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1964-03-31 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午後七時十九分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君    委員            大竹平八郎君            岡崎 真一君            川野 三暁君            栗原 祐幸君            佐野  廣君            津島 壽一君            林屋亀次郎君            日高 広為君            堀  末治君            柴谷  要君            木村禧八郎君            野々山一三君            鈴木 市藏君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵大臣官房長 谷村  裕君    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    大蔵省主計局法    規課長     相沢 英之君    大蔵省主税局長 泉 美之松君    大蔵省関税局長 佐々木庸一君    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    農林政務次官  松野 孝一君    食糧庁長官   齋藤  誠君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○揮発油税法及び地方道路税法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○自動車検査登録特別会計法案内閣  提出衆議院送付) ○国立学校特別会計法案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案自動車検査登録特別会計法案国立学校特別会計法案、以上五件を一括議題とし、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は御発言願います。木村禧八郎君 私は、揮発油税法地方道路税法の一部改正案に対して質疑を行ないたいと思うのですけれども、その前に、五法案一括してこれは審議することになっておりますが、この五法案のうち特に国立学校特別会計法案につきましては、これは非常に重大な法案であります。いままで一般会計に計上されておったのを、今度特別会計に移される。これについてはあとでまた質問いたしますけれども、これは普通の特別会計と違うわけですね。  で、私、特別会計についていろいろ調べてみましたが、これは財政法によりまして特別会計を設けることができる場合が三つあるわけですね。一つは、「国が特定事業を行う場合」、それからもう一つは、「特定資金を保有してその運用を行う場合」、第三は、「その他特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」、この三つの場合に限って特別会計を設けることができる。で、この三つの場合について、「国が特定事業を行う場合」、たとえば事業特別会計あるいは保険特別会計等がございます。また、「特定資金を保有してその運用を行う場合」ですね、これには物を管理する場合あるいは資金を管理する場合、いろいろとございます。たとえば、いままで外為会計とかあるいはあへん特別会計とかいろいろございます。また、「その他特定歳入を以て特定歳出に充て一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」ですね、この場合にも、たとえば交付税及び譲与税配付金特別会計とか、あるいは国債整理基金特別会計とか、賠償等特殊債務処理特別会計とか、あるいは国有財産特殊整理資金特別会計とか、あるいは特定物資納付金処理特別会計とか、いろいろあるわけです。  で、具体的にこの特別会計を設けることができる場合を、それぞれ内容を検討してみますと、教育に関する特別会計と、あとほかの特別会計とは非常に違いますよ、これは。教育というのは物じゃないのでございますからね。教育基本法に基づいて、教育基本方針というものがきまっているわけですね。それで、民主主義の原則に基づいて、そうしてほんとうに平和を愛し、ほんとうに自由を愛する、そういうりっぱな人間を育てるということが教育基本法の精神でありますが、したがって、普通の特別会計と違うわけですよ。質において違うわけです。したがって、この国立学校特別会計を設置するにあたりましては、これは文教委員の方の意見を十分聞かなければならぬ。普通の特別会計と違うんです。また、教育者あるいは学者、そういう人たち意見も十分聞く必要があると私は思うんです。普通の特別会計と違うんです、これは。ですから、いままで一般会計でこれは処理されており、また一般会計の中でもこれは特別なんです。特に国立大学あるいは教育関係については、特別な資金を持つことができることになっている。一般会計特別資金を打てる会計というのは少ないんです。これは教育に関する国立大学については、従来特別会計でございましたからね、その関係上、これを一般会計に移したので、この国立学校については一般会計において特にまた特別な資金を持つことができることになっているんですね。そういうふうに普通の特別会計と非常に違う性質を持っておりますので、これは事教育に関するのでございますから、本委員会でこれを誤りなく、われわれ委員方国民の代表として十分審議を尽くすためには、文教委員会との連合審査、これはどうしても必要だと思うんですよ、その手続は。それから、もう一つは、学者あるいは教育家参考人として、その御意見を聞く必要もあるのではないか。教育者の御意見をですね、やはり聞く必要があるのではないか。  そこで、この点につきましては、委員長におかれましては、理事会におきましてこの取り扱いですね、それを御相談してもらいたい。そうでないと、この五法案のうち国立学校特別会計法についての審議に入り得ないと思うのです。これはほかの法案と質が違いますので、これをただ一括ここで審議するというだけでは不十分でございます。また、国民に対するわれわれの責任も果たせない。そういうわけで、この国立学校特別会計法審議にあたりましては、文教委員会との連合審査、それから参考人として教育者の御意見を伺う、そういうことにつきまして、それをやらないと、しかもこんな短時間でお粗末な議論をするのでは、事教育に関するのでございますから、これは非常な重大な悪影響を将来に及ぼしては困りますので、その点は委員長におかれて理事会——この揮発油税法質問を終わりましたら、この取り扱いについて理事会で御相談を願いたいと思いますが、この点、委員長の御所見をまず伺ってから、具体的に揮発油税法質問に入りたいと思います。
