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1964-04-28 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十八日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————  委員異動  四月二十一日   辞任      補欠選任    村山 道雄君  上林 忠次君  四月二十二日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  栗原 祐幸君     —————————————  出席者は左のとおり。   委員長      新谷寅三郎君   理事            柴田  栄君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君   委員            大竹平八郎君            栗原 祐幸君            佐野  廣君            田中 茂穂君            津島 壽一君            鳥畠徳次郎君            堀  末治君            木村禧八郎君            野々山一三君            野溝  勝君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    大蔵省法規課長 相沢 英之君    大蔵省給与課長 平井 廸郎君    大蔵省理財局長 吉岡 英一君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    大蔵省理財局経    済課長     塚本孝次郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○企業資本充実のための資産評価等  の特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○公庫の予算及び決算に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について報告します。  去る二十二日、上林忠次君が辞任され、その補欠として栗原祐幸君が選任せられました。     —————————————
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る十六日衆議院から送付され、本委員会に付託されました。本案提案理由説明はすでに聴取いたしております。  それでは、これより本案に対する補足説明を聴取いたします。吉岡理財局長
  4. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) さきに提案理由を御説明いたしました企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その補足説明を申し上げます。  企業資本充実のための資産評価等特別措置法は、企業資本構成の是正に寄与し、その経営基盤の強化と経理の適正化をはかる見地から、一定規模以上の株式会社、すなわち、本法制定当時におきまして、資本金五千万円以上の会社及び資本金三千万円以上五千万円未満会社で、再評価限度額が一億円以上の会社に対しまして、一定限度以上の強制再評価を行なわせるとともに、その結果生じました再評価積み立て金資本組み入れ促進し、あわせて必要な減価償却励行させますために、昭和二十九年六月一日に施行された法律であります。  その後、再評価積み立て金資本組み入れの一そうの促進及び減価償却の一そうの励行をはかるために、昭和三十四年及び昭和三十六年の二回にわたり、配当制限措置所要改正を行なってまいったのでありまして、現行法では、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度直前事業年度までについて規定されているのであります。したがいまして、現行法配当制限規定適用期限は、多くの会社につきまして近く切れることになりますが、本法最終処理段階と考えられております資本組み入れ割合八〇%以上または再評価積み立て金額資本金額に対する割合一〇%以下の段階にまだ至っていない再評価実施会社がかなり残っている現状にかんがみ、かつ、開放体制への移行に対処して、企業経営の一そうの健全化に資するため、現行配当制限措置を、経営の実情に即して若干改正して、適用期限を三年間延長することとしているのであります。  まず、再評価積み立て金資本組み入れ促進についてでありますが、当初、すなわち昭和三十二年三月三十一日を含む事業年度から三年間は、資本組み入れ割合が三〇%未満であれば、配当率は年一五%以下と規定されておりましたが、前に御説明いたしました昭和三十四年の改正によりまして、昭和三十五年三月三十一日を含む事業年度から二年間は、資本組み入れ割合が三〇%未満の場合には年配当率一二%以下、三〇%以上五〇%未満の場合には年配当率一五%以下と規定されました。また、昭和三十六年の改正により、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度から二年間は、資本組み入れ割合が三〇%未満の場合には年配当率一〇%以下、三〇%以上五〇%未満の場合には年配当率一二%以下、五〇%以上七〇%未満の場合には年配当率一五%以下と改められ、昭和三十九年三月三十一日を含む事業年度から一年間は、資本組み入れ割合が四〇%未満の場合には年配当率一〇%以下、四〇%以上六〇%未満の場合には年配当率一二%以下、六〇%以上八〇%未満の場合には年配当率一五%以下と規定され、現在に至っております。  この措置を若干改正いたしまして、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から二年間につきましては、資本組み入れ割合が五〇%未満の場合には年配当率一〇%以下、五〇%以上七〇%未満の場合には年配当率一二%以下、七〇%以上八〇%未満の場合には年配当率一五%以下とし、さらに、昭和四十二年三月三十一日を含む事業年度から一年間につきましては、資本組み入れ割合が六〇%未満の場合には年配当率一〇%以下、六〇%以上八〇%未満の場合には年配当率一二%以下といたしました。  なお、再評価積み立て金資本金に対する割合が二五%以下の会社に対しましては、当初は前記の配当制限適用しないこととされておりましたが、その後の改正によりまして、現在は一五%以下の場合に配当制限適用除外となっております。これを昭和四十年三月三十一日を含む事業年度以降三年間につきましては一〇%に引き下げることといたしました。  第二に、減価償却励行のための措置でありますが、減価償却の額が普通償却範囲額の九〇%に満たないときは昭和三十二年三月三十一日を含む事業年度から五年間は年配当率一五%以下とされ、昭和三十六年の改正により、昭和三十七年三月三十一日を含む事業年度から二年間は年配当率一二%以下、昭和三十九年三月三十一日を含む事業年度から一年間は年配当率一〇%以下と規定されております。これを昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から三年間は、減価償却の額または減価償却資産について引き当て金を計上した場合には、それとの合計額普通償却範囲額に満たないときは、特別の場合を除き、年一〇%をこえる配当を行なってはならないことといたしました。  第三に、再評価積み立て金資本組み入れ割合が八〇%以上である場合または再評価積み立て金の額が資本の額の一〇%以下である場合には、現在、再評価実施会社につきましてはその全額を資本準備金組み入れ、再評価積み立て金勘定を廃止することができることとなっておりますが、これを再評価積み立て金を有する株式会社全般適用することとし、再評価積み立て金最終処理促進をはかることといたしました。  最後に、以上の改正に伴い所要規定の整備を行ないますとともに、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以後における再評価積み立て金処理につきましては、追って法律で定めることといたしました。  以上補足説明を終わります。
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 補足説明を終わりましたので、これより本案質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あなたのほうのお出しになっておる資料があるわけですが、八まで資料があるんですけれども、一体いま再評価積み立て金を持っておる会社数はどのくらいあるんですか、その額はまたどのくらいあるんですか。
  7. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 再評価積み立て金を持っております全体の会社数あるいはその全体の金額は、任意積み立て金等を含んでおりますので、実は私のほうで正確に承知をいたしておりません。ただ、ただいまの再評価のこの法律適用を受けております会社は千二十八社でございまして、その持っております再評価積み立て金は六千五百十一億円でございます。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それは資料にありますか。
  9. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) それは資料にはちょっと書いてないと思いますが、これは全法人の推計数字資料にして出してあります。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 関連して。ようわからぬ点があるんですが、再評価実施会社千二十八社ですね。この法律によりますと、罰則規定があるんですね。この法律に基づいて再評価をしなければならない会社があるわけですね。それから、この法律に従って再評価積み立てあるいは再評価積み立て金最終処理を行なわなければならぬ。それを行なわなかった場合には罰則があるわけですね。そういう罰則適用になったような会社はあるんですか。
  11. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) この法律に違反いたしまして罰則適用を受けた会社は、現在までのところございません。いずれも配当率その他で調整をいたしておるわけでございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いまの再評価積み立て金最終処理を行なっていない会社ということですがね、これは具体的にはどういうことなんですか、もう少し詳しく説明をしてください。
  13. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 最終処理と申しますか、私ども俗に卒業した会社と称しておりますが、再評価積み立て金資本組み入れ率が八〇%以上になったもの、それから資本金に対する再評価積み立て金残存割合が一〇%以下になったものでございます。それがいわゆる卒業したもので、それ以外のものが残っておるわけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 千二十八社のうち、どの程度ございますか。
  15. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お手元の資料の六ページにあるそうでございますが、「資本充実法改正直前における資本組入割合配当率との関係推計)」という表があるはずでございますが、その表の一番右の一番下をごらん願いますと、五百八十七という数字が書いてございます。それは、その欄の一番上をごらん願いますと、再評価積み立て金資本金に対する残存率が一〇%以下にすでになっている会社でございます。これがいわゆる卒業した会社で、五百八十七あるわけでございます。それから、もう一つは、右から三番目の欄の下から二番目に二百二十二という数字がございます。この二百二十二の数字の一番左の欄をごらん願いますと八〇%以上と書いてございますが、これが再評積み立て金資本組み入れ率が八〇%以上になった会社数でございます。そこで、五百八十七社の資本金に対する残存率が一〇%以下になった会社と、資本組み入れ率が八〇%以上になりました会社と、両方の会社卒業をした会社になるわけでございます。なお、八〇%以上の欄に書いてあります二百二十二社は、この一番右に二百と書いてありますが、この二百が先ほど申し上げました五百八十七社の中に含まれておりまして、重複をいたしております。そこで、五百八十七社のほかには、この二百二十二と二百との差の二十二がつけ加わるわけでございます。そういたしますと、六百九社が卒業した会社ということになります。そこで、千二十八社のうちから六百九社が卒業いたしまして、残りの適用を受ける会社が四百十九社ということになるわけでございます。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 四百十九社は、適用期限が切れるまでに最終処理を行ない得ないのではないかと、こう思うわけですね。卒業していないわけですね。そういう場合にはどうなるわけでございますか。もしこの法律によって期限を延長しないと、かりにしないということになると、どうなるのです。
