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1964-03-03 第46回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三日(火曜日)    午前十時五十一分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     新谷寅三郎君    理事            柴田  栄君            西川甚五郎君            成瀬 幡治君            渋谷 邦彦君            天田 勝正君    委員            岡崎 真一君            川野 三暁君            栗原 祐幸君            佐野  廣君            鳥畠徳次郎君            日高 広為君            堀  末治君            野々山一三君            原島 宏治君            鈴木 市藏君   政府委員    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    大蔵省主計局    法規課長    相沢 英之君    大蔵省銀行局長 高橋 俊英君   事務局側    常任委員会専門    員       坂入長太郎君   参考人    日本輸出入銀行    総裁      森永貞一郎君    日本輸出入銀行    理事      斎藤 正年君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○企業資本充実のための資産評価等  の特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○公庫予算及び決算に関する法律の  一部を改正する法律案内閣送付、  予備審査) ○国有財産法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  去る二月二十七日予備審査のため本委員会に付託せられました企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案、去る二月二十八日同じく付託せられました公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案、昨三月二日付託せられました国有財産法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題とし、三案について順次提案理由説明を聴取することにいたします。  齋藤大蔵政務次官
  3. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) ただいま議題となりました企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  最初に、企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。  企業資本構成の是正に寄与し、その経営基盤の強化と経理適正化をはかる見地から、一定規模以上の株式会社に対しまして、再評価積み立て金資本組み入れ促進し、あわせて必要な減価償却を行なわせますため、従来から企業資本充実のための資産評価等特別措置法規定によりまして、所要措置を講じてまいったところであります。  近くこの規定適用期限が切れることになりますが、いまだ再評価積み立て金最終処理を行なっていない会社かなりの数にのぼっている現状にかんがみ、わが国企業経理及び経営健全化に資するため、この規定を若干改正して、適用期限を延長する等所要整備を行なう必要があると考えられますので、ここにこの法律案を提出いたした次第でございます。  次に、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、再評価積み立て金資本組み入れ促進措置でありますが、現行法におきまして、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度直前事業年度までは、再評価積み立て金資本組み入れ割合が四〇%に満たないときは年一〇%、六〇%に満たないときは年一二%、八〇%に満たないときは年一五%をこえる配当を行なってはならないものとされておりますが、この措置を若干改正して、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から二年間につきましては、資本組み入れ割合が五〇%に満たないときは年一〇%、七〇%に満たないときは年一二%、八〇%に満たないときは年一五%をこえる配当を行なってはならないこととし、さらに昭和四十二年三月三十一日を含む事業年度から一年間につきましては、資本組み入れ割合が六〇%に満たないときは年一〇%、八〇%に満たないときは年一二%をこえる配当を行なってはならないことといたしました。なお、再評価積み立て金資本金に対する割合が一五%以下の会社に対しましては、現行法におきまして前記の配当制限を適用しないこととされておりますが、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度以降三年間につきましては、この割合を一〇%に引き下げることにより、再評価積み立て金資本準備金への組み入れ規定との権衡をはかるとともに、再評価積み立て金資本組み入れの一段の促進をはかることといたしました。  第二に、減価償却励行のための措置でありますが、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度直前事業年度までは、減価償却の額が普通償却範囲額の九〇%に満たないときは、年一〇%をこえる配当を行なってはならないこととされておりますが、改正商法趣旨にも沿って、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から三年間は、減価償却の額または減価償却資産について引き当て金を計上した場合にはそれとの合計額普通償却範囲額に満たないときは、特別の場合を除き、年一〇%をこえる配当を行なってはならないことといたしました。  第三に、街評価積み立て金資本組み入れ割合が八〇%以上である場合または再評価積み立て金の額が資本の額の一〇%以下である場合には、現在、再評価実施会社につきましてはその全額を資本準備金に組み入れ、再評価積み立て金勘定を廃止することができることとなっておりますが、これを再評価積み立て金を有する株式会社全般に適用することとし、再評価積み立て金最終処理促進をはかることといたしました。  最後に、以上の改正に伴い所要規定整備を行ないますとともに、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年度以後における再評価積み立て金処理につきましては、追って法律で定めることといたしました。     —————————————  次に、公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。  国民金融公庫外公庫予算作成及び執行並びに決算作成は、公庫予算及び決算に関する法律の定めるところによって統一的に処理されておりますが、法律の制定以後における各公庫予算及び決算事務執行状況等にかんがみ、その業務の一そうの能率的かつ適正な執行に資するため、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案概要は、公庫支出予算につきまして節の区分、支払いの計画及び繰り越しの制度を廃止することとし、予算総則につきまして固定資産の取得に要する金額限度額に関する事項を削除することとし、決算完結期につきまして現行の七月三十一日を五月三十一日に改め、さらに、公庫大蔵大臣に提出する財務諸表及び決算報告書につきましては、これに監事の意見を付さなければならないこと等を内容とするものであります。     —————————————  次に、国有財産法の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。  国有財産管理及び処分適正化並びにその運営の円滑化に資するため、国有財産にかかわる総合調整の手続を整備するとともに、地方公共団体等災害応急措置等のために使用する国有財産について、貸し付け料無償とすることができることとする等の必要がありますので、ここに国有財産法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。  以下、この法律案概要を御説明申し上げます。  まず第一に、大蔵大臣が、国有財産管理及び処分の適正を期するため必要あると認めて、各省各庁の長に対し、その所管に属する国有財産について、用途の変更、用途の廃止、所管がえその他必要な措置を求める場合、閣議決定を経てこれを行なうことになっておりますが、今後、大蔵大臣各省各庁の長に対して直接、措置を求めることができることとし、さらに必要があると認めるときは、閣議決定を経て必要な指示をすることができることにしようとするものであります。  第二に、公園または広場である公共用財産の減少及び皇室用財産増加に関する国会議決を要しない金額限度額は、従来それぞれ一件当たり三百万円未満の財産で一年間の財産合計額が三千万円に達するまでとされておりますが、これを、それぞれ三千万円及び三億円に引き上げるとともに、皇室用財産増加については、購入、新築等予算に計上されて国会議決を経たものを除く寄付、交換、所管がえ等予算に計上されていないものについてのみ、国会議決を要することとしようとするものであります。  第三に、各省各庁の長が、特別会計所属普通財産である土地または建物の貸し付け、もしくは、貸し付け以外の方法により使用もしくは収益をさせ、または売り払いをしようとする場合は、あらかじめ大蔵大臣と協議して行なうこととして、普通財産管理及び処分を適正に行なうようにしようとするものであります。  第四に、行政財産を、その用途または目的を妨げない限度において使用または収益をさせる場合は、現行法では私法契約によることも可能でありますが、今後はすべて行政処分たる許可によることとし、あわせて私権が排除されることを明確にしようとするものであります。  第五に、地方公共団体等に対して、災害が発生した場合に、応急措置を実施するために必要な普通財産無償貸し付けることができることとするほか、ごみ処理施設及びし尿処理施設の用に供するために必要な普通財産無償貸し付けもしくは譲与することができることとし、さらに行政財産についても、その用途または目的を妨げない限度において道路、水道及び下水道の用に供する場合は、これを無償で許可することができるものとしようとするものであります。  以上が、企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案提案理由及びその概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 以上をもちまして三案の提案理由説明は終わりましたが、これらの法案についての、審議は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  5. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言願います。  なお、本日は、大蔵省から斎藤政務次官銀行局長為替局長代理主計局法規課長出席しておられます。通産省からいま出席しておられるのは輸出振興部長通商局長はやがて出席される予定になっております。それから、参考人としては、輸出入銀行総裁森永君、理事斎藤君が出席しておられます。
  6. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 わが国輸出貿易上に占める輸銀役割りですね、特に社会主義国に対する最近の東西貿易の増進と相まって、輸銀が果たす役割りというものについてどのような見解をお持ちなのか。また、具体的な展望が示されるならば、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  7. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 共産圏関係貿易につきましては、政治的な問題は抜きにいたしまして、経済的な取引につきましては、何といいますか、特に積極的にどうということはありませんけれども、先方との間に民間ベースにおいて契約ができまして、それが支払いその他において不安のない範囲におきましては、これを輸出入銀行においても取り上げていくという態度でおります。ソ連中共等に対しましても、ソ連なんかにつきましては、かなり金額が融資承諾され、また貸し付け残高としても相当にございます。中共につきましても、ビニロン・プラントのようなもの、これを取り上げて融資の対象にするということをやっておりまして、その点におきましては、たとえばソ連なんかの場合に見ましても、他の国と比べて何ら見劣りしない程度輸銀資金が活用されておるというのが現状でございます。
  8. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ちょっと、具体的な見通しなり展望なりを伺いますが、二月の二十八日に、外務大臣衆議院外務委員会で、中国に対する三十九年度の輸銀の割り当ては三千万ドル程度に押えるのだという発言をしておりますが、これを輸銀のほうでは承知しておることですか。
  9. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ただいま、外務大臣からそういう三千万ドル程度ワクで押えるという発言があったというお話でございますが、私ども並びに輸銀といたしましても、そういう特定の国に対して特定ワクを設けるというふうな考え方はとっておりません。非常に大まかな品目別——品目といいますか、項目別ワクはございますが、輸出金融とか投資金融、あるいはどのくらいの輸入金融といったような、そういった柱はありますけれども、その輸出金融の中で、特定の国に対するワク幾らにするかというふうなことで運用しておるわけではございません。外務大臣がどういう考えで言われたのか、その点確かでございませんが、ただ、中共貿易が、いままでの趨勢等考えまして非常に急激に大幅に伸びるというふうなことは考えられないと思いますので、そういった一つの感じを申し述べられたのかもしれませんが、ワクで押えてしまうということにはなっておらないわけでございます。
  10. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は外務大臣の御発言はじかに聞いたものではございませんが、ちょっとこれはずいぶん答弁が食い違っておると思うのです。今度産投のほうから入ってくる金、三十九年度の予算に入ってくるのは二百二十五億円ですね。この使途について、あるいはまた中国貿易延べ払い輸出の問題について、その質問に対して外務大臣が答えて、大体三千万ドルを限度としてということを言っているのだが……。  失礼ですが、委員長、いま御答弁された方はどなたですか。
  11. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 銀行局長です。
  12. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 銀行局長ですね。銀行局長外務大臣というのはずいぶん所管が違うかもしれませんけれども、しかし、そういう問題ですね、いま非常に注目の的になっているような中国との貿易の問題について、国会答弁が、委員会答弁が、どうも外務大臣銀行局長との間にまるっきり意思疎通がないような答弁をされたんでは、政府の対中国貿易の具体的な前向きの姿勢というものを何を根拠にわれわれは知ることができるのか、これは見当がつかない。これは当局の御答弁の食い違いということは、ちょっと……。これは、こっちはいうならば金を出すほうの側でしょう、これは。もう一度聞きますけれども、あなたは、外務大臣の二月二十八日の衆議院外務委員会での答弁はお読みになりましたか。
  13. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 読んでおりません。  それで、申し上げますが、そういう意味でのワクはないのでありまして、外務大臣がお答えになったのがどういう御趣旨であったのか、少なくとも輸銀に関する限り、輸銀の中に中共向け幾らにするというふうなワクは設けておりません。
  14. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは委員長、一度外務大臣出席を求めて、この二十八日の衆議院外務委員会でそういう答弁をなすった真意を確かめてみたいと思います。非常にこれ、委員長のほうでも御尽力願って、外務大臣にぜひ来てもらって輸銀の対中国貿易に関する問題について関係当局との間に十分なひとつ意思疎通、統一があるかどうかを確認しておきたいと思います。  それで、次の問題に移りますが、最近新聞なんかで見るところによりますと、OECD日本が加盟するということになると、この輸銀の果たしている役割りということが相当拘束されるのではないか、むしろ調整という名において制的を受けるのではないかというようなことが伝えられておりますが、これについて輸銀のほうとしてはどういうふうな考え方を持っているか、お知らせ願いたい。
  15. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) OECDに入りました場合に、延べ払い期間ないしは保険期間五年以上のもので、その資金政府資金でありあるいは保険の主体が政府機関であるというような場合には、それを事前に報告をすることにしたらどうかというような案が、OECDのある作業部分で問題になっているということは承知いたしております。しかし、これにはいろいろ各国利害関係が錯綜しているわけでございまして、必ずしもそのとおりの決定がもたらされるとも考えておりません。第一、民間資金による延べ払いを野放しにすることがアンバランスであるという問題もございますし、いろいろな問題が残されておりまして、かりにそういう提案が行なわれました場合に、それに同意するかということ自体がまず問題なのでございまして、なお問題になっておりますのは、先進国相互の場合でございまして、後進国に対する延べ払い輸出等につきましては、むしろ期間を延長すべきであるという議論もOECDの他の部会で問題になっているくらいでございます。私どもの融資いたしておりまするものの対象のうち、船舶は先進国向けのものが相当ございますが、プラント等につきましては後進国向けのものが大部分でございまして、そういう事情も合わせ考えますと、先々そう困ったような事態になるとは目下のところ考えておりません。もちろん、そういったような動きには、政府におかれましても慎重な注意を払われて善処をしていただけることと期待いたしているところでございます。
  16. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 だいぶん楽観論のようですけれどもOECDが、特にこの輸銀形式によるこのようなつまり延べ払い制をやっているという点について、日本以外にどういう国がこのような形の、つまり政府関係機関的なこういう金融、こういうふうな形をとってやっているかですね、よその国の実情おわかりでしたら、ちょっとお知らせください。
  17. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) アメリカにも輸入出銀行がありますし、やり方は違っておりますが、実質的には同じようなことをやっております。また、ドイツにも類似の機関がございます。まあイギリスの場合は民間機関的な色彩が非常に強いのでございますが、その他の各国におきましても、大なり小なり、政府機関的な色彩機関輸出金融について何らかの役割りを果たしておるというのが現状でございます。
  18. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 このOECDの、つまり貿易委員会産業部会で今度この問題が取り上げられると、特に日本輸銀の問題がほとんど、情勢のいかんによっては、調整ということばを使っておるけれども内容制約を受けるようなことになるだろうという。この方向の中の一つには、非常に重大なねらいだと考えられるのは、対社会主義諸国に対するクレジット、つまり延べ払いの問題だろうと思うんです。で、これについて、OECDじゃなくて、NATO北大西洋軍事同盟に参加している国々が社会主義諸国に対する延べ払いは五年以内にすべきだという、こういうような何といいますか、決定ですか、決議ですか、相談ですか、そういうふうなことで、これが日本にも通告されてきたというのは、どういう機関を通って日本政府にこのことが知らされてきたのか、この経緯について御存じだったら知らせてもらいたい。
  19. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 私どもは、他の方面から日本政府に対して五年以内に限るようにというような通達が参っておるという事実は承知いたしておりません。
  20. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 いないんですか。
  21. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) はい。ただ、実際問題として、各国商売をするわけですから、その商売をいたします場合に、先進諸国が出しておるのと比べて、やはり競争し得る条件ということに考えますと、たとえば中共の場合には五年というようなことが結果的に起こってきておるということでございます。
  22. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これもさっきの問題と関連があるんだけれども外務大臣はそのような話を受けたということを言っていますがね。これも答弁していますよ、外務大臣は。
  23. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) そういうことはやはり討議をされたことはありましても、そういうことが決定されてこちらに通告されたという事実はございません。実際問題として、いま総裁説明されましたように、中共向け延べ払い期限が、イギリスその他の事例で見て、大体五年くらいになっておるから、日本の場合もその程度期限にするというふうな、まあならわしになっているというだけでございまして、通告を受けた事実はございません。
  24. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 通告という——まあもちろん通告を受ける筋合いじゃないんだろうと思いますけれども通告ということばでなくて、あるいはそういうことについての知らせを受けたという程度のものもないんですか。
  25. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ございません。
  26. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この点も、外務大臣のこの問題に関する衆議院外務委員会での答弁とちょっと違うようですね。  そこで、最近新聞でにぎわっている一つの問題に、イギリスの対共産圏あるいは社会主義諸国に対する非常な貿易上における高姿勢の問題ですね、たとえばキューバにしかり、あるいはソ連に今度一億ポンド、一五年の長期クレジットを設置するといったような問題がありますね。こういう動きについて、一体、輸銀あるいは大蔵当局はどういうようにお考えですか。
  27. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 一般の政治的な問題につきまして、アメリカの出方に対して、必ずしもイギリス、フランスと完全に同じ路線を走っておらぬと。特にまあ貿易というか、そういう借款というような意味におきましても、少し違った態度でおるということ。これは何ゆえにそうであるかという点につきましては、私どもとしてもそういうなかなか憶測しがたい点がございます。そうでありますので、イギリスが、アメリカがある意味においてはきらうようなことすらとっておるという点、全く私どもとしてもこれは非常に政治的な感覚に基づくものであろうと思いまして、どうも推量いたしかねる点がございます。事実問題として、しかし非常に早くからイギリスは、中共承認というようなことから、共産圏との経済的な接触を保っておるということは事実でございます。まあしかし、これがアメリカがとっておりますような態度をすべてのNATO諸国がとっておるというような状態に対して、ある意味における緊張緩和役割りを果たしているというような点もあるのじゃないかと思います。まあ、イギリスとしては、商売商売として割り切ってやっているのじゃないかと、そういうふうに私ども考えております。
  28. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 イギリスは、商売商売と割り切ってやっているといいますが、日本はそうはいかないですか。日本はどうです。  これは、OECD日本がいよいよ加盟することになりますけれども、このおそらくは産業部会でやられている実情を見ると、相当日本輸出貿易に対して、まあ何というか、締めてくると。調整ということばの中で締めてくる気配がかなり濃厚だと思うが、この場合、そのような調整日本の不利になる、そういう日本の不利になると予想される場合、一体どのような態度をとるのか。この辺のところのひとつ問題点をお聞かせ願いたいと思うのですがね。
  29. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) そういう問題について、私ども実はまだそういう十分な討議を内部でいたしておりませんが、考え方としては、現にいま申しましたような、イギリスあたりはすでに共産圏貿易についてもかなり自由な立場をとっております。そういう中に加わりまして、日本だけが特に対共産圏貿易についてきびしい制約を受けるというふうなことにはならないだろうと私ども思っておるわけでございますが、にもかかわらず、もしも、これは仮定の問題でございますが、いまお話しのような懸念があるといたしましても、私どもとしては、まあ商売商売だとしてはっきり一〇〇%割り切るわけには参りませんでも、いままでの程度のものを逐次ある程度伸ばしていく、全体の貿易の伸びに応じて対共産圏貿易も自然に伸びるということについて、特にこれをはばまれるような措置に対しては賛成いたしかねるという考えになるであろうと思います。ただし、私、これはいま私個人の考えを申し述べただけでありまして、政府部内としてそういう問題についての討議を行なった事実はございません。したがいまして、政府態度としてはまだここで申し上げる段階にはございません。
  30. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これではちょっと困るのですね。非常にまあOECDの加盟の問題と結びついて重要な一つ問題点だけれども政府の責任者でないからこういった点についての答弁はできないかもしれませんけれども、相当各省間ではこの問題については寄り寄り協議をしていると。で、そういうことのないように手を打ちつつあるというような情報がずいぶん伝わっているのですけれども政府部内でこういうことを一ぺんも討議したことないんですか。
  31. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 主としてOECD関係のことにつきましては、大蔵省としては為替局が中心になって、やっておりますが、いま聞きましたところでも、お尋ねのようなことについて格別の討議を行なったことはないようでございます。ただ、延べ払い条件が、非常にその条件によって輸出の国際的な過当競争になるという点は、これは常に先進国としておのおのがみな困った問題であるといっているような節もあるわけであります。でありますから、そういうような条件にしてあまり行き過ぎたことにならないようにという話し合いは当然にあるようでございます。しかし、それは日本輸銀延べ払い条件だけをねらいにしているというものではありません。そういうところで、これは全体としての調整調整とおっしゃいますことは、つまり過当競争の道具として延べ払い条件が非常に行き過ぎて使われるということ、それをやめようじゃないかというふうな意味で話し合いが行なわれているようでございます。OECDの中にも中立国もございまして、共産圏貿易だけを非常に規制するというふうな考え方で取り上げられている問題ではないように承っております。
  32. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは四月から日本が加盟をするということでやっているのについて、こういう動きについて、かなり敏感でなければならないと思うのだけれども、まあいまの答弁を聞いていると、どうも心もとないが、事実OECD加盟の各国は、日本に対する貿易上の差別をかなりやっている。アメリカなんかにおいては、日本の輸出品については四〇%に近いとにかく自主規制をやっている。各国においても差別的な貿易日本に押しつけてくるといったような事実を見て、このようなつまり調整措置が、勢いのおもむくところ日本輸銀延べ払い輸出に目を向けてくるだろうということは、これは想像に余りあると思う。これらについて、もっと確固とした方針を持って臨まぬと、私たちはOECDに加盟することそれ自体に大きな疑問と不安を持っておりますけれども、かりに最悪の場合にそういうような形になったときに、どういう態度を持つかというき然たるあれがなくて、調整だろうから、行き過ぎを、過当競争を調整するのだといったような、文字どおり調整ということば意味をそういうふうに解釈するのではなくて、非常にこれは難問になってくるであろう。そういう場合に、イギリスあたりの持っている、先ほどあなたの言っている商売商売だといったこういったものを十分考慮してがんばり抜いていくという態度を持っていかなければ、これからやっていけないのではないかという、こういう点について疑問を持つので、こういう質問をしているのです。まだ一度も十分討議をしていないというのは怠慢だと思うのですが、どうですか。
  33. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) どうも私どもの感じでは、特にいまお話しの対日輸入制限、一般貿易につきまして、そういうことが転入制限というか、日本に自主的な調整を求めるという形で行なわれている例はございますが、しかし、それと関連いたしまして、輸銀延べ払い条件について、日本だけをねらい撃ちをして非常に辛くさせるというような、そういう動きは感じられないというふうに聞いているわけです。私、直接にOECDに行ったこともありませんし、ただ聞く程度でございますが、そういう事実はございませんので、したがって、それに対してどう対抗するかということを討議したことはないと申し上げたわけでございます。  輸銀の条件につきましても、なるほど全部が政府資金でございます。現在、大体船舶につきましては八割まで輸銀が融資するということでございますので、金利等の点について、むしろ金利が各国の実際に行なわれておるところのそういう政府機関等の金利よりも若干少し安いのじゃないかという感じがしないでもございませんが、しかし、その点を特に問題にされた事実もございません。期限につきましては、大体普通並みだ、むしろ外国の事例にはもっと長い条件を提示して日本側を困らせるような事例さえあるわけでございまして、そういったいろんな条件を考えてみましても、特に行き過ぎているというふうな指摘を受けることもないのじゃないか。これをさらにもっときびしくすると、日本OECDに加盟いたしましても、日本だけが条件を非常に悪くしなければならぬというふうなことはあるはずがないというふうに私どもも確信いたしておるわけであります。そういう事情でございますので、特にいま問題にして取り上げておらぬ、こういう意味でございます。
  34. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この問題はいずれ、あとに控えている外為や外資法の問題のときに、さらに一そう討議を深めることにして、きょうはこの辺でここのところは終わりたいと思うのです。  あと一、二質問をしたいと思うのですが、これもこの機会に。これは仮定の質問になるかと思いますが、いま進められている日韓会談が、われわれはもちろんこれに反対ですけれども、もし妥結したとして、有償、無償合わせて五億ドルの供与は、一体どういう形態をもって行なうのか。たとえば輸銀ベースでいくのか、あるいは協力基金でいくのか、あるいはその他の線でいくのか、こういうことについては、どういう方向でいくお考えですか。
  35. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) まだ確定いたしたわけでございませんが、五億ドルの有償、無償と申します場合には、その中には輸銀の負担分は入らないというふうに考えます。それ以外において通常の民間ベースによって、政府間の協定ではなしに、民間のベースによって話が進められて、契約が締結された場合に、それを審査した上で輸銀が取り上げるということは十分に考えられます。
  36. 天田勝正

