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1964-06-26 第46回国会 参議院 地方行政、商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十六日(金曜日)    午後二時五十五分開会     —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     竹中 恒夫君    理事      石谷 憲男君    理事      西郷吉之助君    理事      西田 信一君    理事      松本 賢一君            井川 伊平君            井野 碩哉君            岩沢 忠恭君            加藤 武徳君            小林 武治君            館  哲二君            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            松澤 兼人君            光村 甚助君            辻  武寿君            基  政七君            市川 房枝君   商工委員    委員長     前田 久吉君    理事      赤間 文三君    理事      上原 正吉君    理事      近藤 信一君    理事      向井 長年君            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君     —————————————  出席者は左のとおり。   地方行政委員    委員長     竹中 恒夫君    理事            石谷 憲男君            西郷吉之助君            西田 信一君            松本 賢一君    委員            加藤 武徳君            小林 武治君            館  哲二君            鈴木  壽君            千葉千代世君            林  虎雄君            松澤 兼人君            光村 甚助君            辻  武寿君            基  政七君            市川 房枝君   商工委員    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君    委員            八木 一郎君            吉武 恵市君            藤田  進君   衆議院議員    発  議  者 遠藤 三郎君    発  議  者 上村千一郎君    発  議  者 神田  博君    発  議  者 重政 誠之君   国務大臣    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業省企業    局産業立地部長 馬郡  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○工業整備特別地域整備促進法案(衆  議院提出)     —————————————   〔地方行政委員長竹中笹夫君委員   長席に着く〕
  2. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ただいまから地方行政商工委員会連合審査会を開会いたします。  工業整備特別地域整備促進法案について質疑を行ないます。御質疑の方は順次御発言を願います。
  3. 加藤武徳

    加藤武徳君 それでは、ただいまの工業整備特別地域整備促進法案について二、三の点を質疑して明らかにしたい、かように思います。  政府は、昨年の七月の十二日に新産都市十三カ所と同時に工業整備地域六カ所を指定になったのでありますが、当時与党である自民党の考え方としては、少なくとも四十数カ所の申請のうち、二十カ所程度は新産都として指定をすべし、かような意見であったのでありますが、結果といたしましては、いま申し上げましたような十三カ所と並びに工業整備地域六カ所、かようなことになり、当時の政府説明としては、両者を合わせればおおむね二十に近いではないか、かようなことであったのでありますが、そこで、この機会に明らかにしたいと思いますのは、新産都市と、そして、ただいま審査に入っておるこの法案に盛り込まれておるいわゆる「工業整備特別地域」との性格的な違いがどんな点にあるのか、この点を政府から御答弁願いたいのでありまして、もとより法の根拠も違います。そして規模の点でも違うといえましょう、新産都も大きな規模のものもあり、またそうでないものもある。また、工業整備地域相当大きな規模のものもありますが、規模の点で、もとより若干の違いがある、また熟度の点でも違いがあるんだ、かような点はありましょうが、しかし基本のねらいとしておるものが、はたして同じような方向のものであるかどうか、この点、いわゆる工業整備地域の性格について、政府考えておられますることをまず伺いたい、かように思います。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 新産業都市たるべき地点指定は、御指摘のように昨年七月にいたしたわけでございます。この地点を選ぶにつきましては、法律の第一条にもございますように、将来、現在の大都市の人口、産業の過度の密集を排除し、及び地域格差の是正をはかるという見地から、かなり遠い将来、たとえば、七年とかあるいは十年とかいうことを考えておるわけでございますが、それまでに指定をされました地方に、公共投資を先行的に行ないまして、そうして企業がこれらの公共投資の上に乗ってその地方に分散をする、そういう地帯をつくり、しかも、それはただ工業地帯をつくるというにとどまらず、おそらく相当広範な地域でございますから、工業ばかりでなく、周辺衛星都市あるいはその周辺農村地帯、これらのものが一体となって、産業ばかりでなく、文化、環境衛生等をも含めた、手足の整った、いわゆる都市地域を形成する。こういうことが法の所期しておる目的であると考えましたので、そのような地帯にふさわしいと考えられる十数地点指定をいたしたのであります。ただ、新産業都市の問題が相当論じられ、世の関心を引くに至りました過程で、そもそも新産業部市とは何であるかということについて、必ずしもはっきりした理解が世上になかったように思われます。したがって、指定を希望せられる地方の中には、ただいま加藤委員が御指摘のように、相当経済的な熟度が進んでおって。現実幾つかの事業が入り、また確実に入ることがきまっておるというような地域がございまして、これらの地域には、従来より鉱工業地帯として公共投資重点配分を行なってきたものが多かったわけでございますが、片方で、ただいま申し上げましたような観念に基づいて、新産業都市たるべき地域指定を行ないました。その同じ時点において、それより熟度が高く、公共投資を傾斜させることによってその効果が速急にあらわれると思われる幾つかの地点を引き抜きまして、そうしてこれを工業整備特別地域として閣議決定をいたしたわけであります。したがって、本来から言えば、新産業部市に推定をいたしました地域は、七、八年あるいは十年先を考え公共投資をいたすわけでありますし、また、それらの地域は、一つ都市としてのエリアとして私ども考えております。それに対して工業整備特別地域は、それに比べてより産業的な、そうしてまた、公共投資先行性も八年なり十年ということでなく、現在すでに行なわれ、あるいは近い将来に相当重点的に行なわれる必要のある地域、こういうふうに私どもは認識をいたしておるわけであります。
  5. 加藤武徳

    加藤武徳君 いまの御説明で必ずしも新産都と工業整備特別地域との区別は明確ではないし、また、新産建設促進法が制定された直後、各地域が、必ずしもこの法の精神どおり考え方政府に内意を伺ったかどうか、この点、疑問の点がないでもないのでありますが、そこで、宮澤長官は、新産都の指定地域を選考なさる段階で、公になったかどうかは明らかでございません、あるいは個人的なお考えであったかもしれませんが、私は非常な卓見だ、かように思った節があるのでありますが、それは、主として瀬戸内海、特に本州瀬戸内地帯に対しまして、いわば瀬戸内ベルト地帯としてこれは不離一体関係考えるべきだ、かようなお考えを持たれたことがあるやに聞いておるのでありますが、さような考えをお持ちになったことがあるかどうか。また、現在もそういう気持ちを持っていらっしゃるかどうか。もし私的な考え方で、公にできないとおっしゃるなら、それもけっこうでございますが、もし御答弁願えれば、その点を明らかにしていただきたい、かように思うわけです。
  6. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 瀬戸内海北岸本州地帯が、おそらく近い将来には東西連ねまして、相当長い一帯となった工業ベルト地帯になるだろうということを当時私は考えておりましたし、現在もさよう考えております。ただ、いまの段階で申しますと、たとえば岡山県の県南地方のごとく、県において相当大きな町村合併現実考えられ、そうしてそれを推進してこられたような地域がございます。この部分は、かなり沿岸から離れたところまで県としては構想しておられる。そういう地域は、ただいま申し上げました沿岸に近いようなベルトから多少はずれることはあるかもしれないと考えます。しかしながら、沿岸について考えます限り、ただいま加藤委員の仰せられましたようなことが、おそらくは近い将来に現実になるであろうということは、ただいまも考えております。
  7. 加藤武徳