  17. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 今後三年間に、できるだけ資本組み入れ割合をふやしてまいって、最終処理に近づけていくような方策をとるということだと思いますが、三年間たってなおかつ最終的な処理ができない会社も出るわけかと思いますが、この再評価資本組み入れ措置は長くとってまいっておりますが、もうそれぞれ最終処理を考えてしかるべき時期に来ておるかと思います。したがいまして、三年後には大体最終処理を考えるという前提で検討をいたしたいと考えておるわけでございます。  ただ、その場合、最終処理が非常に困難になるかと予想された会社は、別に資料等でもごらんいただけると思いますが、電力会社とか、あるいは私鉄とか、あるいは倉庫とか、そういうものが比較的資本組み入れが困難な会社ではないかと予想はいたしております。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうじゃないのです。そういう最終処理ができなかった場合はどうなるか。それで、この法律改正によって適用期限を延長することが、一つのこの法律のねらいになっているわけです。延長しない場合はどうなる。そして最終処理ができなかった場合はどうなるのですか。どういうことになるのかということを聞いているのです。
  19. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) いま、もしこの法律をつくらないで、そのまま打ち切ったといたしますと、最終処理ができないと、こういう何と申しますか、妙な勘定が残ったままになるかと思いますが……。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは何か罰則規定か何かないのですか。そういう場合に、会社にとって不利な状態になるということにならないのですか。ただ妙な勘定というのが残るというだけでは、ようわからぬのです。なぜこれを延長するのか。この適用期限を延長するということは、いわゆる配当制限を残しておくということでしょうね。配当制限を残すということは、配当制限されては企業としてはいろいろな支障があるから、なるべく最終処理をすることに努力するだろう、努力せしめるということで、この配当制限が残るように適用期限を延長すると、こういうことなんでしょう。ねらいはそうじゃないですか。
  21. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) そのとおりでございます。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうでしょう。そういう場合に、それでもなおかつ最終処理が完了しないという場合はどうなるかということです。
  23. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 現在の段階最終処理というラインは、いま局長が話しましたように、資本組み入れ割合が八〇%以上または再評価積み立て金の残高が資本金に対して一割以下というのが最終処理ということになっております。それに到達しない企業が、いま申し上げましたように、四百十九社あるわけです。それが今度の法律によりまして、一応、従来ではたとえば四〇%未満組み入れ割合の場合は一〇%の配当率をこえてはいけませんよということを、今回の改正によりまして五〇%以上でなければいけませんよということになりますので、段階的には一歩進むということになるわけです。したがって、四百十九社の中でそれにひっかかるものが相当、数が全体では八十七社ございます。八十七社の企業がたとえば増資をして現在の配当水準が維持できるようにするか、いわゆる無償組み入れですね、資本の再評価積み立て金組み入れ組み入れ割合を上げるか、または有償増資をやって対資本金残存率を一割以下に下げるか、どっちかにしなければ現在の配当率を維持することはできないということになりますので、それを回避するためにいずれかの方法をとるであろうということになろうかと思うのです。  それから、ただ、この三年間を経過してみまして、四百十九社全部が資本組み入れ割合が八〇%をこえるという段階に達するかまたは対資本金残存率が一割以下という段階に達するとは全然予想されませんから、したがって、三年間たちましてもなお残る企業が相当あると思うわけです。だから、その場合にその最終処理はどういう形で行なうか、たとえば八〇%未満であっても一応令部を資本準備金に入れるような形をとるかまたは別個の形をとるかという問題が残ろうかと思うのであります。ただ、現在のように組み入れ割合等によって配当制限をさらに強化するという方向ではなくして、一応最終的に再評価積み立て金処理をしようというような構想で今回の法律改正ができておるわけであります。したがって、従来の法律改正におきましては、適用期限が切れた場合における再評価積み立て金資本組み入れ促進については別に規定をする、こういう規定になっておりました。ところが、今回はそういう規定をやめまして、適用期限が切れた場合における処理については、「別に法律で定める。」、こういう規定を置いたわけであります。その辺が従来の考え方と若干今回の場合が違っておる点でございます。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その「別に法律で定める。」ということはどういうことなんですか。
  25. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) それはいま申し上げましたように、資本充実法改正法案の十八条の九に規定がございますが、資本充実法によるこれは時限立法的なものになっておりますので、三年間という期限を置いて配当制限を課しておるわけであります。三年間たちましたら適用期限が切れてしまいますので、法律がゼロということになるわけです。したがって、切れたあとにおいては、「資本組入促進については、別に法律で定める。」、いわゆるこの改正を行なって、さらにその適用期限を延ばすかどうかという点は法律規定を置きますよという規定があるわけでございます。従来はその表現を「資本組入促進については、別に法律で定める。」、こういう表現を使っておりました。ところが、今回の改正は、三年たった場合の再評価積み立て処理については、「別に法律で定める。」こういうような規定になっております。配当制限による資本組み入れ促進という段階はこれから三年間で一応打ち切るという構想が入っておるわけでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこで、今度は、三年たって最終処理ができない場合は配当制限措置による組み入れ措置とか、何かそういうことはやらない、配当制限ということはもうやめる。どういう措置によってこの最終処理をさせるようにするかということなんでしょう。その配当制限以外の方法ですよ、それはどういう方法なんですか。
  27. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) この問題につきましては、今回の法律改正をやるに際しまして、再評価審議会懇談会の形で集まっていただきまして、この問題をどういうふうに考えたらいいかという点を御相談したわけでございますが、いま問題になりますのは、電力会社と、それから私鉄倉庫業、この辺が一番問題になるわけでございます。この業種につきましては、一応その価格というものが言うならばある程度制限をされております関係上、企業収益というものが思うようにあがらない。したがいまして、資本組み入れ割合というものが非常に低いという状況になっておるわけでございます。したがいまして、たとえば電力料金を上げるとか、倉庫料金を上げるとかいうことがあれば、三年間で組み入れというものは相当促進されると思うのでございますが、そういうことがなければ、いまの状態ではそう多くの組み入れというものを期待することはできないであろう。そうなりますと、いつまでもこの配当制限というものを続けていくということは、現在の商法のたてまえからいきまして、配当というものは企業の言うならば一応自由な配慮によってきまるというたてまえをとっておるわけでございまして、言うならば商法に対する特別的な立法という感じになっておるわけでございます。言うならばこういうような例外的な姿というものをそういつまでも続けておくということは、日本企業にとっても好ましくないであろう。  それから、もう一つは、何といいますか、再評価積み立て金という勘定があることによりまして、いろいろ外資導入の場合とか、いろんな支障があります。たとえば外国の投資家日本企業の内容を見ました場合に、再評価積み立て金という勘定がどうにも理解がつかない。説明すればわかるのでしょうけれども、非常にいやな感じを前もって与えるというような感じから、なるべく再評価積み立て金という勘定を早くなくなすという必要があるのじゃないか、こういう議論があったわけでございます。  ただ、問題は、こいつを一ぺんに資本準備金に入れた場合における企業の何といいますか、資本組み入れがどうなるか。現在の資本充実法によりますと、無償をつけて増資をするということが可能なわけでございますが、現在の商法ではそれが不可能だという状況になっておりますので、この辺の問題をどういうふうに考えたらよかろうかというようないろんな多くの問題がございますが、この三年間に各方面の意見を聞きながら最終処理の案というものを考えていきたい。  ただ、残る企業は、四百のうちおそらく半分くらいはもう卒業ラインに達すると思いますので、あとの二百についてはどういう処理をするかということをじっくり検討していきたいというふうに考えておりまして、現在具体的にどういう案があるのかと言われても、ちょっといまのところ具体的な案はないわけでありますが、こういうような配当制限による資本組み入れ促進という方向ではなくて、ともかく再評価積み立て金を何とか最終的に処理するというような方向で案を考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが非常に重要なのですね。まだ具体的に案がない。案がないが、やはりこの改正によって、配当制限措置により再評価積み立て金処理をずっといままで行なってきた、そういう制度をやめてしまうわけでしょう、今度は。そういう意味でこの改正というのは非常に重要な意味を持っておるわけでして、その三年間たったあと、わずかの一社だというのならともかく、いまのお話ですとかなりの会社が残るわけですよ。ことに重要な電力とか私鉄倉庫等が残る。その場合どういう措置にするかということがまずはっきりしないということになると、われわれがこの改正案に対してどういう態度をとっていいか、その点がはっきりしないと因るわけですよね。  それと、まだよく私わからぬ点があるのですが、電力でも、私鉄でも、倉庫でも、再評価積み立て金というのはあるのですね。それを資本金に繰り入れた場合、そうしますと今度は減価償却が多くなりますね。
  29. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) それは関係ありません。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなると、配当が多くなる。
  31. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) はあ。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そういう形で、配当を十分に維持できないのに、再評価積み立て金資本金に繰り入れたのでは、経営上困ると、こういうことが問題になりますね。
  33. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) そうです。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、税金関係としてはどうなるのですか。再評価積み立てをやった場合、これなんか免税というか減税措置があるのですか。  それと、もう一つ、そこのところ、再評価積み立て金勘定というのはあると。それで、これは資産評価したときに再評価積み立て勘定に入れるわけですね。それは税金としてはどうなんですか。それと、資本金に繰り入れた場合、それに減税措置ですかがあると、こういうことなんですか。その間のところ、もう少し具体的に説明していただけませんか。
  35. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 再評価積み立て金は、過去の第一次、第二次、第三次と、こういう再評価によりましてできた勘定でございます。したがいまして、再評価をしましたときには、その再評価差額について税金を納めているわけでございます。税金を納付いたしております。再評価税というものを納めております。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その差額について……。
  37. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 差額についてある割合税金を納めております。それから、そうやってできました再評価積み立て金資本金組み入れるという場合には、税金関係ないわけでございます。ただ、それは再評価積み立て金という準備金勘定資本金に変わっただけでございまして、ただ企業にとってみれば配当負担が大きくなるというだけで、税金上は何にも関係ございません。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それで、この減税措置というのは、再評価積み立てした場合に対する、積み立て金に対する減税措置ということなんですか。
