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1964-09-10 第46回国会 参議院 商工委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十日(水曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————    委員異動  八月十九日   辞任      補欠選任    吉武 恵市君  植垣弥一郎君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            岸田 幸雄君            豊田 雅孝君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  櫻内 義雄君    国 務 大 臣 高橋  衛君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済企画庁長官    官房企画課長  橋本 徳男君    通商産業大臣官    房参事官    宮沢 鉄蔵君    通商産業大臣官    房会計課長   後藤 正記君    通商産業省通商    局長      山本 重信君    中小企業庁長官 中野 正一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告産業貿易及び経済計画等に関する調  査  (通商産業省施策に関する件)  (経済企画庁施策に関する件)   —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る八月十九日、吉武恵市君が辞任され、その補欠として植垣弥一郎君が選任されました。   —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般、電源開発金属鉱業並びに繊維工業実情調査目的をもって派遣せられました派遣委員の方から、その調査報告を願うことにいたします。椿君。
  4. 椿繁夫

    椿繁夫君 派遣委員報告を簡単に申し上げます。  今回の委員派遣は、八月十八日から二十三日までの六日間、梶原委員長阿部竹松委員と私とが黒部神岡福井、九頭龍川方面を視察してまいりました。  黒部は申すまでもなく、関西電力黒部川第四発電所を見ることが目的でありまして、私たちは、大町から関電トンネル五・四キロをトロリーバスで黒部ダムに抜け、そこから再び十二キロの黒部トンネルを通り、さらに八百メートルのケーブルカーをおりて、日本アルプスの中腹をくり抜いた発電所にたどり着いたのであります。  この黒四発電所建設は、昭和三十一年七月着工、三十八年六月完工、総経費五百十三億円、建設に従事した労務者は延べ九百九十万人といわれます。まさに、わが国として画期的な大事業で、目下毎日新聞に「日本人の記録」として「黒部の太陽」が連載されていることでもわかります。  黒四の建設最初計画されたのは古いことのようですが、これを可能ならしめたのは、わが国における電力需要が戦後になって急速に伸びたこと、佐久間ダム建設以来、わが国土建工事技術が長足の進歩をとげたことにあったと思います。黒部川は、水力発電の上から見ますと、非常に好条件に恵まれ、この発電所は、最大出力わずかに二十五万八千キロにすぎませんが、下流に黒二、黒三をはじめ、多くの発電所があり、これがいわゆる下流増の利益を生じ、その発電量増加するのみでなく、新設、増設を可能にし、新黒三はすでに完成しましたが、目下新黒二を建設中でありました。私どもは、黒四から順次下流のほうに下って、これら水力発電所を見学してまいったのであります。  黒部は観光的な観点から見ても実に優秀であります。断崖絶壁で近寄れなかった所が発電所のおかげで、長野県側からは大町トンネルを経て、黒四ダムまで、下からは軌道で黒三の発電所のある欅平までが一般に開放されています。これを、私どもが通ったように全通させることができれば、その観光的価値はさらに増大するわけですが、現状では、途中が単なる発電工事用の通路にすぎないため、一般には開放されず、やむを得ず観光客は引き返しています。これはやむを得ないことだが、残念なことと思います。  私ども黒部水系発電所を見たとき、常に話題となったのは、当時の東京渇水のことでありました。小河内のダムが四百万トンの貯水を割るという状態のとき、黒四のアーチダムは一億トンの水を満々とたたえていたのであります。すなわち、日本海へ流れる水は豊富だが、太平洋へ注ぐ水は少ないということ、これを東京へ流すことはできないか。電力が広域的に運営されるとき、水そのものを広域運営できないものかどうかということでありました。  発電所としては、神岡へ行く途中、北陸電力の神通第一、同じく第二発電所を見学しました。有峰ダムが完成し、また最近、唯一の火力発電所たる富山火力が完成した今日でも、北陸電力としてはなお重要な発電所であり、神通川の水をきわめて有効に活用しているのであります。この神通川上流高原川をさかのぼった不便な所に神岡鉱山があります。亜鉛、鉛を主とする、わが国で最も大きな鉱山一つであり、三井金属工業会社で経営しています。この不便なところへただいま富山から高山へ通ずる国道の工事が進められ、また、国鉄猪谷から神岡線の工事も進行しています。この二つが完成すると、神岡は交通がきわめて便利になり、神岡鉱山としても原料や製品の運搬が楽になり、経営上資するところ甚大で、神岡としてはまさに夜明け前の感がありました。  金属鉱山としては大きいといっても、わが国鉱山自然条件に恵まれないので、神岡としても貿易自由化による打撃を深くおそれていたのですが、幸いにして最近の非鉄金属の市況はきわめて堅調で、それにより神岡は生気を取り戻していました。しかし、神岡としては、現在の亜鉛価格はむしろ高過ぎる感があり、むしろそのために代替品の出現をおそれているとのことでした。去る八日の新聞に、トン当たり一万二千円値下げしたいと発表されたのも、いまにして思うと、そういう心配からの措置と思っております。  神岡で聞きましたことは、鉱山としては常に新しい鉱床の発見が必要であること、この山でも金属鉱物探鉱促進事業団から融資を受けて探鉱しており、着々その効果をあげ、採掘量よりも発見量のほうが多いということ、廃液やばい煙の処理に注意して有効成分はあらゆる手段で回収していること、生産性の向上に努力しており、一人当たり生産性が急上昇していること、ただし、労働力不足が憂慮される状態になってきたこと、いま国会継続審査中の鉱業法改正案については、石炭山と異なり全く問題はないということ等であります。  福井市では、酒伊繊維整理加工工場を見学しました。福井繊維工業は、絹から人絹へ、人絹から合繊へと変化する過程にありまして、酒伊繊維ではほとんど合繊になっておるとのことであります。合繊に移行するにつれ、原糸メーカーたる大企業系列に入らないと経営できなくなっていること、福井でも、規模の大きいものはほとんど系列に入っているとのことで、酒伊繊維東洋レーヨンと提携しております。  ここで最大の問題はやはり労働力不足ということで、県内では補充できないので、遠く九州、東北にこれを求めている由ですが、それも年々困難の度を加えているとのことでありました。  労働力不足は、勢い機械化を促進し、染色整理の方面でも、新しい方式や機械が採用されていました。染料の国産は最近著しい進歩を示しているが、まだまだ輸入品にたよらねばならぬものもかなりあるとのことでありました。  九頭龍川の視察は、電発北陸電力開発地点を見るのが目的で、先国会における電源開発促進法改正は、電発がこれに要する資金のうち約九十億円を世銀から借り入れ得るようにするための措置でありました。なお、黒四でも、開銀を通して世銀の金を百三十三億円借りています。開発計画によりますと、九頭龍の上流に、長野湯上西勝原第三の三発電所を新設しようとするもので、その合計出力は三十二万二千キロワットになっています。長野湯上電発が担当し、西勝原第三は北陸電力が担当、この三発電所は、北陸電力の意向に沿うて運営され、発電電力北陸が一括して購入するとのことであります。  この開発計画中心になるのは、長野発電所であり、ここにはロックヒルダムをつくり、揚水式にして夜間は水を上流ダムに逆流させ、それをまた昼間のピーク時に発電するという仕組みで、そのため最大出力二十二万キロワットになることになっています。これは、最近発電中心水力から火力に移り、それも大容量火力中心になったから、それを補うためのものであって、北陸地方にまでその必要性が高まってきたことを示すものであります。  現地ではまだ電発用地対策本部が置かれ、ようやく用地買収を始めただけで、工事には全然かかっていませんが、水没するであろう地点には、補償目当ての家がかなり建てられていました。電発ではこれを新戸と称し、新戸に対しては補償金を少なくするよう措置しているとのことでしたが、いずれにせよ補償を多くすることは、それだけ電力料金を高くすることになり、また単に補償金目的で家を移築することは、国民経済的にもむだのことですから、かかることの根絶するよう私どもは切に希望するものであります。  以上、簡単ながら感想を申し述べて報告とする次第でありますが、この際、派遣にあたり関係者の皆さまにたいへんお世話になり、深く感謝しておることもつけ加えさせていただきたいと思います。  以上で報告を終わります。
  5. 藤田進

    藤田進君 以上の報告質疑がございますが、次回以降に譲りたいと思います。
  6. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で派遣委員報告は終了いたしました。本日は本件につきましては、この程度にとどめます。   —————————————
  7. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査議題とし、通商産業省施策に関する件及び経済企画庁施策に関する件の調査を進めます。  まず、櫻内通商産業大臣及び高橋経済企画庁長官から、それぞれ説明を聴取いたします。
  8. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 昭和四十年度通商産業政策重点について御説明を申し上げます。  まず、基本方針を申し上げます。多角的流動的に変貌をいたします国際経済環境への適応のもとに、国民経済に生じたひずみの是正をはかりつつ、均衡のとれた高度の成長確保するため、「国際協調下における均衡成長の達成」を通商産業政策基本方針として、次の諸点重点を置いて施策の展開をはかりたい所存でございます。  第一が輸出振興と低開発国対策拡充であります。  第二は、中小企業施策画期的拡充でございます。  第三は、国際競争力強化のための産業質的充実であります。  第四は、産業保安確保産業公害防止でございます。  第五に、消費者行政拡充をいたしたいと思います。  これらのうち、産業質的充実につきましては、第一に、産業国際競争力強化をいたしたい。  第二に、技術振興特許行政充実をいたしたい。  第三に、総合エネルギー対策推進をはかりたいと思います。  第四に、地域振興産業基盤強化をいたしたいと思います。  これらを中心施策を進めるのでございますが、右のような基本方針に基づき各種対策強化拡充を期する所存であり、予算要求につきましては、要求額対前年度比三割以内の方針に従わざるを得なかったことはまことに残念でありますが、ワクの制約のない財政投融資計画や税制については十分な要求を行なうように事務当局に指示をいたしました。  特に重点を置く施策につきまして逐次申し上げたいと思います。  輸出振興と低開発国対策拡充につきましては、日本輸出入銀行について、貸し出し金利水準上昇を来たさないように配意いたしつつ資金量抜本的拡充をはかりたい、これが第一であります。  国連貿易開発会議に象徴される世界的趨勢にかんがみまして、かつ、わが国輸出長期的伸張をはかる観点からいたしまして、わが国出超となっておる低開発国の一次産品開発合理化のために、アンタイド・ローンの供与をすることを検討することが第二であります。  また、わが国出超が著しいために、わが国産品に対する輸入制限が現実の日程にあがっているイラン、イラク、ナイジェリア等の低開発国については、当面の緊急対策として、これら諸国からの割り高産品輸入促進のための特別な措置を講じたいということが第三点でございます。  次に、中小企業施策につきましては、これらから申し上げます諸点中心に特に力を入れていきたいと思います。政府関係金融機関について、資金量画期的拡充をはかるとともに、金利の引き下げを実施したいというのが第一でございます。  中小企業設備近代化資金及び中小企業高度化資金につきましても、その大幅な拡充をはかることといたしますが、特に高度化資金については、施策の強力な実施をはかるため、償還期間延長等貸し付け条件改善をはかる考えでございます。これが第二でございます。  また、小規模企業施策充実にも特に配慮をいたしまして、新たに小規模企業事業主廃業等に関する共済制度を設けるとともに、一定の要件を備える零細事業者に対し無担保無保証信用保証協会保証を行ない得るよう特別小口保険制度を新設いたしまして金融円滑化につとめたい。これが第三点であります。  次に、産業質的充実につきまして従来からの諸施策拡充強化をはかるほかに、特に企業自己資本充実のため支払い配当の一部損金算入措置実施検討いたしたいと思います。  また、国際競争力の根幹をなす技術開発を急速に進めるため国及び民間試験研究施設整備試験研究費画期的充実をはかるとともに、特許行政についても定員の増加事務機械化推進資料整備体制拡充等を通じまして抜本的改善措置を講じたい考えでございます。  総合エネルギー対策確立に資するため、総合エネルギー調査会を設けたい。これは国会の御決議に従っておるわけでございますが、立法措置を必要とする関係上、正式の発足を見るまでにはかなりの時日を要するものと見込まれますので、さしあたり産業構造審議会総合エネルギー部会を設け、直ちに検討に着手してもらうことにいたしたいと思います。  石炭につきましては、さしあたり石炭対策大綱に沿って予算要求をすることにいたしましたが、現在審議を進めております石炭調査団答申が出てまいりました場合には、答申を尊重してさらに施策強化する考えでございます。  また、石油については、エネルギーの低廉かつ安定的な供給を確保するため、石油精製業体質改善を促進するとともに、海外油田開発に大いに力を注いでまいりたいと思います。  最後に、産業保安確保産業公害防止についてでございます。産業公害防止基本となる公害防止技術確立をはかるために、産業公害防止技術研究所を新設いたしたいと思います。さらに、中小企業高度化資金制度改善既存融資制度拡充等措置を講じまして、産業公害防止施設の設置、産業公害関係中小企業集団移転等についての助成を強化することを検討中でございます。  検査頻度増加保安施設拡充等によりまして鉱山保安確保に万全を期するほか、化学工業における生産技術高度化に印応した保安体制整備検討中でございます。   以上概略を申し上げた次第でございますが、御質問に応じましてさらに御説明を申し上げたいと存じます。
  9. 梶原茂嘉