  3. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 木村委員からの御発言でございますが、これはすでに先般来審議に入っております。それから、そういう御意見も、ある意味ではごもっともだと思いますけれども、実は文教委員長にも私からこういう問題について意見をただして、この問題に入る前に意見をただしてみたわけですが、文教委員会におきましても合同審査のような要求は受けておらないということでございましたので、この問題については本委員会におきまして十分御審議を願おうということで今日まで来ているわけです。したがって、まあお話がありましたから、後ほど理事会等で御意見の点は相談をしてけっこうだと思いますけれども、最終段階で、非常に時間もないことでありますから、この点は理事会の決定によりまして、あるいは御希望に沿えるか沿えないか、いまのところよくわかりません。とにかく御趣意の点は一応理事会相談をしてみたいと思います。あと相談してみたいと思います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 関連して。いま、委員長のほうから、文教委員長に対して連合審査等の問題について設問をされて、そうしてなかったということは、きょうの時点ではなくて、私は、ある時間的にいえば、前の話だと思うのです。きょう私のほうが承知をしておる点は、文教委員会において、わが党のお方からその問題が文教委員会に持ち出されまして、結論が出ておりませんけれども、申し出があったという事実は、これはもう確かなことなんですから、そういう点については、わが党の文教委員のほうから全然連絡がない、あるいはそういうようなことについて論議をされなかったというのじゃなくて、十分なる意思表示があったという点は委員長にこの際申し上げておきまして、後刻そういう問題については御相談を申し上げたいと思います。
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 承知いたしました。後刻御相談いたしますから……。私は、きょうはまだ文教委員長からは何らそういう要望を受けておりませんことを申し上げておきます。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 後刻、私がいま要望した点につきまして、理事会で御相談されるということでございますから、その点了承いたしますが、先ほど委員長が、文教委員長話し合いをした結果、文教委員会のほうからそういう申し出がないような、こちらの委員長文教委員長話し合いをされた。それは初めていま私は伺ったものですから、あらためて私は御要望申し上げまして、私のいまの要望の点につきましては、後刻理事会で御相談をしてくださるということですから、その点は了解いたしまして、質問に入りたいと思います。  それでは、揮発油税法地方道路税法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  まず、この揮発油税法地方道路税法の問題は、三十九年度減税と関連いたしまして、非常に大きな問題になったことは御承知のとおりです。大蔵大臣は、平年度二千億以上の減税を公約した、しかし揮発油税及び地方道路税、特に揮発油税目的税であるから、これは政府の公約した減税と除外して考えるべきだ、こういうふうに答弁されてきているわけです。御承知のように、三十九年度揮発油税収入は二千三百三十七億、四百三十四億の前年度予算に対して増収になっております。地方道路税は、四百二十三億でございまして、七十八億の増収になっておる。揮発油税地方道路税を合わせますと、五百十二億の増収になる。われわれは、これは実質的な増税である。したがって、政府は平年度で二千億以上の減税をしたと公約しておりますが、これを差し引いて考えるべきだ、こう主張をしてきたわけです。そうすると、二千億をはるかに下回る。  そればかりではなく、大蔵大臣は途中において、予算委員会において、これは目的税だから除外すると言いましたが、私は目的税ではないと思う、こう申したところ、大蔵大臣は訂正をいたしました。これは目的税ではございません、目的税のような、目的税的税金である、こう言われました。そこで、まず最初に、泉主税局長に、この揮発油税性格をもっとはっきりさせてもらいたい。これは目的税でないと大蔵大臣は言われておるのですから、どういう点で目的税でないのか、どういう点で目的税的なのであるか、これをはっきりさせてください。
  7. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 目的税と申しますのは、御承知のとおり、一つ税金からあがる収入一定歳出目的のためにのみ使用する、これが目的税の意義であろうかと存じます。そういう点からいたしますると、地方道路税につきましては、それを道路財源にのみ使用するという規定があるわけであります。したがって、地方道路税と、それから同じような規定のございます軽油引取税は、明らかに目的税であると思うのでございます。  ただ、揮発油税につきましては、揮発油の税収と同額道路整備財源として道路整備のために使うと言っておるのでございまして、揮発油税収入そのもの道路整備のために使うと申しておるのではないのでございます。そこで、揮発油税目的税ではないということになるのでございますが、ただ、揮発油税収入同額道路整備のために使う、こういうことになっておりますので、したがって、実質的には目的税と同じような性格があるということからいたしまして、目的税的な性格のものである、大臣はさように申し上げたと思うのでございます。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どういうわけでそういうややこしい解釈をしなければならないのですか。主税局長目的税というものについてどういうふうにお考えか。ですから、いまの御答弁ですと、揮発油税一般財源に入れるわけです。全体の財源に入れるのであって、それを道路に使うときは、揮発油税として一般財源に入った金であるか、あるいは所得税で入った金であるか、あるいは物品税として入った金であるか、それはわからぬのですよ。とにかく一般財源の中からこれを使う、こういうことですね。それで、なぜそういうややこしい解釈をしなければならないのか。それはやはり、目的税というものに対して、政府目的税としては都合が悪いからそういう解釈にするのではないか。これは目的税は私は反対であります。目的税目的税でみんなやられたら、どうなってきますか。教育税だ、社会保障税だ、みんなこうなったら、非常に混乱してくると思います。したがって、政府としては、目的税として規定することは困る。税制の中にたとえば特別とん税とか、あるいは地方税には都市計画税とかございますが、しかし、国の一般会計財源目的税的なそういう税制を織り込むことは、これは都合が悪い。全体の税制の立場から考えてそういう解釈をされているのではないかと思うのですが、この点について私はどうもよくわからぬのですが、これは揮発油税を設けるときに非常に問題になったわけです。その点について、一般の人にわかりやすく説明していただきたい。  というのは、今度の減税にあたりまして、一般の人はわからぬと思うのです。揮発油税はこれは増税になるのだけれども、別だ別だ。増税ではない。いままでは目的税だから増税ではないと、こう言っていたわけです。あとで私が言いましたら、訂正いたしましたけれども、一般の人にわかりいいように。だれが見たってこれははっきり増税ですよ。それを増税でないというふうに言うのは、何かもっとはっきりした根拠がなければならないのです。それを目的税であるから増税でないと言っておったのです。ところが、目的税ではないといったら、そういうようにはっきりなったら、これは増税ではないか、そういう論理にならざるを得ないじゃありませんか。いままでは目的税だから別だと言っていた。ところが、目的税ではないという。だから、当然これは二千億以上の公約減税の中から差し引いて——特別とん税と軽油引取税は一応除外してもいいです。これについても異論はございますけれども、除外してもいいですが、いずれにしても、四百三十四億の揮発油税増税については、これは明らかに二千億以上の公約減税の中から引いてかかるべきではないかと思うのですが、その点、一応御答弁を願いたいと思います。
