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1964-03-19 第46回国会 参議院 商工委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十九日(木曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君    委員            大谷藤之助君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            中田 吉雄君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    公正取引委員会    委員長     渡邊喜久造君    公正取引委員会    事務局長    竹中喜満太君    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業省重工    業局長     森崎 久壽君    中小企業庁長官 中野 正一君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省重工    業局電子工業課    長       吉岡  忠君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○電子工業振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案質疑を行なうこととなりましたから、御承知願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題とします。  先回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 中田吉雄

    中田吉雄君 ただいま議題となりました電子工業振興臨時措置法の一部改正法案ですが、法律上の用語ですがね、肥料に関する臨時肥料需給安定法、今度廃止になるんでしょうが、これは上に臨時というのがついておるんですね。この法案は、電子工業振興臨時措置法となっているんですが、これは法制的には、何かニュアンスに相違があるんでしょうか。劈頭についておるほうが臨時性が強いんですか。その辺は法制的な用語としてはどうなんですか。
  5. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 厳格な意味での法律的な使い分けはいたしておらないわけでございますが、従来この電子工業振興臨時措置法ができました前後におきまして、機械工業振興臨時措置法というふうな名称で、やはり同じような体系のものができておるわけでございまして、この電子工業振興臨時措置法につきましても、そういう観点から同じ表現をとっているものと考えております。
  6. 中田吉雄

    中田吉雄君 通産六法を見ますと、たくさん同じように、電子工業振興臨時措置法というようなのが大体の呼称なんですが、肥料だけは臨時というのが上について、やはりこれも期限が切ってあるわけなんです。その辺は、同じような体系のは、こういう戒名のついたのはたくさんあるんですがね。どういうわけで劈頭についているか。そういうことはやはりニュアンスが相当違うんじゃないかと思うんです。ところが、期限を切ってあるところを見ると、あまり変わらんじゃないかと思うし、その辺はどうです。
  7. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 通常、臨時措置法という表現を、下のほうにつけてございまして、御指摘のように、上につけておるものも幾つかあると思いますけれども、この点につきまして、特に法制上の使い分けはなかろうと私は思っておりますが、なおよく調べましてお答えさしていただきたいと思います。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 竹下次官にお伺いしますが、こういう臨時法といいますか、限時法は、法の運用上、まあどうせ延長すればいいというようなことで、いろいろ基本計画を立てたり振興計画を立てたりするのに、心がまえというものが、これは前の軽機械のときでもあったんですが、心がまえが、まあ少しルーズになるといいますか、そういうことはないものでしょうか。
  9. 竹下登

    政府委員竹下登君) 私も、限時法の場合においては、その時限の範囲内において、法律の当初の目的を達成するべく努力するということが本筋であると思います。それがゆえに、これはその観点だけから考えますときに、先ほどの機械工業と申せ、また今日の電子工業のこの法律と申せ、そういう批判を承る余地はあろうかと思います。しかしながら、この高度経済成長下における経済状態の推移というものに、非常な当初予期した以上のものがございますがゆえに、機械にいたしましても、電子工業にいたしましても、再延長という、それそのものから見れば、いささかていさいの悪い形をとって御審議をお願いいたしておるわけでありますが、この電子工業自体につきましては、確かに今日、七年間やってみました結果、大体研究から開発、それの工業化までに六、七年かかるという、体験上、一つのものがつかめてまいりました。そのことが一つと、そこで、今日、この法律等に作用されまして画期的発展を遂げました電子工業自体にいたしましても、これだけの輸出産業として発展を見ながらも、なお、民生用というものが輸出産業においても国内産業においても異常に発展をして、産業用がこれに非常な立ちおくれをもたらしておるということにおきまして、さらにこの産業用電子工業自体発展を期するということと、そしてアメリカにおいては、電子工業全般がなお急激な発展過程軍事目的等からも作用を受けましてやっておりますので、これにおくれをとらないという立場から、今度再び七年間の延長をお願いしたということは、それなりにやむを得ざる合理性があるというふうに認識をいたしております。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 その七年の問題は、あとでまた延長された期限の問題でお尋ねするとしまして、配付されました資料によりますと、この法律が制定されました三十二年ですか、生産が千六百八十三億で、三十八年に六千九百億になり、四倍になり、輸出が七十九億から千三百七十九億ですか、十八倍になり、輸入が八十億から五百十三億で六倍になった、こういうことですが、この法律が通りましてから、基本計画がいずれ立てられると思うんですが、この統計数字から見まして、一体今度は延長された間に、何を重点輸出をさらに伸ばしていくのか。あるいはかなりの額を占める輸入を押えるような方向にいくのか、目的を達する一体どこに具体的なポイントを置こうとしておるのか、いただきました資料で、そういうところをひとつ資料に基づいて、目的を達するポイントはどこかということを伺いたい。
  11. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 輸出を伸ばすか、輸入を押えるかというような御質問でございますが、われわれの今後の考え方は、まず輸出におきまして、現在日本瓶子工業は、何と申し上げましても、米国に次ぐところの成績を上げておりますので、有望なる輸出産業といたしまして、昭和三十八年三億八千万ドルに甘んぜず、さらにこれを増強していきたいというふうに考えておるわけでございます。その輸出の見通しといたしまして、非常に見込みのあるのと、それからどうも今後見込みのないものというふうに分けることは、現段階においては非常にむずかしゅうございますが、たとえばラジオ受信機等におきましては、いままでのような伸びではまいらないのではないか、もちろん伸びはふえますけれども輸出に対して従来のような飛躍的な伸びは見られないのじゃないか。むしろ最近起こっておりますように、テレビ、こういう方面あるいはテープ・レコーダー、こういうところは相当強い伸長をみていくのじゃないかと思います。さらにまた工業用におきましても、すでに現在電子顕微鏡におきまして輸出成績をあげておりますけれども、それ以外に、通信機関係がまだまだ将来見込みがありますし、また輸出の力としましても現在持っておるわけでございますので、そういう問題については、今後十分に輸出を進捗していきたいと考えておるわけであります。  また輸入防遏をどうするかという問題でございますが、御案内のように、現在電子工業におきましては、大半自由化をいたしましたけれども、なお工業用関係中心でございますが、まだ自由化をしていないものがございまして、こういうものが今後自由化されるということにもなりますと、相当やはり日本電子工業に弱みがございますので、入ってくるということが考えられます。現状におきましても、たとえば電子計算機等におきましては、相当やはり輸入圧力があるということでございまして、輸入防遏のためにもしっかりとした体制を今後講じていく必要がある。特に電子計算機、それからオートメーション関係のいろいろの装置、こういう問題につきましては、今後十分に輸入防遏のための努力をしてまいらなければならない。これを要するに、輸出輸入、両面にわたりまして問題が山積しておるわけでございまして、先刻政務次官が申し上げましたように、現在の民生用機器産業用機器というものに分けてみますと、日本電子工業の構造は民生用が重くて産業用がまだ軽いというところに問題がありまして、今後輸出促進並びに輸入防遏についても、やはり産業用にさらに力を加えて、そうして、理想案ではございますけれども、現在のポジションをちょうど逆転させるところまで持っていくというのがわれわれの理想でございます。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 いま局長は、民生から産業機器のほうに重点を置くということですが、電子計算機なんかはたいへんな輸入伸び率なんですが、大体これは延長した期限内にこれはほぼ防ぎ得るのですか、輸入はどうなんですか。
  13. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 御指摘のとおり、電子計算機輸入圧力といいますか、は非常に強いものがございまして、現在におきましても必要最小限度のものを入れておるわけでございますが、しからば、今後の延長期間内に電子計算機を完全に国産化に切りかえ得るかどうかという点につきましては、率直に申し上げまして、まだまだ電子計算機振興の途上にありまして、どこまでこういうものが伸びていくかという点につきましてはわからないわけでございますが、ただ申し上げられますことは、現在におきましても、小型の電子計算機、それから中型の電子計算機におきまして相当国産化が進められてまいっておりますので、これからの焦点は大型電子計算機を、どの程度まで対抗力をつけたものにするかというところに、問題はしぼられてくるわけであります。今後の発展いかんによりましては、どの程度電子計算機国産化が成功するかはなかなかむつかしい問題でございますけれども、ある一つ技術的な観点から考えて、今後大型化が進むにつれてやっておくべき問題をこの期間内に片づけておく、重要になる大きな問題は片づけておくというふうなことだけは、この延長期間内にはやれると考えているわけでございます。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 電子計算機の問題は、またあとでお伺いすることにしまして、今度の改正法案は、ただ期限延長するだけなんですが、この法案手直しをする必要はないものかどうかという問題なんです。昭和三十二年から今日まで七年間現行法が施行されまして、今回の改正案は単に期限を延ばすというだけですか。非常な目まぐるしいほどの技術革新を遂げています電子工業について、七年前と今日とちっとも変わっていないということは、どうもいかがなものかと思うんですが、ただ基本計画実施計画手直しで問に合うものかどうか。たとえば現行法——七年前に制定されました機械工業振興臨時措置法、これをモデルにして本法がつくられたんじゃないかと思いますが、これは三十六年には、合併等の場合の課税特例とか、工場用地の借りかえの場合の課税特例等から、そういうことの改正を含めての期限延長がなされているわけですが、そういう点で、やはりいろいろ電子工業の持つ特殊性から、そういう新たな事項を含んだ、期限だけでなしに、改正を必要とするんじゃないかと思うのですが、この点はいかがなものでしょうか。特に昭和三十七年の一月から六月にかけて、日本電子工業振興協会中心として、現行法の大幅な改正ということが新聞に伝えられたりしておったんですが、あの当時問題とされた点はどういう点であり、そういう必要はもうなくなったものか、それともそういうことは依然と尾を引いておるのか、今回の改正に際して、そういう点がなかったのは、どういう事情であるかということをお伺いいたしたい。
  15. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 三十七年一月から約半年間、電子工業振興協会中心になりまして、この法律の問題について運用上の反省と、今後どういうふうにやるべきかというふうな点の検討が行なわれたことは存じております。また、三十八年の秋にも、同じような観点からいろいろと論議されたことも私存じておりますが、そのときに議論されました点は、おおむね次のようなことではなかろうかということでございます。  第一は、試験研究促進観点から申し上げまして、現在やっておりますような研究補助金ということ以外に、研究準備金制度をつくりまして、常に研究がむらなく行なわれるようなことを考えたらどうか、それをこの法律に盛り込んだらどうかというふうな問題が一つ。それから輸出振興に関連いたしまして、輸出適格機種といったようなものを指定いたして、その量産あるいは合理化、こういったことについて、きめのこまかい体制をとってはいかがかというようなことも問題に出たと思っております。さらに先ほど御質問がございましたように、機振法の体系にならいまして、企業合併とか、工業用地買いかえとかそういった問題についての税制上の特別措置を法に盛り込んでみたらどうかということもございます。  そういう点につきまして、いろいろと私ども検討いたしたのでございますが、第一点の試験研究準備金制度につきましては、電子工業だけの問題ではなくして、他の重要な工業についても同様なことがいえるわけでございます。この電子工業というワクから離れて、研究準備金制度を創設することについて、大蔵当局その他と検討をしたわけでございますが、結論的に申し上げますと、準備金制度というものは、いろいろとむずかしい点があるし、実行上不便な点もある。今回これは見送りまして、今度の税制改正におきまして、研究設備特別償却制度ということによって、この問題を一歩前進させようということになりまして、そういう方向で一応説得したわけでございます。二番目の輸出振興について特別の機種を指定するということでございますが、電子工業はまだ新しい段階でございまして、輸出適格品目をいまここで選ぶことはどうかということでございまして、むしろ現在の法律のもとにおいて、そういうことも実質的にできるような方法を取ればいいのであって、特に法律改正する必要もなかろうということになったわけであります。それから第三の工場用地買いかえであるとかあるいは企業合併だとか、こういった生産体制の整備に関する税法上の特別措置の問題につきましては、機振法のほうではそういう改正を入れたわけでございますが、電子工業段階におきましては、現在観念的にそういうことはいえるのでございますが、実際の動きがあまりないということと、それからやはり一般機械に比べまして非常に伸びが高いけれども産業としてはまだ非常に若い点が残っている。したがって、そういう問題にまでいっていないということから、特にこの法律改正を行なうことを見送ったわけでございます。  そういうことで内容に変更を加えなかったわけでございますが、特にこの新しい事態が発生したというわけではなくして、現在の体系でもって電子工業振興させるということが、現段階における電子工業としては最も適切ではないかということで、改正を加えることについて、いろいろ検討はいたしましたけれども現行法そのままをお願いするということになったわけであります。
  16. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を止めて下さい。   〔速記中止
  17. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記を始めて。
  18. 赤間文三

    赤間文三君 このミシンとか双眼鏡が非常な発展をしたのも、この間、質問のあった軽機械法律ができたため、それからまた電子工業というものはこれからの工業で、非常に発展の途にある、これは非常に私は適切なものだとこういうふうに考えて、私は非常に賛成の意を表するものであります。こういうことの行き方によって、われわれがかつてもう考えていなかったミシンのようなのは、戦前においてはやっぱり針がうまくいかないとかいうので、どうも日本ミシンというのはやはりうまくいかぬのではないかということを、私は戦前機械課長時代には考えておったのです。それはもう驚くべき進歩をした。これは法律のできたためです。  それで、ひとつ私がお尋ねしたいのは、今度またひまなときに、こういう中小企業であるが、日本としてはもっとやっぱり力を入れようというような業種をひとつさらに研究を願いまして、他日、こういうふうな電子工業とか軽機械、こういう法の適用する品目をひとつ将来研究してもらいたい。この行き方によって、輸出振興をやるというのは非常におもしろくかつ適切である、こういうふうに考えるわけであります。そういうものについて研究されたことがあるかないか。また将来、特にひとつ日本中小企業のうちでいろいろと研究されて、品目を選び上げて、こういうものはこういう輸出振興ができるということについて研究されたことがあるかどうか。そういうことを承りたいのが第一点。  それからもう一つは、中小企業団体について、中小企業振興はぼくらは企業庁その他にいつも尋ねるのであるが、通産省としては、やっぱり企業庁中心であるが、ほかの局も中小企業庁と同じだけの力でやっぱり組織化とかあるいは金融の面とか、同じ力以上に原局も私はやられる必要があるのじゃないか。それは部局によると必要以上やられているところも多くありますが、どうも全体として見ると、やっぱり何か中小企業というと、中小企業庁中心のようなふうになっている。これはどうもどうかという私は気がするのです。そういう点から、まずわれわれの感じから言いますと、団体指導ということは、なかなか原局ではむずかしい点もあろうが、団体をやっぱりつくってそれがうまく育つということが、中小企業の一番私は大きな発展の道になると思うのです。ところが、過去の経験から言うと、団体をつくっても、たとえば掛け金を取ると掛け金出し損のような気がするし、どうもやってみたところが、何か一向利益が薄いじゃないかというようなことで、団体ありがたみが徹底を欠いているために、中小企業が私はどこの団体に加入したおかげでありがたい効果があったということについて——これはあなたの局ばかりじゃないのだが、あなたの局もあろうと思うが、団体を育成するということについて、各原局がもっと努力をされる必要があるのじゃないか。私はそういう気がするのです。それで、私も過去において団体をつくれと言うと、つくるのは上からおっしゃるなら、つくりますというのでつくったが、それがどうもありがたみがないということで、中小企業組織化の今日われわれの思うようにいかない一つの点じゃないか、こういうふうに考えます。なぜそういうことを言うかといいますと、原局も骨を折ってもらいたいと言うのは、なぜ言うかと言うと、その裏のもとは、やっぱり中小企業が大事だから通産省から独立さして中小企業省をつくったらどうかということで、われわれもその世話をする仲間が何かにちょっと入っておるのですが、これは私は、中小企業というものは中小企業庁だけでやっておったのでは意味がない。やっぱり中小企業庁と同じ力以上にやらなければ、ほんとうのあれが……。その辺がどうもまだあんまりない。こういうふうに私は考える。それでその団体をつくったら、団体がまことにありがたい、そうすれば、いろいろなくだらぬことが少なくなるのじゃないか、こういうふうに思うのです。どうも普通の団体——統制団体とか、そういうものは私はありがたいというわけにはいかぬと思うのです。統制というのは好かぬのが多いのだから、そんなものをみんながありがたがるような統制というのは、これはよほどのものでなければならぬ。割り当てとか、これはもうありがたくない。普通の中小企業団体は、やはり団体に入ったらありがたい効果があったとか何とか、こういうところにもっと力を通産省としては入れられたら、非常に中小企業一大振興になるのじゃないかと私は考えるのですが、以上の点についてもし政務次官——優秀な政務次官がおられますから、計数による必要はないが、お気持でもお話しを願えれば、非常にけっこうだと思います。
  19. 竹下登