  10. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 最初に、最近の経済情勢について御説明申し上げまして、これに対する経済企画庁としての考え方を申し上げたいと思います。  本年一月に、御承知のとおり、閣議決定を見ました「昭和三十九年度経済見通し経済運営基本的態度」におきましては、今後の経済運営にあたって国内需要が適正な水準をこえないよう引き締め基調で運用することにより国際収支物価の安定をはかることを基本的な態度といたしておるのであります。  このような考え方に基づきまして昨年末以来、預金の準備率引き上げました。これは昨年の十二月でございます。一月になって、日本銀行市中銀行に対する窓口規制を行ない、さらに三月に、公定歩合の引き上げをいたします等、金融引き締め措置をとってまいった次第であります。  ところで、その後の経済動きを見てみますると、鉱工業生産は、本年の一月から七月までの数字をとってみますと、前年同期に比べまして一九・八%という上昇を示して依然非常に高い水準を維持しておるのであります。もしこのままの傾向でずっと年度末まで推移すると仮定いたしますると、今年度鉱工業生産伸びは一六・一%、こういうことに相なります。三十八年度の前年度に対する伸びが一五・二%でありますので、それを上回った上昇を示す趨勢にある次第であります。  また一面、国内需要の面で見ましても、設備投資動きは、日本銀行とか産業構造審議会資金部会開発銀行等調査をいたしておりますが、この調査経済企画庁機械受注見通し調査等から判断いたしますと、民間企業設備投資意欲は依然かなり強いものがありまして、まあ一月の政府見通しかなり上回るものと考えられておるのであります。  また、個人消費支出につきましても、春闘の大幅なベースアップがございましたが、これに伴う賃金所得の増大、また、生産者米価の大幅な引き上げ、こういう所得上昇消費の面にどういう影響を及ぼすか、今後において注目を要する段階にあると存じます。  これらを総合してみますると、三十九年度経済は、今後もなお引き続き従来のとおりの引き締め基調が維持されるといたしましても、一月の政府見通しでありますところの名目で九・七%、実質七%という政府見通しをされたのでありますが、この政府見通しを相当上回るところの成長が見込まれるのであります。  また、国際収支動向を見てみますると、輸出海外環境の好調や国内競争力強化輸出意欲の増進などによりまして、きわめて強い拡大基調を続けております。他方輸入は、昨年末以来依然として高水準推移しておりますものの、ならしてみますと、大体横ばいというふうになっておるのであります。  貿易面収支先行指標でありますところの信用状収支で見てみますると、その黒字幅かなりの高水準に相なっております。すなわち、五月は二億五百万ドル、六月が一億八千五百万ドル、七月が二億三千五百万ドル、八月が一億九千五百万ドル、こういうふうにかなり水準推移しておりまして、為替ベースでも貿易収支は、五月は五千三百万ドルの赤字でございましたが、六月は九百万ドルの赤字と狭まり、七月には逆に三千四百万ドルの黒字を記録しておりまして、年度問では、一月の政府見通しのとおり、均衡基調を回復するものと思われます。  しかしながら、輸入先行きにつきましては、輸入原材料在庫調整という面からは、今後減少を期待することは困難であるという見方もございますし、また、鉱工業生産国内需要動向も、前に申し上げましたとおり、強い拡大基調にあることなども考えますと、直ちに前途を楽観することは許されないと考えておる次第でございます。  また、本年度貿易外収支赤字幅は前年度よりも一そう拡大する見込みでありますので、経常収支赤字が五億ドルをこえるということは避けられないと見ておるのでございます。  他方資本収支につきましては、アメリカの利子平衡税法案議会通過西ヨーロッパ資本市場状況等を勘案いたしますと、これに過大な期待を寄せることはできませんので、かなりかたく見積もりますると、総合収支では、一月の政府見通しでありますところの一億五千万ドル程度赤字を生ずることになろうかと存じます。  次に、物価動向について申し上げたいと存じますが、物価動向についてみますると、卸売り物価は全体として軟調に推移してまいりましたが、七月ごろから下げ渋りの気配が見えており、これが直ちに本格的な底がためないし反騰へつながっていくかどうかは、なお今後の推移を見る必要がございます。また、消費者物価も昨年の十月以降落ちつきを見せ始め、四月に授業料の値上がりがございましたこと等で、四月は一・五%の上昇を見せておりますほかは、現在までのところ安定した動きを示しておるのでございます。  しかしながら、消費者物価がこのように落ちついておりますのは、昨年夏以来の天候のよかったこと、また暖冬等影響によりまして野菜や冬物衣料が値下がりしたことによるところが大きく、加えて卵や生鮮魚介の出回りが順調で値下がりしておること等によるもので、それ以外は雑費及び住居費等をはじめ、数年来の一貫した上昇基調は変わっていないものと判断をいたしております。  わが国経済は、経済成長のテンポが早く、所得増加率も大きいので、低生産性部門のコストの上昇を容易に価格料金に転嫁できる背景を持っておると考えておりますが、今後何らかの契機があれば消費者物価上昇を引き起こす原因を常に内蔵していることは否定できないと存じます。  以上の状況にかんがみまして、国内経済には依然かなり活発な拡大傾向が見られるので、このような状況が続く限り国際収支物価先行きについて過度の楽観をし、または国内経済に安易な拡大ムードが流れれば、せっかく盛り上がってまいりました輸出意欲も減退し、他方輸入も再び増加するおそれがございまするし、また、ようやく落ちつきを見せておりますところの消費者物価上昇が再燃することともなりかねない状況でございます。したがって、引き続き現在の引き締め政策を堅持しつつ、慎重に事態の推移を見守ることが今日必要であると考えております。  したがって、今後の経済運営に当たりましては、最近の鉱工業生産国内需要動向を見ると、引き締め措置をとっておるにもかかわらず、かなり活発な拡大傾向が見られ、いわゆる高圧経済状況にあること、また、国際収支については、経常収支均衡を目途とした長期路線との関連により、その動向に十分留意する必要があり、特に輸出が本年度と同様な大幅な伸びを期待することができるかどうかという点に問題がございます。消費者物価は現在落ちついた動きを示しておりますものの、今後何らかの契機があれば消費者物価上昇を引き起こすおそれを常に内蔵しておるということ、これらの三点を考慮いたしまして、財政金融政策の適切な運用によりまして、国内需要が適正な水準を越えないようにすることによって安定的な成長につとめる必要があると考えておる次第でございます。
  11. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 以上で御説明は終わりました。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  12. 中田吉雄

    中田吉雄君 櫻内大臣に二、三お尋ねしたいと思うのですが、まず最初に、先日ソビエトに対する屎素プラント長期延べ払いに対してジョンソン米国務次官補から、自重してもらいたいという申し出があったようですが、まず事務当局からお伺いしたいのですが、屎素プラント輸出に対する決定について、具体的なことを事務当局からまずお伺いしたい。
  13. 山本重信

    説明員山本重信君) ソ連向け屎素プラントにつきましては、かねてから日本側関係会社ソ連の公団との間で契約ができておりまして、日本政府輸出承認がありさえすれば、それで効力を発生することになっておりました。その期限が九月の三日まででございましたので、九月の二日に、承認をする方針決定して承認をいたした次第でございます。  本件につきましては、かねてから日本としては西欧並みという一つ考え方を原則に持っておりまして、はたして西欧諸国がどういうような条件輸出をしておるか、調べておったのでございます。イギリスがことしの二月に、ソ連との間に長期借款の協定を結びました事実が確認されまして、その金額に一億ポンド、期間は十三年ないし十五年という条件でございます。そのほか、ソ連ではございませんけれども、東欧諸国に対しましては、英国及びその他の国がかなり長期の、大体十年前後の延べ払いをしておる事実もはっきり確認をいたしましたので、いわゆる西欧並みという考え方から申しまして、今回の屎素プラント承認してしかるべしということで承認をいたした次第でございます。  それからなお、ただいまお話がございましたアメリカのジョンソン国務次官補は、昨日通産次官のところ——私も同席いたしましたが——に来られまして、若干の点についていろいろ話をいたしましたが、本件につきましては、特に先方から日本屎素プラントについての発言はございません。英国のポリエステル、プラントについて話が具体的にきまったことについて、先方が話をいたしておりました。そうしてワシントンのアメリカ政府としては、英国がそういう措置をとったことについて、遺憾の意を表しておるという話がございました。特に日本に対して、昨日は自重するようにというな発言はございません。
  14. 中田吉雄

