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1964-03-24 第46回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十四日(火曜日)    午前十時四十分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            中田 吉雄君            藤田  進君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    公正取引委員会    委員長     渡辺喜久造君    公正取引委員会    事務局長    竹中喜満太君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業省重工    業局長     森崎 久寿君    通商産業省石炭    局長      新井 真一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省重工    業局産業機械課    長       山形 栄治君    通商産業省石炭    局計画課長   久良知章悟君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○軽機械輸出振興に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○電子工業振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (好間炭鉱に関する件)     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は阿部委員の緊急な質問と、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案、及び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について、それぞれ残余の質疑の後、討論、採決を行なうこととなりましたから、御承知願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  先回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 近藤信一

    近藤信一君 大臣に一、二点御質問をいたしたいと思いますが、この法律は、昭和三十四年に制定施行されたときから、五年の限時法でございますが、この五年間において、これまでの質疑応答におきまして、その効果というものはある程度認めることができるのでございます。しかし、どうも現行法運用において政府行政指導に十分なものがなかったのではないかと、こういうふうに感ずるわけです。参考人を呼んでいろいろと意見も聞きましたが、特に双眼鏡業界にはすっきりしない面があるように思われるのです。そこで、今後五年間本法延長しようというわけだが、私はむしろ五年の期限内といえども業界体制整備するならば、これを廃止するとの態度で、本法運用してもらいたいと思うわけです。そういう信念が政府にあるのか、その点、大臣から御答弁を願いたいと思います。
  5. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま御質問がございましたとおり、この法律はある程度効果をあげておると思いますが、一部においてはまだ十分でなかった面もわれわれとしては認めざるを得ないのでありますが、しかし、本法によって業界輸出体制整備等が積極的に促進されて、本法目的が達成されますならば、お説のような可及的すみやかに本法を廃止するよう努力をいたしたいと存じます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 先日参考人を呼んでいろいろと意見を聞きましたのですが、参考人のお話の中にも、双眼鏡業界においては、いつもごたごたがある。特にここで御意見のように、賛成と反対の業者が来られまして、非常に感情的な問題もあったように私どもは受けたわけなんですが、調整活動業界が自主的に処理すべきものであることは、もちろんでございますが、通産省としても適切な指導がなされなければならないと思うのです。業界の安定とともに、伸びるべき企業が伸び得るようなものでなければならぬと考えるわけなんですが、この適正な運用についても、政府指導が必要と思うが、今日こういう業界については、公平な第三者、いわゆる学識経験者による業界診断と、また産地の診断を行なって、そうして進むべき道を考えてもらうことも一つの方法だと思うのですが、この点大臣はどのように考えておられるのか。
  7. 福田一

    国務大臣福田一君) お説のように、双眼鏡という業界は、中小企業が多いのでありますが、自立体制整備は、いままで必ずしも円滑にいっていなかった事情もございます。政府としては、業界の今後のあり方については、慎重に検討いたしまして、業界の実情に即して、その安定と輸出体制整備をはかられるように、強力な行政指導をしていきたいと考えております。で、この場合、ただいま御指摘がありましたような、第三者等による企業診断、あるいはその他の意見聴取等は、まことに適切な措置でございますので、早急に実施を考慮いたしたいと存じます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 次に、これは政府委員のほうにお尋ねしたほうがいいかと思うのですが、本法目的を達するためには業界体制整備ということが必要であって、業界自立的努力を強く要望せなければならぬと思うのです。そこで、現在の双眼鏡業界における組合活動状況、特に協同組合について、どういう組合が幾つぐらいあるのか、どの程度のことを行なっておるのか、その点、御説明が願えれば、御説明をいただきたいと思います。
  9. 山形栄治

    説明員山形栄治君) ただいま双眼鏡に関しましては、七つ協同組合が組織されております。具体的な名前を申し上げますと、日本光学工業協同組合日本光学機械輸出製造協同組合城南光学工業協同組合東京望遠鏡協同組合東京輸出双眼鏡協同組合日本輸出望遠鏡協同組合、新光学機械協同組合、以上七つ協同組合がございまして、それぞれ出資金運用いたしまして、非常にささやかでございますが、金融業務、それから非常に小さなネジとか等につきまして、共同購入等行為を行なっておりますけれども、もっぱら業務の主体というものは、先般来の工業組合のほうにございますので、どちらかといいますと、地区別の親睦団体的に活動いたしておる次第であります。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 七つ組合があって、その七つ組合がそれぞれ活動をしておられるわけですが、それで、七つ組合でお互いに競争するというようなことはないですか、輸出なんかに。それは規制している……。
  11. 山形栄治

    説明員山形栄治君) これは協同組合でございまして、輸出関係の数量の調整というような行為協同組合でございますのでできません。それで、その辺は工業組合で一本になって従来から運用している次第でございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 登録基準は政令で定めることになっているのですが、昭和三十四年の現行法制定当時は、既存業者で脱落するものが出ないように、かなり低い線で基準が設けられたと承知しておりますが、この基準は漸次高めていきたいというのが政府の方針でもあるかと思うのです。その後、この基準の改定はなされてきたかどうか、それから基準を高めないために、弱小のメーカーが改善しないで、いわばそこに安住しているという弊害が生じていないかどうか、この点はどうですか。
  13. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 法律制定当時、基準を、業界の技術的なレベルを十分考えながら基準を作成いたしましたけれども、それがために基準をゆるやかにしたということではなくて、むしろその基準に合わせるように業界指導をやってまいりました。同時に中小企業金融公庫から二千六百万円程度金融もいたしまして、設備その他について、登録基準に合うように努力してきたわけであります。その後、基準は変わっていないかという御質問でありますが、御説のとおり、この五年間は基準を変えておりません。しかしながら、その実績を見てまいりますと、品質はだんだんよくなりまして、不合格率も漸次減ってまいっております。もう五年もたちましたものですから。今後やはりこの法律改正機会に、基準につきましても若干の修正を加えていきたいというふうに考えておるのであります。そのポイントは、たとえばミシンにつきましては、材料関係でもプラスチックを使うということもふえてまいりますし、また機構的にもわりあいむずかしい問題が出てまいりますので、そういう観点から考えていく。それから双眼鏡につきましても、最近進歩いたしておりますダイカストあるいはプラスチックの利用、こういったような点からも、若干現在の基準よりも高めたほうがいいのじゃないかという検討をいたしておりますので、この法律改正機会に、若干ずつ品質を高めていくために基準も変えていきたいというふうに考えております。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 いまの御答弁がございましたように、若干ずつ改良方向にきておるということは、これは認めるわけですが、特にミシンの点につきましては、直線ミシンからジグザグミシン、またデザイン等いろいろ進歩してきておりますし、またカメラにつきましてもレンズの進歩は世界でも優秀だといわれておりますし、その機構でもまた自動的に露出をきめるいわゆるEEカメラ、こういうふうにいろいろと進歩してきておる。ところが双眼鏡について見ますると、いま若干の改良もされておるというふうでございまするが、私どもが見た目からいきますると、そんなに他のミシンだとかカメラというふうな進歩の速度ではないと、悪くいえば、日露戦争時代に使ったような双眼鏡のままで、あまり改良しておる点が見えないではないか、こういうふうに思うわけですが、特にこれからの改良の問題、それから新しい需要の開拓ということからも、これは必要な点が多々あるかと思うのですが、この点について、何か考えられている点があるかどうか。
  15. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 双眼鏡技術振興の問題でございますが、本質的に御指摘のとおり保守的なメカニズムでございますので、進歩の度合いが少ないというふうにも思いますが、最近問題になっております点は双眼鏡軽量化——軽くするということはプラスチックだとかあるいはそれに対して少し加工いたしまして、極端なことを申しますと、水に浮くような双眼鏡の考案が考えられております。また小型化していく、また大きさに比べまして倍率を非常に高めていく、また防水加工をしていく、そういうことの研究が行なわれておるわけでありまして、前回にも御説明申し上げましたけれども双眼鏡開放研究所におきまして年約六百万程度研究費を使って現在進めているわけであります。政府におきましても、機械試験所あるいは東大の生産技術研究所あたり指導を進めているわけであります。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 お尋ねする前に、委員長議事進行についてお伺いしますが、見渡したところ定数足りませんよ。特にきょうは、これは委員長というよりも、与党理事に申し上げたいが、聞くところによれば、理事会できょう三つの法律をここで可決するというように決定しておるやに承った。いよいよ法案が上がるというときにずらりと来るというような、これは与党とか野党というのではなくて、不見識です委員会が。特に与党として政府を持っておる自民党の諸君は、法律が上がるというときにあまり出席せぬ、自民党さんは十人余おるのに三名しかきていない。ぼくは自民党だとか社会党という党派を超越して、これは遺憾だと思います。のうのうとして会議を主宰している委員長国会法参議院規則の何たるかを知らぬ、きわめて残念である。  そこで、質問やめて閉会すればいいわけですが、上げるということになっているので、ぼくはこれから質問しますが、軽機械法については、私はこの法律ができる当時に再三再四にわたってお尋ねしておるので、法律そのものについては、もうお尋ねすることはございません。ただこの法律そのもの時限立法臨時立法かということについて大臣にお尋ねしたい。
  17. 福田一

