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1964-10-09 第46回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     藤田藤太郎君    理事            鹿島 俊雄君            亀井  光君            藤原 道子君            柳岡 秋夫君    委員            川野 三暁君            紅露 みつ君            竹中 恒夫君            丸茂 重貞君            山下 春江君            山本  杉君            横山 フク君            阿具根 登君            杉山善太郎君            鈴木  強君            村尾 重雄君            林   塩君   委員以外の議員    議     員 高野 一夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 神田  博君    労 働 大 臣 石田 博英君    自 治 大 臣 吉武 恵市君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    大蔵政務次官  鍋島 直紹君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省保険局長 小山進次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査  (食中毒問題に関する件)  (医療費問題に関する件) ○労働問題に関する調査  (公務員給与に関する件)  (港湾労働問題に関する件)   —————————————
  2. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) ただいまから開会いたします。  社会保障制度に関する調査中、まず、食中毒問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 藤原道子

    藤原道子君 私は、最近集団的な食中毒が多発いたしておりますが、食中毒は、最近、昨年度に比べますと若干減少しているけれども発生いたしますときには集団的に発生しておる。修学旅行であるとか一あるいは、また、職場においてとか、また、病院等においてしばしば集団的に発生しておりますが、その原因はどこにあるかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) ただいま藤原先生お話のとおり、食中毒発生患者数は、昨年とことし、一月以来の今日までとで比較いたしますと、あまり大差はございません。ただ、本年の当初五月ごろまではかなり集団発生が多発いたしまして、昨年に比べまして非常にふえておったわけであります。したがって、本年の当初におきましては相当心配いたしておったわけでございますが、その後やや発生が下火になりまして、ただいま申し上げましたように、総数では昨年とあまり大差がないという状態でございます。  それで、この集団発生原因でございますが、近年の集団発生原因で申しますと、原因のわからないものが約半数ございます。半数内容がわかっておりまして、その内容の中の七割くらいが細菌性のものでございます。その細菌性のものの中でも、また七割くらいが腸炎ビブリオ食中毒でございます。この腸炎ビブリオは新鮮な魚介にもついておりまして、ことに近海ものの魚介類にはほとんど一〇〇%に検出せられている現状でございます。これはわが国近海腸炎ビブリオで汚染せられているという実態があるわけでございまして、これが魚のおもに表面に付着いたしまして陸揚げされ、それからあと処理が適当でない場合、それほど長時間たたない、魚が腐敗しない以前においてすでに中毒を起こす状態になりまして、腸炎ビブリオによる食中毒を起こしているというのが現状でございます。最近ありました事例で申しますと、オリンピック大磯のキャンプにおきまして、手伝いのボーイスカウトが腸炎ビブリオ食中毒を起こしたわけでございます。このときには、使いました魚はフライにして用いておりますので、菌は生きているはずはないのでございますが、その魚の表面に付着いたしておりました菌が、まないた、あるいはふきん等を介して他の食品に移ったものと私どもは推定いたしておりますが、患者の全数から腸炎ビブリオを検出いたしております。これがわが国の最近の食中毒の大きな原因でございまして、遠海ものには腸炎ビブリオはあまり見られませんけれども近海ものには非常に多いわけでございまして、これを防ぐことはなかなか容易でないという事態がございますけれども、その予防徹底を期して努力をしている次第でございます。
  5. 藤原道子

    藤原道子君 それは非常にたいへんなことだと思うのです。魚介類を多量に摂取しているわが国民といたしまして、近海ものの、しかも、新鮮な魚介類によって発生する。予防その他について努力するとおっしゃるけれども、どういうふうに努力されるのか。そして、その何だかむずかしい名前でよくわからないのですが、腸炎ビブリオというのですか、これはどういうふうな原因でそういうことが発生するのか、それをお聞かせ願いたい。
  6. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) これはわが国で初めて発見いたした菌でございまして、いまから十年ほど前に大阪大学の藤野教授が初めて発見をした菌でございます。これがわかりますまでは、食中毒原因というのは大部分わからなかったわけでございます。こういう新しい菌が食中毒の主たる原因であるということが近年に至ってようやく判明してきたわけでございます。この菌は、便によって排出されましたそれが海の中に入りまして、別の名前をついこの間までは好塩菌といわれているわけでございます。海水の中は非常に快適な生活場所である。こういうことで、海水の中で長生きをしている菌であるわけであります。これが便によって海水の中に出まして、これが魚の表面に付着いたしております。一部は魚のはらわた等にもございます。そういう状態で、したがって、とれたばかりの魚の表面に付着しているわけでございます。相当多量にある、多量と申しますのは普遍的にある。菌の量はそれほどではございませんけれども、普遍的にあるものでございまして、先ほど申しましたように、近海ものではほとんど一〇〇%に近いほど魚の表面からはこの菌が検出せられる、こういう状況でございます。したがって、これを予防することは、魚の産地等で区別はできない種類のものでございます。遠海もののマグロというようなものにはございませんけれども近海ものにはほとんどあるわけでございます。そこで、実は先般も、オリンピックに際して、こういう腸炎ビブリオに基づく食中毒を防ぐことは並みたいていなことではないということで、特に十分な注意をする打ち合わせ会をしたわけでございます。現在なし得る予防措置といたしましては、魚をよく洗うということと、魚を扱ったまないたほうちょうふきん等は厳重に洗う、こういうことによって他への感染を防ぐ、こういう方法が最もよいということで、選手何等では、魚を扱ったまないたは他の用に供しない、こういうことで、しかも、なま魚を使わない、特別な扱いをするように努力をいたしておるわけでございますが、そういう特殊な選手村という地域以外においても、先ほど来申しておりますように、わが国の全食中毒の中の、原因の判明したものの中の半数ぐらいはこの腸災ビブリオでございますから、全国的に十分注意をする必要がある、その注意のしかたは非常にむずかしい。特に集団発生場所については、近年腸災ビブリオに対する注意を喚起して努力をいたしておりますが、先ほど来申しておりますように、相当腸炎ビブリオに基づく食中毒が出ておる、こういう状況であるわけでございます。
  7. 藤原道子

    藤原道子君 十年前に阪大の教授によって発見された。その原因は、便によってその好塩菌が非常に快適な生存状況だからあらゆる魚介類に付有しておるということになれば、便の海洋投棄ということが大きな問題だと思います。こうした原因がわかっていながら、それに対して相変わらず海洋投棄が続けられている。これは非常に政治的に考えても、私、あまりにも怠慢だと思う、人命軽視だと思います。それと同時に、選手村、オリンピックに対して重大だから、選手村等には十分指導がなされているというお活なんです。ところが、結局まないたふきんということは手からもうつるわけであり、毎日お魚を扱っておる家庭に対してのそういうことのPR等は全然ないでしょう。いままで何らかの方法で気をつけるように指導されておりますか。ちょっと外人の多く来るオリンピックでは、これはたいへんだから大騒ぎしている。だが、私たち毎日お魚を食べておるけれども知らない。家庭からもかなり食中毒が出ておるのですよ。集団的には出ませんよ、家庭だから。だけれども、おたくから出しておる資料を見ても、家庭から食中毒発生しておるのも相当数あるのですね、ところが、その家庭食中毒も、やはりこれからくるものと理解してよろしいのでしょうね、それが相当数あるというふうに。これに対してのあなた方の手はどういうふうに打っておられるか、それを伺いたい。
  8. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 食中毒全般に対しまして、私どももその予防の趣旨の徹底につとめておるつもりでございます。なお、個々の家庭に対しての指導徹底を欠いておる点があるかもしれません。ただ、一〇〇%ついておれば、必ずこれがまないたにつき、ふきんにつくということで発生するという事例でなくて、各家庭で魚を摂取しておる事例は非常に多いわけでございますが、それはどういう経緯中毒にまで発展するかということはまだわかっていない状況でございます。実は先ほど申しました大磯事例は、なま魚をしばらく塩水につけておいたようでございます。数時間塩水につけておきまして、それからあげものに用いている。したがって、その塩水につけておいた間に、塩けをわりあい好む菌でございますから、その中で繁殖したのではなかろうかと推定はいたしておりますが、それでは他の中毒例の場合に必ず塩水につけたものであったかというと、必ずしもそうでないわけでございます。きわめて多数の魚を扱った事例の中で不幸にして中毒が起こるということで、絶対に防ぐには、もちろんまないたも一回ごとに消毒するに近いほど清潔にする、ふきんほうちょうも同じような扱いをするというようなことが望ましいわけでございますが、実際問題として、家庭でなかなか魚を扱った場合に、一々消毒するということもできかねるということで、今後私ども中毒にまで至る発生経緯には努力いたしまして、必ず魚の体表に付着している菌が中毒にまで至る経緯というものを明らかにする努力をいま続けておるわけでございます。
  9. 藤原道子

    藤原道子君 私は、どうも人の命を守るという点において非常に遺憾な点が多いと思うのです。したがって、今後のはっきりした見通し等も、私は、この際、十分に聞きたいと思うのです。ということは、昭和三十八年の十二月二十一日に、行政管理庁から環境衛生に関係しての勧告が出ているわけです。その勧告に対して政府はその後どういう措置をしておいでになるか、これを伺わしていただきたい。
  10. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) この問題を食品衛生について申し上げますと、私ども食品衛生に対します態度は、食品衛生に基づく死亡事例というものは年間二百名前後でございまして、必ずしも他の疾病に基づく死亡と比べて多いものではございません。しかも、その中のほぼ半数はフグの中毒でございまして、いわゆる食中毒に基づく死亡というものは百名足らず、したがって、生命という意味合いから申しますと、他のあらゆる病気によって死亡する者に比べまして、年間百名以内でございますから、食中毒事例というものは、そういう意味合いでは比較的少ない被害でございますが、ただ、被害者が非常に多いという点から国民生活に非常に影響があるわけでございます。私どもは、一応年間約四万名という患者を把握いたしておりますが、これはそのすべてが届け出されておる者ではございませんで、この背後にはもっともっと何十万、あるいは何百万という食中毒事例があるものと思うわけでございます。これらが直接間接に日常生活に影響し、人の身体を障害するという範囲は非常に広いものと、かように思って、この食品衛星仕事の重大さを痛感いたしておるわけでございます。そこで、しかも、この仕事都道府県知事に国が委託をいたしておる国の仕事である、こういうたてまえのものでございます。直接の仕事知事保健所を使ってやるわけでございますけれども、国の責任ある仕事であるというたてまえから、私どももその指導徹底を期する努力をいたしておるわけでございますが、実際上、それでは厚生省として何をいたしておるかと申しますと、毎年全国各ブロックにおきましてその担当者指導講習会を重ねております。その指導講習会におきましては、新しい食中毒発生事例、あるいは技術的な問題——この食中毒に関しますることは、次々と新しい技術的な知識を必要とするような事例があらわれてまいりますので、そういう事例徹底を期するということで、都道府県事務を実施する上での基礎知識を普及し、仕事徹底を督励をいたしておるわけでございますが、他面、この仕事は実際は保健所における食品衛生監視員がやっておるわけでございます。それらの食品衛生監視員をできるだけ多く置いていただきたい。これは補助金に基づく職員でもございません。都道府県が独自の吏員として置く職員でございますが、これらの職員をよく訓練をし、しかも、欠員は十分補充して、食品衛生上必要な個所監視は十分にするという指導を国としてもつとめておるわけでございまして、なお、食中毒事例の大きなものには、因みずから現地に係官を派遣し、調査に当たり、内容の究明をいたしておるわけでございます。で、しかも、それらの事例内容によりましては、直ちに全国に手配をし、全国的に不良食品販売停止をさせる、廃棄をさせる、そういう措置をとると同時に、そういう食中毒事例内容をいち早く知らせて、後の予防につとめる、そういうことでこの行政の徹底を期しておるわけでございます。
  11. 藤原道子

    藤原道子君 といたしますと、非常に食品衛生監視員は重要な役割りを果たしておる。ところが、いまの食品衛生監視員充足率はどういうふうになっておるか、それをお伺いしたい。
  12. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 食品御生監視員の数は、昨年末現在におきまして四千七百三十二名全国でおります。内訳を申しますと、医師身分を持っておる者が五百二十五名、薬剤師身分を持っております者が九百八十九名、獣医師身分を持っておる者が二千六百五十二名、その他の者が五百六十六名でございます。これらの職員は実際上任命せられておる職員でございまして、専従職員はその中の四〇%でございます。したがって、先生お尋ね充足率という意味合いから申しますと、兼務の者が六判でございますから、非常に不徹底であることは私どもも痛感いたしておる次第でございまして、何とかしてこれに専従する職員を多くいたしたいとつとめておるわけでございますが、実際問題として、保健所職員事務上これに専従させることは困難であるということで、専従職員が具体的には少ないという次第でございます。
  13. 藤原道子

    藤原道子君 私は、非常に充足するのが困難だと、困難ならば、その困難の原因の解消につとめなければならない。私が調べたところによりますと、食品衛生監視員充足率約二〇%くらい。ところが、その中で専従している人はほとんどいまおっしゃったように少ない。ところが、その専従が少ないにもかかわらず、さらにその仕事内容——食品衛生監視員は、結局食品衛生監視すると同時に、屠殺場であるとか、あるいは狂犬病であるとか、その他の仕事に非常に多くをとられていて、食品衛生仕事に専念できるのは四七・四%くらいしかない。ところが、四七・四%であって、しかも、さらにその施設監視指導のためには、その四七・四%の仕事量の中で、さらに施設監視のためには四九・三%しかやっていない、あと文書事務処理のために三一・八%を費やしている。その他に一八・九%で、非常に大事な監視指導のためには充足率が非常に少ない、少ない中で兼務がある。しかも、その中で食品衛生のためには半分以下。しかも、半分以下の中で、さらに仕事の量の内容を見ますと、施政の監視のためには四九・三%しかしていない。一方では、だんだん食生活は複雑になってきていろんなものがつくられているのです。こういうときにどうしてこれで監視ができるでしょうか。これじゃ放置しているのと同じじゃないですか。いろいろ手は打っておりますと言うけれども、どういう手を打っているのか、私はこういう表を見るときに疑わざるを得ないのです。こういう状態に対して勧告も出ているはずなんです。それに対して厚生省はそうしたいと思うということは言っておる、回答で。思うだけで、やらなきゃ何にもならない。食中毒で死ぬ数は少ないとおっしゃる。けれども病気というものはほんとうにいろんな原因があって発生する。食品中毒十分注意すればそれにかからないで済むのじゃないですか。それを指導監視する人がこういう状態で、それで食品衛生に対しては厳重に監視いたしますということが言えるでしょうか。これを一体どういうふうに解消しておいでになるのですか。現在のままで放置しておいでになるのか。こういう仕事内容ではだめだから、こういうふうな方針を持っておりますとか、あるいはこうやる決意でございますとかいうことがございましたらお聞かせを願いたい。私は昨日この表を見てびっくりしている。一体これでは野ざらしじゃないか、御意見を伺います。
  14. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 御指摘のように、乳の処理、あるいは乳に関係する食品の取り扱い、こういうところに対しての監視はかなり行き渡っておりまして、その他の飲食店業者とかいうものは比較的少ないことは御指摘のとおりでございます。ただ、なまで飲みます乳とか、あるいは魚を扱うところ、食肉を扱うところ、こういうところは非常に事故が起こりやすいのと、また、事故が起こりました場合に非常に大きい障害を与える可能性がございます。したがいまして、こういう要所に対して重点的にやっておるわけでございまして、その他の場所も重要でないことはございませんけれども、最も少ない人員を効率的に働かせるという意味において、そういうところに重点を注いでいるところでございますが、やや御指摘のような、そういうところに重点が行き過ぎておるというきらいが少しありはしないかということで、その他のいわゆる飲食店営業というようなところに対する監視をもう少し上げるように努力したい。何も従来重点を注いだ監視を落とす必要はございませんけれども、その他の地域監視をもう少し上げるように努力をしなければならないということを痛感いたし、本年はその方針で実施をするつもりでおります。
  15. 藤原道子

    藤原道子君 それではおかしいです。いまの充足率でこの仕事量をやろうとするから一方を減らさなければこっちができない。この食品衛生監視員をもっとふやすことができないものか、非常に大事な問題でございますから、この点はぜひ伺っておかなければならない。と同時に、最近の食中毒発生が、いわゆる事業所学校、あるいは診療所などの給食施設で多く起こっているのですね。ところが、これらは許可制からはずされている、十分監視は行き届かないわけです、法的に。これはどういうふうになっておりますか。
  16. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 法律上、学校とか診療所とか事業所給食施設許可を必要といたしませんけれども監視の対象としては十分これらの個所指導するようにいたしております。御指摘監視員充足は、監視員内容技術者でないと実施できませんので、先ほど御説明申し上げましたように、医師薬剤師獣医師等が現実に当たっているわけでございます。保健所においてこれらの職員充足することは今日の、実情で非常に困難であるということで、私どもとしてもまことに遺憾に思っております。何とかしてこれらの職員充足に当たりたいと思っておりますが、実際上のもとの数が非常に不足しておるように私ども思っております。獣医師につきましても薬剤師につきましても、ましてや医師につきましても、保健所監視員になる職員というのはきわめてりょうりょうたるものであるということですが、ただ、ここ数年来の実際の数を見ますと、ややふえてきておる傾向にあるわけでございます。たとえば専従職員は必ずしもそうではございませんけれども兼務者を入れますと、昭和二十九年には三千九百十一名でございましたものが、三十八年には四千七百三十二名となっておりますので、わずかずつふえる傾向にあるわけでございますが、なお、今後ともそういう充足には私ども努力をいたしたいと、かように思っております。
  17. 藤原道子

