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1964-04-02 第46回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二日(木曜日)    午後一時五十五分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     岸田 幸雄君    理事            剱木 亨弘君            徳永 正利君            小宮市太郎君    委員            江藤  智君            大竹平八郎君            川上 為治君            亀井  光君            二木 謙吾君            松平 勇雄君            吉武 恵市君            阿具根 登君            阿部 竹松君            大河原一次君            鈴木 一弘君            田畑 金光君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業省石炭    局長      新井 眞一君    通商産業省鉱山    保安局長    川原 英之君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省鉱山    保安局石炭課長 佐伯 博蔵君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○当面の石炭対策樹立に関する調査  (高松炭鉱ガス爆発に関する件) ○石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の  一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。本日は、亀井光君から理事辞任申し出がございましたが、その件を議題とし、次に、高松炭鉱ガス爆発災害の実情を聴取し、そのあと、過日提案理由説明を聴取いたしました石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案の審査を行なうこととなりましたから、御了承願います。     —————————————
  3. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) では、理事辞任及び補欠互選の件を議題といたします。  亀井光君より都合により理事辞任いたしたい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事剱木亨弘君を指名いたします。     —————————————
  6. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、高松炭鉱ガス爆発について通産省当局説明を求めます。福田通商産業大臣
  7. 福田一

    国務大臣福田一君) このたび日本炭鉱高松炭鉱第二坑におきまして、三月三十日ガス爆発発生し、八名の死亡者、一名の重傷者を出しましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後はさらに監督を厳重にいたし、再びかようなことのないよう、重ねて努力をいたしてまいる所存でございます。  事故の詳細につきましては、鉱山保安局長より御報告いたさせますが、ここに一言遺憾の意を表する次第でございます。
  8. 川原英之

    政府委員川原英之君) 高松炭鉱ガス爆発災害について御報告いたします。  このたびこのような事故が起こりましたことを、まことに遺憾に存じております。お手元にただいままでわかっておりますガス爆発災害についての資料をお配りしてございますので、これによりまして御説明いたしたいと思います。  まず、災害の起こりました鉱山は、福岡県遠賀郡水巻町日本炭鉱株式会社高松炭鉱第二坑でございます。発生の年月日は、先ほど大臣よりも申し上げましたように、昭和三十九年三月三十日十時二十分であります。発生いたしました個所は、二坑の第二中卸巻き場のぼり第四号のぼりでございます。罹災者は、死者八名、重傷一名、計九名でございます。高松炭鉱の第二坑は、現在在職四百四十名でございまして、一月におおよそ五千トンの炭を出しておる炭坑でございます。  当坑は撤収作業に入っておる炭坑でございまして、撤収作業に伴う残炭採掘をやっております甲種炭鉱でございますが、発生個所はその中で第二中卸巻き場付近残炭中割れ方式のぼり掘進によって採炭いたしておりまして、のぼり幅は十メートルの広幅掘進でございました。炎害当日、当該個所に就業しておりました鉱員八名が七時に入坑いたしておりますが、その後坑内を巡視いたしておりました係員が異常な圧風を感じまして現場に参りましたところ、片盤坑道において罹災死亡いたしております一名を発見、収容し、他の七名はそのときは行くえ不明であったわけであります。直ちにその後七名についての救助を行ないまして、捜索を行ないました結果、爆発現場におきまして残りの方の死体発見いたしました。その日の七時ころ、その遺体を収容をいたしたのでございます。  なお、もう少し詳しく申し上げますと、災害現場は五尺層の残炭採掘を行なっておる個所でございますが、撤収を兼ねました採炭作業請負業者によって実施をされていたものであります。採炭は、先ほど申し上げましたように、残炭中割れ方式によるのぼり採炭でございますが、災害個所にはそのほかに一、二、三、五の各のぼりのすでに採掘を終わりました個所がございます。災害発生いたしました四のぼりは、三のぼりと五のぼりの間に設けられました約十メートルの広幅掘進の場所でありまして、二方の採炭を行なっておる個所でございます。災害時までに約三十六メートル程度進行いたしておりまして、災害当日は八人の従業員がその採炭に従事し、八時ころから作業についたものでございます。先ほど申し上げましたように、係員が風圧を感じまして現場に参りましたところ、一名の死体発見、直ちに収容いたしますと同時に、残りの七名につきましても、その後の救出作業によりまして、七時ころ遺体を収容いたしました次第であります。  また、そのほかに、災害発生直後現場に参りました副保安管理者及びほか一名が、現場に参ります途中でガス中毒を起こしまして、一名はごく軽度で休業に至らざるものでございましたが、一名はその後入院加療中でございます。  災害個所でございます四のぼりに対する通気といたしましては、二のぼりの口の手前に、排気風道となっております二のぼり手前に、六馬力の電動局部扇を設けまして、ビニールの風管による通気を実施していたのでございます。  なお、その後の状態につきまして、災害発生と同時に福岡鉱山監督局より五名の鉱山監督官現地に急行いたし、なお本省の保安局からも監督官が直ちに参りまして、目下詳細な事情をなお調査を継続いたしておる次第でございます。  このような事故が、これまでも十分注意をいたしてまいっておったのでございますが、それにもかかわりませず、再びこういう事故発生いたしましたことは、まことに恐縮に存ずる次第であります。
  9. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの高松炭鉱ガス爆発説明について、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 原因調査中でまだわからぬということですから、一、二質問したいと思うのですけれども、新聞で拝見した限りでは、罹災者組夫だということになっておったと思うのですが、そうですが。
  11. 川原英之

