運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-21 第46回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時四十九分開会     ―――――――――――――   委員異動 四月十四日   辞任      補欠選任    吉武 恵市君  佐野  廣君 四月十五日   辞任      補欠選任    佐野  廣君  吉武 恵市君    高橋  衛君  八木 一郎君    山本 利壽君  近藤 鶴代君     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君    委員            岸田 幸雄君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業省鉱山    局長      加藤 悌次君    中小企業庁長官 中野 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○石油資源探鉱促進臨時措置法廃止  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (中小企業金融問題に関する件) ○金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を  改正する法律案内閣提出、衆議院  送付)     ―――――――――――――
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は、石油資源探鉱促進臨時措置法廃止する法律案及び金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案について質疑、討論、採決を行ない、中小企業金融問題の質疑を行なうこととなりましたから御承知願います。     ―――――――――――――
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、委員異動について御報告いたします。  四月十五日高橋衞君、山本利壽君が辞任され、その補欠として八木一郎君及び近藤鶴代君が選任されました。     ―――――――――――――
  4. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、石油資源探鉱促進臨時措置法廃止する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、ただいま議題になりました石油資源探鉱促進臨時措置法にからみまして、本法案に関すること、並びにこれと関連して問題になっています帝国石油の問題と同時に出光等との問題とからむ石油業法の運用についてお尋ねしたいと思います。  まずお尋ねいたしますが、この本臨時措置法廃止する法律案の中に出ています経過措置の問題でありますが、これの説明と、本条項を設けた理由について御説明をお願いいたします。
  6. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) ただいま御質問の附則の経過措置規定でございますが、簡単に趣旨を申し述べますというと、この法律によりまして、鉱業法特例といたしまして、指定地域内における試掘権、これの存続期間一般は二年でございますが、一年ということにいたすことが一つございます。更新申請期間鉱業法一般原則と同じ合計八年になります。それで、この経過措置といたしまして、この法律廃止いたしますときに、おそらく残るであろう試掘権が大体十ぐらいあるわけでありますが、それの運命がどうなるかということをここではっきりいたしておきたいと、こういう趣旨でございまして、この趣旨鉱業法原則に戻るわけでございます。法律廃止のときに現にあります試掘権存続期間が満了する、その満了する場合に更新申請がある場合に、今度新しく更新する場合には鉱業法一般原則に戻りまして二年にする。それからもう一つは、当該試掘権の当初から通算いたしまして最大限八年までの延長は認めますが、いま申し上げましたように、更新が、二年を認めることによりまして八年をこえるというふうな場合には、八年以内の期間内の更新を認める、こういう趣旨でございます。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 本法制定は二十九年でございまして、当時にその年を初年度とする石油資源総合開発の五カ年計画ができたわけでありまして、さらに三十年に石油資源開発株式会社法ができたのですが、これはやはり本法ができましたのは二十九年ですが、そういう措置をしておいて、地ならしをしておいてSKをつくるという法案が出たように思ったのですが、それを予定してできたのですか、それはどうなっていますか。
  8. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この法律制定いたしました当時、翌年できました石油資源開発株式会社のような国策的な機関をつくるという予定は実はいたしておらなかったわけでございまして、本法施行後の状況等にかんがみまして、もう少し積極的なことを、石油探鉱計画的に急速に促進するためには必要ではなかろうかという、法制定後の新しい状況にかんがみまして石油資源開発株式会社法ができたと、こういう姿であります。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 この廃止法案提案理由説明を見ますと、加藤局長が必ずしも言われたようではないんじゃないかと思えるのですが、そうしますと、鉱区を持っておって、その上に眠っておって開発しないほとんど大部分帝石が持っておった、それを促進させるという意味でできた、ところが、その五カ年計画を立ててやってみると、どうも帝石の力じゃ及ばぬ、もっと性格の異なった国策的なものでやらなければいかぬということが新しい事態として起きたのですが、そうでなしに、この資料を見ますると、やはり帝石から鉱区を大部分石油資源に譲って、所期目的を達して大いに開発が云々というふうに、この法の目的を達したことを謳歌して、使命を終わったというふうにあるように思うのですが、これはどうなんでしょう。
  10. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この法律の骨子といたしますところは、お手元資料にもございますけれども、一番のねらいは、いま先生の御指摘鉱区調整規定試掘権調整規定でございますが、この規定が一番強力な規定であるわけでございますが、いま御指摘のように、当時およそ有望な鉱区はほとんど帝石が持っておったということでございまして、この法律がその当時の状況においてどういう働き方をするかということにつきましては、むしろ鉱区調整というよりも施業案特例規定がございますが、その施業案の変更の勧告、命令もある程度やるべきではなかろうかというふうなおそらく考え方があったと思うわけでございますが、この法が制定されましてから一年後に、当時予想していなかった石油資源開発株式会社をつくるということになりましたのは、やはり石油探鉱というものは純粋の民間ベースでは非常に膨大な資金が要りますし、しかも非常にリスキーである、当時この法律施行と同時に探鉱奨励金等も多少増額はいたしたわけでございますが、やはり五カ年間に百万キロ――当時三十三、四万キロの生産であったわけでございますが、それを三倍以上の生産目標までに持っていくということになると、どうもこの法律だけでは必ずしも十分ではなかろうという実は反省がございまして、やはりそういう探鉱専門にやるような国策会社をつくる必要がある、こういうことに相なったわけでございます。ただ結果的に申しますと、SKができまして、SK帝石の持っておりました有望鉱区譲渡させるという面につきまして、この法律発動によってやったわけではございませんが、この法律うしろだてといたしまして、所望のとおりの鉱区譲渡帝石から石油資源開発株式会社になされた、こういうことに相なっているわけです。
  11. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、帝石の持っている鉱区についても施業案について勧告したり命令をしたり、鉱業権の上に眠っているのを規制するような措置を講じたのですか、それはどうですか。
  12. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 本法実績といたしましては、最初の規定にございます地域指定いたしまして、当該指定された地域内において本法の第二条以下を適用するということになるわけでございますが、法律の実際の発動実績といたしましては、この地域指定、当初十カ所ばかりやっておりますが、これだけの実績しかない、こういうことでございます。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 説明される御趣旨はわかりますが、とにかく本法律制定されたのが二十九年で、開発五カ年計画もそのときにでき、翌年SKができた。あとでお尋ねしますが、千六百の鉱区を、この法をうしろだてに伝家の宝刀としてやったもので、これが一連の関係があったものだろうか、そうすれば、この法律もなかなか深い読みをしておったのじゃないかと思って尋ねたわけですが、わかりましたが、そうしますと、この法律うしろだてとして試掘権を千百四十一、出願権を五百五十二、合計千六百九十三件の譲渡をしたというふうになっているのですが、そうすると帝石にはどういうふうに残っているのでしょうか、これだけして。それから、このいただきました関係資料の末尾に金額が入れているのですが、これは譲渡した金額ですか、その点をお尋ねします。
  14. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 帝石残りました鉱区のはっきりした数字はちょっと手元資料がございませんが、パーセンテージを申し上げますと、当時帝石からSKに対して譲渡しました試掘権が千百四十一、お手元資料があるようでございますので、これが当時帝石が持っておった試掘権の数の八七%、したがって、帝国石油残りました試掘権は当時残りの一三%であったということに相なるわけでございます。  それからもう一つの御質問金額譲渡の代金でございます。
  15. 中田吉雄

    中田吉雄君 帝石が持っておったもののうち八七%を譲渡してあと一三%残っているということですが、これはあとでもお尋ねしますが、このことは帝石の経営困難という問題とはからんでいないのですか。
  16. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) それとは直接関係がないと存じております。当時帝石から石油資源開発会社試掘権譲渡をさせたわけでございますが、そのときの考え方といたしましては、今後の石油探鉱試掘、これはもっぱら新しい国策会社としての石油資源開発株式会社がすべて行なうようにする。したがいまして、当時帝国石油の手にございまして、全然手のつけておられなかった試掘権は、原則的にSK譲渡させる。当時試掘権採掘権は当然でございますが、帝国石油が現に事業開発をいたしておりまして、事業をいたしておった油層等があるわけでございますが、これに関連する試掘権というものについては、一応帝石手元に保留する、こういう考え方でございます。すでに手をつけて開発をしておった鉱区については、これは帝石にそのまま保留する。それから自後帝石の新しい仕事といたしましては天然ガス開発、これはもっぱら帝石のほうでおやりになっていたということでございまして、それに必要なガス鉱区帝石のほうに保留した、こういう考え方によって生まれたものでございます。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、八七%の主として譲渡した鉱区石油埋蔵量が多いと想定されるところで、それに伴って出るガスは掘ってもいいということで、これはSK法を見ると、石油の迅速な、計画的な開発をやるというふうになっていて、事業の中にやはり石油採掘に伴うガスというふうになっているが、その関係はどうなんですか。
  18. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) SKができましたときの整理のしかたといたしましては、ただいま先生指摘のように、SKがもっぱら原油探鉱試掘から開発を行なう、これに伴いまして、当然天然ガスが出てまいりますが、これは当然SKがやることになります。それから帝石は、今後新しく手をつけるのはもつ。ばらガス田探鉱なり開発であります。経過的にすでに手をつけて開発を行なっている原油開発、これは従前どおり帝石の手に残す、こういう整理のしかたであります。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはりどうも埋蔵量指数と申しますか、RP指数ですね、会社の健全な指数を保つためには、八七%もやはり移譲したことも一つの困難になった原因じゃないかというふうに思うのですが、それはありませんか。
  20. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) そういうことはございませんでして、逆にいま申し上げました整理のしかたから、これは当初原油石油が有望であると思った鉱区であるけれども、むしろ天然ガスのほうが有望であるというような、たとえば関原の鉱区の例でございますが、これは逆にその後これは三十五年度、六年度でございますか、SKのほうから帝石鉱業権譲渡をしている。こういうようなことで、必ずしも帝石に残されたものが貧弱なものであるということにはならぬというふうに存ずるわけでございます。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 廃止をはかります法案うしろだてにして石油資源開発株式会社ができて、鉱区譲渡ができたわけですが、そうしますと、石油資源開発会社帝石とで、いまガス石油ですね、開発の度合いとそれぞれの計画との関係はどうなのですか。
  22. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) ただいま申し上げましたように、原油が大体石油資源開発株式会社探鉱並びにその後の開発をやるということで進んでまいっておるわけでございますが、御承知のその後昭和三十七年度初年度といたします第二次の開発計画というものができたわけでございますが、それと対比してみますと、探鉱に投入した資金実績なりあるいは生産実績というものは、いずれもその計画数字を上回っておるというふうになっておるわけでございますが、一方天然ガス、これは必ずしも第二次五カ年計画と対比してみますと、生産実績においてもあるいは探鉱投資額においてもそのとおりにはなっておらない、こういう実績を示しておるわけでございます。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 これの実績出すとどうなりますか。石油についてSK帝石と。