  9. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 目的税につきましては、ただいま木村委員の御発言のとおり、財政当局者といたしましては、目的税を設けることによりまして財政全般弾力性が失われることになりますので、したがいまして、財政当局者といたしましては、できるだけ目的税ということは避けたい。そうして一般会計歳入全体の中で歳出をどのようにあんばいするか、毎年毎年検討していくべきであって、特定目的税を設けて、それによる収入一定目的にのみしか使用しないということにいたしますと、どういたしましても財政弾力性が失われますので、そういったことは財政上好ましくないという考え方を持っているのでございます。  ところで、揮発油税につきましては、御承知のとおり、昭和二十九年に揮発油税道路整備財源として使用されるという問題が起きました際に、非常な論議があったわけでございます。このときに目的税にせよという論議もございましたし、また目的税にすべきでないという議論もございました。現在の姿は、その妥協といたしまして、結局、揮発油税収入一般会計に入れるけれども、その一般会計歳入の中で揮発油税に相当する金額をもって道路整備財源に充てるということをいたしておるのでございます。したがって、本年国税地方税を通じまして、平年度二千二百五十六億の減税を行なうということになっておりますが、国民負担の見地から申し上げますと、もちろん二千二百五十六億から揮発油税及び地方道路税並びに軽油引取税増徴分の平年度分を差し引いて、減税額というものを言うのが妥当でございます。  ただ、大蔵大臣が申し上げましたのは、揮発油税地方道路税、あるいは軽油引取税増税というのは、必ずしも国民全般負担になるというものではなくて、自動車等を使用する特定の人の負担になるのであるから、必ずしも一般国民全般負担として考えなくてもいいのではないかといったような御趣旨で申し上げたのだと思うのでございます。しかしながら、国民所得に対する租税負担率といったようなものを考えます場合には、当然それを入れて考えるべきでございます。したがいまして、まあ国民全般負担にならない自動車等を使用する特定の人の負担になるという意味では、差し引いて離すこともあるいは可能かと思いますけれども、国民負担という点に、たとえまあ国民の一部とは言えません、相当多数の人が揮発油税あるいは軽油引取税増徴影響を受けるわけでございますから、したがって、それはその影響として見るべきであろうと思います。  ただ、先ほど木村委員が言われましたように、揮発油税につきましては、この三十八年度に比べまして、三十九年度は四百三十五億円の増収、それから地方道路税につきましては七十九億円の増収を見込んでおりますけれども、それらすべてが増税というのは当たらないと思うのでありまして、これは消費量がふえることによって増収になる分がございますので、厳密にはやはり今回の増徴による増収分つまり百八十二億三千四百万円と三十三億一千五百万円のみを増徴分による負担と見るべきでございまして、消費がふえることによる分はこれは増税と見るべきではないと存じます。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今次税制改正による増収見込み分百八十二億ですね、それは揮発油税ですね。それから、地方道路税の分は七十八億のうち幾らですか。
  11. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 三十三億一千五百万円です。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 三十三億一千五百万ですね。そうすると……。
  13. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 軽油引取税につきましては、平年度九十八億、初年度八十七億でございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その九十八億というのは、これは増税分ですか、税制改正による増収見込み分でございますか。
  15. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。税制改正による増微分でございます。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、揮発油税については、今度の税制改正による増収見込み額は百八十二億、それから地方道路税のいわゆる今度の税制改正による増収見込み額三十三億一千五百万円、軽油引取税は九十八億と、これだけですね。
  17. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、三百十三億が増税、まあ増収分ですね。つまり増税と見ていいわけですね。
  19. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 正確に申し上げますと、本年度税制改正によりまする平年度の総減税と申しますのは、先ほど申し上げましたように、国税地方税を通じまして二千二百五十六億円でございますが、そこから揮発油税及び地方道路税の平年度増収額、これが揮発油税で二百十四億五千万円、それから……。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 さっきの百八十二億というのは初年度ですか、いま平年度と言われましたね。平年度揮発油税増収分……。