    藤原道子君 私は、もとの数が少ないからのみ充足されないとは考えられないのです。あまりにも待遇が悪過ぎるということをお考えになったことがあるでしょうか。非常に重要な仕事で、労働量は非常に多いにもかかわらず、兼務が多い、あるいは衛生監視のためにのみ働けないで、ほかの仕事にもさかれなければならない、あるいは仕事量の多いにもかかわらず、給与が低過ぎる、待遇が悪過ぎる、これをどうお考えになりますか。民間に比べましてあまりにも低過ぎるということは勧告にもあるじゃありませんか。人事院の勧告にだっても出ていますよ。私は、大体民間に比べまして一万五千円くらいの差があると思います。結局これではなり手がないわけだと思うのです。給与を何とか改定して、それでやはり専門仕事に専念できるように、文書の整理などはやはりほかの人でやれるわけなんです。ところが、衛生監視員でなければやれない大事な仕事、これに専念させるように努力する、と同時に、待遇をもっと引き上げなければ、あまりにも民間に比べて悪過ぎると思うのですけれども、これに対しては何かお考えを持っておいでになりますか。
  18. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 御指摘の点は、私どもも日ごろから心配しておる点でございまして、保健所にかなり多数のこういう特殊な技術者がおって、必ずしも待遇がよくないということがこの充足率に影響いたしておることも痛感いたしております。いま一つ問題になりますのは、これらの方々身分上も安定してない、また、昇進の道も必ずしも十分でない、監視員というだけの話でございまして、それから上はあまり順調なポストが約束されてない、こういう点もあるわけでございます。したがって、身分上単なる監視員であるということから、給与の面でもそれが影響いたしまして、必ずしもよくないという現状があるわけでございまして、まず第一に身分の確立ということが必要かと私ども思っております。何とかしてこれをはっきりした身分制度のものにいたしたい。それがまず第一段階のこれらの方々解決方法ではないか、かように考えて、いま検討いたしておるところでございます。
  19. 藤原道子

    藤原道子君 衛生監視員不足等原因はあなたもお認めになっておるのでしょうね、身分保障がない、給与が低過ぎる、これに対して、身分保障については努力しておるとおっしゃいましたが、これに対しての見通しはどうなんですか。
  20. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) これらの職員身分制度についての推進はすでに十年前から行なわれ、検討せられてきておったわけであります。なかなか実現はむずかしかったわけであります。しかし、職員内容も、むしろ従来よりは専従職員的に訓練されてまいっております。従来に比べて気運はできやすい事態になってきておると私どもは思っております。したがって、私ども努力によってその実現が望まれる、これは努力次第ではないか、かように考えて、せっかく努力中でございます。
  21. 藤原道子

    藤原道子君 その努力次第では、できるという見通しがあるならば、努力してはやく実現してほしいです。私たち国民の命に関する問題なんです。この資料を見れば見るほど、あまりにも過酷な待遇に放置されておる。十年前から検討していてもまだそれが実現できない。あまりにもマンマンデー過ぎると思うのです。ぜひ私は、このことにつきましては、勧告にもございます身分保障待遇の改善、これが急務であるということをいわれて、厚生省では努力する、ぜひ近い将来実現したいと思うと答えていらっしゃる。ところが、実現したいと思うではおなかがふくらまない。私は、これは一日も早く実現されますことを強く要望しておきたいと思います。  それから、食品衛生法によって食品衛生管理者を置くことをきめておりますね。ところが、事業所にはそのきめがないのですが、これに対してはどうお考えですか。多く中毒発生しておりますのは事業所なんです。ところが、事業所では何といいますか、法によっての専任の衛生管理者を置くことは規定していないわけなんです。ということになると、一番中毒発生率が多いところにこれが置かれていないというようなことについてはどうお考えで、今後どう対策をされるのですか。
  22. 舘林宣夫

    説明員舘林宣夫君) 確かに御指摘のように、一たん発生しますと非常に多数の人々が中毒を起こすような場所については特段の改善をさせる必要があるわけでございます。そういうところに管理者のようなものを置いて責任をはっきりさせていくということが必要であるわけでございます。私どもとしては、各県が食品御生の講習会等をやる場合には、必ずそういうところのものを集めて十分な教育訓練をするように、特段の重点対象といたして指導をいたしてまいっておるわけでございます。今後もその努力をさらに進めると同時に、そういうことに対する監視を特に厳重にする、徹底するということを、ことしの春以来の発生から見ても、特に必要であるということを痛感いたしております。
  23. 藤原道子

    藤原道子君 大臣がおみえでございますので、ほかの質疑の順序もございますので、私は、ごく限られた時間で大臣に一、二点だけお伺いしたいと思います。いま大臣がお見えでございませんので、局長と質疑を展開しておりましたが、私が大臣に特にお伺いしたいのは、食中毒発生が、最近は非常に集団的な発生がふえてきておることでございます。これに対して大臣はどう対処しようとしておいでになるか。まず第一に、これの指導監視に当たる衛生指導監視員というのは非常に欠員が多いのです、充足率が悪いのです。しかも、これらの人の仕事内容兼務が多い。それから、専任の人の仕事内容でも、まあ専従の人が四七%しかない。ところが、その四七%の人の仕事内容を見ると、食品衛生指導の面には四九%しか働けないような仕組みになっておる。文書の整理だとかほかの指導で過半数さかれておる。こういう実情の中で、食品側生監視員は二〇%くらいしか充足していない、しかも兼務が多い、専従は非常に少ない、少ない人が非常に過酷な労働に追いまくられておる、これが現状なんです。これでは一体、どうして国民食品に対する衛生管理が行き渡るか。ところが、これの充足が、結局待遇が悪いということ、それから身分保障がないということ、したがって、これに対して、大臣は今後努力をするといっておられますけれども、大臣としてはどういう決意を持ってこれをやっていただけるかということが一つです。  それから、いま一つは、最近の食中毒原因が、近海からとれる新しい魚介類、これによって発生するのが多くなっている、こういうことなんで、それは十年前に阪大の教授が発見した好塩菌だそうでございますけれども、十年前に発見した。で、日本のようにお互いに魚介類を多くとる国民にとっては、これはゆゆしき問題だと思うわけです。しかも、十年前にこの原因が発見され、しかも、その原因が便によって菌が発生する。それが非常に塩を好むものでございますから、海洋におきましては非常に繁殖する、これがお魚につく、結局それを私どもが食べる。それで、その魚そのものは煮てもフライにしても、それを処理したまないたとか、ふきんから伝播して食中毒を起こすということをいま御説明をいただきました。そのくらい原因がわかっていて十年も対策がとられないということは、あまりにも人命軽視ではないか、私はそう思う。しかも、便からということの原因が明らかになれば、便の海洋投棄原因であることは明らかです。遠洋漁業からは、遠くでとれたお魚にはそういう菌がついていない。近海ものの新鮮なものから食中旬が起こる、こんなおそろしいことはないと思うのです。したがって、これらについて大臣の御決意を、そして、さらに今後の対策を伺いたいと思います。
  24. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいまの藤原委員のお尋ねでございますけれども食中毒が年々ふえている、こういう御心配でございますが、私どもの統計表によりますと、ふえてはいない、大体同じような数字のように数字の面では出ております。そこで、まあ人口が増加しておりますから、率からいうとあるいは減っているのかもしれませんが、しかし、その内容に入りますと、いま藤原委員がお述べになりましたように、内容はいまお話しのように私も承知いたしております。これはたいへん心配にたえない、こういうことでございます。担当局長からもお答えがあったとは思いますが、私も就任以来、このことを非常に憂えておりまして、十分ひとつその原因を突きとめて善処してまいりたい、こういう考えでございます。特に、いま御指摘になりました取り締まりを担当する方々が少ない。しかも、この待遇が悪い、下積みになっておるというようなことは、いま御指摘になりましたとおりに私も承知いたしております。かようなことでは、食中毒原因を探究して改善をしていくという上から、非常に不安でございますので、まず、やはり担当者待遇改善、処遇の道をひとつよくしなければならないのではないか、こういう考えでございます。これらにつきましては、十分地方庁とも相談いたしまして、厳重な通達と、その他指導をいたしまして、その不安をひとつ除きたい、こういう決意でございます。  なお、いま第二に御指摘になりました好塩菌の問題でございますが、便の海洋投棄が御承知のように最近激しくなっておりまして、し尿処理の問題を私ども十分意を使っておりますが、まだまだでございますので、遺憾に思っております。しかし、これもただいまの計画といたしましては、四十二年度までにはひとつ完成したい。そうして好塩菌原因、いわゆる便の海洋投棄をひとつ押えまして除去したい、こういう考え方でございます。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 大臣は、いま新任早々だからとおっしゃったのですけれども、十年前に好塩菌の問題は発見されている。それから、し尿処理の問題はかなりやかましくいわれてきた。大臣が、前に厚生大臣の当時にもこの問題はあったと思うのです。したがって、再度御就任になりました厚生大臣として、可及的すみやかにこれの解決をはかってもらって、国民が安心して生活ができるように、オリンピックだけ大騒ぎをしても、これが済めばまたおざなりというのじゃ困る。日本国民の厚生行政を担当する大臣として、勇気をもってこれが実現努力してほしい。それから、御案内のように、三十八年の十二月二十一日に、行政管理庁からも環境衛生関係についての勧告が出ているはずです。私もゆうべ拝見いたしました。ということになれば、これは当然おやりになることを約束していらっしゃる。したがって、一日も早くこれを実現してほしい。と同時に、し尿処理の問題で、そのためにこんな食中毒が起こるなんということは、池田さんが誇っている大国として、外国に対して恥ずかし過ぎませんか、私はこの点を強く、要求いたします。  もう一つ要求したいのは、地方の衛生監視員不足等につきましては、やはり平衡交付税に原因があると思います。これがひもつきでないから、どうしても地方で弱いのです。ですから、これは食品衛生管理のためのものとしてひもをつけて、ぜひとも交付税が目的達成のために使われるように、これを強く大臣に要望いたしまして、私に与えられた時間もございませんので、あとは次回に譲りたいと思います。これは非常に重大な問題で 大臣がさっき最初におっしゃったように、何といいますか、食中毒は、人口がふえているのだから、かえって減ったのじゃないかと思う、こういうことでしたけれども、それと反対に集団発生がふえている、これは重大な問題です、したがって、これらも十分御検討いただきまして、一日も早く安心して私たちの食生活が行なわれるように処置していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  26. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいま藤原議員のお述べになりましたことは、まことに私もごもっともな点だと痛感いたしております。責任も感じておりますから、十分ひとつ努力いたしまして御期待に沿いたいと、こう思っております。
  27. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑は、本日のところこの程度にとどめておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) さよう決定いたします。   —————————————
  29. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、医療費問題に関する件を議題にいたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  30. 阿具根登

    ○阿具根登君 医療費の問題につきまして、神田厚相になりましてから、神田厚生大臣の構想なるものが伝えられておりますが、その神田構想なるものを詳細に御説明願いたいと思います。
  31. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) ただいま阿具根議員から、医療費問題に対して、巷間伝えられる神田構想というものを詳細に説明するようにというお話がございました。まあ医療費の問題は、なかなか詳細に申し上げますと時間がかかる。といって、簡単に申し上げたのではまことにその要を尽くさない点があると思いますので、できるだけひとつ私ども考えておりますことを申し上げさしていただきたいと思います。  私、第一に考えておりますことは、医療費問題が非常に紛糾しておるというか、もめております。特に支払い側と医療担当側との問題がある。また、同時に、厚生省と医療担当側との問題がある。しかも、非常なきびしい対立をしておるような事情でございまして、私はこの対立が、これは理論的な対立もありましょうが、何か相互不信と申しましょうか、感情的対立も相当あるのじゃなかろうかというようなことを憂えておりました。相互不信をひとつなくしたいというのが私の信条でございます。そこで、医療費のあり方につきましては、御承知のように、今年の四月十八日でございますか、中医協の答申なるものも皆さん御承知のとおりでございます。四月十八日に中医協が答申をして、前大臣の手もとにおいてこれはそのままになっておりまして、私が七月十八日に引き継ぎを受けたという次第でございます。何か円満にこれをひとつ実施の段階で考えてみますと、できるだけひとつ相互理解のもとに、いわゆる相互不信を解消して行政の面に移したい、こういう考えをもちまして、就任以来二カ月間、十分検討を加えてまいったわけでございますが、中医協の内部でいろいろ行なわれた議論、考え方等いろいろ考慮いたしまして、それに諸般の事情も考慮いたしまして、中医協の答申にある程度のプラスアルファをすることが解決の点ではなかろうか。中医協の答申は十分ひとつ重んじて考えるが、その尊重だけでは事態が解決しないのではなかろうか。ということは、一方のにない手である医療担当側が御承知のような態度に出ております。特にオリンピックを控えまして、おだやかでないような空気もございますので、諸般の情勢を考慮いたしまして、私といたしましては、特に現在の医療制度のうち、初診料というものの占める割合が非常に低い、医者の技術をひとつ高く評価したい、そういう観点から初診料というものの上積みを考える必要があるのじゃなかろうかという問題。それから、さらに初診料——初診をいたしまして一カ月ごとに、ひとつ初診料に見合ったような診察料を徴収するようなことも一つの考え方としてはあるのじゃなかろうか。医師会としては毎日再診料というような御要望でございますが、毎日ということにはなかなかいかぬだろう。一週間がいいか二週間がいいか、あるいは十日間がいいかというようなことも考えてみましたが、まあ私といたしましては、過去においてそういうような制度もあったこと等も考えまして、一カ月ごとの切りかえで、そして診療側がひとつ新たなる考えでよく患者をみていただく。生命を尊重すると申しましょうか、病気の見立てを十分さらに突き詰めてみていただいて、そうして回復をはかるようなことを考えていただくことがいいのじゃなかろうか、こういうこと。  さらに、また、御承知のように、入院費が非常に安いことが、これはもう定説になっております。現下の情勢に、入院費がやはり非常に安いということになりますと、一般医療費の中に食い込みますから、十分治療が私はできかねるのじゃなかろうか。そういうようなことで、入院費についても少し上積みしたほうがいいのじゃないか。この三点、初診料を思い切って引き上げてみたい、また、診察というものを、初診と再診といいますか、一カ月ごとに、ひとつ一カ月たてば病気もだいぶ変わってまいりますから、そういうことをひとつ考えたらどうだろう。いろいろ調べますと、たいていの病気は一カ月以内に八割はなおるのでございます。残った分になりますと、そういうものはさらによくみるという意味で診察券の切りかえをやるというようなこと、それから、入院料が、御承知のように、非常に安くて一般医療費に食い込む、それではほんとうの治療というものがおろそかになりますから、そういう不自然な点に手心を加えて、そうして円満実施をしたい、こういう考え方を明らかにしたわけでございます。しかし、これは私が何ももうそう全部しなきゃならぬということではなく、私の考えはそういうような考え方を持っておる、こういう基本的な考え方で党の機関にも相談し、また、財政当局にも相談いたしまして、また、支払い側、診療側等にも十分ひとつ御説明申し上げまして円満な実施をしたいと、こういうような趣旨で考えを述べた、これがいわゆる神田構想というように伝えられておるわけでございます。  大体申し上げるとそういうことでございます。
  32. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、大臣のお話を聞いておりますと、厚生省医師会側が非常な摩擦がある、こういう点が第一点に考えられておる。そうして、ただいまの発言を聞いておりますと、政治的にこれを解決しようとされていると思います。いま三点述べられましたけれども、入院料、あるいは初診、往診料等の医療費は上げなさいということが答申されているわけなんです。残るのは一カ月ごとの診察料ですね、そう見てみますと、これだけを神田厚生大臣は政治的に片づけようとしている、こういうふうに見えるわけです。そうすると、一方から見れば、これは再診料だといわれる、一方から見れば請負料だといわれてたたかれる、両方から攻撃を受けておられるようですが、一般的に言えば、先ほど言われましたように、医師会の圧力が非常に強くて、厚生省とあつれきが絶えないから、答申案と医師会との中間を出された、こうなるわけです。そうしますと、逆に、今度支払い側が厚生省なんかに対して非常な圧力をかけてきたとなれば、その圧力であなたは、また今度は支払い側と答申との中間を出す、こういうような信念のない私は答申になってくると思うのです。一体、神田厚生大臣の思想はどっちなのか、再診料というのを認めるべきなのか、再診料を認めて、その診察をしてもらうときだけでなく、これを政治的に一週間にするか十日にするか、いろんなのがあるけれども一カ月にしたとおっしゃる。その思想からいけば再診料を認めたと、再診料制だ、こうなるわけです。一体どっちなのか。そういうことを一切抜きにして、医師会の圧力が強いから、医師会と答申案の中間をとってこれを政治的にきめた、こういうことなのか、どっちなのか伺いたい。
  33. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 私の舌足らずで誤解をお持ちになって、どうも恐縮に存じております。私は、これはまあいろいろ事務的、技術的にいま詰めてまいっておることは阿具根委員のおっしゃるとおりでございます。私もそのとおりに考えております。ただ、私としては、責任者といたしまして、この事態をできるだけ円満に収拾したい。それから、また、この答申に盛られておることも、御承知のように、少数意見というものが出ております。やっぱり私ども厚生当局といたしましては、答申の全体にわたって検討を加えて、そうして政治的にとおっしゃれば、それは決して私も政治的でないんだということを申し上げる必要はないと思います。あらゆる角度から考えてそういうような考えを持ったということであります。いま、もう一つお述べございましたが、医師会の圧力ということばをお使いになっておりまして、よくこのごろ支払い側からもそういうことを聞くんですが、私は医師会の圧力というものを感じておりません。医師会に同情したことはございますが、圧力を感じたことは私はないのでございまして、この機会にはっきりしておきたいと思います。
  34. 阿具根登

