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1964-10-09 第46回国会 参議院 商工委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十九年十月九日(金曜日) 午後一時四十八分開会
—————————————
委員
の異動 十月二日
辞任
補欠選任
藤田
進君
大倉
精一
君 十月六日
辞任
補欠選任
大倉
精一
君
藤田
進君
—————————————
出席者
は左のとおり。
委員長
梶原
茂嘉
君
理事
赤間 文三君 上原 正吉君 近藤 信一君 田畑 金光君
委員
植垣弥一郎
君
大谷藤之助
君 岸田 幸雄君 剱木
亨弘
君
豊田
雅孝
君 大矢 正君 椿 繁夫君
藤田
進君 鈴木 一弘君 奥 むめお君
国務大臣
通商産業大臣
櫻内
義雄
君
事務局側
常任委員会専門
員
小田橋貞壽
君
説明員
通商産業省繊維
局長 新井 真一君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
産業貿易
及び
経済計画
に関する
調査
(
通商産業省
の
施策
に関する件)
—————————————
梶原茂嘉
1
○
委員長
(
梶原茂嘉
君) ただいまから
商工委員会
を開会いたします。 まず、
委員長
及び
理事打ち合わせ会
の
協議事項
について御報告いたします。 本日は、
通商産業省
及び
経済企画庁
の
施策
に関する件の
質疑
を行ないます。次回は、十一月
臨時国会
が召集されるようでしたら、その
召集日
の前日に開会することとなりましたから、御了承願います。
梶原茂嘉
2
○
委員長
(
梶原茂嘉
君) 次に、
産業貿易
及び
経済計画等
に関する
調査
を議題とし、
通商産業省
の
施策
に関する件及び
経済企画庁
の
施策
に関する件の
調査
を進めます。 前回に引き続き、
質疑
を行ないます。 御
質疑
のおありの方は順次御
発言
を願います。
豊田雅孝
3
○
豊田雅孝
君 まず第一に、年末
資金対策
について
大臣
の御
所見
を伺いたいと思うのであります。 御
承知
のとおり、最近幸いにして
貿易収支
は好転をしてきたのでありますが、その一面において、
倒産者続出
というような
状態
になってきております。過般も
大阪
へまいりましたが、
大阪
などでも最近にない
金詰まり
でありまするし、また、
北九州方面
、もうすでに
北九州八幡
を
中心
にして大体
倒産者
二十五社と言われておりますが、また、常にかような
金融引き締め
のときにおきましても、比較的安定を続けたと言われてきておるのが川口市の
下請関係等
でありますが、これまた非常な
金詰まり
でありまして、
倒産続出
の傾向にあるわけであるのでございます。かような
状態
を見ますると、
金融
の
引き締め
の末期の段階に入ってきておるということだと思うのであります。 一面、いま申しまするとおり、
貿易収支
がよくなり、一面において
倒産者続出
というこれは毎回現われる
状態
でありますが、大
企業
はそういう
状態
でありましても、何とか
金融機関
の支援のもとに切り抜けていくのでありますけれども、
中小企業関係
、ここへ全部の
しわ
が寄せられてくる。
金融関係
の
しわ
のみならず、大
企業
の
支払い遅延
、その他の
関係
におきまして非常な
しわ
が寄ることは御
承知
のとおりであります。このままでは年末にかけまして、本来ならば倒れなくても済むいわゆる黒字のものの
倒産
が非常に懸念せられるのでありまして、ここで徹底した手を打つこと、それ
自身
がむしろ
金融引き締め
の
最後
をうまく推移させていくことになるのではないかということを痛感いたしておるのであります。そういう面で、年末
資金対策
、これを徹底的にこの際おやり願いたいと思うのでありますが、先般
通産大臣
は八百億という線をお出しになったやに承っております。また
池田総理
は千億の線を指示せられたかのように仄聞するのでありますが、這般の事情はいかようになっておるか、ひとつ端的率直なる御
見解
を承りたいと思うのであります。
櫻内義雄
4
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) ただいまお尋ねのように、
金融引き締め
が次第に浸透しておりまして、そのために戦後
最高
といわれる
倒産件数
を八月、九月に見ましたことは、その
責任
の衝にある私として、まことに遺憾に存じておるわけでございます。そこで、ただいま年末
金融
をどうするのかということでございますが、実は
総理
が一千億、私が八百億と、何かそこに食い違いがあるような印象を与えておりますが、
総理
も一千億以上は確保しなければならないと、こういうふうにおっしゃったようでございます。少し御
説明
申し上げますと、昨年の年末に
中小企業金融公庫
の
貸し出し規模
が百二十億円、その中で
財投
が八十億円とこうなっております。それから国民
金融
公庫の
貸し出し規模
が百二十億円、
財投
が九十億円となっております。商工中金が百六十億円、
財投
が百三十億円、こういうことになっておりまして、
貸し出し規模
の合計が四百億円でございます。そこで私はたまたま常例の
閣議
後の
記者会見
でこの問題に触れましたときに、少なくとも昨年度の
貸し出し規模
の倍額は絶対にこれを確保しなければならない、何としても八百億円以上は確保したい、こういう話をしたことがございます。そのことが八百億円というふうに出ておるのでございますが、いうまでもなく、年末に
特別買いオペ
をいたすのでございます。このほうの額は昨年度が二百五十億円でございますから、年末の
手当
千億以上は
——
とこう言われましたのと、私のこの三
機関
の
貸し出し規模
の一応
最小限度
八百億円と申し上げたのと、大体
総理
の言われたことと私の申しましたことは一致をしておると思うのであります。ところで、もちろんこれは
買いオペ
を昨年度並みの二百五十億円と想定をした場合でございまして、私はなかなかこの程度ではいけないものである、この辺に弾力的な私の
考え方
があるわけでございまして、まあ
一つ
の方策といたしましては大きく打ち出して、そして
最後
に折り合うという場合もございましょうし、また私が申したような三
機関
の
貸し出し規模
を一応打ち出しながら、様子を見つつ、そして
買いオペ
のこともそこに加えていく、こういうことも
一つ
の方法ではないかと思うのであります。しかも現在の
情勢
のもとに申しておるのでございまして、これが十一月、十二月とこう進んでまいりますのに、はたして現状のような
情勢
でいくのか、もっと深刻になるのか、こういうことを予想してまいりますと、遺憾ながらどうも楽観のできない
情勢
にございますので、さらに積極的な年末
金融対策
が必要かと存じておるようなわけでございます。一応御
説明
といたします。
豊田雅孝
5
○
豊田雅孝
君 ただいまの
大臣
の御
答弁
によりますと、
買いオペ
を除外して八百億以上、そして
買いオペ
を加算すれば千億以上、それは二百五十億と昨年を見ておるが、とうていそれでは足らぬであろうという御
答弁
であります。
関係業界
あるいはその
団体等
からの
要望
は、千二百億を
要望
しておることは
大臣
御
承知