  39. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 普通の場合には、法人所得についてはたとえば三八%の税金がかかる。それに対しまして、再評価税は三%の税率で税金の納付を求めたわけでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私たち実際問題はよくわからぬですから、しろうと的な質問をするかもしれませんが、問題を正確に理解するために質問するわけですから、ひとつ答弁していただきたい。  再評価をしない場合には、特に税金はかからぬわけですね。ですから、再評価をして積み立て金勘定を設けると税金がかかりますから、税金をなるべく払うのをいやだと思う場合には再評価をしない、あるいはまた再評価のしかたについても課税をのがれるために十分な再評価をしないという問題も起こると思うのです。それから、これは昭和二十九年ですね、この法律が実施されたのは。その後また資産価値について変化があるわけじゃないですかね。第一次、第二次、第三次やりましたが、今後この資産価値が増加する場合には、また再評価の必要が出てくるわけでしょう。そういう点についてはどういうふうに考えられているのか。
  41. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 税金を納めるという面から見ますと、企業にとっては負担でございますが、資産が再評価されますと、その分だけ減価償却は多くなります。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ええ、そうですね。
  43. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) そうしますと、その分が損金が多くなりまして、必ずしもマイナスの面ばかりではないということになるわけでございます。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと待ってください。まあ、それでいいです。しかし、そのかわり固定資産税はふえるでしょう。
  45. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 御質問にありましたように、固定資産税というものは大きくなります。大きくなりますが、企業にとってみれば、その損益計算上減価償却の額が相当大きくなりますし、それから、たとえば現在のその戦後のインフレによりまして非常にまあ貨幣価値が下落しまして、資産が実際は非常に名目的に小さくなっているわけです。だから、それが再評価されない場合には、かりに減価償却をやっても、その資産の耐用年数が来た場合において新しい資産の取得が不可能になるわけです。実質資本の維持という面からいきますと、企業にとっては再評価をしないことはマイナスになるわけでございます。
  46. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかりますが、しかし、企業としてはこの再評価をやることによって減価償却が大きくなる。減価償却が大きくなれば、それは税金を納める場合に、それは引いてもらえますわね。しかし、固定資産税が大きくなる。そのプラス、マイナスを考えてやるんじゃないんですか、再評価というのは。やるかやらぬかは——企業にとってはそういうことになっていくんじゃないですか。
  47. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) ただいまお話しのような点がいろいろあると思います。  ただ、御承知のように、この法律をつくりました趣旨が、まあインフレによって非常に程度の激しい再評価を要するような事態になったものですから、企業側をほうっておきますと、再評価をしないでいろいろ名目的な高収益、名目的な高配当というものができるわけです。企業経営を健全にするためには、これだけインフレによって大きくなりました資産の再評価をぜひやるべきだという観点から、再評価を強制したわけでございます。ほっといたのでは、なかなか任意の博評価では十分にいかないということで強制をしたわけでございます。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかるんですが、さっき私が質問したのは、実際にこの企業の内容を堅実化させると、特に開放経済体制に移行するにあたってそういう必要があるということは提案理由にあるわけですがね。そこで、実際問題としてはこの法律で意図されたようなふうにいっていないわけですよね、この実績を見ましてもね。企業としては、その税金関係からいって、いろいろ損得を考えてやるわけでしょう。ですから、固定資産税が、再評価されることによって固定資産税がふえると。しかし、減価償却費は大きくなると。それは、その面から法人税のほうは減るわけですがね。ですから、そこが、固定資産税がふえるのと、それから法人税で減税になるですね、税金が減る、その面とのかね合いでしょう。これは経営をやってみればすぐわかるわけです。われわれは実際経営をやっていないから、そういう想像で質問するんですが、これは自民党の方のほうがよくおわかりだと思うんですが、そういうことじゃないんですか。そういうことで十分に再評価できない、この法案で意図したようなあれができないとすれば、実際問題としてできるような何か措置をしなければ行なわれないんじゃないかと、こういうふうにも思うから、質問しているわけなんです。
  49. 天田勝正

    ○天田勝正君 ちょっと関連。そのことは私も聞きたかったんですが、要するに電力倉庫、まあ陸運、ことに私鉄のようですが、こういうものがこの組み入れ欲が非常に少ないが、その原因はどういうふうにつかんでおるのか。この反対に、平均よりもよけい組み入れているのが水産とか建設とか、石油、石炭、ゴム、それから同じ運送でも海運のほうがよい、こういうようなことになっているでしょう。それはどうしてそうなるのか、それをちょっとあわせてお聞かせ願いたいと思うのです。
  50. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 最初に、木村先生のおっしゃいました企業が再評価をするかしないかという問題は、実はまさにその再評価をするかしないかというときのいろいろな判断の問題だと思います。それは、先ほど私が申し上げましたように、いろいろ企業側としてそういう判段をいたしまして、十分な再評価をしないということで、再評価を強制したわけでございます。したがって、昭和二十九年当時にその再評価を強制しましたことによって、再評価すべき金額というのは、その場合にすでにきまっております。したがって、そういう問題はすでに片づいておりますので、それによってできました再評価積み立て金をどの程度資本組み入れるかどうかが従来からの問題であり、今後の問題であるわけでございます。  その組み入れるかどうかについては、税金の問題は先ほど申し上げましたようにございません。もっぱら企業の収益力にもよりまして、資本組み入れてその配当負担にたえ得るかどうかということになるわけでございます。  第二点のお尋ねの、電力なりその他が十分にいっていないのは、やはり企業の収益力が、料金を統制されておるというようなことから十分でないと申しますか、企業の収益力があまりないために、大きな資本組み入れをいたしますと、その配当負担にたえられないということから、それが非常にほかの業種に比べまして、平均以上に残っている結果になっていると考えております。
  51. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ぼくの質問したことに対する御答弁は、その趣旨はおかるのですが、しかし、前段の、再評価をするかしないかの企業側の判断ですね、その問題はもう解決ついているのです、強制してさせるから。ただ、問題は、積み立て金資本組み入れるかどうかということであるというお話ですが、しかし、前段がやはり問題じゃないか。まあ一応解決ついているとは言われますけれども、やはり企業としては、固定資産税の増と法人税が減税になる分と勘案して損得を計算してやりますから、そこで、いままで再評価したといっても、それが十分になされているかどうかは、そこが問題じゃないか。それはどういうところで判断するのですかね。たとえば、対資本残存率で判断するといっても、その評価の基準ですよね。その評価の基準というのはどういうふうになっているのでしょうか。
  52. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) ただいまのお話、その評価の基準その他が非常に問題であることはお話のとおりであると思います。これは強制再評価をいたしますときに、法律に非常に詳しくいろいろなことを規定したわけでございますが、お手元の資料の二ページをごらん願いますと、再評価実施状況調べという表がございますが、この再評価実施状況調べでごらん願いますと、第一次、第二次、第三次、「内再評価会社」という欄になっておりますが、この第一次、第二次あたりのところがいわゆる任意の再評価をやった時代でございまして、第三次のうちの「内要再評価会社」というのが再評価の強制をいたしたときの数字でございます。  で、ここに法人で再評価を実施いたしました会社数、そのパーセンテージ、それから再評価の限度額、それから実際に再評価をいたしました金額、その限度額に対する再評価額の割合というようなものが出ておるわけでございます。ただいま問題になっておりますのは、「内要再評価会社」でございますが、これは、ここにありますように、法律制定当初千七百九十一ございまして、法律規定に基づく計算をいたしますと、再評価限度額がここにありますように一兆八千億余りありまして、それに対して、九三・四%に達する一兆七千億の再評価をすでに実施をいたしておるという数字でございます。
  53. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは少し一般論になると思うのですが、要するに、この再評価を強制的にさしたということは、ほうっておけば、十分な減価償却もしないで経営健全化を期待できないということなんでしょう。そうしますと、今後資産の価値の変動があまりなければ、これは問題じゃないのでしょうけれども、任意にまかしておいていいのでしょうが、しかし、第三次が昭和二十八年ですか、その後やはり資産価値の変動がありとすれば、やはりこれ、任意にまかしていいかどうか。  それから、この法律が今度三年間たつと、これはどうなるのですか、もう任意にしてしまうのかどうか、そこら辺ですね。
  54. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話のように、非常に物価の変動がありました場合には、また再評価というようなことが考えられるのかもしれませんが、これは非常に戦後のああいうインフレーションの特別な事態で、企業の経理を非常に弱めるというような場合の非常な特殊な措置としてやったわけでございます。昭和二十八年の価物指数、日銀調べでは三五一、これが最近やはり三五〇くらいの見当で、あまり変動しておらないという状況でございますから、多少の変動のときにこういう特殊な措置をすることは考えられないと考えております。  それから、この法律が三年間たった後にどうするかというお話でございますが、先ほど経済課長からは、従来の法律との違いをあまり強調した傾きがあったと思うのでありますが、御承知のように、現在の法律期限が切れたらやはり同じ方法でまた延長するというようなことを大体想定した法文になっておったわけです。今度それを多少変えまして、三年間たった後の処理ということについては、この三年間のこういう促進措置によりましてどの程度の促進ができますか、非常に促進されまして、残るものが、千あります会社のうち非常に少なくなるというようなことに進めば、その際にあらためて最終処理を考える段階に達するかもしれないということで、その最終処理もできるような法文にしたということでありまして、全く、この三年間のこの法律促進措置によりましてどの程度促進されるか、あるいはまた企業の収益力がどうなるかの判断によるかと思います。場合によっては、三年間たってもまだ現在の進行状況とほとんど違わないというような事態でありますと、やはりまた同じような措置を延長して繰り返すこともないことはない。ただ、最終処理、できますればこういう特別な処理はなるべく早く処理するほうが望ましいことでありますし、すでに昭和三十九年から約十年間続けてまいっておりますので、今後三年の後にはわれわれとしてはなるべく最終処理を考えたいという気持ちから、「処理」ということばを使ったわけでございます。
  55. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 ちょっと関連して。いま木村先生から話のありました、再評価すると固定資産税が上がるというやつですが、これはそういう因果関係にあるのですか。固定資産税というのは、再評価しようとしまいと、それは固定資産税の評価に一定の基準があってやるのじゃないですか。ただ、再評価すればそれがスライドされるという風潮といいますか、傾向はあると思うのですが、理論的にはどうなんですか。この点をお伺いしたい。
  56. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 固定資産税の課税標準につきましては特例が置かれておりまして、固定資産税の課税標準の基礎になります価額を再評価をすることによりましてこえる場合においては、そのこえる価額はこえなかったものとしてその課税標準の基礎になる価額を適用するというような法律になっております。したがいまして、再評価を行ないましても、その多かった額だけ固定資産税の税金が高まるということにならないように固定資産税の課税標準に関する特例の規定が置かれております。
  57. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 ということは、理論的には、固定資産税というものと再評価というものとは直接的な関係はないのだということなんですか、理論的には。