    政府委員竹下登君) 第一番目の質問に対しては、私よりも局長からお答えをしたほうが正確であろうと思います。  第二番目の、ただいまの、原局と、産業別体系の中における中小企業、これらの団体、そしてまたこれと中小企業政策一般中小企業庁で把握しておる行政の面、これらの相関関係とでも申しましょうか、そうした点についての先生の御意見をまじえた御質問でありますが、私も先生考え方に同感であります。中小企業庁というものの中で指導等の面からの団体をとらまえていく面と、そして原局において、その産業の中に占める中小企業自体をとらまえていく面とあるわけでありますが、率直に申しまして、中小企業庁自体でこれをとらまえていく面は、そういう点からいえば、きめのこまかいところまで手の届くのは、やはり原局で、それらを把握していくということが一そう大切であると私も心得ております。そこで、そうした現局でこれらの実態を把握して指導するについて、絶えず中小企業庁と綿密な連絡をとって、それは多種多様にわたりますだけに、重工にいたしましても、あるいは繊維にいたしましても、軽工にいたしましても、そういう面のとらえ方をもっと掘り下げて、きめこまかくやっていくべきであると私は考えております。
  20. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 赤間先生の御質問の前半でございますが、私どもとしましては、御案内のように、中小企業業種別振興臨時措置法あるいは近代化促進法等によりまして、輸出適格性のある中小企業を伸ばす、あるいは輸出適格性のある機種を選んで推進するということは、十分に検討いたしておるわけでございますが、特に機械工業のごとき場合に、中小企業中心になるようなものが非常に多く、また、部品等におきまして、その部品が優秀でなければ、全体の機械というものがりっぱなものにならないわけでございますので、重工業局といたしましては、特にその点に対しては、中小企業とは連係をとりまして、十分の検討をいたしているわけでございますが、特にその場合には、中小企業連係をとる場合に、われわれとしましては、輸出関係技術の向上という観点を特に重視いたしまして、十分に連係をとっていくつもりでございますが、なおやはり御指摘のように、全般的にわたって、そういうものを調査してみるということも、今後は必要だと思いますので、御趣旨の線に沿いまして十分調査検討を進めていきたいと思います。  それからなお、団体をつくることによりまして効果があるような形にしたらどうかというお話でございますが、これはもう目に見えない形では非常な効果が出ておるわけでございますが、政務次官のおっしゃいましたこと以外に、一例をあげますと、電子工業関係で、抵抗器がございますが、この抵抗器などは、この法律ができました当時は、非常にごたごたしておったわけでございますが、抵抗器関係団体がまとまって、いま非常にいい抵抗器ができておりますし、またおかげさまで中小企業であったものが、いまや中小企業のワクをはみ出て、大企業とはまいりませんが、中規模産業にまで発展しているという実態も出ております。またミシンにつきまして例をあげますと、みんなが集まって規格を統一化したそれによって、輸出が非常に伸びたという、むしろ従来では規格はなるべく自分だけの規格で、一たん売ったところへ自分のものをさらに続けて売るというようなことを考えた人もいたわけでございますが、みんなが集まって同じような規格にしたために、かえって輸出が非常に伸びたというふうな、そういう実例はあると思います。今後ともいろいろとくふうしまして、団体のよさというものを生かしていくように努力したいと思います。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 この電子工業に関する本法は恒久法にしたらどうかという問題ですが、電子工業技術革新のテンポは非常に早く、たいへんなスピードであり、しかも、その進展はとどまるところなく進んでいると思うんですが、そういう点でなかなかこの期限を付すること自体が、非常に無理じゃないかと思う面もあるのですが、この恒久立法とせずに七年で期限を切った理由について、お伺いしたいと思います。
  22. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 現在の電子工業は、御承知のとおり、まだ発足いたしましてから、わずかな期間でございますので、電子工業発展促進のしかたといたしましては、材料、部品、それからセット、それから製品全般にわたって幅広い進め方をいたしまして、全体がバランスのとれた形で進めていくということに主眼点がございまして、そういう意味で、この電子工業振興臨時措置法が制定されたわけでございます。現段階におきまして、やはりいまと同じような形で総合的にこれを推進していくという形をとると同時に、特に今後これを恒久法ということではなくして、特定期間中に振興すればいいような基本的な問題だけを、そこでうまくとらまえていくという体系をとっているわけでございますので、これはしたがって長くこの法律の形そのままにおいて恒久法としていくという考え方はございません。  もう一点、御案内のとおり、この法律には、共同行為の指示という、独禁法上の例外規定がございます。そういう例外規定を設けて、臨時的にとにかく共同行為を必要とするものだけについて措置をしておく、そうして将来はそれがうまく進むという形をとろうという考え方でございますので、この二点から、われわれといたしましては、今後七年間の延長で、この法律はいいのではないかというふうに考えているわけでございます。
  23. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、このいただきました資料電子工業振興計画策定状況の中にありますが、第一号機種でかなり試験研究五年も六年も、まあ非常に長くかかっているわけですね。たくさんの機種試験研究からやって、第二号機種に移したりするのに、やはり大体七年間で、これはもう所期の目的を達するわけなんですか。
  24. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) この振興計画の策定状況から判断いたしまして、将来とも長くこういう研究が継続し、また一号機種が二号機種に移り、もちろん二号機種が三号機種になったりする、そういうことならば、この法律は恒久的性格を持つのではないかというふうな御質問であると思いますが、この一号機種が必ず二号機種、三号機種ということにいくのではなくして、一号機種が終われば、二号機種、三号機種にしなくても、そのままはずす場合もございますし、また二号機種段階で片づくものは三号機種にしないというふうなものもございまして、必ずしも一号機種になったものが三号機種の最後まで三号機種を見届けるというふうな形はとっておりません。そしてここに選びました一号機種、二号機種、三号機種については、いずれもここ七年間の間に問題を解決すれば、今後は、重要ではありますけれども、その応用の形で推進し得るものでありまして、現在のこの法律体系でこれを進める必要はなかろうと考えているわけであります。
  25. 中田吉雄

    中田吉雄君 次官も言われたのですが、民生用機器から産業用機器重点を移すというのですが、そうしますと、それはもうただいま局長の言われたような趣旨で、六年とか八年で、大体七年間で所期の目的を達するのですか、産業用機器について。その点はどうですか。
  26. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 電子工業生産の見通しにつきまして、われわれ内部でいろいろと年次計画的なものを策定しているわけでございます。現在ございますのは、五カ年計画といたしまして、昨年開かれました産業構造調査会におきまして検討され、また電子工業振興協会の意見も入れまして作ったものがございます。それは昭和四十二年まででございますが、われわれとしてはさらに作業を進めまして、これをもう少し先まで延ばしていって、ちょうど先ほど申し上げました産業用民生用とのバランスのとれるようなところを拾ってみますと、七年前後はどうしても必要であるという結論になっているわけでございます。
  27. 中田吉雄

    中田吉雄君 次に、本法の大きな柱の一つでありますカルテルの条項がまだ一つもこれまで発動されていなかった問題ですが、この法案を見ましても、第一には電子工業のうちで試験研究生産の開始、生産合理化促進する必要な機種を政令で指定しまして、おのおのについて振興のための基本計画実施計画を定め、そして研究補助金、融資、税制などの措置を講じまして、計画を達成することと、第二は生産合理化を達成しますために必要な場合には、第七条ですか、生産品の制限等のカルテル行為を通産大臣の指示によって実施することができるというふうになって、この二つが大きな柱ですが、この第二のカルテルについて、本法が施行されましてから七年間、期限が切れる現在まで一つもこの条項が発動されていないわけですが、法の制定当時は必要があったのだと思うのですが、これはどういうわけでしょう。実は第二十六国会でこの法律案が提出されました際に、その際に、この法律は独禁法の適用除外以外はほとんど行政措置で間に合って、こういう必要はないのじゃないかというようなことがあって、そういう疑問も出ておったのですが、そうしますと、あらゆる場合を法案では予測して織り込んでいくことが必要だったと思うのですが、見通しが甘かったといいますか、そういう独禁法が発動されないほうの除外例はいいわけでしょうが、これは一体どういうわけでしょうか。あるいは近くカルテルができるのじゃないかというようなうわさも聞いていますが、いかがでしょうか。
  28. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 率直に申し上げますと、制定当時のわれわれの見通しが少し狂ったと思います。制定当時共同行為の対象として考えられておりました例といたしまして、たとえば受信用の電子管、こういうものにつきましては、生産品種及び品種別の生産数量の制限をすぐにでもやるというような心組みでおったわけでございます。あるいはまたゲルマニウムのくずを買い集めるのに、非常に少しずつの発生くずが出ましたので、それを一括して購入するということをやって合理化を進めていくということも考えていたわけでございますが、実際上、電子工業発展状況をながめてみますと、発展の過程が非常に次から次へと進んでいったということでございまして、電子管の場合におきましても、当時考えられておりました以上に、トランジスタが非常に発達して参りました。電子管自身を品種別生産数量の制限までやって、これを考えていくというよりも、むしろトランジスタの発展状況を見て、共同行為の必要性というものを、その段階において検討するという格好になったわけでございます。またゲルマニウムくずの一括購入につきましても、トランジスタの生産量が飛躍的にふえたために、単にくずを集めるというだけのことではなくして、直接二酸化ゲルマニウムの輸入にたよることのほうが、ずっと量産効果も出るということになりまして、こまごまとしたくずそのものの一括購入という構想も現在なくなっております。現在はくずが出ましても、ごくわずかな発生くずでございますので、自分の工場で処理して輸入の原料と一緒に使うという状態でございまして、これを要するに、電子工業発展の過程が次から次へと続いたために、共同行為を指示することによって、むしろ技術的な変革をチェックするという心配をしたわけでございます。共同行為をやることによって、かえって新しい製品の芽をつむようなことになってはまずいと考えて、今日まで至ったわけでございますが、いまの段階において考えてみますと、これからが共同行為の対象として考えるものが出てくるということになっております。  一例をあげますと、同じ電子管でも先ほど申し上げました受信のための電子管ではなくして、送信管として特殊のものがございますが、こういう特殊の電子管につきましては、日本では多種少量生産でございまして、なかなかこれを合理化することがしにくい。で、外国からの輸入が相当あるというものがございますが、こういうものこそ、今後生産品種あるいは品種別の生産数量の制限を加えて、個々に自分のお得意とするところの規格の電子管を量産体制に持っていくという必要性が出て参りました。また、電子計算機におきましても、電子計算機そのものはまだまだ発展いたしますけれども、それに使いますところの入出力装置につきましては、比較的互換性のあるものでございまして、カード・リーダー、カード・パンチャーにつきまして共同行為をやろうじゃないかという機運も出ておりますし、われわれもこれが必要であると考えているわけでございます。その他部品材料の購入方法等につきましても、ゲルマニウムくずということでなくして、タングステン鉱だとかあるいはモリブデン鉱だとか、こういった輸入の面において共同行為の必要性が今後出てくるのではないか。要は七年間はそういう目ざましい技術発展のために、共同行為を見送っておったわけでございますが、今後の七年間においては、この条項は非常に役立ってくると考えているわけでございます。
  29. 中田吉雄

    中田吉雄君 次に、このいただきました電子工業振興計画策定状況というのがあるのですが、電子機器は、この法律試験研究の第一号機種生産開始の第二号機種生産合理化の第三号機種段階的に分かれているのですが、非常に技術的なことで、一号から二号、二号から三号と進んでいく推移というふうなものが、しろうとで不案内なんですが、この関係はどうですか、資料に基づいて少し説明して下さい。
  30. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 私からお答え申し上げます。先般お配りいたしました資料では、ちょっとわかりにくいのでございますが、ただいま御質問いただきました、試験研究を推進すべき機種といたしましての一号機種から、生産を開始または拡大をいたす必要のあります二号機種、さらに生産合理化を進めます必要のあります機種といたしましての三号機種、こういうふうに動いてまいっております例を若干申し上げます。  まず、計数型電子計算機について申し上げますと、これは昭和三十三年に、この法律制定されました翌年でございますが、一号機種に指定いたしまして研究を進めてまいっております。三十四年には、この電子計算機のうち、特に高性能のもの、性能の高いものを一号機種に残しておりまして、今日までずっと研究促進させている、こういう形になっております。ただ、三十四年には一号以外のいわゆる普通の性能のものの電子計算機につきましては二号に移しておりまして、これは昭和三十八年まで二号の形で残してございます。その途中におきまして、昭和三十六年に、普通の電子計算機の中の入出力装置につきましては、生産合理化促進させる必要があると、こう判断をいたしまして、昭和三十六年に入出力装置のみを三号に移しております。これが一つの例でございますが、そのほか、自動制御装置につきましては、昭和三十三年に一号機種に制定をいたしまして——これは荷性能のものでございます。そのうち、研究段階が比較的少ない電子式の自動調節計につきましては、同じく昭和三十三年に第二号に移しております。同じようなものでございますが、一つのものについて、ある部分は一号に、ある部分は二号に指定いたしております。これは三年たちました昭和三十六年に三号機種に移しまして、昭和三十八年まで生産合理化をはかって目的を達しております。それから高周波測定器につきましてもほぼ同様でございまして、昭和三十三年に高性能のものを一号に指定をいたしまして、そのうち一般的なものを昭和三十五年に三号機種に移した、こういう推移をとっております。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 この電子計算機ですが、これは大体もう三十九年でこの第一号機種段階は済むのですか。どうなんですか。
  32. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 計数型電子計算機につきましては、現時点におきましてもますます大容量のもの、あるいは型といたしまして小型のもの、こういったもののほうに進んでいくように私ども考えておりますが、この法律昭和三十九年の六月で御存じのとおり切れますので、一応三十九年までの基本計画を立てまして、その後は、もし延長していただくという形になりますれば、さらに新しい計画を立てたいと思っております。
  33. 中田吉雄

    中田吉雄君 この本法の第三条の第一項第三号ですが、「その他生産合理化」という問題ですが、この第三号機種は、「性能又は品質の改善、生産費の低下その他生産合理化を特に促進する必要がある」ものということになっているのですが、「その他生産合理化」というのは、これは一体——実はお尋ねしますのは、これは合理化が開銀の融資の対象になっているものですから、この「その他生産合理化を特に促進する」というのは、これはどういうことですか。
  34. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) たとえば不良率の低減、オシャカになるものの率の低減でございますが、そういう問題とか、あるいは電子関係はだんだん小型化していく傾向がございますので、小型化していくということの一つの見通し、こういうことを考えているわけでございます。現にいままでもそれをやってまいりました。たとえば不良率の低減につきましては、水晶振動子について三〇%以下に不良率を下げる。マイクロ・スイッチにつきましては一〇%以下に不良率を下げるという目標をきめまして、現在その実績は、それよりもさらに不良率の低減がはかられているという状態でございます。小型化につきましては、継電器について、その当時の大きさよりも、同じ性能で三分の二以下にすべきであるというきめ方をいたしまして、そういう方向促進されているような状態でございます。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 次に、振興基本計画ですが、このいただきました資料によりますと、振興基本計画のうち第一号機種については、改をマルで囲んだのを見ますと、昭和三十五年の改定以来手が加えてないようであります。電子工業技術の急速な発展、あるいは新技術の導入、新製品の開発等が非常にいちじるしいものがあるという説明からいたしますと、むしろ年々改定されてもいたし方がないと思われるのですが、これが昭和三十五年に改定されて以来全然手が加えられていないということは、これは基本計画が非常に完璧なものであったともいえるのでしょうが、これはいかがなものでしょうか。
  36. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 第一号機種と申しますのは、試験研究を進推すべき機種でございますが、この法律制定当時から、この機種を掲げまして基本計画をつくっておったのでございます。たまたまこういう思いつき——と申しますと語弊があるかと思いますが、その年その年にいろいろ見返し見返りながら進むということはぐあいが悪いじゃないかということで、昭和三十五年に、振興試作五カ年計画というものを実は立てたわけでございます。準備には一年ないし一年半かかったわけでございますが、この試作五カ年計画と申しますのは、三十五年度を初年度といたしまして、三十九年を最終年度といたします五カ年間に、どういう機種につきましては、どのように試験研究を進めるべきかという大綱をきめたわけでございます。あらわし方につきましては、御指摘のとおり電子工業というのは非常にスピードの速い工業でございますので、こまかい点については触れてございません。比較的抽象的な表現になってございますが、一応三十五年におきましてはこの程度まで、三十六年におきましてはさらに高性能のものというふうに、比較的抽象的な表現ではございますが、一般的に立てたわけでございます。これに基づきまして、毎年実施計画を立てるたてまえになっておりますが、実施計画の場合におきましては、非常にこまかい数字を使いまして、目標をはっきりさせました計画を立ててございます。したがいまして、基本計画のほうは変える必要がなかったわけでございます。その実施計画において、こまかい点を規定いたしております。
  37. 中田吉雄

