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1964-02-25 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)    午後一時二十一分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            徳永 正利君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            鹿島 俊雄君            紅露 みつ君            佐藤 芳男君            丸茂 重貞君            山下 春江君            横山 フク君            阿具根 登君            杉山善太郎君            藤原 道子君            小平 芳平君            林   塩君            村尾 重雄君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君   政府委員    厚生大臣官房長 梅本 純正君    厚生大臣官房国    立公園部長   今村  譲君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省薬務局長 熊崎 正夫君    労働大臣官房長 和田 勝美君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    通商産業省企業    局産業公害課長 加藤 庄市君    気象庁予報部長 日下部文雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会福祉事業振興会法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○麻薬取締法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○派遣委員報告予防接種法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○社会保障制度に関する調査  (大気汚染防止対策に関する件)   —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案並びに麻薬取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府より両案に対する提案理由説明聴取いたします。小林厚生大臣
  3. 小林武治

    国務大臣小林武治君) ただいま議題となりました社会福祉事業振興会法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  社会福祉事業振興会は、社会福祉事業施設経営に関し、必要な資金貸し付けその他社会福祉事業に関する必要な助成を行なうとともに、社会福祉施設職員退職手当共済制度を運営している特殊法人であり、社会福祉事業振興に多大の寄与をいたしておりますことは、御承知のとおりであります。  この振興会の行なう貸し付け業務につきましては、従来、国の一般会計からの出資金をもって事業を行なってまいりましたが、振興会貸し付け資金に対する需要は、最近著しく増大しており、国の出資のみに依存する従来の方式ではこの需要に十分こたえることが困難であります。  よって、この際、社会福祉事業振興会法の一部を改正し、振興会財務会計等に関する規定整備し、振興会貸し付け資金充実をはかろうとするものであります。  すなわち、一般会計からの出資のほかに、振興会社会福祉事業振興債券を発行することができる旨の規定を設け、振興会資金の公募を行なうことができるようにするとともに、政府から資金運用部資金貸し付けを受けて、社会福祉事業施設に対する貸し付け原資に充てることができるようにしたい考えであります。  このことに伴い、この改正法案には、債券債権者先取特権債券発行事務委託等について規定しております。また、振興会は、毎事業年度債券及び長期借入金について償還計画を立てなければならないこととするとともに、その他所要規定整備をいたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。何にとぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。   —————————————  次に、ただいま議題となりました麻薬取締法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  麻薬事犯を取り締まるため、現在、厚生省に百五十名以内の麻薬取締官を、都道府県を通じて百二十名以内の麻薬取締員を置くこととされておりますが、最近における麻薬事犯巧妙化潜在化等傾向が顕著であることにかんがみ、麻薬取り締まりの態勢を整備強化するため、麻薬取締官の数を百六十名以内に、また、麻薬取締員の数を百三十五名以内にそれぞれ増員する必要があると考え、所要改正を行なおうとするものであります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いする次第であります。
  4. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 本日は、以上両案の提案理由説明聴取にとどめておきます。   —————————————
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、派遣委員報告の件を議題にいたします。  先般、厚生及び労働行政実施状況調査のため委員派遣を行なったのでありますが、本日は、第一班の静岡及び山梨の両県及び第二班の滋賀県及び大阪府について藤田委員並びに村尾委員より御報告願います。第一班村尾委員
  6. 村尾重雄

