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1964-03-10 第46回国会 参議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十日(火曜日)    午前十時四十分開会     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君    委員            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            小林 英三君            豊田 雅孝君            八木 一郎君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君   衆議院議員    発  議  者 小笠 公韶君    発  議  者 神田  博君  発  議  者 早稻田柳右エ門君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    通商産業大臣官    房参事官    宮沢 鉄蔵君    通商産業省通商    局長      山本 重信君    通商産業省重工    業局長     森崎 久壽君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    局経済協力部長 赤沢 璋一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○アジア経済研究所法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○電源開発促進法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○軽機械輸出振興に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出) ○電子工業振興臨時措置法の一部を改  正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日はアジア経済研究所法の一部を改正する法律案及び電源開発促進法の一部を改正する法律案について、残余の質疑を行なった後、討論、採決を行ない、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案及び電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、資料説明を聴取することといたしましたから御承知を願います。     —————————————
  3. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、アジア経済研究所法の一部を改正する法律案議題といたします。先回に続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  4. 中田吉雄

    中田吉雄君 いただきましたアジア経済研究所案内の三十二ページに、アジア経済研究所設立される際に、閣議の了解事項がございまして、その(3)に、アジア地域経済とこれに関する調査で、「今後類似研究機関を設けない」、こういうふうな了解事項がありますが、たしか私の聞くところによると、去年かおととしですか、ロックフェラー財団京都大学に相当多額な数億の寄付をしまして、それをもとにして、文部省その他から国の予算措置をいたしまして、たしかいまバンコックに研究所の出張所みたいなものができておるように聞いていますが、これはどういうふうなことですか。
  5. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいまのところ、私ども内容詳しく存じておりません。文部省所管でございますので、後刻調査した上でないとお答えする立場ではございません。
  6. 中田吉雄

    中田吉雄君 実は私、郷里へ行って帰って来まして、きのう汽車で上京しましたが、友達の京都大学の教授が乗っておりまして、この改正法案が審議されているが、この関係はどうなっているのだ。たしかこれは間違いありません、数億円のロックフェラー財団寄付文部省の金を加えて、京都大学付属研究所アジア地域経済研究所ができているわけです。いずれその調整ができていると思いますが、もうきょう採決があるわけですが、私は必ずしも一つでなくちゃならぬということもないと思うのですが、今後は類似研究機関を設けぬということになっているのです。いずれこれは相談があったと思うのですが、この研究所からずっとあとですから、たしか去年ころだったと思います。ひとつ竹下次官からでありましたが、これはもう生まれたわけですから、両者がやはり調整して相互競合のないようにやられたらいいと思います。その点をひとつ申し上げておきます。
  7. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいまの早急にいま調べに出しましたので、内容多少のことはわかるかと思いますが、御趣旨に沿って協調していきたいと、かように考えます。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 この研究所所管の省は通産省ですが、この研究所法を見ますると、通産大臣が、会長、所長及び監事通産大臣が任命するという十三条と、それから監督規定の三十四条、三十五条というような規定があって、その他、実際貿易振興業務担当される通産省と、あまり関連が薄いのじゃないかと思うのです。私はあまり研究所に干渉することもどうかと思うのですが、やはり貿易経済協力等を実際担当される通産省と、そういう調査研究普及活動ともっと緊密な連絡があったほうが——私、福田大臣の話を聞いても、ほとんどまかせっぱなしで、ちょっとルーズすぎやせぬか、干渉とは申しませんが、もっとやはり研究テーマの決定とか、その他もう少し緊密な関係があってもいいと思うのですが、これを見ましても、あまりそういう関係が、特に研究テーマのきめ方等については、監督規定もありますが、そういう点が少し薄いのじゃないかと思うのです。この関係はいかがですか。
  9. 赤沢璋一

    説明員赤沢璋一君) 法律のたてまえから申しますると、こういったような研究を主体にいたします特殊法人でございますので、監督の点につきましては、ごく簡素な形で行なうことにいたしておりますが、実際の運用にあたりましては、私ども担当しております部局でございまするが、そのほか通産省大臣官房その他関係部局等関係課長部長等が集まりまして、月に一回定例的にアジア経済研究所理事あるいは関係部長等との連絡会議を設けております。そういうことで、ごく緊密に調査の実際の進行状況、あるいは調査が十分でき上がります際の中間報告などを聴取いたしながら、緊密な連絡をとって運営をしておるのでございます。なお、予算につきましては、先般の委員会で御説明申し上げましたように、自己資金はその一部でございまして、運営に関する大部分の金が政府補助金で出ております関係上、予算面の執行につきましては、それぞれ適正な監督を行ない、また実際問題といたしまして、年末における予算の編成、大蔵省に対する要求等に当たりましても、密接に連絡をとりまして、これを提出をしておるというような状況でございます。
  10. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はまあ貿易振興の実際を担当される通産省と、研究所研究テーマをきめられる際には、十分やはり打ち合わせをされて、ただ人事の面だけということでないほうがいいと思いますので、この点希望申し上げておきます。  次に、お伺いしますが、研究所の対象でありますアジア地域は、わが国貿易輸出のどういう比重を占めているか、その点についてお伺いします。三十七年でもいいです。総額でどれだけ占めているか。
  11. 赤沢璋一

    説明員赤沢璋一君) アジア地域わが国全体の貿易に占めます比率は、年度において多少の出入りがございますが、大ざっぱに言って、三割というふうに考えてけっこうだと思います。三〇%というふうに考えてけっこうだと思います。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 そうしますと、わが国貿易の三割を占めるとしますと、この中の中小企業製品と、大企業製品の占める比率はどうなりますか。
  13. 赤沢璋一

    説明員赤沢璋一君) アジア地域につきましての輸出につきまして、中小企業が何割かという御質問でございまするが、実はアジアという地域についてだけの、中小企業に関する統計は、手元にいまございません。後刻調べましてお答えを申し上げたいと存じますが、全体的に申しまして、いま日本貿易の中で、中小企業の占める比率は、過半数と申しまするか、約五割をこえる数字になっておりますので、おそらくアジア地域につきましても、同様の傾向であろうかと存じます。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はもう少し高いのではないかと思いますが、いずれにしても、半数中小企業向けが占めているわけですね。なぜそういうことを聞きますかというと、この第一条には基礎的かつ総合的な調査研究を行なって、その成果普及し、そして貿易の拡大をはかるということになれば、この研究成果が真に実を結ぶためには、やはり五割以上を占める中小企業に対して、調査スタッフを持たぬそういうものに対して、どういう問題が切実な問題であるかということを、十分中小企業の悩みを取り上げ、そういうものを研究し、そういう成果十分中小企業普及して、そして貿易振興をやるという、そういうことが、私は半数以上も占める以上は、所期目的を達するために非常に重要じゃないか。ところがいただきました案内書を見ると、まあ正会員、準会員等、これは椿委員質問しましたように、全く大商社です。あるいは大メーカーです。独自のスタッフをもってやれるところばかりで、内訳は出ておりませんが、そういう点で所期目的を達するには、半分以上を占める中小企業に対して一番必要だと思うのですが、そういうものに対しても問題を取り上げて、そうしてそういう努力研究成果を十分普及浸透するような措置を講ずることが私は必要じゃないかと思うのですが、いただいた資料商社がなんぼというようなことで、これが大企業中小企業とどうなっているかわかりませんが、おそらく正会員、準会員等から見ても、大商社向けだと思うのですが、そういう点では、非常に設立当初の援助のいきさつ等もあると思いますが、そこを克服してやはり中小企業の占める比重にかんがみて、そういうものに対して問題を取り上げ、そして研究成果を十分あまねくするようにすることが必要じゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  15. 竹下登

    政府委員竹下登君) 先般の椿先生の御質問に対してもお答えいたしましたごとく、今日まで審議の過程においていろいろ御議論を承っております間において、そういう配慮については今後一そう努力をしなければならないということを私自身も痛感いたしましたので、御趣旨方向で検討、努力を続けたいと思います。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ研究成果普及方法ですが、部長にお尋ねします。これは実際、先般いただいたような印刷物でやるのもあるし、ゼミナール等もあると思うのですが、そういうものには、やはり関係します中小企業者等も呼ばれたり、あるいは参加する機会を与えたりするような措置はとられているのか。またとられていなければ将来とっていただきたいし、一そう、五割以上も占めるのですから、そういう点も考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
  17. 赤沢璋一

