運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-23 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十三日(木曜日)    午前十時五十一分開会   ———————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            亀井  光君            高野 一夫君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            徳永 正利君            丸茂 重貞君            山本  杉君            阿具根 登君            杉山善太郎君            藤原 道子君            小平 芳平君            村尾 重雄君            林   塩君   委員以外の議員    議     員 田中  一君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省保険局長 小山進次郎君    労働政務次官  藏内 修治君    労働大臣官房長 和田 勝美君    労働省労政局長 三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   ———————————   本日の会議に付した案件 ○保健所において執行される事業等に  伴う経理事務合理化に関する特別  措置法案内閣提出) ○社会保障制度に関する調査(国民健  康保険に関する件) ○中小企業退職金共済法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)   ———————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、どうぞ御発言願います。
  3. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 今回のこの法律案内容を見てみまして、経理事務合理化と申しますか、簡素化をはかって、より合理的な運営をしていくという点について私ども異論はないわけでございますが、しかし、現在、保健所全体の問題を見てみますと、単にこの経理事務合理化だけで、いわゆる補助金をそれぞれ統合するというだけで、保健所がその趣旨に従っての適正な運営がはかられるというふうには私ども考えておりません。やはり根本的な対策としてそのことも必要でございますけれども、しかし、より私どもが気をつけていかなければならない点としては、やはり保健所機構そのものをもっと合理化していかなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういう点についての根本的な対策をどう考えておられるか、大臣からお伺いしたいと思います。
  4. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはお話のとおりでございまして、何と申しますも、公衆衛生予防衛生、あるいは国民健康管理、こういうことの中枢的な仕事をしておるのが保健所でありますが、保健所医者充足も多少不十分、あるいは保健婦が足りない、あるいは昨今問題になっておる精神病等についての何らの人的な要素が入っておらぬ、いろいろ不十分な点がありまして、これらを根本的に改組、整理したい、こういう考え方をもちまして、ただいま厚生省関係保健所運営に関する協議会というものをつくって、全体の問題をいま協議してもらっておりますが、この協議会が来月には結論を出される、こういうことでありますので、この答申を待ちまして、お話のように、全体的にひとつ十分の組織、あるいは内容等について検討をし、実現をはかりたい、かように考えております。
  5. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その協議会答申が来月ということになりまして、その結果に基づいて厚生省としても対策を立てられると言いますけれども、ひとつできるだけ早く保健所の全体の根本的な対策の樹立をお願いをしたいと思いますが、いま大臣が言われました、特に保健所の中でいま一番やはり困っておるのは医師不足じゃないかと思います。たとえばこれは千葉県の例をとって申し上げるといいと思いますが、規定としては人口十万に一カ所の保健所と、こういうことになっておるわけですが、しかし、千葉市の人口は三十万あります。ところが、そこにわずか一つ保健所であり、お医者さんがたった二人しかおらない、こういう実態です。規定上でいきますと、これは当然十万人に一カ所の保健所ですから、保健所は少なくとも三つはなくちゃならぬし、お医者さんも規定上からいくと六人は必要である、こういうふうになっておるわけです。こういうお医者さんの不足というのは一体どういうところに原因があるのかということを厚生省としてはどう考えておられるか。まあ充足率等を見ましても、三十七年度は四九・三%、半分にも満たない充足率になっているわけです。これはいま千葉市の例を申し上げたとおり、ちょうど合っているわけでございますが、したがって、そういうお医者さんの充足ができないということはどういうところにあるのか、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  6. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これはもう前々から問題になっておりまして、要するに公衆衛生関係医者が足りない、こういうことで、私ども、いま方策としましては、この関係希望者奨学金等を出して来てもらおうと、こういう方策を数年来やっておりましたが、多少の効果をあげておりますが、日本の私は伝統的といいまするか、医者、医というものは治療だと、こういうふうな考え方がもう従来強く行なわれてきたのでありまして、医者を志願される人は、どうもやはり医家の子弟が多い。ところが、これらの関係の方はやはり治療をおもにする。すなわち、公衆衛生医家になりたがらない、こういう傾向がこれはもう非常に強い一つの伝統としてあります。しかも、これはまあ変なことばで申せば、公衆衛生は臨床やなんかやらぬ、脈をとらぬ、したがって、その職務が済んだあとの、変なことばでいいますと融通がきかない、こういうふうな関係がありまして、なりたがらないという傾向は、これはもう否定ができない。これはやはり日本全体のその考え方を、治療も大事だが、予防が非常に大事だ、こういうふうに国民全体の考え方がやはり変ってこなければなかなかむずかしい問題だと思います。私どもも、いまはもう治療よりか予防だ、こういうことを厚生省はしきりに宣伝し、啓蒙しておりまするが、この考え方がまだ十分に浸透しない、こういうことでありまして、やはりひとつの因習的と申しますか、伝統的の考え方が医業を希望する方々の間にあるということを私どもは否定できないと思っておりますが、しかし、お話のように、これからの近代的の医学というものは、もう治療もさることながら、予防だ、こういうことをひとつ私は国民的に反省をしていく必要があると、こういうふうにも考えております。まあいろいろ末梢的と申せば末梢的な方法でありますが、いまではこれらの志願者を募って、そうしてできるだけ保健所に人を引きつける、こういうふうな方策を講じておりますが、いまもっと根本的な問題は、国民全体の考え方、こういうことに一つあるということを申し上げておきます。
  7. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大臣の言われるように、そういう意識的な面からの面もあろうと思いますけれども、しかし、やはり、たとえば研究費が非常に少ないとか、あるいはその他の待遇が非常に悪い、こういう面も私は大きな原因ではないかというふうに思うのです。これは医師だけでなくて、看護婦充足の問題あるいはまあ事務員のほうは、この表で見ますと、だいぶ充足はされているようでございますけれども、それでも一〇〇%満たされておらない、こういう現実でございまして、やはり積極的に厚生省としてこの保健所の使命を果たしていくという意欲を持つためには、そういう医師なり看護婦なりその他の待遇の面をもっと積極的に引き上げていくというふうに、やはり誠意をもってやっていただかなければならないのじゃないかというふうに思います。これはいままで何回か各先生方からそういう意見が述べられておりますけれども、特に看護婦さんの問題等については、もう非常に手おくれな段階にきておりますし、そういう点で、ひとつ根本的に、小手先的な経理事務合理化保健所がうまくいけるのだというようなことではなしに、その基本となる問題をひとつ十分やっていただきたいと、こういうふうに思います。  それから、この保健所の先ほど申し上げました数の問題とも関連するのですけれども保健所には五つの型があるわけですね。いわゆる各地域都市人口に比例して、都市あるいは農村とかいうような形で五つに分かれているわけでございますが、こういう保健所配置の問題について、やはり先ほど申し上げましたように、千葉市の場合、人口三十万に一カ所しかない、こういうことでありますし、いま非常に高度経済成長に伴って各地域が大きな変革を来たしている中で、特に公衆衛生の面では立ちおくれが非常にあると、こういう段階ですから、ただ革にいままでの因襲のままで保健所運営していく、あるいは保健所を見ていくというだけではなくて、やはりその経済成長に伴う地域の発展に伴っての公衆衛生の面を、この保健所を通じても、もっと力を入れていかなくちゃならぬ、そういう立場からも、この配置の問題を根本的に変えていく必要があるのではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  8. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 保健所職員待遇、あるいは職場改善、こういうふうなことはお話しのとおりやらなければならぬ、ことにこの保健所は全国的に非常に建物が悪くて、職場がきわめて不愉快である、こういう事情がありますので、ようやく保健所改築計画も立てまして、全国的に必要度の多いものからこれをやっていく、それから、なお、保健所宿舎の問題もやはりよく出るので、これらも不十分でありまして、私ども宿舎をひとつ提供するような方法も講じたい、それから、待遇の問題も直さなければならぬ、こういうことで、お話のようなことをぜひひとつ早くに進めたい、かように考えております。なお、保健所の数の問題も、いまお話のように非常に少なくて、私は静岡県でありますが、人員二十数万の浜松、あるいは静岡にようやく二つできた、こういう始末で、ほかは不十分であります。それから、いまの配置の問題も、お話のように、都市方面は、どちらかと申すと、最近では一般医療機関の活用、こういうこともできまするが、農村その他の地帯はそういう便宜がないということで、こういう方面にやはりこれからは考え方を変えて配置考えなければならぬ、こういうふうに考えて、時代の推移に沿うような保健所の増設というようなことを考えたいと、かように思っております。
  9. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 このU型、あるいはR型、UR型、L型、S型と、こうありますが、現実の全国的な保健所配置実態は、いわゆるそれぞれのきめられた型との関連ですか、現実にはどういうふうになっておるか、それ等はおわかりですか。
  10. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 現在三十七年度末の数で申し上げますが、三十八年度分はいま建築中でございまして、まだ終了しておりません。三十七年度末では、U型つまり都市型が全部で百九十三、UR型が八十、R型が四百二十二、L型が九十三、S型が十五というような配分でございます。
  11. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 その数はわかりましたが、現実配置と、この型がそれぞれあるわけですね。面積ですかの関係で、それぞれ一型、二型というふうに今かれておりますけれども現実配置をされておる保健所実態と、厚生省としての一つ基準があるわけでしょう、その基準に照らして実態がどういうふうになっておるか。
  12. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 実態に合わせるように、逐次訂正をいたしております。したがって、地域状況が変わってさましたり、あるいは人口の増減がありましたり、あるいは性格が、農村地域でありましたものが都市圏になってきたというような場合には、それぞれ状況に応じて型の変更を加えて補正をいたしております。
  13. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この型によって、その保健所機構なり、あるいは、たとえば人員と申しますか、それぞれの看護婦なりお医者さんの定員の数とか、そういうものはそれぞれきめられておるわけですか。
  14. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) そのとおりでございまして、ただいまおっしゃいましたように、一型から五型までの人口階層によって分けておりますものが、それぞれの階層により、人口移動等がありますと格づけを変えますと同時に、定員も変えております。
  15. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう際の定員充足が適正に行なわれていないというのが現実の姿じゃないかと思います。したがって、ひとつ非常に変わりつつある社会ですから、しかも、公衆衛生の面が非常におくれておるということからいっても、お医者さんなり看護婦さんなり、その他の職員充足について、ひとつ先ほど申し上げましたように、もっと積極的な対策を立てていただきたい。ただ単に住宅を建てるというだけではなしに、できれば研究費の増額なり、あるいは給与面における他との均衡を考えつつ、やはりもっと引き上げていく、こういう面を十分考えていただきたいと思うのです。  それから、現在、保健所にいろいろな仕事をばらばらに各法律に基づいて与えておるわけですね。したがって、この保健所業務もやはり整理統合していく、こういう必要があるのではないかというふうに思うのです。それぞれ人も少ないし、もっと合理的に仕事ができるようなことを考える必要があるのじゃないかというように思うのですが、そういう点は大臣はどういうふうにお考えですか。
