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1964-10-09 第46回国会 参議院 商工委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午後一時四十八分開会   —————————————    委員の異動  十月二日   辞任      補欠選任    藤田  進君  大倉 精一君  十月六日   辞任      補欠選任    大倉 精一君  藤田  進君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            植垣弥一郎君            大谷藤之助君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            豊田 雅孝君            大矢  正君            椿  繁夫君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  櫻内 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省繊維    局長      新井 真一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画に関する調査  (通商産業省施策に関する件)   —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告いたします。  本日は、通商産業省及び経済企画庁施策に関する件の質疑を行ないます。次回は、十一月臨時国会が召集されるようでしたら、その召集日の前日に開会することとなりましたから、御了承願います。
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、通商産業省施策に関する件及び経済企画庁施策に関する件の調査を進めます。  前回に引き続き、質疑を行ないます。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 まず第一に、年末資金対策について大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  御承知のとおり、最近幸いにして貿易収支は好転をしてきたのでありますが、その一面において、倒産者続出というような状態になってきております。過般も大阪へまいりましたが、大阪などでも最近にない金詰まりでありまするし、また、北九州方面、もうすでに北九州八幡中心にして大体倒産者二十五社と言われておりますが、また、常にかような金融引き締めのときにおきましても、比較的安定を続けたと言われてきておるのが川口市の下請関係等でありますが、これまた非常な金詰まりでありまして、倒産続出の傾向にあるわけであるのでございます。かような状態を見ますると、金融引き締めの末期の段階に入ってきておるということだと思うのであります。  一面、いま申しまするとおり、貿易収支がよくなり、一面において倒産者続出というこれは毎回現われる状態でありますが、大企業はそういう状態でありましても、何とか金融機関の支援のもとに切り抜けていくのでありますけれども、中小企業関係、ここへ全部のしわが寄せられてくる。金融関係しわのみならず、大企業支払い遅延、その他の関係におきまして非常なしわが寄ることは御承知のとおりであります。このままでは年末にかけまして、本来ならば倒れなくても済むいわゆる黒字のものの倒産が非常に懸念せられるのでありまして、ここで徹底した手を打つこと、それ自身がむしろ金融引き締め最後をうまく推移させていくことになるのではないかということを痛感いたしておるのであります。そういう面で、年末資金対策、これを徹底的にこの際おやり願いたいと思うのでありますが、先般通産大臣は八百億という線をお出しになったやに承っております。また池田総理は千億の線を指示せられたかのように仄聞するのでありますが、這般の事情はいかようになっておるか、ひとつ端的率直なる御見解を承りたいと思うのであります。
  5. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまお尋ねのように、金融引き締めが次第に浸透しておりまして、そのために戦後最高といわれる倒産件数を八月、九月に見ましたことは、その責任の衝にある私として、まことに遺憾に存じておるわけでございます。そこで、ただいま年末金融をどうするのかということでございますが、実は総理が一千億、私が八百億と、何かそこに食い違いがあるような印象を与えておりますが、総理も一千億以上は確保しなければならないと、こういうふうにおっしゃったようでございます。少し御説明申し上げますと、昨年の年末に中小企業金融公庫貸し出し規模が百二十億円、その中で財投が八十億円とこうなっております。それから国民金融公庫の貸し出し規模が百二十億円、財投が九十億円となっております。商工中金が百六十億円、財投が百三十億円、こういうことになっておりまして、貸し出し規模の合計が四百億円でございます。そこで私はたまたま常例の閣議後の記者会見でこの問題に触れましたときに、少なくとも昨年度の貸し出し規模の倍額は絶対にこれを確保しなければならない、何としても八百億円以上は確保したい、こういう話をしたことがございます。そのことが八百億円というふうに出ておるのでございますが、いうまでもなく、年末に特別買いオペをいたすのでございます。このほうの額は昨年度が二百五十億円でございますから、年末の手当千億以上は——とこう言われましたのと、私のこの三機関貸し出し規模の一応最小限度八百億円と申し上げたのと、大体総理の言われたことと私の申しましたことは一致をしておると思うのであります。ところで、もちろんこれは買いオペを昨年度並みの二百五十億円と想定をした場合でございまして、私はなかなかこの程度ではいけないものである、この辺に弾力的な私の考え方があるわけでございまして、まあ一つの方策といたしましては大きく打ち出して、そして最後に折り合うという場合もございましょうし、また私が申したような三機関貸し出し規模を一応打ち出しながら、様子を見つつ、そして買いオペのこともそこに加えていく、こういうことも一つの方法ではないかと思うのであります。しかも現在の情勢のもとに申しておるのでございまして、これが十一月、十二月とこう進んでまいりますのに、はたして現状のような情勢でいくのか、もっと深刻になるのか、こういうことを予想してまいりますと、遺憾ながらどうも楽観のできない情勢にございますので、さらに積極的な年末金融対策が必要かと存じておるようなわけでございます。一応御説明といたします。
  6. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 ただいまの大臣の御答弁によりますと、買いオペを除外して八百億以上、そして買いオペを加算すれば千億以上、それは二百五十億と昨年を見ておるが、とうていそれでは足らぬであろうという御答弁であります。関係業界あるいはその団体等からの要望は、千二百億を要望しておることは大臣承知のとおりだと思うのであります。いまお話のありました買いオペを除いてネット八百億、これにはいままでに相当金詰まりが重なってきたものでありますから、関係金融機関は繰り上げ融資をしておるのでありますが、この繰り上げ融資穴埋めをするものを含んでおるのか、あるいはそれを除外して、ネット八百億というふうにお考えになっておるのでありましょうか。その点を伺っておきたいと思います。
  7. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 繰り上げの分は一応含めての考え方に立っております。
  8. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それでは今後、関係業界から出ております要望等を真剣にひとつお考えをいただきまして、さらに御努力をいただきたいと存じます。と同時に、これは通産大臣よく御承知だと思いますが、政府資金がいま入ってきたとしましても、これを関係政府金融機関に配分いたしまして、そうしてまた関係金融機関がこれを全国の支店欄なり代理店に割り振っていき、これが末端でいよいよ業界融資の形として可能なる状態になるというのにはかれこれ一カ月かかるのであります。これがいますぐということでなく、日にちがたてばたつほど、場合によりますと年末金融、金の用意はできたといいましても、まさに絵に描いたもちということで終わりをつげるということにはるおそれが非常に多いのであります。この点タイミング考えないと、親心親心にならないという感を深くいたしますので、その点についての御見解を承っておきたいと思っております。
  9. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) もう御指摘のことは当然のことでございまして、タイミングを間違わないように善処してまいりたいと思います。なお先般来この九月の倒産の実情からいたしまして、経済閣僚懇談会、あるいは大蔵大臣との二人での話では、いま現在でもこのままではさらに中小企業に対するしわ寄せがきつくなるのではないかと思う、何か考えてもらわなければならぬということを非常に主張しておるわけでございます。御承知のように全般的には引き締め政策をとっておりましても、中小企業のような場合はある程度は考えると、こういう政府立場でございまして、四月、六月当時に二百億円という買いオペレーションをいたしたことがございますが、七月の規模を百億円拡大するというようなこともいたしました。当面何かしてもらいたい、特に十、十二に対する日銀の窓口規制などが予定は三〇%ぐらいしたい、こういうようなことでございましたが、これは幸い経済閣僚懇談会でいろいろ申し上げておりましたのが影響したと思うのであります。この七、九なみの二二%にとどめてもらったようなわけでございますが、なお現在事務当局レベルで当面の問題についても折衝しておるということを申し上げておきたいと思います。
  10. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そこで、タイミングの点を考えますると、年末資金もさることながら、大臣答弁の中にもすでにありましたごとく、もう目前が火の車であります。これを一日も早くおやり願っていただきたいということと、従来の繰り上げ融資穴埋めも含んで八百億というのでは足らぬと思われますので、ネットで真剣にお考えを願いたいと、その点を特に強く要望いたしますと同時に、もう一点伺っておきたいと存じますのは、これから年末にかけましては特に短期資金が非常に詰まってくるのであります。そういう点において短期資金を取り扱う政府系金融機関重点を置いて、しかも急速に手をお打ち願わないと、とんでもないことに全体としてなってくるのではないかという感をいたしますので、この点について御見解を承りたいと思います。
  11. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御指摘のとおりでございまして、先ほど当面の対策考えたいという中には短期資金手当も含んでおることを申し上げます。
  12. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それではその点に特に重点を置いて考えていただきますと同時に、どうも政府から出す金は短期資金をこういうときには織り込むわけでありますが、短期資金業界からの要望融資いたしましても、結局それは長期資金化してくるのが中小企業金融の特色であります。したがって短期資金に追われておるから、この際急速に金を出していくというようなその資金源それ自体は、短期資金源でなくて長期資金源になり得るものを出していくということでありませんと、かえって事が誤ってくると思いますので、この点短期資金重点を置いて配分はするけれども、その資金源長期資金が出ていくのだという点を再確認しておきたいと思うのであります。
  13. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 再確認ということでございまして、そのように考えておりますが、財投も非常に窮屈でございまして、なんでございましたら、いまここに中小企業庁の長官もおりますから、詳しいことを申し上げさしたいと思います。
  14. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私は大臣を御信頼いたして質問をし、また答弁を承っておりますので、大臣政治的責任において邁進していただく、それのほうをむしろ希望するものでありますから、大臣責任をもっておやりくださるということならば、それでけっこうでございますが、さように了承してよろしゅうございましょうか。
  15. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 非常に大切なことでございまして、そのように努力いたしたいと思います。
  16. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それではもう一点だけ他の問題をお尋ねいたしますが、それはただいま大阪中心で一九七〇年に万国博覧会日本においてやりたいという声が起きておりまして、また通産省といたしましても、前通産大臣のときに閣議発言せられた、また櫻内通産大臣になられても八月の二十一日でございましたか、御発言になった、事は前向きで進めていくということに相なっておるようでございますが、実は私は紀元二千六百年記念事業万国博覧会日本でやるというときのその計画課長みたようなものを当時の商工省でやらされておりましたが、当時はオリンピック万国博覧会ともどもシナ事変などでだめになりましたけれども、今回オリンピックが首尾よく開催されるということに相なりましたただけに、これが済んだあと、日本としては次の目標として紀元二千六百年記念事業であった二大指定事業のうちの一つである万国博覧会日本においてやるべきではないか、しかも輸出振興基本的対策というものがどうも日本においては不十分でありまして、日本産業文化最高水準日本自体においてきわめて大規模に、しかも総合的な立場からこれを展示するということで、初めて日本製品の決して安かろう悪かろうということではなく、あるいはもう常に労賃問題のことを持ち出されて日本は不利なところに追い込まれますけれども、その一つ国際的施策を打開できるのはもう万国博覧会の本格的な開催以外にないという考えをいたしておりますだけに、この問題の推進に当たっておりました関係からいたしまして、過般欧米視察をいたしました際に、国際博覧会条約事務局のゼネラルのシャロン氏と懇談を重ねたのでありますが、そのとき国際博覧会条約事務局としては日本に非常に好意的でございます。しかし、そのときに明らかになったんでありますが、豪州メルボルンが一九七〇年に正式の万国博覧会、しかもこれは大臣よく御承知だと思うのでありますけれども、いわゆる一般博覧会独立館各国建設すべき義務を持っております。その博覧会メルボルンがやるという要望を非公式ではあるが出してきている、もしもこれが先になりますと、アングロサクソン系の国は従来の関係メルボルンを支持し出すであろう、そうなるとメルボルンに行くようなことになりますと、日本は非常に不利になりはしないか、そういう点で日本メルボルンは両方とも国際博覧会条約には批准をいたしておらないのでありますが、すみやかに日本のほうが一歩先んじて条約批准し、しかして万国博覧会開催を正式に申し入れることを早くすることが必要であるという、好意的なアドバイスがあったわけでございますが、七の点から考えますと、当時シャロン氏が明らかに言っておりましたが、年内かあるいは来春早々条約批准をして、しかして日本の態度をはっきりしてフランス政府を通じて申し入れをすることが必要であろうということを申しておったのでありますが、この点を考えますると、どうもいまのままでいっておったのでは、はたして一九七O年にやれるかどうか非常に問題じゃないかと思うので、これは具体的に申しますと、今回の臨時国会国際博覧会条約批准をする、そうして批准をした場合、負担金はどの程度かかるかということも私質問したのでありますが、一万四千フラン、約百万円であります。