○津島壽一君 そこで、内容にちょっと立ち入って増加するという
事情をお伺いしたいのですが、貿易外
収支の問題は運輸の関係とか、あるいは手数料とか、その他特許権の使用料とか、海外旅行といったようなもの、その他のものも
相当大きい
金額なのでありますが、どうもこの傾向は非常に私はおもしろくないと思うのですね。貿易の入超ということは、これは経済発展のための原料等の輸入が増加するということは非常にけっこうなことである。しかし、貿易外の
収支の上において特に何というか、大きな種目というか、項目になると思うのは、外国に対する利子ですね、手数料とか、その他特許料であるとか、海外漫遊の経費ですね、これが増してくる傾向にある。今後もこれはなかなか抑圧できぬ問題じゃないかと思います。経常的の
収支の取引について為替の制限ということはこれは困難なんですから、もしそういった傾向があれば、私はいまの
外貨というものが、これは一億五千万ドル減るというくらいの
程度だというけれ
ども、これは将来にわたる非常に大きなマイナスになるだろうということを心配するのですね。
そこで、これらに対して本年度、つまり三十九年度におきましても、これは増加はしかたがないのだということで、こういった五億ドルなんという計数が出るのであるか、また
一つ大きなアイテムは、三十九年の見通しにおいても四億ドルの資本取引、外債発行でつじつまを合わすというような結果になるとすれば、過去の外資輸入による利子
支払い、またこれは引き続きおそらく四十年度も情勢がいいから発行ができるだろうというお話ですから、これは外資導入をやり外債の利子を払うのは、非常に貿易外の毎年度の経常
支払いが起こるということを予期しなければいかぬ。これは避け得ないものだと思うのですね。そこで、そういった
事情がもしあれば、これは往年の非常に難局のところへ、同じところへ行くのじゃないかと思います。これは申し上げるまでもなく、明治以来、大正、昭和の始まりにかけてわれわれ苦労したのは、大きな外債をしょい込んで、貿易外
収支で何千万というか、そのときの通貨の価値もありますが、それをカバーするのに外債を発行して、そうして
国際収支というものを調整してきたのが歴史なんですね。外国の資本のいわゆる導入ができるからといって、これをやるということのいいか悪いかということの問題です。
そこで、従来、
国際収支が悪くなった時分の過去の歴史を申し上げる時間もありませんが、外資の導入は抑制するという方針を立っているのです、その当時に。これは非常にむずかしいのです。そうしていわゆる貿易外の
収支というものを何というか改善し、貿易に対して
——これは貿易は自由貿易ですから、貿易を抑制するということはできなかったので、大正、昭和の八年までというものはその
程度でやってきたのですが、どうもいまの
国際収支、貿易外の内容が、どうもこれは将来に累を残すような方向に向かっておるのじゃなかろうかという感がする。しかし、私は消極的な議論をするのじゃないので、外資というものが経済の発展に大きな貢献をするものだということは認めておるけれ
ども、それをやるにしても、ほかの対策が広く伴わないで安易な考えでいくと、大きくこれがマイナスになって、ことに戦後外国で借りたいわゆる外債その他の外資導入ですね、この償還期が来るのですね。これをいまはまだそんなに来ないのですけれ
ども、大体昔のよりは短期になっておりますが、昔のは二十五年、三十年の外債だから非常に先のことで、
日本の経済変転するから、そこら辺で早いうちに
——ところが、だんだん期近になると、これは貿易外の経常
収支じゃなくて、資本取引の払いというものが大きくなるのですね、これはどかっと
外貨を落としていかなければならないという問題になるのです。そこらは如才なくお見通しは立てられておると思うけれ
ども、どうもすぐ外資導入で何とかできればやれるというようなことで、実際の元金償還の時期が来たときにはどかっと落ちるのです。これはもうわれわれ大正十四年に経験したのですが、第一回、第二回四分半外債三億五千万円パーの価格で、それが一挙に償還期が来たので、これはえらいことになってくるということであったのです。
まあその意味では、ほかの各項目について、いろいろ御努力になるというのですが、すべてこの各項目ほとんど貿易外
収支の経常の項目というものはみんなマイナスですね。たとえば海外旅行、これは昨年はわずかといっては悪いかもしれぬが、七千六百万ドルくらいだったのですが、今度はかりに一種の制約を設けて、これはIMFに除外例として承認を受けて年に五百ドル一回という制限を設けてみましても、この
金額を大体見ても、これは
相当増加するだろうと。そういう観点からいって、利子は、当然これは対外利払いは増しますね。これは累積してきますから。そういうようなことを考えると、たとえば運輸というようなものは
日本は例年プラスだったのですね。この項目の貿易外
収支が毎年四億何千万ドルのマイナスになっておる。その他交互計算とかいろいろなものがありますが、どうも貿易外
収支の各アイテムというものをやって、これが改善されるという見通しがはっきり立つものか。むしろ増すものが多いわけでありますね。そこに私は非常に、
政府としてはよほどの決心をもってやらなければいかぬ。
私はその一例として、たとえば国産品奨励という問題が起こっておりますね、
国際収支改善の一環として。これも
政府はどういうことをやられたか、これは大臣からお承りしたいのですが、
国際収支が非常に窮屈な時代には、浜口大蔵大臣は会計法を
改正したのです。どういうことをやったかというと、官庁がいやしくも物を買うときには国産品を買え、これは自由契約でいい、また請負に出す場合においてはこれに使用する資材は国産品にせよということができるという会計法の特例の
法律までつくった。しこうして、その
法律の効果はどうかというと、これはちゃんと記録にも残っておりますけれ
ども、それによって二億とかなんとかという節約もできたという
報告書も、大蔵省の中に
委員会ができてやったからあるのですがね。だから、もう少し何か手を打っていただきたいというのが私の希望であって、この問題については大臣も非常に御苦心だろうと思いますが、この前経済企画庁長官がここにお見えになりまして、この問題で同僚
委員からもいろいろ御質問がありましたときに、貿易外
収支の問題は、非常に重大だから、近く今月内に関係閣僚の懇談会を開いていってやりますということだったのです。それは運輸の問題だったと思いますが、問題は
範囲が非常に広いわけでありますね。そういう意味において、これを何とか取り上げて、そうして改善する具体策をお立てになるということが、開放経済体制に向かう、これはまあ去年からやってもよかったことと思うのでありますが、いまからでもおそくないですから、私は大臣にそれをお考えをお願いしたいのですが、大臣はこの点についてどういうような抱負というか、御
意見を持っておられるか、それを承りたいのですね。