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1964-03-30 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

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  1. 所得税法の一部を改正する法律案 (会議録情報)

    昭和三十九年三月三十日(月曜日)    午前十一時五十二分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君    委員            大竹平八郎君            岡崎 真一君            川野 三暁君            栗原 祐幸君            佐野  廣君            田中 茂穂君            津島 壽一君            林屋亀次郎君            日高 広為君            堀  末治君            柴谷  要君            木村禧八郎君            野々山一三君            鈴木 市藏君   国務大臣    大 蔵 大 臣 田中 角榮君   政府委員    北海道開発政務    次官      井川 伊平君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵大臣官房長 谷村  裕君    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    大蔵省主計局法    規課長     相沢 英之君    大蔵省主税局長 泉 美之松君    大蔵省関税局長 佐々木庸一君    大蔵省銀行局長 高橋 俊英君    国税庁長官   木村 秀弘君    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    食粗庁長官   齋藤  誠君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   説明員    農林省畜産局流    通飼料課長   田中 慶二君    食糧庁経理部長 亀田喜美治君   参考人    北海道東北開発    公庫総裁    北島 武雄君    北海道東北開発    公庫総裁   亀井 茲建君    北海道東北開発    公庫理事    勝原  啓君    日本開発銀行総    裁       平田敬一郎君    日本開発銀行理    事       大島 寛一君    日本開発銀行理    事       市田 禎藏君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○とん税法及び特別とん税法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○物品税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○揮発油税法及び地方道路税法の一部  を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○自動車検査登録特別会計法案内閣  提出衆議院送付) ○国立学校特別会計法案内閣提出、  衆議院送付) ○日本開発銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○北海道東北開発公庫法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付) ○地方自治法第百五十六条第六項の規  定に基づき、税関支署及び税務署の  設置に関し承認を求めるの件(内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案揮発油税法及び地方道路税法の一部を改正する法律案関税定率法等の一部を改正する法律案食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案自動車検査登録特別会計法案国立学校特別会計法案日本開発銀行法の一部を改正する法律案北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、「地方自治法百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件」、以上十四件を一括議題とし、前回に続き、これらの安件についての質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 時間の制約もございますから、大蔵大臣に一点お伺いいたします。それは何回も私は質問したのですが、まだはっきり了解できない点があるのです。それは、非常にこだわるようですが、租税負担率の問題です。それで、この前に予算委員会政府所得倍増計画はこれは死んだのではない、なくなっているのではない、いわゆる今後の政府経済政策所得倍増計画の線に沿うてやっていく、ただ高度経済成長策は、三ヵ年九%、これは今月で終わりである、そういう御答弁を得たわけです。しかし、所得倍増計画自体は生きているのであって、その線に沿うていくということでございます。その点、もう一度確認しておきたいのです。大蔵大臣は今後の財政金融政策はやはり所得倍増計画の線に沿うてやっていかれると、そういうように了解してよろしいかどうか。
  4. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 所得倍増計画の基本的な改築はごうも変更ないわけであります。ただ、前半三年の九%ないしは九・二%が非常に高い成長率を続けたということでございまして、今年度は御承知のとおり七%成長ということでございますので、中期経済計画をいま諮問いたしておりますが、大体私は、いまの段階で七%ないし八%と総理まで言われましたが、まあ所得倍増計画の年率七・二%というような状態で本年の目標が定まるものと考えておるわけでありまして、詳しくは中期経済計画答申を得てからでございますが、財政金融政策はその線に沿って進めてまいりたいという考えでございますが。
  5. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 今後の財政金融政策も、所得倍増十カ年計画ですね、その線に沿うてやっていくと、そういうことでございますね。
  6. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) そのとおりであります。
  7. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それでは、所得倍増計画におきましては、租税負担率についてはどういう内容になっておりますか。租税負担率について、所得倍増計画はどういう方針を出しておりますか、その点伺いたい。
  8. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 二一・五%、四十五年という考えでございます。
  9. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 もう一度。
  10. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 二一・五%、四十五年でということでございます。
  11. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 これは所得倍増計画です。所得倍増計画におきましては、租税負担率についてはこのように政府は定めております。「わが国租税負担率は三十五年度において二〇・五%」、これは中央、地方を占めての対国民所得比例比でございますが、「二〇・五%と終戦後から次第に減少しているが、戦前に比べてなお高い。また、先進諸国に比べると率の上で低いが、これらの国に比べわが国所得水準も低く、また国民に還元してくる振替支出の割合も少ないので、実質的に負担は高く感じられている。したがって、今後国民所得の増大に応じ年々相当自然増収考えられることでもあり、減税公共投資社会保障などの不可欠の支出要求とともに優先的に考える必要があろう。以上のような点から見ると租税負担率計画期間を通じて現状とあまり変わらないことが適切だと思われる。しかし、計画の後半期に所得が上昇し個人租税負担感が緩和される時期には、社会保障費の充実という点などから租税負担率を再検討する必要がでてこよう。」こういう内容になっているわけです。  これ見まして、これには二一・何%と書いてありませんよ。現状程度といいますと、大体これは税制調査会答申しましたね、昭和三十五年。大体この三〇・五%程度、この程度ということです。二一・何%、これは昭和四十五年でございましょうが、しかし、前半は二〇・五%程度。それで、成長率が高くなるから、自然増収額は多くなるわけです。ですから、税負担率を下げても——自然増収額は大きくなるのであるから、額は大きくなるのであるから、租税負担率を下げても差しつかえないわけですよ。特に、これは前半においては大体二〇・五%程度、後半においては経済成長率は高くなる、そこでそのときには引き上げるとは書いてない、再検討するということになっておるのです。  これまで大蔵大臣議論したのは税制調査会答申をもとにした。それで、税制調査会答申は尊重するが、何もそのとおりにやる必要はないんである、こういう答弁なんです。それで、二〇・五%というのは大体二一%か二二%ぐらいに読みかえですか、そういうふうに理解してほしいという御答弁です。しかしながら、私がいま質問しているのは税制調査会答申じゃないんです。政府国民に公約しました所得倍増計画にはっきりと出ているわけです。それが大体二〇・五%程度前半といいましても、所得倍増計画十ヵ年計画、三十六、三十七、三十八でしょう。三十九で、まだ前半終わっていないんです。後半において租税負担率を引き上げるという問題は、これは再検討することになっていますが、このように国民に公約しているのですよ。そうして二二%以上じゃありませんか、三十九年度は。  私は租税負担率だけにこだわるわけじゃありません。租税負担率が高くても、今度はそれが還元されて社会保障とか国民の生活安定のほうに十分向けられる、あるいは直接国民の生活安定だけでなく、また間接に日本経済均衡的発展のために公共投資等が行なわれることを否定するわけじゃないのです。また、租税負担率が高くても、今度はその負担の公平、不公平の問題があるわけですね。これは階層によって違うわけでありますから、不労所得に高く勤労所得に安くですね、あるいは生活困難の人にもっと減税をし、租税負担能力のある人には現状よりももっと増税する必要もあるということも出てくると思います。それにしても、租税負担率というのが一番基本なんですよ。これがきまって、そうしてどれだけ減税できるか、減税財源が大体出てくるの、でありまして、租税負担率をあまり軽く扱ってはいけない。租税負担率はたいした問題じゃないという人もありますが、私はそれに賛成できません。  そうしますと、これは公約違反ですよ、所得倍増計画にはっきりそうなっておるのですから。この点から、三十九年度の二二%以上の租税負担率、それと所得倍増計画国民に公約したこの租税負担率との間には、これは非常な違いがあるわけです。この点について大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、御所見を伺いたいわけです。
  12. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 租税負担率を重要に考えておることは木村さんの御指摘のとおりでございます。私もこれは何ら関係ないなんということは考えておりません。  しかし、所得倍増計画は三十五年につくられたわけでありまして、当時理想的な考え方でつくったわけでございますが、御承知の三十六年、七年、八年と異常な超高度ともいうべき経済成長を続けたわけでございます。そういういろんな意味で、税制調査会も二〇・五%程度ということを言っておられますが、しかし国の財政事情から見ますと、そのようにはなかなかいかないということで、るる申し述べておりますように、歳出要求が非常に多いことでございますし、しかも戦後の特殊な事態の中で先進国と同じような施策をやらなければならないということでございまして、租税負担率が二〇・五%程度に押え得ないという事情であることは御承知のとおりでございます。今度は財源がなければインベントリーの取りくずしとか、また公債発行論さえもあるわけであります。でありますから、ある時期国民各位負担率が多少上がることは、好ましいことではございませんが、同時に、国民の要望に沿って各般施策を行なう歳出需要を満たすわけでございますので、中期経済五ヵ年計画をいま諮問いたしておりまして、そういう過程においても、十分これらの問題も検討せらるべきだと考えます。初めの道路五ヵ年計画が二兆一千億が四兆一千億にならなければならなかったし、もう一千億出せば倍である、このくらい歳出要求も非常にふえておるわけでございます。  そういう意味で、なかなか二〇・五%という御指摘負担率を維持することができないわけでございまして、まあいろいろな方々の御意見を聞いて、また適正な御意見に対しては十分政府も配慮する考えでございますが、私は三十九年度の予算編成のときから現在を考えますと、二〇・五%ではなく、やはり二一%、二二%というように考えざるを得ない。そういうことでひとつ御理解いただきたい、こう考えておるわけであります。
  13. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それは大蔵大臣がいろいろ御説明されますが、一瞬最初に私は、ですから、所得倍増十ヵ年計画は生きているのか、今後の財政金融政策はその線に沿ってやるのかと。そのとおりだと。それならば、所得倍増計画にははっきりと、租税負担率について前半は二〇・五%程度でいくべきである、こういうふうに書いてあるんです。ですから、所得倍増計画、これを変更すれば別でありますけれども、はっきり書いてあるんです。そうして、今後は所得倍増計画の線に沿うて財政金融政策はやっていくという。これでは全く、大蔵大臣の前の御答弁といまの御答弁は違うと思うんです。そうして、道路計画は四兆一千億にもなって、最初の二兆円が四兆一千億になって、歳出のほうに相当金がかかるから、税負担率も高くしなければならぬ、こういう御議論ですが、これは私はもう一つ別の観点から伺いたいんです。  前の予算委員会大蔵大臣は、私の質問に対してこういう御答弁です。税制調査会答申と反対の御答弁をなすったわけです。税制調査会は、ここ当分は、戦前に比べ諸外国に比べて日本租税負担率は高いんだ、だからここ当分は大体二〇・五%でいけ、しかし将来は国民所得がふえてくるに従って、そこで税負担率が高くなるということを否定するものではないということを、税制調査会答申しているんです。ところが、大蔵大臣は逆の答弁をされて、しかも極端な答弁をしておる。大蔵大臣は、将来は戦前租税負担率にまで近づけたいということを言われておる。実際問題としてそういうことができますか。昭和九年、十一年の租税負担率は、国税地方税合わせて一二・九%。なぜそれが可能であったか、それは公債発行が歳入のかなり大きなウエートを占めておったからであります。したがって、大蔵大臣は将来は戦前負担率に近づけたいという主張をされるならば、必ずその裏には公債発行という問題がひそんでおるわけです。四兆一千億の道路予算公債発行によらずしてできますか。絶対にできませんよ、それは。それはいまは政府は糊塗して逃げております。三十九年度は発行しません。四十年度も発行しないかもしれない。公債発行しなければ、揮発油税とか、その他何かの増税によらざるを得ません。増税ということはよほどの増税をしなければできませんよ。ですから、公債発行するんであるということを、なせ——長期計画財源というものを計画的にお示しにならなければ、これは国民をごまかすものです。公債発行については必ずしも私は、公債発行してはいかぬと、そんなけちな考えを持っておりませんよ。それは生産的であり、財政法には反しないんですから、公共事業というものは。しかし、公共事業費のほうは公債財源を依存する、そのかわりに今度は他のほうの生産的な支出をそれでよけい計上するという形では私は許されないと思いますが、この点はどうなんですか。  これは大蔵大臣税制調査会を尊重すると言いながら、それと逆な答弁をされておる。これははっきりしておかなければいけないと思うのです。責任を持ってもらわなければならぬ。大蔵大臣発言責任を持たなきゃなりません。戦前の一二・九%までどうやって近づけていくか。それを大蔵大臣は言われましたから、私は信用いたしましょう。一二・九%までどうして近づける計画ですか。公債発行はしない。税制調査会のほうは、将来は負担率は高くなるかもしれない。そういうことをその場限りで、責任のがれで答弁されては困るわけですよ。しかも所得倍増計画にはっきりと、いまお話ししましたように、大体所得倍増計画前半においては二〇・五%でいく。それなのに、三十九年度二二%以上になっている。それを財源を、ほかに支出が多くなれば、他の生産的支出を削っていいのです。あるいは増税していいのです。それは負担のできるほうにうんと増税をして負担のできないほうはうんと減税をしていく、そういう意味なら、私は租税負担率の多くなることには反対しません。しかし、いままで租税特別措置を通じて、神武景気岩戸景気等によってうんともうけてきたほうにうんと減税しているじゃありませんか。ものすごい減税をしている。国税地方税合わせて三千億円以上減免税をしております。その八割は大体大企業に対する減税であります。ですから、中小企業とか個人業者とか勤労所得者のほうの税金がなかなか安くならない。その点は明らかに大蔵大臣は矛盾されている。税制調査会答申に矛盾している。所得倍増計画方針に矛盾せられるのです。ですから、ここではっきり矛盾しないように今後おやりになるというのなら、私は承服できますが、そうでなければ、あいまいのまま、予算委員会でのその場限りの大蔵大臣答弁でわれわれは済ましてしまっては無責任になりますから、この点については、このいまの税法質疑ももう長くできませんから、最終段階に入ってきましたから、ここで私は締めくくりの意味で、この点について大蔵大臣質問しているわけです。
  14. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 所得倍増計画につきましては、御指摘のとおりでございまして、公約違反ということではございませんが、世間に発表したものよりも違ってきておるということは事実でございます。何しろ三十五年に発表しまして、三十六年はもう二二・一%になっているのでございますから、所得倍増計画のもう翌年から数字が違っておるということでございます。これは経済テンポも非常に速かったし、そういう問題もありまして、いずれにしましても、所得倍増計画はいま前三年度は九%程度といっておったものが十何%も伸びているのでありますし、また投資内容につきましても、港湾五ヵ年計画、治水五ヵ年計画道路五ヵ年計画、いろいろな問題も変わっておるのでございまして、政府はその意味所得倍増計画中期の問題に対して諮問をいたしておるわけでございます。でありますから、所得倍増計画方向、その性格、これを放てきするものではございません。当然所得倍増計画の基本的な線はこれを守っていくわけでございますが、その計画、その内容等に対しましては、非常にテンポの速い現在でございますので、十年前にきめたものが十年間そのままのものさしで通るわけはないのでありまして、そのときに即応する各般施策を十分に考えるという意味で、慎重を期すために中期経済計画の策定を急いでおるわけでございます。  それから、私が予算委員会において申し上げたことは全くその場限りだというふうにお取りになっておりますが、そんなことはないわけであります。どうしてそういうふうにお取りになるのか、私にはちょっとよくわからないのです。税制調査会は現在の時点から起案をしておるわけであります。現存の租税負担率を見るときには、諸外国に比べて高い。ですから、現在の状態では少し下げなきゃならぬ。そうしてこれからだんだんと日本の国力が大きくなって、国民所得がふえてきて、租税負担にたえるような状態になったら、上げてもやむを得ないとしても、現在の時点は非常に困るからということにウエートを置いているわけでございます。私はあなたの質問に対して、もっと大きな、戦前負担と比べて一体どうですか、こういうような質問がございましたから、どう考えても、だれが考えても、戦前負担率と比べてみても非常にいまは高いわけであります。また、諸外国と比べても高いわけであります。税制調査会は、諸外国と比べて、現時点を言っておりますし、私は大蔵大臣として、税負担現状及び将来に対してお話を申し上げておるわけであります。しかも、あなたの話の中には、戦前負担率は一体どうだと。戦前と比べて高い。高いことですから、高いということはなぜかというと、全然無資本の中から立ち上がった日本でありますから、なかなか戦前のようにはいきません。私は、税の基本的な議論として、だんだんと税負担は低くなることが望ましいのであります。こういうことにウエートを置いてやっているのでありますから、できるならば、戦前までに持っていけるように租税負担率が下がることは好ましいことであります、こういうことを申し上げておるはずであります。でありますから、税制調査会が、ある時点をとらえて、昭和三十八年から四十五年までというような考えお話をしておりますのと、私が税に対して基本的な問題に対してお話ししていることが、全然性格の上で逆だというわけではないのであります。  その後も、何回か御質問に答えて、諸外国と比べてどうか、西欧諸国と比べて高いと思います、こういうことを言っております。高くていいのか、いや税金は引き下げなければいかぬと思います。引き下げればいいじゃないか、こういう御議論でありますから、引き下げることは基本的に考えておりますが、歳出要求もございますので、財政当局者としましては、そのウエート考えながら、バランスをとってやっているのでございます、こういうことを私は答弁申し上げておるのでありまして、税制調査会発言と私の発言が全く相反するものだというように考えられないわけでございます。税制調査会も、四十五年までは上がってもいいと言いながら、それは現在の負担率を下げろ、こういうことでありますが、じゃ、将来、戦前に比べてできるだけ低くしなければならぬかということを全然否定しておるわけではないわけでありますから、私がいままで発言をしておりますことが、いずれにしても、税制調査会答申を無視している方向にある、全く逆だという、ふうには考えておらないわけであります。私は税制調査会の言うことはよく理解をしておるのであります。もし逆だという議論があれば、税制調査会側に立つと私の発言が理解されないというだけでありまして、過程における議論、それから税に対して基本的な考え方を申し述べておるにすぎないわけであります。
  15. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 将来の国民所得に対する税負担をどうするかということは非常に重大な問題で、所得倍増計画があらわれてくる前の五ヵ年計画というのがありました。岸内閣のときの五ヵ年計画では、あれは税負担率は一八%まで下げる、こういうことであったのですよ。これは議論の分かれるところなんです。税制調査会は下げろとは言っていないのです。少なくとも現状程度というのです。  大蔵大臣は、無資本で、まあ戦争によって破壊されて、資本蓄積も非常に困難になったと。ところが、現在はどうですか。生産水準も、国民所得も、総生産も、戦前水準をはるかに抜いているじゃありませんか。しかも、租税特別措置は、昭和二十五年からシャウプ改革によって、あれは戦争によって資本が破壊されたから資本蓄積を促進する意味で、昭和二十五年から租税特別措置がとられました。しかし、それは昭和三十年、三十一年ころまでで私はやめるべきであって、それまでは確かに私は日本資本蓄積を推進するためにああいう制度は必要だったと思うのです。しかし、その後は資本の独自の力で資本蓄積が可能な段階に入ってきている。それにもかかわらず、租税特別措置は依然として、国税地方税を通じて非常に高度の減免税をやっておる。しかも、これはちっとも景気調整に活用しないのです。イギリスなんか、景気が過熱されるような場合には停止をしておりますよ。そういう弾力的にこれは運用する必要もあろうと思うのですが、戦前よりはるかに、日本の賃金所得も総生産もふえてきている。生産水準も上がっている。ですから、私は、租税負担率戦前水準まで引き下げるということは、実際問題として困難だと思います。われわれ社会党ので立場も、そうはいけません。これはいけませんよ。しかし、現状程度でも、成長がどんどん高くなりますから、自然増収はふえるのです。税負担率を三十五年度の二〇・五%程度にするだけでも、かなり減税できるわけです。三二%以上にするから、六千八百二十六億円なんという、前年度に比べて倍以上なものすごい自然増収が生ずることになるのである。これは、自然増収自然増収と、そうやって予算を組んできたわけです。これはもっと減税に振り向けるのが当然であると思う。私は決してむちゃなことを言っているわけじゃないです。また、大蔵大臣も、その場限りと言ったのは少しことばが過ぎるかもしれませんが、とにかく不可能なことを大蔵大臣答弁するものじゃないですよ。戦前水準というのは一二・九%じゃありませんか。そういうことを言っているのです。  それでは、具体的に伺いますが、戦前水準税負担率を近づけていくというならば、第一に考えるべきことは、課税最低限をもっと上げるべきですよ。戦前と現在と比べて、課税最低限はものすごい違いじゃありませんか。少なくとも六十万円ぐらいまでは——これは所得階層によって違いますけれども、夫婦子供三人で、今度は四十八万円でしょう。少なくとも六十万円に引き上げても、まだ戦前に比べれば高いのですよ。課税最低限が。独身者の場合なんか、今度は大体十八万円ですか、戦前は大体五十万円ですか、現在の価値に計算しますと。こんなに開いているのです。ですから、まずこれを、もっと課税最低限を引き上げるべきじゃないか。これが一つです。これをお約束できるかどうか。本年度といったって、これは間に合いませんから、来年度は……。ことに、大蔵大臣、よく考えてもらわなきゃならぬことは、子供を持っている家庭ですよ。夫婦子供三人ぐらいなところは、今度課税最低限を引き上げたでしょう。しかし、物価が四・二%上がると、やはり最低生活に所得税が食い込むんですよ。夫婦子供三人のところは。この辺が一番苦しいところなんですよ。この辺についてもっと課税最低限は引き上げなければならぬ。ですから、本年度といっても無理かもしれませんが、来年度においてはこの点をお考えになられるのかどうか。  もう一点、来年度の予算編成について、これは私は来年度ではがまんがならないのですけれども、配偶者の控除、これは前に質問しましたけれども、これは政府昭和三十五年の選挙ではっきり公約したんですよ。自民党は選挙のときに公約しましたよ、基礎控除、つまり主人と妻の座を対等にするんだと、こういうふうに。同じようにしながら、それからだんだん引き離してしまいまして、三十九年度は一万円も引いてしまったじゃないですか。これは全く公約違反ですよ。ですから、どうしてもこれは三十九年度で同じように引き上げなければならぬと思うのです。そうでなければ、公約違反ですよ。それには百億の財源が要ると泉主税局長言われました。百億は、どこからでも、ほかに財源があるじゃありませんか。それはもう公約したのだから、優先的にやるべきだ。投資信託の配当の減税とか、あるいは会社の配当に対する減税とか、こんなものは公約していないのですよ。三十五年に公約していますか。公約していないものを減税したでしょう、三十九年度。また三十八年度もそうしたでしょう。銀行預金利子についても、株式配当についても減税している。これをやめれば、優に百億は財源出てきます。利子課税の分離課税をやめてごらんなさい、すぐ出てきます。なぜこれをおやりにならないのですか。  具体的に二つの点について、どうしても本年度は間に合わなければ、来年度でしようがないです。前の予算委員会でも、来年度とは言われておらないのですよ。今後の税制改正にすると言われておるのですが、来年度この二つの点、ことに課税最低限については、もっと六十万円ぐらいに引き上げるべきだ、夫婦子供三人のところは、子供の多い家庭については。泉さん、あんまり知恵つけちゃだめですよ。この点二つ、ぜひ。主税局長さん、これは非常に泉さんはものすごく手がたいものですからね。もっと政治的に御判断をなすって、この二つの点をひとつ言明していただきたいと思うのです。
  16. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 専門家であります木村さんの御発言、ほんとうによくわかります。私も同じ気持ちでございます。ほんとうに同じ気持ちでございます。が、そこはひとつ、予算を組んで、また予算歳出の面で、国民各位の要請に応じなければならないというところに非常に矛盾があるわけでございます。でありますから、私もこれでいいなどという考え方でおるわけではありませんで、まじめな立場で、税の問題と歳出のバランスをどうとるべきかということは検討いたしておるわけでございます。あなたがそうして国民各位の言わんとするところを御発言になって、御鞭撻賜わることに対しては、非常に私自身も国民の一人でありますから感謝をしておりますし、またそういう発言を契機にして、だんだんとこういう問題を解決をしていくということに対しては、私も道を開くものだということで敬意を払っておるわけでございます。四十年度ということで六十万円に上げなさい、妻の座の一万円の差をなくするということは、私はここで申し上げられる段階ではございません。しかし、こういう問題については、税制調査会でも答申をしている問題でございますし、昨年も一万円を五千円に削った問題、木村さんなどに言われまして、それをことしおそまきながら実現をした、こういうふうに非常に前向きに政府は行っておるわけであります。ですから、税制調査会の審議事も待ちながら、あなたの御発言になられたその趣旨も十分理解をいたしておるわけでありますし、基本的に何も違うわけではないわけでございますので、将来国民税負担がなるべく軽くなるようにあらゆる努力を尽くしてまいりたい、このように考えます。
  17. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 それはまあ、大蔵大臣の立場であれば、いますぐ来年度のはっきりした御答弁をしにくいかもしれませんが、しかし、私も無理な質問をしているわけじゃないと思うのですよ。だれが見たって、配偶者控除については、だれだってこれはおかしいと思うのですよ。これは主税局長さんだっておかしいでしょう。選挙に公約したのですよ、三十五年にちゃんと。そうして三十六年九万円ですか、九万円まで同じに上げたのですよ、三十七年に開かしちゃって、三十八年はまた開かした。三十九年でとうとう一万円開かしちゃった。これは何といったって、私は何といったっておかしいと思うのですよ。こんな不信な行為というのはありませんよ。ですから、少なくともこれだけは来年度はどうしても是正すると。そうしなければ、これは公党としても選挙に公約をしたのですよ。はっきり書いてありますよ。また、三十六年のときですね、あれは妻の座を引き上げる、それでいやに喜ばしたんだ、あの選挙のときに。それであの選挙は勝ったでしょう。非常に喜ばしておいて、あとは選挙済んだらだんだん開かしちゃった。それは同じですよ。九万円同じにして……。これは私は不信ですよ。何としてもこれは来年度是正する。来年度ですよ。そうしなければ、公党として私は面目ないと思います。それは私が無理なことを言うのなら、これは批判をされると思う。どなただって、これはだれが見たって、衆目の見るところ十指の指さすところ、これはもう厳なりですよ。これはもう主税局長さんも、どうしたってこれは来年度是正していただかなければなりませんよ。  それから、もう一つは六十万円ですね。これは大蔵大臣、ぜひ夫婦子供三人、それくらいにしなければ……。常識ですよ。それでも戦前に比べてまだまだ足りないのですから。そういう問題。それから、最低生活に税金が食い込まないようにしてから、そうして社会保障のほうに向ける必要があるからそんなに減税ができないのだ、こういうお話ならわかります。最低生活に所得税が食い込むような状態を放任しておいて、社会保障のほうに金が要るからそれで減税ができないというのでは、これは私は話のつじつまが合わないと思う。これはもう常識で、だれでもそれは当然だと思われることでございますから、これが一つ。  それから、もうあと持ち時間は五分しかございませんから、最後に伺いたいのは、三十九年度六千八百二十六億の自然増収を見込みましたね。これだけでは、今度はかりに補正とかなんとかいう場合、全然余力がなくなっちゃうわけですね。全然弾力性がないのがどうか、これが一つと、もう一つは、日本銀行の二厘の公定歩合の引き上げによりまして今後景気を押えるということになってきますと、だんだん引き締め政策は浸透してきている、こういわれております。それで、私は成長率が落ちてくるのではないか。その場合に、六千八百二十六億というものを、これは政府が計上したのですから、どうしてもとらなきゃならぬのだ。また、それだけとったのでは足りないと思うのです。どうしたって千億近いものは補正の財源としてやはり税収を予定しておかなければ、こんなきちきちの予算を組んだらおかしいですよ。いままではあまりこの自然増収をとりすぎておったのですけれども、今回はぎりぎりに組んだ。いや木村、おまえ、あまり自然増収大き過ぎたから、正確に組めと言ったからそうしたんだといっても、私はやはり全然弾力性がないように組めと、こう言っているわけじゃありませんからね。  そうなると、徴税強化の問題ですよ、これを私は心配するのです。これは主税局長もほんとうに、それから国税庁長官と。最近非常に中小業者に対して私は高姿勢であるように聞いておるのですよ。ことに二厘公定歩合の引き上げによって、また倒産もふえるのではないかという心配があるので、政府は金融のほうで十分めんどうを見ると言われているのです。金融のほうでめんどうを見ながら、今度は税金のほうで徴税強化をしては何にもならぬと思う。この点について、大蔵大臣、今後景気は下向きになってきますよ、どうしたって。そういう場合の税金の問題は、税法とか、税負担率とか、税法だけの問題じゃありませんね。この徴税行政というものも非常に、重要だと思うのです。そういう点で、今後の景気情勢とにらみ合わせて、これが徴税強化にならないように十分配慮していただきたい。この点です。この点伺って、ちょうど三十五分ですから、私の質問は終わります。
  18. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) まあ木村さん非常に鋭く申されましたけれども、財政当局の立場も十分御理解の上で御発言いただいておりますのでございまして、私も非常に喜んでおります。  第一の減税の問題でございますが、妻の座の確保ということは、これはもうほんとうに私もそのとおり考えておるわけでございますが、まあ歳出との関係で今回は見送らざるを得なかったというわけでございます。まあこういう問題に対しても、私は、公約をしたよりも少しでも前向きであって、少なくともこういう国会でおしかりを受けないように、少しぐらいほめられるようにしたいということで、私も人の子でありますから、そういう気持ちであります。ですから、税目別にまあこまかく私も話を聞いたり、自分の意見を言ったりして、まじめにやっておるわけでありますが、遺憾ながら今日の段階で御審議をいただいておるわけで、これはまあ来年度以降の問題といたしましては、こういう問題は最重点的な事項でございますので、十分重点を置いて減税の場合は配慮をすべきであるという考えでございます。これはまあ百億円、来年全部出すかと、こういうことを申し上げられる段階にはいまございませんので、まあその間の事情は十分御理解いただいておる木村さんでございますから、ひとつ私の発言で御理解いただきたい。  第二の補正財源の問題でございますが、これは本年度六千八百二十六億円という、巨大だといわれる税収見積もりをやったわけでございます。しかし、三十八年度の第二、第三の補正の財源として二千億余の自然増収がございますことは御承知でございますので、大体三十九年度の自然増収の実額は、三十八年決算ベースといたしますと、四千七、八百億、こういう見通しであります。でありますから、まあそう過大だということはないと考えます。同時に、少ないのかというと、過去のように自然増収を多額に見ているというような予算見積もりでもないわけであります。まあ適正なと、こういう表現で御審議をお願いしておるわけでございます。災害が予知せられるわけでありますが、災害につきましては、本年度は初めて新しいワクとして、一般の予備費のほかに、災害予備費百億を見たわけであります。ですから、災害に際してこれをもって対処していかねばならぬと思いますが、その他いろいろな補正財源、補正要因というものが過去の例によるとありますが、どうも補正要因が出てからでないと、なかなか申し上げられないわけでございます。やはり補正財源が必要となるような場合、どうしなきゃならぬかというような場合は、そのときになりましてから、まあ大蔵省がいままで、同じ質問をいただいておりますけれども、いままででも補正財源を何とかくめんできなかったということもございませんし、それから、といって隠し財源をほかにまだうんと積み立てておるというものでもございませんけれども、まあ補正が必要なときは、その時点においてあらゆる努力をして御期待に沿いたい、こういう気持ちをもって申し上げて……
  19. 木村禧八郎君(木村禧八郎)

