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1964-05-08 第46回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月八日(金曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————   委員異動 四月二十四日   辞任      補欠選任    剱木 亨弘君  西田 信一君 四月二十五日   辞任      補欠選任    西田 信一君  剱木 亨弘君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     岸田 幸雄君    理事            亀井  光君            徳永 正利君            大矢  正君            小宮市太郎君            牛田  寛君    委員            江藤  智君            大竹平八郎君            川上 為治君            剱木 亨弘君            郡  祐一君            二木 謙吾君            堀  末治君            松平 勇雄君            吉武 恵市君            阿具根 登君            阿部 竹松君            柳岡 秋夫君            田畑 金光君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業省石炭    局長      新井 眞一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   参考人    夕 張 市 長 橘内 末吉君    日本輸出縫製品    工業協同組合連    合会理事長   近藤駒太郎君    福島好間村商    工会専務理事  稲葉 広巳君    小野田市長   川村 一与君    福岡鞍手町長 東  智雄君    田川商工会議    所会頭     中村宇一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (産炭地域振興に関する件)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、先ほどの委員長及び理事打合会について御報告いたします。  本日は、剱木亨弘君の委員異動に伴う理事補欠を互選し、次に、産炭地域振興について参考人意見を求めることとなりました。なお、参考人は午前三名、午後三名とします。各参考人からそれぞれ二十分以内の御意見を拝聴し、その後御質疑をお願いいたしたいと思います。  それでは理事補欠互選の件を議題といたします。  剱木亨弘君の委員異動に伴う理事補欠互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認めます。それでは、理事亀井光君を指名いたします。
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、当面の石炭対策樹立に関する調査議題といたします。  本調査一環として、産炭地域振興に関する調査のため、本日は参考人として、午前中、夕張市長橘内末吉君、日本輸出縫製品工業協同組合連合会理事長近藤駒太郎君、福島県石城郡好間商工会専務理事稲葉広巳君のお三方の御出席を求め、午後は、小野田市長川村一与君、福岡鞍手町長智雄君、田川商工会議所会頭中村宇一郎君の御出席を求めております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、当委員会のために遠路わざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。当委員会は、ただいま当面の石炭対策樹立に関する調査一環として、産炭地域振興に関する調査を行なっておるのでありまするが、本件に関してそれぞれ関係をお持ちになる参考人各位の御意見を拝聴し、もって本調査参考にいたしたいと存じますので、各位には、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。参考人各位には、最初二十分以内に御意見をお述べいただき、あとで委員各位質疑に応じていただきたいと存じます。  それでは、夕張市長橘内末吉君からお願いいたします。
  5. 橘内末吉

    参考人橘内末吉君) 私、夕張市長橘内末吉です。  石炭対策問題につきまして、特に、また、産炭地振興問題につきましては、当委員会各位の非常な御尽力、御配慮を賜わっておりますことを、産炭地理事者の一員といたしまして、この機会に厚く敬意と感謝をささげる次第であります。  私は、北海道における炭鉱市町村の会をつくっておりまして、そのほうの会長をやっております。したがいまして、当委員会の本日の御要請の趣旨に沿うためにも、北海道地域中心を置きまして申し上げたいと思うのでございます。特に産炭地域工業誘致等振興計画と、特に窮乏のどん底に置かれておりまするところの市町村財政に関する問題を中心といたしまして御意見を申し上げたいと存じますので、この点あらかじめ御了承を賜わりたいと思う次第であります。  前提といたしまして、まず、北海道における産炭地実情現況等について申し上げてみたいと思うのでありまするが、北海道における鉱業市町村の数は、産炭地域振興臨時措置法の第二条指定が十三市二十七町村になっておりまして、さらに、また、同法の第六条指定が七市十八町村でございまして、全道の市町村数、市の二十八市、百九十二の町村の数から見ますると、二条指定の市が二五%、町村の数が一五%に当たっておりまして、その人口は約百十万を数えまして、北海道全道の人口五百三万九千二百六人に対して約二〇%を占める地位に置かれておったのでございます。さらに、北海道石炭埋蔵量は、もう各位十分御承知のとおりでありますが、理論埋蔵量といたしましては百二億トンといわれまして、全国の二百十二億トンの約四八%に当たっております。昭和三十七年度の出炭量は、御承知のとおり、千九百八十六万トンでありまして、これまた全国の三七%を占めておる状況にあります。これをさらに炭種別に見ますると、原料炭が二七%、一般炭が七三%という比率でございまして、一般炭の占める割合は、全国平均の七九%に比べまして、やや低率を示しております。このことは原料炭のその比率を相当高く持っておるということだと思うのであります。  次に、北海道における閉山状況でございますが、昭和三十七年十月の石炭鉱業調査団の答申に基づく合理化促進昭和三十七、八年度に集中的に行なわれまして、昭和三十七年度におきましては、大手が二山、中小二十五の炭鉱、さらに昭和三十八年度におきましては、十二月末で大手が一、中小十三炭鉱、合計しまして三十七年以降四十一炭鉱終閉山をいたしております。これによる離職者は三千九百三十七人、閉山以外の——閉山はしませんけれども、合理化は行なわれておりまするから、ビルド山等においても相当強行されておりますので、この離職者が約一万二千五百人、合計一万六千四百三十七人という数字になっておるのでございます。これを人口に見ますると、約六万五千人の産炭地域人口減少しておるのが実態でございます。さらに、また、この離職者数等を昭和三十三年に比較してみますると、炭鉱の数では百四十二鉱あったものが九十二鉱に減少いたしております。実働労務者が七万六千九百二十七人おりましたのが四万三千六百二十人に激減をみておるのが実態でございまして、このほかに、あるいは職員の数、あるいはまた臨時夫、あるいは組夫等減少約一万人を加えてみますると、最近五年間に約四万三千人の離職者を出しておるのが実情であるわけであります。この上に、さらに、御承知のとおり、三十九年度の分といたしまして、北海道においてはもちろんこれは三十八年度の繰り越し等も含まれておるわけでありまするが、五十五万トン、約三千人の離職者がこれに重なって現出してまいるわけでございます。  これらの実態にかんがみまして、次は、二番目に、北海道における産炭地域振興計画とその進行状況について申し上げたいと思うのでありますが、北海道産炭地域振興計画につきましては、産炭地域振興審議会審議を経まして、昨年の十一月に通産省からそれぞれ告示をされました石狩炭田釧路炭田、留萌・天北の三地域別実施計画によってそれぞれの地域に適応させましたところの鉱工業の開発誘致中心といたしまして、これに必要な道路であるとか、あるいは港湾鉄道用地用水などの産業基盤立地条件整備をあわせて促進することになっておるのでありまして、この計画達成時である四十二年度におけるところの工業出荷額は、昭和三十五年の七百六十八億円に対しまして、二・三倍の一千七百六十五億円に達することが想定されております。また、昭和三十九年度以降の新規設備投資額は二百七十億円と見込まれておりまして、新規に一万一千人程度の雇用機会造出が期待されておるのがこの産炭地振興計画の本体でございます。特に、このうち、北海道主要石炭鉱業地であり、かつ、合理化が最も集中的に行なわれました石狩炭田地域は、石炭化学コンビナート木材総合利用工業、あるいはセメント工業化学肥料石炭専焼火力発電所建設などの工業振興中心にいたしまして、昭和四十二年の計画達成時の工業出荷額は八百億円、雇用想定が四千人、設備投資百十億円の計画となっておるのでありまするが、北海道といたしましては、この主要な炭田地区である石狩炭田地区に今後この振興計画はこの重点を指向して促進されなければならないものであると考えておる次第であります。しかしながら、このようにいろいろ慎重に計画されたりっぱな計画がございまするけれども、そのほとんどが、御承知のとおり、民間の資本、民間企業進出と、あるいは地域北海道、あるいは市町村の努力に期待しておる点が非常に多いのでありまして、なかなかその具体的な展開は容易でないものがあると思われるのでございます。特に北海道のような、地理的にも気象的にも、立地上の悪条件下地域におきましては、何とかもっと企業進出魅力のある、資金の面におきましても、低利で、しかも、かつ、長期の設備資金の供給などにつきまして、国の力強い措置が絶対に必要であると思うのであります。今日のような民間まかせの状態では、このりっぱな産炭地振興計画も画餅に帰するものだと考えられます。北海道といたしましては、これらのただいま申し上げました根幹となる振興基本計画なり実施計画を持っておりまするけれども、そのほかに、特に緊急かつ応急的な対策といたしまして、合理化の最も急激に行なわれました石狩炭田美唄市、歌志内市、芦別市等の地区に対しましては、関東、特に関西地区企業家理解ある御協力によりまして、特に本日ここに参考人としてお見えいただいております近藤社長さんの非常な理解のある、御熱意のある御尽力によりまして、縫製品工場等企業進出を実現していただきましたことは、私ども産炭地の者といたしまして、非常に感謝にたえないところであります。今後ともその御協力を要請しているところで、ございます。しかしながら、この非常な御尽力をいただきました企業等につきましても、あるいは、また、この縫製品工場等誘致に関連して、次々と誘致されました中小企業等におきましても、その多くは、離職者自体雇用造出ということはきわめて少数でありまして、その多くは家族、特に子弟、婦女子の面に限定されておるのが特徴と言えるかと思うのであります。したがいまして、産炭地域におけるほんとうの意味の産炭地域振興臨時措置法のねらいとするところの振興発展をはかるための計画というものは、どうしても先ほど申し上げました実施計画基本といたしまして、これを実現させるために政府の積極的な、しかも、強力なてこ入れが必要であろうかと考えるものでございます。この場合、特にこの実施計画基本としまして、政府の姿勢を正して強力に進めるようにお願い申し上げたいと思う次第であります。  昭和三十八年の一月以降十二月までの間におきまして、北海道産炭地において新増設の実施、あるいは計画の決定している企業は現在七市八町村にわたっておりまして、五十一企業であります。これらの設備投資額は、全体の額が約二十二億円、離職者及びその子弟雇用数は千五百七十五人で、このうち、もちろん産炭地域振興事業団融資に相当御協力を願っておりまするが、特に北海道が出資あるいは設備貸与措置を満たしておるものが十六の企業にわたっておりまして、約五千百万円に達しておるのでございます。産炭地振興計画並びに企業誘致に関連して、私は、次のような点について政府理解と積極的な措置が必要であることを特に強調したいと思うのであります。  まず、第一には、産炭地域振興臨時措置法期間延長について、この措置法に基づきまして決定した実施計画の総合的な、かつ効率的な遂行をはかるためには、さらに少なくとも五カ年間の延長が必要であると現時点においては考えられます。このことは、今日まだ四十一年まで期間があるわけでございまするから、ここで申し上げることは時期尚早かと思いまするが、少なくともこのくらいの方向をもって施策が進められなければならないものであるというふうに考えておる次第でございます。  二番目は、産炭地域振興事業団業務範囲拡大していただく。御承知のとおり、国会等の御尽力によりまして、工業用地造成事業団みずからが行ない、あるいは、また、進出企業に対する融資措置を講じられることになっておりまするが、これらはさらに先行投資的な、たとえば工業用水の設置、造成を行なうというような面につきまして業務の範囲を拡大するというようにどうしてもお願いしなければならぬと思うのでありますが、同時に、業務範囲拡大はもちろんでありますが、さらに、今日いろいろと御尽力をいただいて、資金のワクの拡大等も行なっていただいておりまするが、さらにこれを増大していただきまして、事業団積極性を特に高めるような措置を講じてもらう必要があるというぐあいに考えておる次第でございます。  なお、ここで申し上げたいことは、たとえば工業用地土地造成等事業団が行ないまして、その用地を、さらにこれを進出企業、家に売却するわけでございまするが、この場合の価格につきましては、できるだけ低額にしてやる、いわゆる進出企業に対して魅力を与えるというような、水向けの意味をもちまして、なるべく安く売却する。そのためには、事業団の全体としての人件費等の面をコストに算入しないような国の施策を講じてあげることが必要であろう、こういうように考えるわけでございます。  なお、また、北海道といたしましては、特に現在事業団の支所を置いていただいておりまするが、これは通産局の職員が一時兼務しておるとか、非常に陣容が脆弱でございますので、せっかく事業団の活動を願うにいたしましても、あるいはその融資の申し込み、あるいは取り扱いにつきましても非常に日数を要し、非常にめんどうな手続を要する、しかも、日数を要するというような状態でございまして、これらはいま火のつくように迫っておるやはり事業団の活動の上から見ましても、できるだけ簡素化してもらうと同時に、この陣容を強化してもらうようにお願いしたいというような考えでおるわけでございます。  三番目は、開発銀行、あるいは北・東開発公庫協調融資でございまするが、これらにつきましても、少なくとも事業団の六分五厘に相当するくらいまでの低率で協調融資をさせるようにしてもらいたいものである、この必要があるというぐあいに考えておるわけでございます。  さらに、また、四番目といたしましては、産業基盤整備をはかるために、道路港湾の改良、用地用水施設につきましては、通産省実施計画に先行いたしまして、特別な年次計画をもって具体的にこれを推進する必要があると考えるわけでございます。  さらに、また、北海道における産炭地域振興のために、いろいろ実施計画の上でも要請されておるところでございまするが、鉄道の新線着工でございます。特に石狩——十勝連絡線、この幹線の実現、紅葉山線の着工、さらに、また、石狩炭田の北部の芦別線早期着工促進してもらいまして、あわせて離職者の吸収と工業誘致のための輸送基盤整備をはかるように推進してあげる必要があるというぐあいに考えている次第でございます。特に御留意願いたいと思いますることは、スクラップ、あるいはビルドと言っておりますけれども、ビルド山といいながらも、相当急激な集中的な合理化が行なわれまして、多数の離職者人口減を来たしているのが実態でございますので、この人口対策は、やはり閉山というものを伴わないビルド山におきましても、安定するまでの間の人口対策はもっと積極的に行なわれる必要があるというぐあいに考えている次第でございます。特に石狩炭田の上砂川町は全く石炭一本でありますが、しかも、これはビルド山になっておりますので、したがって、関心が行政上においても非常に薄いものがあります。しかも、多数の離職者を出しているので、非常に財政的にも困難を来たしているというのが実態でございますので、こういう面についても特に御留意をいただかなければならぬとわれわれは考えている次第でございます。  以上は工業誘致の現状と、それから、これに対する私の意見を申し上げた次第でございまするが、次には、産炭地市町村財政について申し上げたいと思うのでございます。  石炭鉱業合理化促進によりまして、産炭地市町村は、離職者の急激な多発、終閉山によって人口激減市町村税の減収と、さらに歳出における生活保護世帯増加失業対策事業費の増大、青少年補導費商工業等中小企業融資対策保健衛生費など、一面におきましては歳入の減少に逆比例して歳出が増大しまして、これがために財政力は年々低下をたどっております。地方交付税のほうから見た財政力の指数というものは、昭和三十五年度の産炭地の平均六六・九%に比べまして、昭和三十八年度は四八・三%に下降しております。これは今後とも年とともに低下していく傾向にあることは明らかでございます。昭和三十八年度におきまして、石炭産業不振のための特殊な北海道炭鉱地方における財政需要額のうち、市町村自体の負担しているもの——国負担金であるとか、道の補助金といったものを差し引いた市町村自体の面で負担しているものは、おおむね四億三千万円を負担しております。これにいろいろ生活保護補導主事であるとか、そういうやむを得ざる職員増加を加えますと、約六億円をこえるものと考えられます。産炭地市町村北海道における住民税の約八〇%は、これら特殊な財政需要に充当しているというのが実情でございます。産炭地域振興臨時措置法の施行前の生活保護率人口千人に対しまして一九・五%であったものが、昭和三十八年度末におきましては二四・五%に急増していることは、いかに産炭地住民が困窮しつつあるかということを知ることができると思うのであります。特に著しい増加を見ているのは夕張市三四・八%、美唄市四九・二%、歌志内市三一・二%、芦別市二五・二%等でございます。また、失業対策事業につきましても、最近漸次減少を示しているとはいいながら、なお三十八年度末におきまして四千二百八十人に達している状況でございまして、特に増加の著しいのは夕張市の五百八十三人であります。本年度末においては約六百五十人を想定されているのが実態でございます。このように財政的に疲弊しつつある市町村財政に対する措置としては、政府におきましても、地方交付税の配分であるとか、公共事業費の起債の優先的な充当ということをきめられておるのでございまするが、まだまだ実際にはその精神は十分に発揮されておらないということが言えるのであります。産炭地市町村財政窮乏を来たしたのは、市町村理事者の放漫な財政の運用であるとか、あるいは行政執行の不手ぎわから発生したものではございません。あくまでもエネルギー消費構造の革命から来たとは言いながら、国の石炭政策によって合理化促進したことに直接の原因があるのでありまして、もっと積極的に責任のある財政援護措置が講ぜられてしかるべきものと思うのであります。私は、この場合、産炭地市町村財政を救うために、特に政府は次のような措置を講ずる必要があることを強調したいと思うのであります。  まず、第一に、生活保護費失業対策費等行政費に対する補助、あるいは国の負担、さらに、また、道路、水道など、公共事業に対して産炭地域財政が安定し、経済が安定するまでの間、特別の立法措置を講じまして、高率の補助制度を設けていただきたいことを特に強調しておきたいと思うのであります。たとえば、生活保護費については、町村分は、これは全額県が負担しており、市は二割負担しておるというような実態でございます。これらを高率補助に改めてもらいたい。また、失業対策就労日数増加いたしまして、期末手当なども制度化しまして、これを補助対象に加えるようにしてもらいたい。また、義務教育学校校舎建築起債の未償還額償還年限延長であるとか、償還利子の補給などの措置を講ずる必要がある。特に産炭地におきましては、離職者の多発によりまして、非常に社会的に不安な情勢、いろいろな現象が発生しておりまするが、青少年不良化防止に対する補導センターを設置するなど、いろいろ市町村が苦労しておりまするが、これらの点につきましても国の積極的な助成措置をしてもらう必要があると考えております。  次に、石炭需要雇用拡大でございまするが、これにつきましては、究極において、産炭地振興経済源である石炭需要が安定し、石炭産業が安定することが必要であると思いますので、私は、特に三十九年度において国が考えておる電発によるところの石炭火力発電、揚げ地発電等計画されておりまするが、これらは北海道電力需給等も十分御検討の上、北海道地区にもやはり一基を設置していただく必要があるのではないか。こうすることによりまして地場におけるところの石炭消費が安定してくるというふうに考えておる次第でございます。また、石狩炭田地区実施計画にありますところの石炭化学コンビナート計画を推進をしていただきまして、これによる石炭需要拡大、約年間五十五万トン、これによるところの雇用の増大が約一千人を吸収することが可能であると考えるものであります。そのほか、ばい煙防止、あるいは健康都市の建設とあわせまして、コークスの自動式ボイラー、ドイツとの技術提携によっておりまするこれらの普及につきましても、政府の積極的な援助が望ましいと思うのでございます。  さらに、また、特に石狩炭田地区におきまして、ここ数年来国費を投入してボーリング等を行なっておりまするが、これによるところの新坑の開発をはかるように御推進を願いたいと思いまするし、これに対する資金援助等につきましても配慮してしかるべきものだと考えております。  最後に、離職者雇用対策でございますが、これは特に三井美唄北炭神威等をはじめ、離職者の大半は本年から失業手当保険給付期間が切れる状態になっておりますので、合理化犠牲者として最も深刻な生活条件下にあるこれら離職者に対しまして、今後とも格段の措置をとってもらう必要があると考えております。特に失業保険受給期間延長であるとか、就職促進手当職業訓練手当などの引き上げ、あるいは特に離職者用のアパートの構造の改善、入居条件緩和等につきましても特に手を打たれる必要があると考えている次第であります。  以上は、北海道産炭地市町村立場から、現段階における実態と、これが対策のあり方につき、問題点をしぼって概略を申し上げた次第でございますが、要するに国内唯一エネルギー資源であるべき石炭産業の安定につきまして、長期展望に立った位置づけを明らかにしてもらい、石炭鉱業合理化による最大の被害者であるところの産炭地域市町村財政の確保、あるいは鉱工業の開発振興並びに離職者に対するあたたかい施策を推進される必要があると考えているものでございます。今後とも、国会の、特に石炭対策特別委員会の皆さま方の格段の御尽力を心からお願い申し上げまして私の意見を終わりたいと思います。  長時間ありがとうございました。
  6. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、日本輸出縫製品工業協同組合連合会理事長近藤駒太郎君にお願いいたします。御意見の御陳述は二十分以内ということにお願いいたします。
  7. 近藤駒太郎