    説明員赤沢璋一君) 中小企業者その他に対しますこの研究所研究成果等普及につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、今後ともその方向に沿いまして具体的な改善策をとってまいりたいと思います。現状で申し上げますと、まあテーマの選び方につきましては、これは通産省全体で意見をいろいろ取りまとめることになっておりますが、その際には、もちろん中小企業庁担当者意見も十分徴してやることになっております。なお、成果普及等関係いたしますが、現状ではゼミナールあるいは講習会等につきましては、一般新聞紙等に掲載をいたしまして、そしてもちろんどなたでも関心がある向きは来て、これに参加していただくという態勢をとっておりますが、なお、中小企業庁等々とも相談いたしまして、特に中小企業者その他にそれが徹底いたしますように、今後改善を加えてまいりたいと考えております。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 一、二点最後にちょっとお尋ねしておきますが、今度のこの法案改正内容は、単に理事一名をふやすということのみでございまするが先日来、いろいろと同僚委員から御質問がございまして、その中にもいろいろと御答弁がございましたが、実は、このアジア経済研究所職員がこの報告書によりますと、百八十一人、こういうふうに出ているわけでございます。一方、同じように、理事増員の問題でいま議題になっております電源開発会社理事増員というものが必要とされて、本委員会にかかっているわけなんです。これを対照してみますと、電発の全職員は三千百三十一名、約三千名なんですが、そこで今度理事を三名ふやしたといたしましても、これを理事一人当りに計算してみますると、約四百名近い職員に一人の理事の割合と、こういうことになるです。一方、このアジア経済研究所のほうは、百八十一人で現在二名の理事がおられます。さらに一名追加しなければ業務担当関係で何ともならない、こういうことでございまするが、一体二百名足らずの職員の中で理事が三名の必要がどこから生じたのか。それは、先日来、いろいろと御答弁もございましたけれども電発比較いたしますると、あまりにも人員に対する比率からいきますと、理事が多いんじゃないかというふうにも感ずるわけなんですが、この点についてもう少し具体的に解明をしていただきたい、このように思うんです。
  19. 竹下登

    政府委員竹下登君) 研究所職員は、三十八年度の百八十一名から、四十二年に至る四カ年計画を策定いたしまして、一応二百七十名に増員する、こういう計画をもっておりますが、百八十一名が二百七十名になりましたところで、電発比較した場合、理事二人当りに対する職員数ということは、これは御指摘のとおり、比較になりませんが、今日までアジ研自体がやってまいりましたその機能の、いわゆる研究機関としての配慮から申しまして、今日までやってまいりましたものの実際問題として、総務管理に一名の理事を配し、そうして調査業務調査研究等に一名の理事を配しておりまして、どうしても調査研究部がいま調査室が七つ、その他長期成長調査室動向分析室統計調査室、こういうものを加えて十の各部門ができたわけでありまして、その研究そのものの深度と申しましょうか、深さという関係から、ますますこれが深まってまいりましたので、この調査研究部の十ございます調査部門二つに分けまして、これを一人の新たな理事さんによって担当してもらい、かつ調査研究部統括という立場において新たな理事の方に責任を持っていただくということでありまして、電発自体性格アジ研自体の持つ基礎的調査研究機関としての性格から申しまして、これは両者比較するということは、性格自体からいかがかと思いますけれども調査研究機関であるとして今日これだけの業務内容になりました時点においては、これを調査研究部門二つに分けて担当するという意味において一名の理事増員をお願いすることに妥当性があると、このように考えております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 いま政務次官から御答弁がございまして、両者性格の相違ということは私もよくわかっておるんですが、そういたしますると、これは前回にも私、ちょっと質問いたしましたんですが、現在の理事兼務しておられる部門ですね、今度新しく理事担当されるのは調査研究担当をやられる。兼務をしておられるのは総務部長動向分析室長、このお二人が理事であり、兼務しておられるわけなんです。過日の御答弁では、何とか将来は兼務を解いていきたい、こういうおことばでもございましたが、この将来というのでなくして、やはり現在調査研究担当が足りないということで、理事一名ふやすわけなんで、やはり私は兼務を解いて、そしてこの総務部長なら総務部長には新しい人を当てて、そうして調査研究部門担当されると、こういうことなら私、できるんじゃないかと思うのですが、それもむずかしいということですか。
  21. 竹下登

    政府委員竹下登君) ただいまの理事兼務いたしております部長室長については、これは早急にこれを埋めていく考え方のようであります。なお、このたびお願いいたしております理事そのもの調査研究部門を分けると同時に、これを統括するという立場をとっておりますので、ぜひとも必要であると、このように考えております。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 これも先日ちょっと大臣だったかに御質問したのですが、今度の調査研究担当される理事は、通産省考えとしては内部からこれを当てようとされておるのか、外部からこれをもって当てようとされておるのか、もしお考えがあったならば、ひとつお聞かせを願って、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 竹下登

    政府委員竹下登君) 新理事人選につきましては、先ほどの委員会大臣がお答えいたしましたとおり、内部外部にかかわらず、今日まだ白紙ということでございます。ただ、いわゆるその業務内容からいたしまして、学識経験豊かな方の中から選任するということが最大公約数としてお答えできる内容である、かように聞いております。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 関連して。現在の理事二名の中で、一名が総務部長担当しておられるというように伺っておるのですが、新しく総務部長を選任されると、本件が解決するような気がするのですがね、どうですか。
  25. 竹下登

    政府委員竹下登君) 私もこの間実はアジ研に行ってまいりまして、内容を初めて実は承知したのでありますが、いまの理事さんが二人で、いわゆる総務管理部門担当されておる方が一人、渋沢さんでございまして、それが御指摘のとおり総務部長兼務しておられるわけであります。そこで、総務部長は、先ほど申し上げましたとおり、早急にこれを埋めるという考え方でありまして、やはり総務管理部門統括する理事として、今日の渋沢さんが必要であるという考え方でありまして、そうして新たに選任いたします理事は、図書資料部調査業務部調査研究部を現在一人の理事担当しておりますものを、十調査室に今日相なっております調査研究部を適当に分けて、それを担当していただくとともに、調査研究部門統括をしていただく、こういう形の仕事をしていただくのでございますので、総務部長さんを埋めることによって、新たに調査研究担当理事さんを必要としないというふうには実は考えておりません。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 通商局局長さんがお見えになったようですからお尋ねいたしますが、この法案と一緒に電源開発理事増員について、衆議院神田先生以下諸先生の提案で電源開発理事増員法案をこの法案と並行審議しておる。電源開発は、御承知のとおり、膨大な組織もございますし、東京電力、あるいは関西、中部等を見ましても、取締役が十五名のところも、十八名のところも二十名のところもある。電源開発の場合は、理事が直ちに民間会社取締役に該当するかどうかわかりませんけれども対外関係その他いろいろの仕事をするわけですから、一部長という肩書きよりも理事という肩書き代表権が若干あるような人がいたほうがよかろうということで、電源開発理事増員趣旨がわかりませんわけではないが、あなたが提案なさっておるこの法案は、監事あるいは評議員等日本中の経済界から、半官半民の法人団体エキスパートを網羅している。日銀総裁から初まって三井銀行頭取あるいは住友銀行の頭取、東芝の社長さん等、偉い人を網羅している。それと同時に、研究資料収集にあたってはまたその道の担当者全部を網羅している。そうすると、アジア研究所というものは、これは事業事業であっても事務屋さんですね。事務的処理をする機関だと思うわけです。別に自分の注釈を加えて、ソ連がこうなったから日本はこうしなければならぬというようなことをやっていなさらぬようだ。インドの労働事情がこうだから日本労働行政をこうしなければならぬという結論を出さんで、正しく現地の報道を国内にするという目的ですから、私はその理事をなんでふやさなければならぬのか疑問を持っておるわけです。ですから、いま政務次官にお尋ねしたんですが、理事総務部長と兼任しておってぐあいが悪くて理事をふやすというんですが、この種の事業については理事をふやすよりも、エキスパート総務部長さんをおふやしになったほうが合理的な御処置ではなかろうかと判断するんですが、いかがでしょうか。
  27. 山本重信

    政府委員山本重信君) 対外関係等から電源開発の場合と比較についての御議論でございまして、そういうお考えもうなずけないわけではございませんけれども、現在アジ研考えております理事増員は、実はいままでのアジ研調査研究でございますけれども比較的平面的と申しますか、個々の東南アジアの国についての基本的な調査というような感覚で進められてまいったわけでございますけれども、御存じのように最近地域統合の問題、国際レベルでのいろいろな新しい動きが出てまいりまして、それがアジア地域にどういう影響を及ぼすかという、いわば国際経済社会での新しい動きを見ながら研究テーマを総合的に選んで、その間の調整をまたはかっていくような必要が出てまいりましたので、実は今回増員されます理事は、まだ具体的な人選もきまっておりませんけれども、もし可能な方がおられれば、現在調査研究担当してもらっております理事よりは、むしろそのちょっと上といいますか、同じ理事でございますけれども両者を総合して企画、立案をし、そしてある特定の、どっちかといいますと、新しい部門調査研究担当するというふうに考えておりますので、どうしてもやはり従来の内部機構関係からいいまして、理事であることが必要だというふうに考えておるわけでございます。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長、私のお尋ねするのとあなたの御答弁と違うわけですが……。
  29. 山本重信

