○
政府委員(森崎
久壽君) 御
質問の点につきまして、ちょうど
資料を用意してまいりましたので、
配付いたしました
資料につきまして御
説明申し上げます。
最初に、軽
機械の輸出の
振興に関する
法律の一部を改正する
法律案につきまして、
法律の制定の経緯、現況というようなことについて
説明を申し上げます。
軽
機械輸出
振興法の対象となっておりますミシン、双眼鏡の輸出は、
昭和三十年ごろから急速な伸びを示しておりまして、わが国の外貨獲得の重要な一翼をになうに至ったわけでございますが、輸出の伸長につれまして
業界の
過当競争がようやく激しくなりまして、
昭和三十三、四年当時は輸出価格の低落の傾向
がいよいよ顕著になってまいりました。また、両
業界とも、後ほど
資料で御
説明申し上げますが、中小企業を主体とするために、当時はほとんどめくら
貿易に近い
状態に置かれまして、海外の
事情にうとく、海外市場への広告、宣伝活動はほとんど行なわれていないような
状態でございました。このような事態に対処いたしまして、両
業界の秩序ある輸出の拡大と、海外市場への積極的なマーケッティングを行なうために、従来の中小企業
団体法等の施策を補完するためにこの
法律が制定されたのは、御承知のとおりだと思います。
その後この
法律か施行されたわけでございますが、もう一度
法律の
概要につきまして御
説明申し上げますと、御案内のとおり、軽
機械輸出
振興法は
昭和三十四年に制定されましたが、その
内容は二つございまして、
第一点は、製造業者の大
部分が中小企業者で、しかもアッセンブル方式で物が製造され、そうして輸出比率が非常に高いミシンと双眼鏡につきまして、
登録制度を実施することによりまして、生産設備等の整備と品質の向上をはかると同時に、輸出面における
過当競争を防止するということが一つのねらいでございます。輸出比率が高いという点につきましては、ミシンは六割から六割五分というものを輸出しております。双眼鏡につきましては、九五%が輸出という
関係になっております。
第二番目に、ミシン、双眼鏡のそれぞれに輸出
振興協会を設けまして、海外における輸出秩序の維持、市場
調査、宣伝、輸入制限対策等の
事業を活発に行なうとともに、品質の改善に関する
調査研究等の
事業を行なうことによりまして、軽
機械の輸出の
振興に資することでございます。
この二つの点が、この
法律の重点でございます。
これは五年間の限時法になっておりまして、本年六月三十日が期限であります。
その後のこの
法律の施行状況でございますが、この
法律の対象となりまするところの軽
機械は、
法律の別表で、現在ミシンと双眼鏡になっておりますが、軽
機械の部品につきましては、政令で指定することになっておりまして、ミシンについて十二品目、双眼鏡につきましては鏡体という一品目を指定いたしまして、設備、
技術者、検査方法、品質管理の方法等についての
登録基準を定めまして、その生産設備等の整備と品質の向上をはかっております。
また、ミシンと双眼鏡の完成品につきましては、それぞれ、ミシンにつきましては三十四年九月、双眼鏡につきましては三十六年四月から
登録停止を行ないまして、中小企業
団体法の調整活動を補完して新規の業者の発生を防止しまして、輸出面における
過当競争の防止と輸出秩序の確立をはかっております。これも後ほど
資料で御
説明を申し上げます。
次に、
日本ミシン輸出
振興事業協会及び
日本双眼鏡輸出
振興事業協会を
昭和三十四年十月に設立いたしまして、今日までに、ニューヨーク、デュッセルドルフ、バンコック、パナマに駐在員をそれぞれ
派遣いたしまして、海外市場の
調査、軽
機械の紹介、宣伝、輸入制限対策等の
事業を活発に行なってまいりまして、かなりの効果をあげております。また、近く本国会においてお願いいたします
予算におきまして補助をいたす
予算を計上いたしておりますが、ロンドンにも駐在員を
派遣するということを考えておるわけでございます。
で、今回単純にこの
法律を延長するということにお願いするわけでございますが、その
理由は、この
法律と中小企業
団体法の併用によりまして、輸出面における
過当競争の防止と、海外における市場開拓、輸出秩序の確立、輸入制限に対する対策等の
事業をさらに活発に進めているわけでありますが、まずミシンにつきましては、
業界の自主的な体制整備がかなり進みまして、アメリカ、カナダ向けの輸出ミシンにつきましては、輸出取引系列がようやく整備されまして、メーカー、エキスパート、向こうのバイヤー、こういったものにつきましてやっと十三の系列づくりをして実施いたしておりますが、その他の