    国務大臣福田一君) 時限立法でございます。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、この法律は当時政府から出されたときは、これは年数の規定がなかった、衆議院で修正されて年数が決定した、そのときに私は修正した衆議院の議員にお尋ねしたいからここへ呼んできてほしい、こういうことだったんですね。はっきり記憶しておりませんけれども、その当時、衆議院自民党社会党の修正された議員こなかった。したがって、当時の重工業局長答弁したわけですが一これ以上延ばしません、何だきみのほうは時限をつけるのに衆議院で修正されて、衆議院の代弁するのはお  かしいじゃないかというようなことも、委員会質疑応答の中でやりとりがございました。おそらく局長は当時の立法にあたった委員会速記録を全部ごらんになったと思うんですが、そういう一問一答はあったわけです。これでよろしいということだったのに、何でこれを延ばさなければならないのですか、理由はいままでいろいろお伺いしたんですが、どうも筋が通らないですよ、何で延ばさなければならないのか、そのものずばりお答え願いたい。
  19. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) この法律を実施いたしまして、この目的を達成すべく五カ年間努力いたしたわけでございますが、前回において御説明いたしましたように、たとえばミシンにつきましては、おかげさまで対米、対カナダの関係では十三の輸出系列ができまして、やっと法律のパターンができたわけでございますが、今後EECの問題、あるいはEEC混合関税の問題、あるいはEECに対する輸出の秩序ある体系を保っていくために、なおミシンにおきましては、こういう制度をもう五カ年間継続していただきたいということがございます。ただ双眼鏡につきましても、ややミシンよりもおくれてまいりましたけれどもミシンが幸いにしてそういう輸出系列をつくってまいりましたので、そういう方向に向かって実施するために、今後五カ年間の継続をお願いしておるわけでございます。  なお、もう一つこの法律中心でございます輸出振興事業協会活動状況でございますが、ミシンにつきましてシンガーミシンの問題とか、EEC混合関税の問題あらゆる努力をしてまいりました。また双眼鏡につきましては、アメリカ中心にいたしましたPR活動、そういったことについて、あらゆる努力をしてまいりましたけれども、なお十分の成果をあげることができなかったのでございます。あと五カ年間のうちに馬力をかけて、ひとつ実施していきたい。そういうことで五カ年間の延長をお願いするということでございます。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 御答弁のとおり努力したかもしれませんよ。しかし、当時の速記録にあるとおり、ミシン双眼鏡——めがね、これは似たようであるけれども、これは天地の相違がある、一つ法律をもってミシン双眼鏡と規制するということは不可能でしょうというのがぼくの持論であった。自乗五年たって、こういうミシン双眼鏡と両方ともうまくいっているということは言えますか。めがねのほうは全然だめでしょう。私の言うことが誤りであったら、めがねミシンもうまくいっているという答弁ができますか、全然違います。
  21. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 率直に申し上げまして、ミシンと比べて双眼鏡実績は上がっておらない点がございます。しかし、この法律体系から考えまして、当初われわれが考えましたように、生産の大部分が中小企業であり、その輸出の大半を中小企業が占めている、そういう機械類につきましては、当然同じようなシステムでこれを推進していくということが必要でございまして、その点におきまして、業界は違っておっても、法律体系としては、こういう形で進めるのが一番いいというふうに考えておるわけでございます。その点は現在も変わっておりません。ただ、業界零細性その他特殊事情によりまして、御指摘のように、ミシンに比べて双眼鏡が少しおくれたということだけは、率直に認めざるを得ないような状態でございますが、ただ、ミシンの行き方を、われわれとしては、双眼鏡についても今後進めるだけの自信もつきましたし、今後ああいう形で進めていったら、双眼鏡の場合もいい輸出ができるんじゃないかというふうに熱意を持って進めておるわけでございます。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 前回委員会でも申し上げましたように、この法律既得権確保するための法律ですから、もうあえて抗弁しませんけれども、いいでしょうけれども、いま、いみじくも局長答弁のことばの中にあったとおり、ミシン双眼鏡は同じようなあれですが、これはもう全然違うのですよ。ですから、ミシンのほうは既得権確保できても、双眼鏡のほうは全然だめなんです。一つがだめだから全部がだめだといって、私はもう抗弁しようとは思いませんけれども、しからばお尋ねしますが、五年たって、この法律をなお五年存続しなければならない、五年たって経済界状態業界状態が今日と同じであれば、またこの法律延長しなければならぬでしょう、そういうことになりますね。五年たって格段の飛躍をすれば、これは別問題ですけれども、格段の飛躍があるとは私は考えられない。そうすると、当然、五年たっても、また五年後にはこの法律を三年あるいは五年延長しなければならぬということになるだろうと私は思うんです。筋を通す意味において、政府の政策の面においてそういうことになりますね。そのときになって、これは五年で打ち切りだからといって、業界状態が五十歩百歩のときはやはり廃止するわけにいかぬのだ、この点はいかがですか。
  23. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 現在私どもの考えておりますのは、輸出系列が確立いたしますと、当然、出荷調整も非常にうまくいくようになりますし、価格調整もうまくいくようになりまして、要は、輸出系列をつくっていくというところに問題のポイント一つあるのじゃないかと思います。いろいろと客観情勢の変化がございましても、業界一つ輸出系列というものが確立されれば、完全とは言えなくても、法律をはずしてもそういう形で進めることができるのじゃないか、そういう一つのめどをいま考えております。五年以内にはぜひそれを完遂していきたいというふうに考えております。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは重工業局長、あなたの答弁はなっておらぬよ。五年後に経済状態あるいは業界状態が今日と同じであれば当然延ばさなければならぬでしょうと、ぼくは言っているわけです。今日と同じでも、五年延長したら切るかどうかということをお尋ねしているわけです。
  25. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 五年以内には業界自身進歩いたしまして、そういう形にぜひわれわれとしては進めていきたいという考え方でございます。じっとしてここ五年間日を暮らすというような考え方、そういう考え方をいまのところは、ちょっとわれわれとしては考えられない、何とかして五年以内に、そういう業界にしっかりした動きをつくって、そしてその輸出系列の完成をやりたいというふうに考えております。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長は科学技術庁からおいでになったばかりですから、ぼくはこれ以上お尋ねしませんが、五年前もそういう御答弁だった。五年間だいじょうぶです。あなたたちは永久立法を言ったんだけれども衆議院で五年でぶった切られたんでしょう。なぜ、がんばらなかったか。与党の大多数をかかえておる政府が、なぜ衆議院で五年で切られたか。衆議院の諸先生方の話を聞いて、五年でだいじょうぶだと思いました、こういうことなんです。ところが、五年たった今日、同じでしょう。三菱にしたって、ジューキにしたって、シンガーにしたって、蛇の目にしたって、リッカーにしたって大阪で十六ドル五十セントのミシンが、アメリカで百二十五ドルは、今日も変わりない。一つもよくなっておらない。ただ、よそから入ってくる業者を押えておるにすぎない。よそから入ってくる業者を押えることによって、日本の商品の価値を高めてドルをかせげるのだったら、よそから入ってくるのを、おそらく犠牲を忍んでもよろしいけれども犠牲をしいるのみで利益がないじゃないか。まあ、あなたが今後五年間で絶対だいじょうぶというなら、お手並み拝見しますけれども、今日まで、この法律ができてから繰り返してきたんです。特にミシンめがねなんか全然違うわけですから、これはそれを一つ法律をもって規制すると言ったって無理ですよ。やはりミシンにはミシンに当てはまったような法律、あるいは、めがねにはめがねに当てはまったような法律をもって、やるとすれば、きめこまかくやらなければ不可能だと思うんですが、その辺の御自信のほどを最後に承っておきたいと思います。
  27. 森崎久寿

    政府委員森崎久寿君) 個々産業にふさわしい個々法律体系を考えたらどうかという御質問かと思いますが、そういう考え方もできないことはないと思います。しかしながら、現在の法体系は、先ほど申し上げましたように、やはり同じ共通性を持った点が多々ございますので、その共通性を持った点を法律できめていただきまして、あと法律の範囲内において運用のよろしきを得て、きめのこまかい行政指導その他を実施することによりまして、この法律でもって双眼鏡ミシン、両方やっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  28. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 私は日本社会党を代表して本法律案に賛成いたします。  現行の軽機械輸出振興に関する法律は、憲法が保障する職業選択の自由を制限する法律でありまして、経済的な理由からその特例としてつくられたもので、この種の法律はその目的を達すれば、できるだけすみやかに廃止さるべきものであることは、異論のないところであります。  業界の実態については質疑応答で明らかにされたわけですし、また、参考人意見などから考えてみますると、ミシンについてはかなり成果のあったことは認められますが、双眼鏡については通産省行政指導が十分でなかったこと、また業界自主的努力が足りなかったのではないかということが感じられるのであります。しかしながら、この際、本法期限切れによって廃止するということは、それによって起こる業界の不安定と輸出秩序の混乱を考えますと、疑問なきを得ないのでありまして、必要最小限延長はやむを得ないものと認めるのであります。  本法案は今後さらに五年間これを延長しようとするものでありますが、期限内においても、できるだけすみやかに廃止できるよう、政府の適切な法律運用行政指導、さらに業界自主的努力を切望するものであります。  また、本法と密接な関係にある調整活動について、かなりの問題があるように思われますので、これが合理的、前進的な運営が行なわれて、業界が一致して事業伸展努力されることを希望するものであります。  この趣旨から、この際、各派の御賛同を得まして、次のような附帯決議案を提出いたします。  以上であります。
  31. 上原正吉

    上原正吉君 私は自由民主党を代表いたしまして本案に賛成するものであります。また近藤委員提出附帯決議にも賛意を表する次第でございます。  わが国のミシン双眼鏡、いずれもばく大な金額に達するとはいえませんけれども、重要な輸出産業でございまして、この産業が秩序ある、統制のとれた伸展をとげますことは、わが国産業界のために非常に貢献するところが多いと考えまして、そうしてまた本法をいままで運用してまいりまして、相当な実績が上がっておることもよく承知ができまして、たいへんけっこうに思うのでございます。  この附帯決議の趣旨にございますように、ミシン双眼鏡業界におきまして、ことに双眼鏡業界におきましては、この法律によりまする組合、その内部におきまして円満に事業が進行していないように見受けられました。これはあらゆる同業者組合におきましては、こういう傾向が間々生ずるのでございまして、それは組合組合員の利益のために存在しない、組合指導者、役員の勢力伸長、確立のために運営される、こういうふうな傾きがあらゆる組合にございまして、それが組合の内部の一致団結を乱す、こういう結果になりがちなのは、双眼鏡組合だけには限らないわけでございます。そこで、これにつきましては行政指導が何より大事でございますと考える次第であります。この行政指導の面に多少欠けるところがあったのではないか、かように感ずる次第でございまして、組合組合員のために運営され、かつ組合が一致団結して組合事業進歩発達をはかるということに欠けますのは、行政指導に欠くるところがあるという場合に多い現象でございますので、ぜひひとつこの点は、この附帯決議の趣旨を体して、一そう行政指導に精進せられんことを心から念願する次第でございます。  このことを特に申し上げまして、本案に賛成する次第でございます。
  32. 田畑金光

    ○田畑金光君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいまの改正法案並びに近藤委員提出附帯決議に賛成の意を表します。  この際、一、二の希望を申し上げたいと思いますが、附帯決議の中にもありますように、本法律立法の当時、いろんな経緯を経て五年の限時法として制定されたわけであります。さらにまた今回五年の延長がなされたわけでありますが、政府並びに行政当局においては、この法律の趣旨、目標、精神が、五年の時限内に十分達成できるよう、一そうの努力を払っていただきたいということです。  第二に希望申し上げることは、本法中小企業団体法の補完法として成立を見ておるわけでありまするが、ことに調整事業活動について、工業組合の会員全体が一致して支持あるいは協力できるような体制が必要であろうと感じられているわけであります。その意味において、十分政府においては、業界との話し合いを通じ、行政指導の全きを期して、この調整事業等の面についても、工業組合の会員全体が一致して支持できるような方向に進めていただきたい。  第三として希望することは、質疑応答の中で、あるいはまたこの間の参考人事情聴取の中で明らかにされましたことは、ミシン業界については、この法律の内容あるいは延長について反対はないようでありまするが、双眼鏡業界において相当数の、特に小企業、零細企業のアッセンブル・メーカーの中に反対の意見が多いようでございます。双眼鏡登録業者二百十三社の中で、聞くところによれば、五十ないし六十のメーカーは、単に権利の売り買い、ワクの操作で、この法の精神に相反するような中で仕事の運営がなされておるようにお聞きいたしましたが、こういうようなことは、今後五年間のこの法運用のもとで、十分ひとつ指導調整されて、会員相互の中に不満のないように、政府当局で御努力されたいと考えます。  以上の三つの点の希望を付して、法律並びに附帯決議に賛成の意思を表明いたします。
  33. 奥むめお

