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1964-02-25 第46回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

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  1. 鉱業法の一部を改正する法律案(内 (会議録情報)

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)    午前十時三十六分開会     —————————————   委員異動 二月二十日   辞任      補欠選任    亀田 得治君  大矢  正君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     前田 久吉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            小林 英三君            豊田 雅孝君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君   国務大臣    通商産業大臣  福田  一君   政府委員    通商産業政務次    官       竹下  登君    通商産業省通商    局長      山本 重信君    通商産業省鉱山    局長      加藤 悌次君    通商産業省公益    事業局長    宮本  惇君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○鉱業法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○アジア経済研究所法の一部を改正す  る法律案内閣提出)     —————————————
  2. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) ただいまから、商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は、鉱業法の一部を改正する法律案提案理由説明を聴取し、それからアジア経済研究所法の一部を改正する法律案質疑を行なうこととなりましたから、御承知願います。     —————————————
  3. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) 次に、委員異動について御報告いたします。  二月二十日亀田得治君が辞任され、その補欠として大矢正君が選任されました。     —————————————
  4. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) 次に、二月十八日予備審査のため本委員会に付託されました、鉱業法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から提案理由説明を聴取いたします。福田通商産業大臣
  5. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現行鉱業法は、昭和二十五年に制定されたものでありますが、最近における社会経済実情に適合しない面があるとして、各方面から改正検討が要望されるようになりました。特に、昭和三十三年第三十国会におきまして、現行法について根本的な改正措置を講ずべき旨の決議がなされたのであります。  政府におきましては、この要請にこたえるため、通商産業大臣諮問機関として鉱業法改正審議会を設け、三年間にわたり、全面的かつ詳細な審議を行なわせましたが、一昨年三月その答申を得ましたので、その後政府部内において、答申内容に基づく改正措置につきまして、慎重な検討を進めてまいった次第であります。  鉱業法は、鉱業に関する権利設定及びその行使について定めた鉱業基本法でありまして、その制度の骨子は明治以来の長い伝統をもつものであります。しかし、最近における高度に発展し複雑化した社会経済実情にかんがみ、また鉱物資源合理的開発をはかるためには、権利制度内容鉱業に対する監督の方法につきまして、大幅な改正をする必要があるという結論を得まして、ここに本法案を提案いたした次第であります。  この法律案内容は、きわめて多岐にわたるものでありますが、その主要な内容を申し述べますと、第一点は、鉱業権者として不適格な者が鉱業権取得し、鉱業を行なうことをできるだけ防止することにいたしました。すなわち、欠格要件を設けて、鉱業法規に違反した悪質な者については権利取得を禁止するとともに、特に石炭につきましては、鉱山災害鉱害に関して問題が多いことにかんがみ、一定経理的基礎がなければ権利取得を認めず、また適正な能力がなければ鉱業実施を認めないことにいたしております。  次に第二点といたしましては、最近土地の利用の高度化に伴ない、鉱業と地上の各種の権益とが競合する事例が次第に増大する傾向にあることにかんがみまして、両者調整する制度を整備いたしました。まず、他の事業の施設により鉱業が著しく制約される場合について、鉱業権者請求権範囲を明確にするとともに、できるだけ事前協議により円満に調整される方途を講じ、両者間に紛争が発生した場合には地方鉱業審査会仲介によりその解決に当たることにしております。また鉱害に関する紛争につきましては、鉱業権者所要事項調査を命ずる制度被害者鉱業実施について説明を要求することができる制度などを設けて紛争の予防をはかるとともに、紛争が発生した場合には、地方鉱業審査会による仲介のほか、それが不成立に終わった場合における裁定の制度を設けまして、その効果的な解決を期した次第であります。  さらに第三点としては、鉱物資源合理的開発見地、あるいは他権益との調整鉱山災害鉱害防止見地から、鉱業権者に対する国の監督を強化することにいたしました。まず、鉱物合理的開発見地から、鉱区の配置や帰属を適正にするため、強制的に鉱区調整を行ない得る制度を拡充することにいたしました。また、施業案について一定期間内に更新させる制度を設けるなど、鉱業に対する監督措置を強化するとともに、鉱山災害防止につきましては、権利設定及び行使を通じて、できる限りの配慮をすることにした次第であります。  最後に第四点といたしましては、試掘権内容を明確にし、適用鉱物について必要な追加を行ない、盗侵掘などの違反行為について取り締まりを強化するなど、現実に適応した制度を採用し、また各制度の不備な点を是正することにいたしております。  以上がこの法律提案理由及びその要旨であります。  なにとぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は後日に譲ることといたします。     —————————————
  7. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) 次に、アジア経済研究所法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましてはすでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 まず最初に、大臣にお尋ねいたしますが、アジア経済研究所昭和三十三年十二月に発足いたしておりますが、私どもこの研究所の「案内三十八年度版」というのをいただいて、この内容を若干拝見いたしましたが、三十三年以来、この研究所には政界、財界、官界、あらゆる人を網羅して活発にやっておられるようでございまするが、今日まで一体どのような活動がなされたか。この案内だけでは私はあまり深く知ることができないのでありますが、この点について大臣から若干の御説明をいただきたいと思います。
