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1964-03-31 第46回国会 参議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月三十一日(火曜日)    午前十一時三十七分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    経済企画政務次    官       倉成  正君    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    中小企業庁長官 中野 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省通商    局通商参事官  堀  新助君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (日韓経済関係の諸問題に関する  件) ○中小企業指導法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法及び中小企業信  用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会討議事項について御報告いたします。  本日は、日韓経済関係の諸問題に関する件の質疑を行ない、中小企業指導法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上三案の質疑を行ない、討論、採決を行なうことになりましたので、御承知願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) それでは、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、日韓経済関係の諸問題に関する件の調査を進めます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 韓国対外貿易について若干質問をいたしたいと思います。  通商白書によると、一九六二年の韓国対外貿易輸出が五千五百万ドルで、輸入が四億二千七百万ドル、これは輸入超過が三億七千二百万ドル、こういうふうなアンバランスがあるわけなんです。輸入輸出の約八倍という状況でございますが、この大幅な貿易収支赤字は、ほとんど米国援助によって補われていると言われております。ところが、米国援助は漸次減少傾向にありまして、一九六二会計年度における援助供与額は二億ドルほどになっていると、こういうふうに書かれております。ただし、これは開発のための借款が増加しているのでございますが、現在韓国はどんな形で輸出入バランスをとっているのか、大部分米国援助であるにいたしましても、その内訳を資料のある限り明らかにしてほしいと思うわけであります。
  5. 堀新助

    説明員(堀新助君) 仰せのとおり韓国貿易は非常な輸入超過でございまして、その大部分アメリカ援助によってまかなっているのございます。しかし、韓国輸出自体も多少ながら伸びを示しておりまして、たとえば一九六一年には約四千三百万ドルでございましたものが、六二年には約五千七百万ドル、昨年はまだ一月から五月までの統計しかはっきりいたしておりませんが、これは三千万ドルになっておりまして、多少なりとも輸出による貿易バランス努力いたしている成果は見えてまいっております。  それから仰せアメリカAID資金によります輸入でございますが、一般輸入と、AID資金によります輸入との比率を見ますと、一九六一年には一般輸入が二に対しまして、AID資金輸入三の割合でございましたが、六二年にはこれが一対一になりまして、六三年一月——五月の統計では逆に三対二、つまり普通の輸入が三に対してAID輸入が二というふうに、アメリカAID資金による輸入は漸次比重が減る傾向にございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 韓国外貨準備をどのくらい持っておるのでしょうか。
  7. 堀新助

    説明員(堀新助君) 一九六一年の年末には約二億ドルの外貨準備を持っております。ところが、その後貿易逆超のため漸次低下いたしまして、六二年の年末には一億六千七百万ドル、六三年の六月末には一億一千百万ドルにまで低下いたしました。ただ、その後輸入引き締めなどの努力によりまして、昨年末の数字は一億三千万ドルぐらいと承知いたしております。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、韓国外貨はだんだん減少していっておる傾向で、昨年末ですか、一億三千万ドル……。
  9. 堀新助

    説明員(堀新助君) 昨年末一億三千万ドルでございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 少しふえてきておる、こういうふうな形になっておるのですね、で、日本との輸出入を見ますると、三十七年には、日本からの輸出が一億三千八百万ドルで、日本輸入は二千八百万ドル、日本から輸出輸入の約五倍という片貿易でございますが、それは一九六一年にも大体同じようなことで、このように輸出しても輸入するものが韓国にないという状態では、その輸出債権はたまるばかりだと思うのです。これをどういうふうに決済しようとするのでございましょうか。それから、いま対日清算勘定残高は一体どのくらいあって、将来どのように解決しようとしておるのか、この点について伺いたい。
  11. 堀新助

    説明員(堀新助君) 仰せのとおり、韓国からの対日債権は、従来オープンアカウントのもとにおきましてたまっておりまして、この額は一九六一年一月末日現在で約四千六百万ドルに達しておりました。したがいまして、そのときに韓国日本の間にこの債権残高の整理に関する、処理に関する取りきめをいたしました。これが一九六一年四月二十二日に調印されておりますが、その取りきめによりまして、その取りきめの成立後は債権残高をふやすことがないように、その後は毎月確実に返済をしていく。それから、いままでたまっております約四千六百万ドルの債権残高は、将来これを完全に早期に決済する話し合いを進めていくという取りきめができたわけでございます。したがいまして、この取りきめができました以後におきましては、毎月決済は現金で行なわれておりますので、債権残高は特に増加しているということはございません。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 韓国は対米貿易赤字米国援助でまかなっておる。それが減少傾向にありますときに、日本日韓交渉を行なって、今度は日本からクレジットを提供してもらうことを考えているようでございますが、今度の日韓会談では、有償及び無償のクレジットは約五億ドル、その他に民間のクレジットが一億ドル、これを提供する計画と聞いておるのです。これは結局米国援助を肩がわりするということでないかと思うのです。そしてこのクレジットも、おそらく二、三年のうちに食いつぶしてしまうことになるのではないか。政府当局のこうしたことに対する見通しといいますか、それについてひとつ御説明をしていただきたい。
  13. 福田一

    国務大臣福田一君) これは近藤委員も、予算委員会あるいはその他本会議等で、総理や外務大臣が御答弁を申し上げておるとおり、日韓会談というのは包括的にきまるまではきめたということにしない。たとえさまつな事項でございましても、両者の意見が一致しない場合には、これを決定したということにしない、こういうふうにいたしまして、ただいま関係者の間で交渉を進めておる段階であります。したがいまして、いままできまったように伝えられておる数字は出ておりますが、われわれとしては、それは単なる仮定数字である、こういうふうにまだ考えておるわけでありまして、それをもとにして、日本がどうするとかこうするとかというような考え方はまだ持っておらないのであります。ただ、新聞等に出ておりますそういうようなことを基礎にして、結果においていま近藤委員が御質問になったようなことを御判断になるということを、われわれはどうこう申し上げる段階ではありませんが、しかし、政府自体としてお答えをするということになりますれば、われわれとしては、とにかく隣国である韓国とできるだけ早く正常な状態になっていくように努力をする、そのための会談をいましておる、こういうわけでございますから、それによって、きまらないものを基礎といたしまして、われわれしかも直接交渉の任にも当たっておらない者がお答えをすることは、まことにどうも申しわけないと思いますが、差し控えさせていただきたいと思います。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 いま大臣の御答弁では、なるほど日韓会談成立後でなければ問題にはならぬと、しかし、仮定数字だと言われまするけれども、一般論としてもうこれは事実いろいろな通信、それから雑誌等なんかでも、このクレジットの問題は言われておるのだから、ただ、私はその仮定の問題の数字だけであるから、これに対してとやかくいま言うべき問題でないと、こういうことは私は若干おかしいのじゃないか、これはどうですか。
  15. 福田一

    国務大臣福田一君) 私がその仮定数字を肯定した形で御答弁を申し上げたら、それは政府の方針と違っておっておかしいじゃないか、もうきまったのかと、こういうことに相なるわけでありまして、それはもう私が申し上げるまでもなく、近藤委員がよく御承知のことかと思うのでありまして、私といたしましては、この段階においてはどうもお答えをいたしかねるわけでございます。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 韓国で戦後経済復興がほとんどなされていないということは、もうこれは大臣もほぼ御存じのことだと思うのですが、一体この原因はどこにあるのか。それから米国がいままでに経済援助として三十億ドル以上のものを支出したと、こう言っておりますが、それがほとんどいままで実を結んでいない、こういうふうな見方もできるわけでございまするが、そこへ今度は日本援助すれば効果をあげると、こう考えられておられるのかどうか、まあこれも仮定の問題になるかもしれませんけれども、やはり一応そういうことも考えての上で私は会談というものはなされなきゃならぬのじゃないかと、こういうふうにも考えるのですが、大臣見解はどうですか。
  17. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、米国相当程度援助をしておりましたが、それがどういうふうに使われたかということは新聞その他によって知っておるだけでございまして、政府がこれを公式に調査するわけにもいかないし、韓国からその調査をもらっておるわけでもございません。しかし、それはどういうわけと君は思うかということであれば、われわれそういう乏しい新聞の知識を材料にしてお答えをすることになるので恐縮でありますが、私も韓国に一週間ばかり行って来ましたし、そのときいろいろ見たり聞いたりしたことも加えてお話をすれば、やはり南北の例の三十八度線に相当な軍隊を持っておる、維持しておるというようなこととか、あるいはまた北鮮南鮮へ侵入いたしましたとき相当破壊工作が行なわれた、戦争のことでありますからやむを得ないことでありますが、そういうものの復興をするとかというようなことに相当程度のものが使われておるのではないか、こう思うわけであります。もう一つは、残りはやはり韓国の国民の生活のためにある程度使われておるのではないか。このくらいがわれわれとして一応考えられることでありますが、どれがどうなってというようなことは、われわれのとうていうかがい知るところではございません。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 聞くところによれば、日本産業界韓国への進出ということが相当これまた新聞等でもいろいろといわれておるわけでございます。日本が今後韓国に対して援助するということになれば、これがさらに積極的な動きが出てくるのではないかと思うのですが、現在の日本産業界韓国に対するところの状況というようなものを、大臣御存じでございますならば、ひとつ御報告をしていただきたい。
  19. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は具体的な問題を一々覚えてもおりませんが、業界のうちにはそういうふうにまとまったら出たいというようなことをいっている向きもないわけではありません。それから、現実にいま行って何か商売でもしておるらしいというふうなこもと聞いておりますが、私としてはまだ詳しい報告は得ておらないわけでありますが、この在韓邦人商社員は、それではいまどのくらい行っているかというと、大体合計四十二名ぐらい行っておるようでございます。これらは韓国との間の臨時の商社員の往復という意味でありまして、常駐するというものではありません。したがって短期旅行者、三カ月から六カ月くらいの資格で入国しておって、また帰ってきて交代する、こういうやり方のようであります。韓国では、それでは行なっておる者が商社活動が行えるかというと、そういう商社活動は行なえないで、商社連絡員というような意味で勤務いたしておるようであります。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 そこでもう一つお尋ねしておきたいのは、聞くところによりますれば、日本業界から韓国相当——韓国からいえば外資ということになるでしょうが、いわゆる日本から向こうに金が現在も相当投資されておる、こういうふうに聞いておるわけなんですが、その点はどうですか。
  21. 福田一

    国務大臣福田一君) 私たちが了承いたしておりますところでは、韓国に対する投資はまだ日本として一件も許可したものがございません。また韓国側日本からの投資を許可した例もございません。ただ技術提携は日産自動車、いすゞ自動車と日本工営、この三件ばかりがあることは事実であります。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 正式には投資がまだできないし、そういう気配もないのですが、技術提携という名のもとに相当の金が韓国側に投じられておるというふうなことを私は聞くのですが、この点はどうですか。
  23. 福田一

    国務大臣福田一君) 私はそういう金を投じたという話は聞かない、物を持っていったという話は聞いておる。その物はやはりちゃんと対価を受け取ってそうして物を持っていっておる、外貨を受け取って物を持っていっておる、こういうふうに聞いております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 米国援助韓国で実を結ばなかったのは、その裏には常に後進国侵略の意図が秘められておりまして、それが韓国の政情不安を促している、また対外感情を刺激いたしまするから貿易の失敗を招いてくる、こういうふうに私は思うのですが、日本米国の手先となって再び火中のクリを拾うということは、これは私はアジアの平和のためにも非常に危険なことではないか、こういうふうに思うのです。またこれを貿易の上から見ましても、つまらないことではないかというふうにも私考えるのですが、この点はどうですか。
  25. 福田一

    国務大臣福田一君) 私が韓国へ行ったときにも、アメリカに対するそういう批判は相当持っておりました。これを概して言えば、そういう問題が具体化された暁においては、先生の言われるようなことを十分注意いたすべきだろう、しかし何にもきまっておりませんから、私としてはどうするということを申し上げるわけにはまいりません。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 韓国経済開発ということは、これはいま三十八度線で分断されておる南北の合併、和解、こういうことが完了することでなければならぬというふうに思いますし、南北が対立しているのでは、これはなかなか経済開発ということもむずかしい。ならば、一方では軍事施設の維持がどんどんと増強されてまいりますし、また他方におきましては、業者相互依存という関係がだんだんとみぞが深まり破壊されていくというふうにも考えられるわけなんです。もしこの二つの朝鮮一つ朝鮮になれば、これは軍事費が大幅に減少することは私は当然だと思う。特に、過日のエコノミストにも出ておりましたが、韓国国会議員の中からアンケートをとった結果、南北統一を望んでおるものは四十二名もおり第二位を占めておるというふうなことが出ておったのですが、南北分立関係は、これはどうしても経済の繁栄ということを導くことがなかなかむずかしい。韓国のことを考えるならば、私は日本がこの点にまず重点を置いて、そうして朝鮮統一ということをやったほうがいいのじゃないか。それのためにはやはり国連やその他で朝鮮統一ということを日本が主張する。特に朝鮮は、かつては日本が三十数年来いろいろと迷惑をかけてきた問題もあるから、やはり韓国の平和のためにもまた朝鮮民族の幸福のためにも、私は日本が第一番に努力する、こういうことでなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  27. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は南北統一されることはこれはけっこうなことだと思いますが、しかし、そういう問題についてわれわれが直接いろいろのことをするということはなかなか私は困難ではなかろうかと考えております。特に、いまのところやっておりますのは、私たち国連の決定、いわゆる国連韓国というものを認めて、そしてこれを入れておるということを前提といたしまして、韓国とは国交関係を正常化しようというような動きをいたしておるわけでございますから、私たちがそういうふうに南北に分かれておるからといって、そのことに直接手を加えるということはいまのところ考えておらないのであります。希望はいたしますが、われわれとしてそこまでは考えておりません。
  28. 近藤信一

    近藤信一君 経済企画庁は……。
  29. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 政務次官と経済協力課長、二人来ております。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 経済企画庁にちょっとお尋ねするのですが、韓国経済開発に対する何か準備といいますか、心がまえ、そういうようなものをお持ちになっておるならば、その見解を明らかにしてもらいたい。
  31. 倉成正

    政府委員倉成正君) 韓国経済開発の中身の具体的な対策というお尋ねのようでございますが、経済企画庁としましては、具体的な韓国経済にどういう協力をするかという検討はいたしておりません。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 韓国経済開発の今日の進行状況といいますか、先ほど通産大臣からも若干御答弁がございましたが、あなたのほうで把握しておられる韓国経済開発状況について意見を述べていただきたいと思います。
  33. 倉成正

    政府委員倉成正君) ちょっと席をはずしておりましたので、通産大臣からどういうお答えがあったかよく承知しておりませんが、大体通産省で把握しておられるとおりのことでございます。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますると、韓国のことについては経済企画庁としては何も考えてもおらないし、韓国のことは知ったことじゃない、こういうふうなお考えですか。
  35. 倉成正

    政府委員倉成正君) そうではございませんけれども、それぞれ私のほうの調査局その他で、海外調査課もございますので、いろいろと検討はいたしておりますけれども、ここで公式に申し上げるだけの材料を持ち合わしていないということでございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 過日、通産大臣韓国からノリ輸入しなきゃならぬということが新聞に発表されておった。それは暖冬異変によって日本ノリが非常に不況であるからノリ需要に足りない。したがって韓国からノリ輸入するというようなことを私新聞でちょっと拝見したのですが、通産大臣からこのノリ輸入についての見解といいますか、ひとつ発表していただきたいと思います。
  37. 福田一

    国務大臣福田一君) ノリの問題は昨年の暮れころから実は輸入をしてもらいたいという希望があるやに聞いておりました。一方、日本国内需要を見ますると、非常にノリ不作ノリの値段が高騰いたしております。だからこれは輸入したほうがいいのじゃないかという意見が一部にございましたけれども、農林省としては、それだけ災害を受けておるのにノリ輸入するというのは、ちょっとノリをつくっておるノリ業者に対して気の毒である。だから天災融資法を発動してノリ生産業者に対する手当が済んだならば考えてもいいという考え方を一貫してとっておられたわけでありまして、したがって、今度天災融資法が適用されることになりましたので、おそらく三週間か一カ月以内には農林省のほうから輸入をしたいというようなお話があるものと、あるいは私のほうから言うことになるかもしれませんが、事務のことは私わかりませんけれども、大体閣議というか、閣議懇談会の席上では、まあこれがきまった以上は一カ月以内に入れようじゃないか、こういうことになっているわけであります。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 もし輸入されるとするならば、これは農林省ともお話があろうかと思いますが。どれくらいの量を輸入されようとしておられるのか、その計画を……。
  39. 福田一

    国務大臣福田一君) どれだけ入れるかということは、農林省のほうから実はいつも言ってこられまして、通産省と対立することになっておりますが、いまのところ正式には申し上げるわけにはいかないわけであります。しかし、新聞紙上等では少なくとも一億枚くらい入れるのじゃないか、こういうことを言われておるのであります。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 新聞の発表ではいま御答弁になった一億枚でしたかな。それだけ輸入されると、一体国内ノリのあれはどれくらいダウンすることができるのですか。
  41. 堀新助

