともに、標準税率制度を設けまして、著しい税率の不均衡が生じないようにいたしたいという考え方でございますが、昭和三十九年度におきましては、その第一年度といたしまして、さしあたり百五十億円の範囲内で必要な調整を行なおうとするものでございます。第四点は、固定資産評価制度の改正に伴う負担の激変を緩和するための調整措置を講じようとすることでございます。昭和三十九年度から改正評価制度が行なわれるわけでございますが、特に土地につきまして相当の評価がえによって値上りが見込まれるという状態でございますので、税負担の激変を緩和いたしますために、農地につきましては、大体前年度据え置きを原則とし、その他の土地についても負担の激変が起きないよう、激変緩和の必要な措置を講ずるというものでございます。第五点は、電気ガス税の税率を一%引き下げまして、それに相当するたばこ消費税の税率の引き上げを行なうというものでございます。第六点は、軽油引取税の税率を引き上げること。道路計画の改定に伴いまして、地方団体の所要財源をまかないますために、さきに御説明申し上げましたように、地方道路税について一〇%の引き上げが行なわれたのでございますけれども、軽油引取税につきましても、これに対応して引き上げを行ないたいという内容でございます。第七点は、市町村民税の負担の不均衡を是正するための措置を講ずることによって生じます減収を補てんするため、地方起債の特例を設けるということでございます。本来地方債は減収補てんのために起こすことはできないわけでございますが、この際特例を設けまして、百五十億円の地方債の発行をいたそうとするものでございまして、そのうち百億円につきましては、国が全額元利を補給する、あとの五十億円につきましては、地方交付税基準財政需要額の中に算入することを検討中でございます。  第六は、消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案でございます。非常勤消防団員に対しまして、永年勤続されましてやめられた場合に、退職報償金を支給しようとするのが消防組織法の改正でございます。現在考えております案では、士五年勤続して退職されました方に三万円を基準といたしまして、勤続年数あるいはその職務に応じまして、最高七万円――三万円から七万円までの範囲内において退職報償金を支給しょうと考えております。その給付の仕事を現在の公務災害補償責任共済基金に同時に扱っていただこうという改正が、後段の消防団員等公務災害補償費任共済基金法の改正でございます。  第七番目は、地方自治法の一部を改正する法律案。この地方自治法の改正案の内容は、今日の広域行政の必要性に対応いたしまして、地方公共団体が共同してこれらの仕事が実施できるように地方公共団体の連合の制度というものを設けようとするものでございます。  第八番目は、大規模干拓地等に係る地方自治法等の特例に関する法律案でございます。大規模な干拓等が行なわれました場合に、その土地について新たな地方団体を設置することができるようにいたしたい、その場合に必要な地方自治法等の特例を設けようとするものでございます。大規模な干拓地等について新しい地方団体を別個に設けるということに相なりますと、その地域にはまだ住民も十分に住んでおられないというような状態において地方団体の設置をいたすわけでございますので、そこに地方団体の長、議会の構成等につき特殊な考慮が必要になろうかと思いますので、そういった点を勘案いたしました特例を設けようとするものでございます。  第九番目は、地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案でございます。これは恩給法の改正に伴いまして必要な調整をいたしますために、施行法について改正を加えようとするものでございます。  第十番目は、地方自治関係団体職員共済組合法案でございます。知事会、市長会等地方自治関係団体の職員につきましても、地方公務員共済制度に準じまして長期給付の制度を設けようとするものでございます。  第十一番目は、公職選挙法の一部を改正する法律案でございます。選挙制度審議会の答申に基づきまして、衆議院議員選挙区別定数の不均衡の是正等を行なおうとするものでございまして、前国会に提案をいたしまして審議未了となったものでございますが、さらに引き続き、この問題について成案を得まして提案をいたしたいと考えております。  第十二番目は、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案。国会議員の選挙等の執行につきましては、現在この法律によりまして経費の負担をいたしておるわけでありますが、長い間改正されませんために実情に沿わない点もございますので、これを改めようとするものでございます。  第十三番目、地方税法の一部を改正する法律案。地方税法のうち、特に固定資産税の問題につきましては、先ほども申し上げましたような調整措置を別途御審議いただく予定にいたしておるわけでございますが、さしあたり現行法のもとにおきましては、三月一日から固定資産課税台帳縦覧手続が始まり、四月には納期が到来するというふうになっておりますので、負担調整措置に関します法律等が間に合わない場合には、現在の手続が進行いたしますと混乱が起きますので、さしあたり、こういう手続規定を一カ月間延長をいたしておきたいという内容のものでございます。  第十四番目は、新産業都市建設事業に係る国の負担割合の特例に関する法律案でございます。新産都市の建設計画を推進いたしてまいります場合には、地方公共団体の負担が著しく増大することが予測されるのでございますが、地方公共団体の負担があまり大きくなってまいりますと、その負担に耐えかねるということから、事業の円滑な推進がはかられないという事態も考えられますので、この際、特別な財政援助の制度を設けることによって、そうした事態が起きないようにしてまいりたいというのが、内容でございます。  