    政府委員山本重信君) 総務関係のほかにただいまの理事管理その他の部門担当しておりますので、かりに総務部長がふえましても、その理事が全然総務のほうから手を抜きまして、いま私が申し上げましたような、必要に基づく調査研究担当理事になるということは、事実上ちょっとむずかしいような状態でございます。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後にもう一つ、恐縮ですが、お尋ねします。先般来委員会でいろいろとお尋ねしておりますのでよくわかりましたが、ただ将来の問題として、この研究所で出す資料ですね、局長さん、資料がきわめて一部分の人にしか分かち与えられておらぬわけですね。まあ会員等を募ってやるわけですから、会員に優先的に利益を分かち与えていただくということもわからぬでないわけですが、少なくとも相当額の国費を出して運営なさっておるわけです。ですから、将来の問題として、一部特定の人だけが利益をこうむるということでなしに、何らかの方法を講じて一般の人もその利益を与えていただくという方法がないものか。委員会で問題になったから、私ども赤沢部長から資料として三、四冊の書籍をいただきましたが、委員会がなければ、アジア経済研究所のあるということはわかるけれども、一体どういうことをなさっておるか、なかなか報告いただけないし、ほかの科学情報センターにしましても、国会図書館にいたしましても、それぞれ資料が私ども手元に配付されるわけです。しかし、アジア経済研究所からそういうような例はかつて見ない。したがいまして、今後会員から会費を募って、それでほとんど運営なさるのでしょうから、会員優先ということも理解できますが、一般の層にいかなる方法をもって周知徹底し、その利益を分かち与えていただけるかということを最後にお尋ねいたします。
  31. 山本重信

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所出版物の配付につきまして、前回もいろいろ御質問いただき、また御叱正をいただいておるわけでございまして、研究所設立目的から申しますと、研究だけをして、その成果をためておいたり、ごく一部の者にしかやらないということは、まことに御指摘のとおり、本来の目的からはずれるわけでございますので、今後具体的にどういう方法で、いま御指摘のような目的に沿ったらいいのか、一生懸命検討いたしまして、予算の許す範囲で研究成果を広く各方面に利用していただくように努力いたしたいと思います。
  32. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  33. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記つけてください。
  34. 赤沢璋一

    説明員赤沢璋一君) 先ほど御質問がございました、フォード財団から京都大学へ東南アジア関係のことで研究費が出ておるというようなことでございましたが、とりあえずいま私のほうで調べましたところによりますると、これはフォード財団が東南アジアの方面における各種の研究につきまして、京都大学の各学部に必要な補助をいたしておるというのでございまして、このために特別の、たとえば研究機関というようなものが京都大学の中に設けられているという趣旨のものではないようでございます。主といたしまして、薬学、地理、地質といったような部面に、主としてこのフォードからの助成金が出ておるようでございまして、国の予算といたしましては、これに合わして特に予算を出しておるという状況ではございません。ごく簡単でございますが、調べましたところを申し上げます。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちょっと私の聞いたのと違うのですがね。バンコックにすでに事務所をつくって、そして私、行っている人もよく知っている人なんですが、それは、そういういま言われたような自然科学系の人じゃない、社会科学系の人が行ってやっておるのですが、まあ私も詳細のことはつまびらかにしないのですが、それも行っている人はいまの薬学とか、地質とかというような人ではないのですね。まあいいです。それで。
  36. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したと認めて御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなさそうでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。アジア経済研究所法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  39. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書等の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。     —————————————
  41. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、電源開発促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  42. 藤田進

    ○藤田進君 通産大臣にまずお伺いいたしますが、理事三名増員ということで、電源開発会社の人的、組織的な面では強化していくという方向に承るわけであります。そこで、当面新しい試みとして、石炭事情、これに関連する重油等のいきさつから、電源開発のコストといったようなことで石炭火力を着手しようということになり、一方議員提案ですが、提案理由の説明等によりますと、水力については、将来原子力発電も伴い、ますます水力の開発の必要性、特に大々規模水力の必要性を説かれているわけであります。今後のそういった趨勢の中におけるかまえとして、将来電源開発株式会社というものをどういうふうに持っていこうとされるのか、この点が提案者に承りましたが、確たる御方針もないし——提案者の立場からいえば無理からぬこともあろうかと思うのですが、たまたま電気事業法が提案される運びになりつつあるように承るわけですが、広範なまた掘り下げた点はやがて出ます電気事業法に関連して詳しく承りたいと思っておりますが、理事増員に関連いたしましては、まず最初に電源開発会社、大きくは九電力会社、これに一電源開発株式会社、いわば、十大電力のような様相を呈してきたわけです。今後電源開発会社について火力に関する限りは継続してさらに開発するかどうかは不明確でございます。水力につきましても、火力に肩がわりするかに印象を受けるわけであります。このような点を資金計画なり開発計画なりといった面から、まず電源開発株式会社の将来をどういうふうに持っていこうと通産行政当局としてはお考えを持っておられるのかお伺いしたい。
  43. 福田一

    ○国務大臣福田一君) ただいまの御質問でございますが、いまお話がありましたように、九電力会社と一つ電発という十の単位で電力行政をいま実際には運営をいたしておるのが実相でございます。将来におきましても、私はこの形を続けていくのが至当ではなかろうか。なぜかと言いますと、まず電力会社の合併統合というような問題もいろいろございます。またポツダム政令によって分割される前においても、私などもあまり分割ということには賛成をしておらなかったのでございますが、いまや分割が行なわれて、そして現実に九つに電力会社が地域を分けて仕事をしておる。その場合において、これをまた統合するような形をとっていきますことは、まあ利点もありますが、その間にいろいろ人事の問題とか労力の問題とか、いろいろな問題等々も起きてきますし、あまり私はこの際これをそういうような方向で進めることは、はたしていまの実相にかなうかどうか。大体一つにするとか、あるいは統合するとかという意味は、むだをなくする、むだを省くということ、むだを省くことによって安い電力を供給する、しかも恒常的な電力を供給するということが目的だと思うのでありますが、そういう意味からいえば、できるだけ広域運営をやっていくというたてまえをとれば、大体それで目的が達し得るのではないか、こういう考えを持っておるわけであります。そこで、これに対する電発の存在する理由といいますか、これはいままでも大規模なダムであって、また電力であって、あるいはまた多目的のものであるというようなものは、電発をして行なわしめるということは、今後においても資金面その他国が資金を供給するような場合には、やはり電発を置いておくほうが非常に好都合でもあるし、またある意味において弊害を少なくする道である。少なくするというとおかしいのでありますが、九つの電力会社に国が出資をするとか何とかいうことになりますと、あるいは財政資金のうちでも無利子のものを投入するというようなこと等をやることがいろいろな問題を起こすことを考えますと、やはり電発にそういう仕事担当させることがいいのではないか。こういう感触がいたします。  なお、電発自体は水力だけではなくて、今度は火力のほうにも大きく踏み切る道を開くことに相なるわけでございますが、私は水利開発地点がだんだん少なくなったとはいいながら、なお、またそれがそれほどいわゆる安い電力でなくなる、開発も非常に困難にもなるし、しかもそれほど経済的でない電力ではある。しかし、実際に火力がうんとふえた場合におきまして、水力がこれをピーク時において補う利点というものを考えてみますというと、依然として今後も水力開発は行なわなければならない。電発の存在価値はなお十分にその意味でも存在する。一方、石炭火力の問題でございますが、火力ということになれば、油による面もずいぶん今後は増加してまいるでありましょう。電発の場合におきましては、特に石炭火力というものにおいて国のエネルギー政策に貢献する道がある。その建設をまず電発でやる。そうしてこれを場合によっては、民間会社がもちろん譲り受けをすることができるでありましょうが、いずれにいたしましても、とにかく国の資金をある程度投入いたしまして、火力発電をつくるというようなことも重要な任務になってまいろうと思います。  それからそうは言いましても、それだけではなくて、これはまあ藤田委員のほうがよく御存じでございますが、海外等に出る問題等もございまして、私は電発はなお今後も私が申し上げたような意味において、言葉が当てはまるかどうか知りませんが、存在価値がある。したがって、またその価値を十分に生かすような方向において運営され、また各電力会社とも協力しながら、日本の電力行政、電力問題を解決する方向努力をしてもらうべきである。またわれわれもそういう方向で行政的に指導なり監督なりをいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  44. 藤田進