    説明員(堀新助君) 日本国内ノリ生産高は、いまちょっと記憶がないのでありますが、韓国ノリの一億枚という分量は昨年、一昨年などにも通常入れておった枚数です。金額にして幾らになりますか、いまちょっと計算いたしまして後ほど……。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 特に閣議のときに大臣が発表されておりましたように、暖冬異変ノリ不況、これは農林大臣でしたか、言っておられたのですが、暖冬異変だけでなくして、いま私どもがしろうと目から見ますと、方々で港湾の整備をやっておりまして、ノリ養殖場というものはだんだんと狭められてきておることは事実だと思うのですね。そうすると、これは単なる暖冬異変だけのノリ不況ということでなくして、養殖場がだんだんなくなっていくということのほうが私は原因が大きいのじゃないか、養殖場がなくなるということも、各地区で臨海工業地帯造成ということでだんだんと養殖場がなくなってきておる。そうしてまた廃液等関係ノリがつかない、賠償、補償問題が各地で起こっていることも大臣御存じのとおりだと思うのですが、そうすると今年だけでなくして、将来もさらにこのノリ輸入ということが大幅に大きくなってくるようにも私は考えるわけなんですが、その点のお見通しはどうですか。これは、直接は農林省関係ではございまするけれども、輸入に対する考えというものはやはり通産省関係でございますから、この点大臣から御見解を承っておきたいと思います。
  43. 福田一

    国務大臣福田一君) 農林大臣から報告がございましたのを御披露する以外に、私いま資料を持っておらないわけでございますが、農林大臣お話では、ことしは確かに暖冬異変が大きな理由である、もちろん、いま臨海工業地帯等々の造成、あるいは工業用水——公害ですか、放水した害等も若干影響はいたしておると思いますが、みんなことしのノリ不作は、全く暖冬異変が非常に大きい原因であるということでありまして、私もさよう承知いたしておるわけであります。ただ、将来においてノリをどれくらい輸入するか、足りないじゃないか、私はこれはやっぱり足りないのじゃないかと思っております。実際問題として。だんだん消費生活がぜいたくになったといいますか、ぜいたくになったのじゃなくて、かえって高度化されてだんだん文化生活に近づいているのかもしれませんが、とにかく日本人というものは、甘いものだとかノリというものは最も得意とするところでございまして、遠足に行くときもノリならば、お茶づけにもノリというように、とにかくノリの消費量というものは毎年ふえてきておる。ところが、生産高のほうはそれほどふえておりません。だから、将来もやっぱりノリ輸入することもあり得ると私は考えております。
  44. 近藤信一

    近藤信一君 ノリの談義はこれぐらいにいたしまして、今度の日韓会談成立させるということは、先ほども私が申しましたように、南北の対立というものがますます激しくなる。これは過日も韓国で学生がデモをやって日韓会談反対を盛んに叫んでおりました。日韓会談国内部分的に進めておられるということは、こうした朝鮮民族の感情にさらに油を注ぐような結果にもなるんじゃないかというふうに思いまして、このことは、私は日本側といたしまして大きな汚点を残すような結果にもなるんじゃないかと思うんです。さらに、外交問題は別といたしましても、経済的な意味からしても、日韓会談成立ははなはだ不経済なことになると私は判断をするんですが、政府見解はどうですか。
  45. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、学生運動の点については、これも報道のみをたよっておるわけでありますが、必ずしもそういう南北の合併問題に害があるからやめろというようなことではなくて、譲歩をあまりしてはいけないということのようであります。したがって、学生運動があるから、それによって南北問題に一そう油を注ぐことになりはしないかということは、私はいままでのところ新聞紙上等の報道から見れば、これはそれほどひどくはなっておらないと思います。ただ、私らが二、三年前に参りましたときでも、相当やはり韓国内には南北一緒にしたほうがいいのじゃないかという意見もあったことは事実でありますから、今日でもそれはあるでしょう。しかし、それが私は大勢を占めておるのかどうか、そういうことは了知いたしておりません。ただ、この場合日本といたしましては、国連が認めておる韓国との間、しかも隣国である韓国との間に、できるだけ早く平和な関係を打ち立てることが好ましいことである、こういう考え方でいませっかく話し合いを進めておるわけであります。話し合いが済んだ上でどういうことになりますか、話し合いが済んだ上で、たとえばいろいろの経済援助等の問題が起きたといたしましても、これは向こうさんがお使いになることで、われわれがどう使うとか、どうせいとかいうことではないと私は思います。そういう場合に、あなたがおっしゃったように、あまりアメリカさんがやったようなやり方をやっちゃだめだという御意見は、十分われわれもよくわかるわけであります。そういうようなやり方は好ましくないのじゃないかということはよくわかりますが、しかし、具体的にまだ何もきまっておらない段階ですから、そこまで私として申し上げることは差し控えさしていただきたいと思うわけであります。
  46. 近藤信一

    近藤信一君 いま、たとえば韓国側会談が妥結するというように仮定いたしまして、将来やはりこの問題は北鮮側にも起こってくるのじゃないかというふうにも考えるのです。なぜならば、これはやはりフランスが中共を承認したことによりまして、やがて国連でもこの問題が取り上げられることになるのじゃないかと思うんですが、そういたしますると、それに続いて北鮮の問題も起こってくる可能性も私はあると思うんですが、その場合に、北鮮との間にさらに国交回復の問題について、これは国連の場でもそういうことになってくると思うんですが、そのときにまた請求権の問題、また、北鮮側におけるところの経済開発の問題、こういう問題がもしあった場合に、一体どういうふうな態度をとって臨まれるのか、この点はどうですか。
  47. 福田一

    国務大臣福田一君) これはもう外務大臣がしばしば委員会や本会議場で申し上げておるところでありますが、そういう将来どうなってどうなるかということは、そのときに判断し、処理するということであろうかと思うのであります。ただ、日本としては、韓国がいま領有しておるところ、その力の及ぶ限りのところにおいて、それだけの力を持っておる韓国というものを対象にして交渉を進めておる、こういうことをしばしば言っておることは、近藤委員も御案内のとおりでありまして、それを今度は、こうなったらどうするかということになりますと、第一、これを私がお答えをすることは、外務大臣と同じ国務大臣とは言いながら、とにかく直接折衝に当たっておる外務大臣にお伺いしていただくほうが間違いがなくてよかろうと思うわけでございます。
  48. 近藤信一

    近藤信一君 韓国側におけるところの経済状況の悪いことは、これは大臣も先ほどちょっと言われたんですが、それに反しまして、私ども聞くところによると、北鮮側の経済開発相当進んでおる、こういうふうにも聞いておるわけなんですが、大臣北鮮側の経済開発に対する情報といいますか、そういうようなことを御存じございませんか。
  49. 福田一

    国務大臣福田一君) どうも寡聞にして事情を聞いておりませんが、ただ、この前行きましたときには、これは私の単なる感じでありますけれども、もちろんアメリカ援助しておる韓国の軍隊と、三十八度線のいわゆる北鮮の軍隊の装備とは、これはもう比較にならぬ差があってしかるべきだとは思いますけれども、二、三年前に行ったときの私の感じを申し上げるのでありますが、装備等を見ますと、特に衣服類なんかは、案外北鮮のほうはよくなかったようであります。その後どうなったか存じませんけれども、また、その後の事情を見ましても、確かに北鮮は安定はしておるかもしれません。まあ一応そういうことをよく承りますが、しかし、はたしてどの程度に復興し、どの程度に産業等が伸びておるかということについてはつまびらかにいたしておりません。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 福田大臣倉成政務次官のお話を聞きますと、日韓交渉はどんどん進んでいるのに、経済や企画の大臣のほうはあまり関係がないようですが、これはまあ窓口が外務省なんですが、しかし有償二億ドル、無償三億ドルあって、実際この協定なり条約が成立しますれば、実務の方面でずいぶん担当されると思うのですが、この二億ドル単価の有償の経済協力なんかはあまり相談なしで、これはまあワクのことですから、そういうふうに言っているんですか、これはどうなんですか。
  51. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおりでございまして、われわれにはまだ何らその話がありません。二億ドルの内容はこうするんだとか、三億ドルはこうしたらいいという話はございません。だからわれわれとしてはきまった段階において、早急にきまればそのときに、そこを基点としていろんな具体的な問題に取り組まなければならないと思います。そのときにはわれわれは責任あることはこれは事実でございますが、いまの段階は先ほども近藤委員に申し上げたとおり、一括して解決するという考え方でございますから、条約というか話し合いを進めていく上で十なら十の事項があると、AならAはこれは確定で、その次にBに入った、その次にCに入ったと、こうやっているわけじゃないんで、Aは一応はこういうふうにしておくけれども、ABCDEFGまで全部きまったところでAの分も確定したと、こういうことにしましょうと、こういうやり方をしておるものですから、われわれのところにはまだ何にもそういう話はないわけでございます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうしますれば、フィリピンとかインドネシアとか、ああいうところもやはり賠償や経済協力はあるんですが、これは決済なり賠償の支払いなりあるいは経済協力の実施については、一体通産省や企画庁はどの程度関係されておりますか、そのほうは。
  53. 堀新助

    説明員(堀新助君) 失礼でございますが、ちょっと耳が……。
  54. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これまで終戦の処理がついて、賠償なり経済協力がきまっているでしょう、フィリピンとかインドネシアとかビルマとか。そういう経済協力等には通産省当局としてはどの程度関係しておられるか、こういうことなんです。
  55. 堀新助

    説明員(堀新助君) 通産省といたしましていまおっしゃいました経済協力関係におきましては、まず第一に在外公館を通じまして、あるいは東京におきます先方の賠償ミッションを通じまして、いろいろの経済協力の具体的案件が出てまいるわけでございます。第一次的には先方の国の希望でこういうものをほしい、こういうものを建設したいという申し出があるわけでございます。それに対しまして通産省のほうでは、在外公館なりあるいはこれらの国にはすでに商社員もそれぞれ多数駐在をしているわけでございますから、その商社員たちを通ずる情報などによりまして、これは経済性もあり、相手国の経済開発に有益な計画であるかどうかということを検討いたしまして、その上でさらに外務省と大蔵省と協議をいたしまして、これは有益なものであるから通産省としても進められてしかるべしという意見を申し上げるわけでございます。韓国の場合にはいま大臣からも申し上げましたが、まだこちらからはときどき旅行者として政府の者が参るだけでありまして、向こうの具体的なことはわかっておりませんが、フィリピン、インドネシア、ビルマなどはそういう点では相当研究いたしておりまして、供与いたします経済協力が先方にとっても有益であるように常々心がけておるわけでございます。
  56. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 日韓交渉に対する通産、企画の両省の関係はわかったんですが、私はこの朝鮮の歴史をひもときましても、朝鮮がどうあるかということは、これは極東の平和、特に日本にとってはなかなか重大な問題だと思う。まあ私たちはただいま近藤委員質問されましたような見地に立って質問しているわけですが、どうもやはり実際経済なり通商の実務を担当される通産省や企画庁とされては、朝鮮の実情についてあまり深い掘り下げた研究がなされていない、調査がなされていないんじゃないかというふうに思うのですが、私やっぱり朝鮮の長い歴史をひもといても、一番の大きな問題は朝鮮の民族は、これは言うのは恐縮ですが、自分たちが指導権をとろうとする場合に、国民の支持を得てやろうとするのでなしに、必ず他民族、外国の力を借りて自分たちがヘゲモニーを握るということ、朝鮮の歴史は、日本に対しましては帝政ロシアなり清国と結んで日本に対し、あるいは日本と結んで帝政ロシアや清国とやるというふうに、外国の力を導き込んでその力のもとに指導権を握るというのが朝鮮の歴史の一貫した、まあ私の見た、たとえば岩波全書の「朝鮮史」等をひもといても、そういうふうになっている。これはやはりいま南鮮アメリカの力、北鮮はソ連や中国の力を導き込んで、異質の力が三十八度線を境にして相対しているところに大きな問題があって、これをどういう形で朝鮮半島があるべきか、これはまあ朝鮮民族が決定すべき問題ですが、日本としても日韓併合のときに間島にくさびを打ち込んで、これがまあ大陸侵攻の大きなきっかけになり、そういうことが朝鮮の若い学生諸君その他のなににもあり、私たちはいま進められている日韓交渉というものが、アメリカ日本が結び、そして体制の違う北鮮なりソ連、中国に相対する、こういう歴史の繰り返しになるんじゃないかというような懸念を持つわけですが、それは別にしましても、やはり自由民主党さんの立場からされても、三億ドルの無償、二億ドルの有償等が実施されるに際してはどういうふうにあるべきかというようなことから、もっとやはり通産省や企画庁とされても、実態調査がいろいろな形でされてしかるべきじゃないか。しかし、福田大臣がさきに申されましたが、戦禍は南北同じだと思うのです。やはり鴨緑江まで進めていく、あるいは釜山までくるというようなことから、むしろ戦禍は私は同じじゃないかと思うのです。あまり変わらぬと思うのです。そういう点で、アメリカ南鮮に対して数十億ドルの対韓援助をしてもなおいけない。まあいろいろ統制等もあり必ずしもそうでないでしょうが、北鮮に行った人の様子は近藤委員の言われたようなこともあり、そういうようなことは別にして、数十億ドルの対韓援助をしてもなお経済がああいう非常な数十万というたいへんな、世界でも有数な陸軍国であるというようなことも影響をしているのですが、そういう実態調査が両省でもっとされていなくちゃならぬと思うんです。たとえばアジア経済研究所なんかでもこれは対象になる地域だと思うんですが、いろんな形で、文献でもいいし、いろいろある思うんです。そういうことが、いまの窓口は外務省であるということはわかりますが、自民党さんの立場からされて、この協定ができたそういうことに対する備えがあまりないんじゃないかと思うんですが、この点はどうなんですか。
  57. 福田一

    国務大臣福田一君) あなたの前段の朝鮮の歴史的な過程についての御意見は、私も全くそのとおりだと思います。そういう感じを深めております。しかし、それといまの現実の問題とは、これはなかなかむずかしいのでありまして、歴史のことを言えば、百済とか新羅とか分立しておったこともあるし、また統合されたこともある。朝鮮半島の興亡はいろいろあったわけであります。しかし、そういうような問題は、私は朝鮮の民族の人たちが自分で解決をされるというのが一番いいのではないか。われわれが合併しなさいとか、合同しなさいといってそれで片づくものでございません。また、してはいけませんといっても、それをチェックできるものでもないだろう。民族がそういう気持ちになれば解決はしていくものだと私は思うのであります。ただ、日本のいまの立場としては、先ほど申し上げたとおり、われわれは日韓交渉を進めようということでありますが、そのときに経済問題等々について勉強が足りないではないか。通産省、企画庁はもっと具体化されたときを考えて勉強しておけと、こういうような御質問かと思いますが、今度の交渉のたてまえが、全部の問題が片づいたときに、一つ一つ交渉はしていくけれども、その交渉は大体ここら辺でということできめていくけれども、しかし、全部がまとまらないうちはそれはきまらないことにする、こういう一番大前提があるわけであります。その大前提からすると、まだきまっておらない。そのきまっておらないことについてわれわれがいろいろタッチするということは、いま言った大きな前提をくずすことになりますから、われわれとしてはこれは触れないことにしております。しかし、文献がないわけでも、何もないわけじゃございません。また、いざということになれば、そのときからスタートしても問題の解決はそんなにおそくなるとは私は思っておらないわけでありまして、それはそれほど気にする必要はないのではないか。現によその賠償問題等につきましても、そういうことを最初から話をしながら、具体的な問題等があって、そして話をしながらいって、たとえば二億ドルのうちで二千万ドルはこういうことというようなことが進んでいながら、二億ドルにするか三億ドルにするかといったようなことでやった場合もあると思います。しかし、それとこれとはちょっと違うのでありまして、韓国との場合はいま言ったように、根本的に全部の問題で話し合いがきまったときに、百のうちで一つ話がまとまらなくても、残りの九十九はきまらないことにするんですよと、こういうたてまえでスタートをいたしたわけです。これは、しばしば外務大臣お答えをいたしておるとおりでございます。そういうことでありますので、われわれとしてはそういう点に触れておらない、こういうことを申し上げておるのでございます。そういうやり方がいいか悪いかということについては、御批判のあるところかと存じますが、根本のたてまえとして、百の問題があれば、そのうちの一つがきまらない場合は、九十九意見が一致しておっても、それは一致したとは認めない、こういうたてまえで処理をいたしておるということを御理解をしていただきまして、われわれも決してなまけておるとか、触れないようにわざわざしておるというわけではなく、その根本の原則に従っておるということを御理解願いたいと思うわけであります。
  58. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 日韓交渉のたてまえはよくわかりますが、私は通産省でも企画庁でも韓国経済貿易等の実態調査は、あまり魅力のないところで、そういうことをやっても栄達にも何にもならぬということで、案外投げやりになっているのではないかというふうに思うのですが、そういうことはありませんか。
  59. 福田一

    国務大臣福田一君) 栄達云々というようなことは、われわれとしてはそういう考えは全然ございません。
  60. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 韓国経済構造からして、なかなかこの三十八度線を境に分かれては、経済的に発展するのに非常に障害のあることは御案内のとおりですが、そういうことでなかなか南北統一ができぬという場合を考え——とは申し上げませんが、保税加工貿易というようなことでそのアンバランスを調整するというようなことですか、そういう意味ではないのですか、言われている加工貿易方式は。その点はどうですか。
  61. 福田一

    国務大臣福田一君) 私たちはいまそういう加工貿易をやろうということは考えてはおりません。ただ一つあります。漁網を持っていきまして保税倉庫に入れて、そして税金をとらないでおいて、それを今度はまた韓国の労働者が加工して、労賃を払って、それをよそに輸出するというような考え方でやったのですが、あまりうまくいかなかった。委託者は日本漁網船具株式会社、受託者は南洋水産株式会社、これはソウルにあるわけでありますが、加工内容はビニロン糸による漁網製造でございます。取引の内容は、ビニロン原糸一万ポンドを七千五百ドルで出して、加工賃が千五百三十二ドル、漁網の原価が九千三十二ドルということであったのですが、これはテストケースとして六二年の十一月これを許可したわけでございます。ところが、加工設備等の不備、不完全、採算上の疑念等、体制不十分の現状にあるために、かかる韓国向け委託加工貿易を実施しようとする向きは、今日はほとんどございません。業者間で一ぺんあったのでありますが、今日はもうございません。政府としては、会談が妥結するまでは、このような問題については一切積極的に関係しません。こういうことにいたしております。
  62. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 焦げついておりますオープン勘定ですね。それの品目と、取り扱った実際商社、具体的な内容をちょっと示してください。これでやめます。
  63. 堀新助