のとおりだと思うのであります。いま
お話
のありました
買いオペ
を除いて
ネット
八百億、これにはいままでに
相当金詰まり
が重なってきたものでありますから、
関係金融機関
は繰り上げ
融資
をしておるのでありますが、この繰り上げ
融資
の
穴埋め
をするものを含んでおるのか、あるいはそれを除外して、
ネット
八百億というふうにお
考え
になっておるのでありましょうか。その点を伺っておきたいと思います。
櫻内義雄
6
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 繰り上げの分は一応含めての
考え方
に立っております。
豊田雅孝
7
○
豊田雅孝
君 それでは今後、
関係業界
から出ております
要望等
を真剣にひとつお
考え
をいただきまして、さらに御努力をいただきたいと存じます。と同時に、これは
通産大臣
よく御
承知
だと思いますが、
政府資金
がいま入ってきたとしましても、これを
関係政府金融機関
に配分いたしまして、そうしてまた
関係金融機関
がこれを全国の
支店欄
なり
代理店
に割り振っていき、これが末端でいよいよ
業界
に
融資
の形として可能なる
状態
になるというのにはかれこれ一カ月かかるのであります。これがいますぐということでなく、日にちがたてばたつほど、場合によりますと年末
金融
、金の用意はできたといいましても、まさに絵に描いたもちということで終わりをつげるということにはるおそれが非常に多いのであります。この点
タイミング
を
考え
ないと、
親心
が
親心
にならないという感を深くいたしますので、その点についての御
見解
を承っておきたいと思っております。
櫻内義雄
8
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) もう御
指摘
のことは当然のことでございまして、
タイミング
を間違わないように善処してまいりたいと思います。なお先般来この九月の
倒産
の実情からいたしまして、
経済閣僚懇談会
、あるいは
大蔵大臣
との二人での話では、いま現在でもこのままではさらに
中小企業
に対する
しわ
寄せがきつくなるのではないかと思う、何か
考え
てもらわなければならぬということを非常に主張しておるわけでございます。御
承知
のように全般的には
引き締め政策
をとっておりましても、
中小企業
のような場合はある程度は
考え
ると、こういう
政府
の
立場
でございまして、四月、六月当時に二百億円という
買いオペ
レーションをいたしたことがございますが、七月の
規模
を百億円拡大するというようなこともいたしました。当面何かしてもらいたい、特に十、十二に対する日銀の
窓口規制
などが予定は三〇%ぐらいしたい、こういうようなことでございましたが、これは幸い
経済閣僚懇談会
でいろいろ申し上げておりましたのが影響したと思うのであります。この七、九なみの二二%にとどめてもらったようなわけでございますが、なお現在
事務当局レベル
で当面の問題についても折衝しておるということを申し上げておきたいと思います。
豊田雅孝
9
○
豊田雅孝
君 そこで、
タイミング
の点を
考え
ますると、年末
資金
もさることながら、
大臣
御
答弁
の中にもすでにありましたごとく、もう目前が火の車であります。これを一日も早くおやり願っていただきたいということと、従来の繰り上げ
融資
の
穴埋め
も含んで八百億というのでは足らぬと思われますので、
ネット
で真剣にお
考え
を願いたいと、その点を特に強く
要望
いたしますと同時に、もう一点伺っておきたいと存じますのは、これから年末にかけましては特に
短期資金
が非常に詰まってくるのであります。そういう点において
短期資金
を取り扱う
政府系
の
金融機関
に
重点
を置いて、しかも急速に手をお打ち願わないと、とんでもないことに全体としてなってくるのではないかという感をいたしますので、この点について御
見解
を承りたいと思います。
櫻内義雄
10
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 御
指摘
のとおりでございまして、先ほど当面の
対策
も
考え
たいという中には
短期資金
の
手当
も含んでおることを申し上げます。
豊田雅孝
11
○
豊田雅孝
君 それではその点に特に
重点
を置いて
考え
ていただきますと同時に、どうも
政府
から出す金は
短期資金
をこういうときには織り込むわけでありますが、
短期資金
に
業界
からの
要望
で
融資
いたしましても、結局それは
長期資金
化してくるのが
中小企業金融
の特色であります。したがって
短期資金
に追われておるから、この際急速に金を出していくというようなその
資金源
それ
自体
は、
短期資金源
でなくて
長期資金源
になり得るものを出していくということでありませんと、かえって事が誤ってくると思いますので、この点
短期資金
に
重点
を置いて配分はするけれども、その
資金源
は
長期資金
が出ていくのだという点を再確認しておきたいと思うのであります。
櫻内義雄
12
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 再確認ということでございまして、そのように
考え
ておりますが、
財投
も非常に窮屈でございまして、なんでございましたら、いまここに
中小企業
庁の長官もおりますから、詳しいことを申し上げさしたいと思います。
豊田雅孝
13
○
豊田雅孝
君 私は
大臣
を御信頼いたして質問をし、また
答弁
を承っておりますので、
大臣
の
政治的責任
において邁進していただく、それのほうをむしろ
希望
するものでありますから、
大臣
が
責任
をもっておやりくださるということならば、それでけっこうでございますが、さように了承してよろしゅうございましょうか。
櫻内義雄
14
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 非常に大切なことでございまして、そのように努力いたしたいと思います。
豊田雅孝
15
○
豊田雅孝
君 それではもう一点だけ他の問題をお尋ねいたしますが、それはただいま
大阪中心
で一九七〇年に
万国博覧会
を
日本
においてやりたいという声が起きておりまして、また通産省といたしましても、前
通産大臣
のときに
閣議
で
発言
せられた、また
櫻内通産大臣
になられても八月の二十一日でございましたか、御
発言
になった、事は前向きで進めていくということに相なっておるようでございますが、実は私は
紀元
二千六百年
記念事業
に
万国博覧会
を
日本
でやるというときのその計画課長みたようなものを当時の
商工省
でやらされておりましたが、当時は
オリンピック
も
万国博覧会
も
ともどもシナ事変
などでだめになりましたけれども、今回
オリンピック
が首尾よく
開催
されるということに相なりましたただけに、これが済んだあと、
日本
としては次の
目標
として
紀元
二千六百年
記念事業
であった二大
指定事業
のうちの
一つ
である
万国博覧会
を
日本
においてやるべきではないか、しかも
輸出振興
の
基本的対策
というものがどうも
日本
においては不十分でありまして、
日本
の
産業文化
の
最高水準
を
日本自体
においてきわめて大
規模