    ○藤田進君 私のポイントは、極端な表現をすれば、過去十カ年有余にわたって開発をし保有をしてきた発電所、従来は主として水力発電所、これに火力が加わり、送電幹線が加わってきたわけです。行く行くはそれぞれ現在の姿で言えば九電力に適当な時期に譲渡して、いわゆる地域独占としての操作をやらしめるということではなくて、いわば九電力の調整的役割りを期待しながら、順次開発した発電所その他についてはこれを保有せしめて、かつての例をあげれば、日発の発送電といったような調整役割りを期待しつつ指導するのかどうかという点がまあ一つのポイントなのであります。それは御承知のように、全国的に料金の非常な格差がついておるし、需給関係においても広域運営ということの必要性を感じるくらいまでやってきたし、もとよりこれが開発調整についてもそうなるし、ところが、一方国の財政資金を投入されるということになれば、消費者全体の国の施策に対する国民の権利なりその利益の享受というものは普遍的なものでなければなりませんが、特定地域に財政資金が投入されて、現在御承知のように東北とかあるいは木曾川水系とかといったようなところに偏在を水力はしてきたわけです。これが四国の吉野川の開発とかいったようなことがいわれておりますけれども、かつては今日まで見るべきものは大したものはなかった。あるいは中国においては水力などは一カ所もなかったというようなこともあるので、全国的に、そういった開発についても国の財投を中心にいく以上は、普遍的な政策としてもこれは考えなければならぬ。もし有利な地域に開発をせざるを得ない、コストの面でもあるいは水力の規模から見てもということであれば、現在の電源開発株式会社が行なっている水系別原価主義というものは、これをむしろ総合原価に直してやっていかなければならないでしょう。ここらに、旧日発的運営ということになれば、根本から料金算定なりあるいは財政資金の投入なりというものを考え直す必要が出てくるのじゃないだろうか。このように思いますので、その点を中心にひとつお願いいたしたいと思います。
  45. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 藤田委員は電力問題のエキスパートでいられますので、いまお話しになった考え方は、一つの大きな示唆を含み、また一つ考え方として成り立つものだと思っております。ただ、いま委員の言われたようなふうに直ちに電力行政を組みかえていくかどうかということになりますというと、順次その方向に向かって進む。すなわち、まず広域運営等もやりまして、はたして十分その効果があげ得るかどうかというようなことを見ながら順次進めてまいるように私としては考えたいと思うのであります。
  46. 藤田進

    ○藤田進君 いや、その漸次進める方向性は、旧日発的性格にしていくということになりますか。
  47. 福田一

    ○国務大臣福田一君) これは今後やはり十分に研究をいたしたいと思います。それはどういう意味かというと、前の、九分割前の時代と今日、九分割されて現在運営されておる事態において、これをどうしていくことがいわゆる電力を中心とするエネルギー政策の姿であるかということについては、一そうやはり研究をしなければならぬ。すでに藤田委員も御存じのように、今度電力に関する法案を出そうといたしておりますが、その根底をなしておりますのは、産業構造調査会の中のいわゆるエネルギー部会において大体の方向づけがなされまして、その方向づけに基づいて今度電力に関するこの法案提出いたすわけであります。その場合において、もちろん電発の、その一部に入るわけでありますが、そういうような面については、まだ委員の言われるところまで方針も進んでおりません。私としても、先生の言われることは、一つ方向であるということはよく理解はいたしますが、そういう方向に今後持っていくことが、はたして日本の電力行政として正しいかどうかということについては、まだ決心がつきかねているというのが、ただいまの私の心境でございまして、したがいまして、今後十分に研究をいたしてみたいと考えているところであります。ただ全体の、全般的に言って、むだをなくす、発電関係その他においてむだをなくするということについては、非常に必要性がございますので、また、その点は今回のエネルギー部会においても認めておられるのでありまして、広域運営ということについては、今後ますますこれを進めていくべきではなかろうかと考えております。
  48. 藤田進

    ○藤田進君 しかし、電気事業法を出されるということになれば、たとえば、いろいろ検討された集約として法案をここに最善なりとして出される、もうその前夜に、いま差しかかっているわけですね、今月十三日ないし十七日ごろには出るのでしょう。そうなれば、いまの九電力、さらに電源開発株式会社という全体の中で、電源開発会社というものは、どういうふうに持っていくべきだという方向性は明確になっていませんと、電力行政、通産行政としても手落ちじゃないですかね。やがては再編成といったような時期を考えるかどうか、またその際には、電源開発株式会社というものは、それぞれの電力に対して、保有発電所も譲渡していくという、そういう行き方なのか、あるいは逆に電源開発株式会社というものを母体にして、全国的発送電、全国的需給の調整といったような役割りというものを期待していくのか、これは理事増員という、いわば強化する方向性、あるいは石炭火力の開発並びに保有といったところから見ると、後段の、全国的調整役割りを期待していくという育て方をするようにも見えますし、かといって、いま言われるように、確たる方針はまだ検討中ということになれば、すべてがペンディングということなので、大体の方向性というものは、通産行政、なかんずく電力行政については詳しい福田大臣ですから、この点の定見はないはずはないと思うのであります。重ねてひとつあなたの真意を私は知りたい。
  49. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 電発の位置づけという問題でございますが、私はこれは簡単にはお答えができない、ということは、まず、しかしまあその前提として、なぜ増員をするかということについて、先生電発をだんだん解消していくような方向であれば必要がないんじゃないか、そういうことになると、いま、必要なくなるんじゃないかという御質問も含めてお問いになっておられると思うのでお答えいたすのでありますが、私は先ほど申し上げたように、少なくともいま、今後は最小限において、九つの電力会社と、一つ電発というもので、電力行政は進められていくものである。その段階においても、どうしてもいまの人数では足りないことになる。したがって、ぜひこの法案を、議員提案ではございますが、われわれとしては成立することを希望をいたしております。ということをまず申し上げておきまして、後段に入らしていただきたいのでありますが、方向的に言えば、広域運営をするということは、今度の電気事業法の一つの柱となっているわけであります。今度の改正の、広域運営というのは、なぜするんだということになれば、何かいままでには少し足りないところがあったのじゃないか、電力行政の面において、広域運営をなぜしなければならないかということ、今度取り上げたかということについて考えて見ますと、お互いに過当競争をして発電所を無理をしてつくったり、あるいはまた地域が広くなり、融通が割合につくようになり、発電所をつくる場合も、またつくった後の運営も、電力の需用に応じてむだをなくするように発電をする、こういうことが今度の一つの柱になっておると思うのであります。私は、これは非常に電力としてはあるべき姿である、電力行政としてもそうあってしかるべきものだと思っておりますので、そういう姿で今度は電気事業法というものを皆さんのところへ出してまいろうと思っております。そういうことからいえば、これは一社化するほうが合理的ではないか、発電関係から見ますというと、確かに一つ考え方に相なるのでありますが、ただそうはいいましても、いまのところ北海道等はまだ送電線が切れておりますというか、まだ連絡がついておりませんから、まああとの八つの電力会社については、そういう考え方は発電という面から見ると考えられます。今度売電——いわゆる消費者に電力を売るという行政面から考えてみますというと、はたしてそういう大きなものにするのがいいのかどうか。たとえば、東京電力会社では千二百億の株式会社で仕事の量が非常に多いようであります。関西電力にいたしましてもそうであります。こういうものがまたほかのものを加えながらやることがいいだろうかどうか、大体、ここに御田提案者もおられますが、われわれが当時考えたいわゆるポツダム政令が出る前に考えた案の一つのうちには、配電会社をもっと細分したらいいじゃないかという案も実はあったのであります。あまり大きくすると、非能率になるじゃないかというような考え方もあったわけでありまして、私は今日の状態が決して非能率な電力会社になっている、そういう意味で非能率とは思いませんが、そういう問題等もございますので、いわゆる送電、配電という関係からみますというと、なるべく広域運営が徹底して、いわゆる一社化の姿が望ましいという結論も出し得るかと思いますが、売電という関係からみますというと、はたしてそういう姿がいいかどうかという点も十分究明、研究いたしてみたいという考え方もあるわけであります。したがって、先生の言われているような、旧日発再現の方向電発を育てるのがいいかどうかということについては、まだ私としては現在のところ結論を出しておりません。しかし、電発が九電力と協力しながら、その短所を補いつつ発電をやっていくということについては十分な存在理由がある。したがって、今後もまだこういうような姿において十の単位で日本の電力行政が行なわれていく、そのうちの一つ性格が違っておる、そういう形でやっていくのがいいじゃないか、そう思っておるわけであります。
  50. 藤田進

