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1964-04-21 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十一時二分開会   —————————————  委員異動  四月十五日   辞任      補欠選任    二木 謙吾君  鳥畠徳次郎君    久保 勘一君  上林 忠次君    吉武 恵市君  佐野  廣君  四月二十日   辞任      補欠選任    上林 忠次君  村山 道雄君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君    委員            岡崎 真一君            佐野  廣君            田中 茂穂君            日高 広為君            堀  末治君            木村禧八郎君            柴谷  要君            野々山一三君            鈴木 市藏君   衆議院議員    発  議  者 田中 武夫君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省銀行局長 高橋 俊英君    大蔵省関税局長 佐々木庸一君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    大蔵大臣官房財    務調査官    中島 晴雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○酒税法の一部を改正する法律案(衆  議院送付予備審査) ○製造たばこ定価決定又は改定に  関する法律の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○入場税法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○保険業法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○自家用自動車の一時輸入に関する通  関条約の実施に伴う関税法等の特例  に関する法律案内閣提出)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十五日、二木謙吾君、久保勘一君及び吉武恵市君が辞任され、その補欠として鳥畠徳次郎君、上林忠次君、佐野庸君が選任されました。   —————————————
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 酒税法の一部を改正する法律案製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案、以上いずれも予備審査の三案を一括議題とし、発議者から提案理由説明を聴取いたします。  衆議院議員田中武夫君。
  4. 田中武夫