    参考人近藤駒太郎君) 近藤でございます。私の申し上げることは、すでにお手元に提出いたしておりまする書類を見ていただきましたならば一番よくわかると思うのでございますが、簡単に御説明申し上げたいと思います。  実は私、昨年の八月に稲葉調査団とともに北海道地区調査さしていただきまして、その後両三度調査の結果、まず当初に美唄地区の私らの同業者の方に行っていただくように御推薦申し上げまして、その後、歌志内方面におきまして何の産業もこないので、何とか考えてほしい、また、ぜひ行ってやってくれという通産省石炭局のとくと御要請によりまして、その後十一月に歌志内地区に参りましたのでございますが、ここに書いてありますとおりに、われわれは、企業誘致されるにつきましては、ただ御承知のとおりに、みな中小企業でございますので、その系列下の親会社のほうにも御相談申し上げて進出を決定いたしている次第でございます。ところが、実際に行って見た結果、一番大きな問題は、行くまでに対しまして、金融機関その他の方面におきましては、相当もう御調査済みであった、御調査されて誘致されたと、私はかように思っているし、また、公職の立場上、方々間違いのないように信用の置ける方々に行っていただくように御推薦申し上げたと私は思っているのでございますが、たまたま誘致されて、現在建設中、あるいは歌志内のほうにおきましては、もうすでに大特急で改装工事を終わりまして、第一回の二月早々から操業開始いたしまして、三月下旬にはもう第一回の輸出製品を送っているというような現状にあるにもかかわらず、金融状態がいまだに解決せない。これは先ほども申し上げましたとおりに、誘致されるについては、ただ、だれかれなく、相当信用のある方々を誘致されたと私は思っているのでございます。しからば、窓口銀行、あるいはその他の金融機関におきましては、十二分に連絡を密にしていただきまして、少なくとも誘致された企業に対しては、金融状況だけは円滑、敏速、果敢に何とかその援助をしていただきたい、かように思っておるのでございます。すでに先ほど申し上げましたとおりに、百何人の従業員を擁しまして、現在着々として縫製品を縫っておるにもかかわらず、一銭一厘も金が出ていない。しかも、その縫製しておる方々の支払う労銀に対しては、百数十万円も会社が出血して払っておる。かような状態では、なかなか事業もすみやかに健全財政に戻っていくということはむずかしいと思いますので、この点特に私はお願いいたしたいと思います。  なお、美唄地区におきまして、先ほど申し上げました縫製工場は、相当規模の大きいものを御推薦申し上げましたのです。が、その後、通産当局より、未亡人、あるいは身体障害者に対する何らかの企業がないかという御相談を受けました。たまたま私の知り合いの方で、木材をつぶして、小ものでございますけれども、アイスクリームのさじなんかをつくる輸出、あるいは国内の相当大手の製造業者を御推薦申し上げたのでございますが、この企業は、もう原料が現地にございますので、一番早く軌道に乗るだろうと私らは非常に期待いたしておったのでございますが、これたるやも、当初私がお約束申し上げた金融状態と現状では一〇%の食い違いができて、いまだに金融もついていないというような状況でございまするので、少なくとも、当初お約束いただいたことは確実に果たしていただくということにしていただかなければ、われわれといたしましては、ただ個人で進出した場合には企業者の責任でございますけれども、少なくとも、公職の立場上御推薦申し上げた場合にはすべて私のほうの責任でございますので、不満があれば必ず大阪のほうに持って帰られて、あなた方はこういう約束をして、こういうぐあいに言われたけれども、決着は、現地に行ってみた結果、何ら公約を果たされてないじゃないかというような御不満がかなり出ておりますので、こういう点に対しましても、誘致される以前におきまして密接に連絡をいたしまして、いろいろお約束いたして、しからば、こういうことでどうですかということで御推薦申し上げたのでございまするので、どうかこういう点に対しましても、当初お約束をしていただきましたことは必ず実行をしていただくということにお願いいたしたいと思います。  なお、企業誘致に対しまして、昨年八月に第一回参りましたときには、北海道美唄、あるいは歌志内地区におきましては何らの企業も出ておられなかった。ところが、第一回目、私のほうの御推薦申し上げた北洋繊維が進出第一号として決定した後におきましては、かなりの企業が現在進出を決定いたしておるように聞き及んでおるのでございますが、その後、大阪におきましても地元から参られまして、いろいろ他の工場の誘致ということに対して盛んに御勧誘をされておるように承っておるのでございますが、この点に対しまして私のほうにいろいろ御相談をして来ておられるのでございますが、少なくとも、誘致された既存の工場が健全な経営状態に立ち至るまで、地元、あるいは政府、県当局において育てていただいて、見通しがついてから次の企業誘致していただくようにしていただきたい。人口の七万や八万の市において十何ぼも工場を次から次へ誘致されて、そのままでは非常に困るじゃないかかように考えておりますので、誘致されるにつきましては、どの工場を誘致したならばこの市、あるいは町に対して一番適当であるかということを当初に御勘案願って、そして一番適当な企業誘致された以上は、その企業をまず育ててやるということに政府当局、あるいは地元市町村の方々が御協力を願う、かようにお願いいたしたいのでございます。その他の点に対しましてはいろいろ書いてございますけれども、お手元に御提出いたしました書類をもってお読み願ったらけっこうと思います。  終わります。
  8. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、福島好間商工会専務理事稲葉広巳君にお願いをいたします。
  9. 稲葉広巳

    参考人稲葉広巳君) 私は、福島県石城郡好間商工会専務理事稲葉広巳でございます。本日は、特に本院石炭対策特別委員会におきまして、産炭地域振興について、参考人として意見を述べる機会を与えられましたことに対しまして、厚く御礼申し上げる次第でございます。一応諮問事項に準じまして陳述いたしたいと存じますが、その前に、当村内の商工業者の実態を御説明させていただきたいと存じます。  御承知のごとく当村は、明治以来、石炭産業中心に発展し、その最盛期には、五鉱、二万三千余人の人口を有し、われわれ商工業者もこれら石炭産業に依存し、発展してまいりました。  しかるに、石炭産業合理化推進に伴い、本村内の中核炭鉱は次々に閉山し、村人口も八千余人減の一万四千四百六十八人と、約三分の一の人口減となり、加えて、その五〇%は均等割り及び免税者であります。なお、失業者は人口一千人に対し九十人、生活保護者は一千人に対して七十八人と、驚くべき高率になっており、村財政も極度に困窮しております。  一方、地域商工業者の打撃は言語に絶するものがあります。最盛時の二百七十六業者が三十七店減じましたが、そのほとんどが行商店であったため、店舗数は依然として現在二百五十八の多きを数えております。さらに、いままた、古河好間鉱業所が閉山決定となり、村財政並びに地域商工業者の受ける打撃は他方部にその例を見ぬほど深刻なものがございます。過般来、石炭産業に対する各施策産炭地域振興対策等に特段の御配慮をいただいておりますが、それらの恩恵もわれわれ末端までは、あまねく及びがたい実情もございますので、われわれの要望をすみやかに御検討くだされまして、適切なる措置を講ぜられますようお願い申し上げます。  諮問事項に対する所見及び要望といたしまして、一番の、当地域等における振興計画とその進行状況、二番の、国の施策並びに産炭地域振興事業団業務の進展、三番の、地方財政、特に市町村財政との関係、右の三項目に関連いたしましてお願いいたしたい点について申し上げます。  先ほど夕張市長さんのほうからもお話がありましたように、三十七年十一月の閣議決定による「石炭対策大綱」の発表及び三十八年二月の産炭地域振興対策のための具体策の発表は、産炭地住民の生活安定、福祉向上という観点から、中小企業対策をはじめ、その具体的なきめのこまかい施策の内容により、われわれ地域住民にとっては干天の慈雨にも似た思いで、大いに期待するものがございました。しかるに、その実施段階に入るや、当然期待しておりました産炭地域の総合環境整備、それに伴う公営住宅団地の設置、工場誘致等が、当村内にはりっぱに舗装された国道四十九号線が縦断しているにもかからず、遅々として進まぬ現状ははなはだ残念に思われる次第でございます。当村のごとく、村全体が石炭産業に依存していた地域に対しては、重点的は政府出資の先行投資による環境整備、すなわちズリ山の整備、炭住地の整備等によってその振興をはかっていただき、あわせて地元での離職者吸収対策の見地からも、政府あるいは政府関係機関の直営工場の設置または関係従業員の住宅団地設置等を強力に、かつ、すみやかに措置していただけますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。  次に、石炭需要拡大のための諸方策、この問題に関しましては、われわれに直接的に関係がございませんのでわかりかねる面もございますが、一応一言お願いをお聞き願いたいと存じます。というのは、当村に、中数億の大金を投じたといわれる古河好間鉱業所直営の火力発電所、総出力一万八千キロワットがございます。この発電所が現在稼働しておりません。その理由としては、われわれに察知し得ない種々の問題があるかも存じませんが、われわれ地域住民にとっては、産炭地の中にあり、しかも、国が率先いたしまして産炭地振興を取り上げていただき、石炭需要拡大をうたっておりますときに、なぜ煙を吐き、稼働することができないのだろうという疑問でございます。当局の深い御理解によりまして、一日も早くあの煙を見ることができますように、そして、それによって地域住民に地域振興再建への意欲を与えてくださいますよう、適切なる措置をお願いするものでございます。  次に、企業誘致とこれに伴う諸問題。この件に関しましては、さきに一項の中にも触れましたが、ボタ山処理の問題とあわせてお願いいたしたいと存じます。さきの「石炭対策大綱」の中にも、産炭地域に対する鉱工業の導入を促進するため、政府または政府関係機関の直営工場の設置を促進することとあり、また、ボタ山処理事実施の項には、産炭地域の環境整備、危害防止、高年齢離職者吸収等の見地からボタ山処理を事業団に行なわせ、鉱害の復旧、工場用地造成に資すると明記されております。それにつきまして、われわれ商工業者も、三十六年以来、その優先的、かつ、すみやかな措置を三要望いたしまして今日に至っておりますが、当村内のズリ山整備、鉱工業の誘致等は、いまだに地元の事業団の、あるいは県の計画の中にすらしるされていない現状でございます。当村内のズリ山の一つは、面積にして約三ヘクタール土量約八十万メーターといわれておりますが、このズリ山一つを取り上げてみましても、多くの問題があると思われます。その一つは、一たん大雨に見舞われるや、九州地区に実例がございましたごとく、一部落がズリの下に埋没する危険性のあることでございます。第二は、そのズリ山を囲んで旧炭鉱住宅が点在しているために地域全般の環境整備がむずかしく、環境が悪いという理由のために、住宅団地はもちろん、工場用地造成の対象にもならぬことでございます。産炭地、特に旧炭住地とズリ山の整備による環境整備は最も急を要することであると思われます。もしこのまま放置するならば、将来スラム街となり、悪の温床にもなりかねないと存じます。しかし、さきに述べましたように、この整備事業は極度に疲弊している産炭地の一村の財政、あるいは一事業団の手では、ただ傍観するのほかないのではないでしょうか。これは諾問事項の十の鉱害問題にも関連すると思いますので、この際国の直営事業によって先行投資していただき、すみやかに整備造成、もって政府直営工場の設置されんことを重ねて要望するものでございます。  次に、地場産業、特に中小企業振興と事業転換問題。前文中にも申し述べましたように、当村の地場産業と申しますと、石炭産業をおいてほかにないといっても過言ではないと思います。村内には、いずれも産炭地域振興事業団雇用促進事業団の一部融資を受けまして、五十名ほどの従業員で操業を続けております採石業の好間産業株式会社と日本木毛板株式会社の二社がございます。  次に、中小零細、商工業者の問題でございますが、これも前述いたしましたごとく、環境整備が進み、鉱工業の誘致、あるいは住宅団地の誘致等によって、すみやかな消費対象入口の増加が期待できますならば、当然解決されてしかるべき問題と思います。しかし、村内に営業する二百五十八の零細商工業者の現状は、ここ数年間の不況により、耐え得ざる限界にまできており、今後の生活を維持するには、生活保護を受けるか、先進地に移住して転業するかのせとぎわに立たされております。現在まで産炭地中小企業者に対する移住転業資金として、国民金融公庫を窓口に、百万円限度の融資制度をはじめ、中小企業者のための各種金融措置を講じていただいておりますことはまことにありがたく、厚く御礼申し上げる次第でございますが、この制度を利用して、すでに移住転業し、業を続けております者は現在まで八名を数えるにすぎず、現在なお五十名ほどの移住希望者があるにもかかわらず、遅遅として進行せぬことは慎重に御配慮いただきたいと願うものでございます。  その第一の理由は、一零細商工業者であっても、先進地に移住しようとするには、百万円頭打ちでは運転資金に充当し得る程度で、このほかに土地、店舗資金などは別途に調達せねばなりませんので、この際、移住特別資金も、ぜひ個人で二百万円まで増額くださいますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。  第二には、各条件が完備していなければ百万円全額融資されないということでございます。既移住転業者の個人最高額は、百万円の限度一ぱいの申し込みに対しまして、最高額七十万円、既移住者八名の平均額は四十二万五千円でございます。国金窓口においても特に御考慮いただいておることではございますが、移住する者は不況のために移住転業を余儀なくされた者のため、各種条件の完備はとうてい望み得ない状態ですので、各種条件の緩和を業務方法書ただし書き等に明記して、現実に限度額まで利用しやすいようにお取り扱いくださいますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。  第三は、移住先の地価が高騰しているため、産炭地域の商工業者では容易に移住できぬ現状でございます。今後産炭地商工業者の移住に関しては、当局の御指導にかかる近代化促進法に基づく協業、共同化を推進する上からも、共同移住をはかり、これらの移住先を、国、県におきまして計画中のニュータウンなど、住宅団地建設の中に産炭地商工業者の移住指定地を設けて、国、県などの職権によってあっせん分譲していただくなど、その救済、、育成問題を具体的に取り上げて措置くださいますよう、特段の御配慮をお願い申し上げます。  次に、商工業における売り掛け金回収問題。石炭合理化臨時措置法施行以来、閉山または合理化による離職者及び炭鉱従業員に対する売り掛け金約六千万円のうち、回収不能見込み額が約一千七百万円ございます。これら回収不能見込みの売り掛け金に対し、見返り融資等の特別措置を再々当局に陳情申し上げましたところ、三十八年二月、炭鉱及びこれに関連する購売会等への直接事業に対する売り掛け金のみを対象とした見返り融資等の保護措置しかとられず、われわれの陳情の趣旨であるわれわれ零細業者の炭鉱従業員個人に対する売り掛け金に対しましては、何らの保護措置がとられなかったことは、はなはだ残念に思っております。炭鉱関連事業所に直接納入できる業者の大部分は中小企業者以上であり、資金的にも一応の安定性があるものと思われます。前記売り掛け金は、すべて従業員個人を対象とした零細業者の総計でございます。売り掛け金回収不能等のため、日雇い労務者または行商人等に転職した業者もすでに十数人ございます。以上御賢察の上、離職者または炭鉱従業員個人に対する売り掛け金問題に関し、当局の善処方を御要望申し上げる次第でございます。  次に八、九、十の各項目を削除いたしまして、十一、教育、衛生その他の問題。この項のうち、衛生問題に関連いたしまして、水道問題に触れさしていただきます。三十八年度閉山炭鉱水道施設整備国庫補助事業として、当村の一方部内においても簡易水道設備が完成いたし、待望久しい浄水を飲むことができ、受益者一同喜びにたえない次第でございます。しかし、この中での要望事項を二、三申し述べたいと思います。  この水道工事は、総工事費の四分の一の国庫補助を受け、残額の四分の三は起債を許可されて行なわれたものでございますが、水道事業は独立採算制がたてまえのために、当地のように、小規模の水道は料金が高くなってまいります。すなわち、大都市及び大規模水道は安く、中小都市及び小規模水道は高くつくということでございます。当村の例を見ても、四分の一の国庫補助三百九十八万円を受けましても、なお隣接市町村の既設水道事業と比較いたしますと高くついております。特に当地域は、産炭地域の中でも特に疲弊の著しい地区で、前文の中でも申し上げましたごとく、失業及び保護率が極度に高く、低所得者階層が大部分を占める地域でございます。この地域民に標準以上の水道料金を課し、なお、新設なるがゆえに、引き込み工事費は全額負担せねばならぬということは、せっかく補助事業の意にもとるかと思われます。ゆえに、特に疲弊の著しい産炭地区に対する水道事業の国庫補助率は四分の一にとどめることなく、引き込み栓工事に対しても補助の手を差し伸べていただき、料金も全国平均あるいは隣接市町村平均の水道料金を限度として負担させ、それに伴って生ずる赤字に対しましては、三十八年二月の産炭地域振興のための具体策の中にもございました水道施設の維持管理費の国庫補助の項を緊急措置して、地元の負担を軽減さしてくださいますよう、受益者の一員として、特段の御配慮をお願い申し上げる次第でございます。これをもちまして私の公述を終わらせていただきたいと思います。
  10. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 以上、参考人の御意見を拝聴いたしましたが、これより質疑を行ないます。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 参考人の方、御苦労さまでございます。  一、二点質問申し上げたいと思いますが、まず、橘内市長さんに御質問申し上げますが、私、産炭地問題で九州方面を回っておりましたところが、非常に失対事業が少なくて、そうして生活保護者が多い、こういうことに気づいたわけなんです。私らの考えでは、失対事業が非常に多くなってくるのじゃないかと、こういうように思っておりましたが、失対事業者は案外少なくて、生活保護のほうが非常にふえてきておる。こういうことを見てみますと、国の補助率が違うので、各市町村はなるべく安易な道をとっておられるのじゃないか、いわゆる失対事業で働かせるよりも、生活保護に回したほうが国の補助率が多い、また、事業そのものにもあまり手をやかんでいい、こういうような状態があるようなところに行ったことがございます。夕張地区は、特に私ども数回行ってよく存じておるのでございますが、そういう点、各市町村としては、やはり市町村財政上から考えてそういう苦肉の策もとらなければならぬのだ、こういう実態があるかどうか、その点をひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  12. 橘内末吉