  16. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは、やはり一番の問題は、医者が不十分なために、どうしても一人でいろんなことを全部やらなけりゃならぬ、こういうような問題が起きておりますが、これからやはり保健所医者もだんだんできるだけ分科をしていく、こういうふうな考え方を持たなけりゃならぬ、専門的な要素に従って。そういうふうに考えておりまして、仕事合理化することは非常に私どももこれから考えていかなけりゃならぬと思っております。  それから、お話のように、いろいろな法律ができて、その法律がばらばらに仕事をだんだん押しつけていった、そういうふうなかっこうでありますから、ここまでくれば、もうある程度仕事は一応緒についたと申しますか、いろいろな仕事をぶつけた、こういうことになりますから、今度はこれをどういうふうに合理的にやっていくか、こういうことを検討するときにきておることはお話のとおりだと思います。
  17. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう面も、先ほど大臣が言われました保健所運営協議会ですか、その中に諮問しておられるわけですか。
  18. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 運営協議会におきましては、実際に運営経験のある方々に、現場意見をとり入れて、最も現実的に、しかも、経験を生かした御意見をいただくようにしておりますので、そのような意向も出てまいっております。
  19. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この運営協議会というのは政府諮問機関ではなくて、厚生省内のいわゆる現場責任者と申しますか、現場で実際仕事をしておる代表が集まってつくっておる会ですか。
  20. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 御意見のとおりでございまして、衛生部長、あるいは課長、保健所長というような段階並びに各保健所運営協議会という民間の組織もございますので、それらの方々の御意見をお伺いして、できるだけ現場意見を盛り入れるという考え方協議をいたしております。
  21. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことは、しかし、これはどこの省でも、どこの会社でも、おそらく常にやっておることだと思うのですね。したがって、現場仕事のいろんな欠けておる面を直していくということは、当然これはやらなくちゃならぬ問題ですから、そういうこととは別に私は、やはり現在の保健所運営をより合理化し、より国民の健康を守るための仕事をやっていく面でどういうことが一番必要なのかという根本的な対策を立てる審議会か、そういうものをつくってやらなければいけないのじゃないかと思うのですがね。単にいま言われたような協議会の中では、この根本的な対策というよりも、それぞれの現場における現象面対策に終わるような気がするのですが、基本的に保健所機構を変え、あるいは運営を合理的にしていくと、先ほど申し上げました各法律によってばらばらにこの仕事ができておるのを、もっと合理的に整理統合して仕事ができるようにしていくというような対策を立てるには、先ほど申された運営協議会ではちょっと不足のような感じを私は受けるのですが、そういう点はどうでしょうか。
  22. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまの御意見のように、現場仕事をいかに改善していくかということは、ただいま申し上げましたように、運営協議会では現場方々の御意見を聞いて改善していく、また、それよりも上に立って、大所高所で見ていくということは当然厚生省本来の任務でございますので、それらの点は厚生省におきまして十分研究し、今後の改善をはかっていきたいと思います。
  23. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それから、ちょっと先ほど質問し忘れたのですが、医師充足の問題で、現在厚生省公衆衛生修業生というのを養成しているわけですね。これは保健所医師確保のためだということになっておるのですが、奨学金を支給して、そうして卒業後は保健所に勤務するように義務づけておるということになっておりますけれども、これの実態は一体どうなっておるのですか。毎年一人か二人しか応募者がない、こういうようなことを聞いておるのですけれども、一人か二人の応募者で、はたしてこういう制度が何のためにあるのかと言いたいような気がするのですが、そういう点はどうなっておるのですか。
  24. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 一人か二人ということはございませんで、三十七年度末までに終了した者が三百三十六名ございますが、そのうち百四名が現実保健所に就職をいたしております。したがって、歩どまりといいますか、三一%になっております。なお、三十八年度末は、大体二十名程度が新たに就職してくれる予想をいたしております。
  25. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 一人か二人というのは千葉県の例だと思うのですがね。非常に少ないし、それで卒業後義務づけるというのは一体何年ですか。
  26. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 資金貸与を受けた期間の二分の三の期間でございます。
  27. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっと私まだ不勉強でその内容がわからないのですが、この修業生は何人で、貸与を受ける期間というのは何年になっておるわけですか。
  28. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 医科の学生及びインターン生でございまして、いつの時期でも、希望があれば受け入れます。
  29. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、三百三十六名いままで発足当時から養成をして百四名、三一%の確保だと、こういうことでございますが、こういうふうに三分の一ぐらいしか保健所におられない、あとの人は全部どこかへ行ってしまう、こういうことも、やはり考えれば待遇の問題に帰着してくるような気がするのですね。したがって、そういう面をひとつ十分把握をしていただきたいと思います。そこで、今度の法律では、いわゆる決算段階におけるプールですね、統合があるわけでございますが、この保健所のいわゆる機構整理統合と同時に、それぞれの仕事整理統合とも関連をして、やはり経理事務交付段階におけるプールというものが私は必要じゃないかと、こういうふうに思うのですが、こういう点はいかがですか。
  30. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいまお話のありました、保健所経理決算段階では統合しているが、交付段階でも統合しろというお話でございますが、今度の法律が成立いたしますと、交付段階から統合して交付いたすようになります。
  31. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうしますと、この法律をちょっと見ますと、それぞれの区分に従って、それぞれの法律できめられた率をかけて、合計して分子を分母で割っていくというような形になっていますが、算術上、補助金が、合計額がいままでより少なくなるというようなことはないですか。
  32. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) これは二分の一事業と三分の一事業の比率が県によって多少違っておりますから、その点でごくわずかの出入りはあるかもしれません。大体大部分のものは一%程度出入りで済むという見当をつけております。
  33. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 まあ他の先生の質問もあろうかと思いますのでやめたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在この保健所関係では二十六ですか、補助金種類があるわけですね。さらに、またその他で六種類ある、こういうことでございますが、この中で、今度この法律によって対象となるのはどれくらいで、どういう種類のものですか。
  34. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) お手元に資料が差し上げてあると思いますが、資料の一番おしまいのほう二枚くらいのところに「二十六種の補助金一覧」という、ページ五という一番最後から二枚目でございますが、そこにいわゆる二十六種目というものの一覧表がございますが、この中の一部を統合するわけでございまして、実は、これはしるしをつけておかないで恐縮でございましたが、最初の保健所運営費補助金、それから、そのページの一番最後健康診断予防接種費補助金、それから、次の六ページ四行目の法定伝染病予防費補助金、それから、そのページの一番最後から二行目の家族計画普及費補助金、それから、七ページニ行目母子衛生費補助金、以上が統合される費目でございます。
  35. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私ばかり聞いて申しわけないのですが、私は、整理統合して合理化していくと言うから、二十六の補助金をすべて統合して合理化していくというふうに感じておったわけでございますが、いまのお話ですと、二十六のうち、五つですか、それだけの統合ということでは、まだまだほんとうに経理事務簡素化して合理化していくということにはほど遠いような気がするのですが、そういう点はどうなっておるのですか。
  36. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ただいま二十六の中の五と申されましたけれども、この表で「目」というのは十八ございますが、この中の五つでございます。その下のほうに小さなマルがつけてございますが、これが二十六ございます。このうちの七つということになります。なお、そのうち、ばかに少ない部分だけが統合されるではないかという御意見でございますが、実は、この二十六項目というのは、補助金合理化審議会答申にあげられました項目でございまして、これは同審議会が間違っておるのもございます。したがって、この中には、現実保健所に全然関係のない費用もございます。また、このあげられました中には、保健所のごく一部の保健所にしかいかないものがございます。また、保健所にいかないで、県段階にとどまっておるものもございまして、これはいろいろなものを補助金等合理化審議会委員の方が、とにかくあげるものを全部あげてしまったという感じでございまして、ただいま申し上げましたような五つの目、七つ交付単位のものをまとめますと、現実保健所において日常的な業務に使用されます経費がほとんど大部分でございます。
  37. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 資料の六というところですが、性病予防費補助金予防接種費補助金とか、急性灰白髄炎ですね、これは生ワクの関係でしょうが、こういうのはいままでどおりですか。
  38. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 性病予防費補助金につきましては、実は、これは相当数保健所に行なわれております。しかし、性病予防関係はほとんど仕事をしていない保健所が相当まだ多数ございます。そういう意味で、ある意味では非常に保健所特異性のある補助金であるということがいわれます。それから、予防接種補助金は、これは臨時予防接種費用でございまして、通常の定期の予防接種は市町村が実施をいたしますので、保健所費用とは関係ございませんので、したがって、ここにあげますのは臨時予防接種、したがって、特殊な疾病が流行した場合に初めて行なわれることでございますので、これは通常の場合は保健所には関係があり得ないわけでございます。また、急性灰白髄炎特別対策補助金は、もう三十八年度限りで終了いたしまして、三十九年度以降は現実にはない補助金でございます。その他お気づきの点をあげられましたけれども、その他いろいろ見てまいりますと、その右側にありますような地方病の予防補助金等も、これも特殊な保健所だけに限られたものでございまして、一般的な問題ではございません。
  39. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 わかりました。  それではこれでやめたいと思いますが、いずれにいたしましても、こういう補助金統合だけでは、やはりいま全国的に保健行政が麻痺しておるという現状を打開することはできないということが明らかでございまして、そういう面からも、機構の問題、さらに、また、それぞれの仕事整理統合の問題、さらに、また、医師なり看護婦なりの待遇の問題、こういう点をひとつ根本的な対策を立てて、立ちおくれている公衆衛生の行政をもっと円滑に積極的に早期推進をされるように、私から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、ただ一点だけ、あとくどくど質問いたしませんから、お伺いしておきたいのですが、それは保健所制度がしかれてからすでに二十年余りになる。そろそろこの辺で保健所でやっておった仕事の効果を集めて検討をしてみる必要があるのではないか。それで、現在保健所でやっている仕事は、従来、多くが警察でやったおった。ところで、警察でやらしておったのがいけなくて、保健所でやることがはたしていいのかどうか。現在、行政の統一性ということからいけばいまのほうがいいような気もするけれども、しかし、私がいま保健所のあり方を見てみて、必ずしも昔警察行政でやっておったのが全面的に悪いという感じは持たない。この点についてはいま大臣としてはどういうふうに考えておられるか。かつての保健所制度以前の状態と、保健所制度に持ち込んだ今日の結果を比較してみて、やはり現在のほうがいいと考えられるか、あらためて再検討してみてもいいのじゃないかという気持ちもお持ちであるか。私はどっちもいいような気がするのですが、必ずしも警察行政でやらしたことがいけないというような感じを持たないのですよ。前のは私よく知っているんですが、前は非常にうまいことをやっていた。警察でやるというとどうだとか、非常に圧迫的にやるとかどうとかいうことをいっておっても、最近の保健所の下っぱの役人のやることは、まるで警察官みたいなことを平気でやる。そういうふうになってきちゃっている、届け出、認可、許可、取り締まり。そうすると、私は、かえって昔の警察行政でやっておったときのほうが非常にすっきりしている。それは専門家の医学、薬理学その他の研究にしても、たとえば警視庁には衛生検査所が各府県にもやはり警察所管のものがあって、そのほうの研究なり何かやっておった。それを現在厚生行政で統一してやってきた二十年来の今日のやり方がよかったのか。前のほうもどうも捨てがたいような味も感ずるのですけれども、その辺についてどうですか、大臣のひとつ考えを伺っておきたい。時間を急ぎますから、もうあとは質問しませんから。
  41. 小林武治