に、しかも総合的な
立場
からこれを展示するということで、初めて
日本製品
の決して安かろう悪かろうということではなく、あるいはもう常に労賃問題のことを持ち出されて
日本
は不利なところに追い込まれますけれども、その
一つ
の
国際的施策
を打開できるのはもう
万国博覧会
の本格的な
開催
以外にないという
考え
をいたしておりますだけに、この問題の推進に当たっておりました
関係
からいたしまして、過般
欧米視察
をいたしました際に、
国際博覧会条約事務局
のゼネラルの
シャロン
氏と
懇談
を重ねたのでありますが、そのとき
国際博覧会条約事務局
としては
日本
に非常に好意的でございます。しかし、そのときに明らかになったんでありますが、
豪州
の
メルボルン
が一九七〇年に正式の
万国博覧会
、しかもこれは
大臣
よく御
承知
だと思うのでありますけれども、いわゆる
一般博覧会
に
独立館
を
各国
建設すべき義務を持っております。その
博覧会
を
メルボルン
がやるという
要望
を非公式ではあるが出してきている、もしもこれが先になりますと、
アングロサクソン系
の国は従来の
関係
上
メルボルン
を支持し出すであろう、そうなると
メルボルン
に行くようなことになりますと、
日本
は非常に不利になりはしないか、そういう点で
日本
と
メルボルン
は両方とも
国際博覧会条約
には
批准
をいたしておらないのでありますが、すみやかに
日本
のほうが一歩先んじて
条約
を
批准
し、しかして
万国博覧会
の
開催
を正式に
申し入れ
ることを早くすることが必要であるという、好意的なアドバイスがあったわけでございますが、七の点から
考え
ますと、当時
シャロン
氏が明らかに言っておりましたが、年内かあるいは来春早々
条約批准
をして、しかして
日本
の態度をはっきりして
フランス政府
を通じて
申し入れ
をすることが必要であろうということを申しておったのでありますが、この点を
考え
ますると、どうもいまのままでいっておったのでは、はたして一九七
O年
にやれるかどうか非常に問題じゃないかと思うので、これは具体的に申しますと、今回の
臨時国会
で
国際博覧会条約
の
批准
をする、そうして
批准
をした場合、
負担金
はどの程度かかるかということも私質問したのでありますが、一万四千フラン、約百万円であります。この百万円、聞くところによりますると、
予算
にはいま要求をしておるそうでありますけれども、来年度の
予算
の
関係
でありますので、御
承知
のとおり来年の三月過ぎでないと事がきまらぬというようなことでは、とうてい一九七〇年の間に合わなくなる、
メルボルン
などにとられるのではないか、かような懸念をいたしまするので、その点について
条約批准
並びに
負担金
の支出、そういう基本的な問題につきまして
大臣
の御
所見
を伺っておきたいと思うのであります。
櫻内義雄
16
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) ただいまは貴重な会談の模様を
お話し
いただきまして、私として心から感謝をいたします。実は前
大臣
の福田さんの当時に、六月七日に
国際博覧会
の問題が
閣議
で話題になりまして、そのおりに前向きで
検討
するということになっておりました。私就任後に関西へ参りましたとき、
近畿
七
府県
の
代表
の
皆さま
より非常に強い御
希望
がございましたので、これを受けて戻りました直後の
閣議
にこの問題を再び出しました。これが御
指摘
の八月二十一日であったと思うのであります。この際もまた前向きで
検討
をしようということで、遺憾ながら抽象的な範囲からまだ出なかったのであります。しかしながらだんだん調べてみますと、一九七〇年の
開催
を目途にいたしますと、明年一月以降にパリの
事務局
に
登録
を申請しなきゃならない、こういう期限が限られてきております。さらには
事務局
に出します以上は、
開催場所
、
運営組織
、
開催期間
、
展示条件
などを別添資料として出さなければならない、こういうことも明らかになってまいりますと、いたずらに
近畿
の七
府県
の中でも
大阪
がいいとか、滋賀がいいとか、兵庫がいいとかいっておっても困るのでございますし、また千葉県でも
希望
するというようなこともございますので、私としては
オリンピック
後の国民的なひとつ
目標
としてこれはぜひやりたい、何とか各
方面
で
希望
されておる話がまとまるようにしむけたい、こういうような気持でその後
関係者
の方々と接触をしてまいったようなわけであります。本日も
大阪
府、それから
大阪
市
商工会議所
の
代表
の方が見えまして、
手元
にその
要請書
もございますが、
大阪
としては千里でやってもらいたい、こういうことでございました。私はそれはけっこうだが、あなたのほうの資料にも
近畿
でと書いてあるじゃないか、どうぞ
大阪
以外に
希望
の諸
地域
もあるようだからもう
一つ
詰めていただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。私の
心組み
としては、ただいまの
お話し
のとおりに、
ただ日
を送っておるわけにはいかないのでありまして、この
オリンピック終了
後早期に
開催地
もきめたい、また次の
国会
には
国際博覧会条約
の
批准
の手続をいたしたい、こういうふうに
心組み
は持っておるのでございますが、この上は
委員
の
皆さま方
のお力添えもいただきまして、何とか
開催場所
が一日も早く一カ所にはっきりきまるようにしていただきたい、また私もそういうふうに慫慂いたしまして、せっかくやるのでありますれば、一九七〇年を
目標
にこの機会にはっきりしたほうがよかろうか、こう思っておるようなわけであります。
豊田雅孝
17
○
豊田雅孝
君
メルボルン
が一九七〇年に
開催
の
希望
を持っておるということはただいま申し上げたのでありますが、これは
メルボルン
の前市長が
国際博覧会条約事務局
へ出てきてその
意向
を明らかにしたそうであります。まだ幸いに非公式の
申し入れ
でありますので、これより一歩先んじて
日本
が
条約批准
をし
正式開催
の
申し入れ
をするならば、
日本
に何とかしてやらすことが一番いいじゃないかという
国際博覧会条約事務局
の
意向
でありました。それは
欧米
ではもう相当
万国博覧会
をやってきておる、
AA地域——アジア
・
アフリカ地域
ではどこもやっておらぬ、それを
日本
でやるということは
国際博覧会条約
の建前からいっても、非常に
日本
にやらせることがいいじゃないか、そうしてまた、
日本ブーム
の際であるし、
世界各国
の多数人がこれに関心を持つだろう、それだけに
日本
にやらしたいという
意向
はありありと見られるのであります。それだけに早く
条約批准
をやるということが少なくとも必要なんじゃないか。そうして、どこで
開催
するか問題になっておりますけれども、もう一九七〇年にやるという
考え方
でありまするならば、熱心な
大阪
・
近畿
に急速にきめて、そうしてやる以外に手がないのではなかろうか。と申しますのは、
豪州
と
日本
とは
国際博覧会条約
によりますると、いろいろ
地域
を
ヨーロッパ地域
、
アメリカ地域
というふうに分けておりますけれども、その他の
地域
という中で