    ○藤田進君 そういたしますと、要約すれば、大きくは九電力、このいろいろな点を補充的に調整いたしますためにも、電源開発株式会社というものは、従来どおり、水力なり火力を含めて、さらに送電線を保有させて、これが調整の役割りを将来も期待していきたい、こういうことになりますか。
  51. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 方向考え方としてはそういうわけでございますが、そうなりますというと、実を言うと、電発の基礎になります法律自体が今度はそこにいろいろな問題点を含んでくると思うのでありまして、したがって、私は将来はこの電源開発促進法というものを再検討しなければならないのではないかと、こういう感じを持っております。
  52. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、電発に関する限り、はっきり前向きで電源開発促進法の改正を必要とする、そういったようなことを予想されていると思うわけですね。ただ、いま指摘された中に、再編成論に関連して能率という点を指摘されていたわけです。答申案等を見ても、その点が急転直下再編成論の否定論に変わってきているわけですが、ただ通産大臣とされては、いまの点でいきますと、私は電気事業のように、発電所等固定資産の非常に膨大なもの、こういったような面から見て、必ずしも設備資金なり、ひいては株式の額、つまり資本金ですね、これの多寡によって能率、非能率という、つまり企業の規模というもので必ずしも規定できない。海運関係、これを集約されてきたわけですね、これはもう相当なものになりました。それから機械その他の関係で今度三菱三重工の合併といったように、片や集中合併という政策をとられて、ここのもとにおいては能率論というものはあまり出ていないのであります。私はその資本なり企業性格によって、その能率というものがかなり変わってくるということをかねて研究をし、一つのものを世に発表をしているわけですけれども、必ずしも資本金で論じるわけにもまいりません。問題は電力にこれを見ますと、全国的な需用者、消費者の立場から見て、同じ電力、特に電灯を中心に考えても、その料金が非常な格差があるということ、あるいは所々に未点灯の部落なんかあるといったようなことが、企業経営の実態からきているということは、電力行政としては問題があるのじゃないだろうか。それをどういうふうに直していくかということは、これは今後の大きな問題でございまして、電気事業法が提出されれば、当然これらの点は問題になると思うし、したがって、電源開発株式会社というものの扱いなり期待というものも論及されなければなりませんし、いま直ちに、この理事増員に関連して、そこまでの御答弁の用意がないかもわかりませんが、少なくとも電気事業法が正式に提案をされ、審議いたします段階では、全体の電力の持っていき方——九電力、あるいは公営、自家発電、それに原子力、さらには電源開発会社といったような混然たる状態をどう将来持っていくか。電力は大きなずうたいですし、基幹産業でございますから、一年や二年で急変させることもむずかしいでしょう。したがって、長期の見通しなり計画というものが、通産大臣においてはなくてはならぬと思うわけです。その際に詳しくひとつお尋ねするといたしまして、電源開発会社の将来については、まずこの辺でとめておきます。  提案者に引き続きお尋ねいたしますが、資料を見ますと、まだそこまでは出ていないのですけれども理事三名増員による支出の増大というものは、大体でけっこうです。これはベースアップもありましょうから、まあここ当面どういう予算的な増額になるのかならないのか、お尋ねいたします。
  53. 神田博

    衆議院議員神田博君) ただいまの藤田委員理事増員に伴う予算措置というか、まあそういうことはどうなっているかということでございますが、まあ御承知のように、電力会社もちろん予算の目論見書をもって経理されていることは御承知のとおりでございますけれども、大体一般会社の例にならいまして経理をしているというようなことでございまして、今後増員される理事もいままでのやはり理事と同じような待遇でやっていく。そのために何といいますか、予算の見積もりはやってまいりましょうが、政府予算と違いまして、そういった特別の手当てをする、そういうことは考えていないようでございます。増員がきまりますれば、所要の手続をとると、こういうふうに承っております。
  54. 藤田進

    ○藤田進君 部内からということですが、今度、社員が理事ということになれば、それぞれ、手当というか、それも変わりましょうし、あるいはその他の経費も変わってきましょう。こういったことで、それは予算的には、三名ふえれば、その三名に対応してふえるであろうと私予想するわけです。ですから、その辺、俸給、給与その他のものを含めて、年度間、どれくらい違うかという目安を知りたいわけです。
  55. 神田博

    衆議院議員神田博君) ごもっともなお尋ねでございますが、ただいまもお話ございましたように、部内から引き上げるといいましても、今の部長理事の待遇というのは、そう開きがないようでございます。理事増員に伴いまして、株主総会等で定款変更その他やります際に、おそらく、一方においては報酬の増額もはかっていきますし、一方においては、今の理事の方が、下からだんだん上がって、また課長が部長になり、あるいは係長が課長になるというようなことがあるかと思いますが、予算全体としてはたいしたものではないというふうに聞いております。
  56. 藤田進

    ○藤田進君 これは、何も秘密にすることはないのでして、ちゃんと、予算上出てくるわけで……、何か資料は持っておりませんか。
  57. 神田博

    衆議院議員神田博君) 三人増員されまして、約三百万円ぐらい、役員報酬というものがふえると、こういうふうに聞いております。
  58. 藤田進

    ○藤田進君 一人百万の予算ということですね。それは、報酬ということになれば、役員の償与だとかいったようなものは、各民間会社は、かなり多いようですが、そういうものも含まっているわけですか。それだけですか。
  59. 神田博

    衆議院議員神田博君) 本俸というふうに承知いたしておりますが。
  60. 藤田進

    ○藤田進君 やはり国の非常に大きなウエートを持つ特殊会社でございますから、予算的にはどの程度増額するということは、提案者としてもやはりはっきりしていただきたいと思うのです。
  61. 神田博

    衆議院議員神田博君) まことにごもっともな御指摘でございますが、当時承ったときには、今申し上げたような差額でございますから、二百万か、三百万だ、こういうようなことでございまして、部内の方がそのまますぐプラスになりますが、増額されてくる差額というと、いろいろ含めて二百万ないし三百万程度というふうに承知いたしております。
  62. 藤田進

    ○藤田進君 それにしてもまあ一千万か八百万というならば二百万といってもあれですが、三百万か、二百万というと……。ちょっと弱ったな、けじめつけなくちゃ困るな。
  63. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  64. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記つけて下さい。
  65. 神田博

    衆議院議員神田博君) いま材料をちょっとちょうだいしたのでございますが、部長は十四万円だそうでございます。月給ですね。それから理事が二十二万円、こういうことだそうでございます。月ちょうど八万円ぐらい違うわけですね。約百万円違うわけでございます。
  66. 藤田進

    ○藤田進君 本俸がそれでしたら、とても百万円じゃおさまりませんぞ。これは期末償与というのが案外大きいはずです。それからその他交際費なり、案外ばかにならない交通費なり、それはそんなことじゃおさまらぬはずです。ちょっと聞いてみて下さいよ。
  67. 前田久吉

    委員長前田久吉君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  68. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 速記つけて。
  69. 藤田進

    ○藤田進君 電源開発株式会社の理事の任期は二年でございましたか。
  70. 神田博

    衆議院議員神田博君) 二年でございます。
  71. 藤田進

    ○藤田進君 総裁、副総裁とも二年ですね。
  72. 神田博

    衆議院議員神田博君) 全部二年になっております。
  73. 藤田進

    ○藤田進君 そこで、通産大臣にお伺いいたしますが、いろいろ政局問題もありましょう、七月の改造があるけれども、まあ福田さんに関する限りは、電気事業法を出され、なかなか池田さんではないが、かなり残務がというか、今後の問題が残っているし、これはぜひ留任ということになるでしょうか、その辺の事情も勘案しながら、お尋ねするわけですが、電源開発株式会社の総裁、理事等はおそらく八月ごろ改選となっているのじゃないかと思うのです。そうでございましたね。
  74. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 総裁は八月改選の予定になっております。
  75. 藤田進

    ○藤田進君 その他の理事、副総裁、副総裁は残任期間かどうかしりませんが、新任されて二年ということになるのか、八月は総裁だけか、ほかにもあるのか。
  76. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 総裁だけでございます。
  77. 藤田進

    ○藤田進君 これは株主総会といいましても、結局は政府持株がほとんどなんで、そして、閣議人事だったと、総裁も理事も。そこで八月ももうすぐですね。留任して、今後の石炭火力なり、そういったようなこともあるし、やろうという下心なのか。この辺であらためて考えなおすということなのか。じゃ次はだれか、そんなことまでは聞きませんが、まだ、私、八月を控えた今日、どういうふうにお考えなのか、お尋ねしたい。
  78. 福田一