  24. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) ちょっと古い資料をいま調べておりますが、とりあえず私の手元にあるもので申し上げますと、大体原油のほうでいいますと、石油資源開発会社生産が六に対して帝国石油が四、それからガスのほうでいいますと、その逆でございまして、石油資源開発会社が四に対して帝国石油が六、こういうかっこうに相なっておるわけでございます。それで三十六年度実績を見てみますと、これは原油でございますが、石油資源開発会社生産実績が三十八万五千キロリットル、帝国石油株式会社生産実績が三十六万四千キロリットル、こういうことになっております。それから三十七年度につきましては、石油資源が四十四万六千キロリットル、帝国石油が三十八万五千キロリットル、それから三十八年度、本年度見込みでございますので、最終の数字がまだ判明いたしておりませんが、一応見込み数字としては、石油資源開発会社が五十二万六千キロリットル、帝国石油株式会社が三十六万九千キロリットル、こういう数字になってございます。  一方、天然ガスでございますが、同じ期間をとりまして、三十六年度帝国石油が四億三千七百万立方メートル、石油資源開発会社が一億八千八百万立方メートル、それから三十七年度帝国石油が五億六千九百万立方メートル、石油資源開発会社が二億六千七百万立方メートル、それから三十八年度の一部見込みを含めました数字が、帝国石油が八億二千四百万立方メートル、石油資源開発会社が四億五千三百万立方メートル、これは帝国石油石油資源開発会社だけの数字を申し上げましたが、そのほかにも多少生産実績がございます。特にその他の占める比率は、天然ガスのほうにつきましては、比較的パーセンテージが三〇%ぐらいございまして、高い、こういうことになっております。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 石油につきましては、ほぼ目的を達したが、ガスについては所期目的を、計画を達成していないという主たる原因は何ですか。
  26. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 一つは、帝国石油会社の秋田の八橋油田、これが三十七年の初め、ころ一日五十万立方メートルぐらい出ておったわけでございますが、これが同年の春以来急速に減衰をしてまいりまして、現在おそらく十五、六万、十七万立方メートル、三分の一以下に減っておるわけでございまして、これは一般の予想を非常に上回るような減衰状況であることが、何と申しましても生産予定どおりにいかなかった大きな原因になっているのじゃなかろうか、こういうふうに存ずるわけでございます。  それからもう一つ実績をいろいろ検討してまいりますというと、やはり一方において生産をすると同時に生産をした分を償ってなおかつそれ以上の埋蔵量を確保するということが、今後生産を上げていく場合に必要であるわけでございますが、当初考えておりました水溶性ガス探鉱開発というものが、御承知の新潟の地盤沈下問題を契機にいたしまして、相当な現在規制をやっておりまして、自来天然ガスの今後の開発のウエートを、逐次石油と同じ保存状況にございますところの構造性ガスに移行をしてまいるということで、そういうことになりますというと、探鉱のために非常に多額資金を要すると同時に、またこれがリスキーであるということでございまして、そういった探鉱のために必要な資金の余裕が必ずしも十分でなかった。帝石はもともと私企業でございますので、営業面配慮ということも必要なわけでございますので、そういった非常に多額資金と、しかもリスキーであるという探鉱に対して、必ずしも営業面配慮から申しまして十分の活動ができておらなかったのではなかろうか、こういう気がいたすわけでございまして、一番大きいのは八橋油田が非常に急速に減ってまいったということでございますが、探鉱活動が必ずしも十分ではなかったのではなかろうか、こういう点が現時点においては反省されているような次第でございます。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 この法律自体についてはあまり問題はないと思うのですが、さきにもう一ぺん返って、この問題の質問のけりにしたいと思うのですが、経過措置に触れる鉱区幾らくらいですか。
  28. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) お手元資料に書いておったと存じますが、七ページの一番下にございますが、試掘権が十件、それから採掘権が三十件、採掘権は直接関係ございませんが、こういう状況にあるわけでございます。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題は、この法案についての質問はその程度だしまして、次に石油資源開発株式会社に対する予算財政措置についてはどうなっているか。私かなり今度はSK性格が変わってくるのじゃないかと思うので、その点少し質問したい。
  30. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 三十九年度財政投融資関係で、SKに対しまして産業投資特別会計から出資金二億、それからSKが発行します債券を政府で保証する、いわゆる政府保証債でございますが、これのワクが五億、この二つに相なっているわけでございます。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 昨年はどうなっていますか。
  32. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 出資が五億、それから政府保証債が十億でございます。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 この出資政府保証債も半分あるいは半分以下になっているのですが、私はこの点石油資源開発のために非常に心配するのですが、これはどうなんですか。
  34. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 昭和三十年にこの石油資源開発会社ができまして、自来民間政府との出資を仰ぎまして、その使命でございます石油探鉱活動を続けてまいったわけでございますが、昨年度までの出資実績は、資本金は総額百五十五億をちょっと切れるわけでございますが、大体百五十五億であるわけでございます。そのうち政府出資分が百億弱、残りの五十五億を民間出資に仰いでおる、こういう関係にございまして、いままでもっぱらこの出資金を使いまして探鉱活動を行なってまいったわけでございますが、ようやく探鉱の成果が見えてまいりまして、先ほども申し上げましたように、かなりの生産実績をあげてまいっておるということで、御承知のように、昭和三十五年から当該年度に関する限りは黒字に転化をしてまいったということでございまして、いわば石油資源開発会社の過去のそういった努力が報いられましてようやく資金自己回転をいたすようになってきた、こういうことでございまして、今後はもっぱら探鉱の結果得た利益を回転して再投資するということで、いわゆる自己回転がいよいよ始まる、こういうことに相なったわけでございますので、今後の政府SK石油資源開発会社に対する資金的な援助というのを、もっぱらいろいろ開発等活動を行ないます場合の資金ショート、どうしても資金の調達が他の方法で十分でないという場合の資金ショート分の穴埋めをしてやろうじゃないか、こういう考え方に相なってまいったわけで、本年度は実はそういった意味からのその金額政府保証債の五億円だけでございます。先ほど二億の出資があるということをお答え申し上げましたが、この二億の出資は、いままでに政府出資がございましたような国内探鉱のためにこれを使う、こういう意味ではございませんで、今後海外原油開発していく場合に、実は予算の要求で、海外原油探鉱事業団という構想で大蔵省に要求したわけでございますが、それが今後やはりSKを中心にいたしまして、そういう活動なりに投融資をしたならばどうであろうかということで、そういった意味からとりあえず二億円の出資を認められた、こういうかっこうに相なっておるのであります。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、二億の出資があるが、国内探鉱には使わない、昨年は十億だった政府保証債もことしは五億になった、それで、あとは自分のところで生み出した黒字とその保証債の五億などが国内探鉱に用いられると思うのですが、そうしますと、国内探鉱に対しては、三十九年と、三十八年はどういうふうな関係になりますか。石油資源開発株式会社……。
  36. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大体五カ年計画石油資源探鉱に振り向けられる資金が二十二、三億でありますが、三十八年度実績は大体二十二億円、三十九年度見込みといたしましては二十三億五千万円、これだけの資金探鉱に入れる、こういう計画になっておるわけでございます。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 昨年二十二億で今年度が二十三億と予定されるということですと、あまり拡大的な探鉱投資でないので、現状維持というようなことになってしまうと思うのですが、この程度探鉱をして、ある意味ではこれまで百五十五億の出資があって、そういうもので探鉱をやってきたので、今後あまりやらないということになりますと、これは大体どういうふうな埋蔵量指数といいますか、RP指数ですね、SK幾らになる、健全な過去の資産を食いつぶすようなことのないように、石油資源開発株式会社帝石の二の舞を踏まぬように健全な埋蔵量指数を確保できるものか、両者の指数はどうなっているか、そういう点を……。
  38. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 現在石油資源開発会社なり帝石等探鉱活動、これはもっぱら、先ほどお答え申し上げましたが、昭和三十七年度初年度といたしますところの第二次開発計画に準拠してやっておるわけでございまして、この開発計画数字一つ目標にして試掘探鉱活動なりあるいはそのために必要な投資をする、こういうことでやっておるわけでございまして、そういった面から見ますというと、石油資源開発株式会社の過去の探鉱投資額なり、あるいはただいま申し上げました来年度探鉱のための投資の二十三億五千万、これが大体この計画の線に乗っておる、こういうふうに考えておるわけでございます。お尋ねの例の生産量に対してどの程度埋蔵量を確保する必要があるかということにつきましては、大体五年なり六年間の分の埋蔵量を常時持っておる必要があるというふうな考え方でこの五カ年計画もされておる、こういうふうに承知をいたしております。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、本年度は二億の政府出資があるが、これは海外油田開発ということで、大体第二次五カ年計画に準拠して、そうして本年度は二十三億という探鉱投資のようですが、それで大体五年とか六年とか埋蔵量を確保できる、健全な指数を保持できるだけの国内探鉱になるのですか、その点はどうですか。
  40. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この埋蔵量の計算のしかた、実は非常にむずかしい問題でございまして、ただいま申し上げました点を目標にしてやっておるわけでございますが、大体この程度投資で、これはやってみないと、どの程度当たるかという問題があるわけでありまして、わからないわけでありますが、いままでの実績等からみて、この程度投資額があれば、いま申し上げました埋蔵量の確保はできるのではないか、この生産目標なり探鉱投資額というものを、過去の実績値を基準にいたしまして、いま申し上げましたP分のR、これを五ないし六にやるということを目標にして、この数字がはじき出されておる、こういう次第に相なっておるわけでございます。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は石油資源開発株式会社法で、会社目的の第一条に、石油資源開発を急速かつ計画的にやるということで、国の内外を含んでいるかどうか。当初はやはり私は国内資源の開発だったと思うのです。それがただいま加藤局長が言われたような経緯があってこういうふうになったと思うのですが、私はいまの政府保証債五億しかつけないと、そしてあとはこれまでの政府出資探鉱したやつ、それで自己回転をして黒字をつくって、それで回していくというのでは、まあ第二の帝石をつくるということで、帝石がもう一つできたというようなことで、当初の参議院の大蔵委員会でこの法案ができた当時の重要な役割を果たされた田中大蔵大臣等の説明とも非常に反していってしまって、これではどう言おうが、あまり大した開発もできないで、結局帝石が二つできた、そういう技術者を温存し、養い、熟練した人をつくって、海外油田開発ができるというような意味はあると思うのですが、もっと国内資源を積極的に大規模にやるというような意図は、これは放棄するきっかけになるのじゃないか、だんだん国内のほうはこの程度にして、そしてあとは第二のアラビアのようなものはないかというようなことで、国内資源の開発をおろそかにするようなきっかけになりはしないか、三十九年度予算性格はそういう方向を意味するものじゃないかと思うのですが、それはいかがですか。
  42. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先ほどもお答えいたしましたように、現在われわれがこの国内石油資源開発のほうで準拠いたしておりますのは、昭和四十一年度までの第二次の開発五カ年計画でございまして、この五カ年計画によりますというと、昭和四十一年における原油生産量は百五万キロリットル、こういうことに相なっておりまして、少なくとも昭和四十一年度まではこの目標数字をひとつの指針といたしましてわれわれは進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただその後その四十一年の百五万キロリットルをどの程度上げていくかということにつきましては、まだ本格的な検討を経ておらないわけでございますが、別に通産省の中に産業構造調査会というものがございまして、その中の総合エネルギー部会でこの問題をいろいろ御検討を願ったわけでございますが、そこで一応出ております結論といたしましては、今後大体この百五万ないし百十万という数字の横ばいで考えてみてはどうかという結論に相なっておるわけでございますが、現在のところまで私ども国内原油の今後の開発については、一応の考え方としては、四十二年度以降大体横ばいくらいで推移することでどうだろうか、こういうことでございます。先ほど申し上げましたように、エネルギー総合部会は必ずしも本格的なそういった面からの検討ではございません。いずれこの計画の四十一年度を終わる段階においては、再びこの石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会にいろいろお諮りいたしまして、今後どういうふうに考えればいいかというようなことをきめてまいりたいと思いますが、現時点における一応の考え方としては、いま申し上げたようなことでございます。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 たしか私の記憶が誤りではないとしますれば、戦前日本の国内生産額というものは西ドイツよりもかえって多かったのじゃないかと思いますが、その西ドイツが戦後たしか六百万トン国内石油資源開発した。これは地質構造によることですから、それをいちがいにどうこうすることはできないのですが、そういうことにかんがみますと、この産業構造調査会の部会が大体百五万キロリットルということですが、もう大体石油についてはそれが限度というふうに見られたのですか、どうですか。