    政府委員川原英之君) お説のとおりでございます。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、お尋ねしますが、採炭組夫が従事してよろしいのですか。これは撤収作業だからということで言われておるけれども、組夫採炭に使っていいのですか。
  13. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 合理化鉱の中で請負夫使用につきまして制限を加えておりまして、使用承認をやっておるわけでありますが、経常作業につきまして承認を与えておりまして、本件につきましても、撤収作業でございますので、使用承認をいたしておるわけでございます。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 撤収作業にしても、これは撤収作業の場合、あるいはワクを撤収するとか、あるいはレールを撤収するとか、機械を撤収するというのならわかりますよ。しかし、撤収の場合でも、採炭をするというのは生産なんですよ。炭鉱のこれは商品なんです。あれだけ有沢調査団の答申の場合に、直接夫について組夫やその他を使わないということをあれだけ約束しておったにもかかわらず、撤収という名のもとに採炭組夫がやっておったということは、これは監督官としてもそれをまた許可したということについては、私は大いに疑問を持つのですが、いかがですか。
  15. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) この合理化鉱の面で請負夫規制してやっておりますゆえんのものは、いま先生のおっしゃいます経常作業臨時的なあれを使っておりますと、それだけ経常に働いておられる人の就職問題にも関連をいたしますので、したがって、臨時的な仕事についてはやむを得ないけれども、経常的にずっとやる仕事についてはこれは請負夫を使ってはいけない。先般五十七条の二ということで、大臣承認通産局長名でやっておるわけでございますが、本件では撤収によってどんどん減っておりますので、むしろ請負夫でもよろしいという考え方承認をいたしておりますが、したがって、経常的な採炭についてはいけないと思いますけれども、撤収でやっておりますので、それが終わりますと、その仕事がなくなります。そういう意味では、やはり経常的にずっと常用労務者であっては、その間にまたいろいろな問題が起こりますので、したがって、臨時的な請負夫を使ってもいいという考え方でやっておるわけでございます。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 調査団と審議した場合は、そういうことではないはずなんですね。やはり基本理念となっておるものは、商品を直接生産するものはこれは直接夫でなければならぬのだ、こういう考え方から出発しておるのだと私は思うのです。それが、たとえ撤収作業であっても、残炭整理採炭夫として採炭をやっておるということになってくれば、私はあの考え方と非常に違っておる、またそういうような解釈をなされて業者に有利なように石炭局解釈しておるのじゃないか、こう思うのです。この石炭は、当然これは商品として出ておるはずなんです。そうしますと、これをそれじゃ拡大解釈するなら、これはうちの山はいわゆるあなた方が算定した数十万トンの買い上げ炭鉱に該当するなら、該当すると認めた場合は、これは全部組夫でいいじゃないですか。全部組夫で、あらゆる危険をおかしてあるだけの石炭を掘ってしまえばいい、どうせこの山は売るのだということになってくれば、寿命の短い炭鉱は全部組夫でやればいい、こういうことになるわけなんですよね。やっぱり買い上げ申請をする場合でも、いいところの取れるものはみんな取るわけなんです。そうすると、組夫採炭を行なう、こういう結果になると思うのですが、それはいかがですか。
  17. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 確かに採炭仕事と申しますのは経常の場合が多うございますので、採炭については常用労務者を使うということが至当でございます。そういう考え方でございますが、本件のようにいよいよ撤収が始まっておりまして、撤収をやる上で残炭採炭をやっております関係上、請負夫でもむしろ臨時的なもので経常的な仕事でないという趣旨で承認を与えたわけでございまして、おっしゃいますように、経常的な採炭につきましては、これはあくまで常用労務者を使っていく。しかし、採炭だということにつきましては、先生のような御意見もございましょうけれども、撤収をやっておる臨時的な仕事ということで承認を与えたわけでございます。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 ちょっと関連して一言聞きますがね、石炭局長、あなた御承知おきないか勘違いしておるのじゃないですか。この報告書が正確であれば、こう書いてありますよ。「災害発生ケ所部内には一、二、三、五の各昇の既採掘ケ所があり、災害発生した四昇りは三昇、五昇の中間に設けられ昇り幅約十メートルの広幅により二方採炭を行なっているケ所であり災害時までに三十六メートル程度進行していた。」と書かれている。十メートル幅の広幅掘進なんて、日本じゅうで聞いたこともない。明確に二方採炭をやっていると書いてある。全然あんたの答弁、それは当てはまりませんよ。どこに、あんた、十メートル幅で三十六メートル進行して二方採炭をやっているというところがあるか。あなたのおっしゃるような、いかに曲げて解釈しても、そういうことにはなりませんよ。これは、いい悪いは別問題です。そういう解釈で、今後、十メートル幅で三十六メートル、二方採炭……。それが掘進現場であり、保安炭柱保安炭壁だろうと思うが、そういうように御答弁を曲げては困りますよ。関連して一言お尋ねします。
  19. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 先ほどから申し上げておりますのは、採炭をしておらないとは申しておりませんので、第二坑が撤収の段階に入っておりますから、撤収のための採炭をやっておるということを申し上げたわけです。  もう一つ、そのとき申し上げませんでしたが、従来請負夫を使っておりまして、そのあとで経過的になるべく常用労務者を使いなさいという指導をやっておりますが、その間の経過期間といたしまして、ことしの一月十五日まで、一応一ぺんにぱっとできないということで組夫でやっておりますが、その面で順次できるだけ請負夫をやめまして常用労務者のほうにやってまいりたいという指導をやっておるわけでございますが、何ぶん一月十五日でございますので、その間の実際上の処理は若干おくれているかと存じますが、本件につきましては、あくまでも撤収のための採炭であるということで、こういう形でやっておる次第でございます。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、まあ残炭を整理しておるということですが、どのくらい残炭があって、どのくらいこの採炭に時日を要するところなんですか。
  21. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) ただいま詳細がまだ入っておりませんですけれども、ただ現在、ここに書いてございます採掘と申しておりますけれども、これは二本の水平幹線坑道間の保安炭壁採掘していたものであるという報告を受けております。いま御質問のこまかい炭量その他につきましては、手元にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは確かに保安炭壁保安炭柱を取っておるのに相違ないと思うのです。そうすると、そのあとはどういう処置をされているか。そのあと鉱害処置についての問題で、またこの法案が出ておりますが、私が某所で聞いた範囲内においては、撤収する場合は、取るだけ取ってしまって、あとはどうなってもかまわぬと。柱も何もみな持ち上がっている炭鉱があるのです。だから、この撤収したあと水害調査をやったところが、全然はいれない。あとはどうなってもかまわぬということなんです。だから、これも、保安炭柱保安炭壁か知りませんが、おそらくそのいずれかだと思うのです。それを取る場合にはどういう措置をされているか。取って、ばらして、逃げてきおるのか、どうしているのか。
  23. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) いまの請負夫でやっているから、あとの問題、たとえば鉱害保安につきましてどうだということでございますが、これはみな同じでございまして、鉱害については当然鉱害措置をやってまいります。保安につきましては、保安の面から見た請負夫使用制限もございます。保安関係のほうでやはり監督をやっておるわけでございまして、私どものほうはむしろそれとは別個の意味における常用労務者に対する問題等からいたしまして、請負夫承認をやっておるわけでございますが、保安関係その他につきましては保安局でやっているわけでございます。
  24. 川原英之

    政府委員川原英之君) その採掘の、保安炭壁を掘りましたあとにつきましては、なお現在詳細に調査をいたしておりますが、通常の保安上の措置をとっておるわけであります。
  25. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連して。その説明が実になっておらぬです。保安炭柱なり保安炭壁を取るということは、今後の保安を守るためにやっているわけじゃないのですよ。坑道を一本掘ったら地盤沈下なんかしたりするために、炭は何メートル残しておかなければならないというちゃんと許可が出ておるわけです。保安局から。それと同時に、ここは何メートル幅で、炭層は一メートルであるとか二メートルであるとか、炭層は幾らで何万トン残しておけということなんだが、爆発せぬうちにどれだけ石炭があるということはわかっているはずなんです。いま調査中なんということはおかしい。すでに爆発しないうちに、たとえばそれに一本の坑道を掘る、右も左もその坑道が危険だといって、石炭を残しておく。石炭局長調査中だというのは、てんでおかしい。初めから、どれだけの石炭を何メートル残しておくということになっておる。  それから、先ほど常用人夫とか臨時だとかおっしゃっておるが、十メートル幅でとにかく三十メートル、四十メートル——今日まで三十六メートル掘っているというから、完全な採炭ですよ。ぼくは福岡保安監督局に行けばわかるのですが、採炭と掘進の区別は、そういうことで区別はしておらない。そういう御答弁でやるから、こういう事故も起きるわけです。調査せぬでも、すでにわかっておって申請しているはずです。その申請に基づいてやっているわけだ。将来の保安確保のために保安炭壁があるのだが、この場合には保安確保をする必要がなくなったから、福岡鉱山監督局でこれを認めて採掘さしているのですよ。答弁が逆です。
  26. 川原英之