  58. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 理論的には、再評価を行なった場合には固定資産税の評価額というのは上がってまいりますので、あるのではないかと思いますが、ただ、実際上はそういうものと結びつけないような形で固定資産税の課税標準の価額を特例としてきめているというようなことになっております。
  59. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 もっと具体的にいいますと、再評価しない、しかし、だれが見てもそれは現実の価額として見ては非常に低い、帳簿価額が。その場合の固定資産税というものは、その帳簿価額にとらわれて低い固定資産税になるのか。あるいはそうでなくて、客観的に見てそれはもう相当なものだからというので相当な固定資産税がかかるのか。これをお聞きしたい。
  60. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) これはどうもわれわれの権限外でございますので、はっきりわかりませんが、ただ実際私どもが聞いておりますのは、固定資産税の価額というのは、評価額というのは、実際に現在企業評価がえをしておろうとおるまいと、ある統一的な評価基準によりまして固定資産税の評価額がきまっているというように聞いております。
  61. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 ということだとしますと、いわゆる固定資産税というものと帳簿価額というものとは直接的な関係はないという結論になりはしませんか。
  62. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) いまの御質問は、固定資産評価額と固定資産税の評価額との間には関連はないのではないかという御質問と理解してよろしゅうございますか。
  63. 栗原祐幸

    栗原祐幸君 最後のやつが一番重要なんですよ。最後のやつというのは、帳簿価額というものと——いわゆる固定資産評価しないと、非常に帳簿価額が安い。だけれども、だれが見ても、その帳簿価額では再取得はできない。だから、もう固定資産としては相当な価額なんだ。しかし、それは再評価していないから帳簿価額は安い。その場合に、固定資産税というのはその帳簿価額に見合ったように低いのか、低くないのか。
  64. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 多少自信のない答弁をいたしておりますので、たいへん恐縮でございますが、自治省のほうにはっきり問い合わせまして、御答弁いたしたいと思います。
  65. 天田勝正

    ○天田勝正君 議事進行。まあ木村委員の質問が終えたら私お願いしたいと思っておったのですが、たまたまそういう話が出ましたので。どうでしょう、自治大臣というところじゃ骨が折れましょうが、地方税関係政府委員をお呼び願えませんでしょうか。早くやれるので、ぜひ私もやりたいので。
  66. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次回の委員会に、自治省の関係政府委員を呼びまして、御質疑を願いたいと思います、その点につきましては。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 固定資産税につきましては、これははっきりしているんですよ。固定資産税は、御承知のように、土地と家屋、償却資産、三つに分かれているのです。償却資産は取得価額ですから、取得したときの帳簿価額でやるのですよ。ですから、それが価値が上がっても、取得価額でやるのですから、今度だって再評価はしないのですよ、今度の改正では。償却資産は取得価額なんです。だから、取得したときの帳簿価額でやるのですよ。だから、現在資産が高くなっても、それは帳簿価額で、そこに問題がある、今度の税制改正でも。ですから、償却資産については評価がえしないのです。そこが問題になるところですけれども、これは私の意見ですから、これは自治省の人を、これは地方税ですから。しかし、これは大蔵省でもこのことはちゃんと知っておかなければならぬはずなんです、ことにこの企業資本構成の場合には固定資産という問題は重要な問題なんですから。  先ほどのお話ですと、この場合には、固定資産税については特例措置が講ぜられている。それで、原則からいえば、評価がえした場合には、これは資産が多くなるのですからね、当然固定資産税はふえるわけですよ。ふえるのだけれども、さっきのお話では、この法律ではそのときには固定資産税がふえないような措置をしてある。そういうことによって再評価促進させよう、こういう法律になっているのですよ。そういうことでしょう。その点はまたあとで、問題をもっとはっきりさせる意味で、自治省の人も呼んで問題を明らかにしたいと思うのです。  最後に、私が質問したいのは、さっきの電力とか私鉄とか倉庫とか、再評価積み立て金勘定というものが再評価積み立て金最終処理を行なわなかったために残ってしまう、そういう場合の処理ですね、これをどうするかということについていろいろ検討されている。それで、三年たったあとでは、配当制限という形において再評価積み立て金最終処理をやることはやらない、配当制限という形においてはやらない、こういうお話なんですよ。そこで、配当制限以外の方法というのはどういうことかということを承って、何か外債発行するような場合にでも再評価積み立て金というものが外国人には理解がいかない、非常に何か不明朗なように理解されて、外債発行にも多少障害になるようなお話もあったのですが、その点がいまはっきりきまっていない。とすれば、御答弁願わぬでもいいかもしれぬけれども、どういうことがいま検討されているのか、差しつかえなければ、配当制限以外の方法以外の措置によって最終処理を行なわしめようとしているのか、その点最後にお伺いしておきます。
  68. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 先ほど申し上げましたように、電力とか私鉄につきましては、料金の関係上、この三年間で組み入れが相当促進されて卒業ラインに達するということも予想が困難でございますので、おそらく相当の再評価積み立て金が残るのじゃないかと思います。したがいまして、これを今後三年たちましたら、配当制限は一切やらないのだというふうにきめたわけではないのでございまして、できるだけ配当制限をしないような方向で何か基本的な案を考えていきたいとは考えておりますが、他の業種は相当の資本組み入れをやって再評価積み立て金を株主のところに返しておる、相当困難な配当負担を負いながらもやっておるにもかかわらず、それらの業種が全然やっていない、そういうアンバランスがあるわけでございまして、そういうものを放置しておいて、まあ配当制限を全然やめてしまうということが権衡上問題があるのだということになれば、まだ配当制限を続けるということにもなろうかと思います。  それから、もう一つは、ただ、資本準備金に入れるというのが最終的な処理になると思います。資本準備金はたとえば株式発行のプレミアムのようなものが入ってくる勘定でございますが、その資本準備金の使用が、現在の商法によりまして、欠損補てんまたは資本組み入れ、こういうふうに使うことが許されておるわけでございますが、その場合には現在の資本充実法のように抱き合わせ増資ということができないようになっておるわけであります。ということは、いわゆる五十円のうち三十円払い込んでください、そうすれば二十円は無償でつけて一株差し上げましょう、そういうことは言うならば有償を半ば間接的に強制する形になりますので、商法上は好ましくないということで、そいつは許されていないわけであります。ただ、再評価積み立て金というのは非常に株主に近い性格を持っておるということから、資本充実法においてはそういうことは許されておるということでございます。したがいまして、これをやめて資本準備金に入れました場合においては、企業がそういうふうに非常に使いにくくなるという面が出てくるわけでございます。非常に膨大な資本準備金がいつまでも残るということになってまいりまして、その辺が非常にむずかしい問題になるのではないかと考えております。だから、その辺は商法との関連も見ながら業界の実情を聞いて具体案を作成しようと思っております。適当な案ができないとすれば、さらにもうしばらくは配当制限を続けるということになろうかと思います。  ただ問題は、現在の電力会社私鉄の大手も大体配当率が一割でございます。現在は最低が一割をこえてはならないという規定になっておりますから、実質的にはあまり影響を受けていないわけでございますが、一割以上の配当をしようと思うとひっかかるということになっております。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 企業資本の充実措置として、このような資産評価特別措置法以外にいろいろどうも政府でも考えているようですが、特に税制面でこの企業減税の問題が非常に取り上げられているようですね。それで、来年度の税制改正においては企業減税が非常に強調されている。この間新聞に出ていましたが、税制調査会の会長の中山伊知郎さんが来年度の減税は所得税中心に行ないたいと言っているのに対して、池田首相は開放経済体制に入るのだから企業減税に重点を置きたいというようなことを言っておりますし、そこでこの配当の損金算入とか、そういうようなことも、企業資本充実の一環として考えられているように思うのですけれども、というのは、税制面のたとえば配当の損金算入とか、あるいは増資を、自己資本の充実のための増資をもっと可能ならしめるために、配当の分離課税とかなんか等々、そういうことも考えられているのですか。
  70. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) どうも御質問が大臣でないと答弁できかねるような点があると思いますが、私どもの理解しているところの範囲内でお答えを申し上げますと、自己資本の充実が叫ばれておるわけでございますが、自己資本の充実と申しますと、要するに、増資促進いたしまして資本金をふやす方法と、あとは法人の内部留保を厚くする方法と、二つだと思います。法人の内部留保を厚くすることに関連いたしまして、法人税の軽減あるいは償却の範囲の拡大というようなことで法人の内部留保を厚くする一連の方策があるわけでございますが、もう一つ増資促進する方策といたしまして、これも企業側とその増資を受け入れる側の投資者側と二つの面があるかと思います。企業側につきましては、ただいまお話のありましたような借り入れ金に比べまして資本金配当負担というものが非常に大き過ぎる。したがって、この配当負担をなるべく軽減してやる必要があるということから、お話のありましたような配当の損金算入、あるいはただいまとっておりますような配当に関する法人税の軽減措置というようなものが考えられておるわけでございます。それから、ことに最近のような株式市場になりますと、企業側で増資をしようと思いましても、増資を受け入れるほうの、増資を引き受ける側の投資家側と申しますか、そのほうに力がない、そのほうを何か促進する方法ということで、ただいまお話のありましたような配当の分離課税その他の点が検討の問題としてあるわけでございます。
  71. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 先ほどの最初の質問のときに六千五百十一億という金の数字をおっしゃいましたが、これは積み立て金残のほうですね。
  72. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) そうでございます。
  73. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうしてこれは、各会社によっていろいろあると思いますが、大体これは運転資金に使われておると見て差しつかえございませんか。これがどういうふうに使われておるかというようなことを御調査になったことございませんか。
  74. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) ただいまお話がありましたので、一応この数字を申し上げておきますが、会社が先ほど申し上げましたように千二十八社でございます。それで、それの資本金が三兆三千二百五十四億でございます。それで、それの再評価積み立て金の残額が、お話のとおり六千五百十一億円でございます。資本組み入れをすでにいたしました金額が四千二百三十億円でございます。この両者を、再評価積み立て金資本組み入れ金額とを合計いたしましたものが一兆七百四十一億円になります。したがいまして、一兆七百四十一億円に対して四千二百三十億円の資本組み入れがすでに行なわれておることから、三九・四%、約四割のものが資本組み入れが済んでおるという数字になっております。  それから、お尋ねの再評価積み立て金が何に運用されておりますかということは、会社によっていろいろ違うかと思いますが、私ども的確な調べをいま持っておりませんので……。
  75. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、その再評価を、この法律を出したときに、物価が上がったのだと、それでこういうものをせなければならない。しかもやらない、資本金制限がございますので。やらないときには罰則をつけてやるようにしたわけです。その理念というものは、一体これは差益金というものは、再評価金というものはだれのものであるという理念で始まっておりましょうか。
  76. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) 会社資産の再評価をいたしましたものでございます。したがって、お尋ねの点は当然まあ株主のものということで始まっておると思います。
