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1964-07-31 第46回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月三十一日(金曜日)    午前十時三十分開会     —————————————   委員の異動  七月十三日   辞任      補欠選任    吉武 恵市君  古池 信三君  七月十四日   辞任      補欠選任    古池 信三君  吉武 恵市君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     梶原 茂嘉君    理事            赤間 文三君            上原 正吉君            近藤 信一君            田畑 金光君    委員            大谷藤之助君            川上 為治君            岸田 幸雄君            剱木 亨弘君            吉武 恵市君            阿部 竹松君            大矢  正君            椿  繁夫君            中田 吉雄君            藤田  進君            鈴木 一弘君            奥 むめお君   国務大臣    通商産業大臣  櫻内 義雄君    国 務 大 臣 高橋  衛君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済企画政務次    官       伊東 隆治君    通商産業政務次    官       岡崎 英城君    通商産業政務次    官       村上 春藏君    通商産業省企業    局立地政策課長 荘   清君    通商産業省軽工    業局長     倉八  正君    中小企業庁長官 中野 正一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調  査(産業災害等に関する件)  (山陰及び北陸地方豪雨による商  工関係被害状況に関する件)     —————————————
  2. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打ち合わせ会協議事項について御報告申します。  本日は通産大臣経済企画庁長官政務次官の就任のごあいさつを伺い、適当な時間に産業災害等に関する件の質疑を行ないまして、なお、山陰及び北陸地方豪雨によりまする商工関係被害状況等説明を聴取することにいたします。     —————————————
  3. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) この際、岡崎通商産業政務次官及び村上通商産業政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、これを許します。岡崎通商産業政務次官
  4. 岡崎英城

    説明員岡崎英城君) このたびの内閣改造によりまして、通商産業政務次官を命ぜられました岡崎英城でございます。どうか、浅学非才の者でございますが、皆さまの絶大なる御協力を賜わりまして、職務を遂行さしていただけますよう、心から祈念いたしているものでございます。何とぞよろしくお願いいたします。
  5. 梶原茂嘉

  6. 村上春藏

    説明員村上春藏君) 私も、今回の内閣改造によりまして通産政務次官に就任することになりました。私国会に出ましてから運輸、建設とやってまいりました。通産行政というものはほんとうに全くのしろうとでございます。皆さまの御指導、御鞭撻によりまして、この重責を果たしたい、こう考えております。何ぶんの御協力をお願いいたします。     —————————————
  7. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、産業災害等に関する調査を進めます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 産業災害について、本来ならば、大臣出席のもとに御質疑をいたすわけでありますが、閣僚会議があるそうでございまするから、大臣質問の点を避けまして、関係当局に若干の質問をするわけであります。  昭和電工川崎工場爆発につきましては、当委員会も当時爆発のありました翌日さっそく政府から説明をお聞きいたしますると同時に、同僚議員からいろいろと監督行政の一本化の問題や、あるいは犠牲者に対する補償の問題等中心といたしまして、論議が展開されたのでありますが、政府においてもその当時善処したいという態度が表明されておりますので、本日は重複を避けて、一連の災害についての面に対して若干質問するわけであります。  昭和石油新潟製油所地震による火災事故でありますが、この事故では屋根つきタンクからの発火は免れておりまして、近代的だと言われておる新しくできた浮き屋根式で、最も安全性が高いと、こう言われておったはずのタンクから火の手が上がったということが、その後の調査によって指摘されておるわけであります。これは一つのあの地震の場合に例をとりまするならば古い橋が、万代橋ですか、あのほうが何とも被害をこうむることなく残っておるにもかかわらず、完成間もない、近代的技術を導入して建設したと言われた昭和大橋がくずれ落ちたという事実と全く同じようなケースでなかろうかと私は思うわけでございますが、最近われわれの常識に反しまして、かえって、天災に際しては古いのは強くて新しいのが弱い、こういうふしぎな現象を露呈したわけでありますが、その原因を徹底的に究明するとともに、今後の対策をどうするか、こういうことが重要な点でなかろうかというふうにも思いますが、そうして将来の問題については、そうした点を検討する必要があろうかと、こういうふうに思うのです。火災防止のためには過般の委員会でも言われておりまして、消防法に基づく消防当局だけの対策、こういうことでは私は近代産業の粋を集める、また監督する通産省としては、はなはだ無責任の感があると私は思うのですが、通産省自身としてこれらに対する対策なり研究、こういうことを十分にされまして、あのような災害によって多くの人が犠牲になるというふうなことは避けるべきでなかろうかと、こういうふうに私は思うわけでありますが、まだこのことだけでなくして、その後にも部分的に中小の石油関係爆発事件はしばしば新聞にも報道されておるわけであります。こういう面について通産省としてはどのように将来考えていかれるのか、まずこの点から御答弁を願いたいのであります。
  9. 倉八正

    説明員(倉八正君) 最初の石油災害でございますが、これは私の担当ではございませんで、私から決定的なことは申し上げられないと思いますが、たとえば昭石タンク爆発というのは、一般的に言いますと、地下構造の強度というものと、そこに載せる容量比重というのが、私はそこで逆比例になっておったのじゃないかと思います。非常にやわらかいところに大きい重いものを載せて、それが地殻の地震という構造変革にあいまして、それが急激な衝撃を受けた、あるいは静電気が発生した、こういうことでありまして、この場合につきましては、今後これら施設地下構造というものと平均のとれた施設ということを考えて進めていくというのが一番必要なことではなかろうかと思います。  それから後半の御指摘にありました災害の場合でございますが、この場合の近藤先生指摘災害は、主として火災のことだろうと思いますが、あるいは爆発だろうと思いますが、根本的には私は三つ問題があるだろうと思います。一つ工場レイアウトするときに、たとえば火災が起きても、それが第三者被害を生じないように多く地面をとる、こういうような一つの問題と、それから第二が、施設そのものを厳重に完備したものをつくり上げるというのが第二。それから第三は、危険物であるというPRをもっとすべきではなかろうかと思います。それでそのレイアウト自身につきましては、もう少しはっきりここが工場地帯、ここが住宅地帯、あるいはここがビジネスセンターというふうな、そういう大きい意味レイアウトから始めなくてはいけないだろうと思いまして、それは通産省においても主として企業局中心にして考えておる問題でございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 たとえば新潟地震の際に、これはアパートの住宅がくずれ落ちることなくそのまま倒れた。半分倒れておるのですが、傾斜して倒れておる。あの場合にもやはり地盤関係もあるのでございましょうが、ああいう建物でもくずれ落ちることなく倒れておる事実がある。たとえば石油タンクなんという危険度の高いものについて、それが地震によって若干の亀裂を生じたかどうかは私は知りませんが、そういうのが火をふくということは建設自体にも安全性ということがなおざりにされたというふうな感を私は抱くわけなんですが、そういう建設に対する何といいますか、行政監督の点は、これは通産省消防庁かどちらですか。私はその建設の面はもちろん通産省であろうと思うのですが、この点についてどうですか。
  11. 倉八正