  9. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 具体的な内容でございますので、政府委員から説明いたさせます。
  10. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所事業は、一番大きな仕事調査研究でございます。そのほか資料の収集といたしまして関係方面の用に供するということ。あるいは広報活動等もございますが、主力調査研究でございます。調査研究内容は相当広範にわたっておりますが、研究所の名前の示しますように、アジアに関する研究主力を注いでおります。三十八年度までに調査いたしました地域は全部で百九十八でありまして、そのうちのアジア関係のものが百五十七になっております。内容アジアの一般的な問題を初めといたしまして、さらに地域別にそれぞれの国ごと調査もいたしております。それから最近ではさらに地域外の国との関係等調査いたしております。たいへん詳細にわたっておりますので、何か特にお尋ねがございましたら、それに対してお答えいたします。
  11. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 アジア地域の一般的な経済問題は調査研究されておるようでございますが、その具体的な問題について、調査された成果について何かございますならば、その点御報告願いたいと思います。
  12. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 調査研究をいたしました結果は、逐次出版をいたしております。点数にいたしまして百三十三点でございます。そのごく一部分を例示的に申し上げますと、たとえばアジア諸国需要構造、それから東南アジアエネルギー構造、それから東南アジア貿易構造アジアの稲作というものでございます。それからさらに国別には台湾、フィリピン、インドネシア、インドパキスタン等々ほとんどの国にわたりまして、それぞれの国の経済事情労働事情、土地問題、それから社会構造等々について調査してそのつど出版をいたしております。ここにその現物の一部でございますが、見本かございます。
  13. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 調査されましたその調査の結果は、そこにいろいろと出版されておるようでございますが、調査結果を具体的にたとえば貿易をどうするとか、こうするとか、こういう問題について何か進言するとかなんとか、そういう何かがありますか、政府に。調査の結果を進言して貿易を強化なければならないとか、こういう面で貿易ができるとか、こういうふうなことで研究所から政府のほうに進言して推し進める、こういうふうなことができておるのかどうか。また、そういうこともできるのかどうか。
  14. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 具体的な政策につきましては、特にアジア経済研究所から政府に建言するというようなことは、今までいたしておりません。ただ政府といたしましていろいろ政策考えます場合に、その基礎資料として必要な調査でありまして、従来行なわれておりませんようなものにつきましては、いろいろな機会を通じまして研究所のほうにお願いをしまして調査をしておるという例は非常にたくさんございます。たとえば、最近アジア地域についての経済統合の問題は、エカフェのほうから出ておりますが、そうした問題について政府としてどのように考えるべきかということにつきましては、特にアジア経済研究所に頼みまして、経済統合のほかの例、それからそれについての各国の政治的、経済的な背景等について調査いたしてもらっておりますが、そういうような調査は、政策とはかなり近い調査でございまして、おそらく政府としても相当に参考になると思います。ただ一般的に申しまして、アジア経済研究所は、かなり基礎的な調査に主眼を置いておりますので、必ずしも現実政策と非常に常に密接に結びついておるというものばかりではございません。その辺、性格の特徴がございます。
  15. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 それで出発当時のアジア問題経済研究所、これが昭和三十五年に研究所法という一つのものに法制化されまして、その後、研究所会長とか、監事とか、所長とか、これは通産大臣任命することにこの法ではなっているわけですが、そういたしますと、やはり調査研究して出版するだけではなくして、その後における政府との有機的関連、こういうものがなければ、私は意味がないと思うのですが、その点、具体的にどのような形で有機的な関連を持ってこられたか、その点、ちよつと御説明願いたいと思います。
  16. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 会長所長は、役員のうちで大臣任命になっていますのは仰せのとおりでございまして、この任命権の問題だけでございませんで、業務全般の運用につきまして、アジア経済研究所通産省とは非常に密接な関係を持っております。それからまた必要に応じまして通産省職員アジア経済研究所研究調査実情に一緒に参加をしておりまして、その両者間の関連はきわめて有機的に行なわれております。これは通産省だけではございませんで、経済企画庁とか大蔵省等参加をしておるのでありまして、各省間の連絡協調を十分に考えて運営をいたしております。
  17. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 まあそれぐらいにいたしまして、私は法案の中身にちょっと触れてみたいと思いますが、今回の法案を見ますると理事増員だけ、こういうことになっておる。理事を一名増員したいという法案改正内容なんでございますが、この国会には、いろいろ他の法案の中にも理事増員というのが相当出てくるわけなんです。たとえば電源開発法もそうでございますし、日本貿易振興会法もそういう一つでございますが、何か理事増員することが流行のように今度の国会で次々と出てきておるわけです。アジア経済研究所については、設立の際に政府委員説明によりますると、これが比較的役員の数を少数にしぼったつもりで、こういう調査機関性質としては役員機構は簡素にやるほうがよかろうじゃないか、こういう趣旨説明があったわけなんですが、その趣旨がどうして今日のような役員増員ということにかわってきたのか、この点について御説明願いたいと思います。
  18. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所は、仰せのとおりなるべく役員の数は少なく簡素にして実力のあるもにしたいということで考えてまいっておるのでございますが、御存じのように、人員が設立当初に比べますと約倍になってまいりまして、それから調査の対象も国際情勢がどんどん変わってまいりますので、そのつど新しいテーマを取り上げなければ、ほんとうに有効な調査になりませんようなこともございまして、一方においては調査テーマをどのように選んでいくか、またその調査調査の間の調和をどういうふうにしていくかということが、設立当初予想した以上に重要になってまいりましたので、現在の調査研究部門にやはり理事を一人ふやしまして、そして調査研究の非常に広範になった部分、ある一部分を担当すると同時に、調査研究全体の企画総合調整ということをすることが、どうしても必要になってまいりました、まあ設立当初からそのように情勢が変化いたしてまいりましたので、必要最小限度どうしてもこの際一人理事が必要であるということでお願いをしておる次第でございます。