    ○奥むめお君 この法律は、輸出という相手国を考えなければならないという大事な法律だと思いますので、この業界が五年もたってどうしてまとまっていないんだろうか、もっと輸出も伸びたんじゃないか、いい製品が、それがうまくいっていたらできたんじゃないかと思って、たいへん残念でございます。また五年延ばすと、その間に早くうまくいったら五年以内に切ってもいいというふうな御答弁もありましたけれども、私はこういう国家が関係して指導したり、または調整したり、させなさる法律が、中がまずまとまっていない、それからいろいろ意見の対立がある、こういうことはまことに残念なことだと思います。局長はじめ当局の方が、こういうことが再び起こらないように、指導の面で特に注意をしてこまかく手を当てていただきたいと思う。この条件を私一つ加えまして、この法律に賛成いたします。  しかし近藤さんのほうから、社会党から附帯決議が出ていますが、これは当然のことでございまして、これを心して、しっかりした輸出産業まで伸ばしていただかないとほんとうに困るわけです。  以上の希望を添えまして、今日の双眼鏡ミシンの軽機械輸出振興法の一部改正案に私は賛成の意思を表明いたします。
  34. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議がございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議がないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  36. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に討論中に述べられました近藤君提出の附帯決議案を議題といたします。  近藤君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  37. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって近藤君提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。
  38. 福田一

    国務大臣福田一君) ただいま御決定をいただきました附帯決議につきましては、決議の趣旨を尊重いたしまして善処いたしたいと考えております。
  39. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  41. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  44. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  46. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  47. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 先日、渡邊委員長にお尋ねしましたが、その後、全銀協の井上会長ですか、言っているところを見ますと、なかなかこの歩積み、両建ての取り締まりは容易じゃないのじゃないか。ごく二、三日前ですか、債務者預金は幾らあってもいいのだというようなことを言っているわけなのです。拘束性がなければ幾らあってもいい。何も好んで債務者が預金をするわけがないのですが、こういうことに思いましても、なかなか一筋なわでは、この問題取り締まれぬじゃないかと思うのです。初期の目的は達成せぬと思うのです。定員をふやされる問題とからんで、あるいは機構改革とからんで、これに対する——これほど国会でも、また公取でも問題にされているのに、そういう発言を、二、三日前に、かなり日本経済に大きく記事が出ております。これについての御所見を。
  48. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 債務者預金といわれておりますのは、結局、要するに債務者が預けている預金でありまして、その中には、いわば拘束性のあるものもあれば、拘束性のないものもある。片方で金を借りながら、なおかつ、預金を持つのはおかしいじゃないかという御発言のように聞きましたが、私はやはり事業をしていく上におきましては、常に相当の資金は要るわけですから、債務者が、片方で債務を負いながら片方で預金を持つということは、私はそれ自体としては別に独禁法でどうこう申すべき問題じゃないというふうに思っております。問題は債務者預金でしかもそれに拘束がされている。出しちゃいかぬといったようなその拘束がされている。しかもそれにですね、その正当な理由もない、こういうものが一応独禁法の問題になるわけだと思っております。で、これの取り締まりが非常にむずかしいじゃないかということは、私もお話のように思っております。一番問題はですね、結局被害者であるとも思えるその人が、なかなか将来の取引を考えて、こういう事実があっても、われわれのほうに言ってきてくれない、こういったような点が、したがって積極的に——しかもそれじゃ、ないかといえばあるので、これをみていくという問題になるのですから、非常にむずかしい問題であるということは、私は当初から考えております。といって、それだから、これは放置されていい問題だというふうには思っておりません。で、まあ日銀なり大蔵省が、この問題について真剣に取り組んでくれるという話もありますが、公取としては、公取の立場において、この問題に真剣に取り組む、そういったような、全体がそうした気分になってこそ、こうした悪い習慣がなくなっていくのじゃないか、そういうふうに考えます。
  49. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も債務者預金の中には、まあ担保のようなものも、正当の担保のようなものもあるでしょうし、委員長のいまいわれたような取引上のまあ必要のものもあるわけです。まあ十ぱ一からげに全部悪いという考えは持っておりません。ただ、これほどやかましいのは、債務者預金は幾らあってもいいんだというようなことの中には、なかなか大蔵省も本気じゃないしというような気があると思うのです。それと、これのどれだけか——債務者預金の中でどれだけがまあ問題かという、一つのまあ目安としてきめているいわゆる相互銀行方式と私は全銀協の方式を見ると、やっぱし相互銀行の方式のほうが、私は正しいのじゃないかと思うのですが、これはどういうふうに思われますか。
  50. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 相互銀行方式とか全銀協の方式とかいいますものは、これはまあ大蔵省が行政指導的に見ているやり方でございまして、そうした——先日もお答えしましたが、マクロ的にものを見る、これは一つ行政指導の大きな客観的なやり方としては、それが一つの行き方として考えられないでもありませんが、しかし、公正取引委員会の立場として仕事をしていく上においては、一つ一つの、債務者対債権者の関係というものが問題になるわけでありまして、したがって、ある特定の一人について非常にまあ無理なことをしていると、それだけで、ほかのまあ九十九人に対して、そういうことをしていないといえば、一応マクロ的には問題にならないような数字になっても、われわれのほうの立場とすれば、それはその一つの取引そのものについて問題が出てくるわけですから、したがって、われわれのほうとしては、どこまでも一つのミクロ的な問題としてこれを取り上げていく。で、まあマクロ的な問題の相互銀行方式と全銀協方式、どちらがいいか悪いかという問題については、これは一応議論は私はあろうと思います。しかし、そういう問題として大蔵省が指導されることは、これは別ですが、われわれのほうとしては、あくまでも個々の債権者対債務者の問題として問題を扱っていく、そういう立場で考えるのが独禁法の立場である、こういうふうに考えます。
  51. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 最後にお尋ねしますが、いろいろまあ作業をされ、検討をされているわけですが、公取としては、いつごろいずれにしても態度をはっきりされますか。大体の目安、その点を。
  52. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) これも他の機会に申し上げたんじゃないかと思いますが、全銀協が大蔵省の指導で自粛措置というやつを一度やっておりますが、まあ私、実はうかつだったんですが、取り組む前においては、大体この自粛措置というものを特殊指定なら特殊指定のような形に直せば、かなりまあ一つのものさしができるんじゃないかと思ったんですが、しさいに検討していきますと、この自粛措置そのものが、きわめてあいまいな点がたくさん出ております。そこで、いま、それを銀行協会の意見を聞くとか、あるいは会社のほうの意見を聞くといったようなところを中心にしながら検討を続けております。したがって、まずわれわれのほうとしては、特殊指定をするとすれば、こういうものさしが適当だというものさしを、まずつくるべきでありまして、これにこのところずっと時間を費やしております。  で、もう一つの問題としましては、特殊指定することについては、銀行協会のほうでは、自粛するから何か特殊指定をしてほしくないといったようなことを言っている人も相当あるようでございます。じゃあ自粛の効果は、一体ほんとうに上がるのか上がらないのか、こういう問題については、かなり疑わしい面が、多分にあるわけでございまして、おそらく現在の状況からしますれば、私としては、そう遠くない将来において、何かその次の手段をとらざるを得ないんじゃなかろうかと考えておりますが、デフィニットにいつまでにといったような問題については、いまお答えする段階には至っておりません。
  53. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 いろいろ調べてみますると、昭和二十六年ごろからこれを——お宅のほうからいただいた資料を見ると、この問題を取り上げられて、それで昭和二十六年の八月に、大蔵省が銀行に対しまして、貸し出しと同時に預けるようなのは、両建て貸し出しでこれはいかぬとか、あるいは歩積みは一回が三%まで、累積は一〇%を限度とするとか、そういうことを十数回やって、十年以上たって今日に及んでおるのですから、これはたいへんなことだと思うんですが、いろいろこの背景にもさかのぼってやらねばならぬと思うんです。われわれが二、三実際に調べてみますると、もう全然、昨年ごろから、都銀でも、地銀でも、ほとんど反省の色はないという状態ですので、やはり今回の法改正とからんででも、そう制限しないように、やはり効果があがるような措置をとっていただくことを私は希望しておきます。それだけです。
  54. 阿部竹松

    阿部竹松君 野田さんにお尋ねいたします。これは総理大臣にお尋ねするのが妥当なんですが、総理大臣お見えになっておらぬので、あなたにお尋ねするのはたいへん恐縮ですが、公取委員会は、独禁法の二十七条二項ですか、その項に基づいて総理大臣の所轄ということになっております。そうですね。そうすると、総理大臣所轄というのは、たくさんございまして、たとえば北海道開発庁とか科学技術庁、経済企画庁とか、国家公安委員会もそうだと思うのですが、全部総理大臣所轄、しかし行管にしても、科学技術庁にしても、経済企画庁にしても、北海道開発庁にしても、全部、直属長官は大臣なんです。ところが、あなたにお尋ねするのはたいへん恐縮ですが、あなたは大臣でない。そうすると、独禁法ができてから三、四回改正したわけですが、出発当時は、これは、日本国経済憲法として、したがって公正取引委員会は、経済憲法の番人といわれた。僕は、そういう情熱をもってお尋ねする気力はありません、有名無実ですから。しかしそれにしても、ある以上は、やはりしっかりやってもらいたいという希望があるわけです。そうすると、総理の所轄になっておるあらゆる官庁が、大臣であるにかかわらず、どうも野田さん、あなた大臣でないために、あなたの発言力がきわめて弱いと思うのだ。これは総理大臣にお尋ねするのが当然なので、あなたにお尋ねするのは、最前申し上げましたとおり、たいへん恐縮ですが、少なくとも日本国経済憲法といわれる独禁法、それの番人といわれる公正取引委員会、これの直属長は、やはり大臣でなければならぬというように私は考えておるのです。しかし大臣でないわけです。もう公正取引委員会などは、法改正でざるのようなものですから、ここでまなじりを決してぼくは論争しようと思いませんけれども、それにしてもあまりひどいじゃないかという気持があるわけです。これは長官の率直な御見解を承っておきたいと思います。
  55. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 公正取引委員会は、お話しのとおり、総理の所轄の機関でございます。しかもその仕事の任務というのは、いまお示しのとおり、これはいわゆる経済憲法の番人と申しますか、少なくとも経済上における国政の上における仕事というものの重大さは、お話しのとおりでございます。そこで、総理大臣の管轄にあります各行政機関は、おのおの国務大臣が、これを管轄されておりますが、いまお話しの公正取引委員会の直属のいわゆる責任者は、国務大臣ではない。これは御指摘のように、今日の行政機構からいたしまして、仕事をやる上におきまして、必ずしもこのままの姿では完ぺきではないということは、私も痛感いたします。しかし他の官庁と違いまして、この公正取引委員会の本質の、何と申しますか、行政の趣旨からいたしまして、総理大臣の直接的の管轄下にありますが、公正取引委員会は、一種の独自性を持っていると思います。何人にも侵されない、また何人も故意にこの委員会を動かすようなことがあってはいけないことでございます。まあ、どの役所でもそうでございますが、ことさらこの公正取引委員会の任務というものは、自主的な独自性を持つものだと思っております。したがって、いまの機構からいたしましても、委員長の見解というものは、他の行政機関からいたしまして何ら左右されない、一つの確立した見識のもとに執行できる組織になっております。だから、これを完ぺきにいたしますには、いまお話しのとおり、国務大臣がその所管の長としてやることは、これはなおさらいいことだと思っておりますが、いまの機構におきましても、さして不自由ない、つまり公正取引委員会そのものの任務を遂行いたします上において、そう障害はないと、こう私は考えております。しかしそれは、いま御意見のとおり、さらにこれを万全を期する上におきましては、そういうお話しはもちろん傾聴すべき御意見でございますが、現在でも、そうでないから、公正取引委員会の機能が、何か非常に弱体であるとか、あるいは他に抑制されて阻害されるというおそれは決してないと、また、今日までの公正取引委員会がやりました仕事ぶりを見ましても、私はこれは信頼ができる、こう考えております。
  56. 阿部竹松