    ○阿具根登君 あなたに圧力がかかっておるかかかっていないかは私は知りませんが、先般の予算委員会で、私は、権威ある医療雑誌で質問したことがあるのです。そのときは、時の厚生大臣は赤の手先だと断定されておる、こういうことはちょっと私らにとってもいただきかねるということを言ったのですが、そういうように、非常にきめつけがきびしいということになると圧力ということを感じざるを得ない。あの雑誌をお読みになったかどうか知りませんけれども、これはどこでもお医者さんはみな持っている雑誌なんです。その権威ある雑誌で、時の厚生大臣は赤の手先というようなきめつけをされるということは、私はおかしいと思う。ところで、あなたが小林さんと違うなら違うでいいですけれども、小林さんの場合は緊急是正としての諮問をされたと思うんです。そうして、その答申が四月十八日になされた、私はこう思っております。そうすると、神田厚生大臣はそれと違う意味でお考えになっておるならば、答申そのものをやり直さねばならぬと私は思うんです。おそらく小林厚生大臣も、自分がかってに諮問されたのではない、自民党におはかりになって、与党におはかりになって諮問されておると私は思うんです。それがあなたの考え方からくれば、この緊急是正を諮問された考え方と違うようなあなたは立場に立っておられる。そうするならば、神田厚生大臣としては別個な諮問をなすべきだ、こういうふうに私は考える。それが一点です。  それから、そのときも雑誌にも出ておりましたが、医療問題懇談会なるものが自民党に設けられて、二百何名かの人が名を連ねられて、そうしてその方々が名を連ねて二百億の予備費をつぎ込むべきだ、こういうことが流されているのを私は見たわけです。それを予算委員会で大蔵大臣、厚生大臣、その他関係大臣にみな聞いたわけです。ということは、予算でもきまっておらない、また、予算委員会が開かれておるのに予備費を外部へ流せなんというのは、財政法を知らぬ人が言うのです、国会無視なんです。そういう中にあなたの名前が入っておるかどうかお聞きします。その二百何十名の議員の中にあなたの名前が入っておるのか、あなたは二百億を要求された議員なのか、お伺いします。
  35. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) まず第一点の、中医協の答申をそのまま受けて、その線でやっていこうというのか、もしそうでないとするならば、新しい中医協の答申を必要とするのではないか、こういうようなお尋ねがあったわけでありますが、私も緊急是正だ、緊急是正の答申をちょうだいしたのだ、こういうことをはっきり考えて、厚生省の責任におきましてその答申は十分尊重いたしまして、なお加えるものがあるから加える、こういうことでございまして、答申の線をはずれてない、そうして答申を尊重して、その中に残っておる問題はありますが、やはり緊急に必要とする程度を盛り込もうとする。御承知のように、内閣にいろいろ調査会がございます。各省にもございます。調査会の答申どおりそのままやっていることはきわめて少ないのでございまして、答申を尊重しまして、その答申を尊重する範囲において、そして責任者といたしまして抜けているものを加える、あるいは、また、非常にいいことであるけれども、すぐ可能とするには困難な事情があるというようなものは除くということは、どの調査会でもそういうような扱いをしていることは事実でございます。そういう考えをもちましてやはり厚生行政の最高の責任を取っておるわけでございますから、答申を十分尊重しながらやっていくことになっておりまして、固まっておらないものを四月十八日に答申されたのでございます。その後、日もたっておりますから、加えたほうがよろしいのじゃないかと考えまして加えた、こういう気持ちでございます。むろんこれはかってに加えるわけじゃございません。先ほど申しましたように、党なり、それから財政当局とも相談し、数字が煮詰まってまいりますれば、さらに中医協にこれを諮問する、こういう意図でございます。第一点につきましては、決して単純に政治的に諮問をしたということではないのでございまして、この点ひとつ御了承願いたいと思います。  それから、第二の問題でございます。党内の医療問題懇談会でございまして、私も入っておることと思っております。出席したことはございませんが、入っているつもりでございます。そこで、いまお話になりました二百億という予備費を予算の編成前から入れるのだというようなことでどうかというお話でございましたが、まあ私の党も大きうございますから、いろいろ党内でも意見があることも事実でございます。いろいろの意見のあったことをここでどうこういうことを申し上げることは私はどうかと思いますので、差し控えたいと思います。予算の問題につきまして、私も当時は政務調査会の審議委員をいたしておりまして、予算に関係いたしておりましたから、そういう予算の編成途上のいわゆる議論は山ほどございますが、ここで申し上げるのはどうかと思いますから、控えたいと思います。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはそれでけっこうなんですが、私が聞きたいのは、あなたも医療懇談会かそれに入っておられまして、そして二百億の線を出しておられる。二百億の線というものは、これは特別対策費も含まれてあるのじゃないですかね。もちろんそうなっていると思うのです。数字をはじいてみればそうなっているのです。そうすると、神田厚生大臣の構想の中には、一切の分が国費でまかなうのだ、これによる値上がりの分は国費でまかなうのだ、こういう考え方かどうか、これを聞きたかった。そうでなければ二百億の金を回すのだということを言われるわけはない。医師会も権威ある医師会ですから、無条件で流されるわけじゃない。私の心配するのは、各所を回ってみると、医師会の方々が一番困っておられるのじゃないかと思うのです。ことしの予算審議の場合に、この予算は通らなくても、二百億をこのために準備してあるのだということを流してあるのです、文書で、権威ある人の名前で。そうすると、医師会の下部のお医者の方々は、予備費が二百億くるのだというふうに皆さんは思っておられる。だから一番困っておるのは医師会の方々じゃなかろうかと、私はこう思う。また、それをきめられた与党の議員の二百何名の方々じゃないかと思う。だから、その考え方として私が数字を拾ってみてみますと、大体十月から実施して百九十九億が国の負担になってくるということは、一切私はそれを認めておるんだということになってくるから、支払い者側には一銭の負担もないんですぞと、こういう考え方で今度の神田構想もお出しになっておるのではないか、こうとっていいかどうかです。
  37. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) お答えいたします。私は、その雑誌、何でございますか一実は私読んでおりませんので、内容を存じません。それから、いまの後段の二百億の予備費で全部まかなう、そういうたてまえかということについては、そういうふうに考えておりません。
  38. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういうふうに考えておるということですか、おらないということですか。
  39. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) おりません。予備費からという考えを持っておりませんで、いまの私の心境を申し上げますれば、臨時国会でひとつ御審議を願いたい、臨時国会に予算の追加をお願いいたしたいと、こういう考えでございまして、いま阿具根さんのおっしゃったような考えを持っておりません。
  40. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはそれとして、もう一つの根本の考え方、百九十九億が、二百億が予備費から出ないにしたところで、この考えに立っておるのは、支払い者側の負担は考えられておらない。私は、おらない考え方で立っておられると思うんです。数字をはじいてみると、特別対策分はこれに含んでおるわけなんです。だから、たとい臨時国会で審議されても、出てくる予算というものはこれも含んでおるか、特別対策分を含んでおる予算をお出しになるんでしょうと、この考えから言えば。どうなんです。
  41. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いままでの一般のルールで考えていることでございまして、阿具根さんのいまおりしゃったようなふうには考えてはおりませんでございます。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、中医協が出した線よりも上を考えておられて、そうして、それが一般の気の毒な支払い者、患者にも負担が大きくかぶさってくると、こういうことになるわけなんです。そうしますと、あなたの思想が私はわからない。先ほども申し上げましたように、中医協の出した線と、それから医療協の考えておる線との中間までいかぬとしても、その線を出しておられる。この答申では五%が八%になったように聞いている。そうすると、これはあなたは中医協の答申を尊重するんだとおっしゃるけれども、全然尊重されておらないということになる。だから、あなたの構想でいけば、それでは支出払い者側はどのくらい負担がかかりますか、お尋ねいたします。
  43. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 答申を尊重しているか、してないかという議論になると、私は、先ほど来答申を尊重して、そして中医協で議論が出ておったものを未解決として考えておるということは、少数意見を一つ採用した、こういうふうな意見なのでございます。だから、私は、中医協の答申の線はやっぱりくずれていない、こう考えております。それから、いまの後段の、それじゃ一体支払い者側に大きな負担をかけるんじゃないかということでございましたが、また、幾らくらいかかるかというお尋ねでございました。これは先ほど来お答え申し上げておりますように、率の問題、それから額の問題、これはまだ検討中でございまして、どの程度になるかということをここで明らかにすることは差し控えたいと思います。
  44. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは意見の相違になるかもしれませんが、中医協の答申を尊重したとおっしゃって、その中で少数意見を尊重した、こういうふうに聞こえたんですが、おそらくそうだと思うのです。そうすると、公益委員というものは国会が任命しているのでしょう。支払い者側と医療側だけの対立の場合は別です、また意見もあるでしょう。ところが、公益側の、この人は公正な方だということを政府が出して国会が認めた方々なんです。その方々の出されたのを多数意見としてお考えにならずに、少数意見を尊重したとおっしゃるのがこの答申を尊重したと言えるかどうか。私はそれは尊重していないと思うのです、その場合は。少数意見なるがゆえにいつも否決せいというのじゃないのですよ。そういう考え方もあります。しかし、この場合は、私は答申案を完全に尊重しておられない、そうしか通じぬのじゃないか。先ほどおっしゃったのは私の聞き違いでなくて、少数意見を私は尊重したんだとおっしゃるならそう思うのですが、それは違うでしょうか。
  45. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 私は、ことばがあるいは十分でなかったかもしれませんが、中医協の答申全体を分析いたしまして、そうして中医協の答申は尊重する。で、私の構想は、それはいま阿具根さんみたいにたくさんのことになれば、これは別でございますが、私の考えている程度では、中医協の答申は尊重している、こういう考えでございます。
  46. 阿具根登

    ○阿具根登君 私の約束の時間があまりないので、結論に入りますが、私は、神田厚生大臣のその考えでいくなら、私は中医協そのものが問題だと思うのです。これは私の考えを持っておるのだから、私は人に押しつけるべきじゃないのです。人に押しつけるわけじゃないけれども、私が公益委員で、こういう線を出して、神田厚生大臣のように、そういうように少数意見を尊重するのだと、こういうのがまかり通るとするならば、私は二度と公益委員を受けないと思うのです、私だったら。有沢先生がどうお考えになるか私は知りませんよ。しかし、私は、少なくとも相当長い間もみにもんで、一方が出ていけば一方が残っている、こういうのは、御承知のように、中医協なんというのは信頼しないのだ、国会でやるから、こんなところはボイコットというような線も出てきているわけです。そういう中で非常に苦労に苦労を重ねて私はこの線が出てきたと思うのです。そうすると、これが神田構想が実ったとしても、これは再び告示して掲げられるでしょう。そうした場合に、今度中医協の公益委員側がこれに対して反対をする。あなたの構想をまた告示して掲げられた場合に、中医協がこれに反対をする。もう自分たちが出した線が通らないようだったら、どうぞごかってにということになったら、あるいはそのために非常な長時間を要して間に合わなかった場合、一体どうなさいますか。私はそれを心配する。そういう事態があり得るのじゃないかと思う。あなたが杞憂だとおっしゃるならそれでもよろしいが、そういう時点がくるのだから、その点をはっきりしてもらいましょう。
  47. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) この答申の内容の問題、どう見るかという問題だと思っております。で、私は、この医療協の関係、支払い側の関係は、御承知のように、ヒィフティ・ヒィフティということは事実だ。それから、また、そこに中立委員が国会の承認で加わったことも、これも事実でございます。そこで答申された内容が、少数意見がある、また、少数意見においてもにない手、もちろん片方のにない手でございます。そういうことも勘案し、それから四月十八日以降のいろいろな事態の変化も考えまして、答申の線に沿っている、はずれないという程度に私は加えるものを加えるということは、決して答申無視ではない、こういうふうに思う。それから、中医協にまたかける際に、これはそういうのが一体通過する見通しがあるかという御心配でございましたが、これは私どの程度にきまるかということでございまして、私がいま構想を述べていることがそのまま中医協にかかるわけでもございません。よく、事態の推移もございましょう、誠心誠意、ひとり支払い側、これはもう医療側もこぞって反対しております。私は両方から反対を受けるだろうと実は予期しておりました。しかし、これはひとつ金額がきまったらよく御納得いくように御説明申し上げたいと、こう思っております。ですから、この段階でそれは通りゃせぬじゃないかということにつきましては、そういうふうに考えておりません。何とかひとつまた御相談願って円満に事態を収拾したい、こう考えております。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ大臣の答弁としてはそういうお答えになると思うんですが、私が心配しておりますのは、私はこれに対する相当なやはり公益委員、あるいは一般大衆からの反対がある、こう見ておる。そういう場合にどうするかというふうになってきて、職権告示でもされるようになれば医療体系がくずれてしまう、私はこう思うわけなんです。また、そういうことになれば、何もその公益委員側を国会で推選してお願いしても、おそらくそういう方々は受けもしないじゃろう、こういう結果になることを非常におそれるわけなんです。で、神田厚生大臣は、これは円満にまとめるために説得をすればみんなが何とか納得してくれるだろうというようなお考えだけれども、私はそんななまやさしいものじゃないと思う。ここにあなたと私の考えの開きがございます。これをどうこうここで煮詰めてもしかたありませんが、私は、私のような考え方に立つ方が多数あったとすれば、そのとき大臣はどういう態度をおとりになるか、先ほど申し上げましたように、大臣は職権ででもおやりになるのか、それとも、これはこのまま時期がズレてもしかたがないとお延ばしになるのか、もう一点それだけお聞きしておきます。
  49. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 阿具根議員のいろいろ御心配、その点につきましては、私も十分そういう心配も持っております。しかし、先ほど来申し上げましたように、十分ひとつ御了解願えるような方法を講じたい、こう考えております。そこで、もしそういうことができなかったらどうするかということでございますが、私といたしましては、何とかして円満に事態をひとつおさめたい、こう考えておることがいまの心境でございまして、それから先の点については、何らいま考えておりません。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 もうちょっとこれを別の角度から大臣にひとつ考え方だけ聞いておきたいのですが、最近全国を回ってまいりますと、いわゆる病院につとめておられるお医者さんが開業医になられる方が非常に多いんですね。特に炭鉱とか鉱山とか、その他中企業等のところに行ってみますと、非常にお医者さんが足らないのです。そうしてほとんど開業医をされるわけです。これは給料が安い点があるかもしれませんが、私たちが知っている範囲内では、少なくともその企業では、お医者さんがその企業内の一般の人よりも下ということはあり得ぬ、相当上の待遇をされておっても自分で開業されるということは一体何なのか。自分で開業したほうが勉強ができるのか、それとも収入が多いのか、いずれかだろうと私は思うんですが、そういう点が一点と、これはまた次の予算委員会で質問しようと思っているのですが、いま日本に非常に医者が足りないといわれているが、厚生省に聞いてみますと、お医者さんの数と国民数を比較すれば日本は足らないんじゃないのだと、こうおっしゃるが、間違っておったら指摘してくださいよ、この前の予算委員会ではそういう御答弁でございましたから。それではなぜ足らぬのかということを聞きますと、非常に大都会に片寄りがちである、こういう点が指摘されているのです。  そこで質問申し上げたいのは、私は医者の学校へ行ったことがありませんから知りませんが、医科大学に行くとすれば、大体入学するのに三百万ぐらい金が要って、卒業するまで一千万からの金が要る、そういうことが巷間いわれております。だから貧乏人は医者になれない、医者になる方は一体どういう階層じゃろうかと調べてみると、ここじゃ言えませんが、おわかりくださるだろうと思う。そうすると、もっと政府自体の考え方が、こういう国民の生命を直接あずかっているような学校にばく大な金を個人から取るような考え方が大体間違っておる。なんぼ貧乏人の子供でも、非常に頭がよくて、将来非常に社会のために尽くしていきたいという人ならばどんどん入れるようになぜいかないか、保護しないか、そういうことをまず大臣に腹をきめてやっていただきたいと思います。そうしませんと、医者が足らぬ医者が足らぬといっても、医者の大学に行けないじゃありませんか、だれも。特定の人だけしか行けないじゃありませんか。そうして特定の人だけが仕事するようなことになっているじゃありませんか。これは文部大臣にはこの前も言いましたから言いませんが、そういう根本的な問題を何も考えずに、そうして起こってくる問題をああじゃこうじゃと言って政治的に解決しようと思っても、私はなかなか解決にならない。これは私の意見です。以上で終わります。
  51. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 厚生大臣に二、三所信を承りたいと思います。  まず、それに先立って、冒頭に、今回の医療費の引き上げ是正等につきましては、大臣はまことに真剣にこれとお取り組みになっていることにつきましては、率直に御苦労に存じております。しかもこれが非常にむずかしい問題であることもよく承知いたしております。しかしながら、ここで強く御認識願って御処理に当たられたいことは、保険医全員の今次の診察料、あるいは歯科補てつ関係、調剤技術料等の要求を含め、切実な運動は、まさに一触即発の状況と言って過言でない。したがいまして、本件に関してはきわめて慎重に、かつ、緊急に御善処願わなければならぬと思うのであります。そこでお尋ねいたしたいことは、まず医療費の中で、医療技術料の算定がきわめて閑却軽視されているということが保険医の叫びでございます。こういった点を大臣はどのようにお考えになっておられますか。   〔委員長退席、理事柳岡秋夫君着席〕
  52. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 鹿島委員にお答えいたします。日本の保険制度の中に医料技術の評価が非常に薄い、これは一体どう考えるかというような第一点と思いますが、私もその点はきわめて同感でございまして、まあこれは健康保険のやはり歴史がございまして、ずっとこう継ぎ足し継ぎ足し式になってしまいっておりますものですから、根本のことがどうも表面に出にくかったと申しましょうか、あらわれずにまいっておりまして、現在非常に技術面の評価というものがおくれていると申しましょうか、非常な障害になっている。いまそこで私先般そういうことも念頭に置きまして、十分重視いたしまして、十分ではないと思いますが、ある程度の上積みをしたい。中医協の答申に対して上積みをしたい、こういう決意を固めたわけでございます。
  53. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 技術料の尊重という点につきましては、今後とも御答弁の線に沿って十分にやっていただかなければならぬと思います。  次に、医療報酬が最近のいわゆる高度経済成長に見合った状況にあるかどうかという点でありますが、社会保険医療報酬の最近におきます上昇の推移  についてこれを調べてみたところによると、昭和二十三年十月から昭和三十八年九月に至るまでに、五回にわたって改定が行なわれておりますが、この間、その上昇指数は、実に十五カ年間でわずかに四八・一%という、きわめて驚くべき低率にあるのであります。しかも、この指数は、厚生省保険局資料に基づくものでありまして、きわめて信憑性のあるものである。十五カ年間にわずかに四八・一%の上昇にすぎない。これに対し、国家公務員給与、あるいは民間給与、消費者物価指数及び他の料金指数等の推移と比較してみますと、まず国家公務員給与においては十五カ年間に三六七%の上昇、民間給与においては五八六%の上昇、消費者物価指数においては一二〇%の上昇、鉄道料金指数においては三五〇%の上昇、新聞料金指数等においては一二七七%の上昇、理髪料金指数においては八六八%の上昇、かように非常に高度の上昇指数を示しております。いわゆる高度経済成長下における社会保険医の診療報酬のあり方について強い不満の出るのは当然のことと思うが、との点について大臣の率直なお考えを承りたい。
  54. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま鹿島議員がいろいろの物価の上昇率、その他官民等の賃金の上昇率等を例に引かれまして、私、いま材料を持っておりませんから、鹿島議員がお述べになりましたいまの数字は正確なものと大体考えておりますが、そこで、まあこういうふうに官公あるいは民間が上がっても医師のほうが上がってないのをどう考えるか、こういうような御意見のよう  に考えます。私も大筋としてはそういうふうに考えております。そこで、これは上がらない事情もあったわけだと思います。上げようという機会もあったように聞いておりますが、上げ幅についての両者の御意見がなかなか調整つかなかったというような事情でおくれておるというふうにも、私承知いたしております。そこで、まあ昨年来中医協を新らしく発足いたしまして、そしておくれておるから、特別にこれだけ緊急発足して、そして緊急実施しようということになったことも御承知のとおり。結局言いかえればそういう格差が非常に厚くなってしまって、何ともしようがなくなった。   〔理事柳岡秋夫君退席、委員長着席〕 そこで中医協を発足させて緊急実施させよう、こういうことだと思います。そういう意味からいたしましてもいまお述べになったような事情があったと、こう私考えております。
  55. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 なお重ねて大臣によく御認識をいただいておきたいことは、医師の実質所得成長倍率と、実質国民所得成長倍率の割合の推移であります。昭和二十七年を一〇〇として、漸次この割合は低下を続け、三十七年には七六という低下率を示しております。先ほど申し上げました指数の示す現状、また、この倍率低下等の面から考えてみまして、こういったような状況下において、保険医側委員が先般中央社保医療協議会において、二〇・五%ないし二三・八%という程度の上げ幅の要求をしていることはまことにうなずける。この程度の要求というものはまことに無理からぬものであると私は考える。この点について重ねて大臣の御所信を承っておきたい。
  56. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま鹿島議員からお述べになりましたような、医師会の要望と申しましようか、診療側の要求は妥当なものではないかというような意味に承ったのでございますが、お出しになります以上、根拠のあるものと私も承知いたしますが、相手のあることも、またこれは十分考慮に入れていかなければならぬと思います。診療側、また、支払い側、また、私ども厚生行政を担当する側から考えまして、十分諸般の事情を考えまして、そしてどの程度がいいかということをきめるわけでございますが、私どもとしては、いろいろの機関にはかることは別といたしまして、そういう段階でございますので、いま鹿島議員がこういう要望は妥当かと言われましても、そちらのおっしゃる気持ちは十分わかりますが、それを、即、厚生省、責任省といたしまして答える、こういうお答えは申し上げかねると思います。
  57. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 先ほども申し上げたとおり、大臣はまことに真剣に今回の医療費問題と取り組んでおられると思うし、また、将来における社会保険医療の正しい基本を確立するという大きな方針をお進めになると思いますが、したがって、相当な御英断によって正しくまず今回の問題を処理していただかなければならぬと思うのでありますが、そこで、先ほど具根委員の御質問にもございましたが、厚生大臣は、先般いわゆる大臣構想案を御発表になられました。この案には一部御苦心のあとも見受けられますが、この案によると、各方面の意見の調整という感覚に立つ関係上とはいいながら、いわゆる三者泣きという、失礼ながら単純なお考えと言わざるを得ません。こういったことで、この重大問題を御処理に当たるということはきわめて問題であると思う。この際、医療の本質というものを深く堀り下げてみる必要を大臣はお考えにならなければならないと思う。正しい医療を行なうためには、安定した医師の環境がきわめて大切だと思います。そうでなければ必然的に医療そのものは荒廃に帰するでありましょう。これはまことに大問題だ。今次の保険医の叫びの真意を十分理解することが、大臣が国民医療を正しく守るゆえんだと思う。至難な経済面の問題がこれに伴うことはよく承知しておりますが、経済面を重視するか、国民のため医療内容の向上充実を重視するか、いずれを重視するかは、国民の福祉の上に立って深く考えなければならないと思う。この点について大臣の御所信をお伺いしたいと思います。
  58. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 鹿島議員の御質問の趣旨は重々了承いたしております。ただ私といたしましては、御承知のように、厚生省のスタッフも充実しておりますし、資料も十分持っておりますので、また内外の声も十分聞きまして、ひとつあるべき姿と申しましょうか、誠心誠意取っ組んで問題の解決をいたしたい。これはまあ何といっても診療側、支払い側と申しましても、私は究極にはこれはもうお互いが理解し合っていかなければならぬと、こう思っております。また、そういう立場であると考えております。決して両方共存できないというふうには考えておりません。これはもういまお述べになりましたように、いろいろ経済問題その他の問題、財政問題もこれはついております。いろいろの角度から勘案いたしまして、そして善処したいと申しますか、大きな政治問題となっておることも十分承知いたしております。そういう含みでひとつ万々配慮いたしたいと、こういう決心でございます。
  59. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 次にお伺いしたいのは、中央社保医療協議会の現状でございます。  仄聞するところによりますと、現在、大臣の御発表になられました構想にからんで、現在欠員中の中立委員の補充の件について、きわめて人選難であるという点、また、大臣の御構想のもとでは、保険者、被保険者委員の側で委員の引き揚げも辞せぬというようなことを聞いております。こういったことに関する大臣の所信、また、第二には、もしさようなことで医療協議会が構成に至らないという場合におきましては、今次の医療費問題の処理が非常に緊急を要する点から、大臣は、医療協議会の構成が不可能という前提においては、大臣の行政権限において医療費の改定告示をなされるのかという点について御所信を承りたい。
  60. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 私のいわゆる神田構想というものにつきましてきつい反対もございますが、同時に、また支持者と申しますか、君の案は両方からきびしい反対を受けているから、それだけひとつ公正なんだと思うから、初志を曲げないで断固やれというような激励もちょうだいいたしております。それはそれといたしまして、私といたしましては、いま鹿島議員がお述べになりましたようなこと、よくひとつ誠意をもって支払い側、診療側、また、中立委員もこれはいま欠員中でございますから、臨時国会が開かれましたならばお願いいたしまして、そして円満にひとつはかってまいりたい。この対立することは日本の医療行政を向上するために非常に心配でございますから、十分ひとつ努力を尽くしてまいりたい、こう考えております。そこで、そういうことが不可能な場合どうするかというようなことは、現在の段階では私考えておりません。ひとつ誠心誠意、また、これは大きな政治問題でございますから、総理の手もわずらわせまして、結局総理裁断というようなことに相なろうかと思います。十分諸般の情勢を考えまして努力して、妥結と申しますか、円満に実施をするような方向に持っていきたい、こういう考えでございます。そのほかのことは考えておりません。
  61. 鹿島俊雄