  77. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、最終的に株主に帰属すべきものがされずにまだこれだけあるわけです。そういうことに対して罰則は実はないわけです。ただやれやれと言って、過去三回の延長を入れて六、七回もこれでなるわけですが、それでもなおかつやれない。おっしゃるように、ずっと木村委員等の質問で明らかになったことなんですが、なおやらないところは四百十九社残っておる。今回の配当制限制限を加えておるから、そのために必然的に配当を落とさない限りはやらざるを得ないと予想される会社が八十七社ある、こうおっしゃった。算術計算で引きますと、三百三十二社はどうやっても残ってくることになるわけです。それで、木村委員等の質問を聞いていると、今度は配当制限をしない方途をひとつ考えるとか、あるいは資本準備金組み入れる方途があるとかおっしゃるが、最初におっしゃったように、この出てきた金というものは株主に帰属するものだ、株主に返さるべきものだという原則で貫かれるとするなら、私はやはり無償株以外にないと思うのですね。あるいは一時そういうものを分配する方途を考える、最終的にはそういうところに落ちつけてほんとうに考えておるのですか。そういうふうにやるということを。
  78. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話し申し上げましたように、当然株主のものであるという観念でおるわけでございますが、再評価積み立て金として残っておりましても株主のものであることには変わりないと思います。ただ、それを資本金という形ではっきりするというだけのことであると考えておるわけでございます。したがって、われわれとしては、株主のものでございますから、実質的にも形式的にもはっきり資本金組み入れて、なるべくはっきり株主に返すべきだと考えておりますけれども、お話のように、再評価積み立て金のままで残っておると、株主のものではないということではないと考えております。  それから、最終処理の問題でございますが、われわれとしてもできるだけ資本金組み入れることを促進し、早く処理をつけるべきだと思いますが、やはり会社の収益力その他からいいまして非常に収益力に見合わない大きな資本金になるということは、当然配当を落とさなければならないというような問題も起こりまして、はたしてそれが会社経営上適当かどうか、いろいろな問題が起こってまいると思います。したがって、この法律発足の当初から、この再評価積み立て金というものは当然株主のものであり、はっきり資本金に本来は即時組み入れるべきものである。しかし、やはり経済情勢、会社の収益状態から見て、徐々にやっていこうということで、これだけの年数をかけてやっておるわけでございますから、最終処理をしてよい段階になればもちろん最終処理を考えるべきですけれども、いま申し上げましたような収益力なりその他から考えて、ほんとうに会社経営のためによいかどうか、十分判断する必要があろうかと考えております。
  79. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 おっしゃるとおり、私も、会社ですから、何かに残しておく、積み立てておいても差しつかえないと思うのです。しかし、これは法律に基づいて強制的にやらした再評価の益金なんですね。ですから、これが何らかの形で残しておいたって、それは株主のものでいいんじゃないかという、そういう理念ではなくして、私は最初に申し上げましたように、罰則までつけて強制的にやらした金なんですよ。ですから、これはほかの金と違うと思うのです。普通の収益によって得た金を資本準備金に積み立てておくとか、いろいろなことをしておいてもいいんですが、それとは性格が違うんじゃないか。だから、当然株主に返還をしていく方途というものを考えるべきじゃないかという主張をするんですが、このことについてどうもその他の収益金、会社収益金と同じような理念でやられては、私は事が違ってきはしないかと、こういうことを言うわけですが、それはどうですか。
  80. 吉岡英一

    政府委員吉岡英一君) お話の点は、先生のおっしゃるとおりにわれわれも考えております。
  81. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それから、何か再評価審議会というものがあって、そこで今回は懇談会でやったのだとおっしゃるのだけれども、これはいまでもあるわけですか。もしあるとすれば、これは定期的におやりになるわけですか。
  82. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 再評価審議会は、再評価をやります場合に、再評価の限度額の基準をどうするかとか、そういうことを審議しました審議会でございます。したがって、現在では使命は終わっておるわけでございます。いわゆる各業界の代表がおりまして、再評価をやった企業の業種の代表の方々が集まっておりますので、その再評価積み立て金処理の問題でございますので、関係はございますから、参考的に審議会ではなくて懇談会という形で意見を聞いたわけでございます。したがって、現在では再評価審議会というものは定期的にやっておりません。
  83. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、二年ないし三年の後に問題が出てくるわけですが、このことは、その途中において省内において、これは再評価審議会というものは全然なくなってしまって、任期が来てしまっておるから、目的を達しておるから、解散されておるわけですね。ですから、そういうようなお方に任意にはかって相談をされる、あるいは理財局の中で結論をお出しになって処理をされようという考えのように承っておるわけですが、何か聞いておりますと、どうも収益率のあまりあがらないところ、それは料金等で押えられておるから、公営企業というような名のもとに、あるいは公益性があるということで、あるいは経営の点から見てもどうもおかしいから、どうも一割あるいは八分くらいの配当制限しておるというようなことになれば、なかなか配当制限だけでは私は処理はできないと思うのです。実際問題として、そうすると、これを——これは意見になって恐縮なんですけれども、株主にこれを返すというようなことになっても、私は無償で、ある程度罰則か何かつけて強制的にやらせるようなことをお考えになったほうがむしろいいんじゃないか、そうでないと、最初に申しましたように、お金が何に使われておるか、この六千五百十一億が何に使われておるのか知らないとおっしゃるが、私は設備や何かに回っているんじゃないかということを実は心配をしておるわけです。そのことがひいてはいわゆる過当競争のほうにむしろいってしまって、健全経営というものをむしろ阻害しているんじゃないかということを心配をして、実はお尋ねしたわけです。まあそういうような意見を持っております。これは意見です。
  84. 天田勝正

    ○天田勝正君 税金問題はまた次の機会だそうですから、ちょっと二、二点伺いますが、今度の改正で、減価償却額が普通償却範囲額の一〇〇%未満の場合は配当率一〇%をこえてはならない、こういうことに結局なるようです。そうすると、しかし、それが大蔵大臣の定める範囲内云々というただし書きがあるわけで、それは一体どういう期間でどういう額というのか、あるいはどういう比率できめていきますか。
  85. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 従来は、いま御質問がありましたように、九〇%未満の場合において配当制限をやっておったわけでございますが、今回は一〇〇%というふうに上げたわけなんです。ただ、問題がございますのは、減価償却額を計算する場合に、まあ全くこれは技術的な問題でございますが、〇・何%というのを切る場合が、集計をいたしますと各現場ごとに計算をいたしまして、それで本社で集計をしてそれを実際計算してみると、減価償却率九九・八%とか九九・七%とかいうようなことが計算上の何か誤差として出てくる場合が相当あるようでございます。これは企業の計算の実態なんでございますが、現在は日立製作所が九九・五、六%のあれになっております。その点が第一点。それから、もう一つは、今度の法人税法の改正によりまして、耐用年数の集約化というのが行なわれております。従来非常にこまかく機械ごとに耐用年数がきまっておりましたのを、古い機械も新しい機械もある程度集約して簡素化しようという方向改正が行なわれておるようでございます。したがって、個々の企業別に見ると、非常にこの一〇〇%という償却が困難であるというような企業も出てくるようでございます。特に機械工業あたりはさような点があるようでございますが、そういう点につきましては、五%の範囲を限って——そういうものを全部ひっくるめて五%の範囲を限って、大蔵大臣に承認を求めた場合には、実情やむを得ない場合には承認をしようと。その場合には一〇〇%と同じように配当制限をしませんということでございます。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 それから、さっき電力倉庫、陸運という業種をあげて、組み入れ率が非常に低いということを聞いたのですが、そうしたところが、一応の答弁はありました。ところが、その平均よりも下回っている中に電気機器の四一%というのがありますね。これなぞは別に、他の答弁を受けた業種とは違って、そう困難性がないと思うのだけれども、こういう業種が困難だという理由はつかんでおりますか。
  87. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) お手元に行っております四ページの4の表をごらんになっていただきますと、業種別の組み入れ状況が記載されてございます。電気機器がまん中辺にあります。いわゆる資本金に対する再評価積み立て金の残高の割合、A分のBというのがまん中の辺に数字が、パーセントで載っておりますが、こいつが現在の再評価積み立て金の残高の資本金に対する割合でございます。これは電気機器は五・二%というふうになっております。これは全体の平均は一九・三%でございます。ところが、一番最後の欄のD分のC、これはいわゆる組み入れ割合でございますが、組み入れ割合が四一・〇、こうなっております。したがって、この全体の平均の四〇・一と大体とんとんぐらいにいっておる。これを考えますに、電気機器業界というのは終戦後非常に好況でございまして、有償の増資が相当行なわれたわけでございます。行なわれまして、資本組み入れ割合は四一%ぐらいでございましたけれども、企業規模というものが相当ふくらみまして、再評価積み立て金の残高が企業規模に比べますとほとんどとるに足らないような状況になってしまったということをあらわしておるのではないかと思います。したがいまして、全体の企業規模からいうならば、現在残っております再評価積み立て金はほとんどとるに足らないような金額になっておりますというのが実情ではないかと思います。これは非常に有償増資が多かったということに基づく結果になろうかと思います。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、先ほど来各委員から御質疑があった問題ですが、いずれにしても、当局の見るところでは、電力の一八・三%などというのは非常に低いのですから、これはどう今度の法律改正をやってみたところで急速に資本組み入れが行わなれない、こういうふうに判断するのですが、成瀬さんはそれを三百三十二社ですかと数字をあげておられましたが、当局の見る結局資本組み入れが行なわれない業種はどのくらいになりますか。——業種では言えぬか、業種は。いや、それじゃ社数でもいいです。
  89. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) 社数で厳格に……
  90. 天田勝正

    ○天田勝正君 いや、おおよそでいいです。
  91. 塚本孝次郎

    説明員塚本孝次郎君) どうなるかというのはちょっとお答えできないのでございますが、三十五年の九月末と三十八年の十二月末の資本組み入れ割合の推移を見てみますと、三十五年の九月末における資本組み入れ割合電力を除きますと三八・三%でございました。それが三十八年の十二月末では五四・九%になっております。これは東証の第一部の上場の会社のみの数字でございます。したがいまして、このスピードでその組み入れが進んだとした場合に、四十二年の九月末を予想いたしますと、全くのこれは延ばした数字でございますが、七五・七%ぐらいになるのではなかろうかと。したがって、全体の資本組み入れに関する卒業ライン八〇%というのに非常に近いところに行くのではないかというふうに考えております。
  92. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  93. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記つけてください。  午後一時まで休憩いたします。    午後零時十分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  94. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。  公庫の予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明及び補足説明は聴取いたしておりまするので、これより直ちに質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言願います。