第十五番目は、地方自治法等の一部を政正する法律案、再提出のものでございますが、主たる内容は、特別区に対して都から大幅に権限事務の委譲を行なおうとするものでございます。  第十六番目は、地方行政連絡会議法案でございまして、これも再提出でございますが、前国会において御審議をいただいている内容と同一のものでございます。  第十七番目は、地方公務員法の一部を改正する法律案。ILO第八十七号条約を批准するに際して、地方公務員の団結権に関する規定等について所要の改正を行なおりとするものでございます。  十八番目と十九番目は、ごく技術的な改正でございますが、ただいまその要旨についてなお再検討中でございます。住居表示に関する法律の一部を改正する法律案のほうは、区画整理が行なわれました場合に、換地処分が確定いたしますまで住居表示を延期するというようなことを考えてはどうかというような内容のものでございます。  また、十九番目の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案は、指定都市になりました場合に、その時期によりまして固定資産税課税制限の適用が異なってまいりますので、その辺の調整をはかってはどうかというものでございます。  第二十番目は、昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案。第三次補正予算によって増額されました地方交付税につきましては、その額の範囲内において昭和三十九年度に繰り越して使用するというような特例を、この際考えてはどうかという内容でございます。  以上が、第四十六回国会に提出を予定いたしております法律案でございますが、なお、このほかに先ほど予算のところでも御説明申し上げましたように、住民台帳制度合理化調査会の設置を予定いたしておりますので、この設置は総理府に設けられますので、総理府設置法の一部改正という形で別途提案される予定でございます。
  7. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 引き続き警察庁浜中官房長。
  8. 浜中英二

    政府委員(浜中英二君) 昭和三十九年度の警察庁予算について御説明申し上げます。  総額は二百二十億四千百九万二千円でございまして、前年度と比べまして二十億四千八百六十四万七千円の増でございます。  (項)警察庁、(項)科学警察研究所、(項)皇宮警察本部、(項)警察庁施設費、この四項目につきましては国庫で直接支弁する経費でございます。最後の(項)の都道府県警察費補助がいわゆる補助金でございます。御承知のように国庫で直接支弁いたします経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関自体の経費のほかに、警察法の第三十七条一項の規定に基づきまして教養とか通信、装備、鑑識等全国的に統一または調整をはかる必要のある事務及び警衛警備並びに国の公安にかかる犯罪その他特に重要な犯罪等の捜査に要する経費でございまして、この四項目が合計いたしまして百七十億二千七百五十三万三千円となりまして、前年度比は十億九千四百七十六万二千円の増と相なっております。  都道府県警察費の補助の関係につきましては、同じく警察法三十七条三項の規定に基づきまして、都道府県負担となります警察費のうち、人件費、被服費その他通常職員設置に伴い必要となる経費以外の経費について国庫が補助するものでございまして、五十七億一千三百五十五万九千円でございます。前年度に比べまして九億五千三百八十八万五千円の増額計上となっております。  おもな内容につきまして次に御説明を申し上げます。一枚おめくりいただきまして第一ページのほうから御説明申し上げます。  警察庁一般行政に必要な経費五十四億四千三十八万四千円、これは警察庁の職員地方警務官の人件費四十九億五千二百八十二万円、これが中心でございますが、ほかに警察庁や地方機関の一般事務費及び各所修繕費等でございます。なお、この中には、交通の三千名の増員、刑事及び麻薬の都道府県警察官百名の増員経費一億二千二百八十八万一千円が含まれております。ほかに、本庁の国家公務員の十名の増員の人件費三百十三万八千円が含まれておりまして、前年度に比べまして三億四千百八十三万四千円の増となっておりますが、主として昇給、昇格、増員等による人件費の増でございます。  次に、三ページでありますが、第二は、警察機動力の整備に必要な経費三十七億五千五百七十六万二千円。これは警察用車両の購入、警備装備品の整備、舟艇の建造及び警察通信の整備や維持管理に要する経費でございます。その中で、重点の一つであります車両の購入費は十億四千五百九万、五千円計上してございますが、昭和三十九年度は、車両整備の第二次三カ年計画の第一年度分といたしまして、交通取り締まり用車千八十一台、捜査用車四百七十台及び無線警ら車等の一般活動用車四百九十四台、その他含めまして合計二千百十三台を購入整備するため必要な経費でございます。また、通信関係では、一級線系のマイクロ化といたしまして、近畿――中国――九州に新設いたします経費、二級線系のマイクロ化といたしまして広島――岡山間に要する経費、そのほかに百八十回線分の市外自動交換機とか、三県に八十九台分の一斉指令装置、さらに警察官の個人装備でございます携帯無線機、簡易無線機、携帯受令機、合わせまして千二百六十八台を購入する費用、あるいは超短波無線機五百二十六台の購入費用、移動多重無線電話の増設に要する経費、その他、現有の警察装備及び警察通信の維持等に必要な経費十七億七千二百七万九千円が計上されてございます。ほかに警察用舟艇五隻を二千二百八十万八千円で建造することになっておりまして、前年度に比べまして六億一千百二十万一千円の増となっております。  次に四ページでありますが、第三は、警察教養に必要な経費四億六千二百三十七万二千円、この経費は警察学校入校生の旅費三億四千九百三十四万二千円が内容の重点でございます。