    政府委員川原英之君) 地表の陥没につきましては、それのないように、炭柱を残して採掘していると思います。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 どうも資料が少ないし、お互いにこういう状況じゃないだろうかという憶測でものを言っているので、局長答弁も非常に私が納得するような答弁じゃないのですが、いま阿部委員が言うたように、十メートル幅で三十六メートル掘っておったということになると、これは普通の撤収作業とは思えないくらいのものじゃないかと思う。二方採炭でやっているでしょう。そうすると、その場合は保安設備も十分考えていかなければならない。これはしかし、撤収作業だから、おそらく保安設備なんか考えておらないと思う。そこにこういう災害が起こったのではなかろうか、こう思うのですよ。だから、たとえば、残炭整理をやっておったということはわかるけれども、残炭整理はやるにしても一、あまりにも大がかりな残炭整理であるし、正式な採炭を行なっておると、こうしか見られないわけです。そうするなら、それに対する保安設備というものは十分考えておかねばならない。だから、ちょっと私は、組夫が掘るような採炭じゃないのではなかろうか。当然常用労務者が掘らなければならない性質のものじゃないか、こう思うのですよ。そこに撤収作業ということについての私は手抜かりがあったのではないか。ここをひとつ。  もう一つは、ごくわずかなもの、数行しか書いてない資料ですからわかりませんが、もう一つ心配するのは、現場の八名がやられておるが、通行中の係員が正風を感じて現場に急行した。これは一番危険なことなんです。もちろんそういう行動をとらなければならないでしょうが、その係員がどのくらい装備して行ったろうか。その後の救護隊さえあとガスでやられている。圧風で音がした。これはガスだと思うでしょう、おそらく。それで急行して、あとガスだったからその人がやられているでしょう。その人も組夫であったかどうか、その係員という人は。だから、どうしても私は保安問題について——その人は幸い助かって、一人死んでおるのを見つけてきた。それは非常に勇敢でいい行動ではありますけれども、しかし、その次の救護隊でさえも、いま重傷で一名入院しておられる。こういうことであれば、圧風を感じて、音を感じて現場に急行したということになってくれば、おそらくその人があとガスでやられておったら、これは相当な時間を経過しなければわからぬ、こういう危険性があったと思うのですが、どういう装備をされておったのか、その人は常用係員であったのか、あるいは組夫係員であったのか。保安職員資格を持っておられたのかどうか。その点、ひとつお聞きしておきます。
  28. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 前段の点でございますが、石炭局のほうで、請負夫を使うときの規制といたしまして、合理化法でやっております考え方と、それから請負夫を使いましてやる場合の保安のあり方なり保安監督なり、これは別個でございまして、私のほうは請負夫規制につきましては、常用労務者との関連でものを考えてやっておるということでございます。したがいまして、いろいろごたごた申し上げましたけれども、そのあと、御承知のように、鉱山保安法におきまして、やはり二十三条の二において、「使用人以外の者を従事させることに伴い保安のため講ずべき措置を定め」ましていろいろやっておるわけでございますので、その面では、鉱害といい、保安といい、同じように考えて監督をやっておるということを申し上げたわけでございます。
  29. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿具根先生から御指摘のございました点は、組夫でございまして、組夫資格を持っておる係員であると、かように報告を受けております。その最初現地に参りました係員は、装備なしで行った模様でございます。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 三池の大災害のときに、通産大臣は、全員装備するだけのマスクその他を準備してやるということに言われておったし、甲種炭鉱でございますから、当然その準備はあったと思うのですが、これは撤収作業なるがゆえにそういう準備をしておらなかったといえば、私が最初から質問しておるその点に戻ってくるわけなんですね。そうすると、この撤収作業をやっておるところは、廃坑じゃないのだから、まだ人間が入っているのだから、これは甲種炭鉱のはずなんですね。それにそういう装備ができておったか、できておらなかったか、その点をひとつ。
  31. 川原英之

    政府委員川原英之君) この高松二坑におきましては六十五個、一酸化炭素マスクを設置してございまして、今回参りました中で三個だけ使用しておるということでございます。
  32. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 関連原因調査中ということで、いま阿具根委員から聞いたように、何かこうはっきりしないわけなんですが、新聞の報道によりますと、現場小坂署長が急行している。ところが、その原因について若干の発表をしておるわけですね。それによると、ガス爆発原因は、電気大型ドリルがあるのですね、そのドリルスパーク坑内にたまっておるガスに引火したのだろう。またつけ加えて、二十九日は日曜日、公休日だったから、扇風機をとめておったのですね。それで、三十日の朝これを急に、入坑と同時に扇風機を回したから、そのガスと空気の混合ガスができて、ちょうど爆発するような、都合のいいようなかっこうになっていて、スパーク爆発した、こういう発表新聞でやっているように思うのです。これ事実であるとすると、どうも、いまおっしゃったように、なかなかいまこの撤収をしているという炭鉱についての保安が非常にお留守でなかったか、手抜かりが多かったのではないかという気がするのですが、いかがでしょう。
  33. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま小宮先生から御指摘のございましたことにつきましては、新聞にはそのように出た新聞があったようでございます。ただ、具体的には、現在まだ鉱山監督局長自身坑内に入りまして種々調査をいたしている次第でございますが、いろいろの原因が考えられるのではないかということをただいま報告を受けております。  なお、この現場につきましては、入坑三時間前のガス検定はいたしておりますが、これは比較的少ない量の記録になっておりまして、そのほかにどういう理由ガスが押し出してきたか、それからさらにいまお話のございましたオーガーの修理をどういうふうにやっているかということにつきましても、いろいろ現地において事情を聴取いたしておりますけれども、そういういろいろな原因をいま鉱山監督局長みずから推定をいたすと同時に、その一つ一つにつきまして現地調査を進めている次第でございまして、具体的な正式なものはもうしばらく時間をいただきたいと思います。
  34. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 一部の新聞にはそういうように出ておったということですけれどもね、その新聞を一〇〇%信用したというのでなくても、とにかくガス爆発をした、こういうことだけはこの報告でも確認ができるわけですね。その中で、とにかく入坑するときはガス検定しなければいかぬでしょう。これは何といっても、第一はそのガス検定をするというのが、これは条件だと私は思います。入るならば。ところが、その新聞の報道にはガス検定をしていなかったようだと、こうはっきり書いてある。だから、その爆発が起きたんだと、こう思うのですね。だから、いま阿具根委員の言っているようなマスクの点もほとんど装備はしていないし、ガス検定さえも入坑時にやっていないという事実があるとするなら、これはしろうとが考えても、全く保安については、まあ炭は掘ればいいのじゃないか、あとはつぶすんだからと、こういう安易な、まあ実に人間の命を尊重されない、もってのほかのやり方ではないかというふうに私は考えるのですが、どうでしょう。
  35. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま小宮先生からいろいろと御指摘を受けまして、われわれもなお十分に検討をいたしたいと存じますが、このガス検定の問題につきまして、災害は月曜日の朝でございまして、甲方と乙方とございます。甲方のほうの係員は確かに、他の個所監督をやっておりまして、そこの現場に回ってくる前だったようであります。また、その前のほうの乙方で記録をいたしましたものは〇・四%という数字となっておりまして、これは入坑三時間前のガス測定はやっていることになっております。それで、その状態で、おそらくその次の甲方のガス測定を、来る直前に、来る前であったと思いますが、そのガスがどういうふうな理由で、まさしく小官先生の御指摘になりましたように、ガス爆発でありますが、そのガスが三時間後に急にそういう状態になっておったかどうかということにつきまして、現場のいろいろ状況やその他を現在詳しく調べておる最中でございます。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 いま小宮委員からのガス検定のお話も出ましたが、これだけの石炭を掘るならば、保安日誌はつくってあったでしょうね。保安日誌を押収しましたか。保安日誌に、これは甲種炭鉱だから、当然ガスは毎日のやつを検定しておかなければならぬはずですね。しかも係員が、いま言われたところでは、組夫である。これはわずかの残炭を後退しながら整理してくるということは、これは考えられぬわけでもないのだけれども、そういうやり方でなくて、相当大がかりな採炭をやられた。ところが、これは撤収炭鉱だから、保安を非常にないがしろにされておった、こうしか見えないわけなんですよ。ところが、保安炭壁にしろ、炭壁を掘っていくということになれば、これは相当の問題なんですよ。撤収する途中において残炭を整理するということはありましょう。しかし、撤収する途中においてじゃなくて、撤収するから残っておるやつを商品として掘り出しておるわけなんです。撤収するための残炭整理じゃないのです。撤収に伴って残っておるやつは少しでも掘り出してしまえという、これは生産なんですよ。そこが考え方が違うのですよ、私らと。撤収のための退却の途中の残炭整理とかなんとかいうのならわかる。それだけ、十メートル幅で三十六メートルも掘っても、まだ掘らなければいかぬ。採炭二方入れているとするなら、当然それは常用労務者でやって、あと撤収組夫にまかした、これならわかるのです。これはそうじゃないのです。それは保安局は、ただ単なる撤収作業だという考え方で、組夫に生産をさせておったというところに大きな問題があるし、石炭局長もそのとおりですね。閉山を求めて撤収させるならば、どのくらい残炭があってどうするのだということはわかっておるはずです。それをこういうように正式に採炭をやっておるなら、これは組夫がやるべきものじゃないです。それを混同されておるから、通常撤収作業ならば、新しく坑道を掘るとか新しく石炭を掘るということではないから、これ以上ガスは出てくる心配はまずない。だから、五馬力くらいの扇風機でビニール管で私は浄化されておったと思うのです。採炭をこれだけ続けるならば、それでよかったろうか、あるいは日曜日で扇風機とめておったのが、それがいいかどうか、こういう点から非常に疑問が大きいわけなんです。  だから、保安日誌はどうであったのか、それから組夫係員の方が、これはおそらく炭鉱の離職者だろうと私は思うのですがね、保安係員資格を持っておられたということですから。そういう点について、もうすでに調べがついておったら、知らしていただきたいと思います。
  37. 川原英之