    参考人橘内末吉君) ただいま御質問ございました九州地区においては、むしろ生活保護増大して失対就労者が少ないという現状は、私も承っておるわけでございまするが、これは九州地区は、ただいま先生の御意見の中には、失対事業と、さらにそのほかに炭鉱離職者に対する緊急就労事業があります。これを含めて仰せられているのだと思いますが、やはり市町村財政実態からいけば、私どももそうでありますが、率直に言って、失対事業に対する負担というものは、やはり生活保護よりも高いわけです。失対は三分の二の国の負担、ところが、生活保護は八割まで国が負担する、しかし、町村につきましては、全額町村負担しなくてもよろしいので、国の責任と府県の負担でいい、町村は全然生活保護負担をしておらぬ。したがって、市の場合におきましても、やはりほんとうのことを申し上げると、生活保護に入ってもらったほうがいいということは率直に言えると思うのでありますが、しかし、なかなかこれは一定の基準がございまして、人為的にそうすることも不可能な問題であります。あるいは乱救になるということもいけないことだと思います。私は、やはり失対事業が現在三分の二の補助に置かれているということ自体に非常にこれは誤りがあるのではないか。もちろん失業者というものは市町村行政の責任において発生しておるものではありませんで、国の雇用政策なり、あるいは経済政策の中から失業者が発生しておるのでありまするし、なかんずく、炭鉱においてはそういう事情にあるわけです。この失業者の吸収事業に対しては、やはり国の補助率をもっと高めるということが私は第一にとられなければならぬ。したがって、先ほどいろいろな生活保護に対しても、あるいは失対事業に対しても、特別の高率補助立法を時限立法的に、産炭地市町村財政が安定するまでの間、措置をしてもらいたいということを申し上げたのはその点にあるわけでございます。特に失対に入れないで、なるべく生活保護に落としているという意識的なものは別に思っておらぬ。私ども北海道としては、特にそういうことは思っておらぬ。しかし、やはり何と言っても負担が重なってまいりますから、どうしてもやはり率直に申し上げると、生活保護のほうがふえて、失対のほうが少ないということが望ましいのです。しかし、失対は失対の性格を持っておりますから、やはり補助率を高めて、そのしわ寄せが市町村財政に来ないように防いでもらいたい、こういうことは特にお願い申し上げたいと思います。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 もう一点お尋ねいたします。近藤社長さんもお見えでございますが、九州から北海道までにかけて、産炭地に繊維関係の中小企業といいますか、そういう企業が非常に進出してもらっていることはありがたいことでございますが、この中でも言われておりますように、ほとんど若い女子労働者なんです。率直に申し上げますと、熊本県、あるいは佐賀県、長崎県等を調べてみますと、中卒の六割はよそへ出ていく。それ以上もっとほしいとよそから言っておられるところなんです。これは東京の中小企業等にも当たってみますと、ほとんど中卒か高卒の方々はおらぬだろうか、労働力はな  いだろうか、こういうことを私はよく聞くわけです。ところが、実際産炭地で一番私たちが困っているのは中高年齢層の方々なんです。そういう中卒の方々の就職はそうまで私は逼迫しておらない、むしろ足らない、県外移出を非常に考えておられる、こういうことなんでございますが、指摘されておりますように、事業団の貸し付け金というのは非常な小さい金額でございまして、少し大きな企業誘致しようとすれば、開銀その他の融資になって、八分五厘からの利子がつく。それだけの利子を払うなら、わざわざ不便な産炭地に行く必要はない、こういうことになって、産炭地はほとんど奥さん方の内職か、あるいは中学を出た女子の方々とか、あるいは一部男の方々であるが、基本的な、抜本的な失業対策、あるいは産炭地振興になっておらない、こう思うわけです。それで、そういう企業も来てもらって、少しでもその都市の人が安住されるようにすることは、これは当然でございます。もっともっとふやしてもらいたいと思うのですが、これが一番問題は、その融資の金利だけだろうか、こういうふうに感ずるわけです。これはどういうように考えても、大企業がいまの産炭地のあとへそのまますっぽり持ってこられるような条件が整っておるかというと、なかなか少ないと思うんですよ。いわゆる大企業は、そういうように、政府の政策により、あるいはエネルギーの変革によって、こういう状態ができたけれども、それはおれの責任じゃないんだ、おれは企業をやる以上、おれの一番都合のいいところに企業を持ってこなけりゃいけない、こういうことで、私は、東京周辺その他にわんさと持ってくる、こういう実態が現在の企業をやっておられる方々の考え方じゃないかと思う。極端に言えば、資本主義というのはそういうものなんです。自分たちの企業が直接国の繁栄のために役立つということももちろんありますけれども、それよりも、まず、自分の企業がいかに成り行くかという問題が、これは資本主義の自由経済としては当然の道だと思うけれども、そういうものが先行しておる以上は、やはり産炭地企業を持ってきてくれというならば、これは金利も世話しなければならぬ、社宅もつくってくれ、製品の販売先もつくってくれと、一切がっさいもう上げぜん据えぜんで企業をせいと、こういうような企業のあり方になってきておると私は思うんです。そうするというと、国の政策の弱味につけ込んでと言うと語弊がありますけれども、中小企業の方々がそういう中を縫って地方に進出してもらうのに、大企業は、そう必要でもないところに、大都会周辺に大きな工場をどんどん建てて、しかも、国の援助を受けてやっておられる、こういうところに私は弊害があると思うんですが、ひとつ商店その他の関係、あるいは協同組合の連合会の理事長さんをやっておられます近藤社長さんに、こういう私たちの考えが間違いであるだろうか。大企業を持ってきてもらいたいけれども、そうするならば、普通の大企業で考えられないくらいの、もうそれこそ上げぜん据えぜんの処置をしてやらねば来ないのじゃなかろうかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  14. 近藤駒太郎

    参考人近藤駒太郎君) ただいま先生のいろいろな御質問がありましたが、お説ごもっともと思います。私、先ほども申し上げましたとおりに、北海道に第一回調査に参りまして、第二回、三回と参りました当時にも、実は帰りまして本所のほうと打ち合わせしましたときにも、金融状態はもちろん、すべて——金利まではおっしゃってなかったんですが、内需、官需、すべての八〇%までの保証のない限りは進出不可能であるという結論をお出しになったのです。私、その席上で申し上げましたことは、これはまあ中小企業とはいいながら、その親は日本でも有名な大企業者でございます。ですから、名前が変わるだけの話で、実際は大企業が目的でございます。いずれにいたしましても、国の施策に御協力申し上げる、出るにつきましては、一〇〇%の利潤を追求するということは不可能である、しかして、金融その他の道が他の地区に対してよりも相当有利であれば、これは考えるべきだという点が一つ。いま一つは、なるほど大都市に集中してきますが、今後何年か後には、これはもうたいへんになるんじゃないか。すでに大阪地区でも、自動車がもう大型のものが入れないとか、あるいは寮でも近代設備をしなきゃならぬとかいうような、いろいろな面での隘路が出てくる。で、地域差はなくても、間接的の労銀というものが膨大なものになるんじゃないか。ゆえに、この際に地方に出て行ったほうが、年齢のいかんにかかわらず、労務者の確保は比較的楽じゃないかというのがわれわれの業界の考え方です。  そこで、たまたま産炭地振興のこの問題が出まして、いろいろ御相談を受けたんですが、私個人の考えといたしましては、金融も政府が保証しなさい、あるいは、先ほどのお話のように、販売面も政府が保証しなさい、負うてくれ、だっこせい、乳飲ませということでは、いかに私企業でも、これはばかでも出るんだ。だから、出るという御決心がつけば、金融その他の面は政府なり地元道庁、あるいは県に対して十二分にわれわれの意のあるところは申し上げますが、あとのところは、企業者として責任を持ってやはりやってもらわなければ困るのじゃないか。私はこういうような現在までのことをつまり御説明申し上げておるのですが、労務者に対しましても、なるほどわれわれはミシン一台に一・七人の従業員が要る。しかしながら、直接ミシンにかける労務者は、総じて若い婦女子、これはもう現在しかたないのですね。しかし、これも現状においては、まあしばらくは続くだろうけれども、先行きは非常に至難な問題じゃないか。そこで考えるべきは、中年層の奥さん方、あるいは未亡人、それらの方々にできるだけ働いてもらうということに切りかえつつある。特に産炭地に参りましたならば、先ほど申し上げましたとおりに、ミシンに対しましては、石炭を掘っておる失業者に直接たくさん働いていただくということはこういう仕事ですから無理ですけれども、でき得る限り優先的に入っていただくということ、並びに未亡人、あるいは中年層の奥さん方にミシン場以外の仕事に従事していただくようにということが現在われわれの考えつつあることでありまして、また、われわれ組合といたしましても、そういうぐあいの指導をいたしておるのでございます。ですから、一産炭地域のみならす、全国にいろいろの低開発地域がございますが、このぐらいの条件でしたらどこでもありますよ。はっきり申し上げます。しかも、東京あるいは大阪で、大体二、三時間たてば行けるというような所にかなり誘致を勧誘されて、もうほとんど一カ月一回ぐらい大阪あたりで御勧誘を受けるのでございますか、しかし、ただそういうような条件だけでは企業者としては行きにくいのじゃないか。まあ若年層がなくても、比較的に中年層でも労務者が豊富であるという地区であれば進出していくというような現状でございます。  そこで、先ほど私が劈頭に申し上げましたように、ただ単に政府に全面的な援助を求めるというようなこと、そんなおこがましいことは考えておりませんが、少なくとも、金融の道に対して、このくらいであれば事業団並びに開発銀行、あるいは地方銀行から融資ができますという確約を得たものであれば、その分だけに対しては必ず果たしてもらうということ、これが一つ。  次に、特に産炭地域におきましても、美唄のように、あらゆる企業が出る可能性の地域もありますが、どの角度からながめても企業の出ない地区がある。こういう所に同一な条件の金融状態で、はたして企業が出るかということに非常に問題点があると思う。ですから、こういう特別な地域におきましては、事業団においても、三〇%とか四〇%にこだわらずして金融の道の特別の措置を講じてやってもらいたい。ですから、まあ政府当局もいろいろお考えになっておると思うのですけれども、全部がやっていただけるのでしたら、それはもう政府機関がお出しになったらいいでしょう。われわれはあえて遠い僻地に出て行かなくてもいいと思うのです。しかしながら、いま申し上げたような条件がおおむねそろえばこの際に出ていけるというものもある。しかし、だれもかれも御推薦申し上げるのじゃなく、相当の信用の高い、どこからながめてもベストであるという方々を御推薦申し上げる。ところが、実際上見ると、先ほど申し上げたとおり、おんぶせい、だっこせいじゃなく、ただ、公約された金融でもいまだに解決せず、それまた手続たるや、実に複雑なんである。これではいかほど申し上げても企業者は行かないということと、いま一つ、先ほど私が申し上げましたとおりに、未亡人、あるいは身体障害者の対策のために出ていただいた企業に対しても、そういうような、つまり金額的には知れておるでしょうけれども、ある程度の金融の食い違いが出ておる、当初の約束とですね。こういう場合に、たとえて夕張市長さんからもお話を申し上げたんですが、ほかの地区にも分工場をこしらえてほしいという要請があって、たまたま御相談に大阪にお帰りになったんですが、現在のところでは、ほとんど販売ルートだけが一〇〇%道がついて、どうしても拡張せざるを得ないという羽目におるが、しかし、現状のような状況であれば、はたしてこのまま分工場をつくっていけるのかいけないのかということは、企業者自身が非常な不安を抱いておるというような現状でございまするので、何もかもしてもらいたいというようなことは毛頭考えておりませんが、せめて当初にお約束していただいた金融その他の点に対しましては、どうか約束だけは果たしてもらってやっていただく、あとのことは企業者におまかせください。これはもうその企業者が出た以上は、何もかも全部政府、あるいは地元の市、あるいは道庁、県に対して何もかもおんぶしてやっていくというんじゃなく、もちろん相談はしていきますが、あくまでも企業者がみずからの責任において企業を育成するのが、これは当然の責任だと思っております。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 ほかの方も質問があると思いますのでやめますが、ただいま近藤社長さんがおっしゃいましたように、まあ国会ではこの問題は相当強く審議しておりますが、おそらく政府は、皆さんが喜んで企業誘致されるだけの処置はとっておらないと、それは私らもいつも感じておるところでございます。それから、さらに先ほどの、約束をしたものさえ実行しないということにつきましては、あとで詳細にひとつお知らせいただきたいと思います。私どももできるだけの努力をしたいと思いますし、まあそういうへんぴな所であり、あるいは企業に向かない所でも、それだけの失業者も出ておるし、町がそれだけ苦労しておるところならば、ひとつ企業でも進出しなければならぬというようなお考えに対しましては、私たちも極力これはお互いの責任としてやっていきたい、かように思っております。  最後に、稲葉さんにお尋ねいたしますが、私も好間には数回行ってきましたが、発電所を十数億でつくったが、まだ動いておらないということにつきまして、電力事情がどうであるのかお知らせ願いたいと思いますのと、それから、一つ非常に困難な問題でもあるが、非常にこれは気の毒な問題でもあると思いますのは、いわゆる終閉山によって、たとえば鉱害その他だったならば、相当な手厚いといいますか、まあそうでなくても、一応鉱害復旧に対する考え方は出ておりますが、個人の貸借関係について国費で支払えという御意見であったようですが、そうすると、これは個人が一商店から、あるいは月掛けなり日掛けなりかどうか知りませんが、おそらく月払いかなんかで生活必需物資を購入しておったものをさしておられると思うんですね。そうすると、そういうものを全額補償するということができるかどうかです。たとえば移転する場合に、百万円の金じゃ足らないから二百万くれと、これはわかります。また、非常にけっこうな御意見だと思ってお伺いしましたのは、たとえば団地造成等の場合に、産炭地中小企業誘致する一まことにけっこうだと思うのです。そういうことにやらねばならぬと思うのですが、個人の貸借関係を国がみるということまでこれはやっていいだろうかどうだろうか、疑問を持つわけなんですね。そういう点が少し私に疑問がございますので、そういう実態を少しお知らせいただきたいと、かように思います。
  16. 稲葉広巳

    参考人稲葉広巳君) ただいまの問題にお答えいたしたいと思います。  まず、古河の火力発電所の問題でございますが、この電力状況、あるいは石炭消費量等の詳しい資料は私存じておりませんので、その点は御了解いただきたいと思うのですが、ただ、三十八年度の間だけでは、調整稼働といいますか、いわゆる渇水期の間だけ東北電力のほうに電力を買ってもらっていたというお話を伺っております。それ以外に稼働できないというのが現状のようでございます。  次に、ただいまの売り掛け金問題の件でございますが、この問題は、この文面にもございましたように、先年来私たちお願いしてまいって、その結果として施策されましたことが、いわゆる炭鉱、あるいはそれに付随した購買会等への売り掛け金に対する見返り融資ですね、これは一応措置され、めんどうをみてくれるということになったのでございますが、その際のお話の中に、炭鉱従業員個人に対する売り掛け金は、その額の調査がむずかしい、それゆえに、政府としては、どこを基準に見返り融資をしていいのか、その判断ができないからできないのだというお話を承っておりました。これはあくまでも補助金でなくて、見返り融資をお願いしたわけでございます。それで、われわれも一零細業者ではありますが、企業者の一員でございますし、一応貸したからには、貸した者の金額、あるいは何らかの控え等はどの店も持っていると思うのでございます。これがただいま先生のほうから御質問がありましたごとく、いただけるもの、いわゆる補助金のような形でいただけるものでしたらばまた問題も生ずると思いますけれども、これを目安にして見返り融資をお願いしたい、長期の、あるいは無利子の、あるいは低利の融資をお願いしたいというお願いなんでございます。そういう点でしたらば、商工会もございますし、その専門指導員もございます。そういう形で御調査いただければ、売り掛け金の総額、個人別の金額というのもはっきりした裏づけができるのじゃないかと思われます。そういう形で見返り融資をお願いいたしたいというのがきょうのお願いの趣旨でございますので、御了解いただきたいと思います。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 近藤さんにごく端的に一、二点お伺いいたしておきたいと思いますが、産炭地域振興という一つの大きな目標を持って行かれた進出なんでありまして、したがって、普通の土地の振興というようなばく然とした進出でないだけに、いまいろいろあなたが述べられたことがよく私はわかるわけなんですが、当時の何といいますか、話し合いといいますか、あるいはもう少しむずかしく言うならば、進出の条件というようなものについて、大きな項目だけでもよろしいのですが、お聞かせ願いたいのです。  それから、いま一点、税制措置の問題で、地方税については奨励措置を講じてあるこれの具体的な問題、それから、いま一つ、さらに今後国税関係においても特別の優偶措置を講ぜられたいという点ですが、この点についてはどの程度、どういう点の要望を持っているのか、これもひとつ参考に伺いたい。  それから、さらに私はばく然と、あなたの立場が輸出縫製品工業協同組合の理事長と、こういう立場から考えて、進出した縫製事業というものは、ほとんど輸出産業に従事をしているものと考えていたのですが、お話によると、必ずしもそうでない。そうすると、この最後の(三)の中に、「民、官需要衣料品の斡旋」と、こういう問題があるわけであります。これはいまの日本の段階からいえば、やはり自衛隊ということになると思うのでありますが、これらにつきましてまとめてひとつ御意見を伺いたい。
  18. 近藤駒太郎