  21. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、平年度分が二百十四億五千万円でございます。それから、地方道路税の平年度分が三十九億でございます。合わせました分を差し引きますと……。それから、そのほかに軽油引取税が先ほど申し上げました平年度九十八億、それから特別とん税十四億でございます。それらを全部差し引きますと、純減税額は平年度額で千九百十一億になるわけであります。それから、初年度で申し上げますと、国税地方税を通じました初年度の総減税額は千四百九十八億でございますが、それから揮発油税の百八十二億と、地方道路税の三十三億、軽油引取税の八十七億、特別とん税の増徴十四億、これらを合計したものを差し引きますと、純減税額は千百九十七億、こうなるのでございます。  これで、先ほど木村委員お話のように、特別とん税であるとか、あるいは軽油引取税地方道路税、この二つは目的税であり、特別とん税はまあ特別のものであるというふうに考えて、それを除きますと、まあそこの金額は若干違ってまいりますけれども、私どもとしては、純減税額は、先ほど申し上げましたように、平年度千九百十一億、初年度千百九十七億、こう考えております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この揮発油税とか、それから地方道路税軽油引取税等、これはまあ一部の人といってもかなり広範であるということを主税局長言われましたが、しかし、その人に税金がかけられても、これは転嫁されていきますよね。たとえば輸送費が上がるとか、そういう形でやはり物価にも影響していくと。そういうことを考えれば、これはかなり全般的な影響があると見ていいのではないかと思いますね。そこで、単に国民所得に対する租税負担率考える場合に、主税局長は、このいわゆる揮発油税とかあるいは軽油引取税増税分を差っ引いて考えるべきだと。差っ引いてでしょう、どういうのですか、それは。ですから、減税が少なかった。これは増税だから出すわけですよね。したがって、それだからまあ租税負担率も重くなると思うのです。それは計算されているわけですね、二二・二%の中に。
  23. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 国民所得に対する租税負担率二二・二%を計算いたしますときには、先ほど申し上げました税制改正による増徴のみならず、先ほど申し上げました消費量増加によるところの揮発油税、あるいは地方道路税、あるいは軽油引取税増収も全部含めまして計算いたしませんといけませんので、これは国税の全体の収入額、それから地方税全体の収入額、それに御承知たばこ専売益金を加えまして、国民所得に対する租税負担率を計算いたしておるのであります。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点はわかりました。  もう一つ主税局長に伺いたいのは、実質的な減税というものをどういうふうにお考えかということですね。実質的な減税というものは、物価が上がり、名目的な所得がふえる、そのためにまあ累進課税がかかったり等で、自然増収が見込まれるわけですね。そういう場合に——私はこの前予算委員会でもやったのですが、六千八百二十六億の自然増収のうちには、物価値上がりの場合の名目所得増加による自然増収がある。これを三割と見る。これは三十八年度税制調査会の答申のときに、大体三割程度見るべきだということですね。これは所得税についてです。ですから、所得税については三十九年度は約二千億ですね、その三割といえば六百億でしょう。六百億というものが名目所得増加による自然増収だ、こう見てよろしいですか。
  25. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) せんだって予算委員会でも申し上げましたように、所得が上がり、また消費者物価が上がる、その場合に税負担ももちろん上がるわけでございますが、それを減税によって調整をした場合、この関係をどういうふうに考えるべきか、これはいろいろ問題があるところだと思うのでございますが、私どもといたしましては、国民名目所得が上がりました場合におきまして、所得税名目所得に課税されますから、それだけ税負担は累進構造によって上がるわけでありますが、しかし、それを実質所得に置きかえまして見た場合の実質所得の伸び、この実質所得の伸びに対応するところの税負担増加、これはまあ実質所得がそれだけふえるわけでありますから、それは当然のこととしてがまんしていただかなければいけない。しかし、その名目所得に課税されるために、実質所得がふえるのに応じてふえる税負担分以上にふえる分については、これは減税によって調整すべきであります。したがって、また、減税したという場合におきましても、その実質所得がふえるのに応じて税負担がふえるところまでの調整部分の減税は、これは調整減税である。実質的な負担減税ではない。それ以上に減税する場合に初めて実質的な減税である、このように考えておるのであります。  ただ、その際申し上げましたように、国民所得階層の違い、それから世帯構造の違い、また所得のふえ方の違い、これによりまして、一がいにどれだけが実質減税であり、どれだけが調整減税であるということを申し上げることは、なかなかむずかしいということを申し上げたのでございます。三十八年の税制改正についての税制調査会の答申のときに、お話のように、所得税増収分のうち三〇%ぐらいはそういったものがあるということを一応表明したのでございます。その後、この三〇%という論拠についてはいろいろ問題があるのではないかというような論議がいろいろございまして、したがって、三十九年度税制改正の際におきましては、その点についてはあまり強く発言しないことにいたしたのでございます。しかし、事柄としましては、私が先ほど申し上げましたように、個々の所得階層、世帯構造によって違いましょうけれども、所得税減税を行なう場合におきまして、調整的減税の部分と実質的減税の部分とは十分区別して考えなければならないと思います。それからまた、私どもとしては、でき得べくんば統計的にどの部分が調整的減税であり、どの部分が実質的減税であるかを、いかにして測定すべきかということの検討をいたしたいと思っております。ただ、お話しの三〇%という数字は、いかにも大ざっぱな数字でございますので、もう少し精密な検討を遂げた上でないと、どの程度が調整的減税であり、どの程度が実質的減税であるかということは正確に申し上げかねるのでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に明快になりました、主税局長お話で。ですから、国民ほんとう減税として要求しているのは、このいわゆる物価調整の減税ではないのであります。もし物価調整の減税をやらなかったら増税になるわけですよ。ですから、物価調整を除いた分の突貫減税を要求しているわけですね。ですから、今後非常にそれを区別することは困難かもしれません、具体的に数字で。しかし、これをぜひやらなければいけないと思うのですね。それでなければ、たとえば商品を売った場合に、正味の商品と、そうでない、からみたいなものがあるわけですね。中身と包装みたいなものがあって、そこはやはりはっきりしてもらえれば、ほんとうになるほどこの部分が実質的減税なのか、この部分は調整なのか、そうなれば、今度われわれが無川な政府批判をしなくてもいいわけですよ。確かにこれだけはほんとう減税になっているのだ、全部はそうじゃないけれども。  そこで、一応三〇%ということは税制調査会が三十八年度の答申のときに言われましたが、一応三〇%と仮定しますと、三十九年度は二千億の三〇%で六百億ですよ。ところが、所得税減税は六百五十五意なんです。六百五十五億から六百億を引きますと、五十五億の実質減税にすぎないということになる。それを前提にすれば五十五億の減税にすぎない、実質減税は。そうなると、減税減税だとずいぶん騒いでおりますけれども、実質減税は五十五億なんです、三〇%を前提にすれば。  それから、ついでに伺いますが、三十八年度所得税自然増収は幾らと見込まれましたですか、所得税自然増収