    ○鹿島俊雄君 大臣は、今後この医療費の問題につきましては、関係各方面の意見を十二分に聞いて急速に善処をされるということでございますが、それもまことにごもっともでございますが、私は、この際、特に大臣にお願いしたいことは、将来の社会保険医療適正化のために医療の本質をになう保険医の意思をなお十分に理解され、これが解決に当たられるようお願いいたしたい。  なお、他に御質問いたしたい諸点もございますが、他の委員の御質問もあり、持ち時間がございませんので次回に譲り、私の質問を終わります。
  62. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 医療費問題は非常に重大な政治問題と相なってきております。ただいま同僚各委員からの厚生大臣に対する質疑応答によりまして、大体厚生大臣のお考えの一端を承知することができたわけでございまするが、ここになお二、三補足的に私は質問を申し上げて、大臣の重大段階に対する決意をより一そう固めていただきたい、こういう気持ちをもちまして御質問いたしたい、かように存ずるわけでございます。  最初に、神田構想の御説明が阿具根議員の質問に対してございましたが、その神田構想の内容は、初診料の問題と診察料の問題、並びに入院料に関連いたしまして、病院経営困難に対する考え方が述べられたわけでございます。あるいは前回阿具根委員への御答弁のように、舌足らずであったということであろうとは存じまするが、その神田構想の中に、歯科診療報酬に関しまするお考えが一言も述べられなかったということにつきましては、私、はなはだ遺憾に思うのでございまするが、まず第一に、神田構想の中には歯科医療費はお考えになっておられないのか、あるいは答申に盛り入れてありますように、当然あの程度は考えているのだ、ただ、いまは言い落したのだということであるのか、わかりきったことでございまするが、念のために、あるいは今後認識をより一そう持ってもらうためにお聞きするわけでございます。
  63. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 竹中さんのお尋ねでございますが、まことに私、舌足らずであったと思います、歯科のことも十分考えまして、いまの神田構想の三つの基本線、この基本線に沿って、加えるものは当然歯科に加えていく、こういう考えでございますから、誤解のないようにお願いいたします。
  64. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 誤解じゃないのでございまして、心配しておったわけです。いま答申のことについて実は議論がございましたが、いわゆる緊急是正の解釈のしよう、緊急是正というのは一体何を意味するかという、その解釈のしようが支払い者側なり、あるいは医療担当者側なり公益委員なりの間にそれぞれニュアンスの違い、解釈の違いということがあるのじゃなかろうかということが懸念される一点であり、同時に、答申の内容と申しまするか、大臣の御答弁のように、答申の全体を取り上げて考えているのだという一つの考え方、いや、そうでないんだと、答申にはっきり出ておるという点だけを、活字に出ておる点だけを考えるのがほんとうの考え方だと、こういうニュアンスからの議論が出ておったように私は思うわけであります。そこで、私お尋ねしたいのですが、一体神田構想の中に医療費の引き上げは八ないし八・五%程度にプラスアルファというような考えが述べられたようでございまするが、この答申書の中に、医療費の引き上げが八%だと限定した活字も文面もないわけでございまするが、何を根拠に医療費の引き上げは八%を基準として考えなければならないのかという根拠をひとつお示し願いたいと思うわけでございます。
  65. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま答申書と称するものの中には数字のないことは——少数意見の数字はございましたが、いわゆる八%の数字がないことはおっしゃるとおりでございます。ただ、あの経緯、答申の裏づけといいますか、文書も出ておりますので、そういうのを勘案いたしますと八%、こういうことに読めるわけでございます。そういう意味で、全体の八%に、私が申し上げたような点にお話し合いをしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  66. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 答申の中には八%という数字が出ておらない。ただ、審議の経緯から考えあわせて八%ということを基準にしたのだ、こういうことのようでございまするが、少なくとも答申の中には、少数意見ではございまするが、はっきりと医療担当者からは数値が示されておる。支払い者側のほうの数値は別にここに出ておるわけじゃございません。一応数値を答申にあらわれたものを基礎として考えるという場合には、あらわれた数字の妥当性の議論は別といたしまして、当然これも御考慮の中に入れて、しかる後に適当な線が出てくるということが正しいのじゃなかろうか、それが真に答申全体を尊重したということにならないかと、こういうふうに私は考えるのですが、これは見解の相違でございまして、いろいろ勘案した結果そうなったのだとおっしゃれば、あるいはそうかということになりまするが、少なくともいま申し上げましたように、審議の経過の中に、議論として五なり八なり出たとすれば、医療担当者からは当然二〇なり二五という数字が議論の中に出たはずでございます。しかも、議論の数字がここに少数意見として出ておる限り、相当これに対する比重が重いと、かように考えるわけでございますが、そうした点は、いわゆる構想の政治的な配慮によってうのみにはできない。しかし、十二分にそうした空気を勘案してプラスアルファを上げておるのだと、こういうことになろうと思いますが、そのプラスアルファの考え方が問題のようでございます。そこで、私、次にお尋ねしたいわけでありまするが、医療費の増高が急激だったということで、支払い者側の機関誌等にもいろいろ出ておりまするし、あるいは新聞社等の一般のジャーナリストも取り上げておるようでございまするが、医療費の増高が、即、医者の所得と、こういうような誤解があるように私は思っておるわけです。医療費の増高の原因は、先ほど配付されました昭和四十年度主要予算要求概要の中に十分説明が加えられておる。しかも、医療費の増高が薬学、医学の進歩による使用薬剤の高級化、あるいは高級化に伴いまする医薬品の価格が非常に高くなったということであり、なお一件当たりの報酬金額から見まして、外来患者では四割近いものが薬品費である、こういうことであるわけでございまして、当然医療費が増高したことによって、それがイコール医者の所得がふえたということにならないわけでございまするが、詳細にこういう事柄を知らない一般国民なりジャーナリストは、医療費が急激に伸びた、したがって医者の所得がふえたんだ、病院関係が何だといい、医者が食えないというが、必ずしもそうではないのではなかろうかというような誤解があり、その誤解がだんだんと広がりまして一つの世論となり、空気となっておるというところに医療費問題の解決に困難性があると思います。私は、こういう点につきまして十二分に解明なり、あるいは厚生当局としての立場において、よくそういうことに対する蒙を開くような機会をおつかまえになって、正しい医療方針なり算定についてはこうだということを、新聞記者その他に十二分に御説明するだけの私は御努力が必要だと思うわけでございまするが、そういう点につきましてはいかように考えておられまするか、一応お述べを願いたい。
  67. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) 竹中さんがいまお述べになった事情は十分承知いたしております。また、そういうPRの必要なこともこれは当然と考えております。同時に、また、これはこういう席でそういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、適正を欠く医師も若干ありまして、そうして非難を受けておって一般の誤解を招いておる面も少しあるんじゃないかと、こう考えております。そういう面で、いまお述べになったような積極面、また、私がいま申し述べたマイナス面も十分監査をして、医療制度が適正に、しかも、国民の健康を守るために、また、国民を治療するために迅速に適正に行なわれるということに努力してまいりたいと思っております。
  68. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 ごく少数の特別の不心得の医師があることによって一般の施策を立てる上において支障になる、あるいはそのことを十二分に考慮に入れなければならぬということは少しおかしいように思うのでありますが、その議論は他日に譲るといたしまして、なお一点お聞きしたいことは、先ほどもちょっと触れました引き上げの幅の問題でございまするが、この中医協の答申を読みますというと、「前回の改定以後における著るしい人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を一応解決」するといっている。八%で、はたして人件費、物件費の上昇に伴う病院、診療所の経営上の困難を解決できるかできないかという問題、なお、その次に、「かつ、一般の所得水準、生活水準の向上に見合い、医療担当者にそれにふさわしい所得の向上を可能にする程度」と、こういうりっぱなうたい文句がしてあるわけでございまして、この活字にあらわれております限りは、おそらく医療担当者にも何らの反論を加える余地がないようなりっぱな文句であり、また、当然賛成なさることであろうと思いますが、こうした経営上の困難を一挙に解決するんだ、あるいは医療担当者にふさわしいところの所得保障をするんだ、したがって、具体的には入院料なり初診料、往診料等を引き上げる、歯科の補てつ、インレーというものを引き上げる、調剤技術料というものを引き上げるんだ、方法論としてはいろいろ議論があると思いますが、一応こういうことをうたっておられる。そういたしますると、これだけの目的なり、これだけのことを保障する医療費の引き上げが、先ほど鹿島議員が言いましたように、他の物価の変動状況から考え合わせて、あるいは巷間考えられておりますような医療費増高によるところの医師、歯科医師の所得の増大ということが間違っておるといたしますならば、これだけの問題を解決するためには八プラスアルファのアルファは八以上のものでなければ、いまよくいわれておりますような一〇や一二ということではこれだけの問題を解決するのに私は適当でないと思う。そこで、大臣にお願いしたいことは、そういう見地から、非常に困難な国家財政の現状にありまして、なかなか一様の政治力なりあるいは熱意だけでは解決しないと思いまするが、特に二回目の厚生大臣になられまして、非常に政治的な手腕を私は高く評価し、信頼しておるわけでありますが、どうかこういううたい文句が単なるうたい文句にならないように、医療経営が円満にいけるように、かつ、また、ふさわしい所得水準に達し得るような上げ幅をぜひともお考え願い、実現していただきたいということを強く私要望いたしておきたいわけでございまして、この点について、最後に大臣の確固たる決意なり御答弁を、満足のいくようなことを期待してお聞きいたすわけです。
  69. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いろいろいまお述べになりましたが、私もその答申の全体を考慮に入れまして善処いたしたい、こういう決心でございます。上げ幅等につきましては、いろいろ御承知のように、私がいまここで申し上げましても架空の数字になりますから、それぞれ機関がございまして、十大練って検討いたしておる最中でございますが、しかし、この問題をひとつ解決したいという熱意につきましては、先ほどからしばしば申し述べておるとおりでございますので、最善の努力と英断をもってひとつ善処したい、こう考えております。
  70. 山本杉