  95. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 改定をされる個所が六ないし七あるようでございますが、そういうことについて逐次ひとつ御説明を承るような意味合いにおいて御質問申し上げたいと思いますが、第一は、節の区分を廃止するというようなことになるようでございますが、これは何か特別な理由があるわけなんですか。
  96. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 節の区分につきましては、従来は一般会計におきましてもございましたけれども、すでに昭和二十五年の三月の財政法の改正で節の区分を廃止しております。また、他の政府機関においても節の区分は現在ございません。したがいまして、特に公庫に限って目の次の区分としての節の区分を置いてこまかく予算の執行を統制するところの意味がないということで、今回節の区分を廃止することにしたわけでございまして、特に何か目的があってこの区分を廃止するということを考えているわけではございません。
  97. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、一般会計等においてはすでに廃止されておると、こういうわけですね。その廃止されたときに、あわせてやらず、あるいはその間に相当の年限もあるようなんですが、いままでなぜそれじゃそういうことについて合わせるようなふうにしなかったのか。
  98. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) ごもっともな御質問であると思います。私どもは、実はこの節の制度は、ただいま申し上げましたように、一般的な制度にはなっておりません。それから、公庫におきましても、ほとんどこれがなければならぬというような実情がございません。そういうことで、これを廃止いたしますというのは、何もいまさら今回に限ったことではなく、さらによく検討いたしまして、それでもっと早い時期に整理すべきものは整理しておくべきであったという性質のものでございます。  今回御審議をお願いいたしておりまするこの公庫の予算決算に関する法律の一部改正でございますが、全体といたしまして、行政監督の面あるいは予算統制の面、いろいろな面からする施策が公庫にかぶさっておりますが、それを機能的に見ますと、重複しておるといったようなものを廃止いたしまして、能率の向上をはかりたいということが本旨でございまして、そういう意味法律をお願いいたしているわけでございます。それを機会にと言ってはまことに妙なことでございますが、実は比較的、これがございましてもたいへん差しつかえがあるというものでもございませんし、かといって、これがありましても、実はかえって事務が繁雑である一面、たいして重要な機能を果たしておらないというものもあわせてこの際整理をしていただくという意味合いの法律になっている次第でございます。何ぶんにも、いろいろな制度が次から次と動いておりますので、若干こういうような目残しと申しますか、というような形になっておりましたので、それ以外に他意はございません。しかし、いままで検討が不十分であったという御注意があるとすれば、それは私どもといたしましても十分に反省しなければならぬと、こう考えております。おくればせながらここである程度検討の済みましたものをまとめてお願いしている次第でございます。
  99. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、どういうふうになるのですか。これは款項目、どういうふうになるのですか。節がなくなるとすると、公庫予算はどういう勘定になりますか、款項目か。
  100. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 歳出に関しましては、項、目でございます。
  101. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、いままでは項、目、節とあったのを、節をやめる、こういうことになるのですか。
  102. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) さようでございます。
  103. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 その次に、固定資産の取得に要する金額の限度額というのですか、これが何か最高というのですか、限度額というものがいままできめられておった。これをなくすると、結局、歳出予算をつくったときに、いままでは固定資産はこれだけ以上使ってはいけないという限度額があった。何割なら何割とか、何%というものがあったので、そういうものはこれを制限をはずすと、こういうのですか。
  104. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 若干、公庫の固定資産の取得費の限度額に関しまして従来の経緯も申し上げますと、この公庫の予算及び決算に関する法律昭和二十六年の三月に制定されましたが、当時は固定資産の取得に要する経費も公庫の支出予算に計上されておったわけでございます。しかし、その後、と申しましても翌年ですが、二十七年の四月にこの公庫の予算決算に関する法律の一部改正によりまして、固定資産の取得費は支出予算からはずされまして、そこで公庫の収入支出の予算、すなわち予算書におきまして議決の対象となっておりますところの予算に計上する項目はすべて損益を伴う収支だけとなりました。つまり、経費予算の形となったわけでございます。したがいまして、その昭和二十七年四月の公庫の予決法の改正以来、固定資産の取得費につきましては、歳出予算からははずされているわけでございます。  で、ただその際に、その限度額につきましては、その固定資産の取得費の限度を、従来が歳出予算に含まれておったというような経緯もございましたので、とにかく予算総則の事項に残しておくということになったわけであります。しかしながら、固定資産の取得費の額は、これは公庫全体の資金の額から申しますと、非常に僅少でございまして、貸し付け資金を含む総体の資金の中で何%かということだけでそのウェートを判断することは問題あるかと思いますが、そのパーセンテージを申し上げますと、最高の率を持っておりますところの医療金融公庫でも〇・四%、たいていのところは〇・一%という程度の金額にすぎず、かつまた、その対象となる固定資産の内容も、一件十万円以上という現状におきましては、金額的にもそうたいしたことはない。そういう固定資産の取得をも全部対象にしているわけでありまして、その内容も、営業所、あるいは設備その他の備品の取得というようなものになっております。また、その固定資産の取得費も、現在はこの予算に添付されておりますところの資金計画の中で明瞭に固定資産取得費として示されているわけであります。したがいまして、この予算総則におきまして、あらためて限度額を明示しなくても、十分公庫の資産の取得について資金計画の承認ということを通じまして規制もできるということで、この際まあ事務の簡素化、合理化という一般的な公庫の会計制度の整理の方針に従いまして、予算総則に固定資産の限度額を掲げるということはやめることにいたした次第でございます。
  105. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 よくわかりませんが、そうすると、資金計画がをつくって、そうしてそれを大蔵大臣に承認を得るんだ、したがって、予算総則において限度額はこうこうだといってそういうことをやる必要はなくなったのだ、またやらなくてもそうたいした大きな固定資産を取得するような場合はちょっと考えられないから差しつかえないのだ、こういうことなんですか。
  106. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 各公庫の資金計画は別にこのために新しくつくるということではございませんので、予算書にそれぞれ添付書類といたしまして毎年度の事業計画、資金計画というものが掲げてございますが、その資金計画の中に固定資産取得費というものがはっきりと掲げられてあるわけでございます。で、この資金計画に従いまして、毎事業年度、また実行に際しましては主務大臣の承認が毎四半期ごとにございます。その主務大臣の認可を通じまして固定資産の取得の統制もきくのでございますし、その承認も当然この予算書に掲げられておりますところの資金計画に従ってなされることになりますので、十分な統制がそこにあるから、あらためて予算総則におきましてこの固定資産の取得の限度を掲げる必要はないのではないか、こういうことでお願いしたわけでございます。
  107. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 四半期ごとにですか、四半期ごとに主務大臣の決裁を得るわけですか。
  108. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 事業計画及び資金計画は、たとえば国民金融公庫法の第二十条には、「公庫は、毎事業年度において当該事業年度の予算の添付書類に定める計画に適合するように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを大蔵大臣に提出し、審議会の議を経て行うその認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。」、あるいは他の公庫につきましても、同様に四半期ごとの事業計画及び資金計画につきましては、これを主務大臣の認可にかけております。国民金融公庫は主務大臣が大蔵大臣だけでございますので、大蔵大臣の認可と書いてありますが、たとえば住宅金融公庫につきましては、主務大臣は大蔵大臣及び建設大臣なので、その両大臣の認可というように、それぞれ主務大臣の認可を毎四半期ごとに受けるようになっております。
  109. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この是非の判断にちょっと苦しむわけですが、どうも今回の改正の趣旨は、資金計画、全体の資金の中でこういう固定資産の取得費がパーセンテージが非常に低いのだから、事業計画あるいは資金計画でそういうものを出すのだから、ここからはずすのだということでいいものなのか、そこら辺の判断に非常に苦しむのですが、それで一向差しつかえないのだ、それが経済民主化というか、予算民主化の線から見て差しつかえないものかどうか、そこらのところちょっとわかりかねるのですが。
  110. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 申し上げます。これはそういう御議論が当然あるべき問題だと思っております。というのは、公庫の予算統制をどうするか、公庫自体の自律的な、本能的なその責任をどういうふうに備えさすかという問題の実は一つの解答でございます。で、当初は、先ほど申し上げましたように、事業損金になるようなものは、これは予算で調整しよう、これもほんとうのことをいえば、損金があれば、一方で益金が立つのですから、純粋の民間ならば何も損金だけ押えるということは、いわばかせをはめるということにも相なりましょう。しかし、現在では損金はやはり予算統制によるのだということがこの公庫というものの性格になっているわけです。さらに、固定資産の取得費になりますと、これは損金ではございません。別に損益に関係のないことである、資産の変形にすぎないわけでございます。しかし、何ぶんにも重要なる財産の取得であるというようなことから、当初は、損金とあわせまして予算の形で統制が行なわれる、続いてどうもそれは少し行き過ぎであるということで、予算総則にうたう程度の改正をいたしたのであります。今回はいろいろその後の実情を見ましても、ただいま説明申し上げましたように、やはり公庫というものの公の主体であるというその存在の本質が当事者のそういうような意識というようなものによりまして自律的になるべく持っていくということのほうが、公庫によるところの公益目的を達成するためによろしかろうということから、これを予算総則からもはずしまして、そして言うなれば公庫自体金融業務もやっております。これが固定資産ばかり持っておりましたのでは公益の目的に沿うわけにはまいりません。おのずからそこでその公益の目的を自覚いたしまして、それで理事者が十分な自覚と責任によって能動的と申しますか、十分にその責任を自覚した形でもって効率的に仕事をやってもらうという体制を整える方向に実は考えておる次第でございます。そういうことから今回の改正をお願いいたしておる次第でございます。  しかし、これもお話のようなことで、金額が小さいから、たいしたものでないから、予算に載せる必要ないというようなちょっと説明を申し上げたような形になっておりますので、金額が小さいと申し上げましたのは、いま言ったようなことが、公庫におきまするところのその営業の実態、それから当事者におけるそのたたずまいを見まするというと、十分にその技術的な形でもってやっていける、膨大な固定資産を備えまして本来の営業に回すような金を食ってしまうというような弊害は決して認められないということを申し上げたのでございまして、今後はしかし野放しということではやはりないのでございまして、資金計画というものを自分でつくります。それに対して公の監督はやはり行なわれていくという形に直したものでございます。  何ぶんにも、この公庫の制度というのは、そういう能率的あるいは責任といったものを国と独立させまして、これを十分に活用するという反面、また一方でもって完全なる営利原則が働くわけでもございませんので、これに対してまた必要最小限度の統制を加える、そういうことの妥協でもってできておる制度でございますので、その間におきまして運用の実情に応じましてなるべく円滑にその目的を有効に達成し得るようにということで、いろいろ常日ごろ考えておる次第でございます。そういうような観点からいたしました検討の結果といたしまして、今回の改正をお願いしておるわけでございます。
