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1964-06-25 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————   委員異動  六月二十五日   辞任      補欠選任    剱木 亨弘君  山下 春江君    大谷藤之助君  山本  杉君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     藤田藤太郎君    理事            亀井  光君            高野 一夫君            藤原 道子君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            徳永 正利君            丸茂 重貞君            山本  杉君            横山 フク君            杉山善太郎君            鈴木  強君            小平 芳平君            村尾 重雄君            林   塩君   衆議院議員    社会労働委員長    代理理事    井村 重雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君   政府委員    厚生政務次官  砂原  格君    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生省児童局長 黒木 利克君    厚生省保険局長 小山進次郎君    厚生省年金局長 山本 正淑君    厚生省援護局長 鈴村 信吾君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生省大臣官房    審議官     伊部 英男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○厚生年金保険法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査) ○船員保険法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○重度精神薄弱児扶養手当法案内閣  提出衆議院送付) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○社会保障研究所法案内閣提出、衆  議院送付) ○国民健康保険に対する国庫負担金増  額等に関する請願(第二号)(第三  号)(第四号)(第一〇三号)(第  二六二号)(第二六三号)(第二六  四号) ○社会福祉関係予算確保に関する請願  (第二八号)(第二九号)(第四六  号)(第七一号)(第一三八号)(  第一五七号)(第一五八号)(第一  五九号)(第一六〇号)(第一六二  号)(第一九五号)(第二一七号)  (第二三四号)(第三七六号)(第  三九一号)(第四一六号)(第五〇  六号)(第八二五号) ○緊急就労対策事業打切り反対に関す  る請願(第三〇号)(第三一号)(  第三二号)(第三三号)(第三四  号)(第三五号)(第三六号)(第  三七号)(第三八号)(第三九号)  (第四〇号)(第四一号)(第四二  号)(第四三号)(第四四号)(第  四五号)(第五九号)(第一〇〇  号) ○福島県新鶴村の簡易水道布設費国庫  補助に関する請願(第四七号) ○医療費窓口全額現金払い制反対等に  関する請願(第七〇号)(第四三九  号)(第二二四二号) ○全国一律最低賃金制確立に関する請  願(第一〇一号)(第五五八号)(  第九五三号)(第一〇一四号)(第  一〇三九号)(第一〇五三号)(第  一〇五四号)(第一〇五五号)(第  一〇五六号)(第一一三七号)(第  一五一八号)(第一九四九号)(第  一九五〇号)(第一九五一号)(第  一九五二号)(第二一七九号)(第  二三一二号)(第二三六八号)(第  二五二九号)(第二五三〇号)(第  二五三一号)(第二五三二号)(第  二七七〇号)(第三〇四三号)(第  三〇八七号) ○母子栄養改善強化並びに児童福祉施  設栄養士設置に関する請願(第一〇  二号)(第一六一号)(第二六五  号)(第二七七号)(第二八六号)  (第三四一号)(第三七七号) ○国民健康保険制度体質改善促進に関  する請願(第一〇四号)(第一三六  号)(第一三七号)(第一五五号)  (第一八八号)(第一九六号)(第  二一二号)(第七〇一号) ○昭和三十九年度厚生省保育事業関係  予算確保に関する請願(第一〇五  号) ○昭和三十九年度厚生省児童収容施設  関係予算確保に関する請願(第一〇  六号) ○結核対策充実に関する請願(第一  三九号)(第二七八七号) ○中小企業退職金共済制度充実に関  する請願(第一四九号) ○児童福祉施設予算確保に関する請願  (第一五六号) ○保育事業に関する請願(第二〇二  号)(第二〇四号)(第二〇六号)  (第二一三号)(第二二七号)(第  二三九号)(第二四一号)(第二八  一号)(第二八二号)(第三〇〇  号)(第三二〇号)(第三二三号)  (第三三五号)(第三三八号)(第  三四二号)(第四一五号)(第四三  二号)(第五六九号)(第六〇二  号)(第六一七号) ○国民健康保険制度改善に関する請願  (第二二〇号) ○療術(医業類似行為)の制度化に関  する請願(第二五〇号)(第二七六  号)(第二八五号)(第三〇七号)  (第三八五号)(第三九九号)(第  四一七号)(第四三七号)(第四四  一号)(第四八一号)(第五〇二  号)(第五八〇号)(第五八九号)  (第五九〇号)(第六一一号)(第  六一二号)(第七三三号)(第七四  〇号)(第七五五号)(第七八三  号)(第八〇三号)(第八二六号)  (第八六八号)(第八六九号)(第  八八七号)(第九〇六号)(第九四  二号)(第九九〇号)(第一〇二八  号)(第一〇二九号)(第一〇五七  号)(第一一一一号)(第一一二七  号)(第一一二八号)(第一一二九  号)(第一一三〇号)(第一一三一  号)(第一一三二号)(第一一三三  号)(第一一三四号)(第一一三五  号)(第一一三六号)(第一一五四  号)(第一五八六号)(第一五八七  号)(第一五八八号)(第一六一二  号)(第一六一三号)(第一六一四  号)(第一六三六号)(第一六四五  号)(第一六四六号)(第一六六二  号)(第一六七六号)(第一六七七  号)(第一七二七号)(第一七三九  号)(第一七四五号)(第一七七六  号)(第一八三七号)(第一八五四  号)(第一九三六号)(第二〇五八  号)(第二〇五九号)(第二〇六〇  号)(第二三四〇号)(第二四四七  号)(第二六一九号) ○環境衛生関係常業運営適正化に  関する法律第五十七条による規制命  令発令促進に関する請願(第二六一  号) ○消費生活協同組合育成強化並びに  物価値上げ抑制等に関する請願(第  二六九号)(第三八六号)(第四四  〇号)(第四八二号)(第五一七  号)(第五八一号)(第五九四号)  (第六二八号)(第一二八五号) ○原爆被害者救援に関する請願(第二  八七号)(第二四二六号) ○原爆被害者援護法制定等に関する請  願(第二八八号)(第七二一号)(  第七六八号)(第七九四号)(第七  九六号)(第七九九号)(第八〇〇  号)(第八〇一号)(第八四〇号)  (第八四五号)(第八九二号)(第  九七二号)(第九八三号)(第一〇  三〇号)(第一〇四〇号)(第一〇  八四号)(第一二七三号)(第一三  二七号)(第二三一一号)(第二四  二七  号)(第二四三五号)(第二四七五  号)(第二四七六号)(第二四七七  号)(第二四七八号)(第二四七九  号)(第二四八〇号)(第二四八一  号)(第二四八二号)(第二四八三  号)(第二四八四号)(第二四九一  号)(第二五八五号)(第二六二五  号)(第二六九二号)(第二九三〇  号)(第三二五一号) ○病院医療費引上げに関する請願(第  三二二号) ○し尿処理場じんかい焼却場建設事  業費国庫補助増額等に関する請願  (第三四九号)(第五二四号) ○政府関係機関に対する大蔵省の賃金  抑圧並びに不当干渉反対に関する請  願(第三六七号)(第三六八号)  (第三六九号)(第三七〇号) ○金沢鉄道管理局における労働組合活  動への支配介入排除に関する請願  (第三九五号) ○失業対策事業従事者希望退職者に  対する一時金支給並びに賃金引上げ  に関する請願(第四三〇号) ○人命尊重に関する請願(第四三一  号)(第七一二号) ○母子福祉法制定に関する請願(第四  三八号)(第五〇七号)(第五〇八  号)(第五〇九号)(第五二一号)  (第五二二号)(第五六三号)(第  五六七号)(第五六八号)(第五七  三号)(第五七九号)(第五八六  号)(第五八七号)(第五八八号)  (第五九五号)(第五九六号)(第  五九七号)(第六〇一号)(第六〇  三号)(第六〇五号)(第六一〇  号)(第六二一号)(第六二二号)  (第六二三号)(第六二四号)(第  六二五号)(第六二六号)(第六二  七号)(第六三八号)(第六三九  号)(第六四〇号)(第六四一号)  (第六五一号)(第六五二号)(第  六六〇号)(第六六一号)(第六六  二号)(第六八三号)(第六八四  号)(第六八五号)(第六九二号)  (第六九八号)(第六九九号)(第  七〇三号)(第七二〇号)(第七〇  四号)(第七〇五号)(第七一〇  号)(第七一一号)(第七一九号)  (第七二二号)(第七二九号)(第  七三〇号)(第七三一号)(第七三  二号)(第七三九号)(第七四八  号)(第七五二号)(第七五三号)  (第七五四号)(第七六二号)(第  七六三号)(第七六四号)(第七六  九号)(第七七九号)(第七八〇  号)(第七八一号)(第七八二号)  (第七九〇号)(第七九一号)(第  八〇二号)(第八二七号)(第八二  八号)(第八二九号)(第八五二  号)(第八七〇号)(第八七一号)  (第八七二号)(第八八二号)(第  八八四号)(第八八五号)(第八八  六号)(第九〇九号)(第九三二  号)(第九三三号)(第九三四号)  (第九四三号)(第九八二号)(第  一〇二七号)(第一〇五一号)(第  一〇八三号)(第一一一〇号)(第  一一五三号)(第一二一三号)(第  一二八四号)(第一五一九号)(第  一五八五号)(第一六四四号)(第  二七二六号)(第三二〇〇号) ○還境衛生関係営業運営適正化に  関する法律の一部改正等に関する請  願(第四四四号) ○水源の汚染防止に関する請願(第四  六一号) ○PT(仮称理学療法師法制定等に  関する請願(第五一〇号)(第五四  〇号)(第五四七号)(第五五九  号)(第五六二号)(第五九一号)  (第七〇二号)(第七四三号)(第  八七三号)(第九三五号)(第九三  六号)(第一一五五号) ○国民健康保険事業に対する国庫負担  金増額等に関する請願(第五三七  号) ○じん肺法の一部改正に関する請願  (第五七四号) ○動員学徒犠牲者援護に関する請願  (第六五三号)(第一三〇一号)  (第一三七四号)(第一四七五  号) ○男子看護人名称改正に関する請願  (第七〇〇号)(第八九五号) ○動員学徒等戦争犠牲者援護に関する  請願(第七一三号)(第七八四号) ○あん摩師マッサージ師)の業権保  障に関する請願(第七四九号) ○最低賃金に関する請願(第八三一  号) ○農林水産事業失業保険適用に関す  る請願(第八三五号) ○保育事業予算増額に関する請願(第  八七四号) ○業務上の災害による外傷性せき髄障  害患者長期傷病給付及び休業補償  費の給付率平均賃金全額支給等に  関する請願(第八七五号)(第八七  六号)(第九三一号)(第九六六  号)(第一〇一五号)(第一〇三七  号)(第一一一二号)(第一一一三  号)(第一一三八号)(第一一八五  号)(第一一八六号)(第一二二八  号)(第二〇三三号)(第二六二六  号)(第二七七一号)(第二八〇五  号)(第二八〇七号)(第二八七七  号)(第二九八〇号) ○全国一律最低賃金制即時法制化  に関する請願(第一〇三八号)(第  一〇五二号)(第一〇八五号)(第  一四二四号)(第一四二五号)(第  二一七八号) ○厚生年金に関する請願(第一一一四  号) ○労働時間短縮に関する請願(第一一  一五号) ○全国一律最低賃金制法制化に関す  る請願(第一一五六号) ○中小企業退職金共済法の一部を改正  する法律案修正に関する請願(第一  一六九号) ○失業対策事業従事者賃金引上げ等  に関する請願(第一二二七号) ○元満州開拓民等処遇に関する請願  (第一二四二号) ○理学療法士及び作業療法士法に関す  る請願(第一二七九号)(第二四九  六号) ○理学療法士及び作業療法士法成立に  伴う経過措置に関する請願(第一二  八〇号)(第一五一七号) ○進行性筋い縮症児に関する請願(第  一三〇〇号) ○駐留軍労働者の雇用安定に関する請  願(第一三二一号)(第一三二二  号)(第一四八一号)(第一四八二  号)(第一四八三号)(第一四八四  号)(第一四八五号)(第一四八六  号)(第一四八七号)(第一四八八  号)(第一四八九号)(第一四九〇  号)(第一四九一号)(第一四九二  号)(第一四九三号) ○らい予防法改正等に関する請願(第  一三二三号)(第二三六三号) ○身体障害者義務雇用安全就業及  び最低賃金制実施に関する請願(第  一三二四号)(第一三二五号)(第  一三二六号) ○歩行困難者基本的処遇に関する請  願(第一三五八号) ○あん摩師はり師きゅう師及び柔  道整復師法の一部改正に関する請願  (第一三七五号) ○戦傷病者の妻に対する特別給付金支  給に関する請願(第一三八六号)(  第一四〇四号)(第一四〇五号)(  第一四〇六号)(第一四四八号)(  第一四七〇号)(第一四九九号)(  第一五一三号)(第一八八六号)(  第二〇七二号) ○戦傷病者中央援護福祉施設建設費の  助成に関する請願(第一三八七号)  (第一三八八号)(第一四〇七号)  (第一四〇八号)(第一四四九号)  (第一四五〇号)(第一四六一号)  (第一五〇〇号)(第一五〇九号)  (第一五一五号)(第一五五八号)  (第一八八七号)(第二〇七三号)  (第三〇六〇号)(第三〇九八号) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法による  障害年金等の不均衡是正に関する請  願(第一三八九号)(第一三九〇  号)(第一四〇九号)(第一四一〇  号)(第一四一一号)(第一四五一  号)(第一四五二号)(第一四六二  号)(第一四七一号)(第一四七三  号)(第一五〇八号)(第一五一四  号)(第一五五九号)(第一五六〇  号)(第一八八八号)(第二〇七四  号)(第三〇九九号) ○戦傷病者援護に関する請願(第一三  九一号)(第一三九二号)(第一四  一二号)(第一四一三号)(第一四  五三号)(第一四五四号)(第一四  七四号)(第一五〇一号)(第一五  一六号)(第一五六一号)(第一六  一五号)(第一八一七号)(第一八  八九号)(第二〇七五号)(第二三  三九号) ○クリーニング業法の一部改正に関す  る請願(第一三九三号) ○看護職員労働条件改善に関する請  願(第一四九八号)(第一六七八  号) ○外傷性せき髄損傷患者救済に関する  請願(第一七三一号)(第一八一八  号) ○南方地域戦争裁判による刑死者の遣  骨帰還促進に関する請願(第一七九  四号) ○業務外せき髄損傷患者援護に関する  請願(第二〇五七号) ○最低賃金制法制化促進に関する請  願(第二一一八号) ○最低賃金制確立に関する請願(第二  一八〇号)(第二三六四号)(第二  三六五号)(第二三六六号)(第二  三六七号)(第二七四六号)(第二  七四七号) ○南アルプス国立公園早期指定に関す  る請願(第二一九六号) ○動員学徒等軍属援護に関する請願  (第二二二四号)(第二三一三号)  (第二三一四号)(第二四一二号)  (第二四三一号)(第二六〇〇号)  (第三一五八号) ○予防接種費国庫負担に関する請願  (第二三四一号) ○し尿処理施設補助率引上げ等に関  する請願(第二三四二号) ○最低生活保障等に関する請願(第二  三六九号) ○全国一律最低賃金制確立等に関する  請願(第二三七九号) ○リュウマチ対策促進に関する請願  (第二四二八号) ○社会保険履歴確認措置等に関する  請願(第二四七四号) ○駐留軍労務者離職対策促進に関す  る請願(第二五一七号) ○重度し体不自由児援護に関する請願  (第二六二〇号) ○業務上の災害による外傷性せき髄損  傷患者援護に関する請願(第二六四  七号)(第二六五二号)(第二六七  三号)(第二六七七号) ○国立東京病院合理化反対闘争に関  する実情調査請願(第二六九三  号) ○労働者災害補償保険法等の一部改正  に関する請願(第二七四八号)(第  二七七三号)(第二八四三号) ○全国一律八千円の最低賃金制確立に  関する請願(第二七六五号) ○国立療養所看護能力大幅増強に関  する請願(第二七六九号) ○業務外災害によるせき髄損傷患者援  護に関する請願(第二七七二号)(  第二八七八号)(第三〇一六号)(  第三〇六二号)(第三一一六号)(  第三一三八号)(第三一五三号)(  第三一五四号)(第三一九二号) ○中性洗剤の毒性と公害問題に関する  請願(第二九〇四号) ○老人福祉に関する請願(第三〇六一  号) ○失業対策事業に従事する労務者に対  する生業資金貸付制度改正に関する  請願(第三一三一号)(第三一三二  号) ○らい予防法即時改正等に関する請願  (第三二〇一号)   —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまより開会をいたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、劔木君及び大谷君が委員を辞任され、その補欠山本君及び山下君が選任されました。   —————————————
  3. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 厚生年金保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。
  4. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  厚生年金保険は、昭和十七年に発足して以来今日まで二十有余年を経過し、千七百万人にのぼる民間被用者を包含する年金制度でありますが、現行給付体系、すなわち、定額部分報酬比例部分の二本立てによる年金給付体系が整えられたのは昭和二十九年の改正によるものであります。その後、昭和三十五年には、給付及び保険料について若干の手直しを加えたのでありますが、この改正がきわめて幅の小さいものであったため、厚生年金保険給付水準は、昭和二十九年以後の著しい経済成長、これに伴う生活水準の大幅な上昇に取り残され、労働者老後生活を保障するものとしてははなはだ不十分な状態に置かれているのであります。また、年金財政をまかなうため労使負担する保険料率も、他に例を見ない低い水準のまま推移しているのであります。  以上のような事情にかんがみ、本年は保険料率計算の時期でもあるところから、政府としては、この機会に、今日までの経済成長生活水準向上の実態に則して厚生年金保険の大幅な改正をはかることが適当と考え、一昨年以来準備を進めてまいったのであります。今回の改正趣旨とするところは、まず何よりも、人口老齢化の趨勢がいよいよ明確化し、年金受給者も増加して厚生年金保険成熟期を迎えようとする時期において、労働者老後生活を保障するに足る老齢年金として平均月額一万円年金を実現することを中心として、制度内容を大幅に改善し、これに伴う所要の調整を加えるとともに、給付引き上げ賃金水準上昇に応じて、保険料負担についても適正な水準にまで引き上げようとするものであります。同時に、最近普及しつつある企業年金と、改正後の厚生年金との機能や負担の競合を調整し、老後生活保障企業の協力により、一そう充実強化し得るよう、両者の調整労使の合意によって行なう道を開くこととしたのであります。  以下、改正法案のおもな内容につきまして、逐次御説明申し上げます。  第一に、基本年金額引き上げについてであります。  まず、定額部分につきましては、現行月額二千円を五千円に引き上げ、さらに被保険者期間二十年以降三十年までは一年につき二百五十円を加算することとし、これによって三十年では月額七千五百円となるようにいたしております。また、報酬比例部分については、現行平均標準報酬月額に被保険者期間一月当たり乗ずる率千分の六を千分の十に引き上げることといたしております。  第二に、老齢年金支給につきまして、現行では退職しない以上は年金支給されない仕組みとなっておりますのを、高齢労働者生活安定の趣旨に沿って若干緩和することとし、六十五歳に達したときは在職中でも老齢年金の八割相当額支給することとしております。  第三に、障害年金及び障害手当金の額の引き上げについてであります。一級障害年金につきましては、現行基本年金額月額千円を加算する方式を改め、基本年金額の百分の百二十五相当額引き上げ、三級障害年金につきましては、現行基本年金額の百分の七十を、百分の七十五に引き上げるほか、さらに月額五千円の最低保障を設けることとし、また、障害手当金につきましては、現行基本年金額の百分の百四十を、百分の百五十に引き上げることといたしております。  第四に、遺族年金につきましては、妻についての年齢制限及び若年停止を撤廃し、さらに年金額については月額五千円の最低保障を設けたことであります。  第五に、任意継続保険者について、新たに被保険者期間中の事故に基づく障害年金障害手当金及び遺族年金支給することとしたことであります。  第六に、年金額調整についてであります。年金の額は、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、すみやかに変動後の諸事情に応ずるための調整が加えられるべきものとしたことであります。  第七に、標準報酬につきましては、最近の賃金水準上昇等実情に即し、現行の三千円から三万六千円までの二十等級を、七千円から六万円までの二十三等級に改めたことであります。  第八に、保険料率引き上げについてであります。今回の給付大幅改善に伴い、保険料負担につきましても、相応に増加すべきことはやむを得ないところでありますが、厚生年金保険におきましては、従来いわゆる修正積立方式のたてまえをとっており、五年ごとに再計算することとして特定的な料率を採用しておりますが、今回もこの方式を踏襲いたし、急激な負担の増大を避けるため、とりあえず第一種被保険者一般男子)については、現行の千分の三十五を千分の五十八に、第二種被保険者(女子)については、現行の千分の三十を千分の四十四に、第三種被保険者坑内夫)については、現行の千分の四十二を千分の七十二に、第四種被保険者任意継続保険者)については、現行の千分の三十五を千分の五十八にそれぞれ引き上げ、さらにこれらの料率については、将来にわたって段階的に引き上げていくこととしたのであります。  第九に、既裁定年金引き上げについてであります。現に支給中の年金が、所得保障趣旨からみて著しく低水準にあるところから、既裁定年金につきましても今回の改正方式を適用いたし、改正後の計算例によってこれらの年金額を大幅に引き上げることといたしております。  第十に、旧陸海軍工廠の工員などの旧令共済組合員であった期間厚生年金の被保険者期間に算入し、通算老齢年金に準じた特例老齢年金支給することとしたことであります。  第十一に、厚生年金老齢年金及び通算老齢年金のうち、報酬比例部分につきましては、民間職域において設立されたいわゆる企業年金で一定の要件を備えるものについては、申請により厚生年金基金を設けてその代行給付を行なう道を開いたことであります。厚生年金基金は、事業主及び被保険者で組織される特別法人とし、一定数の被保険者を使用する事業主がその被保険者の二分の一以上の同意を得て規約をつくり、厚生大臣の認可を受けて設立することとなりますが、その行なう事業は、厚生年金給付のうち、老齢年金及び通算老齢年金報酬比例部分の代行として少なくともそれを上回る額の年金給付を行なうほか、任意給付として、死亡または脱退に関して一時金の支給を行なうことができるものとしております。  また、厚生年金基金は、信託会社または生命保険会社と給付支給を目的として、信託または保険の契約を締結しなければならないほか、その事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収することとしたのであります。  なお、国庫は、年金給付に要する費用のうち、老齢年金及び通算老齢年金報酬比例部分相当額に要する費用の一五%(坑内夫たる加入員期間に対応する部分については、二〇%)を負担することといたしております。  第十二に、厚生年金基金は、厚生年金基金の中途脱退者にかかる年金給付を共同して行なうため、厚生年金基金連合会を設立することができることといたしております。  最後に、実施の時期につきましては、諸般の準備等もあり、主たる部分については、昭和四十年五月一日からといたしております。  以上が、この法律案提案理由でありますが、何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを望みます。
  5. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の聴取のみにとどめておきます。   —————————————
  6. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 船員保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。
  7. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいま議題となりました船賃保険法の一部を改正する法律案についてその提案理由を御説明申し上げます。  今回の改正の主要な内容は、職務外の事由による年金部門の給付につき厚生年金保険法改正と同趣旨改正を行なうこと、標準報酬の額を引き上げること、障害差額一時金を新設すること、船内診療の給付制限を緩和すること等であります。  今回の船員保険法改正につきましては、各方面から種々の要望や意見がありましたが、政府としましては、これらの要望や意見をできるだけ尊重し、関係審議会の意見をも徴して慎重に検討を重ねてまいりました結果、現段階における国の財政事情厚生年金保険改正内容等をも勘案して、この際できる限りの改善を行なうこととした次第であります。  以下、改正法案のおもな内容につき御説明申し上げます。  第一に、職務外の事由による年金部門の給付につきましては、厚生年金保険法改正と軌を一にして、老齢年金給付額を引き上げ、高年齢船員に対して在職中でも老齢年金支給することといたしますとともに、五十五歳に達しない退職者にも減額年金支給の道を開いたのでおります。  次に職務外の障害年金及び障害手当金につきましては、障害の程度を整理区分し、給付内容充実制度の合理化をはかろうとするものであります。  その他、遺族年金につきまして妻に対する支給要件を緩和し、任意継続保険者につきまして新たに障害年金及び遺族年金等に関する給付の道を開きますほか、すでに決定しております年金につきましても、これらの改正に準じて給付額の引き上げを行なうことといたしたのであります。  以上のような給付の改善に伴い、現在千分の四十二となっております職務外の年金部門にかかる保険料率を、当分の間千分の七十二といたし、将来にわたって段階的に引き上げていくことといたしております。  第二に、標準報酬につきましては、最近における船員の賃金水準上昇等にかんがみ、現在、七千円から五万二千円までの二十一等級となっておりますのを、九千円から七万六千円までの二十五等級に改めようとするものであります。  第三に、船員保険固有の問題として、職務上の障害年金受給者の障害の程度が軽減し、障害年金の受給権がなくなりましたときに、新たに障害差額一時金を支給することといたし、また、船舶内における療養の給付の制限を大幅に緩和すること等の改正をいたそうとするものであります。  以上のような改正を行なうことがこの法律案提出する理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の聴取のみにとどめておきます。   —————————————
  9. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 重度精神薄弱児扶養手当法案議題といたします。  まず、内閣提出の議案に対する衆議院の修正にかかる部分について、井村衆議院議員から説明を聴取いたします。
  10. 井村重雄