    参考人近藤駒太郎君) ただいま御質問がありましたので、お答えいたしたいと思いますが、私のほうは輸出の専門業者ばかりが集まっております輸出縫製品工業組合でございます。九州地区に出ております業界は、ほとんどが現在七〇%まで輸出をやっておるのであります。北海道に出ました美唄のほうは、現在のところでは、輸出をやるということは地の理的からいって非常に困難な状態にあるのではないかということが一つ。私のほうが出ております歌志内のほうは、これまた特に奥地でございますので、輸送関係、あるいはデリヴァリー等の関係で非常に隘路があるのでございますが、とりあえず、当初私がお話し申し上げておりましたとおりに、現在では一〇〇%近い輸出のほうの縫製品をやっておるのでございますが、しかしながら、これはもう会社としましては最大の犠牲を払ってやっております。往復の日数が、片道早くても一週間から十日、そうすると往復二十日間前後の日数がかかる。運賃の関係、しかも、このバイヤーの検査問題等の隘路がございまして、このままの状態で持続していくということは非常に困難な状況にあるのではないか、かように考えておるのでございます。そこで、必然的に六、七〇%のものは道内の官公需のもの、あるいは民需のほうに切りかえていかなければならぬ。これは当初からの計画でございまして、そうしない限りは、この工場を維持していくということは非常に問題点があるのではなかろうか、かように考えておるのでございます。そこで、これは民需のほうはこういうぐあいに書いてございますが、民需までお世話してくれということは、なかなか口では言いやすくても、実質上非常にむずかしいと思いますので、これは企業者が努力をしなければならない。精神的に御協力を願うということでございます。官需のほうは、少なくとも、まあ自衛隊だとか、あるいはその他の関係の仕事の分等に対しましては、もちろんこれは入札でございますが、工場の指定を受けまして、少なくとも、その地区に送るべき官公需のものは、その地区にでき得た誘致工場に伸ばしていただくようにごあっせんを願いたい、かように思っておるのであります。なかなか文書に書きましたら非常にむずかしくなるのでございます。  次に、税制の問題でございますが、不動産取得税、あるいは固定資産税等の免除は、これは各県ともございますこの誘致条例に基づきまして、そこで一般の税金の免除方、あるいはその削減方をここにうたっておるのでございますが、御承知のとおりに、この輸出の免税の問題も本年限りで廃止になりまして、非常に問題になっておるのでございますが、こういう地区に行きまして、少なくとも、私の経験から申し上げますならば、三年くらいは軌道に乗らないだろうと思います。現在、私のほうから個人的なことを申し上げて恐縮でございますが、資本金三千万円で一応発足いたしたのでございますが、先ほども申し上げましたとおりに、従業員を三十名ばかり大阪に連れて来まして、いま養成中でございますが、これはただでございませんので、やはり大阪地区並みの給料を払って一生懸命養成をしておる。先般もちょっと工場の工場長を呼んで聞いてみると、一年はだめですよ、こんな状態ではとてもだめですよと言っておるのです。現在百三十七名の者が一年間くらいだらだらやられたのでは、これはたいへんだなということも、私は個人としては考えておるのですが、しかし、さりとて十人や二十人を養成しておったのでは軌道に乗らないから、一挙に入れて、犠牲は初めのうちに出してしまったほうがいいのじゃないかという私の個人の考え方を持っておりますが、他の企業においても同じことが言えると思うのです。すでに美唄にいま建設中でございます北洋繊維につきましても、投下資本は約一億でございます。最終的には従業員の総数は大体二百五、六十名というところですね。現在百三名の従業員を昨年の十一月から養成しているのです。これも相当の労務賃の支払い、その他諸経費の支払いとも出血をいたしておるという現状でございますので、ただ、固定資産税その他の免除だけじゃなく、直接税も、全面的な免除とはいかなくとも、何とか赤字を出した期間ぐらいは免除してもらう方法はないものか、こういうぐあいに考えましてここに書類で書きあらわしたような次第でございますが、いま申し上げましたとおりに、われわれの企業は多数の従業員を擁しまして、しかも、養成期間が相当長いんです。いまの紡績なんかの大手でいくということじゃなくて、全部しろうとを実質的に養成して、一人前のシャツとか、あるいはブラウスというようなものを縫うてもらうということになると、少なくとも、一年間はむだであるということになるのでございまして、既存の工場でございましたならば、二百人おる場合には、そのうちで三十人新規に入ってきた場合に、各部署部署に入れて、そうして熟練者が教えていくんですけれども、特別の訓練といっても、なかなか口では言いやすいんですが、実質上は従業員間の感情問題もむずかしゅうございますので、別途に取り扱って特別な訓練の施設をしておるというような現状でございますので、あれやこれやと考えてみると、当初から考えて、結果論になりますけれども、かなりの犠牲を払わざるを得ないということでございますので、もちろん縫うていくにつきましては、新聞紙や一般の紙で一日や二日は縫えましょうけれども、何日もそんなことでやっていくことは不可能でございます。ですから、必然的に原布を大阪のほうから送って、養成期間中にでき上がったものは全部ペケになるのでは、もう売っても工賃もあがらないので、皆さん方にお願いして、まあただではもったいないから、何%かはくださいよというような状況でございますので、この点を御勘案願いまして、税制問題は、何とかひとつその出血期間だけでも半減していただくというぐあいにお願いしたら一番いいんじゃないかと考えます。これは技術的にどうかと思いますけれども、一応書きあらわしてみたわけでございます。
  19. 大矢正

    ○大矢正君 近藤さんにお伺いいたしますが、いま大竹委員から地方税、国税、両税についての減免措置ないしは優遇措置というお話がございまして、あなたからいま御答弁があったんですが、そこで、地方税につきましては、いま近藤さんがお話があったとおり、固定資産税を中心とした減税措置はそれぞれ地方自治体で行なわれておりますから、この面につきましては私は質問する気持ちはないんですが、後段に述べられた国税ということになりますと、具体的にどういう優遇措置、または減免措置を考えておられるのかという点について多少まだわからない点がある。たとえばおたくの会社が北海道歌志内進出されて事業を開始される。そこで、法人である場合には、当然のこととして、収益に対して法人税が出てくるのはあたりまえですが、かりに一年間は、働く人々の言うならば試用期間で、能率も悪いし、しかも、製品も悪い、したがって、収益もないということになりますれば、課税の対象になりませんので、法人税はもちろんかかってこないということになるし、もしまた一年間赤字が出てくると、次年度に繰り越して償却されるということもあるわけですから、当然のこととして、一年間に赤字が出た場合にはそういう方向でも処理できるのではないか。そうすれば法人税以外に一体どういう税金があるのかということになりますと、しいていえば、これは税金ではなしに、設備の償却ということになるだろうと思うが、これとても、現実に収益がなければ償却もできっこないんですから、かりに償却の年限を、特別に産炭地進出をした企業の設備については償却年度を早めるということになりましても、実際には収益がなければこれは早めることもできないということになると思うんですが、具体的にはどんな減免措置、優遇措置を考えておられるのか。実は私も産炭地出身の議員としまして、そういう企業の内容については、実はあまり存じませんが、もしいい名案がおありでしたら、具体的な問題で私も大いに努力したいと思うのですが、お聞かせ願えないでしょうか。
  20. 近藤駒太郎

    参考人近藤駒太郎君) 私も専門外でございまして、経理の面は非常にむずかしいことを書いてあるのでございますが、実は私の考えは、一年間の出血をいたします場合には五年間有効になるのですよ、これは。ところが、五年の間に利潤が出てくれば、これはその間に償却ができるのですけれども、五年過ぎちゃったあとでは——三年ぐらいだらだらやってきて五年、初めの一年からちょうど六年目になってきたときにこれは認められないのですね、いまの国税法では。ですから、いつまでたっても、会社は一番最初の初年度の赤字だけ残って、あとの二年度の分の赤字から消していくというふうな現状の経理のように私聞いておるのでございます。ですから、私の考えておることは、企業進出した以上は、一日も早く軌道に乗せたい、はっきり申し上げて、また乗せていかざるを得ない現状でございますが、この一年や二年はかなり出血があるだろうと私ども覚悟しておるのでございますが、その五年の間にうまく償却をし、赤字を消すだけの黒字というような健全な経理状態に戻ればよろしいが、不幸にして戻らないときには、前の一年のやつがちょうど六年目にこれは認めないのですよということが国税法にきまっておるので、その際に、この一番初年度のやつを認めてもらいたいということですね。ですから、全額を認めてもらわなくとも、何とか償却、減免をしてもらうような方法を講じてもらえないか。たまたまこれは一般の税法は、これはとうていだめなんです。しかし、こういうような企業でございますので、みすみす初めの一年あるいは二年は出血するのだ、ところが、三年目に上昇線をたどっていくのですが、五年目ぐらいにちょうど軌道に乗ってきて、まあ二、三年くらい、どうしても最初が二年ぐらいやはり残る計算になってくる、期限内の償却、あるいは減免。そこで、その場合の税金の半減をしていただきたい、こういうぐあいに考えておるのでございますけれども、説明したらこういうことになるのですが、非常に文書に書いてもおわかりにくい説明の状況で恐縮でございますけれども、以上申し上げたような状況でございます。
  21. 田畑金光

    ○田畑金光君 すわったままで恐縮ですが、市長さんに簡潔にお尋ねしますが、振興事業団ができて、また産炭地域振興臨時措置法という法律ができてから、皆さんもそうだし、われわれも、相当疲弊していく産炭地域経済的な維持発展というものについて相当期待していたわけなんですが、事業団ができて、さていよいよ北海道の支部その他もできたわけですが、実際やってみて、一体率直に言ってどういうように市長さん方としては受け取っておられるかというと、先ほども御説明のあったように、いろいろ相当に計画書が出て、出荷額がこうだとか、年度になればこうだとか、非常に大きなものが出ておりますが、事業団が発足して一昨年から仕事を始めておる。現実に北海道地区においては産炭地域振興事業団がどういう仕事をやって、どの程度の恩恵、あるいは期待を産炭地域の皆さん方に現実に与えておるのか、この点を一点お尋ねしたいと思う。  それから、第二点としましては、それに関連しまして、特に産炭地域振興事業団の仕事の内容について、いまやっておる法律でできておる仕事の範囲はこうこうだが、もっとこういう面に広げてくれ、その一つに先ほど工業用水の問題等を取り上げておられましたが、そのほかに、たとえばこうこうこういう仕事はぜひひとつ振興事業団の手でできるように業務内容の改正等をすみやかにやってもらいたい、こういうことがあろうかと思いますが、もしあれば、特に先行投資ということばがございましたが、先行投資に関連して、特にこれだけはぜひひとつ事業団ですみやかにできるようにしてもらいたいという御希望がありまするならば、具体的にそれを承っておきたいと思うのです。これは市長さん。  それから、近藤さんにいろいろ御苦労のこと、また、問題点は御説明でよくわかりましたが、ただ一点お尋ねしたいのは、皆さんが北海道歌志内においでになるにあたって、いろいろ公約があったと先ほど来お話がありましたが、その公約というのは、国との公約、あるいは通産省石炭局との公約だと思いますし、あるいは道、あるいは市との話し合いだと思いますが、具体的にその公約の内容はどういうふうなことを行かれる前にお約束なされたのか。さらに、また、おたくの会社の場合、事業団から現実にどの程度のたとえば融資を受けられて仕事を始めておられるのかどうか、こういう問題、あるいは、また、道その他のいろいろな信用保証協会等を通じての融資の道等もあろうかと考えておりますが、そういう面において具体的にどの程度の援助措置が受けられておるのかどうか、この点ですね。  それから、稲葉さんにちょっとお尋ねしたいのですが、売り掛け金の問題が一千七百万あるというお話しでしたが、こういう膨大な売り掛け金が現実にある。これが発生するまでの債権確保の措置と申しますか、対人信用で貸したところがたまたまこうなって、いま、しかも、炭鉱閉山という問題にぶつかって、このうちの相当額はもう取れそうもないというものだと思いますが、一人当たりどの程度売り掛け金を持っておるのか、あるいは最高どの程度売り掛け金を持っておるのか、こういうような点。  それから、もう一つは、この報告された文書によりますと、炭住地を移転するについて最高七十万、平均四十二万五千お借りになったというのですが、その融資をするときの条件ですか、いろいろ信用の調査その他があると思うのですね。そういうふうな結果、百万の限度が七十万になり、四十二万五千になると、こう思うわけですが、そういうところで、特に皆さん方が商工会の立場におられて、銀行の窓口等の態度について、あるいは融資の内容等について、特にこうしてもらいたいというような御意見があれば、ひとつそれを聞かしておいてもらいたい、こう思うのです。  以上、ひとつお願いしたいのですが。
  22. 橘内末吉

    参考人橘内末吉君) 第一点の、産炭地事業団に対する北海道地区における状況、あるいは期待ということについてでございますが、これは私ども北海道地区ばかりでなく、常磐、九州を含めまして、この事業団の発足、さらに、また、事業団の活躍について大きな期待と希望を持っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、北海道は機構としては支部じゃない支所をつくってやっていただいておるが、その陣容は、やはりまだまだ十分でないために、なかなかこの仕事が順調に進んでいかないというのが実態なわけですが、しかし、これらについても、やはり十分われわれも常々要請しておりまするし、漸次強化されると思いまするが、三十八年度におきまして大体五十一企業、最近のあれによると五十七企業とかといわれておりまするが、そのくらいのものが誘致され、しかも、これに対する融資が決定しておる、あるいはすでに融資を受けたものもありまするし、決定して近々に融資されるという段階になっておるものもございます。これが設備投資額では約二十二、三億になっております。それが全部事業団資金ではございませんけれども、自己資金とか協調融資みんな含めたものでございまするが、やはり私どもは、どうしてもこの事業団の低利な資金をもっと豊富に増大してもらって、工業の誘致もさることながら、地場産業の中小企業の育成、伸長をはかりながら、それに離職者を吸収していく、そして地域経済を高めていくということが必要なわけでございまして、私どもは、どうしてもそういうためにも事業団資金ワクをふやしてもらいたい、強化してもらいたいと、こう思っておるのでございます。非常に私どもは事業団の運営に大きな期待をかけております。運営上の問題について、いろいろ煩瑣であるとか日数がかかるとかいう問題は現実にありますが、これは開店早々でもありまするし、これらの反省の上に立って、改善してもらうものは改善していただきたいと考えております。今後とも、事業団の育成と成長のために、特にお願い申し上げたいと思います。  それから、事業団業務範囲拡大でございまするが、これは土地造成、あるいはボタ山の処理なども昨年これに追加していただいて、非常にやっていただいて感謝をしておるわけでございまするが、さらに企業誘致に対する融資と二つになっておりまするが、特に企業誘致に直接関係のある水資源の確保ということがどうしても先行的に投資されなければならない。この面ではなかなか一般資金では容易ではありませんので、事業団の仕事としてこの業務範囲の中に入れてもらう。もちろん資金拡大も必要でございまするが、先行的にやはりこれを第一に解決していかなければならない。土地の問題、水の問題、これが一番工業誘致に必要なのは御承知のとおりでございまして、その他にも、できれば産炭地域振興事業団がもっと強化した制度のものになってもらいたいと思いまするけれども、これがなかなか容易でないと思いまするが、とりあえず私どもは工業用水中心にした水資源の確保の問題を取り上げてもらいたい。それから、特に欲を言いますれば、終閉山になって、いろいろ水道問題も、管理者がなくなってしまうとか、あるいはいろいろな施設の管理者がなくなってしまうというような問題につきましても、事業団のような特殊な立場においてこれを処理してもらうのが望ましいだろう、かように存じております。  なお、私どもは、全国市町村の関係から、さらにこれらの具体的な問題につきましては、ただいま先生の御質問について、これこれのものをさらに業務範囲の中に入れてもらいたいという点は十分検討して、またお願いに上がりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  23. 近藤駒太郎

    参考人近藤駒太郎君) ただいま先生のお尋ねの公約に対しましてお答えいたしたいと思いまするが、実は、先ほどから公約公約と、非常に私は声を大きくして言っておるのでございますが、当初に通産省石炭局、あるいは繊維局、あるいは道庁、市等々とお約束申し上げたことは、これは現在はほとんど御協力を願っております。ただ、事業団に対しまして融資をしていただくにつきましては、札幌の支所を通じまして、あるいは私自身が事業団に出向きまして、上層部といろいろ御懇談、御相談申し上げて、この企業に対してはこれだけの融資はいたしましょうという一つの確約を得て書類を作成して、窓口銀行を通じて融資書類を送付した。ところが、今月になってその決定を見た。ところが、当初五〇%といっておったにもかかわらず、きまったのは四〇%であるということの通知があったということを、実は美唄にお世話いたしました山田号製箸の社長から電話がありまして、そんなばかなことはない、あれほど念を押して、あれほどやるまでに相当行き来して、しかも、窓口のみならず、支所あるいは本所のほうを通じて御確認を願っての書類じゃないかということを申し上げて、善処方を、市なり、あるいは本人を通じてお願いをいたしておるような次第でございます。これが私のほうはまだ現在書類が審議中でございますので、いまだに決定はいたしておらぬのでございますが、一番困りますことは、他の産業と違って、こういうようなつまり木材を主として原料とした製はし、その他しゃもじなんかをつくる企業でございますので、企業そのものからいっても投下資本は小さいのですが、一〇%という金額そのものは、金額の大小にかかわらず、企業者自体にすれば、この一〇%はこたえるだろうと思います。私にすれば、事業団、あるいは支所その他の皆さん方と御相談申し上げて、こういうぐあいになりますが、あなたこれで御承認しますか、これでいいですなと、本人さんもけっこうですからと納得して出られた。ところが、出てみたら、これは二つ三つあったと思いますが、漸次解決しておるのですけれども、木材は当初石二千何百円だという書類をもらって見積もりしておったにもかかわらず、現実に工場ができて操業してみたら三千何百円だ。あるいは機械の貸与をしてやろうと言っておるにもかかわらず、その貸与の方法がまた相当の食い違いの金額が出てきた。そのあげくの果ては、今度は事業団が五〇%と言っておるにもかかわらず、一〇%も違っておる四〇%の最終決定を見たというようなことで、現在私は、ここ数日前に報告を受けて、非常に驚いておるような次第でございますが、少なくとも、私が他の業界に対して、本人さんもお聞きになっておるし、また、私自身も何回も参りましてお願いいたしたり、また、御相談申し上げて最終的にこういたしましょうということで御決定を願ったものが、きまったものは一〇%も違うというようなことでは非常に困るじゃないか、これを申し上げておるような次第でございます。私の公約というものは、以上主として金融状況におきまして、もちろんこれは企業者の責任もございましょうし、また、私自身の責任もございましょうけれども、主として北海道地区は地元地方銀行を使うのですね、元来からいくと。そこで、私のほうのことを申し上げると非常に恐縮でございますが、当初から多額な投資をするということは危険だということを考えまして、北炭の事務所を改造いたしまして、それをお貸し願うということで発足いたしたわけでございまするけれども、そういうような状況でございますから、ミシンを担保に置くといっても、これは知れております。そこで、市当局の非常な御協力を願って、一部保証もしていただいた、それ以外に、私のほうの系列の十大紡の某紡績の保証まで入れておるにもかかわらず、それでなお不満であるかというようなことを言っているわけです。もし私自身が、操業しておらなかったら、直ちに引き揚げてしまいます。そんなばかなことないです。はっきり申し上げたら。けれども、いま操業して人も入っておるし、動きがとれぬのでやっておるのですが、ミシン代も払えないし、困ったものだというようなことで、現実私のほうの北昌に至ってもそういうような状況である。当初のお話であれば、一応早急的にこういう問題は、特に歌志内美唄の特殊の状況であるのだから、早急的につなぎ融資だけでも先に出していただくというような確約があった。ところが、まだつなぎ融資——昨今は金融引き締めでございますので、それもはたして地方銀行が聞くか聞かぬかということも問題でございましょうけれども、非常に手続がおくれて、しかも、その上に、決定したものが六カ月もたってふたをあけてみたら現実に違った融資状況が決定されておるというのが一つの問題であります。ですから、道庁、その他市、あるいは本省においても非常な御協力を願い、かつ、また、私が当初にいろいろお話し申し上げ、御相談申し上げたことはほとんど達成していただいておる。ただ、申し上げておるのは、現在融資面だけである。それは事業団と銀行の窓口の連絡の不備の面もあるのではないか、かように考えておるのでございます。
  24. 稲葉広巳

