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政府委員(
佐々木庸一君) 次に、簡単に、とん税及び特別とん
税法の一部を
改正する
法律案につきまして、補足説明を申し上げます。
この
法律案は、御説明申し上げましたように、現行の
税率を二倍にしようとするものであります。この
税率を二倍にすることによりまして、増収見込み額は二十六億三千二百万円を見込んでいるわけでございますが、このうち外国船主の
負担増加見込み額は十五億七千八百万円と見ておるわけでございます。
とん税及び特別とん税の引き上げは貿易外収支の改善を目的といたしておるわけでえざいますが、いま申し上げました十五億円余はこの貿易外収支改善に役立つと思われますけれ
ども、その
金額は約四百万ドルと見込んでおるわけであります。現行の経済見通しでは、貿易外収支の赤字は三十九
年度につきまして五億ドル余になっておりますので、そのウエートは小さいとは思いますが、小さいものを積み上げて改善しなければならぬような情勢になっておるものと
考える次第でございます。
このとん税、特別とん税を三倍に引き上げ、ました倍率をきめた
考え方は、外国に比べますというと、現在の同種のものに比べまして、
日本の場合においては
かなり安いというところから来ておるわけでございます。現在の
わが国で取っておりますとん税及び特別とん税を外国に比べますと、横浜港におきまして七千トンの船が入ったという想定でやりますというと、これが二百ドルということになります。これを一〇〇としまして、同じ船が外国の港に入りました場合を
考えてみますというと、ニューヨークにおきましてはこれに対して約二割高でございます。ロスアンゼルスというようなアメリカの港は、横浜を一〇〇としますと、一二〇ぐらいになっております。ロンドンは三八二ということで約四倍になっておる。ハンブルグは一七九、ロッテルダムは二四七、低いところはシンガポールが七九、香港は一八というふうな数字になっております。調査いたしました主要な十二港を平均してみますというと、二〇三という数字になるように思います。そこで、二〇〇程度にすれば大まかに見まして諸外国並みであるというところ、また限度であると見られるところでございます。
また、提案
理由説明におきましては本邦船の
負担等御説明申し上げましたので、それを数字によって申し上げますというと、とん税及び特別とん税の引き上げによりまして、本邦船主にとりましては十億五千万円余の
負担増を生ずるという見込みが出てまいります。これに対しましては、別途固定資産税の非
課税措置がとられまして、十二億一千万円余りの
負担減となりますと計算できますので、結果としては本邦船主の
負担は一億六千万円ぐらいの減となると見込むものでございます。また、
地方公共団体におきましては、固定資産税の非
課税措置によりまして収入が減ることになります。さっきの数字十二億千六百万円というのが
地方公共団体の収入減となるわけでございますけれ
ども、特別とん税で譲与される額が十四億六千万円余り増加となりますので、これを全体といたしますれば、
地方公共団体のほうも二億四千万円の収入増ということになりまして、こちらのほうの問題も解消すると見込んでおるのでございます。結局、外国船主の
負担増十五億七千万余りが、外貨収入の増四百万ドルになっておる、こういうことでございます。
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次に、
関税定率法等の一部
改正法律案の補足説明を申し上げます。
この
法律の主要な目的は関
税率の
改正にあるわけでございます。関
税率は、御承知のように、関税定率法と関税暫定
措置法で定められておりますので、これらの
法律の一部を
改正することにお願いしておるわけでございます。
法律案そのものは、文書をごらんになりましても非常におわかりにくいと思われますので、参考資料をお手元まで
提出してございます。この参考資料をごらんになりますと、引き上げになります品目は二十品目、
引き下げになりますのは四十四、
あと従量
税率に切りかえるもの二、従量従価選択
税率に変えますもの二、関税割り当て
制度を採用するものが
二つ、これを廃止するものが八つ、その他が四品目、会計八十二品目となっておるわけでございます。これは実際に徴収します
税率が変わってまいりますものを取り上げて表にしてお示ししてございます。
また、暫定