    中田吉雄君 次に、この配付されました資料の資金の問題です。この法の第六条によりますと、資金の確保はこれまで開銀の特別融資一本でやっているようですが、いただきました資料から見ますと、六千九百億円の生産があるわけなんです。それに比べると開銀の二十三億という本法制定以来の融資額は、その生産額から見て、たとえば倉庫とか−私も開銀の問題には若干融資等についても調べてみたんですが、ホテルとか、そういうものに比べてみますと、六千九百億円という生産に比べると、二十三億という開銀の誘い水のような融資というものが非常に少ないように思うんですが、これは一体、電子工業全体に対する投資額の二十三億というものはどの程度を占めるものですか。
  38. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 全般の開銀融資の常識から考えて、電子工業に対する融資実績は低いのではないかという御質問だと思います。電子工業はその性格によるわけでございますが、あまり大きな設備投資の要らない産業でございまして、この開銀融資の内容を見ましても、測定の機械とかあるいは検査装置と、こういったわりあいに金のかからないもので、しかも非常に企業にとってはほしいというところに、十分の厳選をいたしまして融資した結果、金額的には御指摘のとおりわりあいに小さな金額になっているわけでございます。なお、開銀融資をいたしますときに、私どもは土地建物に融資をいたすことはやめまして、そういう、設備でも非常に特にほしい設備に限って融資したというのも、金額の少ない理由の第二点でございます。第三点といたしましては、大企業——非常に巨大な企業がございますので、そういう企業に対しましては開銀融資を極力避けまして、中規模産業並びに中小企業というところに重点を置いたということが、金額的にわりに少なかったということだと思います。ただ、この開銀融資の質的な問題でございますが、金利は六分五厘という特利を適用いたしまして、有効に使っているつもりでございます。なお、御参考までに申し上げますと、融資金額昭和三十二年から三十八年まで二十三億円でございますが、これを中小企業と大企業に分けますと、件数におきまして四二%が中小企業に、大企業は五八%、金額的に見まして中小企業は二八%、大企業七二%というオーダーでございます。大企業と申しましても、五十億以上のような大企業に対してはごくわずか、融資件数にいたしまして二件融資したにすぎませんので、中規模産業的なところに重点が置かれていると見ていいのではないかと思っております。
  39. 中田吉雄

    中田吉雄君 開銀融資はおしなべて私の調べた範囲では、むしろ資金調達能力の多い大企業重点的に——特にホテル、倉庫というようなものを見ましても、非常にそういう資金調達能力の多いものに、べらぼうに融資をするということですが、ただいま局長の説明では、そういうところを避けているという点は、非常に私、けっこうだと思うのです。たとえば清水谷の参議院宿舎の前のホテル・オータニというような、調達能力が十分あるものに、なかなか大きな開銀融資がついているのなんかに比べると非常にけっこうだと思うのですが、まあ、二十三億は全体のこの電子工業の投資の何%ぐらいになるのですか。
  40. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 三十二年から三十八年までの電子工業の設備投資の実績は、約千八百億円と推定されますが、それに対する開銀融資二十三億でございます。一・五%弱に当たると思います。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは本法が施行されて以来、二十三億で七十一件と、いただいた資料になっているのですが、この七十一件に対して二十三億ということは、設備投資の何%ぐらいになっているのですか。大体ホテルとか倉庫というようなものは、設備投資の二割見当を中心にして出されているようですが、これはどの程度になるのですか、該当した七十一件に対して。
  42. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) ちょっとデータをいま持ち合わしておりませんが、この特定の開銀融資の対象にいたします指定機械の五〇%融資でございますので、土地、建物その他を入れますと、三分の一ないし四分の一ぐらいのところに当たるのじゃないかと考えております。
  43. 中田吉雄

    中田吉雄君 そういうものを入れれば大体普通のとあまり変わらぬじゃないかと思うのですが、これは六分五厘ということですが、据え置きとか期限はどうなっていますか。
  44. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) これは内容によって非常に違っております。平均いたしますと、三年据え置きで五年間で返済するというのが、大体の平均でございます。
  45. 中田吉雄

    中田吉雄君 この法律の適用によります資金は、「実施計画の定める電子工業合理化のための設備の設置に必要な資金」、こういうふうになっているのですが、合理化のための設備の設置に必要な資金ということですが、これはあまり資金ワクも少ないので、そういうふうに限定されたのじゃないかと思うのですが、現行法が出された当時、衆議院で審議されました際には、衆議院の商工委員会におきまして「合理化資金のみならず、製造技術の向上、新規製品の工業化及び検査設備等、電子工業振興に必要なあらゆる資金の確保に努めること。」というような附帯決議がつけられて本法が通っているように思うのですが、この点はどういうふうに生かされていますか。法律の規定どおり合理化資金のみだということになりますと、この機械工業振興臨時措置法の規定と全く同じ、これにも合理化資金というふうに規定しているのですが、そういうことと考えますと、電子工業についても、もしこの趣意が生かされていないとすれば、機械工業一般ということの合理化資金で十分じゃないかと思うのですが、どういうふうにお考えですか。今回は、法の改正には、合理化以外の資金についての改正もないようですし、その点はいかがですか。
  46. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 衆議院商工委員会での附帯決議は、「あらゆる資金の確保に努めること。」ということでございますが、御指摘のとおり、合理化資金を日本開発銀行に期待する以外に、今日までやってまいりましたのは、同じ日本開発銀行ではございますが、新技術工業化融資というものがございます。これも使いました。また輸出産業に対する融資という制度もございますが、これも使ったわけでございます。なお、地方開発にも役立つという意味におきまして、電子工業は非常な役割りを果たすものだと考えますので、同じく開発銀行によるものとして、開発銀行の地方の企業への融資という制度も活用いたしてまいりました。北海道東北開発公庫による融資も若干受けたことがございます。なお、電子計算機工業の育成のためにメーカー七社の共同設立によりまして、日本電子計算機株式会社をつくりまして、これに対しても二十七億の開銀融資をしているという実態でございます。
  47. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、そういうふうにあちこちあげられたのを合計して二十三億ですか、それはどうですか。
  48. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) これは、二十三億は合理化融資だけでございます。
  49. 中田吉雄

    中田吉雄君 この開銀の融資以外に、商工中金とか中小企業とか、いろいろ政府関係機関の融資があると思うのですが、そういうようなのはどうなっておりますか。
  50. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 私どものほうで直接タッチしたものはございません。地方的な問題として解決しているものはあると思いますが、直接私のほうでタッチしたものはございません。
  51. 中田吉雄

    中田吉雄君 時間がありませんので、次に、労働力の確保の問題ですが、いただきました資料を見ましても、この法の適用された当時は、千六百八十三億円の生産額であったのが六千九百億になって、生産は四倍になっておる。電子工業の従業員数を見ますと、十四万人であったものが三十六年までに三十六万で、これは非常に三倍近くも従業員がふえて、わりあい生産性が上がっていないように見えるのですが、非常にこの所要労働力が——あと電子工業の規模別企業数を見てもうなずけるのですが、非常に労働力の問題がやかましいのですが、これはやはりもっと生産性をあげていくことはできるものですか、やはり電子工業の性質上、こうならざるを得ないのですか。
  52. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 御指摘のとおり、他の産業に比べまして電子機器関係生産性はあまりあがっておりません。確かに御指摘のとおりでございますが、この問題につきましては、やはり振り返って考えますと、電子工業の進歩が激しくて、とにかく人の手を借りて物を製品化していくという傾向にあったことと、それから逆にそれを申し上げますと、機械化するための踏み切りがつかなかった。この製品ならばもう将来マスプロに乗せてもいいという決断がつかずに、つい人手にたよる機会が多かったという反省がされるわけでございます。今後はいわゆる頭脳的な製品を頭脳的な方法でつくるという方向に向かわなければならないと思いますので、今後の生産はやはり機械的な手法による生産体系に移っていくのが今後の姿だと考えております。
  53. 中田吉雄

    中田吉雄君 このいただきました「電子工業の展望」という日本電子工業振興協会資料を見ますと、主要工業従業員一人当たりの年間生産額というのを見ますと、全製造工業が二・八で、繊維産業に次いで——繊維産業が一・九、電子工業が二・二で、最も一人当たりの生産額が少ない繊維産業に次いで非常に少ない。しかも六千九百億の生産額がある。これはやはり非常に多くの問題をこういう点含んでいると思うのですが、この点いかがですか。
  54. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 御指摘のとおりだと思います。繊維産業電子工業は似通っているという点も、現在の形において否定できないと思います。たとえばトランジスタを同じつくるにしましても、手先の仕事、そういった仕事にたよってきた点から考えますと、工場の現場を見ましても、非常に繊維産業に似通っているわけでございますが、われわれも電子工業についてはまだまだ希望が持てるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、ある時点に来て量産がし得るという自信がつくならば、これを機械化していく、あるいは自動化していくということによりまして、この生産性は今後ますます上げていくことができると思います。したがいまして、先ほど先生から御指摘がございました開銀融資のワク等につきましても、従来のように計測機器類とかあるいは検査装置ということにのみ融資をするという段階から、漸次そういう機械化の方向に対する融資ということになってまいるかと思いますので、その意味におきましては、開銀融資の金額全体につきまして相当今後はふやしていかなければならぬ、またわれわれとしても重点的にそういうことを考えていかなければならぬというふうに考える次第でございます。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 この繊維産業等では若年労働者が非常に不足しているというようなことがあるのですが、電子産業ではそういうことはないのですか。また、そういうことと関連して、電子工業に関する企業の地方誘致というようなことが言われているのですが、そういう関係はいかがですか。
  56. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 御指摘のとおり、繊維産業と同じように若年労働者の不足ということは顕著に出ております。したがいまして、今後労務対策の一環として、また地方産業開発の一環といたしまして、電子工業の地方分散ということも考えていかなければならないかと存じております。現在におきましても、かなり地方分散は進んでおりますけれども、将来の課題といたしまして重要な問題かと考えております。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 このいただました表のさきにあげました電子工業規模別企業数を見ますと、全体の企業数が二千九百五十二ありまして、四人から九人までが五百九十七で二〇%、十人から十九人までが七百七十六企業があって二六%、ですから十九人以下が大体この半数を占めるということは、これはやはりいろいろ中小企業等協同組合をつくるとか、いろいろ企業合同をやるか、やはり相当もう少し経営規模を大きくする必要があると思うのですが、これは三十六年の統計ですが、これは年次別の推移は、最近の傾向はどうなっておるのでしょうか。
  58. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 従業員別の企業数につきましては、現在のところ一番新しい工業統計として三十六年でございますので、その後の推計はまだいたしておりません。ただ形勢的に申し上げられることは、逐次従業員の数もふえ、企業のサイズも少しづつ大きくしていくという形はとっていると思います。いままでの中で二、三例を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、当初この法律ができましたころには、当時の法律にいうところの中小企業——資本金一千万未満の中小企業でございますものが、現在それが育ちまして三千万になった会社とか、あるいは大きなものは一億円まで大きくなった会社もございます。そのような実績から考えましても、漸次企業のサイズは大きくなってきておるというふうに考えております。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 この研究補助金の問題ですが、この鉱工業試験研究補助金交付の実績を見ますと、電子工業については昭和三十八年度で三億五千三百万円で、これは鉱工業試験研究補助金の総額七億一千万円のうちで五〇%以上を占めておるわけですが、このことは、鉱工業技術試験研究のうちで、電子関係が件数は非常に多いということと、また重要視されているというようなことと関連していると思うのですが、資料によりますと、補助金は年々ふえているのですが、三十九年度は、これはどういうふうになるのですか。
  60. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 三十九年度の予算で現在御審議を願っておりまする予算額は、鉱工業技術研究補助金としまして七億八千六百万円であります。そのやはり二分の一が電子工業に割り当てられるという予定をいたしております。
  61. 中田吉雄

    中田吉雄君 この補助金の配分の基準はどういうふうになりますか、大体の。それと、この規模別のこれまでの関係から見てもいいのですが、中小企業と大企業とどういうふうな配分になっていますか、そういう点……。
  62. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 補助金の配分の方針でございますが、第一義的にはまずこの法律に基づく実施計画に基づきまして一号機種重点的に補助していくという考え方でございます。たとえば電子計算機とかあるいは部品、こういったところに重点を置いております。中小企業、大企業をどういうふうに割り振るかという御質問でございますが、この点につきましては、あらかじめ中小企業、大企業というふうな分け方ではなくして、技術そのものに即して配分をいたしておるわけでございます。ただこの実績をいまここに持っておりますので申し上げますと、次のような形になると思います。これは最近三カ年間の集計を前提にいたしてその割り振り状況を見ますと、便宜上資本金二十億円以上のものを大企業と称し、資本金五千万円以上二十億円未満、これを中堅企業と称し、それ以下の、五千万円以下のものを中小企業と考えますと、大企業が三・五、中堅企業が三・五、中小企業が三という形のパリティになっております。これを金額的に見ますと、大企業が五、それから中堅企業が三、中小企業が二という計算になるかと思います。
  63. 中田吉雄

    中田吉雄君 このいただきました資料によると、昭和三十八年度三億五千三百万で五十八件なんですが、これは一番大きい補助金は、一件としてどういう何ですか、額……。
  64. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 三十八年度で電子関係といたしまして最も多額の補助金を出しましたものは、大型電子計算機研究組合に対します大型電子計算機研究に対してございまして、額は一億二千万でございます。
  65. 中田吉雄

    中田吉雄君 それは研究団体ですか。もう少し具体的に……。
  66. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 鉱工業技術研究組合法という法律に基づきまして設立されております大型電子計算機研究組合でございます。
  67. 中田吉雄

    中田吉雄君 それはどこが中心ですか。どことどこが……。
  68. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 現在のところ三社から構成されておりまして、富士通信機製造株式会社、日本電気株式会社、沖電気株式会社、この三社で現在結成されております。
  69. 中田吉雄

    中田吉雄君 この技術の導入と国内研究との関係ですが、一九六三年の外資導入年鑑によりますと、昭和三十六年の三月末現在の調査で、過去十一カ年間に全生産伸び率は二一%の推移でございますが、導入技術生産の年間の平均伸び率は七二%ということで非常に高いわけであります。この導入技術生産が高度経済成長政策の大きなささえになっているのですが、技術導入が導入企業の売り上げや設備投資面でどれほどのウエートを占めているかを見ますると、売り上げでは技術導入のウエートが年々ふえまして、三十五年度では約三〇%が技術導入に関連する売り上げであることがはっきりしているわけであります。このことは導入企業が売り上げに対して非常に大きい役割を果たしておることを示しているのですが、こういうことは国内の技術研究といいますか、試験研究促進を非常に圧迫する結果になると思うのですが、この点、電子機器工業についてはどういうふうな傾向になっていますか。一般的には、導入年鑑ではそういうふうに非常に経済成長の大きなささえになっておるのですが、そういうことが、手っとり早く技術導入をして、基礎的な試験研究を怠るというふうな、圧迫にもなると思うのですが、電子工業ではどういうふうになっておりますか。
  70. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 電子工業の場合も、ほかの産業に比較いたしまして、算入数は決して少ないほうではございませんで、むしろ、件数からいいますと、石油化学工業と同じようなウエート、すなわち、全産業の総件数の二割程度のものが技術導入になっておるわけでございますが、ただ、その内容は、化学工業のような場合と違いまして、製造方法そのものの技術導入は非常に少ないわけでございまして、むしろ特許が中心でございます。この特許契約が多いということは、わが国の電子工業が戦後しばらくの間空白であったということによりまして、その間に海外でいろいろと特許を取得されたという点がございまして、この特許料を払わなければならないというところに、電子工業の問題がございますけれども、逆に、製造方法そのものの技術まで導入するという点は比較的少ないというのが電子工業の特色であると思います。  特許料をどのくらい支払っているかということでございますが、外資法制定以来、昭和二十五年でございますが、それ以来、特許全体の件数は四百十件でございますけれども、これは全産業技術導入件数の二〇%になっておりまして、特許料そのものは、三十八年の実績で申し上げますと、九十億円を支払っているわけでございます。一例をあげますと、テレビジョンの受信機につきまして、セット出荷額に対して二%程度の特許料に当たっております。トランジスタラジオにつきましては、出荷額の一・三%程度のものが、平均して、特許料となっているわけであります。  なお、技術開発を阻害するのではないかという御質問でございますが、いまのように、製造方法そのものの導入という点はわりに少なくて、特許の問題でございますが、幸いにしまして、電子工業の場合は、比較的その特許が商品として流動性がございまして、わりあいに特許が安くなっております点がありますので、研究そのものを阻害するということにはならないと思っております。今後この問題につきましては、わが国独自の研究開発を推進するということと、また、先ほど申し上げましたように、内外の特許を商品としまして流動化させていくということが大切でありまして、特許を買うけれども、こちらも特許を売る、いわゆるクロス・ライセンス方式をとることによりまして、研究開発の問題と特許の問題を解決していきたいと考えているわけであります。
  71. 中田吉雄