    衆議院議員田中武夫君) 提案説明を申し上げる前に、若干訂正をしていただきたいと思います。  お手元の提案説明の二枚目三行のところに、「約千億円」とありますのを、「初年度約九百億円、平年度約一千二十億円」と直していただきたいと思います。なお、若干文章の字句の違う点はありますが、それはお許し願いたいと思います。  日本社会党提出酒税法の一部を改正する法律案製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案につきまして、三法を一括して、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げたいと存じます。  まず最初に、これらの法律案提出するに至りましたゆえんのものは、次の二つの主要な理由に基づくものであります。  その第一は、最近の諸物価値上がりは異常なものがあり、大衆生活、特に低所得者層生活を著しく圧迫しているということであります。物価抑制のためには、何よりも政府が率先して物価上昇ムードの根幹である高度成長政策を転換するとともに、思い切った物価抑制のための施策を実行せねばならないことは申すまでもないことでありますが、これらの諸施策とあわせて、大衆生活必需物資間接消費税を大幅に引き下げ、その結果を確実に末端消費者価格引き下げに反映させることにより、物価抑制、値下げへの方向に強力に推進することが必要であります。  第二は、今国会提出されました政府の一連の税制改正案は、直接税に片闘ったものであり、間接消費税の軽減は全く取り上げられていないということであります。これは間接消費税逆進的傾向が強く、しかも高率の大衆課税となっている現実から見て適切を欠く措置と言わなければなりません。  このような政府物価減税政策に強く反省を求めるとともに、物価高の中で直接税の減税から取り残された広範な低所得者層に対する対策を重視し、酒税製造たばこ定価及び入場税につきまして、それぞれ次のように軽減することといたしております。  酒税につきましては、酒税法の一部を改正いたしまして、大衆酒大幅減税を行なうことといたしております。  すなわち、清酒二級につきましては一・八リットル当たり四十円、合成清酒は同じく三十円、しょうちゅう同じく二十円をそれぞれ減税し、ビールにつきましては大びんにつき十五円を減税し、標準小売り価格を百円とすることにいたしたのであります。  次に、製造たばこ定価につきましては、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正いたしまして、大衆たばこ定価をそれぞれ、いこい二十本詰め現行五十円を四十円に、新生二十本詰め現行四十円を三十円に、ゴールデンバット二十本詰め現行三十円を二十五円に値下げするよう、それに見合って法改正をいたしております。  また、入場税につきましては、入場税法の一部を改正いたしまして、入場税免税点を大幅に引き上げることといたしております。すなわち、入場料金が一人一回の入場につき免税点を、映画、舞踊及び能楽を除く演芸、レコードコンサート、スポーツまたは見せものにあっては三百円以下とし、これらを除く演劇、舞踊能楽またはレコードコンサート以外の音楽にあっては六百円以下とし、それぞれ所要の措置を講ずることといたしたのであります。  以上が三法案提出趣旨並びに内容の概要であります。  なお、念のため申し上げておきますが、これらの三法案改正に伴い、初年度約九百億円、平年度約一千二十億円の歳入減となる見込みでありますが、自然増収七千億円でまかなっていけると存じております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことを切望いたしまして、提案説明を終わります。
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして三案の提案理由説明は終わりましたが、この三案についての審議は後日に譲ることにいたします。   —————————————
  6. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、保険業法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由及び補足説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次、御発言を願います。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法案に直接関係ある質問ではないのですが、間接には関係あるわけですが、政府は、この保険行政を行なう場合に、この物価値上がりというものをどういうふうに保険行政との関連で考えておられるか。御承知のように、昭和三十年以後消費者物価が急激に上がっているわけですね。六%以上の消費者物価値上がりというのは、これは経済企画庁長官もはっきりと、異常な状態であると。定期預金の一年ものは五分五厘でしょう。それ以上に通貨対内価値減価しているという状況ですね。これは民間保険ばかりでなく、政府国民年金その他一般的な債権債務にも全部これは共通する問題ですけれども、ことに保険は非常に長期でございますから、この点は私は非常に問題ではないかと、こう思うのです。  一番抜本的な対策は、物価を上がらないようにする、貨幣価値を安定化させるということが基本なんです。しかし、池田首相は、高度経済成長のもとでは消費者物価が上がるのは避けられないと。急激に上がることはこれは押えなければならぬけれども、大体池田総理考え方は、成長率の三分の一程度は、ですから、一割−一〇%成長した場合には約三%程度物価値上がりはこれは不可避である、やむを得ないものである、こういう考え方ですね。そうしますと、今後経済成長が続いていく場合に、政府は大体その成長率の三分の一程度物価値上がりはやむを得ないとして、こういうふうに考えていますと、保険契約は非常に長期でございますから、満期で保険金を受け取るときは非常に減価した保険金を受け取るわけです。  それで、一番極端な例が終戦後の昭和二十三年ころまでの異常なインフレ期でありますが、今後ああいう異常状態は起こらぬとしましても、かなり長期にわたりますと、昭和三十年から三十八年までで二〇%−二割以上の対内価値減価になっているのでしょう。それで、保険会社は今度はこれを土地等に運用した場合に、土地が非常に値上がりになっている。ところが、自分の資産のほうは物価値上がり利益は得られるが、今度は契約者には減価した価値のお金で保険金を支払う。これは政府国民年金でも同じ問題があるわけですけれども、こういう異常な物価騰貴が続いていくという情勢のもとで、政府が今後は物価値上がりというものは経済成長をしていく場合には不可避であると、こういう立場をとっている以上は、債権債務に対する影響というものが非常に大きいし、それをほうっておくことは経済秩序を乱すものだと思います。これまでこういう長期債権債務について何らそれに対して、物価値上がり影響に対して、つまり貨幣価値減価に対する措置を何ら講じていないのですよ。そういう点について一体考えてみたことがあるのかどうか。それから、諸外国においてはどういう措置を講じているのか。全然講じていないのかどうか。一番いい方法はゴールドクローズみたいなものを入れるのが一番いいのでしょうけれども、何か今後物価値上がりのほうを、極端な物価値上がり抑制するとしても、ある程度上がっていくことは不可避であるというようなことになると、それは保険契約者だってどんどん減価していく保険に加入するということについては、これは問題があるのではないか。これは保険行政考える場合、当然考えてしかるべきじゃないかと思いますので、いつかこういう問題について一ぺん当局意見を聞いてみたいと思っておったのですが、機会がなかったものですから、この機会に伺っておきたいと思います。
  8. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 保険契約が特に非常に長期契約であるという観点から申しまして、ただいまの御質問のとおり、物価が、特に貨幣価値として考える場合における物価が相当な割合で騰貴していくということは、非常に保険立場から、保険行政立場から申しますと、たいへん困った問題でございます。これは保険立場からだけでどうこうということじゃございません。一般的な問題としても、物価騰貴はできることならばこれを避けたいし、避けられないといたしましても、非常にわずかな、たとえばその騰貴におけるほかの預金利子、いまならば年間五分五厘になっております、その預金利子よりははるかに低い、たとえば一%あるいはせいぜい二%程度のものであるといたしますと、これがわが国のみの事情でなければ、たとえば諸外国における消費者物価騰貴傾向としてもその程度は許されるといいますか、一般的であるという場合には、円の対外価値という点からいいますと、さして問題はない。しかし、相対的に日本物価騰貴率のほうが一般的に高いために、円の価値そのもの自体についても将来問題を生ずるようなそういう物価騰貴は、絶対に避けていくことを政策の上での基本としていかなければならないのだと思います。  たまたま、 この三十年ごろからの騰貴卒を見ましても、かなり物価が上がっておりますが、つまり円価値減価しておることば事実でございますが、比較的国民考え方がさほど将来における危険を非常に重大なものと考えていないといいますか、保険契約のその後の募集状況などを見ましてもそう不調とはいえない。むしろ契約伸び率は確実に非常にいい線をいっております。そういう点からいいますと、非常に長いこういう保険契約に対してある程度まだ安心感を持っているということが推測されるわけでございまして、いままでの物価騰貴にもかかわらず、さほど不安な状態とは考えていないと思います。しかしながら、それは二年あるいは三年ぐらい続いて六・七%の騰貴があるが、その後は安定するであろうというふうな期待が当然にあるわけでございまして、そうではない、確実に一般利子率を上回ったような騰貴が続くとすれば、おそらく多数の者は金銭的な蓄積形態をやめて物的な蓄積のほうに走ることになる。それがさらにインフレ傾向をさらに加速するというふうなことに相なるわけでございますから、たいへん危険なことでございます。  いまお話の中で、物価騰貴が少なくとも成長率の三分の一程度はやむを得ないのだというふうな考えをしているのじゃないかというお話もございましたが、私どもは、そういうふうに理屈をこねればあるいはそうなるかもしれませんが、サービス所得上昇が必ず物価騰貴を引き起こしていくのだということに対して若干私どもは疑問を持っております。それは他のつまり量産されるものの生産性上昇というものによって一部は消費者に還元される性質のものでなければならぬ。なるほどいろいろな消費資材値段の上で下がっていないということがありましても、質的な面で実際は相当改善されながら値段が据え置かれるといたしますと、それは価格引き下げに実際には寄与しておると言えるのではないかと思います。これは物価の統計としてはあまりうまく出てまいりませんので、そのメリットが評価されないままでおることが多いと思いますが、端的に値段を下げたほうがはっきり物価政策としてはいいことになりますが、そういうふうには見えない。サービス料金上昇がどうしても物価上昇に結びつくという点は否定いたしませんが、それらの傾向につきましても、非常に急速である場合には問題がある。  最近は、ヨーロッパ諸国において物価に非常に問題が生じております。アメリカが一番その点では問題が少ないように思います。そのヨーロッパの国の中でも、たとえてみますと、オランダのような国はかなり長い間、物価抑制——所得政策によって物価抑制をやってまいりましたが、周辺からのいろいろなインフレの攻勢に耐えかねて、あるときは平価の切り上げを行ないました。しかし、それでも労働力の不足その他のことから引っぱられまして、最近ではインフレ的な傾向に非常に悩んでおる。一国だけが非常に健全性を保とうといたしましても、周辺物価騰貴に非常に悩まされるという例がここにございます。日本としても、非常にそういう点では、距離が隔絶しておりまして、先進諸国インフレ的傾向をじかに影響を受けるということは比較的少ないのでございますが、それでも今後の開放経済考えますと、若干そういうことも頭に入れておかなければならぬ。その場合においても、どちらかといえば、最も健全なほうに属する物価政策考えていかなければ、国内資本蓄積がそのために妨げられるということになります。  やはりそういうことを考えますと、物価はできるだけ安定さしていく。ただし、国際的な比較において許されると思われる、また国内資本蓄積を阻害しない程度の、ある程度のわずかなクリーピングといいますか、もっとそれ以下の物価騰貴についてはやむを得ない面もあるが、できるだけそれを押えていくのがこれからの金融並びに全体の経済政策基本考えていかなければならないと、私どもはそのように考えております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先ほどの御答弁で、保険経営をやる場合に、まだ契約者のほうでそんなに契約に不安を感じていないと、いままで程度物価騰貴、つまり通貨対内価値減価によってそんなに不安を感じていないので、保険契約も順調にいっているから心配ないのだ、また差しつかえないのだというような御答弁があったわけですね。  しかし、それは保険経営立場からそれで心配ないという立論であって、被保険者から言った場合に、これは問題があるのですよ。われわれはそういう保険契約者を保護する立場でやはり問題を見なければならぬわけであって、全然保険経営者立場をわれわれ無視するわけじゃないのですが、現時点では資本主義経済のもとですから、保険経営者立場も全然無視してはおりませんけれども、一%とか二%程度物価値上がりなら、そう問題にならないでしょう。物価値上がり経済成長か、どっちを選ぶかという場合に、そんなに実害がない場合は、成長を犠牲にしてまでも無理に貨幣価値の安定をはからなければならぬということは言えないと思うのです。その点はわれわれもそんなにがんこには考えておりません。それは一つ考え方として、ある程度の、多少の物価値上がりはあっても、経済成長が順調にいく場合には、物価値上がりを必ずしも否定するわけじゃありません。しかし、物価が上がった場合、所得の再分配に及ぼす影響というものを考えなければならぬわけですよ。その手当ては、やはりわれわれはしなければいけないという意見です。そのまま放任していいというわけじゃないのですね、あるいは賃金なりその他の、低所得層に対して損を与えるのでありますから。  ことに、昭和三十六年以後を私は問題にしているのです。これは異常な消費者物価値上がりといわれているんです。