    中田吉雄君 九月九日、きのうの新聞を見ますと、ただいまのような説明にはなっていないわけであります。ジロン米財務長官に随行しましたただいまのジョンソン経済担当国務次官補とバーネット極東経済担当国務次官補代理とが外務省の中山経済局長をたずねて、具体的には屎素プラントということは言っていないのですが、ソビエト向けの日本やイギリスの長期の延べ払いについて、自重を要望しておるわけです、新聞ですから真偽のほどを知りませんが。そうして、まあはなはだ——通産当局ではないのですけれども、外務省に対してはなはだ遺憾に思うことは、言わぬこっちゃなかった、まあこういうことがあることを予期しておったような、いかにもアメリカの申し入れを是認するような口吻の記事が出ているわけなんです。で、櫻内大臣にお尋ねしますが、アメリカがどういう権限でこういうことを言う資格があるか、私は非常に疑問があると思うわけであります。対米貿易を見ましても非常な入超で、三十六年のごときは十億ドルの入超であり、三十七年度でも四億、三十八年度でも五億七千万ドルの入超であり、ことしになってから一月は一億一千万ドル、二月は九千五百万ドル、三月は七千万ドル、四月は八千二百万ドルも対米貿易は非常な入超で、櫻内大臣がさきに言われたようなパキスタン等、イラン、イラク等の出超等は、こういう対米依存貿易と深い関連があると思うのですが、そういう関連でこの問題は私は解決しなくちゃならぬと思うのですが、そういう状況で、ずいぶんアメリカのものを——カナダに次ぐ大きな比重を日本貿易は占めており、何もアメリカからそういうことをつべこべ言われる筋はもう毛頭ないと思うのです。これは日本政府の外交全般が、日米カナダの漁業条約あるいは航空協定等のような占領下の遺制のような隸属外交、やはりそういう態度をもって私臨んでいると思うのです。この外務省への申し入れをもって、この屎素プラントに対する政府承認をされたのを変更されるようなことはよもやないと思うのですが、その点はいかがですか。
  15. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 中田委員が御指摘のように、対米貿易が日本側の非常な入超になっておるということは戦後の大きな傾向だと思っております。私どもはこの貿易の関係につきましては、全く自主的な判断の上に立っておるのでございまして、ただいま外務省の一局長への申し入れについてのお話がございましたがこれらの点につきましては、通産省のほうへは何ら連絡もございませんし、私に関する限り関知しておらないのであります。先ほど山本局長から申し上げましたように、共産圏貿易の延べ払い問題については、私も就件以来西欧並みにやるということを繰り返し申してまいったのでありまして、今回八年に踏み切りましたのも、局長からお示しいたしたような、そういう確実な情報がございまして、私どもは全く自主的な見地におきまして適当なりと判断をしたものでございます。別にアメリカにこの問題でいろいろ言われたことはないのであります。  お答え申し上げます。
  16. 中田吉雄

    中田吉雄君 外務省の意見は、いろいろたくさんの新聞をたんねんに拝見した限りでは、言わぬこっちゃない、外務省の立場を、言っていることをきかぬからこういう申し出があったのだぞというような口吻があって、はなはだ遺憾に思うわけですが、通産当局が英断を下されたことは、敬意を表するのですが、じゃ、いろいろこれは今後対共産圏貿易の調整の大きな問題がこれをきっかけにして起こるだろうというようなことがありますが、尿素プラントについては、これはもう変更はないというふうに思っていいんですか。
  17. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) そういうようなことは考えておりません。  なお、念のために申し上げますが、通産省といたしまして、各国の動向をよく見きわめております。しかし、何といっても外務省のほうが広い範囲で情報もとっておりますので、ときによりましては違った材料も入ってまいります。現にこの尿素プラントをきめるときに、椎名外務大臣から私に、西独などのソ連向けの貿易の状況はこうだというような中には、五年以上にはなっていないというようなお話もございましたが、そのときに、私もそれは外務大臣のそういうことも聞いておるが、また通産省のほうとしては、こういうふうに情報も入っているぞというように、忌憚のない話し合いをしつつ、そうして最終的には自主的に判断をいたした、こういうことでございますので念のために申し添えておきます。
  18. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体よく趣旨はわかったのですが、おことばの中に西欧並みということばがあったのですが、これはあまり事なかれ主義の、まあ自由諸国の一員というような政府与党の立場からすれば当然かも知れませんが、日本の置かれた世界経済における地位等から考えて、西欧並みということでなしに、もっとわが国の自主的な立場からやはりはっきり、そうヨーロッパの後塵を拝してやるというようなことをせずに、自主的に、日本産業構造の当然の要請からして、もっと積極的な対共産圏貿易というものと取り組む必要があるのではないか。私は、やはり西欧並みというのはいささかやすきにつくといいますか、少しアメリカに気がねが過ぎるのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  19. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この西欧並みというのは、私も就任して以来しばしば使ったことばでありますが、中田委員のおっしゃるような点もあろうかと思います。しかし、非常に弾力性のある私はいい表現ではなかったかと思うのであります。それというのは、申し上げるまでもないのでありますが、商売でございまして、あまりこれが過度の競争になってもつまらぬことにもなるのでありますから、まあまあ、お互いのふところぐあいで同じようにいこうぜというようなところが、商売の上ではいいのではないかと思うのであります。特に自主的にやる、確かにそのとおりでありますが、その自主的が、どんどん安売りをするというようなことであってもこれはおもしろくないのでありますから、まあまあこの西欧並みでやりますよと言っておることが、日本の立場としては、なかなかこれ妙味があると、私はそう思って、今日までずっと私自身もこのことばを使っておるわけでございまして、まあ中田委員も御商売のことについて、よくそういう心理は御理解いただけるものと思うのであります。  お答え申し上げます。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 やはり占領下の——長い間占領政策のもとにあった日本ですから、一挙にはできぬと思うのですが、ずいぶんアメリカは日本に対してわがままだと思うのです。たとえば池田さんの地元のレモン産業は打撃を受けていますが、レモンは自由化をさせられながら、ミカンについては炭疽病があるかもしれぬからということで、カナダは自由に輸出させておるのに、させない。利子平衡税を創設する、あるいは保護貿易の傾向を強めるとかして、やはりそういう自重を求めてくるということが、私は、第一やはり占領政策の延長といいますか、そういうアメリカの考えがあると思うのです。ですから私、もっと積極的に取り組んで、いいことはアメリカの言うことを聞かれて何も反対しませんが、不当な要求については、き然としてはねつけるような、経済貿易政策についても自主的な立場を期待しておきます。  それから、さきに説明の中に印刷物がありませんので……。イランやイラクの出超については、何か第一次産品を買うとか、いろいろな手を打って、日本の大幅な出超、片貿易を是正するというような、そういう形も一つですが、私はやはり、対米貿易、共産圏貿易、そういう全体の中で解決せねばいかぬと思うのですが、結局、対米貿易をこういうアンバランスにしておいて貿易上のひずみがあるんでは、イラクやイランによったと言えないこともないと思うのですが、そういう広い観点からも輸出入の調整をやることも必要じゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  21. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) この点は、御指摘のアメリカのみならず、二国間の貿易収支じりだけで考えていくんではなくして、総合的に考えていくということが当然だろうと思うのであります。たとえば、原材料をどんどん輸入をいたしまして、そして輸入超過になっておる。しかし、その原材料は加工されて輸出のほうに振り向けられるというようなことになるのでありますから、御指摘のように、総合的に考えていくことにつきましては私は異論はございません。また、アメリカの貿易につきまして、片貿易の状況の是正をはかるということにつきましては、これは相当な額にのぼっておるのでありますから、当然配慮しなければならないと思うのであります。私は就任以来、この片貿易の実情がどこにあるのかということを検討していきましたときに、一つの大きな要素といたしましては、アメリカの各州の行き方というものがある。いまさらおまえ気がついたのかと言われればそれまででございますが、そこで、これからの対米貿易につきましては、各州に対して、日本の認識を深めてもらう必要があるんではないかというようなことで努力をいたしております。先般カリフォルニア州の議長が参りまして、この片貿易問題のことなども指摘いたしておきましたが、その後、非公式な話ではございますが、この議長さんらがある席上で、日本の貿易の実情がわかった、カリフォルニア州については、バイ・アメリカンは考えなきゃいけないと言ったというようなことも聞きまして、これは全く非公式でありますが、しかしこういうふうに各州に対して積極的に働きかけておれば、何かそこに効果があがってくるのではないかというように思っておるような次第でございます。
  22. 中田吉雄

    中田吉雄君 時間がありませんが、対米貿易について、もう一点お伺いしたいんですが、三十二年に十億ドルの入超、三十六年にも十億ドルで、こういうときに国際収支が非常に赤字になったりしておるのですが、三十九年の一月から四月まで見ますと、一カ月に一億一千万ドルから七、八千万ドルで、ことしは、この傾向からすると、十億ドルぐらいなアンバランスが出るんじゃないかと思うのですが、事務当局はどういうふうに見ておられますか、対米貿易のアンバランスの度合い。
  23. 山本重信