この百万円、聞くところによりますると、予算にはいま要求をしておるそうでありますけれども、来年度の予算関係でありますので、御承知のとおり来年の三月過ぎでないと事がきまらぬというようなことでは、とうてい一九七〇年の間に合わなくなる、メルボルンなどにとられるのではないか、かような懸念をいたしまするので、その点について条約批准並びに負担金の支出、そういう基本的な問題につきまして大臣の御所見を伺っておきたいと思うのであります。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまは貴重な会談の模様をお話しいただきまして、私として心から感謝をいたします。実は前大臣の福田さんの当時に、六月七日に国際博覧会の問題が閣議で話題になりまして、そのおりに前向きで検討するということになっておりました。私就任後に関西へ参りましたとき、近畿府県代表皆さまより非常に強い御希望がございましたので、これを受けて戻りました直後の閣議にこの問題を再び出しました。これが御指摘の八月二十一日であったと思うのであります。この際もまた前向きで検討をしようということで、遺憾ながら抽象的な範囲からまだ出なかったのであります。しかしながらだんだん調べてみますと、一九七〇年の開催を目途にいたしますと、明年一月以降にパリの事務局登録を申請しなきゃならない、こういう期限が限られてきております。さらには事務局に出します以上は、開催場所運営組織開催期間展示条件などを別添資料として出さなければならない、こういうことも明らかになってまいりますと、いたずらに近畿の七府県の中でも大阪がいいとか、滋賀がいいとか、兵庫がいいとかいっておっても困るのでございますし、また千葉県でも希望するというようなこともございますので、私としてはオリンピック後の国民的なひとつ目標としてこれはぜひやりたい、何とか各方面希望されておる話がまとまるようにしむけたい、こういうような気持でその後関係者の方々と接触をしてまいったようなわけであります。本日も大阪府、それから大阪商工会議所代表の方が見えまして、手元にその要請書もございますが、大阪としては千里でやってもらいたい、こういうことでございました。私はそれはけっこうだが、あなたのほうの資料にも近畿でと書いてあるじゃないか、どうぞ大阪以外に希望の諸地域もあるようだからもう一つ詰めていただきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。私の心組みとしては、ただいまのお話しのとおりに、ただ日を送っておるわけにはいかないのでありまして、このオリンピック終了後早期に開催地もきめたい、また次の国会には国際博覧会条約批准の手続をいたしたい、こういうふうに心組みは持っておるのでございますが、この上は委員皆さま方のお力添えもいただきまして、何とか開催場所が一日も早く一カ所にはっきりきまるようにしていただきたい、また私もそういうふうに慫慂いたしまして、せっかくやるのでありますれば、一九七〇年を目標にこの機会にはっきりしたほうがよかろうか、こう思っておるようなわけであります。
  18. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 メルボルンが一九七〇年に開催希望を持っておるということはただいま申し上げたのでありますが、これはメルボルンの前市長が国際博覧会条約事務局へ出てきてその意向を明らかにしたそうであります。まだ幸いに非公式の申し入れでありますので、これより一歩先んじて日本条約批准をし正式開催申し入れをするならば、日本に何とかしてやらすことが一番いいじゃないかという国際博覧会条約事務局意向でありました。それは欧米ではもう相当万国博覧会をやってきておる、AA地域——アジアアフリカ地域ではどこもやっておらぬ、それを日本でやるということは国際博覧会条約の建前からいっても、非常に日本にやらせることがいいじゃないか、そうしてまた、日本ブームの際であるし、世界各国の多数人がこれに関心を持つだろう、それだけに日本にやらしたいという意向はありありと見られるのであります。それだけに早く条約批准をやるということが少なくとも必要なんじゃないか。そうして、どこで開催するか問題になっておりますけれども、もう一九七〇年にやるという考え方でありまするならば、熱心な大阪近畿に急速にきめて、そうしてやる以外に手がないのではなかろうか。と申しますのは、豪州日本とは国際博覧会条約によりますると、いろいろ地域ヨーロッパ地域アメリカ地域というふうに分けておりますけれども、その他の地域という中でメルボルン日本などは同じ地域に見られておるのであります。かりにメルボルンにきまったら、もう六年後でないとやれぬということが国際博覧会条約から出てまいりますので、ところが一九七〇年でなく一九七六年にということになると、ほとんどもうやらぬというのと同じじゃないかという声が出ておるくらいであります。したがって、どうしても一九七〇年にやるということだと早急に開催地をきめる、少なくともいま申しまするとおり、国際博覧会条約だけでも早く批准をし、負担金を出し、しこうして国際博覧会条約事務局に誠意を示していくということが、メルボルンとの国際的関係におきまして非常に必要なんじゃないかということを痛感するのであります。その点について大臣の率直なる御見解を承りたいと思います。
  19. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいまのお話を聞いておりまして、これはさっそく私も考えてみなければならぬということが一つ起こりました。それは、いままでは開催地がきまったらばその後に国際博覧会条約批准をしようと、こういうようにおおむね方針を立てておったんでありますが、お話を聞いておりますと、条約の承認を済まして、そして百万円ほどの登録申請費と申しましょうか、それをも払って豪州よりも有利な立場に立たなきゃならぬというただいまのお話は、これは十分検討をすべきだと思いますので、さっれくに事務当局でよく研究させまして、できればそのほうがベターであるということであれば、臨時国会にまず条約批准はしてしまう、こういうような方針にいたしたいと思います。これは、率直に申し上げて、いまここでお話を聞いての感じでございます。  それから、開催地等につきましては、近畿府県に大体熱意があるようでございまして、また、ある程度の計数も出ております。前向きに検討するという閣議の席上でも、これは相当な費用が要るんじゃないか、その費用をただ漫然と国が負担するんだと、そういうずさんなことじゃいかぬぞ、やはり地方はどれぐらい負担する、国はどの程度負担するのか、大体の見当はどうか、そういうものがなければ閣議ではなかなかきめられぬじゃないかというように、前向きとは言いながら、そういう具体的な御意見も閣議で出ておるのでございまして、だんだんに手元にも、千里ではどれくらい、琵琶湖ではどれぐらいというような概算も出つつあるおりからでございまして、私としては、ただいま御質疑の御趣旨に沿いまして、ぜひ一九七〇年を目標にやるということで関係者を督励してまいりたいと、こう思っております。
  20. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 最後に、資金関係が出ましたので、その点について申し上げると同時に、また御見解を承っておきたいと存じますが、国際博覧会条約事務局の言うところによりますると、ニューヨーク博にしましても、それから次にやろうとしておりまするモントリオールの博覧会資金計画にいたしましても、大体四、五億ドルの線であります。そういう点から、日本ではもっと安くいけるんではないだろうか、こういうことも申しておるのであります。特に博覧会になりますると、オリンピックと違いまして、開催期間が、オリンピックはわずかに十四日でありますが、国際博覧会のほうは半年以上やらんならぬということが条約でちゃんときまっております。したがって、その国に落ちる金の量というものは非常に違ってくるわけなんでありまして、そういう点から相当投資したものの回収というのは、オリンピックの場合とは非常に違ってくる。また、オリンピックで寄ってくる人たちは、そう言っちゃなんですが、どちらかというとふところはさびしい人なんです、体力は強いけれども。ところが、万国博覧会に寄ってくる連中ふところぐあいのいい連中が寄ってくるんでありまして、しかも、期間が十四日と半年では非常な違いだということで、国としてりっぱにペイできるというのは、これは各国いかに開催の競争をしておるかということ自身で明らかなぐらいでございます。その点も勘案せられまして、至急に、さっき大臣お話しの、少なくとも条約批准を早くやり、そうして負担金支出の道を、予備金支出でも道を講じられるという線でいかれまして、同時に開催地をおきめ願うということでお進め願いたいと思うのですが、最後にそこらの所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) オリンピックの実績から考えまして、国が大体この程度負担したらよかろうとか、地元はこの程度というような素案がございます。ある地区を想像いたしまして計算してみますと、大体直接工事関係が一千億円ぐらいでございまして、これを国が三百五十億円、地元が六百五十億からまあ七百億くらいというようなそろばんも出ております。それから運営費のほうは、大体前例にのっとりまして、いままでの博覧会の状況から申しまして、これは入場料と大体見合うようであります。ただ問題は、この関連公共事業費というものが相当あると思います。これは年度計画に載っておるものでございますが、これを繰り上げてやる、また計画どおりに認めてもらってやる、こういうような場合に、そのほうで相当な額を必要といたします。こんなふうでございますが、しかし、オリンピックのこの世紀の祭典を無事に済まそうという日本の国力でございますから、私は皆さん方の御決意、われわれの決意によりまして、国際博覧会程度のことは十分消化し得るものと、これは国、地方を通じて財政的に見ても考えられることでございますので、御趣旨の線に沿いまして、私としてはすみやかに結論を得るように慫慂をしてまいりたいと、こう思っております。
  22. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 関連して。いまの問題にちょっと関連して、私もいまお話を伺っていて、来年の一月末までに、万国博を誘致するためにはパリーの事務局へやはり登録する必要がある。そうしますと、万国博条約批准しておくことがやっぱり一番先決の問題ではないか。で、大臣も、これは通常国会では一月末まではほとんど委員会の審議なども行なわれませんから、どうしても時期を早めていただいて、この臨時国会に間に合うような措置をどうしてもこれはとってもらわなければ、一九七〇年の機会を逸することになるのではないかという心配がございます。ですから、この点について、あわせて臨時国会に間に合わせるように国内の準備を進めるということの言明を得られるかどうか。  それからもう一つは、大臣手元へ、きょうも大阪の府、市、商工会議所代表の方が誘致のためにお願いに上がっておるようですが、その際指摘されたことは、君たちの陳情書でも近畿と書いておるじゃないかという御指摘があったようで、ごもっともなことだと思います。ところが、あらかじめ大阪の府、市、それぞれ候補地を持っておりまして、最近ようやく千里に府、市一致をして、商工会議所もこれに加わって、ひとつ誘致運動をやろうじゃないかということで、長い間意見の対立しておりましたものをまあ一致してきょうお願いに上がったんだろうと思います。そこで、これは近畿関係府県関係都市の間で意見が一致すれば、通産省としては大体は、今回はオリンピックは東京であったことだから次の万国博はひとつあっちのほうで意見のまとまった所へ持っていこうということで、腹はきまっておるわけですか、そこのところをひとつ聞かしてもらいたい。
  23. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 国際博覧会条約批准の問題につきましては、先ほど率直に申し上げたとおりでございまして、従来は、開催地がきまり、また大体の予算の計画が立ちましてから条約批准をと思っておったのでありますが、きょうこちらへ参りましていろいろお話を承っておりますと、どうもまずいような気がいたしましてので、これはきょう戻り次第さっそく調査をいたしまして、おそらく御指摘のとおりではないかと思いますので、そうでありますれば、臨時国会批准手続をとりたい、こういうように思う次第であります。  それからオリンピックが東京で国際博覧会近畿でという腹じゃないかというお尋ねでございました。実は、六月の閣議のおりには、東京の羽田などが候補にあがっておりました。それから八月の閣議後におきましては、千葉県の浦安が候補にあがっております。しかしながら、これらの候補地につきましては、現在のところ、具体的にこういう計画でやりたいという、そういうものは通産省のほうにまいっておりません。しかしながら、近畿関係におきましては、三地点御希望があるようでございますが、いずれも一応の数字ができてまいっております。そういうようなことがら、早急に日本が申請手続をとるという場合には、この近畿地区を考えることがいまの場合、順序としてさようになるかと思います。
  24. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 そうすると、こういうふうに理解をすればよろしゅうございますかパリの事務局への登録も急がなければならぬ、そのためには通常国会に万国博条約批准手続をとっておいたのでは、やはりちょっと手おくれになるうらみがある、どうしてもこれは臨時国会にその批准手続をとるように努力をする。それから開催の場所については、いろいろこういう誘致したいという希望が方々にあるようだけれども、さしあたっていまのところ、時間的にも切迫しておることであるし、具体的に計数をあげて言ってきておる近畿のほうに指定をしたほうが政府としても誘致しやすいように考えるという御意見だと伺いましたが、それでよろしゅうございますか。  それと、私がもう一つ考えますことは、こういう際でありますから、政府の御方針を早く示されることのほうが、やれ羽田だ、千葉県だ、近畿になるかもわからぬというようなことで、この切迫した時間の中で準備を進めることは不可能だと思いますので、政府として、やはり開催地などにつきましても積極的な意見を出されていい時期ではないかと、こう思うのですが、重ねて大臣の御所見を伺います。
  25. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お答えの順序がちょっと適当でないかもしたませんが、後段のほうから申し上げておきたいと思います。それは、実は全部国の負担において開催をするということでありますれば、政府のほうで場所などを積極的にきめてかかってもよろしいかと思うのでありますが 先ほどもお話しいたしましたように、また、オリンピック開催の場合なども考えまして、相当地元の負担、それからただ単に負担ではなくて、いろいろな影響がありますので、どうしても地元の御意向というものをまずおまとめ願うほうが、順序ではないかと思っておるのであります。  なお、前段のお取りまとめになったお話は、私の申し上げておる話がそういうふうにまとまると思います。ただ私がちょっと歯切れの悪いことを申し上げておりますのは、純粋に博覧会の手順を踏んでいく場合にどうなるか、こう言うと、国際博覧会事務局への開催登録申請は、四十年一月から四十一年六月までの間に、こういうことに一九七〇年を目標にするとなるのであります。ただメルボルンの積極的な行動がありますので、そこで一日も早いほうがいいというふうにわれわれが観察をしている。そこのところにちょっと事務当局になお十分検討さすべき要素があるということだけはお含みいただきたい。
  26. 近藤信一