    国務大臣小林武治君) これは私もお話のような疑問を持っております。ことに私は長い間県知事をいたしたときの経験から見ますれば、どうも近ごろの保健所の役人は、たとえば食品業者、旅館業者、あるいは飲食業者、このいま一番こわいのは保健所と税務署だ、こういうことを言っているほど権力的な行政をある程度やっているきらいがあるのでありまして、私は、これはまあ仕事のやり方が悪い部面もあるが、その管轄権がはたして適正かどうかということにも疑問を持っております。これはもういま二十年もたちましたし、私は、いまの保健所仕事、あるいはこれらの法律保健所仕事を付加しておりますこれが適正かどうかということはもう一度考えなければならぬといふうに私も考えておるのでございます。そういうふうでございまして、この問題も私はあらためてひとつ考えて、私どもだけではいけませんので、公安委員会等とも話をしてみる必要がある、かように私は考えております。
  42. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  43. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を起こしてください。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。保健所において執行される事業等に伴う経理事務合理化に関する特別措置法案を議題といたします。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  46. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。    ———————————
  48. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。
  49. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、ちょうど大臣が時間がないようですから、いずれ引き続いてこの問題は質疑をいたしたいと思いますが、きょうは国保の問題について大臣の所信を、時間は短いですけれども、伺っておきたい、こう思うのです。  この国保の問題は、世帯主が七割、二〇%分の四分の三支給ということになっおって、家族は五割給付でございます。しかし、その国保の主体が市町村になっておるわけでありますけれども、市町村が非常に大きな赤字を出している。たとえば例を申し上げますと、東京都は昨年度十八億円、大阪が十一億円だとたしか思います。累積した赤字をこれに加えますとたいへんなことでございまして、各市町村でこの国保の赤字を一般会計から投入をしていく。もう人間生命の最低の保護の問題ですから、健康を保持する政府の言う皆保険の問題ですから、市町村も重要な心がまえでこれと取り組んでいく、このことは、私は、そうせざるを得ぬところに追い込まれていることはわかるわけでありますけれども、個々の皆保険という国保にこれだけの一般財源をつぎ込んだら、市町村は本来のいろいろの福祉行政があるわけでありますが、そういうものに手が出ないというところに追い込まれていく、私は、この現状は見るに忍びないと思うのであります。ですから、私は、この国保の措置というものは早急に考えないと、私は、重大問題になってくるのではないか。政府のほうではいろいろの面から保険全体の統合というような問題があるといわれておりますけれども、しかし、国が責任を持たないで、たとえば他の保険行政と統合していってその国の責任をのがれるとは私はいいませんけれども、国の負担なしに調整していくというような思想が保険統合の基本になっておるとするならば、これまた重大な問題だと私は思うのであります。ですから、いま二つに分けて被用者健康保険と一般健康保険、要するに国保でありますけれども、その国保こそ、私は、社会保障の二つの柱、所得保障の年金保障、一般年金、それから医療保障の問題、最近外国では三本の柱といっておりますが、児童保護というのが社会保障の三本の柱といわれております。この二番目の大きな柱の最低限皆保険の立場に立つ国保がいまのような現状ではどうにもならないじゃないか、まあ私はそう思っておる。ですから、この市町村の赤字は、言うていくところがないから、市町村の一般会計で捻出して処理をしている。こういう行政を押しつけるべきじゃない、私はそう思う。ですから、厚生大臣も、いろいろ大臣を長くやられてこの問題と取り組んでおられると同時に、この国保の処理をどうしていこうとされているか、この御所見をひとつ承っておきたい。
  50. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 国保の問題はお話のような状態でありますが、しかし、最近におきましては国の補助金等も相当ふえております。すなわち、昭和三十七年には、従来二割だった給付の補助金を二割五分までふやしました。それから、三十八年度には三分五厘を増額したが、これは調整交付金が従来五分であったのを八分五厘にふやしたということで、これがため三十八年度約百億円程度国庫で負担することにして、そうして保険財政の健全化、こういうことにつとめてまいりまして、従来の経過を見ますと、三十六年には一般会計から五十億円保険財政へ繰り入れた。それから、三十七年には五十五億円繰り入れた。こういうことでありまして、いわゆる赤字団体というも一のは非常に減少してきておりまして、三十七年の統計では、全体三千数百の保険団体の中で、赤字団体が百九十幾つ、五%まで減ってきた、こういう状態でありまして、三十八年度に百億円余の国庫負担をした。すなわち、調整交付金を三分五厘ふやしたということが、私は、三十八年度の保険財政に相当役に立っておる、こういうふうに思っておりまして、赤字団体が漸次減りつつある。すなわち、三十七年度にすでに五彩まで減ってきた、こういうことで、改善はある程度進んできてはおります。それで、御案内のように、三十八年度に世帯主を七割給付にいたしましたが、二割ふえた、その二割分のうちの、しかも、四分の三というものは国庫負担にする。市町村負担はただ四分の一しかさせない、こういうことで、給付の増加に対する国庫負担を四分の三したということは相当思いきった処置である。それからして、三十九年度も家族を四カ年計画でありますが、七割給付にする。この七割給付の二割増加分も、四分の三は国庫負担でして、そうして地方団体には四分の一しか負担させない、こういうような処置を講じましたから、漸次私はよくなる。しかも、一番いま地方で問題にしておるのは、保険の扱いの手数料がいままで一人百三十五円、これではやれないということで、三十九年度も、まあ若干ではありますが、十五円ふやして百五十円にいたした、こういう事情でありまして、毎年とにかくお話のような状態を改善するために国庫が負担を増してきておる。こういうことでありまして、私は、これから二割増加の分はいまのような方法で当分四分の三を負担するからして、地方にはあまり大きな負担をかけない、こういうふうに思っております。私は、これからどうしても直さなければならぬのは、まだ百五十円では非常に手数料が足らない、こういうことで、府県によりますれば二百五十円もかかっているところもある、こういうことでありますが、ただ、私ども、やり方が非常にむずかしいのは、保険の手数料というものは地方団体でみんな違うのであります。われわれがやっておる金額以下でやっておるところもあれば、また、それよりか百円も多くやっておるところもある。こういうふうになっておりまして、平均を出すことが非常にむずかしいので、どうもやはり大蔵省にこの問題でいつもやられる。これでやっている県があるじゃないかというような問題がありまして、私は、平均点を求めて、ある程度これを上げなければならぬと思っておりますが、四十年等におきまして多く問題になるのはこの手数料の問題ではないか、こういうふうに私は考えて、これは相当変えていかなければならぬと思っております。すなわち、現在、国民健康保険政府負担が三割三分五厘まできておる、中には五割までふやしたいと、こういう議論が行なわれておりますが、保険財政で赤字をつくって、そして一般会計から繰り入れるということは、私はいい姿ではないと思いまするので、今後もやはり引き続いて国庫負担、あるいは手数料の問題について相当な前進をしなければならぬ、こういうふうに考えております。  なお、この点でつけ加えておきたいのは、たとえば地方におきましてわりあいにルーズなところがあるのですね、支払いについて、あるいは診療について。こういうふうな問題は相当考えてもらわなければならぬと同時に、地方自体が、それに関係なしに、政府の標準の給付以上に給付をするところもあります。それから、診療所等について相当ぜいたくとまではいいませんが、金を使っているところがある。こういうもののための繰り入れ金ということは、そう政府としては責任を持つというふうなわけにはまいらぬのではないか、やはり適正な診療と、大体政府のきめた標準的の医療給付をするということが私は必要じゃないか。それで、自治省は、実は三十七年の統計でも六十一億足りなかった、こういうことを言っておりますが、実際に繰り入れた額は五十五億円、差額は何だというと、主としていまのような診療所等につきまして繰り入れておる分がその差額になっておる、こういう状態でございます。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もうあまり時間がないようですけれども、私は、これは宿題にして、大臣、ひとつこの次の機会にもう少し掘り下げて私はこの問題を議論をしてみたいと思うのです。いろいろいま大臣おっしゃいましたけれども、東京都は一千万の人口があるといわれておる。しかし、十八億円も東京都で赤字が出ておる。大阪は十何億も出ておる。京都はいろいろ厚生省にしては言い分があるでしょうけれども、十億以上の赤字が出ておる。そうしてやはり幾らか診療をよくしようと思えばみんな赤字で、これは一般会計で負担をしている。これは各市町村も、大なり小なり、みんなそういうことだと私は思う。それで、いまの議論はどうなっているかというと、府県が負担せぬからいかぬのだ、市町村は財源がないから、府県の一般会計からの繰り入れのやり方が少ないからけしからぬじゃないか、そういうところにこの国保の赤字財源の補てんをその主体団体である市町村プラス府県が負担をせぬのがいかぬとかいくとかいう議論が実際に町村には行なわれておるということなんです。私は、全くもってこれは皆保険や国民の保険制度からいってさかさまの行政ではないか、私はそう思っているのです。いま大臣がいろいろ御説明なさった、まあ全国の市町村会とか議会における決議は、何といっても深刻な問題としてこれを決議しているわけです。ですから、私は、いま時間がないですから、これで大臣に対する質問はやめますけれども、そういう問題はどこに欠陥があるのか、たとえば医療費が高くつき過ぎているのかどうか。負担の限度も、非常に次から次へと負担を上げて、これは資産割り、所得割り、均等割りに保険料がなっておりますから、ちょっと大都市から離れた町村に行きますと、少し所得のある人からは年間五万円も七万円も保険料を取っておってもまだ赤字になる。均等割りというのはなかなか取りにくいのでありますから、資産、それから所得割りのないところは。ですから、そういう問題とにらみ合わせて、なぜこれが赤字になるか。この住民の所得分布その他も考慮して皆保険の実をあげるように、ぜひ検討していただきたい。これはきょうは大臣にはこれまでにしておきますけれども、ぜひそういう問題をもっと深くやってもらわないと、地方自治体の長というのは住民の福祉を高める行政ですから、貧しい人には、やはりこれは貧しいからといって別な給付をするわけにいかないのでありますから、そこらあたりは、掛け金といいますか、保険金はよけい取らない、しかし、給付は同じようにしなければいかぬ、そこらに社会保障のやらなければならぬ問題の意義が私はあるのだと思うので、そういう点は、たとえば国で負担をするのか、または所得、資産の多い人が負担を幾らか持つのか、そういう点の考え方もひとつ十分に詰めて考えていただかないと、私は、全国の国保が困っているのですから、このことだけは申し上げることができると思います。まあきょうは時間がありませんから、大臣に対してはこのくらいにして、今後のときにいろいろと御意見を聞かしていただきたいと思います。
  52. 小林武治