    説明員(堀新助君) ただいまのところ、不用意でございましたが、金額だけの資料を持ってまいりましたけれども、御質問の詳細な資料は持ち合わせておりません。
  64. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 あとで出していただくことにします。  これは意見ですが、池田さんは、最初日韓交渉にあまり積極的でなかったんじゃないかというふうにとったのですが、総裁公選にからんで、何もせぬのはどうも総裁公選対策として不利じゃないかというようなことで、これにかなり深入りをされたが、また最近韓国の事情で、どうも事志に違うということがありますが、私はやはり日華条約を結んだことが、その後どういう結果になったかというようなことを考えますと、これは朝鮮民族が決定すべきことですが、南北両鮮を日本が阻害しないようにすることがやはり大切じゃないかと思うことを申し上げて、私の質問は終わります。
  65. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  66. 前田久吉

    委員長前田久吉君) では速記をつけてください。  午前の審議はこの程度にとどめ、午後は本会議で予算が済み次第再開することといたします。暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後三時五十三分開会
  67. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  中小企業指導法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  68. 近藤信一

    近藤信一君 法案の内容に入る前に、大臣に一、二点お尋ねしておきたいと思うのですが、今国会では、商工委員会関係の法案というものが相当出ておるわけでございますが、しかし、重要法案、重要案件というものは非常に少ないような感じがするわけなんです。政府は予算だけで十分だと思っておられるのではないかとも思うわけなんですが、今回の改正案の大部分が予算関係の法案でございまして、たとえば基金の増加、資金の増加などで、今後は法改正をすることなく、単に予算だけで可能にするための改正であるようにも思われるわけなんですが、政府は法改正によって中小企業対策が批判されることをおそれているのではないかというふうに感ずるわけなんですが、大臣この点はいかがですか。
  69. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のとおり、ただいま提出をいたしております法案は、主として予算関係法案でございますが、われわれとしては、その法案自体についても、予算でもう処理すればそれで済むようになっておるものもありますけれども、これで中小企業対策が十分完全になった、こういうふうな考え方は持っておりません。御案内のように中小企業基本法を昨年制定していただきまして、これに関連のある法案を幾つか出しましたが、しかし、まだまだ中小企業の問題はいわば解決へ一歩を踏み出した、そういうことでははなはだ怠慢ではないかとおしかりを受けるかもしれませんが、事実問題としては、われわれの見るところでは、やはり解決へ一歩を踏み出したというところでありまして、これからが実を言うと本番になると思うのであります。実際問題の具体的な内容、それにつれて幾つかのやはり重要な法案を予定して、これをやりますということをいまは申し上げかねますが、いろいろと考えていかなければならないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございまして、私たちとしては決して予算でもってきめて、もう法案の審議にはあまり触れない、そうすればあまりおしかりを受けることもないだろうというような消極的な態度で中小企業問題に取り組もうとは考えておりません。今度もひとつ大いに積極的に問題解決に当たってまいりたいと思っておるわけでございます。
  70. 近藤信一

    近藤信一君 私どもの見るところによりますると、政府や与党が法案を提出することに非常に消極的に思えるのです。ごらんのように野党側におきましては、中小企業対策の法案は相当たくさん出されておる。この問題について私のほうの感ずるところは、やはりこれは野党のほうが中小企業関係の法案を提出するということが、いわゆる中小企業対策に対して熱心じゃないかというふうに思うわけなんです。たとえば野党の法案には、中小企業省設置、それから事業分野の確保、官公需の確保だとか、いろいろ出されておるわけなんです。こういうことが私は革新的な考え方ではないかと思うのですが、池田総理には革新的な中小企業対策と言われておりますけれども、一向に革新的な中小企業対策がなされていないようにも思うわけなんですが、大臣考えをひとつお聞かせ願いたい。
  71. 福田一

    国務大臣福田一君) われわれは事業分野の調整に関するものはただいま立案をいたしておりますので、これを出しますが、確かに野党の皆さんからいろいろの法案を出していただいております。ただこれは政策面でといいますか、政治的な見解といいますか、そういう面でのいささか相違があることが、一つは野党がお出しになった法案について与党あるいは政府のほうからまだ出せない理由ではなかろうか。たとえば官公需の確保というようなことにつきましても、これはうまいぐあいに官公需が確保でき、そうしてそれが非常にうまく運用されるということであれば、われわれもこれを出すことに決して労をいとう者ではない。むしろ積極的にやるべきだと思うのでありますが、まだ実は具体的な内容においてどうしても割り切れないといいますか、まだ煮詰まらないものがございます。そのほかのただいま御指摘のございましたような点につきましても、いろいろわれわれとしては研究はいたしておりますが、まだこれを提案するまで決断を下すに至っておらないわけであります。しかし、近代的とかあるいは革新的とか革命的とかということばを決して私たちは忘れておるわけではないのでありますが、そういうふうにするには何といっても基礎調査が一番大事じゃなかろうか。そんなことを言っていないで、まず始めろ、こういうおしかりを受けるかもしれませんが、何といっても中小企業は種類が多く、またわれわれの見るところでは何といいますか、業種の中でも大小いろいろある、利害が対立している面もあります。こういうことをいろいろもう少し詳しく調べまして、そうしておいおい政策的な面で具体化してまいりたい、こういう考え方でございます。
  72. 近藤信一

    近藤信一君 私は、野党から提案されました法案がおおむねこれはなおざりになっておる。そういう状態ですから、政府としても私は野党から出された法案についてもっと研究していただきたいと思うのです。今日までに野党から法案が出されまして、それが審議をされずに継続審査になることもしばしばございますし、そうすると、次には野党が提案したと同じような法案が今度は政府から提案される。たとえば下請代金支払遅延等防止法がございますし、また百貨店法がございますし、こういうふうに見てまいりますと、やはり事業分野や官公需について、これがやがてまたいま野党から出しておるようなものが政府から出される。これは大臣ももっといろいろ考えるというお話でございますが、そうすると、政府のほうは一歩野党よりおくれて、これは研究する余地もあるかもしれませんが、一歩おくれて国会へ出る、こういうようなことが従来のあり方だったと思うのですが、その点は大臣どう思っておられますか。
  73. 福田一

    国務大臣福田一君) お答えをいたします。私は、その点はある意味において政党政治といいますか、議会政治のうまく運用されている面だと思っておるのであります。ということは、野党のお方の御意見であろうと、とにかくいい意見ならばこれを取り入れるということが、私は姿としては好ましいと思うのでありまして、いま私たちは与党から出て政府を形づくっております。われわれが野党になった場合においても、やはりいろいろと意見を申し上げてみたい。そういうときには、やはりひとつ大いに取り入れてもらいたいと思うのであります。何かそうすると、まるでただいまの形でいいますと、社会党の政策をみんな自由党が次から次に取り入れてしまったとか、民社の意見をみんな与党がかすめ取ったじゃないかというようなお話になるかもしれないのですけれども、しかし、要は私たちは何のために政治をしているかといえば、国民のために政治をやる。国民のために政治をやるということは、いいことはどんどんやるということでなければならないと思う。与党の意見であろうと、野党の意見であろうと、正しいと思うことならばあっさり頭を下げていく、やはり私は与党であれば、多数党を持っているものは、それだけの雅量がなきゃいかぬのじゃないかと、こう思うのでありまして、そういう意味からいって、決してこれは悪いことじゃなく、大体少数の人というのは、やはりまあパイオニアといいますか、先に進む人は、その点は非常に先覚者にはなられるけれども、あまり報いられない面があるいはあるかもしれない、国に尽くされるということではりっぱに役柄をお果たしになっていられるのだと、私はそこに一つの野党の誇りがあるのじゃないかというふうにむしろ感じておるので、今後もひとつそういう意味で、どしどしいい御意見を出していただきたい、こう思っておるわけであります。
  74. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業庁の中野さんにちょっとお尋ねするのですが、先ほどいただきました中小企業統計要覧、これはどこの印刷所で印刷されましたのですか、これは印刷所の名前が出ていないようですが……。
  75. 中野正一

    政府委員(中野正一君) これは日本中小企業PRセンターという機構がございまして、これは実は中小企業政策のPRをもう少しやらなければいかぬということで、三年前から、少しでございますが補助金をつけまして、三十九年度は四千万円の予算をつけましてラジオ、テレビでもちまして中小企業政策、それから中小企業の実態というか、進むべき方向、道というか、そういうようなものを政府の政策の宣伝でなくて、中小企業者御自身の方々の苦心というか、そういうようなものをいろいろ紹介をして、これは御承知かと思いますが、毎週月曜日に夜やっておりますが、民間からも幾分金を出していただきまして、そういう団体をつくりましてやっておりますが、そこに印刷させましてつくらしておるわけでございます。
  76. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業PRセンター、これは発行所ですが、ここは印刷所も持っておるのですか。長官が言われたのは発行所じゃないですか。
  77. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 印刷所は持っておりませんので、適当な印刷所に頼んでやっておると思います。
  78. 近藤信一

    近藤信一君 適当な印刷所というのはどこだかおわかりになりませんか。大きな印刷屋か小さな印刷屋か、そういうところ……。
  79. 中野正一

    政府委員(中野正一君) ちょっといま私もそこまで目を光らしておりませんでしたが、大事なことかもわかりませんので、至急いま担当の課長が来ておりますから、調べさしてあとで御報告いたします。
  80. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業の総元締めの中小企業庁がいろいろと監督したり、いろいろ発行する印刷を、いままでのあれからいくと、おおむね大企業の印刷屋に注文されているように聞いておるが、中小企業庁が発行され、また監督され、また関係のある出版物くらいは、中小企業に印刷屋にこれは注文するのが当然じゃなかろうかと私は思うのですが、長官はどう考えておられますか。
  81. 中野正一

    政府委員(中野正一君) そういう点については、中小企業庁自身がもう少しこまかく気を使わなければいかぬと思いますが、いまちょっと調べさせておりまするが、そういう点については、そう手抜かりはないものと私は思っておりますけれども、調べてからお答えさせたいと思います。
  82. 近藤信一

    近藤信一君 このくらいにしておきまして、いま議題となっておりまする三法案のうち、二つは四月一日施行、それから一つは公布の日、こういうふうにあるわけですが、どうしてこの四月一日でなければならぬという何か特別の理由でもあるのかどうか。また、「公布の日」とあるのは、一体いつごろから施行したいと考えておられるのか。この点はどうですか。
  83. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 商工中金法と中小企業保険法、中小企業信用保険公庫法につきましては、ぜひ四月一日からやりたいということで、予算関係でもございますし、いろいろの特殊な事情もございますので、明記してございます。ただ、指導センターにつきましては、どうしても四月一日でなければいかぬという理由に乏しいじゃないかということで、一般の通例の予算関係法案と同じに、公布の日から施行するというふうにお願いしておるわけでございますが、特にこの三法だけは、ぜひ四月一日から予算執行と同時にこれを施行したいというふうに考えております。特に指導センターにつきましては、施行期日は書いてございませんが、この間から御説明申し上げておりますように、今度の仕事の拡張、センターの拡張する仕事につきましては、中小企業者は一日も早くこの仕事をやってほしいということを熱望しておられますので、またそれに伴う出資が一億五千万円ございますので、これを一日も早く出資をさせて、中小企業者の熱望しておる事業の準備にかかりたいというので、できますれば四月一日からこれを施行いたしたいというので、お願いした次第でございます。
  84. 近藤信一

    近藤信一君 同じ金融機関の法案でも、たとえばまだ審議しておりませんあの中小企業金融公庫法の改正、これは施行の日から、こういうことになっておりますね。これはどういう関係であの中小企業金融公庫法だけが施行の日からということになっておるのか。この点どうですか。
  85. 中野正一

    政府委員(中野正一君) この中小企業金融公庫法の一部改正につきましても、できるだけ新年度に入りますれば、早いほうがいいわけでありますが、御承知のとおり、中小企業金融公庫法の改正は、従来は中小企業金融公庫というのは財政資金から融資を受けておったわけでありますが、今度は予算では百億でありますが、一般の金融機関から公募債を募集し得ると、こういう規定でございまして、公庫に対する財政投融資は八百三十三億ございますが、その大部分は資金運用部からの借り入れ金でございますので、これは今度の法律成立関係なくて、大部分の金は借り入れができますので、まあ四月一日からぜひ公募債を出す規定を施行していただいてすぐ募集しなければ、中小企業金融公庫の金に困るというような事情もございませんので、このほうは四月一日ということでなくてお願いしておりますが、これもしかし、やはり公募債を出すにしましても、いろいろ準備が要りますので、できるだけ早いほうがいいということでお願いいたしております。
  86. 近藤信一

    近藤信一君 私が、過日本会議での質問の際に、中小企業省設置について大臣にお尋ねしたとき、大臣は賛成しかねる、こういう御答弁でございました。しかし政府が一体となって中小企業問題を考えることには賛成の意を表しておられたわけなんで、通産省でも中小企業を中心にあらゆる政策を再検討したらどうか。もし中小企業を重視しておられるということでございますれば、さしあたり中小企業庁長官室を大臣の部屋に最も近いところに移して、そうして通産省の行政のあり方を考えていくというくらいの気魄といいますか意気込みといいますか、こういうようなものが必要でなかろうかと私は思うのですが、大臣いかがですか。
  87. 福田一

    国務大臣福田一君) 中小企業問題は、確かにいま仰せになったように、中小企業と大企業との生産分野を見てみても、半分半分にまでいっているのですから、非常に大きな問題です。部屋を移すということも、大体長官という名前がついているのは、通産省ではやっぱりいまのところ中小企業庁しかないわけでありますが、私の近くでいい部屋があれば、ひとつ来てもらっていつでもお話ができるのも一案と思いますが、何しろ通産省のいまの建物というのは、はなはだ狭隘であり不便でございます。なかなか官房その他をそばに置いておりますと、中小企業庁長官の部屋を持ってくるわけにもいかない。気持ちの上では大いに重視いたしておりますが、遺憾ながらまだその部屋割り等のところまではいっておりません。しかし将来は通産省の建物等も新増築していただきまして、それじゃそれまでには間に合わぬじゃないかと言われるかもしれませんが、中小企業問題は積極的に取り組んでいくべきものだという考え方については、われわれも賛意を表しておりますので、今後とも重視をしてまいりたいと思いますか。
  88. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業の将来の姿につきまして、これも私先日、本会議で総理の考え質問いたしました。総理は中小企業の大切なことを述べただけで、その問題にあまり触れなかったのです。そのときにも申しましたように、所得倍増計画では中小企業の日本産業に占めるところの地位は、あまり変らないと言っていました。しかし先般の中小企業白書では、中小企業の地位は少しずつ縮小していると言っているわけであります。また中小企業の相対的基調は年々低下傾向にある、こう言っているわけです。農業の基調が低下しておることは、もっと明白な事実でございます。そういう意味で中小企業の基調は、どこまで低くなっていくのか、その見通しはどんなものであるか、通産大臣この点いかがですか。
  89. 福田一

    国務大臣福田一君) 御案内のように、中小企業というものにもいろいろ種類がございますが、いずれにしても中小企業は、いままでは資本金一千万円、従業員三百人以下というような規定、今度は五千万円以下というように変わってきております。それは変わってきたというのには、中小企業がだんだんそれだけ増資をしたりしながら、その程度のものまでは中小企業と認めたらいいじゃないかということでそういたしておるのでありますが、そういうふうなことは、一方においては、伸びがあると同時に、一方やはり零細な企業等においては、ある程度転業をしたりあるいは新しいまた何といいますか、そういう小さい小売りなどしているよりは、もう月給取りになったほうがいいというような場面もあるのです。私はその傾向は今後もやはりある程度続いていくのではないか。それが絶対悪か絶対善かということになりますと、そういういろいろ考え方があると思うのですが、要は、政治の要諦は国民全体が所得ができるだけふえて、そうして文化的な生活ができ、しかも精神的にもちゃんとした社会責任というものを自覚したそういう国民がふえるということが一番いいことなんでありますから、しいていい仕事があるのに、最近のように労働不足というような事態におきましては、私はもしいい仕事があれば、そういうような転業という場合も今後も起こり得るのではないかと、こう考えておるのであります。  それからもう一つ、そういうふうになるだろうと、これはまあ私の感じで申し上げているのですが、統計で申し上げているのじゃありませんけれども、たとえばそういう小さい小売りなんかしているところは、いまのところ奥さんがやっていられるか、あるいはまあおやじさんが相当年輩になって、もうよそへ行っては働けない、店番でもしようかというような場合、そのおやじさんがなくなったというようなときに、店をたたんでしまうというような場合も、手間かけてやるほどではないし、というのもあるわけで、私はそういう意味でだんだんと数が減っているということもあると思います。ただ生産数量全体においてどうなっていくかということは、これは集中生産がどの程度に行なわれているかということにも関係しますから、にわかにここで予断申し上げるわけにはいかないと思います。
  90. 近藤信一