そのほかに、学校教養のための備品とか、体育教材の整備及び初任科用教科書作成等に要する経費、その他学校教養及び調査研究のための経費等が含まれておりまして、総額において前年度に比べまして二千六百八十一万七千円の増でございます。  第四は、刑事警察に要する経費十一億百四十八万五千円でございます。これは国庫負担となります暴力団犯罪の取り締まりに要する経費、その他一般の刑法犯の取り締まりに必要な経費と、犯罪鑑識関係の経費がおもな内容となっております。暴力団に関係いたします分では、国庫負担の分が二億一千三百八十六万四千円でございます。前年度より約六千万円の増となっております。一般の刑法犯の取り締まりの関係は三億八千八百二十四万一千円でございます。鑑識関係は四億二千三百七十一万七千円でございまして、そのほかに電子計算機組織を含めまして、犯罪統計に必要な経費七千五百六十六万三千円が計上してございまして、前年度に比べまして一億六千八百九十七万八千円の増となっております。  次に五ページに参りまして、保安警察に必要な経費、四億六千七百五十七万八千円でございます。この経費は防犯警察、少年警察に要する経費、密貿易、麻薬、危険物の取り締まり、そのほか特別法令違反の取り締まりに要する経費でございまして、四億三千六十七万二千円、このうち、麻薬犯罪の取り締まり経費は一億八千四百七十九万三千円でございまして、約二千五百万円の増となっております。ほかに行幸啓の警衛等に要する経費三千六百九十万六千円となって、前年度に比べまして四千五百十二万一千円の増でございます。  第六番目は、交通警察に必要な経費三千五百三十二万三千円でございます。この経費は主要国道における重要ひき逃げ捜査等交通警察に要する経費二千三十二万三千円、全日本交通安全協会に委託費といたしまして一千五百万円を計上してございまして、前年度に比べて千二百八十三万六千円の増でございます。交通関係は補助金対象がほとんどでございますので、国費の関係は非常に少なくなっておりますが、補助金は四億四千八百九十万計上されてございます。  第七は、警備警察に必要な経費でございまして、二十四億四千八百十七万一千円でございますが、この経費は集団の威力をもってする不法行為事件の取り締まり、機動隊隊員の日額旅費等、機動隊の運営や警備訓練に要する経費が十七億四千九再十一万三千円、警護に要します経費が四千八百四十四万五千円、外事関係事犯の捜査取り締まりに要する活動経費及び密航監視に要する経費等が六億五千六十一万三千円でございまして、前年度に比べまして総額で二億二千三百十六万八千円の増でございます。  それから次に、六ページ、警察電話専用回線の維持に必要な経費十四億七千四百九万円、この経費は、警察電信電話回線を維持するために日本電信電話公社に対して支払う経費でございます。  九番目は、科学警察研究所に要する経費一億二千二百二万六千円でございます。これは科学警察研究研の職員人件費等の一般経費が八千八十二万四千円、犯罪の捜査、少年の非行防止、道路交通の円滑化と危険の防止についての研究及び実験並びにこれらを応用する鑑定または検査に要する資器材の購入とか、維持費、消耗品費といたしまして四千百二十万二千円でございまして、前年度に比べまして六百七十九万三千円の増額計上となっております。  次に七ページで、第十番目は、皇官警察本部、この経費が五億八千七百六十二万円でございます。皇宮護衛及び皇官警察職員人件費等の一般経費五億四千二百七十三万八千円、ほかに、行幸啓の警備に要する活動旅費等が四千四百八十八万二千円、前年度に比べまして三千四百三万二千円の増額計上となっておるのでございます。  次に九ページで、第十一番目に、警察庁施設の整備に必要な経費十一億三千百七十二万二千円でございます。これは警察学校とか機動隊隊舎の整備に要する経費及び小規模な施設の整備に要する経費でございます。  それから最後に、都道府県警察費に対する補助でございます。この内容につきましては、第一に都道府県警察費補金助いわゆる一般行政費補助金でございますが、これが四十二億三百六十一万八千円でございます。これは一般の犯罰捜査とか、少年警察の強化、交通取り締まり、雑踏警戒、外勤活動その他一般の警察活動に要します経費が十四億三千五百九十八万四千円、警察用車両や警察用舟艇の燃料費や修繕費が七億九千百十一万九千円、そのほか原動機付自転車の購入及び維持、交通規制用器材の購入、維持費など警察装備に要する経費六億四千六百三十三万円が含まれております。そのほかに、都道府県費で負担いたします警察電話の専用料、その他警察活動に伴う事務費に対する補助金が十三億三千十八万五千円等でございまして、前年度に比べまして総額では、四億三百九十四万四千円の増加計上となっております。  第二番は、都道府県警察本部施設の整備に対する補助金が一億二千三百六万六千円でございます。この経費は、都道府県警察本部の新増改築に必要な経費でございまして、前年度に比べまして四千五百四十九が七千円の増でございます。第三は、警察署等施設の整備に対する補助金が六億五千三百十四万三千円でございまして、この経費は都道府県警察の警察署、派出所、駐在所その他の都道府県警察庁舎の新増改築に必要な経費でございまして、前年度に比べまして六千四百七十一万二千円の増加計上となっております。最後に、警察待機宿舎の整備に対する補助金といたしまして七億三千三百七十三万二千円でございます。これは刑事、警備の専従員等常時待機を必要とする警察職員の宿舎の整備に要する経費に対する補助金でございますが、前年度に比べまして四億三千九百七十三万二千円と一躍前年度の二倍半の増加計上となっておる次第でございます。  以上が、昭和三十九年度の警察庁予算の概要でございます。
  9. 松澤兼人

    松澤兼人君 前年度比較の増減をあなたはおっしゃいますけれども、そういう数字を出していただけませんか。これは大きな項目だけでけっこうですから。
  10. 浜中英二