    国務大臣小林武治君) いまの東京都の十八億円は、東京都は、実は家族を標準の五割給付でなくて七割給付をしている、そのために余分に赤字が出ている、こういうことは一つの事実であります。しかし、来年から家族給付も七割に引き上げていきますから、それで肩がわりができてきますので、そういう部分は解消していく、こういうことが考えられます。それから、三十八年度に政府が四十何億か出しまして、所得が九万円以下の方の保険料は減免する、こういう措置をとりましたので、低所得階層に対するいまの減免措置ということは一応去年いたした、こういうことでございます。所得が年九万円以下の方は減免するというようなことをいたしております。いずれにしましても、これは皆保険のたてまえから相当大きな問題でありまして、やはり結局相当程度国が責任を負わなければならぬ問題であるという認識は十分持っておりますので、その向きのひとつ努力をいたさなければならぬと、かように考えております。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この際、保険局長が見えたことでありますから、一、二質問をしておきたいと思います。保険局長、全国の分布で資料をわれわれにいただきたいわけです。いまの世帯主七割と、それから家族五割というのが標準で、ことしから四分の一ずつで七割七割にしていこうということですけれども、七割五割というのが標準ですが、市町村で七割七割、あるいは八割五割のところもありましょうし、その他のところもあるわけですから、その表をひとつ出していただきたいと思うのです。そうして、その表に基づいて、七割五割で給付して、そうして今度四分の一ふえていきますが、七割五割で給付して、ノーマルな診療で赤字が出ているのか出ていないのか、出ているとしたらどういうことで出てるのか。いまの所得の低い人には保険料を免除する、ボーダーラインには均等割だけだという規律でこの国保は出発しておりますから、上のほうは一番当初は五万円だったやつが、最近七万円から八万円にみな上っておるわけです。そういう中で、何が原因で赤字が出るか、こういう一連の資料を出していただきたい。それから、付加といいましょうか、付加給付といいましょうか、七割を八割にしているところは付加給付ですが、この付加給付の分との差がどうなっているか、制限診療をしてないかどうか、健保との診療のかまえはどうなのか、こういうところをぜひみんなにわかるように資料を出していただきたい。それから、大体各市町村で赤字が出ているところは、どういう理由でどういうぐあいに赤字が出てるかというような問題も、ぜひひとつ保険局長出していただきたい。私たちが地方へ参りまして一番まっ先に聞かされるのはこの国保の問題です。まっ先に聞かされるのは国保の赤字の問題なんです。ですから、保険料はあんまり上げたくないけれども、赤字が出るから保険料をどんどん上げなきゃいかぬという話が出てくるわけでありますが、その点も私たちが一覧してわかるような資料をぜひひとつ出してもらいたい。  それから、もう一つは、いろいろ厚生省も検討されていることだと思いますから、検討された上で、将来この保険の姿、国保と健保との関係をどうしていくのか、それから、ほんとうに国民の健康を守っていくというかまえの中で厚生省としてはどう考えておられるか。それから、それとあわせて、法律改正をしなければだんだんとできないわけですから、法律改正の問題なんかをどうしていくか、こういう点についての御所見があったら、この際、聞いておきたい。
  54. 小山進次郎

