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政府委員(
小山進次郎君) ただいま御要求がありました
資料は、できるだけ御趣旨に沿うようにととのえて提出いたします。それで、一言お断わり申し上げたいのでありますが、三十七年度の
資料でございますならば手元にまとまっておりまするので、これを目的にかなうように調製して差し上げることですぐできるのでありますが、三十八年度はまだ報告がいま進行中でございますので、これをととのえるという時期はかなりおくれると思いますので、その点は御容赦いただきたいと思います。ただし、進行途上でありましても、たとえば七割給付をどの
程度にやってるかというようなことは、かなり中間で調べておるのもございますから、
部分的にはなるべく新しい
資料をととのえて出す、こういうことで御了承いただきたいと思います。
それから、赤字の問題につきましては、先ほど来
お話がありまして、これはなかなか市町村にとって深刻な問題でございますが、ただ、
傾向といたしましては、三十六年度に比べますと、三十七年度はやや情勢はよくなってまいっております。三十六年度に赤字を出しました市町村は二百七十五ございまして、これの赤字の合計が十四億八千万でございましたが、三十七年度にはこの赤字を出しました市町村の数が百九十四に減りまして、赤字の額は前年度と同様十五億
程度と、こういうようなことでございますので、
傾向としては、ややよくなっている。問題は、三十八年度がどうなっているかということなんでありますが、三十八年度はプラスの
傾向とマイナスの
傾向と二つございまして、プラスの
傾向のほうは、先ほどの
お話にもありましたように、たとえば従来完全に自前でやっておりました世帯主に対する七割給付に対して相当の国庫補助がいくようになったということ、それから低所得の被保険者に対する補助がいくようになったというようなことのために、かなり財政面では楽になってきた、こういう
傾向が
一つございます。マイナスのほうの要因に、医療費の伸びが、特に年度の半ばごろから後半にかけて、思いのほか伸びてきているというような
傾向がございまするので、まだ最終的なところはわかりませんけれ
ども、どうも
傾向としては、先ほど来たいへん御心配をいただいておりますように、せっかく三十六年から三十七年にかけてよくなりつつある
傾向が、大体よくいって横ばい、あるいはひょっとするともうちょっと悪くなっておりはしまいか、こういうふうに懸念されるところがある、こういうことで、いまいろいろ実情を調べているという
状況でございます。
それから、
国民健康保険の将来につきましては、先ほど来の
お話がありましたように、何といっても基本の国庫補助からのつぎ込みというものを相当充実していく必要があるだろうと思っておりますが、いずれにしても、私
ども、まだ事務当局の
段階での検討でございますが、全被保険者に対して七割給付をするということを完成してまいりますためには、いま全被保険者に対して、定率の二割五分を国庫補助をしておりまするのでありますが、これに加えまして、七割給付をいたします場合には、一割五分を上乗せをいたしまして、少なくとも定率としては四割の国庫負担をしていく。そのほかに市町村間の貧富の調整という作用を持たせておりまする調整
交付金、いまは一割になっておりますが、このうち、世帯主の七割を実施するために入れました国庫
補助金が入りましたのと、減税分が入っている結果そうなっているのでありますが、それが除かれますというと、実質的にはもとのほぼ五%
程度まで縮まるわけでございますが、これを何とか一〇%
程度にする、そうすることによって定率四割、それから調整
交付金一割、こういう条件を与えることによって全国の
国民健康保険というものを安定した状態に持ってまいりたい。同時に、そのことは現在国が行なっておりまするやり方から見れば、そう飛び離れた
考えではない、かなり地についたものある、こういうふうに一応は
考えているのでありますが、しかし、これをまとめて
制度化していくという上においては、かなりいろいろな障害があると思いますが、何とか七割給付というものを義務制にする場合にはこれだけの条件を
確保いたしたい、こういう気持ちで現在研究を進めております。
それから、そういう条件を与えますと同時に、私
どもやはりもう
一つ、これは全国の保険者でありまする市町村の当局にも、よく
考えてもらわなければいかぬと思います。とかくいろいろの
意味で、これは税一般がそうでありましょうけれ
ども、
国民健康保険のような仕組みで取りますものは、源泉で取りますものよりも取りにくい
傾向がありますために、本来取るべき保険料の徴収というものを、とかく低目に据え置くという
傾向があるのであります。私
ども、
現実の問題として、いまの
国民健康保険の被保険者に低所得者層が非常に多いという事実は、これはぜひとも認めていただきたいという気持ちでありますが、同時に、少しその
ことばに甘え過ぎるという
傾向も反省しなければいかぬと、こう思っておるのであります。試みに、ほかの保険と
国民健康保険との対比をしてみますというと、昭和三十七年度でながめますというと、
政府管掌の健
康保険では平均の標準報酬が一万八千百八十七円でございまして、これは年間に直しますと二十一万八千二百四十四円、こういう金になります。こういう平均の所得、年間二十一万八千円という所得に対しまして、
政府管掌健
康保険では年額にいたしまして一万三千六百九十七円の保険料を納めているのであります。月に直しますと千百四十一円、
国民健康保険について見ますというと、この年間二十一万という所得に対応するものといたしまして、年間所得二十万から二十五万、こういうような
階層、これは平均いたしますと二十二万五千円でありますが、こういう
階層が
現実に納めておりまする保険料の額は五千二百十五円であります。
政府管掌の健
康保険の場合は一万三千六百九十七円というのは
事業主負担と本人負担と合わせての話でございまするから、したがって、これを半分にして
考えましても、これは
国民健康保険の保険料というものがそれほどひどく割り高だというふうには言えない実績になっているのであります。もちろん一方は本人が十割であり、それから家族は五割であるというのに対して、片方は世帯主が七割で、この当時は世帯主、家族とも五割という事情でございますから、おそらくこれでもまだやや割り高だということは私
ども言うべきだと思っておりますが、それほど飛び離れて
国民健康保険だけが非常に保険料が高いという
考え方は、やはりある
段階においては十分吟味いたしたい。保険料の高い低いの問題は、単に国保の被保険者だけでなく、被用者保険の中にある低所得の人についても、何かやはり公平な
対策をあわせ
考えるというような考慮を持ちつつ進めていく必要がある、こういうような気持ちを持っておるわけであります。実は、これはかなりいまの
段階では言い過ぎになる可能性があるのでありますが、そういうことを
考えつつも、なおかつ、やはり
国民健康保険が四割
程度の定率の国庫負担と、できるならば一割
程度の調整
交付金を与えるということをいたしたい、こういう
考えでございます。