    村尾重雄君 第一班の報告をいたします。  当委員会決定により、鈴木委員長山本委員と私の三名が、二月五日から七日まで静岡山梨の両県下視察いたしました。  調査項目は、雇用状況労働基準に関する事項、特に中小企業における労働事情労働災害防止に関する事項社会保険実施状況社会福祉事業状況厚生及び労働行政に関する当面の問題であります。  日程は、二月五日、昼前、静岡市に参り、県庁で、県及び労働基準局から所管事項に関する説明を聞き、次いで清水港における港湾施設及び荷役作業視察の後、山梨下部町に宿泊。翌六日には、下部国民温泉施設並び中富町における日本住血吸虫病防疫作業視察の後、昼過ぎ甲府市に着き、県及び労働基準局から所管事項に関する説明を聞き、次いで県立あけぼの学園視察して同市に宿泊。七日には県立研磨工業指導所山梨大学工学部無機合成研究施設並びに有限会社土屋華章製作所視察の後、夕刻新宿に帰着いたしたのであります。  次に、調査結果の概要を申し上げます。  まず、雇用状況労働基準に関する事項、特に中小企業における労働事情について申し上げます。  雇用状況につきましては、静岡山梨両県とも、新規学卒者には、県外大都市企業への就職希望者進学者が多く、県外からの移入を差し引いても、なお移出が多く、かつ、また、県内の企業が年々増加して、求人数も多くなっていますので、労働力需給アンバランスが問題となっております。静岡県における昭和三十八年卒業生に対する充足率は、中学校三三・二%、高等学校三六・七%であり、また、山梨県における一般求人充足率は、昭和三十八年において四二・六%であります。特に中小企業における充足率は、大企業に比べて非常に低く、静岡県においては、昭和三十八年卒業生に対する充足率が、従業員五百名以上の企業では、中学校五三・二%、高等学校四〇・四%であるのに反し、従業員二十九名以下の企業では、中学校二〇%、高等学校三三・二%でありまして、中小企業における労働力不足は特に深刻な問題となっております。  労働基準法適用につきましては、静岡山梨両県とも、適用事業場労働者も年々増加しております。労働基準法違反件数は、両県とも、定期監督において、全体としては減少傾向にありますが、中小企業における違反が多いようであります。おもな違反事項は、危害の防止労働時間等であります。  次に、労働災害防止について申し上げます。  静岡山梨両県とも、前述のとおり、事業場及び労働者増加にかかわらず、災害発生件数及び発生率は、近年減少傾向にあります。死傷の年千人率を事業場規模別に見ますと、昭和三十七年において、静岡県では百人以上の事業場の一六・六に対し、百人末満では二四・六、山梨県では百人以上の事業場の一九・四に対し、百人末満では二四・三でありまして、中小企業における災害防止重要性を示しております。  なお、清水港における荷役作業については、年々寄港船舶増加し、積み出し貨物が月末に片寄りますが、接岸荷役が多く、また、昨年八月、清水港湾労働安全衛生協議会を組織して、安全指導を行なっておりますので、災害率全国港湾平均率を下回っているとのことであります。  次に、社会保険実施状況につきましては、静岡山梨両県とも、給付額増加に伴う保険収支の窮迫が問題となっており、また、静岡県においては、国民年金の無理解による末加入者の解消に苦心しているということでありました。  次に、社会福祉事業状況について申し上げます。  山梨県立あけぼの学園は、小児麻痺患者父母たちの強い要望が動機となって設立せられ、昭和三十四年一月に開業、現在定員百床、県立養護学校の分校が併設されまして、身体障害児童医療と教育を行ない、すでに退園した者百四十名であります。県下身体障害児童は推定四千名とのことでありまして、収容定員増加と、重度心身障害児童のための専門療育施設の早急な拡充が強く要望されていました。  山梨中富町における日本住血吸虫病防疫作業について申し上げます。  この風土病は、いまなお山梨、広島、佐賀等の各県に多く、宮入貝中間宿主とする日本住血吸虫が皮膚から侵入し、血管や腸などに寄生することにより、まず、発熱、下痢、粘血便などの症状を呈し、次第に肝臓障害などを起こすに至るものであります。本病の防疫対策としては、水田のみぞをコンクリート化して宮入貝の好む生息の場所を奪い、その他の生息地薬剤散布火炎放射を行なって宮入貝を減殺するとともに、検便により患者を早期に発見して駆虫と治療を行なうことであります。中富町におきましては、洪水で流れてきた宮入貝が繁殖したためか、昭和三十年に富士川沿いの部落で三十名をこえる患者発生しましたので、自来、国及び県の補助を得て防疫努力の結果、三十六、三十七の両年度には発病者をみなくなりましたが、三十八年度にまた新患者が一名発生したとのことであります。この町のコンクリート溝計画は地元の負担能力関係上、一応の目標達成までなお三年を要する趣でありますが、防疫対策の急速な徹底の必要を痛感する次第であります。  下部国民温泉施設としては、下部町が国及び県の補助を得て建設いたしました温泉会館及び温泉プールがあります。温泉会館の料金、下水道建設、新しい温泉源の掘さくについて町当局から要望がありましたが、国民温泉施設振興整備環境衛生改善等については地方財政事情をも考慮して、さらに強化すべきであると思います。  山梨県立研摩工業指導所では、研摩彫刻に関する各般の研究指導を行ない、超音波を利用する精巧な加工法を実用化していました。山梨県における研摩工業材料は、現在ほとんど輸入品でありますが、山梨大学工学部国富教授は、水晶宝石類の成分を高温高圧下において溶解し、適当な高温高圧下において再結晶せしめる方法によって人工水晶宝石類を合成することに成功せられ、人工水晶通信機材料として性能は天然のものにまさり、すでに工業化しているとのことであります。  有限会社土屋華章製作所は、安政年間に創業の由でありまして、輸入貴石、半貴石に加工した彫刻類を再輸出しており、現在従業員十二名のうち、四名の身体障害者を使用し、作業場の安全設備従業員宿舎施設等もよく整備されておりました。  最後に、各地におきまして受けました要望について申し上げます。  静岡及び山梨の両県庁並びに山梨県立あけぼの学園において、重度心身障害者に対する施設の早急な拡充を訴えられましたのをはじめ、各種社会福祉事業助成拡充社会保険改善職業訓練事業補助等、いずれも切実な問題に関するものでありますが、詳細はお手元に配付いたしました「第一班に対する要望事項」によって御承知を願います。  なお、社会保険国民年金、職業安定、失業保険事務に従事するため、県庁で勤務する国費支弁職員の俸給が、勤続年数増加に従い、一般県庁職員に比べて数号俸劣ることとなり、人事運用上苦慮している旨、静岡県当局から強く訴えられましたことを申し添えます。  以上をもって第一般報告を終わります。