    ○近藤信一君 私は、この際に毛製品の国際協定締結に関しまして若干御質問をしてみたいと思います。   〔委員長退席、理事上原正吉君着席〕  アメリカでは毛織物の輸入制限をしようとする動きが以前からありまして、米国毛織物業界といたしましても、米国政府へ強い働きかけをしてまいりました。それが昨年の二月ごろからは、かなりはっきりした動きとなってあらわれてまいりましたが、昨年の七月、ケネディ大統領がドル防衛を打ち出したのとちょうど時を同じくいたしまして、アメリカの大統領の諮問機関である上院のパストール委員会が毛製品の輸入制限を行なうべきである、こういう結論を出したのでありますが、そうして今年の三月になって、アメリカの毛織物業者とヨーロッパ、それからカナダの業者、これらによりまして、いわゆるパリー会議で国際協定を必要とするという決議が行なわれたのであります。これはアメリカとともにヨーロッパなどでも、日本の毛織物の進出をおそれているからであろうと思うのですが、このことから毛製品の国際協定は一段と実現性を帯びてきたものと警戒されていたのであります。このような経過をたどって去る八月の三日に、ライシャワー大使から、わが国に対しまして正式に国際毛織物製品協定についての国際会議への参加申し入れがなされた。これに対して二十日、日本からは、こういう国際会議開催には反対である、こういう回答がなされたことは事実であります。輸出入を制限しようというのは、国際会議や貿易自由の精神に反するものでありまして、政府の反対はまことにこれは当然のことであると思うのです。そこで、まず伺っておきたいことは、政府の反対回答をなされました以後今日まで、アメリカ側の反応はどういう動きを示しておるか、この点について御存じの点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  27. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この毛製品国際取りきめ締結に対するアメリカの動きについては、私どもも重大な関心を払っておるのでございますが、八月二十二日に、正式に反対である旨の回答をいたしましたが、その後のアメリカにおける反応は、これといって具体的なものはございません。ただ、大統領選挙に関連をいたしまして、演説などにこの取りきめの必要であるということの言われておることは聞いております。
  28. 近藤信一