    加藤武徳君 そこで、瀬戸内本州地帯では、ただいま宮澤長官が御指摘岡山県の南部地帯新産都として指定を受けているのでありますが、今回、議員発議でただいま審議対象になっているこの法案には、昨年七月の閣議決定を経ました六地区、法第二条に列挙しておられるこの六つのうち、その半数の三つまでは瀬戸内、いわゆる瀬戸内ベルト地帯に入っているのであります。それも単に新産都一カ所とそれから工業整備地区三カ所という単なる数の問題ではなしに、これを地図に表示してみますと、宮澤長官の私は卓見だ、かように申し上げ、また、いまもその考えに変わりはないと、かように言われる瀬戸内ベルト地帯のほとんどの海岸に面している町村指定をされているのでありまして、今日、兵庫県側の瀬戸内の一番東の地区では、神戸に隣接してずっと岡山県の境まで、赤穂市までがすべて播磨地区としての工業整備地区に入っておる。岡山県に入って、一、二の町を除いて、それからはずっと新産都の指定を受けている地域だ。また、広島県に接して特に笠岡市を除いたのみで、広島県側に入ると、またずっと福山市から工業整備地域なんだ。また、山口へまいりましても同様な形なのでありまして、私は、実態は、今回の工業整備地区と、そして新産都とを一体として宮澤長官の頭に描いておられるベルト地帯が、いわば実質的に完成しているのだ、かような見方をしているのでありますが、その見方でいいかどうか、長官意見をもう一ぺん聞いておきたいと、こう思います。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 非常に大まかな経済地理から考えますと、やがてそういうことが現実になってくるものと私は考えております。
  9. 加藤武徳

    加藤武徳君 そういたしますと、私は、今後新産都と工業整備特別地域とは、相並行して工業開発に力を入れる。また、そのことが均衡ある国の経済発展をはかる道だ、こういうことで、最初申しましたように、大方向としては同じ向きに向いているのだ、ただ、熟度の点であるとか、あるいは地域点等で若干の違いがあるが、大きな方向としては大体同じだと、かように思うのであります。そこで、かような地域に対しまして、国が今後財政的にどのようなてこ入れをなさるか、これはもとより今後のことではありますが、しかし、新産都につきましても、いろいろ国会で議論がなされており、また、今回のこの法案審議にあたっても、衆議院商工委員会におきましては、この点が取り上げられて審議をされた、現に附帯決議もできたようでありますが、その附帯決議に対して、政府は、決議方向に従って努力をするのだ、かような答弁もしておられるやに聞くのでありますが、そこで、新産都の地域並びにかような工業整備特別地域に対して、今後は具体的なことは別にして、政府としては十分力を入れていくという決意がほんとうにできているかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 本来、新産業都市建設促進法ができましたときの考え方では、これによって政府が長期の公共投資を先行さしていく、そしてそれがある程度進みました段階で、企業がここに入ってまいりまして、そしてその企業の産出するところの工業中心とする出荷額、あるいは新産都市工業だけではございませんから、それを中心にするところの経済力発展によって当該地方相当の新しい経済力が生れてくる。また、それによって地方が分担すべき公共投資のうちの地方分担分についても、地方がこれを負担し得る能力を将来取得するであろう、そういう考え方から、したがって、当面地方負担すべき財政負担については、将来これを地方において償還し得るような、あるいは現実負担し得るような形での措置を講じておけばいいので、端的に申せば、それは起債等々によってまかない得るのではないか、がいして新産業都市建設促進法がかかりましたときには、そういうふうに考えられておったのではないかというふうに考えます。しかしながら、その後、ただいままだ建設基本計画を出してこられた地方はございませんけれども建設基本計画を練っておられますと、当面の負担というものがやはり相当大きなものであって、起債のみをもってしては、すなわち、将来の償還に負担をかけるといったような負担のしかたでは、これをまかない得ないのではないかという議論が、関係地方から出てきているわけであります。そのことは私どもも承知をいたしております。したがって、法の本来の考え方はさようでありましたかと思いますが、そのような現実の事態に面して、国として新たに何らかの形で地方負担を将来でなく、比較的現在、あるいは近い将来に軽減するという方法は考えられなければならないのではないか、そのことの可否いかんといったようなことが私どもの内部でも問題になっております。したがって、この点は速急に地方財政実情並びにこれから行なわれるであろうところの公共投資、それからそれに応じて地方が誘致するであろうところの企業状態等等を勘案して何らかの結論を出さなければならないというふうに、ただいま考えておるわけであります。ほぼ同じことがただいま議題になっております工業整備特別地域についても考えられます。この場合には、現実相当企業が来ておる、あるいは来つつあって、相当工業出荷額にすでに達しておる地方が多く、また、それが早急にふえるであろうというふうに考えられるわけでございますから、新産都市指定をされた地域に比べますと、地方負担能力はかなり大きいということは、比較論としては言えると考えます。けれども、かなりの大きな公共投資のその一部を、少なくとも地方負担をしていかなければならないという事実においては共通点がございますように思います。したがって、両方の問題は一括して政府として検討すべきものではないか、このように私は考えておるわけであります。
  11. 加藤武徳

