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1964-03-19 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第17号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十九年三月十九日(木曜日) 午前十一時二十一分開会
—————————————
委員
の
異動
三月十八日 辞任
補欠選任
徳永
正利
君
青木
一男
君
鍋島
直
紹君
田中
茂穂
君
高橋
衛君
佐野
廣君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
新谷寅三郎
君 理事 柴田 栄君
西川甚五郎
君 成瀬
幡治
君 渋谷 邦彦君 天田 勝正君
委員
大竹平八郎
君 栗原 祐幸君
佐野
廣君 津島 壽一君 日高 広為君 堀 末治君 柴谷 要君
野々山一三
君 野溝 勝君 原島 宏治君 鈴木
市藏
君
政府委員
大蔵政務次官
齋藤
邦吉
君
大蔵大臣官房
財務調査官
松井
直行
君
大蔵省主税局長
泉
美之松
君
事務局側
常任委員会専門
員
坂入長太郎
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
租税特別措置法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
参考人
の
出席要求
に関する件
—————————————
新谷寅三郎
1
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) ただいまから
大蔵委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨十八日
徳永正利
君、
鍋島直紹君
、
高橋衛
君が辞任され、その
補欠
として
青木一男
君、
田中茂穂
君、
佐野廣
君が選任されました。
—————————————
新谷寅三郎
2
○
委員長
(
新谷寅三郎
君)
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
、
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
、以上いずれも
予備審査
の三案を
一括議題
といたします。 まず、三案につきまして、
提案理由
の
説明
を順次聴取することにいたします。
齋藤大蔵政務次官
。
齋藤邦吉
3
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) ただいま議題となりました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
外二
法律案
につきまして、
提案
の
理由
及びその概要について御
説明
申し上げます。 最初に、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
について、御
説明
申し上げます。
政府
は、今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な
租税制度
を確立するため、一昨年
税制調査会
を設け、鋭意
検討
を加えてまいりましたが、昨年末、同
調査会
から、最近における
経済情勢
の推移に応じて、
現行税制
につき、さしあたって
改正
を必要とする
事項
について、
昭和
三十九年度の
税制改正
に関する
臨時答申
を得たのであります。その後、
政府
におきまして、同答申を中心にさらに
検討
を重ねた結果、
昭和
三十九年度におきましては、
中小所得者
に重点を置いて
所得税
の
負担
を
軽減
するとともに、当面要請される
企業資本
の
充実
と
設備
の更新を促進し、産業の
国際競争力
の
強化
に資する等のための
措置
を講ずることとし、国税において平年度千三百七十億円程度の減税を行なうことといたしたのであります。これらの
税制改正
諸法案のうち、今回、ここに、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
を提出した次第であります。 まず、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
の内容について、その
大要
を御
説明
申し上げます。 第一は、
中小所得者
を中心とする
所得税負担
の
軽減
をはかることであります。すなわち、
基礎控除
を現在の十一万円から十二万円に、
配偶者控除
を現在の十万五千円から十一万円に、それぞれ
引き上げ
ることとするほか、五万円の
扶養控除額
が適用される
年齢区分
を、現在の十五歳以上から十三歳以上に引き下げてその
範囲
の
拡大
をはかるとともに、十三歳
未満
の
扶養親族
の
扶養控除額
についても、現在の二万五千円を四万円に
引き上げ
ることとしております。また、最近における
給与支給額
の
上昇等
を考慮して、
専従者控除
について、
青色申告者
の場合は、年齢二十歳以上の
専従者
の
控除限度額
を現在の十二万五千円から十五万円に、二十歳
未満
の
専従者
の
控除限度額
を現在の九万五千円から十二万円に、
白色申告者
の場合は、その
専従者
の
控除額
を現在の七万五千円から九万円に、それぞれ
引き上げ
ることとするほか、特に
給与所得者
の
負担
の現状に顧み、
給与所得控除
について、
定額控除
を現在の一万円から二万円に、
控除限度額
を現在の十二万円から十四万円に、それぞれ
引き上げ
ることとしております。 以上申し述べました諸
控除
の
引き上げ
により、
夫婦子
三人の計五人家族の
標準世帯
を例にとりますと、
所得税
が課されない
所得
の
限度
は、
給与所得者
では、現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、
事業所得者
のうち、
青色申告者
については現在の約三十九万円までが約四十三万円までに、
白色申告者
については現在の約三十三万円が約三十七万円までに、それぞれ
引き上げ
られることになるのであります。 次に、
退職所得
の
特別控除額
について、現在、
在職期間
の
年齢区分
に応じ四十歳まで三万円、四十歳超五十歳まで四万円、五十歳超五万円となっているのを、
年齢区分
を廃止して一律に勤務一年につき五万円とすることとし、また、
生命保険料控除
について、
支払い保険料
の全額が
控除
される
限度額
を、現在の二万五千円から二万円に、その
控除
の長岡の
限度額
を、現在の三万二千五百円から三万五千円に、それぞれ
引き上げ
るとともに、
住宅
または家財について支払った
損害保険料
について、
保険期間等
が十五年
未満
の
短期
の
火災保険
の場合は二千円を、
保険期間等
が十五年以上の
長期
の
建物更生共済等
の場合は五千円を、それぞれ
限度
としてこれを
課税所得
から
控除
する
制度
を創設することとしております。 さらに、
譲渡所得等
の
特別控除額
について、現在の十五万円の
定額控除額
を
免税点方式
を加味した
方式
に改め、三十万円までの
所得
は
課税
しないこととするとともに、三十万円から四十五万円までの
所得
についての
控除額
を
引き上げ
るほか、
寄付金控除制度
についても、
控除対象限度額
を、現在の
所得
の一〇%から
所得
の二〇%に、
控除額
を、現在の
控除対象寄付金
の二〇%から三〇%に、それぞれ
引き上げ
ることとしております。 第二に、
所得税制
の
整備合理化措置
の
一環
として、
短期保育
の
資産
の投機的な
譲渡
による
所得
に対する
課税
について、
半額課税等
の
方式
をとらないこととすること、
芸能法人
の受ける
報酬
または料金について新たに
所得税
の
源泉徴収
を行なうこととすること、
勤労学生控除
の
対象
となる
勤労学生
の
要件
のうち、
合計所得
の
制限額
を現在の二十万円から二十五万円に
引き上げ
ること、
申告書
の
公示限度
を、現在の二百万円から五百万円に
引き上げ
ること、
昭和
三十九年分の
予定納税基準額
の計算の
簡素化
をはかること等、所要の
規定
の
整備
をはかることといたしております。 なお、ただいま申し上げました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、別途、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
中
修正案
を提出いたしましたので、その趣旨を御
説明
申し上げます。 ただいま申し上げました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
中別表第三の
給与所得
の
所得税源泉徴収額表
の一部につきまして、計算上の手違いから誤謬がありましたので、これを改めるため、この
法律案
の一部を修正いたしたいと存じまして、
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
中
修正案
を提出いたした次第でございます。
—————————————
次に、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
について御
説明
申し上げます。
法人税法
におきましては、
中小企業者
の
税負担
の
軽減措置
の
一環
として、
普通法人
の各
事業年度
の
所得
に対する
法人税
の
軽減税率
の
適用限度額
を現在の二百万円から三百万円に
引き上げ
るとともに、
同族会社
の
課税留保所得
を計算する場合の
控除額
を、現在の
所得金額
の一五%と百万円とのいずれか大きい
金額
から
所得金額
の二〇%と百万円とのいずれか大きい
金額
に
引き上げ
ることといたしております。
—————————————
最後に、
租税特別措置法
の
改正
について御
説明
申し上げます。
政府
は、
昭和
三十九年度
税制改正
の
一環
として、さきに提出いたしました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
及び
法人税法
の一部を
改正
する
法律案等
の
改正
諸法案に引き続き、
企業
の
国際競争力
の
強化
及び
自己資本
の
充実
、
資本市場
の育成並びに
科学技術
の
振興等
の
措置
を講ずる必要があるので、ここにこの
法律案
を提出いたす次第であります。 以下、この
法律案
の内容につきまして、その
大要
を申し上げます。 第一は、
輸出所得
の
特別控除制度
は、本年三月末にその
適用期限到来
と同時に廃止するわけでありますが、
国際収支
の
安定改善
をはかることが緊要でありますので、この際
企業
の
国際競争力
の
強化等
に資するため、次の
措置
を講ずることとしております。 その一は、
輸出割り増し償却制度
について、その
適用期限
を三年間延長するとともに、
普通償却範囲額
に
輸出割合
を乗じた額の八〇%に相当する額を
割り増し償却
の
範囲額
とすることとし、
制度
の
簡素合理化
をはかることとしております。 その二は、
技術輸出所得控除制度
につき、その
適用期限
を五年間延長するとともに、
取引基準
にかかる
控除割合
を、
海外
への
技術提供
による
収入金額
の五〇%から七〇%に
引き上げ
、さらに、その
適用対象
に
対外支払い手段
を対価とする
コンサルティング業務
の
収入
及び
輸出貨物
の運送その他
対外支払い手段
を対価とする
運送業務
の
収入
を含め、この場合の
取引基準
にかかる
控除割合
は、それぞれ
収入金額
の二〇%又は三%とすることとしております。 その三は、
海外市場
の
開拓
に必要な特別の支出に備えるため、
昭和
三十九年四月一日から五年間、商社については
輸出取引額
の〇・五%、
製造業者
については同じく一・五%
相当額
の
損金算入
を認める
海外市場開拓準備金制度
を創設することであります。 なお、右の
準備金
にかえ、
中小企業
が共同して行なう
市場調査費用等
に充てるため、
商工組合
に対し
輸出
を行なう
所属組合員
が納付する
賦課金
でその
賦課基準
が
当該組合員
の
輸出取引額
の二・五%以下のものについては、これを
損金
に算入するとともに、その
賦課金
の納付を受けた
商工組合
についても、それに見合う
中小企業海外市場開拓準備金
の設定を認めることにより、その
賦課金
の
非課税留保
を認めることとしております。 その四は、新
開発地域
に対する
投資
を促進するため、
昭和
三十九年四月一日から五年の間に行なわれる新
開発地域
に対する特定の
投資
について、その
取得価額
の二分の一
相当額
以下の
金額
の
損金算入
を認める
海外投資損失準備金制度
を創設することであります。 第二は、
企業
の
資本充実
に資する
見地
から、
支払い配当
に対する
法人税率
を二八%から二六%に
軽減
することとしております。これに伴い、
年所得
三百万円以下の部分に対応する
支払い配当
及び
特別法人
の
支払い配当
に対する
法人税率
も、二四%を二二%に、二〇%を一九%に、それぞれ
軽減
することとしております。なお、
配当受け取り株主
の益金不
算入割合
及び
配当控除割合
は据え置くこととしております。 第三は、
資本市場
の育成に資するため、新たに次の
措置
を講ずることとしております。 その一は、
証券投資信託
の
収益分配金
について、
昭和
四十年三月三十一日までに支払われるものに対し、五%の
税率
による
源泉分離課税方式
を採用することであります。 その二は、
証券取引
において生ずる事故についての
証券業者
の
補償責任
の
明確化
をはかる
措置
の
一環
として、
昭和
三十九年四月一日から五年の間、
売買株式数
を
基準
として
一定
の
割合
で積み立てた
証券取引責任準備金
の
損金算入制度
を創設することであります。 第四に、
科学技術
の振興に資するため、次のような
措置
を講ずることとしております。 その一は、
現行
の
試験研究用機械設備等
の
初年度
三分の一
特別償却制度
及び
開発研究用機械設備等
の
初年度
十分の一
特別償却制度
を統合して、その
拡大
をはかり、
昭和
三十九年四月一日から三年の間に
取得
した
開発研究機械等
については、
初年度
において
取得価額
の九五%
相当額
を償却できることとすることであります。 その二は、
鉱工業技術研究組合
に対する
支出金
の
特別償却制度
について、その
償却割合
を、
初年度
において七〇%、自後二年間にそれぞれ一五%としておりますのを、
初年度
において 一〇〇%償却できることとすることであります。 その二は、
重要国産技術
の
開発
に資するため、
一定
の条件のもとに、国産第一号機の
取得
につき
初年度
三分の一の
特別償却制度
を創設することであります。 第、五に、以上のほか、
特別償却制度
について次のような
改正
を行なうこととしております。 その一は、
住宅建設
の促進に資するため、
現行
の
新築貸し
、
家住宅
に対する
割り増し償却制度
の
償却割合
を、
昭和
三十九年四月一日から三年の間に新築したものについて、
現行
の十割
増し
を二十割
増し
に、
耐火構造
のものについては二十割
増し
を三十割
増し
に、それぞれ
引き上げ
ることであります。 その二は、
工業用水法
に
規定
する井戸から
工業用水道
への
強制転換施設
につき、
初年度
三分の一の