今後、じゃ、物価は安定するかというと、私は安定しないと思うんです。三十九年は政府が、国鉄運賃その他の料金類を一ヵ年間ストップさせる、その他の物価抑制策を講じておりますけれども、それではたして政府物価抑制の目標として考えている四・二%に安定し得るかどうか、これは疑問でありますが、一応三十九年は四・二%に押えられるとしましょう。四十年はどうですか。四十年は国鉄運賃だって、総裁は値上げ不可避のように言っております。それから、来年やはり公共料金のまた一年ストップということは、これは非常に困難だろうと思います。それは公共企業体考えてごらんなさい。もう公営企業は軒並み赤字でしょう。交通事業は一番ひどいでしょう。それから病院、水道水道料金なんか、千葉県で水道料金値上げをやった。押える押えるといって、認めたでしょう。千葉県で認めて、これはよその府県で値上げしても押えることはできない。また、消費者米価についても来年はわかりませんよ。もう赤城農林大臣は、消費者米価については、生産者米価引き上げをした場合、そのうち管理費とか、輸送費等については消費者米価にスライドするような米価算定方式考えていると言われているんです。いま検討しているというのです。私は、四十年は公共料金ストップを続けることは実際問題として非常に困難な事情があると思います。  そうすると、四十年もまた物価は上がる公算が大きいと思います。そうなると、一・二%の物価値上がりならいいのですけれども、まあ三%、四%の値上がりヨーロッパでは異常な状態ですよ。三十九年度の四・二%だって、これは異常ですよ。そういう物価値上がりが続く。つまり通貨対内価値減価が続く。しかも、池田さんは、いつまで総理をやっているかわかりませんが、 この成長政衆をやっていく場合に物価値上がり不可避だと言っているわけです。貨幣価値の安定よりは、やはり成長のほうへ重点を置いて、物価値上がり不可避だという考え方です。  そうなると、私は特に問題にしたいのは、この日本の低所得者層は、社会保障不十分ですから、非常に無理していろいろな貯蓄をしているんです。無理な貯蓄をしているんです。生命保険なんかもその貯蓄一つですが、その他郵便貯金とか、それから公務員では、それはもう局長さんだってやはり被害者なわけですが、公務員だって共済の年金もみんな減価していくのでありますから、基本物価を安定させれば一番問題ないのですけれども、そういう不可避であるという場合は何か手当てをしなければ、私は所得分配上非常に不公正ではないか。これは一つの道義の問題として問題ですよ。そして今後の問題もさることながら、この三年間に二割も減価したということですよ。これはもうたいへんな損失を与えていることなんですよ。  それで、大体一般国民貨幣錯覚に陥っているのです。大体貨幣錯覚ですよ。札には、一万円札には一万円と書いてある、千円札には千円と書いてある、百円札には百円と書いてあるから、値打ちは下がっていないように錯覚を起こしていますけれども。それで保険契約なんか順調にいっていると思うのです、そういう錯覚によって。しかし、保険契約が支障がないから、それでいいのだというようにわれわれの立場としては言えませんよ。安定価値計算とかゴールドクローズ、そういうものをやれば、また保険の支払いが多くなって、また財政インフレに拍車をかけるという意見もあるわけです。われわれは何か手当てをしなければならぬ。ということは、手当てをするのを政府が怠るならば、貨幣価値を下落さしてはいけないというもっと強力な貨幣価値安定政策をとらなければならないのですよ。とらないで、ある程度不可避不可避だといいながら、私はこのままほうっておくことに対しては、これは許されることではないのですよ。これは国会でももっと大きな問題として取り上げるべきですよ。全体の債権債務に非常な、何ら本人の責任に帰すべきでない原因によってそういう損害が与えられる、それからまた不当に利益を与える、こういう問題が起こるのですよ。  これについては、これはあなたに言ったってしょうがないですが、政府全体としてもっと、あなたはまた長期のそういう債権債務保険を担当しているのですから、そういう点についてやはり意見を述べて、とにかく物価対策については最も強力にあなたは発言しなければならぬのですよ、ほんとうは。そういう主張を一体しているのかどうかについても、保険行政をやっていく上に、ただ保険会社立場で行政やってはいけないですよ。保険会社立場でやっているじゃないですか、さっきの答弁なんかそうじゃないですか。保険契約が順調にいっているから心配ない。われわれはそういう立場ではいけない。契約者にそういう損害を与えておるのですから、契約者立場を保護する立場というものを政府はとらなければならないのですね。ですから、今後やはり五、六%も物価値上がりが続いていくという場合、これは何とかしなくちゃならぬと思うのですよ。そういう主張をあなたはされなければならないし、それは民間保険契約だけではなくて、国民年金だって問題ですよ。いささか全般的な大きな問題ですが、とにかく特にまあ長期契約である生命保険についてはこの点が一番重点が大きいものですから、問題にしているのです。これは愚見にわたるところは非常にございますが、もう二度そういう点に対する当局の何といいますかね、考えを一応伺っておきまして、また今後こういう点についてもっといろいろな何か検討をされ、政府全体の問題としてこれを問題にするように心がけてもらいたいと思います。そういう措置を講ずるのは困難であるならば、そんな物価をどんどん上げてはいけない。通貨対内価値をそんなに減価さしてはいけない。どっちかをしなければならない。どっちも保険契約さえ順調に伸びていればそれで差しつかえないというようなものではないと思うのです。この際、こういう点についてもう二度見解を明らかにしていただきたいと思うのです。
  10. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 先ほど私が申しましたのは、保険契約がたまたま三十六年度以降のかなり大幅な物価上昇にもかかわらず順調に伸びているが、それはそのような異常な物価騰貴が今後も続くものではないという、まあ一つ信頼感がまだ残っておる。今後はそれほど異常なことは起こらないであろうという期待のもとに、契約を結ぶ人がまだいるからいいのであって、もしも相当長期にわたって異常な物価高が続くようであれば、契約にも影響を及ぼすであろう。そういう観点から申しまして、これからの物価安定については、もっと非常に私どもも真剣に考えていかなければならぬし、それを実際に保つようにしなければならぬ。こういうことを申し上げた次第であります。  公共料金等が実際には、戦前比較においても、不当に他の物価に比べて実は安い比率になっております。一般的にはそうだ。中には例外もございますが、一般的には人為的に押えられてきているというのが戦後の姿であろう。それがコストの上昇によりまして、中には相当の赤字を続けておるものもある。したがいまして、いつかはこれの改定が必至であるという点については、私も同感でございますが、それらの料金引き上げをかりにやらなければならぬ場合におきましても、急激にこれをやって非常にイージーな安易な考えを持たせるということは反対でございます。そういうことのないように、全体の騰貴に及ぼす影響を最も低い水準において適度なものにしなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、これは木村さんに対して私のほうがちょっと問題という点を申し上げますと、やはりこれは諸外国でもそうでございますが、大体物価騰貴消費者物価騰貴等につきましては、賃金の上昇がその最大の理由であるということになっております。その賃金の上昇の背景には、まあいろいろな事情によりますが、労働力の不足という問題、日本では一般には労働力が不足だということにはなりません。しかしながら、求人が、人を求める数があまり急ピッチでもってふえますと、その間においては雇用上の摩擦が生じまして、したがいまして、初任給の引き上げという事態が最初に起こる。中小企業は今日、大企業にまさるとも劣らない程度の初任給を示さなければ人を求めることができない。また、大企業の厚生施設に比べてひけをとらない程度のそういう厚生施設をつくらなければ、いなかのほうから人が採れないというような悩みを訴えておるのが多うございます。そういうふうな現象も一部に生じておりまして、適応性といいますか、労働者の数としてはあるけれども、適応性としては求人数に及ばないというようなことが間々生じておるようでございます。そういうことから原価の上昇が端的に企業の上に反映していく。したがいまして、今日引き締め政策をとられますと、大企業以下いろいろな企業が、むしろ収益の減退ということでそのしわ寄せを受けるというようなことになるわけでございまして、非常にその点私どももむずかしい問題ではないかと思っております。  したがいまして、その求人数の異常な増大というものは、やはり成長全体のスピードに関連がある。あまり急激なる成長を拝んでばかりもおれない。安定した成長であって、労働の雇用関係、労働の摩擦が激しくならない程度成長であれば、私は今後の物価の点を考えますと、そのほうがいいのではないか。成長は大なれば大なるほどいいという考え方は、すでに政府としてもとっておらないけれども、やはり適度の成長であって、しかも安定して続く。その間における若干の物価騰貴は避け得ないといたしましても、できるだけ円の対内対外価値を維持していく、あまり信頼を失うようなことのないようにするということが非常に大切だということについては、だれしも私は考えるところは同じではないかと思っております。私ども、そういう点におきまして、日ごろまだまだその努力が足らないということを反省しておりますが、今後も物価問題、貨幣価値の問題としては、私ども保険行政立場からもございますが、一般的な経済政策の根本に触れる問題として、できるだけの努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、これでやめようと思ったのですが、賃金問題について言われましたので、これは黙っているわけにいかないですね。それは、諸外国の例を言いましたが、これはさっき所得政策なんということもちょっと言われたのですね。不用意にその諸外国の例を出されて、それを日本の場合に適用されるようなことを言われると、これは非常に問題がある。  諸外国では、労働力不足から賃金が上昇し、それが物価にはね返えり、物価騰貴の大きな原因になってきていると言いますが、これは諸外国では確かに労働力不足というのはあります。しかし、賃金の値上がり物価騰貴の関係については、そう簡単なものじゃないのですよ、これは。たとえばイギリスでも、所得政策を出すにあたって、御承知のNEDCというのがありますね。国民経済発展委員会ですか、あそこで、やはり企業が不当にもうけていることを、不当な利潤というものはやはり物価値上がり影響をしている面があるのではないか。それで、モードリングという蔵相がそういうことをやはり意見を出していますよ。そうして日本と違って、労働組合に賃上げの抑制を、協力を要求する前に企業に対して、コストが上がるとすぐにそれを安易に物価にはね返してしまうということはこれはよくないと。それで、企業が不当に利潤を得ている場合、これを税金として取るべきだという意見も出ているわけです。そして企業なり資本のほうに対して手を打って、それだから、労働者に、資本に対してこういう不当な利潤を制限しようとしているのだから労働組合としても協力してくれという言い出し方で、日本の場合は、企業に対しては何らそういう手を打たないで、そして労働者に大幅賃上げ抑制の協力を求めるとか、政府が春闘に対して抑制の統一見解を発表するとか、そういう出し方をしているわけですけれども、それはヨーロッパ日本の場合とはもう事情が非常に違いますし、それから日本の賃上げの場合も、労働力不足、若年労働者の不足によって初任給が上がっているという面もありますけれども、この間予算委員会でも議論しましたが、日本の賃金と物価の関係につきましては、賃上げが物価値上がり影響をもたらしているというふうな、そんな簡単なものではないのですよ。もう少しそういう場合には慎重に発言してもらいたいのです。  経済企画庁で経済研究所というのがあるでしょう。そこで学者が研究したものがありますよ。物価生産性と賃金について研究していますよ。政府はこの間予算委員会で、これは経済企画庁長官が言いましたが、昭和三十年を一〇〇として三十八年は消費者物価は三〇%上がっている、これに対して賃金は八〇%上がっている、賃金の値上がりのほうが大きいじゃないか、だからその賃上げは物価値上がりの原因であるというように言っているのですよ。ところが、経済研究所の学者の研究によると、なるほど賃金は消費者物価値上がり以上に上がっている。しかし、値上がりの原因は、一番大きな原因はコストが下がったことだ、生産性の向上だと。第二は失業率です。失業率が低下している。失業率と賃金と物価との関係があるのです。それから第三が、この物価と賃金の関係で、物価と賃金だけ考えると、消費者物価は一%上がっているのに対して賃金は〇・四%しか上がっていない。物価と賃金に関しては、むしろ賃金は物価騰貴におくれているのだ、そういう見解があるのです。同じ政府にそういう研究もあるのですから、もっと十分によく研究されまして、そうしてあまり不用意な発言をしていただかないように。これは賃金と物価の問題については、そんな簡単に言えるものじゃないのです。  また、さっき、物価についても、物価が上がっても質がよくなっている、実際にはそんなに影響はないと言いますけれども、また逆に、最近ではちょっと目先を変えたぐらいのもので上がっているものもあるんですよ。何ら質がよくなっていない。ちょっと目先を変えたぐらいで上がっているものもあるんです。ですから、そう影響がないということを、まああなたの立場としては強調したいんでしょうけれども、実際には影響があるんです。そういうマイナス面がたくさんあるんですから、あまりその立場を擁護するあまり、あまり不用意な御答弁をしていただかないようにお願いしておきます。その点申し述べておきます。そうしませんと、たださっきの御答弁をそのまま見のがしておくと、それを容認したようなことになりますから、その点は御注意を申し上げておきます。  何か御意見がありましたら、言ってください。
  12. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これはもう議論にわたりまして、私がかってなことを申し上げてお気にさわったことはお許しいただきたいと思います。いずれにいたしましても、物価の安定につきましては、私どもできるだけの努力をしてまいりたい。すべての場合においてそれが一番大事である、その点だけを申し上げて、御答弁にかえたいと思います。
  13. 天田勝正