    中田吉雄君 特許を売るというようなことを言われたのですが、日本人で外国に取得している特許の数、あるいは国内の特許のうちで日本人のものと外国人のものの数の比率わかりましたら、ひとつ……。
  72. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 特許関係の統計が、電子工業といたしまして、そういう項目を設けましてやっておられない状態でございますので、明確なはっきりした数字はちょっと申し上げかねまして、若干推定が入るのでございますが、まず特許の出願状況について申し上げますと、これはわが国におきまして、内外人合わせまして、毎年五万件から六万件の特許の出願が行なわれております。このうち、電子工業関係では、それの約一三%に当たります。千件ないし八千件のものが毎年出願されております。このうち、外国人の出願は約二千件でございまして、内国人それから外国人の比率は、外国人が約二八%、三分の一弱、こういう形になってございます。これが特許の出願状況であります。  次に、登録状況でありますが、外国から出願してまいりますものが、わりあい粒がそろっていると申しましょうか、これぞと思うものを出願してくるように考えられますので、内国人の出願をいたしまして登録になります率よりも、外国人が出願をいたしましてそれが登録になる率のほうがやや高うございまして、したがいまして、登録の全体から申しますと、年々約一万五千ないし二万件の登録が行なわれておりますが、電子工業につきましては二ないし三千件、これは全体の一四%に相当いたします。これが登録されております。で、外国人の占める率といたしましては三二%程度になっております。  三番目に、一番問題になりますのは、現在特許権として存在している権利数は幾つあるか、こういう問題でございますが、全体の権利数は三十七年末で九万八千件に及んでございます。これは産業全般でございます。このうち外国人は三万二千件、約三分の一でございますが、電子工業関係といたしましては、全体九万八千件のうち、一万四、五千件ぐらいが電子工業であろう、こういうふうに考えられます。このうち外国人はやはり約三分の一の五千件くらいと推定されます。これに対しまして、日本人が海外への特許出願の状況はどうであるかということでございますが、全般で申しますと、昭和三十五年が三千件、三十六年が四千五百件、三十七年が五千二百件、この三カ年を合計いたしまして一万二千七百件程度を海外に出願をいたしております。電子工業についていいますというと、これは統計上不備でございますので、主要の会社に問い合わせまして集計をいたしましたものでございますが、昭和三十六年から昭和三十八年の三カ年に一千六百件の特許を海外に出願をいたしておりまして、そのうち特許権として確立いたしましたものは約四百件でございます。
  73. 中田吉雄

    中田吉雄君 三十八年度の九十億と言われたのは、特許料その他ですべての導入技術の全額ですね。九十億円も一年間に技術導入に対する支払いがあるのですが、こういう点から考えても、やはりもっと研究投資を重要視する必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、調べてみますると、わが国の場合は、国と地方公共団体研究投資全体の二六%しかやっていないわけであります。米国では六割五分、イギリスでは六割七分、西独では五割五分、こういうような比率で、これは軍需産業も含まれていますから、一律にはまいりませんが、そういう点から、電子工業だけでも九十億も支払っているんですから、政務次官とされては、国の政策として、国際収支の改善の上からいっても、もっとやはりこういう部面を重要視する必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがでしょう。
  74. 竹下登

    政府委員竹下登君) その点に関しては、中田先生の御意見と私も全く同感であります。その方向努力をささげたいと思います。
  75. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろこの点について試験研究の問題を質問したいのですが、時間もありませんが、この九十億というのは、日本が払う導入技術に対する全体のどのくらいの比率になりますか。
  76. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 三十八年度の実績で考えますと、全体が確か四百五十億円程度だと思いますので、約二割に当たると思います。
  77. 中田吉雄

    中田吉雄君 わかりました。最後に、ちょっと時間がありませんので、来週にあるいはちょっと試験研究の問題をやるかもしれませんが、電子計算機の問題について少しくお尋ねしたいと思うのですが、このいただきました産業構造調査会の重工業部会の電子機器小委員会の中間報告を見ますと、世界のおもなる国の電子計算機生産輸出輸入を見ますると、アメリカは別にしまして、日本は非常に輸入がけたはずれに多いように思うのですが、実際電子計算機は入れますと、どれほど計算を正確に、スピードアップし、労力の節約等にもなるものでしょうか。一体その関係はどうですか。それと現在まで使用されている電子計算機の台数と国産品と輸入の台数ですね。このうち官公庁ではどういうふうになっているかというような点をお伺いしたいと思います。
  78. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 輸入量が非常に多い点は御指摘のとおりでございます。日本は比較的世界的に考えましても電子計算機の需要の多い国でございまして、それだけ産業発展産業における電子計算機の浸透が盛んな様子が伺われると思います。現在設置されております電子計算機の台数は全部で七百三十一台でございまして、そのうち国産が四百四十六台、輸入が二百八十五台でございます。先ほども申し上げましたように、国産で使っておりますのは主として小型、中型ということでございまして、輸入の場合にはやはり大型が入っているわけでございます。これを需要者別に設置状況を調べますと、ちょっと統計数字が狂いますけれども一般の需要としまして六百十五台、官公庁需要としまして百十三台、合計七百二十八台、ちょっと計数が狂いますけれども、そういうふうなプロポーションになっております。
  79. 中田吉雄

    中田吉雄君 このいただきました資料によると、フランスや西ドイツ、イタリア、これは統計資料がなかったためですか。どうしてですか、輸入があまりこれにはないようなんですが、日本だけはけたはずれに多いのですが、これはどういう関係ですか。統計資料の不備ですか、実際こうなんですか。
  80. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 電子計算につきましては、ただいま局長が申し上げましたように、日本はわりあいにこういう方面の採用が進んでおる国でございまして、世界的に申し上げますと、アメリカが第一位でございます。ソ連がおそらく第二位だと思いますが、そのソ連を除きますと、第二位が西独になっておりまして、第三位が日本、こういうかっこうになっております。西独がわりあいに多いのでございますが、ヨーロッパ方面はまだ事務の機械化と申しますか、電子計算機の導入がわりあい少ない国でございます。統計の不備も若干ございますのですが、はっきりこれらのものが出ていないというのが実情でございます。最近雑誌などを見ておりますというと、アメリカがEEC方面に対しまして計算機の攻勢をかけておるようでございますので、これから相当たくさんのものが導入されるのじゃないかと考えております。
  81. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、西ドイツなんかは、生産も少ないし、輸入はまあほとんどないようになっているんですが、これは統計上の不備ですか。
  82. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 統計上の不備も若干ございます。わかりかねる点が実はあるわけでございますが、ドイツ関係も調べてみますと、ちょっと古いデータでございますが、一九六二年の八月号の雑誌に載っておりましたのによりますと、ドイツで生産されました機械は、シーメンスという非常に優秀な会社がございますが、これがわずか十七台という程度でございます。本格的にシステムといたしまして、計算機を大いに売り出しているという、生産して売り出しているという状態にはまだ至ってございません。それからドイツにはアメリカのIBMがドイツIBMという工場を二カ所持っておりまして、そこで若干の生産とそれから販売を行なっております。
  83. 中田吉雄

    中田吉雄君 この電子計算機大型なんですが、賃貸と売却ですね。大体わたしなんかの知ったところ、借りておるようですが、こういう関係、どうなっておりますか。その比率とか賃貸料。
  84. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 国産機と輸入機によって、ちょっと違っておりますけれども輸入は大部分が賃貸の方法によっておりまして、大部分といいますか九割近くが賃貸でやっております。日本の場合は、まだ売却が多くて、六割程度が買却、四割程度が賃貸という形になっております。
  85. 中田吉雄

    中田吉雄君 この賃貸料はどのくらいになるのですか。年間払うのは。
  86. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 賃貸料といたしましては、そのものによりまして、また機械のメーカーによりまして、それぞれ違うのが通例でございますが、国産機につきましては、実際に販売いたします価格の四十五分の一を賃貸料として計算してございます。
  87. 中田吉雄

    中田吉雄君 金額は。
  88. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 金額はいろいろ品物によって違ってまいりますが。
  89. 中田吉雄

    中田吉雄君 ですから賃貸料総額としては幾ら払っておるか。
  90. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 国産機の場合について申し上げますと、日本電子計算機株式会社が取り扱っております計算機の賃貸料は、三十八年度といたしまして十四億円でございます。外国機に対しまする賃貸料は、約七十億円でございます。
  91. 中田吉雄

    中田吉雄君 大型電子計算機は、これまでほとんど輸入に待っているわけですが、たしか大型もいよいよ国産化ができるということを承わっているんですが、三十九年度の官公庁でですね、大型電子計算機をどれだけ大体入れるようになっていますか。その大型国産化の見通し。またたとえば近く東大で大型電子計算機を入れる。これを新しくできた国産を買ってくれというし、外国品も輸入するというようなことで、いろいろ話題になっているようですが、通産省とされては、間に合うなら、やはりそういうことについて、国産愛用についての十分な措置をとられる必要があると思うのですが、その関係はどういうふうになっておりますか。
  92. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 三十九年度における官庁の電子計算機の需要は、国立大学を含めまして二十台程度でございまして、そのうち大型機が五台でございます。なお、東京大学あたりで現在大型電子計算機をお入れになるということで、この機種について検討をしておられるようでございますが、われわれといたしましては、学術的目的にかなうだけの電子計算機が国産で十分まかなえるということであるならば、極力それを優先的に購入してもらうよう現在お願いをしておるわけでございます。
  93. 中田吉雄

    中田吉雄君 この大型電子計算機は三十九年度の国産はどうなっておるのですか、生産の見通しは。
  94. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 中小型につきましては、十分できたのでございますが、大型につきましては、ここ二、三年来ずっと研究を続けておりまして、昭和三十九年度におきましては、それを完成する予定になっております。現在のところ大体機種の数からいきますと、三機種考えられておるのでございまして、それがおのおの数台ずつ生産をされてまいりますると、おそらくこれは需要がございませんとつくらないという関係がございますので、はっきりした生産計画は何台ということは申しかねるのでございますが、五台ないし六台くらいは十分に生産し得るものと考えております。
  95. 中田吉雄

    中田吉雄君 東大なんかは、これはまあ間に合うのじゃないか、国産で、といううわさも聞いているのですが、いろいろ取りざたされているのですが、そういうのはどうなんですか。私は、間に合えば、やはりできるだけ所管官庁が音頭をとったりして、国産を愛用するようにすることが、必要じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  96. 吉岡忠

    説明員(吉岡忠君) 東大の大型電子計算機の導入の予定は、昭和三十九年度ではございませんでして、昭和四十年度に入るわけでございます。昭和四十年度も後半でございまして、四十一年の一月から入っていくと、こういう予定と聞いております。したがいまして、大蔵省で予算としてついておりますのは、実行予算ではございませんでして、国庫債務負担行為といたしまして、四十年度、四十一年度、この両年度にわたりましてついているわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、わが国の大型電子計算機は、三十九年度においてすでに完成する予定でございますので、時間的には十分間に合うものと私どもも考えております。
  97. 森崎久壽

    政府委員森崎久壽君) 初めに先生から御質問がございました臨時という名称でございますが、法律の名称でございますが、いま通産省のほうの統一をしたところの意見を念のために聞きましたので、ちょっと申し上げますと、法律的にはもちろん差異はない。むしろことばのごろの問題である。しかしながら、たとえば鉱害復旧という場合に、鉱害復旧という中にもう措置が入っておりますので、鉱害復旧の中に措置の内容が法律の名称に含まれている場合には、措置という言葉をダブらせるのもどうかということで、上に臨時を持ってきたと、そういうことでございます。
  98. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  午後は一時十五分再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      —————・—————    午後一時三十分開会
  99. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  100. 小林英三

    ○小林英三君 今度提案されております独禁法の改正案、これには事務局の機構を拡充する、そうして下請代金支払遅延防止法の効果をあげたい、こういうことであります。この問題につきましては、後刻またよく質問することにいたします。私は、これに関連いたしまして、下請代金の問題について質問をいたしたいと思います。きょうは、予定といたしまして大臣もお見えになる、中小企業庁長官もお見えになる、もちろん公取委員長もお見えになるということであったから、三人がお見えになったところで一緒に御質問申し上げることが一番私は能率的だと思っておったのですが、大臣のほうの衆議院における都合がございまして、たぶんもう少ししたらお見えになると思いますから、とりあえず、それではいま公取委員長だけがお見えになっておりますから、公取委員長に対する質問をいたしまして、後刻大臣がお見えになりましたら、また並行して御質問を申し上げたいと思います。  私どもは、わが国の中小企業というものが国民経済の上に占める位置というものが、ほかの国々に比べまして、わが国においては類例のないほど中小企業の位置というものが高いのです。こういうことにかんがみまして、この経済政策の一翼をになっておりまする現在のわが国の中小企業、その中小企業の置かれておりまする立場を考えますというと、はたしてこれでよいであろうかということを感ずるのでありますが、たとえていえば、この下請代金の支払いの問題にいたしましても、法律目的というものが、今日ある程度までりっぱにうたわれておるのです。それは、申し上げるまでもなく下請代金の支払い遅延を防止するとともに、これによって親企業の下請に対する取引を公正ならしめて、下請の利益を保護し、もって国民経済の健全な発達に寄与するということが、この防止法の目的にうたわれておる。これは目的としてはまことにりっぱなものであります。  それから、この法律自体といたしましても、三十一年に制定されましてから、七月でありましたか、制定されましてから、三十七年のたしか四十国会におきまして、ある程度これが強化されてまいりました。でありますから、これを見ますというと、一応整っているような感がいたすのであります。しかし、私は、現在行なわれておりまするところの下請代金の支払いに対する規制というものが、これによって下請業者の利益というものが保護されているかどうか、また、下請業者に対する取引が公正にいっているかどうか、国民経済の健全な発達がこれによってできておるかどうかということを考えますというと、私ははなはだ疑問だと思います。そこで、この四十国会で修正されました今日の防止法というものをかいつまんで私どもが見てみますというと、親事業者に四つの義務がある。その一つは、下請業者に注文のときに、注文の内容、それからその代金の額と、それから支払い期日をいつにするかということが、三条に示されておる。それから順守事項というものを守る義務が親企業に課せられておる。これが四条に、御承知のように、一号、二号、三号から七号まで設けられております。つまり不当な納品なり、不当な受領の拒否をしてはいかぬとか、あるいは支払いを遅延してはいかぬとか、不当な値引きをしてはいかぬ、あるいは不当な返品をしてはいかぬ、不当な買いたたきをしてはいかぬ、それからまた、親工場の確保しておるところの品物を強制的に購入さすということをしてはいかぬとか、また、報復手段をしてはいかぬとかいうようなことが四条の一号から七号までの間において規定されております。それからまた、その次の第三番目には、遅延利息の支払いの義務を負わしております。これは、法律にありますのは、六十日以内に支払わなければいかぬとしておりまして、これより延びた場合には、延滞利息を払う。これは公取がきめておる日歩四銭を払うということになっております。それからもう一つの四番目は、納入を受けてから支払い完了までの下請取引のてんまつを記載した書類を保存しておかなくちゃならぬ、これが第五条であります。  しかし、いま私が申し述べましたこれらの四つの義務  親事業者の四つの義務ということを法律の上から考えてみますというと、第一の注文のときの書面を交付するという問題につきましては、これは制裁規定がないわけです。これは親企業の同意と、それからまた、下請業者の申し出といいますかね……。それから第二番目の順守事項を守る義務ということにつきましては、これは四条の一号から七号までありますが、これは要するに、公取その他の中小企業庁にいたしましても、こういうことを、違反したことをした場合には、改善の勧告をする、そうしてそれでも聞かぬ場合には、これを公表する、こういうことでありまして、これも別に罰則はないわけであります。それから三番目の遅延利息を払う義務という問題につきましては、これはやはり同意と下請業者の声を聞くということになっております。つまりこういうことを、払ってくれないからということを公取に申し出なければ取り上げられないということであります。最後の四番目の支払い完了までの下請取引のてんまつを記載した書類を保存しておくという問題、これは第五条でありますが、十条に罰金ということが設けてあります。これが今日の下請代金の遅延防止法に対する法律の内容であります。  そこで私は、実は下請業者の鋳物に関する全国団体の会長をしております。鋳物工業会というものの会長をいたしておりまして、この私ども関係いたしておりまする銑鉄という鋳物、つまりズク鋳物、これが、私は三十八年の一月から十二月までの一カ年の生産額を調べてみますと、千六百七十億何がしという額に達しております。それから可鍛鋳鉄という鋳物、これが大体二百四十七億、それからはがね鋳物——鋳鋼、これが七十億八千万、アルミ鋳物、これが二百六億、銅合金鋳物、これが三百二十億、ダイカスト鋳物、これが三百十億でありまして、大体におきまして、一カ年間に三千五百四十億円程度生産をあげております。そこで私は——これはほとんど下請であります——この下請に対してどういうふうな状況になっているかということを、最近私は調べたのであります。この銑鉄鋳物——ズク鋳物の代表的の工業地帯である川口について、私は調べてみた。これはどうしてかといいますと、川口には、私の知っている人も非常にたくさんおりますし、また、組合団体理事長とか、あるいは銀行関係その他が、みな非常に遠慮なく調査ができるという関係から、川口について調べてみた。それがいまお手元にお配りしておりますところのAとBの資料であります。で、これは詳しく御説明申し上げるというとひまがかかりますから、ほんとうに簡単にその一例を申し上げたいのでありますが、このAというほうの——公取委員長もごらん願えればわかりますが、Aというほうの資料というものは、川口信用金庫というのがありまして、これは預金が約八十六億円、本支店が五つばかりあるところであります。この川口信用金庫の中で——これは庶民金融をしておりますから、この中で取り扱った二百四十件の工場に対しまして、代金の決済条件、それから回収代金に占める手形の割合というものを寄せてみたのであります。これは二百四十件の工場に対して、寄せてみたのであります。ところが、そこにありますように、九十日以内のものが一割四分、これは三十九年一月現在で一〇〇%の中に占めるものが一四%——二割四分、九十日から百二十日までの手形が二〇%、百二十日から百五十日までが五四%、百五十日をこえるものが一二%になっております。このほかに、納入いたしましてもその月全部払ってもらえないで、そのうちの一部分が次に持ち越されるものがもちろんあるわけであります。それから、回にあります「回収代金に占める手形の割合」でありますが、これはその表にもございますように、手形が三〇%、現金が七〇%というようなものは、わずかに四%——一〇〇のうち四%。三〇%から五〇%のものが五%。でありますから、五〇%以上七〇%、それから七〇%から八〇%、八〇%超と、この三つのものを合計いたしますと九割一分、つまり五〇%以上八〇%をこえるものまで合計しますと九一%で、手形が少なくて現金の多いものは、わずかに九%であるという結論になっておるのであります。  それから、お手元に差し上げてございませんが、私が、川口市内におきまする金融機関全体について、最長期のサイドの手形はどのくらいあるだろうかということで全部調査をいたしましたところが、埼玉銀行が八カ月であります。それから、同じ埼玉銀行の駅前支店が九カ月、武蔵野銀行川口支店が九カ月、川日信用金庫が十カ月、富士銀行川口支店が七カ月、第一銀行川口支店が十カ月、協和銀行川口支店が六カ月、日本相互銀行川口支店が七カ月、大光相互銀行川口支店が九カ月と、こういう状況になっておるのであります。  そこで、このBの資料に基づきますと、これは、a、b、c、dとずっとなっておりますが、これは個々の工場について、比較的信用のある、うそを言わないだろうという個々の工場について、これは川口の鋳物工業組合を通して理事長から直接に聞かせたのがこの表でございます。これは手形の支払い期日が、一番最初のaというやつは、百五十日以上、そうして支払いは、手形の場合百五十日以上でありまして、これは全額を支払っておる。つまり、その翌月に何十%かまで送らないで、請求したものを全部手形で払う、しかも、手形の期日は大体百五十日であるというのがaである。  それから三番目のcは、現金と手形の比率というものが、手形が八五%でありまして、現金が一五%になっている。しかも、右側に書いてあります。〇%というのは、三〇%は翌月回し、七〇%のうちで手形が八五%で、現金が一五%、こういう意味で、あとはずっと表をごらん願えればわかると思うのであります。そこで、かように今日——先ほど川口市全部の金融機関について、私が調査しましたように、非常に今日手形のサイドが延びているということは、これは事実でございます。  そこで、私が公取の委員長にお伺いいたしたいと思いますことは、現在公取といたしましては、給付を第七条によりまして、四条の一号、二号あるいは七号によってそういう行為をしている、親工場がしていると認めたときには、公取は、それに対して、給付を受領さすとか、あるいは代金を支払わすとか、不利益な取り扱いをやめさせるとかいうことをするし、そういう勧告をやる。そうして七条の二項によりまして、四条の三から六までのいわゆる支払い代金を無理に少なく払ったとか、あるいは故意にこれを納付を拒否したとか、あるいは代金の額を減じたとか、あるいは親工場の持っている原材料をむやみに引き取らしたというようなことに対しましては、それはやはり公取のほうで勧告をして、そうしてそういうことをしてはいかぬというので、それぞれ行政措置をすることになっている。七条の三項によりましても、やはりそれに従わない者は、これを公表するということが七条の三項に載っておりますが、勧告をして聞かない者は、公表するのだということになっておりますが、しかし、また第九条によりまして、公取は、親企業や下請工場に対して、取引に関する報告をさす、または職員に立ち入り検査をさせる、こういう仕事を公取はしていらっしゃいます。これは中小企業庁もそうでありますし、主務大臣としても大体同じようなことをすることになっておりますが、そこで、私は公取に承りたいと思いますことは、この立ち入り検査とか、あるいは勧告だとか、あるいはそれを聞かなければ公表するというような、いろいろな行政措置をされる場合に、法文について、どういう解釈で今まで何年間もやっておられるかということであります。  その第一の質問といたしまして、第三条に、親企業者は、下請事業者に対して下請をさせるときには、下請事業者の給付の内容、下請代金の額、それから支払い期日を記載した書面を下請事業者に交付するということを第三条にうたっておるのでありますが、この中には、支払い条件というものは書いてないのです。書けとはいってない。そこで、支払い条件を書けということをいってないということは、これすなわち、私は、現金で支払うのがたてまえである、こういう考え方でこの法律の第三条の親工場から下請事業者に交付するところのその書類というものに、特にこの支払い条件というものは入っていない、期日と金額と給付の内容は書いてあるけれども、支払い条件はどうかということは書いてないが、これは現金で支払うのがたてまえだから特に入れてないと解釈してよいのか。特に重要な問題ですから承りたいのです。はっきりと支払い条件が書いてないのは、これは当然現金で払うのであるから書かないのだ、こういうことであるかどうかということを御答弁を願いたいと思います。
  101. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 立法のとき、どういうふうな経緯があったか、それは私よく知りませんが、現在解釈としてわれわれのほうで一貫してとっております関係からしますと、これはあとのほうでもって、四条の二号の「下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと。」ということが書いてありますが、この場合の「支払わないこと。」ということの中には、もちろん現金で支払えば問題はありませんが、手形にしましても、それがその受け取ったものが、正常な金融機関といいますか、いわば町の金貸しはこれは考えておりません。通常の金融機関において割り引き得る場合においては、やはり所定の支払い期日までに払ったという解釈をとっていることなどから考えますと、この三条において、ここに支払い期日だけが書いてあって、支払い条件が書いてないことが、いろいろな意味において、あとで悪弊害を及ぼすのじゃないかという問題のことは、これは別としまして、いまのところ、私のほうでとっておりますところは、支払い期日というのを、これは現金で払う支払い期日だというふうには解釈しておりません。
  102. 小林英三