特別償却制度
を創設することであります。 その三は、
現行
の
重要産業用合理化機械
の
特別償却制度
につき、その
償却割合
を
初年度
三分の一から四分の一に縮減することであります。 その四は、
現行
の
探鉱用機械設備
の
特別償却制度
につき、その
償却割合
を
初年度
九〇%から
初年度
九五%に
引き上げ
ることであります。 第六に、
海運業再建整備
に伴う
措置
の
一環
として、船舶の
減価償却
に関し、
運輸大臣
の承認を受けた
整備計画
の実施中は、船舶についての
償却不足額
の打ち切りを行なわないこととするほか、その
整備計画
に基づく
合併等
に際しては、
償却不足額
の引き継ぎを認めることとしております。 第七は、
協同組合
に対する
課税
の
特例
といたしまして、
農業協同組合
、
漁業協同組合
、
事業協同組合
、
事業協同小組合
及び
商工組合等
のうち、
一定
の
要件
に該当するものに対しては、
留保金
が出資の四るの一に達するまでは、
昭和
三十九年四月一日から五年の間に終了する各
事業年度
における
留保所得
の二分の一について、
法人税
を課さないこととする
制度
を創設することとしております。 第八に、
森林組合
が
森林組合合併助成法
に基づいて合併した場合には、
現行
の
資産
の
評価益分
の
清算所得
に対する
課税
の
繰り延べ措置
のほか、新たに被
合併組合
の
積み立て金
からなる部分の
清算所得
につき
非課税
とする
措置
を講ずることとしております。 第九は、
医療法人
に対する
課税
の
特例
として、
医療法人
のうち、その
事業
が公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的な運営がなされるものとして
大蔵大臣
の承認するものについては、その
所得
に対する
法人税率
を、
現行年
二百万円超三八%、年二百万円以下三三%から、一律に二八%に
軽減
することとしております。 第十は、
石油資源開発株式会社
の
昭和
三十四年三月期及び
昭和
三十五年三月期の
欠損金
については、その繰り越し
控除
できる
期間
を、五年から八年に延長することとしております。 第十一は、
法人
の
交際費
の
損金
不
算入制度
の
改正
であります。すなわち、この
制度
の
適用期限
をさらに三年間延長するとともに、最近における
交際費支出
の状況に顧み、その
控除額
を、現在の年三百万円と
資本金額等
の千分の一との
合計額
から年四百万円と
資本金額等
の千分の二・五との
合計額
に
引き上げ
るとともに、
損金
不
算入割合
を二〇%から三〇%に
引き上げ
ることとしております。 第十二は、
開墾地等
の
農業所得
及び
土地改良事業施行地
の
後作所得
に対する
所得税
の
免税措置
について、その
適用期限
を三年間延長するとともに、
適用対象農産物
の
整理合理化
をはかることとしております。 第十三は、
贈与税
の
課税
の
特例
でありますが、農業を経営する個人が
推定相続人
に
農地
を贈与してその
農業経営
を行なわせる場合には、
一定
の条件のもとに、
贈与税
の
納期限
の延長を認めるとともに、その後相続があったときには、その
農地
を
相続財歴
に含めて
相続税
を課することとし、
贈与税
との調整をはかることとしております。 第十四は、
ブドウ糖
の
消費促進
をはかるため、
一定
の規格の
ブドウ糖混和糖水
については、
砂糖消費税
の
税率
を一キログラム当たり十二円から七円に
軽減
することとしております。 第十五は、
昭和
三十八年度末に
期限
の到来する
特別措置
のうち、特定のものについての
期限
の延長であります。すなわち、航空機の
通行税
の
軽減措置
については一年、
増資登記
に対する
登録税
の
軽減措置
、
農地
の交換による
所有権取得登記
及び
開拓農地
の
取得登記
に対する
登録税
の
特別措置等
については三年と、それぞれその
適用期限
を延長することといたしております。 最後に、
商法改正
に伴う
規定
の
整備
をはかるほか、最近における
石油化学工業
の進展に即応するため、
石油化学製品
の製造のための用途に消費される
揮発油
に対する
免税規定等
の
整備合理化
をはかることとしております。 以上が
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
外二
法律案
の
提案
の
理由
及びその
大要
を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
新谷寅三郎
4
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 以上をもちまして
提案理由
の
説明
は終わりました。
—————————————
新谷寅三郎
5
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) この際、
参考人
の
出席要求
に関する件についておはかりいたします。
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
、
法人税法
の一部を
改正
する
法律案
、
租税特別措置法
の一部を
改正
する
法律案
、以上三案の
審査
のため、
参考人
の
出席
を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
新谷寅三郎
6
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 御
異議
ないと認めます。 なお、この日時及び
人選等
については、これを
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
新谷寅三郎
7
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————
新谷寅三郎
8
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) それでは、引き続きまして、三案につきまして
補足説明
を聴取いたします。
松井財務調査官
。
松井直行
9
○
政府委員
(
松井直行
君)
政務次官
から
提案理由
の
説明
がございました
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、補足して御
説明
申し上げます。 まず、
課税最低限
の
引き上げ
でございますが、最近の
生計費
の
動向等
をも考慮いたしまして、十二条にございます
基礎控除
一万円、十一条の九にございます
配偶者控除
、十一条の十にございます十三歳
未満
の
扶養親族
の
控除
を、それぞれ五千円
引き上げ
ることにしております。このほかに、
年齢別
に栄養の
摂取量
、ひいては
生計費等
から
検討
を加えました結果、五万円の
扶養控除
が適用されております
年齢区分
を、現在の十五歳以上から十三歳以上というふうに引き下げまして、その
範囲
の
拡大
をはかることにいたしております。また、最近におきます
同族法人
の
給与
の
支給額
の動向、それから農家におきます
家族労働報酬等
をしんしゃくいたしまして、十一条の二にございます
専従者控除
につきまして、
青色申告者
の場合にはその
限度額
を二万五千円、
白色申告者
の場合には一万五千円
引き上げ
るということにいたしております。特に九条一項の五号でございますかにございます
給与所得者
の
負担
の
軽減
をはかる
目的
をもちまして、
給与所得控除
につきまして、主として
低額所得者
に
恩典
が参ります
定額控除
一万円
引き上げ
、さらに
昭和
三十二年以来ずっと据え置きになっております
控除
の
最高限度額
を二万円
引き上げ
るということにいたしております。 次に、
給与所得者優遇
の
一環
でございますが、最近におきまする
退職者
の
退職
後の
実情等
を考慮いたしまして、
退職所得
の
負担
の
軽減
をはかり、かつまた、
制度
の
簡素化
をはかるという
目的
で、現在在職時の
年齢区分
によりまして三万、四万、五万と三本立ての
特別控除
がございますが、これを
年齢区分
を廃しまして、一律に
勤務年限
一年について五万円を
特別控除
いたします。九条一項の六号でございます。 それからまた、
生命保険料控除
につきまして、
保険料
の
全額控除
の
対象
になっております
限度額
が三十二年以来据え置かれております。最近におきまする
生命保険
の
契約状況
、
控除
の
実績等
を勘案いたしまして、
全額控除
の
対象
となります
限度
の一万五千円を二万円に
引き上げ
るということにいたしております。その結果、
控除
の
最高限度額
は、現在の三万二千五百円から三万五千円に
引き上げ
るということになります。 さらに、今回新たに、全く新たに加わった
事項
でございますが、十一条の八に
損害保険料控除
という
制度
を創設いたすことにしておりますが、これは、
国民生活
の安定、
住宅事情
の緩和をはかる等の
見地
から、まだ外国にその例を見ておりません
損害保険料控除
という
制度
を新たに設けることにしております。
住宅
、
家財等
につきまして支払われました
損害保険料
につきまして、
保険期間
が十五年
未満
の通常の
火災保険等
の場合は二千円、
保険期間
を十五年以上の
長期
でございます
建物更生共済等
の場合は五千円を、それぞれ
限度
として、これを
課税所得
から
控除
する
制度
を創設することとしております。なお、
長期
の
建物更生共済等
の十五年かつ五千円というこの
事項
は、衆議院におきまして一部修正される模様になっております。 このほか、諸
控除
の
引き上げ
といたしましては、
譲渡所得等
の
特別控除額
と
帯付金控除
の
引き上げ
、この二つがございますが、まず
譲渡所得等
の
特別控除
につきましては、これが
昭和
二十八年以来ずっと据え置かれておりますことと、最近におきまする
譲渡所得等
の実態を勘案いたしまして、これを
引き上げ
ることにいたしておりますが、本来
譲渡所得等
の
特別控除
という
制度
は、あまりにも小さいものは追及しないというところに
趣旨
がございますので、
金額
、かいかに多くなっても、すべてこれを適用するということがいろいろ問題がございますので、
特別控除額
の
引き上げ
の機会に、一部
免税点方式
を加味いたしまして、
譲渡所得
が三十万円以下のときには
非課税
にするということにいたしております。なお、十五万という
現行
の
恩典
は、やはり
既得権
といたしまして、
高額者
にも残す必要がございますので、四十五万以上は十五万ということにいたしまして、三十万の
免税点
と四十五万以上の十五万との間の
調整
をとる必要上、
譲渡所得
が三十万円をこえまして四十五万
未満
の場合は、六十万からその
譲渡
した
所得等
の
金額
を
控除
した
金額
を
特別控除額
として引くということにいたしております。 次に、
寄付金控除制度
でございますが、最近の
寄付金控除
の
適用状況
をいろいろしんしゃくいたしまして、
控除対象
の
限度額
を現在は
所得
の一〇%ということになっておりますが、これを二〇%に、
控除額
を、現在の
控除対象
になりました
寄付金
の二〇%ということでございますが、これを三〇%に
引き上げ
るということにいたしております。 なお、
所得税制
の
整理合理化
の
一環
といたしまして、次の
措置
を講ずることにいたしております。 第一は、
保育期間
が三年
未満
の
短期保有
の
資産
の
譲渡
による
所得
につきまして、現在
半額課税
または五分五葉
方式
というものがございますが、こうした
短期
の投機的な
取引
によって生じた
所得
と見られるものにつきましては、こういう半額
課税制度
にはよらないで
全額課税
をしたいということでございます。 その二は、
芸能法人
が受けます
報酬
、
料金
につきまして、
源泉徴収
の
制度
を新たに実施する
見地
から、
個人
が受けます場合と同様に、一〇%の
税率
によって
源泉徴収
を行なうということにしたわけでございます。 その三は、
法人
の
利益処分等
による賞与で
支払い
が遅延しているものにつきましては、現在すでに
配当所得等
について行なっております
所得
と同様に、
支払い
が確定した日から一年を経過した日において
源泉徴収
を行なうものとするということでございます。 その四は、
勤労学生
の
要件
であります二十万円を二十五万円に
引き上げ
る。これは
政務次官
の御
説明
のとおりでございます。 第五は、競走馬などの資金
収入
と、それから競走馬を売却いたしますときの損益通算の問題でございますが、現在は、主として
個人
の趣味もしくは娯楽のための行為あるいは生活に通常必要でない
資産
にかかります
所得
の
計算
上生じました損失は、他の
所得
との通算は一切これを認めないということにいたしておりますが、競走馬が獲得します賞金
収入
と競走馬を売却したときの
収入
とは、両方とも競走馬から生じた
収入
でありますので、これを一体と見て、一方に損失があり他方に利益があれば通算をやろうというのであります。 その六は、
支払い
調書に関する
規定
の
整備
でありますが、不動席
所得
及び
譲渡所得
課税
の
充実
を期し、かつ、その円滑化をはかる意味から、従来
法人
だけが提出いたしておりました不動産の使用料及び不動産の譲り受け
対価
の
支払い
調書を、今回不動
産業
者である
個人
についても提出させることにいたします。それから、不動産のあっせんにかかる調書を新たに不動
産業
者に提出させるということにいたします。 その七は、
申告書
の
公示限度
でございますが、
昭和
三十二年以来据え置かれておりますために、最近の
所得
水準も非常に上がってまいっておりますので、これを反映いたしまして、公示
対象
者が非常にふえております。これを二百万円から五百万円に
引き上げ
るということでございます。
最後
に、
改正
法の施行に伴います経過
措置
でございますが、
昭和
三十九年分の
予定納税基準額
、これは御承知のように、三十八
年度
の確定申告しました納税者につきましては、その三分の一を七月と一月に払うという、この予定納税額の
基準
額というものの
計算
がございますが、従来、新しい税法の
改正
がありますと、各人ごとに新しい
控除額
を適用して
計算
をし直すということにしておったのでございます。これが非常に繁雑でございましたので、手続を合理化するという
見地
から、「
昭和
三十九年分の
予定納税基準額
算出のための
控除額
表」というものを作成いたしまして、簡単に改算後の税額が求められるというふうに、所要の
規定
の
整備
をはかったわけでございます。
—————————————
次は、
特別措置
法の一部を
改正
する
法律案
につきましての
政務次官
の
提案理由
につけ加えて御
説明
申し上げます。
趣旨
説明
が
事項
別になっておりますので、
事項
別に従って御
説明
申し上げます。 第一は、
国際競争力
の
強化
に関する問題でございます。 その一は、
輸出割り増し償却制度
でございます。
個人
関係は
措置
法の十三条の二、
法人
関係は四十六条のだ条文がございますが、
適用期限
は四十二年三月三十一日まで三年間
延長
をするとともに、かつ、
制度
を大幅に拡充いたしまして、
普通償却範囲額
に
輸出割合
——
輸出割合
といいますのは、総
収入金額
の中に
輸出
収入金額
が占める