    衆議院議員(井村重雄君) 重度精神薄弱児扶養手当法案の衆議院修正にかかる部分について御説明を申し上げます。  その一番目は、重度精神薄弱児扶養手当の受給者本人の所得による支給制限の限度額を十八万円から二十万円に引き上げることであります。  第二は、公的年金のうち、国民年金法に基づく母子福祉年金、準母子福祉年金、障害福祉年金、老齢福祉年金、児童扶養手当法に基づく児童扶養手当との併給を認めたことであります。  以上でありますので、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  11. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本案に対し、質疑のある方は、順次御発露を願います。
  12. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、まずお伺い申し上げたいと存じますのは、精神薄弱児の実数と、それから、保護施設、福祉施設の現状についてお伺いをいたしたいと思います。
  13. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 精神薄弱児の十八歳未満の数は、中度及び重度が二十万人、軽度が七十二万人、計九十二万人というふうに推計をいたしております。要保護精神薄弱者のうちの精神薄弱児の要収容児童数が四万八千人と推計いたしておりますが、現在これを収容する施設は百八十二カ所、収容定員が一万一千八百四十二名であります。  その他、精神薄弱児の通園施設がございますが、この要通園の児童数は一万八千七百人と推計をいたしておりますが、現在収容しておりますのは、通園の対象にいたしております児童は三千三十人でございまして、その個所数は五十カ所でございます。
  14. 藤原道子

    ○藤原道子君 通園施設に対して、通園している人が非常に少ないと思うのですが、これはどういうわけなんですか。
  15. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 実は、通園施設ができまして以後、文部省のほうの精神薄弱児の特殊教育の施策がだいぶ延びてまいりまして、教育可能な者は養護学校ないしは特殊学級でこれを教育する、昭和四十四年から義務制にするというふうな方針で、着々と教育の施設を整備いたしております。したがいまして、私のほうの通園施設は、だんだん就学前の精神薄弱児及び義務教育修了後の精神薄弱児の教育訓練施設ということになってまいりますので、文部省の特殊教育の施設と並行いたしまして施策をやっておるのでございますが、その辺の見通しがまだ確たるものができませんので、とりあえず各県に一カ所というようなことでいまやっているのでありますが、文部省と協力をいたしまして、これは整備をはかってまいるという計画でございます。
  16. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、通園したくても通園できないいろいろな状況があるということを伺っております。これに対して、通園可能な者を不可能ならしめている状態に対して、何らかの手を政府が打たれるというようなことをお考えになっておられるかどうか。
  17. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 私のほうの推計でも一万八千七百人の精薄児の要通園児童数がおるわけでありますから、とても二千三十人の定員では足りないわけでございます。しかし、文部省のほうの養護学校の整備が着々と進んでおりますので、教育可能な者で通園可能な者は、むしろ文部省のほうで主としてやっていただくというようなことで、私のほうはその補完的な意味で現在考えておるわけでありますが、ただ、現在の定員ではあまりにも少な過ぎますので、この精薄児を持った親の会、育成会といっておりますが、ここに在宅児童に対して国から助成をいたしまして、この育成会を通じまして、いろいろ在宅の精神薄弱児についての指導をやっておるというようなことで現在施策を進めておる次第でございます。
  18. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、どうもこの精神薄弱児に対して、政府の施策に愛情が足りないように思うのです。とにかく一万八千七百名からの、推定でございましょうが、対象児がある、しかし、通園しているのは二千三十人、文部省のほうの特殊学級がそれぞれ着々と準備が進められておるからと言われるわけですけれども、私は、必ずしもそれが行なわれておるとは思えないのです。ずいぶん目こぼしというか、その日暮らしといいましょうか、あまりにも愛情のないやり方で、それに泣いている者がどれだけあるかということをもっと真剣に考えていただかなければならないと思う。第一、特殊学級がございませんために、また、親は自分の子供が知能がおくれているということを隠したいというような気持ちから普通学級へ入れている。そういうことから、特殊学級がないから、両方相まってそういうことになっておりますものが、今日学校ぎらいになり、ばかだ、ばかだと言われるために反社会的になる、こういうことが相当非行に落ちていく子供をつくっている、私はこのように理解いたしておりますが、局長はどうこれをごらんになるのでありましょうか。
  19. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 確かに先生の御指摘のとおりでございますが、そこで、厚生省としても文部省に要請をいたしまして、文部省も、この精薄児の義務教育の実施ということは、まだ将来の問題であるけれども、養護学校なり特殊学級の義務設置については、昭和四十四年から完全にやりますというようなことの方針を発表なさっておりますので、私たちはそれを期待いたしておるのでございますが、それまでは、実は私のほうの通園施設で文部省の特殊学級なり養護学校のいわば代用をやっておったのであります。しかし、文部省のほうがそういうことで決心をいたしましたから、私のほうの通園施設は、先ほど申しましたように、むしろ就学前の精薄児を対象にいたす。しかし、この通園施設だけでは、就学前の精薄児を保育し、教育するには不十分でございますので、明年度からは現在の保育所の中にこういう精薄児の収容の部門を設けまして、措置費の中で加算というようなことで本格的に就学前の精薄児の保育をやりたいというふうに考えているのでございます。  それから、中学を出ましたあとの問題でございますが、これもこの精薄通園施設にむしろ職業訓練的な設備を置きまして、義務教育終了後、やはり社会復帰の可能な者をここで職業訓練をするというようなことで、これは本年予算要求をいたしたのでありますが、労働省と競合いたしまして、結局その予算化ができませんでしたが、来年度は厚生省側が一本で要求するということに話し合いがいまほぼつきましたので、通園施設をそういう意味で活用してまいりたいと思っております。
  20. 藤原道子

    ○藤原道子君 そうすると、通園施設は文部省と分担になるわけですね。ということで、学齢前の子供と中学を卒業した子供、その間の子供は通園はできないわけですが、そうして一方において特殊学級が充実していない、それほど熱意がない。だから、放置されておるその間の子供は一体どういうふうにごらんになるのですか。
  21. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 文部省のは、先ほど申しましたように、昭和四十四年度以降、都道府県が養護学校なり特殊学級の義務設置を始めるということでありますから、その間の問題ですが、これは当然私のほうの通園施設で補完的な働きをしなくてはなりません。したがいまして、四十年までは現在の通園施設も毎年十カ所近くを要求をいたしておるのでございますが、五カ所程度のものは実現をいたしておりますから、四十四年までには五カ所程度のピッチで通園施設も増設をしてまいりたいという計画をいたしております。
  22. 藤原道子

    ○藤原道子君 そうすると、もうそういうような通達が地方へ出ているのですね。というと、四十一年ですか、それまでは厚生省でみるということをもっと私は徹底させてほしいと思う。地方へ参りますと、そういう子供をかかえた親の悩みというものを現実に見せつけられておる私たちは、この点、特に厚生省の責任において御解決を願い、世の中の不しあわせを少しでも取り除くようにしていただきたいということ、この点を強く要望いたしておきます。  次に、お伺いいたしたいのは、重度精薄という定義ですか、これはここに「日常生活において常時の介護を必要とする程度の状態にある者」、この「常時の介護を必要とする」というのはどの程度のものでございましょうか。
  23. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 実は、先生御案内のとおり、厚生省の最初の原案では、精薄児も精薄者もおとなも含めまして、重度の精薄者の手当法案という構想であったのでありますが、その後、児童だけに限定をされまして、したがって、児童局で所管をするようになったのであります。その当時の社会局の原案では、この精薄というのは、知能指数二〇以下ということになっておったわけでありますが、児童局で所管いたしまして、いろいろ各国の事例等を研究しました結果、従来のように、白痴とか重症痴愚とかいうような分け方をしておる国がだんだん少なくなりまして、軽度、中等度、重度、最重度というような分類に大体なっておる。特にアメリカに最近精薄の委員会ができまして、ここでこういうことをきめておりますので、それを児童局としては採用することにいたしまして、したがいまして、この知能指数も、重度の三五以下と、二〇以下の最重度でなしに、重度の三五以下ということを対象にするように拡大をいたしたのであります。しかし、単にこういうような知能指数だけでは問題でございますので、その他医学的な診断とともに、社会生活能力の程度をも判定をしなくてはならないということになりまして、実は、十名のこの道の専門家の方々に数回会合をしていただきまして、一つの基準をつくったのでございます。そのおもな点を申し上げますと、知能発達の程度は、日常生活における言動を観察をする、そうして標準化された個人知能検査表、これは厚生省で採用しておりまする鈴木ビネー式とか、あるいは愛研式とかいうようなものによって判定をする。これは先ほど申しましたIQ三五以下ということでございます。それから、医学的にはこの精薄の原因をも究明をいたしまして、経過を調べるとともに、現在における心身の状態及び障害の有無等についても詳細に検診して、それに基づいて診断するとともに、予後の判断をも行なう。それから、社会生活能力検査は、牛島式、遠城式検査法というのがあるのでございますが、これを使用いたしまして重度精神薄弱児社会生活能力調査表というものを作成をいたしまして、これによりまして発育なり成熟の程度を判定する。それから、性格及び行動の面につきまして、標準検査時における本人の容貌とか言語とか、態度とか動作とか、着装——着物の着方というようなものの行動観察を綿密に行ないまして、特に日常生活における介助または介護を要する状態を観察をするというようなことで標準方式をきめまして、これを国立秩父学園で、具体的に専門家立ち合いの上で、われわれも立ち合いまして実施してみたのであります。その結果、これでいけるというような標準をきめまして、これを判定基準として採用するという考えでおります。
  24. 藤原道子

