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1964-04-21 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十一日(火曜日)    午前十時四十六分開会   ——————————— 出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            亀井  光君            高野 一夫君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            鹿島 俊雄君            紅露 みつ君            徳永 正利君            丸茂 重貞君            山下 春江君            山本  杉君            横山 フク君            阿具根 登君            杉山善太郎君            小平 芳平君            村尾 重雄君            林   塩君   委員以外の議員    発  議  者 中村 順造君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君   政府委員    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁参事官  志賀 清二君    厚生政務次官  砂原  格君    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生大臣官房国    立公園部長   今村  譲君    厚生省公衆衛    生局長     若松 栄一君    厚生省薬務局長 熊崎 正夫君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    水産庁長官官房    総務課長    三浦 善郎君   ———————————   本日の会議に付した案件 ○原子爆弾被爆者医療等に関する法  律の一部を改正する法律案中村順  造君外四名発議) ○毒物及び劇物取締法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○社会保障制度に関する調査(国民休  暇村に関する件)   ———————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。まず一発議者中村順造君より提案理由説明を聴取いたします。
  3. 中村順造

    委員以外の議員中村順造君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十年の戦争末期に投下された原子爆弾により、広島、長崎は一瞬にして焦土と化し、多くの人命は奪い去られ、家、財産はことごとく灰じんに帰するという人類史上曽有の惨禍がもたらされたのであります。幸いにして一命をとりとめた者も、原爆被爆という一生ぬぐい去ることのできない宿命をになわされ、あるいは原爆熱線による痛ましい傷痕のゆえに悲歎にくれ、あるいは放射而影響による造血機能障害原爆障害に悩まされるなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら生きてまいったのであります。なかんずく、厚子爆弾が残した放射能障害は、一生被爆者につきまとい、これがため、白血病貧血症等の発病の不安、生命の不安と焦燥に常時おののきながら勤労しなければならないということが被爆者のすべてに通ずる社会的活動における制約となっているのであります。加うるに、被爆に起因する白血病ガン等による死亡あとを断たないという、まことに憂慮すべき状況なのであります。  これらの悲しむべき不幸の原因が、当時予測もできなかった原子爆弾被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年に、主として原爆症を中心とした医療について現行原子爆弾被爆者医療等に関する法律が制定されたのであります。しかしながら、原爆をこうむった被爆者の肉体的、精神的障害はいまなおぬぐい去ることはできないのであります。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上の不安を除去するため、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応すべく、一そうの拡充がはかられるべきであると考えるのであります。  次に、この法律案内容概要を御説明申し上げます。  第一は、被爆者月額二千円を限度として健康手当を支給することであります。被爆者は、一般人に比して労働能力の減損が著しく、かつ、原爆症への絶えざる不安のもとに勤労しなければならないのであります。したがいまして、被爆者の健康を維持増進させるために、健康手当を支給することといたしたのであります。この健康手当は、被爆者医療手当を受けている間は、支給しないということにいたしております。  第二は、医療手当月額限度の引き上げと所得制限の撤廃であります。医療手当は、昭和三十五年の改正によって新たに加えられたものでありまして、認定被爆者医療給付を受けている期間中、毎月二千円を限度として支給することとなっておりますが、この月額を五千円に引き上げるとともに、医療手当にかかる所得制限を撤廃することにより、これらの被爆者が安んじて医療を受けることができることといたしたのであります。  第三は、被爆者健康診断または医療を受けるために日本国有鉄道鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、無賃取り扱いとすることであります。これによって被爆者が容易に健康診断または医療を受けることができることとしようとするものであります。これに要する経費につきましては、国が負担することといたしました。  第四は、被爆者死亡した場合に、その葬祭を行なう者に対して、弔慰料として三万円を支給することであります。ただし、その死亡原子爆弾傷害作用に関連しないものであることが明らかである場合には、支給しないことといたしております。なお、この弔慰料は、この法律の施行前に被爆者死亡した場合にも、昭和四十年四月一日から支給することといたしております。  第五は、右のような措置を講ずることにより、いわゆる医療法から援護法に移行するものとして、法律の題名を「原子爆弾被爆者援護法」に改めたことであります。  以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改めるとともに、委員の数を十名増加し、また、都道府県が設置する原子爆弾被爆者相談所費用の一部を国が補助することとし、さらに、認定被爆者相談所費用の一部を国が補助することとし、さらに、認定被爆者について所得税法上の障害者控除が受けられるようにする等、被爆者援護に関して必要な措置を講ずることといたしております。  原爆被爆という悲残な災害をこうむったこれら被爆者の苦境を救済することは、いまや人道上放置することのできない問題であると考えるのであります。しかも、近時、わが国経済力の回復に伴って、軍人恩給の復活に関する恩給法改正戦傷病者戦没者遺族等援護法引揚者給付金等支給法戦没者の妻に対する特別給付金支給法が制定され、今国会には旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案提案されるなど、戦争犠牲者に対する救済立法が次々となされつつある今日、被爆者に対する右のような措置を講ずることはおそきに失しても早きに過ぎることはないものと確信する次第であります。  また、このように被爆者に対する援護を一そう拡充すべきであるという考えは、ひとり提案者のみならず、昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所の判決の理由の中に見ることができるのであります。すなわち、同裁判所は、これら被爆者に対する救済についての国の責任について、次のように述べているのであります。  「現に本件に関するものとしては原子爆弾被爆者医療等に関する法律があるが、この程度のものでは、とうてい原子爆弾による被爆者に対する救済、救援にならないことは、明らかである。国家は、自らの権限と自らの責任において開始した戦争により、国民の多くの人々を死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだのである。しかも、その被害の甚大なことは、とうてい一般災害の比ではない。被告「国」がこれに鑑み、十分な救済策を執るべきことは、多言を要しないであろう。  しかしながら、それはもはや裁判所職責ではなくて、立法府である国会及び行政府である内閣において果さなければならない職責である。しかも、そういう手続によってこそ、原爆被爆者全般に対する救済策を講ずることができるのであって、そこに立法及立法に基づく行政存在理由がある。終戦後十数年を経て、高度の経済成長をとげたわが国において、国家財政上これが不可能であるとはとうてい考えられない。われわれは本訴訟をみるにつけ、政治の貧困を嘆かずにはおられないのである」と述べております。  幸い、今国会において、両院で「原爆被爆者援護強化に関する決議」の可決をみているのでありまして、必ずや、被爆者援護をはかろうとするこの法律案趣旨に御賛同下さるものと確信する次第であります。  以上がこの法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決せられますようお願い申し上げる次第であります。
  4. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、本案に対する説明聴取のみにとどめておきます。    ———————————
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は、どうぞ順次御発言願います。
  6. 高野一夫

    高野一夫君 薬務局長に御説明願いたいのですが・この資料をちょうだいしたのですけれども毒劇物を使うどういうような製造業工業があるかということで、ここに表が出ておりますが、これで今度の改正法がこれは適用されるのが大体五万件くらいというこの間お話しであったように覚えておりますが、ここに書いてあるこの表の全部が今度の改正法が適用される業態になりますか。
  7. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) お手元にお配りいたしております「業務使用者概数」というので、昭和三十六年の工業統計によります大体二十一万の業態数、これは現行法でも「業務取扱者」ということで、一応法律規制は受けておるわけでございます。そのうち、下の「届出を必要と思われる業務使用者概数」計五万九千、これは二十一万の中の五万九千でございますが、この五万九千の業態につきましては、今度の法律改正案届け出を必要とし、それから、毒物劇物取り扱い責任者を置いて、特に他の業態よりも、より厳重な規制を受けるというふうなことになるということでこの数字を出したわけでございます。
  8. 高野一夫

    高野一夫君 この上の「業務使用者概数」の中に、六番目に「化学工業」と書いてあるのはどういうのですか。これは化学工業全般ですか。
  9. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) これはいわゆる業態大分類ということになっておりまして、化学工業といいますものの中には、これの小分類で薬品その他のものも全部入るわけです。ただ、これは大きな業態をつかんでおるわけでございます。
  10. 高野一夫

    高野一夫君 この上のほうの四のパル、これは届け出を必要としませんか、どうですか。私は、どこでもパルプあるいは製紙工場というものは非常な汚水害毒を流すという実態を聞いているし、見てもいるのですが、こういうのこそ規模は大きいのだしするから、当然届け出させてそしてどんどん今度の改正法取り締まり対象に取り上げたほうがいいんじゃないですかね。
  11. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 先生のおっしゃっておられることは、私は、いわゆる毒物劇物取締法規制対象にいたしますものは、結局毒物劇物を排出することによって非常な害を及ぼすという業態規制するという立場で私どものほうのこの法律案を御審議をいただいておるわけでありまし、一般的に工場から流れるいろいろな廃液というものにつきましての規制は、これはたとえば汚濁、水については水質の保全とか、あるいは水質汚濁防止とか、一般的な公害の対策としてこれを取り上げるという立場で考えなければならない点でございまして、この私どものいま御審議をいただいております毒物劇物取締法にいいます毒物劇物廃液規制をどういうふうにするかという問題につきましては、従来のいろいろな公害上たいへんな影響を与えました、お手元にも資料を差し上げております毒物劇物を含有するものを流すというふうな、下のほうに出ております五万九千件、これをより以上にシビアな規制にしたほうが適当じゃないか・その他のものまで全部二十一万まで一挙に届け出を必要とするということになればたいへんなことになるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  12. 高野一夫