割合
でございますが、
輸出割合
を乗じた額の八〇%に相当する額を
割り増し償却
の
範囲額
とするということでございます。この場合に、
輸出割合
の
計算
の基礎になります
輸出
収入金額
は前年の実績によって算定するということにいたしまして、従来よりも
制度
が
簡素化
、合理化されることになります。 その二は、
技術輸出所得控除制度
でございますが、
個人
は二十一条、
法人
は五十八条にございます。これも
適用期限
を
昭和
四十四年三月三十一日まで五年間
延長
いたしますが、まず工業所有権などの
譲渡
とか提供による
収入
につきましては、
取引基準
にかかる
控除
の
割合
は、
収入金額
の
現行
五〇%から七〇%に
引き上げ
ます。それから第二は、コンサルティングの業務によります
収入
というものが、新しい業務になってまいっておりますので、この業務
収入
を新しく
控除対象
に加えまして、
取引基準
にかかる
控除
の
割合
は、その
収入金額
の二〇%ということにいたします。次に、
輸出貨物
の
運送
その他の
運送
による
収入金額
につきましては、
取引基準
にかかわる
控除割合
は、これを三%とする。なお、この場合の
所得
基準
は、これらの
運送
収入
にかかる
所得金額
の八〇%を据え置くこととする。これはガット関係でいろいろ問題がございまして、
輸出所得
控除
を全面的に廃止する方針でございますが、
運送
収入
等につきましては、ガット違反にならないということで、かつまた、業態の再建
整備
の必要性ということも考えまして、この
部分
だけは残っておるのでございます。 その三は、
海外市場開拓準備金制度
でございますが、
個人
は二十条、
法人
は五十四条に
規定
がございます。これは
海外市場
開拓
のために特別に必要とする将来の
支出
に備えまして、
昭和
三十九年四月一日から
昭和
四十四年三月三十一日までの五年間におきまして、それぞれその前年の
輸出取引額
の一・五%、商社につきましては〇・五%
相当額
の
損金算入
を認めるということにすることでございます。なお、
海外市場
開拓
準備金
勘定に繰り入れられました
金額
は、そのあくる年から五年間に均等に分割して益金に算入するということになっておりますので、毎期の繰り入れ額のおよそ大体三倍が最高になる
計算
でございます。いま申し上げました
準備金
にかえまして、
中小企業者
につきましては、まあ各自がそれぞれの
企業
の内部に留保してかってに市場
開拓
をやるというよりも、共同してやったほうが一そう有効であるという場合がございますので、
商工組合
に対しまして
輸出
を行ないます組合員が納付する
賦課金
で、その賦課の
基準
が組合員の
輸出取引額
の二・五%以下のものについては、これを組合員の
所得
の
計算
上
損金
に算入する。普通の場合は、各
企業
の内部に積む場合は、先ほど申しました一・五%でございますが、
中小企業
の場合は、二・五%以下のものにつきましては
損金算入
。一方
賦課金
の納付を受けました
商工組合
につきましても、
賦課金
に見合います
中小企業海外市場開拓準備金
勘定というものの積み立てを承認することにいたしております。なお、この繰り入れ
金額
につきましても、繰り入れ後五年間に分割して益金に算入するということは、先ほど申し上げたのと同様でございます。 その四は、
海外投資損失準備金制度
、これは新たに五十六条で設けられた
制度
でございますが、新
開発地域
——ありていに申せば低
開発
国でございますが、新
開発地域
に対しまする
投資
を
促進
するために、三十九年四月一日から四十四年三月三十一日までの間に行なわれます新
開発地域
に対しまする
投資
といたしまして、新
開発地域
法人
——これは新
開発地域
内で
事業
を営む
事業
法人
でございますが、御存じのように、南米等につきましては、日本の大きな会社が工場を直接つくるということは許されず、現地の民族資本と合同した合弁会社という
制度
をとることが多いわけでございますので、そうした新
開発地域
の
事業
法人
に対する株式の出資で一〇%以上持つということになった場合、あるいは、
海外
投資
法人
と申しまして、こういう新
開発地域
法人
に
投資
することをもっぱら
目的
としております内地にできた
法人
、たとえばウジミナスというようなものでございますと、その株式で一%以上保有するというようなことになった場合には、この
取得価額
の五〇%
相当額
以下の
金額
を
損金算入
として認めるという
海外投資損失準備金制度
というものを新たに設けました。なお、
海外
投資
損失
準備金
勘定に繰り入れました
金額
は、繰り入れ後五年間据え置きまして、六年目から五年間かかって均等に分割して益金に算入するということでございます。すでにドイツにこの
制度
がございます。 第二は、
企業資本
の
充実
のための
措置
でございます。
特別措置
法四十二条にございます。
企業
の
資本充実
に資するため、
法人
の
所得
のうち配当の
支払い
に充てる
部分
の
金額
に対する
法人税率
の
軽減
でございます。
普通法人
については、現在
年所得
三百万円超が
現行
二八%を二六%に、
年所得
三百万円以下のものが
現行
二四%を二二%に、それから
協同組合
等の
特別法人
につきましては
現行
二〇%を一九%にいたす
制度
であります。なお、
現行
配当
部分
の
税率
は低下されております。 第三は、
資本市場
の
育成
に関する問題でございます。 その一は、
証券投資信託
の
収益分配金
に関してでございます。これは
措置
法の八条の二にございます。これは
昭和
三十九年四月一日から
昭和
四十年三月三十一日までの間に
支払い
を受けるべき
証券投資信託
の
収益分配金
、これはユニットもオープンも一緒でございますが、そういう収益の分配金につきましては五%の
税率
によって源泉分離
課税
を行なうものでございます。 その二は、
証券取引責任準備金
、これも全く新しく創設される
制度
でありまして、
措置
法五十七条にございます。これは
証券取引
において生じましたお客さんと
証券業者
との間の事故につきまして、
証券業者
の
補償責任
というものを明確にいたします。これは証券業協会を
中心
にいたしまして、第三者を加えてこういう裁定機関を設けるという
制度
を一方においてはかるということにいたしておりますので、税法もそれに合わせまして、お客さんの保護をはかる
措置
といたしまして、この
証券業者
が三十九年の四月一日から四十四年三月三十一日までの五年間に、その
売買株式数
を
基準
といたしまして、
証券取引責任準備金
というものを設けた場合には、これの
損金算入
を認めるということでございますが、毎期の繰り入れ
限度額
は、
売買株式数
を三銭に乗じた
金額
、一株三銭でございます。それから、累積
限度額
は、毎期期末に
証券取引責任準備金
の預託金といたしまして、これは証券業協会に積むことになっておりますが、その積んだ額か、あるいはその
事業年度
及び前二年以内の
事業年度
のうち
売買株式数
の最も多い
事業年度
掛ける十銭、これのいずれか低いほうを最低
限度
ということにいたします。もう一ぺん申し上げますと、毎期の繰り入れば三銭掛ける
売買株式数
、それから最高
限度
はその
事業年度
とその前二年以内の
事業年度
のうち最も株の出来高の多かった
事業年度
の株式数を十銭に掛ける、それを最高
限度
とするということでございます。なお、
証券業者
は証券事故によります損出が現に生じましたときには、むろんこの
準備金
勘定から取りくずして益金に入れるということに相なります。なお、
証券業者
の各
企業
の手元にこういう形で特別な勘定を設定させます関係上、一方におきまして、現在、
証券取引
所に違約損失補償
準備金
と申しまして、その会員間の違約に備えるための
準備金
がございますが、この積み
増し
は当分停止するということにいたしております。これにかえまして、
証券業者
の各
企業
の手元へ
証券取引責任準備金
というものを積まそうというわけでございます。 第四は、
科学技術
の
振興
の問題でございます。 その一は、
開発
研究用機械等の特別償却、これは
所得税
関係では十二条、
法人税
では四十四条でございます。現在、主務大臣の承認を受けました試験研究用機械
設備
につきましては、その
取得
しました最初の
年度
に三分の一の特別償却、承認でないただ通知だけがあった
開発
機械
設備
につきましては、
初年度
に
取得
額の十分の一という特別償却をつけることにいたしますが、これを一緒にしてその
措置
の
拡大
をはかるとともに、三十九年四月一日から四十二年三月三十一日までの三年間に新たに
取得
いたしましたこれらの機械
設備
につきましては、
初年度
取得価額
の九五%
相当額
を償却できるということにいたします。 その三は、
鉱工業技術研究組合
に対する
支出金
、
所得
十八条、
法人
は五十二条でございます。これは
政務次官
の御
説明
どおりでございます。 その三は、
重要国産技術
の
開発
、これは
法人
関係は四十三条でございますが、
重要国産技術
の
開発
に資するために、非常に大型でありまして、その製造に高度な生産技術が必要であり、かつたいへんな費用を要するという機械につきましては、メーカーも、それから新たに注文して初めて設置する
企業
家のほうにおきましても、いろいろな不安と危険がございます関係上、かつまた、国家技術の奨励という意味から、この
法人税法
施行地におきまして最初に製造着手されるもの、これはいわゆる
国産
一号機と言っておりますが、この
国産
一号機を
取得
した場合には、
初年度
取得
額の三分の一の特別償却を認めようというものでございます。
成瀬幡治
10
○成瀬
幡治
君 もう一ぺん
説明
してください。よくわからないので……。
松井直行
11
○
政府委員
(
松井直行
君) これはこういう機械の秘類を考えております。大型で、かつ非常に高価な機械でございまして、その製作技術を
開発
するのか非常に緊要である。それで、需要者の注文がなければつくらない。結局発注があってから生産する機械である。それから、
国産
機械が
開発
されない場合には、同じような性能の機械が
海外
から輸入される以外に方法がないというような機械。現在どんな機械があるかと申しますと、いまのところは連続圧延機、それから遊星圧延機、それから非常に大きな超大型の工作機械、大体そういうようなものがいま考えられております。需要者の発注がなければできない、注文生産にたよる以外に方法がない、こういう機械
設備
につきましては、その第一号機について特別償却を承認しようというものでございます。 第五は、その他の特別償却でございます。 その一は、貸し
家住宅
の特別償却につきましては、これは
個人
が十四条、
法人
は四十七条にございます。これも
政務次官
からの御
説明
のとおりでございます。 その二は、
工業用水道
施設の特別償却、これは
個人
は十一条、
法人
は四十三条に
規定
がございます。これは
工業用水法
による規制を受けます井戸から強制的に
工業用水道
へ転換させられたという場合、こういう強制転換の施設であるというところに着目いたしまして、
初年度
に
取得価額
の三分の一の特別償却を認めようということでございます。 その二は、
重要産業用合理化機械
の特別償却、これは
個人
は十一条、
法人
は四十三条に現在ございますが、現在、
重要産業用合理化機械
の特別償却の
割合
は
取得価額
の三分の一となっておりますが、これを四分の一に圧縮しようというものでございまして、
趣旨
は、今度は一般的に耐用年数を圧縮いたしますほかに、こうした
特別措置
は
投資
促進
をはかるという、そのインセンティブをねらったものでございますが、一般的に耐用年数が圧縮されるということと、三分の一というインセンティブが幾分過小でないかという考え方から、これを三分の一を四分の一に圧縮しようというものでございます。 その四は、
探鉱用機械設備
の特別償却、これは現在九〇%、これを九五%まで。というのは、これは残存価額現在一〇%、それを五%まで償却しようというものに歩調を合わせまして、
初年度
でもう大
部分
全額
償却に近いものをやらせようというものでございます。 第六は、海運再建の
整備
関係でございます。
措置
法五十二条の二にございます。これは
海運業再建整備
に伴う
措置
の
一環
といたしまして、船の
減価償却
に関しまして、
運輸大臣
の承認を受けました
整備計画
の実施中は、
償却不足額
の打ち切り——これは現在普通は五年間で打ち切られることになっておりますが、この打ち切りをやらないとするほか、
整備計画
に基づきます合併があった場合には、特に被合併会社が持っております
償却不足額
の引き継ぎを認める。いまは被合併会社が持っている
償却不足額
引き継ぎは認めておりませんが、海運再建
整備
に伴う
措置
の
一環
として、特にこういう
措置
をとろうというものでございます。 第七は、
農業協同組合
などの助成、これは全く新しいものでございますが、これは六十一条にございます。
農業協同組合
、それから
漁業協同組合
、
事業協同組合
、それから
事業協同小組合
、それから
商工組合
、並びにこれらの連合会のうちに
一定
の
要件
に該当する——これは主として員外利用の制限を考えておりますが——に対して、
一定
要件
に該当するものにつきましては、組合の
留保金
の累積額が出資金の四分の一に達するまでは、
昭和
三十九年四月一日から
昭和
四十四年三月三十一日までの間に終了します各
事業年度
におきまして、新たにその年に留保いたしました
金額
の二分の一に相当する
金額
につきましては、
法人税法
上
損金
に
計算
するということでございます。 なお、この
規定
によって
損金
に算入いたしました
留保金
額を、その後三年内に分配しましたときには、この分配に相当する
金額
は当然益金に上がるということでございます。 第八は、
森林組合
の合併の助成、これは六十六条の三にございます。
森林組合合併助成法
に基づきまして合併した
森林組合
につきまして、現在認められております
資産
の
評価益分
の
清算所得
に対する
課税
の
繰り延べ措置
のほかに、新たに、この被
合併組合
が持っております
積み立て金
からなる
部分
の
清算所得
につきましても
非課税
にしようということでございます。 第九は、
医療法人
に対する助成でございます。第六十七条の二でございます。これも、全く新しい
措置
でございますが、財団
法人
である
医療法人
とか、あるいは社団でございましてもこの
医療法人
で持ち分がないもの、そういうもののうち、その
事業
が非常に公益の増進に著しく寄与し、かつ公的な運営がされておるというふうに
大蔵大臣
が認めましたものにつきましては、その
法人税率
を、現在二百万超が三八%、二百万以下が三三%でございますが、普通の公益
法人
並みに、一律にこれを二八%に
軽減
しようというものでございます。現在、じゃ、
医療法人
のうちどういうものを選ぶかという
基準
につきましては、現在
特別措置
法の四十条に、
譲渡所得
税を
非課税
にするという条文がございますが、そのときにつくりました
基準
を一つの目安として考えております。 第十は、
石油資源開発株式会社
の
欠損金
の問題でございます。これは六十六条の十にございます。青色申告を提出します
法人
の
欠損金
は、翌
事業年度
から五年間の繰り越し
控除
というものが認められるというようになっておりますが、特に
石油資源開発株式会社
の