    ○藤原道子君 これだけの、日常介護を必要とする者、これはまあ原案はIQ二〇以下の者を三五以下と拡大したとおっしゃいますけれども、三五以下で、私は、家庭でこの重度の者を介護していくということは容易でないと思う。ことに私は、知能指数の面におきましてはいろいろの欠陥を持つ者が種類がいろいろございますから、結局、山下清のような、絵の面においては非常にすばらしい天才といわれても、一方において性欲はほとんどゼロであるという人もあるでしょう。ところが、そうでなくて、こういう方面に非常に発達している子供もある。そういう子供は親が目を離せないのです。ほとんど目が離せない、こういう場合は、これもやはり常時介護を必要とするということになるのでございましょうし、あるいは子供によりましては御飯を食べることもできない子もあるのです。一般知能におきましてはそれほどでなくても、何というのですか、ことばがよくわかりませんけれども、非常に手数がかかって、寸時も目が離せないというような子供もいるわけなんです。したがって、私たちは、こういう示度の子供は何とかして施設で十分に介護していくということが妥当だと思うのです。そういう子供をかかえている家庭にまいりますと、家庭全体が非常に暗いのです。家庭内の紛争がなくてもいいはずの家庭におきましても、その子あるがゆえに家庭がめちゃめちゃになっているというような家庭を私たちはしばしば目にいたしております。ということになると、この子がもしも国の手で施設で十分に介護されるならば、その親たちは十分労働能力を発揮することができるはずなんです。けれども、それが、そういう子があるために、母親一人じゃない、ほかのきょうだいまでが犠牲になっている例は局長もおそらく御承知だろうと思うし、大臣も御関心を持っていただいておると思うのです。したがって、私は、こういう子供たちをぜひしあわせに施設に収容して、あたたかく守っていくということを第一にやっていただきたいと思うのです。したがいまして、これらに対しての今後の対策はどのようにお考えになっていらっしゃるか、これをまず伺いたい。
  25. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 実は、いろいろ専門家の意見も聞き、現場の園長の意見も聞きまして、IQ三〇以下の場合はほとんど検査の手続に載せることができない、特に二五と二六の境がどこにあるかという場合には、その境すらはっきりしないのだということから、IQは三五というふうに引き上げたのでございますが、先生のおっしゃるのは、おそらく社会生活能力の問題があろうと思います。実は、今度の判定でもそこに重点を置きまして、社会生活能力調査表というのは、たとえば、身辺の処理とか、自己身辺の私事とか、意思の伝達とか、移動と交通、あるいは身体の保全、危険回避、対人関係というふうに分けまして、例のプロフィール方式と申しますが、五十くらいのワクを設けまして、そのうち二十五以上このワクを埋めるような検査結果になれば重度と認めるというわけですが、たとえばその中に社会に迷惑を及ぼす行動というのが、たまたま先生からお話が出ましたから申し上げますと、しばしば興奮して器物をこわしたり、人に乱暴をする、他人のものをかってに持ってくる、他人の家にかってに入り込む、平気で火をもてあそぶというような行動、あるいは裸で町を歩き回る、人の前で性器を露出する、婦女子や幼児にいたずらをする、ごみだめ等をあさり歩く、線路上に石を載せたり歩いたりするというような、先生がおっしゃるような、家人が目を離せないような行動を五十の欄に書き込むようにいたしまして、二十五以上満たせば社会生活能力においては重度と見るというような、いろいろ実情に合いました検査表をいまつくっておるのでありますが、これをやってみました上で、これに漏れる者等につきましては、不服申し立ての制度法律上ございますが、行政的に修正してまいる。この判定基準は、この改正はそうむずかしい手続は要しませんので、一応これでやってみて、あとで実情に合うように修正をしてまいりたい、特に私のほうでは三万人余りを見込んでおるのでありますが、これは多目に見ておるのでありまして、この運用も弾力的と申しますか、実情に合うように、そう厳密でなしに、精薄児なり、その家庭の実情に合うように、心して弾力的にやる。厳密でなしに、運用できるような予算措置ができておりますから、そのようなことで一応やらしていただいて、その上で、いろいろ欠陥がございましたら直ちに修正するということでやっていきたいと思っております。
  26. 藤原道子

    ○藤原道子君 五十例をあげているのですね。その中の二十五に該当したものが重度というワクにはまる。洩れた二十五も、どれ一つ取り上げても、常時目が離せないということになるのじゃないですか。これはどういうふうにお考えになっておりますか。
  27. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 実は、これはプロフィール方式というのがございまして、二十五がいいか、いろいろ議論をいたしたのでございますが、大体専門家の意見では、半分くらいはやはり満たさないと重度といえないであろうというようなことでこういうようなことにしたのですが、それも年長児の場合、年少児の場合というふうに、実はこまかく細分をいたしておるのでございまして、これはわれわれしろうとでなかなか判断することがむずかしいものですから、専門家と現場の園長さん方、あるいは親の会の幹部というような、実情を知った人たちに立ち会っていただいて、まあこの程度でというようなことできめました次第でございます。
  28. 藤原道子

    ○藤原道子君 局長まさか私しろうととは考えておりません。その道の権威者であるのですから、しろうと替われることは私は受けとれないと思うのです。それから、やってみて、ぐあいが悪かったら改めると言うけれども、一度できた法律を改めるのはなかなか容易ではないと思うのです。だから、やはりやるときにもっと親切な法案の制定が当然必要ではなかろうか、私は、そういう点で、この点につきましてはまことに不満足でございますが、それらについてさらに今後十分検討してもらいたいし、いまそこにあげられました五十の例、これは資料として、私たちそういうこと、それこそしろうとでわかりませんので、ひとつ資料として私たちにお示し願いたい。  それから、この法案で見ますと、二十までですね。それで二十になったら目が離せるのか、やはり二十になっても重度の精薄はなおらないと思います。にもかかわらず、二十で打ち切られたということは、せっかく仏つくって魂入れず、従来からすでに年齢の撤廃ということは世論だと思うのです。どうしてこれが押し切って年齢の撤廃ができなかったのか。これがずいぶん社会に対しても不安を与えるし、その家庭の不幸というものはここにある。どうしても私は、この際、年齢を撤廃していただかなければならないと思いますが、これに対してどうして年齢の撤廃ができないのか、これについては大臣からお答えを願いたいと思います。二十になったって、それで精薄がなおるわけじゃない、それなのに二十で年齢の制限をしたというところが納得がまいりませんので、それに対してのお考えを聞かしていただきたい。
  29. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは何かの機会に申し上げたと思いますが、厚生省として、重度心身障害者手当法、こういう名前にして提出をいたしたのでありますが、大蔵省が非常な強い反対をいたしまして、この法案全体を認めようとしない。したがって、やむなく私は子供だけに譲ってこの際はこの法案を成立させたい、こういうことでありまして、私は、たてまえとしましては二十歳以上の身体障害者は現に障害年金をもらっておる。私の考えとしては、何とか理屈をつけてこれに福祉年金を上げるようにしたらどうか、こういう考えをいまは持っております。法案を出すときは全部一緒にしたいと思いましたが、どうしてもそれは政府の中で話がととのわなかったので、やむを得ず子供だけにしてしまった、こういう結果でありまして、衆議院等でも附帯決議でもって、二十歳以上の精薄者を必ず何らかの対象にして手当あるいは年金支給する必要がある、こういうことを言われておるのでありまして、私も全くその点同感であるのでありまして、どういう形にするか、次の機会にはとにかく二十歳以上の精薄者も解決をしたい、こういう決心をいたしておるのでございます。
  30. 藤原道子

    ○藤原道子君 大臣はかたい決心をしていらっしゃるとおっしゃるのでございますので、今後さらにその点の御熱心な御努力がいただけるものとは思いますが、いまや世界的に見ても、年齢制限をしている国はあまりないと思います。そうだのに、高度経済に成長した大国だというようなことをしきりに主張しておられる池田内閣のもとにおいての厚生省の主張を、同じ内閣の大蔵省がどうしてもこれを聞かぬのだ。もしこれを主張すればこの法案すら流れる危険性があるというようなことは、どう考えても私たちは納得がいかない。きょうは大蔵省をお呼びしておりませんので、これ以上追及してもしかたがないけれども、もっと厚生省は強くおなりいただきまして、国際的に恥ずかしくない法律をつくっていただいて、そうしてそういう不しあわせな人たちを守ってほしい、しかも、この法律の名目から見ると非常にりっぱなんでございますけれども、これまた中身の乏しい法律だと私たちは言わざるを得ない結果を悲しむものでございます。  そこで、この精神薄弱児に対しまして、まあいま生まれてからの対策を議論しておりますが、出生原因の追及、この点につきましてはどういうふうにやっておられるか、また、やろうとしておいでになるか。私は、生まれてから不しあわせな人たちのために苦労するよりも、出生原因を追及して、これの解決をはかることがまず政治の基本ではなかろうか、こう考えておりますが、これに対してのお考えを承りたいと思います。
  31. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 精神薄弱児の出生の予防が最も重要なことは御意見のとおりでありますが、政府といたしましては、国立精神衛生研究所で主として研究をしているのでございまして、最近、精神薄弱児の出生の原因についての論文が精神衛生研究所から発表いたされておりますが、なお、国立秩父学園のほうにおきましても、臨床的な立場から精薄児の原因等についての研究をいたさせております。近く脳性小児麻痺の研究所が東京療育小児病院の附属脳性小児麻痺研究センターに付設されますので、今後われわれそれを大いに助成いたしまして、脳性小児麻痺の予防、あるいはその原因について研究を進めてまいりたいと思います。その他私どものほうの医療科学研究費、いわゆるスタック——厚生科学研究費でこの方面の学者たちにグループをつくっていただきまして、いろいろな研究費の助成をいたしているのであります。その成果を一つ申し上げますと、例のフェニールケトン尿症の原因及びこれが対策もわかりまして、行政の軌道に乗せるというような段階にまで至っているのであります。こういうことで各学会の協力を得まして、さらに研究を進めてまいりたいと考えております。
  32. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、研究を続けるということでございますが、厚生省でも胎児におけるこれら精薄の原因等がまあ考えられたからだろうと思いますが、妊産婦にせめて栄養の補給をしようというようなことで予算の要求をなさいましたね。また、社会党といたしましても、母性保健の問題として、二回にわたって法案の提出をしておるわけなんです。私どもは野党でございますから、私たちが法案を出してもなかなか通過はいたしませんけれども、思いは同じだろうと思うのです。あなたのほうで妊産婦に栄養の支給をしようということで予算の要求をなすったのは私たち非常に喜んでいたのです。ところが、この予算も獲得することができなくて流れてしまった。ところが、明らかに原因の一つと考えられることに対する解決策としておやりになったことでございますが、ことしは流れたけれども、来年度においてどうかこのことを実現しようというようなお考えをお持ちでございましょうか。さらにこれらについてはどういうお考えを持っておいでになるかということをひとつお伺いしたいと思います。  それから、いま一つは、胎生児と、さらに出産及びその周辺に原因があるということが多くの学者から言われているわけでございます。また、妊産婦の死亡率等を見ましても、やはり日本は世界的に見て非常に高い率を占めている。先進国においては妊娠中の手当、出産時は施設で出産を行なう、あるいは出産後に故障のあった者は母子ともにあたたかい手当てをして、そして社会に復帰せしめておる、こういう制度がとられておると聞いております。さらに妊産婦の死亡を見ましても、妊娠中毒、出血、あるいは子宮外妊娠、これらが非常に多くを占めておるということも明らかにされております。したがって、これらに対しまして、これら保護対策としてどういうことをお考えになっておいでになるか、伺います。
  33. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 母子栄養については、厚生省といたしましても、この三年ほど予算要求をいたしておるのでありますが、昨年も一億程度なら大蔵省もつき合うというようなことでございましたが、実は六十億の予算要求をしておりまして、おりるわけにまいらなかったというわけでありますが、これは明年度もぜひ要求をして実現をはかりたいと考えております。第三の御質問との関連もございますが、こういうような母子保健につきましては、もっと従来の施策を体系化し、積極化する必要があるというので、厚生大臣から中央児童福祉審議会に、母子保健対策の積極化と体系化につきまして諮問をいたしまして、近く答申をいただく予定でございますが、その中には、母子の保健の行政機構の問題、あるいは妊産婦、乳幼児の健康登録の問題、母子栄養の問題というものも当然含まれるものと予想しておるのでありますが、この答申に基づきまして、来年度の予算措置、あるいは法案の準備をいたしたいと考えておるのでございます。  それから、出産手当、分娩手当の問題につきましては、従来の社会保険法規ではILOの基準にも達しませんので、これをどうするかということが懸案になっておりまして、これも関係当局で検討いたされておりますが、児童局といたしましては、本格的に近く出発するでありましょう児童手当の中でこの問題をひとつ取り上げてみたいということで、現在の準備段階では、この分娩手当の問題を児童手当の中にどうやって取り入れるか、専門家のいろいろ意見を聴取して検討しておる最中でございます。
  34. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、お互いにこうした子供のために心を痛めることを、一人でもこうした子供が生まれないような方向へさらに施策を進めていくべきであるということを考えておりますので、この点につきましては抜本的な対策をお立ていただきたいことを強く要望いたしておきます。と同時に、この重度精神薄弱児の扶養手当でございますが、これだけの子供をかかえて苦労しておいでになる、しかも、常時介護を要する者、これらに対して月千円というような額はどこから算定された額でございましょうか。普通の母子家庭における児童の手当ですね、それも千円なんですね。これすら私たちは千円ではあまりにばかにしていると思っております。ところが、常時介護を要する子供です。国施設があればそこへ入れて、あたたかく保護していかなければならないはずのこの子供たちに、たった月に千円、これで重度精薄児対策なれりというようなことでは、あまりにもどうもみみっちいと思う。どこからはじき出した千円の額であるか、これを伺わせていただきたい。
  35. 小林武治

    国務大臣小林武治君) どうもそれはお話のとおりでございまして、一面から見れば人をばかにしたと、こういうことも言われるのでございますが、私どもも、初め、実はせめて福祉年金並みの千八百円でいきたい、こういうことを強く要望いたしたのでございますが、何ぶんにもこのことが初めてのことでございまして、いわば初めて通すには針のめどが小さい、したがって、できるだけからだを縮めてようやく通ったと、こういうようなことでありまして、正直に申しまして、これではもうきわめて不十分でありますが、しかし、とにかく出発といたしましては、いままで何にもあげていないのだから、この程度でもって出発して、私はこれを急いでひとつ増額をしたい、こういうふうに考えて、とにかくこの際は恥をしのんだと申しますか、とにかく出発だけはいたしますということでやったと、ひとつこういう事情を御了察いただきたいのであります。  なお、私は、先ほど二十歳以上の精薄者のお話がございましたが、これは福祉年金に入れるかここに入れるか、いずれにしろ、ぜひ何とかしなければならないと思っておりますが、もう一つ大きな問題は、二十歳未満の身体障害者が漏れておりますが、これは初め私はこの中へ入れておったのでありますが、結局それを一応除外をされたということで、今後残っておる大きな問題としては、とにかく二十歳以上の精薄者、それから二十歳未満の身体障害者、二十歳以上の身体障害者は、現に障害福祉年金をもらっておりますが、その以下の子供さんたちには、やはり国が手を差し伸べておらない、こういう事情で、この二つはまだ大きく欠けている。こういうことは国会方面においてもぜひ御協力を願いたいと思いますが、さしむき、そういうわけで、とにかく何にもなかったものをこれだけ出発させてもらうのだということでやったという事情、これはこのままではいけないので、すぐ次の機会にでも範囲を広げること、金額を増すこともやらなければならない。実は、これだけのものであればこんな特別の法律をつくらないで、いまの児童の扶養手当法、のほうへ入れたらいいじゃないか、こういう議論もありましたが、私は、そこへ入れてしまったらそれだけでしぼんでしまう、これから大きくするためには、とにかく特別の法律をつくりたい、こういう厚生当局の特別の考え方でこういうふうな単独法をつくっていただいたのでありまして、これは将来のそういうようにふくらみをもって出発しているのだというふうにひとつ御了承を願いたいと思います。
  36. 藤原道子