    ○山本杉君 神田厚生大臣が、医療担当者側にも一、それから支払い者側にも満足を与えるように、一生懸命中医協の答申を土台において御苦労いたしておることはよくわかるのでございますけれども、いま竹中委員のお話の中にもございましたように、医療費の増高するということは、必ずしも医療担当者の収入を上げることにはならないのだという点、それで、この医療担当者が適正な収入がございませんといろいろな問題が起こって、品性が悪くなったりするようなことも考えられるわけで、さっき大臣がおっしゃいましたように、一部の適正を欠く医師云々というようなお話が出るようなことになるのだと思うのです。それで、神田構想のことになりますけれども先ほど来話題に出ておりますが、神田構想の中の三点のうちの、その再診料の問題でございますけれども、再診料一カ月目ごとに更正していけば、たいていの病気は一カ月以内になおるのだから、八〇何%はなおるのだからというような御発言でございましたが、そういうような点で、再診料というものを取り上げてもたいしたことはないのだというような形で取り上げられるのじゃなくて、私は、やはりこの医療担当者に適当な収入を与えられるようになるための、その御苦心の面はそこの一点じゃないかと思うのです。それで、再診料を一カ月ごとというのじゃなくて、そのつど、担当者側が要求しておりますように、十点与えてくださるようになされば、そこのところでそれがまた担当者側のほうの突破口になりまして、その次の段階にいく道も開けるかと思いますが、どうかその点を御考慮くださいまして、うまいぐあいに解決されるようにお願いしたいと思います。
  71. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) この際、おはかりいたします。委員外議員高野一夫君から発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。高野一夫君。
  73. 高野一夫

    委員以外の議員(高野一夫君) 私は、委員外発言でいま委員長のお許しを得たわけでございますが、簡単に一点だけ大臣にお伺いしたいのは、医療費の内容については申し上げません。この中央医療協の答申が出されたのが四月十八日、あと十日たちまして十月十八日をもって六ヵ月になります。その間、大臣が更送されたのでございますから、新大臣として、新たなる角度から調査研究、あるいは政府部内の調整にお当たりになることで、それからスタートするようになったにいたしましても、すでに三ヵ月になんなんとしております。でありますから、このいろいろな調整は、たとえば三師会側の意見、意見の対立した保険者側の意見、その調整にも御苦心なさっておることと察します。より以上に、政府部内におけるいろいろな大蔵省、そのほか財政の問題等にも関連いたしましての調整にも御苦労であろうと私はお察しをしております。しかしながら、すでに十一月下旬には臨時国会が開かれるだろうということを官房長官は衆議院の予算委員会で話しておられる。いずれ臨時国会が開かれるし、十二月になれば当然通常国会になる、一体いつごろになればこの答申に基づいて——私は右左は申しません。厚生大臣としての腹をおきめになって、自分としてはこうしたいのだということの決断を出されるつもりであるか、そのおおよその私は見込みがもうつけられなければならない、こういうふうに私は考える。たとえば今月一ぱいかかるとか、臨時国会まで待たなければだめだとかというような、そういうお考えがあるだろうと思うのです。むずかしい問題ですが、厚生省としてかかえておる一番むずかしい問題、めんどうな問題だろうと思う。より以上に、もう政府部内においてのいろいろな問題、さらに複雑なものがあるだろうと思います。したがって、短時間の間にこの結論を大臣がお出しになることは容易ではない、また、短時間にやるということは、やはりいけないかもしれませんけれども、重大な問題で、世の中でこれほど騒いでおるのでございますから、私の考えでは、もうそろそろ一つの結論をお出しになる腹をきめたってもいいころにきておるのじゃないか、こういうように私は思うのです。でありますから、いまはっきりいつということは明言なさることはできないでしょうけれども、およそいつごろまでには自分としての態度と腹をきめたい、こういうようなお考えがあると思いますので、その一点だけ私は伺いたい。
  74. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま高野委員のお尋ね、御心配の点、これはもう関係者側は皆大事なことと考えております。私といたしましては、できるだけ早く解決をいたしたいということで実は段取りを運ばせております。御承知のように、先ほど具根委員からもお尋ねがございまして、予備費でやるのじゃないかというお話でございましたが、予備費も、御承知のように、新潟地震その他の災害で、もう引き当てになっておりまして、予備費でこの問題を解決するという措置は不可能になっております。そういたしますと、先ほどもお答え申し上げましたように、臨時国会がこれを解決する一つの場所考えておりまして、臨時国会の追加予算でひとつ解決いたしたいと、こう考えております。そこで、その額をきめることと、それから当事者の御了解を得ることと、中医協に諮問をする、こういうような手順になると思います。私は、最初は十一月にもいたしたいという気持ちだったのでございますが、いまの段階で国会が十一月の末に召集するというようなことになりますと、おのずからやはり制約を受けますから、急いでも年内というのはなかなかむずかしいのじゃなかろうか、こういう感じでございます。しかし、いまお述べになりましたように、たいへん急いでおる緊急是正でございますから、もうできるだけひとつすみやかな機会に実施できるように処置をいたしたいと、かように考えております。
  75. 高野一夫

    委員以外の議員(高野一夫君) それでは一もう一点だけつけ加えてお伺いしますが、かりに臨時国会で補正予算できめるということにいたしました場合に、その額いかんにかかわらず、これを実施するのに、たとえば十月一日にさかのぼって適用するというようなことも考えられるはずだと思うのです。しかし、それが妥当であるかどうかは今後のいろんな研究にかかると思いますけれども、そういうような場合があり得るということも考えてよろしいですか。
  76. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) さかのぼって実施する予定はいまのところ考えておりません。
  77. 高野一夫

    委員以外の議員(高野一夫君) さかのぼってやる考えはないということになりますと、おそくなればなるほどこれは予算は少なくなりますけれども事態はますます混乱してくるやに私はおそれるわけなんです。したがいまして、できるだけ早くおきめを願って、実施するならば早く実施する方法をお考えくださることが一番親切なやり方じゃないか、こう思いますので、これはもう御答弁は要りませんから、私の希望だけ申し上げておきます。
  78. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 きょうの大臣のお話を承っておりますと、医療費の緊急是正につきましてたいへん御心労のあとがうかがえまして、御苦労さまに存ずる次第でございます。  そこで、私は、大臣の先ほどのいろいろな御発言の中にしばしば見えておりましたように、高度の政治的な立場に立って判断されるのだというお話があったように思います。ところが、この医療費の問題は、通常常識としてなかなかむずかしいというのが実情なんです。事が診療報酬緊急是正という問題でございますので、どうも、ともすると厚生省のこの問題に対するPRの方法がまああまり適切でないせいか、なかなか国民に実体がわかっておらない。私らもよくわからない。そこで、きょうは大まかなところで、一体医療費というものは戦後どういうような推移をとってきたかが知りたいわけです。社会保険の実態を見ますると、終戦後の混乱から、どうやら今日の社会保険が形を整えてきたのが二十三年だろうと思うのです。そこで、それ以前のものをとってもしようがないので、二十三年以来医療費というものは一体何%くらい上がっているか、それをお伺いしたいのです。
  79. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 手元にいま資料がございませんので、後日文書で提出いたします。
  80. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 私は、いま大臣に質問したわけなんですが、これは保険局長がお答えになってもけっこうですが、こういう重大な問題を扱っておる保険局長が、少なくも資料を見なければどのくらい上がっているかわからないという、そのあいまいなところに今日の医療費問題の混乱のほんとうの原因があるのじゃないか。そこで、私は、何十何コンマ何%ということは言いませんから、保険局長として今日この重大な問題を扱う当面の衝に当たる大臣を補佐する立場にある者が、昭和二十三年以来大体どのくらい上がっているのだというくらいの見当くらいは持たないと、これは適切な補佐はできないだろうと私は思う。これは私が無理を言っているのじゃ決してない。そこで、本日は資料によらなくてもいいから、大体どのくらい上がっているかを、それをひとつ教えていただきたい。
  81. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 私の手元には三十六年以降はございますけれども、それ以前はございません。
  82. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 三十六年以降は承知していますが、それ以前はわからないというのは、こういう医療費の緊急是正というようなものを考える場合に、ほかの場合すべてそうですが、大体何年に比較してどのくらい上がっているかといったような大まかな線でも押えておられないのは、あなたがいろいろ考えて大臣を補佐されておらない証拠です。そう解釈せざるを得ない。私のほうからすれば、私は、今日医療費問題がこういうふうに混乱をしておるほんとうの原因は、省の責任者であるところの大臣、それを補佐する保険局長がそのくらいのことも知らないで補佐の任に当たっておるということ自身が今日のこの混乱を巻き起こすとしか思えない。これは私は大臣によく聞いていただきたいと思う。医療費の緊急是正、これほど大きな政治問題を考える場合に、少なくとも医療費が、私は三十年前のことを聞いているのじゃありません。終戦後一体二十三年からどのくらい上がっているのだということに対して、保険局長が、大体三十六年からはわかりますが、それ以前からはわかりません。これは少し無責任過ぎるのじゃないか、そういうことでありますから、三十六年ですから、三十六年といえばたかだか三年前じゃありませんか。これは小学生でも覚えておる数字だろうと私は思う。おそらく保険局長は三十六年のときもいまの保険局長であったに違いない。自分の局長のときは覚えているが、それ以前のことは覚えていないという、そういうことが大臣がいま冒頭にいみじくも指摘されたような医療三団体に対する一般の不信感をわかすほんとうの原因になっているのじゃないか、こう思うのです。これは財源が足らないということは三団体ともよくわかっている、常に足らないのだから。しかし、これを補う誠意というものが当然なくちゃならない。誠意があるならば、そこに打開の道がおのずから開ける、私はそう思います。財源もない、誠意もないということであるから今日のこの混乱を巻き起こすというふうに考えるのです。そこで、いまお伺いしました、私個人が調べたことですから、間違いがあるかもしれませんが、私の調査によりますと、昭和二十三年以来今日まで、医療費というものは四八%しか上がっておりません。間違ったら保険局長から訂正してもよろしい。大臣よくお聞きいただきたい。四八%しか上がっておらない。私もほかの公務員給与とか消費者物価指数その他をいろいろ調べてみましたが、二十三年以来十五年間にわたって四八%の引き上げ率しかないというものは、まことに世にも不思議な物語ですが、医療費しかないのですね。そういう土台を忘れているからこそ、竹中委員も御指摘になったように、中医協の答申のどこにもない八%が、あたかも中医協が八%というものを公正に打ち出したというふうな誤解、迷信が世上に流布されて、これが世論化しておるばからしいことにもなると私は感じるのです。こういうところに私は厚生当局がいままで従来ずっととり来たったところの保険者偏重といいますか、患者なんかどっちでもよろしい、支払い側の立場さえよろしければよろしいのだという態度が露骨に見えていると私は思わざるを得ないのです。これは竹中委員も鹿島委員も御指摘になったところでありますから、詳しくは申し上げませんが、一言いいますならば、行政庁の諮問機関である中医協、あの中医協の十七回にわたるところの審議というものをしさいに検討してみますと、この傾向というものは歴然として出ている。どう出ているか、通常、公益委員というものは、まあ足して二で割るというところまでいかないにしろ、対立している両者がある場合には、その結論をまとめる際には、どっちかといえば両方の意見を勘案して、大臣のおことばではないが、両方からおしかりを受けるかもしれませんけれどもというところをとるのが通常の公益委員の立場です。ところが、今回の中医協の答申の中に一号、三号、いわゆる支払い側と公益委員と結託したというこの答申というものを見ると、たとえば支払いの方法が、一番目が入院料、二番目が初診料、往診料、三番目が歯科の補てつ、四番目が調剤技術料、こういうふうになっております。ところが、中医協の審議の最大のエネルギーというものは再診料というものに注がれている、ほとんど九〇%ぐらいの時間をとっている。そういう実情を公益委員が見るとするならば、おそらく公益委員とするならば、さっき阿具根委員が言ったような、政府が任命して公正な立場をとる公益委員であるならば、少なくとも両方の意見を勘案したものが答申に出てしかるべきだ、ところが、この答申の中には、医療三団体が要求したところの再診料の「さ」の字も出ていない。それならまだわかりますが、十七回の審議を通じて一つも論議の的にならない往診料というものがこつ然と出ているのです、今度。これは私は非常に奇々怪々なことだと思う。審議の論議にならなかったところの往診料が大きい顔をして出て、九〇%のエネルギーを費やした再診料というようなものは影も形もない、この一事をもってしても、私は、いまの厚生行政が保険者偏重主義である、言いかえますならば、患者軽視主義だと私は言わざるを得ない。そこで、大臣が、中医協の答申は尊重しながらも、大きな政治的な判断でやりますというお答えは、私はまことに正しいと思う。もしああいうことにとらわれて中医協の答申を金科玉条とするならば、これは永久に保険者尊重主義というものが厚生行政、保険行政から取り除けないと私は思います。これはぜひとも与党の大臣として最も注意を喚起していただきたいと思うところなんです。  そこで、少しはずれましたが、私の調査によれば四八%上がっているのですが、一体いまほかの、たとえばこれに通常比較される数字といわれるところの公務員給与とか、あるいは消費者物価指数とか、あるいは新聞の費用とか、そういうふうなものは一体どういうふうな対比にあるか、お教えいただけばまことにしあわせなんです。これも二十三年を基準にとって、何%上がったかを教えていただけばけっこうです。
  83. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほどお話になりましたのは、日本の医療費がどのくらいふえたかと、こういうお話であるから、私はいま手元に資料がないと、こういうことを申し上げたのであります。ところが、いまお話をさらにお聞きしておりますと、点数表上でどれだけ上がっているか、こういうことをお尋ねだったようでありますが、それならば、先ほど鹿島先生もおっしゃったことでありますし、いまお話にあったその数字が大体当たっていると思います。ただし、医療費全体ということになると、これはもう問題なくもっとふえておるわけでありまして、そういうような関係にはございません。それから、いまお話の数字は私存じませんけれども、それは先ほど鹿島先生がお話になったのが正しいと思います。
  84. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 先ほど鹿島さんがそういう数字を指摘された、それを聞いて厚生大臣並びに保険局長はどういう所感がされたか、ひとつお聞かせいただければしあわせです。
  85. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 私は比較の基礎が違っているという感じをいたしました。
  86. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 比較の基礎が違っているというお答えは、まことに私は誠意がないお答えだと思う。比較の基礎が違っているというのは一体どういうことか。それは今日時間があまりないから、他日、あなたが比較の基礎が違うと言うならば、ディメンジョンを同じにした資料をここへ出していただきたい。これは要求します。いま保険局長が比較の基礎が違っているということを言いましたが、社会保険の診療報酬が何%上がっているかという場合には、最も通常新聞等が論説を書く場合に引き合いに出しまするところの数字を出されて、苦しまぎれにあなたは比較の基礎が違うのだといって逃げ口上を言ったと私は思わざるを得ないのですが、これが他の、たとえば医師の収入等その他が新聞論調に流れる場合には、基礎が違っているという数字がいつも引き合いに出される。そういう場合に保険局長が、比較の基礎が違うのだから、こういう数字は出さないほうがよろしい、あるいはそれは違うのだから間違っているのだというPRをしたということを私はいままで聞いたことは一回もない。今後は、もしそういうふうなことがあるならば、厚生省の責任において基礎を同じディメンジョンにして、そういう誤った論説等が流布されるのを訂正される気持ちがあられるかどうか、それをひとつ伺いたい。
  87. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 比較の基礎が違っていると申し上げるのは、公務員の給与がその間にどのくらいふえているとか、あるいは労働者の給与がどのくらいふえているかということに対応する問題は、医師の所得というものがその間にどのくらいふえているか、こういうことなのであります。点数表上で上げられた倍率というものと、公務員給与がその間に何倍になったとか、あるいは労働者の賃金が何倍になったとかをこれは比較することが間違いのはずなんであります。その意味で比較する基礎が違っている、こういうことを申し上げたのであります。
  88. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 なかなかおもしろい理論を承ったのであります。医師の所得という場合には、労働者じゃない、経営者です。したがって、あなたの理論をそのまま受けとめるとするならば、上がる倍率は、少なくも勤務する者より、勤務する者を雇っている経営全般をみる者の収入の倍率が高くてしかるべきだ、もしそうでないとするならば、通常の労働者のベースというものは、公務員給与等が基準になってだんだん上がるのだから、それを勤務者としてかかえているところの医療機関もそれだけの支出をしていかなければならない。その支出のもとはどこに仰ぐか、社会保険の診療報酬以外にないわけであります。その診療報酬はあまり上がらぬ、雇っている者の費用はどんどん上がるのです。したがって計算の基礎が違うということを、私はあなたのを誤解した、あなたの計算の基礎が違うというのを私は反対にとった。むしろ医師の所得というものがそういうものよりもっと大幅な上昇率をみなければいけないのに、基礎をそこへとるのは間違いですという意味だということがいまわかった。私は、最初あなたの基礎が違うからというのを、医師のほうが非常に上がる率が少ないということを妥当づける意味にとったので、それは私の間違いだ、それならあなたの言うのが正しい。というのは、診療所の院長というものは経営者だ、そういう労働者を使えば上がった分も出さなければならない。その収入はどこから仰ぐかといえば、診療報酬しかないわけです。その診療報酬は四八%しか上がっておらない。鹿島先生が言われたでしょうが、民間給与にしてからが六八六%という数字になっている。いろいろな意味であなたがディメンジョンが一番近いと言うであろうところの消費者物価指数でも二二〇%になっている。そういう中で四八%というものをすなおに認めたくない気持はよくわかる。認めれば厚生省がいかに非政をやってきたかということがよくわかる。そこであなたのを、国家公務員給与よりももっと医師の所得というものが上がらなければ経営自体が成り立たないという意味で基礎が違うというふうに解して、その点は追及はやめます。  そこで、厚生大臣にお聞きいただきたいのは、いま申し上げましたように診療報酬は四八%なんです。その中から看護婦も使う、レントゲン技師も使う、雑役婦も使う、その給与はだんだん上がっていく、あるいは医療内容もどんどん上がっていく、そういうことをやっておって、一体厚生省が診療報酬というものを通じて医学、医術というものを国民に与える基本的な態度というものはどういうところに置いていらっしゃるのか、それをひとつここではっきりとおっしゃっていただきたい、こう思うのです。
  89. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま丸茂委員から、厚生省が医学及び医学技術というものをどういうウエートに置いておるかというお尋ねでございましたが、厚生省といたしましては、医学技術の進歩向上を念願いたしまして国民医療の向上をつとにはかる、こういう基本的な考え方でございます。
  90. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 そこで、先ほど大臣の冒頭のごあいさつにもありましたように、いろいろな事情がこれにまつわりついているのはわれわれもよくわかるわけです。その事情というのは、診療報酬の引き上げということに当然有機的に連係してまいりますのは、おそらく保険者の負担分の増、被保険者の負担分の増、いろいろあります。それはもう当然のことなんです。そこで、あるいはいままでこの診療報酬の引き上げというものを診療者側が打ち出すと、必ず被保険者側が反対します。これはシーソーゲームなんです。立場上やむを得ないものもありますが、その際最も反対の声を熾烈に出されるのは健保連というもの——健康保険組合連合会というところなんですね。保険者はいろいろあります。政府管掌のも船員保険もたくさんあります。国民健康保険もありますが、最も反対の声を上げられるところの健保連にきょうは例をとって若干の質問をしてまいりたい、こういうふうに思うのです。  そこで、いま健保連はほぼ千二百ぐらい組合があるはずです。四十年度予算の請求の中でも、健保連に対して給付費の国庫補助があるわけです。これはあとで保険局長にも聞きますが、いまの健康保険組合の標準報酬の平均給与というのは相当高いのです、政府管掌あるいは船員保険に比べて。その中で、健康保険組合になぜ給付費の補助金を出すかという質問に対して、弱小の健保があるからこれに出さざるを得ないのだ、こういう答えですね。それはわかります。じゃ、弱小健保というものは一体どういうものかというと、たとえば石炭関係の健康保険組合が、石炭が不況になったために給与が悪くなって赤字になった。それを赤字補てんしている。あるいは農業協同組合等が持っているところの健保の場合に——その限りでは私はわかる。そこで、問題は、もうこの段階にきては、いまの健康保険組合というのは、従業員が三百人以上になったものを健康保険組合として認める。従業員が三百人以上になったというのは、通常の常識からすれば、経済的に非常にゆとりのある大企業、あるいは中企業の上なんです。そういうものが三百人以上になると単独の健康保険組合になる。当然給与ベースが高い、標準報酬も高い。医療給付費というのは生活保護すれすれのところに押えられていますから、たくさんの剰余金が残ってくる。これは物理的に残ってくる。千二百の組合の中で、いま言った弱小組合はおそらく五十以上はないと思う。いいものはいいものでそのままほっておいて、悪いものに国庫補助を与えていくのだというシステムは、これは私は保険の基本的な考え方に非常にそむくであろうと思う。いままでは過渡的な状況としてこれはやむを得ないであろう。しかしながら、いいものはいいでどんどん非常な格差のあるいいところへいって、自分だけが非常にいいことをやっている。悪いものは置き去りにして国がめんどうを見るのだ、こういうことを続けていきますと、私は社会保険の機構が根本的に破壊されるのじゃないか、そういうふうに考えます。まずこの問題に関する大臣の御見解をひとつ承りたいと思います。
  91. 神田博