    木村禧八郎君 あらゆる努力が徴税強化になるのです。それが問題なんです。
  20. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 申し上げておるわけでございます。  第三の問題でございますが、そういう意味で、徴税強化にはならないし、徴税強化には絶対にならない、こういうことを考えておるわけでございます。徴税強化というよりも、もう徴税延期という面をいま盛んに、国税庁長官に通達を出して、三月危機等に対して調整しておるわけでございまして、いやしくも徴税強化になるということは、私も国税当局にそのようなことがあってはならぬということを強く言っておりますので、特に批判が多いところでございますので、こういうことに対してはまじめな立場で、いやしくも財源確保のために徴税強化ということの手段に訴えてはならぬ、そう思われるだけでもいけない、ということを強く指示をしておりますので、そのような状態は絶対に起こさないということを申し上げておきたいと思います。  まあ公定歩合引き上げ等も、いまの状態におきますと、経済成長の率が非常に高い、こいいうような見通しでございます。それを、当初政府が見通しをしておりますように、名目九・七%に押えなければ物価も国際収支も安定しないという、少し過熱かげんにあるものに対して調整をしようということでございますので、政府が当初見通した六千八百億の財源も、九・七%の正常な経済成長を基礎といたしておりますので、これによって財源が確保できないということもないと思いますし、少なくとも徴税強化などをしなくても、また、する意思も絶対ありませんが、適正な税収を確保できるだろう。しかし、これによって非常に過去のように大きな自然増収が出て、政府の当初の考えと大きな狂いを生ずるというようなことはなさないように、適正な経済成長をはかっていきたい、こう考えます。
  21. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 所得税の軽減等については、いま木村委員から質問がございましたように、先般、一橋大学の木村教授がここで参考人として意見を開陳された中にも、今日の税額負担はまだまだ軽減をはかる必要があるという旨のことを強調されておりました。政府は、こうした問題に立ちますと、財源の問題を云々されるきらいがございますが、しかし、国民大衆の立場から考えますと、当然まだまだその重税にあえがなければならない点を十分考慮していただかなければならない。これは私も政府当局に対して強く要望したい点であります。  そのときに問題になりまして、特に私が関心を持ちましたのは、特別措置法については、今日むしろ整理の段階にあるべきはずなんであるが、むしろふえたのは非常に遺憾である、このように述べられておるわけでありますが、政府として今後その話の——話と申しましょうか、あるいは個人的見解であったかもしれませんが、そうした問題についてどのような方針方向をお持ちになっていらっしゃるのか、まず最初にその点をお伺いしておきます。
  22. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 税の特別措置は、あくまでも特別措置でございます。税の基本となるべきものは、租税の公平の原則によらなければならぬことは言うをまたないわけであります。でありますから、期限を切って、時限法となっておるわけであります。しかし、租税特別措置ができてしまうと、いつまでもなかなかこれはやめられないということを御指摘受けるわけでございますが、その効果を得たものについては漸次整理をしていくということはこれは、もう方向として当然のことだと考えます。同時に、非常にテンポの迷い国際、国内情勢に対処いたしまして、やはり必要である租税特別措置につきましては、順次ひとつ弾力的にお考えいただきまして、今回も幾つかお願いをいたしておるわけでありますが、これもただ一定の人、特定の人の利益をはかるということでなく、こうすることによって日本の廃業基盤が確保され、国際競争力がつき、またわれわれ国民自体の生活基盤が確保せられるのだということをひとつ御理解いただきまして、租税特別措置の御審議をお願いする場合には、そういう場合も十分お考えをいただきまして御鞭撻をいただきたい、このように考えるわけでございます。
  23. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 ただいまの御回答でありますと、漸次整理するものは整理される、こういうことで、また必要に応じては弾力的にこれをふやしていくと。むしろ、いまの御回答のように、整理すべきものは整理されて、やはりすっきりした体制のもとに税の公平というものを期されていくことが望ましいのではないか。たまたまこの問題について非常に問題になることは、やはり中小企業との関連が問題になってくると思うのです。そういうことで、中小企業には何ら極端にいうならば恩典を受ける方法というものが見出されない、そういうことでありますので、これからの国際競争力に順応して十分その競争力をつけていこうとする考え方であるとするならば、当然今後においても中小企業の保護育成ということは、こうした租税特別措置法の精神を生かして、むしろふやす場合にはそういうような点も十分考慮されて、弾力的におやりになっていただいたほうがよろしいのではないか、このよりに思うわけでございますので、当局としても十分その点をお考えをいただきたい、かように考えます。  次は、論点を少々変えまして、いま問題になっております国立学校特別会計法案について若干お伺いしたいのでございますが、まずその一つは、今回、一般会計から特別会計に移行する、こういうことでありますが、この法案の内容を見ますと、大まかなその趣旨の説明がございます。しかしながら、やはり基本的なる政府当局としての、こういう有力な根拠があるためにどうしても特別会計に移行しなければならないということがあると思いますので、まず最初にその大綱についてお伺いしておきたいと思います。
  24. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 国立学校特別会計は、独立採算制という考え方で、かかることを企図してつくられたものではないわけでございます。まず第一番目の問題は、これを唐突にやったというような御批判もございますが、唐突ではございません。御承知の、明治から五十七、八年、昭和二十三年までかかる措置がとられておったわけでございます。それが戦後一般会計に移ったわけでございますが、学校の整備拡充ということに対しては、国民的な大事業でございますが、なかなか一般会計の中で、対前年比一般会計の予算が一四・二%伸びても、学校を二〇%にしたといたしましても、なかなかこれらの問題で解決ができないわけであります。学校をより弾力的に充実をせしめるのにどういう方法があるかということで、いろいろ文部当局等の御意見も伺いまして、最終的に学校特別会計に踏み切ったわけでございます。  まあどういう利益があるかといいますと、借り入れ金ができるということでございます。それからもう一つは、いままで予定以上の収入があがってもそれを使うことができなかったわけでございますが、これを積み立て金もしくは当該年度の施設充実の費用に直ちに使うことができること。それから、施設等を一般会計で国が他に使うというような場合は、これを無償で取り上げておったわけでございますが、こういう問題に対して、今度一般会計で一部の土地をもらうとか、いろいろなものを転用する場合には、この特別会計には有償、いわゆる代金を支払わなければいかぬと、こういうことになるわけでございます。なお、二千百億にものぼる資産金額出資をいたしておるわけでございまして、まあこれから一般会計でできなかった、弾力性のなかったものが、特別会計になることによってより合理的に解決できるという考え方を持っておるのでございます。  私が特にこの学校特別会計に賛成をし、特にまあ推進をしましたもう一つの大きな目的は、これはまあ政治的な感覚でございますが、東京や大阪にある大学が、もっと、アメリカや諸外国のように、理想的な環境に移転をするということをもし想定をした場合、仮定の問題でございますが、その場合一体一般会計の中でやり得るのかどうか。これを東大をひとつ例にとって検討してみたわけでございます。これは、大蔵省の諸君は大体東大の出身者ですから、自分たちの学校を移そうなんていう気にならぬので、私が独自の見解で、東大を移した場合どうなるかということを検討したら、まず最小限六百億くらいかかります。理想的に、まず世界の大学に遜色のない大学をつくろうとすれば、約一千億かかる。これを一体いまの一般会計の中でやり得るだろうかと考えた場合、これはもう大きな壁にぶつかるわけでございます。特別会計でもってこれをやろうとすれば、まあある国有地等出資をする場合には、もう無償で出資をするわけでありますから、そういうものに対して理想的な設計のもとに新しい施設が完了して、この現在東京や大阪にあるものの一部と交換をする場合、こういう場合も、予算ではもう一年一年の区切りでございますのでなかなかうまくいかないという問題もありますので、まあ将来の学校を思い切って内容を充実するためには、特別会計という新しい制度に移行することがより合理的である、こういうことがまあ一番大きな問題として、各般状態を検討した結果、学校特別会計の新設に踏み切ったわけでございます。
  25. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 いまのお話でございますと、たいへん事業色豊かな、そんな感じを受けるのでありますが、もしそういうふうになった場合に、この条文にもあるのですが、むしろこの特別会計の性格というものが、整理区分ということよりも、むしろ事業会計の性格を持つのではあるまいかという疑点が出てくるわけでございます。この点についてお考えを伺いたい。
  26. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 先ほども申し上げましたように、学校特別会計は独立採算制を企図したものではないということでございます。当然できるならば一般会計の中でやればいいわけでありますが、なかなか他の費目との関連等でそう弾力的に行なえないということで、特別会計に移したわけでありまして、これが企業会計、事業会計式のものではない。これはこの学校というもの自体に対する基本的な観念からも、事業会計的なものが出てこないわけであります。でありますから、あとから御質問があるかと思いますが、授業料を上げるとか、自前でもってものをやるという考え方でもってこの特別会計をつくったものではないということは、はっきり御理解いただきたいということでございます。
  27. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 いま、先を越されて、その問題が出たのですが、さらにこの内容に論及いたしてまいりますと、財投からの繰り入れ金というのは病院の施設だけに限られているように感じられるわけであります。そうしますと、その他の政府の国立学校の施設というものは、今日、大臣もよく御承知だと思いますが、まことに老朽化しております。おそらく世界のレベルから見て、わが国の国立学校の施設というものはまさに最低ではないか。ことに、病院ばかりではなくして、技術関係の学校にいたしましても、まさに研究費が足りないところに、いろいろな問題で四苦八苦いたしているのが実情である。実際に、そういうその仕事に携わっている方々からも私は直接聞いておりますが、またその施設を見ても、なるほどとその実感を深くするわけであります。こうした場合に、この条文どおり参りますと、病院だけに限定されるような感じを受けるのでありますが、なぜもう少しく、国立学校の設備を充実するために、ほかのほうへも拡大されて利用できるようにされなかったのか、この点についてお伺いいたします。
  28. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 私もこの問題は立案の当初に十分検討いたしたわけでございますが、しかし、いまのこの特別会計新設の段階におきましては、病院というような、病院は一つの事業会計式なものでございますので、こういうものに限って借り入れ金ができるような制度をつくることは異論がないわけであります。しかし、学校の建設までに借り入れ金制度をつくりますと、まさにこの特別会計そのものが事業会計になるのではないかという議論も起こるわけであります。まあしかし、これは将来の問題としてはともかく、いまの段階においては、学校まで、全会計においてそういう制度をつくるよりも、病院のようなものに対してはもういま直ちにこれらの処置をとらなければならない。またとることによって、合理的に、弾力的に運営せられるという事実面がたくさんございますので、こういうことに対しては異論のないところだと思うわけであります。一歩進めて、全会計に対して借り入れ金制度をとれるようにするというと、いろいろな議論が起こってくるわけでありますので、こういう問題は将来の問題として、十分世論も聞き、またわれわれもこの特別会計の運営の過税において十分検討しながら、拡大するとすれば、その時点以外において考うべき問題でありまして、そうでなくとも、一般会計でやるべきものに対して事業会計式のものにするとかいう議論が当然起きていきますので、これは本会計新設の段階においては、病院のようにだれが考えても納得のできるものに限るべきであるということが正しいのではないかという観点に立ったわけであります。
  29. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 まあ、そうしますと、この問題はいずれは将来においてまた改正されなければならない、そういう段階だとするならば、学校運営といいますよりも、やはり学校において育成される優秀なその人材のためにも、また、その段階に立って変えるということになれば、政治の立場からいいましても、国家百年の大計に反するのではないか、こういうような感じを抱くわけであります。直すならば、もう少し統一してやるとか、そういうような感じがいたすわけであります。  さらに、財投を受ける場合、これは大臣に申し上げるまでもなく、多分にやはりそういう施設というものは返済能力がなければならない、こういうことがまず原則として考えられると思うのです。しかしながら、今日の学校施設にしても、病院施設にしても、そのしわ寄せが、もしこれが強力に推進されるとするならば、おそらくは、先ほど大臣が少しく申されましたように、授業料だとか、あるいは入学料だとか、検定料だとか、いろいろそれに付随するような料金の値上げというものが考えられまして、そのしわ寄せは必然的に国民の生活の上にかぶさってくるということが言えると思うのであります。そうした面から、おそらく病院としても、経営でありますから、やはり返済もしなければならない。その企業の合理化をはかるためには、あるいは考えられる問題点として労働強化が強く行なわれるのじゃないか、あるいはその病院それ自体が本来の方向というものを失って営利事業化してしまうような危険性がないか、こういうようなことがすぐ浮かぶわけでありますが、大臣としてこれらの点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  30. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 特別会計に対しまして、いま企業会計式なものではないということで、独立採算制を企図いたしておりませんということを申し上げたのは、その意味で申し上げましたわけでございます。この学校特別会計に対する支出は、やはり一般会計が最重点であるという考え方でございます。一般会計からの繰り入れが最重点的に考えられるということを考えておりますので、この特別会計の設置によって企業会計式な、診察料が上がったりいろいろなものが上がるというようなことは全然考えておりません。まあ、将来授業料の値上げその他があるかもわかりませんが、そういう問題は他のものと同じことであって、この特別会計の設置とは全然関係をして考えておりません。ですから、特別会計設置によって授業料を上げたり、それから病院収入を大いに上げようというような考え方は、基本的に持っておらないわけであります。
  31. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 時間がございませんので、もう一点お伺いして大蔵大臣に対する質問を終わりたいと思いますが、この第三条にうたわれております、いろいろ収入の面の中に「財産処分収入」というのがあるのですね。非常にばく然とした内容かもしれませんが、これを取り扱う場合にいろいろなふうに解釈ができるおそれが出てまいります。おそらく今日国立学校で相当広大な土地も有しているかと私は思います。特に、東京や関西の場合は別といたしまして、北海道であるとか東北であるとか、そういうところにおいては、やはり総合大学的な様相を備えておりますために、またそれに比例いたしまして、相当膨大な土地を有している。もし、かりに学校が経営が困難になって、その運営がまことに危ぶまれるという場合に、あるいは独善的にその土地の処分をしたり、何かしらぬ、学校運営の上に黒い霧がかかってくる、いろいろな疑惑がぬぐい切れないというような、先行きの話でございますけれども、こういうような問題が当然考えられてまいると思います。こうした点も十分考慮されての意味であろうと私は思いますが、当局としてもそうした点について十分検討なされた上でこういうものを出されたのか、そういう点についてお伺いして、私の質問を終わります。
  32. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 御指摘のとおり、こういうものの財産処分ということはいろいろな問題を生むおそれのあることでございます。でありますから、財産の処分を行なうことを必要とする場合には、設備の近代化、設備の改修というものにしぼっておるわけでございます。同時に、これを売り払うような場合、会計検査院等から指摘をされているものもいまでもございますが、これが処分等に対しましては、文部省及び大蔵省の管財局と十分調査、合意に達し、しかも主計局もこの特別会計に対して一般会計を繰り入れておるのでありますから、そういう意味で関係者が十分検討した上で、会計を詰めることによって現在売り払い、また十年後に何倍かに買わなければならぬというようなことにはならないように、将来の想定図もかきながら、その上で不用なものに対し処分をするということでありまして、かかる財産処分も乱に流れてはいかぬという考え方を基本に持っておるわけであります。
  33. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 ちょっと要望として。いま私が特にそのことを申し上げたのは、昨年、たしか秋ごろだったと思いますが、北大でやはり土地の処分についてまことに国民が疑惑を抱くような事件が起こっておる。もちろん土地の問題ばかりでなくて、いろいろそういう問題があるのじゃないか、そういうふうに考えられますので、特にそういう点を明確にしておいていただきたいために、いま質問したわけでございますので、当局としても十分財産処分にあたっては留意していただきたい、このように考える次第でございます。
  34. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) わかりました。
  35. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 いま国立学校の問題が論議されましたが、大臣の時間もありますが、私は一問だけ事務当局に聞きます。それは、今度の国立学校の国有財産の調べのうち、土地及び地上権、これの積算の基礎はどうなっておりますか、坪当たり……。それから、同じく汽船について積算の基礎はどうなっておりますか。
  36. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 私のほうから提出した資料ではございませんが、大蔵委員会の調査室のほうで御提出になっております資料の中の、国立学校の財産の現在額調べという資料についての御質問かと思いますが、文部省の国有財産の中におきまする地上権等でございますが、この積算が、これは個別にこまかいものが一々あるわけでございます。一例を申しますと、演習林でございますが、これは国有地に設定するのが通常の例でございますが、中には市町村有林に地上権を設定いたしまして、これを大学の演習林にいたしておるという例がございます。その他そういった関係の地上権がこの内容でございます。  それから、汽船でございますが、これは国立大学には水産学部が数カ所ございまして、北海道大学水産学部、長崎大学の水産学部、鹿児島大学水産学部、東京水産大学、広島大学の水畜産学部、そういった学部がございまして、そこに御承知のように海鷹丸そのほかの実習船があるわけでございます。それが汽船の積算の基礎になっております。
  37. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 時間もないので、ことばも足らぬが、そういうことを聞いているのではない。それはこちらでもわかっておる。私がちょっと腰だめで調べてみましても、土地でいうならば、坪当たり三百円になっておりませんか。そうでしょう。地上権は二十円になっておりましょう。そこで、演習林等については私も知っております。私のほうにもある。かつての本多静六博士が寄付した演習林などは千五百億にのぼっております。当時は三十銭くらいの値段で寄付したはずなんです。それですから、そういうところはいまでもかなり安い値段であるけれども、平均して三百円というのはいかがであろう。私はいいとか悪いとか、まで結論づけているのではありませんけれども、あまりに、相当の高価のものを、国有のものであるから安ければいいという、安きに失する帳簿価格になりますと、いまも渋谷委員から御指摘がありましたように、学校のことだから、おそらく御遠慮なすって発言しておられるのではないかと察するわけです。だから、学校の財産処分でさえも疑惑に包まれるようなことになれば、人づくりも何もないですよ。そういう観点で私は質問しておるので、しかし、あまりこまかしいことだから、大臣に聞いても迷惑だろう。実は大臣に聞きたいことなんです。これは総平均すればどのくらいが妥当で、どうしてこういう数字になるのですか。大臣でけっこうだけれども、迷惑ならば事務当局でも……。
  38. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 御承知のように、国立学校を特別会計に移す財産は二千百十五億五千二百万円という金額でございます。これはいままでは一般会計でございましたから、こういう数字になっておりますし、大体官のものは、薄価としては土地は特に安くなっておるわけでございます。学校も、明治からの長い時間がかかっておりますので、実際の簿価は安い。これは三十五年の評価でございまして、これから五年置き五年置きに評価がえをしていくわけであります。しかし、いままではこの評価というものが、簿価が安くとも、あまり支障はなかったわけ6あります。ただ、売り払うときには十分協議した後で売り払えば、国損を来たすようなこともなかったわけでございますし、財産処分の問題だけでございました。しかし、今度は特別会計に移るわけでありますし、四十年には適正な評価ということが必要だろうというふうに考えるわけであります。
  39. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 これはまあ結局、積算の基礎を文部省の会計課長といえども実は言えないのじゃないかと思うのです。いろいろばらばらで、そういう質問が出るということを予測していないものだから、問答集の中にもたぶんなかったのじゃないかと思うのです。だけれども、それは大臣はさりげなく答弁されますがね、実際は問題なんですよ、これが。あまりに薄価というものが低いと、なるほど国有で持っておる場合には差しつかえもないし、それから所在市町村に交付金あるいは納付金と、この法律の関係からいっても行政財産じゃありませんから、何も所在市町村に交付金をやるために安くしたほうが国の財政上便利だ、そういうようなことでもないのです。だから、いいようなものであるけれども、あまりに薄価が安いと、やはり協議をされてもなんでも、結果においては薄価がやはり談論の一番の基準になっている。そうだから、一体坪三百円というのは今日の世の中でいかがかと。ことに、東京はむろんのことでありますけれども、従来国立大学が設置されておるところは、いまみたいに住宅難がなくて、おおかたは町の中心部、また学校ができてから中心になってしまった、そういうことでしょう。だから、例外的に安いのは演習林くらいなものなんですよ。そういう場合に、まあこの三百円が妥当でございますと私は言い切れる度胸はなかろうと思うのだ。ただ、予想した質問でなかったから、問答集になかったというだけなんです。  これは大臣、私はいつも、土地政策というものは、実はいまの内閣ばかりでなく、今日政治に携わっておるわれわれを含めて、野放しにしておくというのは一番の責任だ、これに手をつけなくて住宅、土地の値上がりを押えるということなんかできないしするので、非常に関心を持っておるのですが、まあきょうのところはあまり長談義はしないことにいたしますが、これはどうです、いま四十年というお話がありましたが、特別会計になろうとなるまいと、さっそくこういう国有財産全般について調べ直されることが必要だと思いますが、いかがです。
  40. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 大蔵省管財局の評価と基準によってやっておるわけでありますが、これは実際安いと思います。いずれにしましても、建物だけで二百二十四万坪、延べ坪であるわけでありますから、坪五万円として一千億円ということでありますから、これはなかなか古い、もう一万円もしないものもありますし、中には二十万円の新しいものもあるわけでありますから、なかなかむずかしいわけであります。土地は三億八千七百万坪というわけでありますから、一円にしても三億八千万円、十円にすれば三十八億七千万円ということになりまして、なかなか数が多いわけでありますから、こういうことはまあ私も大蔵省に行ってから、確かに一律標準でやっておるけれども、評価したものを実際売り払うときには評価の何十倍ということもあるのだから、いまどきの値段にしたらおおむね幾ら、それを何割引きにして幾らだということくらいはつかまえるようにしたほうがいいなということを言うのですが、なかなかこれも膨大なものでありますし、むずかしいようでありますが、そういうことに対して国会で質問を受けたら、いま売り払うとすれば幾らぐらい、いまの価格でつくるとすれば幾らぐらいということをやはりお答えできるようにすることが私はいいと思います。
  41. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 私は積算の基礎と申し上げたから、演習林の場合幾らであります、臨海実験所の場合は幾らぐらいであります、大学構内のものは幾らぐらいであります、所属の農地は幾らぐらいでありますと、まあそういうくらいの区分でお答えがあると思った。これはどうもちょっとがっかりです。  それはよろしいのですが、過日、予算委員会におきましても、実は私は固定資産税の問題につきまして早川自治大臣と議論をしたのを、大蔵大臣もお聞きになったと思います。固定資産の評価がえをするということは、ちゃんと方針に書いてありますように、実は時価にしたいわけですね。政府がいま言うように特価にしたらべらぼうな価格になるけれども、それはえらい増税にならざるように税率を調整をしたい、こういうことです。だけれども、それを一ぺんにやっては、何としても刺激が強過ぎる。やりたいけれども、これは順を追ってやる、こういうことなんですね。ところが、私はそいつには失敗するという意見を持っているんですよ。それは、昔のように都市の価格も上がり、農村のほうの価格も同じようなスピードで、もとの価格が農村のほうが低いのですから、いつでも低いのですが、しかし、速度としては同じような速度で上がる、こういう場合なら税率調整ができるけれども、いまの土地の値上がりのごとく、町の裏と表とではまるで値段が違うというような場合に、とても税率調整なんかはできないし、農村のようにいま部落ぐるみ村を逃げるというような事態が起こっておるところ、そこはもしいまの十分の一に税率を下げたら片端から町村制は放棄しなければならないという事態が起きるのだし、都会では、この間も例をあげたように、一人で三十坪ぐらい親から譲られたものを持っておって、これは評価を時価に直せば五千方円になってしまう。十分の一に値下げされたところで、とても普通のつとめ人は全部月給をやったって税金は納められない、こういうことになる。実をいうと、意地悪く考えると、いまだって政府は税率調整で間に合うのだったら時価に上げたいんですよ。そのほうが筋が通るのだもの、事実。ところが、そういう困難があるから、一律に上げることができないで、暫定的にやるということが現時点なんだ、はっきり言えば。そのことを議論する場ではありませんから、まあ例だけを申し上げたんですけれども、ひとつこれは要望しておきます。  結局、いま大臣の答えでも、まあいろいろなことを言われたけれども、さあいつということはちっともないんだな。それじゃ困る。むずかしいという話をもの語りされた。もの語りじゃなく、やはり姿勢としては、そういう薄価がべらぼうに低いために、やっぱりそれが一つの根拠となって、学校財産の問題で何か悪いうわさが出る、こういうようなことも防がなければ、冒頭に申し上げたように、人づくりなんていうのは問題にならなくなります。どうですか、急速に調べ直して、低くなってもいいんですよ、調べた結果が適正というなら。適正ということがはっきりこういう場合で言い得るというようにしていただきたいと思いますが、いかがです。
  42. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) これは実害実利の問題で、実際問題として申し上げますと、国のものは国有財産法の施行令によりまして規定があるわけであります。これは売り払うときに問題があるわけです。帳簿価格が非常に少ないから、それの何倍で売り払われたら国損を来たすということでありまして、まあ金額的には、御承知の施行令の二十一条に、「国有財産を新たに台帳に登録する場合において、その登録すべき価格は、購入に係るものは購入価格、交換に係るものは交換当時における評定価格、収用に係るものは」云々と、こういうふうに書いてあるわけでございます。これを売り払うときに、これが標準になって売り払われては困るということでありますので、法律上は、また事実上これを適正価格につくっても、なかなかすぐ異動する、こういうことでありますので、なかなか適正価格というわけにもいかないわけでございます。事実上これを一年間でやるとすると、なかなかこれは金もかかるわけでありまして、一律何倍掛けろということならば簡単でありますが、これをやったら評価するぐらいな金額ではなく、相当大きな財政支出を要するわけでございます。でありますから、その意味で、国損を来たさないという意味で、このように法律は規定しておるものだと考えます。  しかし、まあ私のほうから考えますと、どうも文教施設に金を出さない金を出さないと絶えず言われますから、時価に換算すればこのくらいでありますということを言うためにも、これはしかし適正価格というものは早くつくったほうがいいということで、私も相当事務当局を督励してみたわけでありますが、私はこういうことが好きでありますから、督励してみたのですが、なかなかやれません、事実上むずかしいと、こういうことでありますので、今日に至っているわけでありますが、ひとつ天田さんの特別の御発言もございますし、これはひとつ、君たちの学校はこのくらいあるのだぞと、こういうことを言うぐらいでも非常にいいことだと思いますから、そういう意味でも、できるのか、できればどの程度できるのかというような問題を、ひとつ検討いたしてみますが、まあそれでひとつ御了解いただきます。
  43. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 まあ国有財産法のときにまた議論する楽しみに残しておきます。  それで、過日も時間がなくてちょっとお聞きしただけで済ましたのでありますが、食管の特別会計の改正に伴いまして、シップ日本になっていないということを指摘いたしました。大臣も、それはもっともだという意味で、さらに閣議等でもしっかりやるという意味答弁がございました。ところが、実は今度国会の審議の状況はあまり時間がないものですから、表座敷だけで聞かないで、ずいぶん個々にも当たって聞いたりなんかしているわけです。だから、表座敷でないものを実は引例するのはいやなんですけれども、そういう方面から聞いて、いや、シップ日本にすればかえって費用がかかるのだというようなことを言ってこられて、私の質疑の意図とはまるで別なことで、そんなけちな問題ではなくして、国内の取引ならば、それは安ければ安いほうがいい、こっちが得すれば向こうが損するのだというような相互関係もある。ところが、国際収支というものはそういう見方をすべきものでは本来ないのですよ。ないけれども、事務当局がそういう見方をしていれば、これはなかなか大臣一人改善しようなんで言ってみたところで、容易でないことにこれはなるのです。過日閣議でも言われましたというお話を聞いたので、この際念を押しておきたいのですが、閣議では、このバイ・ジャパンなんですから、シップ・ジャパンにするというスケジュールでもつくる用意があるのですか。この間の閣議で言われたならばなおさらけっこうですが、いずれでございますか。
  44. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 非常に御専門的な御指摘でございまして、そのとおりでございます。国内的にも米はできるけれども、米は高いから半分外米買えばいいのだ、こういう議論にはならないわけであります。これは国際収支の問題はそのようなものではないのであります。これはまあ外貨の獲得ができないところは、フィリピンあたりはどういうことをやったかというと、ドルを持って来た場合に、国内旅行者に対してはその倍も国内通貨で交換するということもあったし、現在でもソ連などは旅行者に対しては自国通貨を倍額も交換率を高くしてさえも外貨は得なければならないわけでありますから、そういう外国のものが安いのだから国内品を使わぬでいいのだというような考え方は全く根本的に誤りであります。私が大蔵省へ入ってからいろいろな議論をしたのもこの点であります。  ですから、まあ外国船を使っておると運賃が安い、一体日本船がそこまで下げられるかということをまず出してきます。もう一つは、あるいは安いものでも、業者はリベートをもらっておる、当然こちらのほうで邦船を使っても、向こうの積み込むところの外国の港湾使用料が高いから、結局差し引きずると幾らも黒字になりませんと、こういうこともよく言いますが、これはもう国際収支改善という観点から全く誤りの議論である。こういうことは私もよく天田さんのおっしゃることわかります。私自身もあなたのおっしゃるように絶えずやっておるわけでありますから、そういう意味で非常によく理解いたすわけであります。この八〇%以上もある外国船の積み取り比率を、せめて五千万ドル、六千万ドルという政府管掌の会計の中で買い入れるもの等に対しては、これはいつまでどうすれば全部国内船に切りかえられるかということにつきましては、農林省でも案を立てて近く経済閣僚会議でまた検討しようという方向にいっておりますし、通産省も郵船使用ということに対しては非常に強く各業者に行政指導をしておりますし、それに対して今度自社船の建造ということに踏み切らざるを得ないわけであります、こうしなければなかなかやれませんから。自社船の建造にも関連させまして、邦船の積み取り比率というものをこれは上げようという考えでおります。
  45. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 時間がありませんから、あと一問しかできないと思います、やむを得ませんから。大臣も同じ考えを持っているので、この問題はやはり要望しておくよりしようがないと思うのです。少しぐらいのリベートがあるから、外貨の関係から国損がはっきりしているのに、あえてやっておる。腹が立つわけです、正直。それで、実際政府が買う食糧であり飼料であるのですよ。ただ政府という機関がじかにやれないから、それを一応民間に請け負わせる、そういう形なんであって、その連中がちっとぐらいリベートがもらえたからというようなことで、そんなことを続けているということは許せない。われわれはまあ今度の食管会計の改正は、まことに事務的なものですから、これは実は賛成しようと思っているのですけれども、この一点でひっかかっているのが実情です。そういうことですから、ひとつこういうときこそ政治圧力をかけてけっこうなんですから、ますますひとつ勇気をふるっていただきたい。  それから、いま港湾費の話が出ましたが、特別とん税の改正によりまして、幾らかわが国の港湾費も外国に比べて上がってきた、こういうことでありますが、しかし、これは税金だけで比較すべきものじゃない。港湾費全体としてやっぱり比較すべき問題です。そうすると、私の調べでは、まだまだ著しく日本のほうが低いのです。自由港は別です、自由港はどこだって安いにきまっているのですから。自由港を除けば、日本の港湾費はとん税、特別とん税、みんなひっくるめてすべて安い。この間ちょっとだれかの答弁で、税金だけ比較するとだいぶ近くなったという話がありましたが、これは税金だけ比較するのは間違っているのでありまして、港湾費全体で比較すべきなんです。こういう点からいえば、いま指摘したとおりであります。大臣は、こういうことこそ国際水準並みに持っていってしかるべきなんで、向こうに行ったときに取られているのに、こっちに来たときにだけ取らないというような、そんなばかなことはない。これはやはりスケジュールでも組んで是正するということになっておりましょうか。またなっておらなければ、今後おやりになる予定ですか。
  46. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 御指摘のとおりでございます。まあその第一段として今回改正をお願いしたのであります。ところが、内国船主、いわゆる日本船主に対しての負担も上がるわけであります。その負担を上げないようにできないか。これは二重価格をやれば一番いいわけであります。国内船虫に対してはこれだけ安い港湾使用料を、外国船主に対してはこれだけ上げると。しかし、これがガットにおいて一番問題になっておるわけでありまして、そういうことは絶対できない。それじゃどうすればいいかということになると、結局地方税、それから金利の問題、そういう問題でいろいろ、国内船主の負担は軽減をしながら、港湾費は上がるけれどもこっちのほうで下げるのだ、こういうことにならなければ一挙にはなかなかできない。  こういうことでありますので、いまスケジュールをきめておるわけではありませんが、とん税・特別とん税法案を出せば当然そういう御質問が出ることはあたりまえでありますから、そういうことに対して運輸省と大蔵省の間でこれからひとつ検討をしながら、どうすれば一体どの程度まで上げられるのか、中には香港等非常に安いところもありますが、そういう特別な事情日本にあるのかどうか。いままでこういう問題に対しては、どうも中に入らないで、とば口でもって値上げ反対、こういうことでありましたが、案外やってみると、国内船主の負担は軽くなるのだということは理解できるわけでありますので、知恵をしぼってできるだけ早い機会に、その港湾使用料等の引き上げによって国際収支の改善の一助にしたいという基本的な考えでございます。
  47. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 時間がありませんので、二つだけ質問したい。質問の項目だけを先に言っておきます。一つは関税政策について、二つ目の問題は輸出所得の特別控除制度を廃止することについての経過的な措置について、この二つの問題について質問いたしたい。  当委員会にもかかっておる関税定率の一部改正は、これは全く定見がない。これはまたすぐ変わるのじゃないか。これはいま、御承知のように、関税の五〇%一括引き下げの問題や、EECの問題や、あるいはまた国連の貿易開発会議といったようなさまざまな問題があって、いまは全く新しい形の関税戦争の時代だといわれておるわけです。こういうときにおける関税政策の基本というのは、一体どこにあるのか、これをひとつ質問したい。  そうして、二つ目は、これと関連をして、現在日本とアメリカとの間には関税の格差が非常に大きくあると思うのです。関税の格差が拡大しつつある。これを根本的になくすための対策は一体どういうことを考えておられるのか。この二問を質問したい。
  48. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 関税率に対して今度の改正案はあまり長期的なものではない、そういう考え方は、関税に対して基本的な考えを聞かなければいかぬという立場に立っておられるようであります。まあ国内的な関税の問題と国際的な問題とございます。国内的には、関税率を引き下げると国内的な廃業は打撃を受けるわけでございますので、普通の税金は下がるほうがいい、それから関税率は高いほうがいい、こういう考え方が国内的に一般的にございます。しかし、日本も貿易を拡大していかなければならない貿易依存の国でありますので、ただ国内的に見て関税率は高いのがいいのだ、外国製品が入ってこないほうがいいのだという考え方ではいけないわけであります。でありますから、ガットにおける関税一括引き下げ交渉に対しては前向きに対処するということでございます。  しかし、アメリカが提唱しておる一括五〇%引き下げも文句言わず全部のむのかというと、これは日本の特殊な状態もございますので……。精神的には、国際的な条理において関税一括引き下げに賛成であります。ただし、日本には特殊な事情もございますということで、日本の自主的立場を十分主張して、なお国際的にはおくれをとらないように、こういう二面作戦でいっておるわけであります。もう一つは、関税率を引き下げても、相手国が日本に対して差別待遇をしておるということが撤回されない以上、何にもなりませんから、対日差別待遇はぜひ撤廃してもらいたい、私たちも世界の貿易経済発展のためには関税一括引き下げもやりましょう、こういうことを関税交渉の基本といたしておるわけでございます。  それから、第二の問題は、アメリカと日本との関税率の差をどうするかという問題であります。アメリカと日本とEECを比べますと、大体日本はEECとアメリカの中間にある、こういうふうに見ればいいわけであります。確かにアメリカも、関税引き下げということを世界に宣言しながら、自国の関税に対してはいろいろ議論があるわけでありまして、こういう問題は日米間において十分交渉しながら、ガットの場においてやると同時に、日米両国間においても二国間交渉ということでいろいろな問題を解決していくわけでございます。でありますから、まあいま申し上げることはケネディ・ラウンドの交渉の過税においてお互いの意見の開き、率の差というものはだんだんと縮まっていくことだと考えます。
  49. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 この問題は、具体的な中へ入って、政府委員と一問答をやろうと思っておるわけですから、あまり大臣からこまかいことを聞いてもしょうがありませんけれども、符に日米関税の格差を根本的に改めるという対策については、残念ながらいまの答弁は非常に不満足です。実情を大臣はあまり知らぬのじゃないかという気さえする。アメリカに対する日本の輸出の位置というのは、大体二位から三位ですよ。しかし、アメリカの関税収入においては日本は第一位なんです、アメリカの関税収入の立場からいけば。非常に高率なんです。そして具体的な問題を一々あげればいいのですけれども、これは時間がありませんから、やめますけれども、関税については自主性がない。自主性なし。日本の関税政策は全く自主性なし。その日暮らしといわれてもしかたがないような実情なんです。これはあとで政府委員とやります。  それから、時間がありませんから、次の質問に一つだけ移りますけれども、輸出所得の特別控除制度の経過的な処置ですね、あるいは例外的な処置といってもいいです。これを何らかの形で認めなければならないような実情に追い込まれているのじゃないかと思いますが、一体どういうお考えですか。
  50. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 輸出所得控除の問題につきましては、三月三十一日に解消して、新しい改正後の処置にゆだね、移行するということでございますが、しかし、いま一番問題になっておりますものは、輸出船及びプラント輸出の仕掛け品が問題になっております。三月三十一日に飛び込み契約をしたのじゃなくて、現在もう七一までできておる、八割までできておる、場合によっては九側もできておる、こういうものもあるのですが、そういうものはひとつ経過処置としてやってもらえないかということですが、船は実際においてそういうものであっても、九割も八割もできておれば、三月末の決算でもって計上してもらえば当然適用を受けるわけでありまして、上げないでおって、その次の期その次の期と四、五年間分割であれば、その分割のつどに決算に計上するということになると、やはり現在の段階においてなかなか経過処置をとることはむずかしいのではないかということであります。特に、租税法定主義でありますから、三月三十一日にやめますと、こう言っておいて、三月三十一日までとか本年十二月三十一日まで請求をして、本年三月三十一日現在で仕掛け品の竣工度一五〇%をこしているものは認めるなどと言えば、税法そのものを延ばすということになりますし、税法だけやめておって何かうまい国税庁長官通達をというのですが、これもなかなかむずかしい問題のようでありまして、いまの段階において経過処置をとれるかどうか、きょうあすの問題でございますが、検討しておりますが、なかなかむずかしいようでございます。
  51. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 これで、私は時間がありませんから質問を終わるわけですが、大臣、きのうの晩新聞に出ております点はかなり具体的なんですね。この経過処置についてはむしろ田中大蔵大臣が一番積極的だというような意味の新聞記事が載っていますが、これは全然間違いですね。経過処置は現状においてはほとんどとらない、とるべきでない、こういう見解だというふうに承ってよろしゅうございますか。
  52. 国務大臣(田中角榮君)(田中角榮)