    ○天田勝正君 いろいろお聞きいたしたいと思いますが、今度の主たる改正点は、政府の出資金をもって資本金にする、一々法律改正を要さない、こういう部分だと思いますが、同種の金融機関でほかもこういう例がたくさんありますか。銀行局長でもどっちでもいいです。
  37. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 政府関係機関は非常にたくさんございますが、その中には、今度の輸銀法の改正に織り込んでおりますところの予算措置のみで出資の増額ができるという規定のものが非常にたくさんでございます。なお、金融関係の政府機関につきましては、現在は大部分法律改正を要するとなっておりますが、その中に住宅金融公庫だけが法律改正を要しないという例がございますが、あとは予算措置だけではいけないことになっております。今回同じような趣旨をもちまして法律改正をお願いしているものに、農林漁業金融公庫、それから公営企業金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業信用保険公庫、これらにつきましては、輸銀法と全く同じような意味で、法律改正を要せず、予算措置で出資増額ができるというふうな、そういう意味での改正を、この国会に提出いたしております。それ以外のつまり金融機関にあらざる各種の政府機関政府関係といいますか、特殊法人に対する政府の追加出資に対する規定を見ますと、非常にたくさんのそういう特殊法人が予算措置だけ政府の出資が追加できることになっております。大体最近の立法例といたしましては、毎年ほとんど継続的に新しい出資を政府から行なうというふうなものにつきましては、大体そのようなふうにする。非常にまれにしか出資が行なわれないというものにつきましては、やはりそのつど法律改正を要するということになっておるのが慣例でございます。
  38. 天田勝正