地域、ヨーロッパとかイギリスにつきましても、輸出取引系列の整備に着手いたしておるわけでございます。双眼鏡につきましては、ミシンに比べまして輸出体制の整備のテンポがかなりおくれたわけでございますが、現在は、
登録停止によりまして、ミシンと同様に輸出面における系列取引を促進しまして、その整備をはかることが適正であるということを考えて、その方向で努力しておる
段階であります。したがって、両
業界の輸出体制の整備には、なお相当の期間を要するものと考えられまして、ミシンの米加向け輸出体制の整備に要した期間
——これはやはり四年前後かかっておりますが、そういう期間を考慮いたしますと、その体制整備には今後なおほぼ五年間を必要とするという考え方をいたしております。
また、輸出
振興事業協会は、海外における市場
調査、宣伝、販売網の整備、輸出制限対策等の
事業を行ないまして、相当の効果をあげておりますが、最近は、さらに先進国の巻き返しがございます。また、インドあたりからの進出、香港からの進出といった攻勢がございますから、この
業務の重要性は、ますます大きくなっておりますので、両
業界につきまして輸出体制が整備され、海外の販売網が確立されるまでの間は、これらの
業務を専門に行なう
機関を設けておく必要があると考えておるわけでございます。
そういう
段階にあるときに、本法を廃止するということは、せっかく進捗しつつある輸出体制の整備を後退させるような結果になりますし、かつ両機種の輸出にも影響を及ぼすところが大きゅうございますので、本法を五年間延長いたしまして、この期間に所要の体制整備をはかりたいということを考えているわけでございます。
横書きの
統計資料——ミシン、双眼鏡に関する
資料でございますが、第一ページのところをちょっとごらん願いたいと思います。まず家庭用ミシンの輸出
関係でございます。三十八年を例にとりますと、金額にいたしまして百八十億円の輸出をいたしております。約五千万ドルに当たるかと思います。これは国内生産
状態の六割を少しこえるくらいの比率でございます。また、右側の双眼鏡につきましては、輸出は六十五億円
——千八百万ドル
程度に当たるかと思いますが、これは輸出比率としましては九四、五%を占めるような計算になるわけでございます。
次に、二ページをごらん願いたいと思います。ミシンにつきましての輸出先でございますが、全体の輸出の約五割が北米向けでございまして、一八%がヨーロッパ向けでございます。最近はヨーロッパに対する伸びが相当ふえてきているという状況でございます。双眼鏡につきましては、やはり五割が北米向け、そして四割近いものがヨーロッパに向いているというかっこうになっております。
次は、三ページをごらん願いますと、全
世界における
日本のミシン、双眼鏡の占有率でございますが、ミシンにつきましては六割、双眼鏡につきましては八割五分を
日本の輸出品でもって占有しているという
状態でございます。
次は、輸出数量その他でございますが、中小企業の比率といたしまして、家庭用ミシンは約六割を占めておりまして、双眼鏡につきましては九九%までが中小企業で占められておるという
状態でございます。この比率は、三十五年、三十六年、最近に至りましてもあまり変更いたしておりません。
登録事業者の推移でございますが、ミシンにつきましては、本法が施行されましたときは完成品が百二十一名いたわけでありますが、いろいろと整理統合されまして、現在は六十七企業になっているわけでございます。その他の部品
関係は、大体横すべりというような
状態になっているのであります。
従業員
関係について六ページに表がございますが、
人員につきましても同じように横すべりのような
状態でございます。
最後に、ミシン、双眼鏡輸出
振興事業協会の活動状況でございますが、いずれも市場
調査団によりまして外国の市場
調査を班を分けましていろいろやりまして、帰ってきたものについて、十分そのメンバーにそれを徹底していくという問題。
それから、
特許の問題でありますが、
特許につきまして、十分その問題についての分析を行ない、競争の見本品を買いまして、これを商品分析するというような活動をいたしております。
また、特別
調査といたしまして、各
事業をいろいろとよく調べるということで、特に香港の双眼鏡の実態
調査といった点につきまして特別の
調査を最近いたしておるわけでございます。
先ほど申し上げましたように、海外におきましては、駐在員を
派遣いたしまして、この駐在員が、需要動向の
調査、あるいは