    近藤信一君 昨年中小企業基本法を御審議いたしましたときに、資本金の拡大が改正案として出された。その中で定義の問題があったのですが、あの当時私どもが一千万円をわが党としては三千万円ということで主張したのですが、三千万円でははみ出る。そのワクからはみ出る中小企業が、私は数字を忘れましたが幾つかある。だからそれをここではみ出させるのじゃなくて、現在中小企業の中へそれらを包むために五千万円が必要だと、こういうふうなことで、資本金は五千万円ということがきまったわけです。それで一体昨年からことしにかけまして、たとえば一千万円から五千万円になった。その中でそれだけが含まれてきたか。あるいは新たに中小企業として資本金五千万円になって含まれてきたか。そのことをおわかりでございましたらばお示し願いたい。
  91. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 中小企業の定義を、資本金一千万円から五千万円にしたためにふえました中小企業の数につきましては、一応三千五百程度ということになっております。
  92. 近藤信一

    近藤信一君 三千五百事業所ということになるわけですか。
  93. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いま申し上げましたのは企業数でございます。
  94. 近藤信一

    近藤信一君 これは一年足らずに三千五百企業が新しく中小企業のワクの中に入ってきたということになりますると、これからも先の見込みとしては相当数が中小企業に入ってくるわけです。従業員は三百名据え置きですね。資本金が五千万円に広がった。資本金が広がっただけで三千五百企業が新しく中小企業のはんちゅうに入ってきたということになると、中小企業そのものがだんだん上のほうに積み重なっていく、こういうことはいいことかもしれませんけれども、その反面において、零細企業が置き去りになるような傾向があらわれてくるのではないかと思うのです。私の感じですが。そういたしますると、たとえば金融を利用する場合におきましても、おおむね上のほうだけが利用して、下のほうには回ってこないというようなアンバランスができるのではないかと私は思うのですが、この点長官どう考えておられるか。
  95. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 先ほど基本法の定義の改正によりまして、三千五百ふえたと言いましたが、その資本金を五千万円に上げた。と同時に商業関係については、御承知のように資本金のほうは一千万円据え置きまして、従業員を三十人を五十人に上げたのでございます。商業、サービス関係において主として数がふえておりまして、三千五百の中で約二千五百弱は商業、サービス業でふえているわけでございます。  それから、いま先生御指摘の五千万円に定義を改正したために、中小企業の上のほうに厚く対策がいくのではないかという点については、十分われわれも運用面で注意するようにしておりまして、設備近代化補助金制度あたりは、主として従業員百人以下、もしくは、従業員が二十人以下のところに四割程度金がいっております。それから金融機関につきましても、中小企業金融公庫あたりは五千万円になったからといって、上のほうに金を持っていかれないように、運用面で十分気をつけるように注意をいたしております。
  96. 近藤信一

    近藤信一君 いま長官のお話でございますると、ふえたその中の大部分、三千五百のうち二千五百がサービス業関係でふえた、こういうことですね。
  97. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 商業、サービス業です。
  98. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業の占める業種は、どんなものが多いと考えておられるのか、ある業種では中小企業が少なくなるけれども、またその反面新しく中小企業に入られる業種もあると思うのです。そういう隆替興亡の過程を通じまして、中小企業が今後長く存続し、それから重要な地位を占めるだろう、これは長官もおわかりのことだと思うのです。それがどんな業種で、その地位がどんなものか、そういう見解は中小企業対策の基本をなすものだと思うのですが、その点はいかがですか。
  99. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 中小企業と一口に言いましても、三百二十数万にのぼる中小企業の企業の数ですね、これはこの間の白書では三百二十二万という数字がたしか出されておったと思いますが、その数字はいろいろ時点によって違いますが、最近の数字は大体そういうことになっております。このうち製造業が約五十五万、商業、サービス業が二百四十五万、あとはその他業種ということでございまして、まず製造業でございますが、五十数万の製造業、この中にも相当零細企業、いわゆる一人から四人ぐらい程度のものもございます。特に商業、サービス業の相当部分というものは四人以下の零細企業でございます。しかしながら製造業につきましては、われわれの見るところ、業種によっても違います。もちろん今後成長する業種と成長性の高い業種と、どちらかというと停滞をし、転換をしなければならぬような業種もございます。しかしながら、これは業種に応じましていろいろ施策のよろしきを得て、またそれぞれの業界の方々が努力をされれば相当伸びていくんじゃないか、また機械工業それから化学工業等につきましては、現在はまあ金融引き締めの影響等でいろいろもたもたしておりますが、相当将来性がある、また繊維、雑貨等につきましても、これは香港あるいはそのほかの後進国との競争等の問題、あるいはいわゆる豊富、低廉な地域に依存しておるというような形ではなかなかやっていけないと思いますが、いわゆる製品の高級化というようなものをねらってやっていけば、製品の高度化によって相当まだ伸びる余地があるんじゃないかというふうに見ております。ただ問題は、商業、サービス業のうちで特に人に依存して人をやはり使ってやっていかなければいかぬというような分野につきましては、今後相当労働時間の関係が変わってくるという情勢がございますので、この近代化等につきましては従来にもまして皆さま方に考えていただかないといかぬのじゃないか。その意味におきましても、いわゆる家族労働に依存するような分野はある程度これは相当の、残り得るというか、強じんな基盤があるんじゃないかという見方もございます。しかし、いずれにしましても商業等の特に小売り商業方面等の協業化であるとか、経営の近代化等に力を入れていただかないというと、なかなかこの分野がそれだけの数で、相当なやはり雇用をかかえて今後長く繁栄を続けるというようなことは非常にむずかしいんじゃないかという見通しを持っております。
  100. 近藤信一

    近藤信一君 商業、サービス業が中小企業の中での大部分を占めておるということは私もよくわかっております。まあいま長官もいろいろと御答弁されたわけですが、これはこれと直接関係ないけれども、百貨店法というものがございまして、百貨店法とはざる法と、こう言われておりまするが、私どもずっと目で見ましても、百貨店がどこの都市に行きましても、既存の百貨店はどんどんと拡張工事をやっておるように見受ける。それにはそれぞれの手続をしてやっておられるやに思うんですが、一体百貨店が百貨店法等で規制されているにもかかわらず、どこの百貨店を見ましても幕を張って工事を盛んにやっているのですが、一体これはどおいうことになっておるのですかね。これは大臣どうですか。
  101. 福田一

    国務大臣福田一君) 百貨店の場合、これは増築します場合には、御案内のように百貨店法によって申請をしてくるわけでございます。審議会で審議をいたしまして、いいろいろの手続が必要でございます。審議会で認めた場合にはもうこれはほとんどそのまま判を押す——大臣をしておりますが、通産省として異議を差しはさんだようなことはない。ほとんど審議会できまっちまうというようなものでございます。しかし審議会できめるにあたってはいろいろの条件があって、審議会には公平なる第三者が相当入っておりますから、あまり問題はない。ただ最近ふえておるのを見てみますと、百貨店がふえると大体小売りがぐあいがいい場合がある。人が集まらなければ小売り商というのはうまくいかない。百貨店と小売りとは同じような何といいますか、景品をつけて売ってみたり、あるいは割引券をつけて売ってみたり、それで共同の販売方法をとっている場合もございます。でありまするから、百貨店をやることが必ずしも小売り商を圧迫するとは限らないで、百貨店がふえることは、売り場面積がふえることも含めてでありますが、仲よくうまくいっているところもあれば、非常に反対のあるところもある。しかし、いずれにしても商工会議所の賛成とか、許可とか同意とかというものがなくちゃできないことになるし、また小売り商が非常に反対している場合には、みな押えてきておりますから、これは中小企業のいわゆる商業とはあまり競合をそれほどしていないのじゃないかというような感じを私はいたしております。
  102. 近藤信一

    近藤信一君 なるほど百貨店の問題は、審議会で審議して、そうして商工会議所で決定するのですかね。
  103. 福田一

    国務大臣福田一君) 商工会議所の同意がないと、審議会でけっこうであるという答申にならないわけですね。それで、それをつけて通産大臣に答申してくるわけです。
  104. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、なるほど百貨店が大きくなって人が集まる、そうすれば同じように附近の小売り業者がかえって繁盛するというようにいま大臣言われましたけれども、この周辺は、やはり人が百貨店に足を運ぶことによって人通りが多くなるからいいかもしれませんけれども、少し離れたところの小売り商は相当私影響あるように思うのです。だから必ずしもその百貨店が拡張して大きくなることが、小売り店の全体がよくなるというふうには私は思わないわけなんですが、大臣どうですか。
  105. 福田一

    国務大臣福田一君) 私の見ているところでは、百貨店のできるというようなところは、わりあいに町のうちでも繁華街になっているわけであります。繁華街でありますから、小売り商といえども相当な力を持っている人である。ところが繁華街でないところで小売りをされているというような人は、これはやはり昔からそこで商売をされておって、いなかの人とも特に仲がよくなっていたり、あるいは近所の人たちを対象とした販売というふうに私なっていると思うのでありまして、それはそれなりに一応は商売が成り立つような形になっていると思います。もちろんそういうところへスーパーマーケットができたりしますと、この問題が起きるのでありますが、百貨店の場合においては、私はそれほど大きな——そこを商工会議所あたりが大きな目で見て一応可否の判断を下すのだと思うのですが、百貨店ができれば、またよその町へ行ってた者がそこへ集まってくるというようなことがあったりして、私は百貨店はわりあいと問題が少なくなりつつあるのじゃないかというふうな印象を受けております。
  106. 近藤信一

    近藤信一君 いま審議しております三法案の共通の問題は、これは政府出資のつど法改正を行なわないで、単に予算に定める範囲内で出資額を計上すればいい、こういうことにしようとするのが今度の法改正点だと私思うのですが、その結果これからは、追加出資の適当であるかいなかということは予算委員会で審議するだけで、もう法律改正の形で委員会で審議することはなくなるわけなんです。現在この三法案でも、法律だけ見ては出資額の追加がどの程度かわからない、前に説明されたよりは、この際あらためて指導センターあるいは商工中金、保険公庫、こういうところへも追加出資がどのくらいあるのかどうか、そうしてその出資が終わったときには、それぞれの機関の資本金はどれくらいになっているのか、なるほどいままでの改正のあれを見て、この法案をずっと繰って見ればわかるかもしれませんけれども、そういう点一度詳しく説明していただきたいと思います。
  107. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 中小企業指導センターでございますが、現在法律にも書いてございまするように、現在五千万円でございます。それで今度から一々いま御指摘がありましたように、法律に書かずに予算できまればその金額だけ出資がふえる、こういう規定でございますが、三十九年度は一億五千万円予算でとっております。したがいまして、現在の五千万と足しまして指導センターは二億ということに相なるわけでございます。  それから次に商工中金でございますが、商工中金は政府の出資金は、これは法律改正案にございますが、これはちょっと書き直しますので、従来の政府の出資金が七十七億二百十万円、これは法律に書いてございます。今度の改正案に。それに今度三十億予算で出資をしますので、政府の出資が百七億二百十万円、それに政府以外のものの出資金が商工中金については現在六十三億ございます。したがって百七億と六十三億を足したものが商工中金については全体の出資金ということになるわけございます。  それから保険公庫につきましては本年度四十五億、三十九年度につきまして四十五億円の出資をいたすわけでございますが、これは法律に書いてございません。従来のものはそのつど出資と法律に書いてございましたが、二百二十三億七千万円が現在のまだ法律が通る前の出資金でございます。したがって四十五億を足しますので、二百六十八億七千万円が中小企業信用保険公庫の出資金ということに相なります。
  108. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと関連して。これはいままでの立法例として、予算で議決されればそのまま法改正を要しないで、もう自動的に出資できるという例を出してみて下さい。どういうものがありりますか、いままで。
  109. 中野正一

    政府委員(中野正一君) これはちょっと通産省関係だけ申し上げますが、ほかにまだ例を調べてありませんが、私の知っておるものだけで、石炭鉱業合理化事業団、これはそういう形になっております。それから三十七年に法律が通りました産炭地域振興事業団、これもいまの形でございます。それから昨年の国会で御審議願いました金属鉱物探鉱融資事業団、これも今度法改正をまたお願いいたしておりますが、この三つは通産省関係で今度の改正案のような形式をとっております。
  110. 藤田進

    ○藤田進君 これは与野党通じていえることだと思うのですが、やはり公務員給与にしたって何にしたって、予算は予算として議決され、付随して関連した法規というものが裏づけになって予算が執行されるというたてまえできたのが、そういう例を開かれると、これは審議の形態から変えていきませんと、現在の予算委員会と連合審査が商工委員会ができるのですか、できないのですか。中小企業という問題は与野党激突してどうという問題じゃないので、額が少ないじゃないかといったような議論が出てくるむしろ性質のものですが、私は国会の審議をするといういわゆる審議権を非常に商工委員会としては拘束されて、自動的に予算さえ組まれれば——予算の審議は個々款項目別にはとてもできる状態ではないのです。大体一カ月足らずの日程でやっていくわけですから、これはどうもずるいといえばずるいが、われわれ審議する側から見れば問題だと思いますね。質疑をやったんだろうけれども、まあ大臣国会議員だからわかると思うのですが、自動的にそうなってしまえば、これがどんどん拡大されていけば、他の委員会でも予算を伴う法律の改正なんというのはあり得なくなりますよ。すべてが自動的に予算がきまればもうそれでいい。条文を改正しておけばそれで全部……。これはどうかと思いますね。どうですかね、これは。
  111. 福田一

    国務大臣福田一君) いままでに石炭関係の法案で御案内のように金属鉱物とかそういうものがそういうことをやっておるのですが、まあまああまり議論のないようなことはそれでやってもいいじゃないか、これは考え方によってはそういうこともございますが、しかし同時にやはり私が商工委員会のようなところで御議論を願い審議を願うときは、やはり予算に関連して質問もいただいておるわけでもありますし、たとえばまた石炭等の問題のときは、石炭特別委員会でいろいろ御質問をいただいておりますので、したがって審議の場は先ほど藤田委員も言われたようにないわけではないのです。でありますから、まあまああまり問題にならないというか、一応お認めを願うようなものはそういうふうにしていただいて、そうして重点的に大事なものはやはりいまおっしゃったような単行法でやっていくと、こういうことにいたしてはいかがかと、こういうふうに私は感じておるわけであります。
  112. 藤田進

    ○藤田進君 それは提案されておるのですから、そういうことしかないのでしょうけれども、これは際限がなくなりますよ。すでに長官も言うように、先例があるというのでだんだんこれが重なっていくわけです。いまの仕組みとしては予算は予算として議決され、予算を伴う法案として出されてくるというのがわが国の立法態度だったんですね、従来。最近窓口があいてそういうことになったんでしょう、石炭関係を中心に。これはどうも国会という議決の場の者としてはどうも納得しかねる。まあ大谷予算理事もおられるわけだが、これは予算と連合審査でもできるようになるんでしょうかね、商工委員会が。国会法から変えてかなければならぬことなんですよ。現状の国会法ではどうなっているのかな、これは困ったもんだな。
  113. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をつけて。
  115. 近藤信一

    近藤信一君 いま藤田委員も言われましたように、この法律が通るとすれば、法律を見ただけでは資本金が幾らかということがわからなくなっているんですね。そういう点が私は非常にいろいろな意味から言って不便を感ずると思うんです。政府としては、出資ごとに委員会でいろいろと質疑されていろいろな批判を受けるわけなんですが、そういうことをこれからしなくてもいい、予算が通ってしまえば委員会で出資の問題に対しては質疑しなくてもよくなるわけでございまするから、政府としては私は非常に楽だと思うんです。しかし、このことは憲法八十五条に、政府の出資は国会で議決を得ることになっている。これは単にこの予算が通ったからといって、委員会で議決をしなくてもいいということになれば、これは私はもう国会を軽視するということになるんではないか、これはもう与野党くるめてそういうことは言い得るかと思います。いろいろと政府は批判を受けなくても済みますので非常に楽になるかもしれません。しかし、そういうことでは私は委員会の構成の意義というものもなくなるのではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、一体大臣はこの点についてはっきりしたひとつ御所見を述べていただきたいと思うんです。
  116. 福田一

    国務大臣福田一君) 実は衆議院においても同様の御質問があったわけであります。そのときにも申し上げておったのでありますが、大体まず新しい一つの政策的な法案ができるときには、しかも出資等を含むような法案ができるときには、当然法律案として、新しい法律案ですからこれはかけるのは当然であります。そこで、そのあとの政策から見て、そういうものは順次ふやしていくというようなものについては、これは予算で御審議を願うということにもなっており、それから政策全体としての御批判を賜わることになっているのでありますから、そういうことでいままでもやってきた法案がずいぶんあるわけであります。これはうちの法案だけじゃございません。各法案たくさんありますので、それともにらみ合わせつつ今度のこういう商工中金、中小企業保険公庫というような問題についてはこれでいいのではないか、こういう趣旨でお願いをいたしておるわけでございます。
  117. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど石炭鉱業合理化事業団、それから産炭地域振興事業団、金属鉱物探鉱融資事業団、こういうのが予算さえきまればよいということになっておるようでございますけれども、そうした石炭鉱業合理化事業団のあれと今度の場合は、私は性格的にも違うのじゃないかとこう思うのです。やはりそういう点からいくと、従来のように各委員会において議決をすべきが私は当然だと思う。こういうふうに考えるんですが、この点どうですか。
  118. 福田一

    国務大臣福田一君) 産炭地域振興事業団の場合におきましても出資をふやしていく場合、これは産炭地域振興事業をやらなければならない、こういう趣旨であの法律ができてきている。それには予算が必要だからこれだけ出してみたけれども、そういう予算を出して一応組んでみたけれども足りない、足りないからその予算をふやすんだと。その目的自体は産炭地域振興事業という政策が一つ先行しておるわけだから、それを国会として認めていただいた以上はそれに予算をふやしていくことはこれはけっこうである、こういう趣旨でございます。今度の中小企業の場合も、たとえば保険公庫なら保険公庫は今度手形割引の保証の保険を促進するということで、法律の目的政策がきまる、そのあとは出せるようになる、それは法案を必要としない、こういう考え方で、そのこと自体新しい政策が出てくるときはもちろん法案をかけることは、これは理の当然でありますけれども、あとは政策内容の面として御検討を願えるようにしてはどうであろうか、そういうような趣旨でございます。
  119. 田畑金光