    説明員(倉八正君) タンク容量に対する比重、あるいは構造とその材質につきましては、これは消防法対象に、所管になっておるのが現状でございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 これはあとから私また質問するわけでありますが、そういう点が官庁のなわ張り的な関係があるからこういうふうな事故が起こる一つ原因にもなっておる、そういうように私は思います。  次に、続いて爆発事故のありました品川の倉庫爆発事故でありますが、この事故は、役所所管の上では、倉庫所管する運輸省と、消防関係消防庁と、こういうことになっていると思いますが、爆発炎上した硝化綿、それからアセトンという化学品製造については通産省所管であると私は思うのですけれども、この事故原因はその後の調査硝化綿自然発火と見られておるようでありますが、事故を大きくしたのは、消防署の警告を無視して野積みにされていた硝化綿のためであるというふうに思うわけなんですが、この点で宝組消防法違反で告発されておることは新聞でも報道されております。この際通産省に伺いたいのは、硝化綿はなぜ火薬取締法対象になっていないのかということでありますが、火薬取締法対象になっておれば、その貯蔵につきましてはきびしく制限されていなければならぬというふうに思うんですが、その対象外であるがために、大きな爆発火災の危険のあるものが通常の倉庫に入れられておった。そして保安対策については全く軽視されているんですが、日本全国事故寸前の状態にあるところがほかにも私はたくさんあるだろうと思うのです。火薬取締法対象外のもので今回のように火薬と同様の爆発危険性のあるものがどのくらいあるのか、そうしてこれらについてその保安対策上真剣に討議してもらいたいと思いまするが、これについてどのような見解を持っておられるのか、この点いかがですか。
  13. 倉八正

    説明員(倉八正君) 御指摘を受けました点が三つあると思いますが、第一に、なぜ火薬取締法対象としないかということでございますが、この硝化綿というのは湿潤度が二三%以下のものを火薬類、こういうふうに現行法では指定しております。そういうことをした原因というりは、硝化綿というのは、もちろん爆薬にも——主としてダイナマイトの原料として、使われるのでありますが、そのほかにセルロイドになってみたり、あるいは塗料、ラッカーの溶剤になってみたり、こういう工業原料に使われるものがきわめて多いという重要原料でございます。そういうことが一つと、それからこの火薬という範疇は、大体一つの世界的に常識的な基準がございまして、何%以下のものを火薬というとかというようなことがありまして、いま各国の例を見ましても、硝化綿湿潤度、いわゆる平たいことばで申し上げればしめりぐあい、これが二三%以上のものは各国ともこれを火薬類でない取り扱いをしております。そういう関係でわれわれといたしましても火薬取り締まり対象にしていない次第でございます。  それから第二に、そういう火薬類には指定されていないが、火薬に類するようなものが幾つあるか、どのくらいあるかという近藤先生の御質問でございますが、これは数え方にもいろいろあると思いますが、このほかにまあ十ぐらいはあろうかと思います。たとえばパーメックだとか、それから石油自体もこれは大きく考えれば一種の——一度に引火させますと爆発するわけでございますから、たとえば石油をこういうものに載せていいかどうかは別としまして、類するものとしては石油考えられる、あるいは燐も考えられるということで、分け方はいろいろございましょうが、十前後はあるのではなかろうかとわれわれは考えております。  それから第三の、こういう危険物について、取り締まり対象消防法かもしれぬが、生産を担当しておる通産省としてはどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、われわれとしましては、こういう爆発に非常に反省をしまして、この各つくるメーカーに対しましていま指令を発しまして、さらに厳重なたとえば管理をしろ、あるいは包装につきましてももっと具体的な、たとえば横に倒すのはいかぬ、あるいは口を厳重に締めろとか、そういう技術的な基準がございますが、そういうことを指令しております。それから今後の問題としましては、こういう問題をどう取り扱うかということについては、根本的にやはり消防法所管しておられる自治省とも検討していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 私が調べたところによると、昨年八月末現在で、全国における危険物製造並びに危険個所というのは十三万三千カ所それから東京都内だけでも二万四千カ所もあると、こういう数字でございますが、特に東京だとか大阪だとか、また京浜地区だとか、こういう密集した所にこういう危険物があるということは、一たび事故が発生した場合にその被害を大きくする、こういうことは明らかなことでございますが、こういう京浜地区にいたしましても、それから阪神地区にいたしましても、非常に産業的に高度の発展を見ておりまして、いまこれらの個所にあるのを移転せよと言っても、これははなはだ無理な話であろうかと私は思うのでありますが、それだけにこの危険防止に対する保安上の対策というものを当局としてもこれは十分考えていく必要がある。ただ消防法取り締まりによる問題だけでなくして、これは国民全体の問題でもあろうから、そういう点は、私は通産省がもっと積極的にこの対策に乗り出すべきではなかろうか、こういうふうに私考えるのですが、この点はどうですか。
  15. 赤間文三