    阿部竹松君 ただいま長官の御答弁のとおりに私も考えております。法律を読んでみるとそのとおりなんです。しかし、現実の問題として、この独禁法、改正されること三たび四たび、法律が出てくるごとに独禁法を強化しようなんという法律一つも出てこない。全部独禁法を骨抜きにしよう、独禁法の抵触を避けようという法律だけ出てくる。これは決して私の言い過ぎでなくて、現実がそうなんですから。あなたのおっしゃるとおりであれば、こういうことはありっこないわけです。しかし現実は、閣議で決定してくる法律は全部独禁法のどこかをかすめて出てくるわけです。公正取引委員会委員長を呼んで聞いても、法律の弁護をするだけで、そうなると、経済憲法だなんていったって、これはおかしい、経済憲法の番人だといったって、これは話にならぬ。したがって、最前申し上げましたとおり、ここで長官と論争しようと思いませんが、私はその法律の趣旨に基づけば、これは最高裁の長官ぐらいの資格を与えなければならぬと思っているのですが、二十七条の二項によって、これはあなたの担当に属することになっている、総理府の中に。あなたは大臣でないから閣議に出席することができない、閣議に出席してもオブザーバー。そうすると、閣議で決定する法律は、いま申し上げましたとおり、全部、独禁法をささえるどころか、骨抜きの法律ばかり出てくるのですから、何ぼ強弁したってだめです。  そこで、私が一つお尋ねしたいのは、私は三菱という会社の出身ですが、今度六月一日から、もうすでに形の上では発足しているのですが、三菱が重工と造船と新重工と三つ合併したのです。私は三菱出身ですが、おそらくこれは独禁法に抵触するだろう。膨大なマンモス会社ができるのです。これをやすやすと公正取引委員会が了承の判こをついた。不思議でたまらない。これは国の税金を使って公正取引委員会の十五名をふやすというのが今度の法律ですが、それもてんで話にならないわけです。これは三菱三社合併、私の出身会社であるけれども、僕はびっくりした。こういうものこそ独占企業禁止法の第一条の目的に反するのじゃなかろうか。ところがこれがよろしいということになっている。不思議でたまらない。これさえ認めているあれですからね、人の十人や十五人ふやそうが、ここで大論争する必要はありませんが、これが長官、あなたのおっしゃるほどの価値ある委員会ですか。
  57. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) 三菱の合併の事例をおあげになりました。私、これに対する見解を、ここに委員長がおりますから、控えますが……。
  58. 阿部竹松

    阿部竹松君 ああいうふうなものをあなたは報告を受けておらんのですか。
  59. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) それは受けております。受けておりますが、それはやはり先ほど申し上げました公正取引委員会の独自な見解を尊重いたしまして、委員会の判断に基づいた認可でございますから、私が事後においてこれをかれこれ申すことはどうかと思いますが、しかし、そういういろんな何と申しますか、これに対する批判というものは私も大体わかります。わかりますか、そういう実態はだんだん——ただ大きいマンモス会社ができたからいいとかいけないということよりも、もっと公正取引委員会といたしましては、日本の経済また国際経済につながった一つ産業のあり方、こういうことから判断をされたと思っておりまして、その内容のことにつきましては、実務をとっております公正取引委員長がおられますから、そちらから御答弁させていただくことにいたします。
  60. 阿部竹松

    阿部竹松君 私は、公正取引委員会からつべこべ弁解じみたことを聞きたくない。私は独禁法というものの本質的なものを聞いている。ですから長官のおっしゃるとおり、日本が貿易の自由化に伴って企業の強化をやらなければならんということで、大企業の合併、合併を認めるということであれば、独禁法なんか、なくしてしまったがよろしい。独禁法は独禁法として残しておいて、一方そういうものを認めるのは趣旨に相反するじゃないか。三菱の二つや三つ認めたとか認めんとか、そんなことをつべこべ言うのじゃない。そんな趣旨じゃなくて、国の政策としてどうかということをお尋ねしているのです。そんな小役人の十人や十五人ふやすという問題じゃなしに、大きな日本の経済政策なり国の政策が、小さい会社では貿易自由化に伴って諸外国に太刀打ちできません、しかし、太平洋戦争あるいは太平洋戦争前のように、自由主義経済であるから大きな会社の合併をどんどん認める。あるいは強い者が勝つのだ。弱い者が負けるのだ。弱いやつは努力が足らんからだということでいくのだったら、公正取引委員会なんて投げておしまいなさい、こう言うのです。これは公取委員会ができた当時は、そういうものは認めません、一カ所にかたまって弱い者をいじめるようなやつは許しませんといって、独禁法ができているのですから、そういう法律の趣旨を認めれば、あれはだめでしょう。こういう本質論をお伺いしているのであって、三菱を認めた独禁法なんか要らないというので、つべこべ弁解するでしょう、そんなものは聞きたくない。本質的に、あなた方自民党の、これは池田さんの内閣がやるのだったら、片や大企業の合同を認めて、こちらでは国の税金で人をふやして、また札幌に事務所を置いて何人か番人しますなんていって、北海道へ行って弱い者いじめをする。大会社であなた方の網にかかるやつは一人もおらん。そこをお尋ねしている。あなた大臣でないから閣議に行って言えないので、閣議では向こうは通産大臣ですから、ばんばんとやったら、しかりさようごもっともということになるので、まことにあなたにも気の毒で、これは池田さんと対決しなければならんと思う。たまたまあなたおいでになったからお尋ねしているわけですが、本質的にどうするか。ああいうことを次から次と認めるでしょう。一つ認めたらほかのやつを認めんというわけにはいかない。三菱だから認めた、三井は認めんというわけにはいかんので、本質的に認めるならば、自由主義経済で貿易自由化に伴ってやるのだと、勇ましく打ち出したらどうです。
  61. 野田武夫

    政府委員(野田武夫君) ああいう合併その他の事項を認めて、独禁法の運用の必要はないじゃないか、取引委員会なんていうのは増員してもつまらんじゃないかという御意見でございますが、いまお話しのとおり、日本の経済政策、国際経済につながるいろいろな問題がございまして、そういう事態もあり得るかと思いますが、一方、先ほど御論議になっているような、たとえば銀行の歩積み、両建てのような問題も、やはりこれは、ただそういうことがあるから、取引委員会は何も役立たんじゃないかということじゃなくて、やはり私は日本の経済の運営につきまして、取引委員会の使命というものは非常に重大であって、また、今後ますます私はその任務を遂行する上においてこの委員会の存在が非常に必要だと思っております。そういう意味におきまして、御意見はよく拝聴いたしました。またそういう御批判は決してわれわれは無視するものじゃありません。傾聴いたしますが、それだからといって、公正取引委員会が存在の価値がないという御意見には、どうも御同意できないのでございます。私は、あくまで取引委員会の任務というものは、やはり日本の経済を振興し、特に中小企業対策におきましては非常な大きな仕事の責任を特っている、こう感じますから、今回の増員ももちろんそうでございます。今後ますます取引委員会の本来の仕事を強力に推進していきたい、こう考えております。
  62. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  63. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を始めて。
  64. 田畑金光