    ○田畑金光君 いまの点に関連して大臣にもう一つお伺いしたいんですが、石炭鉱業合理化事業団等は、これはある年限を前提として限って、いわゆる時限法として石炭政策の大きな変革に伴う事後処理の施策として、あるいは体質改善、そういう思想の上に立ってこれは考えておると思うのですが、どうなんですかその点は。しかしこういうように政府関係金融機関のごとく、これは長年にわたって国の中小企業施策の根底として進めていくという法律案並びに予算措置あるいは財政投融資措置、こういうことについては、いま大臣お答えになったことと私は若干ニュアンスが違うような感じを持つわけですが、その点どうでしょうか。
  120. 福田一

    国務大臣福田一君) 確かに石炭合理化事業団あるいは産炭地域振興事業団というものにつきましては、そういう年限の問題があると思いますが、金属鉱物探鉱融資事業団というようなものは同じくこういう形式になっておりますが、これは年限はないわけであります。この種の法律がほかにもございますので、これに右へならえした、こういうわけでございます。
  121. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは結局大事なことは、一つの政策がきまったから、その方向で、単にそのきまった政策の中で議論をするというようなことですが、やはりわれわれの見るところ中小企業の施策なんというのは、政府の従来とってきた内容というのは非常にまだ不十分であるわけですね。不徹低なんです。ことにまた経済動きによってすぐ影響するのは中小企業の問題である。金融引き締めの影響をすぐ受ける。好景気になっても恩恵を受けるのには時間がかかる。そういう中小企業の問題というのは基本的な施策がきまってからであって、そのときどきの経済の事情、景気の動きによって常に敏感に影響するわけです。そういう中小企業というものの持つ本来の性格を考えたとき、当然これは国会の場において政府の施策に絶えず批判し、あるいは監視をし、あるいは叱咤激励する、そういうことが私は大切な問題だと思うのです。そういう点から見た場合、先ほどの大臣答弁だけでは、どうして今回から、先ほど一、二の例をあげましたが、いままで国会の審議になっていた法律事項を、これをあらためて予算措置でやっていくというようなことは何としても、どういう利点があるのか、これは国会の審議というものが非常に手間どる、あるいは仕事をやる上に非常にめんどうだ、こういう気持から国会の審議権との関連でこういう方式を採用されたようにわれわれは見ざるを得ないわけです。先ほども雑談で申し上げましたが、国家行政組織法の一部改正法でも、定員をふやすとかあるいは部を設けるとか、こういう問題を法律事項からはずして政令に移すというようなことを政府考えているわけですね。私はやはり国会の審議権という立場からみると、あくまでも従来の国家行政組織法のもとにおける定員の増加や部局の増設等については、やはり国会の審議権、あるいは国会の監視を受けるということが行政府として当然のことじゃないかと思うのですが、その辺の事情をもっと納得のいくように御説明願いたいと思うのです。
  122. 福田一

    国務大臣福田一君) 先ほど申し上げたとおりでございますが、たとえば商工中金の利下げなどももっとやりたい。こういうふうに考えております。そういう場合においても今後はこれを下げ得る——これは上げるということはできないのですけれども、下げるということです。それからいままでに、すでに先ほど来いろいろ法案が通っておりますと申し上げましたが、すでに両院をパスしたのに輸銀法、商工関係以外でございますが、林業信用基金法、奄美群島復興特別措置法、公営企業金融公庫法、鉄道建設公団法、日本住宅公団法、こういうような六件が二院をすでに通過しておるわけであります。これは何も商工だけのことではないわけでございます。それからいま御質問のありましたそういう手間を省くためだろう、こう言われるのでありますが、そういう意味でなくて、政策がきまったらあとは出し得るように予算で措置し得るようにしてはどうか。政策決定については御審議をもちろん願って法案の審議を願いますが、あとは予算で御審議を願う、こういうことにお願いいたしたいというのがわれわれの考えでございます。
  123. 田畑金光

    ○田畑金光君 いまの点はわれわれとしても納得が十分できないわけでありますが、ただ法律案そのものの内容については、われわれは賛成なんです。ただそういう手続というか、国会の審議権に相当な制約を加えるような形でこの種今回法律提案がなされたということ。この点についてはなかなか納得できない気持が残るわけです。しかしこれ以上論議しても——いま大臣の言われたことでも、今度の国会で一斉にそういう問題が各関係省から出ているわけで、そういう政府全体の姿勢というものについて私たちはどうも国会の審議権と、いま大臣お話になったような考え方との衝突と申しますか、理解ができないのです。それだけ申し上げておきたいのです。
  124. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣お急ぎのようですから、基本的なことについてお伺いしておきたい。  今回のこの法律を見てみますというと、出資金が増加になっておりますが、こういうことは、中小企業向けの資金の問題にからむわけです。そこで全体の資金の見込みであるとか、あるいは産業資金の見込み計画というものは経企庁あたりから出ておるわけですが、中小企業向けの資金の計画というものは、はっきりしたベースというものが何されていないと、どの程度一体この出資を増額していったらいいだろうかということもはっきりしためどがつかないわけです。必要に応じてやっていくだけでは……。一応はっきりこういう統計なんか見てわかるのは、各全銀であるとか、あるいは中小企業向けの政府関係金融機関であるとか、あるいは中小企業向けの市中金融機関であるとかというものの貸し出し残高が出てまいりますけれども、それ以外の財政資金の対民間収支の関係とかいったようなそういうものについて、あるいは中小企業が出している公債での資金の供給でございますね、公債といいますか、社債でございますかの資金の供給とか、そういった全般についての中小企業の資金の需要と、それに対する供給といいますか、その計画見込みというようなものはないだろうか、それが立てられないと、ほんとうに中小企業に対しての金融面の確保といいますか、手当はできにくいんじゃないか、もしそれができれば、三十九年度末においては、一体全銀がどのくらい中小企業向けに貸し出し残高が残っておらなければならない、商工中金ではいわゆるどのくらい残るべきであるということがはっきりわかってくるわけでございますけれども、そういうもののいまお手持ちがございますれば、いただきたいと思いますし、なければつくっていただけばなおけっこうでございますが、そういう考え方というものは大臣いかがでございますか。
  125. 福田一

    国務大臣福田一君) 中小企業金融というのは、御案内のように政府関係三機関の分が持っておるのは全体の九%くらいでございます。あとは市中銀行になるわけです。その市中銀行がどのように貸し出してどうするかということは、それまでは規制ができないわけでございます。そこに実はむずかしさがあります。やはり一般論からいえば、市中銀行に対してもできるだけ中小企業に金を貸し出すようにという趣旨の通達その他を出して、できるだけそういう方向に持っていきたいと思っておりますが、これをどういうふうにして中小企業向けに金融をふやしていくかということは今後のわれわれの大きな課題であろうと思っております。
  126. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 産業資金全般については見込みもありますし、いままでの実績もあるわけですね、それはきちんとした表になっておるわけです。国全体としての資金の供給、需要というものの見込み、あるいは実績というものもきちんとでき上がっているわけです。とすれば、本気になって中小企業に向かおうとすれば、そういうことはできるんじゃないか。いま申し上げた全銀とか、そういうものがあるから、なかなかむずかしいということはわかるけれども、資金の流れとして、これだけはどうしても中小企業に向けていきたいということになってまいりますと、そういうことがはっきりしてくれば、あるいは社債もこの程度まで発行させなければいけないということも目についてくるわけでございますから、その点について試算だけでもいいから、見込みというものは三十九年度のは立たないものですか。
  127. 福田一

    国務大臣福田一君) ちょっとそれはむずかしいかと思うのであります。第一あの企業がどれだけ金が必要かということは、それぞれその企業自体が考えてやるわけで、その集計でございますから。ところが、それを申し込んだときに貸さないということが言えないわけなんだから、どれだけの申し込みをするかということは中小企業側にあるわけなんです。その申し込みに対してどれくらい貸したかということがまず問題になるわけですから、大まかにいって、できるだけ貸すようにということはできると思いますが、計画を立ててこの分だけ貸しなさいということは、金融を完全な統制下の形に持っていかないとできないんじゃないでしょうか、市中銀行ですから。
  128. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  129. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をつけて。
  130. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ちょっと大臣にお願いしておきたいのですが、東京発動機の倒産の問題ですね、これはまあ中小企業金融全般の問題でお願いしたいのですけれども、昨日、下請をやっている関係業者が百人くらい来まして、話を聞きましたら、東京発動機の親会社は富士電機で、しかも富士電機から役員がほとんど全部来ている、東発に。それで彼らがこういうことを言っているのです。ここでちょっと名前を上げるのははばかりますが、大臣と同じグループに属せられる大蔵大臣をやられた方が富士電機の最高顧問で——福田大臣は中小企業に対して熱心に筋を通されるので、そういうことに対して遠慮されるとは思わぬが、陳情した感じからするとはなはだ冷たいと、こういう疑問を持っているわけです。業者がね。とにかく富士電機から十人くらい重役がいっているのです。発動機へ。だからもうこれがいつ倒産するかということはわかるのです。そして富士電機だけは債権を確保しているのです。なかなかこのやり方は悪質なんです。そういう点から、大臣は非常に中小企業の危機に対して金融操作をやったり、いろんな手を打っておられますが、私はそういう中小企業の買いオペレーションをやるとかいうような一般的な措置と同時に、なぜこういう五億円という、しかも下請業者が、関係業者が十万人からおるというようなこういうのがつぶれたらどうすするかという実態を調査して、——そのうちにやはりこの危機に直面する中小企業の問題が起きてくると思う。これは私すみやかにやっていただきたいと思うし、福田大臣のためにとらぬわけですが、同じグループの前大蔵大臣が富士電機の最高顧問であり、どうもそういうことに遠慮されているのではないかという、率直な意見を言っているのです。そういう疑惑を晴らすためにも、私はこれに対して至急に、とにかく十人も富士電機から役員が行っているのです。これはもうすぐわかるわけですから、自分だけ債権を確保して、こういう計画倒産をやっている、なれ合い倒産をやっているという点はなかなか悪質だと思う。これは至急にやはり手を打っていただきたい。そのことを希望し、御所見を伺いたい。
  131. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、わが党の大蔵大臣が顧問をやっていようが、何をされていたかということは、そんなことを私気にして行政をやろうとは思っておりません。これだけははっきり申し上げておきます。またいままででもそういうことを私はやったことは一ぺんもありません。だからこれははっきりしておきますが、いまの問題につきましては、いませっかく調査をいたしております。会社側からも、富士電機等からも人を呼び、東京発動機からも人を呼んでいま事務調査をいたしております。あなたの御満足のいくような結果になるかどうかは、私実はどういうふうに処理できるかわかりませんが、できるだけのことはこれはやりたい、こう私は思っております。
  132. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ずいぶん疑惑を持っていますから、よろしく。
  133. 田畑金光

    ○田畑金光君 二、三点長官にお尋ねしたいのですが、先週休んだのであるいは重なった質問になるかもしれませんが、簡単にお答え願いたいと思うのですが、先ほど中小企業指導法の改正に関連して、一億五千万追加出資がなされて二億の出資ということになったわけですが、この出資の使途はどういうことになるわけですか。
  134. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度の改正で、指導センターの事業を拡張いたしまして、中小企業者に直接に主として高度の技術をいろいろ教えよう、あるいは自動制御というような技術を中小企業者に直接研修をやるというようなことをする。そうしますと施設が要ります。したがってまた東京へ地方から呼びますので寄宿舎も要るというような、そういう寄宿舎、それから研修の施設、それからそれに要する土地、そういうものの金を出資金でまかなう、こういうことでございます。
  135. 田畑金光

    ○田畑金光君 それは出資金の金利運用によってやるわけですか。
  136. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いや出資金を土地とか、施設にかえていくわけです。
  137. 田畑金光

    ○田畑金光君 いま御答弁の中にありましたが、高度の技術というんですね、特に中小企業センターが、これから都道府県が実施困難な高度の技術の研修をやっていくということになっておりますが、この高度の技術というのはどんなことですか。いま何か一例をあげられたが、その他どういうことがあるのですか。
  138. 中野正一

    政府委員(中野正一君) たとえば機械加工の自動制御といいますものですかね、オートメーションでございますか、機械加工でございますね、そういうこともやはり中小企業にとっても、だんだん機械工作ということを自動装置でやるような施設にしていかなければいかぬということで、そういうことを中心に初年度はやろうというわけであります。
  139. 田畑金光

    ○田畑金光君 それからこの中小企業センターの予算という資料を見ますと、この事業費の中に補助率に違いがあるわけですね。たとえば一番下の経営指導員の研修は三カ月コースで一〇〇%補助、ところがその他については五〇%の補助があるし、いろいろ補助率に差があるのですが、それはどういう基準でこういうような差が設けられているわけですか。
  140. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 原則としてこの指導センター自身がやる仕事につきましては一〇〇%の補助でやる、これはもう民間から出資も何もございませんので、ただ、たとえばいま先生が言われたのは府県の人の研修の場合と、たとえば民間の金融機関の人なんかが希望してやはり研修をするというような場合等で補助率が幾ぶん違っている、民間に負担させる率を変えているわけでございます。
  141. 田畑金光

    ○田畑金光君 たとえば府県の診断員を養成したという場合には、一年コース七五%補助、診断員の研修一カ月コース七五%補助、そういうことでやりますと、あと二五%は府県なら府県の負担ということになるのか。さらに府県等で指導員についての研修を実施してもらいたいという希望が多々あると思うのですが、そうした場合に、中小企業センターに指導員が来て不在するわけです。そうなってきますと府県には指導員が欠けて空白期間ができる等々の事例もあろうと思うし、あるいはまたいま申し上げたような二五%の地元負担ではなかなか受けたくても受けられない。たとえば今回の改正を見ますと、中小企業指導センターは、商工会または商工会議所の経営指導員の研修も引き受けてやるわけですね。この末端の商工会とか、商工会議所のような資金的に、財政的に豊かでないところで、二五%の自己負担で東京にやって研修を受けるということは、これは容易でないと、こう見るわけですが、そういう点についてはどういうことになるわけですか。
  142. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いまの七五%の補助の場合は、残額は民間の機関なりあるいは商工会等が負担する。こういうことになるわけであります。
  143. 田畑金光

    ○田畑金光君 指導員の給与というのは、大体幾らくらいなんですか。
  144. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度ベース・アップをいたしまして平均二万七千円でございます。
  145. 田畑金光

    ○田畑金光君 ただ、心配されることは、一体充足が可能なのかどうか。あるいは最近のような人手不足とか、こういう専門的な技術あるいは経営の指導能力を持つ者は、多くの民間会社等で相当これは引き抜きが行なわれて、なかなかその程度の給与で優秀な指導員が残ってくれるかどうか。専門の仕事として使命感に燃えてやってくれるかどうか。疑問に思うのですが、その点どうですか。
  146. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 私が見ているところでは、地方では、いま申し上げましたベースでもちまして、十分相当優秀な人が得られるというふうに聞いております。ただ東京とか大阪等におきましては、なかなかいい人が居つくかどうかという点についてやや問題が起こっているというふうに聞いております。
  147. 田畑金光

    ○田畑金光君 いなかはその程度で人が集まるかもしれぬが、いまお話のように大都会等ではこの程度の給与ではむずかしいと思うのですが、そういうようなところについては、特に大都会等には中小企業がまことに多くあるわけですが、零細企業その他ですね。この点についても何か考えておられるのですか。
  148. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 大都会といいますか、主として商工会議所の指導員というのは、おもな都会につきましては平均三万円程度になっております。それで実際の給与をするにあたっては、役所のほうは一律に平均補助いたしますので、どうしてもそれでいい人を得られない。どうしても優秀な指導員が必要であるということになりますと、その不足分は商工会議所等で便宜上積みをして出してやるというような便宜方法をとっております。それは認めております。
  149. 田畑金光

    ○田畑金光君 私が申し上げたいのは、将来そういう面について、いま言ったように、人件費をどの程度が補助しておられるのでしょう。もっと末端の商工会や商工会議所におる地方の指導員等がやはり喜んでその仕事に専念できるように、国の段階で十分補助その他の措置を考慮されることが中小企業政策がよくいくかどうかという大事なかぎだと思うので、その点についての用意ありやいなやということですね。
  150. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 本年度地方の商工会等の指導員につきまして平均三千円のベース・アップを認めて、それだけの金を県と国で出すという予算を組んだのでございます。今後もやはりいい指導員を得るためには、相当なやはりそれに相当する給与をやることが第一だと考えておりまして、いま先生の御指摘のような方向で十分努力してまいりたいと思っております。
  151. 田畑金光

    ○田畑金光君 次に、商工中金の問題で若干お尋ねしたいのですが、先ほど近藤委員質問に対してお答えになっていたようですけれども、聞き漏らしましたが、商工中金の出資額というのは、政府の出資が今度の改正まで入れて幾らになり、民間の出資が幾らになるのか。ことに私のお尋ねしたいのは、この民間出資の増額の問題、これは将来増額する方針なのかどうか。民間出資ですね。
  152. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 政府出資が七十七億でございます。いままでのところが。それから民間の出資が六十三億。それから今度の三十九年度の政府出資が三十億でございます。で、合計して民間と政府とで今度の出資が百七十億ということになるわけであります。民間の出資につきましても、毎年あまり無理なお願いをこれはしましてもいけませんので、政府が出資をするに応じて、あまり民間に負担にならないような程度の出資はお願いをすると、これは評議委員会で皆さまにお願いをしてきめることになっておりますので、少しずつ民間の出資もふやしていきたいというふうに考えております。
  153. 田畑金光