    国務大臣田中角榮君) 通産大臣及び運輸大臣から非常に強くこれを要求せられております。経済閣僚会議の議題にもなっておりますが、いずれにしても、私がどうすることはできないのであって、徴税当局の考えであります。でありますから、これは税は法定主義でありますから、通達を出せというわけにもいきませんし、検討させたわけでありますが、いまの段階において、三月に計上する、三月決算に計上する分以外はなかなかむずかしいという結論のようであります。でありますから、私がこまかく検討を命じておるということは事実でございますが、こういうふうにしなさい、こういうふうにするのだというような記事ありとすれば、誤りであります。
  53. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) それでは、二時半に再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時三十五分休憩    ————・————    午後三時十六分開会
  54. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続いて、十四件を議題として質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  55. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 関税定率法について、具体的な内容について二、三聞きたいのですが、この関税暫定措置法の本文の改正について、関税特別還付金の適用期間を延長したのですね。
  56. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 石炭対策のために、電力並びに製鉄業につきまして、石炭を引き取りましたものに対する関税の還付金制度を、さらに一年延長方をお願いした次第であります。
  57. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 これは、六三年の四月に改正されて、一年の限時立法であったのだが、またこれを延長する理由というのはどこにあるのですか。
  58. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 石炭対策といたしまして、石炭のコストがなお割り高でありますけれども、石炭業に関連しての雇用の維持その他の目的を達成しますために、重油に比べて割り高な石炭をなお製鉄業、電力事業等によって引き取ってもらうことが必要であるからであります。
  59. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 しかし、私は、この法律は、これをまたさらに一年延長するということは正しくないと思うのです。現在上石炭のいわゆる合理化の進展状況は、今日なおかつこのような特別の還付金を必要とするような状況にあるかどうか、ありはしないですよ。そしてこれは具体的に一体どのくらい還付しているのですか、金額。
  60. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 還付の実績を申し上げますというと、三十七年度は電力に対して六億六千万円、鉄鋼に対して八千万円でございます。三十八年度の見込みといたしましては、電力に対して十三億、鉄鋼に対して三億円になるものと見込んでおります。
  61. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 これは石油一キロリットルについていままで五百三十円であったものが六百四十円に、百十円の値上げをしているのです。また、重油については五百七十円のものが六百六十円に値上げしておる。そういったものはいわゆる鉄鋼十一社、電力六社、ここには還付するわけです、特別還付金で、しかし、上がった分の石油や原油を買っておる中小企業や、あるいは石油を使用しておるところの農村なんかに対してはどうなんですか。上がりっぱなしじゃないですか。関税が上がったって、大独占資本家には上がった関税はちっとも痛くない、還付してくるのだから。ところが、上がった分だけそれを負担しなければならないものは、中小企業の内燃ボイラーとか、農村、この関税措置は明らかに中小企業や農村いじめじゃないか。具体的にそうなっているじゃないか。これをさらに一年延長するというのはどういうことなんですか。
  62. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 鈴木委員指摘の関税の引き上げというのは、石炭対策としてやられております。石炭をよけいに引き取る大口のものについて、その大きくなります負担を減すことによって石炭の引き取りを容易ならしめようというのが政策でございまして、やむを得ないものと考えておる次第でございます。
  63. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 それはやむを得ざるものと言うけれども、つまり石炭の対策費を捻出するためにこういう処置をとったからといって、なぜ一体中小企業や農民が、石油を使うそういう人たちがこの関税の値上がりによって損失をこうむらなければならないかという、合理的な根拠を聞いておるのです。あなたはやむを得ない、やむを得ないと言うけれども、これは実際問題とすれば、中小企業なり農村の犠牲において石炭対策費を捻出したものといってもさしつかえない。電力や、鉄鋼は還付金が来るのだから、別に関税が上がったからといっても痛くない。結局、この関税が上がって痛いものは、いま言ったようなそういう人たちなんです。政府中小企業対策を何とかするとか、農村を何とかすると言って、事実においてこの関税をまた一年据え賢くということは、これだけやはり中小企業なり農民なりを苦しめることになる。言明と反対していると思う。やむを得ないということにはならぬと思う。これはあなたに答弁しろと言っても困難かもしれないけれども、そういう性格のものとして、この特別還付金制度というものが、これは一年こっきりでやめなければならない。それをまた延長する。あなたはさっきやむを得ないと言ったけれども、やむを得ないということじゃ済まされない。この点についてあなたどう思いますか。
  64. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) なかなかむずかしい問題の御指摘であると思います。ただし、鉄鋼業、電力業に返しておりますのは、鉄鋼業、電力業が負担しております関税を返しておるわけでございます。中小企業者その他の方の負担しておられるものから資金を調達して返しておるわけではないのでありまして、ただしかし、同じような恩典がないではないかという御議論の点は、残るかと思います。  ただし、現行の暫定法の規定にはいろいろな免税ないし減税の措置がとられておりますが、たとえば農林漁業用の重油につきましては、これを特定のものに限りまして免除の措置をとっております。肥料製造用の原油につきましても、免税の措置がとられております。そのような措置がとられておりますことは、この石炭対策としてあげられました関税の引き上げを緩和するものであろうと考える次第であります。
  65. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 それは性格が違いますよ。これは石炭の合理化を進めるために、石炭対策費を捻出するためにとられたのです。その石炭の合理化を進めるために、なぜ一体中小企業や農民が関税の引き上げによって犠牲をこうむらなければならないかという、その理論的な根拠がないと言うのです。さっきあなたの答えたのと性格が違うのだ。そうでしょう、だれが考えてもそういうことでしょう。それを言っている。だから、こういう特別還付金制度はやめるか、しからずんばもとに戻すか、いずれかだと思うのであります。そうでなければ、またこれは事と次第によっては既得権化しますよ。こういうことは常にそうだ。したがって、私はこういうような悪法は即刻廃止すべきだ。期限の延長なんというのはもってのほかだと思う。石炭需要の確保をはかろうと思えば、別途他の方法をもってやればよろしい。石炭需要の確保をはかるために中小企業や農民を犠牲にするのは、これは筋違いもはなはだしい、こういうことを指摘して、時間もないから、次の問題に移ります。  それは第十条の二に、今度「給食用の脱脂粉乳の転用」という項をつくりましたね、これはどうですか。
  66. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 学校給食用の脱脂粉乳が輸入されたあと配給をされまして、その過程において品物が損傷したりよごれたりするものが出てまいります。それらは食用に供することが不適当と認められる場合がございますので、これをえさに回す便法措置を講ずることにいたしました。ところで、学校給食用ないしはえさとして輸入しますものは、関税の減免を行ないます関係上、特定の用途以外に使うことはお断わりをするわけであります。ところで、法律の関係上、学校給食用として入りましたものは学校給食以外に使ってはならない、こういう制限をつけておりまして、それる便宜上、食用に供することが不適当になったものでございますから、えさ用として転用することを認めますというと、現在の法制のままでは学校給食用という条件はそのままついております。これを転用を認めます以上は法律上はっきりさせまして、食用に供することが不適当となったものを、免税されたままえさ用に使いました場合には、今度学校給食用の制限からはずして、えさ用の制限のほうに乗せるという意図でございます。
  67. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 それは第十条の二の二項のことである。一項はどうですか。あなた一つしか言っていない。もう一つある。
  68. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 給食用の脱脂粉乳の転用につきましての規定は、第十条の二だけでございます。
  69. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 そうすると、これは輸入飼料のほうの関係にも関連があるので聞きますが、この今度の計画を見ると、三十九年度は脱脂粉乳の輸入は考えていないのですね。計画はないのですね。これは食管会計にも関係があることなんですけれども。
  70. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 一般割り当てはないかと思いますが、学校給食用の割り当ては行なうことになっております。
  71. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 割り当て……。おかしいじゃないですか。その用に供することができないというものをあらかじめ割り当てるのですか。これは割り当てというものはないはずですよ。
  72. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 転用につきましてはお話のとおり割り当てはございませんが、私がお答えいたしましたのは、学校給食用ということを申しました。それが運送の途中その他のときに変質及びよごれその他の事故が生じましたときは、えさ用に転用することがあるということでございます。
  73. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 つまり、えさ用に転用することができるといっても、輸入飼料というものの中には脱脂粉乳を——つまり輸入飼料というものを政府は一つも考えていないのです、計画の中を見ると。この食料管理は、大体そういうことがずっと書いてあるのですけれども、政府の資料を見ても、脱脂粉乳は三十九年度は輸入計画はないんです。そうすると、どういうことになるかという問題ですね。そうすると、この脱脂粉乳を給食用で入れるわけですね。給食用で入れて、「用途に適しなくなったことその他やむを得ない理由」と書いてありますね。この法案を見ると、「その他やむを得ない理由」とある。こういうことでいきますと、用途に適しなくなったことと、その他やむを得ない理由によって転用することができるということを書いておけば、幾らでもこれは抜け道はつく。こういう抜け道をつくっておく法律を、これはことばはちょっと過ぎるかもしれませんけれども、脱脂粉乳の密輸の公然化にひとしいものじゃないかとさえ思うのですよ。考えてごらんなさい。給食用だといって入れる。これは関税はないんですからね、入れる。ところが、ちょっと色が変わったために転用しようじゃないか、悪意でやれば幾らでもできることです。現にもう脱脂粉乳については密輸の問題などは相当起きておる。知っておられるでしょう。だから、この払い下げの場合に不正介入の余地が非常に多くなる。それとともに、そういうふうな、つまり給食用に適しないような脱脂粉乳が入ってきても、苦情をつける、こんなものはけしからぬじゃないかといって苦情をつけるとか、送り返すとか、そういうことができなくなってしまう、他に転用することができるんですから。他に転用するという法律をつくっておけば、色が変わってこようと、においがついてこようと、異物が混入してこようと、どうということはないんじゃないか。給食がだめなら、ほかのものにすぐに転用できるということになると、どんなものがまじってきたって、どうということはない。こんな法律をあらかじめつくっておくということは、私はまさに国辱的なやり方だと思うんです、こういうものをつくっておくということは。相手国に対して給食用だから厳選をして——私たちは給食用の脱脂粉乳そのものに反対なんですけれども、かりにそうしたとしても、給食用の脱脂粉乳には念には念を入れなければならないのだけれども、しかし、その必要はなくなってしまう。この法律ができてしまえば、他に転用することができるのだから、やむを得ない理由があるならば他に転用してやることができるということになるならば、何ということはなくなってしまう。今日まで、色が変わった、においがついた、異物が混入したなんということは、去年東京だけでも百八件もいわゆる苦情がついた、脱脂粉乳については。ますます苦情が大きくなってくるということが想定されるのですよ、こういう法律をつくっておけば。どう思いますか。
  74. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 鈴木委員指摘のような問題は、当該脱脂粉乳が国内に回されます前に、港において引き取る際にあります厳重な検査をすべきものと考えます。私どもがこの提案をお願いいたしておりますのは、正当なものとして港に引き取られましたものが、国内の輸送の途上においていろいろな変質その他の事故が生じましたときを想定しておるのでございます。これがありませんというと、食用に供し得ないようなよごれたものを処理する方法がなくなってしまうわけでございます。まさかそのものを食用に供することを強制するわけにはまいりませんので、現実に即した措置を考え提出した次第でございます。
  75. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 あなた、そんなことを言ったって、去年一年だけの実績から見ても、あなたの言っていることは正しくない。港でもって厳重に検査をして、クレームのあるものはそこで処理をするというのはうそです。各学校に行ってそこで調べてみたら、においがついた、色が変わった、異物が混入した、スパナーのような固形物が入っていたということだった。そうした生きた事実から見て、あなたの答弁はごまかしですよ。そうしてあなた、転用の道をあらかじめ先に法律でつくっておく、こういうことになったら、やむを得ないのではなくて、転用が合法化される、どんどん合法化される、そのおそれなしということは言えません、今日までの実績から見ても。私はこのような項目を、このような法律を新設したということは、これは非常に間違いだ。あくまであなたがおっしゃるように、港の段階でそれをびしっと押えるという今後の自信がありますか。
  76. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 契約面から申しました責任の面では、そういうことではないかと思っておるわけであります。鈴木先生の御議論でございますけれども、現実に食用に供し得ないものがあります場合には、私どもは転用を認めるほかないと考えているものでございます。その点は、もっと現実に即しました解決の方法としてやむを得ないものとして御理解を願いたいと考えておる次第でございます。
  77. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 いままではどうしていたんです。この法律がなかったときはどうしたんですか。この法律がなければ転用ができないようなことを言うんですが、いままでこの法律がなかったときに、いま現にどうしているんですか。給食に供せないような脱脂粉乳の処分はどうしていたんですか。
  78. 政府委員(佐々木庸一君)(佐々木庸一)