メルボルン
と
日本
などは同じ
地域
に見られておるのであります。かりに
メルボルン
にきまったら、もう六年後でないとやれぬということが
国際博覧会条約
から出てまいりますので、ところが一九七〇年でなく一九七六年にということになると、ほとんどもうやらぬというのと同じじゃないかという声が出ておるくらいであります。したがって、どうしても一九七〇年にやるということだと早急に
開催地
をきめる、少なくともいま申しまするとおり、
国際博覧会条約
だけでも早く
批准
をし、
負担金
を出し、しこうして
国際博覧会条約事務局
に誠意を示していくということが、
メルボルン
との
国際的関係
におきまして非常に必要なんじゃないかということを痛感するのであります。その点について
大臣
の率直なる御
見解
を承りたいと思います。
櫻内義雄
18
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) ただいまの
お話
を聞いておりまして、これはさっそく私も
考え
てみなければならぬということが
一つ
起こりました。それは、いままでは
開催地
がきまったらばその後に
国際博覧会条約
の
批准
をしようと、こういうようにおおむね
方針
を立てておったんでありますが、
お話
を聞いておりますと、
条約
の承認を済まして、そして百万円ほどの
登録申請費
と申しましょうか、それをも払って
豪州
よりも有利な
立場
に立たなき
ゃならぬというただいまのお話
は、これは
十分検討
をすべきだと思いますので、さっれ
くに事務当局
でよく研究させまして、できればそのほうがベターであるということであれば、
臨時国会
にまず
条約
の
批准
はしてしまう、こういうような
方針
にいたしたいと思います。これは、率直に申し上げて、いまここで
お話
を聞いての感じでございます。 それから、
開催地等
につきましては、
近畿
七
府県
に大体熱意があるようでございまして、また、ある程度の計数も出ております。前向きに
検討
するという
閣議
の席上でも、これは相当な
費用
が要るんじゃないか、その
費用
をただ漫然と国が負担するんだと、そういうずさんなことじゃいかぬぞ、やはり地方はどれぐらい負担する、国はどの程度負担するのか、大体の見当はどうか、そういうものがなければ
閣議
ではなかなかきめられぬじゃないかというように、前向きとは言いながら、そういう具体的な御意見も
閣議
で出ておるのでございまして、だんだんに
手元
にも、千里ではどれくらい、琵琶湖ではどれぐらいというような概算も出つつあるおりからでございまして、私としては、ただいま御
質疑
の御趣旨に沿いまして、ぜひ一九七〇年を
目標
にやるということで
関係者
を督励してまいりたいと、こう思っております。
豊田雅孝
19
○
豊田雅孝
君
最後
に、
資金関係
が出ましたので、その点について申し上げると同時に、また御
見解
を承っておきたいと存じますが、
国際博覧会条約事務局
の言うところによりますると、
ニューヨーク博
にしましても、それから次にやろうとしておりまするモントリオールの
博覧会
の
資金計画
にいたしましても、大体四、五億ドルの線であります。そういう点から、
日本
ではもっと安くいけるんではないだろうか、こういうことも申しておるのであります。特に
博覧会
になりますると、
オリンピック
と違いまして、
開催期間
が、
オリンピック
はわずかに十四日でありますが、
国際博覧会
のほうは半年以上やらんならぬということが
条約
でちゃんときまっております。したがって、その国に落ちる金の量というものは非常に違ってくるわけなんでありまして、そういう点から相当投資したものの回収というのは、
オリンピック
の場合とは非常に違ってくる。また、
オリンピック
で寄ってくる
人たち
は、そう言っちゃなんですが、どちらかというと
ふところ
はさびしい人なんです、体力は強いけれども。ところが、
万国博覧会
に寄ってくる
連中
は
ふところぐあいのいい連中
が寄ってくるんでありまして、しかも、
期間
が十四日と半年では非常な違いだということで、国としてりっぱにペイできるというのは、これは
各国
いかに
開催
の競争をしておるかということ
自身
で明らかなぐらいでございます。その点も勘案せられまして、至急に、さっき
大臣お話し
の、少なくとも
条約批准
を早くやり、そうして
負担金
支出の道を、予備金支出でも道を講じられるという線でいかれまして、同時に
開催地
をおきめ願うということでお進め願いたいと思うのですが、
最後
にそこらの
所見
を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
櫻内義雄
20
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君)
オリンピック
の実績から
考え
まして、国が大体この程度負担したらよかろうとか、地元はこの程度というような素案がございます。ある地区を想像いたしまして計算してみますと、大体直接工事
関係
が一千億円ぐらいでございまして、これを国が三百五十億円、地元が六百五十億からまあ七百億くらいというようなそろばんも出ております。それから運営費のほうは、大体前例にのっとりまして、いままでの
博覧会
の状況から申しまして、これは入場料と大体見合うようであります。ただ問題は、この関連公共事業費というものが相当あると思います。これは年度計画に載っておるものでございますが、これを繰り上げてやる、また計画どおりに認めてもらってやる、こういうような場合に、そのほうで相当な額を必要といたします。こんなふうでございますが、しかし、
オリンピック
のこの世紀の祭典を無事に済まそうという
日本
の国力でございますから、私は皆さん方の御決意、われわれの決意によりまして、
国際博覧会
程度のことは十分消化し得るものと、これは国、地方を通じて財政的に見ても
考え
られることでございますので、御趣旨の線に沿いまして、私としてはすみやかに結論を得るように慫慂をしてまいりたいと、こう思っております。
椿繁夫
21
○椿繁夫君 関連して。いまの問題にちょっと関連して、私もいま
お話
を伺っていて、来年の一月末までに、万国博を誘致するためにはパリーの
事務局
へやはり
登録
する必要がある。そうしますと、万国博
条約
を
批准
しておくことがやっぱり一番先決の問題ではないか。で、
大臣
も、これは通常
国会
では一月末まではほとんど
委員
会の審議なども行なわれませんから、どうしても時期を早めていただいて、この
臨時国会
に間に合うような措置をどうしてもこれはとってもらわなければ、一九七〇年の機会を逸することになるのではないかという心配がございます。ですから、この点について、あわせて
臨時国会
に間に合わせるように国内の準備を進めるということの言明を得られるかどうか。 それからもう
一つ
は、
大臣
の
手元
へ、きょうも
大阪
の府、市、
商工会議所
の
代表
の方が誘致のためにお願いに上がっておるようですが、その際
指摘
されたことは、君たちの陳情書でも
近畿
と書いておるじゃないかという御
指摘
があったようで、ごもっともなことだと思います。ところが、あらかじめ
大阪
の府、市、それぞれ候補地を持っておりまして、最近ようやく千里に府、市一致をして、
商工会議所