昭和
三十四年三月期、三十五年三月期において非常に大きな損失が生じておりますので、これらの損失金につきましては、その翌
事業年度
から八年間の特別に繰り越し
控除
を認めようとするものでございます。 第十一は、
交際費
の
損金算入
、これは六十二条でございます。これを幾分締めようというのでございます。で、
法人
の
交際費
の規制
措置
につきましては、これは
昭和
三十九年三月三十一日までに開始する
事業年度
ということになっておりますが、これをさらに三年間
延長
ということが第一。第二に、最近の
交際費
の
支出
の
状況
にかんがみまして、
控除限度額
、現在年三百万円と資本
金額
の千分の一との
合計額
ということになっておりますのを、年四百万と資本
金額
の千分の下五との
合計額
に
引き上げ
るとともに、この
控除限度額
をこえて
支出
いたしました
交際費
のうち、
損金
に算入しないとしておりますいまの二割を三割に上げようというわけでございます。この
基準
額の
引き上げ
は主として
中小企業
に有利に働きますし、
損金
に算入しない
割合
を二〇から三〇に
引き上げ
るということは、大
企業
に相当影響があろうかと思います。 第十二は、
開墾地等
の
農業所得
の免税、二十四条、二十五条にございます。
政務次官
の御
説明
のとおりでございます。 第十三は、
農地
等の生前贈与に対する
特例
でございます。これは七十条の四です。これは全く新しい
措置
でございます。これは
農業
を営んでおります
個人
が、
昭和
三十九年一月から五年の間に、そのむすこの一人に
農地
を贈与して、自分のあとを継いで農耕に従事さそうという場合でございますが、この場合には
贈与税
の
納期限
を
延長
します。で、おやじさんが死にまして、いよいよ
相続
の開始ということになるので、
贈与税
の
納期限
を
延長
しようというものでございます。で、この
贈与税
は、
相続
の開始がありましたときには、贈与を受けました
農地
を
相続
財産に含めて、今度は
相続税
を
課税
いたしますので、その
相続税
の税額から、さきのずっと納税の延期をいたしております
贈与税
額を
控除
するというのでございます。で、
控除
できない
贈与税
が残りますときには、それは還付するという
趣旨
で、結局
相続税
として精算
課税
をしようということでございます。 第十四は、
ブドウ糖
の
消費促進
、九十一条で、現在この砂糖類の
製造
場内で
非課税
品であります
ブドウ糖
を混和した糖水を
製造
いたした場合には、その全量に対しまして、これは糖水として一キログラム十二円という
税率
が適用されておりますが、
ブドウ糖
の
消費促進
というものをはかる
見地
から、税務署長の承認を受けました
製造
場で
製造
した
一定
規格の
ブドウ糖混和糖水
につきましては、他の砂糖類に比し不利とならないように、一キログラム当たり七円という低い
税率
を適用しようとするものであります。 あとは、
政務次官
の
説明
にございました
特別措置
のうちの
期限
延長
に関するものが数件ございます。 以上で終わります。
新谷寅三郎
12
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 以上で
補足説明
は終わりました。 それでは、これより三案を一括して質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
天田勝正
13
○天田勝正君 その前に、資料要求がございますが、よろしゅうございますか。
新谷寅三郎
14
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) どうぞ。
天田勝正
15
○天田勝正君 それは、たいへんな膨大なことでありまして、そこで、私はまず資料要求したいと思います。 今度の三法ともに、減税になった分、それから
特別措置
法については、増税ということばは当たりませんけれども、
現行
より多少ふえるもの、いろいろあります。そこで、
税制調査会
ではすでに減税は各項目ことに——項目ごとというのは、ほかの資料でも
法人税
なら
法人税
というのがありまするから、そうではなく、各項目ごとに
説明
された項目に基づいて、
現行
で取れば幾ら、今回の
改正
で幾らというものはあると思うのですが、あればさっそくひとつ出していただきたい。それから、
交際費
のことはしょっちゅう問題になるのですが、これが外国の主要な、たくさんほどいいけれども、主要国におけるこの
交際費
の点についてはどうなっているかという表、これもあろうと思いますから、お願いします。それから、さっき大型、高価、こう言われて、一つの例だけをあげられたのですけれども、それは幾らか似たようなもので、これは入れないのだというものがあると思うのです。たとえば、第一号機と、こうおっしゃるけれども、発電機なんかはだんだん大型化して、一号機といえばのべつ一号機だということが実は言える、それも注文がなければつくりゃせぬのみならず、とても高価なんだ。いままで十七万五千キロが大型で高価だ、この次は二十五万キロ、その次は三十万キロができる。いつだっても注文を受けて
製造
するし、同時に高価だ、いつも一号機だ、こういうものは含めるのか、含めないのか、そういう資料もあると思います。 それから、もう一つの資料は、今度償却年限を圧縮するというのですけれども、しからば圧縮したのからでもいいけれども、できれば
現行
の普通の償却と、今度圧縮するのが全部一律じゃないと思う、どうせ機械によって違える、こういうことなんですから、それとの一覧表。それがないと、今度は、
割り増し償却
といっても、何ぼの割り
増し
になるのか、実際的なものは
検討
しがたいと思うのでそういうふうに願いたい。 それから、これは
説明
のうち、パーセントでいまあらわしているものもあれば、何割——何割なるものは、日本語のあいまいさもあるのですが、パーセントにあらわせば二〇〇%とも読み縛るし、二〇%とも読み得る。これは通常語の分ということばと、利息の場合の割という場合、どっちも分は分、割は割で、それが一般のことばでいえば分と解釈してもいいようになっている。そういうあいまいじゃなく、統一して二十割なら二十割とは一体、ほんとうは二〇〇%をあらわすのか、はっきりしてもらいたいと思うのです。
最後
の
部分
はいま答弁してもいいですよ。
成瀬幡治
16
○成瀬
幡治
君 それにからんで、今度
火災保険
控除
を創設するわけですが、
火災保険
は
保険料
率を私は最近ずっと下げてきていると思うんですよ。それから、益金ですね、益金をどういうふうに処分しているか。あるいは地方自治体に対して何らかの寄付をしているのか、そういうふうなことについて、大蔵とは直接関係はなく、地方行政との関係になりますか、少なくともこういう
火災保険
控除
を創設されるのですから、そういう資料がほしいと思います。
齋藤邦吉
17
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) 先ほどの資料提出につきましては、できるだけすみやかに提出いたしたいと思います。
鈴木市藏
18
○鈴木
市藏
君 同じく資料要求に関連するのですけれども、
租税特別措置法
の適用を受けているすべての項目、それが
期限
がなければない、あるいは何カ年なら何カ年、今度新設するのと、先ほどの天田さんの資料とあわせて全貌がつかめるように出してもらいたいと思います。
天田勝正
19
○天田勝正君 なお申し上げておきますが、今度の審議
期間
がまことにないのに、野党の協力ぶりたるや、おそらく日本歴史始まって以来のことだろうと思う。そういうことから、資料はすみやかに出していただきませんと、実際困りますので、これは冗談でなく
委員長
のほうからも注意していただきたい。
柴谷要
20
○柴谷要君 租税三法は衆議院の通過を見ない前に本格的、審議に入るというのは、これまた野党の絶大な協力あればこそできるわけであります。歴史始まって以来のことだと思うのであります。その三法の質問に入ります前に、重大な問題を三点だけ御質問申し上げておきます。 まず第一点は、先ほど
所得税法
の
提案
説明
が終わる直後に、「
昭和
三十九年 一月二十九日提出した
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
中別紙のとおり修正することについて、国会法第五十九条の
規定
に基づき、本日衆議院に対し要求をしたから通知をいたします。」、こういう書面を見た。それに対するごく簡単なお話を伺いたい。この
内容
についてまず伺っておきたい。このようにぎょうぎょうしく扱わなくてもよかったのではないかという感じを持たないわけではない。それだけにこの質問をいたしますので、この経緯について全員にわかるようにひとつ克明に御
説明
願いたい。
齋藤邦吉
21
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) 今回
所得税法
の
改正
法律案
を
提案
いたしていたのでございますが、すでに御承知のように、
所得税法
の
改正
案の別表につきまして、電子
計算
機の操作上の手違いがございましたので、しかも手違いによって間違いを起こしました誤謬の
部分
が相当広
範囲
に実は及んでおりましたので、今回国会法の手続に従いまして修正の
提案
をいたしたような次第でございます。
柴谷要
22
○柴谷要君 人でなくて電子
計算
機が誤謬をおかして、それが活字にそのまま出ている、こういうことですから、これは責める筋合いのものではないと思うんですけれども、こういう手続をしない前に簡単にこれは処理できなかったものであるかどうか、これについて
政府
の見解をただしておきたいと思います。
齋藤邦吉
23
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) こうした手違いを生じましたことはまことに遺憾でございまして、申しわけないと考えておるような次第でございます。率直に申しまして、こういう電子
計算
機の操作上、別表においてそうした間違いを起こしましたので、できることなら正誤というふうな考え方も実はあったのでございますけれども、その誤謬の
範囲
が相当広くわたっておりましたので、今回先ほど申し上げましたような手続をとることにいたした次第でございます。どうかあしからず御了承賜わりたいと思う次第でございます。
柴谷要
24
○柴谷要君
内容
がわかりましたから、くどくど申し上げようと思いませんが、そのことがひいては衆議院の
大蔵委員会
の審議の過程において相当空費したのではないかと私は思うんです。一体、衆議院は、一月二十九日に
法案
が提出されて、何日間この税三法について審議を続けたか、延べ時間にして何時間か、一体通過の見通しはいつか、これを
政府
の立場からひとつ御
説明
をいただきたい。
齋藤邦吉
25
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) この三法につきましては、衆議院におきまして相当長時間の御審議を経ておると存じておりますが、延べ時間の詳細な時間につきましては、またあらためて調べましてお答えを申し上げたい、かように考えておる次第でございます。 この誤謬がありましたために、衆議院のほうの、審議が多少時間がおくれましたことは、ほんとうに
政府
としても申しわけない、先ほども申し上げましたように申しわけないと思っておるような次第でございます。承りますと、本日中に衆議院の
大蔵委員会
において採決が行なわれるのではないだろうかというふうに承っておる次第でございます。
柴谷要
26
○柴谷要君
政府
の責任において審議の過程にむだがあった、そのことが参議院にしわ寄せされてくるということは、参議院としては非常に迷惑だと思うわけです。それで、この
法律
は四月一日から施行するということになっているのだけれども、四月一日以前に国会を通過しないと効力が出ない。その場合に、一体どういう不都合が生ずるのか、これをまず伺っておきたいと思う不都合な点について御答弁願います。
松井直行
27
○
政府委員
(
松井直行
君) 今回の誤謬につきましては、まことに申しわけないことに相なりまして、深くおわび申し上げたいと思います。 御存じのとおり、
所得税法
は、年税額として、
最後
に確定申告をいたす場合と、それから月給だけの場合も年末
調整
ということでそこで
調整
いたしますので、実は年税額としては変わりはないということに相なるわけでございますが、この別表の月額表、日額表と申しますのは、税法の本法にあります
基礎控除
とか
税率
とかというものを適用いたしましても、すぐには出てこないものでございます。これは
源泉徴収
義務者が毎月月給を払うときに月給の高に応じて何%取れ、取ったものを翌月十日までに
政府
に納付すべしという、
源泉徴収
義務者の租税債務と申しますか、その額は実はこの表によって初めて確定するということに相なるのでありますので、たとえ年末におきまして
調整
ないし確定申告で
調整
がつきますと申しましても、月額の確定、あるいは日雇い労務者等におきまして誤りますと、もはやあとで修正がきかないということに相なるわけでございます。したがって、この四月一日から、特に日雇い労務者等につきましては、これが実施いたされませんと、正確な
金額
による日々の
源泉徴収
額も確定しないということに相なるわけでございますので、これも含めまして、ぜひこれは四月一日から実施するということが必要なわけでございます。
柴谷要
28
○柴谷要君 それほど重大な
法律案
であるということも承知しておりますが、そこで
政府
側に特に強く要摂しておきたいと思いますことは、この
法律案
をめぐって質疑討論がかわされるわけでありますが、この質疑の際に、右の御質問に対しては後日お答えをいたしますなんということのないように、いいですか、後日お答えいたします、調査の上答弁いたしますなんということでは、これは審議時間が短いのですから、四月一日からどうしても施行したいというあなた方の気持ちがあるならば、後日に答弁を譲りますなんということを言ったのでは、一ぺんでもあればだめだ、こういうふうに強く念を押しておきます。いいですか、私が質問をした場合に、その問題につきましては、大蔵省に戻って調査をするとか、あるいは記録を読んできてから答弁しますなんということを言ったのでは、時間的にもうありませんから——衆議院の審議がおくれたというのは、
政府
の失態でおくれたということを明言されたのですから、それでしわ寄せが参議院に来たのですから、参議院で質問した場合に、明快に答えられ、スムーズな審議ができれば、皆さんの要望しているような状態が生まれてくると。しかし、答弁が、先ほど申し上げたようなことが一ぺんでもあればだめだ、こういうふうに御認識を願って、本件審議にあたってはひとつやっていきたいと思いますので、ぜひそのように御配慮いただきたいと思います。 本日は本論に入る時間もございませんので、以上の前提に立つものをひとつしっかりお願いをいたしまして、きょうは質問を終わります。
齋藤邦吉
29
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) 今回の税法二
改正
に伴いまして誤謬をおかしまして、非常に御迷惑をおかけいたしまして、まことに申しわけないと思います。野党の皆さま方の非常な御協力をいただいて感謝をいたしている次第でございますが、私どもも大いに勉強いたしまして、御要望に沿うようにいたしたいと思います。
松井直行
30
○
政府委員
(
松井直行
君)
委員長
、発言をお許しいただけますか。
新谷寅三郎
31