    高野一夫君 これはパルプ工場は亜硫酸か何か、劇物漂白剤に使うでしょう。だから廃液は、パルプのいろいろなそのもの汚水とか廃液だけでなくて、やはり劇物があの中にまざっておるのですよ。それでそのときに私ども決算委員会で取り上げて、例の本州製紙で問題にしたのは一ただパルプのこまかい分子が沈澱して、そして魚介類の生息をはばんだというような損害だけでなくして、あの中にも、どうせ隅田川や荒川に流れてしまえばそれは薄くなってしまいますけれども、それが毎日毎日積もり積れば、小さい検体をとってやれば、ちゃんとその中に劇物が出てくるのですよ。そのときも検体会社から持ってこられましたよ。だから、その毒物劇物のこの取り締まり対象でない汚濁した物の取り締まりは別な公害関係で、おっしゃるとおり、それはけっこうだろうと思うけれども、やはり劇物を使っているわけです、漂白剤に、製紙会社は。だから、私は、ことにそれが大きくて、高知に行きましても苫小牧に行っても、どこへ行ってもその害毒がひどいはずだから、せっかくこれを改正するならば改正法対象にしてしまって、これをひっくくってしまったほうがいいじゃないかと、こう言うのですよ。この改正法がいかぬというのじゃない。いいから、取り上げて取り締まってしまったらどうだろうと言うのです。
  13. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 先生のおっしゃっておられる点は、私ごもっともだと思うのでございますが、ただ、今度の改正趣旨をさかのぼって恐縮でございますが、もう一度御説明申し上げますと、従来とも、業務取り扱い者ということで、そういう化学工場なりパルプ工場というものは、一応毒物を使用しておる限りにおいては、業務取り扱い者として規制を受けておったわけでございます。ただ、その規制の受け方が、従来、法律の第十一条いわゆる流出防止規定といいますか、そういう十一条の規定なり、あるいは十五条の廃棄規制を受けておったわけでございます。ところが、この十一条なり、あるいは十五条の廃棄方法等につきまして、今度、従来は政令で非常に抽象的な規定をやっておりましたのを、廃棄につきまして厳重な規制をやり、政令中身も根本的に改めるということで、特に三十九年度におきましても四十万くらいの予算を取りまして、廃棄基準を、各化学者意見も聞いて、精密なものにしていくということにいたしておるわけでございます。したがいまして、かえって毒物劇物を取り扱っております工場におきましては、従来以上に、そういうふうな廃棄なり、あるいは流出防止規制というものが、より厳重になされるということが今度の改正で行なわれるわけでございます。ただ、その中から、さらにもう一つシビアな取り扱いをやらなければならぬものはどういうものであるかといいますと、これは典型的に、たとえば青酸カリ等を流しておる五万九千の金属メッキ業その他の業態については、これは毒物劇物取り扱い責任者を置いて、それで業務を開始する場合には三十日以内に届け出をさせるというふうな、他の二十万と違った、さらによりシビアな規制をいたそう。しかし、それ以外の排出の場合とか、あるいは流出の場合等の規制は、他のパルプ業なり何なりと同じような規制を受ける。ただ、そこの異なった点は、取り扱い責任者を置き、そうして業務開始届け出をさせるという点が異なっておるわけでございまして、その辺は従来の規制相当中身において変わってくると、こういうふうに御了解をいただきたいと思います。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 いや、今度の改正で従来より非常によくなるということは、私はそう思っているので同感なんですが、せっかくそこまでいくならば、たとえばパルプの場合、しつこく言うようですが、このパルプ工場害毒というものは非常に大きいので、だから、毒物だけでなく、パルプ廃液物、そういうものは公害取り締まりのほうで取り締まるとしても、今度はやはり劇物も出てくる。それをこっちは何である、こっちは何であるというふうに区別するよりも、一括してパルプ工場取り締まりができるじゃないかというふうな感じを持つわけですが、いまのお話は一応了承しますから、これはまた今度研究しておいてもらいたいと思います。  それから、もう一つ伺いたいのは、パルプ工場はそれでいいのですが、食料品製造業というのがある。この食料品製造業の中で届け出を要するものは一つもないのですが、これは差しつかえないのですか。食料品製造業の中で、毒物というのはどうか知らぬけれども劇物くらいはふんだんに原材料で使っているものが相当ある。それは私は、ただこの取り締まり対象になっているというだけでなくして、やはり下の今度の改正による届け出を必要とする業務の中に、ものによっては取り入れるのがいいじゃないかと思うのです。これはわれわれ食品製造法改正をやったときにずいぶん吟味したのですよ。たとえば千葉あたりしょうゆ工場では劇物——濃い塩酸を使っている。塩酸を使わなければしょうゆはできやしない。ああいう非常に濃い塩酸というような劇物を使っているしょうゆの、これをああいう大工場みたいなところには届け出を必要とさせて、管理の責任者を置かせないというのは、私はおかしいと思う。それから、もう一つは、しょっちゅうわれわれが酒場や飲み屋で食べさせられる薫製ですね、あれだって毒物劇物ができたものにないように、これは食品衛生法できまっている。しかし、あれは材料に使うのは漂白剤なんですよ。そういうどんどん毒物劇物を使っているのですが、製品そのものには、検出してそういうものがあってはいけないということは食品衛生法でいいのですよ。しかし、現在、薫製なりしょうゆなりで毒物を使っている工場に、この下のほうの今度の改正による届け出を必要として責任者を置かせるようにすることが私は非常に必要なんじゃないかしら。そういう点は、これは少し専門的にわたってしまうけれども、もう少し研究して、この届け出を必要とする責任者を置くのは十分あと政令で追加できるわかですが、これからそういう危険な作業場であるという判定が厚生省でできたならば、政令でどんどん追加してこの改正法を生かしてもらいたい、それはどうですか。
  15. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) ごもっともな御意見と思っておりまして、私ども先日来御説明申し上げておりますのは、従来非常にそういう毒物劇物を排出して非常に迷惑をかけたという例数の多いものをまず優先的に取り上げて、それで政令指定をしていこう、こういうふうに考えております。高野先生のおっしゃるように、今後そういう事態ができるとすれば、やはり政令でどんどん指定をしていくというふうなことを考えていたしたいと思います。ところが、いままでの例としましては、非常にそういう例は少ないわけでございますが、しかし、例があったものを最優先にするという趣旨でございます。  それから、もう一つ、先ほど御説明を落としましたけれども、今度の改正では、従来は毒物劇物そのものだけを規制をしておりましたのを、新たに十一条で毒物劇物そのものだけじゃなしに含有する物までこれを規制対象にする。したがいまして、いろいろな溶液に溶けておって、そいつが外に流れていくものまで新たに毒物劇物取締法規制対象になるということでございますので、従来はそういう溶けたものは規制対象にならなかった二十一万の工場におきましても、そういった溶けたものが今度新たに規制対象になってまいりますので、排出なり、あるいは流出防止については十分な注意をやらなければならない、こういうことになるわけでございますので、その点も御了解をいただきたいと思います。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 それじゃこれらの点については、今後研究を進めるということにいたしまして、この資料に関する質疑は私は終わりますが、先般の続きになっている農薬問題、これは最後には大臣の御見解を伺いたいのですが、その前に局長から説明を聞きたいのですけれども、同じ毒物劇物であって厚生省関係のこの取締法対象になるものと、一方は農薬取締法対象になる、そこのところをもう少し具体的に私はちょっと説明をしてもらいたいのですが、農薬のほとんどは強力な毒物劇物ですが、それはこの取り締まり対象からはずして、別な農薬取締法対象になる、そうして厚生省関係ではなくて、これは農林省関係で扱う、ここが私はどうしてもこれがすっきりしないと思うんですよ。だから、農薬であって農業用に使うのだけれども、それは用途が違うだけであって、そのもの自体毒物劇物であるならば、当然一本の線で私は取り締まるべきだ、工業用に使おうと何に使おうと、化学工業に使おうと、食品に使おうと、メッキに使おうと、それから農薬に使おうと、それは用途が違うけれどもそのものはやっぱりみんな毒物劇物、その農薬だけが用途が違うというので農薬取締法のほうに譲って、そして農林省にまかせるということでは、私は、統一した政府薬務行政が分離されて、非常に何かすっきりしないと思うんですよ。ここのところを、これで取り締まれない、農薬取締法で取り締まらなければならぬという点で、いろいろな問題もやっぱり事実として出てきているわけですね。害毒は、もうあぜ道の小川とか何とか、いろいろなところにウナギもいなくなるわ、何も育たなくなるわという害毒もある。それで負傷もする、けがもする、死ぬ、自殺用に使うというふうに、もう平気で農民側も使っているわけです。だから、そこを何かこれと関連させて、いいぐあいにびしゃっとやっぱり毒物劇物として、農薬であろうと何であろうと、取り締まっていく方法はないものですかね。これなんかをいま分離してやっているところの利点欠点——利点があるならば、その利点は実はこういう利点があるという説明をしてもらってけっこうです。それから、こういうまずい欠陥があるんだということがあるならば、それもひとつ率直に聞かしておいてもらいたい。これは農薬問題が出てくるとここでいつもひっかかってくるんです。
  17. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 高野先生おっしゃるとおり、農薬取締法と、それから私のほうの毒劇取締法との関連性といいますものは御指摘のとおりだと思います。ただ、農薬取締法自体は、その中に入っております毒物劇物以外に、普通薬等も相当ある。したがいまして、普通薬のほうの規制農薬取締法のほうではやらざるを得ないということで立法化されたものと私どもは考えているわけでございますが、その普通薬以外の、私のほうの法律と競合する毒物劇物農薬ですね、これにつきましての取り扱いにつきましては、農薬取締法のほうは、一応製造段階でのチェックというものは全然やっておらないわけでございます、農薬製造するということで。それで、農薬のほうの製造をやる場合には、これは登録を受けなければ販売はできないということで、製造段階では農薬取締法のほうでは何らチェック方法がない。したがいまして、一応農薬をつくりたいという製造業者は、まず農林省のほうに登録申請を持ってまいりますが、その場合に、農林省のほうは、はたしてその農薬といいますものが、毒物劇物取締法にいう毒物劇物であるかどうかということを厚生省のほうに相談をしてまいります。これは従来、事務的な連絡ははっきりいたしておりまして、まず農林省登録申請を出しました製造業者申請厚生省のほうに回ってまいりまして、この農薬ははたして毒物劇物取締法にいう毒物劇物かどうかを審査してもらいたいということで、私どもに書類が回ってくるわけでございます。それで、私のほうがそれを審査いたしまして、これは毒物劇物に該当するということになりますと、その書類は、結局農林省に出すと同時に、厚生省にもやはり製造業登録をやらなければなりませんから、まず厚生省のほうの製造業者登録をやりまして、それで製造に入りまして、それからあと、できたところで農林省のほうの製造業登録を受けるというふうな手続になるわけでございます。手続上はそういうことでございますが、御指摘のように、確かに競合はございますけれども、ただ、私どもはこういう考え方を持っております。いわゆる農薬取締法規制する農薬規制対象といいますものは、これははたしてその農薬が、どれだけの農薬としての効果があるかどうかということが主体になっておるわけでございまして、私のほうの毒物劇物取り締まりのほうは、薬の効果ということじゃなしに、その毒物劇物から起こります副作用というものを主体にして見ておるわけでございます。したがいまして、毒物劇物を使います農薬でありましても一実際に販売段階で出てまいりますものは、確かにその薬の中には毒が入っております。しかし、実際に製剤として売られる場合には、毒物劇物取締法にいう何%以下の含有量ということで、除外されるというものが相当出てきておるわけでございまして、結局製造する場合には、業務取り扱い者としての規制製造業者は受けるでしょうけれども、実際に販売される場合には毒物劇物対象にならない。中に毒は入っておりますが、しかし、三%とか四%ぐらいの中身しか持っておらない製剤として売られるというふうな形になって、それが農薬取締法で散布上の注意その他をやらなければならぬということで、農林省のほうの規制を受けるわけでございます。したがいまして、農薬取締法のほうでは、いわゆる防除業者といいますか、その農薬を散布する業者の規定までございまして、いわゆる散布上の注意と、それから薬効についての注意、そういったものを規制しておる法律であるというふうに私どもは理解いたしております。しかし、先生御指摘のように、確かに競合する面がございますので、事務的には私どもお互いに協調してやっておるわけでございますが、それでもって私ども全部問題が解決しておるとは必ずしも思っておりません。御意見を尊重いたしまして、今後とも検討してまいりたいと思っております。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 だいぶわかってきたんですが、そうすると、効果があるかないかというようなこと、それから、農業用に使う使用の方法とか取り扱い方法とかいう点について、特に厚生省よりは農林省の所管であるからということがおもなる理由になりますか、それとも、所管争いでもあるんじゃないのですか。
  19. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 前段の先生のおっしゃるとおりでございまして、別に所管争いは私どもはしておるということにはなっておりません。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 あと一、二でほかの委員に譲りますが、先般の局長説明にもあったのですが、今度のこの改正法農薬取締法と競合するという点が出てくる。そうすると、取り扱う人とか製造する人とかが、いろいろやはり不便が出てくると思う、出てくる点がありはしないか。二重に何か取り締まりを受けるとか、二重に手続しなければならぬとかいうようなことが出てくるようなことはないですか。もしそういうことがあるならば、極力みんなの便宜をはかるためにそういうことのないように、双方で考えてやってもらわなければいけないと思うのですがね、なければけっこうです。
  21. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 私ども考えましても、従来とも、事務的な連絡は比較的円満に行なわれておりまして、今度の改正でもってそれがかえってむずかしくなるというようなことは考えておりませんし、また、政令段階でいろいろな廃棄の基準や何かをつくる場合にも、これは農林省ともよく相談をするということで、事前に両局長同士の話し合いができておりまし、比較的スムーズに私は行われるのじゃないかというふうい考えております。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 それじゃ最後に一点、大臣にひとつ伺いたいのですが、いまの農薬問題ですけれども、いま局長のお話で、たとえば効果の判定とか使い方とかいう農業上の問題があるので、別に法律をつくって農林省所管ということでやる、それもわからないでもないのですが、この効果の判定とか、あるいは使い方というのは、そういう領域が工業部門であろうと農村であろうと何であろうと、そんなことは私はほんとう言うと問題じゃないのじゃないか。だから、それは農薬の効果があるかないかを判定するのは同じ日本の中の同じ政府だから、厚生省でできなければ農林省へ頼んで、農林省がその判定をしたっていいじゃないですか。農事試験場にやらせればいい。その報告を厚生省がとって、厚生省が、これは農薬としての効力があるのだという判定を下したってかまわない。とにかくこういうような毒物劇物というようなものをできるだけ一括して同じところの行政に移すことが一番すっきりした形になるのじゃないか。使用場面のいかん、効用の判定をする場所のいかんということもあるけれども、それはそれでみんなが連係をしてあっちこっちの所管外の試験場でやってもらったりすればわかることなんだから、ほんとうの取り締まり、たとえば今度の毒劇物取締法とかというようなものを中心にして、農薬であろうと何であろうと、私は、やるのが本筋じゃないかと思うのです。これはいつもこの議論が出て、なぜ農薬だけが別個に離れているのだということがいつも問題になってくるのですね。いまわからぬでもないけれども、やはり考えてみると、一本の線にまとめるのがほんとうじゃないか。厚生省のこういう毒劇物取り締まり、そういう線に一本にまとめていく。そのほうが使うほうでも取り扱うほうでも万全だし、めんどうくさくなくていいんじゃないかと私は思うのですが、これはなかなか両省にまたがってやっかいな問題とは思いますけれども、特に大部分のこういう薬務行政を担当されている厚生大臣として、いま簡単にはいきますまいけれども、将来のあり方としてかくあるべきだ、いまのままのほうがやりいいというお考えになるか、やはり一本のすっきりした線にまとめるべきだというお考えをお持ちになるか、簡単でけっこうですから、一時間もありませんから、簡単にひとつ見解を伺っておきたい。
  23. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) 毒物劇物というのは、これは一般法だ、したがって、いまのようなものは製造とか、あるいは販売とか、こういうようなものは、私は、やはり毒物劇物法に入るのがいい。それで、農薬そのものは使用方法がありますから、いまの購買とか、あるいは保管とか使用方法というものは、これは農業に独自性があるからして、そういう先のほうの取り締まりは、私は農薬取締法でいいと思うが、もとのほうの毒そのものとしての製造とか財売とか、こういうようなものは、私はこの中へ入るのがほんとうじゃないか、こういうふうに私は思っております。したがって、そういう向きでこれからも検討して、政府部内でひとつ話し合いをしよう、こういうふうに私は考えております。
  24. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いまの農薬の問題に関連をして、先般の委員会で、農薬の事故が非常に多い。したがって、これに対する対策として厚生省としても十分なPRをしていきたい、こういうお話があったわけです。ところが、いま質問を聞いておりますと、そういう取り扱いなり、あるいは散布の問題については農薬取締法のほうでやっておるので、この毒物劇物取締法とは関係はないのだ、こういうふうに私は受け取っておるわけですが、そうしますと、先般の農民に対する取り扱いのPRというものは厚生省の所管でなくて、農林省でやるということでございますか。その辺ちょっとお尋ねしておきたい。
  25. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 農薬の被害を防止するというPRの運動につきましては、これは農林省と私のほうと共管でやっておりまして、やはり農薬という一つの薬に対する被害ということになりますと、毒物劇物取り締まり対象になるものが入ってまいりますので、お互いに相談をしてやる、こういうことになっております。ただ、御指摘のように、散布上の注意とか何とかにつきましては、これはやはり農林省所管でやっておるわけでございまして、ただ、毒物劇物へ入っておる薬については十分な注意をしなければならぬということで、私どももPRの一端を担当しておる次第でございます。
  26. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことであれば理解はできるわけですが、いま大臣も言われましたけれども製造、販売等については、毒物劇物取締法の中に入れる、そうして実際に取り扱うその場合に、田畑に散布する、そういうような場合には農薬取締法の中に入れる、こういうお話でございますが、しかし、いま御答弁がありましたように、やはり厚生省の仕事としての国民の保健衛生の立場から、当然これらの問題についても全く無関心ではいられないと思う。したがって、この点はもっと明確にといいますか、どちらにこの重点があるのかわからないような形で、お互いが責任のなすり合いをしておっては困ると思いますので、そういう点をもう少し明確にしていただいたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思います。そこで、この取り扱いなり、特に農民に対するPRの予算というようなものはどういうふうになっておりますか。
  27. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 申しわけございませんけれども、私のほうにはそういうPRの関係の予算は入っておりませんで、農林省のほうで予算を取って、それでどういうPRをやるかという方法、たとえばどういうパンフレットをつくったり、どういう方法でやるかというこにとついては、お互いの相談の上でやっているわけでございます。
  28. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことが、私は、やはりお互いにどこに責任があるのか、この国民の保健衛生を守っていくという立場が非常にあいまいになっていると思う。農林省のおそらくその取り扱いに対する取締法内容は、作物にどの程度まいたらその作物を保護してその虫を殺すことができるかとか、そういう生産面に対するそういう面が非常に重点になっておるんじゃないかと私は思う。したがって、その農薬による被害や人畜に及ぼすそういう面は、農林省の所管としては従の立場に置かれているんじゃないかと思う。そういう面では、やはり厚生省としての所管として、十分その指導なり宣伝をしていくということがなくてはならないと、こういうふうに思いますので、全然予算がないのにPRは十分やっていきたい、こういうことを言われても、これはここだけの答弁になっているような気が私はいたします。したがって、そういう点はひとつ今後十分検討して、今後特に公害というものがこれから問題になってきますから、そういう面とあわせまして、この農薬取り扱いに対する事故防止対策というものをひとつはっきりさせていただきたい、こういうふうに思います。
  29. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) ただいまのお話はまことにごもっともだと存じます。厚生省は、要するにその人の健康、あるいは生命、人体に対する問題を扱っておりまして、農薬を使用するそのものの目的が農業のためであっても、その及ぼす影響が甚大でいま問題になっておるわけでありますから一そういうようなことを前提としてひとつ考えていきたい、お話のようなこともひとつ十分考えていきたい、こういうふうに思っております。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 先日、阿具根委員の質問に対して、水俣のあの被害については、いままでの法律では適用する法律かないのだというようなお話があったそうでございますけれども、今度の法律改正でそれが取り締まれるということのようですが、どの条文に該当するわけですか。
  31. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) これは条文というよりも、流してはいかぬ、流したということは不法行為である、不法行為による損害賠償、こういう問題が当然起きてくると思います。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いままでは大臣、できなかったけれども、今度はできる。私はそこらの話がおかしいと思うのでのです、第一。それは明確にひとつしていただきたい。
  33. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 従来の法律によりますと、たしかあの水俣の工場から出します廃液は、いろいろ議論がございましたけれども、水銀化合物を含んでおるというふうな大方の学者の御意見だったというふうに私ども記憶いたしておりますが、ただ、現在の法律でいいますと、水銀化合物が入っているということになりますと、別表第一の中の四番目の「水銀化合物及びこれを含有する製剤。」ということで毒物劇物取り締まり規制の中にこの形なら入るわけでございます。ところが、製剤ではございませんで流出された場合には、これは水銀化合物が水か何かに化合されて、それで流出するわけでございますから、現行法上は規制対象にはならなかった、いわゆる製剤でございますから。ところが、今度の法律改正で、水銀につきましては、原体を別表第一でお手元資料の十五番目に入れております。  それから、もう一つは、先ほど高野先生の御質問にお答えいたしましたように、今度の規制では含有する物まで規制対象にするということにいたしましたので、水銀自体でなくても、水銀を含有する物で、それが一般公害影響があるということになりますると、これを政令指定をいたしまして、それで排出のシビアの基準を新たにつくりますので、それの規制対象になり、また、流出防止についての十分な措置を講じなければならないという規制を受けるわけでございますので、その工場自体は業務毒物劇物を取り扱うものであるということになって規制対象になる、こういうふうに御解釈いただきたいと思います。
  34. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そそは何条ですか。
  35. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 「含有する物」を新たに規制対象にいたしました適用条文は十一条の第二項に入れております。
  36. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その法律事項の問題で明確にするということですが、私は、水俣に行って見ますと、やはりあの廃液で人畜に被害があるということを向こうの土地の人はみんな言っているわけですね。しかし、行政的にはあいまいな形で終わってしまっておる。私はそこらを問題にしなければいかぬ  のじゃないかと、こう思うのです。ですから、この第十一条の二項を明確にする以上は、水俣の、いま、もやもやとしていろいろありまする問題を、この法律ができたら、もう一度新たに検討をして、あの人畜の被害を救済する、こういう行動をおとりになるつもりですか。いまでも被害が続いている、私はそう思う。ですから、行政上の行動としてそれをおとりになるかどうか、新たに。それを聞いておきたい。
  37. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 私どもの薬務局の立場といたしましては、今度の改正によりまして適用される業務上取り扱っております各工場規制というものは遡及することができませんので、工場、事業場等で毒物劇物業務上取り扱っており、それを含有する物を外に流しておるというふうな工場につきましては、今度の改正法律案が成立いたしました暁には、廃棄の基準——先ほど十一条と申しましたが、十五条にも入っております、廃棄の基準の中に、含有する物は。そういう新たな政令によりまして、従来のような被害を及ぼさないような措置を十分工場にとってもらうというふうなことを考えておるわけでございます。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事懸は続いているわわけですからね。私のお尋ねしているのは、この法律ができたら、事態をもう一度把握して問題の処理をされるかどうかということを聞いている。ですから、いまの薬務局長の御答弁ですと、水俣の問題を現地でもう一段解剖してみて、その人畜の被害のないような措置がされるであろうということを期待するものですからお尋ねをしているわけです。
  39. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 先生のおっしゃるように、ある工場が今後そういう毒物劇物を含有する物を流さないように厳重に規制をするということでもって、再びああいう事故が起こらないように十分注意をするということに私どもは考えてまいりたいと思います。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私の心配しているのは、いままでの法律には適用ないからというので、結局結論をつけずに終わってしまっている、事態は同じように進んでいる、このことを言っているわけです。ですから、この法律ができたら新たに分析検討して、そうして今後は一切そういう被害が起こらないようにするということがここへ芽ばえてこなければ実際いけないのじゃないか、こう思うわけです。よろしいですね。  そこで、私は一つ二つお尋ねをしたいのですが、さっき高野委員が取り上げておりましたが、工場廃液というものと、それから空気中に発散する亜硫酸ガスとの関係というものは、これは人体の損傷を保護するためにも非常に重大な問題だと私は思うのです。ですから、一つ廃液といいますか、臭気の問題からいいますと、私はよく京都と東京間を往復している。あれだけ密閉している国鉄の特急でも、あのパルプ会社の横を通ると鼻を押えんならぬほど列車の中ににおいがする。私は、毒物とか劇物というのでないでありましょうけれども、ああいうことでいいのかどうか。あれだけのものは何かの劇物毒物によって発散する臭気だと私は思うのです。しかし、こういうことはこの法律関係ではどうなりますか。
  41. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 工場のうち、毒物劇物を使用しております工場でありますとすれば、これはその含有する物まで新たに法律規制対象にして、流出防止、あるいは廃棄等につきましては、従来の法律と異なって、非常に厳重な規制を受けることになるわけでございます。先生御指摘の点につきましては、これは廃棄を十分にやるということで公害を防止するということになってまいりますので、廃棄の基準につきましては、従来は非常に抽象的な政令規定をいたしておりましたけれども、これを学者に依頼をいたしまして排出の基準を厳重に規正をしようということで、来年度予算もいただいておりますので、この法律が通りました暁には、すみやかにそれに着手をいたしまして、十分御納得のいく廃棄規準を新たにつくっていきたい、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、学問的に臭気というものが毒物劇物から発するのかどうか、よくわかりません。わかりませんけれども、あの事態というものは、私は、環境衛生上、人間の生存上、耐えられないものだと思う。あれは汽車で通るから汽車の中だけで済むけれども、あの周囲の人たちの環境衛生上、公害というものを考えるとたいへんな問題だと私は思う。その問題はこの法律とどう関係するのか、そういう点は別個にどういう方法で取り締まるのか。
  43. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) いまの公害防止のことは、前々からここで申し上げたように、煙を出すことと廃液を捨てることと、このことだけが一応いままで形ばかりの取り締まりになっておったが、騒音と臭気と振動というものはまだ公害としての取り締まりの中に入っておらないと、こういうことで、これは別個の問題として、ぜひひとつ何か規制をしなければならぬと、こういう考え方をいたしております。いま申すように、臭気と騒音と振動、こういうものは公害として非常にいま大きく限り上げられてきております。そういう問題としてこのもとがどこであるかどうかということは別に関係なく、もとを規制する場合には、今度はそういうことまで問題になるかもしれませんが、この出た現象をどういうふうに取り締まるかということを、こういうことをいま課題として検討しておるところでございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 よくわかりました。その点は公害の問題で、出た現象を取り締まってもらう。それから、もう一つ亜硫酸ガスの問題も、スモッグというのは、ほこりの被害と、それから煙の被害と、それから亜硫酸ガスの被害、これはこの前も少し議論をいたしましたから、私は、その議論はきょうはいたしませんが、何とか厚生大臣に処置を講じてもらいたいと言うのでありますが、あれほどの臭気が出るものは毒物劇物から出るんではないか、それと無関係だとは言い切れないものを持っておるんではないか、こう思っておるので、だから、いまの公害としての処置をするという問題が一つございます。これは重要な問題です。しかし、そういうものが出ないという根元を押える処置、それはこの法律にかかってくるんではないか、私はそう思う。そういう意味でお尋ねしているのです。
  45. 小林武治