    説明員山本重信君) 私たちのとこで国別のバランスは、特に実は見通しにつきましては検討をいたしておりませんで、輸出につきましては、ある程度市場別の検討をいたしております。ただ輸入につきましては、御存じのように、自由化されておりまして、どこから買うのも一応自由になっておりますので、なかなか市場別に見通しを立てるのがむずかしゅうございますので、ただいまのところ、特にそういった作業をいたしておりません。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 次の人もありますので、通産大臣にお尋ねしますが、昨日商工会議所で、櫻内通産大臣と中野中小企業庁長官がおいでになって、中小企業のひずみはあまり過大に見てはいけない、そして経済成長の過程を通じてこれは是正していくんだと言うんですが、これは実は池田さんが、経済を高度に成長させれば、その効果がだんだんと中小企業と農業に波及し、地域格差も解消するんだと言う。すでに高度経済成長政策をやって、決してそういう過程の中ではこのひずみは是正できない。農業はもう八割も兼業化してしまう。所得格差はますます拡大する。中小企業庁からいただきました、努力をされたこの中小企業白書を見ても、そういう過程ではやはり大企業との格差というひずみの是正がなかなか困難だという、すでに試験済みの考えで、こういう考えを昨日も申しておられるようなことでは——長期的な展望に立てばあるいはそういうことが言い得るかもしれぬが、これはもうそういう考えでは、農業や中小企業はずいぶんつぶれても、淘汰されてもしかたがないという結果になると思うのですが、私はもう池田さんが言われて——何回も本会議予算委員会その他の委員会で、経済が高度成長すれば、その効果が農業と中小企業に波及し、地域格差はなくなるのだと言って、そういうことはもうできなかったのだ。格差はますます拡大していく。地域格差でも農業と中小企業でも、という考え。もうすでに試験済みの、そういう高度経済成長経済効果の波及効果をねらうようなことでは、中小企業対策は十分じゃないんじゃないかと思うのですが、そういう基本的な前提で非常に問題を含んでおるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  25. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) ただいま中田委員の御質問のおことばの中にもありましたように、確かに私がこの経済成長の中で解決をすると言いますのは、長期な見方を先生と同じ見地でこめて言っておるのであります。ただ、それはたぶん「日本経済新聞」に出ておったことをお取り上げだと思うのですが、私の申しておりますのは、われわれ中小企業のひずみ是正ということを最近特に強く主張しておるわけでありますが、しかし最近には、あまりこのことが言われて、その結果が中小企業者に退嬰的な気分を与えるということではどうもまずいのじゃないかと思うんだというような話をしたのであります。現に出ているひずみについての是正に万全を尽くすのは当然でありますが、しかし、倒産も相当出ておるけれども、他面、成長経済をやっておるので、倒産が即そこに大きな失業者を出し、恐慌にいくのではなくて、やはり一方に成長経済があるために、中小企業の方々に御迷惑をかけつつも転換をする機会もある、こういう判断のもとで述べたことが記事になっておると思うのであります。この点御了承願いたいと思います。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはり農業にしましても、中小企業——ここでは問題ですが、戸数が三百六十万戸あり、全産業の四〇%、流通部門では六〇%も占めておるような高い比重を持っておるのですから、大企業を高度に成長さしてその波及効果をねらうというようなことでは——大企業、農業、中小企業というものを同じ列に置いてやはりしていかぬと、また日本経済の発展のためにも、中小企業と農業が足かせになって発展できぬじゃないか。やはり同時にやるような立場をとらぬといけぬじゃないか。たとえば通産省から出された資料を見ても、地域開発についても、たとえば水島とか、ああいう太平洋沿岸の地帯を高度に発展さして、その効果が当分の間は鳥取や島根——山陰のほうに波及するんだというような説明があるが、そういうことでは私はやっぱりいけぬのじゃないか。大企業、農業、中小企業というものを同じ列に置いて、その占める高い比重からして、やっぱり単なる効果がだんだんと及んでくるというようなことでは私はいけぬのじゃないかと思うんですが、まあその点は見解の相違になるかもしれませんが、そういう点で四十年度予算、財政投融資を見ても、これでは——池田さんは今度、中小企業と農業のひずみを是正するために三選してあと始末をするんだと言っておられるんですが、これはまあ御説明にもありましたように、対前年度三割増という制約があることはわかりますが、これでは——百六十二億の中小企業対策費去年の四割増、財政投融資のほうは三千四百八十五億で、まあ二・一六倍になってはいますが、これではもう三選の意義もないし、中小企業が占める高い比重からして、近代化や高度化をはかるのに、とうていこれでは三選の大きなキャッチ・フレーズになったような要望にもこたえていないじゃないかと思うんですが、これはもっと画期的な——池田さんは総選挙のときも言われたんですが、去年は、私計算してみましたら、全体の予算に対して中小企業対策費は、三十九年度は〇・三が〇・四に、たった〇・一%ふえたのが革命的な対策費だったんですが、たった〇・三が〇・四に〇・一%ふえたのが、総選挙の際に革命的な施策をやるということですが、もとが小さいんですから、四割増にされても、あるいは財政投融資を二倍増にされても、これではそういう一般的な予算の総花的な政策を、予算の編成方針を打破せぬ限りは、これはもうどうにもならぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  27. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お手元に差し上げました一般会計の要求額あるいは財投の要求額につきましては、御指摘のような伸び方だと思います。それで、私といたしましても、確かに中小企業重点にやると言う以上におきましては、まことにもの足りない、遺憾なことだと思うのであります。しかし、国家財政につきまして、全体的な考慮も払わなければならない立場にもございますから、一応閣議の方針に基づいての一般会計については、本年度の三〇%増の中で作業をいたした。しかし、財投あるいは減税問題については、そういうことでなしに、思い切って要求をしようという一応の数字がここに出ているわけであります。しかし、これは八月三十一日までの概算の要求のことでございまして、当然自民党のほうの意向もございます。また私自身としても、御指摘のとおりに、画期的にやろうというのでは、閣議の方針に従っておっただけでは、なかなかそれは解決していかないというので、これは別途にひとつ、大蔵省に対しても、あるいは総理に対しても、強く主張してまいりたい、こういうことでありますが、一応はその閣議の方針に従っての要求をいたした、こういうことでございます。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ、閣議の決定事項、よくわかりますが、中小企業対策費が、本年度が百十五億七千万であるものが百六十二億と、たった四十六億ふえただけなんです、まあこれは概算要求ですが。これでは、物価の上がったりすることをいろいろ考えてみますと、ほとんど何もない。総裁三選に、ひずみ是正を立候補の最大の理由にされた、そういう要求にもこたえぬものだし、幸い概算要求が、今後善処するということですが、私はこれは内閣の最高の政策として、ぜひこれをもっと画期的に、その名にふさわしいような要求をしてもらいたいと思うわけです。  それから、その点は希望しておきまして、財投のほうでです、中小企業金融公庫と商工組合中央金庫と見ますと、少しこの額でも、まあ両方とも問題だと思うのですが、商工中金のほうが少し冷遇されているのじゃないか、薄いのじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。それと、商工中金の性格を変えていくのじゃないか——民間の機関に将来はしてしまうというようなうわさが飛んでいるのですが、そういうことに対する御所信を承りたい。
  29. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 計数の一応詳細につきましては、これはここに担当の長官がおりますから、御説明をさせます。  それから、いま商工組合中央金庫の改組のことをおっしゃいましたが、私、就任以来、そういう話は聞いておらないのであります。
  30. 中野正一

    説明員(中野正一君) 来年度の財投の要求でございますが、全体としては三千四百八十五億、そのうちで商工中金は六百億——出資が百三十億、融資が四百七十億でございまして、このもとになっておりますものは、このところに書いてございますが、貸し付け規模千百億と見ているわけであります。これはちょっと一見国民金融公庫がたとえば二千九百億、中小公庫二千二百五十五億という貸し付け規模に比べて低いようでございますが、これは純増ベースであります。御承知のように、商工中金は短期の資金が半分以上でございまして、何度も回転してまいりますので、ことしに比べて来年度の貸し付けの純増でいって幾らふえるかという計算で毎年やっております。その意味で千百億というのは、ことしに比べて相当これはふえております。この左の欄にございますように五百二十億でございますから、ちょうどそれの倍になっているわけです。そのうちで六百億は政府の金、五百億が商工中金が、預金であるとかあるいは商工中金債を民間で消化させるということで、自己努力でやっていただく、こういう形になっております。  それから民営に商工中金を移管するのじゃないかというような話が新聞に出まして、私ども非常に心配いたしまして、大蔵省とも打ち合わせしているのですが、大蔵省もそういう考えをいま持っているわけじゃないということを、事務当局、言っております。しかし、同時に二、三の新聞に一斉に出たもので、中小企業の皆さん方も非常に心配しておられまして、これは通産大臣によくお願いして、そんなばかなことのないように、むしろこの案にありますように、政府の金はいままで以上によけい出せと、そうして金利も下げようというのがわれわれの考え方でございます。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 高橋長官にも中企問題で質問したいと思うのですが、どうも次の日程もあるようですから、私これでやめます。
  32. 藤田進

    藤田進君 まず最初に両大臣にお伺いしておきますが、通産大臣は先に立たれて、それから企画庁長官はしばらく、あとに残られるという理解でよろしゅうございますか。  先ほど御所信の一端をお聞かせいただいたわけですが、ぼくは事務当局が両省庁にわたってああいうものはやはりプリントで出してもらいたいと思います。速記ができるのは、あなた方も長年議員生活でおわかりと思いますが、気の抜けたときにしか速記が出てこない。それがねらいかもしれませんが、そういうことのないように、能率を高める意味でもまず最初に要望しておきます。  第三次内閣改造がございまして、めでたく御入閣になったわけでございますが、私どもは過去四十六国会等を通じて、それぞれ宮澤経済企画庁長官あるいは福田一通産大臣に諸般の立法あるいは調査の段階において確たる御答弁をいただき、所信の表明を受けたわけでございます。私どもの理解では、池田内閣そのものも継続されている。ただ、その時限における政策の重点といったようなものはあるといたしましても、少なくともそれぞれ所管大臣とされては、前大臣等の議会における答弁等については、これはむろん継承されると——これは内閣が社会党にかわったという場合にはどうか知りませんが、今度の場合にはそのように受け取るわけでありますが、まず最初にその点についてのお気持ちを伺っておきたいと思います。
  33. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) お答えの前に、御了承願いたいと思うのでありますが、資料の点は、ほんとうは私がまことに手落ちであったのであります。というのは、事務当局からメモをもらって、そのメモに基づいてここで説明をする、こうなっておったものですから、配付すべき資料というものがたぶんなかったのじゃないかと思います。しかし、きのう、これはしかし国会委員会はそれが少しまずいかもしれぬから、私の趣旨説明を原稿にしてくれ、こう言ったのでありますが、それが間に合わずにきょうしゃべったのは、ここにあるメモに基づいて私しゃべったものですから、そういう手落ちがあったと思いますが、これからそういうことのないようにいたします。  それから、ただいま御指摘の点は、当然なことでありまして、別に内閣がかわったのでもなければ、その支持の自民党がかわったのでもないのでありますから、従来池田内閣としてお約束している事項を私の所管で守って、そうして行政上遂行していくというのは、これは当然だと思います。
  34. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいま通産大臣からお答え申し上げましたとおり、経済企画庁といたしましても、前の長官がずっと申し上げました事柄については、そのまま継承していく考えでございます。もちろん時々刻々経済は動いておりますから、その時点々々において多少のことはあり得ると思いますけれども、そういうふうに御了承を願いたいと思います。
  35. 藤田進

    藤田進君 まず最初に、予算要求に関連して両大臣にお伺いいたします。共通のものは、一々せずに、両大臣からお答えをいただきたいと思います。ここに閣議決定の、昨年度比約三割増といったような意味でお出しになったものであろうと思いますが、この予算が内閣案としてきまるのは先といたしましても、所管大臣としてはこれが最善なりとしていろいろ努力せられることだと思います。だとすれば、これに付随して、来たる国会に、あるいはわが党ではすでに十月早々の臨時国会要求しておりますが、いずれにしても臨時国会、通常国会を通じてこれが立法措置あるいは法改正といったようなもの、それと予算とは直接関係はないけれども、従来の国会におきまして附帯決議その他で必要を迫られておるもの等々勘案されて、それぞれの省庁におかれては現在見通し得るものとしてどういうものをお出しになろうとするのか、お聞かせをいただきたい。
  36. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 予算関連法案の提出につきましては、まだ私の手元までは上がっておりません。もちろん事務当局といたしましては、それぞれの担当局でいろいろ検討はしておると思いますが、私の手元には上がっておりません。もし必要があれば、審議官からでも……。
  37. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 経済企画庁としても、ただいままでにどういうような法案を出すというふうな検討は具体的にはいたしておりません。
  38. 藤田進

    藤田進君 いま例示してみますが、過般の閣議の席においても、池田総理から、諸般の補助金についてはこれを整理しろといったことがあったやに聞くわけであります。これについて、特に通産省等においては補助金省といわれているくらいかなり補助金部分が多かろうと思います。数字的にこの要求額のうち合計補助金勘定が幾らあるか、事務当局でよろしい、お聞かせをいただきたいんですが、この閣議における池田総理の発言というものをどのように受けとめて予算要求をし、かつ自後の予算執行に当たらんとするか、あるいはそれぞれの行政の場においていかに対処しようとするか、お伺いをいたしたいのであります。
  39. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 詳細の点は事務当局から説明をさせますが、実は閣議でそういう指示を受けておることは事実でございます。ただ、言うまでもないことでございますが、この整理問題につきましては、やはり私としては、党の意向もよく聞きまして、そうして対処いたしたい。心組みとしては、この程度のものは整理をしてはどうかというような一応の考え方もございますが、しかしこれはもうすぐ影響がございますので、私としては党のほうとよく相談してからはっきりしたことにしたいという、こういう指示をしておるのであります。どの程度の整理を目標にして予算を組んだかということについては、実は私はよく承知しておりません。これは私はこれを受け取ったときに、一応従来の大体の方針でいったものと、こういう見地でこれを私としては受け取って概算要求をしたのであります。具体的に何々を整理して、幾らこの中で整理をしたかということについては、いまの党の関係もございましてなかなかお答えしにくいかと思うのであります。しかし、事務当局から一応説明いたさせます。
  40. 宮沢鉄蔵