    ○国務大臣(神田博君) いま丸茂委員のおっしゃったことよくわかりますが、実際の取り扱いは、法律では三百名以上になっていますが、実際は千名以上を有すということになっているわけでございます。したがいまして、千名をこえた場合は自分の組合になっております組合連合会に入っておりますが、九百九十九名以下三百名、法律に認められた組合は弱小組合と一緒になって、むしろ弱小組合の負担をしているかもしれません。これは実際に当たってみないとわかりませんが、そこで、私は、お尋ねを想定してあまり申し上げるのもどうかと思いますが、いまの日本のこの保険のあり方ですね、これは根本的にもう再検討する時期にきているのじゃなかろうか、こういう考えを私は持っております。それを今日申し上げますとなかなか時間がかかりますから、またいずれ機会があろうかと思いますが、弱小組合の地位は国庫によって引き上げて、そうして一本にしないと、これはなかなかほんとうの責任ある医療行政というものはとれないのじゃないか、こういうことを実は私考えています。しかし、これはなかなか大問題でございまして、一朝一夕にどうというわけにはまいりませんが、逐次そういうような考えで進めてまいりたい、こう考えております。
  92. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いま大臣の御見解を承りまして、わが意を得たいと思います。まことにおっしゃるとおり、この問題はたいへんな政治問題でございましょうから、幸い神田厚生大臣のような、非常に政治力の強大な大臣をお迎えしておるのですから、ぜひとも大臣の任期中にこれを相当緒につけていただきたい、こういうふうに思うわけです。  続いて保険局長にお尋ねしますが、三十八年はちょっと無理でしょうが、三十七年度の健康保険組合の標準報酬の平均と政府管掌の標準報酬は大体どのくらいになっておるか、何銭何ぼまで言わなくてもいいですから、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  93. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) これも私、記憶しておりませんので、後日文書で差し出します。
  94. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 そういう数字は、おそらく保険局長さんでも一々御記憶になっておらないだろう、準備しておられるかと思ったのですが。  そこで、いまの健康保険組合の問題、一般にいまは地域格差の是正ということが政治の大問題なんです。ところが、社会保険機構の中にあっては、ますます今後格差をつくろうつくろうという方向に組織ができて、法律ができているわけです。これは大臣御承知のとおり、われわれがいま一番心配しておりますのは国民健康保険です。いまの国民健康保険の実態、ことばが少し過ぎるかもしれませんが、そのまま申し上げますると、あれは掃きだめなんです。なぜそういうことを私が言うかというと、地域における、たとえば中小企業で五人未満の零細な連中は国保でやっている。少し状況がよくなると、五人以上になると政府管掌になる。それが三百人以上になって、さらに裕福になると組合健保で抜けてしまう、こういうことです。よくなり次第国保から抜け出るようなシステムになっている。一方、健康保険組合の被保険者が六十ないし六十二、三歳になると、これは御承知のように、やめますから、どこへいくかというと、国民健康保険にいかざるを得ない、こういう実態なんですよ。したがって、これはもう掃きだめということばがまことに——適切じゃないかもしれませんが、実態はそうなんです。そこで、国民健康保険だけをよくしろよくしろと言っても、バケツの穴をふさがないで上に水を注ごう注ごうとするところに今日国保の強化策の間違いがある。これは国保は国民にとってたいへんな問題です。健康保険もたいへんな問題です。  もう一つここでお考えいただきたいことは、いま全国をそういうふうに考えたという資料はむずかしゅうございましょうから、保険局長にお願いしますが、たとえば東京都だけで、国保も健保も何もかも全部一緒にひっくるめていまの保険料ということでやったらどういう形になるか、資料として出していただきたい、これはお願いしておきます。  そこで、国民健康保険が掃きだめになった、いいものはどんどんよくなる、悪いものはどんどん悪くなるというものを健康保険ではそののにして置く。地方行政では、地方格差を除こう除こうといって一生懸命努力しているときに、大事な国民の生命を直接扱うところの健康保険そのものを、格差は格差で広げて、いいものはますますよくしていく。この間の提出資料を見ましても、いわゆる健康保険組合に至りましては、時価で換算いたしまして二億、三億という包容施設をずらずら持っているのがたくさんあります。これは全国で三百や四百じゃございませんでしょう。それはそれでいいと思う。いいと思うんだが、一方で国保の、悪い保険者を犠牲にして、生活保護を犠牲にして、あるいは日雇いを犠牲にするという態勢にある。しかも、医療費の引き上げという問題になると、国民の実際の命を守る医療費問題というものになると、一番裕福であるところの健康保険組合がまっ先に反対をする。私をして勘ぐらしめるならば、このぬけぬけ持っているところの黒字と、甘い汁を吸っているのじゃないかと思われるところのものを医療費で吸い上げられるのが一番つらいというところでまっ先に騒ぎ立てるのじゃないか。しかし、これはまことに浅慮、短慮でありまして、こういうことをやっているから、われわれは裕福なものにメスをふるわざるを得ない。どうぞ大臣、先刻御明言されましたように、この問題の解決以外には医療費問題の解決はありません。国民のほんとうに生命を守る方法はないと思う。ましていわんや、国保はいままさにつぶれようとしています。これを救う方法は、相当国費をがっぽりがっぽり入れようとしてもできない。まず全国民をそういうブルドーザーにかけて格差がないということにしておいて、なおかつ金が足らなかった場合に国費を勇敢につぎ込んでいく、いまその素地、素材ができておらぬ。おらないから大蔵官僚あたりに、国民の一部である国民健康保険に大幅な国庫補助はやれないのだということを言われて引き下がらざるを得ない。これがいまのかっこうで、全部ブルドーザーをかけた上に立つならば、これは大蔵省だって国費負担をいやがる理由はなくなるのじゃないか、こういうふうに思います。世上、お聞きいただきたいのは、健康保険組合は厚生省のお役人の天下り場だといううわさが、私は信じておらない、信じておらないのだが、そういううわさが出るようなことがあっては、厚生行政の百年のために非常なマイナスです。そういううわさがあると、一犬虚にほえて万犬実を伝うということになって、何かあるのじゃないかという憶測が伝わってくる。これがまた医療者団体と被保険者団体の相克に油を注ぎ、厚生省と三師会にも油を注ぐという悪循環をしていると思う。この際、思い切って強大な政治力をもって、ぜひともいまの抜本再建策に大臣が勇断をふるわれんことを私は心からお願いする次第です。なお、緊急是正については、先輩委員がいろいろ御質問されて、意のあるところはわかったような気がいたしますので、私は重ねて申し上げません。ただ、最後にくれぐれも申し上げるのは、十五年間に四八%しか上がらなかったのはほかにないのだ、これは私はだれが聞いてももっともだ、そういうふうに思われます。  最後に、いままで医療費の引き上げというものは五、六回されているのです、二十三年以来。そのインターバル、期間というものは非常に不ぞろなんです。いままでの医療協の組織というものを見ますと、いつでも医療担当者側からやいやいせっつかれせっつかれて、せっつかれたあげくに大臣がいやいや諮問しているというのが実態なんです。二十六年のときも三十二年のときも、いつでもそうなんです。今回も例外ではない。これは大臣も御承知のとおり。医療協議会は法律でつくられている医療協議会です。もしそういうものであるとするならば、医療担当者が請願、陳情に及ぶ前に、物価高騰、こういうものがあるならば、医療費というものは是正しなくちゃならぬということを自発的に大臣が諮問して、自発的に審議に入らなければいかぬ組織のものじゃないか、法律というものはそういうことを医療協に要求しているのじゃないか。ところが、いままでの医療協の実態は、医療担当者側の医療費の適正化を防ぐ防壁のような役目を実態的にやっているわけです。すでに昨年要求されたものは、大臣のお話ですと、ことしは無理だろう、来年の話ということになると、三年間でたとえば二〇%ないし二三・八%というものを要求したならば、これは一年に換算すればいみじくも八%くらいになってしまう。私は、まさに厚生省というものは先を見たようなアドバルーンをあげるものだと感心しているのです。三年間引き延ばして、二〇%を三年間にすれば七、八%になってしまう。そこまで悪意はなかったろうと思いますが、結果的にはそうなってくるわけです。これはいま大臣がちょっと阿具根委員の質問に対してお答えになったように、たいへんな社会問題をはらんでおります。はっきり申し上げておきます。そういう中にあって、医療協議会の答申、あるいは審議の実態に、眼光紙背に徹するところの大臣が観察をしていただきたいと思います。私は一部を申し上げたに過ぎない。いまにしてこの一方的な厚生保険行政を是正せざらんか、これはもうたいへんなことになるということを、私はまことに心配のあまりに大臣にあえて申し上げておきます。そこで、答申書にははっきりと二〇ないし二三・八%というワクの数字しかないのですから、これを基準にして高度の政治的な判断をされんことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  95. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほど仰せになった標準報酬、たまたま三十八年度の分が手元にございましたので、これだけを申し上げます。  三十八年の三月末で、全国の政府管掌の平均が一万九千四百三十五円、それから組合管掌の平均が二万一千四百六十四円、それから、同じ時期における東京都の管内にある政府管掌の平均が二万二千九百二十円、それから組合管掌の平均が、同じく東京都にある組合の平均が二万三千二百九十八円。三十七年度分は後ほど提出をいたします。  それから、御要求になった資料は、計算をするという前提で、これは全国の分も、東京都ができるならできると思いますので、やるならば両方やってみるつもりであります。ただし、これにはいろいろの仮定の設け方が必要だと思いますから、その仮定と申しますか、前提をどういうふうにしたかということを明らかにして試算をいたします。なお、これは御要求でもはっきり言っておられることですが、計算だけということでそのことが成り立つか成り立たんかという議論は全然別だ、こういうことでございます。  なお、御要求の資料ではございませんでしたけれども、ただいまお話の中にあった厚生省提出の資料というお話がありましたのは、組合の持っている保養所の資料でございます。これも誤解を避ける意味で当委員会に提出をいたします。やや私は言い過ぎがあると思います。これは資料によってごらんをいただきたいと思います。
  96. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 いまの三十八年三月調べの政管と組合健保のこれは平均のしかたはどういう方法をとっていますか。
  97. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) これは収入の全部を徴収率と人数で割って出したものだと思います。なお、その点も後日出す資料には、出し方を明確にしておきます。
  98. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 それから、いま追加で出される保養所の施設ですが、この間のあれですと、許可するときの評価で出しておりましたね、そうでしたね。そこで、でき得たならば、その代表的なものを三十九年の三月ぐらいの評価額で、これは正確というわけにはいかんでしょうが、一応出してみてください。
  99. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 提出いたします資料は、たてまえとしては直近の時価に評価する、こういうたてまえで各組合やっていることになっております。しかし、実際には正確にやっているものもあるし、やっていないものもある、こういうことで、中には古い評価のまま出ているものもあると思いますが、一応の原則は、それぞれ近い時期に評価がえをするということでやっているわけであります。なお、私どもでそれをおのおの現在のやつに評価し直すということは、これはまず不可能というより、むしろやるべからざることでありまして、ただ、御注文のように、代表的なものに、これはいつの評価だということを一応相手方に確かめてみてその時期を明らかにする、こういうことにしたいと思います。
  100. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと局長資料を要求しておきますが、さっき私質問のときに疑問を投げておきましたように、たとえば病院にいる先生方がなぜ開業医を非常に希望されて開業医になられるかという疑問をぼくは投げておいたわけです。それで、いまのお話だけじゃわかりませんから、一体開業医に対する保険側の支払いはどのくらいやっているのか。それから病院側の先生方の平均はどういうふうになっているのか、資料あとで提示してください。
  101. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほど質疑応答しておりました資料というのは、結局それに帰着することになるわけであります。つまり私が申しておりますことは、比較の基礎というのは、現在の医師のほんとうの所得というものがどれだけあるか、それが二十三年と比べてどれだけ伸びているかということとほかの伸び率を比較すべきなのであって、点数表上何%という比較論ではそれは正しくない、こういうことを申し上げたわけです。まあそのことの是非は、先ほどの議論のとおり、これは見解の相違でございますが、私が提出いたします資料は、そういう一つの御論議のために役立つ資料を提出するわけでありますから、当然そういうものに触れるわけであります。
  102. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 医療問題に関する質疑は、本日のところはこの程度で終わりたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  104. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、労働問題に関する調査を行ないたいと思います。  公務員給与に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  105. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、前回の委員会において、国家公務員の給与改善に対する人事院勧告の取り扱いについて政府の意見をただしたのでありますが、その後、なお実施についての御決定がないようでございます。これは私はきわめて遺憾に思いますが、きょうも労働大臣以下、六人の関係委員になっておられます方に御出席をお願いしたのでありますが、それぞれ御都合などがありまして、労働大臣と、大蔵省からは政務次官が見えておるだけでして、やむを得ない事情もあるようでありますから、お二人にお尋ねしたいと思います。  そこで、まず伺いたいのは、六日の日に六人委員会を開いております。これは石田労働大臣等たいへん御苦労いただいて開かれたのだと思いますが、残念ながら、当日も結論は出ておりません。したがって、まず私は、きょうその六人委員会の経緯について、お差しつかえないなら、ひとつその模様をお伺いしたい、こう思うわけです。
  106. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) どうも私が担当のようなぐあいになってしまいました。私が担当ではないのでありますが、六人委員会には出席をいたしておりましたので、お答えを申し上げます。  六日でなくて、多分五日であったように記憶しておりますが、五日に開会されまして、増原給与担当大臣と私から五月実施を強く主張いたしました。それから、吉武自治大臣から、その五月実施ということについては同感であるけれども、それについては地方財政に財源上の措置をしてもらいたいといって、も具体的な数字をいろいろあげられました。これに対して、大蔵省から、五月実施の場合、十月実施の場合、一月実施の場合というようなことを前提としてのいろいろな数字の開陳があり、財源のおおよその見通し、それから、その給与改定以外の補正予算の編成を必要とする項目についていろいろの説明がありまして、財源上きわめて困難だという話がございました。で、そういう状態で、十月の下旬か十一月の上旬になれば九月決算等の集計がわかって財源上の見通しがつくから、それまでひとつ待ってもらいたいという御意見の開陳があった。で、私どもからは、待っていられない、早くきめるべきだという主張をいたしまして、そこで、人事院の勧告を尊重する方針のもとに財源等の検討をさらに続行するということで散会になったのであります。
  107. 鈴木強