    ○国務大臣(小林武治君) いまの問題は、臭気を取り締まるということになれば、臭気の源泉を絶つと、こういうことになりましょう。毒物であろうがなかろうが、臭気の出ないようにもとを押える、こういう問題が起きてくると思います。ただ、たとばえ川崎方面で非常な臭気が出ておるが、どこから出たかわからぬというようなことがいままでに二、三べんある。工場自体のどこに臭気の発生のもとがあるかということが発見できなかったような場合がいままで二、三度ぐらいあるのでありますが、しかし、臭気という現象を押えるためには、臭気を発生するもとを押えるということになりますから、そういう公害防止の措置を講れば、そこまで当然さかのぼってやることになります。なお、まあ亜硫酸ガスの問題は、ここでこの前も問題にされたのでありますが、東京等は亜硫酸ガスをむずかしく〇・二二%ということでありましたが、今度の四日市などはそういう規制ではだめだというので、四月一日から施行したものはこれを特に引き上げまして〇・一八、こういうところまで上げて、これ以上の亜硫酸ガスを出しちゃならぬということでいま取り締まりを始めております。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それから、もう一つこれは事務的なことかもしれませんけれども登録の問題で、製造業は五年、販売業は二年ということになっているわけです。そして、製造業とか輸入業は厚生省、販売業については府県知事、これは今度法律改正にありませんけれども、そこらの関係はこれでいいのかどうかということ。それで、ここで見ると、「製造所又は営業所ごとに厚生大臣が、」という条文が第四条にございます。営業所というのと販売業というのとは何を区別をして——そこらあたり改正案ではないけれども、疑問が起きてくるわけでございます。  それから、これに関連をして、たとえばさっきだれかが触れられたと思いますけれども、食料品にしたって、また皮革製品、ゴム製品、化学工業、出版にもいろいろ問題がある。たとえば一つの例をとると、ベンゾールのようなかっこうのものが労働基準法の関係で規制をされている。そうなると・この劇物、薬物、との関係は、ああいう現象面に対して規制をしているのと、毒物そのものの根元が、販売、営業、そこらにおいてはもう全然規制がない、現象面だけでやっているのか、そこらあたりを厚生省はこの法律によってどういう監督といいますか、そういうものをやっているのか、そこらあたりの行政上のお話を願いたい。
  47. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 先ほど先生御指摘の営業所といいますのは、これは製造業者については事業所、それから、輸入業者については営業所というふうな把握のしかたをいたしております。販売業とは全然別個でございますので、輸入業者については営業所ということばを使っているわけであります。  それから、現象面の取り扱いをどのようにしているのかという御質問でございますけれども製造業、輸入業、販売業を問わず、私どものこういう業態に対しまする取り締まりの主体は、これは各都道府県に配置をされております毒物劇物の監視員が、常時業務上の取り扱い者を含めまして、販売業、製造業、輸入業の段階でそれぞれ監視をいたしているわけであります。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、販売業とか営業所で販売をすることには制限というものはなくて、そうして使うところに規制をして、現象面だけ労働省の安全衛生の面から規制をしているということにいまなっているような気がする。そうすると、販売業のところでは幾ら売ってもいい、劇物を。許可さえ持っておれば幾ら売ってもいい、だから、この劇物そのもの取り扱いについては規制があっても、それに人命尊重といいますか、そういう意味からの毒物規制はこの法律ではやらない、こういうことになりますか。
  49. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 実際に販売する場合には、毒薬、劇薬のほうは十四歳未満の者には交付してはならないというようなことで、毒薬、劇薬のほうの薬事法で規制いたしておりますけれども毒物劇物のほうでは・より以上に年齢を引き上げまして、十八歳未満の者には交付してはならないというふうな規制現行法でできております。それから、また、譲り受け渡しをするような場合にも記帳をはっきりするというようなことで、数量その他全部各販売業者のほうにおいても明確につかむというような形をやっておりまして、必ずしも全然規制をしていないということではないわけでございますが、ただ、毒物劇物の需要があった場合には、そういう記録を明確にすれば第三者に渡せる、こういうことになっているわけでございます。ただ、取り扱い上、特定毒物だけにつきましては、より以上にシビアな規制をいたしているわけでございます。
  50. 小平芳平

