○高野一夫君 農薬そのものが、外部にあるものは、いろいろ専門家の話を聞くと、翌日は五〇%減り、三、四日すると九〇%なくなると言われている。ところが、いまも
お話があったとおりに、いろいろそのまま農薬の毒性、劇性を持った農薬の主成分がそのまま残留する場合と、分解して毒性が減退して残る場合と、さらに、もう
一つは、毒性がかえって増強された形になって残る場合と、こういうふうにある。そこで、国際会議の報告を見ましても、許容量を人間の人体一キロあたりに何ミリグラム、零コンマ何ミリグラムまではいいというような許容量をきめられる農薬もあれば、きめられずに、これはいけないといって、許容量をきめてはいけないというものが区別されて、合計四十五品目ぐらいのものについて報告が去年なされております。そこで、問題は、分解して、いわゆる毒性が減退した形で残る場合と、かえって毒性が増強された形で残る場合とある。これが、その分解はどういうふうに分解されるかということは、もともと化学的成分ですから、化学構造から
考えれば、大体およそ学者のほうではわかるわけであります。しかし、それが植物、果物の中、あるいは蔬菜の中、そういうところでどういうふうに分解されるかということは、机上の、実験室のとおりにはいっておらないかもしれない。そこで、そこを早くひとつ突きとめて、毎日毎日私
どもは野菜を食っており、エンドウを食べている、ナシを食べている、リンゴを食べている、トマトも食っている。その中に残留した農薬があり、そして、その毒性が減退していようが、かえって増強していようがともかくとして、それをずっと朝昼晩、あしたの朝でも食べなければならぬ。九千五百万の
国民が全部そうなんです。それで、その最初使われた農薬のいわゆる急性的の中毒症状というものはないでしょうけれ
ども、それが慢性的にそういう中毒症状が起こると、こういわれておる、学者の中で。そうすると、これはもう農薬そのもので事故死するとか、あるいは自殺の材料に使われるというような問題でなくして、たいへんな私は問題があると思います。毎日毎日食べている、農薬を食っている、農薬の分解物をわれわれの体内に入れておる。きわめて微量であっても、それが連日集積されればえらいことになる。そこで、欧米各国で真剣になってこれをとり上げる、
日本においては、最近ようやく、いま農林省の話を聞くと、三十四年ごろから研究にかかっている、
厚生省の国立衛生試験所で研究にかかっているというのだけれ
ども、百万円足らずの
厚生省の予算でそういうような、そして、わずかの研究員でもって成果があげられますか。五年、十年たたなければ、あなた結果が出ませんよ。これはあらゆるものについて調べなければならぬ。リンゴを調べる——リンゴは規制があるそうなんで、ナシもそうです、エンドウもそうです、トマトも大根も米もそうです。特にわれわれは米を主食としている。その米の中に残っている農薬の
あり方というものが
日本においてつかまれていない。これは私はとんでもないことだと思います。私は、いままではそういうことを知らなかった。ただ、農薬そのものの危険性だけを
考えておった。こういうようなことは、これを私は、
一般の市民、
国民がそういう事態にあることを知ったならば、私は、非常な戦慄を感ずるだろうと思います。だから、こういうことが私は非常に大事なことだから、研究が完成をする、完成をしなければこういう事態にあるということを発表しないというのでなくして、
日本の食品というものは、まだそういう意味において農薬と食品の関係は研究がまだ足りておらない。しかし、そういうような危険性を強調すれば、みんなびくびくして、物を食べられなくなってしまうから困るだろうけれ
ども、そういうような大事な事態があって
政府は一生懸命に研究を進めている、このくらいは
国民に私は知らせる必要がある、それが私はこの問題をここでとり上げた
一つの理由なんです。それと、百万円やそこらでわずか数名の
技術者がおって、農薬
検査所か国立衛生試験所か知らぬけれ
ども、そんな所で研究して、われわれは日常食べている蔬菜からくだもの、あるいは主食の米に至るまで、そういうものの実態が五年たつか十年たつかしなければ一向わからぬような現在の研究