  44. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先ほど申し上げましたように、現在の段階では一応この程度ではなかろうかという感じでございまして、いずれこの四十二年度以降のものの本格的な考え方につきましては、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会、これにいろいろお諮りをいたしまして、本格的な数字をきめてみたい、こういうふうに感じておるわけでございます。少なくとも四十一年度までは第二次の五カ年計画に準拠いたしまして進めてまいりたい、こういう考えでおるわけでございます。
  45. 中田吉雄

    中田吉雄君 石油ガス開発にからんで、石油資源帝国石油と一体のもとにどう計画を推進されるかということは重要な問題だと思いますが、とにかく私は、何といっても本年度は二億の出資しか政府がしない。そうしてこれも海外油田開発だ、国内はもう自力でやれということは、やっぱりもう突っ放してしまって、これはどうあろうが第二の帝国石油です。まだ配当をつけんでいい。これまでの百数十億の探鉱投資でやれるでしょうが、何といっても小型小型といっては恐縮ですが、同じ型の帝国石油一つできたということで、やはり大蔵委員会で田中大臣が言われた石油資源ができた当初のころから非常に後退してきて、海外のほうに手を出していくということは、国内はあきらめてしまったということで、部会で四十一年までは大体これでやるということだそうですが、私はやはりフランスやドイツ等が国内海外両者を含んだ大規模な探鉱活動をしていることを思いますと、私は今回石油資源開発にたった二億しか出さない、政府出資をつけなんだということは、何としても大きな後退じゃないか。調査してみますると、フランスなんかは、ガソリン、トン当たり二千円ですか――しまして、百六十億の消費税を吸い上げ、これを海外油田探鉱活動にぶち込んでいる。それからドイツも国内開発は、大体六百何十万トンで一巡したというので、八億マルク、一マルクは九十円ですから七百二十億を六年間に、一年に百二十億の海外油田探鉱活動をやるというのに比べますと、あまりにも規模が小さくて、野心が少な過ぎる。このエネルギー部会でも原油の供給源を分散し、そうして国際石油資本の価格形成をコントロールするためにも、海外油田開発が必要だということ。それにしても二億じゃ少ないし、これは地震探鉱をちょっとやる程度じゃないか、それにしても私は、それよりかもっと重要なことは、政府がこのたび出資しない、四十一年度までこの程度でやるということなら、二年も三年も先までこの程度でやるということなら、結局帝国石油がもう一つできたということで、やはりわれわれとしては、もう少し石油資源に対して政府がリスクを見て、自己回転せいというようなことでなしにやることが必要だ。また新潟なんかは新産業都市に指定したって、石油ガス開発せねば新産業都市の開発意味もないのですし、そういう点からいっても、私は今回の石油資源開発に対してつけた予算というものは、どう局長が弁明されようが、もうこの程度では国内石油資源帝石でやれる程度で、あと海外からの輸入に待つということに結果としてはなるのじゃないでしょうか。その点はどうなんです。四十一年までやって、その後はもう一ぺん再検討して、画期的な手を打つというのですか、それはどうなんですか。
  46. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 私は、技術的なことはわからないわけでございますが、この開発審議会の先生方でいろいろ日本の地下の状況等を検討していただきまして、立てていただいた目標がこういう数字であるわけでございますので、私はやはりこれを尊重していく必要があるのではなかろうかという実は感じを持っておるわけでございます。原油につきましては、先ほど申し上げましたように一応四十一年度を百五万キロ、その後は大体横ばいという感じの数字が出ておるわけでございますが、一方、天然ガスにつきましては、昭和三十六年の実績が大体十億立方メートルであったわけでございますが、これを目標年次の昭和四十一年度には二倍半の二十五億まで持っていく。さらに総合エネルギー部会で一応掲げております数字によりますというと、四十二年度にはこれを二十八億立方メートル、四十七年度には五十億立方メートルまで持っていく、こういう目標数字が掲げられているのでございまして、先ほど指摘がございましたように、天然ガスは必ずしも所期の効果をあげておらないということでもございますので、今後この天然ガス計画どおりの生産が確保できるかどうかということにつきましては、私ども非常に関心を持っておるわけでございます。で、この面につきましての政府の助成といたしましては、御承知探鉱補助金があるだけでございまして、その補助金の予算が昨年は六千五百万円であったわけでございますが、本年度はこれを一億に増額をしていただいた、こういう関係に相なっておるわけでございますが、今度の帝石の問題等を契機といたしまして、どうもこの補助金の金額なりあるいはその運用のあり方について、問題があるのではなかろうかという感じを実は持っておりまして、今後天然ガス探鉱なり開発をより一そう促進していくという面からの検討は、真剣にやってまいる必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  47. 中田吉雄

    中田吉雄君 福田大臣がおいでになったので、ちょっと突然で恐縮ですが、ガスにしても、石油でも、もっと国内資源をぎりぎりのところまで開発してみたらどうか、特にガスなんかは、新潟などは新産業都市に指定してみても、ガスをもとにして新産業都市をつくろうというわけですが、それもあまりできないし、この石油資源開発に対しまして、これまでは探鉱資金国内のほうにつけておったのを、今度は、政府保証債を五億つけるだけで、あとは自まかないでやれということで、国内開発に対しては政府出資がなかったということは、もう国内開発をあきらめてしまわれたのか。そうして二億ついていますが、これは海外油田開発ということになって、もう見切りをつけて海外に手を出し、結局帝石がもう一つできたようなことにすぎないのじゃないか。それでは昭和三十年に石油資源法律ができた当初の設立の目的に沿わぬじゃないか、こういうことなんですが、いかがでしょうか。
  48. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 国内の資源の開発ということは、これは中田委員も御案内のように、特にこのエネルギー源につきましては、外貨との関係もありますし、それからまた国内資源をどううまく利用するかということが、日本の産業育成の意味からいっても非常に大事でございますから、われわれとしては、これをあきらめたというふうなことは絶対ございません。もっとやらなければならないと思っているのですが、ただいろいろ予算編成のとき等々において折衝をいたしております段階において、なすべきことがいろいろございますので、十分そのほうに予算がつけられなかったということは、われわれとして非常に遺憾に思っております。しかし、今後とも国内資源開発のための予算を増額することについては、努力を傾けてまいりたいと考えておる次第でございます。
  49. 中田吉雄

    中田吉雄君 予算全体のやりくりで、大臣の御説明もよくわかりますが、これまで毎年つけておった国内探鉱活動のための政府出資がなくなったというのは、私は、やはり石油資源開発一つ性格の変化で、もう国内は大体この程度という見切りをつけて、アラビアのようなことがもう一ぺんないかというようなことで、スマトラの辺に出ていって、国内資源の開発をおろそかにするのじゃないか。昭和三十年にできた当時の歴史的な使命に反するのじゃないか。もっと思い切って探鉱活動ができるような措置をやってやるべきじゃないか。こういうことですが、もう時間がありませんので……。  そこでお尋ねしますが、最近帝国石油の問題がいろいろ話題になりまして、これは一つの私企業ですが、しかし関連産業に対する影響等から考えますと、石油資源開発会社と並んで重要だと思うのですが、将来の探鉱の鉱業政策については、またいろいろお尋ねするといたしまして、これは経営者の責任が第一義的には関わるべきである。しかし、やはり政府がとらるべき鉱業政策について十分でなかった点がまず第一です。これが帝国石油の今日になった理由一つじゃないか。あとでも詳しくお尋ねしたいと思うのですが、二十二億四千万ですか、石油資源に対する出資、それから毎年七億ないし八億近い地方税、国税を納めて、そして、まあ石油資源開発には及ばぬでしょうが、七、八億程度探鉱活動をやり、配当をやり、これはもう成り立つわけがないと私は思うのです。それはパイプラインの問題等もあとで述べたいと思うのですが、こういうリスクの多い仕事で、七億も八億も五年間に中央地方の国税を三十数億納めて、二十二億四千万も配当なしの出資をし、そしてやるということは、なかなかやれぬので、経営者の責任もさることながら、やはり通産省とされても、ひとつ力を貸してやられてしかるべきじゃなかったかと思うのですが、いかがでしようか。
  50. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) この帝石の問題につきましては、従来からも、いま中田委員のお話がございましたようないわゆる石油資源に対する出資の問題、あるいはまたそういうようなその他いろいろの成り立ちからいたしまして、いろいろ問題が包蔵されておりまして、われわれといたしましても非常に心配をしておりました。何か方法がないか、特に肩がわりいたしました二十二億四千万円につきましては、何らかの措置が講じられないかと思っていろいろ努力をいたしてまいったのでありますが、今日まで十分なる措置がとれておらなかったということは、まことに遺憾にたえないと思っております。そこで今度新しい社長が就任をいたしましたのを機会に、いろいろと帝石の合理化の案を考えまして、何とかして帝石を建て直したい、こういう意味で案を出してきておりますので、大蔵大臣とも連絡をいたしまして、ただいま事務当局をして何らかの措置、いわゆる帝石を立ち直らせる措置がないかどうかということを、帝石から出した案を中心にして検討をさせている段階でございまして、われわれとしては事務のほうで十分に話し合いをしてもらい、その結果、できるだけいい案ができて、これが実現できれば非常にけっこうだ、こういうふうに考えているところであります。
  51. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、ずいぶん帝石は人がいいと思っているのです。いま加藤局長質問のやりとりをしましたが、廃止になる法案に基づいて千六百の鉱区を譲らされ、そうして二十二億四千万ですか、出資をして、しかもこれで五年は配当しちゃいかんという規定が、石油資源開発株式会社法の十五条であるのです。二十二億四千万も無配でし、そうして千六百の鉱区を譲り、これで会社が成り立つと思っておったことは、私は帝石も当局も不明だと思うのです。ある意味では。そういうことでは私は成り立たんと思うのですが、私実は現物出資だと思っておった。ところが、今回立法考査局を通じて調べてみると、みな現金で出資している。現金で出資して、これを八分の利子であるいは八分の配当で計算しても、三十五億になるわけなんです。帝石がずいぶん高利の金を借りているようですが、両建てし、歩積みしたりすると、とても八分などではないのですが、とにかく二十二億四千万出資して、十年間配当なしできているわけなんですが、これはやはり当初石油資源開発株式会社法にはそういう規定があることを承知の上で出したことですから、出資して配当があろうがなかろうが、これはしようがないわけですが、しかし国策会社出資している。こういう点については、福田通産大臣は、ただいま新しく陣容の変わった社長を中心に検討しているから、それらに基づいてということですが、やはり二十二億四千万出して、八分の金利でも三十五億になる。これを全然無配で十年間出しておったということは、何といっても帝国石油の経営に対して非常な大きな重圧になっていることは、まごうかたなき事実なんですが、これはずいぶん前からいろいろ通産当局に御考慮をお願いしておったようですが、いかがでしょう。
  52. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 帝石に対するいままでの政府考え方、今度の問題を契機にいたしまして、私どもといたしましても謙虚に反省する必要があるのではないかというふうに考えているわけでございまして、とりあえず再建にからみましても資金の面の問題がございますので、大臣も申し上げました、御指摘の二十二億四千万についてどういうふうに考えるかという考え方を、いませっかく事務的に検討いたしているわけでございまして、御指摘のとおり従前からそういう御注意を受けていたわけでございますが、今回のああいう問題が一つの契機になって本格的に検討いたしたい、こういうふうに考えているわけであります。  それから、二十二億四千万の出資金と申しますのは、石油資源開発会社が三十年にできまして、自来毎年々々出資を重ねてまいりまして、現在二十二億四千万になっているということは先生ご存じのとおりでございます。これが当初からこれだけのものが投資されておったというわけではないわけでございます。
  53. 中田吉雄

    中田吉雄君 私もその点は知っていまして、三十年の十二月一日に二億九千万を出して、それから毎年出して、最終に三十七年五月二十九日に三千万ですか出して、合計がそうなった。それを出資してから八分で計算しますと、とにかく三十五億にはなるはずなんです。これは立法考査局で計算してもらったんですが、これは私、帝国石油以外の興亜石油とか出光石油とか、あとの一億程度ずつの――少ない額じゃないんですが、そういうふうにあと三千万とか三百万とか百五十万というのなら、これは協力する意味でいいと思うんですが、やはり私企業に対して二十二億四千万ではなかなかわずかずつ出していくのとは性格が違ってくると思うのです。これはやはり福田大臣にお尋ねしますが、石油資源国策会社ですから、私企業にそれだけ迷惑かけてやるよりか、これはひとつ肩がわりを大蔵省と折衝されるようなことはできぬものでしょうか。
  54. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のように二十二億四千万円を帝石石油資源に出しておる、しかも無配である、しかも石油資源性格等々から考えてみますと、帝石に対してこの分を何か考えてやる必要はあるのではないかという意味合いにおきまして、その一つの方法としては、いわゆる政府が肩がわりをするという考え方もあり得るわけでございまして、そういう意味で今日までも予算折衝のとき等においても話題として出した場合もあるのでありますが、いままで実現をいたしておらなかったのはまことに遺憾だと存じております。今後も中田委員の述べられましたような趣旨に基づいて何らかの方法を講ずるように努力をしてまいりたいと思います。それはただいま事務のほうでいろいろ検討さしておりますので、その検討の結果を待って善処をいたしてまいりたい、かように考えておるところであります。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 この四月十五日の日本経済に、帝国石油の再建について、ひとつてこ入れをしようということで、福田通産大臣と田中大蔵大臣との意見が一致した、こういうことが出ているわけなんです。その中に条件として、この二十二億四千万について肩がわりにするか、これを見返りにして融資をするかは別にしまして、その条件の中に、四つばかり出て、過剰人員の整理、首切りという案が出ているんですが。これについて福田大臣は御承知でしようか。
  56. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 大蔵大臣と帝石の問題は何かひとつ事務の間で話をつけて考えてやろうではないかという話はいたしたことは事実でございます。そのほかの点は了承いたしておりません。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 伝え聞くところによりますと、鉱山局はやっぱしよく人が多いというようなことを言われるそうですが、一体その根拠は何をもとにして言われるのですか、その点を加藤局長に。