    ○小平芳平君 前回の委員会で私が質問したことに対して御答弁願いたい。
  51. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 前回の小平先生御質問の中で、いわゆる農薬としましてのPCPの事故につきましては、昨年の農薬取締法改正によりまして指定農薬制度というものができまして、その使用について農業団体、水産等の関係団体が協議して一定の規制が行なわれることになりましたので、PCPの使用による被害はかなり減少するというふうに私どもは考えているわけでございます。  それから、第二点の、メッキ廃液が河川に投入される、流れ出る事故を防止するということにつきましては、今回の改正法案によりまして、これらのメッキ業者に対しましては、業務開始の場合の届け出義務が課せられます。三十日以内に届け出をしなければならないという義務が課せられますし、また、その工場等におきまして毒物劇物取り扱い責任者を設置しなければならないという義務が新たに課せられることになりますので、これらをさらに毒物劇物及びこれらを含有する物の廃棄、それから、施設の外くの流出等についての防止義務も新たに加重されます。中身は相当改善されまして、従来のような河川等に投入することによって事故が起こるということは相当防止できるんじゃないか、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。
  52. 小平芳平

    ○小平芳平君 その河川投入の問題はよくわかりましたが、この「事故の概要」という表がありますね。この「事故の概要」の、こういう事故が起きるから今回の改正が必要なんだという趣旨での御提案だと思うんです。ですから、この事故の中でも、輸送の途中、道路上で自動車が転覆したとか、あるいは農薬を飲んで自殺したとか・そういう点で今回の改正とは直接関係がないというような事故もこの中にあると思うんです。それから、また、今回の改正には直接関係がなくても、たとえば自殺の問題などは、睡眠薬遊びをやらせないような、あるいは販売業者のところで現状においてもチェックしているとか、そういうような事故もこの中にあると思うんです。  そこで、私がお尋ねしたいことは、今回のこういう改正があるから、いまのメッキの河川流出の問題はよくそれでわかります。それと同じように、こういう事故の中で、こういう点はこういう改正によってこう防げるんだという適例があったら御説明願いたいということをお専ねしておるのです。
  53. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) お手元に差し上げております事故内容の発生の年月日、毒物劇物名の中をごらんいただきますと、先生御指摘のように、いろいろなものがあるわけでございますけれども、この中で、たとえば東京あたりをごらんになっていただきますと、相当シアン化合物の被害が、昭和三十八年度におきまして、東京一岡山、この辺ずっとほとんどシアン化合物が多いわけでございます。それから一神奈川、あるいは群馬等におきましてはPCPの被害があるということでございまして、やはり被害度の一番高いものがシアン化合物であるということはおくみ取りいただけると存ずるのでございます。ただ・そのシアン化合物自体を規制するということだけでは、なかなかこういう被害の防止はできないわけでございますので、シアン化合物を含有する物までやはり規制をしなければならぬということで、法律改正の中にそれを入れ、それから、また、シアン化合物を取り扱っております業態は中小企業の業態が非常に多いし、そういうところなんかでは、毒物劇物の監視員がその業態を正確にキャッチすることができない。したがいまして、そういう業態につきましては業務開始のときに届け出をさせて、しかも、取り扱い責任者を置くということになりますれば、どこでどういう業態があり、毒物劇物取り扱い責任者を置けば、その者にいろいろな注意ができる、場合によっては、何か事故がある場合には、その取り扱い責任者の交代を命ずることもできる、行政庁において。そういうことになりますので、やはり従来にまさる非常に大きな被害の防止が期待できるんではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。ただ、まあ先ほども、また、先日も私申し上げましたけれども毒物劇物を含みました農薬等を飲んで自殺するというふうな事故の防止の方法につきましては、これは先ほど柳岡先生がおっしゃられましたように、やはり農薬の被害というもので、これをむちゃな使い方をしては困るということで、一般国民の啓蒙運動を今後積極的にやっていくという以外にきめ手はないわけでございますので、その辺も不十分でございましたので、今後ともひとつ積極的にやってまいりまたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  54. 阿具根登