    ○天田勝正君 これが、従来ほとんどのものが予算措置だけで資本金を変えることができるというふうになっておれば別ですが、ここにあらためていま申されたように他の金融機関も一斉に改正しようと、こういうのであれば、われわれ国会の立場からするならば、こうした資本の変動というものが審議されるということは、ほとんど予算審議以外にはない、こういうことに審議の場所というものが狭められます。おそらく政府答弁からすれば、他の、予算案のときに審議ができるから国会審議無視ではないと、こう答弁なさると想像するけれども、実際には予算審議はあまりに膨大であって、そうして時間を、一人一人がそれぞれ持ち時間というので制約される。そうなれば、やはり法律法律として、別の機会においてこの増額、減額、それぞれ審議ができるところが望ましい、こうなると思うのです。これはどうしてもそうしなければならないというには、積極的な何かわが国輸出貿易上非常に便益がある、あるいはそれによって輸出が非常に伸びる、こういう積極的な理由がなければならぬと思いますが、その点はいかがですか。
  39. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私どもとしては、国会におきまして、たとえば輸出入銀行に関して業務の遂行状況等についていろいろと御報告申し上げたり、御審議、御質疑にあずかるという点、何ら、この委員会におきましても、それは私どもとしてはいつでも用意はあるわけでございますが、この法律の形といたしまして、当然のことのように毎年、たとえば輸出入銀行で申しますと、借り入れ金を資金運用部から行ないます。それに伴って出資が必要となるわけでございます。六分五厘の資金を借り入れて、中心貸し出し金利が四分であるというふうな状況におきましては、それだけの逆ざやを補うという意味におきまして、当然なことのようにある割合の出資が必要となる。つまり、この問題は、この出資に関する限り、要するに予算的な意味が強いわけでございまして、毎年必ずきまって資金量の増大とともに出資を要するという場合は、これを法律の上でその金額を改めていくという必要が必ずしもないんじゃないか。  お尋ねのような、これを改正することによって輸銀の機能が非常に発揮されるとか、そういう実体問題はございません。むしろ法制的意味整備であるというふうに解しておりますが、審議につきましては、予算委員会等におきまして十分に御審議も願いますし、またたとい法律がたとえば大蔵委員会にかからないといたしても、輸銀の業務についていろいろ御疑問の点がございますれば、随時お呼び出しいただきまして御審議願うのが当然でございまして、この法律の条文の上で毎年法律改正案を提出することはなくても、国会の軽視ということには一向にならないものと考えております。それが非常に内容的に輸銀の機能云々に関するということは確かにございません。形式的な意味での法律整備であるというふうに解しております。
  40. 天田勝正

    ○天田勝正君 今回、十八条の九号がありますけれども、それをずらして新たなる九号を加えた。これは現行法で見ますと、三号にも似たような条項がございますが、それとは少しく手続、趣旨等が違うと思います。いずれにしても、この三号があるのに、さらにこの九号を加えなければならない、加えることによってやはり輸出が非常に順調にいくのである、そういう積極的な理由ですか。
  41. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 新しい九号の趣旨を砕いて申しますと、わが国から輸出した資本財等につきまして、すでに輸出入銀行延べ払い条件で融資をつけておる。それがだんだんに年賦によりまして期限が来るわけでございますが、そのときに相手国が国際収支上の理由支払いが非常に困難になるというふうな場合、ちょうど、これは実例といたしましては、かつてアルゼンチン、ブラジル等について起こったわけでございます。そういう場合には、債権を持っておるところの主要国に対して、それらの国から債務の支払い延期を申し出ることがございます。そのような場合に、日本政府だけがそれに応じないというのはまずいのではないか。主要な債権国が相寄りまして、やむを得ない事情であるから何年間か債務のたな上げあるいは延期を認めてやろうというふうな話し合いがつきました場合には、日本といたしましても、これをまあつまり一種の肩がわりと申しますか、純粋に民間ベースで取引されたものでございますけれども、今度の場合におきましては、相手国の政府あるいは政府機関等に新たに貸し出しを起こしまして、それで旧債は返済させる。旧債は返済させるが、新しい貸し出しを起こす。言ってみれば肩がわり、そういうことを行なうというのがこの新しい改正条文によりますところの九号の趣旨でございます。三号の場合とはちょっと趣旨が違っております。
  42. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、これは一般に借款を供与して、借款供与する場合はもちろん何らかの協定をやるでありましょうが、しかし、その借款供与以前において、言うなれば、端的なことばでいえば焦げつき債権のごときものができてしまった。その限度において、今度は企業にあらずして政府を相手にその借款を供与する、こういうことですね。
  43. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 大体おっしゃるとおりでございます。民間のままでおりますと、その日本のたとえば輸出業者がそれを繰り延べした場合には負担していかなければならない。それを日本輸銀が相手国政府等に貸しますから、民間での負担はなくなるということになります。
  44. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、その必要な資金というのは、おのずからまあ限度があると思うのですけれども、そうでなければ、さらにまた当委員会審議しなければならぬと思いますが、そういう不測といいますか、あくまでも焦げつき債権の限度だということで、この九号に示すものはそれ以外の借款に似たものをするということは絶対ないわけですね、資金限度……。
  45. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これは条文で申しますと、第十八条の二の条文の五項でございますか、そこに詳しく書いてあるわけであります。むろん、いまお話しのように、新しく貸し付け金額は従来の債権の範囲内であるということは当然でございます。もちろん、その総額をやるかどうかということはそのときの状況によるわけでございまして、おそらくたいていの場合におきましては、全額をそのまま繰り延べる、というふうなことではなくて、その中の一部を繰り延べの対象にする、肩がわりの対象にするということになろうかと思います。
  46. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、あくまでも焦げつき債権に対する事後処理なんですから、それが時期が到来してもなお返済できない、こういう場合ですから、その返済期限だけの変更はあるけれども、その他の条件というものは従前のとおり、こういうふうに解釈していいのですね。たとえば金利とか、そういう……。
  47. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 新たに肩がわりのために起こす貸し出しの、貸し付けの条件は、そのときの主要債権国の相談できまるものでございますので、従来の金利その他の条件によるとは限らないわけでございます。
  48. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、その例で今日まで処理したのはどのくらいの国と、どのくらいの額になりますか。
  49. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これは今度の改正によりまして輸出入銀行が相手国政府等に貸し出しを行なって肩がわりするという道が開かれるわけでございますが、従来は、そういう道がございませんので、輸銀がそのために相手国政府貸し付けたという例はございません。ただ繰り延べを行なった事例を申し上げますと、アルゼンチンの場合には、一九六三年及び六四年中に支払い期の到来する中期商業債権の五〇%、半額を一九七〇年まで繰り延べたわけでございまして、その到来する債権は二千四万五千ドルでございます。繰り延べ額としては、その半額の千二万三千ドルということをやっております。この場合には、日本の商社がそれを負担しておるといいますか、というような形になっておりまして、しかし、その商社の輸銀及び市中銀行に対する返済もそれに応じてまあ繰り延べをいたしたわけでございます。ブラジルの場合におきましては、一九六一年の六月以降一九六六年までに支払い期限が到来する中期商業債権の約六七%を一九七一年まで繰り延べることにしたわけでございます。この繰り延べ決定額は千四百五十二万四千ドルでございます。すでにこのうちで九百二十四万五千ドルを繰り延べておりまして、残りの金額は、いまブラジルとの間におきましてはウジミナス等の問題におきましていろいろと交渉がございますので、それらのこととにらみ合わして繰り延べを実行することにいたしておるわけでございます。これは輸銀が直接に相手国政府に対して貸し付けを行なったものではございませんです。
  50. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、今度の法律改正によって、当該国へ繰り延べ措置をすると、そういうのは借款供与ということになろうと思いますが、その際は直接には日本政府は介入しませんか。いかがですか。
  51. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) その主要債権国の、当然、会議が行なわれるわけでございますが、そういう点から申しましても、政府が関与することは当然でございます。政府間の協定のような、つまり借款みたいなことになるわけでございますから、政府は関与するわけでございます。
  52. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはいかがでしょうかね。それぞれの債権国によっては、わが国輸出入銀行のごときものがあるところ、ないところ、それぞれあろうと思うんです。また、日本の昔の正金銀行のような形で為替を扱っている国もあろうと思う。それですから、主要債権国のほうからの呼びかけは国として行なわれるであろうが、日本においては輸出入銀行によって貸すんですから、それは間接的に国同士の話し合いはあっても、何かのそこへ協定が起きて、国会の承認を受ける協定になった、そういうことになります。そういうのではないのでしょう。だから、私の質問は、直接に介入しますかどうですかと聞いておる。間接にはもちろんあると思います。
  53. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 厳格な意味に申しますと、直接の介入ではありませんが、たとえば協定書といいますか、そういったものに政府の代表がサインするということはあると思います。ちょうど、これは国会の承認を受ける要項ではございませんが、インド、パキスタン等に対する円借がございますが、これは政府間で取りきめを行なっているわけでございます。それほどの状態にはならないと思いまするか、たとえば市中銀行の問題も含まれますから、全部が政府のそういう一方的な取りきめに従って輸銀が行なうというのでなくて、まず輸銀等の決定が童体となり、間接に政府がそれに関与する、関係するということになると思います。
  54. 天田勝正

    ○天田勝正君 この問題は、いずれにしても、いまの御答弁のように協定をするとすれば、そして政府代表がサインするのであるとすれば、これは国会法の関係、憲法の関係について、協定条項でありますから、後の機会に私は質問を留保しておきます、この点だけは。  そうして次に聞きますが、今年の事業計画ですね、これは輸出金融につきまして千五百億、今年度、三十八年度と比べれば二十億ほどふえると思います。これは全体を知りたいと思いますけれども、もし全体を述べる資料を持ってこられませんでしたら、その資料を出していただくし、せめてこの際は、ふえた分について、どういう面に金融をするか、これをひとつお聞かせを願いたいと思います。
  55. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) この輸出の千五百億というものの中には、非常に大きなワクで予定しておる、だけでございます。それも、その線をこえれば押えるというふうな趣旨ではございません。一応の予定額と考えていただきたいのでございますが、千五百億の内訳といたしましては、船舶が非常に大きく、八百六十億円を予定しております。それから、船舶以外の一般プラントといたしまして、六百四十億円を予定しておるわけでございます。  なお、今年三十八年度の状態を申しますと、輸出の全体のワクは当初千二百四十億円の予定でございましたが、これが実績見込みとしては千三百五十三億円になった。これは実績の見込みでございます。そのうち特に船舶が、当初予定の五百十五億円が七百三十七億円に増加したわけでございまして、逆に一般プラントにおきましては、七百二十五億円の予定が六百十六億円に若干減少を来たした。この両方を通じまして、輸出の全体としては先ほど申したようにふえたわけでございます。その関係で輸入金融あるいは投資金融含めまして、三十八年度におきまして当初予定の千三百億の貸し付けワクは千四百五十億円に増加することになったのでございます。このように大体最近の輸銀輸出金融を見ますと、船舶関係が予想をこえて受注がふえたということから、資金が不足するというふうな事態になったわけでございまして、一般のプラントにつきましては、実績見込み今年度の六百十六億円が、来年度六百四十億円程度と、さほどの伸びが期待できませんが、船舶関係で増加が顕著である、このような状況になっております。
  56. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしたら、投資金融九十億、この分もほとんど同様に船が多いのですか。あるいはまた、投資でありますから、この中には若干でも外国借款供与、こういうようなものも入っておるのですか、いかがでございますか。国内業者だけですか。
  57. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 投資金融は船舶とは全く関係がないと思います。これはいろいろな国に対する海外投資の合計を一応本年度の実績程度と予想したわけでございます。これらすべて輸銀の融資の大ワクは一応のめどにすぎませんで、実際にやってみた結果、これで不足するような場合が生じますれば、やはりそれに応じて資金の追加を行なうことにいたしております。ただし、投資のごときものにつきましては、通常の輸出とは違いますので、具体的な案件につきまして、その投資の目的その他回収見込み等について、適当であるかどうか十分審査した上で行ないますので、一がいに申請があればこれを認めるというふうな態度をとっているわけじゃございません。輸出のほうはそれに比べますと、民間でのそういう延べ払い輸出契約が成立いたしますれば、ほとんど自動的にそれに貸し応じていくというふうな形をとっております。
  58. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、いまの説明で、念押しですが、今度の投資金融の中に、たとえばミナス製鉄所の追加出資というようなことは全然含まれないと了解してよろしゅうございますね。
  59. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) この九十億の中にミナスの分が若干は入っておると申し上げたほうがいいと思いますが、予定としては入っておりますが、しかし、このミナスの問題はいささか事態が大きゅうございますので、この中に入っておるのだ、この中で解決するのだというふうに考えておるわけじゃございません。話がどのようにつくのか、まだ未確定の要素が非常に大きゅうございます。
  60. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうしますと、先ほどの十八条九号に関連したことを伺いますが、しからば、ことし返済期限の到来でこの十八条九号を発動すると、いまのところ見込まれる国及び金額がわかりますか。
  61. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 今回の改正は、具体的な必要が差し迫ってあるから行なうというものではございませんので、いま直ちにどこの国の分がこれにひっかかってくるであろうというふうなことを申し上げるわけには参いりません。
  62. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ちょっと関連。ずいぶんおかしいと思うのですがね。具体的な事由がないのに、先にあらかじめ想定してそういう九号を設定するというのは、ずいぶんおかしい話じゃないですか。
  63. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) しかし、日本輸銀金融をつけている相手国の中に、たとえばブラジルもそうでございますが、非常に国際収支が悪い、外貨の準備高がそのときの貿易状況から見ても非常に希薄であるというふうな国がございます。他にもあるようでございます。でありますので、いまさしあたってどこの国から出てくるであろうということは予測いたしませんが、起こる可能性は相当にある。ただし、それがいつ起こるのか、三十九年度中に起こるかあるいはそのあとで起こるか、その辺のことはまだ何とも申し上げられません。
  64. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、そのミナスのは、まあさらに念押ししたところが、やはり幾らかどうもありそうだ。ところが、幾らかと言っておりながら、これはまたあまりに大きい話でということになると、幾らかではなくて、たいへんなんだろうと思うのだけれども、この事業計画の中でそれは一体出せるのですか出せないのですか、たいへんなことになると。
  65. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ブラジルのミナスの場合ですと、先方の要求は非常に大きいのでございますが、それに対しましてこちらが出資の資金というような形で応ずるといたしましても、まああまり大きなものはつき合うのはよくないのじゃないか。ある程度の、つまりあの計画を、第二次計画の分を完成させるだけのことは何かしてやらなければならぬけれども、しかし、向こうの言っているような金額をそのまま応ずるということは考えられないというふうな状態でございます。したがいまして、私たちの感じでは、非常に大きな処理し切れないような金額にはしないつもりでございますが、これらのワクといたしまして、投資のワク九十億が、かりにこれを突破するとなりましても、それは一向さしつかえない。輸銀全体の資金ワクの中から彼此融通ができることになっておりますので、このワクがあるから別に金をつけなければならない、そのことによって直接計画を変えなければならぬというふうには思っておりません。しかし、結果として千六百が不足するというふうなことはあり得ると思います。
  66. 天田勝正