  58. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この問題は、たしか昨年の十月の臨時国会のときに、先生やはり御質問がございまして、お答えしたと思いますが、現在の帝石の人員を、もう一つのこれは国策会社でございますが、石油資源開発会社と比較をしてみますと、大体人員において三倍、三千六百人をこす人間をいま擁しておるわけでございます。ところが、一方売り上げの金額を見てみますと、三倍の人間をかかえておりながら売り上げにおいては五割程度しか多くない。こういう一つ数字が出ておるわけでございまして、これは比較の問題でございますけれども、やはり石油資源開発会社に比べて、少し労働生産性と申しますか、そういった面において問題があるんではなかろうか、こういう気がいたすわけでございまして、この前の御答弁のときにも申し上げましたように、今後再建をはかる場合に人員の問題をどうするかということは、一つの検討すべき事項ではなかろうかということで、実は私どもこの前もお答えいたしましたが、新規の人員の採用についてもう少し合理化するということも一つ考え方ではなかろうか、現にそういう考え方に基づきまして、本年度の新規卒業者の採用については、そういった面からの配慮を加えておられるわけでございますけれども、それ以外にもこの人員の問題については、やはり一企業としては検討すべき問題ではなかろうか、こういうような感じでおるわけでございまして、そういった問題はもちろん一企業の内部の問題といたしまして、労使間で今後いろいろお話し合いをされていかれるべき問題であろうと存ずるわけでございます。問題点の指摘としては先生指摘のように、私どもはそういう問題をいままで会社に対しても持ち出しておる、こういう事実はあるわけでございます。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 私、労働組合からいろいろ話を聞いたんですが、労働組合は会社の事態を憂慮しまして、積極的な建設的な提案をして、自分たちが生涯を傾けるに足る職場にしようというので、いろいろ聞いてみますると、たとえば自然退職は年に二百人、子会社に移籍したり出向いているのが二百人、その他石油資源開発、北スマトラ、京葉パイプ・ラインというようなところに百人ぐらい出ております。そのほかに物理探鉱、セラム、ボルネオ等の海外関係というようなもので七百人ぐらいも、やはり離職せずに石油資源の総合的な積極的な、縮小再生産でない、開発で処理できるというようなことも言っているそうですが、会社はまだなかなかそれに応じないということですが、私はやはりそういう縮小再生産でなしに、まあこういう鉱山会社は特殊な技術者ですから、それが生かせるような形でやはりやることが必要じゃないか。特にこの昭和三十年の七月二十六日の参議院商工委員会の速記録を見ますると、社会党の三輪貞治君が、当時の局長ですか、川上さんに対して質問をして、石油資源開発株式会社ができるが、人はどうなるんだというと、大体五カ年計画でやると五千人ぐらいの人が要る、三十年度初年度でも千二百人ぐらいとれる、三十一年には千九百、最終年度には五千八百七十五人ぐらいとると、こういうように川上さんがとうとうと述べておられるんですが、聞いてみますると、九百五十人ぐらいしかとっておられぬそうです。鉱区を千六百も出し、二十二億四千万も出しするのだから、人の問題くらいは協力していただけるだろうと思ってやった、そういう点では、やはり国策会社の立法ができたときに政府としても責任をとって、一半の責任を負うて、単に会社にまかして首切ってこれをけりをつける、そうすれば二十二億四千万の何とかてこ入れを考えようというような、すべての規制を私は職場の人に及ぼすようなことはやってはならぬのじゃないか。非常に帝石につとめている労働者は特殊な技術者が多いのですから、これはやはり縮小再生産でなしに、そういう石油資源の全体の開発計画を拡大する中でやっぱり解決してやるべきじゃないか。特に石油資源開発株式会社法案がかけられた際に、そういう質疑応答もあったんですから、だからいまその約束を果たしていって、帝石を一そう経営困難に追いやることはとるべきじゃないですよ。そういうような労働組合の提案も十分考えてやっていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。
  60. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 石油資源開発会社ができますときの当時の鉱山局長の国会での答弁、私も承知をいたしておるわけでございますが、それが必ずしもそのとおり行なわれておりません。九百五十名ばかりの移籍にとどまっている、こういう事実は私ども十分承知をいたしておるわけでございます。もちろんこういう数字にとどまりましたことにつきましては、SK自体としての事情もあったわけでございまして、一がいにSKのみを責めるというわけには参らないかと存じますが、ただいま今後の人員の問題をどういうふうに考えていくかということにつきまして、いま申し上げたようないきさつもあったことでございますし、また先ほど先生指摘の組合側のいろいろ考えもあるようでございまして、今後この問題につきましては労使間の話し合いに待つべき筋合いであろうというふうに存ずるわけでございますが、組合のほうから指摘のございます関係の子会社、あるいはいろいろ海外にこれから出てまいるわけでございますが、そういった関係会社への転出等につきましては、私どもといたしましてもできるだけ間に立ちまして、あっせんの労をとりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  61. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、これをSKにそういう当初のいきさつだから背負えというようなことで、また一そう経営を困難にするようなことはこれはすべきじゃないと思うのですが、やはりガス石油の積極的な開発海外油田開発等も含めて前向きの、すべてを労働組合に責任を負わすというようなことでなしにやっていただきたいという点を、それからもう一つ伺っておきたいと思いますのは、帝石に対する融資は私企業に対しては異例のものだ、だから首を切ってもいいじゃないか、首を切るくらいのことは一と言っているのですが、私は国策会社に二十二億四千、しかも帝国石油は利子を払って資金を調達しているわけですから、これはもうそういう意味においても私はめんどうを見てやるべきで、私企業に対しては異例な措置ということで、たかをくくってはいけぬじゃないかと思うのですが、局長その点はいかがですか。
  62. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 確かに帝国石油株式会社は一私企業でございますので、これに対して一般的に行なわれている以上の政府のバック・アップができるかどうかという問題はあるわけでございますが、先生の御指摘のように、この国策会社であるSKに対して資本金百億の帝石が二十二億四千万の出資をしておる。しかも、それがいままで全部出しっぱなしの金である、こういうやはり事実については私ども謙虚に考える必要があるんじゃなかろうか。それと同時に、今後労働問題等に関連いたしまして懸念されますのは、争議行為としてのストライキ等でございますが、何と申しましても、日本の天然ガスの供給者としては帝石は非常に重要な使命をになっておりまして、化学用の原料としてはもちろんでございますが、日常のタウン・ガスの原料としての天然ガスをいわば一手に引き受けている、こういう非常に公共的色彩の強い企業でもございますので、やはりそういった面等をも考えまして、先ほど大臣がお答え申し上げましたようなことで、目下事務的に大蔵省とも話し合いをいたしていると、こういうことでございます。
  63. 中田吉雄

    中田吉雄君 この問題はまあこの程度にしたいと思いますが、とにかく、なるほど私企業ですが、ただいま御指摘のように関連する影響も大きいわけですし、国策会社にとにかく二十二億四千万も出して、まあ早く出資したのは十年間も――それを八分の計算でも三十五億も無配でやったということは、これはもうこの会社がこれで成り立つということは私は奇跡以外にはないと思うので、早急に会社が再建案を出せば検討していただき、そうして、ただ売り上げ高と人員の比率とだけでこれを見られずに、至急に手を打っていただくことを希望をいたしまして、この問題については時間もありませんのでやめたいと思います。  次にお伺いしたいのは、石油業法の運用の問題についてであります。最近におきます石油業界の過当競争は非常に根強いものがありまして、まあ混乱の極に達していると言ってもいいんですが、ところが、他産業に先がけて特殊立法としまして石油業法ができまして、当局はこの法律に基づきまして過当競争のためにいろいろな行政指導をなされているわけですが、過当競争はちっともやみませんし、非常にむしろ出光さんの問題等を含めて激化の一途をたどっているわけですが、この過当競争のよって来たるところをどう見ておられるかという点ですが、私はやはり国際石油資本、外資の国際系の石油会社という異質なものがあることによって非常に競争が激化していると思うのですが、どういうふうに見ておられますか。
  64. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私は、外資系の会社が相当あるということでありますが、外資系の会社があるから過当競争になっているかどうかということは、必ずしもそういうふうな考え方をいたしておりません。ということは、いま現在において自動車産業のようなものはこれは国内産業だけでございますが、ずいぶん過当競争をしているように私は見ているわけでおります。外資系の会社があるなしということよりは、何と言っても石油、油というものはこれからまだまだ使う、その量がだんだん倍にもなって一億トンにもなるだろう、五年、七年の後には。そういうところまでいくのだ、こういうような七、八年たつとそういうところまでいくのだというような数字も出ておるようなわけでありまして、いわゆる見込みのあるところだから、そこでなるべく早く自分のシェアを確保したい、こう思って少しぐらい損でもかまわないからやろう、こういうわけで過当競争をしておるのがいまの姿である、こういうふうに見ているわけでございます。
  65. 中田吉雄

    中田吉雄君 福田大臣の言われるような意味もあると思います。自動車産業だって外国資本が入ってくる、そうじゃないという御趣旨はわかりますが、なかなか石油精製業は装置産業として巨大資本が要るのであります。私はやはり自動車とはだいぶその投下資本の構成でも違うと思いますし、外資との提携なしにはやはりそうむやみにたくさんの会社をつくって競争ができぬじゃないか。そういう点でも特殊な外国資本が入った会社がだんだんとただいま御指摘のような有利な産業であるから、販売のシェアを獲得するということが非常に大きく作用しておると思います。その点は承りましたからその程度にしまして、四月一日に福田大臣が現状を見かねて大臣談話を御発表になっているわけであります。それを拝見しますると、石油業界の現下の過当競争を自粛して、そして業法に基づく生産調整と販売価格の順守を強く要請した大臣談話を発表された。これは思い切った私は御発言だと思うのですが、ところが業界の状況を見ますと、実績が上がらず、むしろ大臣談話とは反対にむしろこの趣旨を骨抜きにするような動きも見られるわけですが、この大臣談話を生かされるためにどういうような措置を今後お考えでしょうか、そういう点をお聞きします。
  66. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 御案内のように、この四月一日からは、例のガソリン税が上がるようなことになっておりまして、いままで、とかくガソリンの税金が上がったときには、ほとんど販売業者なり精製業者なりがそれをかぶっているというような形になっております。しかも、石油の市況を見ますというと、中には一万一千円くらいのものを九千円で売っておる。一万一千円というのはいわゆるわれわれが基準価額と考えておったところのものでありますが、それに対して九千円ぐらいで売っておる。そこにまた二千六百円の税金かってきたときに、それもまた自分で負担するという形になりますと、年間おそらく四、五百億の赤字をみんなで出すだろうということになると思うのです。私はそういうばかげたことをすることはエネルギーの安定的な供給、安いばかりが能ではありません。安定して供給するということが必要であるという点から見まして、いつか何らかの破綻がきて、かえってそれがまた消費者にはね返る、あるいは産業全体にはね返ることが起こり得ると考えまして、実はこういう談話を発表しまして、反省を求めたわけでございます。その後の事態は、私の聞いているところでは、かなり業界も私の言ったことをよくくみ取って、何らかの措置を考えておるというふうに聞いておりますが、この点については局長のほうから御答弁をさせたいと思います。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 局長の答弁とからんで、この通産当局の行政指導の意図から離れて生産調整をやろうという動きがあるのじゃないかと思いますが、そういうことは独禁法との関係はどういうふうになりますか、含めて御答弁を願います。
  68. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大臣の警告がございましたことを契機にいたしまして、石油業界全体として非常に協調的な機運がだいぶ見えてまいったわけでございます。昨年問題を起こしました出光興産にいたしましても、依然として連盟のアウトサイダーという格好ではあるわけでございますが、今後この市況の立て直しをはかりまして、標準価格並びに生産調整を守っていくという方向につきましては全面的に協力していきたい、こういうことであるわけであります。  大臣がお答え申し上げましたが、四月一日から新しくガソリン税なり軽油の引き取り税が増徴されるということでもございますので、とりあえず四月一日からこの増徴になる税金だけはぜひ上乗せして販売するようにという指導を私どももいたしておったわけでございますが、現在までの時点におきましては、大体われわれの所期していた方向に行くのではなかろうか、しかしこれは今度の増徴されますところの税金分だけを上乗せするわけでございまして、それまでに相当くずれておりますところの標準価格に回復するということにはまだ遠いわけでございますので、今後時期を見ながらできるだけ標準価格の方向に価格の立て直しをはかるということで、目下連盟の中でも寄り寄り私どもも入りまして相談をいたしておると、こういう段階にあるわけでございます。ただ、御指摘の価格の立て直しをはかるために、やはり現在行なわれている生産調整では少しまだ供給力にゆとりがあるではなかろうか、そういうことで現在の生産調整で示されておりますところの各社の生産ワクをさらに圧縮する必要があるのじゃなかろうかという議論が連盟の内部にあることは御指摘のように事実あるわけでございますが、これに対する役所のわれわれの考え方といたしましては、この生産調整をやっておりますこの根拠になる需給の見通しの数字でございますが、御承知石油業法に基づきまして五年間のものがきめられておるわけでございます。そのうち三十九年度の上期の数字を根拠にいたしまして、国内の需要を充足するためにはどれだけの原油を処理する必要があるか、こういう数字に基づきまして現在の生産調整を行なっておるわけでございますので、これをさらに一律に五%なりあるいは一〇%圧縮するということになりますと、やはり問題があるわけでございます。私ども考え方といたしましては、一応生産調整は各社でそれを限度とする生産のワクでございますが、あとは各社の営業政策上から見たつまり在庫が非常にだぶつくということであれば、当然当該会社としては生産を圧縮するということがあると思います。それぞれの各社における自主的な判断によって営業に合った生産を自主的におやりになるということであればかまわないのではなかろうか、こういう考え方でおるわけでございます。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 大臣談話が、趣旨が次第に生かされてきつつあるという御趣旨で、けっこうだと思うのですが、先日も私の知人でガソリンスタンドを経営する人が来まして、いまほどもうかることはない、これはもう販売シェアの獲得を目ざして大臣が言われたように、千四百円ぐらいの標準価格を下回ったもので出すわけなんです。ところが、小売値段は協定してちっとも下げない。これほどスタンドが恵まれるときはないと言われるぐらいです。しかし、もう会社経営として、あとでも述べますが、たいへんで、民族系の会社なんかはたいへんなことになると思いますが、私は法を守り業界の秩序を安定し、また大臣談話が軽々しくされないために動向を慎重に見守って手を打っていただきたいということを希望しておきます。  次にお尋ねしたいのは、この石油業界の過当競争は非常に根が深いもので、業法の運用面のみでは非常に限界があるじゃないか。そういうために、民族系の企業を、中小の企業を育成するために再編成も必至じゃないかと思うのですが、そういう点についてお伺いしたいし、最近の新聞にも出ています石油安定基金の構想について四月十日の朝日新聞にかなり詳しく出ていますが、そういうものがこういう過当競争に持つ意義とか構想についてお話を聞きたい。