    ○阿具根登君 一点だけ質問というか、意見というか、申し上げておきますが、まあ要は厚生省なり通産省なりの良心的な心がまえだと思うのです。こういう法律案が通らなければ取り締まりはできぬ、こういうようなことをいっておられますけれども、一昨年、御承知のように、福岡県のある化学工場でPCPの問題で非常にくしゃみが出る、涙が出るという住民の訴えがあった。ところが、この法律案で見れば、これがなかったからできなかったのだというような解釈になるわけです。ところが、当時通産省は非常によくこれに対処しまして、現在行ってみれば、全然そういうことがないように・住民の方に聞いてみても、現在は全然そういうことがありません、これだったら何ぼ工場を誘致してもらってもけっこうです、こういうふうにやっておるわけなんですよ。だから法律にたよる前に、もっと良心的にそういうものができるものがあるの、じゃないか、こういう点を強く考えるので、さっきPCPの問題が出ておったようですが、そういう問題が近々ここ一、二年の間にそういう現実の問題が起こっておる。たとえばこの間質問がありました水俣の問題でも、現行法では取り締まれなかったのだといわれるけれども、そうじゃなくて、実際はこれは会社廃液だったのだ、会社も相当の補償をしてきたし、現在は廃疾者のほうの治療に専念しておるようですけれども、だから、何かしらこの法律に逃げられるというような感じがするわけです。そうじゃなくて、この種のやつはこの法律がなくても十分取り締まられる、私は、ほかの、たとえば通産省関係の法律とか何とかで取り締まれるやつがあると思うのです。ですから、そういう点で十分注意してもらいたいと思うのと、今後そういう点で、これによって完全に取り締まることができるかどうか、その点をひとつだけお伺いしたいと思います。
  55. 熊崎正夫

    政府委員熊崎正夫君) 法律がなくてもやらなければならぬ面は確かに先生御指摘のとおりでございまして、先生の御指摘されました北九州の工場等につきましても、公害問題につきましては、現地に担当の薬事課長を派遣いたしまして、現地の工場長その他と十分懇談をいたしまして、それで工場の転換というふうなことで今後の被害の防止をいたしたわけでございますけれども、御指摘のように、こういう法律がなければ取り締まりはやらないというふうに私どもは必ずしも考えたくないのでございますけれども、しかし、何といっても、廃棄をしたり、あるいは流出をしたりする場合の基準を明確にする根拠規定というものを入れなければならない。先ほど藤田先生が御指摘になりましたように、従来の法律だけだと、毒物劇物そのもの規制はできますけれども、これを含有する物までの規制は、毒物劇物取締法規制対象外だったわけでございます。それが含有する物まで規制対象になるということになりますと、水俣の工場の事件につきましても、含有する物についての流出防止の義務を怠り、あるいは廃棄につきましての適正な廃棄をやっていなかったということで、含有する物自体の取り扱いが不適正だったということで指摘ができるわけでございますから、その辺はやはり法律の根拠を明確にした上で、その上で私どもは一般公害を積極的に防止するように今後努力してまいりたいと思います。ただ、なかなか薬務行政の末端のほうで働いております方々は、十分人員充足も必ずしもできておらないような関係もございまして、これで全部が全部なくなるというふうには私どもは考えておりませんで、今後とも努力をいたしてまいりたいと思いますが、その点はひとつこの法律改正をされました上で、十分私ども今後積極的に努力をして、先生方の御期待に沿うようにやってまいりたいと思っております。
  56. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。毒物及び劇物取締法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  59. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 挙手総員と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  午後一時まで休憩いたします。   午後零時二分休憩    ————・————   午後一時三十四分開会
  61. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより再開いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  62. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 国民休暇村の問題についてお伺いをしていきたいと思うのですが、一般的な問題は後ほどやるとしまして、具体的に、千葉県の館山に国民休暇村が指定をされて、現在着々工事を急いでいるようでございます。これについての経過と申しますか、いつ指定をして、現在どのように進行し、そして、いつ完成するのか、その辺の計画をひとつお伺いしたいと思います。
  63. 今村譲

    政府委員(今村譲君) お答え申し上げます。  国民休暇村という構想は三十六年の暮れから出たものでありますが、大体国立公園、あるいは国定公園の中のしかるべき景勝の地ということで、低廉な宿舎、まあいわば九百円とか九百五十円とかいう、要するに三けたぐらいのところで若い人でも一般国民でも宿泊がきるというような低廉なもの、そのほかに、単に宿屋ばかりじゃありませんで、その周辺に運動施設、あるいはテストコート、あるいは園路、園地、それから駐車場というふうな総合的な休養施設のグループをつくりたいというので、三十六年の暮れからこの事業を進めておるわけであります。で、お尋ねの千葉県の館山のちょっと南のほう七、八キロになると思いますけれども、見物海岸という海岸がございます。これは大体建設省、大蔵省の国有地で、若干民有地が入っておりますが、それを約十三ヘクタール、十三町歩ぐらいを国立公園法にいう集団施設地区というふうにいたしまして、それを国民休暇村で、宿舎あるいは水泳場、あるいは駐車場というふうな園地というふうなものをつくり上げたいというので、実態的には三十七年の初めからいろいろ計画をしておるわけでございます。現在におきましては、その見物海岸の一番館山市と反対側、遠いほうのはずれのほうにいま約二百人収容の建物をつくりたいということで、工事中でございます。これは県と市と御了承の上で始めたものでありますが、これが大体六月の末には完了するであろう、こういう目途で進んでおります。ただ、問題は、十三ヘクタールといいますと非常に広い地域でございますので、そこにわれわれとしましては、あれもやりたいこれもやりたいと、いろいろ夢はございますけれども、いまやっております構築物は大体一億円、これは財政投融資のほうでしていただくのでありますけれども、二百人収容でやっておりますが、全体といたしましては四、五億程度のかっこうの、いろんな園地も含めまして、設備をして、東京なり千葉なり、ヒンターランドから来るお客さん方にまあ千円以下くらいで泊まってもらいたい、こういう計画を示しております。  まあ以上のような、ただし、これは資金の関係もいろいろありまして、一気にこの数億というものをすぐ出せるわけにまいりませんので、相当の日時がかかるんではないかというふうに存じます。
  64. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この国民休暇村を建設する目的といいますか、趣旨といいますか、これはもちろん国民のいわゆる休養を十分とってもらうためのいろんな施設をつくるという、そういうひとつの集団的な地域と、こういうふうに思うのですが、そういう基準といいますか、というものがあるわけですか、それをちょっとお伺いしたいのですが。
  65. 今村譲

    政府委員(今村譲君) これは端的に申し上げますと、たとえば東京周辺で人口一千万、あるいは千数百万ありまして、レクリェーションに対する需要が非常に大きい。ところが、地名を申し上げるのはどうかと思いますが、熱海、伊東でも行けるというのは大体二千五百円、三千円というのが普通で、所によっては四、五千円というふうなこともありますので、一般の国民大衆に対して負担が非常に重くなる。何とか低廉なる方法で行けないものだろうかというので、料金を安くして、ひんぱんに利用していただけるという意味で、厚生省の関係しております厚生年金の還元融資、それが年金福祉事業団のほうにいまいっておりますので、その中から年々三億とか五億とかというふうなものをもらって、六分五厘、二十年償還ということになりますと、料金は非常に安い計算で間に合うのじゃないかというようなところで、目的としましては、そういう国民大衆のいわゆる低廉な旅行が可能になる、レクリェーションが可能になるという点が一つ。  もう一つは、どうせつくりますなら、ただ宿泊屋が一軒という殺風景なものではどうにもしようがございませんので、景色のいい所で、あまり雑音のない所で、しかも、前に庭があり、テニスコートがあり、水泳場がありというふうにして、老若男女が楽しめるというような総合的な一つの保健地域というものをつくりたい。しかも、これがあまり不便な所にあっては困る、こういうふうな方針で、しかも、それが国立公園、あるいは国定公園の中で選びたい、こういう三つの原則のようなところで進めてきております。現在のところ、全部で十二カ所に手をつけておりまして、すでに一部分開業しておりますのは九カ所ございます。こういうふうな状況でございます。
  66. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういう休暇村建設の趣旨は非常にけっこうだと思うのですが、この館山に海上自衛隊のヘリコプターの基地があります。この基地をいままでのヘリコプターと違った機種を入れるために拡張したい、こういうことが最近現地の司令官から話があったのでございますが、これについて厚生省に防衛庁からそういう話があったかどうか、その点をお伺いしたい。
  67. 今村譲

    政府委員(今村譲君) これは防衛庁のほうからはございません。ただ、館山の市長さんが、そういう話があるんだが、どうしたらいいもんだろうか、いまのような計画がどんどんいきますと、沖ノ島地区というのは非常にやかましくなるということが一つと、それから、これは無線操縦だそうでございますので、もし事故でもあって、子供がそこにたくさんまいりますから、けががあった場合には困るのじゃないか、厚生省もひとつその辺を考えてくれ、こういう申し入れば一カ月ほど先だったと思いますが、ございました。
  68. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 防衛庁のほうにお伺いしたいわけですが、この館山の基地拡張はいつごろ計画をされ、そして、どういう計画になっておるのか、その辺を明かにしていただきたいと思います。
  69. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 館山の航空隊の基地の拡張は、これは昨年の予算を編成する際に、新しい機種を入れるということから起こりまして、滑走路を若干延長しなければいかぬという問題になっておるわけであります。そこで、その点につきましては、実は現地におきまして、ただいまお話がありましたような休暇村の問題があるということを聞きまして、これは担当の部長さんのほうにはまだ直接はお話をしてないわけですが、休養施設課のほうに私どもの部員が説明者を連れてまいりまして、いろいろ事情をお伺いし、私どものほうの計画をこういうふうに考えているということをお話をいたしたわけであります。具体的には両者の計画を全然分離して考えるということはできないという事情もよくわかりましたので、その後、直接いろいろやっております協会のほうにも事情を説明に行って、具体的にどうするかという問題も一応話はいたしております。それから、関係の省といたしまして、大蔵省のほうの管財関係のほうにも説明者が出てまいりまして事情をよく説明を  いたしておりまして、まだ具体的には、実際の実施計画の内容につきましては検討をして調整をすることにいたしておるわけであります。現在拡張するという考え方の基礎になっておりますのは、滑走路の延長を九百メートルまでつくりたい、こういうことでございます。それには滑走路の位置の問題が、具体的に実施をする際にこの休養施設の問題とからむものでありますので、その滑走路の位置をどうしたらいいかということは、まだ具体的にいろいろ調整をいたしておりまして、これから両者の矛盾をできるだけ緩和してやっていきたい、こういうふうに練っている段階でございます。
  70. 海原治