    ○天田勝正君 この最近三年間の地域別の貸し付け状況というのを見ますと、北米関係が、もとはたいへん多かったのが、だんだん減っております。減るのはけっこうですが、アメリカ関係に貸し付けがあるというのはちょっとふしぎな気さえ実はするわけですか、これは輸出に携わっている法人に対して、貸し付けがこれだけあるという表ですか。
  67. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 北米関係としては、非常に大きいのがアラスカ・パルプ関係がございます。それで大きくなっております。
  68. 天田勝正

    ○天田勝正君 そのアラスカ・パルプのことですがね、これは三年前に産投特別会計の改正輸出入銀行改正が同時に提案されたことがあります。その額は百八十億、そうしてアラスカ・パルプ関係が百十八億でした。この百十八億というのは、実に、アラスカ・パルプは資本命二十億の会社でありますから、その六倍を貸した。まことにもってべらぼうな話で、私は反対討論をした記憶があります。どうも北米などに貸しておるのは何だろうと思ったところが、はたせるかなアラスカ・パルプというので、一体その実効はあがっているんですか、あかっていないんですか、いかがですか。
  69. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) アラスカ・パルブは、簡単に私が申しまして、詳しい点は総裁にお願いしたいと思いますが、すでに工場は一応でき上がって、パルプをわが国に輸出をしておる。わが国が買っておるわけでございます。業績といたしましては、確かにあまり好ましいものではございませんでした。と申しますのが、やはりパルプの製法がその途中で変わりまして、必ずしも原料に針葉樹を要しない、そういうふうなことから製法を一部変更せざるを得なかった。つまり余分な投資をある程度やらざるを得なかったということがございます。この点は日本の国内における化繊関係のパルプをつくる会社におきましても、若干のそういう施設の変更が余儀なくされた点があるわけでございますが、このアラスカ・パルプといたしましては、本業であるところのパルプについてはかなり苦しい採算に耐えなければならなかった。それが最近といいますか、数ヵ月前に若干買い入れ価格——国内の化繊メーカーがこれを買い入れるわけですが、その買い入れ価格を若干引き上げるというふうなことを行ないました。そのほか現地では木材の事業、パルプではなくて、木材関係の事業をやっている。これは比較的採算がいいというふうなところから、そちらのほうに若干重点をそそぐというふうな経営の若干の変更を行なっております。  なお、コスト引き下げ等、年産規模をなお一そう現在よりは拡大するというふうなこともやっておりますか、それだけではこの会社のこれからの生産としてかなり苦しいものが残る、そういうことから、いま自己資本を充実する、つまり増資を行ないまして、その増資によって金利の高いほうの市中銀行等からの借入れ金を返済する。それで、当面は無配といたしまして、無配でございますから、金利の負担がそれだけ逓減される。将来もう少し採算がよくなった時期に若干の配当を開始したい、そういうふうなことでやっております。必ずしも失敗だったとは思いませんけれども、非常に運の悪いことも伴いまして、いままでのところでは、採算の面等におきましては、いい成果をあげたというふうにはいうことができないと思います。
  70. 天田勝正

    ○天田勝正君 なかなかたどたどしい答弁としか私には聞けないんです。金融というものは、それは資本的な金融もあれば、また実際信用のあるところからの受注があれば貸し出しをする、そういう場合には資本金幾らあろうとも見返りはそこにはっきりしているんですから、ちょうど船の受注を受けた、それに融資をする、こういうのができ上がりさえすれば、相手さえしっかりしていれば、とれる。それで、資本金におかまいなく貸し出すということはあり得るわけです。ところが、アラスカ・パルプに貸したときは、いま業績がよくないんじゃなくて、そのときもまことに業績はよくなくて、ちっとも利益などはあがっていない。けれども、私からいえば、保守党のえらい人が社長だったりなんかしたから、普通の常識では資本金をこえて金を貸すということはないんですよ。そんなことはないんです。そこに明瞭な担保があるのなら別として、何もないものに資本金の六倍も貸したなんていうことは、てんでもうむちゃくちゃな貸し出しだと思うほかはないのです。それをやって、起死回生、たちまちにしてよくなったというのなら話はわかるけれども、まださっぱりよくない。ずいぶん私は銀行局長が立場上かばいながら答弁され  ていると思うのです。かばって答弁したところで、いま言われたとおりなんです。これはしかし、先行きめどがあるのですか、どうですか。
  71. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) アラスカ・パルプの事業は、日本の森林資源の状況その他を勘案して、閣議決定をしまして、この事業を日本の官民が一致して推進するということで、いまから約十年前に着手されたわけでございます。工場の建設に着手しましたのは三十二年、三十四年には完成いたしました。その後所要の改修等も行ないまして、設備それ自身といたしましては、また生産それ自身といたしましては、由し分のないような状態であるのでございます。ただいま銀行局長からも申しましたように、売り上げに対して設備資金がかかり過ぎている。それから、ただいま御指摘がございましたように、自己資本比率が少な過ぎる。それに加うるに、これを計画いたしましたときの化繊の市況がその後非常に感化いたしまして、予定いたしました価格よりも二、三十ドルも製品価格が低落をいたしたというような事情でございまして、ただいま銀行局長から申しましたような状態をいまだに脱し切れないわけでございますが、化繊の市況は昨年からやや持ち直しまして、幾らか明るい希望を持たれておりますが、しかし、これだけではまだまだ困難が前途に横たわっておるのでございまして、会社当局におきましても、現在資本金三十五億でございますが、これを至急に倍額に増資をするという計画が進行中でございます。その増資を待ちまして、また合理化その他各般の対策を今後講ずることによりまして、いますぐには配当もできないかもしれませんが、そのうち立ち直るということを私どもといたしましては確信いたしておるわけでございます。  なお、お尋ねの二十億の資本金に百二十億を貸すのは冒険に過ぎるじゃないかという点でございますが、これはいろいろな考え方があるところだと存じますが、私どもといたしましては、国策的な事業の遂行であるということにもかんがみまして、資本金の少ない点を、化繊各業者、つまりアラスカ・パルプの製品を利用いたしまする化繊各社、この連中は民間でこの事業を推進したわけでございますが、この化繊各社並びにその化繊パルプを取り扱いまする有力商社の元利保証で貸し付けしておるわけでございますが、この元利保証につきましては、いつでも実行を迫り得る状態にあると思うわけでございまして、また保証人も資力は十分ございますが、しかし、そういうことをいたすことによりまして、せっかくここまで伸びてまいりました生産を混乱におとしいれるのはむしろ策を得たるものではないという観点もございまして、先ほど来申し上げておりまするように、とりあえず倍額増資を実行し、その他各般の合理化その他の強化策を講じまして、一日も早く業績が立ち直るようにということを期待いたしておる、というのが現状でございます。
  72. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは銀行局長、私の記憶では、当時総裁自身政府の側の責任者であったわけなんです。それで、資本率がいかにも低いというお話だったけれども資本率がいかにも低くなったのは、貸したから低くなったのです。六倍も貸すから、全体として見ればてんで低くなったのです。その後ここで問題にされたりなんかして、自己資本の充実と、こうきたのです。充実をしてみたところで三十五億円、それで貸したほうは百十八億だ。これではいかにもどうも、私が所論して無謀だということについて、反論みたいなものがあったのだけれども、私も銀行にはつとめたことがあるので知っておるのですよ。だから、さっき言うように、いかに二十万円かそこらの会社でありましても、お得意がしっかりしておってそこからの受注がしっかりしておるものならば、こういう契約書でもあれば売り上げた場合には必ず取れるのですから、その注文書なりなんなりを見返りにして、資本金などにはあまりこだわらずして、貸すということはあり得ると思うのです、これは短期の場合。しかし、資本的なもの、つまり設備投資的なものに貸すということは危険である。これは金融人の常識ですよ、だれが何といったって。それを資本金まで貸したというのならともかくも、資本金をこえもこえたり六倍も貸すなんということは、それは正常の常識で判断なんかできやしません。それは、そういうことはむしろ私は強弁なさらないほうがいいと思うのです。それはいかに政府機関といいながら、国策といいながら、無謀でありました、今後はかようなことは慎みたい、前任者がやったのだけれども、今後は慎みたいという答弁を私は期待したい。  それはなるほど日本で木材資源がある、ない、こういう議論をしますと、ないのだから弁慶の泣きどころみたいなものです。しかし、それがほしいならば、ほかの方法が幾らでもある。パルプをつくるのにこういう針葉樹でなければならないというようなことはどこにも通用しない。南方からでも、第一次産品売りたくてずいぶん困っておるところがたくさんある。ソ連材を輸入したっていい、いまも入っておりますけれども。ですから、いずれにしたところで、設備投資的なものに六倍も金を貸すこと自体、これは何といってもむちゃなんですよ。ですから、私はこれ以上当時の議論を繰り返して党派を云々などということは言いたくないのです。ただ、今後こういう無謀なことはやめてほしい、国民の税金から成り立っておるのですから。そう私は思いますが、いかがですか。総裁でも、銀行局長でも、どちらでもいいですよ。
  73. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 確かに、全然この新規の事業を始めます場合には、言ってみれば、そこには何の含みもないわけでございます。いまの日本には会社で非常に過小資本のところが多うございますから、まあ言ってみれば、たとえばこれが戦前設立のものでございますと、かなり含みもある。そういうことから、表面の資本金だけで判断することもどうかと思われる場合が多いのですが、このような新規事業を、それを外国において行なうという場合には、確かに十分な資本金をもってスタートするということが望ましいと思います。しかしながら、この当時の事情等から見まして、ある程度リスクをおかさなければならぬ。しかも、それを当時としては国策である。いまのような非常に安いパルプができるとは思っておらなかったようでありまして、どうしてもアラスカの木材資源を活用するのがいいのだというふうに、だれもが、一応関係者が思っておった。そういう状況でありまして、その事業が現在のような採算の悪いものになるとは思わなかった。十分にその償金を返済して——したがって、最初においては資本金と借り入れ金とのバランスがとれなくても、予定以上に償却が進めば借金も減って十分りっぱな会社になると考えておりたのだと思います。ですから、当初からこのような結果になるとは予想しておらなかったわけでございます。  まあ今後の問題といたしましては、できることなら新規卒業、海外事業なんかにつきましては、それをほんとうに業界が希望するならば、十分な資本金をまあそろえる、それに対して輸銀が不足分を融資するというふうな形をとりたいと思いますが、何ぶんにもやはり海外投資というものは非常にむずかしい。相手国のいろいろな事情もございますし、このような事業そのものとしての変化もあるわけでございます。ただし、これらのことからわれわれが海外投資につきまして非常に憶病になり過ぎてもいけないわけで、また日本のいろいろな業界の立場を見ましても、最初から非常に膨大な資本金でスタートするのをちゅうちょするような傾向も実際問題としてある。その辺のかね合いも考えまして、まああまりに借り入れ依存が大き過ぎるというのは避けていきたいと思いますか、かと申して、理想的な資本構成で最初からスタートするというのもたいへんむずかしい。実際問題としてむずかしい。その辺、われわれの海外投資に対する考え方としては、いろいろな点を考えながら、まあ比較的安全な投資、それを、まあ融資もおのずから安全と思われる範囲で行なうというふうに、十分注意してまいりたいと考えております。
  74. 天田勝正