    政府委員川原英之君) 保安日誌は現在監督局で押収しております。その保安日誌によりますと、ガスの検定でございますが、日曜日の甲方、乙方のガス測定の結果が記録されております。甲方の記録によりますと、二度とも〇%でございます。乙方の記録によりますと、〇・四%、〇・四%となっておりまして、この限りにおいては一応保安日誌に記録は残っておるようでございます。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 石炭局長、いまの撤収に対する考え方
  39. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) いまの撤収の場合の採炭の量と、それから請負夫承認の問題でございますが、先ほど申しましたように、大臣承認でございまするけれども、通産局長に権限を委任してやらしております。いまお示しの点は私どもも十分考えなきゃならぬ点かと思います。現在、日炭の本件につきましては、先ほど申し上げたような考え方で通産局長承認やっておりますけれども、こういうふうな事態になっておりますので、それがいいかどうか、御趣旨の線に沿いまして実情を見て、私どももそういう御趣旨のような方向で請負夫使用につきまして処理をやってまいりたいと、こう考えております。
  40. 阿部竹松

    阿部竹松君 保安局長、十時二十分というのは正確にはわからぬわけでしょう。爆風を受けて某係員が感知した時間ですか。
  41. 川原英之

    政府委員川原英之君) さようでございます。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 十時二十分というのは正確にわからぬというのは、あなたのおっしゃる三時間前というのは何をさしてガス検定したかわかりませんが、その作業にかかるとき必ず当該係員ガス検定さして作業させなければならぬという保安規程なり保安規則がある。そうすると、その六時ごろ保安係員が入っておったのですか。あなたの答弁からいくとそういうことになる。しかし、私はそうでなかろうと思うのですが、このまあ推定時間ですから、その間食い違っているのじゃなかろうかと思うのですが。  それと、もう一つ、私どもが撤収ということは、そこの坑道が要らなくなった、切り羽がなくなることによってあの坑道が必要でなくなったから、そこにいままで施設してあった軌道を撤収する、膨大な金ワクを撤収する、あるいは崩落をさせてガスがたまらないような方法をすると、こういうことは一般通念上の、これは九州も北海道も同じですが、撤収作業というのです。したがって、二方採炭でやるのは、これはとても石炭局長のおっしゃるような撤収作業のうちに入っておらぬのですが、いつから通産省がそういう新解釈使用したかわからぬけれども、これはふに落ちない。  もう一つお尋ねしたいことは、これは何という組で、正規の資格を持った保安係員というのはこの組におるのですか。
  43. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿部先生指摘のごとく、十時二十分と書いてございますのは、その正風を感じた瞬間でございます。  なお、私少し先ほど答弁が正確を欠きましたが、この三時間前と申しましたのは、八時に甲方が入坑いたしておりますので、その前の乙方で測定をいたしましたものが三時間前ということでございます。それで、なお甲方の係員の測定がその事前になされていなかったということにつきましては、先ほども申し上げましたように、その現場につきましての測定が甲方についてはなされておらなかったということは、そのとおりであると報告を受けておりますが、この点につきまして、なお具体的な事情を現存聴取いたしておる次第であります。  なお、請負業者は千代田鉱業という請負業者でございます。係員につきましては、すべて係員資格を持ったものがその任についておるという報告を受けたのです。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 私はこの罹災者を出した組は何という名称か知りませんけれども、その組に保安の有資格者がおるかどうかということをお尋ねしておるのですがね。それが保安局でおわかりにならぬということであれば、これはきょうはよろしいですが、しかし、保安局長、あなたの御答弁、あなたを別に追及する意味でなしに、一番方は七時か八時に入坑すると、晩の四時か五時に出てしまうわけでしょう。労働基準法によって、そんな十時間も十二時間も働かぬわけですから。そうすると、甲方、乙方でもけっこうですが、一番方、二番方でもけっこうですが、三時、四時に入坑するわけです。午後の十二時近いときに昇坑してしまうわけでしょう。そうすると、とてもあなたのおっしゃる三時間前であるか、あるいは午前三時かは別として、そのころ係員が残っている筋合いのものにじゃないのです。当然保安巡視といって別に午前零時ごろ入る人がおれば別ですけれども、いかなるように情勢分析をわれわれが推理をしたとしても、とてもあなたの答弁どおりにはならないわけだ。一方が十二時間ずつ入っておれば、あなたの御答弁が成り立つ。しかし、そんなに働いておる炭鉱はありませんよ。白炭高松も労働強化があるそうですけれども、といって十時間も十二時間も入っていない。そうすると、係員がぽつんとそこにおったかという、ぼくはその点どうもふしぎでたまらぬわけです。決してあなたを間違いであるからという指摘をして申し上げているのでないので、どうもいつも炭鉱爆発のたびに明確な災害原因というのが明らかにされていないから、将来のためにお尋ねしておきたいわけです。
  45. 川原英之

    政府委員川原英之君) 前日は公休日でございますために、検定の当該係員公休日には特に配置をしてあるという報告でございます。
  46. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 どうも、私は資料がないから質問するのはやめたのですけれども、八時に入坑したのでしょう。その前、三時間前に検定したという。公休日扇風機もとまっているんでしょう。とまっていたというのですよ。入坑と同時にその扇風機回し始めた、私の聞いているところでは。そこで、入坑町に検定をしないものだから、空気との混合ガスができて爆発する状況ができていた、こういうように聞いておりますが、おっしゃるとおりにいうと、公休日扇風機を回していないのに、係員がぽつんと三時間前に、四時か五時に入って検定するのですか。どうもその点わかりませんが、あなたの責任だかなんだか、どっちか知りませんけれども、はっきりそこのところはしていただきたいと思うのですね。
  47. 川原英之

    政府委員川原英之君) ガス検定をいたしますときには、扇風機を回して検定をいたしたと存じます。その後また扇風機をずっと動かし続けていたかそうでないかということにつきましては、なお調査中でございますが、そういうふうな形で、保安日誌によりますと、乙方の検定係員が検定をしたという記録になっておるわけでございます。
  48. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 私は専門家ではないから、こまかいところまで聞きませんけれども、三時間前に扇風機回して検定やった、ところがそのときには〇・四%しがなかったというのでしょう。そうすると、検定やったら、ずっともう扇風機とめたか続けておったかわかりませんけれども、いまのお話では。ところが、私の聞いているところでは、扇風機とめておった、こう聞いているわけです。だから、そういうガスがたまっていたのだと、三時間のうちにそういう危険なガスがたまるような状況の炭鉱であったというようにしか考えられないわけです。あまり推理がきびしいとは思いますけれども、その点どうも私にはわかりませんけれども、明確にもう少ししていただきたいと思います。
  49. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま小宮先生から御指摘のございました、急にガスが出るものかどうかという点につきましては、鉱山監督局におきましてもやはり同じような疑念を持っておりまして、現在長時間扇風機をとめて、どのくらいガスが鉱内に停滞するのかという試験を現在やっておる次第でございまして、この試験の結果によりましてその辺の推定をつけたい、かように報告してまいっております。
  50. 小宮市太郎