    政府委員(海原治君) ちょっと補足して。先ほど厚生省のほうから無線操縦ということばがございました。それから、また、先生の御質問の中に、新しいヘリコプターを入れるために、こういうことがございましたが・実はちょっと私どもの考え方を御説明させていただきたいと思います。  新しいヘリコプターを持ってまいりましても、これは御存じのように、回転翼でございますから、ふだんにおきましては別に滑走路の延長は要らないわけでございます。ただ、この機種がよくなりまして、いわゆる全天候性能を持っているわけです。そこで、悪天候の場合に計器着陸をいたします場合には、いわゆるGCA進入といっておりますが、計器によりまして進入するときには、現在定められています基準からまいりますと、いまの滑走路では足りないのではないかという問題があるということであります。したがいまして、繰り返して申しますと、新しいヘリコプターを入れることそれ自体のためには別に延長する必要はございません。しかし、その入れましたヘリコプターが十分悪天候の場合におきましても活動するためには、計器進入着陸方式というものが活用されますためには、滑走路の延長があるいは要るのではないか、こういうことで現地のほうで考えた次第でございまして、先ほどおことばにありましたような無線操従云々のヘリコプターというものではございませんし、それから、かりに滑走路が延長されませんでも、この飛行機そのものは、十分悪天候以外のときにおきましてはここで利用できるものでございます。これだけ補足させていただきます。
  71. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いずれにしても、まだ具体的な実施段階ではない、こういうお話でございますが、予算上は、三十八年度の予算の中にこの基地拡張の経費が計上されているというようなことを現地の司令官が言っておったわけでございますが、三十八年度予算に入っているわけですか。
  72. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 拡張のための予算と申しますと、滑走路の整備の予算ということかと思いますが、まだ具体的に実施をどういう方向でやるということにはっきりしておりませんので、これは実施の計画としましてはまだできておらない。これは私どもの計画の予算というのは、実は財政法の三十四条の第二項でございますか、それによりまして実施計画を予算成立後に大蔵大臣に承認をしてもらってから実施をする、こういうかっこうになっておりまして、普通の省の予算の執行のしかたと違っているわけであります。そういう意味におきまして、まだきまっておらない、こういうことに私ども考えているわけであります。
  73. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうしますと、基地周辺の農地を次々に買収しているようですが、その買収する費用は一体何年度に計上されていますか。
  74. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) これは、そういう予算を一応予算として取ります場合には、はっきりわかっておりますものは一応その名目でもらうわけであります。そうして、実施がいろいろズレてまいります。ズレてまいりますので、その間に予算の実施上の計画というのが別にできてくる、こういうかっこうになってまいります。そういうふうなことでありますので、本年度の予算のうち実施不可能になる部分も出てくるということもありますし、前年度から繰り越した分の実施をやってまた余裕の出るものもございます。そういうのを全部総合しまして本年度の実施計画というものを逐次変えていっておるわけであります。そういうふうなやり方でやっておりますので、予算としましては、一応買収する場合に、たとえば土地を買収する場合には、その対象となるものを一応掲げて予算を取るわけでありますが、それが実施がズレる場合もありますし、また、それが実施不能になる場合も中にあるわけであります。そういうときに年度が変わってくるのでありますので、それらのものを総合しまして実施計画を変更するということをやっておるわけであります。
  75. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、そういう土地の買収を進めておるということは、どういう目的で進めておるのですか。この具体的な基地拡張の実施計画はまだまだきまっておらないと先ほど言われたのですが、しかし、周辺の土地はすでに地主と折衝をして買収をしたということなんですが、この買収をした目的は一体どういうところにあるのですか。
  76. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) これは、この前に買収いたしましたのは私どもの隣接地でありまして、これはいろいろ航空発着場と、そこを取得したほうが都合がいいと、相手方にもいろいろ制限がございますので、その付近にあるご自分の家とか何とかいうことで建物の制限があるということがありますので、そういう所はなかなか利用するのが非常に自由でないということと、わが方からいいますと、そういう所を取得していたほうが、むしろ安全性が確実になるということもございますので、必要な範囲において買収をいたしたということはございます。
  77. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうしますと、それは現在のいわゆる基地を使用するにあたって、隣接の土地を広げたほうがよろしいから買収をしたということであって、新しい機種が入って、そうして計器飛行をするためにどうしても滑走路を延ばさなくちゃならぬ、そのために広げなくちゃならぬのだと、こういうことではないと、こういうふうに確認してよろしいですか。
  78. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 私どもの考え方からいいますと、現在の問題ということと、また、将来を見通しての問題から、当然にまたそういうことをさらによけいに必要な場合も出てくるということもありまして、具体的に個々の場合でいきますと、現地の場合で一応必要だと認めて買ったと、こういうことでございます。
  79. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 ちょっとあいまいではっきりしないのですが、結局計器飛行をするのに必要なため買ったというのではないということは明言できないわけですね。そうすると、将来のことを考えて買ったんだということになる。将来のことというのは計器飛行も私は含まれると思うのですが、したがって、土地買収をしたことは、計器飛行というものを予想して買収をしたんだというふうにも理解できるわけですけれども、その辺もう少しはっきりしていただきたいと思います。
  80. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 計器飛行そのものは、先ほど防衛局長から御説明がありましたように、好天時の飛行を容易にするという意味で非常に効果があるということでございまして、そのための必要な施設ということは、必ずしもこの前の買収は、それの目的だけで買ったということではないわけであります。現実に周辺にすぐくっついておりまして、いろいろと制限も受けておる場所でありますので、それらの者の要望もありまして買うということにいたしたわけであります。
  81. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 現地司令官の言明では、いわゆる三十八年度に一部予算が計上されておる。しかも、それは滑走路の延長、いわゆる計器飛行をするための予算として計上されておるのだ、こういうふうに私ども伺っておるわけですが、そうしますと、いまの参事官の説明とはちょっと食い違っているような気がするわけですがね。
  82. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) ただいま予算を計上しておるというふうなお話のありましたのは、これはGCAそのものの予算だと思うわけであります。これはこさいに三十九年度で予算を計上いたしておりまして、二億四千五百万ということになっております。で、施設を買収する経費としての予算はそういうわけでございますので、そういう名目では出ておらないわけであります。
  83. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 三十九年度の予算にいま二億四千万ですか、そういうことで計上されておるということでございますが、すでに三月からですか、このHSS2ヘリコプターがすでに館山に配置をされておる、こういうことは御存じですか。
  84. 海原治

    政府委員(海原治君) ただいま先生のおことばに配置ということがございましたが、私の手元資料によりますと、現在と申しましても四月十七日でございますが、この四月十七日現在の館山基地のヘリコプターとしましては、HSS1(1N)、S55、S55A、ベル47、こういう機種だけでございまして、ただ下総基地に救難用のHSS2というものが配備してございます。これがときおり館山に参りまして、あの付近の状況になれるための訓練はいたしております。これは下総におりますHSS2というのは・大体東京周辺におきましての航空救難の任務に当たりますので・それはこの付近の地形・地物・気象等に慣熟する必要がございますので、これが間々館山に参っておることをおっしゃるのではないかと思いますが、先ほど参事官からおっしゃいましたとおり、GCAの費用も国庫債務が二億四千五百万円でございますが、一応予定としましては四十年度の末に整備する、こういう計画でおる次第でございます。
  85. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 館山への配置は四十年度の末、こういうことですか。
  86. 海原治

    政府委員(海原治君) 館山の配置は今年中に行なう予定でございます。したがいまして、三十九年度末を経ますというと、館山にはHSS2の五機が一応配置をいたすわけであります。しかし、このHSS2に全天候性がございますので、このためのGCA、いわゆる計器進入方式の能力を与えるための金が現実に具体化される予定の期日を四十年度末、こういうふうに考えておる次第でございます。
  87. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 三十九年度の防衛庁の予算を見ますと、HSS2のヘリコプター購入は四機、こういうふうになっておるわけですが、そうすると、三十八年度、あるいは三十七年度ですでに購入しておるわけですか。五機配置ということになりますると、一機多いようですが。
  88. 海原治

    政府委員(海原治君) 詳細な資料を持ってきておりませんが、あるいは私が申しました、下総に現在おりますHSS2の一機をあわせて館山に置くということになろうかと思います。しかし・これは先ほど申しましたGCA、計器進入方式ができるかできないかということにも関係がございます。合わせまして五機という一応の予定でございます。
  89. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 もう一つ予算の関係で、防衛庁予算の中で基地周辺特別補償事業費というものがありますね、たとえば道路の整備の問題その他あるわけですが、この予算の中には館山基地に関係するものはありませんか。
  90. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 基地整備費の中には、一応私ども館山としての分は考えておりません。
  91. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 現在の使っておるヘリコプターと、今度新しく配置をされるヘリコプターとでは、騒音はどういうふうに違いますか。
  92. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 正確なことは、今度の配置の飛行機について、データ的にまだ私ども聞いておりませんが、実際に言えますことは、片方のレシプロ式の分は爆発音で相当うるさく耳に感ずるということでありますが、今度の分はタービン式でございますので、音がそう爆発音のようなうるさい音ではないということでございます。一般にわれわれ乗りましたときでも、今度のヘリのほうが静かであるという感じを受けるわけであります。
  93. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この計器飛行をするにあたって、いろいろ基地周辺に与える影響というものがあるわけでございますが、そういう影響をどのように防衛庁として判断をし、そうして、また、それらの問題についてどういうふうに解決をしていこう、こういうことについてお伺いしておきたいのです。
  94. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 騒音の問題は、御承知のとおり、最近特にやかましく言われておるわけでありまして、私どももその点については、周辺対策と申しますか、そういうものをどうしたらいいかということを検討中でございますが、さしあたってわれわれのいたしておりますのは、非常に高音で頻度の多いというところには、学校、教育施設、そのほか病院等に防音工事をやるということをいたしておるわけであります。さらにこの計画を進めてまいりまして、まあできればもっと範囲を広げたいという希望を持っておりますが、現在のところにおきましては、学校の防音及び病院の防音というものの処置未済の分がまだ相当にございまして、それらのものをどういうふうに早期に消化するかということとの関連で新しい種目を広げることの問題は検討しなければならぬという段階になっておりまして、目下私ども事務的にも検討を進めておりますし、また、基地対策協議会というのが関係各省の集まりでございますが、そこにおいても議題となっておりましてまあ近々のうちにまたその会議も開かれて、防衛庁としてどういうふうに措置をしていくかということを検討したい、こう考えておるわけであります。具体的にはそういうわけでございますので、目下実施中というのは学校と病院の防音ということが主でございます。あと具体的には各基地ごとにいろいろ要望を私ども承っておるわけであります。個人の住宅における睡眠が不十分になるとか、あるいは病人に非常に支障があるから、何か集団的な休養施設のようなものをつくってくれないかとか、いろいろ要望もございますので、それらの問題をどうしたらいいかということを関係各省とよく相談をしてきめたい、こう考えておるわけであります。
  95. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 先ほど、厚生省が、三十七年に館山にすでに休暇村の指定を行なって、宿舎もことしの七月ごろですか、完成をする、こういう段階にきておるということが説明されたわけですが、そういう三十七年にすでに国民休暇村というものが指定をされておるということは、この計画をつくるにあたって御承知であったわけですか。
  96. 志賀清二

    政府委員(志賀清二君) 私どもが館山に入りましたのは二十八年でございまして、その後休暇村の措置ができてきたわけでございます。で、私どももそういう事情があるということはあとで知りまして、拡張をするに際しては、やはりそれらの点との調整をはからなければならないということは十分考えておりまして、こういう点について、厚生省なり、あるいは地元なりともよく相談の上で、できるだけ調和をはかってやってまいりたい、こう考えておるわけであります。
  97. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 それはいままではやっておらないのですけれども、これからやっていくということに私は理解せざるを得ないのです。というのは、先ほど国立公園部長の話では、防衛庁からそういうような話はまだない。しかし、参事官のほうでは、一部の課長には一応話をしてあると言われますけれども、しかし、正式な防衛庁からのというか、省と省との間の話にはなっていないのじゃないかというふうに私は思うのですが、そういう中で、現地司令官がかってにというと語弊がありますけれども、どんどん地元の者に対しての説得をいたしておるということを私ども把握をしておりますが、これは私は行き過ぎではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  98. 海原治