  7. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ありがとうございました。  では、次に、第二班藤田委員より報告をお願いします。
  8. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 第二班について簡単に御報告申し上げます。  徳永理事及び私の二名は、当委員会決定に基づきまして、去る二月五日から八日までの四日間、滋賀県及び大阪府を視察いたしましたが、特に私ども国民健康保険実施状況生活環境施設整備状況重度心身障害児対策実情労働災害防止施策実情及びその他最近の雇用失業情勢等厚生労働行政の当面の問題に焦点を合わせ、地方の現状を見てまいったのであります。  まず、滋賀県におきましては、県庁において県当局及び労働基準局長等からおのおの所管事項に関する説明を受けた後、重度心身障害児療養施設であるびわこ学園及び琵琶湖大橋の建設現場視察、また、大阪府におきましては、府庁及び労働基準局において同様説明聴取した後、府立家事サービス職業補導所豊中市の清掃関係施設武田薬品工業大阪工場及び松下電子工業高槻工場をそれぞれ視察いたしました。  以下、調査項目ごとにその結果の概要を申し述べます。なお、要望事項を別に印刷し、お手元に配付いたしてありますので、御高覧願います。  第一に、国民健康保険実施状況についてであります。滋賀県におきましては、県民半数以上が国保加入者であり、県民健康保持のためにその占める地位はきわめて高いものでありますが、一方、保険財政も比較的順調に推移いたしておりまして、保険者のほとんどが黒字の運営を行なっております。しかし、近時県下産業経済活動の変革に伴いまして、被用者保険への転換がふえ、国保加入者減少傾向にありますので、今後は財政的にも国庫に依存する度合いが高くなるものと思われます。大阪府の場合は、すでに国保加入者は三割程度と低く、しかも、その加入者には低所得者の占める割合が多く、一方、最近の医療費上昇等も影響して、保険者の多くは赤字財政に悩んでおりまして、府全体で昭和三十八年度までに累積約八億円の赤字になっているとのことであります。このため、府としては、療養給付費に対する大幅な国庫負担の増額、事務執行費実質全額国庫負担診療施設経営に対する強力な国の援助等について強い要望を持っております。  一般に、各保険者とも、医療給付率の向上やその他の給付改善には意を払っておりますが、財政状態の差もあって、現在のところ、国保保険者相互間には相当な給付格差が見られ、その上、一方では被用者保険とのアンバランスの問題も未解決のままであります。国民保険の実をあげるためにも、これら格差の是正を含めた国保健全化のための施策を確立される必要を痛感いたしました。  次に、生活環境施設実情についてでありますが、滋賀県におきましては、近時農村人口都市集中化化学肥料発達等によりまして、その処分は必ずしも衛生的な状態にあるとはいえません。特別清掃地域における、し尿処理についてみましても、その八割は不衛生的処分であるといわれております。ただ、同地域内のごみ処理につきましては、逆に八割までが焼却処理されているとのことで、今後は、し尿処理に力を入れるとのことであります。  一方、大阪府におきましても、最近の産業発達等に伴う人口の急増で、年々増加する汚物処理が府の行政の大問題となっております。現在のところ、ごみ処理進捗率は約五割、し尿処理につきましては七割強と、一応順調のようではありますが、し尿処理のほとんどはまだ下水道終末処理によるものではなく、これによるものはわずか二二%程度であります。私どもが訪れました豊中市でも、下水道終末処理方式を強く希望し、そのための国の援助を強く要望しておりました。両府県とも、日増しに深刻度を加えているこれら汚物処理には頭を痛めておりましたが、その対策のためにも多額の経費を要するのでありまして、今後とも国の強力な援助によってこれを推進することが必要であると思われるのであります。  次に、重度心身障害児対策について申し上げます。御承知のとおり、これら児童は最近まで治療、回復の困難性や処遇に多額の費用と人手を要すること等の理由もあって、放置に近い状態にあったのでありますが、その意味で私ども視察したびわこ学園はまことに画期的な施設ともいえましょう。本園は、財団法人大木会が、昨年、国及び県の補助を受け設立したものであります。しかしながら、現在のところ、入園児童はわずか二十名であり、滋賀一県の需要にも応じ切れない状態にあります。この七月までにはさらに七十床が増床となりますが、これに対し、入園希望者全国から殺到し、申請中のもののみでもすでに二百名を数えております。白痴児一つとらえてみても、滋賀大阪府県で約千名にも及ぶといわれ、全国重度心身障容児施設への要収容対象児は三万人から四万人に達すると推定されるとのことであります。しかして、発足早々びわこ学園においてすでに療育費不足が生じており、さらに給与等、待遇の問題もからんで医師、看護婦など職員確保の困難の問題も起こりつつあります。以上の諸点から見まして、これら不幸な児童のため、国が全国各地施設を設置し、救済をはかることが急務であると考えます。  次に、労働災害防止施策実情について申し上げます。  滋賀及び大阪労働基準局とも、新産業災害防止五か年計画に沿って努力を払っており、現在までのところ、千人率では一般的に減少傾向を示し、一応の成果はあがっているものと考えられます。しかしながら、両府県とも、ここ数年間は、産業発達等に伴って、実災害件数そのもの増加しているわけでありまして、今後一そうの努力によって災害減少に意を払う必要があろうと思われます。さらに、問題は、相変わらず小規模事業所災害率が高いこと、また、建設事業運輸事業、林業、土石採取業等災害率が高いことなどであります。そのためには、今後とも一そう強力な監督指導行政の推進が要求されますとともに、直接事業に従事する者に十分な安全意識を培養することが大切であると考えます。なお、両府県とも、近時、事業所数増加が著しく、この点からも労働基準局充実、強化に意を払う必要を感じました。  右のほか、厚生及び労働行政に関する当面の問題として、成人病予防に関する法制定について大阪府から要望があり、また、最近の若干労働者不足に関し、両府県から対策確立について強い希望が述べられました。後者の問題については、本年度はわずか四分の一程度充足しかなく、特に中小企業を多くかかえている大阪府の悩みは深刻であります。しかし、反面、中高・年労働者求職難は引き続き継続している状態でありまして、これら労働力の配置に関し、国として抜本的な対策を講ずることが急務であると思うのであります。その他、大阪における港湾労働問題の解決も特に重要な問題でありまして、これら労働者常用化大阪西成地区の民生安定にも関連があるとの観点から、対策を講ずる必要に迫られているのであります。  以上、簡単でありますが、報告を終わります。
  9. 鈴木強