    ○天田勝正君 どうも「しかしながら」からあとのほうはよくないんです。「しかしながら」と言わなければ私は納得するんですけれども、あまり弁解が多いんですよ。それはね、日本実情からして、アラスカの森林資源を活用しようと、それはカムチャッカのを活用しようと、そんなことをわれわれは議論しているのではないんですよ。現実にそれははっきりした受注の裏づけとかそういうものがなくして、一体それでは、ほかの企業にしたところで、どこにあんた資本金の六倍も貸した実例がありますか。どんな銀行だってありませんよ。そんなことは政府機関だってしませんよ。この一つに限るのです。だから、この一つに限るのだから、それを追及されたら、それは何とも放漫貸し出しでありましたと言わざるを得ないのです。それを、当初においてわからなかったなんということは……。わかっていますよ。わかっていたから私は反対討論したのです、前に。その当時もそういう指摘をいたしました。現に、それはむしろ、私がこういう論をすると、銀行局長はあべこべに、いや、日本人か海外投資に憶病になってはいけないとかといって、まるで私に訓辞するようなことを言われたけれども、とんでもない話だ。私だってそのくらいのことは知っている。そうではなくして、それは当初から一〇〇%完全無欠な自己資本ということはないでありましょうよ。ないであっても、それにはそれのきっちりした裏づけということがなければだめなんだということを言っておるのであって、かりにアラスカ・パルプが、従前の資本金どころじゃない。二十億ですから、従前の資本金どころじゃない。その倍を国が貸してみたところで、あんな会社はつぶれてしまったのです。倍だって、そうして、もし倍だとすれば四十億、それは国損にはっきりなった。そうして海外投資二十億も、これもゼロになった。そういう筋のものなんです。六倍も貸したからようやく息を吹き返すと。その事業計画自体が無理だということは、少しく貸借対照表を知っている者ならすぐわかるのですよ。そんなこと、何も東大出の秀才を必要としない。こんなわかり切ったことを言っている。だから、短期資金で、ここに注文があったから、この裏づけで資本金をずっとこえるけれども金を貸してくれということだったら、これは金融機関ならあり得ることだ。個人だってあるのだ、そういう場合は。ところが、設備投資のごとく固定するものに資本金をこえている場合に貸すという銀行がどこにありますか。政府機関だってないのですよ。あるというんだったら、資本金の六倍の金を貸したという実例をあげてごらんなさい。
  75. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ごもっともなおしかりをいただきまして、私ども大いに恐縮いたしておる次第でございます。私は、先ほど申し上げましたように、自己資本比率が過小である。これは何も結果論的に人ごとみたいに言っておるわけじゃないのでありまして、もっと早く資本金の充実に努力をいたすべきであった、そういう意味で反省して申し上げておるわけでありまして、当時といたしましては、増資の計画がありながら、おそらくすぐに実行できないような事情もございまして、そこで先ほど申し上げましたように、有力化繊業者、商社等の債務保証のもとに貸し付けをいたしましたということであったと存じますが、もっと早く増資をせしめて自己資本比率を改善すべきであったと、その点は私どもといたしましても十二分に反省をいたしており、その上で、おそまきながら今回の倍額増資につきまして会社を督励いたしておる次第でございますので、その点は御了承いただきたいと存じます。  資本金の何倍かの設備資金を貸した金融機関の実例があるかという点につきましては、私ども実はその辺の事情をよく承知いたしておりませんが、たとえば北スマトラ石油のごとき場合におきましては、引き取り石油を引き当てにクレジットを与えるわけで、設備資金ではございませんが、約十五億円の資本金に対しまして百八十億円のクレジットを与えるという、そういう事例は私どもの場合にもございます。御答弁になりませんが、御参考までに申し上げます。
  76. 天田勝正

    ○天田勝正君 総裁答弁のほうがたいへんいいや。みずからもお認めになっているように、クレジットはあくまでクレジット、信用供与なんです。それも一ぺんに金を使ってしまうのではないのです。その限度内で信用を与えますということなのです。そういうことはだれでもわかるのだから、設備投資に資本金をこえて貸したなんという例があったらお目にかかりたい。なかんづく六倍なんということは、あまりにも無謀であることは当然なんだ。その後努力をし——努力されたことはしないよりよっぽどいい。しかし、一般の金融機関なれば、もしそういう無謀な借金の申し入れがあれば、おまえさんのところは一体自己資本は何ぼだ、そんなことでとても貸せますかという、こういう答弁をするにきまっている。自己資本をもっとふやして、みずから努力をすることによって他の協力を得なさい、こういうふうに言うにきまっていますよ。それが逆になってしまって、こっちから金をうんと貸してしまって、今度それが焦げつきになってしまう、たいへんということになるので、それで向こうに盛んに何やら注意を与えながら、せめて倍額にでもと、こういうことになってきているのでしょう。企業の運営というものからすれば、まるきりあべこべなんです、これは。だれでもわかることなんです。だから、私は初めから、三年前、四年前の誤りをここで蒸し返してどうというのではなくて、やはりあくまでも国民の税金から成り立っている金だから、大事にしてください、こう言っているのです。  そこで、いま、ここに対する貸し出し残は、総体で、総額で幾らになりますか。
  77. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 百十八億円ございます。
  78. 天田勝正

    ○天田勝正君 じゃ、そのまま一銭も返らないということですね。
  79. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) まだ期限が参っておりません。
  80. 天田勝正

    ○天田勝正君 何年になれば期限が来ますか。
  81. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) そろそろ、分割払いでございますが、二千万円とかその程度ずつの期限が参ることになっております。
  82. 天田勝正

    ○天田勝正君 いまや倍額増資、そうして配当はとても一銭もできないという状況で、その返済が可能だと見ておられますか、輸銀は。
  83. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 倍額増資によりまして、高利債の借りかえの実行ができます場合には、元利の支払い等につきましても、若干たな上げ等の措置をとってやる必要があるのではないかというふうに考えております。
  84. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ほど来国策国策とおっしゃったけれども、これもまた四年前かに私が指摘したところなんです。国策ではありゃせぬ。日本の化繊メーカーのもうけになるだけだ。それも安くパルプが入った場合です。ところが、その安いパルプの供給もさっぱりさだかでないというのが、その後引き続いて三年間。これでは何とかして国損にならざるように取り上げを急ぐほかに手はない、こういうことになってしまうのです、理詰めでいけば。そうでありますから、これはもちろん会計検査院等でも検査を私は要請しなければならぬと思っておりますけれども、どうも、どこかに穴があるのじゃないか。こういう点につきまして、いま私は資料を持っているわけではありません。しかし、輸銀当局におかれても、銀行局におかれても、監査を十分に、する権能があるのですから、いたしまして、それですみやかに返るように努力を願いたいと思います。  それから、もう一点だけ、これらの外国向けの貸し出し、これはアラスカ・パルプの場合は外国とは言いかねますが、それは円建てのところ、ドル建てのところ、あるいは場所によってはポンド建てのところ、借款及び貸し付けですね、これはどういう区分になっておりますか。
  85. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 私どもの業務の範囲には、直接外国の政府に対する貸し付けも入っておりますが、大部分は国内業者に対する金融でございまして、たとえその業者がさらに外国に投資するというような場合におきましても、国内における金融でございますので、円建てにいたしております。
  86. 天田勝正

    ○天田勝正君 全部ですか。
  87. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) さようでございます。
  88. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、さっき言った借款に切りかえるという、さっきの政府協定というか、国会に出さざる程度の協定というか、そういう調印をしたあとにおいてもやはり円建てですか、すべて。いかがですか。
  89. 斎藤正年

    参考人斎藤正年君) 輸出業者が相手の業者なり政府なりに貸します場合にはドル建てが原則でございまして、なおポンド建てのものもございます。円建てのものもございます。しかし、本行から輸出業者に貸します場合には円建てでございます。それから、外国の政府あるいは会社に直接、たとえばブラジルの開発銀行に貸す場合でも、全部これは円建てでございます。為替リスクを回避するために、全部円建てでございます。おそらく今後のファイナンスのための借款の場合にも、われわれとしては円建てで貸したい、こういうふうに考えております。
  90. 天田勝正

    ○天田勝正君 しかし、さっきの御答弁で、主たる債権国からの呼びかけ等があった場合に、いままでの延べ払い政府借款の形に切りかえるという場合ですね、それはむしろ輸出入銀行答弁の外かもしらぬ、外かもしらぬけれども、そういう場合にあっても、東南アジアなんかでは円建てがあり、その他はドル建て、こういうことになるのじゃないですか、いかがですか。むしろ輸出入銀行答弁をこえているかもしらぬが、私の質問は。
  91. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 業者と向こうとの関係はドル建てになっている。したがいまして、これを繰り延べの金額をきめる場合には、ドル建てで幾らを繰り延べる、肩がわりするということになりますが、貸し付けの実行にあたりましては、いままで輸銀がとっておりましたように、一応円建ての契約で、しかし実際上使われる外貨はドルになるかもしれませんが、契約の相手国に対する債権額は、いまきめてはおりませんが、やはり円建てと、円借の場合と同じように扱っていくものと考えております。
  92. 天田勝正

    ○天田勝正君 それはこの九号ができるのはこれからですから、その九号を当てはめてのことはあれだけれども、いままでもそれに該当するものが九号のあるなしにかかわらずあったわけです。そういう場合に、さっきの局長の答弁では、そこに政府代表をしてサインをせしめるということはあったのですね。それで、借款も円建て借款もあるのですから、私は結局焦げつき債権、それを当該国のこの債務ということに切りかえる場合も、私は円建てもあれば、ドル建てもあり、ポンド建てもあるんだ、こういうふうに思うのですけれども、どうなんですか。いままでの実例で、あると思うんですけれども
  93. 斎藤正年

    参考人斎藤正年君) 私、事実だけを申し上げますが、たとえばブラジルの外貨収支面の援助の目的でブラジルに貸し出しをいたしました。ただし、これは九号のような規定がございませんので、ミナスに対する出資資金として政府が貸し出しをしたわけでございますが、その計算は、おっしゃるように、この債務が、日本にある債権が民間側の債権でございますから、全部ドル建てで大部分計算されておりますが、それの政府の協定に基づきまして本行がブラジルの開発銀行に貸し出しをいたしましたわけでございますが、その貸し出しは円建てで貸し出しをいたしまして、ただし、それは交換可能通貨を日本に持ってきて、それをそれによって円を取得する、その円で返してもらう、こういうことが本行の貸し付けとしては円で貸す。ただし、その償還については交換可能な通貨で円を取得してそれで返していただく、こういうたてまえになっております。インドとかあるいはパキスタン等に対する円借も、すべて円建てで、また決済は円貨でやっておりますが、その円貨は、交換可能通貨を円貨に切りかえてそれで返していただく、こういう取りきめになっております。
  94. 天田勝正

    ○天田勝正君 局長、どうなんです。政府の協定したのはいままでだってあるんだから。
  95. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) いま斎藤理事から説明しましたとおりで、いろいろ相手国に対して債権額を計算する、そういう場合には、各国協定で主要国、債権国が寄ってきめます場合には、一応ドル建ての計算をやる。しかし、これは貸し付けを新たに起こす場合には、円建てで貸し付けを起こしまして、返す場合には、おそらく相手国はドルなりポンドなりをもって円を買い入れて輸銀に返済する、こういう手順になるわけでございます。
  96. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 関連ですけれども、先ほど第十八条の九号の問題について、不良債権というか、焦げつきについての実際上のこういう措置が必要だということ、これからもあるだろうというふうなことでやったということを言っておりましたけれども、この九号の性格を見ると、相当関係国と協議の上で、どうも九号もこういう形でもって明らかにする、事前に協議をしてやられたと思うんです。だから、これはいまのところ想像の域を出ないのですけれども、いわゆるOECDに加盟、あるいはIMF八条国移行といったようなものと結びつけて、不可分の、つまり一般規定としてこの九号を置いたのかどうか。この辺のところの関係がさっきの質問でも明確でないので、答えてもらいたい。
  97. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) OECD加盟とは直接何ら関係ございません。ただ一般的に、こういう相手方というものは、まあ後進国、やや広い意味になりますが、ブラジル、アルゼンチン等を含めた意味での低開発国ということでございます。そういうものに対しては、先進国としてはしばしばその援助を、積極的な意味での経済協力についても、これはOECDなんかの場合には事前にそういったものに対する援助を進める、こういうふうな話し合いが行なわれる場合がある。これは、この九号の場合は、支払いが非常に困難である場合に主要債権国にリファイナンスを要求するというふうな場合でございますので、その主要債権国というものはOECDに加盟しているいないということとは何ら直接には結びつかないわけでございますが、大体先進国はこれに加盟しているのが多うございますから、メンバーとしてはその範囲内にあるものが多いと思いますけれども、今回のOECD加盟とこの条文改正とは因果関係はないものでございます。
  98. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それで、 もう一つちょっと聞きたいのは、同じ条の第十一号ですね、協調融資の問題、これと九号のさっきの焦げつき債権の主要国と相照応しているように見えるのだ、この十一号。
  99. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 十一号のほうは、いわゆる円借を、インドやパキスタン等の例がそうでございますが、円借を与えた場合に、いま輸銀が八割、市中銀行二割というふうな協調割合になっております。この市中銀行が融資する分の二割について、その債務を保証することができる、こういう規定でございますので、直接に何ら関係はないと思いますが、要するに市中銀行が、政府間でむしろ話し合いが進められてきまったものについて言ってみれば、市中銀行の考えではなく、政府の間の話し合いで円借がきまって、そのうちの二割の融資をしなければならぬという立場になりますので、市中銀行としては何らかその債務を保証でもしてもらわないことには、何をどう貸し付けているのかわからない。気持ちとして当然であろうと思います。普通でしたら、十分に自分で審査をしてやるということで、市中銀行の自主性があるわけでございますが、どちらかと申しますと、はっきりと申せますのは、自主性がないようなものに対して資金量を補完する意味において協調融資を行なう。それを輸銀が保証する道を開いて、話し合いを円滑に進めたい、こういう趣旨でございます。
  100. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      —————・—————    午後二時一分開会
  101. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続き、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  102. 天田勝正