措置で、本年三月三十一日に適用期限が参りますものが八十四品目ありますが、このうち四十五品目につきまして適用期限を延長することとして資料に掲げてございます。四十五品目以外のもののうち、二十一品目は暫定
税率を廃止いたしまして基本
税率に戻すことになるものでございます。残りの十八品目は基本
税率または暫定
税率を変更いたしますもので、前の分に含まれておるものでございます。
ところで、
内容的に申しまして、今回の関
税率をいろいろ
改正いたします際に問題になります点は、第一は、現在ガットにおきまして関税一括
引き下げ交渉が討議されておりますこととの関係であろうかと思うわけでございますが、関税一括
引き下げにつきましては、
わが国としましても貿易拡大の見地から参加する方針をとっておりますので、関
税率を引き上げることになります品目につきましては、特に慎重な配慮をいたしまして、やむを得ないものに限っております。将来関税一括
引き下げによりまして関税が下げられることによる損失を見越しまして、前もって上げておくというようなことは、国際信義上いろいろ問題が起きますので、避けておる次第でございます。
それからまた、最近、低開発国産品の関税につきましても、ガット、国際連合等におきまして
検討されておるところでございますが、今回の
改正におきましても、カリン、ツゲ、タガヤサンその他の南方材につきまして、素材、製材、加工材の現行関
税率二〇%を暫定的に無税とする
措置等を提案いたしておりまして、このような後進国の産品につきましても、可能なものはできる限り関
税率を
引き下げるように配慮した次第でございます。
さらに、最近の経済情勢の変化に応ずるために、関
税率の調整という点から見ますると、自由化問題に関連したものが非常にウエートが大きいかと思うわけでございますが、自由化との関連でこの関
税率の
改正を申し上げますと、近く自由化される予定のもののうち、現在の関
税率でそのまま自由化いたしましては国内産業に著しい影響を受けることが明らかなものにつきましては、関
税率を引き上げることにいたしておるわけでございます。映画用の天然色フィルム等がその例の
一つでございますが、現行の基本
税率三〇%を四〇%といたしました。また、ボイラー、蒸気タービン、発電機の
税率につきましても、基本
税率一五%を二〇%に引き上げることにいたしておるわけでございます。これらが自由化に対処するために引き上げた例でございます。また、しょう脳、重過燐酸石灰につきましては、近くこれも自由化する計画が立てられておるわけでございますが、その自由化後の衝撃を
考えますと、現行の関
税率では国内の
企業の保護のために十分であるとは言えないものがあるわけでありますが、他方、需要者にとりましては関
税率引き上げということがコストに影響いたしますので、この二品目につきましては関税割り当て
制度を採用いたしまして、生産者と需要者との利害の調整をはかっておるわけでございます。しょう脳につきましては、現行の
税率二〇%を、一次
税率八%、二次
税率三〇%の関税割り当てを実施することにいたしておるわけでございます。重過燐酸石灰につきましても、自由化の日から暫定的に関税割り当て
制度を一次無税、二次一五%という形で実施する計画をいたしておる次第でございます。
一方、すでに自由化いたしております品目で、自由化後の衝撃を避けますために、すでに断定的に関
税率を引き上げておったものがございます。自由化後のいろいろな情勢を見まして、それほど衝撃が出てこなかったものにつきましては、断定
税率を引き上げておく必要がないと認められるものも出てきました。揮発油販売用ポンプ、コック弁等がそれでございますが、こういうものは基本
税率に戻すことにいたしております。また、フェロマンガン、フェロモリブデン、腕時計のように、自由化後の情勢を見てまいりますというと、そう波乱はないけれ
ども、この際直ちに基本
税率に戻しますこともまた無理であると認められるものにつきましては、各産業の実情に照らしまして、現行断定
税率を若干下げまして基本
税率に近づける、すぐは戻しませんけれ
ども、順次近づけるという
措置を講じておる次第でございます。
なお、自由化に関連しまして、関税割り当て
制度を採用いたしましたもののうち、シードラック、くえん酸カルシウム等、その後の推移を見ますというと、関税割り当て
制度を存続する必要がないと認められるものも出てまいりましたので、これら八品目につきましては廃止することをお願いいたしておる次第でございます。