  111. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 議院のあれを制限するようなことになるのかどういうのか、よくわからないのだが、国会の議決を。私は、国会がこれをここにこまかく検討したとか議論したということは、きっとないだろうと思います、いままでには。ないけれども、いわゆる予算総則の中にうたわれて、形は国会の議決を経たという形になっておったと思うのです。今回これを資金計画の中で立てられて、大蔵大臣、いわゆる主務大臣の認可は得られるかもしれぬけれども、国会においては一応関係がなくなる、こういうことになるわけじゃないでしょうか。
  112. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 予算のいわゆる議決の対象といたしましての固定資産の取得に関する限度額というものが、予算総則にきめられておるという形はなくなるわけでございます。その関係につきましては、いま御質問がございましたような関係に相なります。しかし、実際問題といたしましては、不動産の取得をどういうふうにするかという問題、そういう問題はいわゆる営業と密接な関係がございます。したがって、営業の実態に即しまして、やはりそのときそのときの業務の状況あるいは景気の動向といったようないろんな条件がございますが、それによって弾力的にやっていきたい。そのほうが、またそういう責任を公庫ともなれば持たしてやったほうが効率的であろうという判断でございまして、ただ、国会の関係で全然御存じにならぬという形ということでもございませんので、国会に提出いたしまする予算の法定の付属参考番といたしましても資金計画の年間の分が載っております。その中に固定資産の取得費が計上されております。これはそれ自体といたしまして国会の議決の対象となるものではございません。しかしながら、この経費予算の御議決にあたりましては、当然経費予算は華美自体の御検討によって御判断あるべきものであります。そういうようなことから、国会における御審議の基礎になる資料という意味におきまして、政府も公庫も、これに対しては御議決があったものではありませんけれども、それに準じたような内容的な権威のあるものという拘束性を感じて実際の事業をしておるわけです。そういう資金計画の中にはやはり載っておりますので、十分に御批判のチャンスもございまするし、御検討のチャンスもあります。それから、御意見を賜わるあるいは予算の修正といったような問題にもつながる指貫のいわば手がかりと申しますかというようなものは、十分に存置されておる次第でございます。
  113. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 意見は別といたしまして、次に、支払い計画制度というのですか、そういうものも今度廃止されるようですが、十五条、前の条文でいうと、それが全部削除になっておるわけですが、これはどういうことなんですか。
  114. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 現在は、公庫の支出予算に関しましては、予算が成立いたしますと、その通知を受け、支払い計画を作成して大蔵大臣の承認を受ける、かようになっております。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、この支払い計画は公庫の支出予算に関してのみでございまして、その事業の全体は、と申しますよりも、むしろ事業の主力であるところの各公庫の業務活動は、それぞれの事業計画なり資金計画の承認を通じて行なわれることになっておるわけであります。その経費の支出予算の金額は、資金計画上は一括して事業損金ということで区分されておりますが、その事業損金は資金計画の一部としまして、先ほど申し上げましたとおり、毎四半期主務大臣の認可の対象となっているわけでございます。したがって、この支払い計画の拘束は、その事業損金としての、事業損金という一つの項だけにまとめられておりますし、その項が事業損金が支払い計画の対象になっているわけでありますので、一々支払い計画をつくりましてもその中身には及んでおりません。したがいまして、公庫の資金計画の承認をすれば、その一部である事業損金としての支払い予算の承認をする必要はないのではないかということで、事務の簡素化の目的から、この際支払い計画の承認を廃止するということにいたした次第でございます。
  115. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、御説明を承っていれば、資金計画の中に入る、当然入っておったと、いままでも。それがなぜそれじゃ、損益計算のほうのそれは別にいままで取り立てて一つのものをあげて支払い計画をつくっておった意味というものはどこにあったわけですか。
  116. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) これもまことに申し上げにくいことでございますが、実は予算統制と専業監督に対する関係とが公庫に対して二重に統制がかぶっておった。現在もあるわけでございます。予算統制の面からいきますというと、この予算がありますというと、御議決をいただきまして、この実行の面にあたりましては、今度は支払い計画という形でその実施を統制いたしていくというのが、予算のほうの制度の本質的な原則になっております。そういうような原則から、従来この制度がございました。実際には、これは一般会計のような経費中心に意味のある場合でございますというとたいへん意味があるわけでございますが、こういうものにつきましては、それと同じような意味は持ち得ないわけでございまするが、予算の制度の本質といたしまして、そういう制度が当然付随するものであるという考え方によりまして従来これを実施いたしておりました。しかし、それは一方でもって公庫のほうでは事業の全体の監督がございます。それは資金計画の形によりますれば、これはもう掛金のみならず、資金の運用も一切の金の出入りがそちらでもって認可制によって統制されておるわけであります。その中で特に損金に当たるものであり、しかも現金支出の伴うものというものだけにつきまして、この予算制度のほうからの制度が生きておったわけです。その結果、そこに完全に重複がございました。実際問題としては同じことの内容のものであります。それが行なわれておったというのは、いま申し上げましたようないきさつでございます。  現実にこういうような会計と申しますか、経理に対しまして、資金計画的な統制をどの程度、損金の統制をどの程度まで必要とするかという問題につきましては、一般会計の場合とは多少違うと思います。しかしながら、その点には触れませんで、やはり今回の改正といたしましては、これを一切やめるということではないのでございまして、ダブっておりまするので、この事業計画のほうの資金計画というもので当然カバーされまするので、それによって済ます、こういう考え方でございます。したがって、ほんとうに専務といいますか、手続の簡素化ということで、実体的ないろいろな制度、あるいは拘束関係といったようなものは、従来と変わるところがない次第でございます。
  117. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ここでわかりましたら、二重統制、これは会計検査院がそれじゃいままで、こういうようなことについて、何か間違ったことがあったとか、これは不穏当な取り扱いであったとかなんとかいう、こういう点について、会計検査院が指摘したこと、いままでに何かございましょうか。
  118. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) そういうことはございません。別に個々の案件ということではございません。制度の立て方でございますから、検査院も比較的そういうことはわりあいにおっしゃらないわけでございますが、要するに、理屈に走れば両方の制度が成り立つわけです。しかし、実際にやっておりまするのは同じことでございますから、どちらも公の組織として、制度としてやっておりまするので、それを一方のほうでもって実体がカバーできておるから、それで済ます、こういう趣旨でございまして、いままでダブってやっておったことがむだなことであるという御批判はあり得ると思うのです。しかし、観念的にはこれは別の系統の制度であるということでもってできておりましたから、それ自体が直ちに不穏当であるとも中しかねると思います。しかし、実際は限られた人手を用いまして、まずサービス第一にいくべきところを、こういう内部の統制あたりでダブるような手続があるということは、また制度そのものを考える面の立場のものからいたしますと、いろいろ考えもございまするけれども、やはり能率ということと、間違いがなければそれでよろしいという点から、今回これを踏み切った次第でございます。そういうようなことでございますから、別に検査院のほうから何か御注意をいただいたというような案件ではございません。
  119. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私の質問した趣旨は、監督が二重になっておるから間違いはない、しかし、二重になっておっても間違いがあったのだということになれば、問題であろうと思って、あるのかないのかということをお尋ねをした。なければ、これは二軍行政だから、それが一つになれば非常に事務の簡素化からいいじゃないか、間違いがなければこんなことでいいじゃないか、そういう趣旨なら、私も了承いたします。  それから、もう一つは、佐藤さんを会長ですか委員長にしておる行政調査会、ああいうようなところでは、このようなことは問題にしませんですか。
  120. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) あちらの委員会のほうは、新聞等ではときどき御意見も出ますのを拝見しておる程度でございまして、公の私ども接触はいたしておりません。政府との関係ですでに勧告の出されたものなら別でございますが、それらの関係から私どもが承知いたしておりますところによりますれば、この問題について特に御意見があった、あるいは御議論があったというようなことは聞いておらない次第でございますが、ただ、報道されたところによりますと、私の受けました印象では、やはり公正にやらなければならぬということはもちろんでございますが、一方で、手続等につきましてはなるべくこれを簡素化すると申しますか、あるいはダブったような面を排除すると申しますか、というようなことで、こういう政府関係機関の自主的な管理責任というものを強調されたいという気分のお考えもあるようであります。これも私といたしましては新聞紙等で拝見いたしただけでございます。
  121. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、何か監事の機能を強化するというようなことについて、行政管理庁のほうからの勧告がされて、それを受けておやりになったようでございますが、そのことについて御説明願えませんか。
  122. 相沢英之

    説明員(相沢英之君) 監事の権能強化に関しまして、三十七年の十二月に行政管理庁から勧告が出ております。それは、行政管理庁の勧告は、公庫の、ほか公団及び事業団が対象となっておりましたが、その名称は「公団、公庫、事業団監事の監査機能強化に関する勧告」というふうになっております。この勧告におきまして、監事の権限強化の一つの態様といたしまして、公団等が毎棄業年度主務大臣に提出する決算書類には監事の意見を付するようにすべきではないかということが言われております。その勧告を受けまして、今回の法律改正に、公団等が毎中業年度主務大臣に報告するところの財務諸表及び決算報告書に監事の意見を付することというふうにいたした次第でございます。この監事の権限の強化の措置といたしましては、別に各公庫法の改正におきまして御審議を願いましたことでございますが、監事の意見を主務大臣に述べるようにするということがございました。これも行政管理庁の勧告に基づいて行ないました改正でございます。公団は各公庫法の改正の中に盛り込まれておる点でございまして、その改正と今回の公庫の予決法の改正とが一体となっておりまして、行政管理庁の勧告にこたえるというような形になっております。
  123. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 相沢さん、これは何か総裁かなんか経由して出さなければならぬというを削除して、面接大臣へ出されるようにした、どの法律だったかちょっと記憶ありませんが、何かにあったと思いますが。したがって、今回のいま議題になっておるこの法律案とは直接関係がないわけですね。
  124. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 主務大臣に対しまして意見を報告する改正規定とこれとは、もちろん直接の関係はございませんけれども、行政管理庁の勧告を受けまして、監事の権限強化の措置として行なわれているという点では関連を持っております。
  125. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この十九条のところに、その「当該決算報告書に関する監事の意見を附し、かつ」と、これだけが加わっておることなんですね。これを受けて公庫法の中にいろいろある、こういうことになるわけですか。