    ○田畑金光君 こういう金詰まりの時代になってきて、しかも中小企業に一番しわが寄っておる今日の状況のもとで、いまお話のように無理のない出資はやっぱり民間にもお願いするというわけだが、無理のないというのは一体何を基準として考えるのか。まあむしろ民間の出資などということはあまり考えないで、この際政府出資で商工中金の融資機能その他の強化をはかっていくというのが本来のあり方じゃなかろうか。特に中小企業を取り巻く環境を考えたときにそういう感じがしますが、この点は、いまのお話は、無理のない民間出資の増額は今後とも続けていくのだというお話のようですが、どういうことなんですか。
  154. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 確かにいま先生の御指摘のとおりだと思いますが、ただ御承知のように商工組合中央金庫の成り立ちが、組合の相互扶助による金融と、組合金融ということがたてまえで、まあいわゆる半官半民の機関、成り立ちはいまの組合の相互扶助の機関としてできたものに政府が出資という形で応援をするということになっておりますので、やはり不足なら民間のお互いの協力ということはたてまえとして進めていかにやいかぬ。しかし、いま御指摘のように、そのときそのときの情勢で、非常に金融逼迫しているときに無理なお願いを民間にしてもいけませんので、そこは適切な指導をいたしたいと思っております。
  155. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は特にその点は、いまの金融事情あるいは中小企業を取り巻くいろいろな悪環境をよく考慮されて、この問題については、民間出資の問題については、そのときどきの事情に応じて弾力的に運営されることを強く希望したいと思うのです。  もう一つそれに関連してお尋ねしたいのは、この商工中金というのは、いまお話のように、そもそもこれができた趣旨というものが中小企業の組織化を促進して、まあ組織金融と申しますか、協同組合金融、こういうのが商工中金の使命であり趣旨だと思うのです。そういう組織化という点からみますと、協同組合だけでなくして、まあ協同組合が発展的に一つの会社になったと、協同組合の最近の傾向は、そういうような傾向があちこちに出ておるわけで、そういう点からみた場合、組合金融だけに限定するというのも、最近の経済事情の変化からみまして、商工中金の本来の使命からいうとどうだろうか。むしろ協同組合の発展した会社組織を商工中金の融資の対象にするという前提で運営されるのが実際的じゃなかろうか、こういうように感ずるわけですが、この点特に今度準所属団体などといって融資の対象を広げておられますが、そういう点からみても、いま言ったような考え方はこれは再検討してもよろしいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  156. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘の点も、相当われわれとして研究をいたしましたが、だんだん組合が発展して、組合がなくなって一つの会社になったというものまで組織金融でめんどうを見るべきかどうか、非常に議論のあるところでございまして、一応今度の改正にはこれを見送りました。しかし、今後の大きな研究問題として別途中小企業政策審議会の組織小委員会でそういう問題を含めて研究を続けていきたいと思っております。
  157. 田畑金光

    ○田畑金光君 最後に、私はこの保険公庫法の改正について一、二お尋ねしたいのですが、先ほど追加出資の問題の質疑応答の中で、長官からもすでにお答えがあったようにお聞きいたしましたが、今度の場合は二十二条の二項の融資基金の機能強化という問題でこの法律の整備がなされているわけですね。そうすると、今後二十二条一項の保険準備基金、これを今後ふやすような場合はこれは一体どうなるのか。法律改正事項として、そのつど国会の審議を経るようになるのか、あるいはまたいずれかの機会に今回の二十二条二項と同じような取り扱いで、保険準備基金の追加出資等についても法律改正をやっていこうというのか、この点どうですか。
  158. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 保険準備基金の増額については法律を要することとなります。また今後もその方針でいくつもりでおります。
  159. 田畑金光

    ○田畑金光君 今回は、そうするとあれですね、融資基金の額をふやしたと、そうして今度法律改正をやって、今後は先ほど議論されたように予算措置でやっていくと、ただ保険準備基金についてはそのつど法律改正で国会の審議をお願いすると、こういうことですね。それで関連して、この保険準備基金の追加出資等についてはいつごろ出されるのか。いまは必要でないとするならば、今後の推移から見て必要が起きてくると思うのですが、どういうような見通しでおられるのか、その点もあらためてお尋ねしたいと思います。
  160. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いまのところ保険準備基金の追加をいつやらなきゃならぬかということは、まだはっきり申し上げかねますが、見通しは不明でありますが、かりにまあ再来年度といいますか、四十年度にどうしても保険公庫の仕事がふえて、保険準備基金が要るということになりますれば、法律改正でこれはお願いするという方針でございます。
  161. 田畑金光

    ○田畑金光君 最後に保証協会の保証で借りますと、それだけ保証料をとられて金利も高くつくと、こういうことになるわけですね。今度追加出資をなされたことによってどの程度保証協会の融資機能が追加され、またそれに基づいて保証料の値下げ等がどの程度になされるのか、この点は特に公定歩合の二厘引き上げに伴う中小企業に対する影響等を考えたときに、今度は一面においては保証協会の保証料率の引き下げ、これで公定歩合の二厘引き上げも相殺されるのか。これは一つの例ですけれども、どういう工合になっているのか、この点ひとつ。
  162. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度法律改正をお願いしまして、四十五億円融資基金をふやすわけでございます。それに今度はさらに府県の融資というものが当然伴って、これはいろいろ府県を指導しておりますから、それと合算した金の約六倍の金が実際に保証金融として民間の金融機関から中小企業のほうに流れていく、こういう形になるわけです。ただ保証料をどの程度下げるか、これは毎年融資基金を、安い低利の長期の金を保証協会に流しまして、それによって保証協会の経営が改善されますので、保証料を毎年下げるように指導いたしております。いまこれは各府県の保証協会によっていろいろ事情が違いますので、一律には申し上げかねるのでございますが、できるだけ保証料は下げるように指導いたします。それから保険料も第二種について、法律が通りましたら一部下げることにしております。
  163. 田畑金光

    ○田畑金光君 これは私は希望であり、要望ですが、いま質問の中で申しましたように、また高金利政策に戻ったのかどうか、議論は分れるところでありますけれども、とにかく公定歩合引き上げによって、中小企業の受ける被害も相当深刻な問題があろうと見ているのです。まあ政府買オペその他で臨時の措置をやっているようですけれども、それでもなおかっこれは中小企業の末端の金融引き締めからくる影響というものは相当深刻なものがあろうとわれわれは見ているわけです。せっかく四十五億も公庫に政府出資をなされたので、いまの御答弁にあったように長期低利の融資をなさるわけですから、一応各保証協会には。それでこの際保証料率の引き下げについても十分政府はその実効が保障されるように指導なされ、あるいはまた十分監視をされて、せっかく信用保険公庫がこのように強化されたわけですから、末端の中小企業がほんとうに金利の面から恩恵が受けられるように御努力を願いたい、御指導が願いたい、このことだけを強く要望しておきたいと思います。以上。
  164. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先ほど近藤、田畑両委員から質問がありましたが、商工中金法による政府出資ですね、さっき聞いたのですが、七十七億二百十万ですか、それはどうなんです。その点。
  165. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案で、今度はいままで一々こまかく商工中金については出資額を書いておりましたが、これはやめまして、合計は七十七億二百十万円でございます。政府の出資が。
  166. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この八条によって、そのつどふやしたのを合計してそうなりますか。
  167. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 再建整備の減資が途中でございまして、いままでの一々書いてあるものを全部合計すると、今度の改正案でお願いしておるように七十七億二百十万円、こういうことになるわけです。
  168. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その減資が、それだけ引いた額があるわけでしょう。大体たしかこれを合計すれば七十七億一千五百万かなんかになるのですよ。それから二百十万を引いて千二百九十万が再建整備の関係で、そういうふうに減資になっているわけですが、そういうことは何も措置せぬでもいいわけですか、それはどういうことなんですか。
  169. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 昭和二十三年に実は戦後の再建整備で減資をいたしておりまして、その後はずっとふえておりますから、合計いたしますと、七十七億二百十万ということになるわけでございます。
  170. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 増資の際にはその後こういうふうにずっとやったわけですね。減資の場合はそういうことはいいのですか。これはどういうことですか。
  171. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 確かにその先生の御指摘の点は、そういうふうなところはちょっと不備ではないかというような気もいたしますが、要するに、政府が金を出すときのことだけ一々法律で書いてある、そういうことになっておるわけでございます。
  172. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 それもわかるんですが、しかし何にしても政府出資というものは再建整備でそういうふうに減っているわけでしょう、それは措置せぬでもいいものですかね。まあ今後は、こういうふうな法改正をやればわかるんですが、その関係はどうなんですか。とにかくこれを合計すれば七十七億千五百万になるんです。ところが、中野長官が言われたのは、七十七億二百十万ですからね。
  173. 中野正一

    政府委員(中野正一君) ちょっと私もその……、法律的に非常に専門的なことになりますので、しかも、これはだいぶ過去の昭和二十四、五年ごろのことでございまして、その当時にそういうことになっておりましたので、いきなり今度の法律でこういうことを書くことがいいかどうか、従来のあれを何かこの際法律改正の際に手を打たなければいかぬのじゃないかというような御指摘の点は、確かに疑問点は残りますが、その点につきましては、これは法制局等のほうも実は全部済ませまして、間違いないと思いますが、なお、どういう手続きをしてこういう減資のあれをやったのか、適法にやっておると思いますけれども、なお調査をよくいたして措置したいと思います。
  174. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと関連して。今後は予算で追加すると、まあ前向きといえば前向き一方のようなものですから、一方交通でふえるんだけれども、しかし事情によっては、これは三案を一括審議しておるようですから、それぞれに共通した問題として、出資を減そうと、減資しようという場合の措置は、この法律からいうと、ふやすことはできても減すことはできないとも解釈できるわけです。それはどういう条文をたてに減すことができるのか。
  175. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いまの御指摘の点も、ちょっと調べまして正確にお答え申し上げます。
  176. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 きょうは時間も間に合わぬでしょうが、とにかく商工組合中央金庫法の八条の二から七までずっと増資ごとに入れてあるわけですね。しかもそれが二十三年に再建整備で一千五百万減資すれば、増資だけしてそういう手続が要らぬというのは、どうもわれわれとしては少しふに落ちない。まあ今後は、かりにこういうふうに改めれば、予算措置ではっきりしてそれでいいというのならわかるんですがね、どうもその辺どういうふうな措置になったのか、これはあとでいいですが、はっきりしていただきたい。  それと、次にお伺いしますが、中小企業庁からもらった法令集を見ますと、商工中金法だけかたかなになっているわけですね。まあ憲法から最近の法令は大体ひらがなのように思うんですが、これはどういうことなんですか。これはこのままでいこうというわけですか。
  177. 中野正一

    政府委員(中野正一君) この点も、確かにこれは昔の法律そのまま一部改正ということでお願いをいたしておるわけでありますが、ほんとうは適当な機会に、これは全面改正で私ひらがなに直すべきだと思います。ただ、実はわれわれのほうも、先ほどちょっと申し上げましたが、協業化法人——いわゆる協同組合というのではなくて、組合が発展していったというふうな会社、こういうものにも商工組合中央金庫は金を貸すべきじゃないかという議論も相当民間に強いわけでございます。反対論も強いわけです。そういうことを含めまして、実は中小企業の組織全体についていま再検討を加えておるわけです。これも実は基本法が通るときは附帯決議にも、その問題はついておるわけですね。そういうことで、根本的な組織法の再検討をやっておりますので、そういうことに関連しまして、商工中金のやり方も直さなくちゃいかぬじゃないかというようなこともございますので、何かそういう機会にこれを全面改正をしたいというふうに考えております。
  178. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先ほどちょっと触れました東京発動機の問題ですがね、これは実は保険法が出ておるのでお尋ねしますが、こういう希望があったわけなんです。貸し倒れ準備金というのが租税特別措置なんかであるわけですが、こういう親会社が倒産をしたために、たくさんの関係会社に三十億くらいな損害があるわけですね。そういうものを何とか保険するようなそういう制度ができぬものだろうか、ひとつぜひ検討してもらいたいということなんですが、なかなかそれはむずかしいだろうということだったのですが、それはどうなんでしょう。
  179. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 最近、倒産が相当ふえておりまして、これに関連して、特に中小企業でない、大きいところが倒れたために、そこからもらった手形ですね、そこに債権が持っているというようなものが、連鎖反応的に倒れることを非常に私どもも心配しております。これはいろいろ大蔵省にもお願いし、われわれのほうでも、政府関係の金融機関三機関の活動という金融上の措置は、われわれやるつもりでおります。しかしそれ以上に、何か特別な措置も要るのじゃないかというような話もございまして、東発の問題に関連してどうこうというのじゃございませんが、研究はしております。ただ、これは、考えてみましても、そういうことを制度的に何らかやるということになると、なかなかむずかしい問題も起こりまして、簡単にはいかないわけでございますが、なお検討は続けたいと思います。
  180. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 とにかく、さきにも申し上げましたように、東京発動機は、富士電機の子会社みたいなものです。そうして重役が十人くらいはいって、しかもその悪質なことは、倒産をしたのは三月十日ですか——だのに、ちゃんとわかっておりながら、一、二カ月前に大量の発注をしているのです。そうしてそのために、聞いてみますと、買い掛けとか、未払いとか、支払い手形の未決済のものとか、約三十億もあるわけなんですね。最もたちの悪いのは、倒産寸前に大量の発注をして、納品をして、不渡り手形をもらって、ばっさりやられてしまった、そうしてあけてみたら、親会社の富士電機が、ほとんど債権をみな確保してしまって、どうにもならぬというんですね。何とかそういうものを保険するような……、なかなか中小企業では、そういう危機を察知することもできませんし、希望としては、なかなかこれは、自分たちがどうこうできぬだろうが、こういう善意な人まで——つぶれる一、二カ月前に、そういうことがわかっているのに、二十何億の発注をして、そうして納品をしたら、ばっさりやられるというようなことになった。これは何とかできぬものですかね。保険制度でどうなんですか、具体的に。また実際、これは五億ですから、中小企業の範疇じゃないんですが、それにたくさんの中小企業が関係しているのですが、この問題は中野長官のところで少し調査されておるのですか。これはどうなんですか。
  181. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度の東京発動機の問題については調査はいたしております。現にあしたもまた呼んでやることにしておりますが、いまのは一種の手形そのものの保険なんですね、先生の言われるのは、これは私もだいぶ研究してみたのですが、まだちょっと結論が出ないのですが、何か最近の情勢から見てそういうことは必要があるのじゃないかということは、必要性は皆さまが非常に言われますので研究はいたしたいと思います。
  182. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 基本的な問題だけで終わりたいと思うのですが、先ほど大臣と対して伺ったときには非常に見込みが薄いような話でございましたのですが、中小企業庁のほうは、商工中金の三十九年度末、一体どのくらい貸し出し残高が残るだろうと……、いままでの実績から見ますと大体の見当がつくのじゃないだろうか。そうすると、ある程度商工中金にしても中小公庫にしても大体のめどがついてくる。まあペーパープランと言われるかもしれませんけれども、資金の計画というものは立てられないものだろうか、その点……。
  183. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 先ほど大臣が申されたのは、民間の市中金融機関に対する資金の需要、それがどの程度充足するだろうか、これはなかなか計画が立てにくいのじゃないか、そういうことをやれば金融の一種の統制になってしまうというような、いままでのことをおっしゃたのじゃないか。これは大企業についてもそれはやっておりません。ただ大企業については需要がどの程度あるか、特に設備資金を中心にした需要がどの程度あるかということは計画を立てております。というのは、おもな産業につきましては通産省法律あるいは行政的にいろいろ指導しておりますので、毎年これは産業合理化審議会で御承知のように計画を立てておる。中小企業についてもそういうある程度の目安をつけなければ、幾ら金がほしくてもどの程度これは施策をやったらいいかということは見当がつかぬじゃないかという議論が非常に強いのです。われわれもそういうことをよそのほうから非常に言われておる。しかし、いまの中小企業の実情把握、の現状ではとてもそこまでの資料はつかめないということを申し上げたのであります。ただ三機関につきましてはそれぞれ、たとえば中小公庫であれば設備資金が中心でありますから、どの程度の需要があるかという調査を毎年いたしまして、そしてこの程度まで中小企業の設備近代化をやるべきである、それにはどの程度金が要る、そのうちで政府関係機関にどの程度依存するであろうかという予想を立てまして、資金の需要量を出して、それをもとにして、それだけではございません。最近の二公庫に対する資金の伸びの実績等も勘案をいたしまして、中小企業庁としては三機関の資金需要量というものを出しまして、これをもとにして財政投融資の措置をするということでございます。
  184. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そこはわかるのですが、そうすると税金の場合を見ても大体中小企業向けにどのくらいということはいままでの実績はわかります。それから日銀券の増加にしても、ことし三十九年は二千六百億ばかり見込まれております。増加が。そうすると中小企業向けにどのくらいだろうかということは見当がつくわけです。大体の見当がついていかなければなるまい。幾ら法律をつくられても資金計画的な見込みというものの計画が立たないでは、資金を増加しても間に合わない場合もあるだろうということになります。計画的統制的というふうに言われれば身もふたもないかもしれませんけれども、自由経済の流れの中で把握していかなければならぬ、それがもしできるならば、そういった見込みをもし立てられれば、ひとつ資料としてもらいたいわけですけれども、いかがですか。
  185. 中野正一

    政府委員(中野正一君) それはちょっといまの段階でこの見込みを出せと言われましても、大企業でどのくらい、中小企業でどのくらいという通産省として責任のある資料はいまの段階では申しわけないのですができません。ただ、今後いま言われたように見当をつける意味で、もう少し勉強せよと言われるなら勉強いたしますが、ちょっと役所としていまの段階でそういう資料は出しかねると思います。
  186. 近藤信一