    加藤武徳君 具体的にどのような助成措置をとっていくかは今後の問題として、いま、はっきり前向きで地元負担を軽減させることに努力をするんだと、かような明確なお答えがあった、かように理解をいたします。そこで、法案の第四条には、整備基本計画を策定する際、施設の整備を行なうべきものとして幾つか列挙いたしております。工場用地住宅及び住宅用地工業用水道、道路、鉄道、港湾、あるいは水道、下水道と、かような公共事業を今後活発に行なうことによって地元負担は当然増高する、その負担に対して政府ができるだけの助成措置を行なうんだと、このことが明らかになったのでありますが、そこで、また話が戻りまして、瀬戸内ベルト地帯のうち、ごく一部の地域が、先ほど指摘をいたしましたような何カ町村か、海岸線とはいいながら残っておる。特に岡山県下におきましては、兵庫県側の二二町カ並びに広島県側に接しております一町一市、これがいわゆる海岸ベルト地帯から漏れておるのでありまして、そこで、兵庫県寄りのものはさておくといたしまして、広島県側のいわゆる笠岡地区につきましては、新産業都市指定問題、あるいは今回の工業整備特別地域の問題以前に、すでに鉱工業地帯整備協議会というのがございましたな。この協議会でもずいぶんと検討されまして、特に昭和三十七年の七月には福山笠岡、この地域鉱工業整備地帯としての指定に準ずる扱いをするんだ、かような考え方をこの協議会は打ち出しておるのであります。また、政府が昨年の十一月の一日に工業整備特別地域整備基本計画作成等についてこの閣議了解を得ておられます中にも、今後は、この鉱工業地帯整備協議会を活用するんだ、この協議会考え方をできるだけ生かしていくんだ、こういう趣旨が盛り込まれておると思うのでありますが、そこで、端的に申しまして、いわゆる備後地区という名称から受けます地域広島県側のみである、かような印象を受けがちであります。また、政府はそういう考え方を持っておられるのではないかと思うのでありますが、しかし、たまたま行政区域を異にしており、県が異なるということのみの障害によって岡山県の西部地区広島県の東部地区とが一体指定を受けておらぬ、このことは、私は地域開発の上に今後非常な障害がくる、かように思わざるを得ないのでありまするし、特にコンビナートの造成には、マンモス・タンカー等が接着する港湾が必要である、これはもとよりでありまして、すばらしい港湾計画も持たれておるのでありますが、ただいま広島県側と岡山県側との県境に関して若干のいさかいがございます。かりに岡山県側が主張する考えが正しいと仮定をいたしますと、この港のほとんどが行政区域としては岡山県側だ、また広島側の主張なさることが正しいと仮定をいたしましても、少なくとも港の半分以上は岡山県側だ。かように、県境に接しましてすばらしい港湾建設をされる、かような運びになっておるのでありますが、そこで先ほど長官の御答弁の、今後公共事業等をじゃんじゃん進めていく、そうして地元負担分に関しては、できるだけ政府てこ入れをしていくんだ、この考え方をかりに推し進めていくといたしますと、港の半分は十分政府が助成する立場である、しかし岡山県側の半分はそうではないんだ、かような、きわめてへんぱな結果が生まれる、このことを私は憂慮いたすのでありますが、しかしこの点も衆議院審議をされた段階において、決してこの法案に列挙されておる六つ地域名称にはこだわらないんだ、そしてできるだけ実情に即するような配慮を、今後行政の上で十分していくんだ、かような御答弁があったようでありますから、私のいまの危惧の大半は解消した、かように思うのでありますが、そこで具体的に長官に伺いたいのは、去年の七月の十二日、六地区閣議決定を行なっておられる、この中の備後地区というのは、おそらく広島県側のみの地域だ、かように考えたでありましょうが、この考え方を、近い機会閣議決定がやり直すという形になるか、どういう形か、とにかくただいま私が申し上げましたような考え方、すなわち実情に即するように地域をきめるんだ、この具体的な対象として手直しをなさる腹をおきめになっておられるかどうか、この点を伺っておきたい、こう思います。
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 加藤委員が冒頭にお述べになりましたように、それに私がお答え申し上げましたように、経済的の観点からいえば、あの地帯、ことに瀬戸内海北岸というものは、やがて一帯鉱工業地帯になるであろうということは、私はほとんど疑う余地がないように思います。経済は申すまでもなく、県境あるいは市町村の境にあまりこだわりなく動いていくものでございますから、そういうことがおそらくやがて現実になってくるであろう、これはほとんど疑いがないと思います。現実の問題にいたしますと、地方公共団体市町村あるいは県といったようなものが行政区域を持っております。またその間に、過去の沿革からするところの住民感情もあると思います。それから公共投資をしていきます上には、当該公共団体負担といったような問題もあると思います。したがって、ただいま御指摘になりました具体的な地域について私ども考えますことは、衆議院で申し上げましたように、名称にこだわるというつもりはございません。ただ、これが経済的な一体性から、県境を越えて一つ地帯を構成するというためには、ただいま後段に申し上げましたような、地方自治体の持っております行政区域の問題あるいはその間の沿革から生じておるところの住民感情の問題、それらを無視するわけにはまいりませんので、したがって、関係の両著において、関係者が各段階でいろいろあると思いますけれども、両側の関係者間において、そういうことが望ましいと、そうして、そうしようではないかという機運になってくれば、私どもはこの名称にこだわって云々するということはいたさないつもりであります。そういう条件が具備いたしましたときに、あらためて閣議了解をやり直す必要があるかどうかといったような問題は、たいした問題でございませんので、そういう自然的な条件が成熟するかどうかということだけが問題であると、かように考えます。
  13. 加藤武徳

    加藤武徳君 宮澤長官のお気持ちもよくわかりました。そこで、新産都の指定にあたりましては、政府勇断をもって両県にまたがる地域指定しておられます。これは、おそらく長官とされても若干のトラブルはあるかもしれないということを予想しながら決意をされたものだと、かように理解をするのでありまして、具体的には福岡県と熊本県の間に指定の内示をお与えになった直後、若干のトラブルが両県にございました。しかし、政府勇断に対して地元十分協力をする、かような体制になって、今日一体でやっておるのでありまして、私は、今回の工業整備特別地域につきましても、もとより地元十分話し合いをいたしましょう、そして政府が十分受け入れるような条件をつくるということも必要ではございますが、同時に、政府はこれを積極的に誘導する、指導する、そして一体としてやらせるんだと、かような方向でお考えを願いたい。このことを希望しておきます。  それから次に、整備地域の定め方につきまして、発議者に若干伺っておきたいのでありますが、新産業都市の場合は、政府が一方的にぴしゃりと指定をし、きめるというのではなしに、関係都道府県知事申請によるんだと、また、関係都通県知事市町村長協議をした上で政府申請をするんだと、かような慎重な、また見方によっては民主的な処置をとるような形に新産業都市建設促進法はなっておるのであります。また、区域の変更あるいは指定取り消し等につきましても、詳細な規定を設けておるのでありますが、今回の議員発議によるこのいわゆる工特法案には、さような規定が設けられておりませず、第二条の第二項に「内閣総理大臣は、前項の工業整備特別地域を定めようとするときは、関係県知事及び地方産業開発審議会意見をきかなければならない。」、かように関係知事の意見を聞くことにはなってはおりますが、しかし、新産都の場合のように、知事の申請を待つのだ、また知事は市町村長協議をしてきめるのだ、かような慎重な扱いではない形になっておるのでありまして、もとよりこれは実際の運営の面では大差はないでしょう。しかし、こういう指定のいわば簡略な形式になすったことには、何か意味がおありであったのか。あるいは、さような煩瑣な方法をとるよりも、もう地元政府一体なんだ、そこでそういう形式のことは言わぬでもいいではないかと、かような軽い気持ちであられたのか、この辺を承っておきたい。こう思います。
  14. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいまの御質問でありますが、新産都市工業整備地域との違いの一つの要点になっておりますそれは、工業整備地域におきましては、工業の発達がある程度まで進んできておる。そして、その熟度も非常に高いし、投資効果も相当高い地域でございまして、方向が大体きまっておる。でありますから、直ちに総理大臣が指定をする、閣議決定をするというたてまえになっておるのです。基本計画を指示するというような新産都市の場合とは、その点が非常に違っておるのでありまして、それは両地域工業の発達の程度が違っておると、そういうたてまえからくる当然の結果だと私は思っております。
  15. 加藤武徳