    説明員(宮沢鉄蔵君) 四十年度の概算要求の中で、補助金等につきましては、三百七億円でございまして、全体の四六%でございます。その補助金を整理する方針をきめられましたのは、ちょうどその概算要求をまとめる最後の段階くらいになりましたものですから、実は概算要求をまとめる際には特に補助金整理ということをあまり念頭に置かずにまとめております。大蔵省のほうから具体的に、こういう補助金はこの程度に切ったらどうかとか、これはやめたらどうかとか、これは統合したらどうかとかいうような案がごく最近出てまいりましたので、これから大蔵省と突き合わせをして必要な整理をしたい、こう思っておりますので、いまお手元に配付いたしました概算要求については、特に補助金整理という方針で整理をしたというようなことはないというのが実情でございます。  それから、先ほど、法案が一体どういうことになっておるかというようなお話があったのでございますが、実はこの予算関係法案につきましては、いま要求しておりまするこのいろいろの予算項目が認められるか認められないかによって法案を出すか出さないかというような問題もございますので、現在のところはっきりしたことは申し上げられないような状況でありますが、ただ、私たちといたしましては、法案の数はできるだけ少なくしたいというような気持ちを持っておりまするけれども、そういうようなことで、現在、大体幾つくらい出るか、あるいはこのうち予算関係法案は幾つくらいになるかというようなことは、まだお答えできないようなわけでございます。
  41. 藤田進

    藤田進君 そうしますと、私どもも、補助金政策については、いろいろ研究もいたしましたし、イギリスのそれあるいはその他の諸国関係検討してみました。しかし、わが国の場合は、政治事情というものが特殊事情を持っておりますから、補助金というものは確かに検討する時期にあると思います。ただ、長い間補助金に依存している地方行政としては、これが抜本的な租税その他の財源といったようなこともあわせ考慮しなければ、機械的にはいかないと思う。ただ、総理であり、総裁が閣議においてこれを指示され、これを各省が受けて予算編成に当たるというふうに理解をしていたわけであります。ところが、総理が何か言ったが、まあそれはそれとして、三十九年の現時点においては、まず四十年度予算に、補助金整理というものは、総理の意図というものは、これはおおむね実現するまだ段階でないと受け取っていいのか。四十年度予算から、要求はそれとしても、最終的に内閣が議会に御提出になる四十年度予算案には補助金整理というものがあらわれてくるのかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。これは国務大臣から——意見が一致していればどなたかお二人の中でお一人、違えばそれぞれお答えいただきたい。
  42. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 閣議におきましてこの問題が取り上げられたのでありますから、私も当然その方針に基づいて作業をすべきだと思います。しかし、先ほどから申し上げるように、といって党のほうの意向を無視するわけにもいかないのでありまして、私から、自民党であれば商工部会がございますが、補助金の整理を考えたいという意思表示はしておるのであります。また、お尋ねのように、いよいよ提案される予算の中には総理の意向というものは入ってこないのか、それは私は入ってくると思います。ただいま事務当局が申したとおりに、すでに概算要求の作業の最終段階にこの問題が出ましたので、先ほど私が申したとおりに、この要求の中には一応考えずにおった、こういうことでございますが、これからまだ四カ月もあることでございまして、その間に総理の方針なり閣議の方針を守っていろいろ考えていきたい、こう思う次第でございます。
  43. 藤田進

    藤田進君 提出を予想せられる法案については、まだその段階でない、要求段階にあるから、これが固まってということなんで、要求はしたけれどもおそらく認められないだろうから、認められたときにその時点で法案をというふうに受け取るわけで、まことに熱意のないことがよくわかりました。(笑声)大蔵省も聞いているだろうと思う。  そこで、これは要求せられたその中でいろろただしたいこともありますが、時間がないので若干の点に限りますが、まず第一に、単価基準というものは一体どうなっているのだろうか。三十九年度予算の単価基準、これは補助事業においてもしかり、昨年度を踏襲したのか。あるいは、あとで問題を提起いたしますが、物価問題を、これとの関係を勘案されてどう見通しておられるのか。政府自体も、高橋さんの新聞情報で見ると、御自信のあるところで三%余りに来年度押えたいとおっしゃるわけですから、そういうことになっているのかどうか。これは各省、建設省等を特に中心に問題があると思います。
  44. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 事務当局からお答えさせます。
  45. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) お手元に提出いたしました四十年度予算要求額の中に、単価、主として官庁関係、通産省関係の人頭経費に関しましては、自然増分だけを見込みまして、そして現在いろいろ論議されておりまするベースアップ等につきましては織り込んでございません。それから補助金その他の点につきましては、いろいろ現在単価があまりに低過ぎまして実情にそぐわない点は、この要求書の中に適当な数字は単価アップで織り込んでございます。
  46. 藤田進

    藤田進君 これはしかし、一つの根拠があって従来も算出しているわけだから、勘どころというわけにもいくまいが、その単価基準はどの程度増、人件費は何%、材料費——材料費でもこまかく普通分けてやります。それを聞きたいんです。
  47. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) 人件費、特に公務員関係でございますが、これはそれぞれ人件費につきましても、単価の上がり方が、研究職、行政職いろいろ、それからまた試験所、研究所に勤務する者と、種々違っておりますので……。
  48. 藤田進

    藤田進君 補助金だけでいい。
  49. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) 補助金関係でございますか。——役所の関係はそうでございますが、補助金関係全部非常に個々にわたっておりますので、一例を申し上げますと、たとえば中小企業対策費におきましては、中小企業の経営指導、診断指導に当たります者の単価等が若干の増額を見ております。全部個々的にみな違いますので、一々お答え申し上げますのは非常に時間がかかるかと思いますが、公務員の関係につきましてはおおむね大体四%から五%程度の単価の増が見込まれます。
  50. 藤田進

    藤田進君 いや、それは全部言えと言っているのじゃないのです。大体趨勢はわかるので、補助金については、人件費は三十九年度よりどの程度増額を見たと、これはいわゆる人夫賃とか、技術者のあれとか、いろいろあるでしょうけれども、まあ人件費はいいです。  それから、材料費関係がどの程度、というのは、その補助先によって単価基準が違うとは思わない。その内容によって違うでしょう。たとえばセメントと鋼材では、将来の伸びがどうだと、そんなことはあり得ると思うけれども、通産省は通産省なりのものがあるはずですから、それを聞いているのです。
  51. 後藤正記

    説明員(後藤正記君) お答えいたします。  やはりその一つ一つみんな詳細に個々の品目につきまして全部違っておりますので、積算根拠等から全部申し上げませんと、材料費全体でどれくらいの単価アップになっておりますのか、それからまた、人件費は、先ほど申し上げましたような趨勢ではございまするが、それにつきまして、一々どういうぐあいの単価アップになっておるのかという御質問にちょっと簡単にお答えいたしかねる次第でございます。
  52. 藤田進

    藤田進君 そんなことはないよ。これは要求を出すについては、ちゃんと積み重ねてきているはずです。ぼくはほかの委員会でも、ずいぶん毎年問題があるので聞くけれども、きちっと出ますよ。あるいは通商産業省に関しては、そんなことはかかわりなしに、目の子で三割増でパチパチ計算機をはじいたのかもしらぬ、それは。  企画庁はどうです。
  53. 橋本徳男

    説明員(橋本徳男君) 企画庁としましても、個々の問題についてはいろいろあると思いますが、主として補助金関係といいましても、大部分は府県に、あるいは市町村に渡すたとえば土地調査関係の単価、そういったものが多うございますが、そういったものは、市町村等でやっておる現在の実行単価というふうなもので一応出しております。しかし、それが妥当であるかどうかという点につきましては、さらに今後検討する必要があるかと思っております。したがいまして、それは査定単価に比べますれば、もちろん若干の上昇ということは免れないと思っております。
  54. 藤田進

    藤田進君 ですから、どうなんですか、両大臣に。これは三割というなら——それは四割もありましょう、個々にはね。その辺で要求をまず出したと。三十九年度、ここに並べてあるように、大体、多少これは四割程度にしようとかいったようなことで——まだそこまでいっていないのかもしれない。しかし、これが要求どおり——仮説ですが、そのようにはならないとしても、まあかりに要求どおり認められたとすれば、その増額分というものは、それぞれの事業量というか、そういうものに的確にあらわれてくるのか、いや、そういう単価基準というものが上がって、あるいは上げざるを得ないから、予算の増額そのまま事業量に反映はしないと言い得るものか、どうなんです。
  55. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 先ほどから事務当局が申しておりますように、まあケース・バイ・ケースになっておると思うのです。しかし、御指摘の総括的な点については、私も予算の増額だけが全部事業長の増になる、こういう判断はいたしておりません。当然物価とか人件費の増とかいうものによって事業量がある程度制約を受けることは、これはやむを得ないと思います。
  56. 藤田進