    ○小林英三君 いまの語尾がはっきりしません。
  103. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 解釈してはおりません。現金として支払う——たとえば、支払い期日としか書いてない。したがって、その支払いの条件が書いてないのだから、書いてなくても当然この第三条というのは、その支払い条件が書いてないだけに現金払いということを前提としており、したがって、その支払い条件が書いてないけれども、それは書いてないということは即現金払いだというふうに考えるという考え方を私のほうじゃとっておりません。
  104. 小林英三

    ○小林英三君 そうするというと、何ですか、あとで私はいろいろ聞かなくちゃなりませんが、たとえば手形でもらった場合に、手形の割引料をもらうとかもらわぬとか、そういう問題が、あとで私は質問するつもりでおりますが、つまり六十日以内に払うというととは、たてまえとしては現金で払うべきなんだが、手形で払ってもよろしいということじゃないですか。そこは重要な問題ですから、今後の取引において。
  105. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 個々の取引の場合に、その親事業者と下請業者の間で、現金で払うとか、あるいは手形で払うとか、こういう契約のあることはこれは別としまして、第三条のこの規定において必要な記載事項としてなっている支払い期日という中には、これは現金払いというものを前提とした意味の支払い期日、こういった意味には私のほうとしては解釈してないと思います。
  106. 小林英三

    ○小林英三君 そこはなかなか重要な問題ですよ、取引条件が書いてないということは。それは現金で払うんだということじゃないんだと、手形で払ってもよろしいし、現金で払ってもよろしいと、これはそうでしょう、場合によったら。しかし、これを書いてないということは、現金で払うのが当然なんだから、支払い条件を書かなかったんだということじゃないですか。あとでつまりすべてほうっておけば現金で払うということがたてまえであって、手形で払っても何でもいいんだということで、それじゃどんな長い手形をよこされても、泣き寝入りになるということですか、その問題にからんできますよ。
  107. 上原正吉

    ○上原正吉君 いま私は法律の条文をよく読んでないんですが、支払い期日というのは、現金で支払うということじゃないですか。たとえば手形の支払い期日というのは、現金で払う期日を支払い期日という。借金を返す、借用証書、支払い期日とは何だ。これは手形を書くということじゃないんです。金を払うということが常識なんです。法律もそうじゃないかと思うのです。私は、その法律の条文を読んでないから、よくわかりませんが、単に支払い期日と書いてあれば、それは現金で払うのに間違いはないと私は思うわけです。支払い期日。
  108. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 委員会のほうでいままで解釈してずっと実行しておりますところは、支払い期日内に現金化できるということは、これは必要条項に考えております。そのあとのほうの四条の二号のほうにですね、現金化できるということは必要条項に考えております。しかし、その現金化できるということの前提は、親事業者が現金で払う場合と、手形を渡して、同時に、その手形を通常の金融機関で割り引きし得るという場合も、これも現金化できる、こういった意味において、支払い期日内に支払ったものである、こういった解釈でずっと通してきております。
  109. 小林英三

    ○小林英三君 これは、あなたの答弁というものが間違ってはいませんよ。しかし私の質問を間違っていますよ、解釈を。私が言うのは、支払いは手形でもよろしい、現金でもよろしいけれども、いまも上原委員がおっしゃったように、支払うときには現金がたてまえであるんじゃないですかということを聞いているんですよ。もちろん手形で払ってもいいんですよ。そのときは割引料を出せばいいんですから。これは重要な問題ですから私は聞いておる。それは、支払いに手形で払ってもいいんですよ。それを私は聞いておるのではないですよ。現金で払うのがたえまえじゃないかということを聞いておる。これは重要な問題ですから、あなたの答弁が全部速記録に載ると困るから、はっきりしてください。これは重要な問題、私は四十国会で質問しているんだ、ちゃんと提案者に。
  110. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) たてまえとしては現金が本則である、しかし、要するに、現金であればしたがって問題はないけれども、手形で払う場合においても、やはり所定の支払い期日内に現金化できる手形であるということを要件としており、そのいずれかが満たされれば、この四条の二号ですか、これの要件には該当しないといいますか、四条の二号で要請している——要請しているというのはまずいと思うのですが、四条の二号の違反には当たらない、こういうような解釈をいたしております。
  111. 小林英三

    ○小林英三君 いま大体、委員長の言われたことによって大体わかりました。私が申し上げていることについて、委員長質問の要旨を取り違えて先ほど答弁されたと思うのです。私が言うのは、現金で支払うこともあるし、手形で払うこともあるけれども、たてまえとしては、現金で払うのがたてまえだということが、そうであるかどうか聞いたのですが、そうだというお話ですから、それでけっこうです。  その次に、現在の親工場から下請工場に支払われる、その間におきまして——大体一ぺんぽっきりの注文はこれは別です。臨時に一ぺんぽっきりの注文は別です。しかし、世の多くの親工場対下請関係というものは、系列もあるくらいでして、たとえば三月の二十日締め切り、そして翌月の何日に支払う、これは親工場によって違いましょう。そうすると、今度は三月二十一日から翌月の四月の二十日までのやつをまたその次に払う、こういうように納付というものがどんどんどんどん続いていっているわけです。年じゅう繰り返しているわけですね。ところが、この法律でいっているのは、一つ一つの問題についていっている部面がたくさんあるのですよ、これは。ところが、実際問題はそうじゃない。次から次と納入しているのです。そうしてある時期に締め切って、それをまとめてその会社の支払い日に払う。そうしなければかないませんね、会社が。こっちもそうです。もらうほうもそうです。それが今日の世の中のほとんどが——九九%といいますか、ほとんどがそうであろうと思います。下請代金支払いの形というものが、そういうような継続的にどんどんどんどんやっていくという場合、いまの第三条にありますいわゆる給付の内容、下請代金の額、支払い日を規定しておく、こういうことを、一々納入のたびごとに親工場が下請工場に出すわけじゃないだろうと思いますから、ですから、公取その他中小企業庁なんかが、こういうものを規制する上において、行政措置をする上において、この三条におけるこの交付のしかたと、実際世の中に行なわれているところの、いわゆる締め切り日をつくって支払い日に払うという問題と、この見方をどういうように見ていらっしゃるかということをお聞きしたい。
  112. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この下請と親会社との関係におきましては、これはまあいろいろな業態がありまして、いろんな場合が考えられますが、われわれのほうとしましては、個々の具体的な条件が書き得る場合においては、それを条件として書く。それからお話のように、そういうこと自体が非常に煩瑣で書き得ないような場合におきましては、いわばいつまでにおいて納めたものについて、いつどういうふうな払い方をするかといったような意味——いつ支払いをするかといったような意味一般条項をこの書面に掲げるということで、要件を満たしたものと考えております。
  113. 小林英三

    ○小林英三君 私が聞いておりますのは、つまり支払いが遅延した場合には、公取でも中小企業庁でも、あるいは主務大臣でも、これに一つの勧告をしなくちゃならぬのですね。そのときに、こういう三条にあるような問題は、いまの継続的な取引には、こういうものは交付はできないでしょう。そのときに、たとえば翌月払うとかというような場合に、あるものは支払いが六十日以内になっているし、あるものはこすような場合もあるかもしらぬと私は思うのです。そういうときに、こういうふうな三条の問題を、あなた方のほうで行政措置をなさる上においてどういう考え方のもとに律していかれるかということを聞いておるのです。別にむずかしい問題じゃない。
  114. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私のほうで行なっておりますことは、先ほど申したとおりです。ただ、私もいろいろな話を聞いておりますが、たとえば電話などでとりあえずまず注文する、電話で親会社のほうで下請に、いつまでにこういうものを幾つ納品しろというようなのをして、書面交付はその後においてなされる、これも商売なら、親と子の関係においては私もあり得ることだと思いますが、いずれにしましても、しかし、この三条によって、一応前提条件をつくらせるということはやっておると、こう聞いております。
  115. 小林英三

    ○小林英三君 私が聞いておりますのは、つまりもう多いところは二十年も、三十年も、親の代から取引しているようなところもあるわけですね。臨時にぽこっと注文してきたのはこれで律せられる。三条で律せられるけれども、もう次から次へと、締め切りをきめて、支払い日をきめてどんどんやっているという場合には——別に私は公取のやり方を責めているわけでも何でもない。どういうような取り扱いをなさっているか。どういう解釈でこういう問題については進んでいかれるかということを聞いているわけです。
  116. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局この第三条の問題は、違反であるか違反でないかということになりますと、四条の二号でありますね。「下請代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと。」になるか、あるいは支払い期日のうちに支払われることになるのか、こういったような問題になる。そこのポイントの押え方をどうするかということの問題になりますと、公取の扱いとしましては、結局ずっと引き続いておりますから、あるものは、会社のほうは、お話のように、月に一回の締め切り日を設けて、その締め切り日までの納品分を支払う。その場合においては、締め切りの翌日に入ったものもある。締め切りの前日、あるいは締め切り日に入ったものもある。その全体を一括して払うということになれば、締め切り日の翌日に入ったものから六十日以内にその支払いがなされている、こういうものが初めてその所定の支払い期日に払われたものである。したがいまして、締め切り日の当日に払われたものは、いわば三十日か三十一日内に払わないと、所定の支払い期日以後になってしまう、こういうような解釈をしております。
  117. 小林英三

    ○小林英三君 公取委員長も、ずいぶんこの問題に対する答弁はむずかしいと思います。私は、だからここにも一つ法律の不備があると思います。これは実際言うと、われわれは締め切り日をきめて、そうして支払い日をきめれば、これは普通の日本における商習慣なんだから、多少中に早過ぎたものがあっても、二日や三日おくれるのがあっても、それで認めてやるということでないと、なかなかこれは公取としても取り締まりがむずかしいのではないかと思いますが、これはただ、あなたのほうでどういうふうに処置されているかということだけを聞くだけにしておいて、ここにも法の不備がある。あなたのほうの取り締まりは非常にむずかしいと思う。一々一番最後から計算すると、少し六十日をこしたんじゃないか、一々見るなんてことは、これは全国の八千軒から一万二千軒ある親工場、二十万軒もある下請工場があっては、これはできっこないと思います。ただ、この問題はどういうお考えで対処されているかということを聞いただけなんです。これは法律の大きな不備があると私は思います。それを聞いただけです。  それから、第四条の二にあります。六十日たっても支払いが延びた場合には、これは当然公取できめられた遅延利息というものを払わなくちゃならぬですね。それはわかるんですが、ただ私が聞きたいのは、先ほど参考のプリントをお配りしたように、かなり長期の手形が発行されているこれは現状です。しかも、その手形というものは、手形法には、振り出し日も書かなくちゃならぬ、支払い日も書かくちゃならぬ、支払い場所も書かなくちゃならぬ。ところが、ほとんどが聞いてみるというと、振り出し日が書いてない。それで三百日だとか二百五十日だとか、いわゆるお産手形もあるだろうし台風手形もあるだろう、それは振り出し日を書いてないんです。それでも甘んじてもらってきている。いきなりそんな長い手形を銀行へ持ってったって割り引きしませんから、力のあるやつはまあ金庫へでもしまって、適当な時期に、もういいだろうというので、銀行へ持っていくということが現状なんです。私が調べてみますとね。そこで、これらの長期の手形をもらった場合に、この割り引き料というものは、私の考えでは当然これは親工場が持つべきものだと思うんですが、どうですか。
  118. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一応そのために四条の二の規定があるんですから、遅延利息を支払わなければならないという意味において、親事業者の負担すべきものということにはなると思います。
  119. 小林英三