  27. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 三十八年度予算の際におきましては、三十七年の当初予算に対しまして千九百七十三億の自然増収を見込んだのでございます。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 千九百七十三億…。
  29. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) さようでございます。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうして三十八年度は、所得税減税はどのくらいでございますか。
  31. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) これは初年度五百九十億でございまして、平年度額、これはもっとも、いろいろ、租税特別措置を含めての話でございますけれども、平年度六百六十八億でございます。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 所得税ですよ。
  33. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) そうでございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、三十八年度も千九百七十三億、ざっと二千億ですね。千九百七十三億の三割、五百九十一億ですね、五百九十一億減税をしなければ……。五百九十一億というのは、名目所得による増収である。ところが、所得税減税は五百九十億ですよ。そうすると、一億の増税になりますよ。大体とんとんと見まして、実質減税はなかった。所得税については物価調整だけであったと、こういうことになるわけですよね。そういうことになりませんですか。
  35. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のようなことを、もし比較されるとすれば、私が先ほど申しましたように、まず第一に問題になるのは、三〇%という数字だと思います。で、これはわれわれのほうにおきましても、あの当時できるだけ所得税一般減税を行ないたいのであって、特別措置による減税は好ましくないという気持ちがございまして、強く所得税減税の必要を力説いたした点がございます。  それで、三〇%という点につきましては、先ほども申し上げましたように所得の構成、それから世帯構成、所得増加の違いによりまして、著しく違いまして、必ずしも三〇%という数字をすべての場合に適用することはむずかしいのではないかと思います。  ただ、かりに三〇%という数字をお使いになるとしても、その場合比較すべきは平年度の数字であるべきでありまして、初年度の数字では、減税の規模というものは、いつから減税を行なうかによって動きます。それはやはり平年度の数字で見るべきだと思います。そういたしますと、三十九年度につきましては、御承知のとおり、所得税減税の平年度化した金額は七百四十五億円でございます。したがって、木村委員のおっしゃるように五十五億ということは当たらないと思うのでございます。ただ、三〇%という数字を一度出したものでございますから、それを前提とすると言われますと、はなはだ弱いのでございますけれども、三〇%の数字というものは、そういう意味ではいろいろ問題のある数字でございます。私どもといたしましては、今後、税制調査会におきまして、先ほど申し上げましたように、減税の、調整的減税と実質的減税とを区分すべきだという見地からいたしまして、こういった数字について検討いたしたいと思っております。どうか、それまではあまり三〇%という数字はお使いいただかないようにお願いいたしたいと思うのでございます。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 税制調査会の答申でも、三〇%が絶対に正しいとは答申しておりません。私も、その点は、多少計数に狂いがあるということは知っております。ですから、これはあの算定のしかたでございますが、あれでいいかどうか、これも疑問に思うのですけれども、しかし、問題意識はいま私が言ったようなことでなけりゃならぬと思うのですよ。  かりに平年度でいたしますと、七百四十五億減税としても、これからさっきお話ししたような名目的な物価調整減はやはり、実質減税考えるときには、差っ引いて考えるべきである。そうなりますと、政府減税減税国民に言う場合に、実質減税で言っているのか、あるいは名目減税で言っているのか、とにかく実質減税と名目減税をごっちゃにして言っているわけですよ。だから、二千億以上の減税といっても、その減税によってほんとうに家計が軽くなると、こういうものではない。たとえば二千五百億といっても、二千億以上といっても、二千億以上がそれだけ実質減税ではないと。そうでしょう。そういうふうに理解すべきでしょう。その何%かは実質減税の分はあると見てもいいのです。でありますが、そこにそういう物価調整分のこれを減税といっていいのか、どうか、これも問題だと思うのです。これは今後その数字をお出しになるとき、これは物価調整と出すべきですよ、こっちが減税と。こうならはっきりします。いかがですか、この点について。
  37. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話の御趣旨はよくわかるのでございます。私どもとしましては、減税という場合、木村委員承知のとおり、法律的用語によるところの減税と申しますのは、現行法を改正することによって生ずるところの減収額を減税と呼ぶことになる。これは法律的にはそれが正しいと思うのでございます。ただ、法律的にだけ考えるのは適当でないので、ことに税といったようなものは経済的に見なければ意味がないと思うのでございます。その意味では、木村委員のおっしゃるとおり、減税法律上の意味でいう減税額の中に、実質的に負担の軽減になるものと物価の上昇を調整するものとある、これを区別をして考えなければならないと思うのでございます。  ただ、わが国の消費者物価の騰貴がここ三年ほど非常に高いために、こういう論議があるのでございますけれども、それほど消費者物価の上がっておらない諸外国におきましては、別にそれほど実質減税、調整減税といった区別をしてまで論議しておるとは見受けません。しかし、いまお話しのように、最近のように消費者物価が六%をこして騰貴しておる状況におきまして税負担の問題を考える場合におきましては、そういった問題意識をもって、どこまでが物価の調整であり、どこまで以上が実質的な減税か、これは考慮しておかなければならないものと考えるのでございます。