    赤間文三君 ちょっと関連して。私もいまの近藤委員の御質問には非常な関心を持っておるのでありますが、今度の災害が比較的東京とか大阪とかいうようなところと逢っておったおかげで、私は災害の全体から見れば、非常な事故があったにもかかわらず少ないと思う。しかしながら、東京とか名古屋大阪のようなところで一度震災がやってきて、それについての災害が起こったら、おそらくそれは驚くべきことになるだろう。政府においては、やはり起こらぬ前に災害最小限度に食いとめるだけの方策を講じなければならぬと思う。私は消防法によって産業災害のほうまでやってもらうのはこれは消防じゃなければできぬと思うが、ただいまの近藤委員のように、通産省は高所に立って、産業災害非常災害のときに最小限に食いとめる私は常常からの方策をきめておかなければならぬと思う。そういう点で、私は東京大阪名古屋等震災その他非常災害のときには、災害をこういう方法で最小限度に食いとめる、東京大阪等においては危険物の存在はこういう地域だから、こういう地域については特別のあれをやる、あるいはまた火薬とかいろんな危険物をつくるときには、その間の距離にいたしましても、近隣の状況にしても、十分そういうものを総合的にやはり監督することが必要じゃないか。そうしなければ、いつも大災害が起こってあとから調査して見ても、どうも幾ら学者が集まっても、焼けたあとなんかはなかなかわかりにくい場合がある。今度こそ、こういう地盤沈下による災害もいろいろあるわけです。震災による災害もある。こういう点から、根本的な通産省としては災害最小限度に食いとめる方策があるのじゃなかろうか、それの概要をひとつお示し願いたい。  それから将来については、まあ大阪なら大阪の例をとっても、具体的に大阪は非常に地盤沈下しております。地盤沈下しているところは危険なものも多いと思う。これを例にとって、通産省大阪災害のあった場合、大体各省と連絡をとって、こういうふうな災害最小限に食いとめる案があると、常々から研究になって、また一部では幾ら安全性をとるべきであるとそれを公表しておる。それをただその日暮らしで、よそに災害があれば、調査をして将来起こらぬようにするという、それはけっこうでありますが、大都会の東京大阪名古屋については、具体的な例をとれば、震災が起こって火災が起こるというような場合、沈下の場合もあれば、あぶないところもある。そういうものについて、ひとつ通産省の方針なり案を話してもらいたい。それを管轄が違うから、それは消防法だとか、これはこうだとか言うが、それは事実はそうだろうと思うのですが、やはり産業災害についての元締めは、一応産業的知識のある通産省消防の上に立って、通産省連絡をとってやる、そういうことが今日まで大きく欠除しておった。幸いに震災その他いろいろ常々から災害についての案を、抽象的でなくて具体的に例をとって御説明願えれば、非常にいいと思います。関連いたしまして御質問申し上げます。
  16. 倉八正

    説明員(倉八正君) いま近藤先生赤間先生の両先生から、非常に適切な御指摘がありましたが、非常に問題が大きいのでありまして、いま私がここで通産省全体の施策がどうなっておるかということは申し上げられませんが、主として爆発物あるいは可燃性のものについての考え方をアウトラインだけ申し上げさしていただきたい。  近藤先生の御指摘のように、過密地帯にすでになってしまったものと、いまから新設する工場レイアウトに伴う災害というものは、私は分けて考えるべきではないかと思います。と申しまするのは、すでに既存地帯にある工場というのは、必要によっては大きく人煙希薄なところに移転させるという根本問題ももちろんありますが、既存地帯保安の第一は二つあろうと思います。一つは、施設をもう少し近代化して、安全操業をやらせる設備を入れるというのが一つでございまして、火薬なんかについては、すでにそれを始めております。それから高圧ガスについても、すでに最近の合成塔なりあるいは計器については、それをすでに取り入れております。そういう施設の面が一つと、もう一つ災害防止自体の障壁と申しますか、防壁と申しますか、そういうものを取り扱わせておりまして、従来はたとえば二十センチの壁でよかったのが、いまは六十何センチの壁につくれ、それから中に薄い鉄筋を入れろとか、こうしまして、できるだけ災害が起きましても、それが第三者被害がきわめて少いようにするとか、こういうふうないろいろの指導をしておる次第でございます。  それから第二の問題としまして、新設の場合にどうするかというのが、今後の一つ国土計画として私はきわめて重要だと思います。それで外国の例を、これは非常に参考になると思いますが、見ておりますと、指定工場ができますと、そこの何百メートルには近寄ってはいけないという法律を持っている国があります。ところが、日本ではそうではなくて、たとえばいまきわめて人口の少ない、いわゆる一軒家というぐらいのところに工場を立てたら、二年ぐらいすれば周囲が全部町になってしまいまして、災害の危険がきわめて大きくなると、こういうことがありまして、たとえばそういう思い切った法律も、考えとしてはあり得るのじゃないかということと、それからさっきもちょっと触れましたように、新しく工場をやる場合には、いま新産業都市とか工業整備地域とかを指定されておりますが、そのところには、はっきり三つの地域を分けてきめることが必要じゃなかろうかと思います。一つ工場地帯一つ住宅一つビジネスセンターをきめまして、お互いにそこに踏み入らないでやる、こういういわゆる大きい意味レイアウトというのが必要ではなかろうかということで、これはさっきも触れましたように、主として企業局中心として考えております。  それから赤間先生の御指摘になりました、たとえば東京大阪災害が起きたら、どういう指揮系統でこれの緊急の措置ができるかということにつきましては、これはいま総理府の防災会議で今後の大きい問題として取り上げられることになっておりますが、いわゆる産業保安というものを離すべきではないという御指摘には全く同感でございまして、保安がなければ生産ができない、生産を上げるためにはちゃんとした保安が必要だ、こういう意味におきまして、われわれとしましては産業をたとえば認可する、あるいは産業に対して資金をつけてやるというときにも必ずそういう面から指導している次第でございまして、今後この問題につきましては、省内としましても一つの大きい問題としていま検討している次第でございます。
  17. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの近藤委員赤間委員質問に関連してくるのですけれども、通産省災害に対する考え方行き方というのがどうもいまのように消防だけにたよっているとか、消防の責任にしているという空気がどうしても感じられる。大井の爆発現場を見てもわかると思います。簡易耐火倉庫をつくらして、当然消防のほうで許可があったからいいという考え方かもしれませんけれども、ほんとうをいえば、ああいう硝化綿であるとかモーター・オイル等簡易耐火の場合は許さないというような、ほんとう耐火のがっちりしたものをつくる、こういうように考えていくべきであるし、たとえばそういうのは消防のほうで、圧迫するよりは、むしろ一方の通産省のほうから強く指導していかなければならないのじゃないか、そういうように思うわけです。  それから新潟の場合を見てみましても、今度の災害昭和石油があのような爆発をした一方で、市民のほうはどうかというと、ガス供給に非常に困っている。ところが、これは厚生省のほうからもだいぶ論議があったようでありますが、昭和石油であるとか、そういうほうには通産省は頭が行くけれども、市民ガスのほうは頭が行っていないようである。電力は幸いにして東北電力であるとか東京電力あたりからも応援があって、すみやかな回復がされたのですけれども、ガスについてはいまだに回復がされていない。こういう工場中心考え方が非常に強いように思う。そういう考え方で行ったならば、ほんとう産業災害防止ということもできないであろうし、民衆に迷惑をかけるということも変わってこないであろう。その点、工場中心という考え方よりも、あくまでも民衆中心災害防止していこう、そういう考え方に立って、消防よりもこちらのほうの指導が強いようなそういう行き方がなされなければならない。非常に私は今度の災害二つを通じて見てそういう点の不満を感じたわけですけれども、それについてどういうふうにお考えになっているか。
  18. 倉八正