日本側における諸施策の現地への反映、そういったことを進めております。ことにミシンにつきましては、御承知のように、アメリカに起こりましたシンガー問題も駐在員の活動によりまして片づきつつありますし、またEECにおける混合関税問題につきましても、駐在員の活動によって現在のところ非常に好転しておるというような
状態でございます。
あとPR
業務とか、品質改善の
業務につきまして、
資料を用意いたしているわけでございます。
次に、引き続きまして
電子工業振興臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして、同じくお
手元に差し上げました
資料について御
説明申し上げます。
この
法律の制定されましたのは
昭和三十二年でございまして、当時のわが国の電子工業はようやく生産体制が整いつつある
段階でございます。技術面におきましても、生産性の面におきましても、先進諸国に比べまして格差が非常に激しかったものであります。しかし、先進諸国における技術の進展は非常に激しくなりまして、当時外国
特許の進出その他が非常に憂慮されたわけでございます。そこで、電子工業につきまして、部品、材料、機器の全般にわたりまして一貫した総合的施策を講じ、早急にわが国の電子工業を均衡のとれた形で
発展させようということが重要になりまして、三十二年六月にこの
法律を制定していただいたわけであります。
法律の
概要は、やはりこの場合にも二つございまして、
第一点は、基本
計画をつくり、そして電子工業の中で今後実施していくべき試験
研究の課題、今後生産を開始しまた生産を拡大していくための業種、生産の合理化をどうしても促進する必要があるもの、こういったものを政令で指定いたしまして、そのおのおのについて
振興の目標を示す基本
計画をつくり、また年度ごとにその実施
計画をつくりまして、これを総合的に進めるという考え方であります。これに応じまして、開発銀行による特別融資、
税制上の特別措置の適用、あるいは試験
研究補助金の
制度の活用ということを行なうことが一つの柱になっています。
第二番目は、生産の合理化の
計画を達成するに必要な場合に、通産大臣の指示によりまして規格の統一などの共同行為を実施し得ることをきめております。そうして、この
法律は施行の日から七年以内
——昭和三十九年六月十日までに廃止するものとなっているわけでございます。
自来、その
法律の施行状況でございますが、まず先ほど申し上げました試験
研究を促進すべき機種でございますが、たとえば高性能の計数型
電子計算機、電子式電話交換装置、高性能の半導体、こういったもの十九種類を指定いたしまして、そのおのおのについて
研究計画を進めまして、
研究の目標を明らかにしまして、これに試験
研究補助金を交付し、
計画の達成をはかりました。これによりまして、たとえば中型、小型の計数型
電子計算機はすでに国産化に成功いたしまして、また大型のものにつきましてもその開発が順調に進むようになっております。
それから第二番目に、生産を開始しまたは拡大を促進すべき機種を指定することになっておりますが、イメージ・オルシコン、あるいはビデオテープレコーダー用
磁気テープなど四機種を指定いたしまして、そのおのおのにつきまして生産
計画の定める目標、生産数量を明らかにし、これに開発銀行からの融資を行ないまして、
計画の達成をはかりました。これによりまして、たとえばビデオテープレコーダーに使いますところの
磁気テープも最近ようやく国産化が多くなりまして、NHKに使用されるようになっております。
それから第三番目の、生産合理化を促進すべき機種の指定でございますが、これは抵抗器だとか、サーボモーターとか、高周波測定器、こういった二十機種を指定いたしまして、そのおのおのについて生産の合理化
計画をきめ、コストの引き下げの目標とか、品質性能の向上の目標などを明らかにしまして、やはり同じく開発銀行からの融資だとか、あるいは租税特別措置法によるところの特別償却
制度、こういったものを適用しまして
計画の達成をはかります。たとえば、抵抗器の生産品は一五%引き下げられたということが例にあげられます。
そういった施策を推進するために、今日までに
日本開発銀行よりの融資は約二十三億円、七十一件でございます。また、試験
研究補助金の交付は十七億というような
実績をあげておるわけでございます。
この
法律の改正、延長をお願いしますところの
理由でございますが、この
法律制定以来、おかげさまをもちまして、技術面、
生産面でわが国の電子工業は