    委員長鈴木強君) どうもありがとうございました。派遣委員各位には御苦労さまでした。  なお、この機会に、本調査を施行するにあたり、たいへん御協力をいただきました厚生労働両省関係の皆さん、さらに関係各県の各位に対して、心からお礼を申し上げたいと思います。  なお、派遣委員報告に対しまして御質疑の申し出もありますが、いずれ日をあらためて、労働厚生両省より、要望事項に対する御見解等をもお述べいただいた上で行なうことにいたしまして、本日は報告聴取のみにいたしておきます。  また、お手元に配付いたしました第一班(静岡県、山梨県)及び第二班(滋賀県、大阪府)に対する要望事項は、これを会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————
  11. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、予防接種法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより、本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、どうぞ御発言を願います。
  12. 徳永正利

    徳永正利君 この予防——むずかしい学名があるようでありますが、私、これを一々その学名で御質問すると時間もかかりますし、「小児麻痺」ということばで、俗名で呼ばしていただきますから、そのように御了承いただきたいと思います。  御提案の趣旨は、一応提案理由説明で了承いたしましたが、最近における小児麻痺発生状況、それから、それに対してどういう今日まで措置がとられてきたかということを概略お話しいただきたいと思います。
  13. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) わが国小児麻痺発生状況は、昭和二十五年から二十六年にかけまして、患者が約三千名ないし四千名くらいで、多かったわけでございます。その後、昭和二十八年、九年ごろに若干下降いたしましたけれども、三十年にはまた千三百十四名とふえております。その後、一年ごと増加傾向を示しまして、昭和三十三年には再び二千六百名、特に熊本、宮崎、鹿児島、山口、新潟、長野というような各県に集団的な発生を見たのでございます。さらに、三十四年に入りますと、神戸、八戸に集団発生があり、一そうどうも増加傾向が見えてまいりました。そのため、昭和三十四年の六月に、伝染病予防法による届け出の義務を課する手続をいたしました。三十四年には二千九百十七名を数えましたが、三十五年には、さらに流行的な増加があり、北海道においては爆発的な流行が始まったのであります。過去におきます集団発生というものは、大体そう大きな規模ではなかったのでございますけれども北海道等におきましては、かなり大規模な集団的な発生を見るに至りました。これに対しまして、アメリカにおきましてはソーク・ワクチンというものがすでに開発されておりまして、昭和三十年には一般に使用をされ始めております。わが国でも、このことにかんがみまして、昭和三十三年に不活化ワクチン、いわゆる古いソーク・ワクチンでございますが、その基準をつくりまして国産化を進めたわけでございます。そして、三十六年一月から、生後六カ月から一年六カ月の間の乳幼児予防接種を実施いたしました。また、三十五年度に入りまして、患者発生が五千六百名というような大量になりまして、一方、ソーク・ワクチンの生産の見通しがつきましたので、昭和三十六年の三月に予防接種法改正いたしまして、三才までの乳幼児ソーク・ワクチンを注射する義務を設けたのでございます。ところが、三十六年に至りまして、九州はじめ、一円に、前年の北海道にも劣らないような大流行が始まりまして、そのために、三十六年の六月に、すでにカナダにおいて開発されておりました径口生ポリオワクチンを緊急に輸入いたしまして、そうして緊急対策として七月から一斉に投与を始めました。このときの対象生後三カ月から六才までの乳幼児でございます。この結果、三十六年における患者数は、前年度半数程度にとどまったのでございます。このことにかんがみまして、いわゆる小児麻痺の撲滅のためには生ポリオワクチンがきわめて有効であるということから、三十七年の三月から五月にかけまして、再び生後三カ月以降の乳児から十三才までの学童に対しまして、第二回目の生ポリオワクチン投与を行ないました。その後、引き続いてその対策が本年の年度末まで行なわれるわけございます。現在までの患者はきわめて急速に減少いたしておりまして、五千名程度までまいりましたのが、三十八年度におきましては百四十名程度患者減少いたしております。以上が概要でございます。
  14. 徳永正利