    小宮市太郎君 一つだけ明確にしておきたいんですが、八時、一番方といいますか、甲方というんですか、それが入坑する直前には、検定はしていなかったということは明らかでございますね。
  51. 川原英之

    政府委員川原英之君) それはそのとおりでございます。
  52. 剱木亨弘

    剱木亨弘君 関連。日炭高松災害は、その災害の員数からいえば三池の問題と比べものになりませんけれども、しかし、われわれしろうとで聞いておりましても、撤収作業中の採炭で、まあ相当くいを使って採炭をやっておった。しかも、撤収作業中であって保安が十分な注意を行なわれていなかったんじゃないかというような、いろいろな疑点があると思うのです。いまいろいろ質疑応答を通じて聞いていますと、役所側のほうの調査もまだ不十分、なお原因もまだおそらく阿部委員が言われるようにわからぬだろうと思いますが、「調査中」とございます。いまの質疑応答の過程におきまして疑問になりました点等、十分保安同等でお調べいただきまして、再度これについてもう少し説明なり資料をいただいて、御質疑なり審議をしていただくことにしたらいかがでしょうか。
  53. 阿部竹松

    阿部竹松君 剱木さんのお話は、それでよろしい。私はいままでわかったことお尋ねします。  保安炭柱を残して採炭をやる場合は、あなたのほうで許可しておるはずだ。どこからどこまで何メートル、何尺幅で採炭をやるかということで、本省はわかっておるかどうかはわからぬけれども、福岡通産局なり福岡監督局で許可しておる。それを、調べてみなければならぬということはないはずだ。すでに作業が始まるときに許可しておるわけだから、爆発するしないは別問題として、それが調査しないとわからぬということになると、許可を得ないで採掘をやっておったということになる。しかし、おそらく九州でよくある斤先掘りとかタヌキ掘りではなくて、日炭高松というのは大手十八社の中に含まれる炭鉱ですから、そういうことはやっておらぬと思う。そうすると、少なくとも明確にわかっておるはずだ。そこで新しい切り羽をつくって採掘をする場合は、上のほうから掘っていく。上のほうから掘っていって、だんだん下のほうにいくために、坑道維持をする必要があるので、保安炭柱を残しておるわけです。撤収の場合は逆に戻ってくる。底のほうから掘ってくる。それを一つ一つあなたのほうで許可しておる。これはもう通産省の石炭局長の言う、あるいはこれは撤収だなんというのはでたらめもはなはだしい。これはそんなもの、常識も何も、私は初めて聞いたんですが、そういうばかげたことはあり得ない。ですから、許可して、その扇風機をつけることから、あるいはどのくらい石炭を掘ることから、進行日程までちゃんときまっておるわけですよ。いきなりどんといった筋合いのものではない。そこらあたりが一つもわからぬということでは、了承できません。そこらあたりが一つもわからぬということについては、これは了承できません。そのくらいのことわからぬというようなことないはずだ。  まあ剱木先生のおっしゃったように、初めもう現地で働いておった人がなくなったから、まあ電気のスパークか何か火花が散ってやったか、その原因あとでもよろしいんですけれども、しかし、いま起きた原因はまのあたりわかるわけですから、そこらあたりは明確にお示し願わぬと、われわれは討議の素材がない。
  54. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 確かに通産大臣承認事項でございますが、その承認する範囲は、作業の種類、それから従事させようとする期間、その他のことを定めてやっておるわけですけれども、先ほど申しましたように、現場でいろいろ実態を見ながら承認をやってまいりますので、当然先生のおっしゃいますような細部についてそれを見きわめた上で承認をやっておるわけでございますが、現場仕事でございますから、通産局長に権限を委任いたしまして、通産局長のほうでは、おそらく現場の支局とか、そこにはちゃんと帳簿もあろうと思います。それまで、まだ私どもこまかい点までつかんでおりません。いまのお示しの点は十分つかみまして、明快な御答弁のできますようにいたしたいと思います。さような事情でございますので、御了承いただきたいと思います。
  55. 阿部竹松

    阿部竹松君 爆発してから一週間にもなって、この前三井で四百五十名と三百名近い重症患者が出たときに、こういうことが起こらぬように努力しますと。まあ努力したでしょう。しかし、一週間もたって、初めの犠牲者が出て、ここで聞かれたからということで——きのう起きたんじゃないんです。一週間も前に起きたのがわからぬなどということは、これはちょっと、もの足らぬとは言いませんけれども、もう少しお調べになって報告するのが、あなたたちの責務と義務じゃないですか。  それから、もう一つ、たとえば、この保安の確保維持のために通産当局、保安監督部では許可しているはずなんです。ここは何インチの風管が必要ですよ、ビニールの風管でよろしゅうございますよ、風管は要りませんよ、あるいはここは何馬力だ、一分間にとにかく何立方メーターの排気なり入気なりやりなさいと、指示しているわけです。しかし、これは局部扇風機であって、作業開始と同時に扇風機が動くことになっているのでか、それとも、平素扇風機作業中止中といえども動かさなければならぬことになっているんですか。
  56. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿部先生から御指摘のございました問題につきまして、この風管の全体の高松炭鉱に対します監督につきましては、これまでたびたび、そういう通気の問題及び炭じんの問題につきましての指示、警告を幾たびか発しております。ただ、その当該個所につきましての風管の延長ということにつきまして、当該個所についての指示ではなくて、全体的に二坑についての通気をよくし、かつ坑道の拡張を、通気をよくするようにという意味の通達を二月に出しております。で、この実施方について保安部長その他に幾たびか警告をいたしておった次第であります。ただ、それにもかかわりませず、こういう事態が起こりましたことにつきまして、きわめて遺憾に存じておるわけでございます。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 剱木委員の発言もありましたので、質問をあまり長くならないことにいたしますが、石炭局長にお尋ねしますが、この高松炭鉱の二坑は四百四十名まだ労働者がおるんですね。この四百四十名は全部組夫ですか、どうなっていますか。
  58. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 高松炭鉱のほうは、現在三千八百三十七名の常用労務者を持っております。いま問題になっております二坑のほうは、請負夫で全部やっておるということであります。
  59. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、四百四十名の組夫が入って月産五千トンの石炭を出しておると、こうなんです。どうですか。たったこのくらいの資料ですけれども、四百四十名の労務者がおる。二坑は全部これは組夫だ。月産五千トンです。月産五千トンといえば、日産二百トンです。これが採炭をやっておるのは組夫で、撤収したからだなんて、そんなことどこで通りますか。一日に二百トンといったら、中小炭鉱でもよかとこですよ。月五千トンですよ。これは撤収のためだけの残炭整理じゃないのですよ、この場合は。大会社と同じですよ。それは寿命は少ないでしょう。だから、撤収作業とは言われるけれども、撤収撤収する炭坑組夫を四百四十名入れて月産五千トン出しておいて、そうして調査団の意思に反しませんと言われるのがわからない、私は。そういったらみな組夫でやりますよ。これが組夫でやられたらどうですか。あなた方は、こういう事故が起こるたびにいやな思いをされるし、私らももっともっとほかの質問もうんとしたいのですけれども、こういう問題ばかり質問しなければならぬのですけれども、あまりにも見えすいたあなたたちの答弁じゃないですか。立場はわかりますよ。しかし、人命というものに対しては、なぜもっと会社が悪いなら悪いとおっしゃらないのですか。なぜそうしなければできないならできないとおっしゃらないのですか。こうしなければ人間が集まらぬということなんでしょうか。人がいないということなんでしょうか。だから、組夫でやらしておるというのが現実でしょう。だから、もっと率直に話をしてもらわぬと、ただここでは儀礼的にお答え願ったと、儀礼的にここで審議をした、こういうものじゃないのです。月産五千トン出しておるというなら、りっぱな炭鉱です。それを組夫がやられるというなら、私たちは、それじゃ合理化をあれだけ推進してもらった意味がどこにありますか。こういうのを許可されるのがわからないのです。人が足りないからやむなくこれでやっているのだ、寿命が少ないから——それならそれのようにはっきりおっしゃれば私はいいと思うのです。  ただ、撤収炭坑だからこれは組夫でいいのだというなら、私は一等最初に申し上げましたように、これは二年後石炭がないから、三年後ないのだ、四年後どうなるかわからぬからというなら、組夫に全部やらせればいいのです。だから、ただ残炭整理で、まあたまたま何十トンか何百トンかのものを何カ月か何日間で片づけたという問題じゃないのです。これは。月五千トン出ているでしょう。どうなんです。
  60. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) お話のように、月約五千トン、四千七百トンかの生産をいたしておりますが、これも実際にいままでの坑道をだんだん下がってまいります際に、残っている柱を撤収しながら掘れる炭を掘っていくという形でございます。なるほど、数量から申しますと、こういう場合の承認を与えるについて疑問の点もあろうかと思いますが、通産局長のほうで承認をいたしておることは事実でございまして、その際の考え方としては、先ほども申しましたような考え方でやっておると思いますけれど、現実それでいいかどうかという問題は、また別途あろうかと思います。また、いまお示しのように、非常に常用労務者が足りないという関係上、請負を使わざるを得ないという事情もあろうかと思いますが、本件がそうであるかどうか、こういう点をもう少し私どももしさいに速急に取り調べをいたしたい。なお、今後請負夫使用等につきましては、そういう事情をにらみ合わせまして処理をいたしたい、こう考えております。
  61. 阿部竹松