    政府委員小山進次郎君) ただいま御要求がありました資料は、できるだけ御趣旨に沿うようにととのえて提出いたします。それで、一言お断わり申し上げたいのでありますが、三十七年度の資料でございますならば手元にまとまっておりまするので、これを目的にかなうように調製して差し上げることですぐできるのでありますが、三十八年度はまだ報告がいま進行中でございますので、これをととのえるという時期はかなりおくれると思いますので、その点は御容赦いただきたいと思います。ただし、進行途上でありましても、たとえば七割給付をどの程度にやってるかというようなことは、かなり中間で調べておるのもございますから、部分的にはなるべく新しい資料をととのえて出す、こういうことで御了承いただきたいと思います。  それから、赤字の問題につきましては、先ほど来お話がありまして、これはなかなか市町村にとって深刻な問題でございますが、ただ、傾向といたしましては、三十六年度に比べますと、三十七年度はやや情勢はよくなってまいっております。三十六年度に赤字を出しました市町村は二百七十五ございまして、これの赤字の合計が十四億八千万でございましたが、三十七年度にはこの赤字を出しました市町村の数が百九十四に減りまして、赤字の額は前年度と同様十五億程度と、こういうようなことでございますので、傾向としては、ややよくなっている。問題は、三十八年度がどうなっているかということなんでありますが、三十八年度はプラスの傾向とマイナスの傾向と二つございまして、プラスの傾向のほうは、先ほどのお話にもありましたように、たとえば従来完全に自前でやっておりました世帯主に対する七割給付に対して相当の国庫補助がいくようになったということ、それから低所得の被保険者に対する補助がいくようになったというようなことのために、かなり財政面では楽になってきた、こういう傾向一つございます。マイナスのほうの要因に、医療費の伸びが、特に年度の半ばごろから後半にかけて、思いのほか伸びてきているというような傾向がございまするので、まだ最終的なところはわかりませんけれども、どうも傾向としては、先ほど来たいへん御心配をいただいておりますように、せっかく三十六年から三十七年にかけてよくなりつつある傾向が、大体よくいって横ばい、あるいはひょっとするともうちょっと悪くなっておりはしまいか、こういうふうに懸念されるところがある、こういうことで、いまいろいろ実情を調べているという状況でございます。  それから、国民健康保険の将来につきましては、先ほど来のお話がありましたように、何といっても基本の国庫補助からのつぎ込みというものを相当充実していく必要があるだろうと思っておりますが、いずれにしても、私ども、まだ事務当局の段階での検討でございますが、全被保険者に対して七割給付をするということを完成してまいりますためには、いま全被保険者に対して、定率の二割五分を国庫補助をしておりまするのでありますが、これに加えまして、七割給付をいたします場合には、一割五分を上乗せをいたしまして、少なくとも定率としては四割の国庫負担をしていく。そのほかに市町村間の貧富の調整という作用を持たせておりまする調整交付金、いまは一割になっておりますが、このうち、世帯主の七割を実施するために入れました国庫補助金が入りましたのと、減税分が入っている結果そうなっているのでありますが、それが除かれますというと、実質的にはもとのほぼ五%程度まで縮まるわけでございますが、これを何とか一〇%程度にする、そうすることによって定率四割、それから調整交付金一割、こういう条件を与えることによって全国の国民健康保険というものを安定した状態に持ってまいりたい。同時に、そのことは現在国が行なっておりまするやり方から見れば、そう飛び離れた考えではない、かなり地についたものある、こういうふうに一応は考えているのでありますが、しかし、これをまとめて制度化していくという上においては、かなりいろいろな障害があると思いますが、何とか七割給付というものを義務制にする場合にはこれだけの条件を確保いたしたい、こういう気持ちで現在研究を進めております。  それから、そういう条件を与えますと同時に、私どもやはりもう一つ、これは全国の保険者でありまする市町村の当局にも、よく考えてもらわなければいかぬと思います。とかくいろいろの意味で、これは税一般がそうでありましょうけれども国民健康保険のような仕組みで取りますものは、源泉で取りますものよりも取りにくい傾向がありますために、本来取るべき保険料の徴収というものを、とかく低目に据え置くという傾向があるのであります。私ども現実の問題として、いまの国民健康保険の被保険者に低所得者層が非常に多いという事実は、これはぜひとも認めていただきたいという気持ちでありますが、同時に、少しそのことばに甘え過ぎるという傾向も反省しなければいかぬと、こう思っておるのであります。試みに、ほかの保険と国民健康保険との対比をしてみますというと、昭和三十七年度でながめますというと、政府管掌の健康保険では平均の標準報酬が一万八千百八十七円でございまして、これは年間に直しますと二十一万八千二百四十四円、こういう金になります。こういう平均の所得、年間二十一万八千円という所得に対しまして、政府管掌健康保険では年額にいたしまして一万三千六百九十七円の保険料を納めているのであります。月に直しますと千百四十一円、国民健康保険について見ますというと、この年間二十一万という所得に対応するものといたしまして、年間所得二十万から二十五万、こういうような階層、これは平均いたしますと二十二万五千円でありますが、こういう階層現実に納めておりまする保険料の額は五千二百十五円であります。政府管掌の健康保険の場合は一万三千六百九十七円というのは事業主負担と本人負担と合わせての話でございまするから、したがって、これを半分にして考えましても、これは国民健康保険の保険料というものがそれほどひどく割り高だというふうには言えない実績になっているのであります。もちろん一方は本人が十割であり、それから家族は五割であるというのに対して、片方は世帯主が七割で、この当時は世帯主、家族とも五割という事情でございますから、おそらくこれでもまだやや割り高だということは私ども言うべきだと思っておりますが、それほど飛び離れて国民健康保険だけが非常に保険料が高いという考え方は、やはりある段階においては十分吟味いたしたい。保険料の高い低いの問題は、単に国保の被保険者だけでなく、被用者保険の中にある低所得の人についても、何かやはり公平な対策をあわせ考えるというような考慮を持ちつつ進めていく必要がある、こういうような気持ちを持っておるわけであります。実は、これはかなりいまの段階では言い過ぎになる可能性があるのでありますが、そういうことを考えつつも、なおかつ、やはり国民健康保険が四割程度の定率の国庫負担と、できるならば一割程度の調整交付金を与えるということをいたしたい、こういう考えでございます。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ。そのいまの分類の資料もひとつ出していただきたいのですね。平均標準に対して保険料はどれだけ負担をしているか。たとえば私の理解によると、共済保険は本人は一〇〇%、家族は大体九〇%ですね。組合管掌にすれば、大体七五から八 〇%家族の給付が行なわれておる。政府管掌にすればこれは五〇%こっきりですね。そこの下に国保というものがある。日雇いもありますけれども、大まかにいえば国保がある。それがどれだけの負担をしておるか、どれだけの給付を受けておるか、こういうやつをぜひひとつまとめて出していただきたいと思うのです。それで、その上に立ってこの国保の赤字をどうするかという問題に私は入らなければいかぬのじゃないか。私どもの聞くのは住民ですから、端的です。この赤字を何とかしてもらいたいということ、それから、また、政府管掌の人にしてみれば、家族の付加給付を何とかしてもらいたいという意見が出てくるわけでございます。それで、政府管堂の分だけは固定して保険料がきまっているけれども、組合管掌になれば、その組合で三〇から八〇の間できめるのですから、自由自在できめている、付加給付がそれだけある。私は、同じ労働者が同じ産業で働いていてあまり不公平過ぎるのじゃないか。組合管掌と政府管掌との関係、それから、国民全体として国保と被用者健保との関係、こういうやつが出てくるわけでございますから、それを本来の厚生省の皆保険の上に立つ保険経済の上からこれが議論されているなら、私は、その議論を突き詰めて、どれだけの手当てが必要かということになるわけですけれども、そうじゃなしに、いま議論されているのは、当該の市町村が一般財源を持ち出す、それにプラスして府県が幾ら持ち出す、こういうところに国保のいまの対策の議論がされておる。そういうことは本来転倒じゃないかという気がしますからこういう質問をしておるわけですが、これはぜひまとめてもらって、この次にこの問題をみんなやって勉強をして、よりよい国保対策を立てたい、こう考えますから、いまの関係資料もぜひみんなに出していただきたいことをお願いをしておきたいと思います。いずれこれとまた関係して、年金の問題も、どうも組合管掌と同じような形で、宙に飛んでいくようなかっこうになりそうでありますから、こんなことのないようにわれわれは配慮しなければならぬわけでございますが、これはこれであとにいたしますが、しかし、これは国保、健保その他の会計については、ぜひひとつ精密な資料を出してもらって、その上においてよりよい国保をつくりたい、こう念願をいたしておりますので、ぜひそれを出していただきたい。
  56. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を起こして。  午後一時半まで休憩いたします。    午後零時七分休憩    ————・————    午後二時三十一分開会
  58. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより再開いたします。  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑に入るに先立って御報告いたします。  本法律案は四月十六日の衆議院本会議において修正議決され、同日本院に送付され、本審査の議案となりました。御承知のとおり、内閣提出案に対する衆議院の修正にかかる部分は、三十五条に一項を加える改正規定中、「理事長を通じて」とあるのを削って、中小企業退職金共済事業団の監事が直接労働大臣意見を提出することができることとし、監事の権限を強化しようとするものでありまして、さきに本院を通過いたしました医療金融公庫法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正点と同様趣旨の修正であります。したがって、委員長及び理事打合会におきまして、内容が明確なので、あらためて衆議院側からの説明を聞かないことと決定いたしました。  右御了承願います。  前回に引き続き、これより質疑に入ります。  この際、おはかりいたします。委員外議員田中一君より発言の許可を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。それでは田中議員、御発言ください。
  60. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) この法律で建設業、いわゆる建設職人を指定したのは、ねらいは結局何を目的にしているのですか。というのは、労働者自身のためなのか、あるいは建設労働者が労働市場において枯渇してるから、何か足どめをさせる、あるいは仕事をほかに移すと、直接与えられるものというのは退職年金がもらえるんだという印象を持っているのです、該当者は。しかし、政府がねらっておるものは何か、先にそれを説明していただきたいと思います。
  61. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 今回の改正ばかりでなく、元来、中小企業退職金共済法そのもののねらいといたしておりまするものは、直接的には中小企業における労働者の労働条件の改善、特に賃金の一部に相当するところの退職金制度の充実ということでございまするが、これによりまして中小企業における労働者のその事業場における定着を進めまして、労働能率の改善をはかり、ひいてはその産業の発展に貢献せしめよう、こういう趣旨でございまして、直接的には労働者の利益、そうして間接的には中小企業の利益、両々相まって産業労働の前進に寄与いたしたい、こういう意図でございます。したがいまして、この建設業の関係におきましても、建設業におけると同様の考え方をもって立案いたした次第でございます。
  62. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 労働者が自分の労働によって賃金をもらう、賃金をもらう労働というものがその企業のプラスかマイナスか、あるいは安定か不安定か、そうしたものに直接関係はなかろうと思うのです。間接的にはそういう結果が出るということであって、直接そうしたものを中心に労働者が労働しているわけじゃないと思うのです。そこで、建設産業に携わっているいわゆる職人というか、これはいまお話の、ある企業に——これは大臣は中小企業ということばに置きかえていますから、中小企業の場合には、また中小企業の何々業種、こうなりますと、私がこれから質問しようというものと異っている点があるかもわかりません。建設業を中心とする労働者の雇用条件等は、いまいわゆる中小企業という観念的なことばで表現されている雇用契約ではないと思うのです。これは私が申し上げるまでもなく、大橋さん十分御存じのはずですが、そうでない。そうして賃金そのものが——これは内容に入ってきますけれども、いわゆる中小企業等にも、ある一定の長期雇用条件が完備して雇用されたものじゃなくして、日雇い的なものです。これはもうそのほかにもたくさんございます、そういう業種が。そこで、この法律の目的とするものは、これはむろんそれに雇用される、いわゆる就職する働く労働者を対象にされることだと思う。この法律できめられている労働者というものの対象と、日雇い的立場にある労働者の対象というものは条件がおのずから一緒じゃないです。それから、出発も最後も、これはもう同じじゃないことは明らかなんです。その点はどういうぐあいに同じような結論に持ってこようという方途をとっているか、その点を、これはちょっとうるさいことだったらば、隣にいらっしゃる——大橋さんは何も職人の生活を知らぬわけだから、法律上の問題だけ説明してください。
  63. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) おことばに甘えまして、政府委員から申し上げます。
  64. 三治重信