    参考人稲葉広巳君) ただいまの問題にお答えする前に、一応参考として当村内の商工業者の売り上げの実態、あるいは売り上げ総額の実態などを御報告してみたいと存じます。  当村内に営業をしております商業者二百五十八のうち、年間総売り上げにおきまして、いわゆる百万円以下しか年間の売り上げがないという業者が全体の百三店あるわけです。全体の中に百三店ございまして、そのうちの約五〇%はまた五十万円程度しか売っていない業者もあるわけでございます。そういう現実を、売り上げを背景にいたしまして、売り掛け金の未収、あるいは産炭地区より先進地への移住という問題を御考慮いただきたいと思うのでございます。  まず、第一点の売り掛け金一千七百万円、これは回収不能見込み額の総額でございますが、これを一店当たりに直しますと、最高額にいたしまして——一千七百万円というのは回収不能見込み額でございますが、売り掛け金の総額は六千万円でございます。この六千万円のうち、個人最高——個人に貸しておく、消費者一人当たりに貸しておく最高額は約二万円ぐらいが限度だろうと思います。それから、一店当たりに直しますと、大きいところで五百万ぐらい、小さいところでも二、三十万くらいの売り掛け金を持ち、その中の三割あるいは二割という数字が回収不能見込み額という数字であらわされておる次第でございます。先ほど阿具根先生の御質問の中にもございました売り掛け金に対する見返り融資の件でございますが、この点で、なお欲を申しますならばお願いしたいと思いますことは、かような五十万、あるいは百万以下の売り上げの業者が貸し倒れになっている現実、この中でそれほどしか売り上げがないのに貸し倒れを生じ、それに対する見返り融資もない、それに対する保証もないということになりますと、先ほど本文中に申し上げましたとおり、行商人になるとか、あるいは失業対策事業に出るとか、あるいは生活保護を受けるという以外に方法がないと思うのです。それで、こういうものの何割かを国の社会保障的な意味を含めた補償をしていただけますならば、たいへん幸甚だと思っております。  次に、産炭地移住資金の件でございますが、この問題に関しましても、先ほど売り上げの欄でも申し上げましたように、一店当たりの売り上げが年間百万円、あるいは五十万円、そういう程度の方が移住しようという場合に、確かに百万円の限度はありますが、いままでの実績から申しまして、そういう人が移住したいからといって、過去一年間に百万円しか売り上げていないものに対して、移住するからといって一時に百万円は貸してくれない。あくまでも特別資金といいながらも、国民金融公庫も、返していただくということを原則としている金融機関でございますから、窓口においてはそういうことによる問題が生じるわけでございます。一番の問題点は、百万申し込んで七十万借りているというのが最高額でございますが、あとは二十万、三十万、五十万という金額が大多数、その中で、一店の場合などは、年間売り上げ約五百万ほど売っている店でございましたが、これでも新しい土地の売り上げ見込み額、そういうものが規定に達しない、あるいははっきりした裏づけがないという事情のもとに最高限度額のワクに入れていただけない、半分、あるいは三分の一に削られるというのが現実なのでございます。こういう面におきましても、新しい移住先の保証、そういうものは個人保証というものはもちろんつきますし、それに加えて、長期間の移住資金の場合でございますと、国民金融公庫の資金でございましても、県の保証協会の保証をつけてさえもそれしかお借りできない。限度額一ばいまでお借りできないというのが現実でございますが、そういう点に関しまして政府関係御当局の方にさらにお願いを申し上げたいことは、社会保障的な意味を含めまして、特段の御考慮を産炭地の移住商工業者に対しては御配慮をいただきたいということなんでございます。その点よろしくお願いいたしておきます。
  25. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり、貴重なる御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  それでは、これにて午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  26. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから委員会を再開いたします。  参考人として小野田市長福岡鞍手町長田川商工会議所会頭の御出席をいただいております。午前中は橘内、近藤、稲葉お三方の御意見を伺いましたが、これから引き続き午後のお三方の御意見を伺うことにいたします。  まず、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、当委員会のために遠路わざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  当委員会は、ただいま当面の石炭対策樹立に関する調査一環として、産炭地域振興に関する調査を行なっておるのでありまするが、本件に対してそれぞれ関係をお持ちになる参考人各位の御意見を拝聴し、もって本調査参考にいたしたいと存じますので、各位にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。参考人各位には、それぞれ意見書の御提出もありますので、詳細はそれに譲られ、最初二十分以内に御意見をお述べいただき、あとで委員各位質疑に応じていただきたいと存じます。  それでは、小野田市長川村一与君からお願いいたします。
  27. 川村一与

    参考人(川村一与君) このたび参議院の石炭対策特別委員会におかれましては、産炭地の問題について地元の実情をなまの声としてお聞きいただくという機会をいただきましたこと、まことにありがたく感謝申し上げる次第であります。  私はまず小野田市を中心として申し上げますが、これはただ小野田市だけでなく、山口地域全体共通の問題もあるのでございますので、このようにお聞き取りをいただきたいと考えておるものでございます。なお説明の順序といたしまして、いろいろ御指示をいただいた点もございますが、一応私は小野田市の現状を簡単に申し上げまして、御指示の順序に御説明を申し上げたいと考えておるものでございます。  小野田市の産炭地としての現状を申し上げますと、本市の炭鉱昭和三十三年ごろから合理化のきざしが見えてまいったのでございますが、国の石炭合理化政策が発表されました昭和三十五年に至りまして、急激に表面化してまいりまして、昭和三十七、八年の両年度において中心的な主要炭鉱は、ほとんど閉山をするというような状態に相なったのでございまして、この間の推移は参考資料の一ページから以下の表にあるとおりでございます。要するに、過去におきまして二十七の炭鉱があったのでございますが、これは現在ではわずか二つの炭鉱を残すのみとなったということでございまして、この残っております二つの炭鉱も、本年じゅうには閉山をする予定でございます。要するに、本市は過去において市の主力企業でございました炭鉱が、全部姿を消してしまうというようなことに相なるのでございまして、こういう情勢の中におきまして市の状態を簡単に申し上げますと、まず人口の面でございますが、炭鉱閉山によりまして離職者が約五千人出ておるのでございますが、これは本市の人口の約一割でございます。労働人口、すなわち就業人口から見ますと約二割五分に当たるのでございまして、その結果三十四年の人口が五万七千でございましたのが三十九年には四万六千人という、一万人ばかりの人が、わずか一、二年の間に減少をいたしたというような状態でございます。  なお、炭鉱離職者は、先ほど申し上げました五千人のうち約三千人は県外、県内あるいは市内に転職をいたしておりますが、なお二千人は現在失業の状態にあるのでございます。しかもこの失業しておる者が、比較的高年齢層であり、また勤続年数が平均七年程度でございまして、これらの点が再就職の非常な大きな障害になっておるのでございます。なお、この炭鉱離職者のほかに、炭鉱の下請企業に就職をいたしておりましたいわゆる組人夫というようなものが、六百人ばかりが失職をいたして、これもいまだ職がないというような現状でございます。  こういう中で市の財政を簡単に申し上げますと、炭鉱閉山によりまして当然住民税、鉱産税、固定資産税等が激減をいたします。これに加えて逆に生活保護費失業対策費あるいは学童の援護費という、いわゆる産炭地であるがために要する特別の財政需要が非常に大きくなって、非常に市の財政を圧迫しておるというのが、現状でございます。  以上が大体小野田市の産炭地としての現状でございますが、以下御指示によりまして、産炭地振興に関する問題点を御説明申し上げたいと存じます。  第一に、われわれの地域における振興計画がどうなっておるか。またその進行状態がどうであるかということでございますが、当地域産炭地振興実施計画は、昨年の十一月に産炭地域振興審議会におきまして、基本計画が決定をされたのでございますが、その決定はお手元の資料の一六ページ以下に全文を掲げておりますので、ごらんをいただきたいと存じますが、これに対するこの要点を簡単に申し上げますと、要するに石炭産業にかわる新しい企業誘致することによりまして、炭鉱離職者を吸収して、この地域経済発展を期すること。その目標といたしましては、二万五千人の雇用機会をつくって、工業出荷額昭和三十五年の約一千億に対し昭和四十二年には約二千三百億、すなわち約二・二倍に引き上げるということがこの計画の想定でございます。そのためには、第一に当地域立地条件を生かした産業基盤整備促進することであるということが要約されるのでございます。  それでは、その計画の進行状態はどうであるかということでございますが、この実施計画は実は非常に抽象的に打ち出されておりまして、その計画の細目決定等はなされておりません。したがいまして、具体的には何らこの計画の進行はしていないということで、この点につきまして、産炭地のわれわれとしてまことに遺憾に実は考えておるものでございます。いま少しこれを予算化できるような具体的な計画に推し進めていただきたいということが、われわれの念願で、ございます。  次には、国の施策並びに産炭地振興事業団業務の進展についてということでございますが、国の施策につきましては、先ほど申し上げましたように一応実施計画はできておりますが、これがほとんど抽象的な基本の方向づけだけをしておるにすぎないので、現実には何らの施策もないといっても過言ではないのでございます。産炭地のわれわれといたしましては、国の産炭地振興のための積極的な施策が、地元の振興になって何らかの形で反映されることを、強く実は念願をいたしておるのでございます。  なお、産炭地振興の中で、産炭地振興事業団の事業でございますが、この中で融資事業につきましては、実は振興事業のカンフル的な役割りを果たしておりまして、山口地域におきましても融資を受けておるものが十一件、金額にして二億四千万円の融資を実は受けておるのでございますが、この融資の決定等につきましても、金額は最高が制限がございまして、ほんとうの企業誘致をする場合の、特に大企業等においてはこの適用がないというところに、非常な欠陥があるわけでございまして、将来は大企業にも融資ができるような方途を考えていただきたいということでございます。  また、土地造成事業にいたしましても、ようやくわれわれの地域におきましては、三十九年度、いわゆる今年度の事業としてようよう実施の運びとなっておりますのでございますが、これが実現いたしますならば、工場誘致促進に大きく前進することができるという確信を実は持っておりますので、工場用地造成につきましても、あるいは先行投資的な面もあると考えますが、これを大きく取り上げて推進をしていただきたいということでございます。  次に、地方財政、特に市町村財政との関係でございますが、先ほど現況説明の中で申し上げましたとおり、炭鉱閉山による影響は、市民の生活と市の財政に非常に大きな打撃を与えたのでございます。市の財政の影響の度合いを財政力指数で見ますと、三十年に一二五であったものが三十八年には六九、約五〇%に低下をいたしておるのでございまして、この点において市の財政がいかに窮迫しておるかということは、御了承願えると考えるのでございます。この内容を実数であらわしますと、市民税、固定資産税、鉱産税等で約一億円の減収になっておるのでございます。  このような市税の減収に加えまして、先ほども申し上げましたように、いわゆる生活保護、失対事業等、石炭産炭地であるがゆえに負担をしなければならないいろいろな経費が増大をしてきておるということでございまして、これらの点について三十五年と三十八年を比較をいたしますと、約倍額に増額をいたしておるというような現状でございます。  こういったような状況にありますので、市税だけでもって、市民生活に直結した生活環境の整備企業誘致促進に必要な産業基盤整備には、全然手をつけることができないというのが現状でございます。いかに炭鉱閉山が市の財政に大きな影響を与えておるかということは、ただいま申し上げた次第でございます。  次に、工場誘致に伴う諸問題の件でございますが、本市は宇部市とともに山口県の西部臨海工業地帯に属しておるのでございまして、用地も三百万坪、用水、輸送その他の立地条件につきましても相当恵まれた点があるのでございますが、しかし、現在までいまだ市外からの大きな企業誘致することができておりません。ぜひとも、われわれは国の施策によって企業誘致の処置を進めていただくことを念願をいたしておりますが、全然これが行なわれていないというところに、非常に遺憾に存じておるものでございますが、どうか積極的に国の施策でもって工場誘致を実現できるようにお願いをいたしたいと考えております。  この産炭地企業誘致についての問題点を要約をいたしますと、まず国のただいま申し上げましたような基本的な計画はできておりますが、実際の施策が行なわれていないということ、これを早急に具体化していただきたいということでございます。次に、産業基盤整備がおくれておるということ、これにつきましても、国の公共事業等の補助率の引き上げ等をぜひお願いをいたしまして、基盤の整備ができるようにするということ、一面に設備投資の抑制がある程度されておりますので、産炭地に関しては、これらの抑制を解除してもらいたいということでございます。  その次に、特にわれわれが痛切に感じておりますことば、企業誘致する場合に、企業によりましては国の企業の許可、あるいはまた認可が要るところの業種があるのでございますが、これらにつきましても、産炭地企業がいく場合には、この企業の認可等をひとつ例外的に取り扱って優先をしていただきたいということでございます。この点につきましては後ほどにも申し上げたいと考えておりますが、これらの点をぜひお取り上げ願いたいということでございます。次には、特に御指摘の商工業における売り掛け金の回収の問題でございますが、これは炭鉱自体と炭鉱に従事していた従業員にかかる売り掛け金とがあるのでございますが、これを合計をいたしまして、百四十一業者で一億七千万円の売り掛け金があるのでございますが、そのうち四千二百万円が回収不能になっておりまして、このことが関係業者の経営に非常な大きな影響を及ぼしておるのでございます。  その次は、労働の需給と離職者の再就職の問題でございますが、本市の労働力は、資料の二六ページに掲げておりますように、以前より相当の余剰労働力があったのでございますが、それに加えて炭鉱離職者の続出によりまして、さらに増加をしてまいったのでございますが、本市にはこの労働力を吸収する企業が、先ほど来申し上げますようにございませんので、これが市外あるいは県外に就職をいたしておるというような状態でございます。したがいまして、離職者として市内就職が困難であります。その理由といたしましては、特に高年齢層の者が多いということもございます。そういったことで現在炭鉱離職者と潜在失業者を合わせますと二千五百名以上に及んでおるというのが現状でございまして、この再就職の対策といたしましては、職業訓練所に入所させて、新しい技術の習得によって再就職をさせること、また企業誘致によって地元に就職するの機会を与えるということ。次は、婦女子や高年齢者につきましては、あるいは国の授産場等の設置によりまして、再就職の機会を与えていただくような御処置がお願いをいたしたいということでございます。  次に、鉱害問題でございますが、本市の炭鉱のうち陸上炭鉱の鉱害は、全市にわたって起きておるのでございますが、今年までに約三億円以上の事業が実施されましたが、なお昭和四十年以降の鉱害復旧が、事業費としてなお四億五千万円残るということが推定をされておりますが、この四億五千万円の鉱害の復旧が実は無資力鉱害になることが予測をされるのでございまして、これが無資力鉱害になります場合には、復旧事業団の現在の経費でもっては、これが完全復旧することが実はできないという現状でございまして、もしこれが鉱害復旧ができないということになりますなら、これは重大なる社会問題を惹起するおそれが多分にあるのでございまして、この無資力鉱害の復旧については、ぜひとも特段の御配慮をお願いをいたしたいと考えておるものでございます。  次に、教育に関する問題でございますが、炭鉱の失業者が出ました関係上、いわゆるボーダーライン層の児童が非常に多くなりますために、これらの援護費等が増加をいたしますが、この経費が実は三十年度に比較いたしますと約二十倍になっておるというような実情でございますし、また炭鉱離職者の家庭から、非行児童が非常に多く出ておるのでございまして、これも統計を出しておりますが、全校で一五%に当たるものが炭鉱関係の家庭からの非行児童であるということでございまして、この対策といたしましては、カウンセラーの設置等を要請をいたしておりますが、これもぜひ国の力によりまして完全に実施をしていただきまして、非行少年の発生を未然に防ぐ手段を講じていただきたいと考えておるのでございます。  その他、離職者の住宅等の問題もございますが、時間の関係がございますので、以上、大体小野田中心とした山口地区産炭地振興に関する問題点でございますが、これらの問題を解決をしていただきますために、われわれがお願いをいたしたいことは三四ページ以下に要望事項として掲げておるのでございますが、その中で特に二、三の点について御説明を申し上げまして善処をお願いを申し上げたいと考えるものでございますが、それは先ほども申し上げましたように、国の産炭地振興計画はできてはおりますが、これが非常に抽象的な裏づけのないものでございますし、またこれを行なう国の機関が実ははっきりいたしていないようにわれわれは受け取っておるものでございまして、これが計画が進まない一つの原因であるとも考えておりますので、この産炭地振興についての行政上の機構の問題を、ひとつぜひ御検討をいただきたいと考えておるものでございます。  なお、産炭地振興事業団が行なっております融資の、貸し付けの額の問題でございますが、これは現在最高はパーセンテージで四〇%、貸し付け限度が一億になっておりますが、われわれ山口県地区では、いまだこの額にも達していない、いわゆる指定区域外でございますので、ぜひともこの指定をお願いをいたしまして、せめて四〇%の一億円の限度までの融資ができるように御配慮をお願いを申し上げたいと考えておるのでございます。特にこの融資につきまして、地元の中小企業の最も利用されております信用金庫等の機関を、この代理店の中にぜひ加えてほしいという切なる地域の要望があるのでございます。  その他、土地造成につきましても、将来の見込みのあるものだけに現在はしぼられておるようでございますが、将来大いに投資効果のあるものにつきましては、先行投資を認めていただきまして、この土地造成も急速に推進をしていただくようにお願いをいたしたいのでございます。  なお、企業誘致対策につきましては、特に企業が、先ほどもお願い申し上げましたが、企業進出しようといたしましても、企業の許可のできないものがあるわけでございまして、これをわれわれのほうでの現実のことを申し上げますと、小野田市の場合は、すでに全部炭鉱閉山になりまして、石炭にかわる事業として、ぜひとも石油企業を将来の中心にしたいということで誘致を試みておるのでございますが、幸い、ある会社が小野田市でぜひ石油精製工場をやりたいという希望があるのでございますが、昨年来これが石油、審議会の審議にかかって、まだこれが決定されない、そのために企業誘致ができないというようなことがございますので、こういう産炭地の救済につきましては、企業誘致等につきましても特別なお取り計らいを願いまして、ぜひこれが実現するようにお願いを申し上げたいと考えるものでございます。  それと、特に地方財政の確立の問題でございますが、先ほども申し上げましたように市の財政が非常に窮迫をいたしておりますので、企業で申しますならば、まさに破産寸前であるという状態でございます。したがいまして、公共事業補助率等も大幅に引き上げていただいて、地域立地条件整備等ができるようにお願いを申し上げたいということでございます。  なお、特に産炭地の特別な事業といたしまして、炭鉱離職者を使っております緊急就労対策事業がございますが、この事業費の単価が非常に低いために、この事業が成果をあげることが困難でございますので、この単価の引き上げもぜひお願いをいたしたいというものの一つでございます。  その他いろいろまだあるのでございますが、時間の関係がございますので、われわれが特に重点的にお願いいたしたいという点を、御説明申し上げた次第でございますが、以下皆さま方の御質問によってお答えをいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。長時間失礼をいたしました。
  28. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、鞍手町長智雄君にお願いをいたします。御意見の御陳述は、二十分以内のことにお願いを申し上げます。
  29. 東智雄