    徳永正利君 大体の経過はわかりましたが、ソークから生ワクに変えたというその理由ですね、その点をもうちょっと詳しく御説明いただきたいと思います。
  15. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) ソークとセービンの生ワクが、ほとんど時期を同じくして開発されておりましたが、ソークのほうが若干先に実験が進みまして、効果を確認されたのが若干先であります。そういうことで最初にソークを取り上げましたけれども、その後の各国における実験結果から、セービン・ワクチンのほうがはるかに有効であるということが大体確認されましたので、セービン・ワクチンに切りかえたわけでございます。
  16. 徳永正利

    徳永正利君 そこで、問題は、その国産の生ポリオワクチンの安全性の問題が出てくると思うのですが、いま諸外国——まあ私ともよくあまり知らないのだが、セービンでは外国でどこが一番安いか。日本に輸入した場合に、一番安いところはどこなんですか。
  17. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) ソーク・ワクチンのほうですか、生ワクのほうでございますか。
  18. 徳永正利

    徳永正利君 生ワク。
  19. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 生ワクチンにつきましては、先生御承知のように、主としてソ連、カナダ等から、三十六年以降、数回にわたって輸入をいたしているわけでございますけれども、この輸入にあたりまして、従来は国が全額買い上げるというたてまえをとっておりまして、それで全部これを競争入札でやったわけでございます。それで、最初の、先ほど公衆衛生局長から御説明ありましたように、三十六年の七月に緊急投与ということでやりましたときにはソ連とカナダ、これはソ連の場合にはボンボン、カナダの場合にはシロップということで千三百人分入れまして、ワクチン代は一人当たり大体三十円ということになっております。その後、技術的にも進んでまいったと見えまして、翌三十七年に千七百万人投与いたしましたときにはカナダの分だけでございまして、これは一人二十円、それから三十八年に八百五十万人分やりましたときにはカナダとソ連の両方から入れまして、これが一人十七円、現在のところ、三十八年度分も大体十七円と、こういうことになっております。ただ、ソ連のワクチンにつきましては、これは全部国でやっておりますので、国際入札の関係上、カナダ等との輸入の競争上、ソ連のほうが価格を便宜的に提示してくるという形に相なっております。
  20. 徳永正利

    徳永正利君 日本の国産のワクチンは、安全性がどの程度に確かめられているか、これは聞くところによると、まだ人体実験もやられていないという話を聞いておるのでありますが、この点について、ひとつ安心のいくようなお話を承りたいと思います。
  21. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 徳永先生御指摘のように、現在のところ、生ポリオワクチンについての安全性については、若干一部の方で御指摘のような不安を抱いておる方があるやに私ども承知をいたしております。しかし、径口の生ポリオワクチンを国内で生産するにあたりまして、厚生省のとりました対策としましては、十分御納得のいくあらゆる手段を講じてきたというふうに、私どもは自信を持って申し上げてよろしかろうと存じておるわけでございます。  経過につきましては、大体ポリオワクチンといいますか、こういうワクチン類を製造する場合には、生物学的製剤でございますので、慎重に、中央薬事審議会の中に特別部会がございますので、生物学的製剤の特別部会におきまして径口生ポリオワクチン基準を制定するという手続をとるわけでございます。現在のところ、ワクチン類につきましては、全部製造基準といいますか、基準ができ上がっております。生ポリオワクチンにつきましてもその基準の作成をやりまして、これが昨年の七月二十日に径口生ポリオワクチン基準といううことで制定されたわけでございます。その基準に基づきまして製造が開始されるわけでございます。製品ができ上がりました場合には、やはりその基準に基づきまして厳重な国家検定を受けるという手続が必要なわけでございます。この国家検定をやりましたのは、国立予防衛生研究所でやったわけでございます。したがいまして、厳重な製造基準に基づきまして、しかも、製造過程において自家検定も行ない、その上で国立の予防衛生研究所で厳重な国家検定を受けたということでもって、私どもはその安全性が十分確保されるというふうに考えておるわけでございますが、ただ、その製造基準というものは、それではかってにわが国がきめるのかという御疑問もあろうかと存じますけれども、これは絶対にそういうことはないのでございまして、昭和三十六年以来、生ポリオワクチン投与成績が出てまいりましたし、それから、先生方も御承知のように、世界各国で生ポリオワクチンを使っておりますので、WHOのほうの勧告基準が参考にされたことは当然でございますが、このWHOの基準というのは、これは国際的な基準でございます。それで、国際的な基準に基づいて国内の製造基準をつくったというほどでございますから、これは国際的に認められた基準というふうに申し上げてもよろしいと思います。  それから、もう一つ、いわゆる生ワクチンにつきましては、いろいろな学者のワクチンがございまして、セービンの株、コックスの株、コポロスキーの株とか、いろいろなものがございますが、国際的に最も安全であるというふうにいわれておるのが、セービン博士の株でございまして、日本の国内ワクチンに使いましたのもセービン博士の株であるわけであります。このセービン博士の株につきましては、過去において、昭和三十六年に緊急投与で生ワクを使用するといった場合に、やはりその安全性が問題になりまして、学者の方々に頼みまして、約六千名の学者の方々が持っております保育所とか幼稚園といったところのフィールドの実験も終わっております。それから、また、引き続いて生ポリオワクチン協議会という研究協議会をつくりまして、日本のワクチンの学者を全部集めました協議会におきまして、大体北海道、福岡、熊本あたりを中心にいたしまして、三十万人にわたります広範な投与の実験をやったわけでございます。その点で十分安全性が確保されておるいうことを、このセービン・ワクチンにつきまして確認をした上で昭和三十六年以降投与を続けたわけでございますから、これを全部延べにいたしますと、すでに四千万人分のセービン・ワクチン投与が安全に行なわれておるという実績があるわけでございます。これだけの実績がございますので、このセービン博士から分けていただいた株を主体にしてつくりまして、しかも、国際的な基準に基づきました製造基準に基づいた国内の生ワクチンであるということでもって、十分安全性は確保されておるというふうに、私どもは自信を持って考えておるわけでございます。
  22. 徳永正利