    ○田畑金光君 公取委員長に一、二お尋ねしますが、特にこの公取委員会の消費者保護の機能が、現在どのような角度で、具体的にどういう問題を中心に進められておるのか、これをお尋ねしたいと思うのです。  と申しますのは、御承知のように、いままでのわが国の経済行政というのは生産中心の行政であったわけです。ところが消費者行政というのがほとんどなかったということです。ことに国民総支出の中の五割ないし六割が消費支出であるということ、景気のよしあしにかかわらず、消費支出は毎年一割前後ふえておるといわれておるわけです。この大量生産と大量消費の時代において、消費者保護という行政面が非常に欠けておるということ、ことに御承知のように、最近は臨時行政調査会等においても消費者省を設けるとか、消費者局を設けるとかというような問題が取り上げられておるし、企画庁の中にも国民生活局を設けて消費者行政を充実強化していくということもいわれておるわけです。こういう情勢の中で、わが民社党としても、先般消費者基本法という法律案を提案したわけでありますが、時間の関係もあるから、そういうようなことはかれこれ触れませんが、やはり公正取引委員会の機能というのは、公正な競争、不公正取引の廃止を通じ、消費者保護行政を推進していくというのが大きな問題だと、こう私は見ているわけです。そういう点について、一体公取委は現在この問題についてどのように取り組んでおられるのか、それを簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  65. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 独禁法の第一条にありますように、結局独禁法のねらいは経済の民主化及び消費者の利益の保護、こういうことで、われわれは独禁法の終局の目的を考えております。独禁法を通じまして全体として大きく見ますと、一つの機能としては独占あるいはカルテルの禁止、それから一つはいわゆる不公正競争の、不公正な取引方法の禁止、大きくこの二つに分けられます。  前者のカルテルの問題などにつきましては、これは小さいのから大きいものいろいろありますが、いわゆる中小企業団体法とか、そういうような特殊な法律によって合法的に認められているものは別として、それ以外のカルテルにつきましては、われわれのほうでは、随時、カルテル行為の破棄ということにつきましては、かなり私が就任したこの一年間においてやっておりまして、それによって、要するに自由な競争による価格の引き下げというものによって、消費者の利益を守る、こういう方向にわれわれの機能は進んでいると考えております。  それからもう一つ、不公正な取引方法の問題としては、特にいわゆる不当表示の問題あるいは懸賞——過大広告の問題、こういった問題が消費者のために非常に迷惑をかけておるという点に注目しまして、このほうには特別法もございますが、それによって、たとえば不動産の問題につきましても、その他かん詰めとか、いろいろな問題など、非常にこまかい問題ではありましても、同時に重要な問題、これにつきまして、そうした不公正な取引をしないようにと、こういったような意味においての機能を果たしておる、こういうつもりであります。
  66. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあそういうようなお仕事はなされておるということを聞いておるし、また当然公取の仕事だと思いますが、ただ最近、公取委員長も御承知のように、消費者物価の値上がりに応じて——物価の値上がり、特に消費者物価の値上げに関連して問題とされておるのは、御承知のように、中小企業の製品あるいは農林水産業の製品、食料加工品あるいはサービス産業の製品価格等々の問題が取り上げられておるのです。ことにまた物価の問題も関連して、一方においては労働賃金の問題を取り上げられておる。生産性と労働賃金の問題に関連して、あるいはコスト・インフレ論が展開されておる、こういうことです。ところが私はこういういまの傾向というものは、物価の本質的な問題について、これは逸脱しておるのじゃないか。確かに中小企業製品あるいはサービス企業についても、製品価格の値上がりがあることも事実です。しかし、もっと大きい大企業の製品価格、この問題についてメスを入れない限り、物価全体の公正なる維持あるいは引き下げなりということは、とうてい考えられぬのじゃなかろうか、こういう私は感じを持っておるわけですが、先般昭和三十七年度の年次報告として公取委員会が報告書を出しておられましたが、その第九章の被疑事件の大半は、中小企業組合に関するものです。大企業の価格協定に関しては、大きな問題がいままでいろいろあったにかかわらず、ほとんど取り上げていないが、公取委の出されたこの年次報告を見ましても、中小企業組合の価格協定について非常に強い態度で出ておるわけです。だから私は中小企業の価格協定について強い態度に出るということも、まあ公取の機能からやむを得ないかもしれませんが、もっと大企業の製品価格あるいは管理価格等の問題について、公取委は積極的に取り組むべきだと、こう思うのですが、どうも公取委の姿勢というものは、そうなっていないということは、まことに遺憾だと思うのです。この点はどのように感じておられましょうか。
  67. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  68. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を始めて。
  69. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 過去における公取で取り扱った事案が割合に中小企業の問題が多かったということには、私もそのとおりだと思います。で、その点については、われわれも大いに反省しておりますが、いわゆる通産省における管理価格操作といったような問題が一つあるわけです。この点につきましては、これは過去におけるものはいろいろな事情があったと思いますが、将来においてこういったようなことはできるだけ——できるだけといいますか、きわめて例外のもの以外は、これはなくすようにという姿勢を出していきたいと思っております。それから大企業におきましては、そのカルテルがあるかないかというのが非常に問題なんです。大企業の場合ほど、いわば独禁法というものについて、中小企業の場合に比べると独禁法というものを検討していますから、いわば隠れたカルテルという形になりがちだと思います。しかし、そうかといって、それを放置するつもりはない。ただそれだけに、その問題の摘出というものは相当の時間もかかりますし、われわれのほうとしては、これの取り組みには相当かなりむずかしい点も出てくるだろうが、しかし、私としてはやはりそうした大きなものに、もっとそういったことがあるならば、まともに取り組んでいかなければ、それこそほんとうの意味の独禁法の趣旨は達成されない、この点について過去のわれわれの実績について私も反省しておりますし、今後についてはお話のような方向で問題を進めていきたい、かように考えております。
  70. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ公取委員長のその気持は私も了解できますが、公取委員長も御承知のように、先年——これは前でございますが、新聞紙の値上げの問題のときにも、いろいろこれは公取委の機能というもの、権威というものが取りざたされたわけであります。当然あの新聞紙の値上げの際でも価格協定が、協議がなされたということははっきりしたわけです。しかし、処罰の規定がないというようなことで、ついに新聞紙界の圧力に押されて、当時は岸内閣の時代ですが、岸内閣の時代はこの問題を不問に付してしまった。このあと価格協定というものが特に大企業中心にいろいろ各面に現われてきた。これはお話のように隠れたカルテルがあるかもしれぬ、なかなか巧妙でわからぬかもしれぬ。しかし、中小企業のほうは、カルテル行為というか、協定価格をやっても、なかなか巧妙でない、あるいは調査すると案外公取委の手にひっかかるかもしれない。しかし、小さな魚だけを追い回して、大きな魚を逃しておるというのが、いままでの公取委のカルテル行為に対する態度のあり方じゃなかったか、こう思うのです。やはりこの際、私は物価の問題にも関連して感ずるわけですが、この大量生産、大量消費の時代において、大企業の価格協定あるいは管理価格の問題こそ、もっと勇気をもって公取委としては機能を発揮すべきじゃないかと、こう思うのですが、具体的にどういう仕事をどういう業種についてなされておるのか、このことを明らかにしてもらいたいと思います。
  71. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 過去の御批判については、私も大いに反省しなければならぬ問題がたくさんあると思っております。いわゆるカルテル行為につきましては、私もお話のように大企業においてこそそういうものがあれば、まずわれわれのほうとしては、それにメスを入れるべきだと、かように考えております。もちろん具体的な問題として表面に出てきているものは、これはもう私のほうとしてどしどしやっております。まあそれが事件になるかならないかは別としまして、先般水産会社の大きなのが、ハム、ソーセージの価格協定をやったとか何とかいうような一応の疑惑が持たれておりまして、これについてわれわれのほうでいま調査を続けております。私のほうで一番やはり取り組まなければならぬむずかしい問題は、いわゆる隠れたカルテルの問題だというふうに思っております。これにつきましては、管理価格といったような議論もあるわけでありまして、私のほうとしましては、いわば生産性が上がっていながらも、なおかつ値段が下がっていないというものを摘出しながら、それがその裏にどういう事実があるか、もちろんその全部が全部独禁法違反になるとは言いかねますが、そこに独禁法違反の問題があれば、われわれとしてはそれにメスを入れる。私は何らその辺について別に、公取は独立した一つの権限を持っているわけですから、その権限を持っているということは、それだけの責任を持っているわけですから、その責任を果たすことは、私は当然なすべきことはなす、かように考えております。
  72. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ渡辺公取委員長が就任されてから、歩積み、両建ての問題に対する特殊指定をめぐっての動きや、まあいまの大企業に対する公取の今後の方針等についても、われわれはそれ相応の期待を持っているので、勇気をもってひとつ独禁法の番犬としての役割をこの際果たしてもらいたい。まあわれわれの一般的な感じとしては、独禁法の骨抜きがたびたび加えられておるし、また独禁法の事実上の骨抜きが二十有余の単独法によってなされているということを見ましたときに、まことにこの傾向は遺憾であると思うけれども、なおかつ公正取引委員会の仕事については、それなりの期待を持っているわけでありますから、いま答弁のとおり、ひとつ御努力を願いたいと、こう思うわけです。  もう一つだけお尋ねしておきたいのですが、先般提出された下請法施行状況のこの資料によれば、昨年九月で、その当時は六十日以上おくれた支払いでは、すでに遅延利息をとるということになっており、百二十日の手形については、そのうち六十日は正常の金利を払わなくちゃならぬ。こういうようなことになっていたわけですが、この資料によると、百二十日以上の長期手形を出している親会社というのがかえってふえているわけですね。機械製造業とか、精密機械製造業、非鉄金属製造業、かえってこれがふえているわけです。こういうことを見てきますと、国会で下請関係法律が修正されても、全然これが末端にいっては現実に実行されていない。こういう問題です。今度のこの法改正によりますと、取引部というものが新設をされて、その大きな仕事の中に、「下請代金支払遅延等防止法の施行に関すること。」、こういう仕事が載っているわけです。せっかく機構もふやし、人も充実する。公取委の仕事も、それなりに相当機能も充実されてくるものとわれわれは期待しているのだが、現実に公取委のほうで出した資料、それ自体を見ましても、国会における法改正というものが現実の親企業と下請関係において何ら実施されていない。こういう問題について、公取委員長としてはどういう見解を持っておられるのか。あるいはこういう問題について今後どのように取り組んでいこうとするのか。その計画があれば計画等をひとつ明らかにしてもらいたい。現在どういうところに親企業と下請企業のこういう問題の取り締まりが不十分、不徹底に終わっているのか。その辺の事情を明らかにしてひとつ聞かせてもらいたいと思う。
  73. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) お手元に提出してあります資料についてちょっと申し上げますと、これは調査対象が毎年変わってきております。したがって、統計の正確な意味においては実は連続性がないわけです。三十七年度と三十八年度に調べた会社の、その会社が対象が変わっております。しかし、全体的に見まして、やはりその連続性のいかんにかかわらず、最近において下請代金の支払いは、金融の引き締めと結びつきながら改善されるどころか、逆に悪化していくじゃないか、こういう考え方が言われておりまして、この下請代金の問題について非常にいま論議が重ねられ、当委員会でもしばしばお話が出たわけでございますが、現在私のほうとしては、まあ今度の増員で多少の手はふえますが、しかし、一応私のほうだけというのではなかなか十分の効果があげにくい。これは御承知のように、中小企業庁もやはり一つの権限を持っているわけです。ただ従来公正取引委員会中小企業庁との権限の、ある程度調整という意味で、中小企業庁のほうは下請業者中心に調べ、私のほうは親企業中心に、同時にその必要に応じて下請会社も調べる、こういう一応の仕事のたてまえをとってきたのです。どうも下請業者のほうからまず入っていくということ自身は、なかなか実態をつかみにくい。下請業者の方が遠慮してなかなか実態を言ってくれない。そこでいま中小企業庁とも話をしているのですが、中小企業庁として、まず第一は中小企業庁がもっと大きな人数をこの仕事にさくという約束をひとつしております。それから中小企業庁もわれわれのほうも同じように親事業者からやはり入って、そして下請のほうにいく。ただ中小企業庁のほうがどちらかといえばもう少し広く、しかし浅く、私のほうは狭いけど深く、こういったような一応の仕事の分担をすれば、そして中小企業庁が、ほんとうにわれわれのほうと協力して、この仕事に当たるとすれば、相当の成果は期待できるのじゃないか。ただ問題として、さらにこのうしろに最近非常に膨張しておる企業間信用の問題があるわけであります。したがって、おそらく政府としては、そうした問題まで突っ込まなければ、この問題はなかなか改善の実があげにくい問題であろうとは思いますけれども、それにしましても、一応それはそれとして、われわれのほうとして与えられた権限といいますか、まかせられた責任といいますか、それを充足する意味においては、中小企業庁のほうにも、従来と比べてもっとこの問題に大きな力を入れる、通産大臣もそういう発言をしておられますから、われわれのほうとしては、両方で協調しながら、この問題についてもっと突っ込んだ仕事をしてまいりたい、かように考えております。
  74. 田畑金光

    ○田畑金光君 ひとつ中小企業庁と公取委がそれぞれ提携しながら、またそれぞれの立場で努力されておることについてはよく了解できますが、これ以上発展させませんけれども、ただ今度の法改正によれば、十五名の増員ということになりますね。それがまた取引部を設けるとか、あるいは札幌に事務所を置くとかというようなことを言われておりますけれども、公取委のいま当面しておるいろいろの問題が出てくるわけです。経済問題が出てくると、必ず公取委の問題が出てくるほど、最近は特にやかましくなってきたわけですが、またわれわれといたしましては、公取委の機構の強化あるいは人員の充実については、消費者保護の立場あるいは大企業の横暴を押えるために公取委が本来の仕事をなさるということを期待するが故に賛成でありますが、ただ、この程度の人をふやすことによって、公取が当面する広範の問題を処理するのにやっていけるのかどうか、十分かどうか。まあこれでいままでよりはもっとこういう面でこれだけの仕事ができるのだ、こういう確信があるならば、この際、ひとつ公取委員長から聞いておきたいと思います。
  75. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) この程度の人員で十分かと言われますと、正直言いまして、私のほうで要求した人数とはだいぶ削減されておりますし、まあ十分であるというふうには思いませんが、しかし、公正取引委員会としましては、与えられた人員をフルに有効に使っていくということによって、相当大きな権限といいますか、責任がわれわれに付与されているわけですから、とにかく与えられた人員をまず十分に活用することによって、このまかされた大きな責任を果たしていきためにあらゆる努力をする、こういうつもりでおります。
  76. 小林英三

    ○小林英三君 ちょっといま田畑君の御質問に対して、公取委員長から、中小企業庁と連携をとって私のほうの公取委員会のほうでは主として大企業のほうについて手を入れる、中小企業庁のほうでは下請のほうに手を入れるというような、横の連携をとりつつやっていくつもりだという話がちょっとありましたね。
  77. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちょっと違うのです。
  78. 小林英三