    ○小林英三君 それははっきりしておりますね。——それはわかりました。  そこで、今度承りたいと思いますことは、かりにある中小企業者が親企業に納品すると、そのときにかりに百万円納品したと、これはまあ締め切り日までですね、適当な翌月の支払い日に会社からもらう、そのときに六割だけ支払いを受けて、四割は翌月へ回すといって切っちゃう、それがほとんど大部分なんです。最近。それがいまお配りした表にもあります。全部払うのもありますよ。けれども多くは翌月に回すか、押せ押せに回していく。これは、親企業がそれを払うときに、手形の期日に払うだけの能力がないと認めたときに、いわゆる金融関係の重役か、あるいは会計課長かなんかが、そういうふうにして払うんだろうと思います。思いますが、そういう場合に、四〇%残ったやつに対する延滞利子、これは割引料ではありませんよ、延滞利子というもの、こういうものに対して、公取はどういうふうな取り扱いをなさっているかということです。そういうことに始終ぶつかるだろうと思いますけれども、どうですか、その点は。
  120. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いまのお話の場合におきましては、四条の二の規定に該当して、親事業者が延滞遅延利子を支払わなければならないと、これははっきりしていると思います。しかし、この法律に基づきまして公取が勧告をする条項というのは、一応四条の一号ないし七号に規定してあることについて勧告する、こういうことになっておりますので、したがって、この四条の二の遅延利息の問題については、かつて公取がこの問題のために勧告したということはありません。
  121. 小林英三

    ○小林英三君 四条の一号から七号によって勧告をする、その勧告を聞かない場合には、公表する、こういう一種の何といいますか、制裁があるのですね。ところが、いま私が質問しましたようなケースはぶつかったことはないというお話なんですが、それはどういうのでしょうかね。こういう例がほとんど世の中のあらゆる取引の問題について、行なわれている問題なんですが、それはなんですか、親企業のほうで話さないというのか、あるいは中小企業のほうで申し出ないというのか、そういうことを聞いたことはございませんか。
  122. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私が申し上げたのは、そういう事実を聞いていることはこれはたくさんあります。したがって、そういう事実がないとか、あるいはそういう事実について、われわれが無知であるということを申し上げているわけではございません。ただ公取が勧告しますのは、やはり一応この法律に基づいて与えられた事項について勧告をしているわけですから、この条項の中には四条の二の遅延利息については入っておりませんので、したがって、われわれのほうの勧告は、四条に掲げてある一号ないし七号の範囲に限られていると、こういうふうに申し上げているわけです。
  123. 小林英三

    ○小林英三君 これは私の考えですがね、四条の一号から七号までのうちに、いろいろな条項がありますね。支払い遅延だけじゃありませんよ。つまり不当な値引きということがありますよ。不当な買いたたきということもありますよ。それですからして、百万円の請求権があれば、百万円払うべきものを、自分の会社の都合によって翌月に四〇%回したということになりますと、これはどうでしょうか。常識的に考えて、実質的な値引きにもなるし、実質的な買いたたきにもなりませんか。
  124. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 従来、私のほうでそういう事態を見ましたときにおいては、むしろ支払い遅延のほうを勧告しておりました。そうしてもっと支払いをよくしろ、こういうふうの勧告はこれはしております。で、問題は、それは要するに、どうしても現在まだ支払いが終わっていないものとか、将来支払うものについての問題で、過去に支払ったものについて、この四条の二の遅延利息の問題が別途あるわけですが、しかし、私どものほうとしまして、いままでやってきたところは、そういった事態になりました場合に、支払いのほうをもっとよくしろ、こういう勧告は実はやっております。遅延利息を払えといった意味のことは、その四条の一号ないし七号に一応規定されているのとは別個になっておりまするだけに、四条の二の問題は、その姿において勧告をするというよりも、むしろ支払いを促進しろという姿で勧告してきた、こういうわけでございます。
  125. 小林英三

    ○小林英三君 これは、委員長の意見と、この法律を読んでの私どもの考えとは違いますけれどもね。しかし、これはもし六十日を超過するようなふうの場合には、当然これは実質的には値引きにもなるし、買いたたきにもなるということは考えられますね。そこで、いままで取り扱ったことはないとおっしゃいますが、これは私は条文のほうに不備があると思います。思いますがね、これをやってゆくのは、なかなか解釈がむずかしい問題ですが、これはいま私が質問申し上げているように、全部払わないで次へ送ったという場合は、やはりこれはそこに値引きさしたとか、あるいは買いたたきしたというようなこと、あるいは延滞利子を出そうというようなことにはなりませんか。
  126. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 極端な場合は、私は、お話のような事例に持っていけると思いますが、しかし、必ずしもそうでない場合も四条の二には入ってくるわけです。したがって、これは将来の問題としては、われわれも考えてみなければならぬ問題だと思いますが、どちらかといえば、むしろ法律改正の問題としてもう少しその辺は筋を通したほうがいいんじゃないだろうか。勧告というのは、勧告すればわりあいに会社のほうも、勧告を拒否して、われわれが公表にまで至らなければならないという事例は、少なくともいままでのところなかったわけでして、全体がなくならないのは、われわれのほうがなかなか手が回らないために、事態が解決されない。これはわれわれもいろいろ頭を悩ましておりますが、したがって、いまお話しのような点も、勧告の条項の中にはっきり入るといったような問題は、私は、下請法の問題としては考えるべき一つの大きなポイントじゃないかというふうには思っております。で、極端な場合は、それはあえてそこまでいかなくても、現在の条文で該当するしないという問題は、これはあり得ると思います。しかし、すぐそれを買いたたきだ、やれ値引きだという上に持っていくのに、かなりボーダー・ラインの、無理なものもあるんじゃないだろうか。といって、そのボーダー・ラインは、四条の二から見れば、当然親企業者が負担していいものもあるのじゃないだろうか、こういうような考え方、これは私個人のまだ意見ではあります。そういった意味考え方は持っております。公取で現在やっておりますところは、極端な事例は、買いたたきなり値引きというところに見えるやつについては、これは勧告ということはありますが、どうもなかなかそこまでちょっと言い切れないといったような場合には、先ほど言ったように、この問題は別にして、支払い遅延の促進、こんなにおくれちゃいかぬという意味の勧告というのを中心に、従来どおり行政措置をやってきたと、こういうわけです。
  127. 小林英三

    ○小林英三君 いま委員長が個人の資格でなしに、これは公取の委員長として、将来こういう問題については、どうしてもこの法の改正をしなくちゃならぬということを、私は答弁してもらわねばならぬ。今後は先に述べたような問題については、親工場のこんなやり方について、将来適当な法の改正が要るのじゃないかということを、公取委員長としてはっきり言えませんか。
  128. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私が個人と申しましたのは、多少こだわっているかもしれませんけれども、御承知のように、公正取引委員会委員会制度でございまして、したがって、私もその委員の一人である。外部に対しては、私が委員会を代表しておりますが、委員会の意思決定としては別の姿がございますので、したがって、委員会としての意見というのには、ちょっとどうかと思いますものですから、といって、私、別にその委員長の地位を離れて、個人として申し上げておるわけじゃございません。ただ、私としては、この点については、いまの勧告の、法制上公取が先ほど来申し上げているようなことをやっておりますが、どうもこれでは不十分じゃないかというためには、やはりただ法をこのままにしていてやり方を変えるという場合には、おのずから、先ほどの値引きだとか、あるいは不当なる買いたたきとかいう事案をまずはっきりさせなければならぬ問題が出てまいりまして、それで助かる場合もありますが、しかし、四条の二に該当しながら、なかなかそこまで言い切れない場合もないとは言えません。しかしながら、四条の二に該当するものについては、一応勧告できるということがもっとはっきりするような法改正という問題は、私はやはり考えていい問題じゃないだろうかと、これは私、いまそう考えております。
  129. 小林英三

    ○小林英三君 これは何ですか、公取の委員長としてきょうは私どもが承っておるわけですが、個人の意見でなしに公取委員長として、この問題については近い将来に適当に法の改正をする必要があるということはお認めになりますか。
  130. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) あまりこう法律論になりますと、要するに、結局、先ほど言ったようなことになってしまうわけですけれども、これはおそらくはかの委員さん方も、この問題についてはまともに考えていますから、したがって、委員長として、この点について適当なる時期にといいますか——適当な時期にというのは、ちょっと言い方が悪いですが、当然考えてみなければならぬ問題として、一つポイントとしてこれがある、これは私、前々から、この問題に取り組んだときから考えております。
  131. 小林英三

    ○小林英三君 ただ、私が申し上げておりますことは、たとえばいまのような問題でも、この速記録を通しまして、全国の中小企業者あるいはその相手方の親企業というものが、十分に国会における質疑応答を見ますから、そのときにあなたのいわゆる答弁というものが、これは私は重大な問題があると思いますので、先ほどの問題をいま一度明確にお答えを願います。
  132. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 先ほどお話しのような事例は、四条二号及び四条の二にはっきり該当するということはひとつ申し上げておきます。  それから、それが勧告の対象になるかどうかという問題については、勧告の点は、四条の一号から七号というものに列挙されていることになっておりますので、したがって、その事項に該当するものは、現在勧告を行なっております。そうしますと、四条の二の問題について、少なくとも、これは現在遅延利息を払わなければならぬわけですが、これを勧告事項に取り上げるべきじゃないか、この御意見、これは私は将来の問題としてそういう方向で考えるべき問題じゃないかという考え方を持っております。
  133. 小林英三

    ○小林英三君 それから公取がいままでいろいろと勧告だとか、あるいは立ち入り検査だとか、あるいは勧告を聞かないものは公表するとか、今度は十何人も増してこの問題について、さらにやっていこう、積極的にやろうという考え方で今度独占禁止法の改正案が出ているわけでしょう。そこで、いままで公取が取り扱っているこの数年の間に、この四十国会で三十七年に改正いたしました現在の法律ですね、これに対して何か罰則規定がなくちゃ困るのじゃなかろうかとか、あるいは手形の形式の問題について何か改善する必要があるのじゃなかろうか、あるいは、私が四十国会で、その当時の公取委員長質問をいたしましたところ、ぜひこれはやってほしいといって今日指定団体をおつくりになっております。私が会長をしておる団体も、あなたの指定団体として協力しておりますが、この指定団体をもう少し増強するという意思があるかどうか。それからいまの指定団体がせっかくできておって、もう少し指定団体を有利に、有効に使う方法をお考えになっているかどうか。さらに、四十国会で改正いたしました現在のこの法律、これに対して、こういう点を将来改正していきたいというようなお気づきの点がございますかどうか。あるだろうと思いますが……。
  134. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いませっかく検討——まあいわば法改正の問題についてまずお答えしますが、これはせっかく検討をしておりますので、現在までの段階の問題としてお答えするわけですが、私は、小林委員の御指摘になりました先ほどの第三条の支払い期日といったような問題ですね、これが、現金がたてまえであるとしましても、いろいろな問題がありますから、この辺がもう少し、いまここで御答弁しているような点をもっとはっきりさせる必要があるのじゃないかということとか、それから「四条の二」の関係でございますね。これをやはりはっきり四条のほうの一号ないし七号の条項にまかせないで、「四条の二」そのものずばりとしてこれをやはり勧告条項に取り上げるとかといったような幾つかの点を中心にわれわれのほうとしても、まあ通産省とも話し合いながら検討はしております。  罰則の点につきましては、これはまあ結局問題は、そうした経済的な事案が、事実が、うまいぐあい、いい事態になるということが望ましいわけでして、罰則というものをいたずらに振り回すということはどうだろうか。それよりはもう少しほかの手がありはせぬだろうかという意味において罰則の点についていま積極的にどうこうということはまだ考えておりません。  それから、協力団体の問題は、これは私どもも大いに力を入れるべき問題であると。小林委員にもいろいろお骨折りを願っておりますが、できるだけこうした協力団体を広げていきたい。  それからそのほかに、まあできるだけ、この間小林委員からもちょっと御意見がありまして、私、ファイナルな答弁を留保させていただきましたが、この下請法のこうした解釈の問題も、もう少し簡単なものにして、そしてできるだけこれを親企業にも、それこそこちらの費用でもって頒布して注意を喚起すると、これは実行したいと思います。  それから、下請のほうからも、まあ匿名でもいいから、大いに投書してほしいと言っているのですが、実はなかなかこれがむずかしい事情があります。で、また私は課の者にも言っているのですが、今度こういうふうなやり方をやったらどうか。とにかく私のほうは大体年に三回ほど定期検査をやっております。定期検査でもってつかまったものを今度立ち入り検査している。で、定期検査の三回に分けるこの区分をもう少し、会社の数が別にふえるわけじゃありませんが、幾つかに分けて、そしていわゆる申告からきたのか定期検査からきたのかという点をあまり親企業者にはっきりさせないでもって、それでいわば定期検査の中にまぎれ込ませながら、大体申告のあったものを、そこを重点的に調べていく、こういうようなこともやはり一つの行き方じゃないかということで、いわば、やはり下請のほうからもう少し気軽に私のほうへものを言っていただく機会をやはり何かもっとつくるというようなことも、まあわれわれのほうの行政の実行方法として考えるまだ知恵を出す点があるのじゃないだろうか。あれやこれや私のほうでも考えております。  それから中小企業庁も、今度特にこの問題にはやはり相当熱を入れてやると言っておりますが、過去におけるところのやり方を見ますと、これはどうも私は聞いてみるとまずかったと思いますが、中小企業庁のほうは、下請のほうからこの問題を調べていく。それで私のほうは、親企業者から調べていく。ただ、下請のほうから調べていくというのが、やはり親企業のほうに遠慮しまして、正直言ってどんどん問題が出てくるといいのですが、うまく出てこないようです。したがいまして、それよりは、やはり両方から、両方とも親企業を調べるのだが、中小企業庁のほうが広く浅く、私のほうは狭く深く、私のほうが定期検査にやはり乗ってくる——何といっても会社の数が千何百と限られておりますから、これをもう少し定期検査の際、中小企業庁と私のほうで手分けをして、そうして会社の数をもっとふやす、そのかわり向こうは広く浅く、そうしてもっと突っ込む問題があればわれわれのほうにどんどん回してもらう、こういうようなやり方で中小企業庁と公取との仕事の分野の調整といいますか、やり方等にももう少しくふうしてみる余地があるのではないか。現在考えているのは、大体そういうような幾つかの点でございます。
  135. 小林英三

    ○小林英三君 ただ、私は、先ほどからいろいろ御質問申し上げておりますことは、とにかく二十万軒下請工場があるということを大体お話しになっている。この二十万軒の下請工場というものは、親企業に対しては非常に弱い。ですから、かなり無理なことをやられても、それを言っていくだけの気力がない。言っていけば、じゃ、よせよ、ほかのものにやらすからと、こうやられてしまう。工場ですから工員をたくさん使っている。仕事がなくなれば遊ばなければならないというわけでありますから、これはもう現在の下請代金支払遅延等防止法というものにはかなり不備な点があるだろうと思います。私は、先ほど来御質問申し上げて、委員長が御答弁になっているところを聞いていても、公取としてやるべき点もあると思うのですが、ただ、いままでほとんどあなたのほうへ、公取のほうで運用しているだけでしょう。法律では、中小企業庁もこういうものを見つけた場合には、公取に連絡することになっている。しかし、いままでほとんどやっておらないと思う。この間もちょっと、どのくらい人がいるのかと聞いたら、一人くらいしかいないようなことを言っている。これじゃ全国二十万の中小企業庁という中小企業者を守る官庁として、はたしてそんなことでいいのか、いま一番問題になっている下請代金支払遅延防止法、これを守っていけるはずがないと思うが、これはあとから大臣が見えたら大臣に伺わなければならないと思っております。  それからもう一つは、この間、ある下請、相当有力な下請工場ですが、あなたのほうから、何か連番の押してある用紙を出しておられますか。つまり、悪い親工場があったらこの用紙に書いて申し出ろよ、そうして、自分の名前を書かないで、親企業にこういう不都合なところがある、たとえば、四条の一号から七号までのこと、あるいは「四条の二」について不都合な親工場があったなら、下請工場の名前は秘して、匿名にして言ってくるようにということの用紙をもらったというのです。ところが、その用紙は連番になっておるので、それを公取に出すと連番が書いてあってわかるから、これは出してはだめだぞというので出さないというのです。これなんかも、やはりあなたのほうがやられているとすれば、もう少しくふうをされてやらないと、せっかく御親切にやってもらっても、これは出しません。これはよほどうまい方法でおやりにならないといけないと思います。  次に、指定団体をどんどんお使いになっても、ただ指定をしたからというだけではだめなんですよ。あなたのほうから多少予算を使っても集めて、頼むぞというので気合いかけてやれば、お互いの業界のためなんですからやるのです。ところが、もう指定団体にしてしまったらそのまま、あとは何もしないというやり方では、私は協力性が少ないのじゃないかと思うのです。あとまた大臣が見えましたら質問することがありますが……。
  136. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) いまの続き番号のついたアンケートというのは、事務のほうでやったらしいです。それで私は、ほかのほうの調査を自分でだいぶ指図してやっていますが、それはちょっと知りませんでした。お話のように続き番号がついているというのは、私は非常にまずかったと思います。実際この問題のむずかしさは、たとえば物を盗まれれば被害届けが出る。被害届けが出るから、そこでおまわりさんも行ける。これはなかなかその被害届けが出ない。といって、現実にはこのようにたくさんある。したがって、被害届けを出さないにはそれだけの理由があるわけですから、したがって、そうしたその心配をなくすようなやり方をできるだけ考えるべきじゃないだろうか、というのが、先ほど言ったように、何か申し出があったらとたんにこっちが立ち入り検査するというと、親工場も奇異に感ずるというので、定期検査の回数をふやすことによって、申し出のあった分も定期検査の中にまぎれ込ましたらどうだろうか。これもわずかの智恵ですが、そういうものを積み重ねていく問題があるのじゃないか。  それから協力団体につきましても、どうも伺ってみますと、確かにいままで、われわれのほうも、やっと皆さん方がその気になっていただいたのに、ちょっととだえていたといったようなこともありますが、幸い予算も、わずかですが、ふえましたし、どうもこれだけやかましくなった問題ですから、われわれのほうとしても、いろんなほかの問題もたくさんかかえておりますが、同時に、この問題はこの問題なりに大いに力を入れていきたい、いろいろ御指導にあずかれば幸いだと思っています。
  137. 小林英三