    政府委員佐々木庸一君) 現在は便宜的な方法をとっております。各学校に配給されましたものが不良品であるとなりました場合に、これを学校給食会の県の段階だと記憶いたしておりますが、そこへ集めまして、そこから飼料用に売ることにいたしております。現実には、何と申しますか、びほう策をとっておるわけでございますが、この方法によりますというと、学校給食用という制限のためにつけられました条件というものが落ちませんものですから、現場においては非常に事務処理に困難を来たすわけでございます。事務処理を筋を通してはっきりさせるために、便宜的な現在のやり方を法律上正しいものに直したいと考えておる次第でございます。
  79. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 時間がありませんから、これだけでもう質問をやめなければなりませんけれども、その脱脂粉乳いろいろいま議論があります。特にこれを食用に供するために、子供たちに供するために輸入するということについては、世の多くの母親たちにおいてはむしろ批判的な意見が非常に多い。これを、アメリカの余剰のこういったような農産物のはけ口を、脱脂粉乳という形で輸入をして、そうして給食用という形で輸入をしておきながら、つまりそれが給食用に適さなくなったということは、日本側の処置ではなくてアメリカ側のこれは不届きな処置なんです。この不届きな処置を、転用という法律をつくらしめることによって日本がしりぬぐいしなければならぬという理由はどこにありますか。転用をできなかったら、送り返したらいいんです。あなたたちはいつでもそうなんです。転用ができなかったら、送り返さしたらいい。給食用に買ったが給食用に適さなかったということで、送り返したらいい。そういうことをこういう法律の中に明らかに規定するなどというふうなことは、まさに私は国辱ものだと思うのです。そういう意味によって、この第十条の二の二項はもう一ぺん出直したらよろしい。現状はなるほど転用にはいろいろ手間がかかったって、しかし現状でやっておるから、やるならば現状のままでよろしい、そういうふうに私は、これは意見になるけれども、最後に申し述べて、時間がないから、これでやめます。
  80. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 午前に引き続いて、国立学校特別会計制度についてお伺いしたい。  午前においては、大臣の出席がありまして、今回の特別会計制度の大綱についてその考え方を伺ったわけでありますが、少しく時間をいただきましたので、もっと具体的に聞いてみたい点がありますので、お伺いするわけでありますが、まず第一に、この条文にうたわれてありますとおりに、第一条ですか、国立学校の充実に資するとともに、その経理を明確にするため、一般会計と区別して国立学校特別会計を設置し、文部大臣が管理する、このようにあるわけです。特別会計を設置することによってそういうような整備拡充がはかれるという具体的な根拠と、なぜそうなるのかという理由について、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  81. 政府委員(相沢英之君)(相沢英之)