    ○近藤信一君 いま大臣が言われましたように、ちょうど大臣が、それはもう大統領選挙の選挙対策だと、こうはっきりと言われたということが「エコノミスト」にも出ておるわけであります。輸入規制の国際協定につきまして、わが国は、この前の綿製品の国際協定というものがございまして、これに基づく日米綿製品交渉が、これは実に長い期間、また苦い経験を日本はなめたわけなんですが、これについてはもうかって私は本委員会でもいろいろと御質問したこともあるのですが、綿製品の貿易の長期の取りきめの際に、これが発効直後、第三条に基づいて市場撹乱を理由に輸出調整を求められてきたわけなんで、その後第四条に基づく二国間交渉に切りかえを求められまして、これはもうえんえんと八カ月にわたる難交渉の結果でございまするけれども、わが国の得たものは不満足なものだったと私は思う。で、今度求められているところの協定も、綿の場合と内容は同様であるかどうか。もしそうであるとするならば、綿製品の貴重な経験にかんがみまして、政府は断固とした信念で臨んでいただかなければならないと思うのです。それについて大臣の所信を伺っておきたいと思います。
  29. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) よく記憶しておりせんが、申し入れのあったときのライシャワー大使の説明によりますと、関係国でこういう取りきめをやっておくことが日本にもいいのではないか。そのときに言われましたのが、綿製品のように二国間だけでやることがその後に問題を起こしておるのじゃないかというような趣旨の話がございました。しかし、これは私の記憶だけでございますから御参考にお聞きを願いたい点でありますが、それ以外には、内容的にどうこうということは私は存じておりません。私は、こういうような取りきめが次々と行なわれるということではたいへんである、そういうことで、もう申し入れがあったときに直ちに、言下に、私としては御趣旨に沿いかねるという意思表示をしたようなわけでございまして、なお、事務当局のほうでもし内容等がありますればお答えさせます。
  30. 近藤信一