  19. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 しからば一体このアジア経済研究所のこのおもなる仕事をするのは、役員がやるのか職員がやるのか。この点は一体どのようなお考えを持っておられますか。
  20. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 調査研究はそれぞれ調査員が定まったテーマにつきまして調査をいたしておるわけでございまするので、その主力といいますか、重点はそれぞれの調査員にあることは、これは間違いのないところでございます。ただ全体の調査研究テーマをどこに重点を置いて選んでいくか。またその調査をいたします場合に、いろいろお互いに横の連絡をとったりしていくことが非常に必要になってまいっておりますのでそうした総合調整をするという仕事が、これまた非常に重要になってまいっております。たとえば、先ほど申し上げましたように、地域統合の問題につきましても、各国ばらばら調査では総合的な調査成果が現われませんので、全体の調査企画を立てて、そしてその企画のもとに各調査員がそれぞれの国ごと調査をしていく。ちょうどオーケストラのコンダクターみたいなものが非常に必要になってきているということかと存じます。
  21. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 そうといたしますれば、役員の数をふやさなくても、私は職員のほうをふやしまして、そして部長などを適材適所に配置したほうが仕事が円満に運ぶのじゃないかというふうに思うのです。現に主要職員名簿を見ますと、総務部長動向分析室長理事かこれは兼任しておられます。こういうところに専任の者が入れば、私は二人の理事理事らしい仕事ができる。何も一人ふやす必要かここに生まれてこないのじゃないか。こういうふうにも考えざるを得ないのです。必要ございますれば、私は総務部長分析室長、こういう人のほうがむしろ必要ではないかというふうにも思うのですが、この点はどうですか。
  22. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 調査研究だけでも現在調査室が七つあるわけでございます。そのほかに長期成長調査室動向分析室統計調査室がございまして、やはりある限度を越えますと、どうしても総合調整ということがむずかしくなってまいりますので、調査室のめんどうをある程度分担してみると同時に、一人、全体をにらんで総合調整をしていくという役割が必要になってまいりましたので、この際はそうすることがどうも一番実情に適しているように考えた次第でございます。
  23. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 これは大臣でなければわからぬと思うのですが、増員する理事、これはもう大臣は一応の目安があるのじゃないかと思うのですが、どんな仕事を担当される理事を選ばれるか。その腹案というものがあればお示し願いたいと思うのですが。
  24. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) ただいま局長からも御説明申し上げておったところでありますが、調査研究部門、それから総合的に総務関係等々を二人で今やっておりますが、だんだん御案内のように、当初百一人であった人たちが、今は百八十一人、倍になっております。そうして調査する部門も非常に範囲が広くなっておりますので、今度増員をいたします部門は、その調査関係総合調査関係総務の一部等を担当する、それから調査を実質的にやる部門、このうちで、一人ではとても調査のほうにまで手が回り切れぬということでありますので、調査を二人でやろう、こういう考え方でお願いをいたしておるつもりであります。ただ、いまもいろいろお話がございましたように、そういう場合には、実際に調査をする人をふやせばいいという考えも、まことに一つのりっぱなお考えであると思っておりますが、実際の場合に、やはり人がふえますと、どうしてもそれを統べていく人も足りないというと、能率をあげることができない、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう点から考えてみて、やはり仕事も実際にやる人の倍くらいふえておりますので、その調査部門企画統合をする理事をもう一名ふやしたいということでございます。
  25. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 現在の理事の渋沢さん、田島さんという方ですね、この人は何かほかに、たとえば会社の重役だとか、または社長だとか、そういうことをやっておられますか。
  26. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) お二人ともアジア経済研究所専任でございます。
  27. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 いま大臣が、二人では、どうしても足りないから、もう一人どうしてもふやす必要がある。で今度増員される理事は、どういう部門を担当されるか、これも大臣わかると思いますが、局長からでもよろしいですが……。
  28. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 実はまだこちらの国会の御承認も得ておりませんので、具体的な人選はいたしておりません。まだ白紙の状態でございます。適任者が得られれば、現在の調査関係調査業務、それから調査研究になりますが、この関係をただいま田島理事が一人で担当しております。非常に広範でございまして、手が回りませんので、調査研究のうちのある部分と、それから調査研究全体の企画総合調整という仕事をしていただくことを新しい理事に期待いたしております。
  29. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 現在は、私先ほど申しましたように、お二人の理事総務部長動向分析室長事務を兼ねておるのでありますが、今度理事増員された後も、この現在の理事二名の方は、総務部長動向分析室長を兼務していかれるわけですか。それとも適当な人を今度当てはめて選任さしたい、こういう考えでございましょうか。
  30. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) もし適当な人がおられれば、総務部長動向分析室長をそれぞれ専任の人を置きたいと従来からも実は考えておりますが、今後ももし適当な方があれば専任の人をできるだけきめたいというふうに考えております。
  31. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 先ほど大臣が、まあ増員すべき、これは適当な人を考えてというお話でございましたが、いつも、この委員会でよく言われておりますることは、往々にしてこういう特殊法人組織に対しては官僚の天下りの人事が多いということで非難をされておるわけですが、今度の場合は、その点は心配ありませんか。