    政府委員(浜中英二君) わかりました。  引き続きまして、第四十六回国会提出予定法律案について申し上げます。  第一は、警察法の一部を改正する法律案でございます。内容は、第一点といたしまして、警察庁の定員が予算案といたしまして十名増加計上されてございますので、その定員を改正することが一つと、もう一つは、都道府県警察の管轄区域の境界付近におきます警察官の職権行使に関する規定整備いたしたいというのが内容でございます。第二点につきましてちょっと申し上げますと、たとえば一つの施設が二つ以上の都道府県の区域にわたって設置されておる、そういう場合に、施設内の事案の処理をする。東京と神奈川との間にあります子供の国とか、大阪と兵庫県にまたがっております伊丹の大阪国際空港とか、こういうような場合、あるいはまた警察署からかなり離れた県境の付近におきまして水力発電所、そういうものの建設工事が二つ以上の区域にわたって行なわれているような場合、そういう場合の地域内の事案の処理、こういうような点に関しまして、従来お互いにいろいろと協定等を結んで処理いたしておりますが、さらに法律的にこの関係を明確にいたしまして、相互の協力態勢を一そう推進いたしたいということが内容の二点でございます。近く成案を得まして提出予定でございます。  第二番目は、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案でございます。この内容の第一点は、飲食店営業の深夜における営業に関しまして、営業の場所とか、営業の時間等につきまして、条例で必要な制限を定めることができることとすること。従来条例でこのような制限をいたしておったわけでございますが、その根拠を法律の上で明確に規定するということが第一点でございます。第二点は、風俗営業等取締法に違反いたしました飲食店常業者に対しまして、公安委員会がその飲食店営業の停止を命ずることができることとすること。従来飲食店営業の行政処分は厚生省が行なうたてまえになっておるわけでございますが、もちろん厚生省もいたしますが、特に警察の立場から風営法に違反いたしましたそういう業者に対しましては、飲食店営業の停止処分ができるようにするということが第二点でございます。第三点は、年少者の風俗営業等におきまする接待行為等を禁止するということでございます。以上三点を内容といたしまして、青少年の非行防止の見地から近く国会の御審議をお願いいたすことになっております。  第三番目は、道路交通法の一部を改正する法律案でございます。道路交通条約への加入につきましては目下外務省において準備中でございますが、道路交通に関する条約に加入することに伴いまして、国際運転免許証に関する規定を新設いたしたい。有効な国際運転免許証を所持いたしております者は道交法八十四条の規定によりまして運転免許を受けなければならないことになりますが、そういう規定にかかわらず、その国際運転免許証発給の対象となっております自動車を運転することができるというふうにいたしたいのでございます。これに伴いまして車両等の交通方法に関する規定を実情に即するように改めること。運転免許事務合理化をはかりますために、小型の特殊自動車、これは農耕用の耕運機のことでございますが、そういう小型特殊自動車免許を設ける等関係規定整備いたしたいというのが第三点。最後に、ひき逃げ等の罰則の規定整備いたしたい。こういう内容で目下検討中でございます。成案を得ますれば二月の下旬ごろ提案、御審議をお願いする予定でございます。  以上でございます。
  11. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 浜中官房長、いま松津委員のおっしゃった、前年度との増減比、その資料は次回の委員会までに配付できますか。
  12. 浜中英二

    政府委員(浜中英二君) 承知いたしました。
  13. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまの自治省並びに警察庁の説明につきまして、御質疑ございませんか。
  14. 占部秀男

    ○占部秀男君 松島さんにお聞きしたいと思いますが、このいただいた提出予定法案、これ以外には当面出すというものはないのですか。
  15. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) いまのところ、予定しておりません。
  16. 占部秀男

    ○占部秀男君 それから、この予定法案の中に提出済みのものと、それからそうでないものとあるわけですね。それは現在わかっておりますか。
  17. 松島五郎

    政府委員松島五郎君) 十七番目の地方公務員法の一部を改正する法律案、これは提出済みでございます。手続中のものを申し上げますと、第一の自治省設置法の一部を改正する法律案、四番目の公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、六番目の消防組織法及び消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案、十三番目の地方税法の一部を改正する法律案、十五番目の地方自治法等の一部を改正する法律案、これがただいま閣議決定を経まして、提案手続中のものでございます。
  18. 千葉千代世

    千葉千代世君 警察庁にお伺いします。風俗営業等における年少者の問題がございますが、年少者の年齢は未成年という意味ですか。
  19. 浜中英二

    政府委員(浜中英二君) 十八歳と二十歳の両方がございまして、二十歳未満の者は客に酒類を提供しないということに規制してございます。十八歳未満の者は客の接待をしたり、客の相手となってダンスをしたりしない。それから十八歳未満の者はそういうところに客と立ち入ってはならない。酒の関係では二十歳でございます。
  20. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御発言もないようでございますから、次に移りたいと思います。   ―――――――――――――