    説明員(倉八正君) これは私よりも官房長あたりが答えたほうがよかろうと思いますが、第一の倉庫施設をもっと危険物を入れる場合には厳重にやれということでございまして、これは私としては全く同感でございますが、これは役所の権限の問題を言うわけではありませんが、これは運輸省の問題でございまして、倉庫業法に基づいて許可されて、消助法に基づいてそれを確認するという仕組みになっておりまして、確かに御指摘のとおりであろうと思います。  それから第二の、工場中心保安考えないで、一般のいわゆる保安、いわゆる第三者保安と申しますか、それを中心にして考えるべきであるということについても全く同感でございます。それでいま工場としましても、決して自分のほうの保安だけを考えているわけではないとわれわれは確信しております。と申しますのは、災害が起きれば、もちろん第三者の方にも御迷惑をかけるのでございますが、一番損害をこうむるのは工場であるし、それからまた労働者の方であるというようなことで、この面につきましては、最近のいわゆる施設の発展によりまして、それをあわせまして各工場とも非常にこれが熱心でございます。でございますが、しかしこの熱心というのはどれだけ無限であっても差しつかえないのでありますから、今後こういうことにつきましては指導をさらに進めていくと同時に、生産保安というのは、これはさっき赤間先生の御指摘にもありましたように、不分離な関係にありますから、われわれとしましても、保安を厳重にして、しかも生産を上げるということに重点を置いて進んでいくつもりでございます。
  19. 赤間文三

    赤間文三君 ちょっと関連して重ねて質問しますが、御承知のように東京でも大阪でも非常に土地の値が高いんですな、われわれが見るところによると。それでやはり工場主にいたしましても、みんなどうしても極度に土地を有効に使おうというのは、これは日本の国に負わされた大きなものだ、それをいろいろ取り締まる規則はあるが、常はそれで私は別にいいと思うが、私が特に尋ねたいのは、非常災害が起こったときに驚くべき——要するにこう集まってくるというか、土地が非常に少ないから効率利用が極度にされておるというのが、ぼくから言うと、反面非常に大きな危険度があるのじゃないかという気がするんです。そういう点で私が言うのは、特に東京とか大阪とか名古屋のような土地が高くて、非常に密集したところには、非常災害のときの産業保全に関する問題を常々から——会議はけっこうですが、会議ばかりやっても、地震はいつ来るかわからぬから、もう常々から現状に対しては、産業工場安全についてはこういう方針をとるという、現実の大阪なら大阪についての産業の安全とか何とかいうものをひとつ特別に具体的に研究になっておく必要があるんじゃないか、そうしていつ災害が来ても、最小限度にこれを食いとめるという用意は当然な責務じゃないか。まあ新潟とかああいうところの災害でわれわれ非常に驚いたんですが、あれが東京とか大阪で起きたら、こうもやっておけばよかった、こういうところにもロスがあったということで、たいへんな問題です。いまのように東京で水が足らぬとか、いろいろな問題がある、これはあわせてたいへんなことになりやしないかと思う。それを通産省はやはり産業の発展をやられるから、消極的に——災害防止にはもっともっと熱意を持って、常々から具体的な案をきめておいて、それを地方住民にまで府県を通じてなりして知らせておく必要がある。こういうことを私さっき尋ねたんでありますがね。個々の取り締まり規則だけでは非常災害の場合に間に合わぬのじゃないかという根本の頭がある。これは疎開なんかと言いますけれども、これは疎開できません。密集化して、土地が高いものだから、できるだけ有効に利用しようとする。こういう点について重ねてひとつ関連して御質問を申し上げます。  要するに、結論すれば、すみやかに具体案をつくって、いつ災害が来ても最小限に食いとめるだけの用意をしたということであれば、非常にけっこうである。どうかその点を重ねて御質問申し上げます。
  20. 村上春藏

    説明員村上春藏君) 近藤先生並びに赤間先生から非常に御参考になる御質問をいただきまして、私もいまちょうど所管事務を盛んに勉強しております。その中におきましても私ども非常に不可解な点がある。ということは、一つタンクあるいはパイプおのおの所管官庁が違う、こういうことがあっては責任の所在がわからぬのでありまして、特に私は赤間先生が非常に御憂慮なさっておる東京なりあるいは大阪なり大都市に大震災が起きた場合にどういう結果になるか。おそらくそういう場合に、水道なんかいま水があるとかないとかいうことは問題でなくて、おそらく水道の管が切れてしまうということを考慮に入れたときに、はたしてどういうぐあいにこれを防止するかというようなことまで含めて、今後通産省といたしましては、ほんとうに真剣に取り組んで研究していく。そして早く結論を出して、皆さまの御憂慮、御心配を、また国民の安全について私どもは責任を持ってこれからこの問題と取り組んでいきたいと思います。そういう意味におきまして十分検討いたしまして、皆さまの御注意におこたえしたいと思います。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 これも過般の昭和電工の爆発事故のときに指摘された問題でございますが、化学工業の急ピッチの発展に伴いまして、増設に次ぐ増設ということが各地で行なわれておるわけであります。先ほど私から申しましたように、特に狭隘な地域に密集する形でコンビナートが形成されているということが現実なんです。最も近代的で安全性を考慮した施設もこの面から見ると、逆に今度は危険が一ぱいという見方ができるわけでございます。化学工業における工場レイアウトの問題は、狭い土地に工場が密集するというわが国の場合に特に重大な問題でございますし、化学工業の保護育成ということは、これはもう通産省としても指導的な立場から指導いたさなければならぬ。これはまことにけっこうなことだと思うのですが、しかし、先ほど来申しましたように、安全と災害防止の面、こういう点が最も重要視されて指導していくという立場になければ私はだめじゃないかと思う。過日も三島地区にコンビナートの問題がありまして、三島市民はこぞってこれに反対した、住民投票の結果反対した。そこで、あそこの市長ば、住民の意思を尊重してコンビナートをつくることは反対だと、こういう意思表示をされまして反対運動を起こしておられる。その反面におきまして、学者などは絶対公害はないのだと、こういうような意見を盛んに新聞に出しておるわけでありますけれども、各地に現実の問題として公害、災害が起こっておるということになれば、私はこの学者がただ机上の上から公害、災害がないということを証明されましても、現実の問題として災害、公害ということがあれば、これは住民としては反対することはもちろん当然なことだと思うのであります。こういう点なども考えまして、やはり通産省は将来特に日本における化学工業の育成ということを考えるならば、はっきりした立場から、はっきりした見通しに立って指導育成する、こういうことでなければならぬと思うのですが、この点はどうですか。
  22. 倉八正