    加藤武徳君 よくわかりました。  そこで、最後に一点だけ希望を申し上げておきます。整備基本計画を作成するにあたりましては、幾つかの条件がありますが、その中に「公害の防止について、適切な考慮がなされるようにしなければならない。」、かような表現が第四条にあるのでありまして、多くを言う時間がないのでありますが、先般の新潟地震等におきまして、公害等について十分な配意がなされておらないところに災害が非常にひどかった。かような事実がごく最近あるのでありまして、したがって政府は、整備基本計画を作成させるにあたりまして、この点に十分意を配っていただきたい、このことを希望して私の質問を終わります。
  16. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと関連して。いまの加藤委員のお尋ねに対して、提案者は、総理大臣の指定関係について、新帝都市との通いについてお答えになっておりますが、それはいまお話のあったようなことでいいかもしれませんが、もともとすでに指定されたものに対して、新産都市と違って、いわば根拠になる法というものがいまのところない、こういうことで、いわば根拠法というようなことで追いかけてこういう法律をつくったということになるのじゃないかと私は理解するのですが、その点はどうでしょう。
  17. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいまの御質問の点でありますが、これは御承知のように法律になった場合と、閣議決定の場合とは非常に意味が違うのでございます。政府がかわったり、そのときの情勢によって閣議決定はいつも変えられるおそれがあるわけでありますから、この工業整備特別地域のような相当長年月にわたって長期の計画を立てて進めなければならぬこういう建設計画におきましては、どうしても国家の意思としては、はっきりきまった法律が必要だろう、この点を特に強調して、われわれ提案者としては考えた次第でございます。なお、これをやっている間に、だんだん議論が出まして、たとえば公害の問題等については、新産都市のほうにはあまり詳しい規定はありませんでしたけれども、最近の情勢というものは特に重要であるということで、特別の考慮を払うというような規定も入れましたし、今回の衆議院附帯決議におきましても、その計画について考慮を払うだけでなくて、事前にそれを計画の中に必ず織り込んでいくようにしろと、そこまで注意深く、周到にやっていくというような、新しい時代に即応するような規定もこの法案に入ってきているのでございます。しかしいろいろこまかな点については、多少違ってきておりますが、大まかな基本方針については、国家の方針として法律で明定する、こういうことでございます。
  18. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでお話はよくわかりました。私がお聞きしているのは、あなたのおっしゃったように閣議決定だけでは心もとない。したがって、はっきりしたものをつくったほうが、しかも長い将来にわたって建設計画なりをし、それに基づいて実施していかなければなりませんから、そういうものが必要なんだ、こういうことについては、私も十分わかりますが、ただ、第二条ですね、一から六までの地区をきめておりますね、そしてその地域とは「次に掲げる地区に係る地域内閣総理大臣が定めるものをいう。」と、こうあります。ところが実際問題はこの地区がすでに指定されております。もうすでに指定されております。新産都市の場合に、さっき長官からいろいろお話がございましたが、性格上の問題としてはいろいろあると思いますが、ともかく工特地区として指定されておる六カ所、そのときには新産都市指定の際におけるような、指定そのものの出てくる根拠法はなかったわけですね。いまもないと私は思うのですがね。これはあとでひとつ長官のほうからもお聞きしたいと思いますが、ないですね。そこで、ないからお話のようなお考えで、こういうものをつくらなければならぬ、こういうふうになってきたんだろうと私は思うのです。ただ、こうなりますと、一から六までのこの地区、少なくとも、工特整備の特別地区、これが固定したものであって、将来にわたってこの地区以外にはないのだというようなことに、このことからすれば読めるようなところもある。法律ですからあとで直せばいいじゃないかといえば、それはそれとして、少なくとも現段階としては、そういうふうに解釈せざるを得ない、特定の六地区から総理大臣が指定をするのですから。ここに私はひとつこの地区に対してどうのこうのということでなしに、さっき長官加藤委員の御質問に答えて、いろいろベルト地帯とか一体性ということをおっしゃっている、こういうことの中にも多少問題が出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのですが、しかし、それはともかくとして、こういうものは、政府であれですか、工特地域の根拠になるべき法として考えておられなかった点なんですか、どうですか。その点はさっき言ったように、新産都市におけるあの促進法と同じような関係のものとして考えて——当然考えなければならぬだろうと思うのですが——それは、いままであまりわれわれにはどう考えていいかわからなかったのでございますが、そして、議員提出でこういうものが出てきた。こういうことからして、政府としてどう考えておったのか。そしてまた、これをどう受けとめておられるのか、これをひとつお聞きしたいと思います。
  19. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) これは提案者の御趣旨を私がそんたくいたしまして、すでにとられた行政行為との関係を申し上げればよいのかと思いますが、本来、政府といたしましては、このような法律がなくても、重点的に公共投資を配分するという目的は達し得るであろうと考えておったわけでございます。しかし、国権の最高機関の御意思によって、かりにこのような法律が成立すると考えました場合に、すでにとられました行政行為との関係は、このようになると思います。すなわち昨年の七月に閣議決定をいたしまして、六つ地区指定をいたしました。これは法の根拠に基づくものではなくて、政府の一般的な行政権に基づくところの指定であるというふうに私どもは解釈をいたしております。その後に、今回この法律案が成立いたしますと、この法律案の第二条によって、たまたま政府行政権の発動として考えておりましたのと同様の地区が第二条によってきめられるわけでございます。第二条にはその点について、「次に掲げる地区に係る地域」というふうに表現をされております。したがって、第二条の二項、三項を合わせて読みますときには、これらの六つ地区のうちで具体的にどれどれの地域指定するかということが第二項によって内閣総理大臣にまかされ、そして第三項によって、その地域をきめたときには官報で公示をしろ、こういう法律案の趣旨であると思うわけであります。たまたま政府が昨年七月にいたしましたこの六地区指定も、この六地区が具体的にどれどれの地域にわたるものであるかということについては、何らの決定をいたしておりません。私どもは当時、昨年十一月の閣議了解の趣旨に従って当該地区から基本計画が出てまいりまして、それを内閣総理大臣閣議決定をいたします際に、その地区とはいかなる地域を意味するものであるかということを最終的に確定をいたしたい、こういうふうに思っておりました。その間に、今度この法律案が法律として成立をいたしますと、これらの地区のうちで内閣総理大臣地域を定めまして、そしてそれを官報に公示をする、それらの行為は、今後は、今度成立いたしますこの促進法に従って内閣総理大臣がそのような行為をする、そういう両者の関係になると思います。
  20. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいまの質問のうちで、この法律では六地区対象にしておるが、六地区に限定する考えかどうかというふうな意味の問題に触れておりましたので、その点についての提案者の考えをちょっと御説明申し上げたいと思います。  この点については衆議院段階でいろいろ論議されまして、一応法律ではこの六地区ということを書いてありますが、第一条に定めてあるような条件、そういうものを備えたところについては、だんだん審査の上これを拡大していくことを考えておるわけでございます。その場合にはもちろん法律を修正する形になりますが、この六地区に限定しないで、同じような条件のところはさらに拡大することができる、こういう含みでございます。なお、先ほど海岸ベルト地帯というような、いろいろことばがございましたが、海岸ベルト地帯に限ろうという考えではございません。そういうことは一つもこの法律には出ておりません。山の奥でも平地でも、特にベルト地帯というような条件に縛られないで、広く第一条に掲げてあるような条件を備えておるようなところは、この対象としてだんだん必要に応じて法律を改正して進めていこう、こういう含みでございますから、その点も御了承いただきたいと思います。
  21. 藤田進