    ○天田勝正君 三十八年度の三次補正によりまして、まあこれは通過しておりますから、六十億輸出入銀行に出資しちゃったことになり、さらに三十九年度において二百二十五億出資することになっておるんです。これは合わせますと二百八十五億ということになりますが、この二百八十五億については、どこの会社幾らの融資をするという見込みがありますか。
  103. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ただいまおっしゃいましたのは出資の額だけでございまして、前に申しましたように、この出資額は資金運用部からの借り入れ、六分五厘というレートでの借り入れ金に対しまして、輸銀の平均貸し出し運用利回りが大体四分四厘程度に回っております。その逆ざやを補うという意味におきまして出資をいたすわけでございますので、その出資分について貸し付け先を予定するというようなことはございません。
  104. 天田勝正

    ○天田勝正君 まあ、たてまえはそういうことでありますけれども、しかし、事業計画は一千六百億円。それで、私が先ほど指摘したように、あの際も百八十億の出資であるけれども、そのうち百十八億が一会社に行った、こういう例をあげておるのであって、だから、それはこの出資分をどこへ配分するという形ではないかもしれぬけれども、必ずどこかに配分するという予定があって私は出資するものだと、こう思う。ただ、当てどもなしに、何となしに資金が多いほうがいいから出資の額をふやすと、こういう筋のものではなかろうと思うから、いまお聞きしたように申し上げたんです。そうすると、これらは全然使い道はないんだけれども、この二百八十五億を出資すると、こういうことですか。
  105. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 今年度六十億の出資は、別に借り入れ金四十億ございまして、百億円政府資金輸銀に入るわけでございます。これは、そのほかの回収金等の増加も合わせまして、貸し付け全体の予定額千三百億が千四百五十億にふえる。その原因は、これは主としては船舶でございます。一般プラントのほうはむしろ予定より下回りましたけれども、船舶関係の融資が非常にふえました。五百十五億が七百三十七億円というふうな増加の予定になっております。それをまかなうために必要な資金を入れるわけでございますが、そのうちに、いろいろな採算の計算から申しまして、今年度は六十億、来年度は二百二十五億円の出資が必要でございます。その出資が必要なのは、千六百億円の貸し出しを予定しております。それに対しまして出資は二百二十五億円、借り入れ金が七百十二億円、その他自己資金が六百六十三億円でまかなうと、こういう資金の配分になっております。  貸し付けにつきましては、先ほども申しましたが、船舶の増加が著しく、千六百億と一応予定しておりますが、場合によってまた足らないこともあり得ると思いますが、その場合にはまた資金追加の措置をする考えでございます。したがいまして、どこへ今回の出資分が行くかというふうな、そういう観点からの予定先は全くございません。
  106. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは、今度のは、答弁のとおりに、一応前のアラスカ・パルプのように特定会社へひもつきで行くものではないというふうに了解してよろしいと思います。しかし、千六百億の貸し出しを予定したから、その数字に合わせるためにどうしてもこれこれの出資が必要だ、こういう答弁でありますが、実際にはこの千六百億という数字が出てきた根拠は、やはりそれぞれの業者からいろいろな貸し出し要求があって、それを積算したらこうなったというものだと思うのですけれども、その千六百億という数字を出した根拠はどういうことですか。
  107. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ごく大まかな話でございますが、これは船舶とやはり一般プラントについて分けて一応積算したわけでございますが、船舶の受注が昨年四月から十二月までで三百数十万トン、非常に予定を——三百数十万、これはグロス、総トンでございますが、非常に大きい数字が出てまいりました。そのうちに本年度にすでに融資対象に取り上げてしまっておるもの、そういうものはよろしいのですけれども、引き続き三十九年度において着工し、それに融資がつけなければならぬというものがかなり残っております。それと、来年度に船舶の受注がどの程度あるかということを考えまして、そのうちで来年度に輸銀資金をつけなければならないもの、こういうものを合わせましたものを船舶関係として八百六十億円予定したわけでございます。一般プラントにつきましては、これは非常に種々雑多な品目がございますので、非常にこまかい積算は、予想にすぎませんので、困難でございますが、最近までの趨勢を見まして、大体一般ブラントでは五%ぐらい今年度よりも多くなるのであろうというふうな伸びを見ておるわけでございます。船舶の関係ではこれが伸びが非常に多うございまして、一五%の伸びになっておりますが、一般プラントはその予想よりも本年度は若干下回ってしまった。そうしてその伸びがあまりはかばかしくないということから、実績見込みに対しまして五%増と予定したわけでございます。内訳につきましては、こまかい積算はとうていまあ困難でございますので、一般プラントは内訳はございません。
  108. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、その八百六十億の船舶の受注がある、融資先があると、こういうことですが、特にこのふえた一五%の伸びという分にはどこの国向けのものがふえましたか。
  109. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 一五%と申しますのは、本年度の船舶関係の融資見込み額に対して来年度の融資見込み額の増加比率が一五%ということでございまして、ことしから実は相当ふえておるわけでございます。ふえたのはどこかということでございますが、先進国と後進国に分けますと、船の関係でございますので、いまでもどちらかというと、やはり先進国向け、ギリシア在籍船であるとかパナマ在籍船であるとか、リベリア左籍船であるとか、これはそれらの国に対する船籍のある船の輸出ということになりますが、そういった向きが多かったと思います。ノルウェー、デンマーク等も相当出てきております。
  110. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは何回かここでも議論されたことでありますが、この結果、外国へはきわめて安い船が輸出される。そこで、今度は日本の業者による外航船舶は、運賃競争等で非常な不利な立場に立たされる、こういうことが常日ごろ、業者からも、また新聞報道等にもたくさんあるわけですが、日本の外航船舶の建造については、何か三十九年度の施策で特段なことをいたしますか。
  111. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) お話のとおり、日本の造船所は非常に多額の外船の受注がございます。しかし、まだ、船台に全く余裕がないかと申しますと、そうではございませんで、まあはっきりした数字はつかめませんが、大体三、四十万トン程度のものであれば、三十九年度においてもなお余裕がある。つまり、これは計画造船六十四万二千トンを予定しておりますが、それをこなして、なおかつ若干の余裕はあるという状況でございます。  確かに外国船の注文が非常に多く、したがって、つくられていく船が安いかどうか、これは非常に、あとで申し上げてもよろしゅうございますが、必ずしも融資の条件から見る限りは、現在では、現在の条件によりますと、国内船が不利であるということにはなっておりません。まあ自己資金を非常に多額に使う外国船の場合には、これは自己資金をただと見れば、それは安いのでございますが、そうでない限り、そう開きはないというふうになっております。  しかし、この一方で、国内の造船計画をもう少し拡充したらどうかという点は、確かに問題になっております。これまでの造船が特におくれていたとは思いませんけれども、輸出入の伸び等を勘案いたしますると、積み取り比率が非常に高くなるというところまではとても参っておりません。そういうところが、貿易外収支の赤字に関連いたしまして、海運収支対策として関越にされております。政府の側としても、海運収支を先行きもう少し改善する、少なくとも総体的には改善する、現在の赤字幅が著しく増大しないように、国内船を充実して積み取り比率を引き上げていくというような方向で、ただいま検討中でございます。
  112. 天田勝正

    ○天田勝正君 次に、輸出用船舶につきましては、長期延べ払いという分もありますか、いかがですか。
  113. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 輸出船は、もうほとんど大部分輸銀延べ払いを受けております。期限は、輸銀の場合ですと、大体据え置きなしで八年ぐらいの期限でやっております。
  114. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、それを輸出したことによって、将来のわが国の造船業、これは一回機械類を輸出すればやはりその国の規格がすべてそれに影響を受ける、こういうのが機械の場合なんかの通例でございますが、そういうことによって、いま必ずしも、銀行局長の言うように、国内海運業者が決して不利でないというお話だが、別のデータもあるのであって、私はこれは内航船とともに予算委員会でひとつ議論したいと思っておりますから、その問題について深く入りません。  ただし、この際ただしておきたいのは、さきに申しましたように、日本の造船業者というものが世界の造船業者に伍してコンスタントに伸びていく、要するにその業績が伸びていく、こういうことが見込まれれば一つの成功だと思うんですが、そういうことが言えましょうか。——こちらか受注するでしょう。それを輸出するでしょう。ですから、機械なんかであれば、一回受注すると、輸入国においてはその規格が全部の機械についても影響するというのが普通だと思います。だから、造船についても、いまあなたの言うように、国内業者が不利でないというけれども、かりにそれが不利であっても、不利と仮定しても、それにしても、日本の造船業者というものが——造船産業といってもいい、というものが、国際場裏において安定して立ち、かつコンスタントにその業績が伸びていく、日本の産業が伸びていく、こういうのなら、私は非常に意義があると思う、こういうわけですよ。そういう情勢にあるかと、こうお聞きしておるわけですよ。
  115. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 日本の造船界の実情は、過去においても、非常に大きな受注があると思うと、その後、世界的な造船意欲が薄れるといいますか、一時的には非常に不況になる。いまから考えますと、約一年半ぐらい前には船台ががらあきになるというふうなことで騒いでおったものです。それがまた非常に様がわりというふうなことになりまして、ちょっと例を見ないほどの大きな受注が続いた。最近また、本年一月になりましてからは、受注ベースが落ちておるようでございます。そういうふうに非常に波がありますので、一がいに申すことはできませんが、日本の造船業というものは、いまでも能力その他、完工量から見ましても、世界一であるというふうな状態でございまして、日本の機械業全体としては相当なおくれがあるのに対しまして、造船業だけは世界においても抜群の力を持っておるというふうなことであるわけです。ただし、その原因といたしまして、非常に完工期が早くなった、竣工が早くなったということもありまするが、一方で値段が安いということもいわれておるわけでございます。つまり、値段が高ければこれだけの受注はないと思いますが、かなり、非常に不況といいますか、船台ががらあきになるのだというふうな騒ぎをしたことの反動ですか、わりに安い条件で受注をしておるというふうなこともございまして、こういうふうな一種のブームになった。だから、量的には非常にふえたのでございますが、採算の上からいって、造船会社の成績が著しくよくなるというふうな状態にはなっていない。  しかし、技術その他能力、非常に最近は大型化しております。ですから、型から申しますと、いまはタンカーにいたしましても、その他いろいろな船舶の規模が数年前に比べると非常に大型になっている。しかも、完工も早い。船台に乗ってから、できるのは非常に早いというので、だいぶ進歩はしております。  しかし、そのような状態が今後も日本の造船業界に続くかと申しますと、やはりかなりの波はあるのじゃないかと思いますが、しかし、波はあるにいたしましても、それだけの技術的な優秀性も持っておりますし、世界の造船業界の中では、日本の造船業者というものは非常に重要な地位を占めていくし、今後も伸びていくのではないかというふうに思うわけでございますが、ただし、かなりの変動があるということを考えていかなければならないと思います。
  116. 天田勝正

    ○天田勝正君 私のいまの質問の焦点は、結局、輸銀を通じて国家資金を投じていくのだ、そうすれば、長い目で見た場合に、たといいま現在、採算上有利でないにしても、実績を築いていくことが、すなわちわが国の産業にやはりプラスになるのだ、そういうものがなければこの輸銀を通じての国家資金の投入という意義がなくなるわけです。そういう観点から聞いているわけです。もともと海運及び造船などというものは、昔から十年に二年好景気があればもういいのだ、こういうふうに普通いわれてきた。ところが、そのことの基礎には、やはり昔、下請企業等に自由勝手に注文をやめてみたり、そういう下請企業間の調整によって好況、不況を切り抜けてきた、これが実態なんです。ところが、今日は労働事情からしてもさようなことは許されないし、またそういうようなことをやったのでは社会不安にもなるのですから、困るのですね。いまそう採算上よくないのに、今度不況になって仕事がないというならば、さらに不利だ。それをしもあえて輸銀融資をやるというのには、先行きの何かの明るさがなければ、プラス面がなければとても価値がない、こういう観点なんですよ、私は。ですから、どうもいろいろ波があるだろう。それじゃ前々と同じことであって、さっぱり先行きのプラス面というものが説明いただけない気がするのですが、どうですか。
  117. 斎藤正年