    阿部竹松君 石炭局長のおっしゃる鉄柱とか金ワクとか、軌道じゃないわけです。これは。一のぼりから五のぼりまであって、いま三と五の間を始めたというのですが、主要坑道を何百メートルか何千メートルか掘さくして、それを主要坑道に使うときに、その付近に炭層があれば、右、左何十メートルか何百メートル残しておくわけです。これは撤収じゃないわけです。主要坑道をあれするとき、あなたのほうの許可を得て。それを下のほうから取ってきて、まだあるはずなんです。これは必ずあなたのほうで許可しなければ掘られぬ、主要坑道を維持するために。それをやっておるわけです。現実に採炭として。だから、これは撤収じゃないわけです。全然違う。それも阿具根委員のおっしゃったとおりですが、あなたのおっしゃるように、鉄柱や何かだったら問題にならぬ。特に高松炭鉱というのは、三池が去年のあの大災害が起きたのです。これは災害です。日本一の。しかし、高松炭鉱というのも、御承知のとおり、日本有数の重軽傷の犠牲者の出た炭鉱です。この表で見ると、副保安管理者坑内へ入って、一酸化炭素だろうと思うのですが、やられた。中毒というだけですから、一酸化炭素だろうと思うのですが、やられた。こういうことですから、いかに保安については不熱心であり無防備であったかということが、この一事をもってもわかるのですが、そこでお尋ねすることは、この個所は人気であったか排気であったか、あるいは入排気でなかったらどちらに近かったか、こういうことをお尋ねいたします。
  62. 川原英之

    政府委員川原英之君) 人気と排気の間の個所であったと思います。
  63. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは保安局長さん、人気と排気の間というのはないわけです。それはないわけです。そういうことは。どちらに近かったかということであればあれですが、人気と排気どちらでもないということだったら、全然風が通らぬわけです。そういうことはない。
  64. 川原英之

    政府委員川原英之君) 風管によりまして入気いたしまして、坑道に排気をすると申しますか、具体的な個々の個所につきましては、説明員から御説明をさせていただきたいと思います。
  65. 阿部竹松

    阿部竹松君 説明員でもけっこうですが、それ、ちょっと局長風管、ビニールの管のことでしょうが、五馬力のモーターで、扇風機というのは風を押し込むわけじゃないので、吸うわけでしょう、ガスがたまったら困るから。それで空気の流通をはかっているわけでしょう。そこらあたりがよくわからぬわけですから、わかればいいわけですから、説明員の方でけっこうですから。
  66. 佐伯博蔵

    説明員(佐伯博蔵君) お答えいたします。先ほどからお話がございましたように、この採炭をいたしております個所は、主要の水平坑道の排気坑道と人気坑道の間に残っております保安炭柱採掘しておったところでございまして、その保安炭柱、水平の主要人気坑道と主要排気坑道の間が約六、七十メートルございましたので、その保安炭柱採掘いたしておったところでございますので、通気的に申しますと、その人気坑道とその排気坑道とのちょうど間のところでございまして、その間のところは風管通気によって補っておったわけでございます。
  67. 阿部竹松

    阿部竹松君 平素どのくらいガス量があったのですか。あるいは温度、シホ等、平素毎日はかっているでしょう。平素はどのくらいあったのでしょうか。
  68. 佐伯博蔵

    説明員(佐伯博蔵君) 平素は、保安日誌によりますと、〇・二ないし〇・四%ぐらいのガスがあったようでございます。それらの詳細につきましては、目下保安日誌の押収その他によって、現在現地のほうで調査中でございます。
  69. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただそこで、説明員の方、お名前何とおっしゃられるかわかりませんけれども、新鉱を開発する場合には、ガス突出等があって、突然ガスが出てくることがある。平素〇・〇五とか、あるいは〇・三、四等であっても、これは急にガスがふえることがある。しかし、これから撤収せんとする坑道等においては、急激にガスがふえるということは絶対あり得ないわけです。と私は判断する。そうすると、これはふしぎでならぬ。どこかにガスが充満した個所があるに違いない。それが流れるか、火がつくか、その辺、原因がぼくは明々白々になると思う。新鉱を開発する場合には、きのうまでだいじょうぶであって、きょう急にガスが突然出てくる。三時間前何ともなくても、四時間後に三%ガスが出たということがあり得るけれども、どうもそういうことを考えてみると、あなたのお話はちょっと理解できない。〇・二なんて、全く少量なガスです。もうなきにひとしい。
  70. 佐伯博蔵

    説明員(佐伯博蔵君) 先生おっしゃられますように、この採炭個所は主要排気坑道と主要人気坑道の間の保安炭柱でございますので、通常の常識からいたしますと、急にガスがうんと出てくるということはほとんど考えられないのではなかろうかと考えます。しかし、現実にガス爆発が起こったわけでございますので、先ほど局長がお答え申し上げましたように、もう一回通気を、扇風機をとめまして、どの程度ガスがたまるかということを目下やりまして、調査をやっている次第でございます。
  71. 阿部竹松

    阿部竹松君 充満したガス爆発すれば、もうガスがなくなるのです。もう一ぺんとめても、もう爆発以前の姿を求めるということは不可能です。それは私よりあなたのほうが知っているはずです。それはぼくはとうてい不可能だと思う。しかし、この件はわれわれの常識をもって判断できない。おそらく結論は出ないでしょう。  しかし、それはそれとして、私は将来のために特に皆さん方に現地を厳重に取り締まっていただきたいのですが、それで、調査中のことはあとでお尋ねするとして、通商産業大臣福田さんにお尋ねしたいわけですが、これは二度か三度、二、三年の間に労働省基準局長から御注文があった、法の定めに従って御注意を受けているわけですが、これに対して福田さんの御見解はいかがですか。とにかく特にこの日炭高松炭鉱というところは、大臣も御承知だと思うわけですが、さいぜん私が申し上げましたとおり、有数の災害炭鉱です。こういうところは厳に取り締まっていただかなければならない。そこで、私たちはいかに保安局長を責め立てても、これはいつも災害の起きたあとの祭りですから、今度は大臣に、特にいままで以上厳に人命の尊重さから考えて取り締まっていただかなければならないと思うわけですが、労働省から来た書簡に対する御見解はいかがですか。
  72. 福田一