もこれに加わって、ひとつ誘致運動をやろうじゃないかということで、長い間意見の対立しておりましたものをまあ一致してきょうお願いに上がったんだろうと思います。そこで、これは
近畿
の
関係
府県
、
関係
都市の間で意見が一致すれば、通産省としては大体は、今回は
オリンピック
は東京であったことだから次の万国博はひとつあっちのほうで意見のまとまった所へ持っていこうということで、腹はきまっておるわけですか、そこのところをひとつ聞かしてもらいたい。
櫻内義雄
22
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君)
国際博覧会条約
の
批准
の問題につきましては、先ほど率直に申し上げたとおりでございまして、従来は、
開催地
がきまり、また大体の
予算
の計画が立ちましてから
条約批准
をと思っておったのでありますが、きょうこちらへ参りましていろいろ
お話
を承っておりますと、どうもまずいような気がいたしましてので、これはきょう戻り次第さっそく
調査
をいたしまして、おそらく御
指摘
のとおりではないかと思いますので、そうでありますれば、
臨時国会
に
批准
手続をとりたい、こういうように思う次第であります。 それから
オリンピック
が東京で
国際博覧会
は
近畿
でという腹じゃないかというお尋ねでございました。実は、六月の
閣議
のおりには、東京の羽田などが候補にあがっておりました。それから八月の
閣議
後におきましては、千葉県の浦安が候補にあがっております。しかしながら、これらの候補地につきましては、現在のところ、具体的にこういう計画でやりたいという、そういうものは通産省のほうにまいっておりません。しかしながら、
近畿
の
関係
におきましては、三地点御
希望
があるようでございますが、いずれも一応の数字ができてまいっております。そういうようなことがら、早急に
日本
が申請手続をとるという場合には、この
近畿
地区を
考え
ることがいまの場合、順序としてさようになるかと思います。
椿繁夫
23
○椿繁夫君 そうすると、こういうふうに理解をすればよろしゅうございますかパリの
事務局
への
登録
も急がなければならぬ、そのためには通常
国会
に万国博
条約
の
批准
手続をとっておいたのでは、やはりちょっと手おくれになるうらみがある、どうしてもこれは
臨時国会
にその
批准
手続をとるように努力をする。それから
開催
の場所については、いろいろこういう誘致したいという
希望
が方々にあるようだけれども、さしあたっていまのところ、時間的にも切迫しておることであるし、具体的に計数をあげて言ってきておる
近畿
のほうに指定をしたほうが
政府
としても誘致しやすいように
考え
るという御意見だと伺いましたが、それでよろしゅうございますか。 それと、私がもう
一つ
考え
ますことは、こういう際でありますから、
政府
の御
方針
を早く示されることのほうが、やれ羽田だ、千葉県だ、
近畿
になるかもわからぬというようなことで、この切迫した時間の中で準備を進めることは不可能だと思いますので、
政府
として、やはり
開催地
などにつきましても積極的な意見を出されていい時期ではないかと、こう思うのですが、重ねて
大臣
の御
所見
を伺います。
櫻内義雄
24
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) お答えの順序がちょっと適当でないかもしたませんが、後段のほうから申し上げておきたいと思います。それは、実は全部国の負担において
開催
をするということでありますれば、
政府
のほうで場所などを積極的にきめてかかってもよろしいかと思うのでありますが 先ほども
お話し
いたしましたように、また、
オリンピック
の
開催
の場合なども
考え
まして、相当地元の負担、それからただ単に負担ではなくて、いろいろな影響がありますので、どうしても地元の御
意向
というものをまずおまとめ願うほうが、順序ではないかと思っておるのであります。 なお、前段のお取りまとめになった
お話
は、私の申し上げておる話がそういうふうにまとまると思います。ただ私がちょっと歯切れの悪いことを申し上げておりますのは、純粋に
博覧会
の手順を踏んでいく場合にどうなるか、こう言うと、
国際博覧会
事務局
への
開催
登録
申請は、四十年一月から四十一年六月までの間に、こういうことに一九七〇年を
目標
にするとなるのであります。ただ
メルボルン
の積極的な行動がありますので、そこで一日も早いほうがいいというふうにわれわれが観察をしている。そこのところにちょっと事務当局になお
十分検討
さすべき要素があるということだけはお含みいただきたい。
近藤信一
25
○近藤信一君 私は、この際に毛製品の国際協定締結に関しまして若干御質問をしてみたいと思います。 〔
委員長
退席、
理事
上原正吉君着席〕 アメリカでは毛織物の輸入制限をしようとする動きが以前からありまして、米国毛織物
業界
といたしましても、米国
政府
へ強い働きかけをしてまいりました。それが昨年の二月ごろからは、かなりはっきりした動きとなってあらわれてまいりましたが、昨年の七月、ケネディ大統領がドル防衛を打ち出したのとちょうど時を同じくいたしまして、アメリカの大統領の諮問
機関
である上院のパストール
委員
会が毛製品の輸入制限を行なうべきである、こういう結論を出したのでありますが、そうして今年の三月になって、アメリカの毛織物業者とヨーロッパ、それからカナダの業者、これらによりまして、いわゆるパリー
会議
で国際協定を必要とするという決議が行なわれたのであります。これはアメリカとともにヨーロッパなどでも、
日本
の毛織物の進出をおそれているからであろうと思うのですが、このことから毛製品の国際協定は一段と実現性を帯びてきたものと警戒されていたのであります。このような経過をたどって去る八月の三日に、ライシャワー大使から、わが国に対しまして正式に国際毛織物製品協定についての国際
会議
への参加
申し入れ
がなされた。これに対して二十日、
日本
からは、こういう国際
会議
の
開催
には反対である、こういう回答がなされたことは事実であります。輸出入を制限しようというのは、国際
会議
や貿易自由の精神に反するものでありまして、
政府
の反対はまことにこれは当然のことであると思うのです。そこで、まず伺っておきたいことは、
政府
の反対回答をなされました以後今日まで、アメリカ側の反応はどういう動きを示しておるか、この点について御存じの点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
櫻内義雄
26
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) この毛製品国際取りきめ締結に対するアメリカの動きについては、私どもも重大な関心を払っておるのでございますが、八月二十二日に、正式に反対である旨の回答をいたしましたが、その後のアメリカにおける反応は、これといって具体的なものはございません。ただ、大統領選挙に関連をいたしまして、演説などにこの取りきめの必要であるということの言われておることは聞いております。
近藤信一
27
○近藤信一君 いま
大臣
が言われましたように、ちょうど
大臣
が、それはもう大統領選挙の選挙
対策