    徳永正利君 日本で製造した場合に、一人分の価格といいますか、それは幾らぐらいですか、日本製では。
  23. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 大体四十七円程度というふうに考えていただいてよろしいと思います。
  24. 徳永正利

    徳永正利君 この生ポリオワクチンというのは、一体どのくらいの国が製造しておるのですか。
  25. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 大体、いわゆる欧米先進国といいますか、そういったところでは、ワクチンは国内産のワクチンをもって使用するという原則を立てておりまして、わが国におきましても、ワクチン類につきましては、輸入品はやめて、なるべく国内産でやっていくというたてまえをとっております。先ほど公衆衛生局長が御説明いたしましたように、ソーク・ワクチンにつきましても、最初はアメリカから輸入をしておったのでございますけれども、なるべく国内でやるべきだということで、多額研究費をつぎ込みまして国内のソーク・ワクチンの生産に成功し、次に、生ワクチンがより有効であるということでもって、この生ワクチンについても、やはり国内製造に踏み切るべきだということで、鋭意研究を続けまして、ようやくその効果をあげたわけでございまして、大体ソ連圏も含めまして、国内産でやるということをたてまえにいたしておりまして、まずワクチンの生産を国内でやってない国というのは先進国にあらずというふうなことになっておるやに聞いております。
  26. 徳永正利

    徳永正利君 それは、国産愛用というのは私は大好きでございまして、それにこしたことはないと思います。ただ、問題は、自動車を使うようなわけのものでなくて、当面の病気の予防でございますから、その辺にちょっと何ぼ国産といっても問題があろうと思う。特に定期予防接種のうちに、小児麻痺ワクチンのみが補助金の対象になっておると思うんですが、その場合に、どうしてその安いやつをより多くの人にやる、それと並行して国内産を安い価格まで近づけるとか、あるいはまた生産を伸ばすとか、いろいろな問題が出てこようかと思います。当面その安全性も確かめられたし、安い品をより多くの人に与えるというようなことをおやりにならないのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  27. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 先ほど私が申し上げました、いわゆるワクチン輸入価格でございますが、ソ連なりカナダから入れます輸入価格につきましては、まあ日本が最初に生ワクを使用するということでもって、国際競争裏の中に立たされたわけでございますので、相当値段的には各メーカーが、まあダンピングといったら少し語弊があるかもしれませんけれども、ぜひとも日本で自分の国の生産品を使ってもらうということで、相当値段を安く入札してきたということが私どものほうとしてはわかっておるわけでございます。それで、御参考までに申し上げますと、昭和三十七年——一九六二年には、アメリカにおいては大体一人分九十七円になっております。それから、大体九十七円でございますから、いわゆる国内産のものと国外産のものとはだいぶ差があるということはおわかりかと思います。それと、もう一つ、過去におきまして三十円から十七、八円というふうに先ほど一人当たりの単価を申し上げましたが、この分は、実は国家検定の経費というものは入っていない。それから、いわゆる国内への輸送のための梱包料とか、あるいは液を希釈して飲ませる——原液でまいりますので、これを薄めて飲ませる液代なんかも入っていない。それで生ワクチンの検定につきましては、これは非常に長い三、四か月ぐらいの検定期間を要しまして、いわゆるミドリサルの頭を使って検定を丁寧にやるわけでございますが、生ワクチンの検定につきましては三千万円以上の検定代が要るわけでございます。これは全部メーカーが負担するということになりますので、過去のいわゆる外国品のそういう検定料なり梱包料なり希釈液が入らない単価と比べてみますと、私どもは決して四十七円というのはそう不当に高いものではない。たとえば私どものほうで計算しましても、検定料並びに梱包、希釈液代を含めますと、大体十円ぐらいになりはしないか。そうしますと、当初ソ連のボンボンを入れましたときの値段は三十円でございますので、その分を加算しても大体四十円、片一方は四十七円でございますから、七円ぐらい高いという程度でございますので、この点は、最初の国内産の製品でもございますし、そうめちゃめちゃに高い値段で国民投与するというふうなことにはならないのじゃないかという感じを持っているわけでございます。
  28. 徳永正利