    国務大臣福田一君) 労働省から参った書類というのは、この間の、保安監督をする場合、労働省の監督官がしたいという場合にはそれを認めて一緒にやる、こういう意味の書類でございますか。もしそうであるといたしますれば、これは今後そのように措置をいたしまして、いずれにいたしましても、労働省からそういう注意がありましたときには、もちろん下のほうにといいますか、現場監督官のほうにいろいろそういう事情も、こういうこともあったので特に注意をするようにという監督もいたしておりますし、また、今度の事件がございましたのを契機に、一そうわれわれとしては保安の重要性を認識いたしまして、鉱山保安に一そう格段の努力を傾けたいと思う次第であります。
  73. 阿部竹松

    阿部竹松君 さいぜん剱木委員の議事進行についての御発言もありましたので、私はこれでやめますが、特にこの際申し上げておきたいのは、保安法の改正法が出ますから、そのときまでに保安局石炭局、十分お調べになって、ひとついま調査中の案件を、将来の万全を期するために十分調査なさって、ここで報告していただきたいと思います。  最後に、一つお願いすることは、当時の保安日誌ですね、温度とか、あるいはガスとか作業人員とか、あるいは能率とか、あるいは現場の状況、簡単でけっこうですから、お示しを願いたいということで、まあ資料要求などという固苦しいものでなくてけっこうですから、ひとつここでお示し願いたいということをお願いして、この件についての質問を終わります。
  74. 川原英之

    政府委員川原英之君) ただいま阿部委員より御指摘並びに御要求がございましたこと等につきましては、現在現地におきまして、先ほど来申し上げましたように、保安日誌を押収いたしますと同時に、具体的なそれぞれの個所についての調査を鋭意行なっておりますので、この調査をまちまして、御趣旨に沿うようにしてまいりたいと存じます。
  75. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 別に御質疑もなければ、高松炭鉱ガス爆発の件は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  76. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取しておりますので、本日は、まずその補足説明を聴取いたします。新井石炭局長
  77. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 先般、大臣から大まかにお話をいただいたわけでございますが、補足説明をさしていただきます。  本改正法案の内容は、鉱害賠償基金の政府出資金、現在三億円でございますが、これを三十九年度に一億円増額をいたしまして四億円といたしますため、政府出資の追加に関する規定を設けようとするものでございます。  同基金は、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法に基づきまして、昨三十八年七月一日に設立されました。その業務は、第一に、鉱業権者が石炭掘採に伴う将来発生鉱害の賠償を担保するための積み立て金等を管理することでございます。第二に、財政資金及び積み立て金等を原資といたしまして、石炭鉱業権者の鉱害賠償資金を融資することでございます。融資条件は、二年以内の据え置き期間を含めまして、五年以内に返還、貸し付け率は六割以内、金利は六分五厘でございます。同基金は、理事長、天日光一さん一名、理事二名、監事一名のもとに、事務部長及び参事並びに四課、九州に支部を設けまして上記業務を行なっておるものでございます。  三十九年度におきまして鉱業権者が負担いたします賠償所要額は、おおむね三十四億六千万円と見込んでおりますが、このうち、十億六千万円は、鉱業権者が、臨鉱法に基づきまして、鉱害復旧のために必要な納付金として鉱害復旧事業団に納めるものでありますが、残額二十四億円は、毎年賠償等の金銭賠償等に充てるため必要な金額でございます。上記十億六千万円に、国の補助金十億七千万円、県の補助金一億九千万円を加えまして、二十三億円の有資力鉱害復旧を行なう予定でございます。  なお、そのほか、三十九年度におきましては、七億円の無資力鉱害復旧を行なう計画でもございます。このための基金の原資といたしまして、三十九年度積み立て金見込み額五億円のうち、四億円を充てまして、残額六億円のうち、五億円は財政融資、一億円を今次の出資に依存するものでございます。  なお、融資原資のうち、一億円が政府出資により充当されることによりまして、その運用益をもって基金の運営経費に充てることをあわせて期待するものでございます。  よろしく御審議をお願いいたします。
  78. 阿具根登

    ○阿具根登君 あなた、一人でそんなにべらべら読まれたんでは、こっちにはちっともわからない。われわれにそれが配られていないんですから。
  79. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 失礼いたしました。まだできておりませんので、お許しをいただきましてもう一度申し上げますと、いま言いましたように、昨年の七月一日に御承知のようにできたわけでございまして、これに対し、一億入れまして、四億でこの運営をはかりたいということから一億の出資をお願いいたすものでございますが、法律に「三億」とございますので、一億の増資をお願いいたします関係上、一部改正をお願いするわけでございます。
  80. 阿具根登

    ○阿具根登君 これはこの法律を見てみればわかるのです。そのほかのことも、それをどうするのだ、来年はどうだというふうなものが私たちは知りたいのですよ。
  81. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 来年度、臨時復旧法によりましてやりますものがおおむね三十億でございます。これは御承知のように、国の補助金、それから地方の負担金、それと鉱業権者のお金で復旧をやるわけでございますが、その中で権者の負担いたします部分がどのくらいかと申しますと、その臨鉱法のほかに、御承知のように、毎年賠償というものもございますので、それを全部入れますると、約三十四億六千万円になるわけでございます。その三十四億六千万円というお金が鉱業権者といたしましては要るわけでありますけれども、そのうちで、二十四億ばかりは、あるいは整理交付金の対象と、そのほか自己調達をやれるという見込みでございますので、あとの十億につきまして、何とか基金のほうで融資をしてやろうということでございます。その十億をいたしますために、現在三億出資をいたしておりますけれども、御承知のように、これは長期の融資でございますので、現在貸し付けの財源としてはございません。したがいまして、そのほかに財政投融資五億をお願いをいたしておりまして、それと、積み立て金と申しまして、石炭を掘っていく場合に、将来このぐらいの鉱害が起こるだろう、そのためには毎年このぐらいは積て立てなさいというものを、通産局長のほうでこまかい認定をいたしました結果、トン当たり幾らというものを出さしておりますけれども、その積み立て金のお金がおおむね五億円だと計算をいたしております。しかし、その中で取り戻しといいますか、すぐに出す金もありますので、この積み立て金のうちの四億というものを当て込んでおります。そういたしますと、この四億、それといまの財政投融資の五億、今回お願いいたします一億の出資金によりまして、千億の原資をととのえることができるわけでございますが、それによりまして、先ほど申し上げました鉱業権者の負担いたします賠償のお金の要り方の十億をまかなっていきたいというふうに考えておるわけでございます。なお、この一億の出資をいただきますと、これを運用いたしますと六分五厘ぐらいで運用できるかと思いますが、これによりまして基金の運営経費にも充てたいということでございますので、よろしく御審議をいただきたいと思います。
  82. 阿具根登