    政府委員(相沢英之君) 国立学校特別会計法の第一条にこの特別会計の設置の目的が書いてございますが、それに「国立学校……の充実に資するとともに、その経理を明確にするため……一般会計と区分して経理する。」、かようになっております。そこで、この特別会計法は会計経理に関します技術的な立法でございますので、直接この法律自体が国立学校の内容の充実を目的としている、かように断言することは困難であるかと思いますが、この特別会計法上の種々の制度を活用することによりまして、国立学校の施設設備、その内容の充実が可能になる、こういうような関係になっております。  では、どういうような手段がこの国立学校の内容充実に資することになるかと申しますと、そのおもなものを申し上げますと、決算上の剰余金の一部を積み立て金として積み立てて、これを施設整備に充てることができること、それから国立学校付属の不用財産の処分収入を施設の整備その他に充てることができること、それから病院に関しましては長期借り入れ金の借り入れによって施設整備の促進がはかれること、それから特別会計の弾力条項の適用によりまして病院その他の歳入の超過額を歳出に充当し得る、いわゆる弾力条項を発動できること、あるいはこれは特別会計法の制度と直接関連はございませんが、国庫債務負担行為の活用が容易になりまして学校の施設整備を計画的に行なうことができるようになること、そういったような点でございます。
  82. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 どうもちょっと、少々抽象めいているような個所もありまして、十分な理解を与えるだけの論拠に乏しいと感ずるんです。何せ時間がありませんので、こまかい点を追及するわけにまいりませんが、いま積み立て金の問題が出たんですが、これは私が確実に掌握した問題ではありませんので、ただ風聞として聞いた内容を申し上げますと、国立大学協会においては、要するにこの剰余金として残されたその金の使途については、十分使えるであろうというような予想を立てていたらしい。しかしながら、今回の法律案を見ると、非常なきびしい制限を受けている。その中でわずかに施設に対する整備費としてしか使えない、こういうような解釈をされて、非常に今後の運営のあり方についてきわめて憂慮している考えを持っているというようなことを聞いておりますが、この点についてどういうふうに考えておられますか。
  83. 政府委員(相沢英之君)(相沢英之)

    政府委員(相沢英之君) 決算上の剰余金の一部、これは政令でその一部について指定をすることになりますが、これは歳入予算の超過分でございますが、これは積み立て金として積み立て施設整備に充てることを予定しております。この積み立て金の積み立て方並びにその使途に関しましては、国立学校側の御要望に——私が国立大学協会のこの特別会計制度についての意見として出てきているところから判断しますと、その御要望に沿っておると存じております。と申しますのは、国大協の例の一月二十三日の意見には、「この会計の剰余金は、全額この会計の財源とし、歳入予算超過分の一部は積立金として積立て、施設整備のために歳入に繰入れうるものとすること。」、こういった事項がございます。この要望に沿いまして、国立学校特別会計法におきましては、積み立て金の積み立てに関して、第十二条の第三項に規定を置いたわけでございます。
  84. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 話が飛び飛びになるかもしれませんが、今回の法律案上程に際しまして、国大協においてもあまりに突然のことでだいぶろうばいしたということが言われております。なぜそうした国大協あたりの意見等も十分しんしゃくしながら今回の法律案上程に踏み切らなかったか、その辺が、なぜ急いだか、いろいろな事情があったにせよ、非常に不明朗な感じを受けるわけであります。その点の経緯について具体的に説明していただきたいと思います。
  85. 政府委員(中尾博之君)(中尾博之)