    参考人斎藤正年君) 先ほど天田委員から、機械を輸出すれば日本の規格がその国に普及して後続輸出に便宜があるのじゃないか、船舶についてそういうことがあるかという御質問のように承りましたが、この船舶、特に外航船舶につきましては、国内規格といいますよりも、国際的な一つの標準、御存じのようなロイドの規格というものがございまして、海上保険をつけるための条件になっております。そういう関係で、国際的な規格に従って日本の輸出船もつくられ、出ますので、その点特に日本の規格かどうこうということはございません。しかし、船を一隻つくりますと、その部分品はもとより、その修繕も大体建造をいたしました造船所に回ってくるというのが通常の慣習のようでございまして、そういう意味で将来も影響がある。  それから、現在の輸出船の船価は、必ずしも非常に有利というわけではございません。しかし、赤字というほどのものは少ないわけでございまして、まあ利潤が比較的薄い。やはりそれは競争が非常に激しいから利潤が薄いという面はございますが、しかし、非常に大きな効果といたしましては、要するに造船所の稼働率が非常に上がる。したがって、もし輸出船が全然ないと仮定いたしますと、現在日本の造船所は、これは三百万トンとか四百万トンとかといっておりますが、その程度の造船能力はございますが、国内船だけでは百万総トンにも足りませんので、そうしますと、能力の半分以下の操業しかできない。そうすると、コストが非常に高くなります。国内船自体も非常に高い船価で受注せざるを得ない。それが、輸出船を現在のように非常にたくさんとりまして、非常にフル能力を造船所が活用できるということになりますと、固定経費が非常に下がりまして、国内船も安く建造できる。また、それが造船会社の体質改善にもなるという面で、輸出船をたくさんとるということは、国内の造船業に非常に大きなプラスになる。もちろん、そのできた船が優秀な運航成績を示せば、それがまた一つのデモンストレーションの効果をもちまして、将来の受注にも役に立つ、こういうふうに思っております。
  118. 天田勝正

    ○天田勝正君 後段の答弁はまことにけっこうです。前段の答弁は少しく、私の引例が悪いのか、聞き違えた答弁なのか、こういうことなんです。それはね、後進国かだんだん先進国に追いつくときには、外国からものを輸入することによって、それの修理産業から発展していくんです。日本において、これは日本の例というより、私は日本の規格が外国にまかり通るという意味で言ったんではなくて、日本の機械産業だって、言うなれば幕府側はフランスと結んでおった、ところが薩長側は英国と結んだ、その結果が機械が今日に至るまでインチ建てになっちゃったんです、日本において。いいですか、そうしてインチ建てでなくしてメートル建てになったのは、戦前においては飛行機だけです。それ以外は全部インチ建てに支配されておった。そういうことで、今日でも少しく年配の者にメートル建ての機械などを使わせようったって、なかなかなじめない。これが事実上の現状なんです。それですから、農機具の輸出にしろ、船の輸出にしろ、船の場合はロイドの船型があるということは私もよく知っております、知っているけれども、しかしその部分をとらえた場合には、やはり輸出した国にその部品がいたんだときにもう一ぺん注文する、こういう形になるんですよ。これがもう普通なんです。いかに、至るところへ行ったってロイドの型だから、それじゃよそへ注文しようかといっても、そういうことは決してしない。そういうことで、まずあなたは規格といえば寸法だけを多く頭に描いておられると思うけれども、その部品の材質に至るまでやはり支配されてくるんですよ。これはもうやむを得ざることなんです。まあそういうので、議論するわけじゃないですけれども。ですから、後段のように、その輸出ということは、やはりその輸入国の将来の船の修理やなんかに至るまですべて日本になるから、そこでこちらはプラスになる、こういうことにならなければ、長い目で見たときのプラスにはならぬ。これはもうむしろ私の意見の言いっぱなしでよろしいと思うんです。  それで、それではさきの話に戻るようでありますが、ミナスやアラスカ・パルプのような場合に、まあ資金的には必ずしもプラスでなかったと思う。しかし、そこを開発することによって鉄を輸入する、あるいはパルプを輸入する、こういうことのまたプラス面が物量的になければならぬと思うんです。これか二つの例で日本の産業に非常にプラスになった、こういう状態ですか。
  119. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 二つの例とも共通しておりますのは、建設に要する資材、いわゆる設備でございます、これを日本の機械メーカー等が輸出したわけでございまして、その輸出に対しまして輸銀延べ払いの融資を行なっておる、こういう状況であります。でありますから、直接的には、言ってみればそういう日本の機械メーカー等の輸出の伸長に役立ったという点はございます。アラスカ・パルプにつきましては、先ほど申しましたが、現にパルプを輸入をいたしております。これが言ってみれば外貨の節約のようなことになるという点はあろうと思います。アラスカ・パルプについてはそういうことはいえる。しかし、ミナスの製鉄所につきましては、つくった鉄を日本が輸入するという目的でそもそも計画が立てられたわけじゃないんでございまして、これは鉱石につきましてはその可能性もあり、日本の鉄鋼業界の事情によっては銑鉄の状態で輸入するという余地は残されておりますが、しかし、原則的には五十万トンの鉄はブラジルにおける鉄の輸入分に振りかえるためだ。ブラジルの鉄鋼の国産化率を高めるということがねらいになっております。ただ、何ふんブラジルの場合には、非常に鉄鉱石としてきわめてまれだというほど品質のいい山があるということ、石炭がないのは欠点でございますが、そういうことについて、先方がそういう鉄の自給度を高めるという意味で非常な熱意を持つておった、その話に日本が応じたということでございまして、言ってみれば一種の経済協力的な考え方からでございます。直接日本にその鉄を輸入するというような考えは最初からなかったわけでございます。それでございますので、少しアラスカ・パルプの場合とは事情を異にしております。
  120. 天田勝正

    ○天田勝正君 私がかような質問をするのは、日本は鋼材をどんどん輸出しておる国ですから、鉄そのものは輸入しなくても、コンスタントに原料を確保できるという面で、資金的な部分は別にして、それ自体は一つのプラスになる、そういう観点もある。ですから、いままでのところは、あそこに製鉄所をつくるくらいですから、当然銑鋼一貫というようなことはなさるでありましょうけれども、そこヘプラスして、鉄鉱石もコンスタントにわが国鉄鋼業に供給かできる、そういうふうにこれを政府の指導といいますか、輸銀の口添えといいますか、そういうことによって、そこで切りかえるという意味じゃなくて、プラスをしていけば、その面の別のプラスが出てくるのじゃないか。  たとえばアラスカ・パルプだって、パルプというくらいですから、パルプをつくるのであるし、化繊会社のプラスである、こういうことでありましょうが、いま日本の命題は住宅をつくるということでしょう、一面。そうすれば、私は現地を見ておりませんからわかりませんけれども、パルプをつくるだけの設備をすれば、たとえばハードボードなんかはそうむずかしくなくできるのじゃないか。そうすれば、日本民間業者を圧迫することなしに、政府関係の住宅に使用する材料はかなり安く供給ができる、こういうことも可能なんではなかろうかと、別のことを考えておるわけですね、実をいうと。それも弾力的に考えれば特に出てくるのでありますから、さようにすれば、それこそいま日本で一番困っておる住宅、この問題も解決と左ではいかないにしても、かなりプラスになる。そういう広い考えでひとつどうですか、検討してみる用意はありませんか。これは輸銀総裁でもけっこうですよ。
  121. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ブラジルからの鉄鉱石の輸入につきましては、ウジミナス製鉄会社の鉄鉱山の開発とも関連いたしまして、日本側が相当最の鉄鉱石の供給を受けることについて、すでに協定みたいなものができておるはずでございます。まだ現実的には開発いたしておりません。  なお、アラスカ・パルプは現在製材業を兼営いたしておりまして、このほうは相当の好成績もあげております。今後も、そこにやはり一つの将来の希望があると思います。会社当局といたしましても、副業かもしれませんが、関連して製材業を今後大いに発展さしていくということを考えておるようでございます。パーティクルボードまでやれるかどうか、その辺のところはわかりませんが、現在そのような方向で検討されつつあることを御承知いただきたいと思います。
  122. 天田勝正

    ○天田勝正君 かなり進んだ答弁をもらいましたから、そう追及するつもりもありません。何しろ、私は、日本の住宅建設というのは何としてもなし遂げなければならないことですから、あまり、政府融資を受けているから金利は安いし、何か身を入れないようなやり方をしているとだめなんであって、それを少し企業努力で安くさせる。安い、こういうところが日本のプラスになるので、ですから、製材などをやっているとすれば、当然私はハードボードくらいはたちまち考えていいと思う。そうすれば、それ自体がたくさん供給できるということが、日本の建築単価も少なくとも木材に関する限りはそう上げなくてもいい、こういうことになって、予算単価も少しずつ少なくなって、同じ予算ならたくさんの住宅が供給できる。こまい話ですが、そういう努力をしなければだめですよ、実際に。ところが、何せ四分くらいの金利だから、早い話が、借りておいてよそへ預金しておいても、それだけで得だというようなことをやられておったのじゃ、それは納税者のほうはたまったものじゃないので、ぜひ、これは注文しておきますが、そういう別のことについても、あの資金の問題は、輸銀総裁はさっきしかく簡単に二千万くらいどっと簡単に返ってくるような話でしたけれども、なかなか容易じゃないと思うのだ、その百十八億も返すのは。だから、別の面でも納税者のプラスになるような道に、あなた方は協力してひとつ努力してほしいと思う。これは希望ですよ。そういう考えを持っていますが、どうです、当局で相談されてそういたされますか。
  123. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 御趣旨のほどよく私どもも注意いたしまして、なるべくその施設が有意義に、また事業がわが国のいろんな政策に沿うように検討させるつもりでおります。ただ、技術的な点、私どもハード・ボードを向こうでつくってこちらへ持ってくるのがいいのかどうか、そういう点、私わかりませんので、やり方につきましては、また別に専門のほうに検討さしてみたいと思います。
  124. 天田勝正

    ○天田勝正君 もうぼくはこれで、さっきの予定の時間来たから、よすのですが、私はそれは初めから確信があって言っておるのですよ。日本では、ハード・ボードがいまほどに進まぬときには、みなノルウェーから持ってきたのです、有名な建築は。いまノルウェーほどの建築には至っておりませんけれども日本の進み方というものはそれは異常なんです、この部面に対しては。いまやノルウエーものとあまり遜色がない程度までいっておる。ノルウェーからさえも輸入したのでありますから、そのアラスカあたりぐらいはわけはない、こういうことです。申し添えておきます。
  125. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これひとつ質問して、私のわからない点なんで、この際ひとつ明らかにしておきたいと思っているのだけれども輸銀延べ払いというものは、相手国にとっては外資という適用を受けるのですか。
  126. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 国内のメーカーなり商社なりが、延べ払いで相手国に売る契約をするわけでございます。国内の業者に対しましては、それだけの延べ払いを許すに足る国内金融を私どもがいたすわけでございます。それが延べ払いの仕組みでございますが、外国にとりましては、国内のメーカーなり商社なりから一定期間支払い猶予を受けておるということになるわけでございまして、結局はその国としては外貨の一時的な節約になる、それを年賦で払う、そういうかっこうになるわけでございます。
  127. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その全部でなくとも、その一部が相手国にとっては外資として受け入れたという、そういうようなものはないのですか、全部でなくとも一部。
  128. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 通常の延べ払いの場合は、ただいま申し上げましたように、一時に払わなければならない外貨を延べで払うという、そういう意味の消極的な外貨信用の供与ということになりましょうか。このほかにインド、パキスタン等に対する円借がございます。これは、あらかじめ何千万ドルに相当する、これも円建てでございますが、信用を供与するわけでございまして、その金を使ってインドなりパキスタンが日本から必要なものを買うたびに支払いをする。で、その支払いに充てられた額は十五年間の年賦で払うというわけでございまして、これもやはりクレジットの供与、相手方といたしましては外貨のクレジットを受けたと同じ効果を持つわけでございます。  お話の場合は、おそらく日本からものを買う仕組みでなくて、その国で何か事業をやる国内資金、あるいはその国で日本以外の国からものを輸入するための資金、そういうものを貸している例があるかということにもなろうかと思いますが、そういった部分が私ども日本からの輸出に伴う場合はありましょう、何割かなり。やはりそういう国内資金とか向こうの国での輸入資金が伴う現地クレジット部分も見ている、私ども金融で見ている例はございます。
  129. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 今度、外国銀行なんかに貸し付けを行なうというふうなうわさがありますけれども、これは範囲を広げることになるかと思うのですが、あるいはまた別な形で、先ほど問題になったウジミナスなんかの場合、そういったのは相手国自身にとっては一つの投資の性格を持つので、外資という適用を受けることになっているのかいないのかということなんですよ。そこのところをはっきりお答え願いたい。
  130. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) これは、私は実質的には外資導入になっているものと思います。ただ、その外資導入というふうな為替収支上の計算をするかどうかという点は、ちょっと事情は違うのです。日本の場合ですと、たとえばアメリカ輸銀、ワシントン輸銀から機械代金の延べ払い金融を受けているという場合がございますが、ですから、機械を輸入しても、これは年賦で払っていく。ですから、その借金というのは一種の外資導入を受けたと同じことになりますけれども、これは為替の統計は外資に入れていないわけでございます。為替収支上、今月はこれだけの外資導入があったというふうには計上されておらないわけです。それが、おそらく、いまのIMF統計でございますと、やはりそういうふうな計算をしておると思います。実質的には、多額の延べ払いを受けておりますと、相当な借金が残っているわけで、外資導入ということになるのだろうと思いますけれども、統計上はそうなっていないということでございます。
  131. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) ちょっと補足して。私どもの業務に、そのほかに輸入金融というのがございます。これは外国から緊要な物資を輸入するために、開発をしなければならぬとかなんとかいうような関係で前払いをする必要がある。この前払いの資金を国内の業者に貸して、国内の業者は外国の提携先に送金するわけですが、これなどはお説のような意味での外資導入ということになるかもしれません。
  132. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それで、いわば諸外国の外資法の適用にひっかかったという例はありませんか。
  133. 森永貞一郎