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) どうぞ。
松井直行
32
○
政府委員
(
松井直行
君) 資料の御提出の若干のいま御希望を拝聴いたしまして、これはもうできるだけ早い機会に御提出申し上げたいと思いますが、先ほどおっしゃったように、ほんとうに、衆議院の審議過程におきましてとっさに資料の要求がございまして、それをつくるのに非常におくれる、それを基礎にしての論議がおくれるということが多分にございますので、できるだけ早く、基本的な資料で、かつそれに基づいて討論をおやりになるという場合には、なるべく早目にひとつわれわれにということを特にお願い申し上げておきます。われわれは全機関を動員しまして、御
趣旨
に沿う資料をできるだけ早く提出して申し上げたいという気持ちでおりますので、ひとつお力添えをお願いしたいと思います。
新谷寅三郎
33
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 先刻各
委員
から要求されました資料は、この次の
委員
会には必ず提出せられるようにお願いをいたしておきます。
齋藤邦吉
34
○
政府委員
(
齋藤邦吉
君) 承知いたしました。
新谷寅三郎
35
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 一時半まで休憩いたします。 午後零時四十二分休憩 ————・———— 午後二時十一分開会
新谷寅三郎
36
○
委員長
(
新谷寅三郎
君)
委員
会を再開いたします。 午前に引き続き、三
法律案
に対する質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
成瀬幡治
37
○成瀬
幡治
君 最初に、これはまあいろいろな問題等あったと思いますけれども、
税制調査会
の
答申
と、それから今度の税法
改正
との違っておる点ですね、実はまあこういう点について私らも申し上げても差しつかえないと思いますけれども、調査室では一応御調査願って、私らも実はそれなりの資料はいただいたわけでありますけれども、この際、
税制調査会
ではこういうふうに
改正
をしたほうがいいであろう、それに対して今度の
改正
案は若干違った点があったのですから、その違った点を御
説明
願うとともに、それはまあこういうような観点に立って
税制調査会
の
答申
案どおりではなかったのだ、それにはそれ相当の
理由
があると思いますから、そういうような点について、元来ならば
大蔵大臣
等から承らなければならない問題かと存じますけれども、一応御担当のほうから御
説明
を事務的にひとつ承りたい。
松井直行
38
○
政府委員
(
松井直行
君)
政府
の
税制改正
案と
税制調査会
の
臨時答申
の
改正
案との相違点について申し上げます。項目を分けまして、
税制調査会
の
答申
にはございますが
政府
の
改正
案では実施しなかったものと、それから
答申
にはございませんでしたが
政府
で取り入れましたものとに分けて、お話し申し上げます。
答申
事項
で実施しなかったものの第一番目は、
給与所得控除
の
引き上げ
であります。で、
現行
一万円の
定額控除
を二万円に
引き上げ
るというのは一緒でございますが、この最高
限度
の現在の十二万円を十五万円に上げるという
税制調査会
の案に対しまして、
政府
案はこれを十四万円に限定し、一万円だけちびっております。これが大きな相違でございまして、平
年度
九十四億円の減税幅の減少ということに相なっております。減税幅が圧縮になっております。 これは
所得税
一般の減税、ことに中小
所得
層に対する減税ということにつきましては、
政府
も
税制調査会
もその方針には変わりはございません。したがって、この
定額控除
、それからその上の二〇%を
控除
するあたり、こういう低いところにつきましては
答申
どおり実施いたしておるのでございますが、一般的な
所得税
のうち、特に
給与所得
につきまして一そうの
軽減
をはかる必要があるということにつきましても、両方の間で相違はなかったのでございますが、第一の
理由
は、財源全般につきまして、社会保障、公共
投資
等非常に大きな歳出の要請がありますうちに、一方、減税のワクというものも、これも限定がございまして、
答申
のないものまで
特別措置
として実施する等の必要がございまして、まず財源全般から制限があったということが第一番でございます。
給与所得控除
の優遇については異論はないんですが、定額の一万円は、下は
引き上げ
るが、上のほうで一ぺんに三万円になるということにつきましては、やはり低額
所得
層の優遇を優先的にやろうということについては実現をいたしておるつもりでございます。ただ、まあ上のほうにつきまして削減をせられたのは、いま申しました財源の関係ということを申し上げる以外に方法はないと思います。 次は、航空機に対する
通行税
の減税でございますが、
税制調査会
では廃止、
政府
案ではこれをさらに
延長
する。これによって平
年度
十三億の減税ということに相なりますが、これは日進月歩の航空
事業
につきまして、まだ経営基盤が弱い。で、世界各国におきましても、いずれも航空機
産業
というものに対する助成が行なわれておる。特に日本の場合には弱いというような
理由
もございまして、さらに
延長
するということになったわけでございます。 以上が
答申
のうちで実施しなかったものでございますが、
答申
にない
事項
で新たに創設いたしましたものは、第一番目に
損害保険料控除
の創設でございます。本来
損害保険料
の払い込みは、税を払いました後の可処分
所得
の
範囲
内でこういうものは支払うべきものであるという従来のわれわれのたてまえでございましたが、やはり大きな広い目で見まして、
住宅
とか
家財等
の維持ということも社会保障
充実
の
一環
としてせひ必要だという観点に立ちまして、いままでなかったものがここに一つ入ったわけでございます。したがって、従来
生命保険料控除
というものが一種の社会保障であり、かつ
長期
蓄積の優遇という線もございましたが、この
損害保険料控除
は、そのうちやはり一般的な広い意味の社会保障の
充実
という
趣旨
にのっとったものと考えます。 それから、第二番目は、配当軽課
措置
の拡充でございます。これは配当に充てます
部分
に対応する
法人税
を
軽減
するという
措置
でございまして、従来三八%であったものを四分の一
軽減
して、配当に充てた分について
法人税
は二八%という
措置
をとっております。この
趣旨
は、
企業
の配当を
促進
いたしまして、配当した
部分
については内部留保を厚くするということ、それから
軽減
された結果、一般の
投資
家に流れました配当についても自由な
資本市場
を通じましてさらに必要な方面に
投資
される機会を与える、こういう意味におきまして、
資本市場
の
充実
を通じまして
企業
の
自己資本
の
充実
をはかろう、こういう要請が非常に従来からも強いのですが、さらにそれを一そう拡充するという意味におきまして、これも財源の関係もございまして、二%でございますが、一そう広げるという方向に参ったわけでございます。これにつきましては、
税制調査会
等におきまして、はたしてこれが
企業
の
自己資本
充実
に役に立つものかどうかにつきまして、まだ厳密な分析も十分行なわれていないという段階でございまして、
税制調査会
におきましては、まだ結論を出していないので、思い切ってこれを拡充するというふうにはいたしておりませんが、すでにその
制度
自身すでにドイツの例をならいまして、
資本市場
の
育成
と
企業資本
の
充実
という策の一つとして試験的にとったものでありまして、その方面はきまっておるものでございますので、一そうこれを拡充しようとしたわけでございます。 それから、減税額を申し上げませんでしたが、
損害保険料控除
で、平
年度
十四億円、
初年度
十億円でございます。それから、第二番目の配当軽課
措置
は、平
年度
九十九億円、それから
初年度
三十億の減税でございます。 それから、第三番目に、
証券投資信託
の
収益分配金
の分離
課税
でございます。御存じのとおり、一般の国民の蓄積資金が
企業
に回ります過程に、領金という形で銀行を通じて市場へ回る方法と、
資本市場
を通じまして株式とかあるいは社債という形で
企業
に資金が回るという二道ございますが、現在この預金の利子につきましても分離
課税
という
制度
がある。これが有利な
制度
で、
資本市場
に金が集まるよりもむしろ金融機関に金が集まり過ぎておるという非難が——非難といいますか、風評がございます。したがって、
資本市場
育成
をやろうという必要性を主張する側からは、領金の利子とのそうした乖離を修正して、この際株式の配当等につきましても分離
課税
という方向で両者の均衡をとるべしという強い主張のあったことは、皆さん御存じのとおりだろうと思いますが、何分配当の
所得
のある階層は非常に高い階層でありますし、勤労
所得
に比べまして
資産
所得
というものの担税力の大きさというものも考えますときには、どうしても総合
課税制度
をとっております現在の
所得税
の体制下におきましては、配当までも分離
課税
にするわけにはいかない。しかしながら、
資本市場
の
育成
という要請もよくわかります。それから、少額貯蓄者の
育成
、貯蓄の奨励という必要性もよくわかるわけでございまして、したがって、
証券投資信託
が普通の株式
投資
と違いまして、非常に零細な
投資
階層の
投資
対象
であるという点に着目いたしまして、先ほど述べました政策の要請にこたえまして、
投資
信託の
収益分配金
のみについて分離
課税
に踏み切ることに相なったわけでございます。これによりまして、減税額が平
年度
八億円、
初年度
六億円でございます。 それから、四番目は、
新築貸し
家住宅
の特別償却の
引き上げ
。これはおそらく
事項
が、
政府
の
税制調査会
のときにはあまり具体的な論議になっていなかったがゆえに入っていなかったと思いますが、これにつきましては、おそらく税調も賛成であっただろうと思われるものでございます。 それから、五番目に、農協等の
特別法人
の
課税
の
改正
の問題でありますが、これも具体的には
政府
の税調の討論の際になかった問題であります。これは、
中小企業
、それから
農業
等につきましては、すでに基本法においてこれが
育成
、発展のために
政府
が特段の
措置
をとる必要があるというふうに相なっておりますので、そうした
中小企業
あるいは農
企業
等が組織いたしますそういう組合等につきまして、その内部留保の
充実
を一そうはかることが、あわせてそうした
中小企業
とかあるいは
農業
等の
企業
の
育成
に資するものであるという観点から、この
措置
が新たに採用されたものでございます。 それから、六番目が
国産
第一号機の特別償却でございますが、これは少し申し上げましたとおり、新技術の
開発
でございまして、ほうっておきますと外国から輸入する以外に方法がないという大型の機械につきまして、ある程度危険をおかしてまでも国内で
開発
しようというものでございますので、技術
開発
の
促進
に資するという意味におきまして、かつまたそれに伴う危険をも保障するという意味におきまして、この
特別償却制度
が新たに加わったわけでございます。 それから、
医療法人
につきましては、これは
税制調査会
でも論議になっていなかったものでございますが、そもそも、
医療法人
ができましたときに、
個人
経営の、医者であるよりも、むしろそうした医療施設を拡充し、保存し、次の代にわたりまして十分な施設を拡充しながら継続していけるという、そうした医療施設の
充実
というところに観点を置きまして
医療法人
という
制度
ができたわけでございますが、この中には特に全く
個人
の
企業
と変わらないものもございますが、その組織とか運営等におきましてまさに純粋の公益
法人
並みに扱っていいという
法人
もございますので、そうした特殊な性格を持ちました一部の
医療法人
につきまして
法人税法
上の
税率
の優遇をしようというものでございます。 それから、八番目が生前贈与の
農地
にかかる
贈与税
の納期の
延長
。これは農家の次の世代への
農業経営
のバトン渡しを非常にスムーズにやろうということと、最近それに伴いまして生前すでに長男あるいは次男、だれか
特定
の将来の
農業経営
を引き継ぐ者に贈与が行なわれるという習慣もおいおい起こってまいりましたので、農家の
税負担
を
軽減
し
調整
する意味におきまして、実際の
相続
があるときまで
贈与税
の
課税
を延期するという方法をもって、こうした
農業経営
の
充実
に資していこうというものでございます。 以上がおもなる項目でございます。
成瀬幡治
39
○成瀬
幡治
君 わかりましたが、最初
答申
案になかったものを、あなたのほうで創設なりあるいはされたものの減税額はどのくらいになりますですか。
松井直行
40
○
政府委員
(
松井直行
君) 平
年度
で申し上げます。
損害保険料控除
十四億円……。
成瀬幡治
41
○成瀬
幡治
君 それは聞きました。
松井直行
42
○
政府委員
(
松井直行
君) それから、配当が九十九億、
証券投資信託
が八億……。
成瀬幡治
43
○成瀬
幡治
君 それ聞きました。
松井直行
44
○
政府委員
(
松井直行
君) それから、
新築貸し
家住宅
の特別償却の
引き上げ
七億、それから
特別法人
の
課税
の
改正
が五億、それから
国産
一号機と
医療法人
に対する
税率
の
軽減
、これは非常に僅少であろうというので、一億にもならないだろうというので、特に減税額としてあげておりません。一応、ゼロ、ゼロと見込んでおります。それから、
農地
の生前
贈与税
の
納期限
の
延長
、これが一億でございます。合計、平
年度
で百三十四億円……。
成瀬幡治
45
○成瀬
幡治
君 ちょっと待ってください。森林と農協と一緒にしてというのは……。
松井直行
46
○
政府委員
(
松井直行
君)
森林組合
の合併でございますか。あれも僅少でございますので、ここでは計上いたしておりません。
成瀬幡治
47
○成瀬
幡治
君 それから、航空機の
通行税
の廃止、これは平
年度
十三億……。
松井直行
48
○
政府委員
(
松井直行
君) 平
年度
十三億、
初年度
十二億でございます。
成瀬幡治
49
○成瀬
幡治
君 そうしますと、いま御
説明
を承っておって、
答申
案で
検討
中なんだけれども、結論は出ていなかったけれども、大体
調査会
の方向もそれらしくあるからというので、見込んでおやりになったのが、配当
課税
の
措置
が一つ、それから
農地
の生前贈与、この二点ですか。
税制調査会
で討論はしておった……。
松井直行
50
○
政府委員
(
松井直行
君)
農地
の気前贈与の問題は、実は
税制調査会
の段階でまだ論議される段階には至っておらなかった問題でございます。従来から
特別措置
として問題があり、かつ実施はされておりますが、まだまだ基本的問題があるといわれておったのが、この配当軽課
措置
の拡充の問題でございます。
成瀬幡治
51
○成瀬
幡治
君 そうしますと、新しくおやりになったものは、項目にして十ぐらいあるでしょうかね。こういうようなもので
税制調査会
の討論と申しますか、
検討
の
議題
に上がらなかったというものは、唐突として大蔵省のほうで必要であろうと、あるいは自民党の政調会等で
検討
されて必要であろうという形で出てきたものでしょうか。どうして出てきたのか。
松井直行
52
○
政府委員