    政府委員(中尾博之君) 国立学校の特別会計制度につきましては、旧特別会計制度は事実上特別会計的な意図でもって運用されることの実体がなくなりまして一般会計に合併せられまして以来、やはりどういう制度がよかろうかということにつきましては、各方面のいろいろ御研究があったと思いますが、財政当局者といたしましてもいろいろ検討いたしてまいったところでございます。最近におきまして国立学校の実体もだんだん固まってまいりまして、一時は従来にない新しい新制の大学が全国にできまして、それらについてはどういうものであろうか、あるいはそれらの施設等につきましてもあるいは旧軍の財産の一時使用であるというような、いわばとりあえずの形になってまいったのでございますが、だんだんとその基礎も確立いたしまして、資産の関係におきましてもそれぞれそれ相当の措置が固定化してまいっております。で、今回はそれに合わせまして、最近におきまするところのいわゆる技術革新と申しますか、あるいは技術革新の面が一番大きいのでございましょうが、それが二重、三重に国立大学にいろんな影響を及ぼしておりまして、一方で大学の施設そのものが非常に更新を要する、新しく近代化することを要する、これは一方でまた立地の関係からいきましてその条件が変化をいたしまして、これを集中したりあるいは移転をしたりというようなことが非常に大事な問題になってまいった次第でございます。そういうようなことから、従来とも一般会計自体から、いろいろそういうような学校の実情に応じまして、予算上もいろいろなくふうをこらしておったのでございますが、やはりこの際本格的にひとつ学校の制度を、主として資産の区分管理という面に重点を置きまして、これに対して資産を付与する、しかし区分と申しましても外から中へ入るのは自由である、一たん入ったものは物でも金でも学校から出ないようにしようということを基本にいたしまして、検討してまいったのでございます。  具体的に今回の法案の立案を考えましたのは、三十八年度になってからでございます。七月、八月ごろから、文部省からいろいろ資料もいただき、検討いたしましたが、何ぶんにも基本的な非常に大きな問題で、と申しますのは、午前にも大臣から御答弁申し上げましたように、御批判はありましたが、簿価でも二千百億、全部が土地、建物というわけではございませんが、というような大きな資産を別除いたしまして、これを学校に現在管理されておる姿で、原則としてこれを無償でまず譲ってしまう。その中にはいろいろ、従来でございまするというと、各般の行政に転用されたものもあり、交換されたものもございまするが、以後は物としてはそういうことが行なわれないにしても、全部対価を払ってこれを使うということになっております。これらの点につきましては、やはり制度として相当思い切った措置でございまして、そういうような関係によりまして、いわゆる最終案という形で最後の構想を得ましたのは十一月の末でございます。そのころから十二月の初めにかけまして、具体案というようなものを大蔵省全体として、管財、理財あたりの関係の向きとも意見の調整を最終的に遂げまして、その形におきまして文部省側に実は御相談申し上げた、それが十二月の初めでございます。  それから、文部省側におきましては学校側とのいろいろな御交渉があるわけで、これを文部省側にお示しいたしました。つきましては、こういう構想でどうであろうかということでお示しをいたしましたので、こういうことで適当であると思うという確信を持ってお示しをした次第でございまするが、事柄は特別会計——文部省の所管の問題であります。文部大臣がこういう体制をもっておやりになるならということについても御検討なりお見通しなりがあって初めてこの制度が生きるものでございますので、その点のまず御検討をお願いしたというのが実情でございます。その結果、文部省側におきましても、学校側ともいろいろ連絡をとられ、原案についての検討はもちろんでありますが、これについて大蔵省側としてこういう案を持ってくるということは何か学校にとっていろいろ便利な点があるけれども、一方で国立学校でございますからいろいろな財源的な便利な点が得られるにしても、その根本はやはり国の税負担をもってするところの経費をもってこれをまかなわなければならない施設であることは明瞭でありまするので、それらの点についての疑いがあっては非常に困る。そういう点については大蔵省は間違いないだろうなという点につきまして、再三にわたって念を押された次第であります。で、検討の期間におきまして、そういう趣旨ではないので、そういうものはもちろん従来どおりやるのであるけれども、そのほかに、いま先ほど来申し上げましたような趣旨からそういう措置をつけ加えまして、大学の現状に対しましてこの際画期的にこれを充実するところの手段を備えようというものだけであるということを申し上げまして、それでその御了解があったのであります。しかし、この点は大事な問題でございまするので、大蔵大臣とそれから文部大臣との間にもその点についての明確なお話し合いがございまして、今回の法案の提出に至った次第でございます。  なお、学校側と文部省側との経緯につきましては、私も承知いたしておりまするが、直接は文部省側でもあり、活がもし間違うといけませんので、その点につきましては文部省側から…。
  86. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) この法案に関しまする国立大学側と文部省の折衝の経過でございますが、十二月の十九日に国立大学協会の役員会並びに第六常置委員会、これは財政川当の常置委員会でございますが、これが東大で開かれまして、事務次官、私ども等が出席いたしまして内容の御説明をいたしております。引き続きまして、十二月二十三日に国大協会の第六常置委員会が開催されたわけでございますけれども、この常置委員会にはさらに専門委員会が設けられまして、財政学部担当の教官等がこれに参加されたわけであります。この機会におきましても詳細にこの構想をお話をいたしまして、おおむねの御了解を得たのでございますが、昨日が十二月の二十三日ということでもあり、各大学にこうして検討する期間もほしいということでございましたので、国大協の最終的な御返答は年があけてからお願いをするということにいたしたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、その会議の空気は全般的にこれを了承するということでございました。  一月に入りましてから、各国立大学におきまして学内でいろいろ御検討の機会があったようでございますが、一月の二十三日に国立大学協会におきましては総会を開かれまして、その意見をまとめて、会長でありまする東大の学長から文部省へ申し入れがあったわけであります。したがいまして、この法案は、その申し入れないしは意見書に大体基づきまして作成をされておるわけであります。なお、この法律案法律案として閣議決定されます前日に、文部大臣の事務次官が東京大学の学長、国大協の会長をたずねまして、内容について説明をし、その御了解を得ておるという経過がございます。したがいまして、時間的には比較的短時間ではございましたが、国大協との協議、相談につきましては、十分意を尽くしたつもりでございます。
  87. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 いまのお話ですと、十分意を尽くしたというお話でございますが、大河内学長の言をかりれば、もっと十分な検討の時間がほしかったという、そういう意見を申されておるということを聞いております。そうしますと、いまのお話とだいぶニュアンスが違う点が出てまいるのじゃないかと思います。少なくとも、いかなる法案でありましても、それを上程する場合には、相当検討を加えて、時間的にも慎重審議がなされてしかるべきじゃないかと思うのでありますが、こうした全面的に変わるところのこの会計制度について、もっとやはり慎重な配慮がほしかったのじゃないか。それでなくても、この問題については、課長も御存じのとおり、一部には相当の論議をかもしている向きもあるようであります。したがって、いま申し上げた大河内学長の意見等々と比較してみた場合、いまの課長の回答が絶対確信を持って今日まで十分時間を尽くして、そうして検討してきたと言い切れるかどうか、その点を再度ひとつお願いしておきたいと思います。
  88. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) ただいま申し述べましたとおり、折衝の時間は短かったのでありますが、連絡につきましては、十分これを行ないまして、遺漏なきを期したつもりでおります。したがいまして、その内容につきましては国大協側の御了解もいただいております。
  89. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 論点を少々変えまして、今度の法律案によりますと、いろいろな面で大学の歳入というものが考えられておるようでありますが、そうした点から考えると、都会における大学の場合はいいとして、特に恵まれない環境に置かれておる大学においては、その地域的格差というものがどんどん広がっていかないかなという不安を感ずるわけであります。この点についてはどのような処置と方針を建てられているのか、お伺いしておきたいと思います。大学の規模が違うでしょう。
  90. 政府委員(中尾博之君)(中尾博之)

    政府委員(中尾博之君) 大学の施設といたしまして、これは運営費はもちろん、その施設費の大部分と申しますか、本来的な部分は、これは当然必要に応じまして一般の財源をもってまかなうべきものであると心得ております。その分につきましては、この特別会計法の第三条に歳入の列挙がございます。一番大事な歳入は結局、この会計におきましては一般会計からの繰り入れ金であるわけであります。なお、そのほかに運用そのものに伴いまするところの普通の収入がございます。これらは、特別会計ができますと、これに帰属いたしまするけれども、これを別に特別会計を設けたからといってどうこうというわけじゃありません。  そのほかに、いわゆる施設の売り払い収入、売り払いました収入をもってまた施設を充実していくということ、あるいは交換というようなことを活発に行ない得るように考えておる次第であります。それらの操作をいたしますと、どうしても資産が一回現金の形に変わります。これを一般財源に回らないようにするというのが、この会計の大きなねらいになっておる次第でございまするが、これはあくまでその促進に充てるということであり、なおその設備の近代化と申しますか、いまございまする設備を、完全に要らないものでございますれば、これをさらに要るものに売って回すということもございまするし、現在ございまするものが必要なものでありましても、それをよりよいものにするため場所をかえる、あるいは建物を建て直すというようなこともある。あるいは施設を取りかえるというようなこともございます。それらの点につきまして促進をはかろうといたしておるのでございまするが、一般会計からの繰り入れをもってまかないまするところの手段に比べますれば、なるほど特別会計をつくったと申しましても、これはやはり付随的な手段であると考えておる次第であります。これらの付随的な手段は、したがって、どういうふうに行なわれましても、活発に行なわれましても、別に大学全体の施設の整備を一般会計において責任を持って遂行するという体制については、それだけの影響しかないものというふうに御理解いただきたいと存じます。  なお、それらの手段を用います場合、それらの手段を用いるに適するような条件のある大学と、そうでない大学とあることは当然出てまいると存じます。それらの問題が一番むずかしい問題でございます。むずかしい問題でございまするが、これが実は一般会計において処理いたしておりますると、歳出歳出、歳入は歳入ということですし、やはり緊急性のあるところから経費は見ていくということでございますから、要らなくなったものはそのつど売っていく。その間に関連がございません。これらに比べますと、今回は緊急性のある分は従来どおり一般会計の財源で見ていく、そのほかに事情の許せるものはこの特別会計によって初めて許されるような促進の措置を講ずるということでございます。全体といたしまして、促進に回ることは間違いない。その間におきまして、たまたまそういう手段が利用できるところの大学がよくなったといたしましても、ほかが悪くなるという関係はないわけであります。のみならず、今後会計が、実際にその運用において習熟されてまいりまして、十分活動されるようになりまするというと、三十九年度予算において見込まれますよりも、より多く、いろいろなこの会計によって与えられた手段の活用の実績があらわれるとは存じますけれども、それによりましても、非常に特殊な大きな学校がまとめて移るというようなことでもない限りは、まずはその技術的な分といいますか、大事な分は、大部分は結局一般会計の負担によって財源的に補われるわけでございます。その補い方によりまして、おのずからそこにはなはだしい不均衡というようなものはないように調整してまいるということは可能でございまして、私どももそういうような弊害が意識されることのないように運用してまいりたいという気持ちを持っております。  しかし、御理解をいただきたいことは、そういうことで、決しておかしいというような形の印象を与えるような結果にならないように運用は考えておりまするけれども、一方で、従来の一般会計の制度でございますると、やはり収入はどうなるかわからないということで、そういうようなやり方がやはり自発的にその意欲を起こしてまいりませんが、この会計ができますので、多少そういうような分で意欲を高めていただくということはあろうかと思います。そういうような点で、それをまた全部一般会計の繰り入れでもってキャンセルしてしまったのでは、これまた制度の趣旨が完全になくなってしまうというところであります。その辺はかね合いのむずかしいところでございますが、両方の配慮をうまくまぜ合わせまして、いずれにも片寄らないように、しかも実情に即して、なるべく早くこの国立学校の施設のレベルを高めていくようにというふうに運用してまいるつもりでございますが、予算その他の関係から申しましても、それが十分可能であろう、こういうふうに考えている次第でございます。
  91. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 先ほど少し伺ったのでありますが、もう少しく念のために聞いておきますことは、現在演習林がどのような事業方針をもって進められているか、この点について、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
  92. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 一般的に、演習林と申しますと、まず造林の仕事があるわけでございます。これにつきましては、各演習林ごとに施業案というものを作成をいたしまして、どこの地区にどういう植林をして、何十年後に伐採するといったような計画を立てまして運用をするわけであります。そのほかに、いわば一種の品種改良といたしまして、林木育種ということをやっております。これは、たとえば成長の早い樹木をつくりだしますとか、あるいは害虫に強い樹木をつくりだしますとか、あるいは質のいい樹木をつくりだしますとか、そういった関係の林木育種という事業がございます。各演習林におきましては、ただいま申し上げました造林という事業と林木育種というこの事業を根幹といたしまして、全体の施業計画を立てておるわけでございます。
  93. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 一部にあった活だと聞いておるのですが、最近この収益をあげるために、いま御説明がありました林木育種であるとか造林、趣旨、まことにけっこうだと思うのです。その反面に乱伐が行なわれていないかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  94. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 乱伐というお話でございますが、私どもむしろ逆の心配をしておるわけでありまして、今年度予算、最終予算内容におきましても相当改善を見たわけでありますが、むしろ伐期が到来いたしましても、再生産等の関係においてその伐採、斫伐が十分行なえないというような状況がむしろ心配されるわけでありまして、乱伐といったような事柄は私ども心配をいたしておりません。かつまた、そういうことを行なった事例はないというふうに私は承知しております。
  95. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 絶対にございませんか。
  96. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) そのような事実があるとは聞いたことはございません。
  97. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 それならまことにけっこうだと思うのですが、私は確認しておりませんので、何ともここで申し上げるわけに参りませんけれども、北大の演習林においてそういう事実があったやに聞いておりますので、ここでいま念のためにお伺いしてみたわけであります。  で、実際におそらく研究用としてそういう演習林というものの育成があるのだろうと私は思いまするが、その研究課程や何かが終わった場合に、この造林はどういうふうに処分されるのですか。
  98. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 演習林の伐採には、やり方といたしまして二通りございます。一つは、官行斫伐と申しますか、大学が直営でもって演習林の伐採をいたしまして、丸太といたしましてこれを民間の業者に払い下げる、こういう場合と、それから、伐採自体を民間の林業者に請け負わせて、立木のままこれを払い下げる方法と、二つございます。
  99. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 大学の直営と、それから民間に請け負わせてやるということはわかりましたが、具体的の請け負わせの方法については、どんな制度が設けられているのか。
  100. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 直営の場合でございますと、これは大学の直営でございますから、大学が人夫を集めまして、かつ、それに必要な資材等を用意をいたしまして、斫伐を行なうわけでありますが、立木処分の場合におきましては、これは会計法の規定に従いまして、それぞれ多くの場合は随意契約でございますが、随意契約を結んで立木処分をいたしております。
  101. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 随意契約であるというお話でありますが、その契約にからんで、今日まで何回かおそらく契約が取りかわされ、また事業の運営がなされてきたであろうと思うのでありますが、その間において人々に疑惑を持たしめるような不正事実はなかったかどうか。
  102. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 最近におきまして、北海道大学の教職員組合が御指摘のような事実があるということをパンフレットにいたしまして配っておるようでございますが、大学当局並びに大学の演習林当局の説明を私ども徴しましたところによりますと、適法な契約方式が組まれておりまして、疑惑を生ずるような余地はないように考えております。
  103. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 適法であるかどうかということは、これは事実問題で調べてみないと、これは結論を下せないと思うのです。一定の事務手続や書類等が完備しておれば、それは一応適法であると、そういう結論が成り立つことは、これは常識だと思います。しかし、いずれの場合にいたしましても、今日多く見られる不正問題というものは、その裏に隠された要素がいろいろと波乱を巻き起こして問題になるということではないかと思うのですが、そういう点については、文部当局として絶対にそういう事実はあり得ないという確証があるかどうか。
  104. 政府委員(安嶋彌君)(安嶋彌)

    政府委員(安嶋彌君) 私どもさような事実はないと信じております。大学側の報告によりますと、随意契約をいたします際におきましても、地元の木材業者三人以上に見積もり合わせ等をとっておるわけでございまして、その手続につきましては慎重な配慮が行なわれていると承知いたしております。
  105. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 以上でございます。
  106. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 私は、食管当局を呼んでください。
  107. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  108. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 速記始めてください。
  109. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 昨日並びに本日の私と大蔵大臣質疑応答はお聞きになっておったと思います。  そこで、伺いますが、ここ数年間でよろしゅうございますが、食管会計によって買い入れる食料及び飼料について邦船をどのくらい使ったか、外国船をどのくらい使ったか、その表はございますか。
  110. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) ちょっといま手元に資料がございません。
  111. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 しからばですね、これは私がそのことのために食管特別会計をとめる意図は持っておりませんけれども、しかし、これはまあ当然といっていい質問でありますから、委員長の手元まででも後刻表をいただきたいと存じます。よろしゅうございますか。
  112. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) できるだけ整えて提出したいと思います。
  113. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 そうすると、大まかな議論しかできませんが、大まかには私が指摘し、かつ大蔵大臣が認めたように、むしろ邦船は二〇%ぐらいしか使わず、外国船を八〇%ぐらい使っておるという事実は、そのとおりでしょうね。
  114. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) ただいまのところ、その正確な数字はわかりませんけれども、私たち外国食糧ないし輸入飼料を輸入します際には、商社が輸入したものを輸入港の倉渡しで買っております。それで、倉渡しで囲う価格の中に、運賃その他はそのときどきの外国市況を調べまして、それをもとにしてこちらで買い入れる際の予定価格を組んでおります。したがって、その予定価格の中で、商社が邦船を使うかあるいは外国船を使うかという関係になっておりますので、私のほうから直接に邦船をどの程度、あるいは外国船をどの程度という関係が、いまのところ直接的には関係しておりません。
  115. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 そういうところが根本的に認識不足なんですよ。おそらくそんな程度考えではなかろうかと思った。しかし、あなた、私がここで質疑し、大臣が答えたように、もともと食管会計に予算は計上されておるんです。本来的にいうならばだ、普通、公社であろうとも民間の会社であろうとも、予算があるんでありますから、——買い主は食管当局なんです、この場合。ただし、政府というものがそういう取引まですることがなかなか複雑である、複雑さを避けるというのか、そういう意味から業者にまかしてあるんであって、業者が買ったものをこっちが買うんだと。だから、買い入れるまでより先はわからないというような状態だから、貿易外収支が一向改善されないんですよ。それも、どうも調べなきゃわかんないということは、まことに私は不満です。  しからば、あなたのほうは、やはり外船を多く使っているんだということはわかりながら、これに行政指導でも業者にしたことがあるのか。あるいは、その実情はわかると言うんだから、調査をなさったと思いますけれども、話し合いでもしたことがあるんですか。いかがです。
  116. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) いままでのところ、特別に邦船を優先的に使うようにとか、そういう指導をしたことはございません。
  117. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 それはまた、なぜですか。しないことのほうがおかしいじゃないですか。
  118. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) これは、ある意味で、食管ばかりじゃなくて日本全体の問題かと思い、あすけれども、海運自由の問題とも関連いたしますので、特に食料について邦船を優先するようにという指導は、これは慎重にしなけりゃならぬものじゃないかと、こういうふうに考えておれまして、いままで特にそういう指導をしたことはございません。
  119. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 そんな海運自由なんて、とんでもないことを言いなさんな。あの金持ちのアメリカだってバイ・アメリカン、シップ・アメリカンですね。そのことも、あなたも聞いているとおり、大臣とあれしている。そうすると、あなたのおっしゃるような海運自由なんというようなことになれば、まるきり大蔵大臣答弁は、偽りと言っちゃ言い過ぎだか知らぬけれども、そっちが今度変になってくる。  私の演説が長くなっちゃ質疑になりませんけれども、根本は、戦争前におきましても、貿易だけで日本はほとんど黒字になるということはなかったんですよ、常時的に。例外的にはあったけれども、コンスタントには要するに貿易については赤字、貿易外収支でそれを補った。貿易外収支とは海運収入なんです、ほとんど。それは、そういうふうに対外収支というものは、全体とすれば、何がしでも黒字になるようにというので、行政指導もするし、政治的配慮も戦前だって行なってきたのです。ところが、戦後は、貿易も赤字で海運収入も赤字でありますと、そんなばかなことはないんで、それに対して、あなた、海運が自由だとかなんとか、われわれが想像つかないような議論を立てるのですけれども、じゃ、あなたのおっしゃる海運の自由というのはどういうのです。
  120. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) いままで、先ほど申し上げたようなことで、特に邦船優先ということについて積極的な指導はいたしておりませんけれども、今後、先般来大蔵大臣が申し上げましたように、国全体としてそういう方針がきまりますれば、それの具体的な方針に基づいて、できるだけその趣旨に沿うように検討していきたいと思います。
  121. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 まあ政府方針がかくかくと出れば、あなた方のほうはそれに沿うてやるというけれども、この膨大な行政機構というのは、私はその逆のほうがむしろ多いのじゃないか。末端のそれぞれのセクションにおる人のほうが案外、大臣なんかよりも気づきやすいものもたくさんある。  で、いまの、要するに国際収支のことを考えた場合に、シップ日本であるかいなかというのはたいへんなことだから、私は携わる人がみんな気がついていると思うのですよ。いままでそれを、上のほうの方針がきまってからなどというのじゃなくて、下から上に上がっていくということをなぜなさらないのですか。そうすると、いままで全然あなたのほうの、なんですか、そのセクションの人たちは、だれもそろって気がつかなかったと、こういうことになりますか。
  122. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) 一応そういう問題も考えてみたのですけれども、海運関係といいますと、やはり国全体ないし国際的な関係もありますし、また特別会計がものを買い入れる場合には、会計としましてはできるだけものを安く買い入れるという経理上の法則もありますので、従来進んで邦船を使うというようなことをしてこなかったわけであります。
  123. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 まあ一番後段のところについては次に聞きます。いまここでただしておくのは前段の分ですが、国内海運の関係があるというのは、それは何があるのです。だって、国内海運といったって、日本の船も、自国に買ってくるものを自国の船で運んでもらいたい、あたりまえのことだと思う。ちっともそれを阻害する理由はない。これを推進する理由こそある。  で、そのほかに、さらにまた国際的な関係、それはどういう関係がありますか。これも私らにはわからない。もっと大国でさえも、自分の買うものは自分の国の船でなければ輸送できない。われわれのほう、日本あたりから抗議したって、さっぱり言うことを聞かないというのが現状でしょう。そのほうも日本の船を使えばプラスの面こそそこに発見できるのであって、何かいろいろ支障になるようなお答えですが、どういうことなんでしょう。その二つについて。
  124. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) 食糧庁といたしましては、会計の面で、いま商社から買い入れるときには競争入札という形をとっておりますが、その際の入札予定価格としては、できるだけ安いということを予定価格としてつくるものですから、どうしても特別会計の立場からしては、まあ特に邦船とか外国船を積極的に使えという意味は何にもないのですが、その点は無色でございますが、時の海運市況を見て、一番安い運賃を予定価格に織り込んで、したがって、その範囲内で商社が船選びをするという関係になってきているわけでございます。
  125. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 私は、質疑ですが、主張を言うならば、あなた方は、外船であろうと邦船であろうと、無色であると言うのだけれども、無色じゃなくて、日本の買うものはもう可能な限り日本の船を使うべしという、そういう色でやってもらわなきゃ困るという主張なんですよ。  それで、あなたはそれならば、この普通の常識から考えて、当然日本の必要なるものを買うのに、日本船で運ぶべきものが、なぜ外国船がよけい使われているかということを御存じですか。
  126. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) ちょっと寡聞にして存じません。
  127. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 そんなことじゃまことに困る。それはもう大臣でもみんな知っていることですよ。業者にリベートがあるのです。本来的に、農林省が商売をしているのなら、そのリベートは農林省に来るべきリベートなんです。しかし、お役人さんは、まあ悪く言うなれば、何かに招待されることがあっても、そういうところはほおかぶりでいるくせがあるから、そのリベートは国の収入にならないで業者の収入になっている。だれが得をしますか。そうして、そのリベートの来るのが、日本船よりも外国船のほうが都合がいいから、外国船を使っているのですよ。これは色をつけるとかつけないとかの問題じゃなくて、常識でしょう。自分の買うものを自分のほうの運ぶ道具で運ぶというようなことは、船であってもなくても。それがそうでないということは、あなた方が常にそういうのは注意してもらわなければ困るのです。  で、あなた、さっきおっしゃった、これは物を、食料、飼料等を買うについては、何としても安く買う。そこで、業者同士の競争でわれわれが安く買っているからと、こう言いました。行政官の役割りではそれは一つだ。しかし、すべてではないでしょう。国内同士の取引ならば、一方が損し一方が得をする、それでもまあ済むのです。ところが、国際収支の場合はよそから物を買うという以上は、すぐ国際収支というのが頭に浮かばないということのほうがふしぎでしょう、普通の常識なら。売る場合もそうだ。外国と取引する場合、当然国際収支という問題にからんでくるのだ。からんでくることを気づかないなんていうんだったら、もう公務員高級試験なんて要りゃしない。そういう、あなた方が安く買って国民に供給するということは、それはほんの一部の仕事、あとは国対国ということになれば、この国際収支改善ということも当然配慮をしなければならないし、もうそれも大きな役割でしょう。ところが、ますますもって今後輸入がふえるのですがね。それじゃ、あなた、今後飼料の輸入がどういう推移になると思いますか、いかがです。これはたいへんな量になりますよ。
  128. 説明員(亀田喜美治君)(亀田喜美治)