    ○国務大臣福田一君) いまのところ、何もまだ考えておりません。
  79. 藤田進

    ○藤田進君 変えるか変えないか、基本的にはどうです。この種会社における総裁といったポジションがどうあるべきかということです。
  80. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 役員の任期二年というのは、いかにも短いと思っております。まあ、少なくとも三年あるいは四年というくらいのものだと思っております。
  81. 藤田進

    ○藤田進君 そのことは、いま二選されて、三選で六年かしりませんが、そろそろ意図されておる任期と基本的に考えたのと一ぱいあたりだという感じでございますか。
  82. 福田一

    ○国務大臣福田一君) それとは何も直接関係はございませんので、何ともいま考えておらないところでございます。
  83. 藤田進

    ○藤田進君 任期八月を控えて、事前にいろいろ検討されるでしょうが、手順としてはどうなるのですか。通産大臣が内閣、閣議に提案なさるという、これは先例もあることだと思うのですが、御本人たちがどうこうということじゃなかろうと思うのですが、それもあるかもしれませんが、どういう手順で人事はきまってまいりますか。
  84. 福田一

    ○国務大臣福田一君) 二通りあるのではないでしょうか。御本人がおやめになりたいという意思をはっきり言われた場合は、御本人が推薦される人もあるでしょうけれども、やはり内閣のほうで考える。それから御本人がやめる意思がないということであれば、これをどう取り扱うかということはやはり内閣で考える。こういうことではなかろうかと思います。
  85. 藤田進

    ○藤田進君 それはありましょう。慰留するとか、待っていたという場合もあるでしょうが、その場合に、その発議をされるということになれば、所管大臣が中心で人選をされ、閣議に持ち込むというのか、あるいは政党周でそれぞれのひいき筋ということになるのか。総理大臣がいきなりおれはこれだということになるのか。一つのルールがなければならぬと思うのです。
  86. 福田一

    ○国務大臣福田一君) それは私の所管だと思います。総裁、副総裁のあれは、理事は総裁から私のほうへ推薦があるということでございます。
  87. 藤田進

    ○藤田進君 そうするとルールとして、もう十年にもなりますし、その間二で割って、少なくとも五回が終わる、六回目になるのですが、しばしば総裁も変わってまいりました。副総裁も変わってきたりいたしましたが、まず、八月の総裁選任については、所管大臣である通産大臣が選考し、これが内閣の閣議に持ち込まれてきまる。その間に自薦、他薦それぞれあるかもしれませんが、あくまでも通産大臣の責任において、この人選というものはなされて、最終的に法のきめる——閣議できめる、こういうことになりますか。
  88. 福田一

    ○国務大臣福田一君) さようでございます。
  89. 藤田進

    ○藤田進君 とするならば、理事三名増員という人的な計画等ももう関連してなくちゃならぬ。しかし、それは腹づもりはあるけれども、いまの時点において、この種の会議で言えないということは、それはあり得ると思うのです。また、そこまで、ほんとうにいっていないのか、言えないのか、そのどちらですか。
  90. 福田一

    ○国務大臣福田一君) まだそこまでほんとうにいっていないのであります。
  91. 藤田進

    ○藤田進君 まあ、政局の事情もございましょうし、わからないでもありませんが、私、思いまするのに、それぞれ過去の実績等もあるし、一がいに、焦げつきいたしましても、それは国の大きな関係を持って——過去の実績等もあるし、それは国の大きな関係を持っている会社でもありますから、まあしかし、基本的には長期計画を遂行するという意味では、まあよほどなことのない限り、十分掘り下げて考えられる必要があるのじゃないかと思います。  その他、関連してございますが、時間でもあるし、私も予算のほうへまいりますしいたしますので、電気事業法提案の後において、電源開発会社を含めたエネルギー全体については質疑をいたすことといたしまして、本日はこれで私の質問はとどめます。
  92. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。電源開発促進法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書等の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  97. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 次に、軽機械輸出振興に関する法律の一部を改正する法律案及び電子工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。本日は、資料について説明を聴取いたします。森崎重工業局長
  98. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) お配りいたしました資料三件について御説明申し上げます。  まず、軽機械関係でございますが、昭和三十七年度の事業報告といたしまして、日本ミシン輸出振興事業協会並びに日本双眼鏡輸出振興事業協会の事業報告書が出ております。  まず、日本ミシン輸出振興事業協会の事業報告書につきまして簡単に御説明を申し上げます。  この報告書は、法律第五十三条によって通産大臣提出されたものでございまして、三十七年度に行ないました事業全般について報告したものでございます。  報告の内容でございますが、まず、第二ページのところからでございますが、事業協会のやりました仕事といたしまして、まず第一に、海外市場の調査並びに成果普及でございます。この中で、かいつまんで申し上げますと、この三十七年度におきましては、アメリカの駐在員が例のシンガーミシン問題に触れまして、いろいろとシンガーの問題につきましての係争問題につきましてやりました事項を書いてございます。  三ページの欧州の駐在員のところでは、主としてEECにおけるミシンの混合関税問題が出ておりまして、それに関する駐在員の行ないました仕事関係を書いてございます。  それから、四ページにまいりまして、三番目に、東南ア、豪州、ニュージランド市場調査団の派遣という点が出ておりますが、これは、豪州につきまして、家庭用ミシン及び同部品につきまして輸入制限の動きがございまして、これに対しましてこちらから市場調査団を出しまして現地側と十分なる情報の交換をいたし、現在この問題はおさまりつつございますが、そういうことの報告でございます。  六ページの第二章にまいりまして、海外市場における宣伝、PR及びアフター・サービスの実施の状況について書いてございますが、第一点は昭和三十八年度におきまして、パナマにミシンのセンターを置きまして、主として中南米一帯のアフター・サービス関係仕事をやらせるために活動いたしました点を書いてございます。それから一般的なPR問題でございますが、七ページ以降につきまして述べておりますが、月刊誌だとかあるいは外国のテレビネットを利用いたしまして、日本のミシンのPRをいたした状況が書かれてございます。  九ページのところにまいりまして、第三章、ミシンの輸出振興のための啓蒙補助事業というのがございますが、一言でいいますと、招待外交でございまして、欧州の有力者を呼びまして、こちらといろいろと懇談をいたし、こちらとの情報交換を行なうと同時に、ミシン輸出の問題の点についていろいろの協議をしたという状態が、ここに書かれてございます。  それから少しページを飛びまして、十七ページ、第六章、品質の改善に関する調査、試験、研究及び指導でございます。これも事業協会の大きな仕事一つでございますが、講習会を開いたり、工程管理の講習会を行なったり、内外の特許の調査を集めて研究したり、また外国製のミシンを購入いたしまして、これを分析し、そしてその技術的な観点からこれを解析していくというふうな仕事をいたしております。さらに研究の一環といたしまして、十九ページに書いてございますが、ミシン生産技術開放研究室に対しまして、いろいろと委託の事業をいたしまして、ミシン関係のアームベットの軸穴の同心度の研究だとか、平行度の研究、あるいはまた家庭用の軽合金製のミシンの研究、こういったものの委託研究をやっておるわけでございます。  これは昭和三十七年度でございまして、事業規模といたしまして七千四百万円程度の予算を使っております。  次に、日本双眼鏡の輸出振興事業協会でございますが同じく昭和三十七年度の報告でございます。簡単に御説明申し上げますと、二ページのところに入りまして、まず、海外市場の調査、宣伝に関する業務でございます。これにつきましても、ニューヨークの駐在員の事業状況、デュッセルドルフの駐在員の仕事の活動状況を書いてございますが、いずれもマーケット・リサーチをやっているということであります。海外の市場調査団の派遣もミシンと同じように行ないまして、主として双眼鏡の場合は、西独、イギリスをいま調べておりまして、三十七年度におきましては、西独、イギリスに対して調査団を派遣いたしております。さらにミシン同様に海外の競争見本品を購入いたしまして、品質、性能の分析を行なっております。  次に、四ページに入りまして、海外におけるPR関係でございますが、特に双眼鏡の問題につきましては、その用途を広めるために、一般の消費者に対しまして従来の双眼鏡の使い方以外に、海洋関係、ボーティングといいますか、船に乗った場合の使い方とか、あるいは自然観測あるいは屋外運動、こういったあらゆる分野において双眼鏡が使われるという点について説明し、日本製の双眼鏡の優秀性というものを強調しておる状態でございます。さらにアメリカで開かれましたトレード・センター、こういうところにも日本の双眼鏡を出品したというふうな活動もしております。  六ページにまいりまして、もう一つの大きな仕事といたしまして、品質改善調査研究でございますが、これも日本双眼鏡開放研究所に委託をいたしまして、レンズの研磨法の研究だとか、あるいは双眼鏡に使います油脂に関する研究だとか、あるいは水を防ぐところの水防剤の研究だとか、こういうことに対しまして、三十七年度の予算研究を進めておるわけでございます。  日本双眼鏡輸出振興事業協会の三十七年度の計画は、事業規模といたしまして、三千百万程度の予算を使用したわけでございます。  次に、電子工業の関係資料を簡単に御説明申し上げます。  まず第一点は、政府試験研究機関の中で、電子関係の試験研究実施状況でございます。三十八年度のテーマをピック・アップしたわけでございます。  関係する研究所が非常に多うございますが、まず第一に、通産省のいろいろの研究所がございます。その中で、まずこの中核をなしますのが電気試験所でございます。電気試験所の研究テーマを大きく拾ってみたわけでありますが、材料関係、部品関係、電子計算機そのものの研究、それからオートマトンというのがございますが、単なる電子計算機じゃなくして、判断もするような研究でございますが、それの理論的な研究でございます。それから制御用の演算機の応用の研究、制御用のデータ処理の研究、これは二つとも化学装置に使いますプロセス・オートメーションに関する研究でございます。それから回路の研究、それから新しい電気素子の研究、部品なんかに使われます固体回路などといわれておる部品の研究がここでされております。それから電子記録の基礎の研究で磁気テープその他の関係研究でございます。それから熱電子発電の研究、これはちょうど電子冷凍の反対で、電子の力で熱を出す、こういうものでございます。超マイクロの研究というのは、たとえばミリ波というようなものを使います等のそういう研究でございます。さらに、機械試験所におきましては、機械のオートメーション化の研究でありまして、その中で治具ボーラーと装置の研究をいたしましたが、それに引き続いてそういう研究をいたしております。計量研究所では、標準の関係からいいまして、磁気格子の研究、きわめて基礎的な研究をいたしております。東京工業試験所では、主として材料関係の化学的な観点からの材料研究を行なっているわけであります。大阪工業技術試験所は、碍子のような電磁器材料、こういったものを研究いたしております。なお、資源技術試験所におきましても、高熱化学の観点から材料の研究、電子関係の材料の研究として出しております表現が、エネルギーの高度利用という非常に大きな表現になっておりますが、内容はそういうものであります。  郵政省は、電波研究所におきまして、電波に関する試験研究、電離層の諸現象の研究と、こういうことをやっております。  厚生省は、各国立研究機関で——国立病院で医用機器の実際の臨床的な応用を行なっております。  運輸省におきましては、気象研究所におきまして、気象用のレーダー、それから電波の気象測定、それから気象用の電子ゾンデに搭載するような機器の研究を行なっております。また船舶技術研究所におきましては、電子の力によって船を運航する、電子航法の実験的な研究をやっておるわけでございます。  防衛庁は、主としてレーダーとか防衛用の通信機器の研究をやっておる状況であります。  農林省におきましては、水産庁の漁船研究室で漁場の調査に用います電子機器の研究で、超音波によるところの探知機、こういったものを研究しております。  最後に、科学技術庁におきましては、電子の研究に関する総合的な観点から、金属材料技術研究所におきまして、超電導マグネットの材料の研究、また最近できました防災科学技術センターにおきましては、電子機器、電子計算機を用いましたプロセス・モデルによりまして、災害の早期発見、あるいは災害によって起こる諸現象の対策を行なっております。そういうことをやっておるわけであります。こういうふうな総合的な観点から、電子関係研究を進めております。  次に、民間企業における研究投資の額でございますが、まず研究費の売り上げ額に対する比率の推移でございます。これはなかなかまとまった資料がございませんので、主要電子工業のメーカー三十八社ないし二十八社からの調査した結果でございます。こういう状態でございまして、三十七年度におきましては、総売り上げ高の四・七%を電子工業関係研究に投資しておるということでございます。また研究費でございますが、一般統計から割り出します場合に、電子工業だけを引き抜くのは非常にむずかしゅうございますので、相当な推定値を加えまして計算いたしましたところ、三十八年度におきましては推定三百七億円の研究投資が行なわれておるというふうに考えておるわけであります。なお、鉱工業全体の民間の研究費でございますが、昭和三十六年度ころで二千百億円程度の研究投資になっておりますので、電子工業全体としましては鉱工業全体の約一割程度のものを研究投資に回している、研究投資をしておるというような状態でございます。  以上簡単でございますが、御説明を終わります。
  99. 小林英三