    ○小林英三君 違うのですか。それをはっきりしていただかないとちょっとこれが……。
  79. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 私が申し上げましたのは、従来のやり方が、いままでの過去のやり方が、中小企業庁のほうは下請業者のほうから話を聞いて、そうしてもしあの法律に違反しているような事実があれば大企業のほうを調べていく。それからうちのほうは大企業といいますか、親事業者のほうを調べて、そうしてそこからその裏づけのために下請のほうを調べていく。親事業者のほうを、まずもって勘定を見まして、そうして買い掛け代金なりあるいは手形がどんなふうになっているか、あるいは毎月のそれが購入額に対してどういう割合になっているかということから調べて、それを裏づけする意味で下請を調べていく。中小企業庁のほうは下請のほうから調べていく。ところが、下請のほうから調べますと、下請のほうはなかなかその親事業者との関係を遠慮してものを言わない。あるいは言ってもなかなかはっきりしない。そこでもう少しそのやり方をお互いに工夫しながら、やはりどうも出発点は親事業者のほうから調べて、そうして下請のほうへ裏づけするというほうが有効のように思われますので、したがって、ただ中小企業庁と私のほうはある程度権限を守るといいますか、守備範囲といいますか、攻撃範囲といますか、それをはっきりさせるのに、向こうのほうが広くしかし浅い、われわれのほうは狭いけれども深くと、したがって、問題になりそうなときには、場合によったら私のほうへどんどん回していただく、こういうような権限の分け方をしたら、もう少し有効なやり方ができるのじゃないだろうか、かように考えていますと、こう申し上げたわけです。
  80. 小林英三

    ○小林英三君 その点が、なかなか今後の下請代金の支払いの遅延防止の問題について重大な問題ですから、私は聞くのですが、つまり何でしょう、あなたのほうは下請のほうを調べるということは、もう全然中小企業庁にまかし切りという意味ではないのでしょう。つまり、いままでと同じように、たとえば下請業者の声を聞いたり、あるいは支払い代金が遅延している問題を調査したり、これはやはり指定団体等を使っていままでと同じようにおやりになり、今後は中小企業のほうでもやってもらうようにしたいと、こういう意味なんでしょう。
  81. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 言葉が足りませんでしたから、誤解されたかもしれませんが、いま小林委員のおっしゃったように、協力団体に大いに御協力を願うとか、われわれのほうも下請業者の声をできるだけ聞くとかいうことは、これはもちろん私ども今後ともこれを続けるどごろか、もっとこれを大いにこの仕事の上において活用していくといいますか、その点については従来以上に力を入れてまいりたい。ただ、中小企業庁との関係において、いま言ったようなことを考えているということを申し上げて、あとの点がちょっと申し上げてなかったものですから、多少誤解を招くような発言であったと思いますが、お話のとおりであります。
  82. 小林英三

    ○小林英三君 つまり、公取としては、いままでこの問題に対してタッチしているのを、人数をふやしてもっとやります。しかし、そのほかに中小企業庁のほうとの連携を保って、中小企業庁は中小企業庁としての別動隊として下請のほうを十分調査して、おれのほうに連携をはかってもらうのだ、こういう意味でございますね。
  83. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) さようでございます。
  84. 小林英三

    ○小林英三君 それならばいいのです。
  85. 赤間文三

    ○赤間文三君 私、ちょっと公取委員長にお伺いしたいのだが、取り締まりの面からいいますと、われわれとしては公取のほうは、たとえば雇い主、親会社からの方面も見られるし、また下請業者のほうからも見られる。その他客観的のいろいろなものを十分両方面から見られ、調査もやられて、しかし、それにはやはり限られた人間では手が足らぬから、足らぬ部分を中小企業庁に手伝ってもらう。手伝ってもらうというと語弊があるが、こういうふうに私はやられるべきもので、そういう分野を、こちらは今度は親会社のほうに比較的主力をもって、中小企業は下請のほうをやるとか、そういうふうに聞こえたのですが、私の言うのは、上からも下からもあらゆる客観的な、つかまえにくいものを、そんなものを仕事の分割なんていうことはおもしろくない。あらゆる力を総合して上からも下からも、その他客観的にあらゆる面から邁進をせられて、なおそれでやはり手が足らぬなら足らぬところを中小企業に大いに連絡をとって助けてもらう、こういうふうに解釈したいのですが、御異議ありませんか。
  86. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) どうも私の言い方がまずかったのかいろいろ誤解もあったようですが、いまあなたのおっしゃったとおりのことをやるつもりでおります。
  87. 奥むめお

    ○奥むめお君 時間がないの……。多少時間がなくても、公取の職責というものは、この消費者時代あるいは物価高で困っておる時代に、一番またほかのところへ頼めないのを公取を頼りにしているといえますね。その公取がまず予算を請求なすって、非常に少ないですね。十五人しかふえない。北海道に事務所を設けるとおっしゃるけれども、四国には事務所がないし、また広島辺は事務所がないし、私から言えば、少なくとも通産省の出店がある以上に、あるいはそれより多くても、公取の事務所はたいへん必要だと思うのです。それがたいへん今度の予算で縛られてしまった。これはそれでも働くのですから、まあえらいと思うけれども、働きにくいことはずいぶんあると思いますね。たとえば新聞でよく問題になっている教科書の問題、あるいは大きな会社の管理価格の問題、あるいは各地方に行なわれている価格協定の問題、こういうふうなものを、はたして価格協定なんて、あるいは管理価格でもひいでている大きな業などは調べがつくだろうけれども中小企業の各商売の道で、都市によって値段も違うし、やり方も違っておるものが、ずいぶん多いと思うのですね。こういうふうなものを、政府からは、しっかり公取に価格協定も取り締まらせるのだ、歩積み、両建ても取り締まらせるのだ、いろんなことを政府は、公取が万能選手であるかのごとく、公取にさせるということを何べんか言うてきて、行なわれていないのですね。もし何か行なわれていらっしゃることがあるなら、ひとつここで聞かしてもらいたい。どの程度成果をあげていらっしゃるかということを知りたいと思います。
  88. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) ちょっと御質問の趣旨が私理解しにくかったのですが、今度の人員増加あるいは予算増加の問題につきまして、われわれのほうとしましては、もっと大幅な要請はしておいたのですが、これはほかのほうの予算との関係、どの予算でも同じような傾向があるわけです。人員の増加も十五人、それから過去の事例を見てまいりますと、昨年は六人、その前はゼロといったような事例もありますし、私としてはとにかく公取が現在与えられている仕事を、いま与えられている人数でもってできるだけ充実した仕事をしていく、そういうことで実績を出していけば、おのずから来年度の予算についてまたやはりそれだけの必要があるのだというふうな認識が世間にも得られるのじゃないだろうか、こういうふうな感じで仕事を今後やっていきたい。まあそのあとのほうの答弁はおそらく総務長官なり総理大臣から御答弁されるべき問題だと思いますが、おられませんので、一応衆議院でおっしゃったことをちょっとお伝えしておきますと、衆議院では、公取の機能をもっと強化すべしという附帯決議がつきまして、それに対して総務長官も事務所の問題等につきましても将来においてはさらに増設していくつもりである。非常に努力する、こういうふうなお話があったことだけを申し上げておきます。
  89. 奥むめお

    ○奥むめお君 改府の言いなさることはすべてこれはよき言葉ではありましょうが、実際行なわれなければ同じですね。この物価を下げるということは池田内閣の私は使命だと思いますね。上げたのも池田内閣の大幅予算を計上して以来ですからね。物価政策が非常に物価を上げてきた、所得倍増政策が非常に上げたと思うのですね。一方で物価を上げないのだ、非常に喜ばしい発言でありますけれども、しかし、ちっとも物価を下げられる仕事がありながら、それを行なっていないのが、公取じゃありませんか。もし、なさっているとすれば、どういうことをやってきたかということをもう一ぺん詳しく。
  90. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) まあ公取の仕事といたしましては、結局奥委員もよく御存じのように、いわゆるそこに独占とかカルテル行為とか、そういうものがある場合に、これを排除しようというのが、いまの物価問題との関連においては中心になっているわけでございまして、で、過去においてわれわれのほうもいろいろの事案として出てまいりました問題の大部分は引き上げのときの価格協定というのが中心であって、これについては幾つか排除命令が出されておるということは御承知のとおりであります。しかし、私はそれだけでは足りないので、むしろ要するに生産性が上がった、値下げがなさるべき、コストダウンがさるべきなのに、値下げがされていないというような問題が、それがもしその裏に隠されたカルテルがあるとすれば、これをわれわれとしては突っ込んでいかなければなるまい、こういう考え方で現在いろいろ幾つかの業種について調査を続けております。まだそこに、そうしたカルテル行為があるとかないとかいうことについての結論までは出ておりません。したがいまして奥委員のいまおっしゃったような問題はわれわれ現在やっておる仕事、したがって、その成果についてはやはりもう少し時間をかしていただいた後に、どういう成果が出るかという問題であろうと考えております。
  91. 奥むめお

    ○奥むめお君 それじゃ、しばらく待ちますからたくさんの功績をあげて報告してください。一方特定産業法律をつくりながら、一方では公取で取り締まらせます。いろいろそれも絶滅も期しますと言われてきましたけれども、もうあんまりそういうことを聞くだけであったら、われわれから言えば、公取は何をしているのだ。公取に予算をたくさんやってそうして公取の働きを強くさせなければ、国民生活は浮ばれないということは、だれでも本能的にわかりますね。ですから、私どもから言いますと、公正取引委員会というものは、国民の輿望をになって立っている、そこがぐらぐらしておったのではとても困ります。物価高でいろいろ苦しい経済情勢の中で、たいへん困ると思うのです。私から言いますと、公正取引委員会というものは、たくさんの予算を取って、そうして仕事をすべきだと思っているところへ、ちょうどケネディが三百人公取の人数をふやして、しかもそれに予算もつけて国民生活を守るという点から仕事を大幅にできやすくしていますね。日本は同じ消費者行政をいいながら、予算もまことに少ないし、そして人員もふえないし、こういうことがアメリカ日本とまるで対立的なんですね。そういうふうな大統領というか、総理というか、そういうふうな人たちの心がまえがまるで違うと思います。そして何にもしもしないのに、消費者物価は上げませんとか、価格協定は取り締まりますとか、いろいろなことを言いますけれども、それは言うことはやさしいけれども、実際に行なうということは、ちょっと行なって下されば、国民生活に影響してくるのですね。非常に国民生活が明るくなるだろうと思うのです。だけれども、このような政府のあり方では、ほんとうに困ったことだと私は思っております。だからいろいろ問題を扱っていらっしゃるだろうと思うけれども、たとえば、私が思い出すだけでも、教科書の問題、あるいは板ガラスや、アルミ鍋の問題、これなんかも国民にすぐ影響することなんですが、公取はどの程度調べて、どういう手を打とうとしていらっしゃるのですか。
  92. 渡辺喜久造