(
松井直行
君) いまおあげになりました十近い
事項
のうち、
保険料
控除
、これはすでに
税制調査会
が
臨時答申
を出します前に論議の
対象
にはなっておりました。それから、配当軽課はいま申し上げたとおり。それから、
証券投資信託
は、先ほど御
説明
申し上げましたとおりに、配当全般の問題として分離すべきかどうかという ことで討論されておりました。あとは取り立てて論議の
対象
になっておらなかったと思います。
成瀬幡治
53
○成瀬
幡治
君 そうすると、その残りのほうのもので新しく創設されたものは、大蔵省なりがこれは必要であるというのでおやりになったのか。その
理由
は別として、
税制調査会
等で討論
検討
は実はしておらないものが出てきたのだと、こういうふうに了解していいわけですか。
松井直行
54
○
政府委員
(
松井直行
君) その中で
新築貸し
家住宅
、この
住宅
政策に即応いたしますものは、
議題
として取り上げておれば、当然税調も私は賛成したものだろうと思います。
成瀬幡治
55
○成瀬
幡治
君 しかし、取り上げていなかった……。
松井直行
56
○
政府委員
(
松井直行
君) まだ具体的問題として
議題
にはなっておりませんでした。あとの
国産
一号とか、あるいは
農地
の生前贈与という問題は、その後に新たに各方面から新しい要請として起こってきた問題でありまして、時間的に税調の審議を経る機会がなかったものと理解しております。
成瀬幡治
57
○成瀬
幡治
君 まあこういう政治的な問題があなたにいろいろなことを聞くというのもおかしいのですが、私は、唐突として出てきた、そういうものじゃなくて、やはり大蔵省自身としては、相当それなりには、出てきたからきょうあすにでもやるというような、そういう軽率なことをおやりになるとは思っていない。たとえば
国産
一号機の問題なんかでも、その話題が一カ月前に出たから、それを取り入れてやったという、そういうことじゃなくて、私は大蔵省自身としては相当長年月にわたって各方面とも連絡をとりながら
検討
しておみえになったものだと思うんです。そうでなくて、いや、そうじゃないのだ、ぽんと出てきたんだということになると、少しまた議論が別になるわけですが、そこで唐突として出たということも、あるいは出ているかもしれませんが、正直なところを言って。しかし、そうは言えぬだろうと思うが……。 そこで、こういうふうにお尋ねしておきたいと思うんです。なぜこういうような問題について
税制調査会
に討論を付託されなかったと申しましょうか、
議題
としてこういうようなものも一応
検討
してくれないかというふうに注文をされなかったのか。せっかく
税制調査会
というものをつくって、ここでいろいろな問題を討論をしてもらって、そうしてその
答申
を得て厳重に
措置
をするということは、しばしば大臣なり、あるいは総理等からも、減税問題についてはそういうふうにして慎重に取り扱っている、こういっておみえになるのですけれども、なぜそういうものが付託されなかったのかというところに疑問がある。
松井直行
58
○
政府委員
(
松井直行
君) この項目の中で、すでに減収額か大きい項目——減収額が大きいから重要だとは申し上げませんが、非常に重要な項目であると考えられます
損害保険料
とか、配当軽課とか、あるいは
投資
信託の分配金の分離
課税
、こういう問題も、もうすでに前から一般社会におきましていろいろ問題になっておった点でありますので、
税制調査会
としても、むろん各
委員
ともよく知っておりますが、まあ肯定的に一歩前進しようという結論を特に明記しなかったという意味であろうと思います。で、
新築貸し
家住宅
の償却の
引き上げ
とか、あるいは
国産
一号機の特別償却の創設のような問題、こうした
住宅
政策あるいは
国産
技術
開発
等の問題につきましては、おそらく、特に
国産
一号機というのは、その後の通産省等からの要請でのほってきた問題であろうと思いますが、減収額から申してもあまり大きくないことでもおわかりになりますように、項目としてはわりあいに小さいということ、それから新しいということで論議されなかっただけでございまして、おそらく論議されておれば肯定的な答えが出たものだろうと思います。
農地
の生前贈与についても同じようなことが言えると思います。 全然新規だと私どもいまここで考えられますものは、この
特別法人
の
課税
を
改正
する問題、それから
医療法人
に対する
税率
の
軽減
、これは正直申しまして非常におくれまして、
税制調査会
の
答申
もとっくに済んだあとで新たに起こってきた問題でございます。
成瀬幡治
59
○成瀬
幡治
君 もう一つですね、明らかにしておきたい点は、農協等の
留保所得
の
課税
の
特例
ですね、これは全然——まあ大きいのは五億と新築家屋の
住宅
に対する償却の七億ですが、
住宅
政策だとおっしゃるなら、これはわかると思うのです。農協の
留保所得
のほうは、これは全然なかったですか。あとの
特定
医療法人
とかの問題は少額のことで、そうこだわる必要はないのですが、これが五億ありますから、これはどういうことですか。
松井直行
60
○
政府委員
(
松井直行
君) 事実をありのままに申し上げます。
税制調査会
の
答申
が出ます段階では、ほかからの要請も、したがって
税制調査会
の場におきます論議もなかったものでございます。
成瀬幡治
61
○成瀬
幡治
君 私のほうの党としては、大体柴谷君がいろいろなことをお尋ねすることになっておりますから、私は少し技術的なことで、ちょっとこまかい点でお聞きしようかと思いますけれども、この
芸能法人
における
報酬
または
料金
ですね、これは今度
所得税
の
源泉徴収
を行なうというのですが、具体的にどうやっておやりになるのですか。そのつどおやりになるのですか。
松井直行
62
○
政府委員
(
松井直行
君) 御存じのように、
芸能法人
の、
個人
の才能が
中心
であって
個人
プレートでありながら、それが
法人
組織をとっている
芸能法人
がございます。それから、何々劇団とかなんとかいう名前をとっておるものがありますが、
法人税
の申告
状況
等をいろいろ見てみますと、必ずしも適正な申告をしておるようには見えない。したがって、たとえばNHKなり、あるいはラジオ会社なり、あるいは民間のテレビ放送会社なりがそうした民間の
芸能法人
に出演を依頼いたしまして、出演料を払うというときに、
支払い
のつどそこで一応源泉
課税
をやろうというわけでございまして、その
支払い
のつど
支払い
者が
源泉徴収
義務者になって払うというわけでございます。
成瀬幡治
63
○成瀬
幡治
君 あなたが例にとられるNHKだとかラジオというものは、私たちにもわかるわけですね。ところが、興行者がたとえば何々劇団ということで申し込んで、ある興行会社というのですか、そういうのがしっかりしたところならいいけれども、そういっては何ですけれども、どういう表現をしたらいいかわかりませんけれども、やみというのはおかしいですけれども、そういうようなところで多分にその興行があるのじゃないですか、地方で、あるいは都市で。そういうようなところでそういう税の徴収をやらせることができるものですか。
松井直行
64
○
政府委員
(
松井直行
君) その演芸をやります勧進元といいますか、現在におきましてもしっかりした勧進元が芸能人を引っぱってきて演劇をやるというのが普通でございまして、その人が
源泉徴収
するときに払う相手方が一体
個人
なのか
法人
なのかによりまして、
源泉徴収
したりしなかったりするという非常に不便があるというのが一つございます。現にそうした芸能人を引っぱってくる勧進元である興行者は、現在におきましても
源泉徴収
をやっておるという実績もございますので、むしろ今後は
支払い
を受ける者が
法人
であろうと
個人
であろうと全部
源泉徴収
をするのだとなったほうが明確でございますので執行上も一そううまくいくのではないかと、こう考えております。
成瀬幡治
65
○成瀬
幡治
君 私は遊興飲食税というのは非常に疑問があるわけですよ。私が疑問でなくても、あなたたちでもこの遊興飲食税のことについては御存じだ。そういうような形になりはしないか。いわゆる興行主が税は取ったというけれども、あなたのほうには納めないという。そういういろいろなことがありはしないかという点を心配して、お尋ねしておるわけです。
松井直行
66
○
政府委員
(
松井直行
君) この興行主の
源泉徴収
義務者としての義務につきましては、現在もやっておるのでございますので、やはり税務署等におきまして、そうした
源泉徴収
義務者に対する監査を一そう徹底してやるということでもって全うできる問題じゃないかと思います。
成瀬幡治
67
○成瀬
幡治
君 普通、
所得税
の
源泉徴収
は大体九八%とかいっておられますが、こういうことに関してはやはり一〇〇%いくものですか。こういう徴税のことについて自信があってこういう
改正
をされたのか。その辺のところがぼくもよくわからないんですよ。興行主から、あなたもいまおっしゃったように義務があって、いままでもやっておるとおっしゃっておりますけれども、どうもその辺のところ、納得ができないところがある。
松井直行
68
○
政府委員
(
松井直行
君) 御心配の筋はよく理解できるところでございますが、むしろ私たちが心配なのは、
芸能法人
に泡沫的なものが多いわけでございまして、その興業主のほうは
芸能法人
とはまた違うと。その泡沫的存在である
芸能法人
のほうに
課税
が徹底して行なわれないという心配があるというところに、重点を置いておるわけでございます。
成瀬幡治
69
○成瀬
幡治
君 そうすると、
芸能法人
というんですか、これは届け出がなくて、クラブとかいろいろなものがあると思うのですが、たとえば夜おでん屋を流してくる、あれも
芸能法人
になっておる。私はよく知りませんよ、ああいうものわかりませんから。ああいうのでも
芸能法人
と認定するわけですか。あるいは最近いわれることは、料亭などに入るのに、芸者さんじゃなくて、何々クラブといったようなことで派遣されて、同じようなことをやる、そういう組織があるということも聞いておる。そういうようなものも
芸能法人
と認定をするわけですか。
松井直行
70
○
政府委員
(
松井直行
君) 現在、
個人
の資格で
源泉徴収
を受けております
対象
が、映画演劇の俳優、映画監督、楽士というようなものでございますので、そういうものを雇用してサービスを提供することを
事業
の
内容
にしておる
法人
というわけでございます。
新谷寅三郎
71
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 速記をとめて。 〔午後二時四十九分速記中止〕 〔午後三時八分速記開始〕
新谷寅三郎
72
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 速記を起こしてください。
成瀬幡治
73
○成瀬
幡治
君 私は、この
芸能法人
から受ける
報酬
または
料金
についての新たな
所得税
の
源泉徴収
を行なおうとしておるわけですが、これについてはどのぐらい税収を見積もっておるのでございますか。
泉美之松
74
○
政府委員
(泉
美之松
君) これは、従来
源泉徴収
のやり方について、
個人
と
芸能法人
に属する場合とで
源泉徴収
のやり方が違って、
源泉徴収
をするとしないという差があったために、
源泉徴収
事務上困るということから、こういうふうに
規定
を直すものでございまして、これによって増収をはかるという性質のものではございませんで、これによる増収見込み
金額
は予算に計上いたしておりません。
成瀬幡治
75
○成瀬
幡治
君 そうすると、大体減税額等をお尋ねしてお答え願ったわけですが、減税になるほうで
譲渡所得
ですね、いままでの三十万円を四十五万円までに
引き上げ
られた、これはどのくらい見積もっておりますか、これのための減税。それから寄附金、それから
短期
投資
のもの、それから
勤労学生
。
泉美之松
76
○
政府委員
(泉
美之松
君)
譲渡所得
関係におきましては、減収と増収と二つあるわけでございます。いままでの
控除額
の十五万円を三十万円を
免税点
として、三十万円から四十五万円までの
控除額
を
引き上げ
ることによります減収額は十億円、それから三年
未満
の保有の
譲渡
による
所得
の二分の一
課税
をしないことによる増収、これが六億円、差し引きいたしまして四億というのがこの減収
計算
として出ておるわけでございます。
成瀬幡治
77
○成瀬
幡治
君 そう言ずに。
寄付金
の
控除額
を
引き上げ
ましたね、それは幾らになりますか。
泉美之松
78
○
政府委員
(泉
美之松
君) それはこれから申し上げます。
寄付金
の
控除
が、
控除額
の
引き上げ
によりまして二億円減収になります。
勤労学生
の場合は、いままで
所得
二十万円を
限度
としておりましたのを、最近の
所得
の増加から見まして二十五万円にしたというので、これによる減収はきわめて少額でございますので、計上いたしておりません。
成瀬幡治
79
○成瀬
幡治
君
ブドウ糖
の混和というのは、これはどういうものなのか。
砂糖消費税
の
軽減
のところですよ。
泉美之松
80
○
政府委員
(泉
美之松
君) これは最近農林省でいろいろ
検討
いたしまして、こうしたらどうかという案が出てまいったのは、従来ようかんであるとか菓子なんかを
製造
する場合に砂糖を使用いたします。これをいまのやり方は、一たん砂糖を精製糖の形に結晶させまして、それをようかんとかそういった菓子をつくる工場へ行ってまた溶かしまして、そうして菓子の原料として使っているわけでございます。しかし、これははなはだむだなことでございまして、精製糖にまで持っていかないで、どろどろの姿で持っていって砂糖として菓子の原料に使えばいいわけであります。そこで、そういう形でいくならば、その砂糖の中に
ブドウ糖
をまぜたほうが砂糖だけの甘さでなしに
ブドウ糖
の果実的な甘味が加わるということからいたしまして、そういう溶糖の姿にしておけば
ブドウ糖
もその上にまぜて使うことができて、同時にそれは農民がイモをつくって
ブドウ糖
にするという点から見て、
農業
政策上も好ましいという点からいたしまして、今度それを
租税特別措置法
でそういう
ブドウ糖
と砂糖とを混合したものに対する
砂糖消費税
の
税率
を、これは従来の
砂糖消費税
の考え方でございますと精糖
基準
で出ておりますので、そういうふうに溶かしました場合におきましても
税率
がかなり高いのでございますが、そういった場合に、
ブドウ糖
は本来砂糖の
課税
対象
にならないものでございます。それと本来の砂糖になるものとが加わっておるわけでございます。農林省の研究によりますと、そういった場合に
ブドウ糖
を何%混入したら一番いいか、これは実験をいたしたわけでございます。実験をいたしますと、
ブドウ糖
を四三%程度入れると、ちょうどいいような味のものになる。そういうことから考えますと、
ブドウ糖
部分
に
課税
すべきではないのでありますから、そこで蔗糖の分に対してだけ
課税
するということからいたしまして、本来十二円のものに対して七円
課税
するということにすれば、ちょうど
ブドウ糖
部分
には
課税
しないで本来の砂糖
部分
に
課税
するということになります。そうしようというのが今回の
改正
案の
内容
になっておるのであります。
成瀬幡治
81
○成瀬
幡治
君 そうすると、減税じゃないのですね。
泉美之松
82
○
政府委員
(泉
美之松
君) 減税ですよ。ほうっておけば十二円取られるわけです。十二円取るのはひどいですよ。ほうっておけば十二円になる。