    藤田進君 いや、ケース・バイ・ケースと言われるが、それはトータル金額はそうでしょう。金額に応じてするのですが、個々については、政府というのは一貫した基準を持たなければなりません。通産省のほうは、まあかりに例をあげれば、セメントは、一体あれは一トンが幾ら、建設省はまた違った査定をしている。そんなことは、これはやっぱり一つの基準があります。ただ、奥地とか離島とかいう場合の運賃額をどの程度見るか、そういうものはそういうものでありましょう。しかし、基準としては、そんなにまちまちなものであってはならないと思う。したがって、これは策定されざるを得ないと思います。  そこで、次にお伺いをいたしたいのは、企画庁長官も御説明がありましたように、昨年同期に比べて、すでに一九・八%の本年度増を見ている。これは、ある意味では、一つ経済成長度合いでしょう。で、今年度最終的には大体一六・一%と、昨年を若干上回るという見通しのようであります。私どもが心配をいたしますのは、すでに最近いろいろ伝えられておりますように、こういう設備増強、設備投資というものは、当然これは供給源になる生産をいたしますが、これに対応する需要というものが、消費というものが一体どうなるだろうか。自由主義経済ということで、政府としては単なる行政指導かもしれないが、今朝伝えられているような、テトロンにしても、季節的な事情はあるにしても、三割程度は二社で、帝人、東レあたりで買い占めなければ、市場価格の維持ができないというようなことになり、自動車関係についても、私は非常に心配している。  これに対して、市場のシェアがどうなるだろう——東南アジアについても、いろいろ私は数字を調べておりますが、どうも漸次わが国のシェアの拡大というものはいかがわしいものになりはしないだろうか。特にアメリカの影響力の強いところでは、バイ・アメリカン政策というものがかなり浸透してきているように私は最近聞きます。こうなってくると、高度経済成長——本年度鉱工業生産においては、相当な伸びを示すようですが、通産大臣とされても、企画庁としても、この辺で単なる引き締めという金融政策一本ということだけでは、どうも調整がきかなくなるのではないだろうか。  ここにおいて、私は次のことを感じるのであります。その一つは、案外、通産行政において、企画庁の経済計画・政策において、いわば資本主義のほんとうの悪い面、つまり、弱肉強食、優勝劣敗をそのまま地で行なうことを暗にお考えになっているとしか思えない。よたよたしている企業は当然自然淘汰されてしかるべきだ、高能率な近代化された巨大資本、これを育成するというところに、意識してか、無意識か、しているのではないだろうか。  ここにおいて、昨日商工会議所で御発言になったことがいま議論になりましたが、高度経済成長の過程に、これが中小企業等弱い層の匡救、助けができるということかどうか。どうも本末転倒のように思われてならないのであります。  そして第二は、このままおやりになると——独禁法なんというものは逐次これが改正され、あるいは別の方法で骨抜きにされてまいりましたわけですが、結局やはり寡占産業というものは構造的にも形成してくるように思われる。これが外国市場との対決ということになるといったようなことで、必ずしもわが国国内産業並びに各国の市場等を見たときに楽観を許されないように思われるわけで、これらの点について、今後新大臣としてそれぞれ所管省庁において、いまほどお触れになりました御所信では、どうもその点ぴんと私にはきませんので、新しい政策を打ち出そうとしていられるのか、いられないのか、お伺いをしたいのであります。
  57. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、鉱工業生産が一月から七月までの実績で一九・八%という前年比較において伸びを示しております。このままずっとこの趨勢で行くとすれば、二八・一%のものになるということを申し上げたわけでございます。ただ、私どもも、いわゆる昨年の末以来金融の引き締めをずっと続けてまいっておるのでございますが、その影響が漸次これからあらわれてきはしないかということも同時に考えておる次第でございます。と申しますのは、七月の鉱工業生産は、きわめてわずかではございますけれども、六月までの数字よりも下がっておるということ、それからいま一つは、ずっと最近いわゆるコールの金額が大体東京、大阪等を合計いたしまして一兆円をこえる、または一兆円前後であるという状態が続いております。一方、金融機関の貸し出し金利というものを調べてみますと、少しは、公定歩合引き上げ等の影響もございまして、上がってまいっておりますが、やはり二銭二厘以下という数字を示しておる。コールの金利は三銭六厘というふうなことになっておりますが、そういうふうな逆ざやの状態がそう長く続くということはなかなか困難だろう。したがって一企業の手元流動性というものがいままでどんどん食いつぶされておるということが大体推察される。それらの点から、このままの状態でずっと推移していけば、相当引き締まった状態で行けるのじゃなかろうかというふうに期待をいたしておるのでございます。ただ、申し上げたいことは、輸出がよくなった、物価も大体安定しておる、それだから、これでもう底入れは済んだのだ、これでもう手直しをしていいのだというような、安易なムードが流れますと、これはもう非常に危険なことになりますので、そういう点を私どもはもっぱら警戒をいたしており、今後推移を慎重に見守っていきたい、こういう考え方を持っておる次第でございます。  なお、その際にお話がございました、資本主義のあり方として、いわゆる弱肉強食をむしろ期待しているのではないかというお話がございましたが、これはもうとんでもない話なんで、われわれとしては、日本産業は、ずっと過去の経過を見てみますと、非常に転換能力がすぐれておる、犠牲をそう伴わなくて転換が行なわれているということ、それから、いわゆる幼稚産業というものがだんだんと高度の設備投資によって一人前の産業に成り立っていき、そして、それが国際競争力を持ってきたというこの事実、こういうような点から、さらに転換能力を与え、そして犠牲者を何とかして避けて、そして円滑な、しかも安定した経済成長を遂げてきた、こういうのが私どもの存念でございます。
  58. 藤田進

    藤田進君 時間の都合で、企画庁長官には後ほど引き続いて質疑を続けたいと思います。物価等が安定してきて、たいへん安定ムードがあって困るような御感覚ですが、それは逆だと思うのです。これはあとで触れます。  通産大臣にお伺いいたしますが、以上いろいろ申し上げたわけですが、すみやかに処理されるものが非常に多いわけですけれども、そのうちで、輸入政策懇談会というものが、これも総理のかけ声で発足されて、九月二日に第一回が開かれておるようであります。これは当初、通商産業省としては、輸入輸出の不可分性から、輸出入政策の懇談会にしたいといったようなことも言われていたように思うのであります。これがどういうことでこのようになったのか、経緯をひとつ大臣にお伺いしたいのであります。
  59. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) その前に、先ほどのちょっと私に対する御質問もあるかと思うのでありますが、私は、現在の相当の引き締めの悪条件下にありましても、輸出傾向が当初六十二億ドル見当の見通しを持っておったのが、これがまず六十五億ドルくらいにはいくのじゃないかということは、常識的にそういう見通しは立つと思うのであります。また、貿易関係でも、中小企業が全企業の六割から占めているという事実からいたしましても、この現在の施策で中小企業者の前途が非常に暗いのだという私は印象は持っておらないのであります。また、大企業に非常に施策が偏重しているような御指摘でございましたが、現にきょうここでも問題になっているとおり、中小企業に対しての財政投融資からの関係、また、少ないとは言われましても、一般会計での予算状況、また、そのほかの税制の措置等から考えましても、私としては軽視をしている考えはないのであります。  それから、ただいまの輸入会議の問題についての御質問でございますが、確かに、当初、最高輸出会議を改組して、貿易会議としてこのうちに輸入部門を設けるという案も検討はしたのであります。しかしながら、従来の輸出会議は、輸出振興目的のために官民合同による公開の会議を開催して輸出目的の達成をはかるという国民運動的な意味合いが多分にあると思うのであります。しかし、今回の会議は、輸入問題に関して、お話しのとおり、総理を中心として関係閣僚が民間出席者とともに自由に意見を交換する、そういうような懇談会ということになっているのでありまして、問題の性質上、それが適しているという判断をいたしております。さらに懇談会の論議の中心は、当面、低開発国貿易拡大のための一次産品買い付け問題か中心になろうかと思うのであります。現に先般の懇談会でもこの問題が中心でございました。で、この点については、特に対外的な配慮を必要とする向きが多いのでありますので、私としては、今回のような形がやはり適していると、こういうふうに判断をいたしております。以上でございます。
  60. 藤田進

    藤田進君 それに関連して、一次産品については、これはまあ先般の低開発国関係においても議論になったところですが、その所産かどうか、一次産品輸入促進会社というものを設けていくんだ、あるいは大蔵省との折衝が始まったといったようなことも伝えられております。この辺はいかがです。
  61. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) どういうお話が根拠になっているか、私ちょっとふしぎに思うのでありますが、私の手元では、一次産品買い付けの会社を特につくるという考え方は、何ら資料的にも出てまいっておりません。話も聞いておりません。
  62. 藤田進

    藤田進君 これはですね、八月三日の日本経済新聞で私ども見たわけであります。根拠はその辺であります。誤報だとおっしゃるわけですか。
  63. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) それはですね、私のことばが十分でありませんでしたら、通商局長からお話を申し上げますが、この問題にからんでいるのじゃないかと思うのであります。このイラン、イラク、ナイジェリア等の低開発国について、この割り高産品輸入促進のための特別措置を講じようというようなことでいろいろ考えておりますから、あるいはそのことではないかと思いますが、通商局長からさらにお答えさせます。
  64. 山本重信

    説明員山本重信君) ただいまナイジェリアとの貿易がたいへんな片貿易になっておりまして、日本が何か買い付けをしませんと、日本品の締め出しをしようというような険悪な状態になっておるのでございますが、そうした事態に対処しますために、業界で輸出する際に輸出業者が調整金を出し合いまして、そして、それをまとめて、輸入業者が少し割り高なものを損を覚悟して輸入します場合に、差損を補てんするのに回すという仕組みをいたしております。ナイジェリアとの貿易の関係では、業界で数社集まりまして、ナイジェリアの有限会社を一つつくっております。これは一部の商社がつくっておるものでございまして、それ以外には、特に全部網羅的に、先生のお話のようなまとまった買い付け促進会社をつくるという構想はできておりません。
  65. 藤田進

    藤田進君 時間がないからいまも触れられたように、これは各国とも、東南アジア、アフリカを通じて、片貿易についてはかなりきつい日本に対するこれが是正の要求なり、あるいは実際行動の面でもあらわれてくるということなんですね。中田委員も指摘したように、これが問題にならない。対米片貿易というものについては、どうも利子平衡税の関係あるいはバイ・アメリカンで東南アジアを中心に相当圧迫されてきているという状態に対して、通商局長は、将来の個別バランスということについての作業なり見通しをしていない。櫻内通産大臣は、個別のそういった均衡ということは必ずしも問題ではないと先ほど言ったのであります。これでは、わが国の貿易、通商を担当する最高責任者としては、どうもいけないのではないか。対米についても相当強硬に私は手を打たれるべきではないだろうかと思うのであります。にもかかわらず、個別均衡ということは考えないでいけるというのか、私は、一連の世界的生産過剰期ということを考えるがゆえに、貿易のシェアということ、その具体案としては、こういった対米片貿易といったようなこと、これはもうおそきに失しているくらいで、かなり強硬に折衝をされる必要があると思います。この点、特にひとつ御所信を伺っておきたいと思います。
  66. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私は御指摘のように、そうかた苦しく考えておらないのであります。どっちが主であるかといえば、総合的に見ていっていいんじゃないか。その例として、原材料などを買って、そのために輸入超過になっておっても、これは加工して輸出に回るというようなことを申したわけでありますが、しかし、アメリカであるとかカナダとの間が非常にアンバランスである。したがって、これに対して一つ一つの問題を取り上げて向こうに強く訴えていく、これは当然なことだと思うのであります。だから、それもやりますが、どっちが中心かといえば、総合的に見ていくということを申し上げたいのであります。また同時に、低開発国関係日本輸出が非常に多いということは、もう御承知のとおりでありまして、そういう関係からいたしたますれば、今後これらの国にただ売るというだけではなかなかむずかしいというようなことで、輸入懇懇談会におきましても、開発輸入などが、これが非常に問題になっているのじゃないかと、こう思うのであります。ですから、両方をよく考えてやっていきたいと思っております。
  67. 藤田進

    藤田進君 非常にそりゃ楽観説もいいのですけれども総合収支が、そりゃむろん問題になります。外貨保有の天井など、もちろん問題になりますが、その基彫をなすものはやはり個別の収支ということからくるわけで、特に今度のIMFにおいても議論になり、先般はジュネーブにおける長期会議でも問題になったように、いわゆる南の地域、後進地域に、おいては一次産品問題が出てくるし、かなり強い援助を要求してきている、これも無理からぬことだと思います。対日輸入超過ということになれば、その国のむろん外貨事情も生じてまいります。ですから、逐次これらの国々についてはバランスをとるように努力をされなきゃならなくなるし、そうでなければ、現地は実力行動に入る。ですから、これがはけ口としては、当然対米庁貿易ということが、これは大きな問題になってこなければならぬと思う。これが逆に対米従属といえばきついかもしれませんが、かなりどもから見て遺憾の点が多いので、この点はひとつ十分御検討いただきたいと思います。  次に通産大臣にお伺いいたしますが、特振法は今度出しますか、出しませんか。
  68. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 私は、この問題について、就任以来一貫して検討しておると、こう申し上げておるわけでございまして、現在まだ出す、出さないという最終的結論には至っておりません。
  69. 藤田進

