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説明員(
塚本孝次郎君) 先ほど申し上げましたように、
電力とか
私鉄につきましては、料金の
関係上、この三年間で
組み入れが相当
促進されて
卒業ラインに達するということも予想が困難でございますので、おそらく相当の再
評価積み立て金が残るのじゃないかと思います。したがいまして、これを今後三年たちましたら、
配当制限は一切やらないのだというふうにきめたわけではないのでございまして、できるだけ
配当制限をしないような
方向で何か基本的な案を考えていきたいとは考えておりますが、他の業種は相当の
資本組み入れをやって再
評価積み立て金を株主のところに返しておる、相当困難な
配当負担を負いながらもやっておるにもかかわらず、それらの業種が全然やっていない、そういうアンバランスがあるわけでございまして、そういうものを放置しておいて、まあ
配当制限を全然やめてしまうということが権衡上問題があるのだということになれば、まだ
配当制限を続けるということにもなろうかと思います。
それから、もう
一つは、ただ、
資本準備金に入れるというのが最終的な
処理になると思います。
資本準備金はたとえば株式発行のプレミアムのようなものが入ってくる
勘定でございますが、その
資本準備金の使用が、現在の
商法によりまして、欠損補てんまたは
資本組み入れ、こういうふうに使うことが許されておるわけでございますが、その場合には現在の
資本充実法のように抱き合わせ
増資ということができないようになっておるわけであります。ということは、いわゆる五十円のうち三十円払い込んでください、そうすれば二十円は無償でつけて一株差し上げましょう、そういうことは言うならば有償を半ば間接的に強制する形になりますので、
商法上は好ましくないということで、そいつは許されていないわけであります。ただ、再
評価積み立て金というのは非常に株主に近い性格を持っておるということから、
資本充実法においてはそういうことは許されておるということでございます。したがいまして、これをやめて
資本準備金に入れました場合においては、
企業がそういうふうに非常に使いにくくなるという面が出てくるわけでございます。非常に膨大な
資本準備金がいつまでも残るということになってまいりまして、その辺が非常にむずかしい問題になるのではないかと考えております。だから、その辺は
商法との関連も見ながら業界の実情を聞いて具体案を作成しようと思っております。適当な案ができないとすれば、さらにもうしばらくは
配当制限を続けるということになろうかと思います。
ただ問題は、現在の
電力会社も
私鉄の大手も大体
配当率が一割でございます。現在は最低が一割をこえてはならないという
規定になっておりますから、実質的にはあまり影響を受けていないわけでございますが、一割以上の
配当をしようと思うとひっかかるということになっております。