    ○近藤信一君 綿製品の国際協定は、これを見ますると、前文で、後進国の綿製品輸出増大を目的の一つに掲げて、第一条に、国際規制を綿製品の特別な問題に対処することを目的としたものでありますが、他の分野にはこれを適用されるべきじゃないと考えることを確認すると、こういうふうにあるわけなんですが、一体、この綿製品国際協定の第一条の他の分野には適用すべきじゃないことを確認するという規定と、それから今回のこの毛製品の国際協定への動きとは、どう一体結びついていくのか。私にはその点が非常に理解しがたいのでありますが、政府の御見解をひとつ伺っておきたい。  それから、こんなことでは、今後さらに合成繊維の問題が出てきましょうし、さらに雑貨品というような問題も出てくるでございましょうし、そうすると、次々といろいろな面に波及していきそうな気がするので、と申しますのも、やはりあのときに、綿製品の規制の問題が出たときに、私どもは執拗に、もしうやむやにしたならば、あとすぐ毛製品の問題に波及するのじゃないか、こういうことを強く、しつこく当時政府に私はお尋ねしたのです。それがもう一年もたたないうちにすぐ、こう毛製品のほうに規制の問題がきている、こういうことでございまするから、こういう点について、将来の見通しといいますか、そういう点、ひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  31. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 綿製品協定の苦い経験にかんがみまして、再びさような愚を繰り返したくない、これが私どもの基本的な態度でございまして、したがって、今回の申し出に対しても、すでに明白な態度をとっておるのでございます。綿製品協定の当時の事情につきましては、いまここで私つまびらかにいたしませんので、ここに新井局長がおりますので、必要があればお答えさせます。
  32. 新井真一