    説明員(倉八正君) 全く仰せのとおりでございまして、さっきもちょっと触れましたように、今後特に石油化学が出てくる場合については、これは一口に申しますと、例外なく臨海工業地帯だろうと思います。したがいまして、これは企業体にある程度の負担はかかると思いますが、たとえば地積をよけいに取るということ、それからたとえば公害の問題になりますと、亜硫酸ガスの問題、その集じん装置など収集装置をもっと厳重にやる、そういうこともあわせましてそれを考えていきたいということで、今後の問題としてはこれが一番大きい話題にもなりましょうし、また現実の問題にもなりましょうから、そういう点は、われわれとしましても十分心がけて処していきたいつもりでございます。
  23. 近藤信一

    近藤信一君 次に、プロピレン・オキサイドが高圧ガス取締法の対象外であったことにつきましては、前国会の六月十二日の当委員会でも議論されたところでございますが、プロピレン・オキサイドは低圧であるために高圧ガス取締法の対になっていない、こういうふうな説明があったと私は記憶しておるのであります。しかし低圧といいましても、可燃性のしかも爆発力の強いものにつきましては、強い取り締まりを考慮すべきであるという意見が出されまして、政府でも、この点につきましては検討するということでございました。今日までいろいろと検討されてきたことと思いますが、もし結論が出ておればその方針を御説明が願いたい。と同時に、過日これも新聞に出ておりまして、倉八軽工業局長御存じだと思うのですが、垂井だったか関ヶ原だったか忘れましたけれども、あそこのタンクがやはりいまの暑さによって、自然の温度によって爆発寸前に達した。そこで消防のポンプを総動員してこのタンクを上から水で冷やしてやっと爆発を防いだというようなことが新聞に出ておったわけなんであります。やはり各工場に、いま化学的なそういういろいろな原料タンクに充満しておることもこれは軽工業局長御存じのとおりだと思うのですが、それらがもし一たん爆発事故を起こしたというときには、やはり工場付近にはたくさんの人家、住家があるということで、これまた危険がそこに存在しておる。こういうことでございまするから、私は低圧でも引火性の強いもので爆発の危険のあるものに対しては、やはり通産当局としてもこれらに対するところの方針をはっきり打ち出していかなければ、爆発してからああすべきだったということでは、私はこれはもうお粗末だと思うのですが、先ほど申しましたように、その後の通産省としての方針をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  24. 倉八正

    説明員(倉八正君) 御指摘のとおりでございまして、プロピレン・オキサイドにつきましては、近く政令で指定いたします。それで、いまその準備中でございまして、これはもうあと十日前後しましたら指定の手続一切を終わりまして、プロピレン・オキサイドのほかに四つぐらいあわせて指定したい、こういうことにしております。
  25. 近藤信一

    近藤信一君 これも前回の委員会で問題になりました工事の下請の問題でございますが、昭電事故の場合に、千代田化工の下請、いわゆる内海建設の再下請という実情がわかりまして、この犠牲者を出したのでありますが、この大部分は下請のそのまた下請、そういうところの従業員だったわけであります。その下請の下請の従業員が犠牲になって、そうしていろいろとその責任の所在というものも、その後についてはいろいろといわれておるわけですが、危険度の高い化学工場の増設工事に対しまして、技術的に不案内な下請——直接の下請ならばいろいろと技術的な点などにつきましても研究をしておられるわけでありまするけれども、下請のその下請——孫請、こういうことばが出ておるようでございますけれども、そういうところにまかせたことが事故一つ原因ということにもなっておるやに当委員会でも指摘された。その当時、前通産大臣である福田さんが、危険度の高い工場建設する場合には、二重、三重の下請をやらせることは将来考えなきゃならぬと、こういうことを言われまして、この点については建設省ともよく打ち合わせをして考えてみなければならぬ、そういうことで御答弁があったわけですが、そこで、現在までにこうした問題につきまして事務当局でどの程度の検討が進められてきたか、この点はいかがですか。
  26. 倉八正

    説明員(倉八正君) やってきたことは政府としては二つあるわけでございます。一つ建設省で、ちょうど昭電の爆発の翌日通りました法律、私ちょっと法律の名を忘れたのですが、そういう場合はその元請、下請、再下請という場合には、何か一つ責任者をきめまして、それが災害中心指導をやるという意味法律を御審議願って通過さしていただいた法律でありますが、建設関係はそれによって建設省は指導しております。  それから通産省としましては、さっそく私のほうで五班をつくりまして全工場調査いたしました。一ヵ月かかりました。そうしてこの場合に、その工事の下請というのは当然あり得る。たとえば工事をやりましても、そこに砂利を運んでくる、そこに大工さんが来るとか、あるいは溶接やら、別から来る。こういうことは社会の実情としては当然あり得ますから、こういう場合については、ひとつ工場長以下工事責任者が必ずそういう方々に、ここにはこういう危険物があるのだぞと、したがいまして大いに注意をしてくれということを必ず工事を始める前に大いに注意を喚起してくれと、こういうことをわれわれは指示しておりまして、いま申し上げましたような五班で回らせたときも、全工場長以下にそのことを徹底させたつもりでございます。
  27. 近藤信一