したがって、用語を使います場合に、法律意味減税というのか、それとも経済的意味減税というのか、しかも、その経済的意味減税という場合に、物価の調整をどういうふうに考えるか、こういった点を考えていかなければならないと思うのでございます。私どもといたしましても、今後そういった点について税制調査会審議をもっとこまかくやっていきたい、かように考えておるのでございます。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今後ぜひそういうふうにしていただきたいと思うのですが、日本の三十八年度物価調整という考え方を取り入れたことは、これはぼくは正しいと思うのですよ。それば物価があまり急激に上がり出したから……。税制調査会物価調整ということを言い出さなければ、あれを国民ははっきりせぬわけですよ。政党が減税という場合、かなり私は言い方が無責任だと思うのですよ。国民はよく実態を知っていないのですもの。それについては、今後は自民党が減税という場合には、ちゃんと実質減税と明らかにして減税しませんと、選挙のとき二千億減税と言ったって、科学的に十分に調査をしていけば、実質減税というものは二千億じゃないのですよ。まあさっきの揮発油税等もございます。そういうものを差っ引いていくと、これはもうはるかにわずかな減税になってしまう、こういうことになる。  しかも、これは私はあまり批判するのは好まないのですけれども、先ほど本会議で草葉隆圓氏が、三十九年度予算の賛成討論をするときにああいうことをおっしゃらなければ、私は申さないのですけれども、たとえば夫婦子供三人の場合ですね、今度の最低課税限四十八万幾らになった、非常に減税をしたというようなことを言っておられるのですが、しかしながら、実際に見ますと、第一に夫婦子供三人でたとえば五十万円の所得の人が幾ら減税になるか、二千九百十七円の減税です。二千九百十七円の減税に対して、消費者物価が四・二%上がって家計費負担がふえれば、まあ五十万円全部が家計費負担ではないでしょう、そのうち二割ぐらいは貯蓄とかなんかに向けられるとして、四十八万円としても、その四・二%になりますと、一万六千円以上家計費がかさむわけです。一万六千円以上家計費がかさむのに、減税は二千九百十七円です。これで減税されたといったって、ほんとうに家計は楽にならない。こういうことになるなら、むしろ減税なんかしてもらうより物価を上げないようにしてもらったほうが、家計としては楽であるということも起こります。  第二には、夫婦子供三人の場合の最低課税限ですね、四十八万幾ら。その場合に、いわゆる最低生活費ですね、最低生活費を今度は四・二%物価が上がった場合の計算をすると、私は主税局に計算してもらいましたが、最低生活費にまた税金が食い込むことになる。そうすると、物価調整による最低課税限の引き上げは、三十八年度物価が上がって生活費が上がった分を調整しているのであって、三十九年度消費者物価の値上がりによる家計費の負担については、これは調整していない。これはおそらく来年度やるのでしょう。そうすると、みんなあとから追っかけていくと、こういう形になっている。それは独身の場合は違いますよ。少なくとも夫婦子供三人の場合はそうです、はっきりいえば。もうここに数字ございますが、時間取りますから、これはもう主税局から私は計算してもらいましたので、それはもう主税局長さんよく御存じなはずですよ。どのくらいになりますか、五、六千円やはり食い込むことになります。そうなると、草葉隆圓氏が本会議の討論で、減税によって非常に家計の負担が楽になったと討論されましたけれども、もう少し実態に即してやらぬと、大政党の自民党の方の討論としてはお粗末過ぎると思う。そういうことはあまり申したくないけれども、ああいうことを言われておるから、事態をはっきりさしたのです。  問題は、やはりこういう委員会ですから、はっきりさしたい。そういう意味質問しているのですが、主税局長、いかがですか。
  39. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、給与所得者で年収五十万円の場合におきまして、これは木村委員の仰せとちょっと違いますけれども、いずれにしても、平年分二千七百二十円、初年度は二千五十二円軽減になるのでございます。ただ、私どもといたしましては、物価がかりに三十九年度に四・二%騰貴するといたしました場合、それを全部所得税減税によってカバーすることはむずかしいのではないか。結局、所得税増収の中にも見ておりますように、賃金の増加があるわけでございます。したがって、物価の上昇は相当程度賃金の上昇によってカバーされるべきものでありまして、それを、二千七百円しか所得税減税ができない、それでは消費者物価の上昇による影響で生活が著しく苦しくなるというのは、私はむずかしい話でありまして、そういうことはちょっと税の減税ではできないことでございます。やはり賃金がある程度上がることによって、初めて物価騰貴による生計費に及ぼす影響を救うことができるのであります。問題はそういったことで、所得増加する場合に、名目所得に対して税が課税されますから、先ほど申し上げましたように、名目所得増加し、消費者物価が上昇する、その場合に、実質所得増加に対応する程度以上に税負担を軽減することが望ましいというだけでありまして、物価騰貴による生計費に及ぼす影響を全部減税によってカバーするということは、私はなかなかできないことだと思うのであります。したがって、やはりそれは所得増加とそれに対応するところの——名目所得増加とそれに基づくところの実質所得増加、これを考えながらどういうふうに減税をやっていくかということが一番大切なのではないかと思うのでございます。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そう言われますと、私また今度は賃金と物価の問題について質問しなければならぬのですけれどもね。これはもう非常にむずかしい問題ですよね。だから、物価が上がって生計費がかさむと、それは賃上げによって、所得増加によってカバーすべき部分はあると。全部減税によってカバーするのはなかなか困難ですからね。しかし、実態は、私が予算委員会で申し上げましたが、昭和三十年から三十八年の物価と賃金の関係を調べてみますとね、消費者物価は一%上がった場合、賃金は〇・四%しか上がっていないのです。私がこういうふうに申しましたら、これは企画庁長官は、毎月勤労統計と消費者物価指数を持ってきて比べて、賃金の上昇率のほうが物価騰貴率より多いのじゃないかと、こういう答弁をしたのです。こんなお粗末な答弁はないと私言ったんですがね。それは賃金が上がる場合、きょうは山本君も討論しましたが、三つ原因がありますよ。生産性が向上する場合と、失業率が低下する場合、失業率が多くなりますと、賃金は下がります。失業率一ふえる場合に賃金が〇・三分くらい下がるのですよね、失業多くなると。そういう調査があるのですよ。そこで、生産性と物価と失業率、こういうものを総合してやると、これは三十年から三十八年までの実態を調査すると、消費者物価が一%上がったとき賃金は〇・四%しか上がっていないのです。賃金がそれ以上上がったら、消費者物価以上に上がったのは生産性が上がったこと、それからもう一つは失業率が低下したという点にあるのですよ。  ですから、そういう場合、やはり物価騰貴については、生計費のかさむのを所得増加によってカバーせいというのは、それはその部分はカバーできているとすれば、それは生産性の向上とか失業率の低下によってカバーできている。ですから、私は物価調整という場合は、やはり物価騰貴による家計費の負担、かさむ分くらいはやはり税金で調整すべきだと、そう思います。ことに全部は無理としても、最低課税限、あるいは最低生活費くらいは引き上げるべきだと。だから、夫婦子供三人の場合、最低生活費に食い込むような課税はすべきじゃないと。この点はどうなんですか。少なくともそこまでは調整すべきである。