成瀬幡治
83
○成瀬
幡治
君 四三%が七円に当たるわけですね。
泉美之松
84
○
政府委員
(泉
美之松
君) いや、四三%は取らないわけですから、五十何%ぐらいです。
新谷寅三郎
85
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
新谷寅三郎
86
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 速記を始めて。
成瀬幡治
87
○成瀬
幡治
君 社会保険診療の関係について全然
説明
がないが、この点について。これは
答申
案と関係ございませんか。
泉美之松
88
○
政府委員
(泉
美之松
君)
税制調査会
の
答申
におきましては、現在の租税
特例
措置
のうち廃止すべきものといたしまして四つあげておるわけでございます。一つは、米穀の予約減税の点でございます。それから、いま一つは、社会保険診療
報酬
に対する特別の経費率として七二という経費率をきめております、この点。それから、いま一つは、航空機の乗客に対する
通行税
でございます。それから、いま一つは、開墾地の
農業所得
及び土地改良
事業
のあと作
所得
に対する免税でございます。この四つの租税
特別措置
につきましては廃止する。もちろん、このほかに
輸出所得
控除
を、廃止する、これは当然入っておりますが、そういうことに
答申
いたしておるのでございます。 このうち航空機の乗客に対する
通行税
につきましては
答申
があったのでございますが、現段階におきましては、まだ航空機会社が赤字の
状況
にございます。で、まあ本来、交通機関として航空機と汽車とを比べました場合には、ややおかしい点があるのでございますけれども、この
制度
が航空機会社か発達早々にあるという
状況
にかんがみまして、それの助成的意味を含めて
通行税
を
軽減
するという
措置
をとっておりますので、これは
答申
にはございましたけれども、
政府
案におきましては一年
延長
ということにいたしてございます。 それから、開墾
農地
の
農業所得
及び土地改良
事業
のあと作
所得
の点につきましては、実はこの
適用対象
が比較的少ないということから、租税
特別措置
としてあまり意味がないではないかということから廃止するようにという
答申
があったのでございますが、
農業
ということの性質上、今後開墾もし、土地改良もやっていかなければならないときに、いまそういった免税
制度
をはずすのは適当でないということからいたしまして、三年間
延長
することにいたしております。 それから、社会保険の診療
報酬
につきましては、これはもう成瀬
委員
御承知のとおり、これが議員提出の
法律
で修正されて今日に至っておるということからいたしまして、
政府
としましてはそれを直すことにいろいろ問題がございますので、国会方面といろいろ相談するということになっておりますが、今回の
改正
におきましては、その相談か成立いたしませんでしたので、今回の
改正
の中では取り上げるに至っておりません。 それから、米穀の予約減税の問題につきましては、三十八年産米につきましては、去る二月早々御審議をお願いしたと思うのでございます。一応それで片づけまして、本年産米の米の予約減税をどうするかということにつきましては、米価の問題がこの六月ごろ問題になると思いますので、その際
検討
いたしたい、かように考えておるのでございます。
成瀬幡治
89
○成瀬
幡治
君 先ほど、政治的な問題を抜きにして、
答申
案と今回
改正
されたものとについてずれておる点をずっと
松井
さんから承りました。これは事務的にあくまでも承ったわけです。政治的な問題になれば大臣ということにもなるかと考えますけれども、私は一つ一つそれにはそれなりの
理由
があっておやりになったと思うわけです。そこで、項目別にいえば、たくさんありますから、時間の関係もございましょうし、どうせそういうような点については一括して大臣にもお尋ねしなければならない問題だと考えますから、あなたの判断で、これはこういう特段の
理由
があったのだということは、たとえば
税制調査会
にも実は付議をしておらないものでここに出てきた問題があると思うわけですから、そういうようなものをあなたのほうで適宜抽出をされて御
説明
が願いたい。
泉美之松
90
○
政府委員
(泉
美之松
君) なかなかむずかしい問題でございますが、私どもか平素税
制度
調査会
の各
委員
の方々と接触いたしておりまして、
委員
の方々の考え方もある程度承知いたしておるつもりでございますが、その考え方から申し上げますと、今回行ないました租税
特別措置
のうち、
新築貸し
家住宅
の特別
償却割合
の
引き上げ
、それから
国産
一号機の
特別償却制度
の創設、この二つは、
税制調査会
に審議にかけますならば、おそらく御賛成になっていただけただろうと思っております。 それから、生前贈与の
農地
にかかる
贈与税
の納期の
延長
につきましては、実はこれは
税制調査会
におはかりいたしまして、一たんは
答申
内容
に入っておったのであります。ところが、この問題については、
農業
政策としてこういう方向に進むということの決定が先にあるべきであって、税制のほうから先に事をきめるのはいかがであろうか。したがって、
政府
が
農業
政策として今後、
農地
、
農業
の後継者を
育成
していくために
農地
の生前贈与を認めるのだという政策を打ち出して、それに従ってやっていくならばけっこうではないか。したがって、
税制調査会
として先に打ち出すのではなくて、もしそういう
政府
の政策がとられるならば、
税制調査会
としては、税法
整備
の問題としてそういうことをやってもよろしいという了解づきで、実は
答申
事項
には入っておりませんけれども、
税制調査会
としてはそういう
趣旨
で特に入れなかっただけの問題でございまして、やろうとすれば、それは税法
整備
の問題としてやりなさいという御発言もあったのでありまして、
税制調査会
はその問題について反対の御意向ではなかったと考えております。 それから、それ以外の
特別措置
になりますと、
損害保険料控除
につきましては、一部の
委員
からこれをやったらどうだという意見がございましたけれども、審議を十分に尽くす余裕がございませんでしたので、
答申
事項
に入っておりません。これは
税制調査会
にはかれは、おそらく賛成の力と反対の方と二通りの意見が出たんではなかろうかと思っております。それ以外の配当軽課
措置
の拡充、
証券投資信託
の
収益分配金
の分離
課税
、それから
農業協同組合
等
特別法人
に対する
法人税
の
法人
の
所得
を留保した場合の留保の二分の一に対して
法人税
を
課税
しないということ、
特定
の
医療法人
に対する
税率
を
軽減
すること、これについては
税制調査会
におはかりしませんでしたけれども、
税制調査会
は反対と思っております。
成瀬幡治
91
○成瀬
幡治
君 あなたがおっしゃったように、はかれば反対かもしれない、あるいは半々の意見だというようなこともいろいろあると思いますけれども、それをあえておやりになった。この損害保険
控除
の問題は、私も資料要求をいたしましたから、その場合にひとつ議論しようと思っておりますが、この際
特定
医療法人
の問題なんかは非常に少額の問題ですから、あまり問題にする必要はないと思うが、農協のあなたのおっしゃる
留保所得
、これをおやりになったというのは、どういう判断でおやりになったのですか。
泉美之松
92
○
政府委員
(泉
美之松
君) この問題につきましては、成瀬
委員
御承知のとおりだと思いますが、長い間の経緯があるわけでございまして、以前こういった
農業協同組合
、あるいは
漁業協同組合
、
中小企業
協同組合
におきましては、戦後
経済
状態の変遷によりましてそういった
協同組合
の経営が円滑にいかないので、非常な赤字を生じたときがあったわけでございます。そこで、その再建
整備
をはかるということからいたしまして、再建
整備
をはかる場合には、出資の四分の一に達するまでは留保した
所得
の
全額
に対して
法人税
を
課税
しないという
法律
の
規定
が
租税特別措置法
の中に現在もあるわけでございます。それでやっておったわけでございます。ところが、大体
昭和
三十六年ごろから、そういった意味での再建
整備
を終了することになりまして、そういった
法人
に対して
法人税
がフルにかかることになったわけでございます。ところが、再建
整備
を終わったものもあるし、まだ一部には再建
整備
をやっているのもあるわけでございますが、その
状況
を見ますと、再建
整備
を終わったといっても、やっと終わったというだけで、まだその内部留保は十分でなく、出資の四分の一に達しない組合が相当多いわけでございます。そこで今回、御承知のとおり、
所得
倍増計画の推進にあたりまして、とかく
農業
及び
中小企業
のほうがそれに立ちおくれがちである。したがって、
農業
及び
中小企業
の近代化を
促進
するために、そういったものの組織する
協同組合
を
強化
する必要があるということか主張されておるわけでございまして、その
強化
をはかる意味におきまして、そういう
協同組合
の内部留保をもっと強固にしていこう。そして
協同組合
を堅実な形に持っていきたいということになりまして、そこで従来再建
整備
の場合にだけそういう
特例
を設けておったのでございますが、再建
整備
の段階でなくても何らかの
特例
を設けたらどうかということになりまして、そういう点からいたしますと、出資の四分の一に達するまでは従来と同じだけれども、今度は留保した額の
全額
でなしに留保した額の半額だけ
法人税
を
課税
しないという形にして、再建
整備
の間のバランスをはかりながら、いま申しましたような
農業協同組合
などの内部留保を強固にして、組合としての活動が活発にできるようにしようという
趣旨
で、そういうふうに
制度
を設けるという
提案
をいたしておるのでございます。
成瀬幡治
93
○成瀬
幡治
君
説明
はわかりますのですけれども、大体その再建
整備
で現にあなたは残っておると、こうおっしゃいますけれども、再建
整備
の適用を受けて、ほんとういえば優遇されたわけなんですが、それで再建
整備
をしたものの上に、今度は上積みでこれだけ優遇されようとする特別な
理由
は、なるほど
所得
倍増政策等で底辺でなかなか困難なところであるから、そういうものを勘案しながら、その格差是正というような意味合いでやったんだ、こういうことで、わかりますが、それじゃこれに対してあなたは
税制調査会
にはかったらたぶん反論があるだろう、こうおっしゃる。反論の根拠は、どういう点であなたはその反論が多いだろうと予想されたわけですか。
泉美之松
94
○
政府委員
(泉
美之松
君) これはまあ再建
整備
という事柄からいま
特例
を設けておるのでございますので、それ以上に再建
整備
といったような特別の事情がなくて、農協を
強化
すればいいじゃないかという、それは一つの政策でありましょうけれども、そういう点からいえば、ひとり農協とか
漁業協同組合
であるとか、
中小企業
協同組合
とかだけでなしに、
強化
をはからなければならないものがほかにもあるのじゃなかろうか、そういう意見が
税制調査会
に出て、そういう何か特別の、再建
整備
というような特別の事情がない限りそういう
特別措置
をやたらにふやすべきじゃないというのが
税制調査会
の考えでありますから、おそらく私は反対されたろうと推測しておるのであります。
成瀬幡治
95
○成瀬
幡治
君 この
租税特別措置法
全体に対しての私は議論にもなってくると思いますが、大蔵省としては、現時点においては
租税特別措置法
の拡充もやむを得ないじゃないか、
拡大
していくこともやむを得ないじゃないか、非常にアンバランスのものがあるならばやむを得ないじゃないかというような、そういう
措置
で対処しておみえになると思いますが、そういう中で、農協にしても、あるいは
漁業協同組合
にしろ、
事業協同組合
にしろ、
商工組合
でもいいですが、別途に、これにからんで何かほかにこういうものに対して優遇
措置
ですか、税法外に何か優遇
措置
がとられておりましょうか。あなたは税のことしか知らぬとおっしゃるかもしれませんが、そうでなしに、政策面でこういうものを何か優遇しておる
措置
がとられておりますか。とられておらないとすると、あなたのおっしゃることもわかるような気もする。あるいは逆にいえば、とられておるからこそ税も優遇されておる、あるいはとられておらぬから税だけせめてやったんだと、こういうことになると、他との関係はどうなるか。
泉美之松
96
○
政府委員
(泉
美之松
君) その点になると、はなはだむずかしいし、私は税のことより存じないのでありますが、たしか金融の面におきましては、
農業協同組合
を通じて金融をする場合、農林中央金庫から農民に直接は貸さないけれども、
農業協同組合
を経由して農民が金融を受けることができるというふうになっておるはずでございまして、そういった金融面におきましては、こういう
協同組合
を通ずる金融というのは相当行なわれておると思います。それから、農産物の販売とか
農業
の資材の購入とかいう点につきましては、これは
協同組合
を通じてやっておることは御承知のとおりであります。それは特別といえるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、
協同組合
を通じてそういう活動は相当行なわれていると思います。
成瀬幡治
97
○成瀬
幡治
君 石油資源の
開発
ですね、これは欠損続きだと思いますけれども、しかし、どのくらい欠損があって、これはどうにもならぬものなんですか。
泉美之松
98
○
政府委員
(泉
美之松
君)
石油資源開発株式会社
は、
昭和
三十年から
事業
を開始しておるわけでございますが、御承知のとおり、この会社はわが国の乏しい石油資源を探鉱してやっていくということからいたしまして、三十年から三十四年まではずっと欠損続きでございます。それが三十五年から若干利益を出してまいっておるのでございます。しかし、過去の繰り越し欠損がございますので、現在のところもちろんまだ繰り越し欠損で
所得
は消えてしまっておるのでございますが、今度二期分につきまして、繰り越し欠損が五年で限られておりますのを八年まで繰り越し欠損を認めるということにいたしますと、
昭和
四十二
年度
から繰り越し欠損が消えて利益が計上されるということになってくるわけでございます。 で、欠損の額、これも会社経営上の欠損と税務のほうで認める欠損の額と多少違いますので、税務のほうで認めている欠損だけ申し上げたいと存じますが、三十四
年度
の欠損が八億九千六百七十七万二千円。そこで、今度の
措置
によって欠損の繰り越しをされるものは、この二十四
年度
の欠損の八億九千六百七十七万二千円のうち、すでに利益で引かれたものが二億六千七百四万円ございまして、したがって繰り越しておりますのは六億二千九百七十三万二千円、これと、それから三十五
年度
分の欠損が十三億二千二百七万八千円ございますが、そのうちすでに利益で差し引かれましたのが四億三千三百九十三万八千円ございまして、残りが八億八千八百十四万円ございます。この両者合計いたしました、八億八千八百十四万円と六億二千九百七十三万二千円と合計いたしました
金額
が、この
特例
によってなお繰り越される、繰り越し欠損として見られるという
金額
になるわけでございまして、その
金額
は十五億千七百八十七万二千円でございます。
成瀬幡治
99
○成瀬
幡治