  126. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) それは十八条の関係、公庫の予決法の改正といたしましては、第十八条の第一項に、財務諸表に関して監事の意見を付することが襲いてございまして、それから第十九条第一項に、決算報告書に監事の意見を付することになっております。しかし、先ほど申し上げました各公庫法改正に含まれておりますところの監事の権限規定は、これとは別でございまして、主務大臣に対して意見を述べるということで、こういった財務諸表または決算報告書に対する監事の意見の添付とは別でございます。
  127. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に、この支出予算の繰り越し制度をなくするのだ、その理由は、何か実績として二十八年以降なかったのだからと、こういうお話ですが、繰り越しがほんとうに将来も予想されはしないでしょうか。
  128. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) 繰り越しの制度は、昭和二十四年公庫発足以来ございましたが、いまお話がございましたとおり、昭和二十四年から二十八年度までは、ごくわずかでございますが、実例はありました。ただ、二十九年から三十八年度までの十年間には、一件もなかったわけです。と申しますのも、先ほど申し上げましたとおり、繰り越しが実際に行なわれますのは、主として建物を建てるとか、あるいはその他の工事を行なうとかいうような場合でございます。ところが、公庫におきましては、固定資産の取得というものが、支出予算から先ほど申し上げたとおりはずれております。したがいまして、支出予算の繰り越しは実際問題としてないわけでございます。考えられることは、事務的な経費につきましてはあるわけでありますが、実際問題としては実例がないということで、繰り越しの制度を置いておきましても、実際それを用いられないということもございますし、また、公庫の決算のやり方といたしまして、かりに従来の制度でいくと繰り越しが必要となるような場合におきましても、支出決定ベースでこの決算をいたしますれば、繰り越しする必要もなくなるということでありますので、今回の改正におきましては、この活用されなかった予算の繰り越し制度を廃止するということにした次第でございます。
  129. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  130. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
  131. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、もう施設関係というものは今度完全にはずれてしまっておるのだから、必要がないのだ。結局、今度の支出予算にはもう人件費や事務費というようなものしかないんだからと、こういうことなんですね。
  132. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) さようでございます。
  133. 天田勝正

    ○天田勝正君 これはずいぶん私も、何か便益になるかと思っていろいろ調べてみたんですがね、改正になっても別段さしたることもなし、さればといって、現行のほうがいいという議論も立たない、こういうふうに私は見たんですけれども、これは何ですか、そのうち一つ、決算の完結期を今度変える、こういうことがあるんですが、これはなるほど早ければ早いほどいいとは言いますけれども、他の一般の会計が七月三十一日になっているのを、これだけ離れて五月にしたほうがどうしていいんですかね。まあできるからやるというだけでなしに。
  134. 相沢英之

    政府委員(相沢英之君) おっしゃるとおりの問題があろうかと存じますが、私どもは、今回の改正案におきまして決算完結期を従来に比べまして二月繰り上げましたのには、若干の理由がございます。その一点は、公庫の経理は一般会計の経理とは異なりまして、事業年度の完結をもって収入支出は打ち切って、一般会計のような出納整理期間が設けられていないわけであります。一会般計におきましては、三月末日から二月、つまり五月末まで出納整理期間が設けられております。そして、その出納整理期間を終えてから二月、つまり七月の三十一日に決算を完結するということになっております。しかし、公庫の経理に関しましては、出納整理期間の二月の期間がございませんので、七月末まで何も引っぱらなくても、事業年度の終了二月後、五月末に決算を完結さしたらどうか。つまり、事業年度終了後四カ月もほうっておくというのは長過ぎはしないだろうかということが一つであります。  それから、もう一つ、公庫は、各公庫につきまして、利益金がある場合には、その翌年度の五月三十一日までに、つまり事業年度の終了後二月以内に国庫に納付しなければならないということになっております。したがいまして、従来のやり方からいきますと、決算の完結は事業完結後四カ月の七月三十一日まででよろしいのでありますけれども、実際問題としまして、利益がある場合には五月末までにこれを納めなければならないので、事実上決算をそれまでにやってしまっているということになっているわけでございます。したがいまして、もし利益金の国庫納付を、五月末までに国庫に納付するということを履行するためには、やはり実質的に決算を五月末までにしなければならないということになるわけでありますので、そこで実際上の決算の完結期に合わすということになりましても、各公庫としては事務上の支障感じないし、またそのほうが合理的である。で、かりに、それでは現在の公庫の決算完結期の七月末までに利益金納付の時期を延期したらどうかという考え方もあるわけでありますが、利益金の納付が七月となりますと、もう出納整理期間をはずれますので、前年度の歳入に入らずに翌年度の歳入に入ってしまうという不都合があるわけでございます。まあそういったこともありますので、これは利益金の納付期限に合わせて、五月の末までに決算を完結することにしたらどうかということでございます。  それから、民間の銀行も会社も、通常、事業年度経過後二月以内には決算を完了いたしております。法人税の申告も事業年度の終了後二月以内ということが原則になっております。それやこれやで、この決算完結期を二月繰り上げて五月末にすることが、考え方といたしましても、また実情に適するということで、今回改正を考えた次第でございます。
  135. 天田勝正

    ○天田勝正君 その点は私も別に反対的な質問をしているわけじゃないので、前のとおりだってたいしたことはないじゃないかという気で申し上げておるわけなんです。  それから、先ほど来、成瀬さんとたいへん御議論があった固定資産の取得金額の限度ですね、これも事実上はパーセント以下といったようなことなんですから、それを取りやめるという面から見ますと、しかり、こういうことになると思うのですけれども、どうなんですか、端的にいって。固定資産の取得も、いままでのような店舗とかそういうものじゃなくて、厚生施設とかそういうようなことに取得の内容が変わってくるのじゃないか。それ自体としては——私の想像が当たっていれば、それ自体としてはちっとも差しつかえない。差しつかえないけれども、そこにある種のアンバランスができるということも予想されるわけですね。ある公庫ではたいへんそういう厚生施設等が制限がないからりっぱだ、片や一般の公務員あるいは現業の従業員、こういうほうはさっぱり、予算の締めつけがあるから思うようにまかせない、そういうことが起きますと、やっぱりひとしからざるを憂えるのでしてね。別に説明のうちにあるわけじゃない、私が想像して申し上げておるのですが、そうなればやっぱり、公庫といえども国の機関ということで、行政全般としてはなかなか別の面から不平も出てきはせぬか。そういう場合には、何か別の配慮をすることになるのですか。さっきの資金計画ででもするのですか、どうですか。
  136. 中尾博之

    政府委員(中尾博之君) 最後の点につきましては、資金計画で当然これは統制をいたします。そういう手段はあるわけです。いまの問題も確かに一つの問題でございます。かつては事業損金を全部やはり歳出を通して押えちゃうという制度であったわけでございます。それじゃ何だか事業をやっているといったって他人に全部統制されているようなものじゃないかというようなことから、それをはずしまして、続いて固定資産の取得分にいたしましても、やはりこの事業経営上の配慮もあるし、自己の管理意識からこれを合理的な判断によってまかしてやらせるということのほうが自主的であるという線に沿って、人事院の予算総則に持ってまいり、それから今回何からはずしました。ただし、いまの事業計画の面から、資金計画の認可がございます。これには当然そのつど載ります。これは四半期別になっております。一部の公庫で半期のものが一つありますけれども、四半期別で、まあ世間さまと申しますか、世間の実情に応じて、あるいはその営業の景況に応じまして適切な判断でやっていく、しかもそれは自分だけでやるのではなくて、監督官庁の認可によってやっていくという制度に移した次第でございます。  まあこういう問題でございますから、どこに一体線を引いたらバランスがちょうどとれるかという問題でございまするが、せっかく公庫もつくりましたし、たたずまいといたしましても、いま申し上げましたように決してむちゃをやっておるというような実情もございませんので、なるべく自主性を尊重いたしまして、責任をむしろ自覚せしめて運営していくという方向にできるだけ持っていく。もちろん弊害があってはいかぬわけでございますから、まさかのときの用意は用意してございまするので、そういう線に持っていきたい。かつてはいろいろなことを考えまして、固定資産のほかに、自動車の取得費なんてものもやはり予算にしといたほうがいいんじゃないかというようなことで、いまと違いまして、まだ自動車がたいへん貴重品であったような時代であったせいもございますが、というようなことでいろいろ議論がございまして、だんだんにまあ公庫の制度も完熟してまいりましたし、そのあり方というものの常識も大体固定してまいりましたので、弊害が予見されるものであってはいけませんが、まさかの用意は用意といたしまして、できるだけ弾力的に自主的に持っていけるようにというふうに考えまして、それでまあこの辺の線をひとつお願いしたと、こういうことであります。  さらに進歩的な御意見といたしましては、もっと自主的にやるべきだという御意見もございます。それから、一方で、そうは言うても事業もいろいろあると、資金繰りにしてもいろいろあると、しかも公の機関であるから、これはもう少し締めなきゃならぬという保守的な考えの方もあるわけでありますが、まあそういう議論は議論といたしまして、よく実情を拝見いたしまして、まずこの辺なら間違いがないと思われるところから実は順々に、能率ということを重く見まして、改正をお願いしてるわけでございます。
  137. 天田勝正

    ○天田勝正君 全く、娯楽施設をつくるとか厚生施設をつくるというふうなものが、他の行政機関とのバランスだけを重視するために、どうも一生懸命働いてもうまみがないと、そういうようなことでは、公庫だの公団だのというものを何か独立採算でやってるのにさっぱり意味がないと、こういうことになると思うんです。  ところが、私がそういうことをちょっといま気づいたのは、実は私の経験で、過日ちょっと林業基本法を書いたときに、もう国有林町をそうめちゃくちゃに払い下げしちゃいかぬ、払い下げということを、政府も言っているけれども、むしろ逆に利用権を地元に与えればいいという向きで、その内容をここで長く説明するつもりはない、大体そういう向きで執筆したんです。ところが、したがって払い下げなどはしないのだと言うたところが、別の議員さんの注意で、実は全く平地林のごとくで、市になった場合には、あなたが心配するように、払い下げを受けて、ちょうど市町村合併で払い下げを受けた。ところが、そのあと半分ぐらいしか実は施業していないのですね。もったいない話なんです。半分ぐらいしか木を植えていないのです。木を安く払い下げてもらったから、それで得で、施業だけはあとだ、こういう市町村がこれは実にあきれるほどあるのです。これは国損に実はなっている。それがしかも平地林でそういうことがあって、それは別にあなたが心配しているような、木を植えるとかそんなことじゃなくて、国有林野の関係の施設が、膨大なところにぽつんとあるのだから、そういうものをつくれと言うのじゃないけれども、その他は解放したほうがむしろ所在市町村にもいいのじゃないか、こういう注意を受けた。それだから、うまみがあるなしということも一つ必要であるとともに、あまり国有林なら国有林を持っている一つの事業だから、他の行政官庁あるいは公団、公社、他の特別会計、こういうものと比べて、おそろしく恵まれるというのをこえてぜいたくの部類に属する、こういうようなときになると、やはりいま申し上げたような他の面から、それはひどかろう、こういうものが出てくる。それを案じているからなんです。別に答えを受けるつもりもないですけれども、そういう場合には、だから、将来にわたって私は公団、公庫同士とか、特別会計も含めての調整とか、何か全体としてそういう厚生施設などが上がっていくような配慮はほしいものだ。いまそういう機構をすぐどうしようというわけにもいかぬでしょうから、将来はそういうことも考えるべきじゃないかと思って、実は申し上げているわけです。もうよろしいです。
  138. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑もなければ、本案に対する質疑は、本日のところこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十六分散会      —————・—————