    ○小林英三君 いまの報告に対して質問していいですか。
  100. 前田久吉

    委員長前田久吉君) いいですよ。
  101. 小林英三

    ○小林英三君 いまミシンの輸出振興事業協会の報告を受けたのですが、日本にはミシンをつくっておりますメーカーがずいぶんあると思いますが、大体大メーカーとしてはどのくらいを占めておりますか。
  102. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) ミシン全体の生産量に対しまして、大企業の占める割合は五〇%弱でございますが、数といたしましては約二十社でございます。
  103. 小林英三

    ○小林英三君 そこで、この二十社のメーカーがつくっておりますミシン全体、大きいのもそれからいまのポータブルみたいなのもありますが、年産どのくらいの台数が日本でこれらのメーカーによってつくられておりますか。
  104. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 年によって若干の変動はございますが、昭和三十六年には約三十七万台、それから三十七年には約五十七万台、昭和三十八年には八十万台となっております。
  105. 小林英三

    ○小林英三君 そこで、昭和三十八年に八十万台というように、非常に毎年ふえておるのですが、この日本のミシンの生産数、製造された数ですね、これは世界の先進国がいずれもミシンをつくっておりますが、世界の先進国、世界でつくっておりますミシンの何十%くらいが日本のミシンが占めておるかわかりますか。
  106. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 全生産量につきましては、現在資料を持ち合わせておりませんが、輸出量についてちょっと申し上げさしていただきたいと思いますが、日本から出しておりますミシンの、全世界における輸出量に占める割合は六〇%でございます。その場合に、もう少し詳しく御説明さしていただきますと、日本輸出をになっておりますのは、主として中小企業が割合大きな比率を占めておりまして、日本の全生産量の五九%ないし六五、六%のところは、中小企業のミシンが占めておるということでございます。
  107. 小林英三

    ○小林英三君 いまちょっとよくわからないのですが、つまり、輸出量とおっしゃったのは、世界の自分の国から外国へ出す輸出量というのですか、日本輸出量が六〇%だ、こういう意味でしょうか、輸出量が六〇%という意味は。
  108. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 全世界に対して輸出国が出す、輸出として出す数量の全数量でございます。
  109. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、いまの六〇%の中には、日本から外国へ輸出するミシンの数量も入っておると、こういうことですか。
  110. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) そうでございます。
  111. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、いまの何ですか、先ほど数字をおっしゃった五九%ないし六五%というのはどういう意味なんですか。
  112. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) もう一度御説明をいたします。日本から外国に輸出をいたします家庭用のミシンの数は、昭和三十八年度でもって百九十九万台でございます。そのうち中小企業輸出いたしますのが、昭和三十八年度で百十八万台でございます。これが五九%に当たっておるということでございます。
  113. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、さっきの何は違いますか、三十七年度五十七万台、三十八年度八十万台というのは違いますか、いまのおっしゃったのとま……。
  114. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 先ほど申し上げましたのは、私の申し上げる説明がまずかったと思いますが、三十七年度五十七万台、三十八年度八十万台というのは、大企業輸出する数量でございます。  もう一度申し上げますと、三十八年度だけを例にとって申し上げます。全体で輸出量は百九十九万台、そのうちで大企業が八十万台出し、中小企業が百十八万台を出す。その比率は大企業がおおむね四一%であり、中小企業が五九%を占める、そういうことでございます。いずれも輸出の数量でございます。
  115. 小林英三

    ○小林英三君 そうすると、その三十八年度だけの例をとってみても約二百万台出ている。そのうちで、大企業が八十万台で、その他の残りが中小企業が出しておると、こういうことですね。
  116. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) さようでございます。
  117. 小林英三

    ○小林英三君 そこでお伺いいたしたいのは、日本のいまミシンというものは非常にりっぱなミシンができておると私は思うのですが、品質はアメリカその他の国に比べましてむしろ優秀だと私は思うのですが、どうでしょうか。
  118. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) これはミシンの数量、ミシンの種類、あるいは品質、価格、相関的に関係する問題でございますが、一般的には従来の通常のミシンにおきましては、品種においても価格においてもすぐれておりますけれども、最近のたとえばジグザグミシン、こういったものになってまいりますと、先進国のシンガーとか、あるいはその他の先進諸国のミシンとの品質におきまして、まだ足らざる点がずいぶんあるようであります。
  119. 小林英三