    説明員(新井真一君) 綿製品協定の第一条にございます、先生のいまのお話でございますが、御趣旨のとおりでございまして、こういうこの種の取りきめについては、ガットの精神でもございますし、これは綿製品に限るのである、こうなっておりますので、これに関して、毛製品についてはどうかということになりますと、この趣旨からいたしますと、これは矛盾をいたしているというふうに考えます。
  33. 近藤信一

    ○近藤信一君 私がなぜこのことをしっこく言うかというと、これはもう、かっていろいろあったのです。たとえば洋食器の問題もあり、その他いろいろあったのです。これを一歩譲ると、だんだんとアメリカが次々に業界で問題にして、そしてそれがすぐに規制というようなことになって出てくるわけであります。私は今度の毛製品の問題でも、ここで強硬に突っ張らなければ、あとあととどんどんとくるということは、もう目に見えているのじゃないかと思うのですね。そういう点から、私はいろいろこの点をやかましく言うわけなんですが、こういう点に、綿製品のときにいろいろと長い期間かかってあのような結果になったわけなのです。日本業界としても、これは全面的にあのときには反対をしておる。こういういきさつございますし、今度の場合でも、やはり毛織物関係業界は、非常にこれは関心を持っておることも事実であると思います。いま局長が言われましたように、やはり日本業界はどんな動きをしておるか、この点どうですか。
  34. 新井真一

    説明員(新井真一君) 毛織物業界のほうはやはり絶対反対という態度でまいっております。
  35. 近藤信一

    ○近藤信一君 特にわが国の繊維工業は、毛織りなんか特にですが、中小企業が多いわけなんです。中小企業が多いので、綿紡なんということになりますと、十大紡というのがあって、それが一つの強い抵抗線といいますか、それでかまえていきますけれども、毛織物ということになると、そういう綿紡と違いまして、おおむね中小企業中心になっておる。こういう関係からいくと、ここ二、三年前から、特に私どものほうでは、中小企業倒産ということが非常に激しくなってきておる。これは毛織りの関係は、そういう現状から、今後の毛製品の輸入制限がもし行なわれるというような事態に立ち至ったときには、私は、さらに大きな問題として中小企業関係に波及してくる日本の実情からかんがみまして、アメリカに訴えてアメリカの世論を喚起する、こういうことも非常に必要であろうかとも思うわけであります。これは陶磁器のときにも国会で問題にする、そういうことですぐアメリカ側にもこの問題が報道され、そうして、いろいろと対策の上においては非常に有利にいったという事情もあるわけです。それで、今度の問題でも、特にアメリカ側が主張しておるのは、輸入によってアメリカ側の工場閉鎖だとか倒産が相次いでおる、こういうようなことを理由にしておるわけなんですが、これは規制するほうの立場から主張されておるわけですけれども、規制された場合には、逆に今度は日本業界倒産ということになってあらわれてくる。こういうことを十分アメリカ側に私は訴えて、そうして世論の支持を抑ぐべきではなかろうか、こういうふうにも私は考えるのですが、この点はどうですか。
  36. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 日本における毛製品業者の実態から考えまして、かりに国際協定が結ばれて、それによって大きな影響を受けるというようなことがございますれば、これはゆゆしいことでございまして、お話しのように、従来、綿製品の問題でも、金属製品の問題でも、あるいは最近における鉄鋼ダンピングの問題にいたしましても、これはアメリカにおける関係者に十分理解せしめる必要はあると思いますし、また、そういうことによって効果もあがってきておることは、御指摘のとおりだと思います。必要があれば毛製品問題で日本業界代表の方でも先方に行かれまして十分説明をすることも価値あることだと思います。しかし、私は、現在の段階では、IMF総会当時に参りました英国の代表にいたしましても、あるいはイタリーの代表にいたしましても、その間私の接触した範囲では、アメリカの国際協定を結ぶための会議に応ずる気配はないと思います。また、御承知だろうと思いますが、中川駐米公使が本年四月一日に対米申し入れを行なっておりますし、また、本年六月三十日に福田・ホッジス会談も行なわれておりますし、さらに、先ほど来申し上げるように、私自身がライシャワー大使に明白に申し上げておるのでございまして、いまの段階では、先方のもう少し動きを見るほうがよかろうかと、特に、先ほどお答えしたように、日本側の回答にこれといって動きがないという実情にもございますので、いまのところ、事態を静観しておってよかろうというのが、私の率直な見方でございます。
  37. 近藤信一