  32. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) この研究所をつくりまするときに、最初方針といたしまして、大体この人事の面については、こういう仕事性質上、そこにいられる会長所長というような人がひとつ縦横に意見を出されて、そして仕事をしていただくのが一番効果的であるという建前から、小林会長東畑所長——会長所長になっておりますが、このお二人に実は一任をする、そして役所のほうとしては全面的にこれを援助する、こういう方針を定めまして、今までもずっとその方針でやってきております。したがいまして、私といたしましては、所管通産省所管でございまして、もちろん監督等は大きな意味ではいたしていかなければなりませんが、業務自体を運営することについては、できるだけこの小林東畑両氏に御一任をしてやるようにしていきたい、かように考えております。したがって、今のところ人事の問題について、われわれは何ら腹案を持っておりません。御相談があれば、これはみんなで応援するということになっておりますから、御相談にのせていただく、こういう気持でおります。
  33. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 今のところ全然考えていない、御相談があれば相談に応ずるというお話ですが、これは法案が通れば、さっそく理事が選任されるわけなんですが、大臣、そうこの法案が長く審議される——慎重に審議するのだけれども、理事一名の増員のみの法案でございまするから、これはあまり長いことないと思うのですが、それも現在まだ予定してないということは私どもおかしいのじゃないかと思うのですが。
  34. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) これは全く私事務の者からも何ら話も聞いておりませんし、私自身も実はそんなことは考えておりません。ただ、この間うち東畑さんなどにお会いしたときに、何としてもこれは、だんだん人もふえてきたし、もう一人ふやしてうまく調査を進めるようにしたい、こういうようなお話がありまして、実はこういう法案お願いをいたしておるわけでありまして、私としては全くの話、今のところ何ら考えておりません。もっとも法案が通らない先にうまく考えておったとしたら、かえってお叱りを受けるかもしれません。そういう問題は別にして、いまほんとうに私は何も案を持っておりません。もし、先生がいい人でもお持ちなら、ひとつ教えてもらったら、将来参考にしたいと思います。
  35. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 これは理事会長任命することになっているから、通産大臣が直接任命されるわけじゃないから無理もないと私は思うんですが、やはり会長任命する際には、大臣等にも御相談がなされまして、その上においてこれは会長が決定されるのか、それとも会長任命するということに法案ではなっておりますので、大臣相談になっても、会長のもとで任命するのかどうか、この点は従来どういうふうな慣例になっておりますか。
  36. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 法制上はこういうふうになっておりますが、事実上は会長が大体の人選をきめられてから、このようにしたいと連絡してこられております。今後の場合におきましても、私は調査研究という仕事内容から見まして、向こうの方が選んでこられれば、特別の異議がなければ私はそれを拒否するような気持はございません。法律建前もそうでございますし、私のほうで選ぶということもない。特に欠陥でもあるとか、欠格条項ということであれば、また別でありますが、あまり積極的なくちばしを入れるつもりはございません。
  37. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 会長所長理事監事と、こう役員がいるわけだが、ここで専任しておられるのは理事だけですか。
  38. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 専任しておられるのは所長さんが毎日行っておりますから……。
  39. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 どうかな。
  40. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) いや、あの人は非常に何というか、調査会とか、そういうものに引っぱり出されることがありますけれども、ほとんど毎日行っておいでになると私は了承しております。
  41. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 そこで、これはちょっと問題が違いまするが、理事のいわゆる給与といいますか、手当といいますか、これは一体予算上どの程度が見込まれておるのか、この点。会長のも、役員のも全部。
  42. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 現在会長は無給でございます。
  43. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 無給ですか。
  44. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) それから所長が二十万、理事は十七万になっております。
  45. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 いま所長二十万ですか。
  46. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) さようでございます。
  47. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 所長が二十万、理事が十七万、さらに今度一名増員になりますると、十七万の理事が、これは一人ふえるわけですが、理事は全部給与は一緒ですか。
  48. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 一緒の予定でございます。
  49. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 この際、研究所内容について若干伺っておきたいと思うのですが、まず先年本法が通過いたしました際に、当委員会で附帯決議を行なったわけです。その附帯決議は、研究所の目的について、運営の方針について、貿易の振興と経済協力に直接寄与するようにというのでございますが、わずが三、四年の間にしか過ぎませんが、研究所はどういう寄与をしてきたか、また若干説明がございましたけれども、今後もどういう面に十分やっていきますか、そういう点についてひとつ御説明願いたいのです。
  50. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 従来東南アジアに関する基本的な調査研究が日本には非常に乏しかった点がございますので、アジア経済研究所といたしましては、まず基本的な調査をしまして、これは長期にわたって漸次蓄積をしていく必要があろうかと思います。そうした基本的な調査、それからさらに重点的には前回の当委員会でのお示しもございましたので、特に貿易及び経済協力に関連する問題といたしまして、アジア地域の特に低開発地域の開発ということに重点を置きまして、各国の開発計画、その背景になっております経済構造、社会構造あるいは貿易、国際収支の調査等に重点を置いてまいったのでございます。それから今後こうした調査をさらに続けていきますと同時に、新しい問題といたしましては、調査重点をある面では新しい分野に向けていく必要があろうかと思います。地域統合の問題、それからさらに最近では一次産品買い付け問題が非常に強く要請されてまいっておりますので、そうした点にも重点をさらに向けまして、貿易振興、経済協力に貢献し得る基礎的な調査を押し進める必要があろうかと思います。