    参考人(東智雄君) 発言のお許しを得ましたので、若干申し述べたいと思います。  産炭地域指定された町村というものは、いま小野田市の市長さんからるる説明がございましたが、そのとおりでございます。町村おしなべての悩みであると思います。詳細に申し述べられましたので、私としては、この点につきましては省略いたします。  ただ、ここで重ねて申し上げたいのは、終山、閉山によってできた教育の問題でございますが、生活の安定さがなくなった、こういうことから、非行少年がとみに増大した。これは産炭地の特に悲しい問題でございます。鞍手町の場合は、県から非行少年のいわゆる善導のために、カウンセラーの一名の増員がなされております。さらには雇用促進事業団の働きによって、少年センターを設置していただきました。あるいは町の青少年問題協議会、あるいは町の教育委員会に所属する公民館活動の中から、あらゆる面から、その炭鉱の終山、閉山によって生まれ出ました非行少年の問題に取り組んでおりますが、人力と、それからこれに伴う予算と申しますか、こういったものが僅少でございますがために、いうならば非行少年の発生をあとから追っかけるというような事実が現実の姿でございます。こういった問題を特に取り上げていただくならば幸いだと、かように考えております。  さらに、産炭地振興事業として、町のあるいは市の、村の財源のバックボーンとして、炭鉱にかわる工場誘致がここでなされておりますが、私のほうでも古門地区というところに五万坪の敷地造成がすでに完了いたしました。ところが、この敷地は、現在坪当たり三千円をはるかに突破した値段が提示されております。工場の発展すると申しますか、工場の寄るところと申しますのは臨海地帯だと、かように聞いております。ところが、炭鉱の所在地はすべてが内陸でございます。特に福岡県の場合は、炭鉱の所在地はすべて内陸と言っても過言ではございません。そういった炭鉱の、いわゆる工場の誘致され得る立地条件に乏しい、いわゆる正反対の内陸の炭鉱地帯への工場誘致の敷地造成が、さらに坪当たり三千円以上の高価であるなら、はたして工場がみずからその土地に乗り込んで来得るであろうか、こういった危惧がいたすわけでございます。われわれは、町みずからの手で、あるいは町民一体となって、こういう工場誘致に奔走いたしておりますが、現在でき上がりました産炭地事業団造成した古門団地すら、あまりにも高価なるがゆえに、工場の誘致が成功いたしておりません。したがって、経済界の波にすぐに巻き込まれるような小さないわゆる中小企業の、それも小の小、こういったものを、現在多くかかえております失業者の働きの場として、こういったものをいち早く三人でも五人でもという形から、小さな工場は誘致いたしておりますが、これらはすべて、土地そのものが低廉である、そういったことを魅力に持たして誘致いたしております。大企業あるいは中以上の工場を誘致する、その立地条件を備えたいわゆる産炭地事業団造成しました土地そのものは、中小企業誘致には、単価としてほど遠いようなうらみがあるわけでございます。この点も十分御審議の上、御協力をくださいますれば幸いだと、かように考えます。  次に、これは全国炭鉱がすべてとは申しません、だがしかし、大半こういった形の町村があるんではなかろうかと私は想像いたしますが、鞍手町の場合には、かつて三菱鉱業の新入炭鉱というのがあったわけですが、これが六坑、七坑、鞍手坑と、三つの口を開きまして採掘を始めたわけでございます。ところが、長い間のうちに、農地が地盤沈下いたしまして、鉱害の復旧をいたさなければならぬ事態になりました。ところが、この何百町もある地盤沈下の鉱害田を復旧するには、よそからかさ上げの土を持ってこなければならない。ところが、手近にそのかさ上げをする土がなかった。そういうことから、町のちょうど中ほどになります地点の一部の農地を、クリークのように掘り下げまして、その取った土を、何百町歩ものいわゆる農地復旧のかさ上げの土といたしました。で、そのかさ上げの土に使う農地のいわゆる掘り下げの際に、農民と三菱鉱業所との間には、これはクリークにはいたしましたが、後年期において必ずこのクリークは埋め立てて原形復旧をいたします——いうならば、たんぼをつくってお返しいたしますという契約がなされておったわけであります。ところが、現在終山いたしました三菱は、このクリークを原形復旧する土はございません。しかも、産炭地事業団の中にはボタ山処理事業というものがございます。六坑、七坑の採掘いたしました残滓、いわゆるボタ、これを筑豊特有のピラミット型に積み上げておりますが、このボタ山を処理するにいたしましても、推定約一億五千万から二億の処理費がかかると申されております。このボタ山をクリークに埋めることによって原形復旧をなすということの案が出されましたが、現在、浮洲、上木月という二つのクリークがございますが、このクリークを埋めますには、ボタ山処理に一億から二億かかる。そのボタ山全体を持っていきましてもさらに足りない。いうならば、いまボタ山を処理するにあたって一億五千万から二億かかるボタ山を三つばかり持っていかないと、クリークは埋まらないという状態鞍手町にあるわけでございます。したがいまして町といたしましては、このクリークを原形復旧せずに、クリークにある水を工業用水あるいは飲料水、こういった形に利用して、工場の誘致あるいは住宅の誘致をはかって、そうして町の発展をはかりたい、こういった案を出しております。農民の皆さんは、農地に復旧するということを約束したが、炭坑にかわる町の発展、繁栄のためならば、われわれは原形復旧を断念しよう。したがって、このクリークを最高度に利用して、工場誘致あるいは住宅誘致工業用水、飲料水、こういったことで転換復旧と申しますか、そういったいわゆる考え方での町の発展のためならば、われわれはあえて原形復旧は要求しない、こういったことまで町と農民との間では話し合いができております。だがしかし、水質の問題、あるいはさらに誘致する工場その他の問題で、町自体が計算いたしました水量から申しますと、浮州のクリークで常時二百万トン、上木月のクリークで常時四百万トン、こういった推計をいたしておりますが、これも町自体の技術的な調査でばいささか不案内かと思いますけれども、さらには水に含有するペーパーの問題、こういった問題すべての問題が、町自体の現在産炭地域という悲惨な状態に追い込まれた町の財源では、こういったもろもろの検査その他も十分な措置ができませずに困っております。聞くところによりますと、産炭地事業団で一千万の予算をつけて、この水問題について十分検討したいというお話も伺っておりますが、そういった予算を十分つけられまして、産炭地の工場住宅その他の発展のためのいわゆる水資源の確保と申しますか、調査と申しますか、そういった問題をさらに慎重に深く掘り下げて取り上げていただきますならば、産炭地域町村としては、この上もない幸いだと、かように考えております。  次に、鞍手町は産炭地法が発布される前に、炭鉱というものは限りのあるものだ、したがって、いずれ命数尽きて、炭鉱にかわる鞍手町の発展策を考えなければならない。そういうことから、三十五年にすでに鞍手町は独自の農振計画というものを打ち立てまして、県の特産課あるいは農地課といったところと十分打ち合わせをいたしまして、鞍手町の土地柄を一筆調査いたしまして、鞍手町の農村としては何が一番適するか、こういった診断を約二年にわたって行なわれました。鞍手町は農家経営としては米麦一本では、とうてい炭鉱でやられた土地だけに農家経営は成り立たない。したがって一筆調査の結果あらわれたものは、鞍手町の土地に適したのはブドウである、こういった診断が下されたわけでございます。三十五年から農振計画一環としてブドウの造園をはかっております。現在約四十六町歩ばかり。三十九年、四十年、四十一年、四十二年と、逐次計画を立てておりまして、四十五年に一応鞍手町の全町歩にわたってのブドウ園の開園を終わるわけでございますが、その暁には約二千トンのブドウを産出いたします。現在四十五、六町歩の開園をいたしまして、すでに来年あたりからブドウが実ってまいりますが、こういったことで、一方では農振計画を進めておりますが、他方ではいわゆる工場誘致をはかっております。三十六年に町みずからが運動いたしまして、名古屋に本社を持っておりますモールド株式会社というものを誘致したわけでございます。このモールドというのは鶏卵の容器をつくる会社でございますが、いろいろ町自体といたしましても、会社内容あるいは事業のこれからの見通し、こういったものを調査いたしました。さらには、この工場は、鞍手町に工場を設置する際に、産炭事業団融資部あるいは開発銀行、そういったところから資金の貸し付けをお願いしております。ただしそれだけでは足りませずに、町が誘致したというたてまえから、町も一千万の融資をいたしました。ところがこの一千万は、協和銀行とモールドとの間に一千万の融資計画がなされ、その裏づけとして町は損失補償契約を結んだわけでございます。この損失補償契約がないことには、九州モールドに対して協和銀行は金を出さない、こういつた事態になりましたので、町は議会の議決を経まして一千万の損失補償契約を結びました。幸か不幸か、この九州モールドは内部的ないろいろの事情がございまして、現在会社更生法の適用を受けております。会社更生法の適用を受けると同時に、協和銀行から町は一千万の損失補償契約の返還を迫られております。産炭地というものはそういったいわゆる工場に適しないという一応世間の通俗概念を持っておりますし、そうした中に苦労して誘致し、しかも融資その他のあっせんからなさねばならないような状態の工場を苦しいがために誘致する。誘致する場合には資金のあっせんを依頼される。好ましくないことでございますが、町の発展のため失業者の職の場と申しますか、働く場というものを求めるとするならば、そうやらざるを得ないのが現実の姿でございます。そうなった暁に、その工場がよかれかしと、あるいは将来発展するであろうという確信のもとに誘致した工場が、たまたまそういうぐあいになった場合に、はたして町がこの損失を受けなければならないであろうか、こういった悩があるわけでございます。そういったことも今次の参議院の参考人として喚問されました資料といたしまして詳しくお手元に提出いたしておりますので、内容御審査の上、産炭地の苦しさ、きびしさ、こういったものを十分御推察くださいまして施策に万全を期されますならば幸いだと、かように考えます。  以上、開陳を終わります。
  30. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、田川商工会議所会頭中村宇一郎君にお願いいたします。御意見の御陳述は、二十分以内に願います。
  31. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) 私は、ここに出てまいります前に、筑豊七商工会議所並びに商工会の関係の連合会の方々と話し合いをいたしまして、お手元に差し上げておりますとおりの問題点につきましての考えをまとめたものでございますことをお話ししておきます。  御承知のとおりに、小野田市長並びに鞍手町長からお話がすでにありましたが、私の田川市の人口が最も多いときに十万五千、これがただいま八万を割ろうとしております。山田市は人口四万でございましたのが二万五千に転落しておるような状態でございまして、こういう炭鉱のみに依存しておった市町村が非常に窮乏におちいっておりますことは、先生方御承知のとおりでございます。  これに対しまする振興計画につきましては、市町村並びに商工会議所、商工会といたしましては懸命の努力をいたしておりますが、それに加えまして国の施策がいろいろ立てられておりますが、市長さん並びに町長さんからお話しのあったとおりに、そのテンポが非常におそい。また末端にあたたかい手の差し伸べられるのがわりあい少ないではないかということが、われわれ協議をいたしましたことにつきましての結論であるようでございます。そのことにつきまして、通産省の省告示第四七二号、これは一番最初のページの二にありますが、振興臨時措置法のそうした条文がきめられまして、産炭地振興計画されておりますのに、なかなかそのテンポがおそく、かつ十分なことが行なわれておらないということにつきましての結論でございました。  一番先にそのことを申し上げまして、その次に、地方財政等のことにつきましては、市長さんと町長さんからお話がありましたので、省略いたしまして、企業誘致とこれに伴う問題点、第五でございます。これにつきましては、筑豊地方におきまして、おそらく懸命の努力をしながらも、操業をしております誘致工場は私は十社を出ないと、これが現実ではないか、かえって石炭産業にのみ依存しております市町村以外のところには、わりあい便利のいいところにたくさんの工場がいっておりますが、こうした石炭のみに依存しております特に筑豊等におきましては、一部を除きまして非常に誘致工場が来ておらないと、こういう現状でございます。これにつきましては、いろいろむずかしいあれもあると思いますが、やはりいろいろな官公庁等の経営になります公営企業等を優先的に回していただきますことを要望したいと思います。  なお、六の地場産業、特に中小企業振興と事業転換問題でございますが、これは産炭地域で生産された製品の鉄道輸送費を最低率の運賃にしていただくようなこと、それから電力料金の引き下げ、それから官公庁、公団、公社等の需品の発注を産炭地域に一定比率割り当てを優先的に確保をしていただきたい。なお最後に、金融引き締めが、どうしても金利の引き上げその他によりまして行なわれますときには、必ず産炭地中小企業が一番困るのでございますので、その点につきまして、格別の御配慮をお願いしたいわけであります。  なお、七の商工業における売り掛け金の問題につきましては、たいへんこれは私、一昨年からこちらに参りまして、いろいろ陳情、お願いをしたのでございますが、格別の御配慮をいただきまして、昨年秋の集計によりますと、福岡県の売り掛け代金の残っております金額が十八億七千六百万円、約それくらいでございます。これに対しまして融資をお願いできましたのが、一億五千万円というのが三月末がそれくらいで、たいへんありがとうございましたが、この中で問題となりますのは、私は現在継続しております炭鉱に対する売り掛け金、これに対しては何ら配慮をされておらない。たとえて言えば遠賀郡の私の近くの大正鉱業の問題でございますが、そのほかやはり炭鉱は継続しつつありますが、その中において一部の山はやめている——鉱山そのものは経営をしている、そういうやめたところに出しております売り掛け代金に対しては、名簿を見てみますと、たいへんな金額があるわけでございまして、これは私は今後十分お考えくださいまして、今日まで融資をしていただきましたものに準じて、何らかの手を打っていただきたい。特に大正鉱業等におきましては、非常にむずかしい問題が生じて、特別な事例があるのでございますので、ロ号でありますか、そういうあれで出しておりますが、そういう格別の御配慮をいただきたいと思います。  なお、教育、衛生その他の問題につきまして、筑豊の産炭地振興のために公立工業専門学校を設置されたいということを、一番しまいに出しておりますので、この点も、そうした産炭地の教育のことから考えますと、やはりそういうものができますことは、子弟に将来への希望を持たせる、地元でそうした勉強ができるということになりますと、非常にけっこうと思いますので、この点の御配慮をいただきたいと考えております。  以上一応のお願いをいたした次第であります。
  32. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 以上、参考人の御意見を拝聴いたしました。  これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 参考人の方々御苦労さんでございます。私ども炭鉱エネルギー変革によりまして、非常な地元の皆さんが御苦労されておることを十分承知しながら、審議を進めておるわけでございますが、おそらく皆さんから見られましても、まあ一応何か網をかぶせたようなことは考えられておるけれども、現実問題としては何にも進んでおらぬではないか、こういうふうに考えられると思うのです。私ども地方に参りましても、どれだけ企業誘致ができておるかと見てみますと、たまたま中小企業誘致されておるところもあるようでございますが、ほとんどこれは年少の女子労働者か、あるいは未亡人対策、これもまことにけっこうでございますが、一番必要な中高年齢層の職場がほとんどなくて、その人たちが県外に移出することも非常に少ないので、一番お困りになっておると思うのですが、まあそれかといって、それでは私らが現場に行った場合に、現地を少々見たくらいで、ここに何の企業を持ってくればいいか、どうすればいいかということは、これはわからないのです。率直のところ。だから、これはやはり地元の皆さんが一番よくおわかりだと思うのです。何をここに持ってくるのだということになると思うのです。それにはいろいろまた制約があるから、いろいろむずかしいと思うのですが、小野田の市長さんにお尋ねいたしますが、先ほど石油を小野田に持っていきたい、こういうようにおっしゃっておるわけなんですが、この構想は一体どうなのか。石油は御存じのように、基本法ができまして、石油業界がいま共倒れするほど食い合っているわけです。そういう原油を持って来てそして小野田で精製するような大工場をお考えになっておるのか、それとも何か既存の石油業者からの下請かなんとかいうような、あるいは製品を何かされるというのか、そういうのも聞かしてもらわぬと、ただ漫然として石油産業をこちらに入れろ、こうおっしゃっても、これは石油の基本法もできておりますし、希望するところにどんどんつくっていくならば、これは今度石油業界が石炭の二の舞いを踏むわけです。これは必ずたどっていくと思うのです。そういう点もございますので、一応どういう御構想をお持ちになっておられるのか、そういうものをお尋ねいたしまして、できるだけ私なりの御協力を申し上げたい、こう思うわけです。  もう一つお尋ねしたいと思いますのは、資料に出ておるかもわかりませんが、ただいまもらいましたので全部目を通せませんでしたが、小野田で失対事業に勤めておる人がどのくらいあるのか、生活保護がどのくらいふえたか。それから緊就の問題がちょっと出ました。緊就は全国で六千四百人、七千人のが六百人減ったと思います。そのうちの五千人は福岡なんです。小野田で緊就がどのくらい割り当てられておるか。炭鉱の失業者が、これに出ておると思うのですが、どのくらいになっておるのか。その点ひとつお知らせを願いたい、かように思います。
  34. 川村一与

    参考人(川村一与君) お答えをいたしますが、石油企業誘致でございますが、これは御指摘のように、石油審議会がございまして、ここで審議をされるのでございますが、いまわれわれが誘致したいというのは石油精製、当面は五万バーレルの石油精製工場を誘致しようということでございます。これがどういうわけで小野田市がこういうことを打ち出したかということを申し上げますならば、まず第一に、石油企業小野田地区が非常に立地条件がよろしいということが、まずさきにあるわけでございます。こういった中で、これに関連する産業として石油化学工業、いわゆる石油コンビナートを形成していきたいというのがあるわけでございます。これは地元に宇部興産という工場がございます。こういったものとのタイアップで石油化学工業をやりたいということでございますが、石油は非常に業界がいまいろいろ問題があるというのは、御指摘のとおりでありますが、いまわれわれがお願いをし、いま石油審議会で検討されておりますのは、四十一年度操業のものでございます。当面、現在の問題でなく四十一年度、と申しますことは、四十一年度までには、年々歳々石油の伸びが一五%ないし二〇%伸びるというようなことを勘定に入れて四十一年度の問題がいま論議されているということでございます。これは先般石油審議会で四十一年度の増加量を九万四千バーレルというふうに打ち出されております。九万四千バールは石油審議会でもふやすということでございますが、ただその問題には既存の業者の分もございますから、それが新規業者に全部振り当てられるということではないと思いますが、なお九万四千バーレル四十一年度までに充足されるのかされないのかということにも、これも専門家的な見方もあろうかと思いますが、とにかくわれわれがやろうといたしますことは、要するに四十一年度以降を目ざして新設をやりたいということ。それと同時に石油コンビナートの問題が実はあるわけなんです。地域には重油を相当消費する相当大きな工場があるので、それにも供給されるということでございます。と同時に、販売については、西部石油という会社がほかの業者との提携もして共同の歩調をとるというような計画もあるようでございます。こういったことで、われわれは会社自体がそういう希望があるので、ぜひとも実現させていただきたいということを、実は運動を申し上げているのであります。しかし石油審議会等でのいろいろな検討もあるようでございますが、要はそういった起業認可の問題でございますので、産炭地という実情をくんでいただきまして、そういった例外的に、優先的に取り扱っていただきたいというのがお願いの筋でございます。  それから緊就の問題でございますが、われわれのほうは、緊就は百六十名の割り当てを実は受けております。ただ、緊就がいろいろな材料費等の関係で現在の事業単価では仕事ができない、労力だけを使う事業ですと、それでやれるのでございますが、原材料を使うところの事業をやろうといたしますと事業単価が少ないから、ぜひとも事業単価を上げていただきたいということは、これは一宇部、小野田地区だけではなく、全国的にそういうことが言われているのでありまして、少なくとも千八百円の事業単価になりますならば相当な事業ができるという見通しでございます。  それから生活保護の人員でございますが、三十八年は三百六十五名でございます。それと失対が四百人というような実情でございます。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 田川の中村会頭さんと東町長さんにお尋ねいたしますが、まあ筑豊炭鉱炭鉱の中でも一番しわ寄せがきておりまして、皆さん方の御苦労なことは十分わかっておりますが、町長さんのお話をいま聞いておりますと、非行少年、長欠、怠業、とれが千人と出ておりますね。そうして学校の生徒が五千人となっておりますね、そうすると五人に一人は非行少年、あるいはそれに準じている、こうなんですね。これは容易ならぬことですが、五人に一人が非行少年か、あるいはそれに準ずる人だ、こういうことになってまいりますと、御要望のように、補導職員というのですか、こういう人を少しふやしたとか、あるいはそれにオートバイをやったくらいで、これは追いつくだろうか、これは私は非常に何といいますか、万策尽きて、これくらいでもというような気持ちでお出しになっているかと思うのですが、一体どうすればいいのだろうか、こう考えるわけです。そこでお尋ねしたいのですが、そういう五人に一人のそういう心配するような小、中生がいるということになると、これはたいへんな問題ですが、一方ではこういうことも言えると思うわけです。炭鉱がやんで、非常に人が減った。だから、いま話の中にもありましたが、田川等では十万何千人かおったのが八万人を切れてきた。そうなってくると、逆に一方のほうからは生徒が少くて、先生が余ってきたのだが、先生の首を切らぬでほしいという陳情が出てきているわけです。そうすると何かギャップを感ずるわけです。一方では皆さんは、先生ではなく、補導の職員を一名ふやしてくれ、オートバイでもくれば、それで飛んで回われるようにという陳情がある。一方では、生徒が非常に少くなってしまった。だから政党の一部では、先生が余って、小、中学校の先生が余るわいというような声まで出てくるわけです。そういうギャップが出てきておるが、一体どうとるべきであろうかという問題が一つ。それから一番心配したのは、午前中にも尋ねたのですが、九州のあるところに行きましたところが、失対人夫で、失対事業をやるよりも生活保護に回わしたほうが、これは町の財政として、市の財政としてうんと楽だ、こういうことで、そういうことを口に出して言いませんが、数字を見てみますと、生活保護がぐんとふえているわけですが、そういう傾向があるのかどうか、それに対しては一体どういうお考えをお持ちになっているのか。その点についてひとつお二方にお尋ね申し上げたいと思います。
  36. 東智雄