君 そうしますと、いまの利潤率からいきまして、八年間
延長
をしていけば、これで大体欠損残は消えてしまう、そして健全な会社になることができるのだと、大体こういう目標で八年と設定されたわけですか。
泉美之松
100
○
政府委員
(泉
美之松
君) さようでございます。現在の収益
状況
からいたしますと、五年の繰り越しというのを八年繰り越しという
特例
を設けることによって、
昭和
四十二
年度
からは繰り越し欠損なしに収益をそのまま
全額課税
してもいいという状態になるわけでございます。
成瀬幡治
101
○成瀬
幡治
君 そのためには、私は相当、どう言ったらいいですか、活発にこの会社が活動をしなくちゃならぬというわけですが、そういうような資金手当てというようなものが十分できておるわけですか。実際は何か保護されておりますか。
泉美之松
102
○
政府委員
(泉
美之松
君) これは私もそれほど詳しくは存じませんけれども、財政投融資で毎年その
開発
資金を見ているのでございまして、したがいまして、そういう資金的なあんどうは十分はかられておると考えております。また、事実、先ほど申し上げましたように、三十五年以降は利益を計上いたしておるのでございますが、何ぶんにも過去の欠損が非常に大きいために繰り越しされているために、利益が出ましても、欠損の繰り越しのために
法人税
を納めないという状態が続いているわけでございます。まあこういった国策的な
見地
から設けられた会社でございますので、繰り越し欠損のために会社が困る状態を見のがすのもどうかということから、欠損の繰り越しについて
特例
を設けて、きれいにした姿でやっていただこうという考えになっているわけでございます。 御参考までに申し上げますと、財政投融資では、三十八
年度
十四億円、三十九
年度
は七億円で、出資と公募債借り入れ金と両方でめんどうを見ております。
新谷寅三郎
103
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 速記をとめ て。 〔速記中止〕
新谷寅三郎
104
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 速記を始め て。
大竹平八郎
105
○
大竹平八郎
君 ちょっと伺いますが、これはあるいは大蔵省にお伺いをするよりは通産省の問題になるかもしれませんが、例の二十八年以来創設されている特別
輸出
控除
制度
ですね、これは非常に
輸出
振興
に大きな役に立ったことは御承知のとおりですが、これは私のある知り合いの会社が利益を四億円あげた、そうしてよく
計算
をしてみると、その四億円のうちの一億八千万円というものは
輸出
控除
のおかげだった。これは一つの例なんですが、そういうようなわけで、この
輸出
控除
の問題が非常に
輸出
全体に大きな貢献をした。ところが、今度ガットの
規定
に抵触をするということと、それからいやでもおうでもこの三月にはほうっておけば、時限法のようなものですから、これは廃止になるのは当然なんで、これを廃止することについて、これは後段にたくさん新しい
輸出
振興
の個別にいろいろなものがありますけれども、ガットの
規定
に抵触するという、これは禁止条項にはないと思うのですがね、抵触するというのはどの程度なんですか。
泉美之松
106
○
政府委員
(泉
美之松
君) ガットの十六条の第四項にこういう
規定
があるのでございます。各締約国は自国の産品の
輸出
について、それが国内において提供される価格より、より安くするための補助金は
支出
しない、こういう
趣旨
の
規定
があるわけであります。そこで、その
輸出
補助金とは何ぞやということが従来から問題とされまして、この
輸出
補助金というのは、いわゆる歳出面で
支出
するところの
輸出
補助金はもちろんであるけれども、直接税を減免することも
輸出
補助金に該当するんだというのが国際的な解釈になっておるわけであります。そこで、その直接税の減免とはしからば何をいうかということになりますと、これは実は確定した解釈はきまっておりません。したがって、わが国の
輸出所得
控除
がはたして十六条四項のいわゆる
輸出
補助金に該当してやめるべきであるかどうかということにつきましては、公式のガットとの席上では問題になったことはないのでございます。ただ非公式に、フランス及びイギリスから、日本の
輸出所得
控除
はガット十六条の
輸出
補助金に該当すると自分らは考える、したがって、もしその
制度
を今後も続けていくならば、自分らには自分らの考えがあるといったような非公式な発言がされまして、同時に、わが国の
輸出所得
控除
制度
が
昭和
二十八年ですかに設けられたときに、模範となりましたドイツの
輸出所得
控除
の
制度
が、OECDにおきまして、これは
輸出
補助金であって、OECD各国としてドイツがそういう
制度
をとることは
輸出
の妨害になるから困るという抗議が出まして、ドイツはやめさせられた経緯があるのであります。そういう点からいたしますと、それにならってできております日本の
輸出所得
控除
も、やはり同じようなことと考えられざるを得ないわけでございまして、そういった各般の事情から考えまして、また昨年、わが国がイギリスと通商航海条約を締結いたしました際、その点が問題になりまして、大平外務大臣から、この日本の
輸出所得
控除
は来年三月、つまり三十九年の三月の
適用期限到来
とともに廃止する意向であるという旨をイギリスの外務大臣に書簡をもって知らせておるというような経緯もございまして、この
制度
は廃止するのが適当であろう。 しかしながら、
輸出
振興
ということが、現在の
国際収支
がきわめてデリケートな状態にありますわが国としましては、
輸出
の
振興
は今後とも努力いたさなければなりません。そういった点から、ガット
規定
に反しない
範囲
において
輸出
振興
のための
制度
を税制上も設けるべきではないかということになりまして、ガットの
規定
に反しないものとして
検討
して立案したのが、今回の四つの新しい
制度
でございます。 このうち、
輸出
特別償却の
制度
は、これは多少
趣旨
は違いますが、フランスにもある
制度
でございます。それから、これはもちろん直接税の減免ではございませんで、直接税の
課税
の
繰り延べ措置
でございます。したがって、ガットの
規定
には触れないという解釈になります。 その次の、技術
輸出所得
控除
の拡張存続という点につきましては、ガットの十六条の
規定
は、その補助金をエクスポート・オブ・プロダクトということになっております。いわゆる生産品の
輸出
に対してということになっておるわけであります。ところが、技術、いわゆる特許権であるとかノーハウであるとかいったようなものは、いわゆるプロダクトではなしに、むしろ資本と考えられるのが普通でございまして、したがって、こういった技術
輸出
の
内容
になるものは、いわゆるプロダクトとしてガット十六条四項の
規定
の
対象
にならない。むしろ各国はそういった技術
輸出
は歓迎すると。それによって国内
産業
が興ることを歓迎するという意味合いにおきまして、そういったものについてはむしろ喜んで受け入れたいということでありますので、これはガット十六条四項に該当しない。 それから、その次の
海外市場
開拓
準備金
、これはまあ実はオーストラリアでやった実績があるわけでございます。もっともオーストラリアはガットの適用上はわが国と同様B宣言国でありまして、まだA宣言国になっておりませんので、しかしこの
制度
は先ほど申し上げましたように、やはり直接税の減免ではなくて、
課税
の繰り延べ、
特定
の
海外市場
開拓
費を
支出
するために備えて
一定
の
準備金
を積み立てておいて、そういう
特定
の
支出
が起きたときに取りくずして使うという点で、
課税
の繰り延べでございまして、これによって
税負担
が永久に免税になるというものではございません。そういう意味ではガットの
規定
に触れないという解釈になるわけであります。 それから、新
開発地域
に対する
投資
損失
準備金
の
制度
は、これは実はドイツにある
制度
でございまして、今回の立案にあたりましても、ドイツの
制度
を参考にいたしたのでございます。これはもちろん低
開発
国の
開発
促進
と国際協力の
一環
として各国が低
開発地域
の
開発
促進
のために努力しておるわけでございます。そういうことと結びついておる
制度
でございまして、さらに
課税
の
繰り延べ措置
でありまして、いわゆる直接税の減免を行なうものではございません。やはりガットの
規定
に触れない、こういう解釈でわれわれはおるわけでございます。 こういう点からいたしますと、かりにガットにおきまして問題になろうことがございましょうとも、ガットの現在の十六条四項の解釈としては、こういう解釈は有効に成立すると考えておるのでございます。
成瀬幡治
107
○成瀬
幡治
君 それに関連して一言だけ。試算表をあなたのほうにつくっていただきたいのですが、なるほど
輸出
特別控除
で大体百四億の減税になるとおっしゃるのですが、私が非常に心配しておるのは、私のほうもひとつ試算表をつくってみたいと思いますが、この間も
大蔵大臣
にも申し上げておいたんですが、今度は普通
資産
償却になるわけですね。で、そういう場合に、
中小企業
の人は、たとえばぼくが承知しておる一つの会社の例をとりますと、大体
輸出
総額が四億ある。
輸出
オンリーである。そうすると、三千二百万円の——そこが利潤が約一割と踏めば四千万円ですが、四千万円の八割が
輸出
控除
の
恩典
に浴しているのですね。ですから四、八、三千二百万円あった。今度そういうところの普通
資産
がどのくらいあるかということがひとつ問題になるわけですが、大体私らが踏んでみても、一億から二億くらいの
資産
しかない。これが
資産
償却をされる場合に、大体十五年ないし十七年のものだと思うのです、ずっと
計算
をしてみますと。かりに一億の
資産
があってやりますと、
輸出
オンリーだけでやれば非常に今度は償却が少なくなる。そこで、
中小企業
の——総額としては百五億も百四億もあるのだから、非常に何か
輸出
振興
に役立っておるように見えますけれども、
中小企業
が持っておる普通
資産
償却から試算をしてみますと、私は
中小企業
の人たちの
輸出
恩典
になっていないのじゃないか、そういう立場をとるわけです。いや、そうじゃないのだ、
輸出
産業
に当たっておる人たちは非常に
資産
が多いのだ、だから、これでやればこういうふうになるのだ、というところまで
検討
をして私はおやりになっておると思うのです。でないとすると、大資本と申しましょうか、大きな固定
資産
を持っておる人たちはこの
恩典
にうんと浴して、そのしわ寄せが全部
中小企業
にぶっかぶってくる。いままでとえらい違いになってくるんじゃないかということを心配しておるわけです。ですから、その点はどうなっておるのかという点を、これは試算表を出してもらいたいし、
説明
がしてもらいたい。
泉美之松
108
○
政府委員
(泉
美之松
君) お話の点は、あとで試算表としてお目にかけたいと思いますが、今回の
措置
は、従来の
輸出所得
控除
制度
にかえて設けましたすべてを合わせて考えていただかないと、
輸出
特別償却だけでそれをカバーしようというわけにはなかなか参らないと思うのでございます。
海外市場
開拓
準備金
——
中小企業
の場合には、新
開発地域
に対する
投資
損失
準備金
を設けることはおそらくなかろうと思う。技術
輸出
もはたしてあるかどうかわかりませんが、おそらく
輸出
特別償却と
海外市場
開拓
準備金
、この両方が当然適用になります。この両方合わせたところでごらんいただかないとうまくないと思います。いろいろ私ども
検討
いたしましたが、確かにお話のとおり、
設備
をたくさん持っておるところは特別償却によって受ける
恩典
が多うございます。これはお説のとおりでございます。しかし、それの場合におきましても、
輸出割合
が多ければ大きいだけ特典を受けるわけでございまして、いかにたくさん
設備
を持っておりましても、全製品のうち
輸出
する
割合
が少ないと、たいして特典は受けないのでございます。したがって、
輸出
をたくさんしておりまする
中小企業
におきましては、かなりの特典になる
計算
になっております。 それから、市場
開拓
準備金
のほうは、まあいわばわれわれ税制の立場から参りますと、実は利益留保の
準備金
という色彩が強いのでございまして、その点から、これを設けることにつきましては、私どもとしましてはずいぶん何と申しますか、慎重に
検討
したのでございますが、先ほど成瀬
委員
のお話のように、従来の
輸出所得
控除
はいわゆる
中小企業
、
輸出
を行ないます
中小企業
にとって相当の特典であったわけでございます。ところが、いま申し上げました特別償却とかあるいは技術
輸出所得
控除
であるとか、あるいは新
開発地域
に対する
投資
損失
準備金
だけでは、とうていそういった
中小企業
を救うことが十分できないという判断のもとに、利益留保の
準備金
という色彩で、税制上はどうもあまりかんばしくないのでございますけれども、特別の意味で市場
開拓
準備金
を設けないと
中小企業
が困るだろうということからいたしまして、この
制度
を設けたのでございます。 さらに、
中小企業
の場合には、各個が積み立てるよりも、組合なんかをつくって積み立てておいて、組合として一体的に活動したほうがより有効にいくのではないかということからいたしまして、普通の場合ならメーカーは一五%のやつを、
中小企業
が
商工組合
などをつくりました場合におきましては、その
限度
を二五まで
引き上げ
ましてやれるようにしようというようなことまで考えたのでございます。そういう意味で
中小企業
のためには相当努力いたしたのでございます。
成瀬幡治
109
○成瀬
幡治
君 これは私はきょうここで議論をしようと実は思っていないわけです。というのは、こういうことか問題だと思うのですよ。たとえば、いままで
輸出
の大
部分
を占めでおったのが
中小企業
じゃないかと思う。したがって、
恩典
に浴しておったのも
中小企業
の人たちが
輸出
控除
の
恩典
を受けた。これが今度は固定
資産
のほうに振りかわってまいりますから、固定
資産
というものが非常に
中小企業
の人たちは少ないじゃないか。たとえば、タイルをつくっておる人たちがどれだけの固定
資産
を持っておるか、あるいはナイフやフォークをつくる人たちがどれだけのそれじゃ
設備
をもってやっておったかといえば、非常に問題であって、やっぱり労力だけであって、家屋も土地も借り家で借りたりしてやっておって、そうして
輸出
をかせいでおった人が多いじゃないか。それが何かこの
資産
のほうだけに乗りかわって、これがやっぱり
中心
になるのですよ。それで、こう
輸出
ドライブ策になるとするならば、たいへんなことになりはしないか。数字はなるほど百四億と出ておったり、あるいは
海外市場
調査費のほうが百十四億と出ておるけれども、なかなか容易なものじゃないのじゃないか。 そういうことで、そこでひとつお願いしたい点は、あなたのほうもひとつ試算はじいてみて、そうじゃないのだと、やはりあまり現状と変わっていないということになれば、この次ひとつこの問題についてはあらためて、私のほうも試算表を出しながら議論してみたいと思います。
新谷寅三郎
110
○
委員長
(
新谷寅三郎
君) 本日の審議はこの程度にいたしまして、次回は二十四日午前十時に
委員
会を開くことにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時七分散会