    政府委員(三治重信君) いままですでに制定されております中小企業退職金共済法の対象になっております労働者は、先生のいまおっしゃったような、いわゆる安定雇用、常用雇用の者が対象になっているわけでございます。これはしたがって、いまの現行法におきましても、建設業の中小企業者に雇用されている常用労務者は、もう適用になっているわけです。それに加入できるわけです。ところが、期間を定めて雇用される者については、いわゆる適用除外になっているから、それを今度建設業においては、そういう期間を定めて雇用されるいわゆる職人さんというものが、ことに建築なんかでは基本的な労務者、いわゆる一つの産業における基本的な労務者で、非常に多数を占めておる。そういうために、そういう特定の業種について、特別に一般的な退職金共済法には適用できないものを適用できるように特殊な規定をして対象にしていこうというのがねらいでございます。
  65. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) ねらいはわかるけれども、どうしてつかまえておるかということです。ねらいはわかるのです。
  66. 三治重信

    政府委員(三治重信君) これが非常に私たちも苦心をしたところでございます。つかみ方といたしましては、したがって、業者が全国一本になってほとんどの業者が組合をつくって、その組合員となることによってその対象となる労務者を適用していこう、こういうことでございます。これがただ好きな者が入ればいいというのは、法律上は厳格に解するとそういうふうになってくるわけでございますが、これは現在の労働法的な立場からいきますというと、退職金共済というものは、まだ強制適用という法的な強制措置をとるのは行き過ぎである。したがって、それにはやはり法律上は任意加入制度をとらなければいけない、しかしながら、これを対象を一括してつかまえていくためには、どうしても業者が一括して団体的なもので団結をしてもらうよりほかに手はない。したがって、業界をまとめていく、で、業界がまとまるような法的な措置をしていくということでそれを補っていくつもりであります。
  67. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 厚生年金の対象となる業種とこの中小企業の退職金制度の対象というものとは同じものなんですね、考え方としては。それははずれた者を救うのだという面もあるでしょうし、実態として現在どうなっておりますか。
  68. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 今度新しく定めますこの特定業種において、期間を定めて雇用される者に対する特例の対象となるような労働者は、現在の社会保障法においては、いずれも日雇い失業保険、あるいは日雇い健康保険以外はみな対象からはずれていると存じております。
  69. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) これは大臣に伺いますが、私これはたまたま昨年列国議会同盟会議に参りまして、西欧諸国を訪問して歩いたんですが、そのうちイタリアには労働法がございません。いわゆる労使の慣行でやっておるわけです。その他の国は日本と同じような状態であるわけです。建設労働者というものは結局しょせんつかみにくいというわけです。しかし、いいことが一つある。それは建設の職人というものは労働者であるという確固たる一つの身分づけをしておるわけです。これははっきりしています。どこに働こうと、どこにつとめようと労働者である。したがって、労働法並びに社会保障のあらゆる制度というものは完全に受けているという行き方なんです。私は、これは大臣に伺いたいのは、労働者としてのこれは身分保証ですね、労働者としての身分保障がないから、別な形で補おうということは、これはあり得ないと思うのです。一本の働く層、いわゆる賃金をもらって働いている層、これは大臣はじめ、そうですよ。これがやはり働いているのだと、労働者の範疇ということに何かのきめ方をすれば問題は相当大きく前進すると思うのです。まず受ける側、とにかく社会保障、あるいは失業保険にしても何にしても、あらゆる社会保障というものは完全に受けとめられると思うのです。大橋さん、二へん目でしたね、労働大臣は。
  70. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) いや、初めてです。
  71. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 初めてでしたかな。労働組合というものに一切の問題を集約しようという考え方は、当然、ことに若い諸君に、局長連中にあると思うのです。政府がこれ以上もっと労働組合に力を出していこうという政治的な意欲があるでしょうけれども、中共、ソビエトを言うわけじゃございません。他の国々でもはっきりした労働慣行というものは生まれてきているのです。労働法がないイタリアですら、労使の労働契約によってすべての法律にかえているのです。スイスでもそのとおり、フランスでもそうでした。そうして法律以上に労働契約によってすべてをきめているのですね。これはわれわれ日本ではちょっとストライキをやりますなんというと、違法だの何だのかんだのといって、まるで袋だたきにあうような思いをさせられる労働者ばかりでありますけれども、整然とストライキその他ができるという労働者を育成するというか、慣行をつくるには、大橋さん自身が労働組合を強く大きくあらゆるものを認めていこうという方向が私はいいのではないかと思うのですが、この点どうですか。
  72. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 労働組合というものは、憲法二十八条の労働基本権であります結社権をもとにして、労働組合法によって保障された制度として組織されておる労働者の団体でございまして、私は、日本の産業の発展のためには今後労働力の充実強化が必要であり、そして、労働力の充実強化ということは、やはりいま労働組合を認め、労働組合を通じて労働者が産業に協力するという体制を政治的にも社会的にも経済的にも確立していく方向に向かうべきものだと、こういう考えで労働行政に従っておるつもりでございます。
  73. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) いや、まことにその態度はいいです。当然そうなくちゃならぬ。そこで、今度のこの法律に戻ってみますと、特定業種退職金共済組合をつくる前に、労働組合にこの仕事を全部やらしたらいいじゃないですか。どうも私は、いままでも失業保険法の擬制適用の場合でも、何かそういう事業的なものにしてくれなければ困るという考え方、これはできないのかもわからぬ、いまの事務機構というか、いまの法律のワク内では。しかし、ぼくはできないじゃない、できる方法もあると思うのです。これをひとつ聞きましょう。
  74. 三治重信

    政府委員(三治重信君) この建設業のこういう期間を定めて雇用される者の労働組合も現在ございますが、それはこの就業者の中でまだほんの一部でございます。しかも、最近ようやく労働組合的になってきた程度でございます。そういう意味からいきまして、いまの状態でこの制度を組合にやらすというのは、非常に現実問題として無理だと思います。先生も御承知のように、失業保険なり、それから、ことに共済的な仕事は、むしろ政府がやるよりか、西欧諸国においては労働組合の仕事として始められて、それから後に政府が援助する、あるいはさらに進んで、それが社会保障的に政府が強制的にやるのだというふうに大きな筋としては進んできているかと思います。ところが、日本あとから出たために、こういう社会立法、労働立法というものが、やはり一足飛びに政府がどんどんそのときの情勢に応じて法的措置をもって推進してきているのだと、こういうふうに私は理解しているわけでございます。
  75. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) この金は、これはもう大臣が、何というか、意識して言ったかと思いますが、この掛け金、これは貯金です。これは意識して言ったのだと思います。これはもう貯金にすぎないです。そうすると、一体、労働者の賃金の中から強制的に貯金をさせていいものかどうか。むろんこれには好きな人はやりなさい、そのかわりまとまった金が入りますよ、こういう形になっておりますが、富くじなんかと同じようなものなんですね、考え方が。もっとほんとうのもので、建設労働者、建設職人ですね、職人の手間というものが、かつてPWについては非常に長い間野ざらしにしたものだからいろいろ騒ぎましたけれども、これも労働省の腹がきまって廃止になっておりますが、建設省は相かわらず自分の事業内の一応の賃金を出している。これはいいと思います。別にそのためにいかぬということもないと思います。しかし、いままで自由労働者の賃金というものは一応押えていた。押えていたというか、標準賃金をきめておった。同じように日雇い的職安等の賃金もおきめになっていたと思います。そうすると、賃金は、一体あの賃金が建設職人の賃金でいいんだという考えは持っておらぬと思います。その中からこうした貯金をしいるということはやっぱりいいと思っていますか。
  76. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 確かにこういう現在のところ、退職金はまあ賃金の一部であるというふうに考えられておりますが、しかし、いままでもらっていた賃金の中からこれを積み立てるのじゃなくて、新しく事業主がいままでの賃金を低下することなく、新たにこれを労働者にやる分として積み立てる、こういうふうに御理解願いたいと思います。いままでもらっていた賃金の中から今度新しくこの限職金共済法によって強制貯金をさせるということではなくて、いままでもらっていた分はそのまま労務者には与えておって、さらにその上に使用者が特別に労働者のために積み立てる、こういうことでございます。
  77. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) それは当然その分だけはその職員の手間としてやるべきはずの金なんですよ。これはあなたもわかっているし、ぼくもよくわかっているのですから、一つ方法として、新たな方法としてそれは一応認めますけれども、行き方としてそんなものじゃないはずなんですよ。長期雇用ということが明確に保障されている労働者の場合こそプラス・アルファーとしていいかもわかりません。いわゆる強制貯金でいいかもわかりません。しかし、何といっても野丁場であり、町丁場であり、きょういてあすいるかいないか、あるいは、きょうは北海道にいるが、あしたはもう鹿児島に飛ぶという労働者に対してそうした強制貯金をさせることは、だれかが利益することであって、労働者は決して得だということはない。全体としては掛け捨てになるわけです。何にも利益にならない。なるほど形はいいですよ。おまえさんら働いて、もうちょっと残っている、ニンジンのしっぽくらいが残っているから、これは預かってやろうじゃないか。それはどこへ行っても、その手帳を持って行けば、どこでも働けばこれでできるのだよということを言っても、これも強制されないです。鹿児島へ行った。ところが、Bの業者が、おれのところはごめんだよといって、やっていないですね。なるほど東京へ来たらAの業者がやってくれた。北海道へ行ったら、Cの業者は、とんでもないということでやられないと、これでおしまいなんです。だから、口ではうまいことを言ってごまかそうと思っても、結局掛けた金というものは、なるほど共済組合には金として残ります。貯金として残ります。しかし、労働者の働いた報酬としての賃金はやっぱり搾取されているのですよ。これは筋から言えば、なに、五十から六十になったら継続して何回かやればあなたのものになりますよと言ったって、きょう行ってあす、またその土地にいないという職人が、手帳を腹巻きの下にし芸いこんでいるなどということはない。そんなものは要らないというのがこの社会の慣行なんです。なるほど宵越しの金は持たないというのは明治時代ですけれども、いまはそんな者はおりません。おりませんけれども、何といっても賃金が低いという場合には、これは掛け捨てです。一体その金をどのくらいと見込んでおりますか。制定される一つの協同組合ですか——大工なら大工の組合ですかができた場合に、当然厚生年金制度に入る。大企業の常用者は別になるわけですね。日雇い的立場の者は、中小企業が大体そうなんですが、推定される者は幾らで、どうなって、金はどう入って、その金をぼくもあなたもそれを見るわけにいかない、死んだ後のことを言っているので言えないが、われわれはその責任を持てない。見ることができないという遠い将来に対して、労働者のためにならなければ、いまこそ反省して、悪いところは悪いとして直すべきは直さなければならない。だからあえて言うのです。あなた方はどのくらいと推定して計算しておりますか。
  78. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 現在のところは、大体日掛けが二十円程度で、そして、これでずっといきますと、一応の目標は七十万、これはおもに建設のいわゆる本来の職人的な職種の人、大工だとか左官だとか、こういう職人的な職種、いわゆる建設業の中の特殊な技能を持っている専門的な労務者、これが大体七十万と見ておりますが、それから土木のほうのいわゆる土工、雑役まで含めますと、最大限百七十万人というふうに思っております。それで、この建設関係におきましては、大体この人たちは他のいわゆる建設業以外の産業に雇用されるということの率が、現在のところ、いろいろ調べたところ、唯一ありますもあの資料によりますと、大体年門五・五%程度の離転率、この産業から、けがなんかしてやめるとか、それからほかの事業所に行くとか、自営業につくというリタイアは非常に少ない統計になっております。実際はあるいはもっと多いのじゃないかと思いますが、私たちがつかんでおります唯一の統計だと、非常に他産業にこの産業からリタリアする者の率は五・五%になっております。
  79. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 建設関係の百七十万人くらいといっているのは土木も——七十万人というのは専門家ですか。
  80. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 百七十万は七十万を含まれた百七十万でございます、建設業全部の。
  81. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) そうすると、百万ということですね。
  82. 三治重信