    徳永正利君 価格と今後の見通しもお聞きしたいと思いますが、その前に、予防接種をおやりになって、いろいろな事故があったろうと思うのですが、それに対する措置というものはどういうふうになっているのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  29. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 生ポリオワクチンにつきましては、すでに世界で何千万という経験がございます。それで、御承知のように、カナダで3型で麻痺が起こったのではないかということを疑われまして、一時使用中止して精査をいたしました結果、これはそういう心配はなかったという結論で、また再開をいたしております。日本でもそれらの点を十分注意していままでやってまいりましたが、現在までポリオの生ワクを飲んだと時期を同じうして麻痺が発生したというような例をできるだけ広く集めまして調査をいたしましたが、その際においても明らかにポリオの生ワクに伴う障害はございませんでした。ただ、六例だけ、非常に軽い麻痺が起った例が、少なくともポリオワクチン関係がないということを否定し切れない例が六例ございます。もちろんそれは現在すべて軽快いたしております。そういう意味で、この生ポリオワクチンにはそのような障害は今後もおそらく起こらないだろうということを信じております。なお、予防接種一般の問題につきまして何かの事故が起きまして、それが明らかに国の責任に帰すべきものであるとすれば、それは当然国が賠償責任に当たることになろうと思います。
  30. 徳永正利

    徳永正利君 そういう点は十分注意してやられるべきであろうと思いますが、万遺憾のないような措置をおとりになるように希望申し上げておきます。  それから、先ほどのお話の続きでございますが、生ポリオワクチンの価格と申しますか、それと今後の見通しを、大ざっぱに簡単でよろしゆうございますから、承りたいと思います。
  31. 熊崎正夫

    政府委員(熊崎正夫君) 現在生ポリオワクチンを製造しております会社は、いわゆるワクチン・メーカー六社が共同出資によります生ポリオワクチン研究所がつくっておるわけでございまして、いわゆるワクチン・メーカー、これは薬についても同じでございますけれども、大量に使用されるということになれば、当然値段は下がっていくというのがたてまえでなければならないわけでございますが、ただ、生ポリオワクチンの今後の投与計画につきましては今度のこの法律改正にも出ておりますように、大体生後三カ月から十八カ月までこれを定期的にやっていくわけでございますので、国内のいわゆる需要というものは、ある程度限られているわけでございます。したがいまして、東南アジアその他、やはりポリオ患者というものはどんどん出ておるわけでございますので、その方面に大量に輸出をやるというふうな計画も目下研究所のほうでは立てておるようでございまして、そういうふうに何千万人かの輸出が達成されていくという事態になるとすれば、これは価格というものはどんどん下がっていくというたてまえになるだろうと思います。しかし、さしあたって固定された国内の需要だけを供給でまかなっていくということになりますと、直ちにそれじゃこれが十円とか、あるいは五円とかいうふうな形に下がっていくということは、やはりなかなかむずかしい問題ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  32. 徳永正利

    徳永正利君 これは厚生省でなかなかどうこういうわけにはまいらぬと思いますけれども、業者のほうのおやりになることがおもだろうと思いますが、なるべく安いやつを早くよけいつくってくれて日本に多く投与してもらうということが望ましいと思います。  それから、小児麻痺による後遺症、これはどんどん人間は減ってきているそうでございますけれども、やはりある人は後遺症の残る人もあるだろうと思います。それに対する厚生省としての対策を今日までどうやってきたか、あるいは今後どうやって持っていくかということをお伺いしたいと思います。要点だけでけっこうでごうでございますから。
  33. 若松栄一

    政府委員若松栄一君) 小児麻痺は、御承知のような麻痺を残すきわめて不幸な病気でございますので、万一後遺症が起こりました場合には、できるだけ早急に治療を加えて麻痺を回復させたいということで、児童福祉法に育成医療というものがございまして、麻痺が起こりましたような子供については、公費をつぎこんでも、できるだけ早期に治療するという制度が設けられてございますし、なお、そのほかに、麻痺がかなり固定した場合にも、できるだけそれを回復さして、将来社会生活ができるように訓練するために肢体不自由児施設等もございます。そのほか、発生時の場合に備えましても、御承知うように、この前の流行のときから鉄の肺等をほうぼうに備えつけまして、救急の措置を講じておるわけでございます。
  34. 徳永正利