  51. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 さらに附帯決議におきましては、中南米それからアフリカなどにも遅滞なく適切な調査をすること、こういうような要請をしておるわけですが、その方面調査は今日までどのように進めてこられたのか、この点についてお願いいたします。
  52. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 附帯決議の御趣旨に基づきまして、アジア地域以外の地域につきましても、調査をいたしております。特に中近東、アフリカ、ラテンアメリカ等につきましては、それらの地域の経済関係、それから政治事情等についての調査研究をいたしております。
  53. 近藤信一君(近藤信一)

    近藤信一君 いわゆるアジア地域の中におきましては、中国が含まれておることは、これは当然のことだと思うのですが、これを除いては、私はアジア地域の存在というものはないと言っても過言でないと思うのです。したがって、研究所も中国の研究に相当の努力をしておられるようだが、何せ外交関係が正常化していない。こういうときでございますから、苦心されることも多いと思うのですが、現在中国問題についての研究ではどのような方針でどのような成果があがっておるか、その点をお伺いしたい。
  54. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 中国につきましても、可能な範囲調査研究をいたしております。例示的に申し上げますと、中国の経済発展の統計的な研究、中国の貿易組織、中国の鉄鋼業と機械工業の技術水準の問題、中国の経済発展と対外貿易、中国の国民所得と資本形成、中国の産業構造等々につきまして調査をいたしまして、その一部のものはすでに出版をいたしております。
  55. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 関連質問を二、三さしてもらいたいと思うのですが、大臣も時間の関係があっていなくなるそうですから……。  そこで、アジア経済研究所法の本体ができるとき、私はこの委員会におりませんでしたから、そのときにどういう議論がされたかということについては、私自身明らかじゃありません。その前提でお尋ねしたいと思うのですが、先ほど来、研究所から出された「案内」というのを読ましていただいたのですが、どうもこれを見てひとつわからないことがあるのですが、アジア経済研究所というのは、一体学問的な立場で経済の全域にわたって調査をし、そしてそれをまとめて資料とするのか。そうじゃなくて、現実の政治の中で、どうやったならば日本経済の発展に直接的に影響を及ぼすかという考え方に基づいて調査、そして資料の収集をされておられるのか、この点がどうも明確じゃないですね。本を読ましていただくと、これはいま回覧された本もそうでありますし、それから価格をつけて売られておる本、非売品の本の内容を見ても、いずれを見ても、これは学問的な立場で本を書かれているというのが現実です。そうなってくると、これはほんとうにある意味でいえば、学者の方々が集まって、あるいはそれに近い人々が集まって、長い目で見た、いうならば学問的な立場のアジア経済の研究をされているようにしか見えないわけです。これは一体どういうことなのかということをまずお尋ねします。
  56. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) この研究所設立の経緯、その後の運営の方法を見ますと、学問的というところよりは、むしろこれが政治経済に役立つようにというところが重点になっております。ただしかし、そういう研究ではありますけれども、しかしその研究自体は、数字的にものを処理したり、そういうことをしていきますから、どうしても学問的な部面がその中にある程度入ってくることは、これは学問といっていいのか、あるいは経済の実態を明らかにするためといっていいのか、いろいろ見方はあるでありましょうが、目的はやはり日本の政治経済を、特にまた経済をうまく運行していくための基礎資料、特に関係の深いアジアについての基礎資料をつくるということでありまして、事実問題として、この間も研究所に行って聞いてみましたが、相当やはり関係人たち研究所へ行って、いろいろの話を聞いたり、その話を聞いた上で商売の態度をきめておるような例もございますし、通産省としましても、何らかのそういうアジア問題等の政策審議をする場合には、ここの資料を重要な参考として使っておるというような事態もあるわけでありまして、お答えには直接あれにならない、よけいなことになるかもしれませんが、かなりの効果はそういう意味においてあげておると思っております。
  57. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 大臣、あなたそういうことをおっしゃるけれども、なるほど、それは出版物の目録を見ても、あなたの言われるような面もなきにしもあらずだけれども、大多数はそうじゃなくて、たとえば商売をする人は、この本を読んで商売できるかということです。現実貿易する人は。あなたはそういうことを言われても、この本を全体的に眺めていけば、そうじゃなくて、あくまでも根本は学問的な立場において調査研究をするのだということ以外にないのです。もし大臣の言われるようなことであったとすれば、これは事務当局のほうにお尋ねをしたいのだが、それじゃここのアジア経済研究所というところで、当面われわれがいま国会の中においても議論できるような調査資料を出したことがありますか、この研究所それ自身が。
  58. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所調査の目的は、やはり貿易とか、経済協力に直接、間接に貢献するということでございますので、考え方としましては、そのところに目的を置いた調査研究をいたしておるわけであります。ただ、たとえば商社がそれぞれマーケットの調査をしたり、あるいはジェトロが市場調査をいたしておりますが、そういうように、そのときそのときの非常に現象的な、たとえば価格の動きをフォローするとかいうふうな、そういう現実的なことはこの研究所としてはいたしておりませんが、やはり基礎的な研究ということで経済問題をやっておりますので、学問というよりは、やはり実際に貿易なり経済協力に貢献する政策考えます場合に、その国の経済の構造なり、過去のいきさつなりを十分のみ込みませんと、経済協力一つでもなかなかうまくまいりませんので、そうした意味の基礎的な研究重点を置いておる次第でございます。
  59. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 関連して。いま局長さんがジェトロの内容についてちょっと大矢委員の質問にお答えになったのですが、国で出資しておる機関に、いまおっしゃったジェトロ、科学情報センター、それからいま提案されて論議されておるこの研究所、どう違うのですか。同じようなことをやっておるじゃないですか。その三つの性格を、国で金を出してやっていただいて、その三つが同じようなことをやっておる。三つが一つになるというのなら話がわかるけれども、三つに分散しておるという、なぜ三つに国で金出して分散しておるか、なぜこういうことをやらなければいけないのか、関連してお尋ねいたします。