    近藤信一君 商工中金の問題についてお尋ねするのですが、商工中金の大きな特色としては組合金融というのでしょうか、御承知であると思いますが、組合でなければ中金から金が借りられない、それは組合の利用を大きくするのはそれだけ組織化に貢献したわけなんですから。ところが、過去の改正で所属団体にも貸せるようにしたわけですね、組合員であれば金が貸せられると、それから準所属団体というのを認めて、輸出の振興に必要な施設、その法人でありまして、商工中金の構成員は組合であり、また組合員である、こういうこともあると思いますが、今度はそれが株式会社になることもあって、それにも貸せることになるわけです。今度の改正ではさらにその範囲を広く拡大するというのですが、そういたしますると、この二十八条の二によりまして、準所属団体というのは輸出振興組合、輸出の振興に関するものだけでなく、今度は国内取引の関係に対しましてもよいというふうになるわけです。先般の補足説明で長官がなたねの問題を取り上げられて御説明されましたが、そういうふうな事例というふうなものは他にあるのでしょうか。これはどうですか。
  187. 中野正一

    政府委員(中野正一君) この二十八条の二の準所属団体の例としては、輸出の場合、日本魚介罐詰販売株式会社、日本レイヨン織物工業振興株式会社、この二つの例しかございません。しかも実際に商工中金が金を貸しておる例はいまの魚介罐詰販売会社一件でございます。それからこの間なたねのお話を申し上げましたが、ああいう場合がケースとして考えられるのでございまして、そうケースは多くないと私は見ております。
  188. 近藤信一

    近藤信一君 次に、これは主務大臣の認可を受けて貸し出しができることになるようでございますが、その認可はどんな基準で行なうのか。それからわれわれは組織化というのは必ずしも組合でなければならぬという主張をするものでもございませんが、実は一度この主務大臣の認可を受けてしまいますと、その後に株の売買ということが行なわれる、それによって中小企業者の会社でないのに今度は内容が変化してくる場合があるわけなんですが、そういう点はどうですか。
  189. 中野正一

    政府委員(中野正一君) これは、今度の二十八条の二の規定に従いまして主務大臣は認可をするわけでございまして、ここにも書いてございますように、第一は、その組合員がつくる会社ですね、会社の株主は大部分その組合員でなければならぬということになっております。この「主として」というのは、大体八割程度というふうにわれわれは解釈したいと思います。したがって、協同組合のつくる会社の株主というのは、大部分が団体の、組合の組合員である。それからもう一つ第二点は、所属団体の構成員の共通の利益を増進するために必要なる施設でなければならぬわけですから、これを言いかえますというと、その施設の過半が所属団体の構成員の利用に供せられるものでなければいかぬ。したがって、アウトサイダーにあまり——半分以上も利用させているというようなものであっては認可ができない。それから認可した後に認可要件に合致しないような運営がされることがおそれられますので、その場合には認可を取り消すなり何なりというような方法で厳重にこの規定を守っていきたいというふうに考えております。
  190. 近藤信一

    近藤信一君 企業組合は商工中金から融資を受けることができるので、企業組合は組合員が企業合同してつくられるわけですね。これにも融資ができるわけなんですが、それと同様に、近代化促進法によって今度は企業が高度化した形で経営される場合、その合同した会社にも商工中金の融資ができるのかどうか。中小企業の合併、それから合同、これが事業合同といいますか、そういうために融資がこれからもできるかどうか。
  191. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 中小企業者が合同とか合併をして近代化促進法の趣旨なんかに沿って合理化をやるというようなケース、これは商工中金はあくまで組合金融でございますので、そういうものは商工組合中央金庫の融資の対象になりません。
  192. 近藤信一

    近藤信一君 企業組合は対象にならない。合同したその人——組合員といいますか、企業組合の従業員といいますか、そういうものは対象にならぬ、こういうことですか。
  193. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 企業組合は、今回の商工中金の融資対象本来の所属団体でございますから問題はございません。私が申し上げたのは、会社が合併して一つの株式会社とか有限会社になる場合には対象にならぬ、あくまでも組合をつくっておらなければ商工中金の対象にならない、こういうことでございます。
  194. 近藤信一

    近藤信一君 合同、合併によって一つの会社ができた場合には、その会社は対象にならぬ。それで企業組合であるならば、従来対象になってきているからこれは除外しない、こういうことですね。
  195. 中野正一

    政府委員(中野正一君) おっしゃるとおりでございます。
  196. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、業務追加の中に外国為替業務というのがあるんですけれども、商工中金は海外に支店を持たず、それから実際にその必要はないのではないかと思うわけなんですが、外国為替業務はそれに修熟した職員がいないと実際には取り扱えないと思うんですが、その点はどうですか。
  197. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度の改正によりまして、初めて外国為替業務を扱い得ることになりますが、これも、いわゆる為替銀行には甲と乙というふうに御承知かと思いますがありまして、これは乙種為替銀行でありますので、外国銀行とコルレス契約なんかができる資格は、まだ商中はできません。したがって、その意味では取り次ぎですね、LCを開くような場合には取り次ぐというような意味の外国為替業務をやる。しかし、それにしても従来はそういうものも全然扱えないので組合員が非常に不便だったのですね。その面では組合員のためには非常に便利になるんじゃないかと思います。
  198. 近藤信一

    近藤信一君 保護預かり業務を拡大されるようでございますが、まず「有価証券」とありましたのを、今後は商工債券も預かれるのかどうか。それからいままではなぜ禁止しておったか。今後はどういうふうにされるのか、その点はどうでしょうか。
  199. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 商工債券は有価証券でございますので、当然これは保護預かりはできるわけでございます。まあ「貴金属其ノ他ノ物品」というふうにして、これは組合員のためにサービス業務を追加するということで広げたのでございます。
  200. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、貴金属やその他の物品の保護預かり、こういうことまで今度は対象物件として広げられるわけなんですが、それはどんな必要があってそういう結果になったのか、この点はどうですか。
  201. 中野正一

    政府委員(中野正一君) これは普通の銀行ではみなそういうサービスをやっておりますので、要するに所属団体なり、資格団体なりの皆さま方のためのサービスの拡充というふうにわれわれは考えておるのでありまして、これは銀行として当然そういうことはやるような一般の慣習になっておりますので、商工中金だけできないというのもいかがかと思いまして拡張したのでございます。
  202. 近藤信一

    近藤信一君 これは、代理業務の拡大では、「営利ヲ目的トセザル法人」の代理業務もできるようにしているわけなんです。一体どんな法人であるか。まだ、主務大臣が認可をして行なうということもできるわけなんですが、どんな法人であるならば認めていかれるか、その認可基準というものがあろうかと思うのですが、その点はどうですか。
  203. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 従来は、この法律にありますように、国とか公共団体、銀行とかいうような金融機関の業務を代理することができる——これは特別にむずかしい認可基準はこの際にはないわけでございますが、一応主務大臣の認可を受けてこういうことができる。これで非常に不便でございましたのは、信用保証協会の保証をある者に商工中金が貸すということがございまして、その際に、その保証協会に保証料を納めなければいかぬわけですが、それを商工中金がかわって受け取る——保証料をですね。ということになると、窓口一本で済むというようなこともござまして、主としてここで具体的にねらっておりますのは、地方にあります信用保証協会の保証料の受け取り業務というようなことをやらしたいということでございます。
  204. 近藤信一

    近藤信一君 どうもだいぶ皆さん時計ばかり見て、早く終わらぬかしらという顔をして見えておるようだから、私もまあできるだけ簡略に質問をして終わりたいと思うけれども、いま一つ、指導の問題につきましてお尋ねしていきたいと思うのです。  指導センターの業務として、新たに高度技術に関する研修は直接中小企業に対して実施してもよいことにする趣旨が第二十六条の中に盛り込まれております。いままでのセンターの業務は、指導員の養成それから研修であって、中小企業者の指導研修に対しましては都道府県の仕事としておられた。このたびの改正でセンターは中小企業者の指導研修を直接に実施してもよいと、こういうことに大きく変更を認められるわけでございますが、まず伺いたいことは、高度の技術というのは生産技術に入るのか、それとも経営の技術とか知識も含まれているのか、知識がどうも含まれていないように私思うのですが、この点はどうですか。
  205. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 今度のセンターの拡張の範囲は生産技術に限りまして、経営面等の研修は直接はやりません。従来どおりの間接の研修でいきたいという趣旨でございます。
  206. 近藤信一

    近藤信一君 都道府県から要請があった際に初めて実施するのか、それともこの研修はとても都道府県ではやれないだろうと考えられてこれを取り上げられたのか、これはどうです。
  207. 中野正一

    政府委員(中野正一君) これは関係の都道府県の意見は十分に聞きますが、都道府県の技術研修ではなかなか目的が達せられないようなテーマを選んで中央でやりたいということでございます。
  208. 近藤信一

    近藤信一君 都道府県の要請さえあれば、新しい三号の仕事は、実際には都道府県の事業に協力するという意味合いで第二号の仕事として実施してもいいのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  209. 中野正一

    政府委員(中野正一君) ちょっとおそれ入りますがもう一度質問の趣旨を……。
  210. 近藤信一

    近藤信一君 都道府県の要請さえあれば新しい三号の仕事は、実際には都道府県の事業に協力するという意味で第二号の仕事として実施してもいいと、こういうふうに思うのですけれども、この点はどうなんですか。
  211. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 都道府県の要請等がありますれば、それを十分に勘案いたしまして、これは二号との関係も出てくるわけでございますが、中央で必要なテーマを選んで技術研修をやる、こういうふうにしたいと思います。
  212. 近藤信一

    近藤信一君 いま一つの業務拡充ですが、これは第九号を設ける理由は一体どこに原因があるのか。「第八条の目的を達成するため必要な業務」とはどんな業務を想定しておられるのか、  この点はどうですか。
  213. 中野正一

    政府委員(中野正一君) このたび二十六条の業務範囲を、さらに最後に、「前各号に掲げるもののほか、第八条の目的を達成するため必要な業務」ということで、八条はセンターの目的でございまして、今度この条文が——従来ほかのこういう機関にはたいていあるのでございますが、前は「前各号の業務に附帯する業務」ということで書いてございまして、実はこの条項を掲げましたのは、地方にあります商工会の指導員の研修をやりたいということで、これが非常に希望が多いものですから、これを附帯業務で読めないかということでずいぶん研究したのですが、非常にやはりむずかしいということで、それをそういうことでやりたいということで、これは当然「第八条の目的を達成するため必要な業務」ということで読めますから、そういうことで追加したのでございます。
  214. 近藤信一

    近藤信一君 それから附則の第二項で登録税法を改正しておられますが、これによって、免税の恩典を受ける範囲、それから金額というものはどの程度ですか。
  215. 中野正一

    政府委員(中野正一君) ここの附則に書いてございます登録税法の一部改正、中小企業センターが建物・土地の取得等の登記をする場合に登録税を免除するということで、まだ正確にもとのあれがまだよくきまっておりませんのであれですが、六、七百万円はこの規定がない場合に比べて税金が安くなるのではないかと思います。
  216. 近藤信一

    近藤信一君 中小企業の指導につきましては、指導法の範囲で役所が無料で診断指導をやっていくくらいでは、とてもこれは中小企業全般に及んでいかないと。それから三十九年度施策で個別企業者に対する診断について調べますると、工場が三千七百四十件、それから鉱山が九十二件、商業・サービスが六千五百件、計一万三百三十三件とこういうことが予定されているわけです。それで、もちろんこのほかに系列診断とか産地診断等でも指導されておるわけなんです。で、中小企業の全体の三百二十万に比べますると、これは全く微々たるもので、九牛の一毛である、こういうふうにも思うわけなんで、そこで三つの事項についてお尋ねしておきたいと思うのですが、第一は中小企業者の側から診断を受けたいという希望がどのくらいあるか。それからそれに対して都道府県の能力がどのくらい応じられていけるか、そういうことが第一の点です。
  217. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 現在でも各府県それから五大市等で非常に熱心にこの企業診断・指導ということをやっていただいておりまして、いま先生も御指摘があったように、これは無料でやっておりまして、相当申し込みはございます。また、実際もこれが一つの中小企業対策の一番親切なもとの政策だと考えておりますが、やはり予算の制約あるいは人の問題等にいろいろございまして、われわれとしてはもう少し力を入れてこれは人員をふやしたいというふうに考えておりますが、申し込みはまあ大体の各県の事情等を聞いてみますと、現在よりも三割、四割程度はまだ需要があるのじゃないか。これは政府なり府県のほうから強制してとかいうことでやるものじゃございませんで、あくまで中小企業者御自身の希望依頼に応じて出かけていって指導する。それでも私は足りないというふうに見ております。というのは、私どもときどき地方に行って話を聞いてみますと、やはり申し込んでも待たされるということを相当聞きますので、もうちょっと今後これは力を入れてまいりたい。
  218. 近藤信一

    近藤信一君 第二点は、いま長官も言っておられるように、無料診断でやるととてもこれは応じかねる、間に合わない。そこで、民間の有料の診断を受けておる者があるわけなんです。これは現実に私もよく知っております。で、これを行なうところの登録診断員の数、それからまたそういう人の団体みたいなものがあるでしょう。この点把握しておられるのか、把握しておられるならば、ひとつどれぐらいの数があるか……。
  219. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 登録診断員というのは、民間の方で約四千人の診断員がおります。それからその全体的な組織としては診断協会とか、あるいは地方にそれの支部とか、あるいはまたそういうことでなくて、民間のそういう専門の診断員の方がグループをつくったとかいうようなものが個々にあるということは承知をしております。
  220. 近藤信一

    近藤信一君 次に第三点として、経営士、経営管理士、こういうものがいまたくさんありますね。名称はいろいろと違いますけれども、現実にあるんです。これを公認会計士や技術士などと同様な形で制度化していただきたいという希望があるわけなんですね。その問題について何か考えられておることがあるんですか。
  221. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘ありました診断員——いまは登録診断員と申しておりますが、診断員というものをもう少し制度的にきちんとしたものにしてやるべきじゃないかという議論がございまして、またそういう要望もございます。ただ、いま御指摘があったような税理士とか会計士とか、そういう従来の制度との関係等十分調整をしないと、なかなかそういう制度をつくってもうまく運用されないというような面もございますので、これは今後の大きな研究問題としてひとつ検討をさせていただきたいと思います。
  222. 近藤信一

    近藤信一君 経営管理士が集まりまして管理士協会というふうなものの団体が各地にあるわけなんですが、まあ政府の委嘱をしておられる診断員では足りないということで、こういう人たちが自主的にそれぞれ自分たちが会費を出して経営をしておる、こういうものに対して何か政府として補助してやろうというようなお考えはありませんか。
  223. 中野正一

    政府委員(中野正一君) そういう団体なり皆さま方がおられるということは知っておりますが、実態もわれわれ十分まだ調べておりませんし、民間の要するに中小企業の指導員でございますね、そういうものに対する対策というものは今後の問題として十分検討してまいりたいと考えております。
  224. 近藤信一

    近藤信一君 都道府県が指導センターの講習や研修を受けさせるために、職員を長い間派遣するということは都道府県としても大きな財政的な負担がございますのでなかなかこれはむずかしい。それに対するところの対策というふうなものは何か政府で立てておられるのですか。
  225. 中野正一

    政府委員(中野正一君) その点も確かに先生の御指摘のとおりで、三十九年度から府県から派遣されます研修員の旅費と滞在費の半額は国で持つと、それからさらにさっきの一億五千万円の出資で寄宿舎もつくってあげよう、こういうことを計画しております。
  226. 近藤信一

    近藤信一君 そこで、これはもう最後ですから大臣から所見を述べていただきたいと思うのですが、指導員を養成する、学校を経営するというふうなこと、それからその学校を今度は卒業すれば都道府県や商工会等の指導員になれる資格を持たせる、そうすればいま非常に不足しておる診断員等も、相当この学校に入学すれば指導員になれるんだからということで希望者も私はふえてくるのではないか、こういうふうに思うのですが、そういう専門的な学校経営というふうなことを政府としては考えたらどうかと私は思うのですが、この点ひとつ大臣の御所見を述べていただきまして、私は質問を終わります。
  227. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいまの学校の問題でございますが、これはいま御質問が出まして、私実はいままでそう特に研究をしておるわけではございませんから、確たる御返事はいたしかねるのでありますが、ただ指導員というようなものは、やっぱりある程度年輩と言ってはおかしいが、あんまり若い、学校を出たばかりの者が指導員になるというようなのがいいのかどうか、これはちょっと問題があろうかと思います。そこで学校を出て実務を二年なり五年なりやった人で、その人をもう一ぺん集めて何か学校のようなものを開いてやれば、これは何か効果があるような気がいたします。これはまあ、私の率直ないまの気持でございます。ひとつ研究をさしていただきたいと思います。
  228. 藤田進

    ○藤田進君 委員長答弁を先ほど保留したでしょう、法制局とも打ち合わせてという……。
  229. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 先ほどの商工中金の減資のことでございますが、これは別に金融機関再建整備法という法律をつくりまして、この法律によって、減資をやっております。したがって、今後こういう問題が起これば、後日同じような問題が起こりますれば特別の法律が要るのじゃないかというふうに私は考えおります。
  230. 藤田進

    ○藤田進君 それからいま出ている改正案で、予算が議決されたならばそのまま法律を要しないで追加増資するという条文があるんだが、将来減資する場合には法的根拠はどこなのかというものも一緒に保留されたので……。
  231. 中野正一