    藤田進君 それから、先ほど御説明でありました前四十六国会の両院本会議における、エネルギーの総合対策を立てるために内閣にエネルギー調査会法に基づく調査会の設置というものが問題になり、この点は融れられておりました。ただ、その考えの片鱗がどうも出てきているので、私は心配でありかつお伺いするのですが、これは、なかなか立法を要するし間に合わないので、とりあえずはエネルギー部会を設けて、既存の調査会においてやっていくと、こういうお考えのようであります。しかし、この両院決議というものは、少なくとも両党間で検討し、話し合いがつき、議員提出の決議となったわけで、これは非常に急を要する問題として扱われているわけであります。ですから、そう、おっしゃるようなゆうちょうなものではないので、「すみやかな時期」となっておりますが、臨時国会とは言わないとしても、来たる通常国会には当然出さなければならないことになっていると私は思うのであります。この点についていかがでしょうか。  それから、続いて申し上げますが、電気事業法成立にあたりまして、当委員会は七つの附帯決議を付しております。その内容はここで朗読は省略いたします。これらについてのその後の措置がどういうふうに具体化されているだろうか。どうも見たところ、附帯決議は附帯決議、こっちはこっちだというような感じがしてなりません。それから各種省政令の進行状況と、電気事業法の施行期日が予定どおり成立後一年に行なわれるのかどうかという点、まずこの辺でひとまず御答弁をいただきたいと思います。
  70. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 最初の、両院の本会議の決議に基づきます総合エネルギー調査会の設置の件は、十分、私ども心得ておるわけであります。しかも、いま御質問のありましたように、この問題は、調査会が設置されなければ等閉視していいとかどうとかいう問題でないということは当然のことでありますので、先ほどちょっと申し上げたとおりに、とりあえず総合エネルギー部会産業構造調査会の中に設ける措置をとって問題に取っ組んでいきたい、こういうわけでこれは御理解いただけることじゃないかと思うのであります。で、臨時国会ないしは通常国会におきまして、当然これは立法措置を行ないまして、御決議に伴う調査会の設置をしてまいりたいと、こう思っている次第でございますから、これは御了解いただきたいと思うのであります。  それから電気事業法の施行に伴う政令、省令は非常な数になるように聞いております。せっかくただいま作業をしておりますが、なお進行状況の御質問がありますれば、事務当局から御説明を申し上げます。  さらに附帯決議の事項についてはどうであるかということでございますが、第一のサービス水準の向上については、サービス基準の作成、停電事故防止のための技術基準の作成等につとめておりますし、それから電気事業者のサービス管理の強化をはかっております。  それから二番目の、広域運営の推進につきましては、従来の推進母体である中央電力協議会の強化をはかっており、資材共用、復旧要員技術交流等にについても、その促進を現に指導いたしております。  それから未点灯部落の解消につきましては、未点灯部落解消計画の作成を指導いたしますとともに、各社においても委員会を設け、未点灯部落解消の方途を検討するよう指導いたしております。  公共補償の適正化につきましては、建設省において公共補償に関する基準の作成につとめており、当省も建設省と密接に連絡をとりつつ、この基準作成に努力をいたしたいと思います。  水力開発の促進につきましては、早急に水力開発懇談会を設けまして、水力開発推進の方途について検討を開始しておりますし、また、電源開発を主体とする水資源の総合開発調査実施することとし、それに必要な経費については四十年度において要求しております。  復元問題については、その後、東京都が解決をいたしましたが、残された山口県、宮城県、都留市についても、早急に解決されるよう、関係者に強く要望しておるような次第でございまして、一応附帯決議についてのその後の経過を申し上げた次第であります。
  71. 藤田進

    藤田進君 たくさんあるんですが、どうも残念です。大臣、何の御用か知らんが、GHQもないんだが……。きょうは初めてだからなんですけれども、今後はひとつ委員会を十分尊重するようにお願いしたい。  まあ予算関係に付随して火急の問題としては、いま申し上げた電気税論争の中でも出てきた電気ガス税であります。これが総理は、当委員会に出席を求めたおりに、これは悪税だ、自分はもうこれが撤廃が持論、またここに速記録もありますが、もう火急にこれを撤廃するようなニュアンスを持った答弁をされているわけです。これは大蔵省あるいは自治省等関係もありますが、四十年度で総理答弁のように撤廃になる、事後措置は別途講じるということになりますかどうか。  それからその次は、海外エネルギー事情調査団の調査報告が私どもの手元にも出されております。これは中間報告としてのものが手元にございます。一読してみたところ、必ずしもどうも私どもの満足すべきものではありませんが、しかし、こういう報告がなされておるものを、今後どうわが国エネルギー政策の中に織り込まれようとするのか、あるいは一つの恩典旅行的なものになってしまうのか、具体的にひとつお伺いをいたしたいのであります。
  72. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 電気ガス税について通産省といたしましては、来年度の税制改革の中で全廃してもらいたいということを強く意思表示をしているわけであります。しかし、この問題については、御指摘のように、大蔵省、自治省といろいろ関係がございまして、私どもの希望どおりにいくかいかないかは、これは別といたしまして、全廃の強い線を打ち出していることを御了承いただきたいと思います。  それから海外技術調査団の報告、それに伴う問題でありますが、これは皆さん方のお手元に報告書が配付されておると思いますが、その報告書の配付と大体同じ時期に、私に対しても報告があったのでございまして、まだきわめて報告を受けた後短期間でございまして、具体的にこの報告を受けてどうするかということについては、結論を出しておりません。しかし、この報告を待つまでもなく、やるべきことにつきましては、今度の予算要求の中で相当考えておるつもりでございます。
  73. 田畑金光

    ○田畑金光君 いまの藤田委員の質問に関連しまして通産大臣に、それから企画庁長官ということにもなりますが特に先ほど企画庁長官のお話の中で、どういう意味か知りませんが、七月は六月に比べて若干生産の伸びが落ちておる。また、コール市場の資金が一兆円あるいはその前後になっておるということ、ただし、コール市場の金利が三銭六厘ないし七厘、また、公定歩合を引き上げたが、金利は大体二銭二厘前後にきておる。これは経済の正常化、金融の正常化ということかどうか知りませんが、それに関連しまして、これは特に私は通産大臣にもお尋ねしたいのですが、そのように企画庁長官からお話がありますので、コール市場に資金が集まって、しかも、それが三銭六厘ないし七厘の高金利を呼んでいるということ、そのコール市場の一体集まってくる資金源というものは何かというと、われわれの知る限りにおいては、それは大体信用金庫とか相互銀行、地方銀行の資金がコール市場に出回って、そういう高金利を呼んでいる、こう見ておるわけです。すなわち、金融引き締めがそういう形になってコール市場の金利高を呼んでおると、こういうことだと思うのです。そういうことを見てきますと、問題は、信用金庫、相互銀行あるいは地方銀行の資金は元来中小企業業に回るべき資金源でなければならぬと、こう思うのです。そうでなくて、これがコール市場に出回っておるということ、ここに私はやはり大さな問題があるのではなかろうかと、こう思うのです。先ほど通産大臣も、あるいは中小企業庁長官も、財政投融資を見られて、来年はこのようにふやしているじゃないかと、こういうお話ですが、政府金融機関、特に中小企業金融機関の中小企業への貸し出しの金額というのは、銀行一般の中小企業貸し出しの金額に比べると微々たる額なんです。要するに、中小企業近代化あるいは中小企業資金手当てをやるとすれば、こういうコール市場に回る、中小企業に本来回るべき資金というものについて、もっと中小企業に回るような仕組みというようなものが政策的な措置としてとられてしかるべきだと、こう思うわけですが、この点について通産大臣はどのように考えておられるかということが第一点。  それに関連して第二点としてお尋ねしたいのは、こういう形になってくるのも、結局それはいまのわが国の高度経済成長政策は言うならば借金政策である。特に都市銀行というのは、御承知のように、オーバー・ローン、それからまた、企業はオーバー・ボローイング、ことにわが国企業資本の最近の構成を見るならば、御承知のように、ますます他人資本がふえて自己資本の比率が減っているということは、御承知のとおりだと思うのです。自己資本は二六%前後だと記憶しておりますが、そういう形、すなわち、都市銀行のその借り入れ政策、それがやはりコール市場の資金まで借り入れて大企業に貸しておるという形、しかも、それだけでは足りないから、日銀から金を借りているという始末、なおそれで足りないから、外国から金を借りる。それでアメリカでは利子平衡税という法律ができた、そういう始末だと思うのです。いわば高度成長政策が借金政策で成り立っておる。その借金政策が大企業中心の政策で、そういう政策のもとで中小企業の近代化、農村の近代化というのは、これは総裁選挙のときから手形にすぎないということは天下周知の事実ですが、そういう大企業偏重の政策をとっている限りにおいて、幾らあなた方が財政投融資の中小企業の三機関について今度はこうふやします、こうふやしますといって、この説明を見ても、たとえば予算の三割増がそのままとれるはずがございません。また、企画庁長官の立場からいうならば、経済のこの過度の設備投資や、あるいは過度の鉱工業生産水準を押えるためには、できるだけ財政面を締めていかなければならぬという一つの要請も出てきているわけです。そういう点から見たとき、私はこういう問題について、もっと根本的に考えてもらうべきだと、こう思うのです。特に通商産業政策をあずかっておられる通産大臣の立場に立って、いま言ったようなわが国の借金政策、経常収支は、先ほどの長官のお話によれば、五億ドル以上の赤字が予想される、こういうわけですね。それで、資本収支によってそれを補っておるというのですが、その資本収支だってもこれは借金政策。そういうことについて、この際、通産大臣は通商産業政策、貿易政策をあずかる責任者として、こういう面についてどのようにお考えになっておられるのか、この点、先ほどの質疑応答で感じましたので、ひとつこの際、御見解を承っておきたいと、こう思うのです。
  74. 櫻内義雄