    ○天田勝正君 私、これは国政調査でやるつもりでおりましたが、どうも変になってきたから、少し端的に聞きますが、戦中、戦前、外地における保険契約なんかのあと始末、これは簡易生命保険等も含めて、どういうふうに処理されましたか。
  14. 中島晴雄

    説明員(中島晴雄君) 保険を担当しております中島財務調査官でございます。技術的な点でございますので、かわりまして御答弁申し上げます。  戦前、戦中、中国等で日本保険会社契約したものがございます。これらにつきましては、当時の為替レートで円・元パーで契約を結んだものがあるわけでございますが、実は戦争の末期に、このレートが事実上は大陸方面のインフレによりまして減価しておった。そういう契約国内で解約になるというような事態が起こりました。  これをどうするかということが、その後戦後の保険行政上の一つの問題になったわけでございますが、これにつきましては、すでに戦後処理が完了いたしておりまして、打ち切るということになっておったと記憶いたしております。したがいまして、当時戦争中に円・元パーで契約したものが、いまこれを支払うということにはなっておらないというふうに考えております。
  15. 天田勝正

    ○天田勝正君 だから、それが、さっきから別のあれで木村さんが指摘しておられたように、えらい不幸にあった場合には、一向保険契約なんてものが保障にはならない。少しぐらいの不幸の場合は保障になるけれども、大きな不幸の場合には保障にならない。終戦時における現地の通貨が下がったから云々ということを、いつでも大蔵当局答弁されるのです。ところが、その支払った当時においては、貯金にしても同じなんですが、一向に減価されないときに払っているのですね、長期の払い込みなんですから、保険の場合。その日本円と対であった当時に払ってあるものを、それをずっと、とって使ってしまえばいいけれども、そのまま預金ならば預け、保険料ならば継続しているのですから、そのままになっている。そうすると、終戦時のときだけをとらえて、それは貨幣価値が下落したのだ、こういう説明なんです。それじゃ契約者のほうは何も保障されない。なるほどその時点ではそうだ。だから、終戦時下落したときに支払った金ならば、それは価値がありませんという答弁ならばわかるのです。価値のあるときに払ったものを、価値がないので、何分の一だ、それじゃ一向、大きな不幸があったときに保障ということになりますか、ならないでしょう。私はこのことはここでずいぶん議論したのです。どうしてもそれ以上一歩も出ないのですかね。打ち切ったというのは、どういうことです。
  16. 中島晴雄

    説明員(中島晴雄君) 昭和二十年の六月に政府は、終戦直前でございますが、保険業法十条に基づきまして、法定の手続によりまして契約内容の変更を命じたのでございます。その内容は、保険価額を十分の一に切り下げる、削減するということでございます。したがいまして、これによりましてすでに処理は済んでおりまして、これをいま、十分の一に削減いたしましたのをもとに返しまして、内地契約並みにしようということはできないというふうに考えております。終戦の直前直後にわたります非常に異例な事態でございまして、いろいろ不公平が個人的にはあるいはあったかもしれないのでございます。しかし、政府といたしましては、契約者全体の立場考えましてそういう措置をとった次第でございます。
  17. 天田勝正

    ○天田勝正君 それは契約者全体の立場でもなんでもないので、保険会社のほうの立場なんです。それはいま処理済みだから、これをいまもとに戻すことはできない、そういうことは事務的なことなので、これがいいか悪いかということが議論の対象になる。だから、むしろそういうふうに処理すること自体が私は国の施策としてはけしからぬと思っているのです。逆に、かつて価値のあったとき、百円のものを払っておれば、それが積み重なって千円になって家一軒も建てられるような額であった、その当時にすれば。しからば、今日の価額に直しても、十分の一に切り下げるなんというものじゃなくて、あべこべに十倍なり二十倍に上げなければ、その当時の家を建てるだけの価額というものが、今度は家を建てるだけの貨幣価値として通用しない、こういうことになる。だから、これは財務調査官答弁したってとてもだめだから、もう一ぺん当時の資料を持ってきて私は議論するつもりです。  次に、お聞きしますが、これもここでさんざん議論して、当時政府側は答弁に詰まったことがあるのですが、それは政府のやっている簡保にしても、いま言ったと同じようなことが平時において行なわれている。そのとき私が引例したのは、十五年満期で十年掛け、十年で掛けてしまう。満期は十五年たたなければ来ない。その場合、十年で掛けてしまった額のほうがもらう額よりもよけいになるということは半分もあった。いいですか、私が議論した、それが結局詰めていったところが、いま改まりました。どこで改まったかというと、寿命のとり方がまるで違っているのです。いま寿命六十五歳にもなっているのに、実は四十六歳くらいで死んでしまうという計算に立つものだから、それで掛け金のほうがえらい高くなってしまって、そうしたら、ああでもないこうでもないと答弁がありました。しかし、十年で掛けてしまうじゃないか、すべて。そうして十年で掛けてしまったものが、満期になってもらう額よりもむしろ多いのだ。それを五年据え置いて、十五年たってもらうのだ。そういうことを政府がやっいるのですよ、いま。ぼくが文句を言ったので改まったのですが、その改まった額でちょっと言ってみましょうか。  そうすると、いまでも、三十万円の保険金、こういう場合に、十五歳の者が十年に払い込む額は二十五万二千円ですよ、実額。いいですか。二十五万二千円たまったものを、あと五年据え置くのです。五年据え置くときのその間の利息は全然計算していないのですよ。よろしいでか。その間の利息は全然計算していないで、三十五万二千円になる、実額払い込み。しかるに、その後の五年間置いたとなるとどうなりまずか。五分五厘とこれを見るにしても、八万四千三百円利息がつくでしょう。そうすれば三十万円に対して、黙っておっても三十三万何がしというものになるのですね。こういうことをいま政府はやっているのです。それが要するに財政投融資の金にもなっていますよ。改まったといっても、なおこれですよ。それは一体どういう計算になるのです。
  18. 中島晴雄

    説明員(中島晴雄君) いま天田先生のお尋ねの保険は簡易保険ではないかと思いますが、私、実は所管が違いますので答弁すべきではないと思いますけれども、想像いたしますと、おそらく死亡率がそれに加味されておりますので、したがいまして、払い込んだもののほうが多くなるというような形の保険がかつてあったのであろうと思います。いまは死亡率が下がっておりますので、実際払い込んだものと受け取るものとのバランスは、いま先生がおっしゃったよりはかなり契約者のほうに有利になっております。
  19. 天田勝正