    ○近藤信一君 自由化によりまして、特に英国あたりからも毛織物が相当入ってくるので、いま東京でなくて、地方のほうでも洋服屋さんが輸入生地の品評会を盛んにやって、私どものところにも案内状よくまいりますが、盛んに英国の生地を売りつけようという、まあ宣伝がなされておる。で、どんどんとこう外国製の毛織物が入ってくると、どうしてもこれはあおられる。日本の業者もこれはあおられる。そうすると、やはりそれが生産の面にもまた影響してくる、こういうことに私は相通ずるというふうにも感ずるわけです。まあ政府はしばしばこの問題についてはアメリカ側と交渉し、また、会談をして、そうして強い態度をもって臨んでおられるようでございまするけれども、やはり私は、このいまの政府考えておられる態度というものをひとつ強力に推し進めていって、日本業界にあまり影響のないようにひとつ努力をしていただきたい、かように考えるわけであります。  次に、私は、新法ですね、繊維新法の問題について若干お尋ねしておきたいと思うのですが、これは前四十六国会で私ども本委員会でもいろいろと審議いたしまして成立を見たわけなんです。で、これが十月一日から施行されておるわけでございますが、わが国の繊維産業は非常に長い間の操短態勢から一変して今度自由競争へと、第一歩を踏み出すわけなんですが、新法は、四年後の完全自由競争時代への準備期間を与える法律と、こういうふうにもまあ言われてきておるわけなんです。それだけに、まあいま業界におきましては、いわゆる不安ムードといいますか、それが一ぱいみなぎっておるというふうなことも言われておるわけなんです。特に繊維産業における伝家の宝刀といわれておりました操短調整で業界の安定をはかるというようなことはもう不可能になってくるわけで、市況の不安、それから輸出不振、こういうことで悩んでおることも、これは事実だと思うのであります。新法による目的というものは、設備の合理化によって国際競争力をひとつ充実していこう、こういうことにあったわけでございまするけれども、これはうまく円滑にそういう国際競争力に打ち勝っていくということができるかどうかということで、いま非常に業界では心配しておられるのですが、この点の見通しはどうですか。
  38. 新井真一

    説明員(新井真一君) 前国会でいろいろ御審議をいただいて繊維新法が成立をいたしまして、十月一日からいよいよ施行に相なった。いま御指摘がございましたように、いろいろ長い間続いてまいりました操短態勢から、過渡期間を通じて自由化への態勢に入って、合理化の態勢に入るということでいろいろ準備を進めてまいりまして、いよいよ仕組みもできましたので、十月一日からその段階に入ったわけであります。先生おっしゃいますように、かなり現在、相場がゆらいでおります。なお、その中には、おそらく金融引き締めの問題もあろうかと思いますけれども、新法という新しい態勢に入るまあ不安ムードとでも申しますか、そういうもの丈、あろうかと思っております。しかし、私ども、ああいうふうな態勢で、過渡期間を通じて、従来あった操短態勢のような、弊害の出てくるようなそういう態勢から合理化の態勢に入るのだという以上は、その確信を持ってやっているのでありまして、今後三年ないし四年の間、特に繊維工業設備審議会のアフタ——ケアもよくやりまして、間違いのないようにやっていきたい、また、その確信があるというふうに私どもは現在考えております。
  39. 近藤信一

    ○近藤信一君 新法の施行で、過剰紡機として三百三十九万錘格納されておると言います。その内訳は、局長御存じのように、綿紡が二百二十六万錘、スフ紡が五十七万錘、梳毛五十六万錘、格納率は綿で二五%、スフで二一・四%、梳毛三六・七%に当たるわけなん  ですが、紡績業界などで四団体がまとめた本年度の下期の綿製品需給見通し、これを見ますると、生産が百三十六万五千コリ、需要が百三十一万五千七百コリ、在庫が六百六十七万四千七百コリ、上期と比べまして在庫は四万九千三百コリ増加する、こう言っておるわけですが、これについてのお考えはどうですか。
  40. 新井真一

    説明員(新井真一君) 新法に入りますときに、先生からいま御指摘がございましたように、当然過剰になるであろうという過剰紡機が三百三十九万錘に算出をいたし凍結をいたしたのでありますが、その節、やはり三十九年度の下期の需給の状況はどうなるかということに検討を加えまして、三百三十九万錘を出したわけでありますが、しがたって、それで三十九年度の下期は一応いけると思っておりますが、ただ、もう一つ申し上げておきたいと思いますのは、従来のように設備即生産力という考え方から、そのほか労働の問題もありましょうし、あるいは採算の問題もございましょう。そういった従来のように設備を封緘いたしまして、需給と密着をさせて業界の安定をはかるという姿から、むしろ競争原理のほうに入っていくのだという新法の考え方というものがございますので、したがって、その設備だけに直結をして、設備だけを見てまいりますと、若干問題があろうかと思いますけれども、いまお話ししたように、労働問題あるいは採算の問題、そういうことからこれでやっていけると考えております。  なお、これはいまから申し上げてどうかと思いますけれども、非常な混乱が起こるというときには、これはもう当然私どもも政府の助成と申しますか、これは前向きの助成でございますが、旧法のような短い操短はやらない。しかし、いろいろな面でやはりお世話を申し上げるということは当然やっていかなければならないと思います。現在のところ、その心配はないというふうに考えております。
  41. 近藤信一

    ○近藤信一君 新法では、格納紡機が二対一ということで、新鋭紡機の、廃棄設備をやるわけなんですが、もし紡績会社では、資金があれば新鋭設備を幾らでもふやすことができる。そうなると、過剰生産というものが予想されるわけなんですが、新法の有効期間は昭和四十三年でしたね、昭和四十三年の九月末。これを考えますると、現在稼働している千二百六十四万錘が千四百三十五万錘前後、こういうふうになるだろうと、こういうふうに業界では見ておるわけですが、この点はどうですか。
  42. 新井真一