    参考人森永貞一郎君) 外資法とおっしゃるのが、日本におけるような外資法みたいなものがあるのかどうか、的確には存じませんですが、日本に対する月賦なり年賦なりでの支払いは、当然向こうの為替管理法の適用は受けるわけでございまして、多くの場合、登録をしておかないと送金が許されないと、そういうような先方の為替管理上の制約は受けておると思います。
  134. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 次に、先ほどちょっと午前中に聞きました協調融資の問題ですね、今後この協調融資の形は拡大していく方向に進むでしょうか。
  135. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) インド、パキスタン、その他円借のすでに協定が行なわれ、輸銀としてもかなりの承諾をしているというものがございます。これに伴いまして、市中分も、最初の第一次のインド借款のような場合には市中の協調部分はございませんが、二次以降市中が二割を負担するということになりましたので、現在でございますと、承諾額で申しますと、布中は百六十九億、それから融資の残高といたしましては三十七億円程度でございます。これに対しまして、輸銀は承諾額八百九十五億円、融資残が三百四十五億円というふうに非常に大きいのでございますが、この差がありますのは、円借につきましても、契約は大きいのでございますが、実行がまだそこまでいっていない。したがいまして、今後いま承諾している分だけにつきましてもだんだんにまあふえる傾向がございますし、すでに市中では百六十九億円の承諾に対してまだ実行しているのは三十九億円程度であるということでございますから、どうしても拡大する方向にはいくと思います。
  136. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この協調融資について、今度十八条の十一号ですか、その協調融資分について債務を保証するということを明文化したわけですね。これなどはどうなんですか、協調融資の発議をするというような場合は、何か輸銀の側のほうから言うのですか。
  137. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 輸銀といいますか、まあ主としてこれは、こういう話し合いのときに、輸銀資金はその八割を行なう、残りは市中銀行にお願いしたい、こういうふうなことで、政府側が、どっちかといいますと、そういう割合をきめて市中銀行に協調融資をたのむというようなかっこうになるわけでございます。
  138. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そこで、問題になるかと思われるこれからの問題ですけれどもね、いままでもどうだったか、いままでの事例をよくわかりませんけれども、これからの問題として、その協調融資に参加している民間の銀行などが、ときに不良のそういったような債権を残したような場合には、つまり協調融資をするといったようなたてまえから、しりぬぐいに輸銀が回っていくといったようなそういう危険性というのは出てきませんか。
  139. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 銀行側としては、融資の期限におきまして輸銀より短い。したがいまして、金額の点から申しましても二割でございますから、輸銀の債権がいわば根っこに大きくあり、その上積みの分として、しかも短い期限で回収がはかれることになっておりますので、相手国の国際収支がよほど悪いということは別として、一応私どもは市中分については回収が可能だと考えているのでございますが、しかし、何しろ相手側の、たとえばインドとかパキスタンというのは、非常に大きな開発計画を実行している過程にありまして、非常に各国から共産圏といわず自由といわず多額の債務をしょっております。そういうことから、それに対する支払いが必ずしも円滑にいかない場合があるのではないかと思います。そういう場合におきましては、この市中銀行に返ってこない場合に、期限どおり返らない場合に一は、輸銀がその保証債務を実行する、こういうことになります。したがいまして、言ってみれば、しりぬぐいということばが当たるかもしれませんけれども、相手国の事情によっては保証債も実行せざるを得ない場合が予想されます。
  140. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 十八条の九号のさっきの問題にちょっと移るのですけれども、どうも九号の規定を新たに設けたという理由は、つまりいわゆるドル防衛といわれておるものですね、アメリカ筋からのそういう働きかけがあってこれに参加をしたというにおいがきわめて濃厚な九条の設定ですが、こういう事実ありますか。
  141. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) そのような事実はございません。
  142. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 全くない。
  143. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) ありません。
  144. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私、質問を終わります。
  145. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 簡単に。先ほどミナスの製鉄所についてお話があったようであります。昨年九月現地で聞いた話によりますと、御承知のとおり、非常にインフレが高進している、このままでいけば国の援助がない限りは解散せざるを得ない、こういう話を聞いたわけです。その後も相当インフレが高進しているようでありますが、今後こうした問題に対してどんなような対策をお持ちになっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  146. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 解散と申しましても、事実上相当割合が、大部分がもう完成の域に近づいておりまして鉄をつくり製品をつくるという段階にほとんどもう来ているわけでございます。現に一部の製品は販売されておるわけでございます。したがいまして、解散というふうなことには絶対にいかないものと思いますが、しかし、この先方が申しておるところの必要資金の額、これから必要とする資金の額が非常に大きゅうございます。いまこれは為替相場が実勢と公定ではだいぶ開きがあるようでございますが、千六百五億クルゼイロ不足する、これは一九六五年下期までの資金で不足する額が千六百五億クルゼイロだというふうな、非常に膨大な数字をこちらに、いわゆる九号予算と称するものでございますが、言ってまいってきております。大ざっぱに申しまして、これはこれからの為替相場の下落をも織り込んだクルゼイロの改正だそうでございますが、それにしましても非常に大きい。このうちの半分くらいを日本側で何とか援助を願えないかというふうなのが向こうの希望のようでございます。これにつきましては、まだ話し合いが進んでおりませんが、いずれ遠くない時期に先方の代表が東京へやってまいりまして、日本側とこの金の調達をいかにするかということを相談するという段取りになっております。しかし、まあいまのところはどうやら現地の分で、ブラジルの開発銀行等のつなぎ融資でどうやら泳いでいるというふうな形でございますが、非常に複雑な事情がございまして、たとえばブンデが新しく貸し付ける場合に、それはあくまで私どもから見ればクルゼイロでなければいかぬところを、ドル建てだというふうな安定価値計算みたいなものを貸し出しの中に盛り込んであるというようなこと、それに対して鉄鋼価格がどうなっておるかという点、非常に問題が多いのでございます。  ただ、私どもの、日本側としては、せっかくここまででき上がってきたものを閉鎖するとか解散するとかいうことはとうてい考えられない、何とかして第二次計画までは五十万トンの計画についてはこれを完成させたい、完成してしかもその後の運営についても毎期大幅な赤字を出すというようなことなしにやる方法を検討しなければならぬと考えておるわけでございまして、おそらくブラジル政府としてもこのミナス製鉄所を放棄するようなことには、そういうことは全然考えておらないと思います。ただ、その資金の調達にたいへんな問題が残されておると思います。
  147. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先ほど銀行局長のお話では、今後の方針については、輸銀を通さない、こういうようなたしか午前中の回答だったと思います。たしか先日、大蔵大臣の言明だったと記憶するのですが、国としては今後も援助を続ける、こういうことをはっきり申しておったようですが、どんな形で援助をされるのでしょうか。
  148. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 私は輸銀を通さないということは申したつもりはございませんで、やはり今後もこの所要資金を、かりに援助するということにきまりますれば、その出し方としてはやはり輸銀に担当してもらうのが適当じゃないか。経済協力基金を使ったらどうかという意見も一部にございますが、私どもとしては、やはり今日まで輸銀が担当してきたし、今後においても輸銀を通して援助するのが適当ではないかと考えております。  ただ、金額の点においてあまりに膨大な要求をされますと、日本側としては政府としても必ずしも応じ切れない。たとえば、大ざっぱに申しまして、先ほどの数字などで申しますと、大体二億ドル程度の不足ということになるかと思いますが、それに対して一億ドルくらいということになりますと、これはいままでの日本のいろいろな為替収支の上から考えましても、一億ドルをおいそれといまひき受けれる状態ではない。何とかもう少し合理的な範囲内で金額を定めて、それをいかに出すかとうい点につきましては、これを向こう側の希望はおそらく出資によるということでございましょう。いまのところ、もう延べ払いの融資はほとんど済んでおりまして、いわゆる輸出金融というような形ではなかなかやりにくいものでございますから、結局出資ということが中心にならうかと思います。その出資の場合におきまして、先方の希望する一億ドルも出資を負担するというようなことは、ちょっといまの状態ではのみにくい話であるということを申し上げただけでございまして、しかし、全体としての運営は何とか経費を切り詰めてでもやるようにしなければならぬ。とかく向こうの経営のしぶり等を私どもが見ますと、かなり放漫な点があるやに見受けられます。そういう点について日本側から、その経理面などに相当厳重なてこ入れをやらなければいかぬというふうに思っておるわけでございまして、単に資金の不足額を幾らするかというようなことでなしに、将来の運営についても相当程度引き締めた方策がとられなければ、うまくいかないんじゃないかと考えているわけでございます。
  149. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一点だけ。いまの説明で、確かに放漫的な経営ということも十分考えられると思うのです。これは事実、私も聞いてきました。で、いまのお話ですと、第二次計画として予定されております五十万トンの鉄の産出が達成されるまで、とにかく何とか続けていきたい、またそこに一つ目的を持って効力を進めたいというふうなお話のようでございました。いまの放漫的な経営といい、また大幅な赤字が出ない限りにおいては、今後も放棄しないでやっていきたいということでございます。はたしてこれが保証できるという裏づけがどういう点においてあるのか。確かに、先ほども天田委員のほうから話があったように、この金は国民の血税でまかなわれるわけでありますから、後進国開発のために用いられることは一向に差しつかえないと思うのですけれども、それがもう出しっぱなしに終わって、あと収拾がつかない、こういうことになったのでは非常にまずい結果になるんじゃないか。というふうなことから、その点について最後に一つだけ聞いておきたいと思うのですが。
  150. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 確かに、いまの御質問のような懸念を実は私どもも持っておるわけでございます。今日までのところの会社の建設並びにその後の運営、ある程度生産もやっておるわけでございますが、これはブラジル政府並びにブラジル開発銀行等の態度にもいろいろ問題がございます。はっきりはわかりませんが、鉄鋼価格なんかについても、向こうは年間に七割物価が上がるというふうなたいへんなインフレでございますので、これは普通に常識で自由な価格で商品が売られるということであれば、借り入れ金がもしクルゼイロだけであれば、当然それは資本のほうは非常にどんどん変化するようでありますけれども資産価値は上がるわけであります。逆に上がって、非常に高い製品価格で売れるんならば、普通ならばインフレ利益がどんどん出るはずのものでございます。ですから、日本からブラジルに進出いたしました企業の悩みは、むしろ固定資産等の帳簿上の価額が低過ぎて、これの再評価が十分に許されておらぬ。したがって、利益が出てしようがない。その利益に対して比較的高い税率の超過累進税のようなものを課せられる。そのためにインフレ利益で、実質的にはそう大きな利益はないのだが、それがインフレ利益として捕捉されて持っていかれてしまう、そういう悩みを訴えているのがあると思います。それが普通の形であると思いますが、これが故意に鉄鋼価格を非常に安くし、しかも貸し付け金の中にドル建てのものがあるなんということになりますと、会社経理としてはとても立っていったものではない。そういった点を、これからも先方との会談の際には十分にその会社経営が成り立つような案を取りきめなければいかぬ。いままでのとおりやっておってはたしてうまくいくというふうには、私どもその点非常に不安を持っております。したがいまして、続けていくと、何のことはない雪だるまのように赤字が大きくなるおそれもないではない、そういう心配もございますから、いろいろな金の不足がどうするかだけでは解決いたしませんで、十分な検討が必要である。その点を、今度そういう機会がありましたとき、どうせ遠からずあると思いますから、いろいろな約束を十分に取りつけた上で対策を講じたいというふうに考えております。
  151. 新谷寅三郎

    委員長新谷寅三郎君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言もないようでございますから、本案に対する質疑は、本日のところこの程度にとどめたいと思います。  次回の委員会は、明三月四日午後一時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。   午後三時二分散会      —————・—————