    ○阿具根登君 簡単に数字のところだけちょっと質問しますが、そうすると、三億の出資金は、これはもう全部全額貸し付けてあるわけですね。これはまだ一銭も返っておらない、だから十億足らないやつを、これを満たす、一億追加するのだ、こういうことになるわけですね。
  83. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) さようでございます。
  84. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、財政投融資が五億、積み立て金が五億。自己資金というのは積み立て金だけですか。
  85. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) いま申し上げましたように、積み立て金額五億円のうち、一億だけは取り戻しと申しまして、すぐに出てまいりますので、したがって、積み立て金四億と考えますが、積み立て金四億と、それに財政投融資の五億と、それから今回新しくいまお願いしております一億と、この十億で三十九年度をまかなってまいりたい、こういうことでございます。
  86. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、来年度に三十四億円の賠償負担額があるということですね。これが自己資金でまかない切れないので、二十四億が自己資金でまかなえるから、あと十億足らない、こういうことですね。しかも、この足らないうちの半分の五億は財政投融資でまかなってやる、みてやる。さらに、積み立て金は五億だけれども、一億は返さなければいかぬので、その一億を今度は政府出資で貸してやる。そうすると、積み立て金というのは、まあトン当たり幾らになっておりますか教えてもらいますが、これは鉱害賠償のための積み立て金でしょう、この五億というやつは。鉱害賠償に対する積み立て金としてトン当たり幾らということをきめられて、それを業者に積み立てさしておるものだと思うんですね。そうすると、この法律そのものの考え方が、三十四億もの鉱害賠償の負担額があると、そのうちの二十四億は何かの形でいろいろまあくめんして自己資金でつくりますと、こういうことなんですね。足らない場合は積み立て金からこれを支払うということになっておるとすれば、積み立て金の額があまり少ないのじゃないか。これは今日炭鉱が置かれておる状態は私ども一番よく知っておりますが、まあ政府に対して金出せ金出せということをぼくら言っておりますが、炭鉱の経営者ぐらいあたたかい政府の支持を受けておるものはないと思うんです。鉱害が起これば鉱害で、こういうふうに財政投融資のほかに、積み立て金のほかにまた金を出してやる、もうかったときは一体どうであったか。ところが、実際問題としては、鉱害を受けた被害者というものはみじめなものです。それで、そのみじめな被害者を少しでも助けたいということで、まあこういう政策をちびちびと出してカバーしておりますが、今後合理化も進んでいきましょうし、私の考えでは、現在いい炭鉱では能率が五十トンからこして、平均でも三十六トンから三十七トンにきている。人は十二万名を切ってきた、私はこういう状態が正常な状態でないと見ております。合理化が進んで、機械化をそれだけやって、人間の労働強化もやらずに、そして五十トンなり三十八トンなりの能率があがっておるのならけっこうだと思うんです。しかし、そうでなくて、合理化に押しまくられて、政府のエネルギー政策の悪いところから、油に押しまくられて、そして生きるためにやむを得ずこういう高能率の政策をとっておると思うんです。そうすると、先ほど問題になっておりましたが、災害も起こってくるが、私は、鉱害はもっともっとふえてくると思うんです。ということは、ここまで追い込められておるから、おそらく鉱害の起こらないような万全の処置をつくっていくということはできずに、鉱害の起こったときは起こったあとのことだということで、私は能率をぐんぐんあげておると思うんです。そこまで業者も追い込まれておると思うんです。労働者もそこまで追い込まれておる。そういうことから考えるならば、積み立て金も五億なんということでなくて、来年だけでも三十四億要るんでしょう。そのあともっと要るということは、これはもう考えなきゃならない。それなら鉱害賠償の積み立て金をもう少し考えるべきじゃないか、こういうふうに考えるんですが、将来の見通しですね、来年は三十四億とおっしゃる、私は、これを上回っても、下回りはしないと思う。そうすると、次の年はもっと多くなる。いまの能率のあとの問題というものは、保安問題から鉱害賠償——私は今日の状態でないと思うんです。だから、そういう点についてどういうお考えを持っておられるのか。去年は去年だけのことを考えて三億の金を出してやったんだ、ことしはことしだけのことを考えて一億追加してくれ、来年鉱害が起こったらまた頼みますよと、こういう考えなのかどうか、それをお尋ねしておきたいと思います。
  87. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 御承知のように、鉱害の中に無資力と有資力がございまして、有資力の鉱害復旧の場合に、鉱業権者に約半分ぐらいの納付金を納めさして鉱害復旧をやっていることは御承知のとおりであります。その納付金を、いざ鉱害復旧だ、さあ出しなさいという場合に、その準備ができないだろうということから、今後の問題といたしまして、積み立て金——これはおおむねトン当たり十七円ぐらいでございますが、出さしております。ただし、この積み立て金の額と申しますのは、鉱害復旧の場合のカバーの率を申しますと、おおむね四分の一ぐらいでございます。したがいまして、さあ納付金だとなった場合には、この四分の一は、いままで積み立てている金を取りくずせばいいのだし、そのあとの四分の一については、募金から金を借りてやってゆくというふうなことで、復旧の段階になれば金の準備ができるという仕組みを今後についてはやってまいろうと考えているわけであります。ただし、いままでかなり累積の鉱害もございますのは、御承知のように、戦時中のやつは特別鉱害ということで、これは一応処理を終わっておりますけれども、そういった現在までの累積鉱害というものは相当ございます。したがって、先ほど申しましたように、今後の処理については、こういう仕組みで何とかやっていけるというように考えております。  それから、さらに、一体その鉱害について、どのような長期の見通しなり何なり持っているかという点でございますが、現状三十八年度の累積鉱害量といたしましては、おおむね三百五億ぐらいあるものと推計をいたしております。その後四十六年までどのくらい出てくるかという点も一応想定をいたしているわけでございまして、年間約二十億程度のものが出てくるだろうというふうに考えております。さような点と、それから、出ました鉱害の中で、不安定なものでございまして、まだ安定した鉱害になっておらない点もございますので、私ども昭和四十六年までに処理をしなければならない、復旧をしなければならないであろうと考えております鉱害量は、おおむね百七十五億でございます。この百七十五億の処理を、来年度三十億程度、それから四十年、四十一年にかけまして、おおむねそのベースで進めてまいりたい、そのあとはやや二十億程度に下げていく、そういうことで四十六年までに百十五億の処理を終わりたいと考えております。できるだけこの三十九年、四十年、四十一年ぐらいに累積したもののこぶをくずしてまいりたい、こういうことで考えているわけでございます。
  88. 阿具根登

    ○阿具根登君 鉱害は、御承知のように、掘ってすぐ鉱害があらわれることはまずないのですね。そうすると、掘ったあと数年たって鉱害がどんどん出てくるわけなんですね。そうしますと、いま合理化でどんどん進んでいっているのですが、いわゆるもう閉山してしまった炭鉱、責任者が不明の炭鉱、無資力の炭鉱等は、これは政府が責任を持ってやらにゃいかぬのですが、これはそのうちに含まれておりますか含まれてないか、これはどういうふうな措置をお考えになっているか。
  89. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) それも百七十五億の鉱害が出るだろうといっております中には、当然含まれているわけでございます。
  90. 阿具根登

    ○阿具根登君 そううすると、来年の三十四億の中には、それはどのくらい含まれているのですか。
  91. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 先生の御質問は、閉山をしたものがこのうちどのくらいの分野を占めるかと、こういうことでございますか。
  92. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうじゃなくて、もうすでにこの責任者の所在が不明であるとか、この賠償に応じられないというところが相当出ていると思うのです。これは政府の責任でやらにゃいかぬのだが、三十四億の中にこれは含まっていればどのくらいか、こういうことです。
  93. 新井眞一

    政府委員新井眞一君) 先ほど申しましたように、これは無権者鉱害と申しますか、無資力鉱害でございますが、三十九年度七億考えております。三十九年度、先ほど臨鉱法復旧は約三十億と申しておりますが、その三十億の中で、二十三億が有資力、七億が無資力というふうに考えております。先ほど申しました三十四億と申しますのは、鉱業権者が毎年賠償、あるいは打ち切り賠償、あるいは臨鉱のための納付金、こういうものを含めたのが三十四億だ、こういっておるわけでございまして、臨時炭鉱害復旧法に基づく復旧総経費は来年度三十億、そのうち二十三億が有資力、七億が無資力ということでございます。
  94. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあこの法律案の趣旨から考えれば、三億が四億になり、一日も早く鉱害賠償の責任を果たしたいということで、一日も早くこれが審議を済ましたいと思うんですが、何せこれは三十一日に衆議院からきたばかりでございますので、私たちも準備がございますので、きょうはこのくらいにして質問をやめたいと思います。
  95. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それでは速記を始めて。  他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会      —————・—————