    ○藤原道子君 針のめどと言われますけれども、あまりにも針のめども、さびつきそうな針のめどでございまして、何としてもこれは情ない気がしますけれども、厚生大臣も、これは私も恥をしのんで出したと言われてしまうと、ちょっと追及する気持ちが実は弱ってしまうのですが、私は、いままでなかったものを初めて出すのだからこの程度とおっしゃるけれども、いままでなかったのがおかしいのです。ですから、最初はでかく出さなければ、だんだんしりすぼみになるような気がいたしますので、この点はまことに不満足でございます。さらに不満足どころじゃございません。千円出すのにきびしい所得制限があるのです。いま年に二十万円の所得でございましたら一カ月に幾らになるか、年に二十万円、これは十八万円を衆議院で二十万円に修正されたのでありますが、二十万円の所得で、それで生活ができるでしょうか、この二十万円の所得に非常なこれだけのきびしい制限が加えられている。しかも、受給資格者の直系血族及び兄弟姉妹の所得にまで制限があるのですね。私は、千円ぼっちくれるのにこういう所得の制限をつけることはおかしい。やはり国が当然保護しなければならない重度精薄児、これに対して出される手当でございましたら制限はなくていいと私は思う。制限なしにして、相当な暮らしのできる人は千円なんてもらう人はないとおっしゃるでしょうが、私は、そういう人はもらうべき金を、さらにこれを社会施設に寄付するというような方法が諸外国ではとられておると思う。それなのに、なぜ二十万円というきびしい所得制限をつけなければならないのか。さらに、直系血族及び兄弟姉妹の前年度における所得というようなところにまでしぼっているのですね。こんなにしなければならないものかどうか。私は所得制限は撤廃すべきである、こう考えますが、大臣はどうお考えでございましょうか。
  37. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 私もそう思います。ところが、この際、私が負けてしまったと、こういうことで、私もこれは適当でないと思うのでありますが、いろいろ手かせ足かせをつけられて、やむを得ずこれだけになった、こういうことで、お話のように、私もこれは適当でない、しかるべきときにやはり直さなければならないというふうに考えます。
  38. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、大臣が先ほどおっしゃいましたように、心身障害者ですね、これの保護立法がほしかった。けれども、大臣が先ほどるるお話になりました。だから、さらにこれが改善されることを、この段階になっては、もうきょうは会期末でございますから、どう言ってもしかたがない。けれども、なきにまさるという気持ちで、しかたがないから私たちはがまんしなければならぬ。けれども、これに対しましては、所得制限の問題、ことに直系血族や兄弟姉妹の所得にまでワクがはめられるというようなことは、あまりにも常識的でないと思いますので、早急にこの点は改善をしてもらいたい。  それから、これの受給資格者及び額については都道府県知事が認定するということになってくると、またここにも問題があるのですね。私たちがきびしいと思うものが、また地方へいってさらにきびしく制限される危険性がございますので、これにつきましては、十分にあなた方のほうで通達を出していただいて、法の精神が生かされるようにひとつ御指導をしていただかなければならないと思う。  そこで、もう一つお伺いしたいと思いますのは、年齢の制限の撤廃と同持に、こうした子供をかかえた親御さんが、自分たちが死んだあとは子供たちはどうなるだろう、死に切れないと、どの親御さんもそう言っていらっしゃる。したがって、この子供たちのために終生安んじて送れるようなコロニーの施設、こういうものについてお考えはございませんか。私は、どうしてもそうした施設をつくって、足りないなりに足りない知恵を出し合って、一つの村の経営——そこでたとい残された五つの能力がございましたら、その五つを出す、足らざるは国があたたかく守っていく、こういう施設がぜひほしいと思いますが、これについてのお考えを聞かしてほしい。
  39. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 精薄児の問題の最後の問題は、扶養者の死亡後の問題であると思いますが、実は、政府でも親の会と協力をいたしまして、イギリスでやっておりますような任意保険、生命保険の活用、それから精薄財団と申しますか、親が生前何らかの拠金をしておきまして、親が死亡した場合に、それを専門機関に預けて精薄児の将来の問題をみていくというようなやり方、それと、お説のように、西ドイツでやっておりますような精薄者の村をつくって、そこでお互いが自活していくというようなやり方、それが親の会とも協力をいたしまして検討いたしておりますが、特にコロニーの問題では、親の会のほうで関東に一つの試みをしようというので、厚生省としても積極的に御援助申し上げておりますが、最近ではまた九州地区でそういうような計画もぼつぼつ検討されておるようでありますから、厚生省としても積極的に応援してまいりたいと思います。ただ、国が直接やるというようなことには、なかなか財政当局の了解も得られにくいと思いますので、やはり精薄児を持った親の人たちの協力を前提にいたしまして、納税者の御協力を仰いで国から助成をするというような行き方でやろうということで、いろいろいま検討している最中でございます。
  40. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、財政当局の協力が得られないということは、財政当局の教育がまだ足りないのだと思うのです。厚生省はこうした不幸せな人たちをあらゆる面から保護していく立場でございますから、国策的な助成等をいたすよう御検討を願いまして、やはりたださえつらい親御さんたち、何も生みたくて生んだものでもないし、生まれたくて生まれたものでもないのです。この不しあわせはいたし方ない不しあわあせでございますので、これに対しては、私は、もう少し国があたたかい施策をやらなければならない責任があると、こういうふうに考えます。親御さんたちも、生んだのだからしかたがない、その子のためにと思ってあらゆる努力をいたしておりますけれども、そういう子供があるために手かせ足かせです。その人たちがさらに命を縮める思いでこの子供のために金を残しても、これに対しては相続税は仮借なく取り上げられている。これでは国が血も涙もないやり方だと私は思いますので、この点は十分財務当局とも折衝なさいまして、あたたかく子供たちの老後のめんどうまでみられるよう、いわゆる大国として恥ずかしくない政策を一日も早く実現をしてほしいということを強く要望いたしておきます。  最後にお伺いしたいことは、施設に働く人たちが非常な重労働です。この間も行ってまいりましたけれども、ほんとうに一人一人について世話をしなければならない。そうすると、こちらのほうでは大小便をしたり、こちらのほうでは泣き出す、これをきりきり舞いをして働いておりますが、その給与があまりにも低過ぎると思うのです。聞くところによると、最近、社会施設に働く人たちの希望者も減ってきているようなことで、やめていく人もふえている。さらに新たなる希望者が減ってくる、私はこれは当然だと思う。人間わざでない労働を強要しておりながら、それに対しての待遇が悪い。そうしてまた二十四時間勤務をしておる。ほっとする人間的休息の時間もない。こういうことでは、私は、従来施設をつくったとしても、その運営上非常に心配でございますので、これらに対しましても十分に御検討を願いまして、会期末で時間があまりに足りないところでございますので、私の質問はこの程度にいたしますけれども、いまの施設に働く人たちに対しての所遇の問題に対してどう考えていられるかをお聞かせ願いたい。
  41. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 確かに先生の御意見のとおりでございまして、実は、本年度から児童局、社会局の施設補助金というものを合わせまして二十五億でございますが、この精薄児施設、あるいは重症の精薄者の施設に優先的に予算配分をするという方針をきめたのでありますが、職員の確保難から、なかなか施設の申請が少ないのでございます。そこで、政府としても、こういう職員の緊急確保対策というようなものを樹立せざるを得ない、来年度はこういうことで解決をしてまいりたいと思いますが、精薄児の職員につきましては、国立秩父学園に養成施設がようやくできまして、現在発足をいたしておりますが、その養成期間中から特別手当を出す、来年度におきましては、こういうような職員の確保の意味からも、養成期間中の特別手当、あるいは養成所を出ましたあとでも、一般の職員と違いまして、三割程度の給与の改善をしたいということで、実は、来年は予算要求をいたすつもりでおります。
  42. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、局長に、きわめて幼稚な質問だと思うんですけれども、伺いたいんですが、今度の重度精神薄弱児というのはどういうふうにして見分けますか。知能指数がどうこうというような専門的な区別はもちろんあるのでしょうが、われわれが目で見て、この程度だからあれは重度だというような、具体的に、たとえばからだがどうなって、頭がどうなっているとか、足はどうなっているとか、何かこういうようなので、この人は重度の精神薄弱児だと、こういう、目で見て判定できる何か説明ができますか。
  43. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) 実は、知能指数はいろいろやはり専門家が特殊の方法で判定をするわけでありますから、わかりにくいのでありますが、生活能力調査の基準がお答えになるかと思いますから、少し詳し過ぎるかもわかりませんが、専門家の考えられました、外見から見て重度かどうかの判定の基準をちょっと御紹介をいたしておきますと、先ほど申しましたが、まず、身辺の処理の能力と、そこで食事のとき手助けが要るかどうか、用便のとき手助けが要るかどうか、着脱衣に手助けが要るかどうか、洗面、入浴に手助けが要るかどうか、就寝や起床に手助けが要るかどうか、この身辺の処理が一つでございます。それから、自己身辺の指示、自分の顔の目とか鼻、口、耳が指示ができるかどうか、自分の男女の性別が言えるかどうか、自分の姓名が言えるかどうか、親、きょうだいの姓名が言えるかどうか、自分の住んでいる町名とか番地が言えるかどうかというような身辺の指示の問題がございます。それから、意思の伝達で、簡単な単語が言えるかどうか、あるいは他人からの簡単な指示や説明が理解されるかどうか、簡単な欲求を適当なことばで言いあらわすことができるかどうか、日常の簡単な会話ができるかどうか、来客の応対という簡単な伝言ができるかどうか。それから、移動と交通の関係では、歩くことや階段の上がり降りに手助けが要るかどうか、目的もなく外に出歩いて迷子になることがあるかどうか、近所で何度も行ったことがある所でも一人で行って帰ることができるかできないか、交通信号がわかるかどうか、なれた所でも一人で乗りものを利用して行って帰ることができるかどうかというような交通事情、移動の関係。身体の保全の関係で、きたないものを、食べられないものを平気で食べたりあるいは飲んだりしないかどうか、偏食がひどいため、または理由不明でほとんど食事をとらないときがあるかどうか、それから、ほっとけば幾らでも際限なく食べものを食べやしないか。自分のからだを傷つけても平気でいるかどうか。雨の中でぬれても、あるいは暑いときに厚着し、寒いときに薄着をしても平気でおるかどうか。それから、危険の回避の問題で、自動車などの乗りものが近づいても避けようとしないかどうか、人にいじめられてもそこから逃げることができるかどうか、火があってあぶないことをしてもこわいことがわからないかどうか、刃物や機械類の危険なことがわかるかどうか、商い所や水辺などの危険なことがわかるかどうか。対人関係では、すべて自分かってにふるまって、他人のことは考慮しないという行動がないか……。
  44. 高野一夫

    ○高野一夫君 全部でなくていいです。
  45. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) そういうようなたくさんの項目がありまして、この項目を欄に入れまして五十、たとえば五十のうち二十五ぐらい、何と申しますか、できないというようなことになれば、それは重度と見るというような実は詳しい判定のものをつくっておるわけでございます。
  46. 高野一夫

    ○高野一夫君 その中で、自分の町名が言えないとか伝達ができない、あるいは自動車なんかの危険度がわからないとか、二度来たか三度来たかわからないというようなのは、普通の精薄児でもたくさんありますね。ですから、そういうのが二十幾つも重なって初めて重度になるわけですか。
  47. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) これは生活能力から見た判定の基準で、生活能力表からは二十五の半数以上の該当がなくちゃならぬ。それから、知能指数では三十五以下であるということ。それから、医学的な診断でも、いろいろ専門的な診断の基準がございますが、そういうものの総合的な結果で重度かどうかを判断するというようなことで、一応判定の基準というものをつくっておる次第でございます。
  48. 高野一夫

    ○高野一夫君 そうすると、さっき厚生大臣が、身体障害者をこの中に入れなかったというようなお話があったようにちょっとちらっと聞いたのですが、いまのあなたのそういうような角度から重度であるかないかということを判定するいまのいろんなファクターを伺っていると、身体障害者もその中に大部分が入りますね、一致しますね。あえて重度精薄児でなくても、身体障害者そのものは大部分これと同じような状態にあるように思うのですが、それはどうですか。
  49. 黒木利克

    政府委員(黒木利克君) そのとおりでございまして、身体障害児も入るわけですが、ただ、知能指数が三十五以下という制限があるわけでございます。この三十五がいいかどうかが疑問でございましたが、外国の例で重度というのは知能指数三十五以下、三十だと測定が不可能だ、三十五だと一応可能だということで三十五という線が国際的な線になっておりますから、それを採用いたしました。
  50. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方はも賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  重度精神薄弱児扶養手当法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  53. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 挙手総員と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を始めて。
  55. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、この際、重度精神薄弱児扶養手当法案に対して附帯決議をつけたいと思います。動議を提出いたします。
  56. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいま藤原君提出の附帯決議案を議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは議題といたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速足を始めて。
  59. 藤原道子

    ○藤原道子君 それでは、附帯決議案を明読をさせていただきます。  以上でございます。
  60. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 藤原君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 総員挙手と認めます。よって藤原君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることと決定いたしました。
  62. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 御決議の内容はごもっともと存じますので、御趣旨に沿うよう善処いたしたいと思います。
  63. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を始めて。   —————————————
  66. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対し、質疑ある方は、順次御発言を願います。
  67. 高野一夫

    ○高野一夫君 まず、とりあえず局長に、傷痍軍人会に対するいろいろな援護施策を円滑に実施し、徹底させるために、たとえば骨子福祉法における母子相談員、婦人相談員というようなものと同じような意味において相談員を置きたい、こういう要望が全国の傷痍軍人会側から出ている。これは原案にもなかったのです。衆議院の段階において修正するとかしないとかいう話がありましたが、ついに修正も行なわれずに本院に送付されてきたわけでありますけれども、相談員を置くということについて厚生省で何か検討されたことがありますか。それが検討の結果、やはり置けない、置かないほうがいいと、こういうことになったのであるかどうか、その辺のことをちょっと聞いておきたい。
  68. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいまお尋ねの相談員の点につきましては、過去においてもこれが設置の予算要求等もいたしまして、設置につき努力をいたしたわけでありますが、遺憾ながら実現をいたさなかったわけであります。できますれば、来年度におきましてぜひこの予算措置を講じまして、設置いたしたいというふうに考えておる次第であります。
  69. 高野一夫

    ○高野一夫君 母子福祉法における母子相談員というのは、最初原則的には非常勤になっておる。それを一部知識経験の相当ある者については常勤とすることができるとわれわれが修正をしたのです、この間。ところが、予算措置ができておらないから、常勤にする場合は、これは昭和四十年の四月一日から施行する、こういうふうにした。ですから、そういう筆法でいきますならば、この援護法の中でも、傷痍軍人の相談員を置く、非常勤にする、そうして実質的には常勤も必要であろうから、その常勤については来年の年度初めから実施する、こういうふうに私は置いてもいいのじゃないかと思っておるのですが、それはどうですか。
  70. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) たとい非常勤の性格のものにいたしましても、やはりそのようなものを設置するとなりますと、一応法律改正が必要だと考えております。したがいまして、また、たとい非常勤でありましても、これに対する手当の面は当然考慮しなければらないと存じますので、本年度におきましては予算措置もされておりませんし、やはり来年度におきまして予算措置の上これを設置するのが適当であるというふうに考えております。
  71. 高野一夫

    ○高野一夫君 もしもそういう公共的の性格を帯びた傷痍軍人会が自前でもって相談員を置く、それで、いまとりあえず、それが実施されるまでは、費用は都道府県からも市町村からも国からももらわないでもいい、こういうようなふうにして、そういう要望がある場合に、それを法律化することはむずかしいですか。
  72. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) やはり、たとえば厚生大臣の任命というようなことになりますと、それが非常勤でありましても、国家公務員ということになるわけでありますので、もちろん予算的な措置も当然必要だと考えられますし、また、その性格等につきましても、十分検討した上で設置することにいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  73. 高野一夫

    ○高野一夫君 いま、来年度において云々というお話がありましたが、傷痍軍人会の場合に相談員を置く必要があると認められますか。
  74. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 十分内容を検討いたしまして、適当なものであれば設置することは有意義であるというふうに考えます。
  75. 高野一夫

    ○高野一夫君 いや、私の言うのは違うのですよ。ただ全体的に見て相談員といったようなものを傷痍軍人に対して置くことの必要があると考えられるかどうかというのです。
  76. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) そういう性格のものが正しく運営されれば非常に有益なものであろうというふうに考えております。
  77. 高野一夫

    ○高野一夫君 大臣にひとつ伺っておきたいのですが、いま局長のああいう話ですが、来年の昭和四十年度に予算を組む努力と、それから、法律改正によって常勤、非常勤は別といたしまして、相談員なるものを法律の中に組み入れる、そういう改正をするというふうにしたい、そういう点について厚生省としてどういうふうにお考えになりますか。ぜひこれは法律改正をして相談員を置いてもらうほうが、ああいう不遇な立場にある傷痍軍人の人たちを援護する意味においては必要なんじゃないかと思うのです。多少の予算措置をやはり講ずべきじゃないかと私は思うのですけれども、大臣のひとつ御所見を伺っておきたい。
  78. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 傷痍軍人会がご自分で経過措置として置かれることは、これは御自由である。これを国のいわゆる非常勤国家公務員、あるいは地方公務員として認める場合には法律を必要とする。私ども厚生当局としてはそういうものを設けたいと、こういう考えを持っております。
  79. 高野一夫