    藤田進君 まず最初に、政府当局、企画庁長官にお伺いいたしたいと思います。  すでに全国会におきましても予算委員会等で総理大臣並びに関係大臣にただしていたところでありますが、以下内容について御質問いたしますが、内容の質疑に入る前に、政府のこの種法案等に対する態度についてお伺いをいたしたいと思います。  すでに企画庁長官には、関越高速自動車道法案なるものが出てきたときに建設委員会で私は基本的態度をお伺いいたしました。自後、十分私の質疑要旨に沿って検討を進めていきたいという答弁でありましたが、今次この国会を見ますと、同様に政府がその総合的計画のもとに提案してしかるべき性質のものが、議員提出になってあらわれてくる、私は、先般の予算委員会その他で申し上げたように、国土総合開発審議会の委員もやり、いろいろやってまいりましたが、まさに地域開発なり国土全体については、その政治なり文化なり、社会全体から見ていかにあるべきかという基本的な方針が、行政府になくちゃならぬ、かかるがゆえに、これに関する審議会を設けられ、所要の立法をなされてきている。ところで、今度この法案衣見ますと、まさに地域に関する重要な事項をとりあえず決することになる。こういう場合には、当然現在北海道から九州まである現行法として働いている地域総合開発関係、何々地方総合開発特別法といったようなことで、おおむね今年に入って内閣総理大臣にその計画概要というものは答申済みであり、三月二十二日には内閣はこれを受けて決定しているのであります。こういう関連から見て、いかなるものであろうか。拝見いたしますと、自由民主党の有志の方々をもって構成され、賛成並びに提案者となっておられます前、元大臣、大ものが、この中には、私のずっと見たところでも二十一名ぐらいいらっしゃる。提案者である方々、今日この連合審査会に御出席をいただいております提案者を見ましても、いずれも党内きっての実力者であり、前、元有力大臣として国政に参与されてきた方であります。元衆議院議長、あるいは元内閣総理大臣といったようなところがこれは提案者です。こういう議院内閣制、こういった憲法の根源にさかのぼってみても、野党が執行権を持たないがゆえに、議員提出については、この種法案だから与野党間に十分調整をはかって、野党がそのイニシアチブをとってやるというなら、これまた理解もできるのです。もとより憲法は議員立法を否定しておりません。議員立法そのものは当然考えられてけっこうだけれども、しかし、われわれがこれからだんだんと積み重ねていって、日本の現行憲法の肉づけをしていかなければならぬこのやさきに、あまりにもしばしばこういう形で出てくるということは、政府にその計画が、また方針が、ないということなのか、当面その能力に欠けているということなのか、あるいは与党とそして政府の間にどうしても意思の疎通が今国会中にはとるいとまがなかったというのか。まあ神田さんには先般電源開発促進法に関連して同じようなものが出てまいりましてお尋ねいたしましたが、まあ結果的には了承いたしましたが、あの件は。どうもこの辺が今日自由民主党とその内閣という関連においてどういうものだろうか。これが政府並びに提案者にまずお伺いをいたしたいところでございます。
  22. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいま御質問の提案者の分をお答えいたしたいと思います。  私は率直に申し上げたいのでありますが、この法案は自由党のわれわれ有志が提案したかっこうになっておりますが、この開発地域関係の政党政派を超越して、社会党も民社もみな一致してこの提案の研究、検討を始めたのであります。そうしてこの成案を得まして、さあ共同提案でいこうということになりまして、民社党は直ちに共同提案にしようという回答をくれました。しかし社会党さんは、共同提案はなかなかまとまりにくいから、おまえのほうの提案の形にしておいてくれ、おれのほうもなるべく考えるということで——私は率直に議員提出の内容を申し上げるわけですが——そこで、それならおれのほうから出しておくから、君のほうは党内をよくまとめて、ひとつ賛成する形にしておいてくれ、そういこうということで始まったものでございます。もちろん、こういう地域開発計画は党派を超越してやらなければならぬことは当然であります。そういうふうな事情ですから、その点はわれわれのほうの連絡の悪かった点も多々あると思いますが、気持ちはそういう気持ちで、全く一体になって進めてきておるのでありますから、御了承いただきたいと思います。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 藤田委員が前段に仰せられましたことは、何を示唆されようとされましたか私にはわかりますが、それについては一般問題でございますから、申し上げずに、具体的な問題だけについて申し上げますと、この法律案の意図しておられるところは、たまたま政府が昨年来行政権の発動として考え、やろうとしておりますところと軌を一にいたしております。提案者の御説明を伺いますと、閣議決定というものは閣議の意思によって比較的軽微に変更し得るものであるが、しかし、この種の地帯の設定、それに対する公共投資というものは、相当長期の、時間のかかる計画であるので、これらは容易に変更しがたいところのやはり立法というような形でその基礎を築いておくべきである。このような提案者の御意思であるということを先刻承りました。それであるならば、私ども別段それに対して異を唱えることはない。私ども閣議決定を容易に変更するというような含みでいたしたわけではございませんけれども、法律に根拠を置くようになれば、さらにそれが強固なものになるということは提案者のお考えのとおりであると考えますので、この法律案が法律として成立することは、私どもが従来やってまいりましたことと軌を一にするものであるというふうに考えております。
  24. 藤田進