    近藤信一君 新聞報道によりますると、消防庁では消防法を改正して、ずさんな管理をしておる工場倉庫に対しまして、施設の使用禁止処分という強い態度で臨む方針であるというふうに言われております。しかし、近代産業の保護育成の立場から、これに対しまして通産省側は当然反対の意見が出るものと見られておるので、関係各省と意見調整をしておる旨が報道されておったわけなんです。もしこの報道に間違いがないとすれば、まことに遺憾なことであると私は思うのですが、冒頭に申し上げましたように、重化学工業の急速な発展に伴いまして、生産第一主義、それから営利第一主義の思想が先行しておって、一番大切な面である保安問題、それから人命尊重の考えが軽視されておることが、最近の続発しておりますところの事故の根本原因であろうかと私は思うのです。産業の重化学工業化に伴いまして危険が増大するのは、これは当然でございまするが、化学工業が近代化され、さらにオートメ化されるにしたがいまして、同じテンポで保安、それから事故防止という措置もやはり進歩した対策というものが考慮されなければならないと私は思うのであります。政府におきましても、産業育成上の立場に立たれると同時に、安全確保に万全の予防措置というものを考えられまして、従業員とか、地域住民の安全を最大限に尊重する、こういう施策をあわせて行なっていくべきであると私は思うので、このことはとりもなおさず装置産業である各企業自身にとっての自衛策でもございますし、また産業育成のための方策でもあるわけでございますが、現状はもはや個々ばらばらの不統一な対策ではこれはどうもしようがない、やはり石油化学を含む化学工業全般を通じました抜本的な災害防止施策というものが検討されなければならないと思うわけであります。伝えられるところによりますと、通産省では特殊化学工業保安法、こういうふうなものを制定しようとしているやに聞いているわけでございますが、担当されております軽工業局でこのような構想を現在固めておられるのかどうか、これは単なる新聞報道にすぎないのかどうか、こういう点についてお尋ねをいたします。
  28. 倉八正

    説明員(倉八正君) 三点程度御指摘にありました。全く人命尊重ということは同感でございますが、産業関係をあずかる通産省としまして、決して人命尊重をネグレクトしているということではないわけでありまして、産業の発展とあわせて保安というものも同じスピードで進めているということでございまして、これはひとつ誤解なきようにお願いいたしたいと思います。  それから第二の消防法の改正に対して、通産省は何か工場第一主義という関係で少し異論を唱えているのじゃないかというようなお尋ねであったかと思いますが、これはまだ消防法の改正の内容もわれわれは自治省から連絡を受けておりませんし、それからまた保安という面は、これは一経済上の問題ではなくて大きい社会上の問題でもございますから、それがほんとうに適当であるというならば、これは何もわれわれとしましてはそれに反対する筋はないとわれわれは確信しております。  それから第三の、それではおまえのほうでは何か石油化学の保安法を考えているかというお尋ねでございますが、これは考えております。と申しますのは、いまのばらばらのやり方では非常にまあ責任の所在がわかりません。たとえばここにタンクがあります、それからパイプがつながってここに反応塔がある。このタンク通産省、パイプが自治省、それからボイラーが労働省というふうになっているわけでございます。ところが、生産は、化学工場でございますから一貫して流れる、そういうことで、この保安面につきましても責任の所在と申しますか、その行政の適切化というのが非常に行なわれにくいのでございますから、そういう近代的な石油化学につきましては、工場全体を一本で見る保安法ということをいま考慮しております。しかし、これは各省との問題も相当あろうかと思いますから、案ができ次第各省と打ち合わせて進めていきたいと考えております。
  29. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めて。
  31. 近藤信一

    近藤信一君 最後に一点お尋ねするわけですが、本来ならば、これも通産大臣にお尋ねするわけですが、産業災害、公害はその発生を未然に防ぐと、こういうことに努力するのが基本であるわけでございますが、そのためには、今後問題として適正な工場立地政策を進める必要があると私は思うのです。新産都市やこれに伴う新しいコンビナートの建設については、事前の災害、公害対策というものが工場立地の面で十分検討されなければならない。これは先ほど来私が御質問しておるとおりだと思うのですが、そこで、工場立地の観点から通産当局としては今後どのような考えをもってそうした問題に対処されるのか、この点について御見解を承っておきたいのであります。以上で私の質問を終わります。
  32. 荘清

    説明員(荘清君) 今後工業開発の重要な拠点になります新産業都市とか、工業整備特別地域につきましては、それぞれ法律がございまして、新産業都市につきましては、関係各省協議の上、政府といたしましては、総理大臣名をもちまして、各地域に対しまして今後の建設基本計画を定める場合におきまする基本方針というものを指示いたしておるわけでございます。各県に  おきましては、その政府の示しました建設基本方針に基づきまして、現在それぞれ建設の基本計画というものを策定中でございまして、遠からずその計画が政府の承認を求めるために提出されるということになります。工業整備特別地域につきましても、前国会におきまして成立いたしました工業整備特別地域の整備促進法に基づきまして、ほぼ同様の運用を行なうことになっておるわけでございます。その場合に、政府といたしましては、新しい工業地帯におきましては、産業の公害及び災害防止というものを事前に予防するということを重視いたしまして、十分指導につとめておるわけでございます。その場合、特に工業地帯、それからその他の住居地域等との間に十分の間隔をとりまして、災害とか公害が予防されるような計画でなければならないということを指示いたしておるわけでございます。で、その線で計画が承認されましたときにおきましては、政府といたしましては、そういう計画が順序正しく整然と進捗いたしますように、公共投資の面等におきまして十分その線に沿って配慮してまいるというふうに考えておるわけでございます。  なお、通産省直接といたしましては、今後開発が急速に予想されますコンビナート地域というものにつきまして、事前にその地区の気象条件でございますとか、あるいは地形、そういうものを十分に調査いたしまして、どういう地区にそういう工業の拠点を設けるのがよろしいか、したがって、どういうところに港をつくるとか、埋め立てをするとか、一番合理的だということを事前に十分調査いたしまして、各省の施策にそれを反映させていくというふうに考えておるわけでございます。
  33. 近藤信一