    ○高野一夫君 いまそれじゃそういうことを厚生省に期待しておきます。われわれ国会側も大いに協力することにしたいと思いますが、もう一つ問題になっていることは、遺族会館みたような傷痍軍人の会館を建設したい、この会館建設に対してそれぞれの機関、特に国から補助ですか、何か名目はいろいろあるんでしょうが、そういうものを出してもらいたい、こういう要望がかねてからあるわけなんです。それが遺族会館においてはそれができておって、傷痍軍人会館が幾ら要望してもできないということであるのですが、この会館建設についてどういうふうにお考えになりますか、大臣ひとつ……。  それから、また、国からそういうものに対して若干の補助をする、こういうことについての何か構想をお持ちであるかどうか、伺っておきたいと思います。
  80. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは、まあ高野委員御案内のように、厚生省は提案をしなかったのでありますが、政府において予算を組む際に、最後までこれが課題として検討されたと、こういうことで、自由民主党と申しますか、政府としましては次の年の問題としてひとつ処理したいと、こういうふうなお話し合いになっておると私は承っております。したがって、来年度はどういうふうにするか、場合によればあるいは厚生省から要求する、こういうことになるかもしれませんし、このことは課題として解決しなければならぬ問題であるもそういうふうに思っております。
  81. 高野一夫

    ○高野一夫君 いま大臣のおっしゃったとおり、この会館建設の問題は、これはいまの大臣のお話のように、われわれ議員仲間から起こった問題なんです。そこで、来年度につきましては、ぜひとも、まず責任ある行政措置を講じている厚生省側がやはりこれを発議してもらいたい、こういうふうに考えるのです。それで、いまの大臣の御答弁では、課題として検討するのか善処するのか、何か聞き漏らしたけれども、置きたいというようなことでしたが、課題としては、すでに今日まで課題になっているわけなんですから、これをいよいよ八月以降予算の原案作成にかかられると思うのですが、必ず会館建設に対する問題を予算の重要施策の問題として厚生省は入れてもらいたい、そういう腹をお持ちであるかどうか、これは事務当局のほうに確かめておきます。
  82. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) われわれ事務当局といたしましては、いま仰せの予算につきまして要求したいというふうに考えております。
  83. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 今度の法改正で、大東亜戦争のみならず、日華事変までさかのぼって、手当と申しますか、一時金なりを出していくと、こういうことでございますが、考えてみますと、戦後、大東亜戦争が終わってからも、もう二十年近くなるということで、これはもはや戦後処理というよりは、一般的な社会保障制度の中に含めて、全国民的な立場からこういう問題を処理していくということがそろそろ必要ではないか、こういうふうに私は考えております。したがって、一体、政府は、社会保障との関係でこういう問題をどういうふうにとらえられておるのか、ひとつお考えをお聞きしておきたいと思うのです。
  84. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 援護法は恩給法とやや趣旨は異なる点がございますが、やはり国家補償という見地から、戦傷病者あるいは戦没者の遺族に対しまして社会保障的な援護をやるということを趣旨としておるわけでありますが、いま仰せのような一般の社会保障のワクの中で考えるという考えもあるわけでありますが、やはり過ぐる大戦における戦没者遺族、あるいは戦傷病者の特殊な立場を考えまして、国家補償的な意味から特別な援護をやるということは適当なことであるというふうに考えております。
  85. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もちろん戦争犠牲者と申しますか、特に戦地に行かれ、戦争において犠牲になって死亡する、あるいは病気になり、あとに残された遺族の方が非常に困った生活をする。そういう方々に対して国家が手厚い施策を講じていくということについて私も反対するものではございません。しかし、戦争そのものが、まあ責任はだれにあるということでなしに、少なくとも、全国民がこれに参加してきたわけですね。したがって、当然今度の改正等を見ましても、たとえば軍人、軍属が復員後一年以内、結核及び精神病については三年以内に死亡した場合、それが公務上の傷病により死亡したものであるとの立証が困難な場合に対しても一時金を十万円出す、こういうふうになるのですね。そうしますと、まあ、たとえば内地におりまして直接軍隊に入らない方でも、爆撃を受けまして精神病になったという方も私はあるのじゃないかと思いますし、あるいは戦時中の過労から病気になって死んだ方もあろうかと思います。そういう人に対しては何ら考慮せずに、こういう特別な方々だけに一時金というワクを拡大して出すということについて、私は、一般の社会保障との関連で非常に矛盾をしているのではないか、こういうふうに思うのですが、こういう点はどうお考えでしょうか。
  86. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 軍人、軍属は、一応国との特殊な身分関係があったものでありますので、特に援護法におきましても、準軍属等に比べますと、手厚い援護をしておるということになっております。そういうふうな国との特殊な身分関係があった軍人、あるいは軍属、そのほかに、そういう身分関係はなくても、やはり準軍属ということで国家総動員法による動員を受けた者であるとか、学徒動員令による動員を受けた者であるとか、あるいは閣議決定によって国の施策に協力したものであるとか、そういうふうな一定の線を引きまして、それを準軍属という形でとらえて、国との関係におきましては軍人、軍属のような特殊な関係はなくても、やはりこれに軍人、軍属に準じた援護をすべきであるという考え方をとっておる次第でありまして、そういう一般戦災者等とは、やや違った一線を画し得るものであるというワク内の方をとらえましてこの援護法の対象としておるわけでありますので、その点は一般戦災者と別個な扱いをするということに一応の理由があるというふうに考えておる次第であります。
  87. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 国と軍人、軍属との関係は一般の人とは違った立場にあるということについても了解はできますが、しかし、ことさらに日華事変までさかのぼってやるということは、全国民に対する社会保障という立場からすると逆行しているような感じを受けざるを得ないのですね。こういうものについては最小限にとどめて、そしてその他についてはもう全部一緒にして社会保障の立場で考えて国がめんどうをみていくという、そういうやはり考え方のほうが私は当然のことであり、これからそうやっていかないと、ますますこの一般の社会保障との関係が非常にむずかしくなるといいますか、今後の調整においても非常に困難を来たすのではないか、こういうふうに思うのですが、いまの御説明ですと、そういう点がどうもただ法律があるからやるんだというようなことであって、積極的に社会保障制度審議会が答申、勧告をしているような立場で、総合的なこの社会保障の施策、所得保障あるいは医療保障の調整、統合、こういう面に厚生省はやるやるということを言っておりますけれども、それに逆行するような形のものがこういう形で出てくるということは、ああいう答申なり勧告をただ受けたというだけで、それと積極的に取り組んでいこうと、こういう態勢に私は欠けているんではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
  88. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 日華事変中の戦闘の様相と大東亜戦における戦闘の様相には、苛烈さにおいては若干差もあったことと思いますが、しかし、その両者を全く区別して、一方の戦闘に従事された方、それから他方の戦闘に従事された方、同じように死亡された方を、支那事変中であることと大東亜戦争中であることとの、そういう区別があることによって全く差をつけるということは必ずしも適当でないと考える次第であります。現に弔慰金の場合には、支那事変以後の在職期間中に、公務上死傷または疾病にかかった者ということで把握しておりまして、すでに支那事変以降を取り上げております。そういうことからいいまして、若干の戦闘要素の差はあるにいたしましても、支那事変まで今度の援護を拡大する。弔慰金はすでにもう支那事変までまいっておりますが、障害年金遺族年金につきまして支那事変まで拡大するということは決して不適当ではないと考える次第であります。
  89. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣がおれば大臣に聞きたいのですけれども、政務次官が来られましたけれども、いま私が申し上げましたように、戦後、大東亜戦争が終わってからでも二十年近くなるし、日華事変ですと、これはもう私が小学校時代ですし、非常に前のことなんですね。したがって、こういうところまで、特殊な関係にあったということだけで、あるいはこういう法律があるからということだけで、特別な扱いをしていくということが、厚生省の考えておられる社会保障、いわゆる所得保障なり医療保障という今後の展望とどう関係があるのか。ますます矛盾するような感じを私は受けるのですけれども、どういうふうに厚生省は考えておられるのか。その辺どうもいままでの御答弁ですと、ちょっとこうまだ納得ができませんので、もし政務次官のお考えがありましたらお伺いしたいのです。
  90. 砂原格

    政府委員(砂原格君) 御指摘のように、大東亜戦争が終結いたしましてもうすでに二十年、日華事変になりますと、もうそれからなおさかのぼって十年近くも延びるわけであります。そうしたものが今日のごとく社会保障制度の面で考慮されるときに、こうしたものだけにいわゆるうしろ向きになって救済をするということは適切でないのじゃないかと、これが悪いという意味でなくて、社会保障制度充実から見た場合に適切でないのではないかという御指摘のように拝聴するのでございますが、御承知のように、軍人、軍風というものは、当時の日本の国情から考えました際に、国民に課せられしまた三大義務の一つであって、しかも、その義務に対しては、いかなる事情があろうとも、これに応じなければならないという立場を守った方々が、なお今日の社会保障制度の面においては救い得がたい場面も残されてあるというようなことから、今日のごとく国の経済も成長し、また、国民生活に希望が持てるようになったときに、こうした方々に対しても何とか救済の道がないかどうかというので、こういう面に少しうしろ向きになってそうした面を救済することを考えたわけでございます。
  91. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 政府はこの国会には出しませんが、閣議決定で叙勲制度というものを復活しておられるわけですね。そういうものとあわせ考えますと、どうもこの問題も、やはり日本国憲法の問題とも関連をして、問題があるように思いますし、たとえば現在交通戦争といわれるように、自動車事故なり、あるいは国有鉄道の電車事故なんかで死ぬ人が多数あるわけですね。たとえば国鉄公社の事故で死んだ場合に、その遺族に対しては年金が出るというわけではないし、いわゆる一時金で二百万なり、あるいは百万なりという形で、それで終わっているわけですね。ところが、こういう軍人、軍属の場合には年金が出るということで、このように同じ国の責任で死んだのに、片方が年金なり、あるいはいろんな手厚い保護が受けられる、片方は百万なり二百万なりでそれで打ち切られてしまうということが、はたして現在の段階で適当なのかどうかということを私は疑問に思うのです。それはもちろん戦後の非常に苦しい生活の中にあっては、特に特殊な関係にあった軍人、軍属、準軍属というような場合には、それはある程度考えられたかもしれませんが、しかし、戦後もう長い間たった今日においては、やはりこういう問題も、そういう一般の国民と同じような立場で考えていかないと、全体の社会保障のあり方から見て、ますます私はおかしいことになるのではないかというふうに考えているわけです。したがって、決して私はそういうものをほっておけということではございませんが、将来のと申しますか、現在、厚生省が考えておられる社会保障のあり方、あるいはあり方と申しますと所得保障、医療保障のあり方ですが、そういうものとこういうものとの関係をどうするのかということを、やはりこの際、明らかにしていかないと、いつまでもほんとうの社会保障制度というものが確立をされないのではないか、こういうふうに私は思うのです。したがって、こういう点、やはり厚生省としてもっと明確に示していただきたいというふうに思うわけです。  そこで、具体的な内容に入りたいと思うのですが、先ほど申し上げた改正の第二点の中で、「公務上の傷病により死亡したものであることの立証が困難な場合」と、こうなっておるわけですね。これは一体こういう方は全国でどのくらいおられるのか、把握しておられますか。
  92. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 公務の立証が困難な者に対する遺族一時金制度を今町提案いたしておるわけでございますが、第一号のほうと第二号のほうとございまして、いわゆる支那事変以降に公務傷病にかかった者が併発病で死亡したという者は一応千四百九十人予定しております。それから、大東亜戦争に六カ月間戦地勤務をして、その後に死亡した方は一応九百三十人という数を予定しております。
  93. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それは第一のほうですね。九百三十人ということでございますが、この数は確実な数ですか。これは日華事変以後の該当者、こういう方に一時金を支給をするということになっておるのですが、日華事変以後九百三十人ぐらいですか。
  94. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 日華事変中に公務傷病にかかられて、その後その他の併発病で死亡されたという方は、一応従来の申請の実績等から比べまして、一応千四百九十人と予想しておるわけでありますが、若干ふえることもあり得るというふうに考えておる次第であります。  それから、戦地勤務六カ月以上の方で死亡された方が九百三十人、これも一応実績から推定しておる数字でございます。
  95. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 これは遺族の申請によってそういう資格が得られるわけですか。
  96. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) さようでございます。この数字は、結局過去に他の年金等を申請されまして、いままでの制度では該当しないということで却下された書類等から判断しましてこの程度という推定をいたしておる次第でございます。もちろんこれにつきましてはご本人から申請をしていただくわけでございます。
  97. 藤原道子

    ○藤原道子君 私、ちょっとお伺いしたいのですが、未亡人の場合ですね、旧軍人恩給の停止から戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行までの期間中に再婚し、同期間中に離婚により当該再婚を解消している戦没者の妻等に対し、今度援護の手が伸びるわけですね。ということになると、いままでずいぶんこういう人はたくさんあったわけですね。この人たちが適用されるわけでございますが、かりに妊娠して子供が生まれていても、離婚していればこれの対象になるわけですね。ところが、この期間中に離婚はしたけれども、出産がこの期間後に延びたというのがございますね。こういう場合はどうなるのですか。
  98. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) これは従来、この奥さんが再婚しておられますと、遺族年金をもらう資格を失っておられたわけでありますが、それを二十七年四月三十日、つまり援護法の施行の日前に離婚しておられるという状況であった方には今回支給の資格を与えよう、こういう立法でございますが、別に子供の出産とは直接関係ございません。
  99. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう一点。今度はだいぶ範囲が広くなったわけでございますが、たとえて言えば、この間から厚生省に折衝しておる件があるのです。新潟で直撃弾が落ちた。それが壁に当たってはね返って、当時女学生だった人の胸に当たった。ところが、そのとき入院したけれども、その当時はまだレントゲン等も機能が悪くて、一応はわからないままに退院した。その後結婚して子供ができて、つい最近かぜ引きがもとでひどい熱を出した。それで入院したら、明らかにそこに弾痕が残っておる。当時娘だったのだけれども、いまは三十幾つ、四十近い人ですね。こういう場合には公務でないから、現実に戦争によって起こった被害だけれども、対象にはならないですか。
  100. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいまお話の方はどういう身分の方か存じませんが、一般のいわゆる軍属でも準軍属でもない方であろうと思いますが、そういう方はもちろん援護法の適用はございません。
  101. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは学徒動員等の場合はどうなんですか。学徒動員で通勤中……。
  102. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) いまのお話ですと、いわゆる学徒動員の場合は準軍属になるわけでございますが、その場合でも、直接の関連ではございませんので、やはり援護法の対象にならないわけであります。
  103. 徳永正利

    ○徳永正利君 援護法の関係はいろいろ議論がいままでされたわけでございますが、要するに、国とその個人に対する雇用関係がどういうふうなものであったかということが第一点であるわけでございます。当時広島の原爆などで——政府次官も広島の御出身でございますから、よくおわかりと思いますが、原爆を受けた。それが一ぺん帰郷する。ところが、その病気が、当時は原爆病というのはどういうものかわからないのですから、肝臓肥大だとか、あるいは何だとか、いまから考えますと、明らかにそういうようなものじゃないかという疑いを持つわけなんですけれども、そういうものが、これは勤務にも、あるいは戦闘にも関係ないというわけで没になっておるわけなんです。そういうような点については、厚生省は一体どういうふうに事務的にお考えですか、これをまずお伺いいたします。
  104. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 原爆が疾病に与える医学的な研究といいますか、これは必ずしもまだ十分進んでいないようでありまして、個々の場合にどの程度影響するかということはなかなかむずかしいようでございますが、われわれといたしましては、その原爆の影響がある程度推測できるものについてはできるだけ公務でとっておりますが、それが推測できない、はっきりしないものにつきましても、とにかく今度の援護法の一時金の制度で、ある程度とれるというふうに考えております。
  105. 徳永正利