  70. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) 私はこの民族系の関係におきましても、かなり外資をみんな借りておりますが、しかし今度のいろいろの石油の値くずれ等を考えてみますと、大資本のほうが働きかけてそうして値くずれを来たしたものもあれば、中小のほうがもう困ってしまって、投げ売りをして値をくずしたというような場合もあり、いろいろあると思います。ただ、おしなべて考えなければならないことは、中小の石油精製業がみんな自分でおのおのいわゆるガソリンスタンドといいますか、販売の組織を持とうといたしておるところに非常に問題がある。これはむしろできるならば、四つか五つの中小の企業が組んで、今後そういうような販売機構を共同で一部のものはやるようにしたほうがいいのではないかという一つ考え方を持っております。そういうことでございますれば、国としてはこれはひとつできるだけこれを援助するといいますか、政府としても何らかの形で援助をしてみたい、こういういま考え方を持っておりまして、まあまだ具体的にそれを私が明らかにしてどうこうと言ったわけではありませんが、そういう感触で実はこの問題を見守っておるわけであります。中小の中の一部には、それは非常にいいという考えを持っておるところもあるように聞いておりますが、いわゆる販売網を持たないものが精製を始めるということになりますと、必ずそれはまた商社へ投げ売りをしたり、あるいはまた販売網を持っている石油精製会社に売ったりするようないろいろな弊害的な問題が起きておるようで、ございますので、私は特にその問題は十分注意をいたしたいと考えております。なお、いわゆる何らかの安定基金制度を設けたほうがいいではないかということもございますが、これも十分今後研究をいたしまして、必要があれば私は来年度予算等においては実現をいたすように努力をいたしたいと考えております。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 加藤局長にお伺いしますが、油関係の三十八年度の関税収入及び九年度予定幾らですか。
  72. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 私のほうで一応検討いたしました関税収入の見通しでございますが、三十八年度実績の見通しといたしましては大体三百八十億円ばかりでございます。それから三十九年度見込みといたしましては四百四十七億円、こういう数字になっております。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 大蔵委員会に出ていますガソリン税、軽油引き取り税の実収入の推移を見ますと、昭和三十九年度は油関係で中央、地方税を通じて三千三百三十八億、ただいま加藤局長が言われましたように、関税収入が四百四十七億で、油関係で四千億近い国税収入、地方税収入があるわけなんです。そうしてこれは年々石油消費の増大につれてウナギ登りにふえていくと思う。昭和二十四年から二十九年まで合計しますと一兆五千億も税金があるわけなんです。そういう点に比べると、私はやはり石油産業に対する措置が、道路さえよくなれば消費がふえるのだというようなことではやはりいけない。ただいま福田大臣が言われました安定基金の構想あるいは石油資源開発石油資源に対する出資の増額とか、海外油田探鉱活動とか、もっとやはり積極的に手を打ってやるべきじゃないかと思うし、特に再編成等を含めて民族系の中小石油産業を強化する意味でも、私は何らかの措置をとっていただくことを、特に税金の多いことから、希望いたしまして次に移りたいと思うのです。  まずお伺いしたい点は、民族系の会社が借りていますローンなんですが、この返済金額が年次別にわかりませんか、簡単に。
  74. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) お答え申し上げます。三十八年度、これが百六億ばかりでございます。三十九年度が百三十七億、四十年度が百八十一億、四十一年度が二百六十三億、四十二年度が百七十三億、四十三年度以降が六百十六億ばかりに相なっております。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 最近五カ年間におきます民族系の会社が借りましたひもつきのローンの総額は外資系のそれを上回りまして六百億にも達しているということであります。そうしますと、本来自由であるべき民族系会社のフリーハンドの原油輸入というワクがだんだん縮まって、いまは三〇%ぐらいにすぎない。今後さらに減ってくるというようなことになり、四十一年、四十二年ずっときますると、こういう競争がだんだんと続いていきますと、返済ができぬで身売りをせにゃならぬのじゃないかというようなことが起こらねばいいがと思うのですが、六百億にもなり、加藤局長がいま言われたような返済期限がどんどんくる、身売りをするというような危険はありませんか。
  76. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 御承知のように現在の石油精製業はいわゆる借金経営でございますが、外資系といわず、民族系といわず。したがいまして業界全体として非常に順調にいっている場合はそういう懸念は比較的少ないんじゃないかと思いますが、先ほど来御指摘のように、最近のような過当競争が今後も続くというようなことになると、いまお話のような懸念も必ずしもなきにしもあらずというふうに心配をいたしているわけでございます。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 日本を含め東半球の七つの大きな国際石油資本の収益はどういうふうになりますか。これはわかりませんか。実はこういうことをお尋ねするのは、大体石油は精製と販売じゃほとんどもうからぬ。原油の収益で、そういうところで赤字になったものを埋めるんで、もうどんなに安売りしてもそういうふうな外資系の会社はやれる。しかしその原油収益と結びついていない民族系の会社は一たまりもないということなんですが、大体一トンで千円ぐらいですか、原油収益がある。そして日本で六千万トンとすれば六百億ぐらいの原油収益があるんじゃないか。だからその中の七割ぐらいとして四百二十億ぐらいは精製と販売で損をしたってそのほうで埋めていけるからいいという説をなすものがあるんですが、これはどうです。
  78. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) いまの国際石油資本についての利益の状況等についてのデータをいま持ち合わせていないわけで、詳細なお答えを申し上げかねるわけでございますが、いまお話しの最近の国際石油資本の傾向といたしましては、原油で相当もうけまして、精製ではもうからなくてもいいというふうな考え方原油の売り込み市場を将来獲得する、こういった方向に努力を集中してまいってきておるというふうに私どもも感じておるわけでございます。
  79. 中田吉雄

    中田吉雄君 答弁は求めませんが、とにかく六百億も原油の収益があって、かりにその七割として四百二十億も、そうみなまで使うわけじゃありませんが、販売シェアの拡大のためにやられたらこれは一たまりもないと思うので、そういう点でやはり民族資本系の会社に対しては特に資本構成も弱いわけですから、相当の配慮をしてやっていただきたい。  それから次にお伺いしたいのは、新聞の報道によりますると、アラビア石油と民族系の会社が協調して石油精製会社をつくるということですが、アラビア石油国内持ち込み等のいろんな問題等も含めて、画期的な意義を持つんじゃないかと思うんですが、石油政策の一環としてどういうふうにお考えですか。
  80. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) アラビア石油が今度新しく静岡県に精製工場をつくるという話を実はわれわれも伺っておるわけでございますが、まだ正式の設備の、石油業法に基づきますところの新規精製業の許可の申請がございませんので、詳細なことはまだわれわれとしてもわからないわけでございますが、御指摘のように民族系の精製会社を含めまして、さらにコンビナートの関係会社、あるいは金融筋、こういったものが一体となりまして、このアラビアの開発いたしました原油のある程度のものをそこで処理するということにつきましては、非常に意義が多いことではなかろうかと思います。特に、民族系の四社がこれに共同歩調で参加いたしておるということにつきましては、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、そういった会社問の協調的な方向へ今後持っていくという面から見ましても非常に意義が多いんじゃなかろうかと、こういう感じを抱いておるわけでございます。
  81. 中田吉雄

    中田吉雄君 時間がありませんので、もう一、二点お伺いしたいのですが、石油業法制定されましてから二カ年の推移を見ますると、生産調整の問題にしましても、あるいは標準価格の問題にしましても、行政指導の実績はなかなかあげられるのに苦労しておられる。そうしてごたごたが続いておる。業法の趣旨から大きくそれている。これは結局今度の肥料の法案でもそうだと思うのですが、設備の規制を除きましては、勧告と指導で強制力のない点が、訓示的な規定のような点が問題じゃないか、石油業法ができました際には、あれをワンステップにして、情勢の推移につれてこれを強化していくというようなこともあったと思うのですが、そういう点から生産調整、あるいは製品の輸入の許可性とか価格の面についてもっと行政指導を強化されるというような法の改正というものはいかがなもんでしょう。まあ運用のほうでいかれるというのですか。その点はいかがですか。
  82. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説のとおり、石油業法実施以来二年になりまして、その間必ずしも十分な効果はあげていなかったかとも思いますが、ただいまのところでは、まあ業界におきましても、やはり業法の認めるところで、いわゆる各社の生産割り当てといいますか、生産ワクというものは通産省のほうでよくきめてもらってもいいというような空気も出てきておりまして、過当競争の弊害をかなり痛感を業界自体が認識をしてきておるようであります。そういうことであれば、私はいまの法律でもかなり実効をあげられるのではないかと思っておりますが、ここしばらくの推移を見た上であの業法をもっと強化すべきか、あるいは手直しすべきかということについては態度をきめてまいりたいと思っておるところであります。
  83. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはり杞憂に過ぎればいいと思うのですが、このような過当競争が続きますと、外資系の会社原油の販売収益にうしろだてされて、やっぱり民族系の会社はかなり非常な危険な段階にきて、出光さんなんかでもなかなか危険じゃないか、そういうことになると、いまはシェアの拡大のために安売りしておっても、まあアジアにおける最大の市場としてねらっておるその制覇ができれば、安い価格を長期的に保障するという体制もありませんし、石油業法趣旨を生かすために十分な行政指導をしていただくことを希望して、私の質問をやめます。
  84. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認めます。     ―――――――――――――
  86. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、中小企業金融問題に関する件の調査を進めます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは、日本貿易振興会の余裕金の運用にからみまして質問申し上げたのですが、その後専門調査室の御協力をいただきまして、全部調査してみました。そうしますると、わかりましたことは、古い年代にこの立法措置がありましたものは、国債を買い、あるいは郵便貯金をするというようなことなんですが、ところが、ぜひ注目していただきたい点が二つあるわけなんです。それは、中小企業の所管庁であります通産省が、わりあい中小企業金融機関に預託なり、その債券を買えるような措置がとってない。ところが、私これを見てびっくりしましたのは、農林省なんです。これを見ますると、農林省関係は、商工中金の債券を買うとか、商工中金に預託するとか、農林中央金庫の債券を買うとか、農林中央金庫に預金をするとかいって、農林省関係の余裕金は農林省関係の金融機関にちゃんと流れてくるような立法措置がとってあるわけであります。ところが、中小企業のために一番所管省として御熱心な通産省が、そういうことがないわけなんです。今度でも日本貿易振興会、アジア経済研究所というようなのは、出資があったりしまして、これが商工債券でも買えたり、そこで預金をしたりすることができるようでありましたら、落ち穂を拾うようなことですが、かなり中小企業金融の一助になる。私たちがいろいろ頼まれまして金融の世話をしましても、商工中金や中小企業公庫から少し融資のワクをつけていただくと、大企業に対する開銀の融資のような誘い水になって、非常に協調融資もやりやすいというので、そういう点で資金源を大いにふやさなければいかぬと思うのですが、これを私ここで取り出しましたのは、大蔵省がいろいろ言うということですが、農林省がやっていることが通産省でやれぬことはない、また、この余裕金の運用先をどうするかということは、今国会中でもやればやれる。これは衆参両院与野党ともあまり反対はないと思うので、私はよその省のことは言いませんが、中小企業金融を手助けする意味で、少なくとも農林省がとっているような措置を今国会でとっていただくことが必要じゃないか、そういうことはできるのじゃないかと思うのですが、福田大臣の御所見と、これを大臣の命を受けて、中小企業庁の中野長官のところでひとつ作業をして、今国会で間に合わせられるだけの熱意があるかどうかということを承りたいと思うわけであります。少なくとも私は、農林省がやれるのに通産省がやれぬという法は――大蔵省は反対せぬと思うので、その辺をひとつ御検討を願いたい。