自由化に関連いたしますもののほか、国外の生産
事情と申しますか、供給
事情から見まして、国際価格が下がること、かどうも明らかだと判定されますものにつきましては、従量
税率を採用いたすことにいたしたものがございます。また、ナフサ、ジイソプロピルベンゼンのように、消費量の増大または技術の進歩に伴いまして原料の輸入が必要となってきたものにつきましては、製品の価格の関係を
考えまして、これらの原料の関
税率を
引き下げるという
措置もまたとっておる次第でございます。
なお、品目別におもだったものについて若干申し上げますというと、まず申し上げなければならないのは肉類かと思うのでございますが、肉類につきましては、従来一律に一〇%という関税を定めてまいっております。しかしながら、牛肉、豚肉及び家禽肉につきまして個別的に
検討しますというと、それぞれの
内容に応じまして新しく
税率を変える必要を認めたものでございます。
まず、牛肉につきましては、国産の肉は土地の関係、牧草の関係等によりまして、オーストラリア、ニュージーランドに比較いたしますと、なお
かなり割り高になっております。現在のところ農林省でいろいろ肉専用牛への改善や生産コスト低下のための諸方策を企図いたしておりますが、関税も国産保護にふさわしい
税率を定める必要がある。一方、国内需要を満たすためには今後も輸入に依存しなければならないと
考えられますので、消費者の
立場、生産者の
立場を考慮いたしまして、現行の基本
税率一〇%を二五%にすることを提案いたしておる次第でございます。
次は、豚肉でございますが、豚肉価格はきわめて変動が大きいこと御承知のとおりでございます。ところが、これは国内価格が騰貴いたしましたときに国外価格もまた高いというふうな実情になっておりまして、輸入をしますと損をするというかっこうが出てきます。このような事態に対処しますために、国外からの輸入品の価格が高いときには、そうしてまた国内の豚肉の価格が高くて輸入せざるを得ないというときには、関税を減免する
制度を提案いたしておる次第でございます。しかしながら、国内養豚農家の保護にも十分配慮をする必要がありますので、豚肉の国内価格が安定上位価格を上回った場合に限り発動する仕組みに提案いたしております。
次は、鶏の肉でございますけれ
ども、これは御承知のように、アメリカとEECの問題におきまして、チキン戦争というものが行なわれたような経緯がございます。若干その影響かと思われますけれ
ども、EECへの輸出が減退し、
わが国への輸入がまた最近急速に伸びてまいりました。
わが国の養鶏は、
わが国の特異な廃業でもございますので、大
企業としては経験も浅く、今後大いに伸びると
考えられますので、これを保護しますために、現行の
税率一〇%を二〇%にいたしております。
次に、問題になりますのは非鉄金属類かと思いますが、特に鉛亜鉛は問題であるかと
考えられます。この二品目につきましては、通産省の鉱業
審議会で合理化計画等を定める等、鋭意改善に努力をされておりますが、この
審議会の結論等にかんがみまして、鉛につきましては、現行
税率一〇%をキログラムあたり十三円に直すことを提案いたしております。そうしてこれにつきましては、国際価格の変動が激しいものでございますから、輸入価格が高騰した場合においては、需要者の
立場を考慮いたしまして、関税が低くなりますように、輸入価格が安くなりました場合には、国内の産業保護の目的を達しますために、関税が高くなるというふうな弾力的な
制度を提案いたしているわけでございます。現在のところ国際価格が高くなっておりますので、この
制度を適用いたしますというと、関税は
軽減されるという見込みでございます。
このほか、工作機械等につきましては、国産の可能になりましたものは、国産保護のために
税率を上げるというような
措置を講じております。
最後に、バナナの関税でございますが、お手元に資料が回っておりますように、
政府原案では、現行暫定
税率七〇%を、既定方針によりまして五〇%に
引き下げることを
提出いたしました。それを
昭和四十年三月三十一日までということにいたしておりましたが、
衆議院におきまして修正をせられまして、
昭和四十年三月三十一日までの間現行暫定
税率七〇%に据え置くことができるというふうに改められましたので、御報告申し上げます。
あと、端数計算等の点につきまして、関
税法を
改正いたしたものでございます。よろしくお願いいたします。