    ○鈴木強君 この前の委員会において、石田労働大臣にも増原給与担当大臣にも、オリンピック前に結論を出すように私は強く要請をいたしましたところ、自分もそういう気持ちだ、こういうお考えが率直に述べられまして、私たちもそれを期待し、あすオリンピックの開会日でございますから、きょうじゅうにきめないとその約束が果たせないわけでございますね。非常に公務員の諸君も、従来と違って、団結を強くして人事院勧告の実施を迫っているわけです。これは私は無理ないと思うんですね。これはもう多く私はきょうは言いませんけれども、三十五年以来のいきさつもありますし、このオリンピックをひとつ何とか国民の祭典としてやりたいという熱意もありますからこそ、無用のトラブルを避ける意味において勧告の早期実施ということを打ち出していると思うんですよ。ところが、できるだけ趣旨に沿うように財源措置考えようというお話ですから、多少これはいままでのように、財源がないからだめだというよりも、むしろ人事院勧告を尊重していくという立場に立って財源措置考えようというように伺いましたから、この点は、私がいままでお話を聞いておったよりも非常に配慮のある御発言だと思います。しかし、あなたも言われておったように、オリンピック前にどうしてきまらないかということは、どうも大蔵省の九月末の計数整理に引っかかってきているように思うんですけれども、これは前にも言ったように、はたしてそういう明かるい見通しが出てくるのかどうなのかということについて私たちは危惧を持つわけですね、中途の決算ですから。ですから、その点で労働大臣としてオリンピック前にやろうという、その御決意で臨んだわけですけれども、それがまた聞くところによると、十二日か十三日に次回の六人委員会が開かれるというようなことですから、待っておられない。タイミングが合わないんです。だから、五日にだめならば、どうして七日なり八日なり、あるいはきょう九日ですけれども、できるだけそういう閣議決定前に六人委員会の意思統一をして、公務員の共闘の諸君の趣旨に沿うように、また、国民の趣旨に沿うようにしていただけなかったのか。そういう配慮はしていただいたんでしょうか。
  108. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 私は、むろんオリンピック前に解決をすべきであるという立場で、私も増原君も強く主張いたしたのでありますけれども、何しろ一人できめることでもございませんので、先ほど申しましたような経緯に相なりました。次回は、本日官房長官との打ち合わせでは、十三日の午前九時から、十一日は日曜日でありますから、午前九時から開会する。月曜日に開け、はいいじゃないかといっても、月曜日は、日曜に旅行されて人がそろわないものでありますので十三日ということになったわけでございます。私は、その十三日に結論を出すように努力をしてみたいと思っております。
  109. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、大臣もオリンピック前にきめてもらいたいという強い要請を受けてやってみたんだが、どうもオリンピック前は無理だ、こういう判断をもう率直に持たれて十三日に譲ったように聞こえるんですけれども、ですから、なぜ五日がだめならば今週中に六人委員会を開いてさらに検討していくという、そういう御配慮がなかったんでしょうかと聞いているんです。
  110. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 五日に出たデータをさらに検討させるのにやはり若干の日時を要します。日にちを急いでといいましても、前と同じようなデータを出されたのでは、結局行ったりきたりの話になる。それですから、やはり若干の時日をおくことは、これはしかたないと思ったのであります。オリンピック前に解決するということは、むろんわれわれも強く主張いたしましたけれども、その短い期間の間に新しいデータというものを引っぱり出すわけにいかない情勢にありましたものですからそういうように判断をいたしました。
  111. 鈴木強

    ○鈴木強君 確かに、どうも労働大臣とここでやり合うのは私も不本意だし、筋違いだと思うのですけれども、まず官房長官に出てこいというと、官房長官は外国の人が来たから出られない、増原さんは、これはもう山村先生のお葬式だそうですからと、こういうと、これはやむを得ないと思うんですよ、同じ所管の方ですし、行政長官ですから。一番問題は大蔵省で、きょうも、鍋島政務次官には失礼だと思いますけれども、田中大蔵大臣は出てこない。何だかんだいろいろな理屈をつけて出てこない。来てくれたら私はもう少しものを言いたいんだが、結局政務次官が来て、ここで言っても大臣に報告するということでは、これは話にならぬし、私も非常に弱っているわけです。しかし、言わなければならないから私は言っているので、その点はひとつ労働大臣も聞いてもらいたいし、大蔵のほうも、もう少し私は誠意が出せませんかということを、それは私はもう一回あとから質問しますけれども、当日田中大蔵大臣から、地方財政の問題について国家公務員の——これは別ですけれども、地方公務員の場合には、ベースアップの分は国はめんどうみない、これは地方公務員のものは地方財政でみるべきだという趣旨の発言があったというように、これはたしか毎日新聞のゆうべの夕刊の記事を拝見したんですが、そういう趣旨の話が六人委員会であったというのは、これは事実ですか。
  112. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 財源的に地方財政の財源までみることは非常に困難だという趣旨の話を私は承りましたけれども、別に記録をとっているわけではないので、そういうことには私責任は持てません。私はそう聞きました。
  113. 鈴木強

    ○鈴木強君 それからあとの記者会見で鈴木官房長官は、「給与改定に関する地方公務員の引上げ分は地方公共団体が自主財源でまかなうというのが政府の強い方針である。」、「政府の強い方針である。」と、こう書いてあるわけです。これは大きな新聞ですから、記者との会見の新聞記事ですから間違いないと思うのですが、この点は、政府の方針だということになると、少なくとも六人委員会の了承を得ていなければならないと思うのです。これは労働大臣は、政府の方針だと書いてありますけれども、そうであるかどうか、これは大蔵省のほうからもひとつ答弁してもらいたい。
  114. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 六人委員会でそういうことがきまった事実はございません。
  115. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) 大蔵省の考え方は、給与改定を行なう際において、地方財政の分まで現状の段階におきましてはまかなう余地が非常に困難であるということを大蔵大臣が御発言になったと思います。さよう了承しております。
  116. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、政府の強い方針だということは、そうではないわけですね。
  117. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 政府の方針ということになりますと、少なくとも給与については六人委員会というものがあるわけでございますから、給与の部分についてはそうなんでありますが、財源措置ということになりますと、これは私の責任でも所管でもありません。私はただ五月実施をしてもらえばいいのであって、そのお金はどこから引っぱり出そうと、これは私の関知したことではないのでありますから、そういうことについて私は特に発言しようとは思っておりませんけれども、少なくとも私は、そういうことがきめられた事実は六人委員会でないことだけは申し上げられます。
  118. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょうど吉武大臣が見えましたので、いま質問は地方財政の問題になりましたからちょっとお尋ねします。  六人委員会にあなたも出られましたね、五日の日に。そのときに田中大蔵大臣から、国家公務員のベースアップに伴い、地方財源についてはなかなか国がめんどうはみれないから、自主的にひとつまかなってもらいたいという発言があった記事があったわけです。そういう趣旨の発言はあったようです、いま聞いてみましたら。そこで、一体、鈴木官房長官の談話等を見ると、これは政府の強い方針だというふうに新聞には載っておるわけです、そういうことは。そうならば、私は、六人委員会でそういう話があったかといったら、石田労働大臣は、出ておったが、ないと言われる。そうすると、新聞発表されておる鈴木官房長官の強い方針だということは政府の方針ではないだろう、こういま石田労働大臣は言ったのですが、おれの所管ではないから、お金はどこからでも出てくれればいいという答弁です。一体だれが政府の責任者として私の質問に対して答えるか。官房長官が言っておることだから、官房長官に出て答えてもらえばいいのですが、きょうはどこかに行っておられるのだが、だれが委員会に対して責任を持って答弁できるのですか。
  119. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) これは明確にしておきたいのでありますが、六人委員会で大蔵大臣から、地方公務員のベースアップの財源措置を国庫でみることは困難だという発言があったのです。しかし、それを政府の方針としてきめた事実はないのだということを申し上げました。そういうことです。
  120. 鈴木強

    ○鈴木強君 じゃ、それはわかりました。政府の強い方針ではない、そういう趣旨の発言のあったことは事実である、こういうふうに承りましたからね。
  121. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 六人委員会できめた事実はないと言ったのであります。政府の方針であるということをどこかほかでおきめになるのなら別でございますが、少なくとも私の承知しておる範囲内ではない、こういうことであります。しかし、私も政府の一員でありますから、しかも、給与の問題については六人委員会の一人として参画をしておるのでありますから、知らないうちにきまるものとも思っておりません。
  122. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは石田さん、こういうことですよ。あなたどうも少しおかしいのだがね。政府の方針ということになりますと、当然閣議にも出てくるわけです。財源措置についても、特に国家公務員のベースアップにからんで、地方公務員の問題についてはしばしばわれわれも前から言っておるわけですから、少なくともそういう問題が官房長官の談話として新聞に流れるということになりますと、これはやはり問題ですよ。だから、私は、一体そういうことはあったのかないのか明確にしたいということから質問しておるわけです。ですから、委員会ではそういうことは全然なかった、したがって、ただし、そういうことはほかのところでやることだから私にはわからぬ、きめたかどうかわからぬというようなことを言うから、それなら閣僚の一員としてそういう重要な政策に参画して——これはあなたがどこかに出張しておるとか何とかというのなら別だけれども、あなたもずっとおったのだから、少なくともこの問題が重要問題になっておる限りにおいて、そういう決定を陰でやって、政府の方針ではないということは、これは明確に答弁できるはずだが、それがぼけておるから言っておる。
  123. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 政府の方針がどういうものであるかということを代表して発言する立場に私はありません。そこで、私の言えることは、私の関係しておる範囲においてはそういう事実はなかった。これは明確なんです。それから、同時に、政府の方針を、まさか私もその一員に指名されておるのに、私が知らない間に別なところできめられるとは思いませんけれども、私が政府の方針であるとかないとかいうことを言う立場ではない、こういうことであります。
  124. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは吉武さんのほうが管轄ですからね。だから、あなたは自治大臣として、政府の強い方針であるというこの記事を見たときに、あなたもちょっと意外に思ったのじゃないかと思うのです。率直に言って。だから、そういうことが閣議できまったことはないということだけは事実だと思う。したがって、あなたもこれはおかしいという気持ちを持たれておると思うのだが、その点がはっきりすれば、これは政府の方針であるかどうか、また石田さんの話に加えてはっきりするわけです。
  125. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) ただいま石田労働大臣からお答えしたとおりでございまして、先般の六人委員会で検討いたしました際に、大蔵大臣としては、地方の公務員の財政措置は、これはひとつ君のほうでやってくれなければ困るぞ、こういうことはございました。私のほうとしては、もうよく申し上げておりまするように、地方公務員の給与改定で五月から実施するとすると、交付団体の分が六百五十二億かかります。それから、かりに十月から従来どおりやるにいたしましても三百八十六億要るわけでございまして、目下のところ、私どもの財源捻出で見込みを立てておりまするところでは、御承知のように、大蔵大臣はその席で五百億しか国税の自然増収は見込まれない。そうすると、その国税は所得税と法人と酒税だけではないけれども、かりに三税が五百億といたしましても、その二八・九%が地方交付税の財源として見込まれるわけでございますから、そうすると百四十億しか見込表れない、そのほかのいわゆる地方の独立税の自然増収をどれだけ見込めるかというと、交付団体の分としてはせいぜい六十億しか見込まれない。そうすると、合計二百億しかございませんから、先ほどの五月実施にすれば約四百五十二億というものが不足をし、十月から従来どおりいたしましても百八十六億の不足をする、これはひとつ何とか大蔵省のほうで財源措置考えてくれろということをその際に申したわけでございます。昨日の新聞のことにつきましては、石田労働大臣からお話がありましたように、私も六人委員会でそういういまの大蔵大臣の弁、それから私が申しただけのことでございまして、なお検討しようということで別れておりますし、閣議でもそういうものをきめたことはございませんから、私も閣僚の一人として、知らぬうちに方針がきまるということはまずない、かように考えております。
  126. 鈴木強

    ○鈴木強君 わかりました。この記事は何かの行き違いだと思います。吉武自治大臣もこの前提に立って財源措置を考慮してもらいたい、こういうことを官房長官からあなたに言っているような話もあるんだが、そういうことはないようですから、これは明らかになりました。  そこで、大蔵省は、そういう方針を一応六人委員会で大臣が述べたことは、これは事実のようですから、一体地方財政の問題について、なるほど考え方として地方財政が自主独立をしていくという、そういう考え方の筋の論から言うとわかるんだが、現実の問題として、それはもうできない話なんですよ。ですからこそ二八・九%の交付税を出しているわけだから、この際、国家公務員に準じて地方公務員の給与改定をするのが筋でしょう。そういう段階に、できないことをどうしてやれと言うのですか、大蔵省のほうは。一体そういうことをして当面の地方公務員の給与改定というのがやれる見通しがあるのかどうなのか。一体大蔵省として地方財政全般を見たときに、そういう余地があるというふうに何を根拠にして判断したものか、できないことをやれというのは、これは私は無理だと思うのです。それをなぜそういうことを言ったか、私はその根拠を示してもらいたい。
  127. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) 大蔵省の立場といたしましてお答えするわけでございますが、従来の公務員のベースアップにつきましては、だいぶ前はいざ知らず、最近におきましては、大体交付税が、その三税の自然増、それから交付税を二八・九%でございますが、約三割自治省のほうに当然まいるわけであります。これらのことによって地方財政計画がつじつまが合ってきておりましたので、現実の問題としては今日まで大きく問題にならなかったのであります。今回あるいは五月実施、あるいはその他十月等のお話もございますが、現実に国家財政自体、国家公務員のベースアップのみにしても財源が足りない、何か他に方法はないかというようなところを現在研究中であり、さらに九月決算の結果、税収の伸び等もある程度あるんではないかというようなことで、その計算をいたしておるのが現状でございます。したがいまして、六人委員会の最初に、大蔵大臣の発言は、五月実施ということを一応仮定して言った場合、国家公務員すら実は国の税収の伸びでまかなえない。他に災害そのほかございますが、補正予算も組めないというような状態の財源的な面に突き詰められてきておりますので、交付税としてもらえるもので地方財政がつじつまが合わない、ベースアツプした場合、つじつまが合わないということは承知しながらも、ほかに何とも現状においていたしかたがないというような実態を大臣が申し上げたわけでございまして、そのまま、何といいますか、責任を持てないとかどうとかいう意味じゃなくして、財政の実情を述べたわけでございます。したがいまして、その点まだ政府の方針にもなっておらぬわけでございまして、財源的な面はさらに自治大臣、大蔵大臣の折衝もありましょう、あるいは政府として大きな方面からさらに大きな手を打たれるかもわかりませんけれども、現実の姿は、地方財政に交付税を差し上げるというか、当然もらっていく分だけのぎりぎりの財政状況であるということを言われたかと存じます。また、事実そのとおりであります。
  128. 鈴木強

    ○鈴木強君 だからタイミングが私はおかしいと思う。いよいよ十月の初めに、国家公務員のベースアップを決定するという段階でならまだ話はわかるんですよ、そういう点がどうもむずかしいということを言うなら。しかし、むずかしいからといってやらぬということにならぬわけですから、しからばどういう手を打つかということを考えるべきである。国家公務員の給与改定自体が、われわれが早くやってくれといっておるのに延び延びになっておるじゃないですか。しかも計数がわからぬ、一方では十月にならぬとわからぬと言っておるんでしょう。だから一体税の伸びがどのくらいあるかわからない、つかめない、あなた方が収入財源というものは一体どうなるかもつかめないでおって、頭から地方自治体にそういう財源措置はやれないんだ、おまえら自主的にやれということを言うのは、ぼくはちょっとあなた方の言っておる論がおかしいように思うんですがね。ですから、もう五百五十億なり六百億より伸びないんだというはっきりした見通しに立っておるわけではないんでしょう。これはだからそういうぼくは発言をあの第一回の会合あたりで言うというのは、きわめて大蔵省は何か高飛車に出て、地方公務員は言うならばどうでもいいんだというような考え方にとれるような刺激を、国民や、一生懸命やっておる地方公務員諸君に与えてしまう。断じて国家公務員と地方公務員と差があっていいというようなことは、ゆめ考えられないことでしょう。そうであるならば、そういう趣旨でやってもらっても、最終的には政府が責任を持って財源措置考えて、そのやり方はいろいろあるでしょうが、そういうふうに私はすることが政治だと思う。どうも言っておることが、一方では都合のいいときに九月末を引き出してまとまらぬまとまらぬと言っておきながら、そういうまとまらない時点においてなおかつそういうことを言うということは少しいかがかと思うんですが、結局どうなんですか、最終的に責任を持って、やはり国家公務員と地方公務員というものを同じベースにおいて給与改定をやっていくと、これが政府の方針じゃないですか。
  129. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) 今回の給与ベースの改定はもう従来のとおりでございまして、国家公務員が七・九%でございますか、ベースアップすれば、その国の給与に準じて地方公務員がベースアップすることは、これは当然のことと考えます。また、その方針で今日まで続けてきておるわけでございます。ただ、問題は財源の点でございまして、さらに六人委員会等で実施時期がきまり、その実施時期によって財源も一あらかじめ確定するわけでございますから、その際において、あるいは自治大臣、大蔵大臣等々と、政府としてその財源の現状に即したいろいろな手があっておきめになっていくものだと考えております。原則的には以上のとおりであります。ただ、現実には、今日の見通しのもとに立ちますと、大蔵省の現在における算定方法による税収の伸び等を考えていきますと、現段階では五百億前後しか伸びない。これは補正予算を組む際における災害等の関係と国家公務員の給与ベースのみですら十分にまかなえないような状態である。したがって、もうしばらく待って九月決算の見当をつけて、そうしてさらにその決定された実施時期等も考慮に入れて、実はいろいろなやりくりをしなきゃならぬ問題でございましょうけれども、そういう形において進めていきたい。事前に意見を述べるというようなことになりますと、非常に地方公務員の分まで特別に交付税で回る分以外に国の一般会計から財源を補てんしていくというような特別な措置の余地が現実の姿としてない見通しに立っておるというようなことを大蔵大臣が骨われたわけでございます。  以上のとおりでございますので、よろしく御了承ください。
  130. 鈴木強

    ○鈴木強君 抽象的なことはいいですよ、どうでも。問題は、実際に起債をみようとか、それから、たとえば外国為替特別会計の中から取りくずして何か一般会計のほうにというような新聞のちょこっと記事を私たち見るのですが、基本的に地方財政を圧迫するようなかっこうで問題の解決をすることはまずいと思うのですよ。ですから、九月末の集計を早くやっていただいて、交付税の点で調整するなり、いずれにしても、政府からの措置考えないとなかなかむずかしいと私は思うのです。ですから、現段階においてはそういう考え方で進んでいくのだということにはっきりと私は考えをしてもらわぬと、いろいろな誤解が起きると思うのです。ですから、そのとおりに理解していいですか。
  131. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) いま言われましたように、いろいろな方法としては、起債の問題とか、いろいろあろうかと思います。現状においては地方にお回しするような特別な財源というものがなかなかないということを申し上げておるわけでございますが、現実の姿としては、国家公務員がベースアップされれば、それに準じて地方公務員が上がる、したがって、大きな政治的な場としては、地方の財政も国の財政も、ともにそういう形において進められていくのが当然であるという前提に立つわけです。
  132. 鈴木強