    政府委員(海原治君) 先ほど来申し上げておりますことでおわかりいただけるかと思いますが、私どもといたしましては、古いヘリコプターを新しいものに置きかえていきたい、こういう気持からもともとは出ているわけであります。それで館山におりますヘリコプターは、いろいろの機会に地元の方のお役に立っていることもございますし、やはり計器進入方式ということも、先ほど申し上げましたような新しいHSS2というものは全天候の性能を持っておりますから、百パーセントに性能を生かすためには当然そういうものが必要だ、こう考えるのは当然と思いますが、そこで、こういう飛行機を入れるにつきましては、やはりフルに悪天候の場合にも飛べるという態勢に置いたほうが、場合によっては地元の方のお役にも立つのではないか、こういう気持になりますというと、地元の御態度といたしましては、できるだけそういう方向で努力したいということで、計画そのものといたしましては、先ほど申し上げておりますように、GCAの装備というものは四十年度の末になるわけであります。したがいまして、この年度の間に地元の方の御了解を得られればそういう方向で措置していきたい、こういうことから司令が関係のほうのいろいろ御意見を伺って、これは私ども第一線の部隊長としては当然そうあるべきだ、こう考えております。ただ、その際に、いろいろと防衛庁の目的と申しますか、任務と申しますか、そういったことにつきまして十分お打ち合わせできないで、ある程度地元の方に、非常なやかましいものがくるのではないか、危険なものがくるのではないか、こういうような御不安を与えまして、その結果いろいろと地元の方と司令との間に数回会見が行なわれたということも私ども承知をいたしております。したがいまして、今後の方針といたしましては、なるべく私どもは地元の方の御了解、あるいは先ほど来お話に出ておりますような政府としての計画、こういうものとの調整がつきますれば、やはり拡張したいと思っております。しかし、もしそれがどうしてもできないという場合には、GCA能力というものはあきらめましてHSS2というものは通常の天候の場合のみ使用するということで配置いたしたい、こういう考え方を持っております。さらにわれわれもう一歩踏み込んでみますと、ヘリコプターがGCA、いわゆる計器進人方式で入ります場合の安全値の計算につきましては、現在航空局のほうに基準がございません。ありますものは一般の固定翼のものについてのものがあるわけであります。固定翼についての基準がそのまま何らの変更なしにヘリコプターについても適用されるかどうかというところに一つの問題がございます。しかし、従来はこの固定翼についての基準が適用されまして、計器進入方式を実施するとすればこれだけのスペースが要るのだということになっておりますが、私、この問題が起こりましたの。で、自分個人的にいろいろ調べてみますと、その基準がないところに何らか今後の検討をする道があるのではないか、こういう感じを持っております。したがいまして、もしもこのヘリコプターの、まあ御存じのように、一般のように固定翼の飛行機と違いますから、ホバリングの能力を持っておりますが、GCAで入ります場合にも、いまのような基準でなく、もう少しゆるやかな条件が可能であるならば、あるいは場合によっては拡張ということも要らなくなるのじゃないか、こういう感じがございます。どうしても拡張はせねばならず、その場合に、地元の方、あるいは関係政府機関の御了解が得られないという場合になれば、私どもはHSS2の配備は別でございますが、このGCAによる飛行能力というものはあきらめると、こういうことで今後処置してまいりたい、こういうふうに考えております。
  99. 今村譲

    政府委員(今村譲君) ちょっとただしま私から申し上げましたことで非常に不正確な発言がございましたので、訂正をお願いしたいと思いますが、私がさっき申し上げましたように、館山市の南西でありますか、約五キロの所に見物海岸という所がございまして、これは大体二キロ半ぐらいの長細い土地でございます。そこを指定いたしておりますのは、現在のところはそこだけでございます。将来、沖ノ島が、県のほうから申請があれば、島で船遊びかできるいい所なので、いまの段階としましては、拡張して指定をしようかという下相談があるにすぎない。そしてそれは厚生省としてはまだ指定しておらない。もちろん国定公園の中には入っておりますけれども、いわゆる休暇村の予定地の中には入ってない。県から申請があれば、将来それを入れたいというところで、現在はそれを大蔵省の主管の土地でありまして、形式上からいいますと厚生省の所管に入ってないと、こういうふうなかっこうになっておりますので、その点、さっき沖ノ島を含めまして指定済みというふうに私は間違って申し上げましたが、そこを御訂正申し上げたいと思います。
  100. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 いまの国立公園部長のお話はおかしいですよ、それは。ちゃんと「国民休暇村の概要」という中に沖ノ島の地図がありまして、沖ノ島に、宿舎から売店から植物園から、全部入っているのですよ。この計画がもうすでに立っているのですから、あすこが国民休暇村の地域に入らないというのはちょっとおかしいと思うのです。やはり入れた中での計画を立てて、そして現在工事を進めているということで、私も現地に行って見てきているのですから、これは間違いないと思います。それはまたあとでお伺いします。  次に、水産庁のほうにお伺いしますが、この館山の漁港の問題、あるいは館山におけるあぐり、いけすの養殖が非常に盛んになっておるわけです。こういう水産事業の立場から基地拡張というものがどういうふうにとらえられておるか、もしおわかりならばお知らせ願いたいと思います。
  101. 三浦善郎

    説明員(三浦善郎君) 水産庁のほうの側からいたしましては、沿岸の漁業につきましては、沿岸漁業構造改善事業というのをやっております。それで、ここの館山の地区につきましては、千葉県はすでに三十六年からその計画を立てまして、その千葉県の構造改善計画の中の一部分といたしまして、館山の周辺の地区についても、その一連の計画の中で事業が考えられておるわけでございます。それで、具体的に館山地区の近傍には船形地区というのもございますし、それから館山地区というのもございますし、それから少し南に参りまして香地区というのもございます。それぞれたとえば船形地区は、これは漁業を主体にして、将来漁業をやっていくのだというようなことになるわけでございますし、それから、館山地区につきましては、これは小型の底びきですとか、あるいはサバの船釣りですとかいったような、わりあい小さい漁業を主体にした漁業とか、あるいは小型定置底びき網といったような漁業を主体にして構造改善事業を進めております。それから、さらに香地区といったような地区につきましては、大型定置、あるいは小型定置といったような漁業を主体にして構造改善事業を進めていくというようなことを現在考えて事業を行なっております。それで、ただいまお話の自衛隊のヘリコプターの基地を拡張する問題との関係ということにつきましては、実は現在までのところ、県庁のほうからもまだ正式に話を伺っておらないような状況でございます。それで、先ほど少し電話でもって連絡して聞いてみましたところでは一ごく最近において地元のほうでいろいろと考えてもらいたい問題があるのだというようなことを申しておるといったような段階だそうでございます。それで、まあ私のほうといたしましては、現在行なっております沿岸漁業構造改善事業の仕事がなるべく支障がないようにこれが実施できるというふうになることが望ましいということを考えておりますので、それと何らかの意味で関係が出てくるか出てこないか、これは現在ちょっとわかりかねるわけでございますが、県のほうで具体的な現地の事情をなおよく検討していただきまして、その上でまた県のほうの改善計画が支障なく実行できるように検討を進めてもらいたい、こういうふうに考えております。
  102. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 館山のえさイワシというのは全国でも一番優秀だといわれているわけです。これは現在鹿児島湾と館山湾と二つ最も古いイワシ場としてあるわけでございますが、この館山でとれるイワシというのは東京湾を周遊しているイワシでありまして、非常に耐久力がよくて、大体全国のカツオ、マグロ船というのは全部館山湾に入りまして、そうしてそこでえさを買って遠洋漁業に出て行くと、こういうのが現在の実態です。したがって、非常に大型漁船が出入りをするということが一つであります。もう一つは極洋基地として、現在、極洋捕鯨の船が極洋に行く間あそこに停泊をしておりまして、したがって、そういう大型の船がやはり入っておる、こういう状態ですが、それと同時に、今回の基地拡張によって港が非常に利用が阻害をされるという実態が私は感じられるわけです。と申しますのは、現在その基地のそばに鷹ノ島という島がございます。その鳥がしけの場合には、ある程度防波堤的な役目を果たしておりまして、湾内に避難をする船が非常に安全を保たれているわけです。ところが、今度のGCA侵入によりますと、その島がじゃまになるということで、この島を削るという計画が出てきているわけですが、そうしますと、当然港に対する避難港としての役割りが削減をされるということ、それから、大型漁船が入るということによってマストの高い船が入るわけですが、マストが高いのは、いわゆるGCAの関係でぐあいが悪いと一こういうことがいわれておるわけですが、そういう面でひとつ水産庁としても十分検討していただいてこれに対処をしていただきたいということをお願いしておきます。  そこで、防衛庁のほうに再度お尋ねするのですが、そういういま申し上げましたような漁業に対する影響、それから、国民休暇村というものが基地拡張によって鷹ノ島、沖ノ島に大きな影響を与えて、実際的にこの休暇村としての意義が非常に薄れてくる。こういう観点から、この基地拡張は、十分各省と話し合いをするというよりも、私は、この際取りやめて、そうしてGCA飛行はやらない、新しい機種を入れるということは、これはいま局長の言われたような形でいまでもやっておるということであれば、私はその点は問題ないかと思いますけれども、しかし、GCA飛行をするために基地拡張をするということは、いま申し上げましたような休暇村に対する問題、あるいは漁業に対する問題というものが起きてくるわけですから、こういう点で、この際計画を変更していく、こういうことが必要ではないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  103. 海原治

    政府委員(海原治君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げたところと同じ趣旨になるわけでございますが現在の一応の事務的な判断では、やはり滑走路を延長しなければGCAによる飛行ができないという前提に立っておるわけです。しかし、これについてはなお検討の余地があるんだということを先ほど一応申し上げたわけです。これは私どもと航空局との間の関係でございます。で、先ほど申しましたように、ヘリコプター専用の飛行場というものが従来ございませんので・例の国際機関でございますICOにおきましても・ヘリコプターのための計器進入方式のための基準というものが特別にできておりません。したがいまして、固定翼についての基準がそのまま適用されますが、ちょっとその辺にまだ問題の解決の余地があるのではないかという点は残っておるわけでございますが、御存じのように、計器進入で入ってまいりますのと普通の固定翼で入ってまいりますのと、だいぶ様相が違いますから、したがいまして、GCAの着陸方式について現在私どもがいままで考えておりました基準というものが、まず絶対的なものかどうか、この点についてはもう一度検討いたしたいと思っております。  次に、第二の点といたしましては、ここに置きますヘリコプターが、先ほど来申しておりますように、悪天候の場合に役に立つものでございますから、これも従来の各地に配備いたしましたヘリコプターの使用実績から見てみますと、そういう悪天候のときのいわゆる災害派遣、救難関係には非常に役に立つわけでございます。したがいまして、その役に立つということを押し売りするわけでございません。が、その役に立つ点は何とか生かすべきではなかろうかという考え方もございます。しかし、そのために、いまも御指摘になりました鷹ノ島地区とか沖ノ島地区とかいうものの拡張ということが、どうしても各関係省の御了解を得られないということであるならば、これは強行する手段かございません。したがいまして、その場合には先ほど申しました拡張ということはあきらめまして、HSS2をそのまま配備する。ただし、その場合には全天候の応用がきかない、こういうことになるわけであります。この際、もう一切基地拡張をあきらめろと、こういう御趣旨のお話でございますが、いましばらく、まだ時間的に余裕がございます。したがいまして、十分関係機関とも相談をいたしまして、何とか地元の御納得を得まして、私どもの希望がかなえられるような方向で解決の道を見出したい、このように考える次第でございますので、何とぞひとつその趣旨を御了承願いたい、こう考えております。
  104. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 地元の市当局におきましてはこの問題を重視をいたしておりまして、国民休暇村が指定をされたということから、一大観光事業として、この基地周辺に観光道路というものをずっとつくりまして、そして沖ノ島を十分に利用させる、こういうこと。さらに、また、見物海岸から白浜に至る観光道路をつくって、国民大衆の皆さんに十分な休養をしてもらおう、こういう遠大な計画を立てておるわけです。したがって、もしこれもGCAの拡張がなされることになりますると、この観光計画が一切御破算になってしまうということが一つあります。さらに、また、昭和二十八年にこの基地があすこに設けられた際に、市当局は、条件として、この基地が本県の水産振興、あるいは観光事業、そういうものに支障をきたさない、こういう立場であすこに基地の建設を承認をしておるわけです。ところが、現在の上のほうの皆さん方の意見にかかわらず、現場の現司令官は着々とその基地拡張のために奔走しておる、こういうことで非常に問題になっておるわけです。したがって、私は、その防衛庁のいわゆる自衛隊の任務というものも知っておりますし、また、ヘリコプターが非常に三宅島の遭難の場合とか・あるいは海上の遭難の場合に活躍をしておることも知っております。しかし、それかといってそういうものと、それから国民大衆の平和な一日のいこいを保護してやるというような立場とどちらが一体大事なのかということをひとつ考えてもらいたいと思うのです。平和憲法の中において、一体どちらに重点を置いたほうがいいのかどうか。これはひとつ政務次官のお考えをお聞きしたいのですが、そういういわゆる自衛のための——これは盛んに現司令官は・現在のヘリコプターは海上の遭難者を何人助けたとか、三宅島の爆発のときにどれだけ活躍したとか、そのことばかり言っている。それで、現在自衛隊が、いわゆる潜水艦攻撃の対潜戦略と申しますか何か知りませんが、そういう方向に日本の自衛隊が動いている中で、やはり館山におけるこのヘリコプターの任務というものは・私は・そういう遭難救助にあるのではなくて、実際に東京湾に侵入してくる敵の潜水艦に対するやはり大きな武器と申しますか、そういう役割りのほうが本来の私は使命じゃないかと思うのです。そうしますと、現在の平和憲法の立場からいっても、私は、国民大衆のほうの立場に立ってこの基地拡張という問題を処理していくということが必要ではないかというふうに思うのですが、そういう点、政務次官どうですか。
  105. 砂原格