    藤田進君 どうも余分の議論一つふえまして……。遠藤さん、あなたいまおっしゃるのは、何かいま、この種法案が非常に雨後のタケノコのように出ているので、どれかの間違いじゃございませんか。社会党も含めて逐次協調し調整をはかってきたとおっしゃいますが、ここに経過報告という文書を読むまでもなく、四月三日にホテル・オークラでしたかね、大会が開かれまして、そのときに報告された文書でこれは出てきているのです、どういう経過でこれがなったという。各地区における世話人の選定もされて、自由民主党の方々が世話人になられて、たいへんに御苦労なさったわけでございます。自民党国会議員多数の御賛同を得まして云々と書いてあるごとく、私はその過程には、やはり野党は野党なりの意見もある。以下時間があれば申し上げますが、いろいろ御注意を申し上げたが、自民党の方々の一方的御熱心でこれは進んできたんです。だれが出ていましたか、社会党で。社会党が出ていれば、こんなあいまいなものはつくりませんよ。附帯決議なんか要するようなものはつくりませんよ。出ていないのです。それは遠藤さんは、なかなか数多い、広範な仕事をおやりになっていますから、おそらくどれかの法律案とのはき違いじゃないか。これは文書に出ています。これは社会党は、成案過程において何ら御相談を受けておりません。今度これで相談をするから、来月何日何時にどこに集まってくれという、それでは参らねばなるまいということでしていると、いやあれは取りやめになった、時期を延ばしたいという形でずっときた。これが事実です。それはそれとして、違えばまた御答弁いただきましょう。  さて、企画庁長官に、この問題だけで時間をとることは、きょう会期末ですので、残念でございますが、簡単にしますが、しからば、まあかつて行政府においては工業整備地域として指定していたあれでいいのだが、私はこれ自体についても、行政府がその行政執行をする場合には必ず法源がなくちゃならぬのです。何の何条の何によっておやりになったか。これは国立公園を指定するには、やはりそれの法の裏づけがあるようなもので、これは新産都に漏れたところのいろいろな行政的考慮というものがあったでしょうが、私どもはそれぐらいに理解していた。政府指定されて、鈴木委員指摘したように、これに対しても法の裏づけがあればまあまあいいだろう、鬼に金棒だというような趣旨に聞こえるわけです。そうだとすれば、なぜこれだけの提案者なり賛成者がいるという大きな問題であり、遠藤提案者も言われるよよに、当該関係地域においてはいろいろ熱意を持ってきたということであるならば、これを議員が受けて立つのも方法でしょうが、政府みずからが国土総合開発という線で、道路はどうあるべきだ、港湾はこうだ、工業の誘致はどういうものを、適地としてはどうだといったような、総合計画のもとに、やはりこれもお出しになるのが至当じゃなかったろうか。この点についてはどうも明確な御答弁が、納得いく御答弁がございません。  そこで、具体的にこれから聞いてまいりますが、先般成立して、現在法執行中の新産業都市建設促進法ですね、これはまああの当時の提案理由の説明、その他質疑応答の中で明らかになったのは、一つ地域的な都市の核をつくるんだ、このケルンをもとにしてさらに発展していくように行政指導したいということ、まさに新しい廃業都市建設し、促進する法律だ。今度これを見ますと、工業整備特別地域整備促進法案、こうなっている。まあ、名は体をあらわすわけでしょうが、聞くと、衆議院段階その他から、その扱いなり趣旨は、新産業都市建設促進法の趣旨なりその扱いと、まあ大差ない、変わりがない扱いをするという答弁のようであります。それは違えば、違うという答弁をいただきたい。だとすれば、新しい産業都市というものをこれからブラジルのブラジリアのごとく、あるいは中国大陸における都市のごとく、こういうものを新産法によってつくるというふうな——これは無人のところというのはないでしょう、日本は山脈の項上以外に。けれどもややそういう趣旨のものであったが、今度のは、過去、徳川以来いろいろ無計画のままに都市が形成されて、区画整理もなければまた工場としての諸般の工業的施設もそぐわない。そこで、そろそろこの辺で既成工業地帯整備をいたしまして、これをひとつ促進する意味では特別な扱いをしようというようにしかこれは読めない。中を見るとそうでもなさそうに見える。指定してある地域そのものがそうだし、ここらはどういうものだろうか。これは提案者の側と政府の側とで一体違わないということだとすれば、以上申し上げた理由等から見て、この法律が必要かどうかという疑問さえ私は持ちます。どういう点が違い、どういう点が違わないということを、この法律の名称等から説き起こして、ひとつ説明をしていただきたい。
  25. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) 工業整備特別地域のほうは、先ほども申し上げましたように、新産都市の場合よりも一歩先に進んでおる。工業のある程度進んだところである、その工業の進んだところへさらに徹底した工業整備をはかっていく。工業をだんだん振興するために、そのしんになる施設その他を整備していく、こういう考え方の上に立っておるのでございます。しかし、それをやっていく場合に、いろいろの財政措置やあるいは金融措置等については、新産都市の場合と、必要に応じて同じような、これに準じた扱いをしていく、こういうたてまえになっておるのでございます。だいぶ、ねらいといいますか、その基礎が違っておるというふうに私ども心得ておるのでございます。
  26. 藤田進

    藤田進君 現象的な面は一がいにこれは規定できません。しからば、私どものほうの加藤委員の出身地である岡山水島地区、これは私どもも再三現地調査もいたしました。これは御承知のとおり新産都に指定するといったようなことにいろいろ議論がございまして、これに対して備後地区だということになったわけであります。これは備後地区は落ちたわけであります、新産都市に。備後地区にはいろいろございますが、おしなべてこれは福山から尾道、三原にかけて見て、このいわゆる第二次産業の設備その他鉱工業生産あらゆるものから見て、水島地区よりも先にかなり進んでいると見るのが正しいか、あるいは水島地区か、あるいはその他の新産都として指定されたところが、もっとこの工業整備特別地域よりも進んでいるかという点については、私は一がいに言えないと思います。そうでしょう。第一、指定するときのいろいろな基準を見ましたが、提案者が言われるように私は峻別することはむずかしいのじゃないだろうかと思います。  それから内容的にいかがです。いろいろ書かれておりますが、まずこれは企画庁長官のほうからお伺いいたしますが、新産都とそれからいわゆる工特法といわれておりますが、このいまの法案と、財政上、資金上、その他どういう違いがあるのか、これをひとつ明確にしていただきたい。
  27. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま岡山県県南水島地区新産都市となるべき地域として指定された場合についてお尋ねがございました。十幾つ新産都市になるべき指定を受けました地域の……。
  28. 藤田進