    ○天田勝正君 それもこの前議論したとおりなんです。十年で掛けてしまうのですよ。あなた、よろしいですか。まだ、十年掛ける途中において死んだとかいうのじゃなくて、十年で掛けてしまって、その後五年据え置くのであるが、十年間に掛けた分が保険金額より上回るという事例をあげたので、ここにおられる皆さんがびっくりしたのだ。表を持ってきてぼくは皆さんに説明したのだ。その当時は半分もそういうことがあったのだ。それで多く議論したものだから、それが、平均寿命を変えますとうので変えたのだ。変えたから、いまその点は改まったけれども、十年で掛けてしまう分が二十五万二千円あるんだというのだ。そうすると、その十年間に掛けてしまったものは一銭の利息もないのだという計算をしても、その後の利息を一番安い、政府のきめている五分五厘という形で計算しても、なお三十万円よりよけいになっちまうんだというのだ。だから、これはひどかろうじゃないか。十年掛けてしまわないうちの計算ならば、いまの答弁でもいいです。十年掛けてしまって、あと据え置きの期間なんです。ですからまだまだやはり政府自体でも、要するに被保険者立場でなくて保険者立場に立っているということがこれで言い得るというのです。あなたの所管であるとかないとかは別なんです。おかしいでしょう、これは。
  20. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ただいまの天田さんのおっしゃっていること、これは保険の計算、もちろんこれはちゃんとした根拠があってやっているかと思います。簡易保険ではありますけれども保険の原理に変わりございません。そこで、どういうふうになるかということ、これは簡易保険のほうからでもよろしゅうございますが、私のほうから簡易保険に聞きまして、そして納得のいくような計算の根拠を御説明申し上げたいと思います。  私が一般的に考えまして、十年間に掛け終わって、あと五年間置くのだから、当然預金金利ぐらいの金利がつくべきであるという点につきましては、それはそういう一部分だけ見ては計算ができておりませんで、これは十五年間の死亡のリスクを取り入れた一種の保険なんだ。だから、預金ではございません。保険契約として、十五年間の生命保険である。その場合に、十五年間に掛けるか、あるいは十年間に掛けるかによりまして、これは運用利回りに相違ができますから、当然掛け金の総額が変わってくるわけでございまして、十年間に掛けたほうが安いはずです。その安いのを織り込んで、なおかつ二十五万円をこえるような金額をいただかないと、十五年間の死亡率を加味した保険としては成り立たないと、そういう計算になっているはずであります。でありますから、その計算の根拠につきましては、後ほど、ただいま資料を持っておりませんが、十分に御納得のいくような説明ができるものと考えます。
  21. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは日は忘れましたが、ちょうどいまのような質問をし、かつは私の計算を見せて、それで答弁はいま答弁されたと同じことを答弁されておるのです。それが正しいならば、改めることはなかったのです。当時のままで押し通せばよかったのです。ところが、私にそういう問い詰められた結果、この寿命のとり方が間違っておりましたということで直したのです。直したからいまのように変わっておるのです。専門員はよく知っております。あなたのような答弁でそれで事が済むならば、それはその当時だって直さなかった、そのまま据え置けばよかったのです。ところが、どう考えても不合理だということで、直して今日のような程度になってきたのですよ。当時は十年掛けの十五年満期のやつでは、半分以上は十年のうちによけい掛けてしまうやつがあったのは事実です。  それじゃ別のことを言いますが、その当時ぼくが問題にしたのは、当時生命保険会社で年間払う額は七十億と記憶しております。いまは違いますよ。ずっと高くなっております。ところが、あれでしょう、保険料として入ったのは当時二百七十億のはずですよ。おそらく大蔵省でも調べてみれば私の数字に間違いない。そういうふうに何と三・五倍も入るのですよ。だから、そこに無理があるのです。その無理というのはどこから来ておるかといえば、得なものですから、かつて日本人が四十六歳の平均寿命であったあたりをとっているからそういうことになるのです。じゃ、聞きますが、世界じゅうで保険料収入のほうが支払いよりも四倍もの国がどこにありますか。ないはずです。それですから、ちゃんと計算上そういうふうになって、十五年の間は保障しているのですから云々といったって、それは通用しなくなるのですよ。私はいま、本来の議題ではありませんから、それであまり時間を取るつもりはありません。しかし、こういうことはやっぱり被保険者立場には立ちながら考えてもらわなければ困ると思います。何かあったら聞いておきます。
  22. 中島晴雄

    説明員(中島晴雄君) ただいまお尋ねの保険料収入と保険金の支払いとの比率でございますが、確かに日本はいまのところ保険金の支払いのほうがバランスがかなり少ない状態でございます。これはどういうことかと申しますと、日本が終戦直後のインフレで非常に保険契約そのものが壊滅状態に至りました。戦後再建に入ったわけでございます。再建整備がなりましたのは二十二年ころでございますが、実際に保険会社の業績が軌道に乗りましたのは昭和二十七、八年ころ以降と存じております。したがいまして、その後の契約が年々前年度に対しまして二割あるいは三割増という形になっておりますので、したがいまして、長期保険契約につきましては、まだ満期の来るものが少ない。終戦直後に入りましても、いまでまだ二十年満期のものが支払いに入らない状態でございますので、今後支払いのほうはどんどんふえてくるだろうと思います。しかしながら、やはり年々の保険契約が伸びております関係で、保険料収入のほうが先行しておるという点はお話のとおりであろうと思います。また、死亡率あるいは保険会社の資産の運用利回り率につきましては常時検討をしておりまして、この四日からもある程度保険料を引き下げるようにいたしました。天田先生のお話趣旨に沿うような行政をやっております。
  23. 天田勝正

    ○天田勝正君 結局、これをぼくはずいぶん調べたことがあるのですよ。突き詰めて言ってみると、さきにも言ったとおりなんです。それは寿命が延びたから保険料率を下げるべきなんだけれども、それをあとで下げているのです。その間の——たしか簡保のほうでは三年か五年ごとにやっておるでしょう。おそらくこの前は五年ぐらいで改定したはずですよ。そうすると、その五年間というものはずれるのです。そこにやっぱりその不当な利益が生まれるのですよ。何も期限がまだ到来しないとか、そんな問題じゃない。いつでも寿命が延びているにもかかわらず、その延びる分を悪くいえばほおかぶりをして五年くらいほったらかしておく。だから、常にそこに不当な利益があって、それをほかの、他の行政のように差益金でも取って政府がまた税金見合いのようなことに扱えば、また話は別になる。そうでないからそういうことになる。  じゃ、申し上げますが、たとえば政府関係のだって、長崎やら広島のように原爆を落とされた、それはどこも保障していないでしょう。みんななくなってしまったのだから。そうでしょう。私自身の記憶でも、あの当時は一人一契約だなんて、表向きはそうだ。ところが、政府みずからが何口でも入れというので、たいていの人が戦争中は簡保だって五つや六つ入っていたはずです。私らも入っていた。そうして引き揚げてきて焼け出された。それで手続もしないうちにみんな焼けて手続したところで、どだい総督府がどこへ行ってしまったわからないのだね。そのままほったらかしですよ。そんなものを追っかけて手続しておると、足代のほうが高くつくから、かまわない。このたぐいで、原爆なんか落とされたところはみんなあったと思う。その処理をしていますか。しないでしょう。かまわない、そういうことになっているのでしょう。そのままなんですよ、できっこないもの。できっこないのだ。これはその当時消えているのだ。できっこない。それをいえば政府利益といいますか、結局それはどこかで国民に返っているだろうと好意的に見ますが、ところが、保険会社のほうはそうじゃない、保険会社のほうは。これは私のことだから、いままで言ったことはない。  私自身のことだって、どうした拍子でか、まあ私が国会にでもいるからということでわかったのだろうと思う。たった一つの第一生命のだけ——宣伝になると困るけれども、これだけはどういう拍子でか、この間通知が来ました、実に戦後十八年もたって。他は来ませんよ、全然。わからなくなった。三十八度線の北にいたのだから、わかりゃしない。そのうちのたった一つ来たのがある。あったって、当時の何方というのはすごい金なんですよ。その価値のあるときに払ったのだから、ぼくはせめて当時の二万円ならば今日の三百万円くらいに——その金は払うから三百万円くらいに契約を変えてくれぬかという交渉をやったのですが、だめでございますと言う。だから、もと払ったのは、その当時から見ると一千分の一くらいの払い込みの額になっちゃった。そうでしょう。それは現に戦争後の各地で悲劇がありましたよ。千円もらうために一円五十銭くらい払って、そして八百屋一日やっても一円くらいの利益しかないから、それを払って千円くらいになればうちが建つと思っていた。そうしたら、サツモイモ二俵だったでしょう。そしてその手続もしなかった。そうして生命保険会社から何にも言ってこないところがある。言ったってだめだ。こっちは引き揚げて焼け出されてしまったの、だから、証拠がない。言いようがないのですよ。もちろんそんなものを問題にしていませんでしたけれども。十八年もたって一つの会社だけは来た。せっかく来たから、もと貨幣価値のあるときに払ったのだから、その継続で、その問のものを全部払うから、今日ですれば一万のものはまあ三百万くらいになるだろう、ですから、三百万に直してその間を全部払うと、こう言うのです。それだって保険会社は聞きませんよ。だから、貨幣価値のあるときに取ったのは取り得と、こういうことになるのです。せめてそのくらいのものは、いま何も、もと払ったのを直せというのじゃないのですよ、契約金額を修正して、その間の金は払わせるくらいのことは、向こうも損はないのだから……。政府でそのくらいのことをやらせなければ、生きた行政なんというのはできはしませんよ。いかがですか。
  24. 中島晴雄