    参考人(東智雄君) お答えいたします。いま先生のお尋ねの非行少年というのは、私は、産炭地で町の人口が減ったので、したがって学級数も減っているのではないか。ところが、先生は逆に余っている、そういうことから、先生のいわゆる確保と申しますか、そういうことで学級増を確保するためにそういう問題が起きているのではないかと承ったわけでございますが、非行少年とそれから学校の先生方は、若干産炭地の問題で審議されております学級増の問題と若干違うのです。いま、先生のおっしゃっている、産炭地の学級の先生とおっしゃるのは、いわゆる特殊学級と申しますか、知能の低い子供、これをいわゆる一教室に集めて、学年別に特殊の教育をしております。こういった運動を起こされ、町にも陳情されております。ところが、私が先ほど申し上げました非行少年というのは、炭鉱の休山、閉山によりまして失業いたしまして、いうなれば家庭そのものが生活の安定を欠いているがゆえに、家庭内から出てきた非行宙こういったものが産炭地では特殊ないわゆる現象でございます。で、鞍手町の場合は、かってはいわゆる三十二、三年ごろの神武景気といいますか、そういったころには、三菱鉱業を筆頭といたしまして、中小企業の室井、松岡、あるいは籾井のいわゆるそういった大体五十万坪から八十万坪を有する炭鉱がありますし、さらにはそういった炭鉱の下には租鉱権者あるいは斤先掘りといった十人から十五人あるいは多くは百人という中小のそういう租鉱権者というものを合わせますと、大体八十二くらいあります。それが三十五、六年ごろから逐次閉山、休山をやりまして、昨年十月を限度として鞍手町としては炭鉱というものは完全に消え去った。そういったいわゆる鞍手町自体が農家半分、それから炭鉱マン半分といったいわゆる人口の振り合いからいいますと、半数半数のいわゆる町であった。それが炭鉱がやんだためにやはり滞溜人口がおりまして、その滞溜人口のいわゆる家庭そのものの安定さがない。こういったことの家庭から生まれた非行少年、こういったことが私は如実に多いのではないかと思います。それでいま学校の先生が運動を起こしております特殊学級の、いわゆる知能の低い子供を一カ所に集めて特殊な教育をしようという、その子供とは違いまして、あくまでもかっぱらいとかあるいは学校に行かないとか、あるいは少年としてすでに男女関係を持っているとか、こういった子供たちをわれわれは非行少年と言っております。そういった非行少年が家庭生活の不安からふえてまいったということを説明申し上げたのであります。
  37. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) 私は教育のそうした面のことは田川市のことだけしか何しておりませんので申し上げられませんが、おそらく黒い羽根運動の一番焦点になったところは、私のおります伊加利小学校、伊加利中学校という二つの学校であったと思います。私両方とも、小学校、中学校ともPTAの会長でございますが、懸命に努力いたしまして、田川市におきましては一部を除きまして非行少年はたいへん少なくなってまいりました。特に私のところでは閉山地域に対しましてPTAの分会をつくりまして、そこで役員を出してもらっております。そういうところの人の意見も非常に尊重するようになりました関係で、非常に教育に熱心になってくれまして、今年度の私のところの中学の卒業生なんか、近来にないような成績をおさめておりますし、問題なく卒業できたようでございます。田川市の場合、私おそらくそういった点は閉山が早かっただけに、やはり市民が考えまして、非常に教育に熱心になってきたような状態で、よくなってきつつありますことをお知らせいたします。
  38. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 先ほど阿具根委員から御指摘のありました非行少年の問題なのですが、この統計を見ますと、非行児童の生徒数が五十七人、長欠児童生徒数が五十四人、それから怠学児童生徒数八百八十九人、合わせて約千人。この千人というものを五千人から見ると非常な大きな数字になるのでありますが、しかし前段で「貧困と非行」ということをうたっておるので、またいま東町長の御説明の中にありましたとおり、貧困からくる長期欠席が多い、こういうことを言うのですが、これは私どもの解釈から申しますると、法的に言えば、必ずしもそれ自体というものは非行と申し上げるのにはちょっと深刻過ぎるのではないか、こう思うわけです。そこでお伺いしたいのは、これはこまかい必要はございませんが、非行児童生徒五十七人はどういうような犯罪、あるいはまた長欠児童は単なる長欠児童であるか、長欠児童中における何か非行的な問題があったのか、あるいはさらに大部分をなす八百八十九人はただ単に学校に長く行かない、しかもその原因が家庭の貧困からきているという単なるそういうことであるのかどうか、この点をお伺いいたしたい。  それと同時に、教育行政市町村におきましては重要な行政部門なのです。何かあとからあとから追いかけるような施策だということを口述の中に言われたのでありますが、それではあまり私は無責任じゃないかと思うのですが、何らかの施策をとっておるに違いないと思いますが、そういう点もあわせて伺いたい。
  39. 東智雄

    参考人(東智雄君) 鞍手町の場合は、炭鉱の雄であった三菱が昨年の十月の時点で終山した。こういったことから急激にこういった非行少年あるいは怠学児童、長欠児童、こういった者がふえておると私は大体考えます。したがいまして、一昨年の時点から雇用促進事業団の手で少年センターを建設していただきまして、これに専従の職員も置きまして、この問題は十分検討しております。先ほどの説明の中で若干ことばが足りなかったと思いますが、三十八年度以降から三十九年度の現在のこの短い期間ではございますが、これは三菱が昨年の十月に終山したというその時点から発生した非行少年というものが急激に増加したように大体われわれとしては考えております。したがいまして青少年問題協議会あるいは町の公民館活動、さらには先ほど申しましたいわゆる雇用促進事業団の少年センター、こういったものが三つ、四つ重なりまして、この問題をいま中心的に研究もし、討議もし、補導もいたしております。したがって、これは時日を追って何とか私のほうでは処置できるという見通しはつけております。  ただ、非行少年の五十何名の中での非行歴でございますが、これは窃盗、これが一番多いのでございます。それから二番目にくるのが何と申しますか、小暴力と申しますか、暴力行為。それから第三番目にわずかではございますが男女関係が出ております。この男女関係のいわゆる素因といいますのは、親が貧困である、そうして親が遠くに出稼ぎに行っている。母親と子供だけが残っている。そういったいわゆる母親だけの家庭の中に何か不純なものが入っているようでございます。そういったいわゆる一間での炭住の中でそういった場面を子供が見る。これから子供が桃色遊戯に走ったというのが調査の結果あらわれております。そこで、町といたしましては、こういったいわゆる一間でというものを解消しなければならないということで低家賃住宅というものを、三十九年度は若干ながらでも、逐次年を追ってこういったものを進めていきたいというように考えております。先ほどことばが足りなかったようでございますが、これは一時の事象ではなかろうか、しかし、まず、各家庭に生活のゆとりと申しますか、安定した職業の場、こういったものを工業誘致その他において急がなければならない、こういうふうに思います。
  40. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 いまの教育問題ですが、前に一度この委員会で聞いたことがありますけれども、どこかの教育委員さんと町会議員さんが一緒になって中学生を使って古い山の石炭を掘らしていた、こういう事件がありました。とにかく貧困からそういうものが出ているんじゃないかと思うのですが、いまカウンセラーの話が出たのですが、私はこう思うのです。閉山、廃山によって、相当の学級があったのに、その学級の中から転居する者がおるので、その組の数が減るわけですね。減ると一組の構成員にならないので、これを寄せる。そうするといままでの秩序が乱れてきて、やはりおもしろくないという場面が出てくる、これがまず一点。それから、さっきお話があったように、貧困からくるいろいろな問題もそれに加えて学校がおもしろくなくなり、集団で悪いことをする、こういう点も私はあると、こういうふうに思うのです。それでカウンセラーだけでなく、実際は学校の先生を急に減らさないで、学級数をそのままにして教育をしていく、そうして校外補導も同時にやっていく、そうしてだんだん時間をかけて、正常な形といいますか、従来の学校の教育法による一組の人数に返していく、こういう一つの移行する期間というものを設けていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うのです。まあそういう点については、非常に御努力をなさっておると思いますが、私がひとつ商工会議所の中村会頭さんにお聞きしたいのは、ここに要望として、国立工業専門学校の誘致ということが書いてあるのですが、大牟田と熊本との境に国立工業専門学校を誘致したわけですね。それから久留米でございますか、今度決定いたしましたね。こういうふうに一つ半ですか、一つ半というものができておるわけです。それで、もう一つ筑豊に国立工業専門学校を誘致するということが可能であるかどうかですね。これは劔木先生いらっしゃるので一番おわかりだと思うのですが、可能でないとするならば、もっとほかの方法を考えられて、教育機関であれば教育機関を誘致をするというように考えられないと、何かよそへ国立工業専門学校を持ってきたから、おれのところに持ってくれば、何かそこらに教育効果があらわれて、何か産炭地振興になるようなふうに考えられると、非常に産炭地振興ということが薄っぺらなものに考えられてしょうがないのですが、こういう点、ひとつどういうふうにお考えであるのか、もっと教育機関を誘致されるならば、ほかに考えがあるのかどうか、その点をひとつお聞きしたいわけです。  それから、もう一点は、東町長さんにお聞きしたいのですが、これも私はこの委員会でお尋ねを石炭局長にもしたわけなんですが、九州モールドのお話があったように、たいへん企業としては危険な状態にある。しかも町が債務保証をして予算外の損失補償契約を結んでおる。保証協会と銀行から代位弁済を迫られておるということなんですが、この、会社更生法に当たるような会社をどうしてこの事業団誘致したかということがまず問題だと思うのです。町は誘致するのには相当努力を払われておると思うのです。形に出ない、あるいは何といいますか、交際費を使っていろいろ来ていただくために努力を払う。それにまた工場敷地のあっせんもする、融資のあっせんをする、おしまいにはその借金の代位弁済をするということになると、これは一般にいう踏んだりけったり、たたかれたりという、とてつもない条件が重なって、町としてはまことにたいへんだろうと思うのです。そこで私ばお聞きしたいのですが、この九州モールドというのは再建の見通しがあるのかないのか。それでもしないとするならば、町として一体どう考えておられるのか、もしあるとするならば、町としてはどういうこれに対して対応をしていかれるおつもりなのか、こういう点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  41. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) 国立工業専門学校のことにつきましてお答えいたします。現在、田川で縫製加工工業の工員が、大体下請を合わせまして、約一千名ございまして、もう少し増加させるよう、縫製団地計画もございます。それから、直方は御承知のとおり、機械工業が盛んでございますし、また、窯業——焼きものですね、タイル、こういうものの誘致工場もできつつありますし、そういうところに技術者が必要でございます。また、貿易関係の仕事がございますので、優秀な技術者がほしい、で、将来そういうことのために準備すべきではないか。技術者はただいまではどうしてもそういった親会社から派遣をしばらくの間やってもらっております。こういうことを考えまして一応そういうことを考えたわけでございまして、将来のそうした縫製団地、機械工業、窯業等の誘致工場のそういう点を見込みまして考えた  ことでございます。
  42. 東智雄

    参考人(東智雄君) 九州モールドの点でございますが、九州モールドの製品は、ここに品物を持ってきておりますが、卵の容器をつくる会社なんです。これをつくる会社なんです。これは何でつくるかと申しますと、新聞紙、それから古雑誌、これを一応撹拌槽に入れまして、そして繊維化して、これを圧縮、乾燥してこういう形のものをつくるわけであります。私のほうがこれを誘致しましたのは、町の農振計画の養鶏の部門に非常にマッチする、こういうものを誘致することによって、町が農振計画を立てましたいわゆる養鶏部門というものが非常に向上するであろう、それから、こういう工場を誘致することによって、鶏卵の輸送と申しますか、そういった事柄についても非常に有利である。それから、もう一つは、失業者がたくさんおります。生活保護者が千七百世帯からおるわけでございます。これは会社のほうではこれをフラットと申しております。これをフィラーと申すわけでありますが、これはこの中に卵を入れまして、従来はもみがらで輸送をしておったのを、これを合わせて送るようになっております。全然こわれなくて非常に衛生的だということで、いまほとんどこれで卵を輸送をしております。いまはもみがらでの輸送は全然ありません。これがすべて内職の手に渡るわけなんです。これは裁断は会社のほうでやりますが、この組み合わせば全部各家庭の内職に入っております。そういうことで内職による生活の豊かさも考えられるということからこの工場を誘致したわけでございます。もともとこれは県の職業補導所のほうから、こういった工場が九州に進出しようという傾向がある、しかも、この工場に熊本に行きたいということを言っているという話があったわけです。そこで、県のほうで、この工場をぜひ福岡のどこかに持っていきたいというような話を聞きましたので、さっそく本社のほうを訪問したわけでございます。当時、香春町と田川市がこの工場誘致には先鞭をつけておったようでございますが、ところが、立地条件からいって鞍手町のほうがはるかに北九州、あるいは福岡市、その他香港、上海方面にもこれを輸出するようになっておりますが、そういったことで条件的に非常にいいということからわれわれのほうにおいでになったわけであります。したがいまして、四千坪の敷地造成をやったわけでございますが、この四千坪の敷地造成も私のほうで、土地も私のほうで提供いたしますし、それから、資金も一千万の融資あっせんもやったわけでございます。当時開発銀行から約四千四、五百万、それから産炭地事業団融資部のほうからも千五百万ばかり融資を願ってこの工場ができたわけであります。ただいま私のほうは予算外義務負担の損失補償の契約も済みまして、協和銀行から一千万の融資を願っておりますが、会社の内部的な事情がございまして、これは会社の秘密事項になりますので、いわゆる会社更生法までに持っていかなければならなかった会社の事情は説明を割愛させていただきます。現在第二会社でこれはやっておりますが、もともと町がその一千万の損失補償を一銭も迷惑をかけぬような方法がございます。と申しますことは、会社が小倉市に営業所を持っておりますし、小倉市内で坪三千円ですかに評価される土地も数千坪持っておりますし、現在の九州モールドの機械その他は、評価いたしまして大体一億円からあるそうでございます。これは開発銀行調査結果の内容でございます。そうなりますと、一切の借銭を支払って、工場が破産しても、どこにも一銭も迷惑がかからぬような状態になるわけなんです。ところが、われわれは、一千万の借銭というよりも、むしろ破産をさせたくない。いわゆる失業者の就職の場、そういったものが第一のねらいでありますし、さらには、産炭地といえども、九州モールドのような近代的な工場ができるぞという一つのPRにもなる。さらには、これを盛り立てることによって町の財源にもなる、こういった二つ三つの考え方がございますので、破産をしようとするのを、破産をしてもらっては困るということで押しとどめておるというのが事実でございます。会社がゼロになれば、この一千万の損失補償の苦難の道もわれわれございません。いわゆる機械その他を一切処分すれば、開発銀行、あるいは協和銀行その他の借銭を負っているところはもちろん、町の一千万の損失補償も解消するわけでございます。解消いたしますが、工場はゼロになります。ゼロになりますと、せっかく町民の八十人ばかりの職場というものがなくなってしまいます。さらには、そういった状態が世間に流布されますと、産炭地には工場はとうてい成功しないのだというような危惧の念を企業家に与えるのではなかろうか、こういった心配があるわけでございます。以上のようなことから会社更生法を適用し、さらには第二会社を設立してこの企業の発展をはかろうということで、開発銀行の音頭とりで、いま大石産業、それから佐賀板紙、大同製紙、この三つの会社もそれぞれこの九州モールドには債務者でありますが、この三つの企業家が鞍手モールドと名前を変えまして、会社更生法の適用を受けるまで会社を存続させようということで、いま懸命にやっております。現在工場の責任を担当しておりますのが鞍手町出身の人間でございます。こういった人たちに会社の現在の内容を聞いてみますと、大体月産百万近くの収益をあげておる。もともとこの九州モールドというのは、機械そのものが六十万ケースの生産能力を持っておる工場でございます。こういったフラットをつくる工場が、日本では東京で都製紙、それから名古屋で日本モールド、それから大阪で何か一つあるそうです。それから九州の佐賀に佐賀板紙というのがこれをつくっておりますが、東京の都製紙が大体十万ケースから十五万ケース、それから名古屋の日本モールドが二十万ケース、佐賀板紙が八万ケース、その他で四万ケースか五万ケースができているそうです。ところが、日本のフラットはそれでは鶏卵輸送には足りない。そこで九州モールドは機械をオートメ化しまして、一昨々年、いわゆる六十万ケースの能力を持った機械をつくったわけなんですが、現在やっておるのは二十万ケースそこそこのいわゆる業態でございます。その二十万ケースの業態で大体百万、ところが、その百万の中から貸借対照表による若干の負債金がございまして、純益は月に六十万というのが大体純利益のようでございます。言うなれば、六十万が負債者に返せる金額であるということが言えると思います。それから、名古屋の本社の日本モールドが大体フルに運転いたしまして二十万ケースだそうです。ところが、販売ルートがかなり広いので、二十万ケースでは需要家に対して十分なサービスができない。そこで、九州モールドのほうから十万ケースだけ分けていただきたい、こういうような要望も出ております。それから、第二会社でいま佐賀板紙が入ってきておりますので、佐賀板紙さんの考え方は、実ば九州モールドで私のほうは操業するとするならば、佐賀でつくっておる八万ケースも一応ほかの企業に転換したい。そうなると、名古屋の本社に送り込む十万ケースと、佐賀板紙がやめます八万ケース、それから従来つくっております二十万ケース、これで三十八万ケースのいわゆる製品が販売できるということになります。それでは六十万ケースの能力を持ちながら、どうして二十万ケース、あるいは三十八万ケースに押えるのかという疑問が生ずるかと思いますが、実は六十万ケースを売り出すだけのいわゆる九州モールドは市場を持たないわけです。要するに市場そのものは既往の都製紙、あるいは名古屋の日本モールド、あるいは佐賀板紙、こういった人たちから押えられておる。だから、押えておる既往の会社というのは、ではその需要に合うだけの製品を出しておるかというと、そうではないようでございます。しかも、ことし行なわれますオリンピックを中心として、鶏卵の需要というものはとみに上がっておるということも聞いております。したがって、この事業というものはまだまだ将来性があるのでございます。そういった観点から、何とかしてこの工場はつぶしたくない、そういう考え方がいっぱいでございます。だが、しかし、銀行は非常に冷たい。要するに損失補償の点があるので、いわゆる契約の期限から、すでに損失補償の支払いのいわゆる責任があるのであります。そういうことから一千万の返還を迫られておりますが、実は一千万の損失補償契約を結んでおりましても、自治体のいわゆる予算の義務負担外のものは、そう簡単に予算づけはできません。そこで、現在は銀行と地方とのいわゆる論争のやりとりのような形でございます。しかし、契約を結んだ以上は責任がございます。何とかしてやらなければなりませんが、いまの産炭地の事態では何ともいたしかたがない。こういった意味で、いわゆる工場などについても、産炭地融資する工場というのはそういった悩みが多々あるということだけを御記憶願えますれば幸いに思います。  以上でございます。
  43. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 よくわかりました。結局、事業団融資も決定しておることですし、これはどうしても地元がそういうような熱意もありますので、ぜひ成功させてもらわなければいかぬと、かように考えているわけです。せっかく御努力願いまして、どうぞ今後お願いしたいと思います。  田川市の中村さんにもう一度お伺いしたいのですけれども、窯業や縫製工場ができる。だから技術屋がほしい、これはわかるのですけれども、非常に今日的な問題なんですね。将来の問題はもちろん必要であろうと思うのですが、高専は大体五年課程でなかったかと思うのです。そうすると、五年後でないと技術屋は出てこない。出てもあそこの筑豊だけで消化するということでもないし、九州全地域にわたって学生が来るだろうと思うのですが、ところが、御承知のように、大牟田でもつくっていただいたのですが、地元の負担というのはかなりな金額になるわけですね。そうすると、それは現実に金を出さなければならぬ。直接今日出さなければいかぬという問題が起きるのですね。ですから、将来長い目で見れば、そういう学校があることにこしたことはないと私は思うのですけれども、今日の問題と、今日置かれている産炭地経済状況を考えると、なかなか問題ではなかろうかと私は思うのです。そこで、工場の問題で、もう一つ福岡に持ってくるというのはおそらく至難だと思うのです。ですから、さっき申し上げましたように、工業高専だけの一本やりでいかれるのか、それとも、別に何かこれにかわるべきものを考えているのか、そういう点を実は伺いたかったわけです。ところが、お聞きすると、何かあくまで高専というような御意向のように聞こえましたので、それをお聞きするわけです。
  44. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) これは私きょうは田川の会頭というあれでございますけれども、さっき申し上げましたように、筑豊の商工会議所並びに地元の商工会連合会で話し合いまして、こういうあれでもって来たことでございまして、田川云々ということではございませんということを申し上げておきます。  それから、さっそくこれがもしできれば、地元負担のお金を出さなければならないということもわかりますが、商工会議所、あるいは商工会連合会という立場ではそういうことを考えておるわけでございまして、これはまた市町村ともいろいろ関連がございますから、これから先、そうしたことを考えていきたいと思います。
  45. 亀井光