  60. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) ジェトロは御存じのように海外での市場調査、これはほんとうにその日その日の商売にすぐに関係のある調査をいたしておるわけでございます。それから兼ねまして日本商品の海外への宣伝、広報活動をいたしております。そういう意味では最も実務に近い仕事をしております。アジア経済研究所はそれとは基本的に立場が違いまして、やはり基礎的な掘り下げた研究をしまして、そしてある意味では、長期的な貿易振興、長期的な経済協力の推進に役立つような資料をつくっていくということでございますので、観点がはっきり分かれております。なお、科学情報センターは私どもの所管ではございませんので、必ずしも十分に存じてはおりませんけれども、おそらくは科学技術に関する情報のセンターであろうかと思います。
  61. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 あなたの所管でなければ、大臣に聞きますが、科学情報センターも、これと全く同じような仕事をしているわけでしょう。これは昔当委員会所管であったけれども、いま科学特別委員会というものができているから、そこで論議しておることだと思うのですけれども、同じ仕事をしているわけですよ。これは局長は知らんでしょうけれども、大臣は知っておられる。同じ仕事をやっている。それからジェトロはその日その日の商売の仕事だとおっしゃったけれども、それもあるが、そういうことばかりじゃないでしょう。局長はそのように理解しておるわけですか。ジェトロを、貿易振興会を。局長はジェトロの創立以来のことを御承知おきないから、そういう答弁をなさっておると思うのですが、そういうことじゃないですよ、ジェトロは。われわれが賛成しているのはそういうことで賛成しているのじゃない。なるほどPR活動もありましょう。あるいはその日の商売もあろうけれども、やはり諸外国の経済状態とか、そういうものを中心に調査研究して、しからば、わが国がどうするかということの根本原則ということ、これが根本精神なんです。その点いかがですか。
  62. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 私の説明が若干舌たらずの点があったかと思いますけれども、基本的な立場の相違があるということを申し上げたわけでございます。調査する対象は同じように外国の経済等でございますが、ジェトロのほうは直ちにそれが商売に結びつくということに主眼をおいた調査活動でございます。したがいまして、最も端的にはその日その日の価格の変動を逐一情報を流すというようなことから始まりまして、ある程度やはりまとまった市場活動等の調査にも、これははっきり線が引けませんので、若干そういう面にも入っていくことがあるかと思います。アジア経済研究所のほうは、最初から基礎研究ということで、出発点が違うということを申し上げました次第でございます。
  63. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 大臣、情報センターのほうはどうなんですか。
  64. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 科学技術庁の所管で、実は私もはなはだ申しわけないのですが、そのほうの事情は明らかにいたしておりません。  それからいま仰せになりましたアジ研とそれからジェトロの関係でありますが、これはやはりいささか、いままで局長説明をいたしておりますが、実際の商売と直接関係のある仕事のほうに重点をおかれておる、ジェトロのほうは。このアジ研のほうはもう一歩進んだ基礎的な問題を調査するというところに重点がおかれておるのでありまして、これは戦後において、日本の政治経済の問題で、あらゆる面において基礎調査が非常に少ない。日本という国はどうもその場その場のあれでやっておる傾向があるが、どうしてももっと基礎的に深く掘り下げた研究をして、そうしてやっていかなければ、ほんとうの政治も経済もうまくいかないじゃないかというようなところから基礎的な問題を特に取り上げてやろうという目的でこのアジ研ができておる、かように私は了解をいたしておるのであります。ただそれではその基礎的なことは学問に連なるのかということになりますと、もちろん学問にも連なりますが、実際問題として、たとえば仰せのように本をいろいろ出しています。しかし、フィリピンなどを例にとり、あるいはインドネシア等を例にとってみましても、たとえばフィリピンの本を出しておりますが、「フィリピンおよび北ボルネオの木材資源」、こういうことについて一つテーマを与えて、これが一つ出版物になっております。それから「フィリピンの金融と資本形成」、こういうようなことで一つテーマが与えられて本になっております。それから「フィリピンの経済開発と国際収支」、これも一つテーマだと思います。それから「フィリピンの労働事情」「フィリピンの経済開発」あるいは「フィリピンの土地制度と小作立法の展開」、それから「フィリピンの経済構造と労働構造」、こういうふうに、こういうものはもちろんほかにもないとは言いませんが、やはり現段階においていろいろな問題を、いろいろ総合した上でのこういう問題を一つ一つ取り上げて勉強をし、それを一つの本にまとめておる、これは直接には経済のいわゆる経済協力とか、あるいは貿易自体については影響はないというふうにも考え得るのでありますけれども、実際に会社が仕事でもしようとするときには、必ず調査部とか、企画部とかというところがあって、調査部や企画部でもあらゆる方面から資料を集めて、その資料を集めた上で、それでは向こうに出て行って仕事をしようとか、あるいは仕事をする場合に何を注意してやろうかということを資料によって勉強すると同時に、人によっては勉強する、こういうやり方をいたしておると私は承知しておるのでありますが、そういう意味で、やはりアジ研はアジ研なりに一つ仕事をする存在、アジア経済研究所というものが一つ意味を持ち、また効果的な仕事をしていてくれるというふうに私は承知いたしておるわけでございます。
  65. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 答弁があまり長過ぎるのですけれども、本の中に、「ラテン・アメリカ経済研究事情」というのが出ているのですが、これは三百五十円で売っている。ラテンアメリカというのはアジアにあるのですか、「ブラジルの経済構造」、ブラジルというのはアジアですか、「ニグロ・アフリカの伝統的社会構造」「アフリカのナショナリズムの発展」、これはみんなアジアの本ですか、アジアの経済ですか。
  66. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 先ほども申し上げましたように、アジア経済研究所は、アジアの経済に主眼をおいて調査研究をいたしておるのでありますが、当商工委員会におきましても附帯決議をいただきまして、そのときに、アジア以外の地域、特にまだ調査研究が十分に行なわれていない中南米、アフリカなどの諸事情についても、遅滞なく適切な調査研究を行なわしめるようにというお示しがございましたので、その趣旨に基づきまして、このような調査をいたしておるのであります。それからなお、特にほかの地域調査いたしますことは、アジア地域についていろいろな研究をいたします場合に比較検討する上にも必要でございまして、ある程度はこちらのほうにも力を入れていく必要があろうかと存じております。
  67. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 そこで私の申し上げたいことは、たとえば、海外出張の調査を眺めてみても、かなりこれはヨーロッパその他にも行っておる、アジアではなしに、そうしてEECとか、OECDとかいろいろ調査している、だから事実上アジア経済研究所とは言いながら、現実には世界経済の研究ということを考えなければできないんじゃないかということを私は言いたいのです。それならばそれで、どうして根本的に世界経済研究所にかえて世界経済全般をとにかく調べる、特にアジアについては、なお重点的にという建て方をなぜできないのかということを私はこの際聞いてみたいと思うのです。大臣どうですか。