だと、こうはっきりと言われたということが「エコノミスト」にも出ておるわけであります。輸入規制の国際協定につきまして、わが国は、この前の綿製品の国際協定というものがございまして、これに基づく日米綿製品交渉が、これは実に長い
期間
、また苦い経験を
日本
はなめたわけなんですが、これについてはもうかって私は本
委員
会でもいろいろと御質問したこともあるのですが、綿製品の貿易の長期の取りきめの際に、これが発効直後、第三条に基づいて市場撹乱を理由に輸出調整を求められてきたわけなんで、その後第四条に基づく二国間交渉に切りかえを求められまして、これはもうえんえんと八カ月にわたる難交渉の結果でございまするけれども、わが国の得たものは不満足なものだったと私は思う。で、今度求められているところの協定も、綿の場合と内容は同様であるかどうか。もしそうであるとするならば、綿製品の貴重な経験にかんがみまして、
政府
は断固とした信念で臨んでいただかなければならないと思うのです。それについて
大臣
の所信を伺っておきたいと思います。
櫻内義雄
28
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) よく記憶しておりせんが、
申し入れ
のあったときのライシャワー大使の
説明
によりますと、
関係
国でこういう取りきめをやっておくことが
日本
にもいいのではないか。そのときに言われましたのが、綿製品のように二国間だけでやることがその後に問題を起こしておるのじゃないかというような趣旨の話がございました。しかし、これは私の記憶だけでございますから御参考にお聞きを願いたい点でありますが、それ以外には、内容的にどうこうということは私は存じておりません。私は、こういうような取りきめが次々と行なわれるということではたいへんである、そういうことで、もう
申し入れ
があったときに直ちに、言下に、私としては御趣旨に沿いかねるという意思表示をしたようなわけでございまして、なお、事務当局のほうでもし内容等がありますればお答えさせます。
近藤信一
29
○近藤信一君 綿製品の国際協定は、これを見ますると、前文で、後進国の綿製品輸出増大を目的の
一つ
に掲げて、第一条に、国際規制を綿製品の特別な問題に対処することを目的としたものでありますが、他の分野にはこれを適用されるべきじゃないと
考え
ることを確認すると、こういうふうにあるわけなんですが、一体、この綿製品国際協定の第一条の他の分野には適用すべきじゃないことを確認するという規定と、それから今回のこの毛製品の国際協定への動きとは、どう一体結びついていくのか。私にはその点が非常に理解しがたいのでありますが、
政府
の御
見解
をひとつ伺っておきたい。 それから、こんなことでは、今後さらに合成繊維の問題が出てきましょうし、さらに雑貨品というような問題も出てくるでございましょうし、そうすると、次々といろいろな面に波及していきそうな気がするので、と申しますのも、やはりあのときに、綿製品の規制の問題が出たときに、私どもは執拗に、もしうやむやにしたならば、あとすぐ毛製品の問題に波及するのじゃないか、こういうことを強く、しつこく当時
政府
に私はお尋ねしたのです。それがもう一年もたたないうちにすぐ、こう毛製品のほうに規制の問題がきている、こういうことでございまするから、こういう点について、将来の見通しといいますか、そういう点、ひとつ御
見解
を聞かせていただきたいと思います。
櫻内義雄
30
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君) 綿製品協定の苦い経験にかんがみまして、再びさような愚を繰り返したくない、これが私どもの基本的な態度でございまして、したがって、今回の申し出に対しても、すでに明白な態度をとっておるのでございます。綿製品協定の当時の事情につきましては、いまここで私つまびらかにいたしませんので、ここに新井局長がおりますので、必要があればお答えさせます。
新井真一
31
○
説明員
(新井真一君) 綿製品協定の第一条にございます、先生のいまの
お話
でございますが、御趣旨のとおりでございまして、こういうこの種の取りきめについては、ガットの精神でもございますし、これは綿製品に限るのである、こうなっておりますので、これに関して、毛製品についてはどうかということになりますと、この趣旨からいたしますと、これは矛盾をいたしているというふうに
考え
ます。
近藤信一
32
○近藤信一君 私がなぜこのことをしっこく言うかというと、これはもう、かっていろいろあったのです。たとえば洋食器の問題もあり、その他いろいろあったのです。これを一歩譲ると、だんだんとアメリカが次々に
業界
で問題にして、そしてそれがすぐに規制というようなことになって出てくるわけであります。私は今度の毛製品の問題でも、ここで強硬に突っ張らなければ、あとあととどんどんとくるということは、もう目に見えているのじゃないかと思うのですね。そういう点から、私はいろいろこの点をやかましく言うわけなんですが、こういう点に、綿製品のときにいろいろと長い
期間
かかってあのような結果になったわけなのです。
日本
の
業界
としても、これは全面的にあのときには反対をしておる。こういういきさつございますし、今度の場合でも、やはり毛織物
関係
の
業界
は、非常にこれは関心を持っておることも事実であると思います。いま局長が言われましたように、やはり
日本
の
業界
はどんな動きをしておるか、この点どうですか。
新井真一
33
○
説明員
(新井真一君) 毛織物
業界
のほうはやはり絶対反対という態度でまいっております。
近藤信一
34
○近藤信一君 特にわが国の繊維工業は、毛織りなんか特にですが、
中小企業
が多いわけなんです。
中小企業
が多いので、綿紡なんということになりますと、十大紡というのがあって、それが
一つ
の強い抵抗線といいますか、それでかまえていきますけれども、毛織物ということになると、そういう綿紡と違いまして、おおむね
中小企業
が
中心
になっておる。こういう
関係
からいくと、ここ二、三年前から、特に私どものほうでは、
中小企業
の
倒産
ということが非常に激しくなってきておる。これは毛織りの
関係
は、そういう現状から、今後の毛製品の輸入制限がもし行なわれるというような事態に立ち至ったときには、私は、さらに大きな問題として
中小企業関係
に波及してくる
日本
の実情からかんがみまして、アメリカに訴えてアメリカの世論を喚起する、こういうことも非常に必要であろうかとも思うわけであります。これは陶磁器のときにも
国会
で問題にする、そういうことですぐアメリカ側にもこの問題が報道され、そうして、いろいろと
対策
の上においては非常に有利にいったという事情もあるわけです。それで、今度の問題でも、特にアメリカ側が主張しておるのは、輸入によってアメリカ側の工場閉鎖だとか
倒産
が相次いでおる、こういうようなことを理由にしておるわけなんですが、これは規制するほうの
立場
から主張されておるわけですけれども、規制された場合には、逆に今度は
日本
の
業界
が
倒産
ということになってあらわれてくる。こういうことを十分アメリカ側に私は訴えて、そうして世論の支持を抑ぐべきではなかろうか、こういうふうにも私は
考え
るのですが、この点はどうですか。
櫻内義雄
35
○
国務大臣
(
櫻内義雄
君)
日本
における毛製品業者の実態から
考え