    説明員亀田喜美治君) 飼料も国内畜産振興のたてまえ上ますますふえる傾向にあると思います。で、先ほど来の先生の御意見の、国で買い入れるものは国の船をという問題でございますが、国全体の国際収支という立場と、特別会計の、少しでも安く、それから損失を少ないようにという立場がありますので、今後はその両者をできるだけ調和をとるように検討していきたいと思います。
  129. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 これじゃ、とてもさっぱり質疑がらちがあきませんけれども、しかし、あなた方はそのセクションにおられるのだから、そういたしますれば、この国際収支ということには気づくはずだ。気づかないはずがない。というのは、戦後外貨がないために、食糧の輸入に困ったでしょう。困ったときの経験だけだって、それは国際収支というものはたいへんなんだということはおわかりになっておらなければならないと思います。そうすれば、もしその際、この国内における円が足りないというならば、さっき私が言うように、あなた方のほうから上部に申し入れて、円のほうはいかがでもなる。しかし、外貨のほうは、それは節約するか、新しく獲得するか、どっちかするほかにしかたがないのだ、こうならなければならぬと思いますが、それを農林当局は全然お考えになっていないというのは、どう考えたって解せないのだが、どうですか、その点は。
  130. 政府委員(齋藤誠君)(齋藤誠)

    政府委員齋藤誠君) 輸入食糧の取り扱いにつきまして、邦船利用を食糧庁としてもっと考慮すべきではないか、そういう御質問のようにお伺いしておるわけでありますが、食糧庁といたしましても、従来から輸入食糧の扱いにつきましても、邦船利用ということについては非常に関心を持って、いろいろ業界とも話を進めてきたところであります。その中で、輸入食料のうち、たとえば米につきましては、台湾米のようなものにつきましては、大体邦船と中国船と五〇%ずつ使用するというような取りきめもありまして、邦船の利用をはかっておる。また、南方米の輸入につきましても、これは量も少ないわけでありますけれども、邦船の利用を進めておるわけであります。  ただ、問題は、一番大きい麦類についての取り扱いでありますが、これは去る委員会でも天田先生から御指摘がありましたように、食糧庁としては入札で安いものから買うということになっておりますので、商社としては結局外船または邦船の運賃も含めた価格でこの入札に応ずるというようなたてまえになっておる関係もありまして、従来は外船の利用率が非常に高い面もあったわけでありますが、先日も大蔵大臣からのお話もありまして、われわれといたしましても、邦船利用につきまして、船主あるいは商社等と話は進めておるわけでありますが、実行上といたしましては、いま言ったような食糧庁の買い付けの考え方とも関連いたしまして、現状におきましては、邦船利用についてのいろいろな問題点もあるようでございまして、十分成果があがっていないという実情でございます。
  131. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 まあ大臣と私との質疑応答は長官もお聞きになっていると思う。いままでの質疑を御存じないのであって、それを繰り返すつもりもありませんけれども、われわれは、この経理部長が言うように、外船であろうと邦船であろうと白紙である、こういう御主張は困るというのです。それはシップ・アメリカンをやっておられて、わがほうの抗議にもかかわらず、なかなか聞かれないというような状態で、それだけドル防衛をやっておるのです。これがインドネシアあたりに行けば、極端ですね。実をいうと、あそこで外貨を使えば、ほんとうを言うならば、公定レートの二十分の一くらいに下落しております。無理やりに二十倍も金を使わせられるような仕組みになっております。おまけに、日本の援助で建てられたホテルでもそうです。それだけ要するに外貨というものはどこの国においても大切にしている。されば、わが国においても海外から必要なるものを買うに日本の船を使うということは、もう特別な施策でなくて、当然そういう考えなんです、私の考え方は。当然が当然でなくなってきているというのは、いろいろな答弁があったが、結果は業者がリベートを取っているのですよ。これは周知の事実なんです。だけれども、このことのためにあなた方のほうは幾らか安い食糧あるいは飼料というものが入る。けれども、これは、あなた方の仕事の一半にすぎない。いかに外貨が大切だかというのは、日本に外貨がないために食糧輸入を思うようにまかせなかった時代がずいぶん長く続いたのです。それだけでも、別にベテランでなくてもわかる。そういうのですから、もしそのことのために円払いで済むことがあれば、これは円のほうを出して外貨のほうを節約する、これが当然しかるべきことだと思うと私は言うのです。だから、国際海運の関係上とかなんとかいろいろな説明がありましたけれども、国際海運の関係も国内海運の関係も、日本船を使ってもらうということはどここも支障がないばかりでなく、日本船主のみんな喜ぶことです。ですから、これについては根本的に考えを改めてもらわなければならぬと私は思う。  いま実は長官のいないところでここ数年間の推移をお聞きしたのだけれども、資料がないので答えがなかった。しかし、これを上げないというわけにいきませんから、あとで資料を出していただくことにいたしました。  そこで、いま質問しているのは、しからば、農林省としては、畜産局が来ておれば一番いいのですが、飼料が今度の食管法の改正に伴うて——伴うてじゃなく別個なんだが、非常に飼料の扱い量は私は多くなると思っている。どういう推移でいくと思っておられますか。ますますこれが買い付けが多くなれば、船の問題も関連してきますが、その点は、長官、御存じでしたら、お答え願いたいと思います。
  132. 説明員(田中慶二君)(田中慶二)

    説明員田中慶二君) 飼料が今後どういうような規模で輸入数量がふえていくかというお話でございますが、最近御存じのように畜産の生産が振興いたし、伸びておるわけでございますが、それに伴いまして、飼料の需要も増大をいたしておるわけであります。さらにその上に、従来飼料として使われておりました粗飼料というようなものがだんだん濃厚飼料を多く需要する傾向が出てまいりまして、最近急速な需要の増大を見ておるわけでございます。これを輸人飼料で見てまいりますと、昭和三十五年におきましては二百四十三万九千トンほどでございましたが、三十六年におきまして三百二十万トン、三十七年におきましては、三百七十二万九千トン、三十八年におきましてはさらに伸びまして四百九十五万トン、おおよそ九百万トンの輸入に達しようかというふうに推定をされております。なお、昭和三十九年におきましては五百四十万トン程度になるんではないかというふうに、私どもとしては推算をいたしております。
  133. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 ですから、最低年間五十万トン以上はふえていると見なければならぬのでしょう。それは過日も私は議論したのですけれども、草地造成に力を入れてみたところで、ほんとうに酪農に適合したいい草をつくらなければコンスタントにいい乳は出ない。それはむしろ技術者の人に来てもらったほうがいいのですけれども、いい草をたくさん与えるためには土質改良をしなければならない。その土質改良がまた、全国で名だたる町村敬貴、本院議員でありましたが、彼のところで実に三十年かかったという例をこの間私は申し上げた。ですから、草地造成をしたから直ちにこれが安定的な酪農ができるとは言いがたい。実際いえば、濃厚飼料をあんまり与え過ぎることは牛の寿命を半分ぐらいにしますし、不妊の牛をふやすだけなんです。やりたくないけれども、しかたがない。しかも、野菜をつくっているわれわれの地帯でも、野菜はただになることはあり得るけれども、乳の場合ならばまさかただにならぬということなんです。あんまりもうからぬけれども、ただにならない。だから、私はおそらく所得倍増計画を農村に当てはめていったら、いまのあなたのおっしゃる五十万トンぐらい伸びていくのじゃなくて、もっと伸びるのでなければ、今度は格差は広がるだけだ、こういう推定をしている。そうしますと、ますますもって、長官、たいへんなことになるのです。それは専用船もひとつつくらなければならぬ計画も一つある。このまま外国船を使っておったら、少なくとも貿易外収支の面で、これはまたえらい赤字が累積をしてくることになりますよ。ですから、これはどうです、私は長い時間をとりませんから、ひとつ根本的に農林省は農林省としてこれを検討してみませんか、いかがですか。
  134. 政府委員(齋藤誠君)(齋藤誠)

    政府委員齋藤誠君) さきに申し上げましたように、たとえば輸入食糧につきましても、政府取りきめみたいなものにつきましては、食糧庁におきましてもある程度そういうことについての汚職をする余地ができておりまして、台湾米のごときはそういうふうな扱いをいたしておるわけであります。一般の穀物の輸入にあたりまして、邦船利用につきましては、どうも食糧庁といたしましても、そういうようなことの勧奨はたびたび商社なり船主協会と話し合いを進めたこともありますけれども、所管の運輸省におきまして、穀物運搬のための適当な船荷なりあるいは配船の可能性なりというものとあわせて検討さるべきものではないだろうかと。私のほうといたしましては、一定の入札に応じた価格を織り込みます場合に、ある程度やはり国際運賃を見て価格をきめると、その際、国際通貨でも十分邦船が利用できるものもあるわけであります。ところが、総体的に不利であるというようなことで、十分船がそちらのほうに回り得ないとうような実情にもあるようなことを聞いておりますので、これはどうしても所管省と、われわれのほうにおきまして、さらに今後検討してまいりたいと、こう思っておるわけであります。
  135. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 いや、この問題は、しょせん通輸当局にも来てもらい、通産当局にも来てもらわなきゃ議論ができない。しかし、いま差し迫って法案を上げるということに間に合わないから、私みずからがどうも隔靴掻痒の感がある。というのは、委員長、通輸政務次官来ておられたのじゃないですか。
  136. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 運輸政務次官は来ていません。
  137. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 それじゃ、注文をしてやめるほかしようがないと思いますが、確かに個々の例をとらえますと、邦船を使ったほうが高くつく。よって、あなたのほうの買う食糧なり飼料なりが高くなると、こういうことはあり得ると思います。あり得るが、さきに私が指摘したように、それは円の問題。ですから、各省の意見がまとまり、政府意見がまとまるならば、円は国内の問題ですから、いかようにでもなる。しかし、外貨は先方からよりよけい獲得するか節約するか、二つに一つしかないはずです。ですから、ここに焦点を合わして、先ほど私が農林当局だけというのは、輸入飼料が日本農業を伸ばすためにいやが応でもふえているから、その点で申し上げたのですが、もし、いま御答弁のように、運輸当局とも話し合い、いろいろできるということになれば、担当官でもひとつ事務的にも打ち合わして、とにかく改善策をとっていただきたい、これだけ申し上げておきます。答弁があれば、承ってやめにいたします。
  138. 政府委員(齋藤誠君)(齋藤誠)

    政府委員齋藤誠君) 御意見はごもっともな点でございますので、十分われわれとして研究さしていただきたいと思います。
  139. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ほかにございませんか。  速記をとめてください。  〔速記中止〕
  140. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 速記を始めてください。  五時五十分まで休憩いたします。   午後四時五十九分休憩    ————・————   午前六時十一分開会
  141. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  この際、おはかりいたします。ただいま議題となっております十四件のうち、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件」の九件につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、ただいまから順次討論採決に入ります。  まず、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  143. 柴谷要君(柴谷要)

    ○柴谷要君 私は、日本社会党を代表いたしまして、上程されました第三法、所得税法の一部改正、法人税法の一部改正及び租税特別措置法の一部改正、各案に対しまして反対の討論を行なわんとするものであります。  まず最初に申し上げますことは、現存の税制のあり方を考えます場合、何よりも国民にとって税金が高過ぎる、その負担が公平を欠いているということであります。私は以上の立場から、以下反対の理由を申し上げます。  第一に、本案は減税でなくて、逆に増税案であるということであります。国民租税負担率は前年二一・七%から三二・二%へと急激に増大しておるのであります。昭和三十六年税制調査会答申いたしました、社会保障の点にも十分考慮を払い、諸外国の税制とも比較をし、各税目別に全部調べて総合的に判断いたした場合、大体二〇%程度負担率が妥当である、という結論を全く無視したものと言わなければなりません。この点につきましては、今国会におきましてわが党議員から再三追及いたしたのにもかかわらず、何ら納得のいく回答が与えられなかったのであります。これに対し、諸外国に比べればまだまだ日本は高くないというに至っては、まことに財政担当者として遺憾と思うのであります。さらに、こうした結果をもたらした最大の原因は、前年度当初予算に比して六千八百二十六億円という前例のない自然増収を見込んでおることであります。所得税だけでも二千億をこえておるのであります。このように自然増収が得られますことは、政府の政策よろしきを得て所得が増加したからではありません。物価上昇に伴う名目所得増加に伴う増税によってもたらされたものであります。しかも、これを可能ならしめるための徴税強化は、これを裏書きしておるのであります。  反対の第二は、所得税における課税最低限があまりにも開き過ぎる。物価値上がりによる増税すら調整し得ないばかりか、生活費にまで食い込んで課税されておるということであります。しかるに、給与所得控除の減税案すら削り、これを大資本減税に回しておるこの事実は、今日所得納税者約千八百万人のうち給与所得者が九割近くを占めておる現状からいっても、適正を欠く措置と言わなければなりません。昨年の税制改正において約束された配偶者控除の引き上げにつきましても、相変わらず基礎控除との差を据え置いていることであります。これは妻の座を軽視し、男女平等を踏みにじるものと言わなければなりません。さらに、専従者控除の引き上げについても、青色、白色の区別をなくし、むしろ事業主、家族専従者等に対する自家労賃を経費として認めることこそ推進すべきでありましょう。  反対理由のその三は、政府の企業課税に対する方針は誤りであるということであります。現在のわが国の法人の実効税率は、先進諸国のそれに比べましても、決して高い率ではありません。むしろ至れり尽くせりの保護措置によって、大企業ほど実質負担は低くなっているのが現実であります。しかるに、このことには手を触れることなく、逆に一方では税制調査会答申にすら盛られていない各種の優遇措置をあえて行ない、大企業、中小企業間の負担の格差を拡大している結果となっているのであります。  反対の第四の理由は、本改正案におきまして、これまでもたびたびその整理改廃が論議されておりましたが、租税特別措置を無原則に拡大しているということであります。その代表的なものは配当軽課措置の拡大、証券配当分離保税などの一連の資本減税であります。このような不合理、不公平な特別措置は、大胆に廃止すべきであると思うのであります。  本改正案にはまだまだたくさんの問題点を有しておりまするが、時間の関係で以上四点を申し上げ、本法律案に対しまする反対の討論を終わらんとするものであります。
  144. 栗原祐幸君(栗原祐幸)