  88. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) お説の趣旨はよく了承いたしましたし、御趣旨のように措置をいたして参りたいと思います。ただ、時期等については十分研究をさしていただきたいと思います。
  89. 中田吉雄

    中田吉雄君 会期も残り少ないことですし、御無理も言えぬと思うのですが、大蔵省は、私農林省がやっていることですからもう文句は言えぬと思う。中小企業金融は非常に困難ですが、中小企業金融公庫や商工中金からワクを少しもらうと、大企業に対する開銀の融資のような誘い水になって、中小企業金融の一助になると思いますので、私は早急にひとつ検討していただくことを、これは私の秘書と専門調査室でいろいろ苦労して、通産立法やなんかあっちこっち引っぱり出して全部調べてみて、決して不可能ではない、先例も十分ある、大蔵省がつべこべ言うことは、もう農林省の例を見てもできぬと思いましたので、たいへんおそくなりましたが、特に大臣に切望して私の質問を終わります。
  90. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をつけて。他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。午後は一時三十分再開することにいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ―――――・―――――    午後一時四十八分開会
  92. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  93. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 法案の審議をする前に、局長さんにちょっとお尋ねしたいのですが、この法律ができた当時、自主探鉱ですね、この事業団みずから掘鉱をやってはいかがかというのが衆議院、参議院で、局長は当時担当外ですから御承知置きないかもしれませんが、相当問題になった点なのですね。まあ若干進んではおるが、その点はどういうことでこういうふうになったわけですか。
  94. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 昨年度予算を大蔵省に対して要求いたします場合に、この事業団の目的たる事業といたしまして、現在やっております探鉱資金の融資のほかに、いわゆる自主探鉱もできるように、両方の実は要求を出したわけでございますが、遺憾ながらそれがものにならなかったということでございまして、この事業団法が国会で御審議の過程におきましても、特に衆議院におきましては、委員会で附帯決議をもちまして、ぜひ三十九年度には自主探鉱ができるようにすべきだと、こういう附帯決議等もいただいておりまして、そういった線で本年度予算要求をいたしました結果、私どもとしては、必ずしも金額的には満足な金額ではございませんが、一応大蔵省の認めるところと相なったわけでございます。
  95. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 結論的に、まあ端的な表現を使うと、大蔵省に削られた、こういうように解釈してもよろしゅうございますか。
  96. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) そのとおりでございます。
  97. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それから衆議院のほうの今回の審議の結果の附帯決議に、鉱床補てん準備金制度ということが盛られているわけですが、こういう点については、どうお考えになっておりますか。
  98. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これは税制の一環といたしまして、実はこれは年来の懸案事項でございますが、かつて数年前、政府の税制調査会でも一応議論のあった懸案事項ということに相なっておりますが、いろいろ審議の結果、それが認められませんでして、そのかわりに、探鉱用の機械等について思い切った償却制度を認める、こういうことになっておりまして、御承知のように、探鉱関係の特別償却制度というものがあるわけでございます。やはり基本的な考え方といたしましては、鉱山の仕事の特殊性から見まして、生産の一方、これと並行して探鉱活動を続けるということになりますというと、何らか鉱床補てん準備金と申しますか、あるいは減耗控除制度と申しますか、諸外国でやっているような税制を考える必要があるのではないか、こういうことでございまして、私どもといたしましては、鉱業審議会の中で資金税制分科会というものを、特別に分科会を設けておりますが、そこでひとつ本格的に御検討願って、できればこれが来年度からでもものになるように努力いたしたい、こういうつもりでやっております。
  99. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そういたしますと、政府のほうとしては、審議会の議を経て来年から実施する、でなくて、したい、こういうことですか。
  100. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 私どもとしては、そういう希望を持ってこれから努力したいということでございます。
  101. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それから次にお尋ねするのは、貿易の自由化に伴って銅や鉛、亜鉛、こういうものが次から次へと自由経済の中に入っているわけですが、いまやっておらぬのは何ですか。
  102. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 現在やっておりませんのは、硫黄、硫化鉱、タングステン鉱、金の鉱石、こういったようなものでございます。これだけはまだ残っております。
  103. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 あわせてお尋ねしますが、水銀ですね。これはタリフ・クォーターでやるというような、三年くらい前の話のように記憶しておりますが、あれは成果をあげておりますか。
  104. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大体そのときどきの需給状況を私のほうでチェックをいたしまして、必要なものの輸入はタリフ・クォーターを認めるということになっておりまして、大体軌道に乗っているというふうに考えております。
  105. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、日本で製品にされたものは大体三百万円ですね。イタリアから持ってくると二百三十万円ないし二百三十五万円。現在どのくらいの価格が建て値になっているのですか。
  106. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 現在大体二百七十万円程度のところでございます。
  107. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 二百七十万円といいますと、三十万円くらい三年前より安いわけですが、それは外国の輸入した商品の価格と、どういうふうにつり合いをとっているのですか。
  108. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) ただいま申しました二百七十万円というのは、大体現在までの建て値でございますが、いろいろ労賃の値上がり等の影響等もございまして、近くこの建て値を改定いたしたいというふうな動きがあるように聞いておるわけでございますが、現在のところは、大体海外の品物が日本に入着してまいりまして消費者に渡るところの値段に比べまして、国内のものが少し安いということでございます。
  109. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次にお尋ねしますが、外国から安い商品がどんどん入ってくるということで、国内の鉱山も近代化、合理化ですか、それをやってコストを下げなければならぬということでこの法律ができて、その法に基づいて手当てするということになるんですが、金額が膨大な額でないので、あまり期待が持てぬわけです。局長、大体どのくらいボーリングならボーリングができ、あるいは計画はどのくらいかというようなことが計画されておると思うんですが、どのくらいできるんですか。
  110. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 今年度の自主探査の全体の予算規模が一億三千三百万円ということに相なっておりまして、私たちの希望といたしましては、これをできるだけ効率的に使いまして、大体深度が平均四百メートルでございますが、これを五十本ばかりボーリングいたしたい、こういう予定でおるわけでございます。
  111. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 五十本、四百メートル、これは金額大体一メートルどのくらい見ておるんですか。相場が合わぬような気がするんで、もう一度お伺いいたします。
  112. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大体六千円というふうに踏んでおります。
  113. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 どこでやられるわけですか。
  114. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 御承知のように、事業団自身ではそういう手足を持っておりませんので、適当なる民間の方に仕事を請け負わす、こういう考え方でおるわけでございます。
  115. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 北海道開発のあれがありますね、ああいうところがやるわけですか。それとも、利根ボーリングというような民間の大きなボーリング会社、それから同和とか、あるいは三菱、三井というような個人の会社でそういう設備を持ってやるということになるのか。したがいまして、申請というか、あなたのほうで申請に基づいて許可される場合、いずこの会社なり、北海道開発のああいうところでやっていいものか、北海道地下資源株式会社というものがあるが、そういうところでやるものか、個人会社のボーリング専門の利根ボーリング、こういうところでやるのか、委託する場合に。
  116. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これは事業団と当該下請を行ないます会社との請負契約でやるわけでございますが、考え方といたしましては、広く一般の方がこの入札に参加できるような方向を考えたい、こういうことでございまして、特にたとえば資本金幾ら以下であるものは入札の資格がないというふうなことはやりたくない。逆に申し上げますと、北海道地下資源のほうの改正のとき問題になりましたが、中小のボーリングの業者を圧迫するというようなことはできるだけ避けたい、こういう考え方でおるわけでございます。そういった面の検討を目下、事業団内部でやっておるわけでございます。
  117. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そのお話の中に出ました北海道地下資源の会社ですね。あれは地下資源を探鉱、つまり、ボーリングするんだということで、ここで説明してわれわれは賛成したんですが、調べたところが、確かにボーリングのほう、地下資源をやっておる部分はあったが、大部分は建築するためにボーリングしますね、それをやっておったというようなことで、ここで問題になったことがあるんです。したがって頼む場合、これは容易でなかろうと思うのですけれども、単なる、やらせてくれというんじゃ困ると思うのですが、鉱山なら鉱山を限定してやらせるわけですかね。この法律から見ると、「金属鉱物」ということになっておるが、これは金属鉱物以外のボーリングにはタッチせぬということになろうかと思うわけですが、その点はいかがですか。
  118. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) とりあえず考えておりますのは、現在この事業団法のやはり融資対象の鉱種になっております銅、鉛、亜鉛、マンガン鉱、この四つでございます。しかし、これを今後どういうふうにふやしていきますか、初年度の経過等を見まして今後さらに検討はいたしたい、こういうふうに考えております。
  119. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いまのお示しになった数だけですか。
  120. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) とりあえずは、本年度につきましては四鉱種を目的にいたしたい、こういうつもりでおります。
  121. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、限定されるわけですね、銅、鉛、亜鉛、マンガンですか。そうすると、硫黄とか硫化とか、これは中小企業が持っているのはなかなか――銅などが出るところを持っているところもありますが、中小などはあまり銅とか亜鉛などというのは持ってないところが多いわけです。御承知のとおり。そうすると、ほんとうに助けてあげなければならぬ中小の持っている硫黄、硫化、こういうところはあまりお世話にならぬということになりゃせぬですかね。
  122. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 本年度とりあえず考えておりますのは、秋田県の北鹿地帯を考えておりまして、御承知のように、あの地帯は黒鉱鉱床、これの賦存地帯でございますので、当面の目的になるのは、こういった鉱種であるわけでございますが、まだ最初的には確定をいたしておりませんが、私たち聞いておりますところによると、その地域内にはいわゆる中小鉱山というものもかなりあるというふうに実は伺っておるわけでございます。  それから、これは今後の問題でございますが、マンガン鉱石も、先ほど申しましたように、鉱種の指定になっておりますので、これを目的にして本格的にこの自主探査をやるという場合には、むしろ中小鉱山が大いに恩恵を受けるということになるのではなかろうかと考えております。
  123. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 秋田県の北部というと、十和田の付近でしょうがね。あの地域は、局長の御承知のとおり、同和、三菱あるいは住友とか、こういうのばかりで、中小はありませんよ。それは確かに一つや二つあるでしょうけれどもね。あなたが、中小も恩恵を受けると言っても、ないんですからね。それは全然ないわけじゃなくて、一つや二つはあるんでしょうがね。そうすると、あんたのお話のとおり、計画どおりいかない。現地と当局でおきめになっていることとマッチしないことになりやせぬですか。