    ○小林英三君 この国産のミシンがどんどん外国へ出ていっておりますが、いまお話しのように出ていっておりますが、このコストというものは、何ですか、たとえばアメリカのシンガーが日本に入っているとか、あるいはその他の国のミシンが日本に入っているとか、そういう外国のものに比べまして、コストはどうでしょうか、日本の国産品というもののコストは高いですか、安いですか。私は非常に安いと思うのですがね。
  120. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) コストにおいては負けないということでございますが、なお、ミシンにつきまして、ある特定の品種、HAIIという品種がございますが、アメリカ市場における消費者に渡す価格でございますが、シンガーで五十ドル、日本の場合には三十九ドルという数字が出ております。
  121. 小林英三

    ○小林英三君 それはどういうのですか。アメリカならアメリカへ行って最後の消費者に売る値段が、一方が五十ドルで片方が三十九ドル、こういうことでございますか。
  122. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) さようでございます。
  123. 小林英三

    ○小林英三君 いまのお話を聞いておりましてもわかりますように、日本製品は、ミシンにおいては非常に優秀に近ごろなっておる。ところが、コストの点においては、もっともっと取ってもいいものを安く売っておる。こういう面を私はよく感ずることがあるんですが、これはやはり中に貿易商だとか——あるいは、いい貿易商もあるでしょうが、不良の貿易商、よくない貿易商があったりして、これは外国人もいるでしょうし、日本人もいるかもしれない、これらがたたいて、たとえば部分品だけを買うというような事実があるんじゃないでしょうか。つまり、りっぱに一台のコンプリートのミシンにして外国に出すのでなしに、たとえば鋳物であるとか、あるいは、その他の頭であるとか、そういうふうなものを安く買って、そうしてこれを外国に輸出している。それから、それと同時に、日本のミシンがそんなに向こうの市場において安いということはどういうことですか。
  124. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) ミシンの輸出形態でございますが、例をアメリカにとりますと、部品は補修部品だけが売られているような状態でございまして、完成したミシンそのものが主として輸出されているのじゃないのです。  なお、価格の問題につきましては、そういう買いたたきの現象もあるわけでございますが、何よりも国内のミシン業者の過当競争を防止すること、あるいはまた、向こうの商社等とのつながりにおきましても、系列をもちまして秩序ある輸出体制に持っていく必要があるということでございまして、後ほどまた御説明を申し上げたいと思いますが、この法律の施行のときにおきまして、対米関係では、現在、十三の系列を持っておりますが、メーカー、販売業者、向こうのバイヤー、こういった三者をうまくつないで輸出体制を整えている。また、国内的には、法律の運用によりまして過当競争の防止をはかるということが大切だと考えております。
  125. 小林英三

    ○小林英三君 過当競争ということを、いま、局長おっしゃったのですが、現在、私どもが見ておるところによりますというと、どういう機構ですか知りませんが、ミシンの品物がそうたくさん——あるいは鋳物の場合、御承知のように、ミシンはほとんど外国に売るものですが、鋳物は一トン当たり大体六万五千円ぐらいと私は考えているんです。ところが、この六万五千円では鋳物業者が利益をあげることはできないと私は思うんです。税金を払うのにも容易じゃないと思うんです。しかも、それは九十何%の大部分が鋳物であって、それがコンプリートの加工されたミシンになって、そして、それがアメリカその他のほうへも出る。それが非常に安い。これは、私はもう少し高く売れるものを、鋳物業者も非常に安いものを輸出しておる。それから、これをつくっておる二十社からのメーカーというものも、そういう安いものをもし売っておるとすれば、そのメーカー自身もばかをみておるわけですが、これは、鋳物は安く買ってメーカーは高く売っておるということも考えられるわけですが、とにかく安いんですよ。どういうわけでしょうか。どこか、流通機構の上に非常に大きな欠陥があると私は思うんですが……。
  126. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 鋳物と申しますと、アームベットが中心になると思いますが、鋳物だけが製造原価をほとんど左右するというものではございませんで、原価においては約二五%程度の割合を占めるわけでございます。私どものほうといたしましては、いまのような鋳物業者との関係は聞いておりません。
  127. 小林英三

    ○小林英三君 いまのはどういうのですか。最後におっしゃったのは、ちょっとわかりませんでした。
  128. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) 特に鋳物を安くたたくというような問題につきまして、私のほうは、そういう話は聞いておりません。
  129. 小林英三

    ○小林英三君 よく私はわかりません。どういう意味ですか。買いたたくということに対して、どういうことですか。私はどうしてそういうことを聞くかといいますと、私は実は日本鋳物工業会の会長をしておるんです。ところが、大体ミシンはマスプロでつくっておりますけれども、極端にトン当たりの単価が安いんですね。よすわけにいかぬからつくっておるわけでしょうが、場合によっては六万円ぐらいかな、普通のは八万円も九万円も十万円もするのに、六万円ぐらい、あるいはもっとたたいておるかもしれません。それでできておるものは、いまから十年ぐらい前に比べますと、非常に優秀な鋳物です。これはアメリカの鋳物に比べても、絶対に負けません、設備も近代化されておりますから。それがこういうふうに安く買われておるということは、これはいま過当競争というお話がありましたけれども、二十社の大メーカーをはじめとして、中小いろいろなメーカーがありますが、それが買っておる相場というものが、そういう安い値段で買って、しかも、二五%が鋳物の値段になっておる。機械全体の目方からいいますと、九十何%が鋳物ですよ、御承知のように。それが一台のミシンになってくるというと、二五%ぐらいが鋳物の値段になってくるということですね。これは、そういう鋳物工場もあるので、初めてミシンの大メーカーが大きくなっていくのだろうと思うんです。それは、鋳物がたたかれてたたかれてついていっておるというような姿ですね。これはどこかに私は欠陥があるのじゃないかと思います。日本の品物が外国へ行ってたたかれておりますかね、そうじゃないと思うんですよ。
  130. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) お説のとおりだと思いますが、私どもとしては、現在、特に鋳物がそうミシン業者からたたかれておるということは聞かなかったわけでございますが、全般的に申し上げまして、やはりミシンの完成品業者と、それから部品業者と、またその下請を扱う業者、こういうところがよく連絡をとって、お互いに過当競争をやらないように、そしてまた、過度の値引きを強要しないということが一番大切なことだと思います。したがいまして、現在やっておりますこの軽機械輸出振興法におきましても、過当競争の防止、輸出の系列化ということを進めますと同時に、過当競争の防止の一環といたしまして、業者があまりふえないように、登録の停止等を行なって、今後ともそれについて十分注意いたしてまいりたいと思います。
  131. 小林英三

    ○小林英三君 それは、いま局長のおっしゃったのは、過当競争が起こらないように、系列をはっきりさせて、登録制にでもするというようなお考えですか。
  132. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) この軽機械輸出振興法自体がそういう登録制度を意図しておりまして、ただそれが完成品、ミシンの完成品と部品メーカーだけでございます。もちろん鋳物のメーカーに対しては登録制をしくわけではございませんけれども、要は完成品、部品メーカーがお互いに過当競争を起こさない、そうしてそれがしいて鋳物業者に対して過当な価格の引き下げを行なわないということをやることが一番大切だと考えております。
  133. 小林英三

    ○小林英三君 過当競争を、鋳物屋でなしに、いまの最後のミシンのメーカーが、大小合わせたメーカーというものがお互いに過当競争をしている。その過当競争をさせないようにしてということになれば、したがって、下請の鋳物業者もそうたたかれないだろう、こういうお考えですね。
  134. 森崎久壽

    政府委員(森崎久壽君) そういうふうなことでございます。
  135. 小林英三

    ○小林英三君 私は重工業局長もよくこういう面を考えていただきたいと思います。昔の、戦争前はもちろんです。終戦後において、ここ十二、三年来ですがね、非常によくなったんですね。材質もそうですし、それから製品の品質というものも非常によくなったんです。鋳物工業はこれは専門ですから非常に設備の近代化をやっておりますよ。ミシンのメーカーの鋳物はマスプロでやりますから何でもできるわけですね。ただこれがわれわれが上から見ていて、そんなことでよく食っていけるなという値段になっているんです。私はどっかその流通機構か何かにおいて欠陥があるんじゃないか。しかもそれを中間に——そういう大メーカーは別として、そのほかにも中間に安くたたく。それが部分品として外国にどんどんと出す、そうして中間搾取をしているものがいるということは間違いないと思うんです。そういうことがあるということ。それをいかにしてそういう問題を解決するかということをよくお考え願いたいと思います。
  136. 前田久吉

    委員長前田久吉君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時四十三分散会      —————・—————