    ○徳永正利君 この辺はひとつよくお考えいただいて、いまさら、また墓をひっくり返して、骨をガイガー計算機か何かでジャアっと当てるというようなことはできぬと思う。その辺は十分もうひとつお考えをいただきたいと思います。  それから、当時広島に原爆が落ちたというわけで、病院等から、はたしてこれが軍の要請に基づいたのかどうかよくわからないわけでございますが、とにかく日赤の病院とか、そういういわゆる公的な機関のお医者さんとか看護婦さんとか、こういう人が広島にはせつけているわけなんです。そうしてその方々の救護に当たられた。そして、その後一年なり二年なり、あるいは三年なりたって、やはり同じような、肝臓がはれたとか、あるいはいまで思えば明らかに原爆症じゃないかというような疑いのある病気でおなくなりになった。ところが、援護法そのものは、国との雇用関係というやはり身分関係をあくまでも追求している。そこで、そういうようなお医者さんが軍の要請で行かれたかどうかということ、あるいは自発的に行かれた方もあるかもわかりません、あるいは軍の要請によって、たいへんな被害を受けたから集まれという動員をかけられた方もあるだろうと思います。そういうようなときに、そういう方々が一年ないし二年たって肝臓がはれたとか、あるいはその他の病気でおなくなりになった。ところが、そういう方々は、はたして国とはっきりした雇用関係というものがあったかどうかということで、まだ何らこの請求もされてないし、また、国としても処置されてない、そういうものについては厚生省はどういうふうにお考えですか。
  106. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 現在、国との間に一定の身分関係のありました軍人、軍属、それから、必ずしも身分関係はなくとも、一定の範囲の方々は、まあ準軍属として処遇されておるわけでありますが、この準軍属的な範囲も、将来どうするかという問題に関連している問題だと思いますが、いまお話のような方々につきましては、将来準軍属の処遇改善の問題等を研究いたします際に十分検討いたしたいと思います。
  107. 徳永正利

    ○徳永正利君 こういう方々は、たしか労災保険というのは昭和二十二年ごろにできました法律です。ところが、これはその労災保険が実施される前の話ですから、何らの処遇もないわけです。どさくさでございますから、おそらく当時どういう手当があったか知りませんけれども、少なくとも、そういう個人を当たってみますと、その機関からはもう全然何にも受けてない、こういう実情にあるわけです。この点もとくとひとつお考えをいただきたいと思います。  さらに、これは前にこの委員会で労働保険審査会の問題が提案されました。いろいろ議論のあったところでございますが、いまの援護審査会の事務というものが、これは法律そのものが私は不備だと思うのですけれども、いくさが終わってから十何年たって、お医者さんのカルテも保存して置くのは五カ年とかいうことを言っておりますが、しかも、十何年たって、当時の公務とその病気がどういうふうな継続をしておったか、あるいはそれにどういうふうな関連があるかというようなことを、それぞれの遺族なり、あるいはその当事者に責任を負わしている、この法律は。ほんとうに国が当時赤紙で引っぱり出しておいて、そしてなくなった。ところが、そのなくなった原因がその前の勤務とどういうふうな関連を持っているかということをいまから調べようたってできっこないですよ。特に労働審査会のときに議論になりましたのは、もう少しおつくりになるなら、政府自体が本気になって何とかそういう人をなくするように、そういう苦しみをしょっていく人をなくするようにもう少し考えたらどうか、事務当局でもほんとうにそういう味方の人を、あたたかい気持を持っている人を網羅して、そうして災害にあった人を一人でも救い上げるような方向に進またければならぬということの附帯決議もちゃんとついている。いまの厚生省の立場は、やっていらっしゃる方ほお役人の皆さん方、私は前から考えますと、実にこのごろはほんとうに理解あるいろいろな事務をやっていらっしゃると思います。この点については感謝しておるのでございますが、もう少し関連したその事実というものをおまえさん調べていらっしゃいというような冷たいものの考え方に立たぬで、何かその辺に知恵はないか、今後こういう問題についてどういうふうにお考えになるか、その点をお伺いいたしたい。
  108. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) お話の点でございますが、実は、今度支那事変にまで拡大いたすわけでありますので、さらに調査が困難になることも予想されるわけであります。したがいまして、従来からできるだけ関連資料は広くさがして、そして利用できるものは全部利用する。たとえば死亡の事実関係につきましても、死亡診断書のみならず、当時読まれた弔辞の関係、あるいは兵籍簿の関係、それから近隣の人たちの証言、あるいは家族の証言、その他あらゆるものをとれるだけとりまして、そうしてできるだけ正確を期しておるわけであります。最近の援護審査会にかかったケースでありますが、もちろん関係者にただ資料を出させるだけではなくて、県を通じて、積極的に県当局が関係者に当たりまして、広く資料を収集して審査をしたという例も最近たくさんございまして、できるだげ当事者以外の方からも積極的に資料を集めるという態度をとりまして援護の適正を期しておるということであります。今回支那事変に拡大されるにつきましては、さらにそういう点に留意してまいりたいというふうに考えております。
  109. 徳永正利

    ○徳永正利君 先ほど柳岡先生からもいろいろなお話がございました。鉄道事故なんかでなくなった人は百万か二百万かの一時金だ、これを社会保障制度の中に取り込む考えはないか、これも一つの私は案だと思います。将来は溶け込んでいく範疇にあるものだと思うわけでございますが、いまの遺族年金というものは一年間に七万そこそこだ、七万百円でございますか、正確な数字はちょっと覚えませんが、七万円前後、これは利息に直すと、百二十万くらいの原資のつかぬ利息をもらっておるようなものでございまして、きわめて低額なものだと思うのです。で、いろいろな昔の泣き言はやめにいたしましても、まず公務扶助料と遺族年金の額に差をつけている、これは歴史をずっとたどってみますと、遺族年金のほうが多かったときもあるし、あるいは公務扶助料のほうが現状は多い、そういうちぐはぐなかっこうをずっととってきておるわけです。これは予算がどうこうという問題もありましょうけれども、何かその辺に私は政府として明確な一つのものの考え方というものがないんじゃないか、この点についてどういうふうにお考えでございますか。
  110. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 仰せのように、遺族年金と兵の公務扶助料との関係につきましては、同額であったこともございますが、昭和三十三年に約二千円余りの差がつきまして、それ以来若干その差が縮められてはきておりますが、いまだに千円余りの差がついておるわけでございます。で、われわれといたしましては、この三十七年にわずか約半分くらいでありますが、差が縮められておりますけれども、将来、恩給等のベースアップの際には、なるべくこの差をなくしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  111. 徳永正利

    ○徳永正利君 また援護法の中のいろいろな年金にいたしましても、十分の五のいわゆる年金、あるいは十分の六の年金、いろいろまちまちでございます。人間の命の議論は別といたしまして、そういう学徒動員で、当時動員令によってうまいことをした人もおるでしょうけれども、ほとんどの多くの人がまじめにその自分の職務を遂行するために出て行っているわけです。それで、十分の五の年金とか、あるいは十分の六の年金とか、こういうふうな問題については、前の予算要求のときにもいろいろ御配慮があったようでございます。今後どういうふうにお考えになるのか、その点を明確にお答えをお願いいたします。
  112. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 今回、衆議院の審議の際にも、今回の支那事変に拡大しました場合の遺族年金等の額と、大東亜戦争中の公務傷病による遺族年金との額とに若干差があります点を、将来均衡をとるべきだというような御意見もございますので、そういう点とあわせまして、準軍属の受けます遺族扶助金と、他の軍人、軍属の遺族年金との関係、その点につきましては、十分金額等調整につきまして配慮してまいりたいというふうに考えております。
  113. 徳永正利

    ○徳永正利君 当時戦争でなくなった人々の中には、たった一人むすこの場合もございます。私の知っておる中にも、これは川崎の例でございますが、八人の子供を全部戦争に出しておる。親子で町工場をやっておった、鋳物工場をやっておったわけですけれども、八人の男の子を全部出して、とうとう工場はやれなくて、そうして仕事をやめてその家をたたんだ。ところが、いくさが終わってみますと、八人の子供は全部帰ってこない。いまでもそのおかあさんはおすしをつくったり、おはぎをつくったりして、ときおり横須賀の軍港に行く。むすこにこれをたべさせるのだ、そう言って出て行って、そうしていまの横須賀に着きますと、昔の海兵団にはアメリカの旗が立っているのですから、はっと気がつく。これは私はいまやはりとぼけておったのだと、そのご主人は一緒に、自分の家内はまた悪い病気が出た、少し変になっているなと言って、さからいもせずについて行く、そうしておはぎを持ってまた帰ってくる、そういうふうな家庭もあるわけなのです。これはだれが悪い、かれが悪いはいま詮議したって私はどうにもなるものではないと思う。で、そういうふうな年をとった、しかも、直系血族のないお年寄りのもうみんな年をとってきておりますそういう老父母に対して、これはもう援護法があり、あるいは恩給法があるから、これはこれでいいのだというふうにお考えなのかどうなのか、何か別にそういうものには考えてやるべきではないかと私は思うのです。その点について、ひとつお考えを承っておきたいと思います。
  114. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 仰せのような、非常にたくさんの子供をなくされたという方の沈痛はお察しするにあまりあるわけでありますが、現在の援護法によります援護がこれで十分だということではもちろんないわけでありますので、将来この問題につきましては、まだまだ改善いたすべき余地があると考えております。したがいまして、この将来の改善の際に、いま仰せになりましたような点につきましては、十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  115. 徳永正利

    ○徳永正利君 婚姻によって、おかあさん、お父さんが氏を改めた。これは氏を改めぬ茶飲み友だちはこれはいいけれども、氏を改めた茶飲み友だちをまあつくったということでございますが、そういうものについてはすべて停止するということなんでございますが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  116. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) いまのような、氏を改めたことにより権利を喪失された方につきましては、氏を改めない者については、従来から権利は喪失していない取り扱いをしておりますが、氏を改めた者については、従来一応喪失するような取り扱いをしておったわけであります。今回の改正におきましては、一定の期間を限りまして、そういう氏を改めた方につきましても救済するという道をとっておるわけであります。
  117. 徳永正利

    ○徳永正利君 まあことばじりをつかまえるわけではございませんけれども、救済するとか何とかじゃなくて、何とかひとつそういう人にあたたかい手を差し伸べるというおつもりで今後御検討をわずらわしたいと思います。  それから、勤務関係によって死亡した軍属、あるいは準軍属の遺族に対しては、遺族扶助金というものは支給されていないわけですね。まあ昭和三十八年の改正によって、戦地勤務の有給軍属のうち、昔の共済組合の適用を受けられない者は準軍属として援護法の対象者となって、また、準軍属に対する戦時災害要件は撤廃されたわけでございますが、これらの者が勤務に関連して病気になってなくなったとか、明らかにこの勤務に関連しているという致傷があって、そして病気になってなくなられた場合に、これはひとつやはり支給の対象の範囲内に入れるべきではないか。いまの労災保険を見ましても、ちゃんとそういうようなものは手厚く保護されているわけです。その点について援護局長はどういうふうにお考えになっていますか。
  118. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいまの点、確かに準軍属についての改正問題の際に問題点になる事項であろうと思います。ただ、軍属の勤務関連の扱いとの関連もありますので、将来、勤務関連全体の扱いを考慮する際に十分検討いたしたいというふうに考えております。
  119. 徳永正利

    ○徳永正利君 旧民法の施行のときに、旧民法がまだ実施されておったときに継嗣関係を有した者については、戦没者の死亡が、新しい民法の施行後でも、新民法前の死亡の場合と同様に支給されるべきだというふうに考えるわけなんです。これはまあ明らかに私は憲法違反じゃないか、この法律は、そういう面においては。というふうに考えるわけでございますが、この点ひとつお伺いいたしたいと思います。
  120. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいまお話の点も、やはりわれわれの検討問題の一つに実はいたしたいと考えておるのでありまして、十分検討いたしました上、将来改善につとめたいというふうに考えておる次第であります。
  121. 徳永正利

    ○徳永正利君 そのなくなった人のおとうさんとか、おかあさんが内縁関係にあったというものについては、これはだめだということに相なっておるわけでございます。まあ内縁関係というのは、これにはいろいろなケースがあると思うのです。たとえば当時の長男、あるいは長女というのは、戸籍の上ではこれはもう結婚はできなかったわけでございます。非常に手の込んだ、だれかの養子に一ぺんやっておいて、そしてまたそれを嫁さんにもらうといったような手の込んだことをやった人は、これは長男、長女でもりっぱに結婚が旧憲法時代でもできたわけなんです。それでない限り、長男、長女の結婚というのは認めていない。そこで、いなかのほうに参りますと、子供が生まれても、しかるべき認知の手続であるとか、いろいろなことをがっちりやっておればそれでいいけれども、ちゃんと家ではあたりまえに夫婦生活をやって子供ができておったけれども、おかあさんのほうは実際自分の腹を痛めてできた子でございますから、これはもう間違いはないわけでございますけれども、いまとなってみれば、おとうさんのほうが認知せぬばかりに、実際に自分の子供であっても宙に浮いている、こういうような問題があるわけです。こういうものはもうどうしようもないというふうにお考えなのか、何とか法律的に知恵はないのか、その辺についてお伺いいたしたいと思います。
  122. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいま御指摘の問題、二つあるかと存じますが、最初のいわば不適法婚と申しますか、その関係は、やはりそういう法律上の問題のある婚姻でございますので、これを援護法上救済するということは少し困難かというふうに考える次第でありますが、後段のほうの問題につきましては、将来、援護法の内容改善の際に検討いたしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
  123. 徳永正利

    ○徳永正利君 同じ援護法の中でも、祖父母に対しては、いわゆる扶養する直系血族がないという支給条件になっているわけなんです。これはちょっと私は聞こえぬ話じゃないかというふうに考えるわけですが、この点について援護局長はどういうふうにお考えでございましょうか。
  124. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) ただいまのお話の点は、従来配偶者がなく、扶養することができる直系血族がない場合には金額に若干差をつけておったわけでありますが、今回の改正によりまして、その差をなくして引き上げることにいたしたわけでありますが、その他の点につきましては、ちょっといま直ちに改善ということは考えておりませんが、今回金額を改善することにいたしておる次第であります。
  125. 徳永正利

    ○徳永正利君 直ちに改善ということを考えていないということでございますけれども、遺族年金、あるいは遺族給付金が、ほかの者はいいけれども、祖父母に対しては扶養する直糸血族がないということが条件になっている、これは不合理ではないかということをお尋ねしているわけなんです。これがまことに合理的でございますとおっしゃるなら、また考えがあるわけでございまするけれども、いま直ちに解決するような考えは持っていないようですが、父や母と同様な条件に祖父母も並べるべきじゃないかというのが私のお尋ねする点でございます。この点についてひとつ。
  126. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 先ほどちょっとお尋ねの趣旨を間違えて答えたようでありますが、その点につきましては、将来の検討問題の一つとして検討してまいりたいというふうに考えております。
  127. 徳永正利

    ○徳永正利君 また原爆に返りますが、事実上原爆の被害を受けてなくなったというふうに推定される人々がたくさんあるわけなんです。ところが、そういう方々に対しては十分今後ともいろいろないわゆる配慮をいただきたい。先ほど私が申し上げましたように、被爆して即座になくなった方も即死された方もあるでしょう、あるいはそうでなく、いろいろな病気をしょって帰られて、それが原爆病、原爆に起因しているということが当時ではさっぱりわからなかったわけです。いまでもなかなかむずかしい問題がございましょうが、そういう問題について今後一段と研究をし、また、努力をしていただきたい。参議院におきましても、原爆被爆者に対する決議案もなされたわけです。で、少なくとも、国と当時雇用関係にあった人につきましては、これは援護法というものがあるわけでございます。その援護法の範疇の中で、明らかに国と雇用関係のあった者については、ひとつお考えいただいてしかるべきだというふうに考えるわけでございます。その点における援護局長のもう一ぺんひとつ明確なお答えをいただいておきたいと思います。
  128. 鈴村信吾

    政府委員(鈴村信吾君) 具体的なケースにわれわれが当たっておりますと、原爆を受けた方が全く他の病名でなくなっておられる。たとえば腸チフスでありますとか、その他の病名でなくなっておられますが、現実にそれじゃ原爆の影響がなかったのかということになりますと、なかなか普通のお医者さんでは判定できないケースが多いというふうに考えられます。したがいまして、将来の問題といたしましては、そういう別の病名でなくなっておられる方でも、原爆を受けておられる方には、何らか原爆の影響があったのではないかと推定される余地がありますので、そういう点の認定等につきまして、やはり一つの検討問題として将来考えていくべきだというふうに考えておる次第であります。
  129. 徳永正利

    ○徳永正利君 最後に政務次官に、大臣がおられませんから、お答え願いたいと思いますが、いままでいろいろ議論をやりましたもろもろのことについて、ひとつ政務次官に、締めくくりに厚生省としての態度を明確にしておいていただきたいと思います。
  130. 砂原格

    政府委員(砂原格君) 徳永先生の御指摘の点につきましては、ただいま局長からそれぞれ御答弁申し上げました次第でございますが、特に原爆被爆の問題は、実は私もその被爆者の一人でございまして、一番体験者としてお話を申し上げますと、原爆にあいました当時は、広島市でも八月六日から一週間くらいたちまして腸チフス、赤痢がはやったというので、ほとんどが原爆障害である者が、全部赤痢患者、チフス患者として扱おれて、死亡診断書にはほとんどそうしたことがしるされておるのであります。こういうような点につきましては、目下厚生省でも、将来こうした問題をどう扱うかについてさらに検討を加えておりますので、十分検討をいたしまして、事実を明らかにしながら、御指摘の点について十分なる考慮を払ってまいりたい、かように考えております。
  131. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  133. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、本案に全面的に賛成するものでありますが、特に先ほど私が政府委員並びに大臣に強く要望しておきました戦傷病者に対する問題といたしましての相談員の設置、病者のいわゆる傷痍軍人戦傷病者の会館の建設について、政府が強力なる助成措置を講じてもらいたい、そういうことを要望しまして、本案に賛成します。
  134. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法案に賛成をいたしたいと思います。  いままで落ちこぼれたと申しますか、取り残された方々に対して援護の手を差し伸べるということについては、適切な処置ではないかというふうに思います。ただ、特に要望しておきたいことは、先ほど私が質問いたしましたように、これからの社会保障の総合的拡充の立場から、これらの問題と他の社会保障との関係で不均衡がないように、私は、十分厚生省として対処していただきたいということを要望して、賛成するものでございます。
  135. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言がございませんか。それでは、他に御意見もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 総員挙手と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  138. 徳永正利