  68. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) お説のような研究というものは、比較研究がございますから、お説のような考え一つ考え方であると思いますが、アジア経済研究所は、やはり何といっても、日本がアジアにおいては特に関係のあるところであり、経済開発あるいは経済援助その他の問題についても、特に研究しておくほうがいい、そこで一ぺんに全部の研究をするのも大事だが、アジアのほうから始めようという意味が多分にあったと私は思っておるのでありまして、あなたのお説にはごもっともな点があると思いますが、私は経費等が許すならば、そういうふうにしていくのも一つの案かと思っております。
  69. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 大臣行かれるそうですから、大臣のほうはけっこうですが……。
  70. 鈴木一弘君(鈴木一弘)

    ○鈴木一弘君 いままでのことで関連してですけれども、そのアジア経済研究所の定款を見ていくと、総合的な調査研究を行なう、これは出ているわけです。その次に、成果の普及を行なうということがはっきりとうたわれているわけなのですけれども、出版物を見ていくと、アジア、アフリカ、南米、こういうところが出ております。ですが、実際問題として、成果の普及は国内だけに限らないで、国外にも普及したほうがいい。そうなると、日本の現在の経済的な立場であるとか、日本の経済事情とかいうものの研究成果というものも調査研究を行なって、その成果というものを海外へも積極的にPRするべきだろうと思うのですけれども、この点の努力というものが、出版物を見ている限りにおいてはなされていない。そうすると、経済研究所を作ったのは目的がアジアとの貿易の振興にもあるわけです。そういう面にも十分な効果を発揮できないのじゃないか、なぜその方向に持っていかれないか、その点ひとつ大臣にここのところを聞いておきたい。
  71. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) お説ごもっともでありますが、実を言いますと、一部のものはエカフェ等を通じて宣伝をいたしておりますが、経費の関係その他の点もございまして、十分な活動はまだしておらないという状況であります。
  72. 鈴木一弘君(鈴木一弘)

    ○鈴木一弘君 そうすると、大臣としては、研究所のいわゆる広報活動成果の普及という問題については、これはさらに効果をあげられるように、国内的にも国外的にもPRの費用というものは増加していかなければならない、そういうふうに考えているわでけすか。
  73. 国務大臣(福田一君)(福田一)

    国務大臣福田一君) 私は、予算といいますか、国力、日本の力がつくに従って、予算方面を充実しながら、そういうことをやっていくということは意味のあることと考えております。
  74. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) 速記をつけて。
  76. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 そこで、局長にお尋ねしますが、この研究所出版物、またその資料、こういうものはどういう経路を経て、どういうところに届けられるのですか。
  77. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 内容によりまして、あるものは関係研究所その他に無料で、まあ交換資料の一部として提供いたしますし、それから出版いたしますものは市販で出しております。
  78. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 そうすると、この出版物の中で価格のついたものと非売品とあるのだが、これはどうして分けているのですか。
  79. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 無料で配付するものは非売品といたしております。市販いたしますものは定価をつけて出しております。中には同じものでも無料配付するものと、それから市販に出しているものと両方ございます。
  80. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 それはただのものはただでやるのはあたりまえだし、値段のついたものは金をもらうのがあたりまえなんで、そんなことを聞いているのじゃなくて、どうしてそう分けるのかと聞いているのです。同じような本だけれども、ここに載っているのを見ると、同じような性格の本だけれども、やはり非売品で、非売品だからただでおそらくやることになるのだろうが、片方は金を取ってやるということになっているのだが、一体これはどこにその区分があるのかということを聞いているのです。
  81. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所の会員になって会費を納めていただいているところとか、それから関係の官庁とか公の研究所等でお互いに無料で資料の交換をしておるところがございます。そういうところには無料で提供いたしております。
  82. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 そうすると、本を売ることが目的なのか、それとも本をつくることが目的なのか、どっちなのですか。
  83. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所は、もともと公的な目的のためにつくられたものでございますので、予算で許す範囲でなるべく無料で提供するということを念願いたしております。ただ、一部のものは、一般にもかなり注文がありそうな場合には市販で出すということをいたしております。
  84. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 この予算書を見ると、三十八年の予算では、政府事業費の補助金が三億二千万円、それから賛助会の収入が二千七百万、出資金の運用利子等が二千五百万円と、こうなっているのですよ。そうすると、本を売った金というのは、一体どこに入っているのかということになる。これはおそらく私の想像では、利子等という、その中に入っていると思うのですがね。そこで、予算の許す範囲というあなたの解釈は、何を基準にして予算の許す範囲と、こういう解釈をするのですか。本を売ることを前提にして予算の許す範囲と、こういうことにしているのか。政府事業費の補助金を中心にして範囲ということを考えているのか。三億なんぼも国から出ているでしょう。そうすると、本を売って得るという金なんてはまことに微々たるものです。こんなものはあたかもそれがあるから非売品と定価をつけた本とを分けるのだというあなたの言い方では成り立たないのじゃないかと、私はそう思う。
  85. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) アジア経済研究所の資金はできるだけ出資金の利子と、それから政府の補助金でまかなってまいる建前にいたしておりまして、それでもなお足りない部分は賛助会費等を主として受け取っております。事業の目的からいたしまして、できるだけ無料配付にいたしたいと考えておるのでございますけれども、中には必ずしも無料で全部出さなくてもいいものにつきましては、便宜市販で出しております。しかし、これはほんとうに便宜のことでございまして、そちらに目的があるわけではございません。