    国務大臣櫻内義雄君) 御指摘のように、コール市場に資金が集中してきておる、そうして、その資金源はどこか、こういうことで信用金庫、相互銀行、地方銀行をおあげになりました。私は所管ではございませんが、お話のとおりだと、私もそういうふうに見ておるわけであります。で、これは中小企業やあるいは農村に対する金融に、かような事態を放置しておくことは大きな影響があることでございますから、私といたしましては、所管の通産局に対しまして、すなわち通産局長に対しまして、こういうことのないように、これは局ごとに金融の懇談会をやっております。そういう機会をとらえて、かようなことのないように協力を要請しておるというようなわけであります。また、最近の中小企業の倒産の実情等にかんがみまして、さらに、特にこの倒産の実情が深刻であるからよく協力をしてもらうようにということを、長官から局長に対して指示を最近与えたようなわけであります。  なお、自己資本と他人資本の関係についてのお話がございました。たしか、おっしゃったパーセンテージは間違いがないように私も思います。二六・七%と思うのでありますが、この点につきましては、今回の税制の改革に際しましては、自己資本をできるだけ保有できるような、そういう措置を講じてもらいたいということで、いろいろといま具体的な案を検討しておるようなわけでございます。
  75. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) ただいま通産大臣から大体の御答弁を申し上げましたが、私が申し上げましたのは、そういうふうにコールが一兆円前後も集まっておるという事態は何を物語るか。それは銀行の手元について言えば、非常な逆ざやでございます。したがって、逆ざやの状態というのは、一時的にはそれは相当存在し得ますけれども、そう長続きをするものではないというのが常識的な見解じゃなかろうかと思います。そういう意味で、そういう状態がだんだん少なくなるということは何を意味するかと申しますれば、結局、設備投資に対するところの融資がだんだんと金融面から押えられていくという過程を通るだろうという意味で、このままの状態の引き締め態度をとっていけば、さらにいわゆる引き締めの効果が浸透してくるということになりはしないかということを申し上げた次第であります。  なお、金融の引き締めは御承知のとおり、日本銀行を通じて行なわれておるわけでございますが、日本銀行と取引のあります銀行というのは、都市銀行を中心にしておるのでございまして、地方銀行にはあまりございません。そういうふうな関係で、公定歩合の引き上げなり、窓口規制なりを通じて引き締められる対象は、主としていわゆる大企業でございます。都市銀行が相手にしておるところの大企業でございます。したがって、そういうふうな異常な状態がだんだん解消されていくということになれば、それはつまり地方銀行、相互銀行、信用金庫または農業団体にしても大手のものだと存じますが、そういう方面から吸い上げられてくる資金がだんだん緩和される傾向になりはしないか、かようにいま考えておるような次第でございます。
  76. 藤田進

    藤田進君 どうも残念ですが、問題が多いのでしぼってお伺いしたいと思います。  まず最初物価問題でございます。御所信の一端には、外貨事情について楽観説、その他、楽観説を展開しながら、しかし将来への悲観説といったものがうかがわれるわけで、一体どうも、どうなるのか心配であります。ことに外貨事情については、御指摘にもありましたが、確かに、われわれの手元にいただいている指数から見ても、原材料の在庫指数はかなり減少しております反面に、製品在庫等々はやはり停滞、累積をしてきているように思われます。ですから、必ずしも総合収支等に楽観説の根拠を持つことはできないと思いますが、これと関連を持ちつつ、将来問題となるのが、わが国物価問題であります。なるほど四・二%に押えたいということで努力されてきたことと思いますが、ことに、いわゆる公共料金の一年間のストップということで、これが強行策を講じてまいられましたが、新長官とされては、一切上げるのじゃなくて逐次上げていくとか、あるいは来年度物価見通しというものを策定して、これに見合う公共料金の改定、値上げというようなことを言われてきたと思います。しかし、当面、大蔵省では補正予算という追加予算に関連して、消費者米価が出てまいります。あるいは国鉄は運賃値上げ、ことに通勤、通学、パスの値上げ、これに水道あるいはその他のバス料金等々入れますと、爆発的にこれは料金改定が出てくるのではないだろうか。その経営内容において黒字経営というものがきわめて少なくなってまいります。この点については、私はどうも物価がお説のように、本年度四・二%、来年度三・何%というふうに、安定というか、これが押え得るかどうかについて疑問を持つわけであります。この疑問を解くべく、ひとつ企画庁長官の御説明をいただきたいと思います。
  77. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先ほども説明申し上げましたように、昨年の暮れ以来、消費者物価は大体安定と申しますか、安定的な傾向を示してまいっておるのでございますが、これはむしろ、たとえば台風がなかった、野菜が非常によかった、暖冬でもって、冬もまた野菜の供給が豊富だったというふうな、主として生鮮食料品の値上がりがほとんどなく、むしろ一部には値下がりがあったというようなことが結局幸いしまして、全体の物価指数としては安定を示しておるというのが現在の実態であろうと思います。したがって、今後、たとえば野菜の供給が非常に不足する、または天候の異変があるというふうな場合に、それを契機として消費者物価が上がるというふうな危険性があるということを私どもは常に心配をしておるわけでございます。それで、ただいま御指摘のありました、本年の一月に閣議決定でもって、十四項目にわたるところの物価安定対策というものを決定いたしました。それぞれ各省でもって実施をいたしておるわけでございますが、その中の一項目として、公共料金の一年間ストップという措置がとられたわけでございます。それで、この措置は、もちろんこれは変則的な応急の措置でありまして、こういう措置をずっと続けるということは、幾ら自由主義経済のもとにおいても、また収支を変えていく企業を相手にする場合におきまして、そう続けるべきでないということは当初から考えておった次第でございます。したがって、一年の期限がまいります来年の一月以降どうするかという問題がさしあたっての問題でございますが、私どもは応急措置であるからこれを引き続きずっとストップを続けていくんだということはできませんけれども、しかしながら、消費者物価全体の情勢がそういうふうに相当心配な状況にあるということを絶えず念頭に置きながら、たとえば公共料金につきましても、ケース・バイ・ケースに一つ一つそれぞれその企業状態または経理の内容等を審査いたしまして、そうして全体に対する影響考えながら措置をしていく、そうして、それが爆発的なムードになるということを避けまして、そうして全体の消費者物価にそれほど影響を与えない範囲で、漸次企業としての存立もなし得るような方向に持っていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。もちろん、このことは、言うように簡単な問題じゃございません。非常にむずかしい問題でございますが、慎重の上にも慎重な態度をもって、一々検討しながら、影響等も考えながら、時期も考えながら措置をしていく、こういうふうに考えている次第であります。
  78. 藤田進

    藤田進君 おっしゃるとおり、そう簡単なものじゃないと私思います。会社の企業経営、内容、実態も見ながら、かつ物価に与える影響も見ながら適切に処理するというのは、文句では言えるけれども、いま、あれじゃありませんか、公共料金という範疇に入るものでも、かなり広範に、この値上げ要求が強い。そうすると、各企業において、どの程度赤字はがまんしろと言うのか、まあ赤字黒字とんとん経営までは、料金で見てやるというのか、これはなかなか全国的に見て、一つ基準が必要かもしれませんが、私の見るところでは、黒字経営というのはそう多くないと思います。あなたの詳しい広島、私の地元で見ても、バスをとってみても、本年度一社黒字だと言われていたものが、下期あたりからあやしくなって、もう黒字は一社もなくなる。十五社ありますがね。それぞれ調べております。これは経理の内容については十分検討、メスを入れる必要も私はあると思いますが、こうなってくると、お伺いしますが、四・二%の当初見通し、これはもう絶対に押える、その範疇で値上げというものを考えるというように私ども受け取っていいのか、この点はどうなりますか。
  79. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 一月の閣議決定の際にも、公共料金について、中小企業等でその及ぶ影響がきわめて軽微なものについては、別途例外的に措置するという例外条項をつくっているのでございます。その例外条項に基ずきまして、先般来、いわゆる私ども「とら刈り」と言っておりままが、一つの県内で、他の地域は全部順次料金の値上げを昨年中に認めたのに、たまたま申請がおそかったためにそのストップにかかって一カ所だけまたは二、三カ所だけが残っているというような地域がちょいちょいございます。そういうふうに公共料金の認可というものは、申請があるつど、その申請を審査して、それぞれ決定していくということをやっておりますために、一つの時点を切って、これからあとストップだと、こうなりますと、その間どうしても調整を要するものがございます。そういうものについては、先般来ぼつぼつ調整をいたしておるのでございます。  ところで、どこまで一体赤字を認めるかという問題、これはまあ非常にむずかしい問題でございますが、時間的のの問題もございます。まあ現に値上げをしておって、そうしてまた赤字になったから上げていただきたいというのでは、たとえば赤字であっても、もう少し生産性の向上なり合理化に努力してもらってもいいのではないかと思われるものもあろうと思います。したがって、一律には申し上げかねますが、ここに相当めんどうな調査までいたしまして、措置をしていきたい、こういうように考えているわけでございます。  ところで、物価全体については、今年の一月の見通しで、消費者物価四・二%という見通しを立てまして、その範囲でやっていく、こういう根本方針を掲げておるわけでございます。しかし、私どもは、この四・二%の範囲で是が非でもおさめたいということで、金融政策の引き締めもその大きな柱の一つでございますが、その他、各般の政策にわたって、ぜひその範囲でおさめるような、あらゆる努力をいたしたい、かように考えておるのでございます。おそらくは、今年度内でおさめ得るんじゃなかろうかと思いますけれども、しかし、これは藤田さんもよく御承知のとおり、物価というものは、これは結果でございまして、あらかじめ予定してこうするんだというても、いろんな政策の積み重ねが結局ここえ出てくる、その一つ一つの政策というものをそう的確に把握するということはとうてい困難でございますし、ことに、それが民間経済動きというものによって左右される。いわば結果として、ツケができたようなものでございまして、したがって、四・二%があるいはもっと少なくて済むか、あるいは多少上回るかということは、結果について見るよりしようがない。しかしながら、私ども考え方としては、是が非でも四・二%の範囲でとどめるんだ、こういう決意を持って各般の施策を調整していきたい、かように考えておる次第でございます。
  80. 藤田進

    藤田進君 自由主義経済とやらいうのは、そういうつかみどころがないものだということはよくわかりますが、これはまあ次の委員会があるようですから、最後にお伺いしておきますが、地方行政委員会で、過般の四十六国会末期に、工業整備特別地域整備促進法に関する附帯決議の中で、政府は次の諸点のすみやかな措置を講ずることになっております。そのうちで地方産業開発については、すみやかに本法——つまり工特法ですね、並びに新産業都市建設促進法等の関連法をあわせて根本的に再検討することになっているわけであります。これは政府も、宮澤企画庁長官が答弁いたしまして、このようにやるということになっておりますが、このことは検討されつつあるのか、また、これが、立法措置が臨時国会並びに来るべき通常国会に出し得るのかどうか、これは当然お出しになることになっているはずですが、お伺いしておきたいと思います。
  81. 高橋衛

    国務大臣高橋衛君) 先般の工業整備特別地域整備促進法でございますか、この法律についての附帯決議、よく承知をいたしておりまして、この御趣旨を体してただいまいろいろと研究を続けておるところでございます。ただ、しかし、藤田さんも非常によく御承知のように、非常にたくさんの法律がそれぞれの歴史と沿革をもってでき上がっておる問題でございまして、この調整はなかなかむずかしい問題でございます。それで政府といたしましては、そういうふうな個々の地域特別法をつくります際に、常に国土総合開発法との関連をうたいまして、その国土総合開発法の方針に基づいて、それに反しないようにやっていくのだということを法律に明記をいたしておるような次第でございます。具体的には、その間混乱が起こらないように経済企画庁で全部の調整をいたしておりますので、さしあたり、そのどこかに急に支障が生ずるという問題ではないことを御了承願いたいと存じます。
  82. 藤田進

    藤田進君 まあ了承はしませんがね。
  83. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五分散会