    政府委員(砂原格君) お説のように、おのおのの持ち前でありますその立場立場によって国民のことを判断をせなければならぬと思うのです。厚生行政をあずかる者の立場から申しますれば、国民の健康と国民のいこいの場所というような問題については、真剣に取っ組んでいかなければいけない。しかし、一面、いわゆる国防上の問題については、これは所管外でございますけれども、これはそれではやらなくていいかといったら、やはり国防という問題も決してゆるがせにすべきものではないと思うのですが、ただ、私は、今日の日本の立場というものは、戦争は放棄しております国民でありますから、いわゆる戦略的なことのみに防衛庁のほうが判断をしながらやるのではなくて、やはり国民の被害の場合、災難を受けた場合等においての防衛庁の活動というものにも非常な私は大きな期待を持たなければならぬ。それはやはり人数は多衆ではないかもしれませんけれども国民の一人といえども、そういう人には特段の配慮をしていかなければならぬというように思われます。特に所管の国民休暇村等については、私のほうはあらゆる努力をいたしまして、国民の皆さんに御満足をいただいて、一日のいこいを楽しんでもらえるような方法に努力をしていきたいと考えております。
  106. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 競合した場合にどちらをとるかということを聞いたわけでございまして、どちらも、任務からいけばいま言われたようなことがあるかと私は思います。しかし、これができるということによって休暇村の建設にやはり大きな支障を来たすということは間違いないと思うのです。この点はおそらく担当の公園部長も認められると思うのです。現地視察をされたかどうか知りませんけれども、私ども現地視察をいたしまして、あの沖ノ島から見物海岸というのは非常に浅いのです。したがって、将来の展望を考えると、私はGCAのための基地拡張だけではなくて、将来はおそらく全部海面を埋め立てて一大基地にするという構想も私は出てくる可能性が非常にあるということを考えざるを得ないわけです。しかも、現在この国民大衆の、特に東京都における労働者をはじめとした国民大衆が、一日の休養をするという場所は、日帰りなり一晩泊まりの場合には伊豆あるいは箱根、あるいはまた北のほうへ行けば日光というような形もありますが、いずれもそういう所はもうあきられてきたというか、料金も高いし、非常にマンネリ化してきたと思うのです。ところが、これからこの千葉県のあの房総から銚子のほうにかけての九十九里沿岸というのは、これは日本の中でも非常に風光明媚と申しますか、景色のよい所でございまして、温泉こそ出ませんけれども、いま着々と団地族が千葉県に大きくできてきている中で、これらの労働者が一日のいこいをそういう所に求めるということは、今後非常に多くなってくると思うのです。また、千葉県の開発の中にもそういう構想も私は十分にうかがわれるわけでございまして、したがってそういう中でそれらを阻害するような基地の拡張というものが私はあってはならない。この際・厚生大臣はおりませんけれども、ひとつ厚生大臣から十分防衛庁長官のほうに異議を申し入れをしていただいて、この拡張は、ぜひやめていただくということを、国民大衆の健康を守る、休養を守るという立場から、強くお願いしておきたいと思います。また、農林省におきましても、これは沿岸漁業振興法などをつくったわけですから、当然漁業労働者を守り、また、遠洋漁業というものも、今後日本の漁業の中では非常に大切な事業でございまして、そういう面からも館山の漁港というのは非常に価値の大きいところでございますから、そのことが基地拡張によってまた妨げられるというのでは困りますから、これはひとつ十分関係各省で御相談をしていただいて、そしてあくまでも地元の意見に従って処理をされるよう、強く私は要望しておきたいと思うのです。あまり長くなりますから以上でやめますけれども、ひとつ大臣がおりませんから、政務次官ひとつ決意のほどを聞かせてください。
  107. 砂原格

    政府委員(砂原格君) 先ほども公園部長から申しておりますとおり、国民休暇村の指定の場所の問題につきましては、まだ沖ノ島のほうの分は構想図を、将来こういうことをやればいいがなという程度の構想図は書いたことはあるのですが、まだ指定にはなっておらないわけでございます。この点は一応御了解をいただきたいと思います。さらに、先ほどからの御意見につきましては、十分各省が連絡をとりながら、御意見を十分検討いたしたいと考えております。なお、国民休暇村の指定をしてあります場所につきましては、まだ相当の期間が現在の予算ではかかるようでございますが、これもできるだけひとつ早くこれを仕上げまして、大衆のために供したいと考えております。
  108. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 館山の問題につきましては以上で終わりますが、休暇村というものについては休暇村協会というのがありますが、この協会はどういう位置を占めておりますか。位置というか、法的にどういうふうになっておるのか、その辺を。
  109. 今村譲

    政府委員(今村譲君) これは一番最初昭和三十五年だったと思いますが、厚生省の中で、国立公園行政で自然保護、景観保護行政だけでは、いわゆる全然自然保護ばかりやっておったのでは、増大する国民の需要にはとても追いつけない、どうせ利用施設が要るのだというふうな問題で、むしろ国民大衆のレクリエーション地における非常にきれいな、しかも、低廉な受け入れ態勢をつくらなければいかぬという議論が三十四、五年ごろから非常に強くなりまして、それは、ちょっと前段に入りますけれども、三十三年ごろからぼつぼつ地方にありましたように、市町村なり都道府県が、どうせ二千五百円、三千円というふうに取られる旅館ばかりでは困るので、何か財政投融資をもらって、市町村直営の七、八百円、五、六百円ぐらいで泊まれるような宿舎事業をやらぬと、どんどん押しかけるわ、泊まるところはないわというのでは困るというので、三十三年から国民宿舎、これは各県にございますが、そういうふうなものを始めたわけでございます。これは還元融資のほうからの財源でございますけれども、それで現在は全国で百二十七カ所、三十三年からの財政投融資の総投入額は三十四億九千八百万、約三十五億円というふうなかっこうで、年間にその国民宿舎というものは二百万人ぐらい泊まっておる、大体若い人でございます。そういうふうな動きで今日まできておるわけでございますが、それと同時に、それはいずれも単独の小さな、せいぜい多くて百人収容ぐらいの、一軒ぽつんと建つだけである。やるならば、それにテニスコートなり、何か運動場でもつけたり、大規模な総合的なレクリエーション施設であって、家族連れで一日、二日低廉で十分休めるというような施設を何かつくらなければならぬ。そうしないと、レジャー・ブームで需要は多くなるわ、普通の旅館ではとても高いわということでは、厚生省としてもレクリエーション行政に何もしていないということになるのではないかというので、最初は県にやらせるとかどこにやらせるかというような議論がいろいろございました。ただ、これのしかるべき委託経営みたいなかっこうにすると、変なふうに、財政投融資は入れたが、二千円、三千円というふうなかっこうになっても困るというので、最初は特殊法人にしまして、政府の監督のもとに置いて、そういうふうに全国のしかるべき所に二、三十ぐらいりっぱなものをつくる。しかも、少なくとも三けたぐらいで泊まれるというものをつくろうじゃないかということでございましたが、特殊法人となりますと、出資金とかいろいろな関係がございまして、立法問題とか、相当むずかしくなり、あるいは機能的に運営ができないということがございまして、現在では国民休暇村協会というのが三十六年の十二月十五日だと思いますが、民法法人、民法三十四条の財団法人で国民休暇村協会というものをつくりまして、それからしかるべき県の知事さんなんかも理事に入ってもらいまして、まあそういう民法法人として出発しておる、こういうことでございます。
  110. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 この協会に対する補助といいますか、協会運営の経費は一体どこから出ているのですか。
  111. 今村譲

    政府委員(今村譲君) それは三十六年の十二月に発足しまして、国は三十六年度二千万円、それから三十七年度は三千万円、三十八年度におきましては四千万円、合計九千万円一般会計から休暇村協会補助として補助金が出ております。  それから、休暇村は現在十二カ所あると申しましたが、それぞれ県のほうでしかるべくどうしてもつくってくれというところの知事さん、あるいは県が休暇村協会への参加といいますか、知事さんが理事になるわけです。そのときに休暇村協会の分担金ということで、一カ所きまれば一千万円、どうせ建設投資をしましても、実は二年ぐらい店を開くにはかかるわけでございます。そういう意味で県から一千万円ずつというのでいままでやってまいりました。ただし、休暇村全体としますと、建設追加投資が相当いろいろ要りますし、それから、また、PRその他やなんかで不十分でありますので、賃金が本部経費とかその他については、何とか苦しい経営をやっておりますけれども、これが来年、再来年になりますと、いま手をつけておりますのがどんどん開業する。それで、いま八百円とか九百円でありますけれども、そういうふうなもので資金の回転がつくというので、三十九年度の予算におきましては、国庫補助も三年間に九千万円もらっておるのだから、いまさらいつまでもぶら下っておるわけにはいかないので、厚生省といたしましては追加予算はいたさない、あとは自前でいく、こういうふうなかっこうになっております。
  112. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 三十九年度は自前でいく、こういうことになりますと、当然宿舎に泊まる宿泊料なり、あるいはその他の施設の使用料というものは、私は、しわ寄せされてくるのではないかこういうふうに思うのですが、この点は時間がありませんから、また後にやるといたしまして、ひとつこの協会の定款、あるいは役員名簿というか、そういうのをひとつこの次までに出していただきたい、お願いしておきます。
  113. 今村譲

    政府委員(今村譲君) わかりました。
  114. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発行もなければ、本件に関する質疑は、本日のところはこの程度でとどめておきます。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十三分散会    ————・————