まして、かりに国際協定が結ばれて、それによって大きな影響を受けるというようなことがございますれば、これはゆゆしいことでございまして、
お話し
のように、従来、綿製品の問題でも、金属製品の問題でも、あるいは最近における鉄鋼ダンピングの問題にいたしましても、これはアメリカにおける
関係者
に十分理解せしめる必要はあると思いますし、また、そういうことによって効果もあがってきておることは、御
指摘
のとおりだと思います。必要があれば毛製品問題で
日本
の
業界
代表
の方でも先方に行かれまして十分
説明
をすることも価値あることだと思います。しかし、私は、現在の段階では、IMF総会当時に参りました英国の
代表
にいたしましても、あるいはイタリーの
代表
にいたしましても、その間私の接触した範囲では、アメリカの国際協定を結ぶための
会議
に応ずる気配はないと思います。また、御
承知
だろうと思いますが、中川駐米公使が本年四月一日に対米
申し入れ
を行なっておりますし、また、本年六月三十日に福田・ホッジス会談も行なわれておりますし、さらに、先ほど来申し上げるように、私
自身
がライシャワー大使に明白に申し上げておるのでございまして、いまの段階では、先方のもう少し動きを見るほうがよかろうかと、特に、先ほどお答えしたように、
日本
側の回答にこれといって動きがないという実情にもございますので、いまのところ、事態を静観しておってよかろうというのが、私の率直な見方でございます。
近藤信一
36
○近藤信一君 自由化によりまして、特に英国あたりからも毛織物が相当入ってくるので、いま東京でなくて、地方のほうでも洋服屋さんが輸入生地の品評会を盛んにやって、私どものところにも案内状よくまいりますが、盛んに英国の生地を売りつけようという、まあ宣伝がなされておる。で、どんどんとこう外国製の毛織物が入ってくると、どうしてもこれはあおられる。
日本
の業者もこれはあおられる。そうすると、やはりそれが生産の面にもまた影響してくる、こういうことに私は相通ずるというふうにも感ずるわけです。まあ
政府
はしばしばこの問題についてはアメリカ側と交渉し、また、会談をして、そうして強い態度をもって臨んでおられるようでございまするけれども、やはり私は、このいまの
政府
が
考え
ておられる態度というものをひとつ強力に推し進めていって、
日本
の
業界
にあまり影響のないようにひとつ努力をしていただきたい、かように
考え
るわけであります。 次に、私は、新法ですね、繊維新法の問題について若干お尋ねしておきたいと思うのですが、これは前四十六
国会
で私ども本
委員
会でもいろいろと審議いたしまして成立を見たわけなんです。で、これが十月一日から施行されておるわけでございますが、わが国の繊維産業は非常に長い間の操短態勢から一変して今度自由競争へと、第一歩を踏み出すわけなんですが、新法は、四年後の完全自由競争時代への準備
期間
を与える法律と、こういうふうにもまあ言われてきておるわけなんです。それだけに、まあいま
業界
におきましては、いわゆる不安ムードといいますか、それが一ぱいみなぎっておるというふうなことも言われておるわけなんです。特に繊維産業における伝家の宝刀といわれておりました操短調整で
業界
の安定をはかるというようなことはもう不可能になってくるわけで、市況の不安、それから輸出不振、こういうことで悩んでおることも、これは事実だと思うのであります。新法による目的というものは、設備の合理化によって国際競争力をひとつ充実していこう、こういうことにあったわけでございまするけれども、これはうまく円滑にそういう国際競争力に打ち勝っていくということができるかどうかということで、いま非常に
業界
では心配しておられるのですが、この点の見通しはどうですか。
新井真一
37
○
説明員
(新井真一君) 前
国会
でいろいろ御審議をいただいて繊維新法が成立をいたしまして、十月一日からいよいよ施行に相なった。いま御
指摘
がございましたように、いろいろ長い間続いてまいりました操短態勢から、過渡
期間
を通じて自由化への態勢に入って、合理化の態勢に入るということでいろいろ準備を進めてまいりまして、いよいよ仕組みもできましたので、十月一日からその段階に入ったわけであります。先生おっしゃいますように、かなり現在、相場がゆらいでおります。なお、その中には、おそらく
金融引き締め
の問題もあろうかと思いますけれども、新法という新しい態勢に入るまあ不安ムードとでも申しますか、そういうもの丈、あろうかと思っております。しかし、私ども、ああいうふうな態勢で、過渡
期間
を通じて、従来あった操短態勢のような、弊害の出てくるようなそういう態勢から合理化の態勢に入るのだという以上は、その確信を持ってやっているのでありまして、今後三年ないし四年の間、特に繊維工業設備審議会のアフタ
——
ケアもよくやりまして、間違いのないようにやっていきたい、また、その確信があるというふうに私どもは現在
考え
ております。
近藤信一
38
○近藤信一君 新法の施行で、過剰紡機として三百三十九万錘格納されておると言います。その内訳は、局長御存じのように、綿紡が二百二十六万錘、スフ紡が五十七万錘、梳毛五十六万錘、格納率は綿で二五%、スフで二一・四%、梳毛三六・七%に当たるわけなん ですが、紡績
業界
などで四団体がまとめた本年度の下期の綿製品需給見通し、これを見ますると、生産が百三十六万五千コリ、需要が百三十一万五千七百コリ、在庫が六百六十七万四千七百コリ、上期と比べまして在庫は四万九千三百コリ増加する、こう言っておるわけですが、これについてのお
考え
はどうですか。
新井真一
39
○
説明員
(新井真一君) 新法に入りますときに、先生からいま御
指摘
がございましたように、当然過剰になるであろうという過剰紡機が三百三十九万錘に算出をいたし凍結をいたしたのでありますが、その節、やはり三十九年度の下期の需給の状況はどうなるかということに
検討
を加えまして、三百三十九万錘を出したわけでありますが、しがたって、それで三十九年度の下期は一応いけると思っておりますが、ただ、もう
一つ
申し上げておきたいと思いますのは、従来のように設備即生産力という
考え方
から、そのほか労働の問題もありましょうし、あるいは採算の問題もございましょう。そういった従来のように設備を封緘いたしまして、需給と密着をさせて
業界
の安定をはかるという姿から、むしろ競争原理のほうに入っていくのだという新法の
考え方
というものがございますので、したがって、その設備だけに直結をして、設備だけを見てまいりますと、若干問題があろうかと思いますけれども、いま
お話し
したように、労働問題あるいは採算の問題、そういうことからこれでやっていけると
考え
ております。 なお、これはいまから申し上げてどうかと思いますけれども、非常な混乱が起こるというときには、これはもう当然私どもも
政府
の助成と申しますか、これは前向きの助成でございますが、旧法のような短い操短はやらない。しかし、いろいろな面でやはりお世話を申し上げるということは当然やっていかなければならないと思います。現在のところ、その心配はないというふうに
考え
ております。
近藤信一
40
○近藤信一君 新法では、格納紡機が二対一ということで、新鋭紡機の、廃棄設備をやるわけなんですが、もし紡績会社では、
資金