    藤田進君 十三だ。
  29. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その地域の中で岡山県県南というのは、確かに熟度で申しますと、他のナニから飛び離れて進んでおる地域であるということは、私もそのとおりであると思います。したがって、工業整備特別地域との関連について申しますと、産業熟度から申せば、あるいはむしろいわゆる工特地域であったほうが適当なのではなかったかということは、今日まで問題として確かにあるだろうと思います。しかし、それを私ども新産都市として指定いたしましたのは、一つはそれ以前から岡山県において、いわゆる百万都市というものの形成を考えておられました。私ども産業都市指定いたしますのは、国の行政でございますけれども地方の自治体行政というものを、できるならば助けていきたいという意識は当然持っておりますので、したがって、百万都市という一つ都市をつくりたい、都市圏を形成したいという県当局の意向に、なるべく沿ってやりたいという気持ちを持っておりました。また、その内容を見ますと、東西ばかりでなく、かなり南北、北のほうに向かって奥に入っていく、いわばそれ自身では工業地帯でないと思われる地区までも包含しよう、こういう県当局の考えである。それが相難熟しておるということでございましたので、それならばあえて産業的、工業的観点からばかりでなく、むしろこれを都市圏として考えることが適当であろう、そのような理由から岡山県南というものを新産業都市にいたしました。そのうちで南部のいわゆる水島等の地区は、工業熟度からいけば、工特地帯に比較されるべきほどの進捗度があるということは、藤田委員の御指摘のとおりだというふうに考えるのであります。  それからこの新産都市建設促進法と、ここに議題になっております工業整備特別地域整備促進法案とは、内容においてかなり類似をいたしておるということでございますが、幾つかの点で違いがございますが、たとえば法案第四条の四項にかかげております部分、これは法案の性質上、いわゆる工業中心に施設の整備について規定をされておりますが、新産都市建設促進法の第十一条は、これはそれに相応する条文でございますが、教育施設、厚生施設、あるいは職業訓練施設等々、もう少し広い範囲で都市としての機能を考えておられるように思います。この点を除きますと、大体——私も非常に詳しくはこの法案を勉強しておりませんけれども——ほぼ規定を同じように書いておられるように考えられるわけであります。
  30. 藤田進

    藤田進君 そういたしますと、既成産業、工場をより能率的に、あるいは衛生的に等々整備するという以外に、新産都に共通する新しい工場、産業地帯として育成していこうということのように受け取れる。で、私は、時間のないのにあまり高次元の話を申し上げてもどうかと思いますが、本法の審議にあたって、ぜひひとつお伺いしておきたいのは、通産大臣お見えになっておりませんから、政務次官ないし企画庁長官ですが、世界経済等の視野から検討するときに、わが国の将来の産業規模、鉱工業生産の程度といったものから見て、今度新産都十三地区、工特法によるもの六地区、さらにその他の御承知の関連法規によるもの等々を加えてみると、非常に広大なもので、日本全土を指定したらいいんじゃないか、特別法なんて、もう作用しないという議論があるように、かなり広範になってまいりました。しかし、それぞれに工場誘致をはかり、それぞれの地方自治体が夢に描いているビジョンを実現するということにかりになるとすれば、財政上、資金上、その他可能だとしても、これが世界の市場、需要と供給の面において、一体そういうことが可能なんだろうかどうだろうか。あるいは鉄鋼産業に見るように、世界的なやはり鉄鋼市況というものは、必ずしも設備投資をおやりになった当時のようにうまくいっておりません。したがって、この六地区に対して今後さらに特段の整備をはかり、工場、産業の誘致も政府の指導等によっておやりになるとすれば、一体、日本の場合に、どういう産業中心に世界の経済なり需給なりといったような面から育成されようとするのか。私がもうすでに予算委員会でも指摘したように、かなり世界の経済というものはブロック経済にもなり、あるいは漸次専業化していく。これは政府当局もお認めになった、先般。とすれば、わが国の産業として、諸般の天然資源なり技術水準なり等々から見て、どういうものを重点的に専業化を、この世界の動向の中において考えようとするのか、政府はしっかりしたものを持っていかなければ、これはいかがなものかと思うのであります。戦後のように、砲弾をつくっていた工場が、とっさに自転車に変わり、ミシンに変わり、そうしてついに過剰設備、過剰投資になってきた、そうして自然淘汰の形でだんだんと整備され、あるいは資本の集約が行なわれた、これはもう前近代的な私は産業政策であろうと思う。このような意味で、この六地区に対して、あるいは新産都を含めて、わが国の今後の産業誘致、育成というものは、どういう点に重点を置かれているのか、地方自治体に対してもできるだけのやはり指導を行なわなければならぬ時期にきていると思うのです。御所見を伺いたい。
  31. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その問題は、私も何度か考えてみておる問題であります。まず、わが国のいわゆる工業地帯にこれから投下されるべき資本が、主として重化学工業——重工業あるいは化学工業化するであろうということは、趨勢として誤りないだろうと思います。重工業の中には、一部内陸型の機械工業新産都市の中には考えられると思います。いずれにしても、そういうものが中心だろう。その中で、私は鉄鋼業については、実は現状を見ておりまして、あまり心配をいたしておりません。それは、やはり鉄鋼業施設が新しく資本投下されるということによって、明らかにわが国の鉄鋼業の国際競争力はふえておるわけであります。化学の面においてもふえておるわけでありますから、私はあまり鉄鋼業については心配をいたしておりません。これは業界自身に、産業合理化審議会等々を通じてのいわゆる自主調整機関もございますので、心配をいたしておりません。需要ということでございますけれども、それは私は、やはり根本は南北問題であろうと考えておるわけであります。つまり、十何億という新しいいわゆる南といわれるところの世界の住民が国際マーケットに入ってくるということを考えますと、これは鉄鋼の需要というものは平和であってむしろ需要が大きくなるであろう、戦争でない場合のほうが需要が大きくなるであろうというぐらいに考えておりますから、その点はあまり心配をいたしておりません。  私の心配をしておりますのは、実は化学工業の中でも石油化学でございます。ペトロール・ケミカルでありまして、新産業都市指定された地域が、どこもそういう装置産業を受け入れるという計画でものを考えてまいりますると、かりに企業の側がまたそのつもりでありますと、国際的には中小企業に属するようなペトロール・ケミカルの装置産業があっちこっちにできるのではないか、この点は最も警戒すべきであると思います。したがって、これは当初新産都市指定された地区がそういう夢を持ったということは、あえて批判いたしませんが、具体的な計画を建設基本計画で承認をいたしますまでの間に、当該企業のほんとうの意図を確かめ、あるいは通商産業省等にお願いをして、そのような産業立地計画がわが国全体として妥当であるかどうかということも審査をしていただいた上で、最終的に建設基本計画をきめなければならない、こう思います。その姿は、おそらく新産都市指定されました地域が希望しておられるものとはかなり違いまして、あっちこっちに石油化学の装置産業ができるということであってはならない。そういう姿ではないような建設基本計画がきまっていくだろう、こう思っております。
  32. 藤田進