発展いたしまして、生産金額では当時の四倍、六千九百億円で、輸出金額では当時の十七倍の千三百八十億円、これは四億ドル、正確に申し上げますと三億八千万ドルくらいでございます。約四億ドルの輸出をするに至っております。逆に輸入金額では当時の六倍になっておりまして、五百十億円、約一億四千万ドルの輸入でございます。従業員は、三十六年現在で当時の二・六倍、三十六万人、企業数で当時の一・七倍の二千九百五十企業ということになっております。
なお、この企業の中で大企業と称せられるものは、全体の企業数の中で四、五%に当たります。こういう規模に成長いたしまして、わが国
経済に少なからず貢献しているわけでございます。
しかし、まだ問題がございまして、わが国の電子工業の中を見ますと、輸出しておりますものの九〇%以上は民生用の機器でございます
——ラジオ、テレビの類でございます。輸入しておりますものの九〇%
程度は、産業用機器といいますか、
電子計算機とかオートメーションに関連する機器であります。産業用機器の国際競争力はいまだ十分でないことを示しております。特に輸入の中で四〇%は
電子計算機が占めております。それが将来有望商品であり、かつ電子工業の非常に高度の技術を駆使するものであるだけに、非常に大きな問題だと思われるわけでございます。しかも、先進諸国におきまして、電子工業技術はなお急速に
発展しております。わが国においても、
世界の大勢におくれることのないように、今後一段と技術開発、新製品の開発、品質性能の向上ということにつとめる必要が痛感されるわけであります。そこで、この
法律をさらに延長していただきまして、
計画的、総合的に進めていきたいという考えでいるわけでございます。
今回の改正に際しまして、現代における
世界とわが国における電子工業の状況から考えまして、従来から行なっていた諸施策をさらに継続することが大体適当と考えられましたので、
法律の
内容を変更することなく、単に期限のみを延長するということにお願いしております。延
長期限を
昭和四十六年三月三十一日までということでお願いしておりますのは、今後実用化しなければならないものとして考えられています。たとえばミリ波通信とか、超大型
電子計算機、微小回路、こういったものを
研究段階を経て実用化にもっていく。また、わが国電子工
業界の構造は、先ほど申し上げましたように、民生用機器に片寄っておりますので、産業用機器の比重を相当高めて、電子機器を産
業界へ滲透させる必要がありまして、こういうことによりましてわが国電子工業の一応の
基礎固めをするのにはなお七年
程度を要すると考えたからであります。
なお、これも同様に
統計資料を用意してまいりましたが、簡単にちょっと
部分的に御
説明申し上げたいと思います。
八ページから九ページにまいります。電子工業の生産額の推移でございますが、先ほど御
説明申し上げましたように、九ページにトータルが出ております。六千九百億。この
法律を制定いただきました当時に比べますと四倍の増強になっておりますが、この中でやはり伸び率の非常に多いのは、八ページの一番上に書いてございますラジオ、テレビジョン、こういったものの民生用機器でございまして、これが約五倍に伸びております。
それから、次にまいりまして、輸出の推移でございますが、十ページに輸出の推移を
統計上掲げてございますが、全体で千三百七十九億円でございますが、この右側の構成比をちょっとごらん願いたいと思いますが、輸出の大
部分は一番上のラジオ受信機、これが四六%でございます。テレビの受像機が一〇%。このテレビ、ラジオでもって五六%をためているというふうな
状態でございまして、先ほど申し上げましたように、工業用の
関係の輸出はいまだしというところであります。
逆に輸入面でございますが、十一ページに輸入の表を掲げておきましたが、まん中あたりに計算機というのがございます。これが輸入の五一%を占めているわけでございます。しかも、このように計算機等につきましてはまだ自由化いたしておりません。相当制限をしましてこの
程度の
状態でございます。輸入面におきましては、ほとんどが工業用の機器類によって占められているということが御理解いただけるかと思います。
十二ページに飛びまして、従業員の推移、当初三十二年ごろは十四万の従業員が、現在三十六万にのぼっているということでございます。
一番最後のところに、規模別の企業数を掲げておりまして、大企業と中小企業の分類
がいたしてございます。一番右側に、従業員別に考えますと大企業が五%、
資本金別に考えますれば大企業は三%というふうに考えられるわけでございます。
一応、簡単でございますが、この二法案につきましての現状を御
説明申し上げた次第でございます。