    ○徳永正利君 私は、この際、附帯決議を提出いたしたいと思います。  附帯決議案を朗読いたします。  内容につきましては、議論が尽くされたことでございますから、説明を省略いたしたいと思います。
  139. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 徳永君提出の附帯決議案を議題といたします。  徳永君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  140. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 総員挙手と認めます。よって、徳永君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることと決定いたしました。
  141. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまの御決議に対しましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、御趣旨に沿うよう善処いたすつもりであります。
  142. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) なお、本院規則七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  144. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 社会保障研究法案を議題といたします。  本案に対し、質疑のある方は、順次御発言を願います。
  145. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 この法案は「社会保障に関する基礎的かつ総合的な調査研究を行ない、及びその成果を普及し」と目的にうたっておるのですが、いままでの日本の実情からいたしますと、確かに社会保障に関するところの基礎的な、かつ、広範な調査研究が不十分であるということは既定の事実だと思います。しかるがえゆに、ひずみが各方面に具体的な事実になってあらわれて、思わぬ混乱、紛争等を巻き起こそうとしているのは厚生大臣は御承知のとおりであろうというふうに考えます。したがって、私は、この法案の目的とするところ、及び、これが今後どういうふうに動き出す前に具体的な問題点について注意しなければいけないのかという点についていろいろ御意見を伺っておかなければならない、そういうふうに考えます。また、注文もいたしておかなければならぬ、こういうふうに考えるものであります。  まず、最初に「調査研究を行ない、及びその成果を普及し、」とあるこの社会保障研究所というのは、調査研究した成果を普及するという実行をやる機関であるかどうか、やるとすれば、どのような手段で一体そういう普及をみるのか、この点についてひとつお伺いしたい。
  146. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) この法律に申します普及ということにつきましては、研究されました題目につきまして、それを報告書といいますか、あるいはその研究の結果ということにつきまして、できるだけ国民の皆さんに研究の成果をお知らせをして、社会保障の発展のために役立つように周知徹底するということの内容でございます。
  147. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 調査研究した結果を国民に周知徹底せしめるのが普及するのだということで目的にうたっておる。そうすると、私が伺いたいのは、この手段をどうするか、研究所自体でどういうふうな広報宣伝活動をやるのか、あるいは他にその他の手段をもって広報宣伝をやるのか、その辺、具体的にもう少しこまかく御説明を願いたい。
  148. 伊部英男

    説明員(伊部英男君) 研究所の研究報告書の刊行といったようなことでございまして、特別にある目的を持ってPRをするという趣旨ではありません。この「普及」ということばは、他の研究所におきましても使っておる文字でございまして、その例にならった次第でございます。
  149. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 私はいま、他の研究所のことを聞いておるのじゃなくて、法律の第一条に目的としてうたっている中で、しかも、その普及をするという実施のたてまえが入っておるのだから、方法論的にはどういう方法で普及をするのだということが、ある程度法案を提出する以上は、青写真というか、実施の具体的な方法まで考えておかなければそこまで目的としてうたえない。いま聞きましても、ほかの研究所もこういうのをみなうたっているから、これも員数を並べただけにすぎないのだというような私は印象でとった。しかし、第一条に「目的」とうたう中に入れる以上は、そういう説明では大方納得いかぬ、これは私だけじゃない。したがって、何らの他意なくやったのだというふうにとれますが、私は、他意なくこういうことをいったのじゃないと思う。調査研究機関だというたてまえで私どもは受け取っておるのだが、これがこの成果を普及する実施という任務を持たせるならば、この手段方法をどういうことでやるのだということをもう少し具体的に聞きたい、こういうことなんです。
  150. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) ただいまお答え申し上げましたように研究所の研究成果を刊行するということが主たる手段でございます。
  151. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 これはあとで予算のときに当然関連してくる問題ですが、まあ当初ですから、もちろんこの予算で十分なほどはないと思いますが、研究所自体が刊行物を印刷をして、それを配布するということですか。
  152. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 刊行する場合に、研究所自体が印刷するということにつきましてはいろいろございますが、いわゆる研究所の予算におきまして年報なり、そういうものをまとめまして、今年においてはこういう研究をやりましたということを本にして配布すると、こういうことでございます。
  153. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 そうすると、二十八人でしたね、たしか、全部を入れまして。その人員で研究した成果を刊行物として、まあいまの官房長の答弁ですと、成果を残すんだと、こういう意味に私はとった。しかしながら、この目的の「成果を普及し、もって国民の福祉の向上に寄与すること」と、こういうふうになってきますと、成果をまとめただけで、データを取りまとめただけで、一年間の成果を印刷物にしたんだというのと少し私は現実的に受ける感じが違うのです。そこで、私は、もう少し積極的な意味を持たしてあるのだというふうにとりたいし、また、とれる面がある。はたしてそれだけであるかどうか、もう少し突っ込んで御答弁願いたい。
  154. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 観点を変えまして、予算の面から申し上げますと、この法案に関連します予算としましては、印刷費といたしまして、五百部のものを五種類という程度で二十五万円の予算になっております。したがいまして、この研究所法案につきまして、目的にこういうふうに書きましたのは、一応この研究所につきましては、この前も御説明いたしましたように、特殊法人という形で法人格をここで創設をするわけでございます。したがいまして、民法の法人というものと違ったいわゆる法律に基づいた法人にするということでございますので、第一条を初めとしまして、あといろいろ条文が出てきておりますが、理論的にいろいろ法人格として活動する部面を法文に載せておるということが中心になっておりますので、ここにも「普及し」ということで、「普及」の用語につきましては、非常に普及活動ということを活発にやるというふうに読めるかとも存じますけれども、いわゆるこういう特殊法人を創設して外部に対して刊行物を刊行するということを一つの目的にもうたい、そして、ただ研究した結果をどこにも公表をせずにじっとかかえておるというようなことのないようにという趣旨でございまして、先ほどの予算とあわせお考え願えれば御了解、願えるものと思います。
  155. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 ただいまの説明を伺って、まず予算の面等を勘案すればそんなところじゃないかと思います。私がこういう点をしつこく聞きますのは従来往々にいたしますと、こういう機関が独立いたしますると、調査研究した成果をなまのまま、功をあせるままにプロパガンダとして使う、こういう傾向がいままで多かったことはあなた方もお認めになるだろう。これがはしなくも国民生活の上に非常に悪影響を及ぼしているという例がしばしばあったわけなんです。私は、こういう点は今後特殊法人で独立するとはいえ、やはり十分厳戒していかなければならない、そういう意味で質問しておるので、この点は今後とも十分注意してもらいたい、こういうふうに考えます。  第二は、社会保障の調査研究をやるんだ、これは私が冒頭申し上げましたように、確かにいまの日本においては、社会保障は何ものであるか、一対どういうことなんだかということを非常に知らない人が多い。その意味で、私は、時宜に適したものだと思わないでもない。そこで、いま社会保障と通常いわれておりますものは所得保障と医療保障だということになっております。そこで、今後調査研究が所得保障と医療保障の両面、あるいは場合によりますと、これは釈迦に説法でしょうが一九四四年にフィラデルフィアでILOが、社会保障というものは、もういまの時代には所得保障と医療保障じゃなくて、雇用サービスを入れなくちゃ全うしたものじゃないという勧告をしておりますが、こういうようなものまで取り入れていろいろ議論をやるのだということも考えられておる。こういう血について、いままで日本において社会保障というものが基本的に考えられたことはなかった。これは妄言多謝、おわびする面もあるのですが、唯一の審議会であります社会保障制度審議会においても、基本的な社会保障に対するところの定義その他については論議されることが非常に少なかったというふうに私は見ております。そういうことからするならば、純粋な意味から社会保障というものがこの社会保障研究所においてやられるということは、特に所得保障というものについては非常におくれておりますわが国においては、ようやく近年になって所得保障の面が刺激を受けて、どうやら整備の端緒についた、こういう実情なんです。だから、車の両輪である医療保障はどうなっておるか。これは非常にジャーナリスティックに医療費の問題ということで取り上げられておる。しかしながら、その実態については、むしろ医療保障と逆行するという印象すら受ける面がしばしばある、私はそういうふうに考えております。  そこで、きょうは当然所得保障の面にも及びますが、まず、こういう社会保障研究所というものができ上がりますと、所得保障、医療保障について研究の対象が入っていく。その場合に、当然医療保障というものが大きく取り上げられてくると思う。きょうは一般的な問題をやっておる時間の余裕がないそうですから、まず、単刀直入にそのものに入っていく。医療保障そのものが研究対象になるという場合には、どうしても必然的に医療費の問題が大きく取り上げられてくると思うのです。そうすると、医療費の問題について基礎的な調査研究をするのだという任務が当然出てくると思う。そういう場合に、一体いま厚生省の医療費基本問題研究員、これはたしか六人でおやりになっておると私は思っておりますが、その方々が基礎的な問題をやっておられると聞いております。これらとの関係はどういうふうになるとあなた方は思われてこの法案を出されておるか、それをまずお聞きします。
  156. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 先日の柳岡委員の御質問に対しまして詳しく申し上げましたとおり、この研究所は、基礎的な問題につきまして総合的に研究するということの性格で運営をされていくべきものであるということでお答えいたしまして、その際にも、ここの科学技術研究費、そういうものとの関連でもいろいろ御審議を願ったわけでございますが、そういう点からいたしまして、先ほどの研究員の問題との関連におきましては、各国の行政、あるいは制度、そういうものにつきまして直接の関連のある研究なり、あるいは試験なりというものにつきましては、従来どおりの制度——現存しますもの、あるいは将来も出てくると思いますが、そういうもので個々に検討していただく。で、この研究所におきましては、いままで欠けておりました総合的な、もっと基礎的な研究をやっていきたいということが中心でございまして、その点、少しこの研究所の研究議題を取り上げてみますと、社会保障の国民経済への影響でありますとか、あるいはこれが消費、貯蓄、投資への影響、あるいは社会保障の所得格差の是正機能でありますとか、あるいは社会保障と企業の福利厚生施設との関連でありますとか、あるいはわが国のいわゆる二重構造の緩和と社会保障の構造改善的な役承りはどうなるのか、あるいは社会経済発展段階と社会保障の規模との関係はどうなるか、こういうふうな大きな問題から入ってまいりまして、いままでに欠けておりました総合的な観点からの、しかも、もっと基礎的な学問的な研究というようなことに重点を置いてまいりたいと思います。研究員の研究議題は個別的専門的な問題であります。おのおのの科学研究費、その他各局にございますいろいろの研究費補助、あるいはそういう試験研究機関の研究とはダブらないもの、いわゆる重ならないものというふうに考えております。
  157. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 医療費基本問題研究員は、個別的な具体的なものを——具体的ということばだったかな、をおやりになっておる。しかしながら、基本的に医療費というものを検討していく場合には、当然まず第一に入ってくるのは、医療保障というカテゴリーの中で医療はどうあるかということに当然突き当たっておられるだろうと私は思うんです。ただ、詳細存じておらないので、これはあくまで類推です。号てこで、まず話の初めとして、いま一体、医療費基本問題研究員が、たしか二年おやりになったんですね、——一年ですか、一年間の成果は大体どの程度まで具体的にできておられるか、その辺のところからまずお伺いしたい。
  158. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 医療費基本問題研究員は、先ほどお話がありましたように、現在六名置かれております。五名が昨年の七月十六日、一名が八月の八日ということで、それぞれ御検討願っておりますが、いままでは、主としていろいろな研究の前提になるような事項についての共同の識見を高めるとかいうようなことに重点を置いてやったようであります。その結果、ことしの三月ごろにそれぞれの研究の目標、それから、自分が主として研究をする問題というものを固めまして、概略申し上げますと、一つは、医療の長期にわたる需給の趨勢という問題を研究する、これは東大助教授の嘉治元郎氏が担当してやる、こういうことでございます。  それから、二番目は、そういう長期の需給の趨勢の上に立って医業経営というものを適正化するためにどういう問題を考えていくかという研究をする、この中には医師の社会的な地位の問題とか、あるいはフェアリターンの問題とか、そういうような問題も含めて研究をする、こういうことでございます。これは上智大学の高宮教授と、それから横浜国立大学の伊藤助教授の二人で共同に研究をする。  それから、三番目の問題は、そういう長期の需給の上に立って医療の技術的な組織を適正化するという点から考えてどういうことをすべきか、そういう問題を研究する、これは慶応大学の外山敏夫教授が担当する。  それから、四番目の問題は、医療の需要組織についてどういう改変を考える必要があるかというような問題を研究する、これは一橋大学の高橋長太郎教授と、それから慶応大学の大熊一郎教授が担当する、こういうようなことで、現在個別に研究を進めておりまして、これらの人々は、何とかして来年早々にでも研究結果の報告をするようにしたいということでいま研究を進めておる、こういう状況でございます。
  159. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 来年の三月までくらいに一応の結論を出すというお話ですが、基本問題の……。
  160. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) 初めはその程度の目標でございましたが、より早くするということを考えようというので、できれば来年早々にでも研究報告をするようにしよう、そうして、かねがねこれはお願いするときから、長くとも二カ年間以内にまとめてもらい、それでこれは一応終了したい、こういうことで、そういうお気持ちでいま研究を進めておるというわけでございます。
  161. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いまのお話を承って、基本問題研究員が取っ組んでおる医療費の問題等について、きわめて基礎的な、基本的な問題だということがわかったのですが、それに必要なデータ等は、それらの当たっておられる教授が独自にお取りになっておるのでございますか、それとも、デーダ等の供給源はどこにあるとか、その辺はどうなっておりますか。
  162. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) これは、これらの研究をやっておられる方がご自分で集めておられるのもございます。それから、研究資料を、たとえばいついつの厚生省のこういう資料を出してくれとか、あるいは、かつて日本医師会で研究をしたこういう資料をもらって出してくれとかいうふうにしていろいろ集めてもらっております。文献は内外に及んでおります。
  163. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 医療費基本問題のほうはそれでわかりました。  そこで、官房長にお伺いしますが、官房長の先ほどの基礎的な調査研究、いろいろの問題をあげられておりましたが、これは当然そうあるべきなんです。ところが、あげられたものはほとんど十中の九割まで所得保障に関する問題が特に多い、もちろん医療保障だって、突き詰めていけば、それは所得保障に密接な関係があり、財政的にはそうなるでしょう。しかし、一応いまのあなたの御説明を伺っていると、医療保障という概念、医療サービスという概念の中に入るようなことは入っていない。もちろんあなた方は、どうせこれは今後は研究所がやるのだ、私らがやるのじゃありませんと言うかもしれません。言うかもしれぬが、いまあなた方が調査研究することの項目をあげられましたね、そういう中で医療保障と直接関係があると思うのを二つ三つあげてくれませんか。
  164. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 私が先ほど申し上げました、たとえば社会保障の国民経済への影響ということを申し上げました場合に、社会保障ということばの中に、当然所得保障、医療保障も全部含めていっておりますので、全部医療保障に関係があるということですと関係があるわけであります。だから、社会保障を論じます場合に、この研究所におきましては、おそらく当分の間は社会保障全般というものを大きくとらえて、それが国民経済の中で社会保障と医療保障とのいわゆる西欧のたとえば財政面からのパターンと比べて、日本が所得保障の点で非常におくれておるというような研究の形になってこようと思いますので、先ほど申し上げましたほかにもいろいろ予想項目を持っておりますけれども、一応全部社会保障という中に医療が関係をいたしております。
  165. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 そういう御答弁を予想したから、私はあらかじめくぎをさしておいたつもりなんです。財政論的に言えば所得保障も医療保障も最後は一致するので、それを申し上げたので、そういう御答弁を私は期待したわけではない。社会保障の影響ということをあなたは言われたが、それじゃ社会保障研究所というものは、文字どおりいまあなたが言われたように個々のたとえば医療費というふうな問題については論じないのだ、社会保障の財政的な効果だけを広く一般的にねらっておるのだ、こういうふうに理解していいわけですな。
  166. 梅本純正