    説明員(中島晴雄君) 終戦前後の具体的な事例につきましていろいろお教えをいただきまして、当時のいろいろな貨幣資産を持っておりました人、これは保険だけではないと思いますが、いろいろ不公平が事情によって出たことは、お話のとおりでございます。これにつきましても、外地におられた方の保険契約もそのとおりでございますが、内地で契約しておりました人につきましても、再建整備法によりまして、一万円以上の保険金額はこれを全部たな上げにいたしました。そのような非常措置をとりまして保険会社の再建をはかったわけであります。なお、政府からも融資をいたしまして保険事業を再建したわけでありまして、これは保険契約者が非常に打撃を受けたのみならず、保険事業そのものも壊滅的な打撃を当時受けたわけでございます。  その後、貨幣価値が安定するに伴いまして、保険が伸びてきたわけでありますが、最近死亡率につきましては、仰せの点もございまして、第九回生命表と申しますのを、第十回の生命表にかえまして、日本人の死亡率が下がっておるのに対応いたしまして保険料を下げてまいっております。なお、表面の保険料の中に組み込まれた表定死亡率が、かりに以前のものでありましても、現実の死亡率との差額は、配当として契約者に還元しておりますから、その点は天田さんのおっしゃるようにはならない、保険会社がまるまるもうけているということにはならないだろうと思います。
  25. 天田勝正