    政府委員渡辺喜久造君) 教科書の問題といいますのは、とかく不公正取引の問題としてわれわれのほうに問題として上がってきております。これは昨年関西のほうで問題がはっきりしまして、公取としても今後そうした不公正取引をすべからずというような審決を六件一応やっております。しかし、その後において、教科書でなくて、今度は教材などをこめてのいろいろな問題が話として出てきております。一つは文部省のほうでは別途教育委員会などに注意的な通知を出しております。私のほうとしては、会社のほうを中心にこの問題をどう考えるか、もう少しこれは検討してみるべき問題だと思います。検討というか、調査をしてみるというふうに考えております。  それからアルミ製品につきましては、過般一応そういう協定の事実がはっきりしましたので、これは勧告審決で、そういう協定を破棄するように勧告しまして、向こうも破棄するということに同意しましたので、勧告審決で、それを破棄するという審決を下しました。  板ガラスの問題につきましては、これは別にいまのところ、そこにカルテル行為があるとかないとかいう問題には、われわれのほうとして調査の結果出てきておりません。ただ御承知のように、板ガラスの会社というのは、旭ガラス、日本ガラス、最近セントラルという会社ができました。板ガラスの値段も、外国との競争もあると思いますが、大型のような特殊な板ガラスは割合に値段を下げております。通常の板ガラスについて値段を下げていないというところが、単なるプライス・リーダーシップの問題か、うしろに問題があるのかという問題について、われわれのほうとしてはもう少し調査してみたいと思いますが、ただ現実の問題としては、旭ガラスがいわゆるプライス・リーダーになりまして若干値下げをした。つい最近ですが値下げした、こういう事実ですが、われわれのほうのまだ独禁法の問題としてどうするかというところまでは調査の結果は出ておりません。
  93. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  96. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。     —————————————
  98. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、好間炭鉱に関する件の質疑の要求がありますので、これを許します。阿部君。
  99. 阿部竹松

    阿部竹松君 十二時過ぎまして、だいぶ時間が経過しておりますから、お尋ねするのはたいへん恐縮ですが、簡単にお尋ねして質問をとどめますので、御容赦いただきたいと思うのです。  今月の十二日だと記憶しておるのですが、石炭委員会で古河好間炭鉱の閉山問題に関して、大河原、阿具根両委員より、通産当局に、大臣、石炭局長にお尋ねがありました。速記録を通読しましたところ、相当部分が速記停止になっておるわけです。速記停止になっておりますので、当時の委員長は岸田さんですが、岸田さんの御指示によって速記がほとんど削除されておる。ですから中身がわからぬ。どういう問答があったかわかりませんけれども、速記停止のために、速記録によって中身を熟知することができませんから端的にお尋ねいたします。古河好間炭鉱は、有沢調査団の答申によればビルド山になっております。有沢調査団の調査の結果を待つまでもなく、一切の資料は通産当局、特に石炭局の資料に基づいて結論を出し、政府に答申され、閣議決定になっておる。そうすると、ビルド山と称される好間炭鉱が閉山ということになっておりますので、これはどうもそのあたりがすっきりしませんから、その点はどういう理由で閉山になるものかお尋ねをいたします。
  100. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 古河の好間につきまして、調査団当時は、これは御承知のように、三十七年の十一月でございまして、ビルド鉱であったのではないか、それが今度閉山を申し込んだのはどういうことかというお話しだと思います。これは先生も御存じだと思いますが、調査団の答申、手元に持って来ておりますが、とにかく四十二年まで五千五百万トンの高能率な炭鉱をつくっていこうということで、諸般の対策がきめられているのであります。これがビルドだ、これが維持だ、これがスクラップだということは、これは一応の目安としてはございます。あの当時、新聞にも出たやに聞いておりますが、しかし、何ぶん長い計画を見とおしての問題でございますので、中にはスクラップのものが残っている、あるいは状況によって閉山になるということもございますので、これがビルドだ、どうだというところまでは、調査団のほうでは山別に看板を掲げたものではございません。しかし、私は、ここでその議論をやるつもりはございませんが、今般残念ながら、この二月に古河好間のほうが新方式によって閉山をさせていただきたいという申請が出てきておりますことは事実でございます。なぜか、こういう御質問でございますけれども、結局残念ながら赤字を出しておる。かなりの赤字が出ておりますので、したがって、それを持っていてはほかの山にも影響を与えるし、なお、古河としては、自由化を控えての銅の問題、あるいは酸化チタンの問題もございますので、これをこのまま抱えておったのでは、企業全体として問題であるということから、私のほうに——これは合理化事業団でございますけれども、合理化事業団のほうに申請を出してきたというような事情でございます。
  101. 阿部竹松

    阿部竹松君 新井石炭局長は答申を御承知だとおっしゃっておるが、いまのお話を聞くと、全然御承知おきではないと思う。あの当時、調査団の答申というものは、カロリー、将来の希望、埋蔵量、こういう数点に基づいて、この山はやっていきます。この山はいけません、こういうことで明確に規制したわけです。その資料はあなたのほうから出ている。それと同時に、私どもは石炭委員会で、あるいは商工委員会、社労委員会等との合同委員会を開いて、有沢先生以下全部の委員に出席していただいて、そこでお聞きしている。福田通産大臣からも御意見をお聞きしておる。もちろん当時の総理大臣、現総理池田さんからも聞いておる。五千五百万トンは責任を負います。当時の炭労は六千万トンをどうにかやってくれと言ったが、六千万トンは責任を負いません、五千五百万トンは政府の責任において一切問題を処理します。こういう御答弁だった。あなたが当時の速記録を読めばすぐわかる。こういう御答弁で、五千五百万トンの範囲内で政府は一切責任を負います。しかし、炭労の諸君の言う六千万トンは責任を負いません、こういうことで、あとの五百万トンをどうするかということで、政府と炭労、自民党社会党の間でけんかになったのです。五千五百万トンは政府が責任を負いますと言ったその五千五百万トンの中に古河好間炭鉱が入っておる。これは当時の予算委員会商工委員会あるいは石炭委員会等の速記録を見ればすぐわかる。ですから、五千五百万トン以外の山について、責任を負いなさいとか、政府は何しておるかということを僕が申し上げれば、それは強弁であるけれども政府が責任を負うと言ったワク内の山ですからね。有沢さんのお示しになったように、能率においても、カロリーにおいても、当時からカロリーが落ちているとは考えられないし、能率も下がっておらない。埋蔵量も風が吹いて飛んでいくわけではないから、埋蔵量も減っていない。そうすると、あなたの御答弁のようにいかないじゃないですか。ほかに理由があるはずだ、あなたのほうがお認めになっているのならば……。まあお認めになっておらぬだろうけれども、どういう申請があるのですか。申請書を見せる、見せないということで石炭委員会で論議があって、その部分は全部抹殺されている。抹殺されているのでわかりませんからお尋ねするのですが、あなたは御承知でございませんか。
  102. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 前の速記録、私も勉強しております。お話しのように、五千五百万トンの高能率、高賃金の石炭鉱業を安定させていくのだという基本のラインにつきましては、四十二年度を目標に一生懸命やっておるわけでありまして、その節、この山は五千五百万トンの山だ、この山はどうだ、こういうところまで答申の決定的な議論としてはないわけでありまして、五千五百万トンをやる上については、目安としては、この山はどうだろう、この山はどうだろうという形でやっておることは事実でありますが、これは有沢調査団として五千五百万トンをきめる場合に、一つの目安であったわけであります。このとおりにいく、いかないということは、基本計画の大綱というものの基調ではない。それがなかったとは申しませんけれども、これが看板を維持だ、ビルドだということで掲げている、しかもそれを政府が決定したという御意見に対しましては、あくまでもそうではないと言いたいのでありますが、本件好間につきましては、ここに申請書を持ってきておりますが、先般の石炭対策委員会のときに、まあ申請書ずばりは、やはり経営の問題等もございますので、出しにくいということでやっております。実際問題として、先ほど申しましたように、まだこれからいろいろ私どもとしては検討を加えていかなければならぬ段階でございますけれども、一言にして申しますれば赤字が出て困っているということが——あるいは経営者としては少し見通しが悪いのじゃないか、こう言われれば、これは率直に認めざるを得ないと思いますが、現実にやはり非常に下の温度が熱うございます。これは先生よく御承知だと思いますが常磐のほうでございますから非常に熱い。何回も何とか維持していこうということで努力はしておりますけれども、現状は遺憾ながら赤字である。この点は私どもよく検討したいと思いますけれども、そういう事情でございますので、現在新方式で処理してもらいたいということで申請書が出ておるという事情でございます。
  103. 阿部竹松

    阿部竹松君 温度の高いというのが理由一つであれば、石炭局長、これは保安局長をお呼びして聞かなければならぬけれども好間炭鉱よりまだ温度の高いところがたくさんある。お隣りの常盤炭鉱しかり。今度四百何十名の犠牲者が出た三池炭鑛しかり、三十七、八年である。古河好間炭鉱より十度も高いところでやっているじゃありませんか。そういうところを黙っておいて、古河好間は温度が高いということは理由になりませんよ。それが理由になるのだったら、常盤炭艦の温度の高いところ、三池炭鉱の温度の高いところを全部やめさせるのですか、どうですかと言ったら、あなたは保安局長の責任ですとお逃げになるかしらぬ。もう一つ、五千五百万トンのベース、これにはどことどこの山が入るかということは法律化し、立法化しておりません。しかし、北海道の炭田において、九州筑豊炭田、山口宇部炭田において、どれだけの山が能率がとれて、そうしてカロリーが幾らで、埋蔵量が幾らでといって、一つ一つの山にメスを当てたはずなんです。ただ大きな日本中の炭鉱の中で、埋蔵量が百五十万トンで能率がとれてというような簡単な結論を出しては困るはずです。有沢さん、五月から九月まで四カ月間かかって出した結論ですからね。そんなあなたの言う結論ではないはずです。少なくとも一つ一つの山にメスを当てて、みずから有沢先生が九州から北海道、常盤、山口歩いて調べて、その結果、結論として答申を、書類をもって出した。あなたのおっしゃるとおりにそんなオープンな、大まかなものじゃない。ですから、つぶす、つぶさぬという問題よりも、答申案を尊重いたします。これでいきすすといって閣議決定しておったにもかかわらず、もう半年もたたぬうちに、あなたのおっしゃるとおり、オープンでいきましょうということになれば、これはたいへんな問題です。好間の炭鉱の埋蔵量が減ったとか、あるいは能率が低下したとか、労働者がサボタージュした、こういうことであれば、これは別問題です。しかし、有沢さんの調査した当時より能率がぐんと上がっておる、カロリーは従前どおり、埋蔵量が従前どおりです。ですから、ほかに何か理由があるはずです。あなたのおっしゃるような理由では、これは納得できない。調査団の答申を尊重いたします。政府はこれを実行しますと言ったたてまえ上は、これはあなたに聞く問題じゃないが、しかし、大臣が欠席されておるので、これを当該局長のあなたにお尋ねするわけです。
  104. 新井真一