  21. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 先般、地域開発及び広域行政その他地方行財政の諸問題について委員派遣実施いたしておりますので、報告を聴取いたしたいと存じます。第一班、林虎雄君。
  22. 林虎雄

    林虎雄君 私は、先般、竹中委員長鈴木委員とともに岡山及び広島の両県下を視察してまいりましたので、その概要を簡単に御報告申し上げます。  調査の目的は、地域開発、広域行政その他行財政問題、特に予想される住民税の減収が及ぼす財政的影響等についてでありましたので、ごく大づかみに、これらの諸項目にわたって、感じた点を述べたいと思います。  まず、地域開発、広域行政についてでありますが、御承知のように、昨年の七月、岡山県では、水島、岡山を中心とする七市二十六町村を含む区域が、新産業都市としての指定の内定を見、また、広島県では、三原、福山等六市十三町からなる地域が、備後工業整備特別地域に指定され、公共事業費の重点的配分等、国による財政的配慮が期待されることになっているわけであります。  岡山県には、県内を南北に貫流する三つの史要河川がありますが、近代工業の発展に不可欠な工業用水は豊富で、これらの下流域において大規模土地造成などが行なわれ、開発の拠点となっております。特に、陶梁川の下流域にある水島港の周辺は有名で、すでに自動車、製油、ガス化学、火力発電等の産業が操業を開始しており、また、製鉄及び化学繊維等の巨大工場の進出も予定し、石油、鉄鋼の二大基幹産業中心とする重化学工業コンビナートの建設が着々進行している状況であります。  水島地区で、予定されている臨海工業用地は約四千二百六十万平方メートル、このうち、工場立地の決定を見たり、埋め立て中のもの、操業中のものが約二千六十万平方メートルとのことで、また、県が現在までに埋め立てた工業用地は四百五十五万平方メートル、農林省等が造成したものを加えると、約一千二百万平方メートルに達するとのことであります。  広島県におきましては、西部臨海地域の大竹及び広島、呉地域に近代産業が進出しており、東の備後地域にも従来から造船、機械、繊維、化学等の工業が集積しておりましたが、さらに昭和三十六年には福山市に鉄鋼一貫の製鉄所が誘致されることになり、同市地先水面における七百三十万平方メートルの埋め立てが予定どおり進行し、四十二年完工の計画を繰り上げ、三十九年中に完成することになっております。  私たちは、これらの埋め立て地をつぶさに視察してまいったのでありますが、水島では、いま申し上げたように一部稼働している企業もありますが、両地域とも、主力となる工場の建設、完成は、これからという段階でありました。  京阪神との水陸の?通が至便で、自然的条件に恵まれたこれらの地域が、ゆくゆくは北九州に次ぐわが国有数の工業地帯に発展することは、その開発規模の壮大なことからも予想されるわけでありますが、工場出荷額が飛躍的に伸長し、著しい県民所得の向上と地方財政への寄与が期待されるのは、将来の課題というわけで、地方団体としても先行投資等を通じ、今が一番困難な時期ではないかと思います。しかしながら、開発の効果は次第に県勢の振興となっており、たとえば岡山県の場合、かつて昭和三十年前後の実績で、県民一人当たりの所得で全国平均に及ばなかったのが、現在は大体平均並みに達しており、昭和四十五年には、全国平均で二十万九千円のものが、県下で約二十二万九千円となり、平均値を上回る計画目標が立てられているわけであります。  各地で提供を受けた資料等については、その詳細な分析紹介をする時間もありませんので、省略いたしますが、二、三気のついた点について次に申し上げたいと思います。  まず第一は、産業開発の動脈ともいうべき交通の問題であります。交通施設の整備地域開発の基本的要素でありまして、陸路では、現在両地域は山陽本線と国道二号線が大動脈を形成しており、一応経済的需要を充足しておるかのようでもありますが、すでに相当行き詰まりを呈しておる部分もあり、開発のテンポが急速である関係上、このままでは近い将来、にっちもさっちもいかなくなるのではないかと思います。したがいまして、国鉄の山陽新幹線の実現及び国道二号線の交通緩和をはかるため、一部事業に着工しているバイパスの早期完成等、交通網の整備を望む声が地元では強く、私どももその必要性を痛感してまいったのであります。  また、陸路と並んで、これらの地域が鉄鋼、石油を中心とする重化学工業コンビナート等、大型産業を中核として開発されようとする関係もあり、港内の航路整備も十万トン級のタンカー等の接岸を目標にしゅんせつが行なわれておりますが、水島港への通路として安全航行のため羽佐西瀬の整備が必要であり、これは現在漁業補償も終わって掘さく事業実施中でありますが、さらに西の豊後水道から紀淡海峡に抜ける険路である来島海峡の整備の早期実現がぜひ必要で、これなくしてはせっかくの開発努力も十分実効をあげ得ないものと思われます。備讃瀬戸航路の整備については、政府においても、もちろん十分に配慮されておるようでありますが、開発は山県、一市町村の力ではなし得られるものでなく、国の十分な協力なくしては達成できないものでありますから、万全措置をもって援助されるよう措置されたいと思います。  次は、新産業都市に指定された場合の財政援助の問題であります。新産業都市の建設は、国土の均衡ある開発発展により国民経済の発達に資することを目的とするもので、いわば国家的要請に基づくものであり、また、公共投資を集中しなければ所期の効果を達しがたく、その結果、地元負担は、その財政的能力の限界を越えたものとなることが考えられるわけであります。法律はつくったが、国は財政的に十分めんどうをみないということでは、国民経済の発展に重大なる支障を来たすものであり、したがいまして、国としても十分財政的に配慮する必要があり、また、県の立場からすればその財源の多くを一定地区にのみ投入することは困難な事情もあるので、やはり特例措置を講じて、負担軽減をはかる必要があるのではないかと考えます。  次は、県境における都市開発の指定について申し上げます。