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野々山一三君 それでは、その問題はこれで終わります。
第二の問題は、
国内における長時間労働、低賃金、あるいは労働基本権などが、国際的
水準から見るならば相当以上におくれておる、こういうことが、大蔵
大臣のことばをもってするならば、IMF八条国に移行すること、それはようやく
日本は成人式を終えるようなものだということばで表現をされた。ようやくそこまで来たんだが、なおなお問題がたくさんあるというふうな意味を成人式が来たようなものだと、こう言われたと思うのであります。そこで、私はその低賃金ないしは非常な低い
水準に置かれておる労働基本権というようなものが、八条
国移行、
開放経済体制というものに立ち向かっていくにあたって、
一つの
国際競争力において弱い部面だと、こう見ざるを得ないのでありますが、その意味で次の問題についてどう見ておられるかということをお伺いをいたしたいのであります。
それは、
一つは、去年の七月三十九日に、国際自由労連、ICFTUのベクー書記長が、
日本のILO
条約八十七号問題に関連をして声明発表した中に、
OECDへの
日本の
加盟について基本的な国際労働法規を無視することは許されない旨を述べておる。さらに、この問題に関連する国際舞台での議論のもう
一つは、報告者の名前はちょっと忘れましたけれども、同じように報告として、「自由な
団体交渉の結果でない賃金についても、その公正さを問題とすることも、自由な
労働組合運動の義務の中に十分含まれておるように思う。このことはつまり結社の自由がなく
団体交渉権のない国々の低賃金は疑わしいものであり、
労働組合運動は貿易を取り扱う国際的諸機関に対し公正な労働基準のためのいい行動法典をつくり、その中によい行動の
前提条件として結社の自由、
団体交渉の自由、最低賃金というものが保障されていない状態において
OECDに
日本が
加盟するということは許さるべきものでない」という強い報告書を、先ほど指摘をした十五名の
リストの中に加わっておる人間の公式な報告書として出されておるのであります。おそらく御承知だろうと思うのです。そういうことは即
諮問委員会を通して非常な大きな抵抗、
日本の
加盟に対して障壁的抵抗になってあらわれてくるだろう。この障壁を取り除くということは、
国内的にいうならば、ようやく——まあ田中さんの言われるような成人に達したかどうか、私はまだ思いませんけれども、ようやく世界のおとなの国々に処して
日本が成人に達した状態でIMF八条国に移行し、
自由化体制というものをとって、
OECDの一員として入るということに対しては、
日本はそういうものを取り除いていらっしゃい、障壁を取り除いていらっしゃい。その中で問題としておるのは、国際労働
条約でいうならば、八十七号、九十八号、そうしてその結果である百五号、あるいは二十六号、せめてこれくらいのものは取り除いて出ていらっしゃい、こういうふうに言っているものと読み取る。理解するのです。重要な
日本の
OECD加盟に対して、障壁として思われるような国際機関の発言というものは、おそらくこれだけだ。幸か不幸か、あなたが
労働大臣をやっておられて、一番やり玉にあげられておる障壁があなたの所管に関するもので、あなたはこの障壁を取り除くためにどういう具体的な
対策をお持ちなのか、どういう処置をするつもりなのかということをお伺いをいたしたいのであります。それが
一つであります。
さらに、ILO
条約の問題で、ついでに指摘をしておきたいのでありますが、百十九のILO
条約がいまある。その中で
日本はわずかに二十四の
条約をしか批准していないのですね。その中で一番根本的なものは、たくさんあるけれども、私は
条約の第一号、つまり、工業的企業における労働時間を一日八時間かつ一週四十八時間に
制限するという
条約、二十六号の先ほど申し上げた最賃
条約、四十七号の週四十時間に関する
条約、五十二号の休暇に関する
条約、もっというならば、農業における有給休暇に関する
条約、百一号あるいは百二号の社会保障に関する
条約あるいは商業及び事務所における週休に関する
条約、あげてみれば、
日本の国際
経済社会における一番ダンピングとして指摘をされる重要なポイントをなす労働
条約は、一切と言っていいくらい、実は批准されていないというふうに言わざるを得ないので、そういう状態において、一体
OECD加入、そうして
自由化体制として指摘をされる障壁を取り除くというものに対して、あなたは一体どういうふうに
考えられるか。いま指摘をした
条約そのものについても、あなたの
考え方を聞きたいのであります。
私が第二の、労働
条約の取り扱いについてお聞きをする意味を補足しておきたい。
自由化によって農業生産物というものは非常な危殆におとしいれられるという問題があることは、あなたも御承知のとおりであります。バターにしてしかり、あるいはトマト
関係、乳製品なんかにしてしかりであります。あるいはサービスにおける賃金の値上がりが、即コストの引き上げになるといってあなた方は騒がれるのでありますけれども、あなたもきっと御承知でありましょう、諸外国へ行ってみて、日曜日に商店があいている店が何軒ありますか。食いものを売っている店以外にはほとんど、食いものと飲みものを扱っている店以外にはほとんど店はあいていない。これはすべて労働
条約を批准した条件のもとにおいて、なお国際競争にたえ得る
経済基盤を持っておる。いま
日本はそれがない。ない状態において、なおかつ、向こうから流れてくれば、すぐそれが
日本経済に非常に
影響をもたらすから、完全な
自由化というものができない、その弱い体質改善ということにかんがみてみれば、一番柱になるその府庁、農業の労働者の労働条件、生活の保障、労働者の最低賃金というものについて手を触れないで、事を始末していくということになれば、勢い
自由化の体制の中において、
開放経済体制の中において、
日本の底辺にある農業、商店、中小企業の企業者と労働者は、そのしわをまるっきりかぶることになる。そういう
観点から、あなたの所管に関する国際労働
条約のいま指摘をしたような問題について、
一つ一つあなたはどういうふうにこれを取り除いていくかということについてのあなたの
考え方を聞きたい。