    政府委員(三治重信君) そうです。
  83. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 百万という土木の土工というものは、どういう推定からきているのでしょうか。
  84. 三治重信

    政府委員(三治重信君) これは国勢調査で私たちは推定したわけです。
  85. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) そうすると土工専従者ですね。われわれが常識的に知っている、たとえば今日東京にある建設事業場の労働者を分析して調べてみても、大体半分は半農半漁が半分ある、東京にあるのを見ると。これは百万というものは、専従というか、土木専門、土工専門家という意味ですか。
  86. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 国勢調査の数字ですから、たしか十月の初めを基準にして調査をして、大体年間においてその主とした職業がその職業面に書かれると思います。国勢調査に書かれた職業名を集計した数字でございます。
  87. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 私は、いまあなたが言っている百七十万の労働者全部がこれに加入したら計算がどうなんですか。
  88. 三治重信

    政府委員(三治重信君) トータルの金額までは計算はしておりません。ただ、われわれのほうの大体のこういう退職金の金額やこの退職の積み立て金がどういうふうになっているかという問題は、大体十万人単位で計算をしてこういうかっこうになるわけですが、十万人単位の計算でやっていきますと、先ほど申し上げました前段の職人的職種の七十万人を対象として一応推定いたしますと、四十九年度末で三百七十九億六千四百万円くらいになろう、こういうふうに思います。その間に、もちろん積み立て金の利子収入、退職金の支給額を差っ引いての残りで、四十九年度末で三百七十九億六千四百万円になります。
  89. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) そうすると、この負担率は、負担をする該当者は本人ですか、直用者ですか。——そうすると、直用者というのは親方ですか。
  90. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 親方がもちろんこの下請をやるわけですから、親方でも、何々工務店として登録されているような親方は入らぬと思いますが、いままで一般にいわれている親方はこの中に入ると思います。これは先生も大体御承知だと思いますが、日雇い失業保険のように、スタンプ・システムで印紙を貼付してずっと積算していく、掛け金は事業主が払う、こういうことでございます。
  91. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 事業主だけですか。むろん国が事務費程度は払うのですか。
  92. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 事業主が、かりに二十円を払っていって、退職金の支給の場合に、満三年で五%、十年で一〇%、それで、それだけが退職金で計算された金額にプラスされてその補助金がつく。それから、事務費は大体において国がみる、こういう構想でございます。
  93. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) そうすると、強制加入じゃないのですね。
  94. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 強制加入ではございません。したがって、先ほども申し上げましたように、現在の退職金事業団の退職金のやつは任意加入で、全国ばらばら入っているわけですが、先ほど先生がおっしゃったみたいに、職人が鹿児島へ行ったり京都に来たり、また、東京の者が北海道へ行くということになると、その働いた日数の大部分がこの印紙を貼付されるためには、全国のこういう業者が加入する必要があるわけです。したがって、業界として統一した意思で大多数のものが入るような見込みが立ったときに労働大臣が組合の設立を認可する。それで、その加入をしてもらったものが維持できるように、業界としてそういう努力をしていく体制をこの法律ではとっているつもりでございます。
  95. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) そうすると、元請は大体この組合員にならぬということですか。大体入る機会がないのです、元請は。
  96. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 元請でも、この中に入らない業者は、われわれの調べたところでは、大体三、四十の大手ぐらいしかないのじゃないか。あとは大体入るのじゃないか。まあいわゆるほんとうの大手、中手ぐらいまでは入りませんけれども、相当の工事をやる業者でも、これは常用が三百人未満の人ですから、建設業者でそういうふうな常用の労働者を三百人以上かかえている建設業者というのは、全国でもそうたくさんないように聞いております。
  97. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 常用三百人使っているなんていうのは清水でも一大林でも、どこでもないですよ、そんなむだな使い方はしないですよ。それで、大橋さん、あなたにちょっと聞きたいのだけれども、将来こうした制度を、労働者としての定義、そうしたものをすっきり出して、やはり一本の厚生年金ならば厚生年金制度のほうに押し込んでいくほうが正しいというお考えがないですか。
  98. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 労働を何らかの形で生活の手段に供しておる者はすべて労働者という考え方もよくわかるのでございまするが、今日いろいろ労働者の福利事業などを考える場合におきましては、やはり雇い主との関係において労働者を把握していくということが、いろいろその負担を、労使にどういうふうに持たせるかという問題に関連をいたしてまいりまするので、多くの場合、一般的な国民的な厚生施設のほかに、労働者を対象として厚生施設を考えます場合には、この雇用関係における労働者というものをつかまえる場合が多いのでございまして、失業保険におきましても労働災害の保険におきましても、労働省において扱っておりまするのは雇用主に保険料を負担させるという形のものが多いのでございます。この中小企業退職金共済法におきましても、やはり同じ立場で労働者をつかまえておりまして、事業主に負担をさせるというような方式をとっておるのでございまして、その場合におきましては、労働についてのやはり買い手と申しますか、雇用主というものを一応頭に置いて制度ができておりまするので、しかも、その雇用主が、多くの場合、長期契約による雇用主が多いのでございまして、建設労働者のごとく、日によって雇用主に相当する立場の人が転々と変わっていくというものはなかなかその扱いが困難でございまして、多くは労働省関係の福祉施設では、たとえば失業保険などにおきましても、一種の雇用を法律上擬制して便宜恩恵に浴させるというような形になっておるわけでございます。今回の中小企業退職金共済法の改正ということも、やはり考え方によりますというと、同じような法律上の擬制に近い実態になると思うのでございますが、しかし、一般の制度がやはり雇用というものに着目してでき上がっておりまする以上は、どうしてもそれに合わせた制度をつくっていくということになると、一般の労働者という立場でなく、やはり何らかの雇用関係、ないし、それに類似した法律関係を頭に置いて、そして、たとい擬制でありましょうとも、法律的な構成をその基礎の上につくり上げるということは現状においてはやむを得ないのじゃないか、こう思っておるのであります。しかし、労働者に対する福祉対策が本質的にそれでいいのかどうか、これは問題であると存じます。何ぶんにも労働者の負担能力というものにも限界がございますので、将来の先のことにつきましては絶えず研究するという気持ちを頭に置きながら、できるだけ現状において多くの労働者にこの施設の恩恵を及ぼすという立場からいって、どうも差しあたってはこういう方式にたよらざるを得ないのではないか、こういうふうに考える次第でございます。
  99. 田中一

    委員以外の議員(田中一君) 私これで一応やめますが、これは採決はいつになりますか。まだ時間があるんですか。——次回にまたひとつ機会を与えてほしいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  100. 鈴木強