岡山県の笠岡市は、広島県との境にある人口約七万五千ぐらいの臨海都市で平たん地が少なく、丘陵が沿岸に迫り、海岸は遠浅で良港がなく、そのため発展がおくれたのでありますが、最近笠岡港の干拓により新たに百ヘクタールの土地を得ることになり、さらに二千ヘクタールの大干拓が計画されることになったところであります。  笠岡は、水島とは山を隔てて離れておりますが、広島県の福山とは笠岡湾をはさんで地理的な一体性を形成しております。したがいまして、福山に日本鋼管が進出することが決定したときも、両県知事と会社側で関連企業など建設の基本方針に関する協定を行ない、福山・笠岡地区を工業整備地帯と指定するよう陳情も行なってきたのでありますが、先般の指定の際は新産業都市、工特地域のいずれからも指定に漏れる結果に終わり、地元民の落胆ははなはだしいものがありました。私は行政区域にとらわれず、工業整備地帯として、一体として指定することが総合計画を樹立する上からも望ましいのではないかと思います。  次に、地域開発に必要な経費負担区分について申し上げます。地域開発にあたっては国、地方団体、民間企業等、それぞれの立場で巨額の経費負担しなくてはならないのでありますが、私は、企業誘致を望むあまり、財政力を越えて無理をしたり、また筋の通らない方法を避けるべきだと思います。地方団体としては誘致にあたり、いろいろ国道と連絡する県道をつくるとか、航路の整備を行なうとか、工場住宅川地を造成するとか便宜を供与するわけでありますが、企業の進出が将来地元を稗益するものである以上、相当程度のサービスはやむを得ないとしても、その負担の仕方はおのずから筋の通ったやり方が望ましいと思います。あるところで、県の埋め立て事業について漁業補償費は市が負担をしたということがありましたが、たとえ市の借入金の返還に県が相当配慮したものがあるとはいえ、何か割り切れないものを感じたのであります。次に広域行政について申し上げます。社会情勢の変化に伴い、従前の行政区画が当該地域の経済圏、文化圏の単位から遊離し、社会的諸問題の解決に支障を生ずるということは当然あり得ることで、われわれとしても、これらの諸情勢の変化に対応する行政組織を考えていかなくてはならないわけですが、私ども視察してまいりました先々でも、広域行政地方団体のあり方については再三質問を受け、地方の方々がこの種の問題に深い関心を払われていることを知りました。また、両県下の地域開発の状況を見ますと、地方団体の役割りというものについて従来のルーチン・ワークを守っていれば、それで済むというものではなくなってきたようであります。あらためて、地方行政の転換期と言われる意義を感じたわけであります。  次に、住民税の減税に伴う減収について申し上げます。私どもは、広島県で財政力の低い佐伯郡の湯来町を視察してまいりました。人口は八千七百人、就業人口の大部分は、農業、林業に従事しており、歳出規模は三十八年度で、約一億二千万円で、その財源として税収が約二千六百万円、交付税は四千数百万円、地方債が一千万円で、大部分を占めておるのであります。町民税は調定額で六百二十五万円ですが、課税方式はただし書きで準拠税率を採用しております。  このうち、所得額は約五百二十万円ですが、本文方式に移行いたしますと、納税義務者は千五百二十三人から六百人に激減し、また税収は三百三十万円となり、約百九十万円の減収となります。所得の階層別に見ますと、課税標準額が五万円をこえ、十万円以下のところで減収率約五割、二十万円以下が六割、三十万円以下が五割と高く、五十万円以下が三割、百万円以下が二割と低くなるようであります。財政力の弱い町村は、三十万円以下の所得者が多く、ただし書きはこれらの者に負担が多くかかっていたため、したがって、本文化によるこれら階層からの減収が多く、納税義務者が非常に少なくなるという結果を招来しているようであります。私どもは、本文化、したがって減税という線には非常に賛成でありますが、町村の減税収については、ぜひ完全に補てんをするよう要望するものであります。額としてはわずかかもしれませんが、財政規模の小さいところでは、それなりに必要があって、ただし書きをとってきたのであります。十分に補てんするよう希望してやみません。また予想される補てんの方法並びに交付税基準財政需要額に算入するということについては、不交付団体である岡山市ではたいへん困るということでありましたが、いずれ改正法等の審議の際十分検討してみたいと考えております。  以上で報告を終わります。
  23. 松本賢一

    松本賢一君 こういう派遣委員報告は非常に貴重なるものだと思うのでして、そういう意味で、これは政府の責任者の方に聞いていただきたいと思うのですよ。まあ具体的には、大臣が来られなければ、政務次官というような人にぜひ聞いていただいて、内容を取り入れてすみやかに研究し、善処していただくというようなことにしたほうがいいと思うのですがね。そういうふうにやっていただいたほうがいいと思うのですが。
  24. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) さよう取りはからいましょう。  それでは、続いて第二班、占部秀男君。
  25. 占部秀男