    政府委員(梅本純正君) 医療費と申しますか、いわゆる行政に直接関係した、あるいは制度に直接関係したあれというのは、この研究所では研究の対象ではないというふうに考えておりまして、もっと奥にあります基本的な、学問的な考え方、ついでに申し上げますが、この構想として持っておりますのは、経済学、財政学、社会学というように、あらゆる学問の専門家が一つのテーマを総合的に討議していただくということを期待しているわけでございます。
  167. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いま明快な御答弁で、実は私が持っていたいろいろな疑念が晴れました。この研究所は医療費のような問題は扱わないのだ。ただ、総合的に、さっき言われたような社会保障の広い意味の基礎的研究をするのみだということを確認いたしましたので、私は快くこの点は了承いたします。その点を了承し、確認いたしましたから、これで私の質問を打ち切ります。
  168. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 きょうは大臣もおりますので、一つだけお聞きしておきたいのですが、この社会保障研究所というのは非常に重要な機関であるということは、それぞれ各委員の質問の中にも言われているわけであります。そこで、この機関運営は、予算が三千七百万円、しかも、その構成する人員は二十名そこそこ、こういう形で、非常に貧弱な内容になっていることは、社会保障制度審議会が答申した内容からすると、非常にその趣旨にほど遠いものであるということが言えると思うのです。したがって、私どもとしては、今後この機関は、もっと提案説明の中に言われておりますように、その権威を高め、さらに独立性を保持して、そうして公正妥当な調査研究をしていく、こういうことをぜひお願いしなければならぬというふうに思うのです。現在、社会保障制度審議会が昭和三十七年に、今後十年間の日本の社会保障制度のあり方を答申、勧告しているわけでございますが、この中でも明快に今後の方針が出ているわけでございますけれども、三十七年当時、社会保障審議会が判断した今後の日本の経済の成長と比べてみますと、いま相当大きな開きが出てきているのではないか、こういうふうにも考えます。そういう中で、現在日本で社会保障制度を審議する機関として最高の、ただ一つの社会保障制度審議会があるわけでございますが、私は、この社会保障制度審議会が、より日本の将来の社会保障について審議をしていく立場から、この社会保障研究所というものを十分に活用と申しますか、機関の発展を願うものの一つであろうというふうに思います。そういう意味から申しますと、先ほどの独立性、あるいは公平中正な立場での調査研究、そして、さらに社会保障制度審議会が、より日本の社会保障の拡充のために適切な答申、勧告を出すという二つの面からいっても、この社会保障研究所を具体的に社会保障制度審議会の指導下に固くということが私は一番いいのではないか。もちろん行政官庁である、監督官庁である厚生省が全般的に監督をするということはあたりまえでございますけれども、しかし、その運営にあたり、社会保障制度審議会の指導下に置くということのほうが、私は、よりその目的、あるいは趣旨にかなった機関になるのではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、この点ひとつ大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  169. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまの御意見でありますが、これは両方、両々相まって仕事をする、お互いに補完をすべきことも多いと思いますが、社会保障制度審議会がこの機関を直接指導するとかいうようなことは、私は適当でない。あれはいわば行政機関というわけでありませんで、一つの審議機関でありますから、そのたてまえからして、お互いに実際問題として相関関係をもって仕事をするのはよろしいと思いますが、いわゆる組織法上の問題として指導監督するというようなことは適当でないというふうに私は考えております。
  170. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 組織的にはそういうことはちょっと問題があろうかと思います。社会保障制度審議会が総理府の中にありますし、厚生省からこの問題をとられるということになりますと、これは厚生省としてもやはり問題があろうと思いますけれども、組織的には問題があるとしても、具体的な運営の中で、十分社会保障制度審議会の、いま相関関係、お互いに補強し合っていくということを大臣も言われましたが、社会保障制度審議会の意見も十分聞き、社会保障制度審議会のいろいろな、何と申しますか、勧告というまでいかなくても、そういう意見等も十分聞いてこの研究所の運営をはかっていくということをぜひやってもらったほうが、私は、厚生省だけがこの機関を監督していくということになりますと、やはり公正中立的な立場についても若干疑問が持たれてきますし、いわゆる独立性の保持というものが困難になってくるのではないかということを考えますので、そういう点、ひとつ十分配慮をして機関の運営をしていただきたい、こういうふうに思います。
  171. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいまの御意見のようなことは私は適当であろうと、かように考えます。
  172. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 私は、たった一つだけ、特に厚生大臣の御所見を承っておきたのであります。  先ほど官房長から、本問題の性格、内容につきまして詳細に御説明がありました。しかも、具体的の内容をもった御説明がありました。それをつづめて申しますれば、きわめて基本的な、総合的な立場に立って調査研究をいたすのだ、しかも、ねらいは、私の察するところ、ソシアル・セキュリティよりももっとこえて、ソシアル。ギャランティの立場までお考えであると、かように推察をいたすのでございますが、こういうような重大な使命を持っているものであるといたしますならば、私は、今回の予算を見ますと、その少なきに驚くのでありますが、私も社会保障制度審議会に関係をいたしている一人でございますが、審議会が主張いたしましたことも、毎年毎年大蔵省に頭を下げてわずかの予算を獲得するのに苦労されるというようなことよりは、まず、少なくとも原資を二十億ぐらいにして、そして、その利息で運営ができるようにということを主張もいたしておったのでございますが、本年度予算を見ますというと、わずかに五億か六億の原資にしか当たらぬのであります。こんなことで先ほどお述べになりました内容に沿うた研究は、なかなか百年河清を待つのたぐいと相なると思うのであります。しかしながら、本年度は本年度といたしまして、私は大臣に伺っておきたいのは、こうした重要な使命を持つものでありまする以上は、今度、来年度予算要求の際は、大蔵省から今年度予算のごとく、わずかの金を毎年もらうということでなしに、基金のようなものを創設さるるという案を策定されて、強く大蔵省に折衝さるべきだと思うのでございますが、この点はどうお考えに相なっておりますか、きわめて高度な総合的な、基本的な使命を持つものなんです。一点単価のごときはこの審議会においてなさるべきものじゃないし、医療制度の問題等もやはり研究されなけりゃならぬ問題だと思うのでございます。どうか厚生大臣の来年度予算に処するひとつ御信念を、この際、承っておかなけりゃならぬのであります。
  173. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはお話のようた資金をもってやる、こういうことも初め話し合いをしたことがありますが、できないで、結局一種の補助制度と、こういうことになりましたが、お話のような考え方はまだ捨てておるわけではありません。それもまたやってみたいと思いますが、衆議院等におきましても、とにかく千七百万円では月足らずみたいなものだ、そんなひよわいものをいま誕生させてどうなるんだと、これも私は同感でありまして、衆議院でも、せめて年額一億円ぐらいの、一番大まけにまけてもそれぐらいのものを使えるような施設にしたらいいだろうということで、私どももしごく同感でありまして、どうも先ほどの重度精薄児につきましても同様でありますが、生まれるときにはいかにもひよわくてたいへん恐縮に存じます。これも全くそのとおりでありまして、いざこざのあと、やっぱりこれだけのものができた、しかし、この程度のものでこんなりっぱな目的が果たされるとは私どもも思っておりませんから、これはあくまでも国会方面の御協力も得まして、十分なひとつ成果をあげられるような規模のものをつくりたい。その方法としては、いまお話の資金を出すという方法もありますし、補助金を増額するという方法もありますが、どちらが一番よいかということをさらに検討して来年度はひとつ要求をいたしたいと、かように考えております。
  174. 山本杉

    山本杉君 今度、社会保障研究所というものができまして、そして、私どもはかねてから頭を悩ましておりますところの医療問題、社会保障の中の医療保障の面における適正なといいますか、さっきお話がございましたように、経済学的な、あるいは財政的な基本的な問題を学問的に解決するんだという御説明でございました。そして、また、この医療費の基本的な研究をしていくという中で、医療の適正化とか、あるいは医師の社会的地位の確立というようなことも取り上げていらっしゃるようでございますが、どうか私たちが願っておりますような、ほんとうに納得のできるような研究所にしていただきたい。そういう意味において、いま佐藤先生からも希望が出たようでございますが、どうぞいいかげんなお茶濁しでなく、ほんとうに納得のできるようなものにしていただきたいということだけをお願いしておきます。
  175. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  社会保障研究所法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  178. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 総員挙手と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  179. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、各党各派の共同提案にかかります社会保障研究所法案に対する附帯決議案を提案いたします。  まず、その案文を朗読いたします。   政府は、社会保障研究所の運営にあたつては、特に左の事項を厳守すべきである。  一、調査研究にあたつては、いやしくも政府の影響を受けるがごときことがあつてはならないこと。  二、研究員の人選にあたつては、その職務の重要性にかんがみ、厳正中立、公正無私な学識者をもつて構成すること。  三、本研究所は、あくまでも社会保障全般にわたる総合的調査研究機関としての機能を発揮すべきであつて、極めて専門分野に属する具体的事項、たとえば医療費単価、点数の算定等については、それぞれ別の専門分野において検討さるべきであること。   右決議する。  この理由を簡単に申し上げます。  すでに先ほどから丸茂委員政府当局との質疑応答において明瞭にされましたから、申し上げるまでもないことでございまするが、その明瞭にされた点がここの三項目にあげられた次第であります。したがって、答弁におきましても質問においても、速記録に残っておりますけれども、本委員会は、その内容を要約いたしまして、ここに三項目の附帯決議として残した次第であります。すなわち、あくまでも総合的、いわゆる各省、各局、各課に分かれて、支離滅裂とは申しませんけれども、いろいろな立場で随時おやりになっている社会保障の諸問題について、ここで総合的に研究をされる、そうして、それぞれ執行機関においていろいろ具体案をおつくりになるその参考の基礎材料がここででき上がる、その意味の研究所であるべきだと考えます。したがって、そうであるならば、たとえばここに一例としてあげました医療費の問題は一例としてあげたにすぎないわけでございますけれども、医療費の単価をどうするか、点数をどうするかというような具体的問題は別個の機関で当然行ない、研究所に出されたいろいろな諸材料を中心にしてよくお考えを願わなければならぬ。この点が、衆議院における社会労働委員会においての速記録を見まするというと、ややもすると誤解を招くような説明がなされておる。これは先ほどの官房長の答弁によりまして明確になりましたから、丸茂委員もその質疑を打ち切られたわけでありますけれども、こういうような誤解を一掃する意味において、ほんとうに基本的、総合的調査研究機関としてのほんとうの機能を発揮せられる、その意味においてはりっぱな機関だろうと思いますので、先ほど来大臣もおっしゃったとおりに、十分今後予算措置も講ずることによってそういう研究をしていただく、それに本然のいわゆる姿としてその機能を発揮していただきたい、こういうことでございまして、先ほど来の質疑応答をここに要約し、衆議院の社会労働委員会における速記録を読んで、ともすれば誤解を招く、それを是正したいとの附帯決議案であります。  御賛同をお願いいたします。
  180. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいま提出されました高野君提出の附帯決議案を議題といたします。  高野君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  181. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 挙手総員と認めます。よって、高野君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることを決定いたしました。
  182. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 御趣旨に沿うよう善処いたします。
  183. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) なお、本院規則七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  185. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、第二号、国民健康保険に対する国庫負担金増額等に関する請願外五百三十九件を議題といたします。  以上五百四十件の請願は、一応専門員のもとで整理してもらい、委員長及び理事打合会におきまして審査いたしましたので、その結果について専門員に報告いたさせます。
  186. 増本甲吉

    ○専門員(増本甲吉君) 調査室で下調べをいたしましたものについて、先刻、理事会で御審議の結果、採択を適当と認められましたものはお手元にお配りいたしました表に記載いたしました百九十四件でございます。
  187. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいま専門員から報告いたしました第二号、第三号、第四号、第一〇三号、第二六二号、第二六三号、第二六四号、国民健康保険に対する国庫負担金増額等に関する請願。  第二八号、第二九号、第四六号、第七一号、第一三八号、第一五七号、第一五八号、第一五九号、第一六〇号七第一六二号、第一九五号、第二一七号、第二三四号、第三七六号、第三九一号、第四一六号、第五〇六号、第八二五号、会社福祉関係予算確保に関する請願。  第三〇号、第三一号、第三二号、第三三号、第三四号、第三五号、第三六号、第三七号、第三八号、第三九号、第四〇号、第四一号、第四二号、第四三号、第四四号、第四五号、第五九号、第一〇〇号、緊急就労対策事業打切り反対に関する請願。  第四七号、福島県新鶴村の簡易水道布設費国庫補助に関する請願。  第七〇号、第四三九号、第二二四二号、医療費窓口全額現金払い制反対等に関する請願。  第一〇二号、第一六一号、第二六五号、第二七七号、第二八六号、第三四一号、第三七七号、母子栄養改善強化並びに児童福祉施設栄養士設置に関する請願。  第一〇四号、第一三六号、第一三七号、第一五五号、第一八八号、第一九六号、第二一二号、第七〇一号、国民健康保険制度体質改善促進に関する誌上願。  第一三九号、第二七八七号、結核対策充実に関する請願。  第二〇二号、第二〇四号、第二〇六号、第二一三号、第二二七号、第二三九号、第二四一号、第二八一号、第二八二号、第三〇〇号、第三二〇号、第三二三号、第三三五号、第三三八号、第三四二号、第四一五号、第四三二号、第五六九号、第六〇二号、第六一七号、保育事業に関する請願。  第二二〇号、国民健康保険制度改善に関する請願。  第二六九号、第三八六号、第四四〇号、第四八二号、第五一七号、第五八一号、第五九四号、第六二八号、第一二八五号、消費生活協同組合育成強化並び物価値上げ抑制等に関する請願。  第三二二号、病院医療費引上げに関する請願。  第三六七号、第三六八号、第三六九号、第三七〇号、政府関係機関に対する大蔵省の賃金抑圧並びに不当干渉反対に関する請願。  第四三〇号、失業対策事業従事者希望退職者に対する一時金支給並びに賃金引上げに関する請願。  第四三一号、第七一二号、人命尊重に関する請願。  第四六一号、水源の汚染防止に関する請願。  第五三七号、国民健康保険事業に対する国庫負担金増額等に関する請願。  第五七四号、じん肺法の一部改正に関する請願。  第七〇〇号、第八九五号、男子看護人名称改正に関する請願。  第八三五号、農林水産事業失業保険適用に関する請願。  第八七四号、保育事業予算増額に関する請願。  第八七五号、第八七六号、第九三一号、第九六六号、第一〇一五号、第一〇三七号、第二一一二号、第一一一三号、第一二三八号、第一一八五号、第一一八六号、第一二二八号、第二〇三三号、第二六二六号、第二七七一号、第二八〇五号、第二八〇七号、第二八七七号、第二九八〇号、業務上の災害による外傷性せき髄障害患者長期傷病給付及び休業補償費の給付率平均賃金全額支給等に関する請願。  第一一一五号、労働時間短縮に関する請願。  第一二二七号、失業対策事業従事者賃金引上げ等に関する請願。  第一三〇〇号、進行性筋い縮症児に関する請願。  第二二二三号、第二三六三号、らい予防法改正等に関する請願。  第一三二四号、第一三二五号、第一三二六号、身体障害者義務雇用安全就業及び最低賃金制実施に関する請願。  第一三五八号、歩行困難者基本的処遇に関する請願。  第一三八六号、第一四〇四号、第一四〇五号、第一四〇六号、第一四四八号、第一四七〇号、第一四九九号、第一五一三号、第一八八六号、第二〇七二号、戦傷病者の妻に対する特別給付金支給に関する請願。  第一三八七号、第一三八八号、第一四〇七号、第一四〇八号、第一四四九号、第一四五〇号、第一四六一号、第一五〇〇号、第一五〇九号、第一五一五号、第一五五八号、第一八八七号、第二〇七三号、第三〇六〇号、第三〇九八号、戦傷病者中央援護福祉施設建設費の助成に関する請願。  第一四九八号、第一六七八号、看護職員労働条件改善に関する請願。  第一七三一号、第一八一八号、外傷性せき髄損傷患者救済に関する請願。  第一七九四号、南方地域戦争裁判による刑死者の遺骨帰還促進に関する請願。  第二〇五七号、業務外せき髄損傷患者援護に関する請願。  第二三六九号、最低生活保障等に関する請願。  第二四二八号、リュウマチ対策促進に関する請願。  第二四七四号、社会保険履歴確認措置等に関する請願。  第二六二〇号、重度し体不自由児援護に関する請願。  第二六四七号、第二六五二号、第二六七三号、第二六七七号、業務上の災害による外傷性せき髄損傷患者援護に関する請願。  第二七四八号、第二七七三号、第二八四三号、労働者災害補償保険法等の一部改正に関する請願。  第二七六九号、国立療養所看護能力大幅増強に関する請願。  第二七七二号、第二八七八号、第三〇一六号、第三〇六二号、第三一一六号、第三二三八号、第三一五三号、第三一五四号、第三一九二号、業務外災害によるせき髄損傷患者援護に関する請願。  第二九〇四号、中性洗剤の毒性と公害問題に関する請願。  第三〇六一号、老人福祉に関する請願。  第三一三一号、第三一三二号、失業対策事業に従事する労務者に対する生業資金貸付制度改正に関する請願。  第三二〇一号、らい予防法即吟改正等に関する請願。  以上百九十四件の請願は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定し、第一〇一号、全国一律最低賃金制確立に関する請願外三百四十五件の請願は保留と決定することといたして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  190. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会    ————・————