  124. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先ほどもお答え申し上げましたが、とりあえずは北鹿地帯を目標にして考えておるわけでございますが、確かに全体の利益を受ける割合から言いますというと、大手が大部分になるということは言えるかと思うのでございますが、その地域内に、鉱業権者としては、いわゆる中小鉱山に属するもの、現在稼行をやっていないようなところがかなりあるやに聞いているわけでございます。
  125. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、稼行をやっておらぬ鉱業権者で、大正時代であるか、昭和の初めであるか、登録しただけのところも、これはあるんですね。これは鉱業権を設定した場所であるという、そういうところをやるんですか。私、よく理解せぬだったものですから、いま幾ら採掘をやっておる、なかなか資力が足らぬ、したがってボーリングをやって探鉱してみたいんじゃが資金がないという場合にお世話になるものか、というふうに判断をしていたんですが、これは私の判断が誤りということになるんですね。
  126. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これは個々の鉱業権者が、それぞれの責任におきまして試掘をやるわけでございますが、御承知の、最近は露頭を追っていくやり方よりも、いわゆる潜頭鉱床というものの開発がだんだん進んでまいったわけでございます。いままでの露頭を追ってやっていくやり方に比べまして、相当困難な面がいろいろ多いわけでありまして、どこからどういうふうに手をつけたらいいかという一つの指針を与えるために、あの地域に、いわば碁盤の目のようなかっこうでボーリングをいたしまして、そこの地下の状況を調べる、それを参考にいたしまして、個々の鉱業権者が現実の試掘行為を行なう、こういうような考え方でおるわけでございます。
  127. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、いままでは融資事業団は、字に書いたとおり融資ばかりやっておったけれども、法律ができてから半年くらい動かなかったわけですね。この事業団が動いた今日、現在では大手と中小と、どのくらいの比率で融資を受けておるのですか。そのパーセンテージがわかれば、お知らせ願いたいのですがね。
  128. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この事業団が融資の対象にいたしておりますのは、いわゆる中小鉱山以外の鉱業権者であるわけでございまして、事業団の融資対象としては、したがいまして、いわゆる中小鉱山は含まれておらないわけであります。そのかわり、中小鉱山につきましては、新鉱床探査費補助金という制度がございまして、これは金融ではなくて、それぞれの鉱業権者が自分で探鉱活動をおやりになる、その新鉱床の探査、探鉱をおやりになる場合の経費の半額を補助金として差し上げたい、こういう御承知の、新鉱床探査費補助金というものがあるわけでございます。
  129. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで局長にお尋ねするのですがね、中小と大手と、どこでその差をつけるかということで、大手金属鉱業の場合、大手十八社というわけですがね、そうすると、大手と中小の差が、中小企業の問題でいつもここでやるわけですがね、資本金幾らで従業員が何人でということで割り切っておるわけですか。
  130. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これは中小企業の法律にありますのをそのまま採用しておるわけでございまして、具体的に申し上げますというと、資本金は五千万円以下であればいい、そうであるとか、従業員の数が千人以下であるとか、このどちらかに該当すれば中小鉱山ということにいたしまして、補助金の対象にしておるわけでございます。
  131. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、資本があっても中小に該当する場合もあり、企業が大きくても中身の悪い場合もあるわけですね。これはまあ鉱山ばかりでなく、あらゆる中小企業の問題で出るのですが、こういう差別ができてきやせぬかという気がするのですがね。確かに局長のおっしゃったとおり、中小には補助金がある、しかし、百万円の補助金をもらうために、五十万円くらい使わなくちゃもらえないと中小企業の経営者が言っている。通産省にお百度参りしなければならぬ。そこで半年くらいかかる。そこで、ちょっと言いにくいことですが、前の局長さんのときに、もっと簡素化する、何とかうまく補助金を早く出す方法ありませんかということを、ここでえげつない発言ですがしたことがあるのですが、今日でもなかなか直っておらぬらしい。会社に行くと、二名か三名、補助金をもらう係がいる。それで幾通りも使って判こを二十ももらわなければ、なかなか融資の金をいただくことができない、こういう悩みがある。山を歩いてみますと、現在少しようなりましたかね。
  132. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先生指摘のような御意見、前々から伺っておりまして、われわれ、できるだけ事務処理を早くしたいということで、本年度もすでに各山から計画等を全部取りまして、大体いまのところですと、六月の初めには全部決定をいたしたい。あと、まあ大蔵省との現実の金を出す場合の問題があるわけでございますが、そういういままで御意見を伺っておりますので、できるだけ迅速に取り運びをいたしたい。  それから、これは地方の通産局が窓口になっております関係から、どうしても通産局の所在地までお出向き願うということは、ある程度やむを得ないのじゃないかと思っておりますが、手続等の面につきましては、ずいぶん簡素化をやっておりますが、今後とも十分留意をいたしたい、こういうふうに存ずるわけであります。
  133. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 この法律は、融資専門のところから請負にしたところで、とにかく、事業団がボーリングやろうというのですから、一歩前進であることは、これは間違いない。ただ、いま局長さんの御答弁のように言いますと、まあ秋田からやられると、こう言う。そうすると、これはもう中小がほとんどと言って語弊があるかもしれませんが、鉱区を持っておるものでほとんど大企業が恩恵をこうむるのですね。中小はほとんどない。外国商品の貿易自由化によって太刀打ちするということになれば、一番先にやはり痛めつけられるのは中小企業です。製錬所を持っておらぬですし、鉱区が悪い、手持ち資金もないものですから、ボーリングできないというときに、これはやはりこれでいきましても、大企業が恩恵を受ける率が膨大で、中小企業はほとんどなかろうと思いますが、事業団としても、おっかなびっくりですから、ただ鉱区があるというだけで、自分のところでやっておらぬところに、簡単にボーリングやらぬと、そうすると仏つくって魂を入れないということになる懸念がありますが、そういう心配はないですかね。
  134. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先ほど説明が足らなかったかと存ずるわけでありますが、今度の事業団が行ないますところの精密地質調査と申しますのは、ある一定の地域にいわゆる絨毯ボーリングと申しますが、当該地域が現に稼行されているといないとにかかわらず、有望な地域についてボーリングをおろす、こういうことでございますので、結果的に現在稼行してない中小鉱業権者の持っている鉱区がもしその地域内にあるとすれば、そこにもまたボーリングをおろす、こういうことになるわけであります。
  135. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次いでお尋ねするわけですが、この事業団が独自の立場で、いま局長のお考えの中にあったように、秋田なら秋田をやるというわけですか、それとも、事業団に全部申請させて、中部から近畿から、あるいは九州のほうまで、全部申請させて、そこで設定するものですか。その点はいかがですか。
  136. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この事業団の行ないます地質探査は、できるだけ効率的に行なう必要があるわけでございますので、私ども考えていますのは、この事業団が精密な地質構造調査をやる前の段階といたしまして、一昨年から工業技術院の地質調査を、いわゆる広域調査というものを行なっておるわけでございますが、これは大体物理探鉱、地震を鉱等の地表調査から始めまして、適当な地域のところに、千ないし千五百メーターくらいのボーリングをおろすわけでございますが、そういった地質調査所のいわゆる広域調査によって、地下の大構造が判明する、その次の段階に、大体この辺を重点的にやれば胚胎しておるんじゃなかろうか、こういう見当をつけまして、集中的に事業団によるボーリングを行なう、それをさらに一つの参考指針にいたしまして、個々に鉱業権者がいわゆる自己の責任においての探鉱活動を行なう、こういう順序で考えておるわけであります。
  137. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その場合、四百メーター、五十本というお話ですが、これはあくまで標準であって、四百メーターというのは、五百メーター、六百メーター、ボーリングする場合もあり得るわけでしょう。
  138. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 四百メーターと申しますのは、平均的に申し上げたわけでありまして、いわゆる地層の構造の上がり下がり等がございまして、ある場所では百メーター、百五十メーターでいいという場所もあるわけでありますが、逆に四百メーター以上の深さまで掘らなければならぬという場合もあり得るわけであります。
  139. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いま国内でやっておる大手の場合でけっこうですが、大体平均どのくらいの深度でボーリングしておるわけですか。
  140. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大体大ざっぱに、平均的にみますと、百五十ないし二百メーターとこういうことに相なっております。
  141. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 次にお尋ねするわけなんですが、銅の場合ですね、坑内へ入ってボーリングをする、直接調査をやって、こういうこともやられるわけですか。
  142. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 大体地表からのボーリングをやるということを原則に考えております。
  143. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 局長はよく御承知のように、一つ会社でやはり億単位の金額探鉱をやっておりますね。ですから、全国的にみて、予算もきまってしまったから、この場で申し上げても、これはすでに月おくれなんですが、あまりにも微々たるものであって、ものにならぬような気がするのですがね。ほとんど大仕事なんかできない。やらぬよりましという程度のものなんですが、将来どうお考えですか。
  144. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先生も御承知かと存じますが、実は私ども、予算要求のときに二億の事業規模をもっていったわけであります。何ぶんにも、財源の関係から三分の二の規模に縮小せざるを得なかったといういきさつがあるわけであります。これは初めての仕事でございますので、本年度はこれで一応やってまいりまして、いま先生の御心配のようなことにならなければ幸いと思いますが、実績を見て、来年度は実情に即し、しかも効果的になるような予算の要求もいたしたい、こういうふうに存じております。
  145. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、これを見ると、資金の流用等はできぬようですが、もう少しやってみたいというふうなことになった場合、この融資する金をこちらにということは、法律では不可能ですか、そういうことはとてもできませんね。
  146. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これは一般の融資事業と別に、独立の会計といいますか、区分経理するということになっておりまして、いま先生の御指摘のようなことはできないたてまえになっております。
  147. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうしますと、結局、五十本が三十本になる場合もあり得るし、五十本が二十五本になる場合もあり得る、あるいは五十本が六十本になる場合もあり得る、予算の範囲内でやると。こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  148. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) さようでございます。
  149. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、たとえば同和なら同和、あるいは日鉱なら日鉱の会社が、個々に予算の範囲内で自分のところでやりますという場合には、その日鉱なら日鉱、同和なら同和に対して、やはり金を出すのですか。
  150. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) これはあくまでも個々の鉱業権者の仕事の関係とは無関係でございまして、現在すでに各鉱山会社で手をつけておるところはそれ以上調査をする必要がないわけでございますので、今後新しく手をつけなければいけないようなところを事業団の手である一定の地域を限りまして、計画的に行ないたいというふうなことでございますので、あくまでも事業団自体の責任と計画に基づいてこれを行なう、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  151. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そういう鉱区がありますかね。全然手をつけておらぬというところ、たとえば具体的にどういうところにこういう鉱区があるということをお示し願えればこれはお示しいただきたいのですがね。それはもう秋田でも山形でも、あるいは岩手でも、あれでもずいぶん手をつけておるのですが、全然手をつけないという鉱脈なんというのはないですよ。そこで一つの鉱脈を発見したと、そこをやっていくうちにボーリングすることによってまた鉱脈を発見し、あるいは次から次へと連鎖反応的に鉱脈を発見したということは、これはあるのですね。しかし、いま局長のおっしゃったようなところは、私の承知しておる限りではこれはない。あれば、どこをやりますというようなことをおわかりでしたらお示し願いたいと思います。