    委員長鈴木強君) わかりました。
  101. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この前に資料をお願いをしておきましたが、どうでございますか。これ大体ととのえてもらったんでしょうか、お尋ねをします。資料について説明を。
  102. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 御説明申し上げます。  最初の、「企業規模別退職金制度の普及状況」、これは製造業について中小企業基本調査によって掲げました。これによりますと、規模の小さい企業ほど退職金の普及が低いわけでございます。今度範囲を広げまして、二百人から三百人未満というところでは普及率は五八・六%というふうになっております。これは三十二年の調査であります。  それから、二番目の「モデル条件別平均退職金の状況」、これも一製造業でございますが、上のほうは労働省の賃金制度調査によって三十八年に調べたものでございまして、百人未満のものはないわけでございますが、下の(ロ)のほうで、これは特殊調査、いわゆる地方庁が調べたも一ので、ここに載せておりますのは東京都の調査でございますが、それには資本金が三千万円以下、従業員が三十人から二百九十九人というところで調べておりますので、大体下のほうがいまの私たちが対象としております事業所の退職金の額には適当かというふうに考えております。  それから、三番目が「企業規模別、資本金別企業数」でございます。これは中小企業基本法のいわゆる中小企業の範囲の比較でございますが、一人から二百九十九人までで、資本金の規模が五千万円未満のところが、規模においては、大体においてこれを全部足していただくと九九・三%になります。それから、五千万円以上のところで三百人未満の事業では、ここに実数として千四百四十五と出ておりますが、これは全体の〇・七%に当たります。それが全産業でございますが、それから製造業、サービス業というふうに分けてやっております。大体において三百人の規模で切ったほうが、労働関係としては中小企業の対象としては正確につかめるのじゃないかというふうに思っております。  それから、四番目に「一社当たり業種別固定資産高」、これは固定資産の設備の金額と雇用者の数でございますが、ただ、これは規模が五十人から二百九十九人というふうなので、三つのランクにつけてありますので、これがはたして一人当たりどれだけの設備を持っているかというのは、まあ非常にラフに出しても、これは簡単に出しにくいところでございます。それで、ここでちょっと追加をさしていただきますが、最近、経済審議会のほうでつくりました資料によりますと、三十五年で、三十年価格で百万当たりの固定設備で、資本投下でどれだけの人を雇っているかというようなことを、百万円当たりで製造業計で〇・七九人、それから、それを製造業でも軽工業と重工業に分けて、その一、二の例をあげますと、食料品では百万円当たり〇・九一人、繊維工業では丁〇人それから、わりあいに多いのは皮革及び皮革製品、これが二・四人、少ないのはゴム製品、これは〇・六三人、それから重工業で鉄工業の場合は百万円当たり〇・二八人、それから精密機械で一・〇人、一般機械で一・六人、電気機械器具では、これはわりあいに多くて一・五四人、輸送用機械器具では〇・六七人、これは三十年価格で三十五年の状況を調べてみたところでございます。それだけを追加さしていただきまして、まあそのほうが先生資料要求の趣旨には合うかと思いますが、当時これしがなかったためにこの四の表を差し上げたわけでございます。  五番目の「中小企業退職金共済制度の普及状況」、これは退職金事業団に共済契約として加入している者の共済契約者数、これは事業主でございます。それから、その対象となっている労働者数、それを規模別に出したのがこの表でございます。小規模の事業場においてはまだまだ普及率は少ないというのが実情でございます。  それから、その下に(注)で書いておきましたように、この加入前に退職金の規定を持っていたという事業場がどれくらいあるかということでございますが、これは現在、退職金事業団では非常に事務を簡素化し、機械化しておりますので、付属資料は一切とっていないわけで、加入のときの加入前の状況は全然とっておりませんので、これは資料が作成不可能でございます。  それから、企業倒産等により、また、事業場の閉鎖、規模の減少、いわゆる企業整理というものによって離職した労働者が他の事業場に行ってどれぐらい継続的に加入しているかということでございますが、これは倒産以外のものも含まれ、いわゆる希望退職と申しますか、事業主と了解をとって事業場を移動したものも含まれておりますが、これは二千六百八十件、まあ大体これに該当するんではないかというふうに思っております。  それから、資本金別の一社当たりの業種別の資本金額、これを規模別にということでございますが、これはまあ読み上げると非常に複雑になりますので、手元に表を用意してきましたから、あとで追加として提出いたしたいと思います。  以上であります。
  103. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いまの三の説明についてですが、資本金が上で、それから下は従業員数ですね、この表は。三の全産業、製造業ですね、もう一ぺんこれを説明してもらいましょうか。
  104. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 一人から二百九十九人の従業員の規模で、百万から九百万円の資本金を持っている企業の数でございます。それが二十一万三千二百八十三、一千万円から二千九百万円の資本金の企業で、しかも、一人から二百九十九人までの従業員を使っている企業の数が四千百九十五……。
  105. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、この表の中に、カッコの中に「従業員規模(人)」と書いてあるから、従業員数と錯覚を起こしたわけであります。それはわかりました。  そこで、第四表、これは固定資産の平均値ですか。これは説明なかった。
  106. 三治重信

    政府委員(三治重信君) この計のところでもう少し申し上げますと、この計の隣りの五十人から九十九人の従業員を雇っている企業の平均の固定資産高でございます。
  107. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、これは二百人から二百九十九人の固定資産高ですね、平均の。この表のところはそういうふうに理解していいのでしょう。
  108. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 業種として、製造業で二百人から二百九十九人の従業員を雇っている企業の一社平均——一つの企業の平均が一億八千百三十四万二千円の固定資産を持っている、こういうことでございます。
  109. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 さっきお話がありました資本投資額に対する就業力、人別のやつが報告されましたが、製造業が〇・七九、食料が〇・九一、繊維一・○、皮革ですかが二・四人、それからゴムが〇・六三、重工業で鉄鋼が〇・二八、精密機械が一・〇、電気機械が一・五四、輸送用機器が〇・六七、こういうことですが、どうも私ぴんときにくいのですが、百万円に対して、たとえば皮革のようなところは二・四というと、一人に対して四十万ぐらい資本金を投下したら一人の就業場ができるということです。製造業でも〇・七九ということですと、百工、三十万ということになるわけですね。そういうかっこうと、いままで労働省が出しておったのとは少し違うような気がするわけです。いままで最低が機械工業の百万でしたかね、化学工業なんかだと二千万円ぐらい、一番高いのは水力電気で一億五千万というぐあいに出ておったと思うのです。われわれもそのくらい想像できるわけです。こんなに電気機械で一・五四というと、六十万か七十万で一人の就労場ができるほど、何ぼ電気機械のところでも、そんな時代じゃないのじゃないかと思うのだが、これは三十年というのだから、どうも十年前のことがここへ出てくると、ちょっと見当がつかなくなるわけです。こんなものを十年前の見当つかない数字でこれの対象を見てくれというのはたいへんなことでね。これはなんじゃないですか、労働省ではこういう集計はしておられないにしても、いままで二年ほど前に、通産省のその前の年あたりの資料とって見て私の言った数字になっているのに、三十年の資料をここへ持ってきたのはちょっとこれは見当違いで、経団連か通産省のところでもっと精密な統計をとって発表されるほうが、議論をするのには実質的じゃないですかね。これはちょっと十年前というと見当がつかぬです。
  110. 三治重信

    政府委員(三治重信君) いま申し上げましたのは、価格が三十年価格だということでございまして、評価したときの価格の基準が三十年価格で、実際の調査は三十五年でございます。それで、これの説明を見ますと、工業統計表から作成しております。したがって、工業統計表といいますと、この各産業、これは先ほど申し上げましたのは製造業の中分位産業でございますが、そうすると、やはり十人とか十五人以上の規模とか、各産業によって下の規模の切り方が若干ずつ各産業違いますから、非常な中小企業までこれは入った全部の産業の平均、いわゆる三十五年度に雇用者がどれだけふえた、食料品でいきますと、食料品は三十五年度から前年よりか純増加雇用人員が幾らで、それから三十五年の間に新しく固定資産が増加したのがどれだけと、それを三十年価格でやった場合にどれだけだったということで、その固定資産の純増加額を分母にしてその産業の従業員の増加数を割って、しかも、それを百万に直した、こういうことです。
  111. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 固定資産ですか。
  112. 三治重信

    政府委員(三治重信君) 固定資産です。
  113. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の言っているのは、投資額に対する就労の場の動静ということが一番的確に出てくるのでこういう取り組み方を今日までしてきていると思うのです。この資料はもう一度、まことに何ですが、経営者の団体もやっているでしょうし、そんなものはないはずがない。工業統計にしたって、三十五年なんという古いのじゃなしに、三十年価格でちょっと想像も見当もつかぬわけですね、十年前ですと。ですから、政府がいろいろ所得倍増論の基準年度を三十二年から三十三年といわれるその前の価格ですから、なおさら見当がつかぬ。それから、もう一つ、退職金の一番最初の調査も昭和三十年、中小企業の退職金の有無の問題も昭和三十二年の十二月調査というのでは、これをお出しになるというのはどうかと思うのです。これは統計調査部があるわけですね。
  114. 三治重信

    政府委員(三治重信君) このあと行なわれておりますのは、退職金の調査というものはごく最近行なわれて、いままではなくて、これがほんとうに一番新しいのですが、昨年行なわれて、ことしの大体六月ごろにはこれの新しい第二回目が出るだろう、こういうことでございます。この六月ごろになりますと新しい資料ができます。昨年現在の調査……。
  115. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 じゃ、もうきょうは三時半で時間を切られているので私もやれないですが、その資料を、さっきのやつをもう一度検討してください。
  116. 三治重信

    政府委員(三治重信君) ちょっとないです、これは。
  117. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  118. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を起こしてください。  他に御発言もなければ、本日のところ、本案に対する質疑はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十八分散会