    説明員(新井真一君) いまお示しいただきました数字は、審議会におきましても、当然業界の方の御出席もあります審議会でございますので、そこできめた数字がいまの数字でございます。したがいまして、そのとおりに考えております。もっとも、これも四十三年、先の話でございますので、こういうふうにいけば秩序立った整理ができる、こういうふうに考えております。
  43. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、市況悪化による生産の手控え、それから綿糸市況は九月中旬からちょっと暴落が続いておりますね。三十七年十一月以来の安値を呼んでおる現在では、一コリ当たり四十番手で一万円程度、それから三十番手で六千円から七千円程度、それから二十番手で二千円程度、こういうふうに採算割れだと、こういうふうに言われておることも、局長御存じのとおりだと思うのですが、これほど市況が悪化しているときに、多くの投資を必要とする廃棄それから新設をしてまで増産するかどうか、これはいま一つは、人手不足も、先ほど局長が言われましたように、非常に深刻なものがあるんで、これで業界も大きな一つの悩みを持っておる。先日も私と話しておりますときに、一人連れてくるのに、最小限度八万円。八万円では来年は来ないんじゃないか、十万円かかるんじゃないか。ところが、十万円かけて連れてきて、それが一年か一年半たって、まあ何とか使えると、こういうことになると、どこかにこいつがいつの間にかスカウトされて行ってしまう、こういうようなことが操り返されて、これは労務倒産ということになるんじゃないか、こういうふうなことも言っていたわけなんです。そこで、現在の生産量を維持するということが業界としては精一ぱいだ、こういうふうなことも言っておりまして、へたなまねをすると、生産能率というものはどんどんと低下してくるんじゃないか、こういうふうなこともまた言っておるのですが、それは労働事情が一枚加わっての話でございまするが、この見通しはどうですか。
  44. 新井真一

    説明員(新井真一君) 先ほど申し上げましたように、設備の錘数だけが供給力を決定する要因でなくなってまいりますことは、これも先生の御指摘のとおりでございまして、特に労働者の確保という点が非常に困難を来たしております。したがいまして、なるほど紡績の企業にとりましては、何とか生産設備は多く持ちたいという気持ちはあろうかと思いますけれども、それのほんとうの採算のとれた、しかも、労務の確保された合理的な経営としてはどれだけ要るであろうかというふうなことが、ほんとうの供給力としての判断になろうかと思うわけでございます。そういう意味におきまして、新法に入って二対一ですぐに新設ができるというたてまえにはなっておりますけれども、そういうような面を考慮して、どういう形で新設が行なわれてまいりまするか、この辺はいま新法に入ったところでございますので、まだ詳細な調査はできておりませんけれども、この点はよく繊維工業設備審議会として、特にひんぱんに開きまして、その面のアフターケアをやってまいりたい、こう考えております。
  45. 近藤信一

    ○近藤信一君 万年不況と、こういわれておりまする紡績業界は、経営が非常に苦しい、内部留保も少ない。設備合理化のための資金の面になりますと、これは非常に金融引き締めということで銀行は渋って金を貸さない。増資計画をやろうとしても、これは証券市場の低迷ということでこれもむつかしい。一方、いま申しましたとおり、労力も不足している。何とかオートメーションの機械を入れてと、こういうことを考えているようでございますけれども、これも一錘一万円くらいだと、ワンセットで三万錘でございますから、ワンセットやると三億円くらいかかるのだと、こういう話で、十大紡なら若干の犠牲を払ってやるところもあるでございましょうが、十大紡でそういう点、いまちょっと悲鳴をあげているというようなことも聞いておりますが、資金力の特に弱い新紡、新々紡、ここに至っては頭かかえてうなっておる、こういうふうな状態で、紡績会社は現在で、これは数字が違っておるかもしれませんが、大小合わせて百三十社くらいあるのですね、この百三十社くらいが四十年から四十一年までには、その三〇%くらいは倒産するのじゃないか、それは小さな紡績ですね、中小の紡績は倒産するのじゃないかということも言われておりますし、また、政治力のあるところは合併するといろところもある。こうしていった際に、将来、新法の期限が切れて、完全な自由競争というふうな時期になりますと、およそ、中小の紡績は整理されて、いまの十大紡に加えて力のある新紡が中心となって他を合併し、十五社から二十社くらいになるのじゃないか、こういうふうなことも、これは極端な話かもしれませんが、繊維業者では言っておる人もあるわけなんですが、こういうきびしい繊維関係に対する現在の状況なんですが、せっかく四十六国会において繊維新法が成立を見ておるのですけれども、将来の展望は一体どんなようであるか、ひとつ局長から将来の展望をお聞かせいただいて私の質問を終わります。   〔理事上原正吉君退席、委員長着席〕
  46. 新井真一

    説明員(新井真一君) 先般の国会でこういった新法に入っていくための仕組みができたわけでございますが、そのようなことをやるというその裏には、やはり繊維産業に対するそういった環境の変化に順応し得る企業の力と申しますか、そういうものを十分私どもは期待をしておるがゆえに、こういう態勢に入ることができた、こう考えておるわけでございますので、したがいまして、少なくとも従来のように、短期的に操短操短というような態勢はやりませんけれども、もう新法の態勢に入っていける。いま先生のおっしゃいますような、そういう非常な混乱が起こらずにやっていけるということで現在出発をいたしておるような次第でございます。そのような事態になりましたときにどうするかという問題は、むしろ先の問題でございますので、私どもはそういうことはないようにやっていかなければならぬと思っておるわけでございます。そのために、三年ないし四年間の過渡期間を置き、しかも、そのために最初に、御承知のように、中小企業の基礎控除というのを置きましてそういう態勢ができるということでやっておりますので、これは企業のほうもその態勢に応じてやはり御努力をいただかなければならないかと思いますが、私ども前向きの意味での助成は十分やってまいりたい、こう考えております。
  47. 藤田進

    藤田進君 私は、かねて通告しておりましたが、若干懸案事項で通産大臣等と折衝したい事情ができましたので、次回に経済企画庁長官とともに譲りたいと思います。したがって、本日は質問を取りやめたいと思います。
  48. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) わかりました。  他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。    午後三時十五分散会