  41. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お話のように、所得税は、これは応能負担の最も典型的な税といたしまして、できるだけ最低生活費に食い込まないようにするということは、これはもう当然のことであろうと思うのでございます。ただ、問題は、それでは最低生活費というものをいかにして策定するか。これがまあ技術上の非常にむずかしい問題であることは、木村委員も御承知のとおりであります。私どももマーケット・バスケット方式によりまして算出いたしておりますが、これは必ずしも最低生活費ではなくて、基準生計費であるというふうに考えております。しかし、これについてもちろんいろいろの御批判のあることは、いろいろと承っておるのでございます。しかし、そういう意味で、その課税最低限度をできるだけ引き上げるようにつとめるべきだということは考えておるのでございます。  ただ、これは木村委員も御承知だろうと思いますが、世帯別の私どもが算出いたしておりますマーケット・バスケット方式による標準生計費の場合におきまして、課税最低限と比較いたしますと、他の世帯では問題がないのでございますが、夫婦子供三人の標準世帯のところが問題になるのでございます。と申しますのは、他の世帯のところでは課税最低限と標準生計費との開きが四、五万円あるわけでございます。したがいまして、多少消費者物価の騰貴の影響がありましても、これはその開きによって救われるわけでございます。ただ標準世帯の場合だけは、その開きがきわめて少ない。そこで、標準世帯のときにどうしてその開きが少ないかということを検討いたしまして、まあ若干ではありますけれども、今回、満十三歳以上の扶養親族についての控除を五万円にいたしまして、そこのところをある程度救うということにいたしたのでございますが、それでもなおかつ、まだ不十分でございます。これは結局、そういった夫婦子供三人の標準世帯のところでは、まあ家族構成自体にもいろいろ問題がございますし、それに対応する所得税の人的控除のあり方、これはこの間配偶者控除についての御意見がございましたが、そういった点も含めていろいろな問題が含まれているものと思うのでございます。したがって、そういった他の世帯と違った問題が、標準世帯について他の世帯と違った問題が生ずるのは、何に原因があるか、これを今後探究いたしまして、そこの問題を解決するようにつとめたい、かように考えておるのでございます。
  42. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう本年度は税法も上がってしまいましたから、もう間に合わないと思うのですがね。  次に、現在考える場合、特に子供の多い場合、ですから扶養控除ですね、扶養控除については、子供の多い人についての特に私は考慮の必要があるのではないか。これは何回も申しましたけれども、この点、この次のあれには十分思い切って引き上げる必要があるのではないかと思います。大体四十八万円くらいというのは低いですよ。六十万円ぐらいにできませんか、この次に。
  43. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 標準世帯の課税最低限をどのようにすべきか、いろいろ検討はもちろんいたします。お話のように、標準世帯について課税最低限を六十万円にいたそうと思って計算いたしますと、所得税減税額が今回提出されましたのを含めまして、一千八百億減税財源が要ることになるのでございます。そういった検討はもちろんいたしたのでございますが、全体の減税財源との関係からいたしまして、今回はこの程度にとどめざるを得なかったわけでございます。
  44. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだだいぶ質問が残っているのですがね。結局、ここで委員長理事さんとで、さっきの要望申し上げたことについて御相談していただいて、一応私はこの程度で質問は中断させていただきます。
  45. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  46. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後八時二十六分休憩    ————————    午後九時四十二分開会
  47. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 委員会を再会いたします。  先刻、木村委員より御要望のありました、文教委員会との合同審査ないし参考人の招致の問題につきましては、理事会において十分協議をしてみましたが、結果としましては、協議がまとまるに至らなかったのであります。この点、御報告いたしておきます。  休憩前、議題といたしました五件の議案のうち、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案自動車検査登録特別会計法案、以上三件につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、順次討論、採決に入ります。  まず、揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  49. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、この法案に反対をします。  政府は、この法案提出の理由を、もっぱら道路整備のための財源捻出、そのための目的税性格を持つものと説明していますが、これは欺瞞であります。揮発油税は毎年大幅な自然増加を見ているにもかかわらず、今回あえて増税を行なうのは、一部負担者の負担を不当に加重することになります。本来、道路計画そのものに大きな問題をはらんでいます。国民が求める道路政策は、真に日常国民の生活に直結した道路の早急な整備でありまするが、政府道路計画は独占資本本位の高度成長政策の基盤づくりの役割りを前面に押し出したものであり、ここに財政上のしわ寄せをこの増税に求めてきたことは不当であります。  揮発油税地方道路税増税は、そのまま大衆課税的性格を持っています。バス、タクシーなどの料金値上げに拍車をかけ、その値上げ攻勢に大きな根拠を与え、それはまた国民大衆の負担増となってはね返ってくるに違いありません。これは物価安定政策をうたっている現内閣の政策がいかに矛盾に満ちたものであるかを暴露したものであり、この法案は大衆の犠牲においてその政策を遂行しようとする現内閣の本質的な収奪政策の一環であります。  よって、この法案に反対であります。