    ○小林英三君 大臣も見えましたから、大臣に対する質問もございますし、ちょうど公取の委員長と一緒に聞いていただきたい。つまり先ほどから、公取委員長に私は御質問申し上げておりますように、つまり延滞金をもらおうにももらえない。これは下請業者が親工場の重役の前どころのさわぎじゃありませんよ。注文する下っぱの前に行ったって、下請工場の会社の社長でも、親方でも小さくなってぴりぴりしているわけです。少し主張すれば、ほかのものにやらすからと言われれば、自分の使っている工員が手をあけますからね。そういう状態なんですから、私は、この延滞日歩だとか、あるいは、先ほどから質疑応答で申し上げておるように、割引料ですね、いまも申し上げているように、手形を払ってもらったって振り出し日のない手形、そうして三百日とか、いろいろな長い手形をどんどん出しているわけです。ですから、下請工場は手形をとっかえてもらいに行ったら、どなりとばされてしまう。そのまま黙って金庫の中にしまっておく。支払い日に近づいてくるころになって銀行に持っていくという例がたくさんありますね。それで割引料なんかもらえません。もらうべき権利があったってもらえません、いまの状態では。  そこで、私もこの間からいろいろ考えまして、これはひとつ通産大臣にも聞いていただきたいし、また、公取委員長にも参考に聞いていただいて、私も実はある下請の業界の団体長をしているし、全国で三千軒の工場がありますから、何かいいことはないかと、この間から考えているのですが、このことについては、昨日も実は法律改正をしないで、これがやれるだろうかと存じまして、参議院の法制局の部長さんに来てもらい、また、この専門員にも来てもらって、私、相談してみたのですが、つまり延滞利子だとか、割引料を親企業に必ず払わすという何かいい方法がないだろうかと思いまして、私ひとつ考えたことがあるのです。それはどういうことかと言いますと、下請手形という考え方です。手形の用紙も親工場が三つの銀行と取引していれば、三つの銀行は手形の用紙をそれぞれ用意をさして、かように下請手形については、全国の銀行で下請手形という用紙を用意さして、そして親工場は三銀行と取引があれば三冊を用意するわけです。ただし、普通の手形と違うところは、左側に控えがあって、手形用紙がついておりますから、その一番右側の端に小切手をも切取式でつけるのです。一枚の紙で手形と小切手と一緒になっているわけです。そうして、親工場は支払いのときに小切手のついた手形を払うわけです。それはかりに下請手形と命名します。そうすると、親工場の支払うべき延滞日歩並びに割引料は手形にくっついている右側の小切手に記入します。それですから、親企業が手形で支払う場合は、手形の割引料も延滞利子も同時に下請に支払うことになるわけです。この方法は手形その他の法律改正をする必要があるかも知れませんが、とりあえず法律改正しなくても行政指導によってできるかと思います。つまり、行政指導によって下請に対しては今後は親企業からこういう手形と小切手の一緒になった下請手形をもらうことになるのだから、君らも必ず右側の小切手には延滞日歩とそれから割引料を書いてもらえ、一緒のものでなければもらっちゃだめだぞと、こういうふうにして指導してやれば、親企業というものが、いままでは延滞日歩も割引料も全部払わなかったのですからね。それがだんだん払ってくれるようになるのじゃないかと思います。現在手形法やそのほかいろいろなものがありますから、きのうも法制局でいろいろ研究さしてみたのですが、これはやはり法律改正で下請手形法とかいうような別の法律をつくらなければちょっとむずかしいが、しかし行政指導によってもいくだろうと思います。通産省あたり親工場と両方に対して、それならばいくだろうと思います。いままで延滞日歩はもちろん、割引料も全然ふっ飛んでいるのですから、それを義務づけるというひとつのムードをつくらすための方法じゃないかと思って、実は通産大臣にも聞いていただき、公取委員長にも御意見をいただきたいと思います。
  138. 福田一

    ○国務大臣(福田一君) よくひとつ研究さしていただきます。
  139. 小林英三

    ○小林英三君 わかりました。公取委員長はどうですか。
  140. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私も研究さしていただくというほかにちょっと申し上げることございません。ただ、下請代金の問題をもっと正常的な姿に戻すということについての熱意は私も十分持っております。それで先ほど来申し上げましたように、現行法の範囲でできるものは現行法の範囲でまずやっていく、同時にもう少しわれわれのほうも研究を重ねた上で、やはり現行法でぐわいの悪い点が、どの点をどういうふうにするか、これはもう少しわれわれのほうに時間を貸していただきたい。かように考えております。
  141. 小林英三

    ○小林英三君 私は大臣が見えたらまたやります。公取委員長に対してはこれくらいにして私は中小企業庁長官がお見えになりましたので、ちょっと長官にお伺いしますが、それは、私、先ほどから公取委員長との質疑応答の中で、現在全国に下請工場が約二十万あります。中小企業もたくさんあるでしょうが、親工場が八千ないし一万二千あると見なされている。これを取り締まるということについては、従来公取のほうでもずいぶんわずらわしい思いをされたと思いますし、今度はまた人間をふやしていかれるそうです。中小企業庁のあなたのほうにも、やはり法律の上では二カ条にわたって発動することになっている。二カ条ありますね、たしか。中小企業庁としては第六条と九条二項がありますね。これはりっぱに法律にうたってあるんです。中小企業の下請代金の支払い遅延防止についてはいままであまりたんとやってくれなかったんじゃないですか、あなたの時代はどうか知りませんが、いままでの中小企業庁としては、中小企業を保護する官庁として、いままであまりやってくれなかったんじゃないのですか、どうでしょう。
  142. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 私も、着任をいたしましてから、この関係を、いろいろ従来のやり方だけでは不十分じゃないかということで、相当突っ込んだ調査を始めております。ただ、従来は、それじゃ、この支払遅延等防止法に規定してありまする六条、それから九条の第二項の規定による中小企業庁長官の発動というか、いうようなものが非常に不活発であったんじゃないかという点につきましては、私は必ずしもそうは見ておりません。従来からこの第九条のほうの調査等につきましても相当やっております。ただ、これは公取とのいろいろの仕事上の重複を避けるという意味もございまして、御承知かと思いますが、中小企業庁のほうは主として下請業者のほうを調査する、こういうことでありまして、いまも御指摘がありましたように、非常に数が多いわけでありまして、一年間に何百件ということをやっておりますが、その意味では非常に不十分ではなかったか。ただ、その調査をやりまして、下請代金支払遅延等防止法の趣旨に合致していないようなものにつきましては、さっそく公正取引委員会のほうへ実際上の問題として連絡をいたしまして、是正をしていただくというようなことをやっておったわけであります。その意味で、第六条の、親工場がこの順守事項に違反をしておるような場合に、それを調べて、その事実があると認めた場合に、公正取引委員会に対して、この法律の規定に従って適当な措置をとるような請求権がございます。これはいま申し上げましたように、いままでの事例におきましては、調査、それからそれに基づく公取の調査等によりまして、大部分のものが是正をされておったというような情勢でございまして、長官の正式な請求ということは一度もいままでやっておりませんが、実際上は相当熱心にやっておるというふうに考えております。ただ、情勢が、御承知のように、昨年の後半来企業間信用が非常に膨張を続けて、また金融が引き締まりぎみになってくるという最近の情勢等から、下請につきまして手形のサイドが非常に延びるというような事例が最近非常に多くなりましたので、第九条の調査、立ち入り検査、第六条の発動等についても、厳正な運用をやりたいということで、先般通産大臣が閣議におきまして、二月の二十一日でございますが、閣議において発言をされまして、この法律の解釈を厳正にすると同時に、中小企業庁におきましても、定期的な親工場の調査、それからさらに、それとの関連におきまして、下請事業者の調査等を相当シビアーにやりまして、公取にもお願いをいたしまして下請の支払遅延等防止法の趣旨に従ってやるようにせっかく努力中でございます。
  143. 小林英三

    ○小林英三君 まあ新中小企業庁長官、これはもうそういうようにおっしゃるのが当然でしょう。元の前任者が何もやらなかったということはおそらくおっしゃりますまい。しかし、実際問題としては、元の長官が悪かったかいいかの問題じゃない。中小企業庁としてこの下請代金支払い遅延の防止については、いままではあまりやらなかった——ほんとういうと、ほとんどやらなかったと言っていいでしょう。しかし、これは法律に第六条においていまあなたがおっしゃったような問題を調査して、事実があると認めたときには公取に申し出る。もう一つは、下請の利益を保護するために必要ありと認めたときは、親事業者と下請事業者に対し取引に関する報告をさして、あなたのほうの職員を使って親事業者、下請事業者の事務所または事業所に立ち入り検査をすることができると書いてある。これはできるのは、公取のほうもできるし、あなたのほうもできる。どっちもできると法律に書いてある。まああなたの時代になったら、ひとつ人員をうんとふやして積極的にやって下さい。それをお願いいたします。
  144. 中田吉雄

    中田吉雄君 公取の委員長にはまたあとでお尋ねしますが、中小企業庁長官もおいでになっておるので、ちょっとお尋ねしますが、これはまあ公取や大蔵省の所管だと思うのですが、いっか申し上げたと思うのですが、両建てと歩積みの問題ですね、これは私の調べたのでも、借り入れ金の大体半分が積ましておりますし、大蔵省からいただいたのでも、都市銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫で、昭和三十八年三月から四月までに、都市銀行でも借り入れ金の四割九分を、地方銀行では四割八分、相互銀行で五割七分、信用金庫で五割三分、こういうふうに、まあ非常に借り入れ金の高い率を歩積み、両建てをさして——これがまあ必ずしも全部不当だとは言えぬのですが、ですから、まあ日歩一銭七厘とか二銭四厘とかいっても、実際は借り入れの中小企業者の実質金利はずいぶん高いものになって、これはただいま小林委員質問されたような、この下請代金の遅延防止とともに、実質金利を引き下げるという問題は、中小企業庁としても非常に大きな問題だと思うのですが、まあ公定歩合の引き上げもありましたが、預金準備率の引き上げというようなこととからみ——これをまあ公定歩合の引き上げのほうが、もっと私は中小企業に対しては預金準備率より影響が少ないと思うのですが、たとえば、地銀や相互銀行とか信用金庫等は日銀からは借り入れていないのに、預金準備率の引き上げで何ぼか預金を凍結されるというようなことで、非常に問題だと思うのですが、そういうこととからんで、一そう私は実質金利が高くなるんじゃないかと思うのですが、これに対して、これはまあ内閣全体として私取り上げねばならぬ問題だと思うのですが、いかがですか。
  145. 中野正一

    政府委員(中野正一君) いま先生の御指摘の点は、全く私も同感でございます。それで、かねてから、これは政府全体、あるいは公立取引委員会とされましても、不当な歩積み両建てをなくするように、最近は非常にやかましいきつい態度で臨んでおられると見ております。これは、中小企業者の金利負担、実質的な金利負担を軽減するのには、一番これが効果のある方法であるというふうに考えて、かねがねわれわれのほうは、中小企業庁といたしましては、そういう点をお願いをし、要望しておるわけでありますが、特にいま御発言がありましたように、一昨日でございますか、公定歩合を引き上げた。これに伴いまして、これもいま言われましたように、相互銀行以下の信用金庫とか信用組合等には、公定歩合の引き上げは金利の問題としては響いてこないんじゃないかというふうに見ておりますが、きょうの新聞にも出ておりましたように、都市銀行、地方銀行は一斉にやはり金利を上げるようでございます。その面の影響は中小企業者にもある。また同時に、こういうふうに質量両面から引き締め政策を強化するということになるわけでありますから、どうしてもこれは中小企業のほうに相当のしわが寄って、相当の影響があることは、もうこれは必至でございます。その点もございますので、ほかにもいろいろ大蔵省にもお願いをいたしまして、中小企業金融があまり一ぺんに大きな影響を受けないように措置はしていただいておりますが、なおこの際、不当な歩積み両建ての解消ということには、一そう力を入れにゃいかぬじゃないかというふうに感じております。現にけさの閣議におきまして、私のほうの通産大臣から、非常にその点について強い要望がされたようでございます。その結果——これはさっき大臣にお聞きしたので、まだ詳細は聞いておりませんが、大蔵省、日銀を中心とする査察班を至急編成をして、検査等を強化をする。公正取引委員会でやっておられることとまた別個に、政府は政府としてやるべきじゃないかということがきまったように、大臣から承っておるわけであります。
  146. 中田吉雄

    中田吉雄君 中小企業庁とされては、大蔵省や公取ではやっているわけでしょうが、表面金利と実質金利がどうなっているかというような実態調査をやられたことがありますか。
  147. 中野正一

    政府委員(中野正一君) 私のほうで、これはちょっと調査がなかなかむずかしい問題でして、いま先生も御指摘になったように、個々のケースについては、われわれも、話を聞いたり、申し出によっていろいろやったことはございますが、金融機関を通ずる調査ということになると、これは大蔵省の銀行局の検査のときにこれをやるわけでありまして、これは、今後出しました昭和三十八年度の中小企業に関する年次報告におきましても、一四五ページでございますが、昭和三十八年の三月、大蔵省銀行局の行なった歩積み両建て預金特別検査の結果によりまして——この数字を出す出さぬというのもいろいろ問題があったのでありますが、この際、やはり銀行局へお願いをしまして、むしろ白書に、一番世間で問題になっているんだから載せようじゃないかということで載せたわけでありまして、これによりまするというと、これは金融機関の借り入れ残高に対する預金残高比率の高い債務者を抽出したものでありますので、いわば歩積み両建ての上限的な姿であり、一般的状態とは見られませんが、都市銀行におきまして二八・七%、地方銀行におきまして二九・九%、相互銀行において五一・六%、信用金庫が四四・一%となっておるわけであります。ただこれは、歩積み両建てが、先ほど先生おっしゃった、全部不当なものか、いわゆる金融機関の、金を貸すほうの側の強制によるものかどうかということになると、そうではなくて、むしろこれは従来からの商慣習的なものが相当占めておる。したがって、歩積み両建て預金のうちで、問題とされまするいわゆる債務者の意思に反して過度に拘束しておるものというものがどのくらいか、これも大体の推定に近いものであろうと思いますが、これは一応都市銀行で八・九%、地方銀行で一一・二%、相互銀行で二四・二%、信用金庫で一七・七%という数字を出しておるわけであります。中小企業庁としては、一応やはり大蔵省の銀行局の検査によるものをデータとして見て、これによっていろいろ施策を立てておるわけでございます。
  148. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はあとで公取委員長だけに法改正の問題で少し質問をしたいと思うのですが、竹下政務次官もおられますので、私の質問はこれだけに限りたいと思うのですが、ただいま中野長官からも申されたように、ただいま発表の数字は私も実は大蔵省からいただいており、私のつかんだ実際の例からしても、その後、私が当たってみても、実際いささかの反省の色もない。なかなかこれは弱い立場で、実際後難をおそれて強く言えない。先般も私が資料を出しました二億六千借りて一億二千預けているという例なんですが、これも全然——私も行ってどうこう言うこともはばかっていますが、いささかも——とにかく二億八千借りて一億二千積ましているのですから、日歩五、六銭になるのです。ですから非常に企業そのものはうまくいっているのですが、そのために、普通の金利より千二百万多いために、何とか実質金利を下げぬことにはどうにもならぬということで、これはとても——渡邊さんがだいぶハッパをかけて、威勢のいいかけ声もしておられますが、これはとても容易なことじゃないと思うのですが、私は実質金利を下げるということは最高の通産政策の一つじゃないかと思うのですが、竹下次官、これはどうなるでしょう。
  149. 竹下登