    政府委員(新井真一君) どうも阿部先生、私の言うことをちょっと少し——熱いからとか、そういうことを申し上げているのではないわけでして、いま赤字が出ておる、その原因としてはそういうものも一つあるのではないかということを申し上げておるのです。それからもう一つは、炭鉱別に大体調査団のきめた形を、これはすっかりオープンでいくのだということも申し上げておりませんので、できるだけ尊重してやっていくのだけれども、その個別々々の炭鉱の問題というのは一つの目安なんだ。ですから、私たちできるだけその目安に沿ってやっていくのが、これが満点を取られる一番いい方法であると思いますけれども、それではやはりこれ一つの炭鉱が、これは維持だ、ビルドだ、こういうことになると、四十二年までこれでいけるかということになりますので、これも先生よく御承知だと思いますし、私ども一緒になってその方向でやっておるのでありますけれども、中にはそういう炭鉱も出てくるわけでありまして、やはりかなり中にはスクラップが多うございましたけれども、今後これをおおむねビルドとして大体やっていけるという、ようやく峠を越したところでございますので、私どもとしては、この好間の問題、相当重大に考えておりますけれども、現在とにかく相当な赤字を続けておりますので、それによってほかの山にも影響を与えてはいかぬのではなかろうかというふうに考えておりますけれども、まだ最終的な判断をやっておりません。申請が出たばかりであります。これから検討していかなければならぬ段階でございます。  それからもう一つ。赤字のほかに隠れた理由があるのではなかろうかとおっしゃいますが、ございません。明確には、申請書のほうには、結局まあいろいろな事情を書いてございますけれども理由としては、私は経営者を呼んで聞きましたけれども、赤字が出ておって困っているのだ、こういうことでございます。
  105. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたは重大にお考えになっておると言って御答弁なさるけれども、少なくとも一月の二十日以前に申請書が出ておるわけです。三月の十二日に大臣が当該委員会に出てきて一つも知らなかったとか初耳だとこう言っている。あなたはその間握りつぶしておる。少なくとも日本の大企業好間炭鉱、少なくとも答申案にはビルド山だと称せられる炭鉱がつぶれるというのだから重大問題です。それをあなたが握りつぶしておる。大臣の耳にも入れない。これはそのあたり大体納得いかぬ。それは百歩譲って、これは買い上げ対象の山になるのですか、どうですか、合理化事業団の。
  106. 新井真一

    政府委員(新井真一君) これは合理化事業団のいろいろ業務方法書もございますので、それによって、業務方法書によってどう考えていくかということで、事業団のほうで考えてまいりますけれどもかなり通産省といたしまして、やはりいろいろな指導面もございますから、今後、いまここで決定的な議論はできませんが、いろいろ検討を加えていかなきゃなるまいと考えております。
  107. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたは石炭委員会で新方式によってとおっしゃっておるが、検討を加えていくというのはどういう意味なんですか。合理化事業団で買い上げする山はこうこうだという一つの法によって規制されておると思いますが、それに現在のある法に当てはまるのですか、当てはまらぬですか。
  108. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 新方式によりまして買い上げという言葉は使いませんのは御承知のようでございますが、整理交付金の補助金を出すかどうかという点について、かなり検討を加えていかなきゃならぬかと思いますが、要はこれも御承知のように、やはり労使双方の話し合いということが基本になりまして、閉山するかしないかということになろうかと思いますので、まあ事業団といたしましても、労組の賛成を得なければ実際問題として調査もできませんし、買い上げも少しも進まないものですから、労使双方の話し合いがどうなっていくかということも一つの条件になろうかと考えております。
  109. 阿部竹松

    阿部竹松君 ちょっと石炭局長、私わかりませんけれども、労使双方が話し合って買い上げてくれといって結論が出ても、買い上げぬ場合があるわけでしょう。労使双方がよろしいということになったら、理由がいかんといえども買い上げるわけですか。そうじゃないでしょう、あの法律は。そうでしょう。そうすると、あなたのお話ちょっと了解できませんがね。
  110. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 事業団が買い上げると申しますか、交付金を出します場合に、山の中を調査をしなければならぬわけでございますが、業務方法書によりまして、労働組合の同意がなければ調査ができないということに相なっておりますので、したがって、事実問題として労使双方の話し合いが行なわれる。ただ労使双方の話し合いが行なわれたから、それによって事業団がそれを買うのか、新方式による補助金を出すのか出さぬのかということは、また別途の業務方法書の基準によりましてやってまいることになろうかと思います。なおその際、やはり私ども石炭局としてはやはりいろいろな政策判断を加えながらまた指導もできる、こういうふうに考えております。
  111. 阿部竹松

    阿部竹松君 労働組合が同意書に判を押しても、これは買われぬという場合もあるのですね。あなたのおっしゃるとおり、労働組合と会社と全部判こを押してこの山を買ってくれと言ったって買わぬ山たくさんあるのです。ですからあなたは労使双方話し合いと言うけれども、そういうな理屈にいかぬ。ただ私は法的に見て、合理化事業団の性質、合理化事業団のできた当時からの立法の精神、あるいは現行法律、これに照らし合わせまして、好間炭鉱が該当するやいなやということをお尋ねしている。
  112. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 新方式によります整理交付金の交付につきましては、基準がございますので、その基準に合っているかどうかということが、これは一番交付金を出すか出さないかの根本の条件でございます。当然その基準に合っておりますれば、しかも経営者のほうで、労使が話し合って、新方式による交付金をいただきたいという意見が出てまいりますれば、これは予算等のにらみ合せもございますけれども、買うことに——買うと申しますか、交付金を出すことになろうかと思います。
  113. 阿部竹松

    阿部竹松君 買い上げる場合に、三十八年度のワクはもうないのでしょう。そうすると、三十九年度ということになると思うのですが、三十九年度のワクはあるのですか。
  114. 新井真一

    政府委員(新井真一君) ございます。三十九年度のワクはございます。
  115. 阿部竹松

    阿部竹松君 幾らあるのですか。
  116. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 一応予算面では、おおむね三百万トン強ございます。これは御承知のように、石炭審議会を経まして計画をきめていくことになりますけれども、一応現在御審議を願っております予算の原案におきましては三百万トン以上ということでお願いをいたしておる次第でございます。
  117. 阿部竹松

    阿部竹松君 それに対し現在まで申し入れば幾らあるのですか。
  118. 新井真一

    政府委員(新井真一君) この二月二十日までに申請を受けつけておりまして、その集計は先般石特でも申し上げましたが、約五百万トンくらいございます。ただしこの五百万トンと申しますのは、それぞれ希望的に申請をしてきておる分がございますので、中には四十年あるいは四十一年ぐらいに閉山になるかもしれないものも、この際出して行こうというような形の、やや安易な気持で出しておるものもございすまるし、あるいは三十八年度すでに閉山をいたしまして、この方式によって交付金をいただきたいという、もうすでに閉山したものの申請もございますし、あるいは三十九年度中にいろいろ労使話し合いを進めながらやっていくというのもございますが、結局いまのところ五百万トン弱でございます。私どもの推定で、かなり四十年度以降にも、若干いま申しますように先に申し込んでおるのがございますので、おおむねまあ四百数十万トンぐらいが一応有効な申請になろうかというふうな見通しを持っているわけでございます。
  119. 阿部竹松

    阿部竹松君 この四百数十万トンの中に好間が入っていると思うのです。幾らで申請しているのですか。
  120. 新井真一

    政府委員(新井真一君) これはまだはっきりきめておりません。おおむね予算面で先ほど申しますように三百数十万トン、こう考えているだけでありまして、いま申請がどうかとおっしゃるわけでございますが、一応申請ベースでは四百数十万トンと申し上げましたが、その中には一応好間のほうは、先ほど申しますように申請をしてまいっておりますので、これは入っているわけでございます。
  121. 阿部竹松

    阿部竹松君 まだきめておりませんと——あなたのほうできめるわけではないでしょう。最後の査定は事業団でやると思うのですが、好間炭鉱で、うちの山を買ってくれという申請書だけですね。うちの山は埋蔵量幾ら、年産幾らという明細な申請書がついているわけでしょう。ですからそれはどういうことになっておりますか。
  122. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 申請面では約二十七万六千トンぐらいということが年産の数量として出ております。
  123. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうすると、大体いままで九州、北海道、常磐、相当山は買っておりますが、大体どのくらいのコストで評価をしているわけですか。炭鉱の買い上げ評価は。
  124. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 久良知計画課長から御説明いたさせます。
  125. 久良知章悟

    説明員久良知章悟君) 三十八年度の数字について御説明申し上げたいと思いますが、三十八年度につきましては、交付金の交付によりまして整理をする山の量は四百四十万トンというふうに昨年度の、三十八年度の予算できめられておるわけでございます。これにつきましては、ほぼ全量の評価が終わっております。で、四千四百万トンが五十億二千四百万円という評価になっておりますので、一炭鉱あたりの平均が、一トンあたりが千百四十二円ということに相なるわけでございます。
  126. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、時間がなくなって諸先生方にも御迷惑をかけますので、やめますが、石炭局長と議論しても、古河好間炭鉱が閉山になるというような状態になれば、日本中の炭鉱ほとんどといったら極言ですが、これはもう石炭政策などといってあなた方と議論したって、全く単なるから念仏に終わるから、もうやめますけれども、一体あなた方どうしようというのですか。五千五百万トンじゃいかぬ、六千万トンと、先ほど申し上げましたように、炭労は言った。池田さんは五千五百万トンと言ったが、この調子でいったら、とても五千五百万トン確保はむずかしいでしょう。若い青少年諸君は全部炭鉱なんかにおらなくなりますよ。特に、一番東京に近い古河好間の炭鉱、北海道から石炭持ってきても、九州から持ってきても、二千円近い輸送料がかかるのに、あそこは大体四分の一くらいの輸送費で運んでこられるわけです。少なくとも北海道、九州よりもコストが千二、三百円安いといっても過言ではない。これは有沢調査団がビルドでいけ、会社は古河鉱業という日本有数の財閥会社、これがだめだということになって、あなたのほうも、そうかと言って、買い上げ申請に応ずるということになれば、もうこれから、日本の国で、石炭は基幹産業だとか、エネルギーだとか論議しても、これはむだだということになる。あそこがだめだということになればですね、もう会社が放棄したら、なんぼいろいろ政府が、野党がけんけんごうごうと言っても、会社がだめだということになったら、問答無益でから念仏になるわけですが、最後に、通産当局として、特に大臣にお尋ねしたいわけですが、まあ担当局長であるあなたにお伺いする以外きょうは道がないのでお尋ねいたします。あれを一体どういうふうに指導なさるか。あなたにお聞きしても確たる御答弁できなかろうと思うのですが、どういう方向に、まあ通産当局、特に石炭局としては持っていかれるか、もしお示し願えればお示し願いたい。これが最後の質問です。
  127. 新井真一

    政府委員(新井真一君) 前段の、五千五百万トンはもうだめじゃないかと、これは非常に重大なことでございまして、確かに三十八年度石炭鉱業としては一番きびしい峠を越しました関係上、人もかなり減っておりまするし、特にまあ三十九年度を見通しましても、そういった激動のあとを、どういう状況になるかという点については、私ども一生懸命この問題については注視をいたしておりまして、いろいろ対策を講じていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでありますが、結論として、一体、好間の問題を通産省としてはどう考えるか、どういうふうに指導するかという点でございますが、率直に申しまして、私どもまあ三十八年、三十九年、特に三十八年が少なくとも大手に関する限り四十二年へのいろいろな問題がもう出尽くしたと考えておったわけでございますが、このような問題が出てまいっておりますので、私どもはさなきだに石炭鉱業に対しましていろいろな見方がある最中でございますから、まことに残念なことだというふうに考えておりますが、しかし、さりとて高能率、高賃金に集約生産をやりまして、日本の石炭鉱業を自立させていかなきゃならぬ建前がございます。この件につきまして、いつまでも赤字の炭鉱を持っていけというわけにもいきません。そのあたりはどう判断するか、これからいろいろ審議会の御意見も聞きながら検討を加えてまいりたいと考えております。
  128. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五分散会      —————・—————