    ○占部秀男君 それでは第二班の報告を申し上げます。  私は、林塩委員とともに去る一月十二日から六日間、地域開発、広域行政その他地方行財政に関する諸問題の実情調査のため、愛知、岐阜、三重、三県下に派遣されましたので、調査の概要を以下簡単に御報告申し上げます。  調査にあたりましては、地域開発関係諸問題を主項目とし、広域行政、一般行財政問題等は、これに関連する事項に対象をしぼりました。  まず、地域開発の現況について申し上げます。低開発地域工業開発地区といたしましては、岐阜県中濃、三重県伊賀、松坂、尾鷲の四地区が三十七年九月十五日に第一次指定を受け、岐阜県恵那、高山の両地区及び三重県亀山の三地区が三十八年十月二十一日に第二次指定となっております。また、愛知県東三河地区が三十八年七月十二日、工業整備特別地域として閣議決定されておりますほか、特定地域総合開発計画として三県関係の木曽地域、愛知県関係の天竜、東三河地域、岐阜県関係の飛越地域、三重県関係の吉野、熊野地域の四地域が、いずれも二十六年十二月四日指定を受け、今日に至っております。  以上のうち、低開発の第二次に指定を受けた恵那、高山の二地区におきましては、いまだ関係市町村による協議会も設けられていない状況でありますが、第一次指定の中濃地区におきましては、立地的に工業化可能地域としての諸条件に恵まれ、かなりの成果をあげているとのことであります。特定地域につきましては、事業種類によって進捗率に著しい不均衡があり、開発効果が減殺され、現在においては地域性を失ってしまっていることは、他の特定地域の開発の場合と同様であり、工業整備特別地域については具体的な整備方針が決定されていないために、関係県の総意として必要な法的措置を初め、開発資金、公共事業費の重点配分、地方債の別ワク及び増額、国庫補助率の引き上げ等の要望事項が出されておりました。  その他、県の開発計画といたしまして、三十六年に愛知県新地方計画、岐阜県産業開発十カ年計画、三重県長期経済計画が作成され、それぞれその推進について全県的あるいは市町村ブロック単位に協議会を設けるなど、努力が払われております。  なお、三重県は、近畿圏整備法により近畿圏整備地域に含まれていることを申し添えておきます。  およそ地域開発を考えます場合に、開発の究極の目標が地域を発展させ、地域住民の福祉の向上にあることはいうまでもありませんが、私どもは、三県の開発の具体的目標が重化学工業を中心とする工業の地域開発におかれている現段階において、地域産業発展と住民生活との、バランス――工業基盤整備とともに、生活環境整備がこれに即応することの何よりも緊要であるとの観点から、四日市市をはじめ、工業化進行地域の公害問題、恵那及び高山の低開発工業開発第二次指定地域の都市化と産業近代化をめぐる諸問題、木曽三川の総合開発と広域処理をめぐる三県合併とこれに関連する諸問題、束三河工業整備地域等工業分散を集中及びこれに対応すべき社会資本整備に関する諸問題を調査の対象といたしたのでありますが、時間の関係上、四日市の公害問題について報告させていただきたいと存じます。  およそ、公害問題こそは一貫性と総合性を欠除した地域開発の危険性を暴露したものでありまして、社会資本の不足から生活環境整備があと回しにされたことに由来するものでございます。私どもは、今回の調査にあたり、二日間にわたり県、市当局はもちろん、公害地区の住宅地または商店街において市民から実情を聴取する等、この問題に検討を加えてまいりました。  四日市は、石油化学工業都市としてその成長発展が著しく、工業生産額についてみると、三十年に五百四十一億円であった出荷額が、三十七年には一千六百四士五億円という増加ぶりでございますが、その反面、いわゆる公害問題を惹起し、深刻な社会問題となっております。同市における公害問題の顕在化は、塩浜地区を基盤として石油コンビナートが本格的に稼動を始めた三十五年からでございます。電化学工業関係工場のほとんどは四日市港を中心とした塩浜、日永、河原田、港、午起地区の臨海部二百万坪に集中的に立地し、公害上から見た場合、一大汚染源を形成しているのであります。急激に発展膨張したこれらの工業地帯は、既存の住宅地帯、特に市営住宅地帯に隣接しており、工場地帯周辺の住民との間にガス、煤煙、悪臭、騒音、汚水等、深刻な公害問題が続発しておりますし、地区的には塩浜地区及び東橋北地区が最も大きな被害地となっております。公告に関係の深い地区の世帯、人口数は一万五千五百四士五世帯、六万六千五百十四名(三十七年常住人口調査結果)でありまして、同市の約三分の一に当たっております。午起地区に第二の石油コンビナートが三十八年三月、試運転を開始してからは、公害事例の増加と汚染範囲の広域化はまことに顕著なものがございます。三十七年に市当局に対する苦情陳情の件数が十五件であったものが、三十八年には百六十八件というのであります。その内訳について申しますと、悪臭ガス百二件、煤塵三十件、ガス煤塵合併十件、騒音士五件、水質汚濁十一件となっており、振動音、刺激性ガス等複雑なものも含まれております。なお、これらは同市の気象風向の関係から、その八五%が六月から十月まで集中しております。そのうち、特に硫化水素、メルカプタンその他石油系各種炭化水素等による悪臭問題は、市民に直接敏感に反応し、不快感を催すため、その件数も最も多くなっておりますが、四日市公害の主体をなすものは、直接感受されにくい悪硫酸ガスによる大気汚染源でありまして、同市における亜硫酸ガス発生源の集中化と石油系燃料への依存度の高い特性から、気象支配による亜硫酸ガスの断続的な高濃度現出と亜硫酸ガスそのものの増加傾向、汚染の広域化が問題となっております。亜硫酸ガスの発生源は、中部電力の重油専焼火力発電所によるもの八〇%、石油化学工場によるもの二〇%ということでありまして、中電の三重火力発電所のみについてみても、重油消費量一日三千トンとして、排出される亜硫酸ガス約百五十トンとなるのであります。関係地域住民の間でも大気汚染と気管支ぜんそく等の呼吸器系疾患との関係が問題視され、三十七年に県が一斉検診を行なったところ、特に被害のひどい塩浜地区では、住民約一万二千人のうち、ぜんそく等類似疾患三百八十人、そのうち十才以下及び五十五才以上の罹患率は一般地域の約三倍ということでありまして、これが予防及び診療についての施策が住民の世論として提起されつつあることは、大いに注目されるところであります。しかしながら、重油中に含まれる硫黄分は、世界最下級の重油を輸入するため三%もあり、煙道で脱硫しない限り全量煙突より放出されるのでありまして、脱硫面の対策としては、三十八年以来通産省において研究中でありますが、技術開発が進んでいないため成果が期待できず、現在においては重油専焼発電所の亜硫酸ガスは防止できないとされているのであります。