    近藤信一君 いま御答弁がございましたが、この石油コンビナートの問題につきましては、私はこう思っているのですが、たとえばいま日本の各地における石油コンビナートを見ますると、比較的工場地帯の便利のよさそうなところにコンビナートが計画されるわけなんです。外国の例を見ますると、これはもう非常にへんぴなところに、何か事故があっても付近に影響を与えないようなへんぴなところ、そういうところにコンビナートが設けられていることを私見てきておるのですが、そういたしますると、やはりこのコンビナートの基本法みたようなものを計画することがいいのじゃないかと、これはまあ私の感じですが、というのは、私のほうの伊勢の海に行きましても、このごろ海水浴に行きますと、からだから海水着に重油のかたまりがぽかぽかたくさんこう流れてくるわけですから、みんなそれがくっついてしまって取れないのです。伊勢の海でもだいぶ暑いので海水浴のお客が殺到するわけですが、だんだんと海水浴客もなくなっていく、年々減っていく。四日市にコンビナートがあって、あそこからどういうかげんか潮のあれで流されて、私も海に行きますると、これくらいの黒いかたまりがぽかほかたくさん海に流れているのです。これがからだにつくとまつ黒になっちゃうのです。ああいうことではきれいな海水浴場もすっかりだめになるし、やはりああいう海水浴にも影響のない離れ島みたいなところへコンビナートなんかつくれば、そう災害、公害というふうなことがないんじゃないか、こういうふうなことを、私感ずるわけなんで、やはりいま御説明がございましたように、将来石油コンビナートの問題については十分研究していく、研究される場合には、やはりそういう影響のないようなところにやられるとか、また基本法みたいなものをつくって公害、災害から守る、こういうふうなことも私は一つの方法じゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
  34. 倉八正

    説明員(倉八正君) いまの海水浴で先生がどろどろになられたというのは、これは石油コンビナートの罪悪ではなくて、これは外航船が流したなにだろうと思います。しかし、われわれがどろどろになることはお互いに遺憾なことでございますが、これは私は石油コンビナートのなにではないと思います。  それから石油コンビナートをつくるときには、できるだけ離島その他の公害の少いところにつくれとおっしゃるのは、これはもう当然のことでございます。ただしかし、経済性をあまり無視しての立地というのも非常にむずかしい問題でございますから、結局経済性を加味した何と申しますか、社会的な不安を除去するという、そのコンバインしたところが私は一番必要ではなかろうか。そのためには、さっきも触れましたように、また立地政策課長も触れましたように、たとえばいま人口希薄のところに工場をつくりましても、はっきりここが住宅地帯、ここが学校区域だと、こう分けておけば、災害も少ないでありましょうし、それからまた、亜硫酸あるいは無水硫酸等による公害も、たとえば出ましても、ほとんど人体に影響はあることはあるまい、こう考える筋もございまして、この点は今後の研究問題としてひとつわれわれに研究さしていただきたいと、こう考えております。
  35. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、高橋経済企画庁長官及び伊東経済企画政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、この際これを許します。高橋経済企画庁長官
  36. 高橋衛

    ○国務大臣(高橋衛君) 先般の内閣改造によりまして、私、経済企画庁長官を拝命いたしました。まことに浅学非才でございますし、また未経験でございますので、何かと不行き届きの点もあろうかと思いますが、ぜひひとつ皆さまの御援助、御協力をいただきまして、職務の遂行に万遺憾なきを期したいと、こういうふうに思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)
  37. 梶原茂嘉

  38. 伊東隆治

    説明員(伊東隆治君) 私、はからずも企画庁の政務次官を拝命いたしましたが、何ぶんにもふなれでございますので、ひとえに皆さま方の御支援、御指導をお願いいたす次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  39. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、山陰及び北陸地方豪雨による商工関係被害状況に関する件の調査を進めます。  まず、政府当局から説明を聴取いたします。中野中小企業庁長官
  40. 中野正一

    説明員(中野正一君) 御指名がございましたので、このたびの山陰、北陸豪雨被害状況及びこれが対策につきまして、御説明申し上げます。お手元に印刷物がございますから、それを読みながら御説明申し上げます。  七月の二日から十九日までの山陰、北陸豪雨によりまする商工関係被害は、さらに詳細を調査中でございますが、現在までに判明したところによりますると、浸水、土砂による埋没、建て物の倒壊等を生じております。被害総額は、現在までのところ石川、福井、新潟、富山、鳥取、島根、六県で約二十八億円でございます。これは直接被害でございます。  各県別には次のとおりでございまして、調査が進むにつれて多少の変動は予想されるところでございます。石川県が四億八千六百万円、福井県が一億三千三百万円、新潟県が八千百万円、富山県が四億二千万円、鳥取県が四億六千万円、島根県が商業、工業、鉱業を入れまして十二億三千五百万円、合計いたしまして二十八億の被害となっております。  これが対策でございますが、山陰地方を管轄いたします広島通商産業局におきましては、局に災害対策本部を設置いたしまして、局長を団長とする調査団を現地に派遣いたしまして被害状況の把握につとめております。  結局、一番大事な施策としては、政府関係金融機関並びに一般の市中金融機関等が、被害を受けた方々に対して、親切にこれが必要な金のめんどうをみるということが一番大事なことでございますので、被災中小企業の復旧資金につきましては、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫及び国民金融公庫におきまして七十億円の災害復興資金、これは新潟地震及び山陰、北陸の今回の豪雨による復旧資金を含めまして、別に従来からあるワク以外に七十億の新しい別ワクというか、追加ワクを確保いたしまして、これの財源につきましては、財政投融資の繰り上げという形で処置をいたしております。これを確保いたしまするとともに、さしあたって七−九月の第二四半期の貸し出し計画に四十億円を追加いたしました。三機関とも、現地にさっそく役職員を派遣いたしまして被害調査を行ない、災害融資について次のような措置を講じております。  第一に、既往貸し付け分につきましては、実情に応じました償還条件の緩和、償還を延ばすというようなことをやっております。それから貸し付け限度の弾力的拡大。中小企業金融公庫につきましては既往貸し付け残高、これは代理貸しについて一千万円、それから直接貸しは三千万円でございますが、そういう残高にもかかわらず、別に一貸し付け先当たり百五十万円、(組合は四百五十万円)以内の新規貸し付けを認めることにいたしております。国民金融公庫では二百万円が限度でございますが、二百万円以内で普通は重複貸し付けは認めておりませんが、災害に限って重複貸し付けを認める。商工組合中央金庫におきましては、実情に応じた弾力的措置をとることにいたしております。  次に、貸し付け期間、据え置き期間についても、それぞれ実情に応じて緩和をする。結局、期間を延ばすということをやっております。  担保の問題でございますが、担保条件も、各機関とそれぞれ弾力的にやりまして、なるべく担保を取らずに迅速に貸し得るようにいたしております。また、貸し付けの手続も迅速化ということにつとめまして、こういうことで復旧の資金の手当て等をいたしまして、対策を講じておるのでございます。
  41. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ただいまの説明に対して御質疑のおありの方は、御発言願います。
  42. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 時間もないようで、ごく簡単にお伺いしますが、七十億の災害復興資金、四半期の貸し出し計画は四十億を追加する、別ワクで繰り上げて、ということですが、これは年度末に別にはっきり埋めるわけでしょう。その点はどうですか。
  43. 中野正一

