○丸茂重貞君 そういう数字は、おそらく保険
局長さんでも一々御記憶になっておらないだろう、準備しておられるかと思ったのですが。
そこで、いまの健康保険組合の問題、一般にいまは
地域格差の是正ということが政治の大問題なんです。ところが、社会保険機構の中にあっては、ますます今後格差をつくろうつくろうという方向に組織ができて、法律ができているわけです。これは大臣御承知のとおり、われわれがいま一番心配しておりますのは
国民健康保険です。いまの
国民健康保険の実態、ことばが少し過ぎるかもしれませんが、そのまま申し上げますると、あれは掃きだめなんです。なぜそういうことを私が言うかというと、
地域における、たとえば中小企業で五人未満の零細な連中は国保でやっている。少し
状況がよくなると、五人以上になると政府管掌になる。それが三百人以上になって、さらに裕福になると組合健保で抜けてしまう、こういうことです。よくなり次第国保から抜け出るようなシステムになっている。一方、健康保険組合の被保険者が六十ないし六十二、三歳になると、これは御承知のように、やめますから、どこへいくかというと、
国民健康保険にいかざるを得ない、こういう実態なんですよ。したがって、これはもう掃きだめということばがまことに——適切じゃないかもしれませんが、実態はそうなんです。そこで、
国民健康保険だけをよくしろよくしろと言っても、バケツの穴をふさがないで上に水を注ごう注ごうとするところに今日国保の強化策の間違いがある。これは国保は
国民にとってたいへんな問題です。健康保険もたいへんな問題です。
もう一つここでお
考えいただきたいことは、いま
全国をそういうふうに
考えたという
資料はむずかしゅうございましょうから、保険
局長にお願いしますが、たとえば東京都だけで、国保も健保も何もかも全部一緒にひっくるめていまの保険料ということでやったらどういう形になるか、
資料として出していただきたい、これはお願いしておきます。
そこで、
国民健康保険が掃きだめになった、いいものはどんどんよくなる、悪いものはどんどん悪くなるというものを健康保険ではそののにして置く。地方行政では、地方格差を除こう除こうといって一生懸命
努力しているときに、大事な
国民の生命を直接扱うところの健康保険そのものを、格差は格差で広げて、いいものはますますよくしていく。この間の提出
資料を見ましても、いわゆる健康保険組合に至りましては、時価で換算いたしまして二億、三億という包容
施設をずらずら持っているのがたくさんあります。これは
全国で三百や四百じゃございませんでしょう。それはそれでいいと思う。いいと思うんだが、一方で国保の、悪い保険者を犠牲にして、生活保護を犠牲にして、あるいは日雇いを犠牲にするという態勢にある。しかも、医療費の引き上げという問題になると、
国民の実際の命を守る医療費問題というものになると、一番裕福であるところの健康保険組合がまっ先に反対をする。私をして勘ぐらしめるならば、このぬけぬけ持っているところの黒字と、甘い汁を吸っているのじゃないかと思われるところのものを医療費で吸い上げられるのが一番つらいというところでまっ先に騒ぎ立てるのじゃないか。しかし、これはまことに浅慮、短慮でありまして、こういうことをやっているから、われわれは裕福なものにメスをふるわざるを得ない。どうぞ大臣、先刻御明言されましたように、この問題の解決以外には医療費問題の解決はありません。
国民のほんとうに生命を守る
方法はないと思う。ましていわんや、国保はいままさにつぶれようとしています。これを救う
方法は、相当国費をがっぽりがっぽり入れようとしてもできない。まず
全国民をそういうブルドーザーにかけて格差がないということにしておいて、なおかつ金が足らなかった場合に国費を勇敢につぎ込んでいく、いまその素地、素材ができておらぬ。おらないから大蔵官僚あたりに、
国民の一部である
国民健康保険に大幅な国庫補助はやれないのだということを言われて引き下がらざるを得ない。これがいまのかっこうで、全部ブルドーザーをかけた上に立つならば、これは大蔵省だって国費負担をいやがる理由はなくなるのじゃないか、こういうふうに思います。世上、お聞きいただきたいのは、健康保険組合は
厚生省のお役人の天下り場だといううわさが、私は信じておらない、信じておらないのだが、そういううわさが出るようなことがあっては、厚生行政の百年のために非常なマイナスです。そういううわさがあると、一犬虚にほえて万犬実を伝うということになって、何かあるのじゃないかという憶測が伝わってくる。これがまた医療者団体と被保険者団体の相克に油を注ぎ、
厚生省と三師会にも油を注ぐという悪循環をしていると思う。この際、思い切って強大な政治力をもって、ぜひともいまの抜本再建策に大臣が勇断をふるわれんことを私は心からお願いする次第です。なお、緊急是正については、先輩
委員がいろいろ御質問されて、意のあるところはわかったような気がいたしますので、私は重ねて申し上げません。ただ、最後にくれぐれも申し上げるのは、十五
年間に四八%しか上がらなかったのはほかにないのだ、これは私はだれが聞いてももっともだ、そういうふうに思われます。
最後に、いままで医療費の引き上げというものは五、六回されているのです、二十三年以来。そのインターバル、期間というものは非常に不ぞろなんです。いままでの医療協の組織というものを見ますと、いつでも医療
担当者側からやいやいせっつかれせっつかれて、せっつかれたあげくに大臣がいやいや諮問しているというのが実態なんです。二十六年のときも三十二年のときも、いつでもそうなんです。今回も例外ではない。これは大臣も御承知のとおり。医療協議会は法律でつくられている医療協議会です。もしそういうものであるとするならば、医療
担当者が請願、陳情に及ぶ前に、物価高騰、こういうものがあるならば、医療費というものは是正しなくちゃならぬということを自発的に大臣が諮問して、自発的に審議に入らなければいかぬ組織のものじゃないか、法律というものはそういうことを医療協に要求しているのじゃないか。ところが、いままでの医療協の実態は、医療
担当者側の医療費の適正化を防ぐ防壁のような役目を実態的にやっているわけです。すでに昨年要求されたものは、大臣のお話ですと、ことしは無理だろう、来年の話ということになると、三
年間でたとえば二〇%ないし二三・八%というものを要求したならば、これは一年に換算すればいみじくも八%くらいになってしまう。私は、まさに
厚生省というものは先を見たようなアドバルーンをあげるものだと感心しているのです。三
年間引き延ばして、二〇%を三
年間にすれば七、八%になってしまう。そこまで悪意はなかったろうと思いますが、結果的にはそうなってくるわけです。これはいま大臣がちょっと阿
具根委員の質問に対してお答えになったように、たいへんな社会問題をはらんでおります。はっきり申し上げておきます。そういう中にあって、医療協議会の答申、あるいは審議の実態に、眼光紙背に徹するところの大臣が観察をしていただきたいと思います。私は一部を申し上げたに過ぎない。いまにしてこの一方的な厚生保険行政を是正せざらんか、これはもうたいへんなことになるということを、私はまことに心配のあまりに大臣にあえて申し上げておきます。そこで、答申書にははっきりと二〇ないし二三・八%というワクの数字しかないのですから、これを基準にして高度の政治的な判断をされんことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。