    ○天田勝正君 よそうと思うと、いつも変なことを言いだすから、そんなことじゃないと実証をあげて、さらにそれならば……。幾つかの保険会社契約したけれども、証拠がないものだから、向こうから言ってこなければそれっきりなんです。それっきりの人のほうが私は多かろうと思うのです。私は、どういう風の吹き回しか、ここに長く席を持っておりますからか、私にはそのうちの一つでも通知をしてきたのだろう。そういう損害は、配当のことの答弁をされたって、片はつかないのですよ。  それから、局長がさっきもいろいろなことを言われておったけれども、それは結局保険会社が窮地におちいったというので、保険会社は助かっただけで、契約者のほうは、切り捨てだの、わからなかったならわからずじまい、だれも責任を持っている人はないのですよ。そういうことに対して、証拠を持ってくればその十分の一ぐらいのものを何とかしますと言ったって、一体引き揚げたり、焼け出されたり、爆撃にあったりした者が、証拠書類を持ってくるということ自体が、もうそもそも、注文をつけることが無理なくらいなんだ。ただ、そういうふうにしなければ整理上困るということなんでしょうけれども、だから、大きな不幸の場合にはあまりたよりにならぬ。それで、しかしどんどん契約が進んでいるのだから、まだまだ信用があるのだと言われても、それはそうじゃないですよ。私らだって、多少の貯蓄をするけれども、それは得だからというよりも、しかし、十年なら十年、二十年なら二十年先に貨幣価値は下がるけれども、そのときゼロのものと幾らか種銭のあるものとでは、種銭のあるもののほうがいいからやっているだけなんですよ。そういう庶民の気持ちを考えずに、保険契約が進んでいるからたいへんけっこうなんだという答弁では、それはちょっといただけませんよ。これはあとでまた国政調査のときにやりますから、資料を持ってきて。みんなに迷惑だから、この程度でやめておきます。
  26. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 時間で……。直接これには関係ないのですけれども、天田さんの発言もあり、私も資料として保険料率、それから会社の利潤、あるいは積み立て、いろいろなものを調べておって、いわば意見が非常にあるわけですよ。しかし、まあそういうことをここで私がくどくど申し上げるよりも、一度保険行政全体について大蔵省としても検討をしていただきたいと思うのです。木村委員からも被保険者の問題、天田委員からも被保険者の問題、われわれのほうからも被保険者の問題も、そういうものが少しも擁穫されていないのじゃないかということが言いたいわけです。また、数字の上からもそういう質問出てくると思うんですから、一度ぜひ検討していただきたいということを要望して、まあ私は質問は本日はやめておきたいと思います。どうですか、そういうことで検討されて、一度何かあなたのほうで答えを出されるというのは。
  27. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私も、その点非常に考えなければならぬ問題と思っております。特に大きなインフレーションのあとで、保険会社も非常に壊滅状態になりましたけれども、結局やはり非常に保険契約者がたいへんな迷惑を受けた。そういうことは今後はもちろん避けなければなりませんが、しかし、その受けたという事実と、現存の保険会社に残されている資産の状態、そういうものをどう考えたらいいのか。たいへんむずかしい問題でございまして、保険会社の財産を見ますと、株が多いのでございますが、一部不動産を持っております。ただし、不動産の大部分が自分の会社の社屋等の敷地として使っているものが多うございまして、その非常にわずかな部分が自分で使わないで他人に貸しているといいますか、運用をしている、これも実は相当な含み益がございます、実際に処分すれば。つまり、戦後のインフレといいますか、物価の変動、特に地価の変動等で、そこに相当に隠された利益もございます。そういうものは実際だれの犠性によって生じたのかということを考えますと、過去にいろいろ迷惑を受けた契約者の犠牲によって、今日そういうものが会社に残されている。そういうものについてどういうふうな考え方をすべきか。保険会社につきましては、現在比較的繁栄していると言えると思うんですが、大部分につきましては、それは実際は過去における契約者の非帯な犠牲によってもたらされている面もあるわけであります。どういうふうに配分等につきまして考えるべきか。将来のための含み資産として十分保存していくか、あるいは一部は過去の契約者にお分かちすべきであるか、そういう点、会社の存立と公平の観点などについて十分検討しなければならぬ問題が残こされております、金額の高は問題じゃございませんが、しかし、筋としてたいへん研究を要するものであると思いまして、今後の保険行政上その他の問題とあわせまして十分検討してまいりたいと考えております。
  28. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 ざっくばらんに、この法律改正案のねらいというものについて私は質問するのですけれども、これはどうなんです。保険金のこの株式市場への導入をやりやすくする、そういう直接的なねらいがあるのじゃないかと思いますが、この点についてはどういうふうに考えているんですか。
  29. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 今度の改正の目的は、そういう株式市場に保険会社の金を算入するためのものであるということではないのでありまして、これは先ほどの事の起こりは、非常にはっきりしたものではございませんが、株式に相当な含み益がある。これは過去に集めた資産の運用から生じたものである。つまり現在までの契約者の払い込んだ金の運用から、値上がりということで、株式の面ではそれがはっきりと数字の上であらわれている。そういった含み益を株式を処分しないでも評価である程度計上できるようにすることは、少なくとも現在時点における契約者に何らかの形で一部環元するというふうなことが公平の見地から必要じゃないかということが、一つの動機になっております。しかし、端的にある割合を現在までの契約者のその契約年数等に応じて分配するという問題もさることながら、まあそういうふうに含みをある程度はき出して一ぺんに分けてしまうということでなくて、これをひとつ責任準準金の積み増しの十分でないものに入れてしまう。含み益の上で非常なこれ——ですから、簿価は安いわけで、利回りとしては、非帯に高く出ますが、そういう年々の高利回りということではなくて、ある程度益そのものを責任準備金の積み増しに充てる。その結果として、その後における契約者への配当その他にこれが反映いたしまして、若干手厚くなるということもございましょう。それから、場合によったら配当準備金に直接入れることもありましょう。その処分目的等にはいろいろニュアンスがございますが、何らか、現実に株式を処分するという方法でなくても、ある程度の益が形上できるようにしたほうが保険会社の運営上現実に合っている。  そうでないと益を出すためにはどうしても株式の場合にはこれれを処分いたしまして益を現実化した上でないと、どうにもならない。そういうことが場合によると株式市場に対して非常に悪い影響を持つ場合もございます。保険会社の場合には、一般銀行等に比べまして、資産のうちに株式の占める構成割合がかなり高いわけでございます。それだけ資産の重要部門を占めておりますから、それを処分することなくても、評価益はある程度形上できるような道を開いておく。実際にそれをやるかやらぬかは、これから非常に慎重に取り扱っていかなければならぬと思いますが、そういう方途を開いておくということがこの法律改正の目的でございます。
  30. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 私は、なるほど一見実務的なように見えますけれども、この法改正自体は。しかし、いまあなたのお話を聞いてみますと、そういうものの持っている一つ傾向的な方向というものはありますね、傾向性というか。ですから、なるほどいままで保有した株式のものについてそういう評価がえを行なうんだと言いますけれども、それは結局被保険者利益になって戻ってくるというふうな事態が、一つのやはり保険会社傾向をそういう方向に強めていくということは避けられないと思いますよ。当然、資本主義の市場ですから、そういうことは避けられない。ですから、この保険会社の株式保有の率というのは大体何できまっていますか、保有率というのは。
  31. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これは保険業法の施行規則の十九条によりまして、原則として株には三割の範囲内で運用するということになっております。ですから、こういう制度が何か、それだと株を非常に多く持つという傾向ですね、そういう傾向を一そう促進するんじゃないかというふうな意味の御質問かと思いますが、これは行政上も幾らでも株に運用できるようにしております。実際には損害保険会社の場合には三割こえている特例もございますけれども、多過ぎる場合にはこちらから注意いたしまして、計画的に株の保有割合を低めなさいという指導をやっております。生命保険会社の場合には二二、三%程度になっております。株式の資産全体に対する構成割合は、幾らでもふやすというふうなふうには決してなっておりません。あまり株に片寄りますと、危険の度合いもそれだけ増すのでございますから、そういう傾向は別個に行政上制限をいたしております。
  32. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 その傾向を行政上の処置で制限するといいましても、やはり金自体の持っている一つの何といいますか、要するに株式に投資した——いろいろ株を買ったとかいった場合の持っているそれ自身の独自性と申しますか、それ自身がひとつ歩き出すという方向ですね、そういうことから考えてみましても、やはりいま一度、あんた、行政処置によってこの株の保有率というものをきめておると言いますけれども、いまのような形でいくと、その株の保有率というものがかなり含みのある、幅のあるものに変えられていく、その危険がなしとしませんか、こういうことになっていけば。
  33. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 保険会社考え方といたしまして、もちろん会社間における競争心はあります。しかし、全体の傾向といたしまして、もしこの評価益計上というふうな道が開かれたことが、それはまあ競争の手段として非常にけっこうだというので、どんどん株の運用を広げていく、株に対する運用額を大きくしていくというふうな考え方は、いまのところでは私どもとうてい察知できません。それは過当競争といいますか、行き過ぎた競争ができないように行政上手を加えておりますが、そればかりでなしに、やはり保険会社は非常に長期的な観点に立ってものを考える。先ほどからいろいろお話ございますが、考え方としては、今後十年先あるいは二十年先というふうなものを考えて、その会社の運営をはかっていくというのが、ほとんども保険会社の経常に携わる者としてはそういうふうになってしまうわけです。ですから、非常に短い目で短時間だけで競争して募集を容易にするというふうなことは考えておりません。やはり会社自体の含みを多く持ちたいというぐらいの気持ちでございまして、将来のインフレ的な事象が生じたら困るという点からも、相当余裕がある、含みのある資産状態を保持していきたいということでございますから、評価益をどんどん計上してこれを分配することによって競争しよう、そんなような観点から株の運用をふやそうという考えは全くないと考えていいのじゃないかと私は思います。
  34. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これはちょっと意見になりますけれども、私はそこが非常に問題点だと思うのですよ。いま、あんた、株式市場の育成という問題は、とにかく政府一つの大きな方針になっているわけです。その株式市場をどう立て直していくかというときについて、資金の流入源をどこに求めるかという問題は当然出てきますよ。だから、なるほど保険会社自体としては、あんたの言ったようなことも考えるだろうけれども、全体として日本資本主義市場における株式の問題ということを考えた場合に、そういうことだけで済まされるものじゃないのです。だから、必ず、あなたはそうおっしゃってはいるでしょうけれども、これは次第に投機的な性格を濃くしていく道を開く私は法改正だという意見を持っているのですが、これは意見になりますから、ここで討論をしようという意味じゃないけれども、この点についてはひとつ後日の推移を見て私は勝負をきめてもいいのだ。必ずそうなりますよ。
  35. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記やめてください。   〔速記中止〕
  36. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。  では、本案に対する質疑はこの程度にいたしておきます。   —————————————
  37. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案議題といたします。  本案につきまては、すでに提案理由及び補足説明を聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  38. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは保証団体が、自家用自動車の携帯輸入もしくは別送輸入、こういう場合に保証団体が保証するということですが、それはやはり国際団体があって、相互的に、こちらで証明したものは、また日本人が向こうに行った場合に向こうの保証団の証明で通用する、こういう相互的なものだと思います。そうしますと、いずれそれの手数料等もやはり国際的に規制されるものだというふうに考えられますけれども、その点は、輸入したものをこちらで保証する場合、こちらがまた保証件をつけて携帯輸出をする場合、そのそれぞれについてどういう手数料というようなぐあいになっているのですか、ちょっと。
  39. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 幾ら対価を取るかという問題は、いまのところ国内団体につきましてはまだ検討の段階でございますけれども、国際的に見まして、手数料と申しますか、通関手帳を渡しますときに、通関手帳の対価としてやっておるものでございますが、その価額のきめ方は各国で自由に決定することができることになっております。実績を見ますというと、大体は千円から五千円の間に入っておるように見受けられるわけでございます。
  40. 天田勝正

    ○天田勝正君 しかし、保証団体はわずか千円から五千円くらいのことでやっていかれる団体なんですか、どうなんですか。
  41. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 御質問の御懸念は、関税、物品税に相当するものを払わなければならないときに、それで全部払えるかという御懸念ではないかと思いますが、通関手帳を交付しましたほかに、各国を自動車を持って回るという人につきましては、その行った先で一番多く取られる関税額等に相当するものを担保として取りまして、または保険に入れて確保する措置を講ずるということをやっておるわけでございます。
  42. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは私の質問は二つに分かれているのです。あなたが答弁された分も一つですね。つまり、これはもし当人が払えなければ、その保証団体が払う。あるいはまた、ものによって向こうの保証団体から取り上げるというのもあれば、それも払えなければ今度は国際団体から払う。いずれにしても、どこの国にしても、その国の政府は損はしない、こういう仕組みになっているわけですね。そうだとすれば、あまりに安い手数料だと、それのほうが払えるか払えないかという心配、それはいまあなたが答えられた。もう一つは、しかし、そういう保証だけはするけれども、人間も要るであろうし、そうしょっちゅう何万台も引き続き来ているわけでもなければ、その手数料でその団体がやっている。しかも、国際的な長期などをやることもあり得る、こういうことになるでしょう。そうすると、その費用は一体どこから出てくるのだろうか。手数料だけだとすれば、とてもそういうことはできないのじゃないか。すなわち、経常的な人件費でさえもこれは容易に払えぬじゃないか。その二つの含みで私は質問したわけです。
  43. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 保証団体となりますものは、保証の仕事のほか、通常は自動車旅行に関するいろいろな事業を行なっているわけでございます。たとえば地図を発行しますとか、路上で故障しましたものを修理をやりますとか、あるいは場合によっては自動車競走の何というのですか、管理をやりますとか、いろいろな仕事をやっておりますので、それらの総体の事業による収入と合わせて経営を行なっていくことになるかと考える次第であります。
  44. 天田勝正