石油化学工場においては料ナフサ、これはガソリンと灯油の中間物質だそうでありますが、粗ナフサを原料とし、これは硫黄分が少ないとのことでありますが、悪臭の原因となる炭化水素の漏洩が問題でありまして、これはまた、オートメーション化しているため監視による防止がむずかしいとされているのであります。防塵、防音等の問題については、企業側において相当の努力と成果があげられておりますが、一方、水質汚濁として工場の汚廃水、ごみ、バランスに起因する異臭魚が年間百トン程度水揚げされるということでありまして、返品、値引き等に基づく紛争は、北伊勢地域等が好漁場であるため深刻なものとなっておりましたが、市当局の努力により港内については完全に漁業権を買収したとのことであります。  以上、公告の実情について申し述べましたが、これが対策としては、三十五年十月、市には、市長の詰問機関として市議会議員、事業場代表、学識経験者の構成による公害防止対策委員会を設置し、三十五年十一月以来大気汚染に関する調査を、三重県立医大、名大等に委嘱調査を行なっているほか、市政執行内部に、三十八年五月、公等問題連絡会議が設けられ、県においては三十八年七月、公害対策室が設置され、公共用水域の水質の保全に関する法律による水質保全地域の指定を受け、早急に水質基準を設定されるよう経済企画庁、厚生省に促進方を陳情中でございますが、海水に対する汚濁調査が不十分であり、本年秋ごろには調査の結論が出て規制できる見込みとのことであります。被害漁業者対策としては、県当局は、関係市町村、紡績工場に至るまでの関係工場の協力を得て、秋までの期間の補償として産業相互の協和をはかるという見地から、一億円の基金を造成し、(県四千万円、市町村三千万円、工場関係三千万円)、これを県の補助金とし、北伊勢漁業開発株式会社に一括交付し、これをもって鈴鹿市白子町に鉄筋アパートを建設、これが約五千六百万円、漁家の経済安定の一助にすべく、残余は冷蔵施設、ガソリンスタンド、ショッピングセンター等、収益事業に使用することとしております。  大気汚染対策としては、汚染物質、汚染源の追及とともに、工場に対する除害設備設置の指導及び融資のあっせん、ばい煙等の排出の規制に関する法律による地域指定を早急に受け、ばい煙発生施設及び排出基準の規制を受けるよう努力中でありますが、さしあたっての措置として、航空自衛隊のヘリコプターにより週二回上層気温調査実施中であり、さらに上層気象の解明につとめ、大気汚染警報により汚染状況を一般住民に周知せしめるとともに、工場に対し燃料転換、燃焼中止等の処置をとることにつき検討中とのことであります。その他パトロール、除害設備、医療対策等、実施または計画検討中であります。なお、ばい煙の排出の規制等に関する法律等では規制対象にならない工場、事業場が四日市地区には相当あり、また他地域についても公害の万全を期するため公害防止条例を制定すべく準備中であります。  公害の発生は、工業化進展と地域整備の不調和によるものであるため、単に公衆衛生上の問題にとどまらず、今後工業化進行や産業構造の高度化を予想するときに、産業環境の問題として国民生活上重大な問題を招来するのみならず、地域開発そのものを阻害する要因となるのであります。したがいまして、公害問題は事後の被害対策のみならず、積極的な防除対策が推進されなければならず、企業の集中と分散における計画性と合理的な土地利用の計画、社会資本の充実による生活環境の整備はもとより、一般的な公害防止法の制定と地域開発諸法規の公害対策についての配慮とともに、被害対策には地域住民の生活環境整備のため財政援助を必要とするのであります。四日市当局におききしては、市の南部丘陵地であります旧海軍第二燃料廠あと五十万坪を、地元側と交渉の結果、三十八年二月、一括無償払い下げを受け、西半分は住宅公団の手で四千戸の住宅団地を開発し、このうち一部については、公害の最もひどい地区の集団移転をはかるべく、公団側と折衝中とのことでありまして、残余の部分の公園緑地化計画と相まって、まことに適切なものと考えた次第であります。四日市公害の今後の対策は、脱硫の方法と都市計画にかかってくるわけでありますが、国の三十九年度予算から見ますと、経済企画庁に地域経済計画調査調整費五千万円、うち公害関係前年度実績百五十万円、通産省に産業公害対策費千八百万円、厚生省に四千九百六十八万円計上されておりますが、国立公害衛生研究研、地域別都市公害調査費、公害モニタリング網整備費はいずれも要求が全額削除されているという貧困さであります。これは、現在の国の公害対策が、公害は地方自流団体が処置すべきものとしている結果でありまして、公告の原因が、国の地域開発政策に一貫性がないために、公共投資が集積度の高い地域に集中する民間資本に振り回されて、生活環境整備がおろそかになる結果に由来するものであり、地域開発諸法規並びに計画がいずれも公害防止に対する配慮に欠けていることを考えますならば、一般的な公害防止法の制定とともに、国の総合的、積極的な対策が望まれる次第であります。  また、ばい煙防止法には警告措置規定があるのに、四日中には測候所がなく、気象条件に左右される大気汚染について警告を出すべきよりどころを持たないこと、市、県当局のみに被害対策がしわ寄せされていることを考えますと、公害に対する国の前向きの対策と、地域開発に対する総合性と計画性が望まれる次第であります。  以上、簡単でございますが、報告を終わりたいと思います。
  26. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 別に御発言もなければ、これにて終了することにいたしたいと存じます。  なお、この機会に松島官房長に申し入れしておきますが、ただいま松本理事の御発言のように、委員派遣内容はきわめて重要でございますので、今回の一班、二班の報告内容を詳細に大臣はじめ下部の方々に御報告願いたいと思います。  次会は二月四日(火曜日)、午前十時開会の予定でございます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会