  86. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 これはきょうで委員会が終わるわけじゃないから、もう少し私のほうも勉強させてもらって、この次あらためてまた質問させてもらいますが、賛助会収入というのが二千七百万円あるのですよ。そこで、この経済研究所の会員になっているのは、およそ目見当で見ると、二百四、五十あるようですね。そうすると、これは大体会員一人というか、一法人当たりどのくらい賛助会費というのを年間納めていることになるのですか。
  87. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 研究所に対しまして資金的な援助を行なっておりますものを便宜会員といたしておるわけでございます。そのうちで年に五万円以上の賛助をしてもらっているものを正会員、それ以外のものを準会員というふうに呼んでおります。
  88. 大矢正君(大矢正)

    大矢正君 これは私のところの党の話で恐縮だけれども、私のところの党も資料を出しておるけれども、この資料だって一年間十万円ですよ。三万や五万の金を出してあたかも会員であるがごとくにふるまわれてはたまったものではないですよ。このアジア経済研究所というのは、ほんとうに各企業にとって必要な研究所だし、そこの出版物が実際にその会社にとっても必要だというならば、一年間に三万や五万の金を出して、それで賛助会員であります。それだからただの本を下さいということは、とんでもない話です。ある意味でいえば、政府が負担をしているということにも解釈がとれるし、ある意味でいえば、この研究所は企業にとっては、さっぱり役にも立たないから、金も出さないのだというふうにもまた通ずるのですよ。そうでしょう。社会党の資料頒布よりもまだ安いというような会費、ゴルフの会費だって五十万も百万も取られるじゃないですか。それで三万や五万で本をもらおうなんていう考え方は大体おかしい。もっとそういう問題ですっきりするなら、すっきりしたらどうですか。予算の上においても、賛助会員というのは一体何のためにあるのかわからぬのですよ、現実の問題として。三万や五万の金で……。
  89. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) この研究所の公共性ということから申しますと、大矢委員仰せの線がまことにすっきりしておると思います。実情はただいま正会員が年五万円以上と申し上げましたが、その大半は大体十万円見当であります。それから数社は、五十万円とか、相当の多額の資金も出してもらっております。五万円未満の準会員も若干ありますけれども相当部分はやはりちょうど仰せのように十万円程度の会費を払ってもらっておるのが実情であります。
  90. 藤田進君(藤田進)

    ○藤田進君 ちょっと資料要求。阿部委員から指摘しました同種の、これは法文上もそうですが、実体的に同種のものがかなりあると思う。通産省自体もやっておる、外務省もやっておる、それから最近の資料によると、防衛庁もやっておる。このアジア研を見ても、特に政治、経済関係についての研究をやっております。そういう類似のものについての調査をして、その内容の違い、先ほど来言われるものをひとつ次回までに出してもらいたい。  それから第二は、ここに調査研究テーマが最後のほうに載っておるのですね。一部は交換されている、非売品が。私の手に回ってきたので見るとあるのですが、これらが出版されている実情、これを全部、三十四年度以降研究課題が研究委員会に委託研究になっているでしょう。どの程度集約したものが出て出版されているのか、その調査、それから立法府である参議院の商工委員とは関係が深いのだから、そういう資料についてどの程度いままで委員の手元に配付されてきたのか、それともひとつ調べていただきたい。
  91. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 関連して。これ全部非売品でしょう。出している最たるものだ、非売品です。国の金を三億も使うて一部特定の会社か特定の人間にしか渡らないでしょう、非売品ですから。これは研究所へ行ったらくれるのですか。そうじゃないでしょう。国の金を三億も使うて、これは全部非売品、市販していない。おかしいですよ。
  92. 中田吉雄君(中田吉雄)

    ○中田吉雄君 配付先をはっきりして下さい。
  93. 阿部竹松君(阿部竹松)

    ○阿部竹松君 これは大体三億の金で一部特定の者が独占しておるということです。市販がされておれば、そういうことは言いませんが、非売品ですから市販していない。これは局長に聞いてもだめだから、大臣が出席された場合にあらためてお伺いしますが、そういうことに国か金を出していいわけですか。こういうことをやるのだったら補助金出しますということで、かえってここで論議して是か非か論争したほうがよろしい。関連ですから、もう以上でやめますがね。
  94. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) ただいまお話のございました、御要求のございました資料は、後ほど調査して提出させていただきます。  それから、ごく一部の者にしか配付しないという御指摘でございますが、これは配付先を別途資料としてお目にかけたいと思いますが、このアジア経済研究所設立の目的がアジアについての基本的な経済の研究でございますが、同時に当委員会でもお示しがありましたように、やはり貿易の振興、それから経済協力の推進ということに役立たせようということでございますので、配付先につきましても、そういう観点から一応私のほうとしては選んでおるつもりでございます。具体的にひとつお目にかけたいと思います。
  95. 中田吉雄君(中田吉雄)

    ○中田吉雄君 資料についてですが、ついでに民間の資本金ですね、七千六百五万円ですか、これをあとから資料でいいですから、出資者と出資額、それから賛助ですか、正会員と準会員、そういう賛助のをはっきりして下さい。それと第一条にあります成果を普及するという点はやはり重要だと思うのですがね。これはただ出資者やそういう者が必要だから出資もしたのでしょうが、そういうところに限定するだけでは——おそらくこの研究所ほど国会資料くれるところは私あまり例がないと思いますが、そういう点、ひとつ次回に質問したいと思いますから、資料の配付先とか、そういうものをひとつお願いします。
  96. 鈴木一弘君(鈴木一弘)

    ○鈴木一弘君 資料の要求を一つですが、業務内容が倍増をしたということが今度の理事増員の理由になっているわけですけれども、アジア経済研究所の予算を、三十七年、八年、それから来年度の、明年度三十九年度の予算、これはいずれも大臣の承認が必要だと思いますのですが、その予算と予算要求を資料として提出していただきたいと思います。
  97. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) よろしゅうございますか。
  98. 政府委員(山本重信君)(山本重信)

    政府委員山本重信君) 承知いたしました。
  99. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  100. 委員長(前田久吉君)(前田久吉)

    委員長前田久吉君) それじゃ速記つけて下さい。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日は、この程度にとどめます。  本日は、これをもって散会いたします。    午前十二時散会      —————・—————