    説明員(中野正一君) 実はこの政府関係三機関につきまして、すでに第一四半期、第二四半期ともに当初の計画を相当変更いたしまして、いわゆる金融引き締めに伴いまして中小企業に不当にしわ寄せが寄らないようにということで三機関のワクを増加しております。そういう関係ですでに財投は第一四半期、第二四半期とも繰り上げをいたしておりますが、さらに今度の災害によりまして七十億円の——これは全部財投ではございません。手持ちの金もございますが、相当の繰り上げとなりますので、結局そのしりは十−十二月で財投計画を変更して埋め合わせをする。と同時に今度は年末の資金がまた要りますから、それの増加分ということで十−十二月分の計画変更で考えていきたい、こういうふうに考えております。
  44. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この七十億なり四十億のワクの確保や追加は、これの積算の基礎、ここに被害状況が六県出ているのですが、府県別にどういうふうに配分になりますか。
  45. 中野正一

    説明員(中野正一君) 七十億の内訳でございますが、中小企業金融公庫が三十五億、それから国民金融公庫が二十億、それから商工中金が十五億ということで七十億という数字を出しております。各機関とも各地の支店等がございますから、そこでいろいろ状況等を調べまして適正な配分をする、県別にいま頭から幾ら幾らときめずに、機関別の数字をきめておいて、実情に応じて配分をする、こういう形にいたしたいというふうに考えております。
  46. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この三金融機関のワクはわかったのですが、実情に応じてというのですが、大体被害状況に案分しても間違いありませんか。まだわからぬのですか。その点はどうですか。その辺、七十億なり四十億といってもばくとしていて、それぞれの県は一体どれくらいくるかわからぬ。
  47. 中野正一

    説明員(中野正一君) これはいま申し上げましたように、各地の実情に応じて三機関ともそれぞれ調査をいたしておりますので、それに応じて配分をするということのほうが実際的じゃないかというふうに私は考えております。ただ全体の数字を申し上げますと、これはちょっと御参考のためですが、三十四年に伊勢湾の災害があったのですが、このときには中小企業の被害が九百五十二億です。それに対して追加ワクとして百四十億を出しております。それから三十六年の第二室戸台風、これは七百八十六億の中小企業被害があったのでございますが、これに対して、これは貸し出しの実績として六十六億というものが出ております。今度のいま言った山陰、北陸等につきましては、ややその後数字がふえるかと思いますが、大体新潟地震による災害が約百九十億円、それから山陰、北陸が二十八億程度でございまして、まあ二百十億かそこらでございますが、それに対して七十億、伊勢湾のときは九百五十二億に対して百四十億ということでございまして、この追加ワクにつきましては、相当まあ今度の被害の場合は三機関に重点を置いて考えた。したがってこの七十億のワクで、大体私の見通しでは、被害者の方々の要望は大体満たし得るんじゃないかというふうに考えております。
  48. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私、鳥取、島根両県の被害状況を見たんですが、雨量に比べて、まあ雨量はなかなか三百ミリも短期間に降って非常になんですが、幸いなことに山奥に降らずに平たん地に主として降った、そのために土砂を含まない洪水であったものですから、破壊力が非常に少なかったということは、今度の被害を非常に少なくしている大きな原因のようです、専門家に聞いてみますと。ただ米子市などは一メートルも浸水して、商店は品物が水につかったりしたわけですね。こういうのに市が二千万円ぐらい預託をして融資をする、利子補給をするというんですが、それに対しては特別交付金で見るという以外にはないんですか。その利子補給を何らかの措置として中小企業庁として考えられるということはないんですか。
  49. 中野正一

    説明員(中野正一君) 通産省としてその問題について特別の対策というものは——まあ各府県にお願いをして、やっていただくという方針でございます。
  50. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 まあ災害があったわけですから、米子市は十万ちょっとの市ですがね、それで二千万ぐらい市で余裕金を預託して加勢する、その利子補給をやるというんですがね。まあ特別交付金のワクもかなりあることはあるんですが、これの利子補給を考えるということは、いまはない、また将来も考えておられない、その点どうなんです。
  51. 中野正一

    説明員(中野正一君) いまのところ通産省として、それについて特別の手だてということは考えておりません。しかし各府県の実情等もございますので、今後の問題としては検討に値する問題だと考えます。
  52. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 最後に、実情を調査してやるんですが、これはいつごろ大体はっきり仕上がるんですか、各府県別に。
  53. 中野正一

    説明員(中野正一君) 来週の初めには、実は通産省のほうにも府県のほうの代表の方々もお見えになって、私ども直接お話を聞くことになっておりますので、大体そのころまでに最終的なものがわかるんじゃないかと思います。
  54. 赤間文三

    赤間文三君 ちょっと関連しまして、一つだけ。災害のときに、よく風水害のときでも商品が相当災害を受けることがある、水つかりのためとか。そういうものについて将来通産省幾らか何らかの方法を考えてもらうことを希望しておきます。答弁は要りません。考えておいてもらいたい。
  55. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 次に、櫻内通商産業大臣から発言を求めておられますので、この際これを許します。櫻内通商産業大臣
  56. 櫻内義雄

    ○国務大臣(櫻内義雄君) 去る十八日の池田内閣改造に際しまして、私が通産大臣を命ぜられた次第でございますが、まことに微力で不行き届きな点が多々あろうかと存じますが、皆さま方の御理解ある御支援を賜わりたいと思います。  私は、国政の最高機関である国会の皆さま方の御意見を十分尊重いたしまして、これが行政面に反映をさせて、通産行政の効果が大いに上がりますよう、誠心誠意努力をいたすつもりでございまして、本委員会皆さま方におかれましても、何とぞ御指導、御鞭撻のほどをひとえにお願いをいたします。  本日、委員会の開会最初に、さっそくにごあいさつにあがるべきでございましたが、経済閣僚懇談会、閣議等のためにたいへん遅延いたしまして、この点おわびを申し上げ、お許しをいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
  57. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  58. 梶原茂嘉

    委員長梶原茂嘉君) 速記を始めてください。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会