    ○鈴木強君 もうその点は多少こう危惧が残りますけれども、新聞等で非常に私は奇異に感じておったの、ですけれども、必ずしも質疑をしてみるとそうでもないようにも思いますし、基本的にはやはり国家公務員と同じ立場に立ってやるのだと、こういうことですから、これはよくわかりました。  そこで、ひとつ事務的なことで恐縮ですけれども、前回も九月末の集計を早めてもらいたいということを私は特にお願いしたのですけれども、現段階ではいつごろになりますか。
  133. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) 九月決算でございますので、各会社の実態等の調査関係もございまして、やはり十月末前後になるかと考えております。
  134. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは確かに決算ですから、そう簡単にはいかぬと思いますけれども、特に私がこの前お願いしたように、何か特別ことしは多少でも早めてデータが集まるような御措置はしていただけましたか。
  135. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) これはもう大臣も非常に気にしておられまして、たびたびそういった決算の見通しをできるだけ早く集めてくるようにという、いわば命をくだしておるわけでございます。数字の集まり方でございますので、なかなか簡単にはまいりませんが、できるだけ急ぐように、さらにまた大臣にも申し上げて、それから大蔵省の事務当局にも申し上げたいと思います。
  136. 鈴木強

    ○鈴木強君 大蔵省の見解はお聞きのとおりで、計数自体も、どうも中旬からあとに持ってくると、こういうような一心見通しのようです。しかし、これはぜひ促進して早くやってもらいたい。そこで、十三日に六人委員会の第二回目が開かれるのですけれども、これは何とかそこで結論を出すように最善の努力をしていただきたい。私はもうお二人も、おそらくさっきの石田労働大臣の考えには同感だと思いますね。ですから、その上にまたたたみかけるように申し上げて恐縮ですけれども、ぜひひとつ大蔵当局の計数整理を待っておったのでは、これはとても最終的結論が出ないように思うのです。それでもまあひとつまかしておけ、絶対だいじょうぶだというあなたの言われるような趣旨の勧告の実施が、そういう自信が持てるならば私は妥協してもいいと思います。しかし、いまの段階では、地方公務員の補てんもなかなかむずかしいということを言い出して  いるようですから、待っていたってなかなかいい結論が出ない、財源措置から考えれば。だから私は何回も言うように、皆さんがひとつ知恵を集めて、大蔵大臣にもたいへん無理かもしれないけれども、五対一のはずだから、そこで、手をとり足をもいでしまって何も動けないような形にしている公務員に代償を、これはどうしてもやらなければならないのだということを政策的にひとつしてもらわないと、そして大蔵当局に御苦労だけれどもそれぞれの措置をしてもらう、こういうふうにやらぬと、大蔵省のほうを待っていると、もうオリンピックが終わってもまだきまらぬということで、オリンピック会期中の公務員諸君の気持ちもおさまらないし、またいろいろな手段で皆さん方が陳情をするだろうし、行動をするでしょうし、そういうことはよくないですから、ですから十三日の日は最終的な結論が出るように、ひとつお二人にもがんばってもらいたいと私は思いますが、そういう点に対する御所信を聞かしていただきたいと思います。
  137. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 十三日に私が考えておるような結論が出るように努力をいたします。ただし、その目的の重点は、私の考えているような結論が出るほうに重点があるのでありまして、そのときの判断で、せいては事を仕損じるようなことがあっては、やはりまた考え直さなければならない、こう考えております。
  138. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 私もできるだけ早く結論を出したいと思っておるわけですが、ただいま石田労働大臣の言っているように、結論を出して財源の措置の見込みをつけないできめられますと、実は私はたいへん困る。ですから、財源の措置の見込みをつけて早くきまることは私もそれは賛成でございます。せいては事を仕損じるかどうかは存じませんけれども先ほど申しましたように、現実にこの数字の欠陥というものがありますから、この措置の見込みを立てていただきたいということに私は重点を置いておるわけでございます。
  139. 鈴木強

    ○鈴木強君 吉武大臣、あなたの考えは少し心配し過ぎているように思います。言わんとすることはわかりますよ、わかりますけれども、やはり補てんをあなたはたいへん心配しているわけだ、要するに政府からもらえなければ困るということだと思います。その点は私のいまいろいろした質疑の中で、大蔵省もそうでないようですから、そのやり方、方法はいろいろあると思います。やり方については、やはり反対のやり方もあるかもしれませんが、そのときは問題になるかもしれませんが、いずれにしても、国家公務員に準じて政府の方針をきめていくのだ、財源措置はやると言っている、どっちにしても。ただ、そのやり方がしょい込むようなやり方をされては困るからあなたは言っていると思いますから、そういうことのないようにしてもらうことが前提でしょう、率直に言って。そういう前提できめるのが政策でしょう。だから地方公務員も国家公務員に準じてやるのだという国の政策がきまれば、その政策に基づいて内閣は措置しなければならぬ、政府は措置しなければならぬということになるから、あまり金がもらえるかもらえないかということばかり考えているから大蔵省に振り回されて、だんだんあとにいっちゃう。だからそこで決意をして、どういう措置をしても補償すると言っているから、補償の仕方については大いにがんばってくださいよ、わしらも応援するから。そういうことで十三日の日には結論を出して、これはおそきに失しているが、せめて十三日に出るならば多少でも誠意が示せるわけですから、どうかそういう趣旨で御検討をお願いします。
  140. 吉武恵市

    ○国務大臣(吉武恵市君) 心配し過ぎるというお話でございますが、私はし過ぎるかどうか知りませんけれども、実は心配しております。ないままできめられて、あとはおまえのほうでやれといわれても、借金をしてやれといって自治体に借金をすすめるわけにはまいりませんから、どうしても財源措置をしてもらわなければなりません。財源措置をしてやるということであるなら、できるだけ早いことを望むことはもう間違いございませんので、御了承願います。
  141. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 私は、池田総理が入院してから池田内閣には政治がないのではないかと思います。午前中は医療費問題がここでだいぶ問題になった。医療費の問題が六カ月以上も結論が出ないというのも、やはり池田総理大臣が入院されて決断がなされていないから結論が出ない。国家公務員の給与の問題についてもいまだ結論が出ないのはそこにある。そこで、先ほど鈴木委員のほうから、地方財政の問題について、政府の方針は知らない、こういうふうに言っておられましたが、新聞には池田総理自身が指示をした、こういうふうに出ているのですね。大蔵政務次官、田中大蔵大臣が一時間十五分かにわたって池田さんと話をされた、こういうのですが、その中で、明らかに地方財政については原則として認めないのだ、こういうことを指示したということが言われておるのですけれども、これはいかがですか。
  142. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) これは大蔵大臣と総理の間で、そういうことは私はよくつまびらかにいたしません。しかしながら、そういうことを指示されたということはないかと考えております。ただ、給与のベースアップについて、財源の不足について詳細に報告せられたことは事実でありまするが、そこまで指示せられたかどうかは聞いておりません。つまびらかにいたしておりません。
  143. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そうすると、まあ新聞が間違って言っておる、こういうことになると思うのですが、これは大きな問題になると思うのです。私は、おそらく池田さんのそういう指示があって、それで自治大臣も心配しておるようなことが出てきているのではないか、こういうふうに思います。そこで、また石田労働大臣なり吉武自治大臣、あるいは増原長官等は、五月実施を盛んに努力をするということを何回か言われております。そして一方では田中大蔵大臣は、とてもじゃないが、十月実施はおろか、来年の一月実施しかできないのだ、こういうことをいって、何か国民を惑わすというか、公務員を非常に惑わしているのではないかというような私は感じを受けます。やはりそれも先ほどいったように、早急にこの問題の解決をはかる誠意がないところに大きな混乱を起こしているのではないか、こういうふうに思うのでございますが、まあ石田労働大臣は先ほど、財源措置はおれの所管でないのでどうでもいいのだ、こういうふうにちょっと受け取られるような発言をされたのですけれども、これはやはり池田内閣の閣僚の一人として、私は非常に大きな問題だと思うのです。当然積極的に五月実施をはかろうという熱意があるならば、財源措置についても、池田内閣の閣僚の一人として、こうすればいいのではないか、こういうやはりはっきりした見解をもって六人委員会なり池田総理に直接会って進言をする、こういうやはり誠意がないと、私は単に、先ほど言ったように、公務員を愚弄しているような言動というか、言動というとちょっと語弊がありますけれども、そういうことにしか受け取れない。そういう点は、これは自治大臣もおそらく増原長官も同じことが言えるのではないかと思いますが、こういう点はいかがですか。当然閣僚の一人として、これは田中大蔵大臣に財源問題を全部まかしておく、こういうことではなしに、やはり政府全体が、これは公務員の生活に関係する問題ですから、もっと六人委員会のメンバーだけでなくて、その他の閣僚も入れた政府全体が積極的に財源の捻出はやはりどうしたらいいかということに当たるべきではないか、こういうふうに思いますが、御見解をお伺いしたい。
  144. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 公務員を愚弄するなどという意思はつゆさらございません。そういう意思がないから、私は一貫して五月実施を主張している。むろん私は労働大臣であると同時に国務大臣ですから、最終的には国務大臣の立場に立って財源と自分の所管上の立場との間の調整をとらなければなりません。しかし、その財源をいかにして捻出するかということは技術問題でもあり、また、実際問題でもあり、私のほうでそれを具体的に調査検討する手足を持っているわけではないのです。やはり大蔵省の資料に基づかざるを得ない。しかし、その資料に基づいてばかりおったのでは私どもの立場が通りません。したがって、現在の段階では私は五月実施をしてもらえばいい、財源は、それを捻出し、調達する責任のある大蔵省でお考えをいただきたい、その財源をどういう形で捻出されようと、現在われわれが五月実施ということを要求する立場にはやはり関係がないのだ、そういうことを申し上げておきます。
  145. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 大蔵政務次官は大臣のかわりできょう出てきていると思うのですが、財源がない財源がないと言いますけれども、まあ午前中の医療費の問題等では、審議会の答申を尊重する、さらにその上にプラスアルファをつけるということで問題にされておりますね。ところが、この公務員の場合には人事院勧告そのものの実施さえ、いわゆる政府が言う尊重さえ危ぶまれている、こういうことで問題になっているのですが、その比重は私は非常に違うと思うのです。したがって、財源がないといっても、私はすべてのことを差しおいても、こういう大ぜいの公務員の生活に関係する問題については優先的に財源を回す、あるいは現在大企業なり、あるいは法人関係におきましても、相当脱税なり税金をごまかしておるということがあるのではないかと思うのですが、そういう徴税の強化と申しますか、そういう面からも財源の捻出は私はできるのではないか、こういうふうに思うのですけれども、大蔵省は何か財源のみにこだわって、人事院勧告というものに対する認識のしかたが、何といいますか、薄いと申しますか、全然ない、こういうような印象を受けるわけでありますが、こういう点については、大蔵省は人事院勧告についてどういうふうな認識を持っておられますか。
  146. 鍋島直紹

    説明員(鍋島直紹君) これは大蔵大臣がたびたび各方面の委員会において申し上げておりますとおり、人事院勧告は内閣の方針に沿って尊重するということは少しも変わりございません。財源の面につきましては、御承知のとおり、現段階においては、もうすでに言い尽くされておりますけれども、五百億前後の税金の伸びしか現在においては期待できない。したがって、九月決算の伸び方そのほかを見て、さらによりよい結果の出ることを期待しつつ、できるだけひとつ正確度を期して伸びを考えていくということを基調にいたしておるわけであります。
  147. 柳岡秋夫

    柳岡秋夫君 そういうことであれば、大蔵大臣が、十月実施はおろか、来年一月からでないと財源がないのだ、こういうことを言うのは私は当然無責任だと思うのです。やはり人事院勧告を尊重する立場に立てば、五月実施ということを目標にして財源の捻出をはかっていく、どうしたら財源が得られるか、こういうところに努力をしているのだという日ごろの大蔵大臣の発言であれば了承できるのですけれども、大蔵大臣みずからがこの十月なりあるいはそれ以降だ、こういうことを言うのは、私はこういう人事院勧告に対する認識不足、あるいは公務員の生活に対する軽視と申しますか、そういう面が非常に強く出ているのじゃないか、こういうふうに思うのです。したがって、大蔵省はそういう考え方をひとつこの際やめて、そうして石田労働大臣なり吉武自治大臣が五月実施ということで努力しておられるわけですから、やはりそれに同調する立場で早急に結論を出されるように私はお願いしたいわけです。特にこの前の委員会でも私言ったのですが、四月末現在で八・五%の民間との格差があるわけですから、それから数えてももう半年以上たっているわけです。半年間もそういう低い生活の中に大ぜいの公務員を置くということは、私はやはりこれは国家の行政全般にわたっての大きな影響もありますし、国民に対するサービスの面でも非常に問題があろうかと思うのです。したがって、私は、この臨時国会が十一月下旬だと、こう言われておりますけれども、しかし、方針としては、臨時国会直前にこれを出すということでなしに、オリンピック期間中でも、あるいは十月一ぱいにこれを出す、こういうひとつかまえをぜひとってもらいたい、こういうふうに思います。時間がありませんから、またいずれ御質問申し上げますけれども、強くその点を要望して終わりたいと思います。
  148. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 本問題の本日の審議はこの程度にとどめたいと思いますが、よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  150. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) 次に、港湾労働問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  151. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣は時間がないようでありますので、ただし、きょうどうしても大臣から聞いておきたい点がありますので、十分くらいの範囲に質問を限定して終わりたいと思いますが、私は、日本のすべての、大小の差はありますけれども、港で働く港湾荷役関係の労働者にきわめて重要な関係を持つ港湾労働法が近い将来に省議を経て脚光を浴びる、こういうようなふうに一つの予感を持っておるわけであります。したがって、具体的にこの港湾労働法が省議の決定をみて、そして内外にこういう一つの基本構想で、こういう大綱ができるのだということの発表のできるタイミングはどの辺の時点に心細みしておられるか、その辺をひとつお伺いしておきたいと思います。
  152. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 港湾労働等対策審議会の答申の線に沿って港湾労働法を制定できるように目下努力中でありまして、大体港湾労働審議会の答申の線によってまとめられるものと考えております。その時期は通常国会までにはまとめ上げたいと考えております。
  153. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そこで、私はいろいろな情報も持っております。かりに九月の二十日の朝日新聞の夕刊だけに限って出ておりましたので、その出たものを、それが大綱であり、内容のすべてであるというふうに直訳的な受けとめ方はいたしませんけれども、いずれにいたしましても、いま大臣みずからが三・三答申の線に沿うて、あるいはそれを踏んまえてと言っておられますけれども、かりに朝日新聞の夕刊に出た、いわゆる労働省の大綱がまとまったという形で活字になっているものをそのまま私が身にちなんで分析した限りにおいては、これはやはり三・三の答申の趣旨や精神が非常に取り入れられていないというところに食い違いを持っておりますので、このことだけは、事務当局は作業は相当に進められておると思いますけれども、大臣にとにかくこのことを私はこの時点で強い要望を申し上げておく必要があると思います。前段申し上げましたように、日本のすべての港で働く、そして荷役作業をしておる港湾労働者の生涯を通しての切実な利害関係を持つ問題でありますから、この点だけは十分ひとつ大臣の責任において配慮しておいてもらいたいということを、特に法の制定にあたって要望事項として申し上げておきます。  港湾労働法の制定にあたっては、港湾労働の持つ国際性及びその特殊性にかんがみ、一九四九年にブラッセルにおいてILO内陸運輸委員会で採択した港湾労働者の雇用恒常化に関する決議、決議の内容は十三の項目に及んでおります。内陸運輸委員会が採択した港湾労働者の雇用の恒常化に関する決議の内容及び三・三答申の実現に最大の努力を払ってもらいたい。繰り返して申し上げますが、朝日新聞の発表した大綱に基づけば、少なくとも国際性と港湾労働の特殊性というものを踏んまえて、いま申し上げましたILO内陸運輸委員会や、そうしてこの三・三の答申の趣旨、精神というものを一〇〇%われわれの主観では強く要望したいのでありますが、今日的な時点は、遺憾ながらそれは望むべくして得られないけれども、しかし、労働大臣の良識と責任で、ただ法案を整備してそれを形式上出すということでは、港で働く、たとえば災害防止の問題にいたしましても、待遇の問題につきましても、福祉施設の問題につきましても、雇用の需給の面でかけがえないからこういう法をつくられるというのじゃだめです。それと同時に、港湾労働者がこれはつまりしあわせをかち得たといったような、そうしてそこから勤労意欲に結びつくというような点を配慮して、事務当局が、やはり法の制定の技術面においてはさることながら、いま申し上げた点を十分労働大臣に留意していただきたいということを強く要望をして、次回は十一月の九日に労働問題に関する調査ということがあるということを聞いておりますので、そういう中で情勢の推移を踏んまえながら、十分でなくても、きょうのように五分や十分という時間でなくて、ひとつまた職安局長にも御出席いただいて、大事なことですから、いろいろと質問いたしたいと思いますので、きょうはこの程度で終わります。
  154. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 二十日の朝日新聞の夕刊の記事は、私がジュネーブに参っている途中でありますので、承知いたしておりませんが、そういうように新聞に出るようにはまとまっておりませんから、朝日新聞の夕刊の記事というのはあまりお気におとめにならないようにお願いいたします。
  155. 藤田藤太郎

    委員長藤田藤太郎君) それでは、本件に関する調査は、本日はこの程度にしておきたいと思います。  本日はこれで散会いたします。    午後二時十五分散会