    藤田進君 まあこれはまたの機会にいたしまして、まあ鉄鋼については、非常に従来の御主張と変わってきたことに私憂いを持つのは、いろいろ東南アジアその他の状況がうまく行きそうだと、鉄も要るようになるだろうということであってはならないと思う。また、世界の産業なり、その設備需要といったようなものからして、ことにわが国においては、外貨事情なりあるいは多くの滞貨、在庫、投資といったような事情等々から、すでに現内閣は引き締め政策に入って、現在それをゆるめてはいない。企画庁長官の見解がそうだとすれば、ああいった引き締め基調というか、これもすでに解除されていいだろうし、私は若干の矛盾を感じながら承るわけですが、これはまた別の機会議論いたすといたしましよう。いずれにしても、すでに若干指摘いたしましたように、議員提出あり、政府提出あり、国土開発はけっこうですが、それにしても、まことに千々に乱れた、麻のごとき立法態勢であります。しかも、その中身たるや新産都に夢を描き、地方住民、自治体においては非常な期待を持っていたけれども、これがどうも予期に反して失望しているという現状を見、かつわれわれは強い陳情、請願を今国会で受けてまいりました。私は、しかしまあある段階では、いろいろな法律が、同権のものも出てくることがございましょう。批判はあっても、ある時期にはそういうものを整理、集約して、そして基本的な方向に向かって、立法としても根本的な検討を加えるという時期があると思う。まさにこのことは、来たるべき臨時国会かあるいは通常国会等ですみやかな時期にこれは新産都市関係法その他を含めて、本法もひとつ根本的な検討を加えられる時期にきているんじゃないだろうか。このことについては、与党もまた政府当局もまたわれわれも協力し合って、りっぱな、住民の期待に沿うものをつくるべきではないかと思うのであります。この点、ひとつ提案者並びに政府は、総理が見えておりませんから、ひとつ宮澤企画庁長官に、かわってお答えをいただきたいと思います。
  33. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいまの点でありますが、全く私ども同感でございます。衆議院段階におきましてもその御議論は非常に慎重に論議されまして、たまたま各党間に意見が一致しまして附帯条件ができたのでございます。それには「地方産業開発については、速やかに本法並びに新産業都市建設促進法等の関連法を併せ根本的に再検討すること。」、こういうことで意見が一致してまいりまして、なるべく早い機会にすみやかにひとつ根本的に検討をしよう。なるほど従来いろいろな地域開発の法律ができておりまして、それはそれなりにそれぞれその効果を発揮しております。法律のねらったところは、ある程度まで実現をし、非常に地元にも喜ばれておることは事実だと思うのです。しかし、いまの段階になってきますと、総合的に検討して、全体の総合計画の上に立った基本的なものをつくるべき段階がきておるということは、各党間でも一致した意見でありますから、私どもももちろんそういう方向政府を——ここに政府がいらっしゃいますが——鞭撻して、その方向に進めたい。こういうことを衆議院段階でも重ね重ね誓ってきたような次第でございます。
  34. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) ただいま遠藤議員の御説明になりましたような御趣旨の決議が、衆議院商工委員会において各党一致でなされましたし、藤田委員のお尋ねも全く同じ御趣旨であります。したがって政府といたしましては、そのような御趣旨に基づきまして再検討をいたしてまいりたいと思っております。
  35. 藤田進

    藤田進君 これはすみやかなる時期にぜひ実現していただきたいということを要望いたしますが、その間、法の執行にあたりましては、新産都市なり今度の工特法しかり、国の予算上、その他財政上、もっと地方負担を軽減するように特段の留意をせられて法の執行にあたっていただきたいと思う。具体的に申し上げたいのですが、この際は、これは遠慮いたしますが、その精神において、また具体的実施において、そのような態度で政府は臨んでいただきたいが、いかがなものでしょうか。
  36. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) その点につきましては、先ほど加藤委員に申し上げましたところでございますが、これにつきましても、衆議院商工委員会附帯決議を可決をしておられます。また、政府の内部におきましても、すでにそのような議論新産都市につきまして起こっております。先ほど加藤委員に申し上げましたように、ある程度までは同じ問題が工業整備特別地域についてもあるわけでございますので、そのようなことについて速急に検討をいたすつもりで政府はおります。
  37. 藤田進

    藤田進君 わが党は、地域開発については決して人後に落ちない熱意を持っておるのであります。したがって、これが専門的な立場から検討する特別委員会等も常置いたしておりまして、また提案者の方々にも御協力できる体制も整っておると思います。したがいまして、政府が本来、全体的、総合的計画の一環としてその所要の法律をお出しになるということが私は望ましいと思います。しかし、ときとして議員提出等によって地域開発なりその他所要の立法をしようという場合には、私はこの種国内の産業開発等々の立法にあたっては、議会におけるそれぞれの会派、党派が具体的なものを持っておる以上、各会派が十分検討し、総合調整をはかって、そうして政府に対してその言うべきことは言うということが最も望ましい姿だと思うのであります。提案者に対しまして、今度衆議院ではこの委員会の申し合わせもできたということで、私はまことにけっこうだと思っておるのでありますけれども、この際お聞きする意味も、神田さんをはじめ、どうも先般来自由民主党だけで出てくるということが、かえって時間を長くとったり、内容を将来検討しなければならなくなったりするので、ひとつ自後、できるだけ各党派間で調整するということがいいことではないだろうか。衆議院商工委員会決議むべなるかなと私は思うのであります。この際、念のために御所信をお伺いいたしたいと思うのです。
  38. 遠藤三郎

    衆議院議員(遠藤三郎君) ただいまの御意見は全くそのとおりでありまして、私どもも最初からその考えで進んでまいりました。しかし、いろいろな手続その他不行き届きな点がありましたが、今後は一そうその点をはっきりしまして、お互いに協調ができるように、ともに検討していくことができるようにしていきたいと思います。
  39. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) ほかに御発言がなければ、本連合審査会はこれにて終了したいと思いますが、さよう取り扱うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 竹中恒夫

    委員長竹中恒夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  連合審査会はこれにて散会いたします。    午後四時十七分散会