    ○天田勝正君 今度この保証団体になり得るのは、わが国ではJAF、これ一つだということを外務委員会で答弁されたそうでありますから、そのことをいま聞くわけではありませんけれども、しかし、国際団体とすれば、二本立てになっているわけですね。観光関係と自動車関係と二つになっている。そうすると、わが国においても将来は二本立てにするお考えなんですか。将来といっても、えらい何十年も先の話じゃなくて、ここ一、二年のうち。いかがですか。
  45. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) さしあたりのところは、近い将来を含めまして、いまお話のありましたJAF一団体で足りるのじゃないかと考えておる次第であります。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、それを二つにしろとか、観光団体にもその保証団体としての認可をせよという議論を、いまにわかにするつもりはないのです。ただ、国際的には二本立てになっている。それを一方、観光団体には日本においては許可しないのだということになると、日本の観光団体はどうも国際的に信用されるというところまでは至っていない。そういう部分も確かに見受けられるのだから、無理な議論をしておるのじゃないのですけれども。そうなればまた別の機会に、日本の観光団体それ自体が国際的にも信用されるような議論をわれわれもしなけりゃならない。そういう意味で聞いておるのですが、まだ、当局の見方としては、日本の観光団体は国際水準まで至っていない、こういう見方をされておるわけですか。
  47. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 日本のJAFが国際的団体に二つともに加入をいたしております。したがいまして、自動車クラブを主体としたほうだけに加入しておるわけはないわけでございます。いまの天田先生のお話にありますように、現在日本にあるもう一つの団体というものが、その観光卒業をやっている国際団体に加入することが、いまのところ団体の実力が少ないがゆえに認められていないのかという御質問につきましては、いまだその力が小さくて、整備を要するという問題はあろうかと考えておる次第でございます。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 JAFはAITにも加盟している。それ自体はそれでいいでしょうけれども、しかし、本来的にいうならば、やっぱり自動車団体、観光団体は観光団体、こういうのが筋でありましょうからね。ですから、日本の場合はJAFが国際団体の自動車関係、観光関係、いずれも加盟しているでしょうが、諸外国では、たとえば今度日本が加盟した締約国だけでもよろしゅうございますけれども、二本立てでやっている国は主としてどういうことですか、それじゃ。
  49. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 大多数の国が一個の団体に加盟しておる例が多いのでございますが、二本立てになっておりますのは、いまわかっておりますところでは、ドイツとイギリスということになっております。
  50. 天田勝正

    ○天田勝正君 私が聞きたいのは、先般の答弁では、大多数の国がいずれかの国際団体に一つのものが加盟しているというふうにも聞こえるし、そうでなく、多くのこの条約に加盟しておる国においては二本立ての団体があって、それにそれぞれの業者、いわば旅行業者、こういうものがそれぞれに加盟しておる、こういうふうにも聞こえるのですが、そのどっちですか、御答弁になったのは。
  51. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 通常は、その国におきまして一つの団体がありまして、それが二つの国際団体に加入しておるという例が多いのでございます。イギリスとドイツの場合は、旅行観光を主とする団体は観光を主とする国際団体、自動車クラブ的なものが構成員となっておりますものは、その系統の国際団体に加入しておるという例になっております。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 英国とドイツの場合、二本立てで加盟していれば町内の整備もそうである、したがって保証団体も二つ、こういうことで、そういう国々においては通関や何かで一向混乱したというふうな話は聞きませんか。
  53. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 特別にそういう話は承知いたしておりません。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、結局それは一つの団体のほうが今後の——日本は初めてですからわれわれもよくわからない、日本においても一つの団体のほうが、行政上の都合がいいといいますか、そういうふうに見ておるわけですね。
  55. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 何しろこれから始めるものでございますので、統一して把握できたほうが便利ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 最後に聞きますが、わが国から携帯もしくは別送で一時輸出をするのと、外国から同様な手段で日本に一時輸入をされるものと、どのくらいの比較になるという見込みでしょうか。今年はオリンピックという特別なものがございますけれども、平年として考えた場合、いかがですか。見当がつかなければ、見当がつかないということでいいのです。
  57. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 数字の関係では、お話のとおり、非常に見当がつきかねると見ておるところであります。
  58. 天田勝正

    ○天田勝正君 いずれにしても、これはオリンピックに備えてそういう事例もあったであろうという推定でやるのですから、それ自体けっこうだと思います。ことしはそのオリンピックに備えてどのくらい来るであろうという予定を立てておりますか、これもむずかしいですか。
  59. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 実はいろいろな推定がございます。オリンピックの役員の力が何人ぐらいおいでになるから、それが団体に入って来るのではないであろうかというような話、それから観光客の数などから推算するなど、話がございますけれども、何しろヨーロッパなどと違いまして、船賃が相当かかることでございますので、実際のところどれくらいになるかは、ここで数字で申し上げるほど自信はないのであります。
  60. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
  62. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これですね、もとになるべき通関条約が本院でも賛成している立場ですから、結局一種のそれに基づくこういう法改正ですから、そういう形で質問するわけですけれども、つまり陸続きの国においては私はこういうことはあり得ると思うのですよ。しかし、日本のような国ですから、自動車を持ってくるというような場合には、これは全くどこでも捕捉できるわけですから、したがって、かりにこの条約に特例というか便法というものがもし設けられるならば、日本においては必ず船でもって持ってくるのですから、したがって、そのときには正規の関税をかけて、そうしてこれがほんとうに一時輸入だということでもってまた輸出をするという場合には、その明らかな使途に応じてそれでまたその取った関税を環付してやるというほうが、まぎれがなくていいと思うのです。これをこういう形でもってやられるということになりますと、陸続きの国とは違うので、非常にそういう点で日本自身にとってはこれは私は割りが悪いものだと思う。そういうことについてはどういうふうに思いますか。
  63. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 鈴木先生のお話のような処理のしかたも一案であるかと思いますが、そのような措置は、やはり観光の促進といいますか、諸国民の交通の促進という見地から参りますというと、やはり障害となるという認識がこの条約を成立させました基本考え方になっているのではないかと思うわけでございます。陸続きの国と比べまして、日本の場合は割りが悪いのではないかという御質問、これは私の解釈からいきまするというと、陸続きでないがゆえに自動車を売っていく者が多くなりはしないだろうかという懸念の問題としては、確かに考えておかなければならぬ問題だと思いまして、いろいろな譲渡をやりにくくする方途を講じておるわけでございます。
  64. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これはたとえば譲渡者や譲り受け人や輸入者または保証団体から、そういう場合には関税を取るのだ、こう言っていますけれども、つまりこれに該当しないような場合というのは想定されませんか。たとえば寄付とか。要するに特定のものという形じゃなくて、寄付をしていくというような場合はどうなるのですか。
  65. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) これはやはり再輸出しないことになりますので、税を取ることになります。
  66. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 税を取るのですか。それでここにも書いてありますが、自家用車が市政により損傷した場合、この事故で損傷したということはどういうことで確認をするのですか。これは再輸出には適さないという認定がなければできないことなんでしょう。事故により損傷したと認め再輸出されないことになった場合となっているのだが、どういうところでどういう判定をするのですか。
  67. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) これは具体的な事実が起きましたとき、自動車を使っております者の申告によりまして、現場に職員が立ち会った上できめるべきものと考えております。
  68. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 現場で職員が立ち会うのですか。
  69. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) はあ。
  70. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 それでは、こまかくなるようですけれども、ちょっとそれは私はとても不可能だと思いますよ。それはやはり向こうの申し出によらなければ、現場に立ち会うのだといったってできませんよ。そんなあなた、とてもできるものじゃない。
  71. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) それは鈴木先生のお話のとおり、原則は申告ないしは届け出を待ちまして、そこで現場で立ち会う。それによって現場で実物を見るということであると思います。
  72. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 だれが立ち会うのですか。
  73. 佐々木庸一

    政府委員佐々木庸一君) 関係職員が立ち会うのが原則でございますが、権限のある警察官その他をもって代行し得るとも考えております。
  74. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 これは、私は、あとは意見になるから、これで質問をやめます。
  75. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言はございませんか。——他に御発言もないようですから、保険業法の一部を改正する法律案及び自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案、以上両案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議なしと認めます。  それでは、これより両案につきまして順次討論、採決に入ります。  まず、保険業法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)  別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。保険業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  78. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  次に、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  80. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決することに決しました。  なお、ただいま議決されました両案の議長に提出する報告書の作成その他につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。  午後、零時五十三分散会    ————・————