  50. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  52. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  次に、関税定率法等の一部を改正する法律案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  53. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、関税定率法等の一部改正案に反対します。  反対の根本的理由は二つあります。その一つは、わが国の関税政策には真の自主性というものがなく、その日暮らしであり、この定率法もまたその性格と範囲から一歩も出ていないのであります。一時しのぎの法案にしかすぎません。今日、関税問題をめぐって、まさに新しい形の関税戦争が起きているといわれている状態のもとで、この激しい矛盾と対立の中で、一貫した自主性を持たないということは大きな不幸であり、危険きわまりないことです。日本の関税は、全面的占領下でアメリカに押しつけられた経過を持ち、今日に至るまでも日米関税の格差は著しいものがあります。これに対してもその解消のための積極的政策は生み出すことはできません。これの一例は対米輸出品の実に三〇%から四〇%が差別項目の適用を受けているという事実によっても明らかであります。  第二の理由は、関税政策はまた、あまりにも日本独占資本の利益に奉仕しているという事実であります。今回の改正で関税特別還付金をあつかましくも一年間延長し、これを既得権化しつつあることであります。これは石炭合理化政策遂行のための財源の一部として、石油関税を引き上げ、電力、鉄鋼などの大企業の石炭割り当てと引きかえに、この引き上げ分の特別還付を行なうのでありまするが、この処置によって引き続き損害を受けるものは中小企業、農民、一般市民であります。言うならば、これら勤労人民の犠牲において石炭合理化資金の一部をひねり出すという、全く独占資本本位の巧妙な不当な措置であります。すべからく石油関税のこの分の引き上げをやめるか、あるいは特別還付金をやめるべきであります。  また、給食用脱脂粉乳の転用を合法化する第十条の二の新設は、まさに国辱ともいうべき関税政策の改悪であります。かくてアメリカの不正輸出に対して、そのしりぬぐいを合法化するもので、言語道断であります。  以上のごとく、一つ一つあげてみても、ことほどさように矛盾に満ち、真に国益にそむくものであります。日本共産党はよって反対であります。
  54. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  次に、自動車検査登録特別会計法案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。自動車検査登録特別会計法案全部を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  58. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決するべきものと決しました。  なお、ただいままでに議決いたしました三件の議案について、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後九時五十分休憩    ————————    午後十時十七分開会
  60. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。  食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  62. 鈴木市藏

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、この法案に反対をいたします。  反対の根本的理由を簡単に一言だけ申し述べます。この法案は、日本の飼料政策の完全な自主性の放棄という点で、重大な性格を持っています。政府は、日本の麦作を制限し、アメリカ麦の大量な輸入を行ない、アメリカに対して飼料市場の占拠を許すということをあえて行おうとしております。そしてこのことは、開放経済体制下のいわゆる国際分業という一笑を設けて、飼料の国内における自給自足の体制を投げ捨てたのであり、このことは畜産酪農農民に深刻な影響を与えることになるに違いありません。そうして、これらの犠牲において、アメリカとぐるになった独占的な日本商社の利益を保障しようとするものであります。以上を反対の根本的な理由とします。
  63. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、本法案に賛成をいたします。  その理由を簡単に申し述べます。  本法案は、元来、わが国の輸入飼料の食管における勘定区分が農産物価格安定法に基づく農産物価格安定勘定に入れられておったのでありますが、もとより、これは法律の根拠の違いが異質のものでありまするから、初めより本来は別にすべきものであったのであります。さらに、最近は飼料の輸入が増大いたしまして、農産物価格安定勘定の中の比重は、むしろ本来のそれよりも高まってまいりました。そういうことから会計区分を明らかにしようとするのでありまして、むしろ当然のことをここに明定をするということでありますから、賛成であります。  ただし、質疑の過程を通じまして、ここに注意を喚起しておかなければなりません問題は、わが国の輸入食糧、また飼料にいたしましても、その輸送の船舶は、実に八〇%をこえる外船を使用しておるのでありまして、このことは、大国かつ豊かな国でありまするアメリカさえも、バイ・アメリカン、シップ・アメリカンを実現しておる際に、わが国のごとく最も外貨を大切にしなければならない国において自国の船を使わないというに至っては、全く驚くほかはないのでございます。およそ各国に私どもが参りましても、外貨の節約あるいは外貨の獲得ということにつきましては、かなりの無理をいたしてもこれを行なっておるのでございまして、しかるに、本委員会における質疑を通じて見まするならば、食管当局においては、今日まで何らこれが改善をすることなく、さらに残念なことは、今後も改善の意図は見られないということであります。幸いにしまして、大蔵大臣答弁は私の意見に同調されまして、これが改善のために努力をする旨が答えられ、かつはまた、委員長におかれても、この問題をさらに国政調査において取り上げられる旨を申されましたので、私は今後これらの審議を通じてこの問題の解決に資したいと存じております。  いずれにいたしましても、法律案自体には、当然のことでありますから、賛成をいたします。
  64. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  66. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十時二十二分散会