  152. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) まだ具体的な実施計画法律がいよいよ成立した暁においてきめるわけでございますので、どこをやるかということを申し上げられないわけでございますが、あるいは私の御説明がまずかったんじゃないかと思いますが、非常に広い鉱区であって、その鉱区の中のある一部で現に探鉱をやっておるということはございますけれども、相当に広くて、それ以外の場所を相当今後探鉱しなければいかぬという場合が多々あるというふうに感じておるわけでございます。たとえば日本鉱業の釈迦内と申しますか、あれはおそらく日鉱さんとして独自にいろいろ探鉱された結果、ああいう鉱床が見つかったんじゃなかろうか。その結果がまた他の鉱区に参考になりまして、たとえば松峰地区の鉱床の発見が一つのあれが手がかりになっておるのだということも言い得るかもしれませんけれども、考え方としては、現に手をつけてはいないけれども、やはり将来はそういった方面まで手を伸ばして探鉱活動をやる必要がある。しかもそこに有望な鉱床があるかもしれない、こういうところを重点的にこの事業団でボーリングをやりたい、こういうことでございます。
  153. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 なるほど法律が成立を見ないうちに、どこをやるということは言えませんということは、理屈としてはわかりますけれども、少なくとも法律をつくって金を出すという以上は、どこにどういうものがあって、したがってそれを対象として金を出す、法を定めるということにならなければならぬと思うのですが、ですから私はここをやりなさいとか何とかでなくして、これはやはり私は一つの対象物があろうと思うのです。全然五里霧中で法律をつくり、国の支出をきめるということはあり得ない。ですから局長のおっしゃるような方向でいくと、なかなか該当するところがない。しかし私の考えでは、いま局長の答弁の中にあった、あるいは日鉱にしても、同和にしても、あるいは三井にしても、これは自分でみなやっているわけですよ。そして中小企業はあるいは鉱業権を売ったり買ったりしてボーリングをやっておるわけです。少なくとも租鉱権を設定するときにはボーリングをやっておるわけですからね。そういうことなんでどうも理解ができかねるのですね。ここの鉱区をやりますというような、これは一つの例として、こういうところはどこも手をつけておりませんというところはあるのですか。
  154. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) いま大体考えておりますのは、先ほどお答え申し上げました秋田県北鹿地区ということを一つ目標にしておるわけでございますが、私ども実は昨年の十月あの辺を見せていただいたのでございますが、相当広い地区にわたりまして鉱業所が散在しておるようなかっこうで、全然手がついておらないという地域も相当あるようでございます。たとえば大館付近だとか、あるいは十和田の南のほうの地区だとか、こういったところなんかも将来どんどん探鉱開発する必要があるのじゃなかろうかという感じでおるわけでございます。そういう余地はかなり広い地域に残されているというふうに存じておるわけでございます。
  155. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 どうも五里霧中の話でつかみどころないのですが、石油開発資源で北海道の野幌というところでボーリングをやった。三千メートル掘って七千万円損してしまった、一本で。今度は深度が浅いからそういうわけにまいらぬけれども、どうも計画性がないのじゃないですか。それと同じような結果がそちこちで出てくるのじゃないか。ぼこぼこやったらボーリング会社は喜ぶかもしれませんけれども、やはり一つの関連をもってやらなきゃならぬというような気がしますがね。
  156. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 先ほども申し上げましたように、工技院の地質調査所でやっております大構造調査、これと有機的な関連を持たせながら最も効率的にやりたいということでございまして、昨年度あの地域に地質調査所の手でボーリングが二本ばかり掘られているわけでございますが、その他地方からするいろいろの探鉱活動が行なわれておるのでございます。こういった点の資料一つの参照といたしまして、具体的に地域を決定する、こういう考え方でおるわけでございます。決して無計画にあちらこちらで掘ろうというものではないわけでございます。
  157. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いずれにしても微々たる金額ですから、ここでけんけんごうごうとして議論するほどのものでないのであれですが、まあとにかく将来どう発展していくかわかりませんけれども、これじゃとても探鉱を始めたというようなことにならぬわけで、これは四百メートルの五十本というのですから、参議院会館でボーリングやってますね、あれを少し大きくしたくらいのものですから、これはどうにもならぬわけですが、しかし、中小に恩恵が一つもいかぬような気もするのですが、これは気の毒に思いませんか。中小を助けなければこれはどうにもなりませんよ。大手はまあ政府にやかましく言うかもしれませんけれども、自主的に探鉱はやはり鉱山の使命ですから、やはり何%か、一つ会社で何億という資金を投じて探鉱をやっているわけです。中小はさっぱり恩恵をこうむらぬわけですね。ですから中小の依頼を受けて中小に補助ボーリングをやってやるということになりますか、そういうような方法を講ずるようなことはできぬですかね。
  158. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) この事業団による地質構造調査、これは個々の鉱区にかかわりなく、ある特定の地域を重点的に選んでその地下の状況をはっきりさせる。それを個々の鉱業権者の一つ探鉱の指針にするということであるわけでございますけれども、結果的には今度やる地域にかりに中小の鉱業権者の鉱区がある。その中にボーリングが打たれたということになりますれば、当然当該中小の鉱業権者も利益を受ける。こういうことに相なろうと思います。ただ北鹿地区が比較的大手の鉱山が多い地域でございますので、先生指摘のようなこともあるかと思いますが、将来たとえばマンガン鉱を指定してボーリングをやるというようなことも考えられないわけでございまして、将来の問題として十分検討させていただきたい。現在の考え方といたしましては、衆議院のほうでもいろいろと御意見を承ったわけでございますが、現在ございます新鉱床探査補助金、これを将来とも増強していくというふうな方向で考えていく必要があるのではなかろうか。こういう感じでおるわけでございます。
  159. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その補助金もこれは年々きまるわけですが、これもまたきわめて微々たる額で、一つ会社にあれだけいただいたら大いに役立つのですが、何十の会社申請をして分割するわけですから、あまり足しにならぬわけです。したがって、まあ山形県ですね、ここは一番日本で中小鉱山が御承知のように多いわけです。局長のおっしゃるとおりにいくと、これはもうなかなか中小はほんとうにお世話にならぬ。ですから、貿易の自由化によって、中小を少しでも助けてやるということになれば、群馬とか山形あたりでやっていただくと、これは五十本のうち一本うまい鉱脈を見つけても、これはもう一本だけでもそれ相当の価値があるわけですから、群馬や山形あたりでやっていただくというわけにはいかないでしょうか。
  160. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 事業団が探鉱を地質探査をやります目的の鉱物を何をやるかということによって、中小の利益を受ける程度が非常に変わってくるんじゃないかと思いますが、とりあえず、いま考えておりますのは、鉱業審議会で御審議をいただいている安定臨時措置法の基準に基づきます基本計画、実施計画をできましたときから重点的にやっていきたいと思います。すでに御審議をいただいて答申をいただいておりますものは、銅、鉛、亜鉛三つの鉱種があるわけでございます。将来鉱業審議会におきます鉱種の指定の追加等々もからみ合わせながら、御指摘の中小企業にも利益が及ぶような鉱種の選定を将来の問題として十分検討いたしてまいりたい、そう考えております。
  161. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いかなる法律を審議するときでも、すぐあなた方は将来ということですらりと体をかわされますが、これはできたときが局長大事なんです。特に私の申し上げている群馬、山形などというのは中小企業がほとんどです。加えて鉱業審議会でも硫化鉱、硫黄、これを重要視して専門部会を設けられるというお話を先日局長から伺ったのです。これにいまのうちにてこ入れしておかないと、確かにおっしゃることは、ここ二、三年はやりませんということをあなたはおっしゃっておられるが、いまのうちに手当せぬことにはたいへんなことになりはせぬでしょうか、その点いかがですか。
  162. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 硫黄、硫化鉱につきまして、御指摘のように、最近鉱業審議会の中に分科会を設けまして、できれば来年度予算の要求に間に合うように一つの方針を打ち出していきたいということで、いま第一回の開催の準備をいたしておるわけでございます。そういうことでひとつ御了承いただきたいと思います。
  163. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 三十九年度事業団の融資額は幾らですか。
  164. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 二十億でございます。
  165. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 金利は幾らにしておるわけですか。
  166. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 現在七分五厘でございます。
  167. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これは幾つぐらいの会社に分かれておりますか、融資先は。
  168. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 本年度の第一回の鉱山の鉱業権者の数でいいますと、十五社でございます。
  169. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いまの金利の問題ですが、中小企業の問題が出るたびに、自民党の豊田先生とか、社会党の近藤先生は金利が高い高いといっていつもやかましくおっしゃるわけですが、一般の中小企業の場合には工場をつくって製品を出すまで半年か一年かかる、二年もかかるところはない。しかし、この種の鉱山はボーリングから坑道を掘って今度採鉱を始めるわけですから、なかなか年数がかかるわけですね。そうすると、これは金利を安くしていただかなければ困るんじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
  170. 加藤悌次

    政府委員加藤悌次君) 確かに先生指摘のとおりに、事柄の性格から見まして非常にリスキーな仕事でございますので、そういうものが借金をしてやる場合には七分五厘は割り高という感じがいたすわけでございます。実は本年度予算要求でも六分五厘に引き下げるように要望を大蔵省にいたしたわけでございますが、遺憾ながら本年度はそれの実現を見なかったということでございまして、今後とも努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  171. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 時間がまいりましたからこれで質問をやめますが、局長の答弁を聞いているとすぐ来年はということと、大蔵省に切られたという話だけなんですね。そんな自信のないことだったらこれは困るので、大蔵省の下に通産当局があるわけでないのだから、同列同格です。何でもこういうと大蔵省にやられたということになるのです。一年たって製品ができる工場と、三年たたなければ製品ができないところと、国がお世話をする場合にはやはり差があってしかるべきですよ。したがって、来たやられる、こうおっしゃるから、ひとつあなた鉱山局長になられたばかりですから、来年まさか次官になるまいから、ひとつ来年は確かに引き下げをしていただきたいのが第一点と、それから秋田県の北とこうおっしゃったが、あそこは大企業ばかりです。一つ計画に基づいてやられるのですから、いま変更できぬかもしれないが、何といっても貿易の自由化があるなしにかかわらず、製練所を持っておったら中小企業は一番苦しいわけですから、私の希望するのは群馬県に山形県、こういうところをお願いしたいのだが、やはり中小企業を何とか見てあげるということで、一本立ちでやっていける大手よりも、まず中小ということで御配慮をいただくように、これは質問でなく要望として申し上げす。
  172. 中田吉雄

    中田吉雄君 いまの問題に関連して、参議院の大蔵委員会の私の同僚野溝委員質問に対する速記録を読んで、帝石やいろいろな石油資源開発の問題を読んでみますると、どうも阿部委員がいま言われたように、少し通産当局は謙譲の美徳を発揮され過ぎて、もっと原局の強い要請を期待している、待っているのだけれども、あまり強い要請もないしというようなことがあるので、これはやはりはっきり速記録全部読んでみると、田中大臣が、言うのは悪いが――というようなことを言っておられるし、私たちが大蔵省の主計局の人に聞いてみても、どうも突き上げが少し足らぬように言うのですがね。ひとつそういう点十分気にかけて、ただいまの問題、石油資源の問題等をやっていただくことを、私あの速記録を見て、特にその感を深くしましたので希望を申し上げておきます。
  173. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより先刻質疑を終局いたしております石油資源探鉱促進臨時措置法廃止する法律案及び金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案の討論に入ります。討論は両案を一括して行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御意見もないようでございますが、両案に対する討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。まず、石油資源探鉱促進臨時措置法廃止する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  176. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  177. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき両案に対する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時四十一分散会      ―――――・―――――