    政府委員竹下登君) たしか昨年の十二月十四日か五日の委員会の際に、先生から資料を御提示いただいて、同じ趣旨の御質問を賜わったと記憶いたしております。その後、ただいま長官も申しましたように、いろいろ通産当局といたしましても、これが歩積み両建ての企業のいわゆる金利負担にたえかねるという問題について協議を重ね、そして所管であります銀行局または公取等にもいろいろお願いをいたしておるところでありますが、非常に通産当局自体として大きな課題であるということは、先生指摘のとおりでございますが、これが権限あるいは実態の問題について、非常にむずかしい点も数ございます。そこで、これらを解決していくためには、本腰を据えてやらなければならないという、いわば思想統一のようなものを行なって、検討を続けておるさなかでございます。
  150. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはやはり高度経済成長政策の結果、資金需要と供給との力関係で、私はやはりそういう政策の基本に触れずにはなかなかできぬと思うわけですが、ただ一つ希望を申し上げておきたいことは、昨年も申し上げましたように、政府の代理業務でも依然として、私、最近取り扱ったのですが、これは通産省の所管ではないのですが、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の代理貸しをやるのでも、何とかワクをもらってくれ、そうすれば代理業務は引き受けてあげましょう、こういうことで、いろいろ中小企業金融公庫や農林漁業に話して、ワクがきまると、やはり二割ないし三割は先に預金をさせておくということは、一向に改まっていない。まず一千万借りれば三、四百万——三百万くらいはやはり預金をさせるわけなんで、借りて皆使わぬから一時預けておくというならわかるんですが、先にやはりやるんです。そういう点については、特に中小企業金融公庫なんか、そういうことのないように、ひとつ十分な指導と監督をお願いして、私は竹下次官、中野長官に対しては希望を申し上げてこの関係質問はこれだけにします。  渡邊委員長にお尋ねいたしますが、今度の改正案によりますると、現定員の二百五十一名に十五名を増員いたしまして二百六十六名とするようになっておりまして、いままでの経済部の一部を取引部に昇格させ、地方事務所を札幌に追加新設すると、こういうふうになっているわけですが、聞きますると、当初公取は、行政管理庁及び大蔵省に対しまして、四十九名ですか、増員の要求をされて、その結果十五名認められたと。昨年はたしか五十二名要求しまして、たった六名しか認められなんだ。そういう点からいうと、昨年より歩どまりはいいわけですが、しかし、ただいま小林委員質問等がありましたように、支払い代金の遅延防止あるいは管理価格の問題、あるいは不当景品の防止の問題あるいは歩積み、両建てと、公取に課せられ、期待します仕事は非常に大きいんですが、そういう点から考えますと、独禁法の期待します事業分量もふえておるし、わずか十五名の増員をもって所期の目的を達し得るかどうか、そういう点についてお伺いをしたいと思います。
  151. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私としましては、非常にまあ答弁しにくい立場に実はあるわけでして、と申しますのは、当初われわれが四十九人要求したのも、別に何といいますか削減されることを予期して要求したわけではないわけでして、ただ一応予算というものの性格をいまさら中田委員に申し上げる必要もありませんが、いろいろな各省の要求とかいろいろなもの等見合わせながら、一応そういうふうな政府原案ができ上がっているわけでして、したがって、昨年の六名に比べれば、確かに十五人というのは、考えようによっては、政府もよく考えてくれたということも言えますが、しかし同時に、われわれのほうで取っ組もうとしている仕事の大きさからいいますと、非常にまだまだ足りない。まあ、しかし、公正取引委員会の立場としましては、一応与えられた人員なり予算なりを、できるだけ有効にフルに使いまして、その職責をとにかく最大限果たすように努力してまいりたい、こう申し上げる以外にちょっとないわけだと思います。
  152. 中田吉雄

    中田吉雄君 今度地方事務所としまして、札幌が新たに追加新設されることになっているのですが、現在名古屋、大阪、福岡と並んで、地方事務所が四つになるわけですが、このたび行政管理庁及び大蔵省に要求された中には、広島にも地方事務所をつくりたいという御要求があったように思うのですが、まあ地方事務所としましては、少なくとも通産省の通産局のあるような都市には——広島はもちろんのこと、あるいは仙台、四国の高松だとかいうようなところにはあって——やはりそういうふうなところにも地方事務所がないと、公取の機能が十分発揮できぬじゃないかというふうに考えるわけですが、そういうことは、おいおいそういうような方針をお持ちでしょうか、それを伺います。
  153. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私も全然いまの御意見には同感でございます。まあ、一度に全部というわけにもまいりませんと思いまして、とりあえず広島と札幌を要求し、予算の上では札幌が認められたわけですが、明年度以降におきましては、少なくともお話しのように、広島、高松、金沢といいますか、地方のそうした通産局あるいは財務局のある場所には、われわれのほうの拠点を持つということが、いろいろな意味において、公取の機能を発揮する上において、どうしても必要だと、こういうふうに考えております。予算要求をしてくださいます内閣の総務長官も、過般衆議院であったと思いますが、同じような意見を開陳されておりました。
  154. 中田吉雄

    中田吉雄君 人員問題については、その程度にしまして、歩積み、両建ての問題ですが、公取の事務局からいただいた資料に、いろいろ取り上げていただき始めてから、相互銀行や銀行協会等で、自粛の決議をして、たとえば債務者預金の一般預金に対する比率を圧縮する相互銀行方式、あるいは拘束預金の債務者預金に対する比率を圧縮してゆく全銀協の方式とかいうようなものがあるのですが、これは実際どっちが実情に合うのでしょうか、この二つの方式の中で。
  155. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 大蔵省がいまお話しの相互銀行方式とか、全銀協方式とかいう、いろいろなことで、不当な歩積み、両建てをなくそうという努力は、これはいわば何といいますか、マクロ的にものを見てゆく行き方だというふうに見ております。それはそれなりに私は意味はあると思います。ただしかし、私のほうとしましては、不当な歩積み、両建てがあれば、個々の取引において、それ自体が問題になるわけですから、したがって、これをミクロ的にものを見るというのですか、したがって、大蔵省のマクロ的な行き方は行き方として、われわれのほうではやはり個々の取引において、そういったような問題がなくなるように、今後持ってゆくという努力をしてまいりたい。御質問の相銀方式と全銀協方式とどちらが合理的かというような問題につきましては、これは私なりに多少意見を持っておりますが、主としてはそれはやはりその銀行の持つ預金の性格というか、そういうものがある程度反映して、そうした二つの姿になってきておるのじゃないかというふうに私は考えておりますが、しかし、私のほうで考えておるのは、それがあるからそれでものが片づくというふうに単純には思っておりません。
  156. 中田吉雄

    中田吉雄君 全銀協が昨年の暮れに、二年かかって拘束預金の二割を圧縮するというようなことを言っておるのですがね、御存じですか。こういう、二年もかかって二割を圧縮するというのですから、これはなかなか気の長いことですが、これはいかがでしょう。
  157. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) そういう問題を大蔵省と全銀協の間で話し合っておるということは聞いております。しかし、私のほうは別にその拘束預金の二割を圧縮すれば、それでこの問題が片づくといったような簡単な問題とはちっとも思っておりませんし、ただ要するに、といって私の考えておることを実施に移してみまして、すぐに全部が全部改善されるというほど、これも甘い問題とも考えておりません。したがって、私のほうとしましては、別にその拘束預金の二割を圧縮すればそれでいいんだといったようなことは全然考えておりません。
  158. 中田吉雄

    中田吉雄君 正月の明けに、公取委員長の談話として新聞に出ておるのですが、一兆四千億の拘束預金の中で四百五十億くらいその自粛の対象になるというふうなことが出ておるのですが、拘束預金一兆四千億の中で四百五十億くらいが対象ですか、そういうふうににらんでおられますか。
  159. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それはおそらく新聞に出ていたと思いますが、そういうような数字を全銀協が私のほうへ持ってきた。したがって、私のほうとしては、それはもちろん受け取りましたけれども、私は、いわゆる不当な歩積み、両建て自体が、その一兆四千億の中の四百五十億程度のものなら、世間がこれだけ大きくこの問題を取り上げるというようなものではあるまいじゃないかというような考え方を持っておりますけれども、私どもとして、その一兆四千億の中で、少なくとも四百五十億あるとはいってきておりますけれども、そういう事態を一体どうして調べるのか、われわれはそれを問題の出発点として考えておるのでありまして、四百五十億が自粛の対象だ、それしかないのだ、こういうふうな考え方は全然考えておりません。
  160. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、公取としては、そういう計数的な把握でなしに、いろいろ投書やあるいは何らかの調査等でやられて、これが等閑に付せれるというような意味で、大きく公取として取り上げられておるのですか。その辺の大量観察としてはこうだ、だから、というようなことでなし、なんですか、その辺はどうですか。
  161. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 数字として私のほうでつかんで持っておりますものとしては、いまの全銀協の数字が一つあります。それからそのほかに大蔵省が昨年の三、四月ごろやった銀行検査の結果という数字が一つあります。で、公取としてはまだ独自の調査は持っておりませんので、やはり一応何がしかのそうした資料を持つべきであろうという意味で、別途調査をすることをいま準備しております。ただそうした数字の問題は必要ではありますが、同時に少なくとも私の会う人、会う人が、その銀行関係以外の人である限りにおいては、この問題は、相当の会社の人でも、うちにもあるんだという話をしておりますから、かなり根の深い、幅の広い問題だろう、こう思っておりますし、また委員会でこれだけ問題になる大きな問題ですから、したがって、われわれのほうとしても等閑にすべきものでない、かように考えて、取り組んでおるわけです。
  162. 中田吉雄

    中田吉雄君 公取とされては、新聞では、特殊指定にするというようなことが出ておるようですが、一般指定の十項ですか、そういうことではいけない、やはり特殊指定でやらぬといけぬということですか。これはどうですか。
  163. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一般指定の十項ですか、十項でもって問題が扱えないものとも思っておりませんが、一般指定の十項は、御承知のように、かなり抽象的に書いてございますので、それを実証することにおいて、かなり手数がかかるわけでして、したがって、むしろ特殊指定にすることによってずばりそのものということをはっきりさせるということが、やはりこの問題を片づける意味においては適切じゃないか、こういうふうに考えております。一つのよりどころを一般指定十項では非常に抽象的ですので、よりどころがはっきりしませんので、もっとはっきりさせる特殊指定の必要があるんじゃないか、かように考えて検討しているわけです。
  164. 中田吉雄

    中田吉雄君 一般指定よりか特殊指定のほうが妥当ではないか、こういうことですが、しょうゆとか、みそとか、たくさん特殊指定のものがあるんですが、それはおよそどのくらいあって、そういう指定したものは効果があがっているんですか、その点。
  165. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 特殊指定の中には、しょうゆとか、みそとか、新聞とか、いろいろありまして、数としては十三です。それで効果としては内容によっていろいろ問題がまだ残っておるものもあると思っております。たとえば百貨店に関する特殊指定とかいうものは、みそ、しょうゆとかいうような単純なものではありませんから、これについてまだいろいろ問題があると思っております。しかし、それなりの効果はあがっておる、かように考えております。
  166. 中田吉雄

    中田吉雄君 十三の特殊指定の先例にかんがみて、いま議題になっている問題を特殊指定にすれば、相当やはり効果が期待できると思います。これはなかなか手に負えない大きな問題だと思いますが、その関係、どうですか。
  167. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在行なっておる十三の特殊指定に比べまして、金融機関のそうした歩積み、両建てを特殊指定にした場合の将来というもの、そう私もなまやさしいものではないと思っております。しかし、やはり相当の効果は期待できるんじゃないか。私のほうとしても特殊指定して——もちろん特殊指定のためには、関係業者の意見を聞くとか、公聴会を開くとか、いろいろな手続を経てやるわけですが、その次の段階としては、私のほうとしてはしかるべく勧告的な行政の手を伸ばしていく、こういう手段を第三の手として考えております。私は私のほうの持つ陣容の問題ともからみ合いますが、相当の効果を期待できるんじゃないか。もちろんその場合において、私はやはり大蔵省の銀行検査とか、そういうことも大いに協力してもらいたい、かように考えております。
  168. 中田吉雄

    中田吉雄君 一定の基準をつくられて、そうして金融機関に対して特殊指定されるわけですが、かなり準備にかかるわけですか。
  169. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私も多少勉強してみて、かつての自分が甘かったと思っていたんですが、と申しますのは、一応業界の自粛措置といいますか、これが中田委員御承知のようにできているわけです。それでこの間出してきたものも、その自粛措置に基づいてやっていますし、大蔵省の持っている数字も、業界の自粛措置というもので、右、左判断していくわけです。この自粛措置というやつを今度特殊指定にするために、初めは単純に法文化できると思っていましたが、分析していきますと、いくほど非常に何といいますか、解釈のしかたじゃ抜け穴になってしまう例が出てくるのじゃないか、たとえば債務者の都合または事情によって積み立てた場合この限りでない、こういうふうになっております。都合によりというと、債務者の何といいますか、希望とかそうしたものを中心としたものに思いますが、事情によりということになれば、あるいは貸し手方の考え方というものも入ってきて、そこで出てくる。多分に何といいますか、債務者と債権者の間の両方の考え方がクロスする事情も出てくる、いろいろな事情がありまして、必ずしも債務者の事情及び都合というものが同じ次元のものとも考えられない。そういうようなのを順次分析して、やはり妥当な線がどこかという点を、いまわれわれのほうでせっかく検討していることでして、自粛措置そのものをこれはまた大蔵省も一応目を通して、全銀協でやっているのでしょうが、どうも分析していくと、非常にあいまいな線がそこに出てきますので、もちろん全部を全部あいまいさをなくし得るかどうか自信はありませんが、やはりあいまいなところは、できるだけはっきり右か左かという点に持っていく努力をわれわれとしてはまずすべきじゃないかというので、こういうことで実はわれわれのほうも、時間はある程度要している、これが現状であります。
  170. 中田吉雄

    中田吉雄君 債務者の都合ですが、これはなかなか都合が悪いのだが、あとから、借り入れるのが悪いのだというようなことが幾らでもある。なかなか厳密に規定をやれば、ほとんど適用できないのじゃないかという、そういう一定の基準を作成することは、不可能になってくるように思うのですが、その点はどうですか。
  171. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局そこの点なんですが、歩積み、両建てにしましても、結局そこに貸借があるのですから両者の合意があるわけです。しかし、その実態は、とにかくこれだけ積まなければ金貸さぬぞ、あるいはこれだけ貸すについてはこれだけの両建てを建ててくれという点、こういったようなことになっているわけですから、そういうものをもって、やはり債務者もそれでは先々のことが考えられるからやむを得ず積む、それも債務者の都合だということになれば、これは現状はそのまま是認されてしまうわけですから、それじゃおかしいわけです。したがって、ただそれじゃ全然そういう問題はないかといえば、これはやはりその事例として、たとえばわれわれが見てもなるほどと思われるような事例が全然ないわけではありません。たとえば定期預金なら定期預金がありましょう。期限がこの六月の末だ、いま金が要る、それじゃ定期預金を担保にしてそのかわり要るだけ貸しましょう、定期預金の引き出しは現在すぐはできない、こういったのに定期預金を担保にしてそれじゃ一部か全部か一応金を貸しましょう、こういうような場合もあり得るわけです。私は債務者の都合によりなんとそういったのは、たとえばそれに入るといったようなことがやはり考え得るのじゃないか。したがって、非常に何といいますか、都合とか事情とかいうものを広く解釈すれば、契約で成り立っているのですから、いわば現状がそのまま認められるわけですけれども、それじゃいけないわけです。そこを要するに区別していこう。私は非常にむずかしい問題ですが、しかし、できないとは思っておりません。いま、せっかく、そこを何とかできさそうと思って努力しているわけです。
  172. 中田吉雄

    中田吉雄君 いろいろ調査が深まったためでしょうか、公取委員長、だんだん就任当時といまと比べると、歩積み、両建てについては少し弱気になられた。慎重と言ったらいいのですか、あと足を踏んで万全な措置をと言えばいいのですか、どうもこれはかけ声に終わってしまうのじゃないかという、新聞の報道等の片言をたんねんに見ていて、そう思うのですが、そういうことはありませんか。
  173. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 先ほども申しましたように、一番初め飛びついたときに比べれば、問題がきわめて複雑で、そう簡単なものでない。したがって、われわれとして特殊指定する場合においても、相当万全の用意が必要だ。そういう意味からすれば、私としてのその考え方が、かつてといまとは多少心境的に変わっていると思います。しかし、特殊指定するとまだ結論をはっきり出しているわけじゃありませんが、おそらく特殊指定せざるを得ないのじゃないかという心境においては、かつてと現在とちっとも変わっておりません。
  174. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはひとつ私は高度経済成長政策との関連で取り上げる、これは公取だけの権限では非常に狭い限界があるのじゃないかと思うのですが、しかし、これについてかなり大きな期待を実際銀行等から借りている人は持っていますので、ひとつぜひできるだけ急いで措置をされることを私は期待しています。  きょうは時間もありませんので質問をやめます。
  175. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ本案に対する質疑は本日はこの程度といたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時三十七分散会      —————・—————