    政府委員(中野正一君) そういう場合も特別の場合でございますので、別の特別の法律をつくって処理するということになると思います。
  232. 藤田進

    ○藤田進君 それから関連したいろいろ制度上の問題ですが、熱管理士法を廃止するということを言われていたんですが、これは中小企業にとってもかなり関係が深いのですが、どういう考えですか。
  233. 中野正一

    政府委員(中野正一君) ちょっと、熱管理士という法律の問題でございますか。
  234. 藤田進

    ○藤田進君 現在あるようですね。それを廃止するということで騒いでいる……。
  235. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 熱管理士に関する法律がございまして、これを別に廃止するというようなことは通産省として——これは私の所管ではございませんが、いま官房から聞いたところによりますと、そういうことを考えていないそうでございます。
  236. 藤田進

    ○藤田進君 こういう融資等を基礎に中小企業の育成強化をはかろうというふうにも見えるけれども、一方融資というものでは解決ができない問題が、下請代金のときもいろいろ議論をいたしましたが、一体政府のかまえというものは貿易の自由化、したがって、価格競争、経済戦という一連の問題が出てきたわけで、そういうことで、すでに三菱三重工の合併、あるいは海運関係の合併、要するに集中化、寡占化、独占化といったような傾向をたどりつつあるわけで、こうなってくれば、中小企業という弱いものは、これは資本主義の原則で、漸次自然淘汰されていき、そしてむしろ、大企業への集約化ということのほうが進んでいく。中小企業は常に新陣代謝をかなりの部分しているのですね。こういう経過から見ると、どうも、もたもたよたよたしているものは、これは自然の淘汰を待つというふうに結論的には言えるような気がする。ただ、系列企業で自動車産業であるとか、ミシンとか、そういう下請企業でむしろコストを支えていこうと、つまり低コストを維持していこうというものについては、労使関係においても、労働側のいわゆる組合が弱いとか、あるいは組合が強ければ、親企業からの締めつけで倒れていく以外にないという非常に弱味を持っていて、そういう中小企業のうち系列化された下請企業というものは、かなりコスト安の原因になっておりますが、そうでないものについては、自然淘汰を待つというかまえのように見えるので、いろいろ信用保険公庫の問題とか、あるいは指導センターの問題とか、サービス強化されるように思うけれども、全体から見て、時間がないからこまかいことはおわかりになっているから省略いたしますけれども、中小企業をほんとうに育成していこうということが基本なのか、集約化するということが基本なのか、実は疑いを持つわけであります。その腹を聞かしていただきたい。
  237. 福田一

    国務大臣福田一君) いまの御質問でございますが、私は、中小企業というものは、前向きに育成をしていくというかまえで処置をいたしたいと思います。ただ、その業種々々によりまして、いろいろ特徴もあるだろうと思うし、やり方も違ってくるだろう、これは、私は、いなめないと思うところでありますが、しかし、前向きに処置をするということでは、今後も、大いに、ひとつ、積極的にやってまいりたいと、こう考えております。
  238. 藤田進

    ○藤田進君 そういうことなんですが、その裏づけとなる諸施策というものについては、私も疑問を持っているわけです。  それから、予算委員会は、時間の都合でこれは鈴木さんが融れたのですが、こういった中小企業、特に下請産業というものが、かなり新陳代謝をしていく中に、住宅地域における工場といったようなことが、かなり騒音関係がやかましくなって、東京都でも、審議会をつくって、何か答申が出たのですがね、けさの新聞を見ると。ああいうふうに地域社会についてはかなり問題があります。これは比較的中小企業に多い。そうなれば、こういった施策も必要だろうけれども、それらのまとまった中小企業団地とかいうものは若干の地域にあるけれども、かなり夜間等における、あるいは昼間においてもそうですが、問題があるので、東京都のような地方自治団体でも、かなり問題を重大化させているわけです。先般の予算委員会では、検討するということであったので、私はああいう席でありましたから、大臣にかみついてもどうかと思いまして……、これは主管大臣として、初めてどうも気がついたような感じを受けたのですけれども、これらの、指導を具体的にするのか、あるいは騒音防止について出てきたものに対する措置をするということになるのか。何かこれは解決されていかなきゃならぬ。どういうふうにやります。これは東京都だけじゃなくて、全国的な問題です。
  239. 福田一

    国務大臣福田一君) この間予算委員会で御質問がありましたとき、検討すると申し上げておったのは、その後も新聞に出ましたように、通産省と厚生省の間で、公害−音響とか臭気とか振動とか等々のいろいろなことがございますが、こういうものをひとつ積極的に取り上げて、全国的な規模において、これをどういうふうに処置していったらいいかということを、なるべく早く研究を厚生省でしてもらうと、こういう意味協力をする段階に入っておるわけでありまして、いまあなたのおっしゃったような各地域々々としては、これは私はあのときも申し上げたのですが、それは東京でいえば下町、その下町でもやっぱりどんどん地盤沈下するようなところでは住宅にも適しない、あるいはまた住宅の中にそういうものができれば、これはもう非常に妨害になる、もちろん自動車の板金とか、ああいうものはちゃんと規則がありますから、一定の坪数がなければできないとか、そういうことは個々にはやっておりますが、全般としての問題はまだ東京都あたりでもはっきりはさまっておらない、まあ地域的にはそういう問題も進んでおるわけであります。しかしこれを全般の全国的な法律として対策を講じ、またこれを予算措置をするということになれば、何が公害であるか、どの程度が公害であるかということの問題が私は先に出てこなければならぬと思うのでありまして、これはまだはっきり結論を得ておらない。そこで前向きに今後は検討いたしてまいります。こういうふうにお答えをいたしておるのでありまして、今後もやはりそういう意味で厚生省は通産省と連絡をとって、公害の問題を積極的に研究もし、解決もするように、そういう標準等についても案ができてくると思いますので、そうすればもちろん通産省としてはこれに応じて処置をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけです。
  240. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま予算のときの大臣答弁について、また出てきたわけでございますが、ちょっと関連して聞いておきますが、公害防止に対する連絡の会というのは、三月の初めに閣議決定する予定が、私が質問する前日閣議決定できまってきたわけです。そのときの大臣答弁は、非常にたよりなくて、申しわけないのですけれども、公害というものを実際に身をもって御存じないというふうな感じを受けたわけです。いまの話で前向きにかなりやるとおっしゃるので、近々のうちには当委員会でも私は調査案件として相当突っ込んでお伺いしたいと思っているわけなんですけれども、ただ研究の段階ではなくて、実害をいかにして取ってしまうかという、それしかございませんのですから、その辺のところへ頭を向けて、実際に身をもって歩いてごらんになるのもけっこうでありましょうし、被害の声を聞かれるのもいいでしょうけれども、そういうことで研究なんかの段階じゃないということだけは認識を改めてもらいたい、こう思うわけなんですがね。
  241. 福田一

    国務大臣福田一君) 私はあのときにそういうお答えを申して御不満をいただいておるわけかと思いますけれども、営業自由の原則というものを頭から否定していくわけにはいかない。やはり下町とか何とかいうところでやっておる人は、何か仕事がないと思って、そうしてたまたまあったということになれば、やり出すものなんです。下請でも何でもやり出すわけです。そうすると、その営業自由の原則というものをどの程度に保護していくかという、その限度との調整が一番問題だと思ったので私はあそこでは申し上げなかった。実は私は下町育ちなんです。よく知っていますよ、そういう事情は。もう二間間口の小さな家で、ずっと長屋が続いていて、その長屋の中で機械類を入れてがたがたやられたのじゃ実際困ってしまうのです。そういうところにおったのですから、私よくわかっております。わかっておるが、しかし営業自由の原則というものとの関係、そうしてまたその営業補償をどうしたらいいが、もしそれがいけないということになれば、補償の問題が入らなければいけない。そうすると、それを移す団地の問題をどうしたらいいか。それを集めれば、あるいは今度は住宅のほうをよそへ移していく、こう考えていかなければならない、口で言うほど事は簡単じゃない。だから法律の問題、予算の問題がありますから、こういうことをもって前向きに検討しなければならない、こういってあなたのときもお答えしたつもりであります。私はこれは相当いい御質問ではあると思ったけれども、自分の腹の中でその解決策がどうしてもまだ出てこなかったからお答えしなかったわけであります。
  242. 藤田進

    ○藤田進君 まあその問題についてはまだありますが、時間が迫っているようですから……。そこで、いま出されている予算がきまれば、もう自動的に法改正を要しないで追加出資ができるといったような趣旨のものが、通産大臣所管では今後どういう予定でございますか。もうこれが最後でしょうか。
  243. 福田一

    国務大臣福田一君) 中小企業ですか。
  244. 藤田進

    ○藤田進君 中小企業に限らず、所管大臣の範囲内においてはまだお出しになりますか。
  245. 福田一

    国務大臣福田一君) ジェトロに関する出資の法案が一つございます。いま衆議院で審議中でございます。
  246. 藤田進

    ○藤田進君 将来の国会提出予定があるのですかないのですか。
  247. 福田一

    国務大臣福田一君) 今国会にはないと思っております。
  248. 藤田進

    ○藤田進君 今国会はないとしても、将来、執行権を持っている政府としてはなかなかこれはうまいやり方でしょう。これで味をしめてだんだんふやしていくんだろうかという点が私ども心配で、これは際限がないように思うのですね。これはもう法律一本で、極端にいえば、予算がきまればそのままで執行ができるのだということになれば、もうあらゆるものが予算委員会だけで事が済んでしまう、予算執行に関する限り。これは極端な例ですけれども、通産大臣所管でまだやっていきたいというものがあるのか。もうジェトロ関係でいよいよ最後とわれわれ了解していいのか。そこらでこの法律の扱いの腹もきめたいと思う。
  249. 福田一

    国務大臣福田一君) 私としては、いまのところそういうものを考えておりませんが、来年の国会にそういうものは一切出さないという御返事はまだできかねます。
  250. 藤田進

    ○藤田進君 基本的考え方として、こういうやり方をさらに範囲を拡大していくという考え方なのか。もう最小限にとどめて、まあこの種類似の法案程度であって、その範疇はね。どうなんでしょう、これが際限なくいったのでは困ると思うのです。
  251. 福田一

    国務大臣福田一君) 私は、際限なくやるかどうかは別として、こういう一つ考え方があるということは、政府として考え方に基づいて出しておるということは、これは事実だと思います。
  252. 藤田進

    ○藤田進君 ですから、この考え方をさらに拡大していくということが通産省所管についてはあるのか、政府全体を聞くのは無理でしょうから。あるいはこの種程度のものに限るのか、重大な点ですよ、これは。
  253. 福田一

    国務大臣福田一君) やはりこの種の、いわゆるこれに類似のようなものは、今後もこういう考え方で処理をしてまいることに相なると思います。
  254. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。討論は三案を一括して行ないます。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  256. 近藤信一

    近藤信一君 私は日本社会党を代表して、三法案に反対の意を表明するものであります。  三法案とも、指導センター、信用保険公庫、それから商工中金に対する政府出資を増加し、それぞれの機関の業務を拡充し、中小企業が手形割引を容易にできるようにして、監事の権限を強化するなど、中小企業対策として重要な事項などをきめております。しかし、その対策はまだ不十分で、追加出資の金額や、商工中金の利下げなど、まだまだ足りないと思うのです。信用保険でも、てん補率や、保証料、それから保険料などについても中小企業の要望を満たしているとは言えないのであります。しかし、特に私どもがここで反対しなければならぬ点は、政府の追加出資に関する規定にあるわけであります。三法案のこの部分に関する規定は、予算に計上すれば自動的に出資が可能となり、法律改正の議決を必要としなくなるということをねらったものであります。追加出資につき、予算委員会以外の委員会でこれが審査を通じての国民の批判を避け、非民主的な財政運営を可能にしようとするものと見られます。これは憲法の精神にも反するものでありまして、国会の審議権を軽視するものであろうかと思うのです。その意味におきまして、われわれはこういう法律が多くなることにはどうも賛成いたしかねるわけであります。  以上の理由から私どもは反対する次第であります。
  257. 赤間文三

    ○赤間文三君 私は自由民主党を代表しまして、三法案に賛成するものでございます。  今回の改正案によりまして、それぞれの機関の政府出資が増加をし、業務が拡充をせられ、金融の円滑化が行なわれる、診断指導の徹底化がはかられるなど、私は中小企業基本法の根本精神にのっとって中小企業対策は一段とこの法案によって推進せられるものと思います。で、政府出資に関する規定は、近藤委員の御意見もありますが、予算委員会で審議されることもできまするし、また、商工委員会でも予算のつど論議する機会もあるのでありまして、別に私は差しつかえはないと考えます。ことに、産炭地域振興事業団、あるいは石炭合理化事業団、あるいは金属鉱物探鉱融資事業団、こういうものも、こういう形式の追加出資規定の法律もありまするので、私はこれで新例を開くのでも何でもありません。すでに向かうべき方針が明確であって、しかも、この種のものにつきましては私は別に弊害はないのみならず、むしろ私は便利な点もあると考えられるのであります。そういう意味からいたしまして、過去において幾多の例もありまするし、また、こういうものの性質上、何も国会を軽視するとかというものであるとは考えないのであります。  で、三法案に盛られました政策では、まだ十分とは私も思っておりません。たとえば商工中金の利下げなど、もっと下げていただきたいという考えを持っております。しかしながら、さしあたりこの三つの法案の対策はまず実施しなければならぬものでありまして、基本法の具体化の第一歩であると私は考えております。  こういう意味で賛成するものでございます。
  258. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいまの三つの法案について、党の考え方と賛否の態度を明らかにしたいと思いますが、今回のこの三つの法律案について共通の問題点は、先ほど来の質疑応答の中で明らかにされましたように、政府の追加出資の場合の規定の整備でございますが、この点は従来法律事項として国会の審議を経ていた案件が、今後は予算措置によって処理されるということで、行政能率の向上という点からいえば、それは一つ考え方でありましょうが、国の財政運営の処理の仕方という点から見ますと、憲法その他の法規に照らして問題があると言わざるを得ません。ことに、こういう政府考え方や、ものの処理のしかたというものは、国会の審議権と衝突すると考えております。いうならば、国会の審議権に相当な制約を加えるものだと言わざるを得ないわけであります。私は、今回のこの法律提案の底に流れる考え方についてはまことに遺憾であり、また将来どうなるかということ、どのように拡大されるのかということをおそれますが、この点については十分ひとつ政府においても、議会の審議権尊重という点に立って、将来この種法律の取り扱い方に十分注意されたいという要望を申し上げたいと思っております。そういう考え方を持っておりますが、ただ今回の三法律案については、中小企業指導法の一部改正法案については、業務範囲の拡大等、また中小企業信用保険法については、保証範囲の拡大、保険の付保限度額の引き上げ、中小企業信用保険公庫法の一部改正については、融資機能の強化と監事の権限規定の整備、商工中金法の一部改正については、準所属団体の範囲の拡大や業務取り扱いの拡大等、いまの中小企業として必要な施策を盛り込んでおる内容でもありますので、今回の三改正法案については、実体面において中小企業政策の一歩前進であるという観点から、私といたしましては、民社党を代表し、三法案の改正に賛成の意思を明らかにしたいと考えております。  ただ、同時に、私はこの際政府当局にお願いしたいことは、これらの関連法案というのは、中小企業基本法を中心とする法体系の整備であり、その一歩前進ではあるが、しかし、中小企業基本法のねらいとする中小企業施策のためには、先ほど来問題になりました官公需の中小企業に対する発注の確保の問題、産業分野の処理の問題等々、まだまだ整備をされなければならない幾多の問題があるやに考えるわけであります。ことに私は、これまた先ほどの質疑の中にもありましたが、中小企業庁設置の問題等については、やはり中小企業施策が具体的に前進するという姿を示すものでありますので、こういう野党の考え方については、十分政府において採用されるように、今後検討願いたいと思っております。聞くところによると、政府は今回国防省設置法案を出すやに聞いておりますが、われわれは国防省設置法そのものについては反対であります。ただ、なぜこのような国防省設置法を出すのかというと、おそらく自衛隊の精神的なよりどころを明らかにするとか、あるいはまた誇りを持たせるとか、いろいろな問題点があろうと考えておりまするが、自前自主防衛を前進させるという理由もあろうと思いますが、そういう考え方よりも、われわれはもっと当面中小企業庁設置法を通じ国民生活安定の面にもっと政府努力されることを要望したいと考えておるわけであります。特に公定歩合引き上げに伴う中小企業を取り巻く環境というものは決してよろしくないわけでありまするから、私は、政府が中小企業施策については、選挙のときの票目当てのから手形ではなくして、ほんとうにまじめに、真剣に、こういう経済環境のもとにおける中小企業保護助長のためにもっと積極的に取り組んでいただきたい。このことを強く希望として申し上げて、以上三法案に対する民社党の賛成の態度を明らかにしたいと思います。
  259. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 私は公明会を代表して、三案に対して賛成の討論をいたしたいと思います。  この際、中小企業に対しての三案に賛成するについて要望しておきたいことは、先ほども質疑の中で申し上げたのでございますが、中小企業に対しての資金の計画といいますか、見込みというか、これをはっきり立てられて、その上に立って中小企業関係法の運用をしていただきたい。戦争中じゃないので、事業をきめて、それに対して資金の供給というものを強制するということはできないと思いますけれども、見込みというものはある程度立てられる。政府関係金融機関においても、あるいは民間の供給においても見込みというものはある程度立てられるわけである。そういうような基本的な見込みというようなものを立てられた上に、中小企業関係の施策を進めていかれる、こういうことをこの機会に特に要望をして、三案に対して賛成の意を表するものでございます。
  260. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  261. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  まず、中小企業指導法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  262. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、中小企業信用保険法及び中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  263. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  264. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されました三法案の本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  265. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時五十九分散会      —————・—————