があれば新鋭設備を幾らでもふやすことができる。そうなると、過剰生産というものが予想されるわけなんですが、新法の有効
期間
は昭和四十三年でしたね、昭和四十三年の九月末。これを
考え
ますると、現在稼働している千二百六十四万錘が千四百三十五万錘前後、こういうふうになるだろうと、こういうふうに
業界
では見ておるわけですが、この点はどうですか。
新井真一
41
○
説明員
(新井真一君) いまお示しいただきました数字は、審議会におきましても、当然
業界
の方の御出席もあります審議会でございますので、そこできめた数字がいまの数字でございます。したがいまして、そのとおりに
考え
ております。もっとも、これも四十三年、先の話でございますので、こういうふうにいけば秩序立った整理ができる、こういうふうに
考え
ております。
近藤信一
42
○近藤信一君 そこで、市況悪化による生産の手控え、それから綿糸市況は九月中旬からちょっと暴落が続いておりますね。三十七年十一月以来の安値を呼んでおる現在では、一コリ当たり四十番手で一万円程度、それから三十番手で六千円から七千円程度、それから二十番手で二千円程度、こういうふうに採算割れだと、こういうふうに言われておることも、局長御存じのとおりだと思うのですが、これほど市況が悪化しているときに、多くの投資を必要とする廃棄それから新設をしてまで増産するかどうか、これはいま
一つ
は、人手不足も、先ほど局長が言われましたように、非常に深刻なものがあるんで、これで
業界
も大きな
一つ
の悩みを持っておる。先日も私と話しておりますときに、一人連れてくるのに、
最小限度
八万円。八万円では来年は来ないんじゃないか、十万円かかるんじゃないか。ところが、十万円かけて連れてきて、それが一年か一年半たって、まあ何とか使えると、こういうことになると、どこかにこいつがいつの間にかスカウトされて行ってしまう、こういうようなことが操り返されて、これは労務
倒産
ということになるんじゃないか、こういうふうなことも言っていたわけなんです。そこで、現在の生産量を維持するということが
業界
としては
精一
ぱいだ、こういうふうなことも言っておりまして、へたなまねをすると、生産能率というものはどんどんと低下してくるんじゃないか、こういうふうなこともまた言っておるのですが、それは労働事情が一枚加わっての話でございまするが、この見通しはどうですか。
新井真一
43
○
説明員
(新井真一君) 先ほど申し上げましたように、設備の錘数だけが供給力を決定する要因でなくなってまいりますことは、これも先生の御
指摘
のとおりでございまして、特に労働者の確保という点が非常に困難を来たしております。したがいまして、なるほど紡績の
企業
にとりましては、何とか生産設備は多く持ちたいという気持ちはあろうかと思いますけれども、それのほんとうの採算のとれた、しかも、労務の確保された合理的な経営としてはどれだけ要るであろうかというふうなことが、ほんとうの供給力としての判断になろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、新法に入って二対一ですぐに新設ができるというたてまえにはなっておりますけれども、そういうような面を考慮して、どういう形で新設が行なわれてまいりまするか、この辺はいま新法に入ったところでございますので、まだ詳細な
調査
はできておりませんけれども、この点はよく繊維工業設備審議会として、特にひんぱんに開きまして、その面のアフターケアをやってまいりたい、こう
考え
ております。
近藤信一
44
○近藤信一君 万年不況と、こういわれておりまする紡績
業界
は、経営が非常に苦しい、内部留保も少ない。設備合理化のための
資金
の面になりますと、これは非常に
金融引き締め
ということで銀行は渋って金を貸さない。増資計画をやろうとしても、これは証券市場の低迷ということでこれもむつかしい。一方、いま申しましたとおり、労力も不足している。何とかオートメーションの機械を入れてと、こういうことを
考え
ているようでございますけれども、これも一錘一万円くらいだと、ワンセットで三万錘でございますから、ワンセットやると三億円くらいかかるのだと、こういう話で、十大紡なら若干の犠牲を払ってやるところもあるでございましょうが、十大紡でそういう点、いまちょっと悲鳴をあげているというようなことも聞いておりますが、
資金
力の特に弱い新紡、新々紡、ここに至っては頭かかえてうなっておる、こういうふうな
状態
で、紡績会社は現在で、これは数字が違っておるかもしれませんが、大小合わせて百三十社くらいあるのですね、この百三十社くらいが四十年から四十一年までには、その三〇%くらいは
倒産
するのじゃないか、それは小さな紡績ですね、中小の紡績は
倒産
するのじゃないかということも言われておりますし、また、政治力のあるところは合併するといろところもある。こうしていった際に、将来、新法の期限が切れて、完全な自由競争というふうな時期になりますと、およそ、中小の紡績は整理されて、いまの十大紡に加えて力のある新紡が
中心
となって他を合併し、十五社から二十社くらいになるのじゃないか、こういうふうなことも、これは極端な話かもしれませんが、繊維業者では言っておる人もあるわけなんですが、こういうきびしい繊維
関係
に対する現在の状況なんですが、せっかく四十六
国会
において繊維新法が成立を見ておるのですけれども、将来の展望は一体どんなようであるか、ひとつ局長から将来の展望をお聞かせいただいて私の質問を終わります。 〔
理事
上原正吉君退席、
委員長
着席〕
新井真一
45
○
説明員
(新井真一君) 先般の
国会
でこういった新法に入っていくための仕組みができたわけでございますが、そのようなことをやるというその裏には、やはり繊維産業に対するそういった環境の変化に順応し得る
企業
の力と申しますか、そういうものを十分私どもは期待をしておるがゆえに、こういう態勢に入ることができた、こう
考え
ておるわけでございますので、したがいまして、少なくとも従来のように、短期的に操短操短というような態勢はやりませんけれども、もう新法の態勢に入っていける。いま先生のおっしゃいますような、そういう非常な混乱が起こらずにやっていけるということで現在出発をいたしておるような次第でございます。そのような事態になりましたときにどうするかという問題は、むしろ先の問題でございますので、私どもはそういうことはないようにやっていかなければならぬと思っておるわけでございます。そのために、三年ないし四年間の過渡
期間
を置き、しかも、そのために最初に、御
承知
のように、
中小企業
の基礎控除というのを置きましてそういう態勢ができるということでやっておりますので、これは
企業
のほうもその態勢に応じてやはり御努力をいただかなければならないかと思いますが、私ども前向きの意味での助成は十分やってまいりたい、こう
考え
ております。
藤田進
46
○
藤田
進君 私は、かねて通告しておりましたが、若干懸案事項で
通産大臣
等と折衝したい事情ができましたので、次回に
経済企画庁
長官とともに譲りたいと思います。したがって、本日は質問を取りやめたいと思います。
梶原茂嘉
47
○
委員長
(
梶原茂嘉
君) わかりました。 他に御
発言
もなければ、本件はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。 午後三時十五分散会