    亀井光君 ただいま東町長さんから九州モールドのお話が出ましたのですが、これはお話の中にありましたように、いかに産炭地振興のための工場の誘致がむずかしいかという一つの私はティピカルな例ではないかと思います。関係の市町村が、市の、あるいは町の、あるいは村の発展のために産炭地に工場誘致という意欲、また、それに対しまするいろいろな御努力というものにはわれわれは敬意を表するものでございますが、私かねがね産炭地振興という問題が、そういう市や町や村の行政区画に限られて、お互いに競争し合って、たとえば工場誘致をとりましても、競争し合うというような形で、はたして全体の産炭地振興の役に立つであろうかということをかねがね思っておる。たとえば鉱害の問題を一つとりましても、町村の機構、行政区域を離れて問題があります。あるいは農村の開発といいますか、新しい農業経営に転換をしてまいりまする産炭地振興の一つの方法といたしましてもそういう問題が出てくる。そうなると、ブロック経済といいますか、九州福岡を例にとりますと、田川地区、あるいは直鞍地区、あるいは嘉飯山地区というように、経済ブロック圏の中で、お互いその中にある市町村協力し合って、何かその地域全体の発展、開発というものに努力されたほうが、より私は効果があるんじゃないか、お互いに工場誘致のために多額の経費を使い、労力を使うならば、その労力なり多額の経費というものが現実に実を結ぶような方向に持っていかれるほうがよりいいんじゃないかというふうにかねがね実は考えておったのでございまして、いま九州モールドのお話を聞きまして、実はその感をますます深くいたしております。もちろんこれは県政全体の問題で、知事がそういう音頭をとれば、あるいはそういう形のものができるかもしれないと思いますが、そういう問題よりも、地元の関係の市町村長、あるいは商工会議所の会頭さんあたりがそういう地域的な総合開発面についてどういうふうにお考えになっておるか、その点を町長さん、それから中村会頭にお伺いいたします。
  46. 東智雄

    参考人(東智雄君) 産炭地の議長会でこの問題が論議されまして、特に私のほうの町議会では、ただ単に鞍手町だけでは非常に力が弱い、そこで近隣の町村と申しますか、あるいは筑豊ブロックと申しますか、そういったものを糾合して、一つの大きな力として誘致すべきだというような意見も盛んに出されております。そういう意見に基づきまして、先ほど申し上げました、いわゆる近隣町村の議長会にこれをはかったわけでございますが、議長会としても、それはよろしいということにはなりましたが、それではやろう、何かの会を持とうということまでには立ち至っておりません。ただ、私が考えておりますことは、実は先ほども鉱害の転換復旧ということで、クリークの問題をクリークとしてとどめて、これを工場あるいは住宅の一つの素因としたほうがよろしいというようなことを申し上げましたが、実は、私のところには常時二百万トン、それから常時四百万トンの二つのクリークがございます。この一つの常時二百万トンを擁しております。これは浮洲クリークと申しますが、この浮洲クリークは、行政区画が中間市が三分の一と、三分の二が鞍手町のものでございます。上木月の常時四百万トンは、これは純然たる鞍手町の行政区画のまっただ中にございますが、二百万トンの浮洲クリークは、その三分の一が中間市、三分の二が鞍手町、これが行政区画になっております。池が。そればそういうことで、実は三菱さんが、これも申し上げることは割愛いたしますが、五百万で中間市に譲渡したいということでございます。これはいろいろ事情がございます。そういうことになったので、それはそのクリークの中にはまだ農地があるのだ、農地のあるものを炭鉱がいわゆる売るわけにはまいります養い。これは農地委員会において地目の変換をやらなければならない、そうでないと譲渡ができない。そういうことから町も木月に五万坪の敷地を造成して、それから倉坂団地にも五万坪三十九年度において造成するということをいっておる。そうなると、あわせて十万坪の工場用地の敷地の造成が三十九年度にはでき上がってしまう。そういった場合、工場を誘致しようにも、工場用水そのものを中間市に全部譲渡された場合にはどうなるか、鞍手町は行政区画の三分の二を持ちながら、中間市から水を買わなければならない。そういうことであってはならない、いわゆる水は共有のものだ、しかも、その浮洲クリークを中心として、鞍手町が十万坪、さらにそのクリークの周辺の遠賀村に約五万坪の敷地造成が間近に完成いたします。クリークの向う側、いわゆる中間市には約二十万坪の敷地造成がなされるが、遠賀にしても、遠賀は全くクリークの権原はございませんが、遠賀の敷地が工場誘致をする場合、その遠賀は誘致した工場の水はどこから持ってくるか、中間市の水を、あるいは鞍手の水をということになると、遠賀の敷地造成、工場誘致は全くあり得ないのではないか、したがって、鞍手町が三分の二を持ち、中間市が三分の一の権利を持ったにしても、そのいわゆるクリークというものは中間市のものであり、鞍手町のものであり、遠賀、あるいは八幡市のものであるかもわからない。そういったいわゆる地域の発展を願うところの水であるべきはずである、個人のものでたいということで、そういったいわゆる公論をばいております。したがって、われわれといたしましても、やはり一町村での工場誘致というものは非常に力が弱い、要するに何かの大同団結した形の上での工場の誘致というものが最も望ましいというふうに考えております。
  47. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) 亀井先生から御指摘のことでございますが、実は、ことしの四月の二日に、筑豊の商工会議所、それから市町村長さん、議長さん方が一緒に直方市に寄りまして、そうした筑豊としての大きい見地からの産炭地振興のことを協議いたしました。私かねがねそういうことに意見を持っておりまして、皆さんそういうお考えでいろいろ議論をいたしまして、ただいまそういうことで進行しつつありますが、なお、また、これはこの二番目の国の施策云々という、そこにございまして、「事業団の事業活動を活発にするため」というふうにございます。事業団でひとつ水の問題を私は解決していただきたい。これはそうした鞍手の町長さんのお話のように、水が先か事業が先か、こういう事業をやるから水はこうしてくれといわれるけれども、事業家は水がなければ来ません。事業団委員長や先生方にお願いしておきますから、広域経済で大きく考えて、事業をやる場合には、その前に水をひとついただきたい。特に田川におきましてその点で非常に困っておる。ですから、この点は水利権の問題等で、一市町村でなかなか水が解決せぬことがございますので、私どもの市長も広域行政を考えておるし、また、私も筑豊の会議所、商工会のほうで市町村長さん方と考えておりますので、おいおい第一回の会合を持って、大きい考えでやろうということになりつつありますことを報告いたしておきます。
  48. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 ちょっと亀井委員に関連をいたしますが、私は小野田の市長さんにちょっとお伺いしたいと思います。お伺いしたいというよりも、実は御要望書の第一点といたしまして、総合的、積極的な機構を政府部内に設けてもらいたいという御要望がございますが、これは要するに亀井さんの言われました、私は広域的な処置をしなければいけないじゃないかという観点に立ちまして、特にただいまこの産炭地域振興臨時措置法ですか、これができまして、各地区ごとの基本計画実施計画ができたわけです。これは審議会を各地区ごとにつくりましたが、これが将来皆さま方の御意見を承りますと、ほとんど例外なく、実施計画はできたけれども、ただ計画だけであって、この実施は遅々として進まない。北海道夕張市町村は、実施を何とか五カ年間延長してくれというようなお話がございました。しかし、これは私ばかねがね考えておりますのは、現在中央機構といたしましては、ここに石炭局長がおられますが、石炭局の中に産炭地域振興課というのを設けておられるわけです。ところが、産炭地域振興と申しましても、これはただ石炭にいままで関連があったということであって、実際は石炭産業がなくなったあとの地域の住民なり、市町村対策なり、農村対策なり、中小企業対策をどうするか、これはむしろ石炭局の範疇を私は離れておって、しかも、その内容については、建設省であれ農林省であれ、これは特に内容的に見ますと文部省、厚生省各省に非常にまたがった問題がございますし、なお、通産省の中におきましても、工場誘致であるとか、どういう工場をどこに持っていくかということは、これは石炭局の範囲を離れて、相当広範囲に関連する企画が非常に多い。これを現在のような姿で実施計画だけを立てたけれども、はたしてどこが実施するのか、だれがこれをやるのかという状況がわからぬ。特に広域的に地区的な一つの実施計画実施するというところにおいては、その中心になる機関が、ただいま商工会議所でお話し合いになりましたり、議長会でお話しになりましたという例がございますが、それではお話し合いをやって共同でやろうということだけであって、具体的にそれではどういう実施計画を立てていこうかという、これは中心機関というものがほとんど現在ではないから、これは臨時措置法を延ばしてやっただけでは、実際には産炭地振興というものは百年河清を待つようなものであって、隔靴掻痒の感がある。これはどうしても中央機構からもう少し実施に踏み切る、しかも、各省に関係をするものを統合していくような一つの産炭地振興の機関を設ける必要があるのじゃないか。しかも、各地域におきまして市町村やら商工会議所やら、その他の機関を統合して実施に移すような相談をしていく、どこまではこの地域においてこの仕事は産炭地振興事業団がやる、この点はこの町村がやるとか、あるいは共同してやるとか、そういったような実施の具体的な方法をきめていく中心になる機関が各地域に要るのではないか、これには私は臨時措置法をむしろ改正して実施に移すようなことに持っていかないといけないのじゃないかというかねがねの意見を持っておるわけでありまして、そこで、幸いに市長さんのほうから、こういう中央政府にそういう機関を設けたらどうかという御要望がございますので、市長さんのほうでどのような具体的な御意見なりをお持ちでございますか。これば私どもの今後の政策を考えていく上に非常に参考になると思いますので、一言これは御質問と申しますよりも、御意見をひとつ承りたいと思います。
  49. 川村一与

    参考人(川村一与君) 御質問にお答えをいたしたいと思いますが、これはいま御指摘のございましたように、せっかくできておる産炭地振興実施計画が抽象的なものであって、これが実行に移されるためには相当有力な中央に機関が必要であろうということでございます。これがどういう形のものかということになりますなら、これは行政機構の問題でございますので、われわれが軽々しく意見を申し上げるのは、はなはだどうも僭越だと思いますが、どういう形かということを具体的には申し上げかねるのでございますが、要するに産炭地計画を推し進めていきますためには、中央においても建設省、運輸省、あるいは農林省、通産省、こういった関係が非常に大きいのでございまして、こういうところが要するにばらばらでやろうとすることでは、とうていこれはむずかしいとわれわれは考えておるのであります。ただ、行政機構を統一するということはいろいろな問題があると思いますが、もしこれがほんとうに具体的にやろうといたしますなら、各省の予算を、特恵予算をひとつとってもらうということ、この予算は産炭地振興のための予算であるというようなものが張り出されてこなければ、いろいろ各省の計画の中で産炭地振興に関する事業も行なわれると思いますが、たとえて申し上げますならば、港湾の問題にいたしましても、これは運輸省でいろいろ五カ年計画、あるいは三カ年計画等が実はあるわけでございますが、それではほんとうに産炭地の事業として張り出されたというわけにも実はいかないのじゃないか、こういったことで行政機構を統一するということは困難であろうと思いますが、実施面について、いま少し連係のある方法で産炭地実施計画を実現をしていただく方法はないかということでございます。それと、先ほど来、地方においても総合開発が必要だという御指摘がございましたが、山口県の場合は、産炭地は三市三町にわたっておるのでございますが、この限りにおきましては、われわれは三市三町でもって総合開発の協議会というものを持っておりまして、そこで持った意見産炭地振興審議会の地方部会に移しまして、それを中央に押し上げてこの計画を実は進めていただいておるのでございまして、これらの実行につきましても、われわれは隣接の市、町とは、緊密な連絡を持って実は工場誘致等にも当たっておるような次第でございまして、こういったことで、われわれは何か抽象的過ぎる、この計画の具体化をするために、申し上げましたように、中央での横の連絡のついた有機的な一つの進め方をお願い申し上げたいというような意味でございます。
  50. 亀井光

    亀井光君 時間もありませんので、最後にもう一点私質問させていただきたいと思いますのは売り掛け代金の問題でございます。この問題は、昨年から地元の皆さま方の強い御要請がございましたので、御承知のとおりに、特別の法律をつくりまして売り掛け代金の回収につきまして一応の措置はできたわけでございますが、現実の姿は、この法律の目的としている実態というものがなかなか現実的に解決されないという事実が昨年の暮れころわかってきたのでございます。それは、一つには資金の量の問題がある、一つは金融機関の窓口の事務の処理の問題、もう一つは、この売り掛け代金の債権者の担保力、信用力、この三つの問題がこの問題の大きな隘路になったわけでございます。資金の問題は、通産省といたしましても十分な措置を講じてまいっているのでございますが、問題は地元の県の受け入れといいますか、県がそれに対して対応する財源を出し得なかった、まあ特にこれは福岡県の例でありますが、そういう問題がございます。第二の、銀行の窓口の問題につきましては、この制度の徹底が十分でなかったという面もあります。昨年の暮れ、急遽通産省の担当の課長を現地に派遣をしていただきまして、その窓口の取り扱い方についての調整をして、その後、先ほど中村会頭からお話のように、一億三千万円程度の融資が進んでまいってきたと考えます。そこで、信用力の問題は、これは法律自体が言っておりますように、できるだけそういう信用のないもの、あるいは担保力のないものについても、売り掛け代金については優先的な措置を講ずるというふうな一応の法の精神であります。そこで、この十八億からあるといわれます福岡県の売り掛け代金が、今日においてわずか一億数千万円しか融資を受けられていないという、結局その根本的な問題点といいますか、隘路といいますか、それはどういうふうに実はお考えになっておられるか、お尋ねしたいと思います。
  51. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) これは大体十八億幾ら——昨年の秋でございます。九月三十日と思いますが、それが十八億七千六百万ございまして、昭和三十五年四月以降における炭鉱売り掛け金の額でございますね、それで、それに対しまして融資の希望を出したものが、五億三千六百八十五万円、これが大体融資希望額でございます。それくらい出しておるようでございます。それに対しまして一億五千万円が出ておる現状でございます。それで、これはあくまでもやはり何といいますか、そうした苦しい中におきましてもこれだけの、十八億幾らありますが、これは取引の継続しております炭鉱の分も含めておりますから、そのうちで、借りましても返せねばできませんので、そうした五億三千六百八十五万円という程度のものの融資を希望した、そのうち一億五千万円が融資をされたということであるようでございます。
  52. 亀井光

    亀井光君 私、五億五千万円の融資の希望が全部が全部いわば確実と申しますか、可能ではないとは思いますが、あまりに融資額が一億五千万円程度と少ないので、どういうところに根本的な隘路があるかをお聞かせいただきたい。
  53. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) これはやはり亀井先生からも御指摘がありましたように、ただいま、まだいよいよ締め切っておりませずに、一次、二次というふうなことでいろいろな調査書類を出しておりまして、それの経過の途中でございますので、多少これから伸びると思いますが、最初はやはりどうしても手続の綿密なあれもございますし、そうした上からの通達の徹底さが足りなかったという点もあったようでございますが、最近ではだいぶよくわかりまして、手続その他の点もなれてきまして、業者そのものがやはり手続にふなれであった点もあったようでございます。
  54. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 ちょっといまの関連ですが、この売り掛け代金の中で、炭鉱そのものに対する債権だけでなしに、その炭鉱労務者に対する債権及び炭鉱そのものではないが、間接的に炭鉱に納入したものに対する債権ですね、これらのものは五億何ぼというそれには含まれていないのでございますか、それを。
  55. 中村宇一郎

    参考人中村宇一郎君) この十八億幾らには、炭鉱の従業員に対するものは含んでおりません。やはり炭鉱に関連しておりますいろいろな納入代金、たとえば運送賃とか、あるいは油代、その他すべて含まっておりますが、しかし、従業員の分は別でございます。  それから、そうした融資の非常に少ないという点は、金融ベースで市中銀行が貸すのが非常にやかましいのです。それでありますので、どうもなかなか末端に、そうしたあれが非常に苦しいながら、金融ベースで市中銀行が自分のあれでやるものですから、その融資の特典がどうも行なわれないといううらみが多分にございますことを御承知願いたいと思います。
  56. 二木謙吾

    ○二木謙吾君 私も簡単に。先ほど来、非行少年なり非行青年がたいへん出るというお話を承りましたが、私も昨年産炭地の学校を視察に参りまして、産炭地の小学校なり中学校には、他の地方は一学級の人員を四十九名と、こういうことに考えるようになっておるのでございますが、特別な処置を講じて、産炭地の学校には三十七人でも一人先生を配置する、あるいは四十名でも一人配置をする、よけいに先生を配置をして、そして学校における指導においても手抜かりのないようにする、また、校外の補導にも十分手を尽くすように、それがために余分の教員を配置するように文部省に十分申したのですが、文部省もそういう考えでいこうと、こういうことを申しておりますが、実施はできておりますかどうか。
  57. 川村一与

    参考人(川村一与君) 二木先生はあるいは御承知かとも思いますが、小野田市の場合は、各学校に一名あての校外補導をやるカウンセラーを実は要求をしたのでありますが、現在のところでは、それが大体半数程度聞き入れてもらっておる。二校に一人あてくらいの割合でカウンセラーが配置されたということで、この点についてはある程度の効果が上がるであろうというように実は考えております。
  58. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑は終了したものと認めます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会