状況では、これはまことに心細い事態だと私は思う。ですから、この点は、ひとつせっかく国際会議も開かれ、
日本からも一名行っておる、どなたか知らぬけれ
ども、出ておられる。そういう
人たちの報告もわれわれはかつて見たこともなければ、聞いたこともない。
もっとも、国会は、議題がなければ
政府のほうから報告されないでしょうから黙っておられるのかもしれないけれ
ども、そういうような大事な国際会議がある。しかも、主食そのほか副食に関する問題が起こったならば、国際会議の結果は、直ちにこういうような関係の国会あたりでは発表され、資料も提供して、いま
政府としてはこういう研究を進めつつあるというようなことを私は堂々と発表されるべきである。われわれは特殊の学者から聞かなければ、こんな問題は私自身何も知らない。たいへんな問題だと私は
考えるのであります。そこで、農薬の問題は農林省であり、
厚生省である。これがまたいろいろ所管争いになるかもしらぬけれ
ども、そんなことはかまわずに、両省が協調してこの問題の早急の解決策を講じなければ私はいけない。私はこういうようないまの遅々たる研究の
状況、そして、危険性が
ほんとうにあるのかないのか、あると言ってもどの
程度危険性があるのか、これさえわかったら、私はパンフレットを配って全
国民に発表しますよ、おそるべき事態にあるということを。外国はそういうことを発表している。だから、外国の
国民は、ドイツでもフランスでもオーストラリアに至るまで全部、ソビエトにおいてもそういうことをよく周知させられて、したがって、
政府、学者の研究を
促進することを
国民が
協力をする、そういう事態にある。
日本では、われわれももちろんそうだけれ
ども、
一般の人は、特殊の学者以外は、そういう問題があることを知らない。だから、そういう研究が、かりに予算を取るとしても、われわれかつて予算獲得でいつも奔走しますけれ
ども、食品の残留農薬の研究に百万円ほしい、何百万円ほしい、何千万円ほしいというようなことで、予算獲得に
政府から頼まれたことは一ぺんもない。それは農林省が三十四年から始めていると言われたけれ
ども、なおかつ三十四年から今日まで丸四年間ある。四年間たってエンドウの中の残留農薬率はどうなっているか、ナシはどうなっているか、そのほか大根がどうなっているか、菜っぱがどうなっているか、トマトがどうなっているか、研究ができておりますか。それは二、三のものはできているでしょう。私は報告を調べてみたが、ナシの中に、たとえば有機燐の殺虫剤、あるいは塩素、あるいは水銀剤、そういうおそるべき農薬がどういう変化を来たして、どういう毒性を呈するということのある
程度の研究が進んでいるにすぎない。これはたまったものじゃないですよ。先ほど来、
藤原先生はじめ、
輸血の問題を非常に大事に取り上げられましたけれ
ども、これも大事で、私も全く同感です。しかし、われわれ全国九千五百万の人間が朝昼晩毎日毎日食べる食品に農薬の分解残物、あるいはそのままのものが浸透しておって、そして残留して毒性を呈している、そして慢性中毒を呈するであろうということの、この大きな問題を
政府も国会も取り上げないわけにはまいらぬと思う。だから、予算が要るならどんどんそういう事態を発表されて予算を獲得されたらいいんじゃありませんか。この問題、大蔵省の役人に言ってごらんなさい。君
たちが食べているものは毎日こうなのだ、金よこせと言えば、彼らは喜んで
協力しますよ。われわれも
協力します。百万や五百万でどんな研究ができますか。こんな大きな問題を、研究者も養成し、
厚生省の研究所、農林省の研究所において十分の
技術者を置いて、そして相当の金をかけて研究しなければならない。百万円ぐらいでできますか。これは私は、きょうはもう時間がないからやめますけれ
ども、もう少し続くかもしれませんが、どういうふうにされますか。百万——九十九万九千円とおっしゃった。あと千円で百万、これで、たとえば国立の衛生試験所の毒性部ですか、そこでいま研究を進めつつある。その金はどういうふうに使われますか。材料なり、いろいろなものを使う、月給も要るでしょう、それでどの
程度本年度の研究が進められると
考えますか。これをまず
一つ当たってみようじゃありませんか。どうですか、お
考えは。