    ○栗原祐幸君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする三案について賛成の意見を表明するものであります。  三案は、最近の国民負担現状及び経済情勢の推移に顧み、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減すること、資本の充実と設備の更新に資するとともに、中小企業負担軽減をはかるため、企業課税の軽減を行なうほか、産業の国際競争力の強化など、所要の特別措置をあわせ講じ、平年度約一千三百三十億円に及ぶ大幅な減税を行なうものであり、これに相続税の四十四億円、地方税の八百億円の減税を加え、総選挙における国民への公約、二千億減税を実現したものであります。  しかも、歳入面における前年度剰余金の大幅減少という悪条件下にありながら、二千億の減税を行ない、なおかつ、歳出面における旺盛なる財政需要をおおむねまかない得たことは、政府の労を深く多とするものであります。  さて、当委員会の審議の経過において、まず第一に租税負担率がやかましく論議せられたのでありまするが、本来、国民所得に対する租税負担軽重は、結果として出てきた負担率のみで論ずべきものではないと信じます。財政支出を通じて国民に還元される公共サービスとの関連など広範な視野に立って論議さるべきものであり、欧米並みの福祉国家に接近するためには租税負担率はもう少し高くてもよいとする説すらあり、今日の国民所得現状、旺盛なる財政需要の実情などを考慮すれば、租税負担率はもちろん低いほどけっこうではありますが、まあまあ適切妥当であると言うべきであります。  また、税制調査会答申を尊重しないという論議もありましたが、特定の見地から論ずればいざ知らず、すなおに見れば、おおむね答申に従い、これを尊重していることは明らかであります。しかも、施策の全責任政府にある限り、中立的な学識経験者の御意見答申に高度の政策的なものが加味せられてこそ、真に国民の負託にこたえる政府の態度と言わなければならぬと信じます。  総論はこの程度にいたしまして、次に各法案に入りまするならば、まず所得税におきましては、国民生活の安定のため広く基礎控除、配偶者控除、扶養控除を引き上げるとともに、専従者控除及び給与所得控除等の改正を行なっております。この結果、夫婦及び子供三人の給与所得者の場合、所得税を課せられない限度は現在の約四十二万円から約四十八万円に引き上げられ、マーケット・バスケット方式による生計費を上回ることとなり、中小所得者の所得税の負担相当の軽減をされております。  法人税におきましては、軽減税率の適用所得限度額及び同族会社の留保所得課税の控除額の引き上げ、機械設備を中心とする固定資産の耐用年数の短縮により、開放経済への移行に備えて、中小企業負担軽減と企業の経営基盤強化に著しい寄与があるものと信ずるものであります。  次に、租税特別措置法でありまするが、租税特別措置については、負担公平の原則や租税の中立性を阻害するとの一面的な考え方もありますが、税制の目的も他の経済政策のそれと同じく、経済成長を促進して国民の福祉向上に資することである点を考えまするならば、公平であると同時に、経済を発展させて国民全体の所得をふやすことを考えなければならないと思います。特に現下の開放経済体制移行下においては、国内資本の充実、企業の国際競争力の強化は緊急事中の緊急事であると信じます。かかる観点に立つとき、ガット規定との関係で本年三月に廃止される輸出所得控除にかわる諸制度の創設等は、国民各位の協力と相まって、従来の輸出振興税制にかわり得るだけの効果を発揮するばかりでなく、輸出不振による企業間倒産を阻止し得る一助ともなると確信するものであります。その他、企業の資本充実と資本市場の育成のための諸措置、国産技術水準の向上をはかるための科学技術の振興措置等、いずれも時宜に適した有効な措置であると考えるものであります。  以上簡単に理由を申し述べましたが、これを要するに、三法案については、個々には問題の存するもの、改善を要するものもありまするが、総体的、大局的内に見た場合には、開放経済に移行しつつ近代福祉国家建設途上の諸需要を満たしながら、民生安定に寄与し得る妥当な法案と信ずるものであります。  ここに、当委員会における大蔵大臣の前向きの所信に期待いたしまして、賛成の思を表し、この討論を終わるものであります。(拍手)
  145. 渋谷邦彦君(渋谷邦彦)

    ○渋谷邦彦君 私は、公明会を代表して、ただいま議題となっております所得税法法人税法租税特別措置法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行なうものであります。  国民生活の安定について国民が心から要望してやまない基本的な問題の一つは、いかにすれば税金に苦しまないかということであります。低所得層にしても、中小企業にしても、これは切実な問題として常に論議の焦点になるところからも、これが事実して証明されていると思うものであります。ことに、低所得層の多いわが国においては、大衆の福祉を確保する意味においても、税負担率の軽減は最も待ち望まれるところであります。  開放経済移行に伴い、自由化による国際競争はますます激化してくることが予想され、今後の経済動向、とりわけ国際競争力を持たない中小企業のあり方は全く予断を許さない事態に至っていると言えます。加えて、預金準備率の引き上げ、あるいは公定歩合の引き上げなどによる金融引き締めは、さらに大きな波紋を投げ、それら企業の経営上の見通しについても深刻な困難が待ち受けているであろうと推測されるのであります。また、大企業に比して金融的にも税制についても何ら恩恵を受けない中小企業は、税金でも苦しまねばならないという実情であります。  租税特別措置法にしても、その適用を受ける企業はむしろ整理されるべき段階にあるにもかかわらず、増大の傾向を見せ、大企業偏重のおそれなきにしもあらずという感を深くするものであります。課税の公平という原則からも、特にわが国経済の支柱ともいうべき中小企業に対し、もっとあたたかい政治的配慮がなされることの重要性を痛感するものであり、抜本的改革が最も望まれるところであります。  しかるに、今回の改正案は、税制調査会の意向も尊重されるところとならず、その上、国民の満足を得る内容でなかったことは、まことに遺憾とするところであります。すみやかに国民の期待にこたえ得る改正の必要を強く主張して、反対の討論を終わるものであります。
  146. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 私ども民社党は、この租税三法案に反対をいたします。  その理由を明らかにいたしたいと存じます。  すでに各党から、一部を除き、賛成、反対意見が展開されましたから、きわめて簡単に申し述べたいと思います。  これに賛成する方たちは、言うなれば、大綱において減税であり、部分的に問題があるにしても、まず常道な減税案ではなかろうかということに尽きるようであります。しかし、その大綱とは何であるか。それは妥当なる線とは、何としても、必ずしも税制調査会の案が一〇〇%完全無欠ではないにいたしましても、研究の結果でありますから、これがやはり準拠さるべきものだろうと存じます。そこで今日のわが国租税負担率はやはり二〇%程度と示されておるのでありますが、それをこえた負担率は、何としても、いささか過重であると言わなければならないと存じます。  そして部分的な問題とするならば、何にも増して生活費に課税しては相ならないというのが今日の常識であるし、かつはまた徴税の原則でなければなりません。したがって、いま減税を行なうならば、何としても企業減税よりも所得減税を優先しなければならないことは、ここにおける質疑を通じても明らかであります。しかるところ、税制調査会案と政府案との違いの一番大きな部分は、何といってもこの課税最低限を引き上げられべき根拠と、さらにそれを引き上げられべき財政措置が可能であるにもかかわらず、これを政府案によって押えたという点にあるのであります。  これにすりかえて、税制調査会案と特に租税特別措置法の関係におきましては、十四も違った新たなる減税がなされておるのでございますが、そのうち配当の軽課措置であるとか、証券投資信託収益分配金に対する特別措置であるとか、こうしたものはむしろもっと一般給与所得者の減税が完ぺきになった後になさるべき措置でありまして、これらは租税特別措置法については、一部を除いて、結局大企業に奉仕をする減税案と言わなければならないと存じます。もちろん、租税特別措置法全部がけしからぬ項目ばかりではございませんけれども、しかし、いずれにしても、こうした措置は相なるべくんば規制を厳重にしなければならぬ。ところが、今回の措置によってむしろこれが反対にゆるやかになったということは事実でありまして、これらの点からいたしましても、わが党は租税三案に反対いたすものであります。
  147. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、所得税法法人税法及び租税特別措置法の一部改正法案に反対をします。  反対の理由の第一は、今回の所得税法の改正案は、本質において減税とは偽りであり、実際上の増税であり、全くごまかしの産物であるということであります。政府は、基礎、配偶者、扶養並びに給与所得控除の額をわずかばかり引き上げることによって、勤労者の所得税があたかも大幅に減税をされたかのように宣伝をしておりまするが、勤労者の実際生活は高物価のためにその内容が著しく低下しており、生産費に大きく食い込んで税金を取られているのが実態であります。全納税人口の八〇%をこえる勤労者の税金が不当に重いことは、だれの目にも明らかであります。真に勤労者の所得税を軽減するためには、いわゆる課税最低限を大幅に引き上げるべきであります。しかるに、政府は、勤労所得税に対する広範な勤労人民の減税要求には一切耳をかさないばかりか、内輪に見積った内閣税制調査会答申さえ値切って、四〇万円までは二〇%、四十万円超一〇%、最高十四万円の控除にとめてしまったのであります。こうして所得減税答申から九十四億円もむしり取って、この財源をまるまる一部の高額配当所得者の減税に振り向けるという処置をあえて行ったのであります。全く血も涙もない無慈悲残酷な措置と言わなければなりません。  政府の言う課税最低限には、今日何らの科学的根拠もありません。すでに何回も質疑の中で明らかにしてきたように、マーケット・バスケット方式とエンゲル系数とを駆使してでっち上げた基準生計費なるものは、税収奪のための反動的なごまかしの理論にしかすぎません。われわれはあくまでも、課税最低限は労働力の再生産に必要な経費でなければならず、それは社会的通念としてすでに確認され、かつ憲法が認めている文化的にして健康な生活を営む権利を保障するに足る必要な経費でなければならないものと主張します。現在、その一根拠をなすものは、言うまでもなく全国一律最低貸金制の確立でなければなりません。  また、政府は、中小企業者の税負担を軽減すると言っておりますが、これもきわめて欺瞞に満ちたものであります。いわゆる開放経済体制への移行を理由に、企業の集中合併、合理化の政策が全面的に進められている中で、中小企業政府の政策と内外独占資本の圧力で倒産が相次ぎ、新たな困難に直面しているのであります。中小業者に対する今回の減税措置は、このような状態にあえぐ中小業者にとっては何の役にも立たないことは明白であります。この減税措置と称するものは、池田内閣のいわゆる中小企業近代化政策の一翼であり、決して中小企業の独自の発展を保障するものとはなり得ないのみか、逆に合理化を早め、取りつぶしへの道を早めるだけであります。  次に、所得税制の整備合理化措置の一環と称して、芸能人、文化人等に対する所得税の源泉徴収を新たに規定していることでありますが、これは独占資本以外のところならどこからでも小魚一匹漏らさず税金取り立てようとするどん欲な収奪政策を露骨に示すものであります。  すでに衆知のように、池田内閣は民主的、自主的な団体である勤労者音楽協会、労働者演劇協会、また零細商工業者の団体、その他の大衆団体に理不尽な課税をし、あまつさえこれらに対して不当な弾圧を加えていますが、これらの事大は現内閣の過酷な大衆収奪の税政策の本質を暴露しているものであり、それは今回の改正案によって一そう露骨に示されています。われわれは、このような民主的諸団体に対する不当保税と弾圧を直ちにやめることを要求するものであります。  反対の理由の第二は、租税特別措置についてであります。租税特別措置は年々拡大し、新設して、国税地方税合わせて三千二百億円という膨大な大減税をもって独占資本に奉仕し、既得権化していることであります。中でも支払い配当課税の軽減と、証券投資信託の収益配分の分離課税新設の措置は、悪税中の最たるものであり、税負担の公平の原則をじゅうりんし、あえて社会的不正義を拡大しているのであります。このことは独占への資金の集中、証券市場の育成のために勤労者階級及び少額所得者の犠牲において行なわれるものであり、ここに今回の税制改正の基本的な特徴を見ることができます。そして今回のこの処置を突破口として、すべての配当にこのような処置を及ぼそうとする意図のあらわれであり、明らかに独占資本本位の露骨きわまる政略的な減税というべきであります。  われわれは、以上のような租税特別措置法を撤廃し、反対に膨大な利潤をあげている大資本家、大金持ちからは累進課税によってもっと多くの税金取り立てるべきであると主張します。同時に、勤労人民に対する過酷きわまる税制としての源泉課税をやめ、真の自主申告納税制を確立するとともに、真の最低賃金制を確立することと相まって課税最低限の大幅引き上げを行なうことが、所得減税の基礎であり、税制民主化の大前提であることを主張します。それはまた、すべての勤労人民の真実の要求でもあります。しかるに、今回の租税三法改正はこの方向とは全く反対であり、池田内閣は税制それ自体を来日独占資本本位の財政、金融、経済政策に完全に従属させようとしているものであり、その意図をはっきりと示したことに三法案の反動的特徴があります。  以上の理由によって、日本共産党はこの三法案に反対であります。
  148. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決を行ないます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  150. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  151. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成挙手〕
  152. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。相続税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  154. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  156. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、物品税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。物品税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  158. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  159. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、日本開発銀行法の一部を改正する法律案に反対をします。  土地造成は、一体今日までだれの利益に奉仕してきたものでしょうか。それはほとんど独占資本と大企業の進出を誘致し、そして地方自治体の財政的な圧迫を来たしてきたのであります。そのことは大阪のドイッチェ・バンクの事実、千葉県の財政逼迫の事実を見ても明らかであります。  今回のそれは、日本開銀が民間の株式会社に融資を行なって、協調融資という形で、さらに造成事業を推し進めようとするものでありますが、土地造成はこのことによって一そう投機的な事業となり、融資もまた投機的な性格を持たざるを得ません。地方開発、国土開発という名のもとで、開発公庫的な方向に道を開き、今回の融資はそうした方向をはっきりと意図したところの政策的な融資であると考えます。  よって、反対であります。
  160. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。日本開発銀行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  162. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のある方は、討論中にお述べを願います。
  163. 野々山一三君(野々山一三)

    野々山一三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行なうものであります。  この改正の中で、特に、予算の定めるところに従って自動的に公庫資本金が増資をせられるという点について、私どもはこの点を重視し、反対をするものであります。したがって、その観点から次のとおり修正案の提案をいたすのであります。  読み上げます。    北海道東北開発公庫法の一部を    改正する法律案に対する修正案   北海道東北開発公庫法の一部を改  正する法律案の一部を次のように修  正する。   第四条に二項を加える改正規定を  次のように改める。   第四条中「三十五億円」を「四十五  億円」に改める。  この修正案を提案する趣旨について申し上げたいのでありますが、その一つは、国会における審議権を本法の改正によって縮小するということであります。その結果は、議会が、公庫の運営及び国民の意思を十分に反映して適切な運営をはかるようにすべきであるという、国民の意思が十分に受け入れられないことになってしまうという点が第一の理由であります。  その第二は、予算の審議にあたって、申し上げたような点について十分な審査及び審議がなされるということであるはずであるから、前段述べたような理由は、その予算審議にあたって解消されるはずであるという意見があるのでありますが、実情、現在の予算の審議の状況を見てみますと、御案内のように、一ヵ月にわたりまして審議が行なわれるのでありますけれども、かりに具体的に大蔵省所管の予算案の審議そのものを見てみますと、細部にわたって審議する時間というものはおよそ半日ないし一日でありました。大蔵省の関係機関の全予算内容を十分審査することはおよそこの半日ないし一日の予算審議にあたって期待することはできないのであります。予算案の審議にあたって、十分に公庫の運営やあるいは国民の意思を反映して適正な運営をはかることにすればいいのではないかという意見は、およそそれをいれることはできない。  そういう二つの理由からいたしまして、私どもはこの修正案を提案し、本案に反対の意思を表明する次第であります。
  164. 天田勝正君(天田勝正)

    ○天田勝正君 わが民社党は、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案につきまして、ただいま野々山君から提出されました修正案に賛成をし、政府原案に反対をいたすものでございます。  この改正と同趣旨の輸出入銀行法の改正が先般提案されましたが、その際にわが党は政府原案に賛成をいたしました。それは事柄が輸出入銀行法であり、対外関係からいたしましても、若干でもスピーディーにものごとが運ぶという趣旨から賛成したのでありまして、ただいま野々山君も指摘されましたように、国会の審議が少しでも粗雑になりあるいはおろそかになるという点につきましては、私どもは根本から反対でございます。したがいまして、先般も、かような改正案を今後提出せざるように、政府にも申し入れを行なったのであります。  なお、すでに決議でも明らかでありまするように、予算委員会の分科会等においてこうした問題が審議されたことは、かつて一度もないのでございます。ただ、全体の予算の中で、その予算の数字という点にだけ触れたことがあるだけであります。このことは、政府答弁によって明らかであります。かように相なりますれば、ますますもって、政府は恣意に政治的な意図、あるいは党略的にも、この資本の増額等が使い得るという結果に相なるのでありまして、私どもはあくまで、これはもとどおり、そのつど、資本の増加に伴って本委員会で審議ができるように、そしてさらに、予算の面におきましては、予算委員会においてもこれが審議がせられるように望むのであります。  よって、冒頭に申し述べましたように、野々山君提出の修正案に賛成し、原案に反対をいたします。
  165. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と、呼ぶ者あり〕
  166. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、討論中に、述べられました野々山君提出の修正案を問題に供します。修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  167. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 少数と認めます。よって、野々山君提出の修正案は否決されました。  次に、北海道東北開発公庫法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  168. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。  次に、「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件」について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  169. 鈴木市藏君(鈴木市藏)

    ○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、本件を承認することに反対をいたします。  本件は、一見簡単のように見えまするが、事実は決してそうではございません。提案の理由には、「納税者の利便と税務行政の円滑な運営を図る」と説明しておりますが、これは全く正しくありません。徴税機構の強化ということは、つまり税収奪の強化にほかならないからであります。本来税金は納めるものであるならば、税務署などというものは少ないに越したことはない。なければないに越したことはないのであります。ところが、現状税金をむしり取ることになっているからこそ、このような措置が必要なってくるのであります。  また、新設を行ないながらも、税務関係労働者の定員を増加しないということは、これは労働強化を当然の前提としている証拠であります。  本件を承認できないことは当然であると言わなければなりません。
  170. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 他に御意見もないようですから、討議は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件」を問題に供します。本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  172. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって原案どおり承認すべきものと決しました。  ただいままでに議決いたしました九件の議案について、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 委員長(新谷寅三郎君)(新谷寅三郎)

    委員長新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回の委員会は明日午前十時に開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五十一分散会    ————・————