    徳永正利君 これは親としては大切なことでございますから、いままでもおやりになっているだろうと思いますけれども、万全を期していただきたい。  最後に、私ちょっと厚生大臣に一問だけ質問いたしまして私の質問を終わりたいと思いますが、この生ワクだけでなくて、予防接種につきまして、何か風聞するところによりますと、医師会等において何か非協力のようなことがちょっと伝えられておるように風聞したわけでございますが、それにつきましての対策といいますか、考えをちょっと承りたいと思います。なければけっこうですが。
  35. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 以前に多少お話のようなことがありましたが、ただいまはもうそういう事態はない、十分協力してもらえると、こういうふうに考えております。
  36. 徳永正利

    徳永正利君 終わります。
  37. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日のところ、質疑はこの程度にとどめておきます。   —————————————
  38. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、社会保障制度に関する調査議題といたします。  御質疑のある方は、どうぞ御発言願います。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この前の委員会からお願いをいたしておきました、ばい煙の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  このばい煙の問題は、一昨年に法律がきまったのでありますけれども、実際問題として、そのスモッグの問題は今日の国民生活には重大な影響を及ぼし、法律はできたのでありますけれども、濃度はだんだんとひどくなっていくという感じがいたすわけでございます。先日も大阪においては、その空中からの査察、また、学生まで動員してその観測やそういうことをやっておる。それぐらい中学の生徒や高等学校の生徒まで動員してこの対策についてやらなければならぬほど深刻になっておる。この前のときの資料と今日のをつき合わして見ると、当時の状況と今日の状況に、地域的に相当の変化があることももう事実でございます。産業の問題で。そこで、私は、前の法律を見て、たとえば既設の施設においては二年間の猶予期間があったり、電源開発事業については適用免除みたいなかっこうでしり抜けになっている感じだと思うのです。私たちが今日まで目についたものは、まず火力発電の煙突が一番目につきました。最近はじんかい処理の問題がこれにだんだんプラスされてきたわけでありますから、片一方では、じんかい処理の焼却が必要である、空に向かってはその問題解決をされていない、こういうことにこれはなるわけでありまして、公害の問題として、この問題をどうういうぐあいに関係当局は取り組んでおられるかということを私はお聞きしたいわけです。  まず、厚生省はことし現状をどう見、ことしはどうしようとされておるか、通産省もそうでございます。それから、気象庁の方も、この問題を、法律ができた二年前と今日の現状においてどう見ておられ、どうしたらよいかという御意見があろうと思いますから、順番に御意見を承りたいと思うわけであります。
  40. 小林武治

    国務大臣小林武治君) この問題は、前にも申し上げましたように、政府施策としては私は一番おくれた問題であると、こういうふうに考えております。何ぶんにも、よく御存じのように、要するに、これは生産と生活との調整、こういうむずかしい問題がありまして、生活を守るために、これの規制をするためにいろいろな集じん装置とか、あるいは防止の装置をすると採算にも大きく影響する、こういう非常なむずかしい問題がありまして、しかし、何としても生活が大事である、人命が大切である、健康が大事である、こういう立場で検討しなければならぬと思っておるのでありまして、私は、この問題が非常に法律制定後大きく前進しておるとは思っておりません。これはどうしても前進せしめなければならぬのでありますが、いまのところ、私どもがいわゆる被害者の立場を代表して、そうしてこの防止をする、これが厚生省の立場。それから、加害者ということばはどうかと思いますが、通産関係がその公害のもとをなしておるというものが多い、こういうことでありまして、どうしてもいまのいろいろ問題について、これは同じような問題が出てきますが、土産と生活との調整の問題ということでありまして、いまのところ、これらの問題は政府の各省に分属しておって、まだ十分な連絡調整が必ずしもとれておらない、こういうことで、私も最近行政管理庁に、ぜひひとつ公害問題の閣僚懇談会というものをつくって、そして一緒になってこの問題るやる、平易なことばでいえば、加害者と被害者が一緒になってこる問題を解決しなければならぬと思っておるのでありまして、最近、来年度におきまして厚生省が予算的にお願いしておるのは、空気の汚濁と人体に対する影響をもう一つ調査を十分する、四日市やら大阪等においてそのための施策をする。また、今年度におきましても、最近の機会において、四日市等には空気の汚染度を調査する自動的な機械——二千万円か三千万円の機械を購入しまして四日市に備える。東京都におきまして、あるいは大阪等におきましても、若干汚染度の自動測定、こういうふうなことをいたしておるのでございまするが、まだきわめて不完全である。東京都におきましては、最近スモッグ問題につきまして、スモッグの起きるような場合には、さらに煙の排出量を規制するための規程をつくったのでありまして、スモッグが出るようなことは大体気象庁でも予想できる。したがって、その際には、東京都知事が煙の排出をかげんするように勧告することができる、こういうふうなことになっております。こういうことで、まあどちらかと申せば、われわれとしては、ことし厚生省の公害課ができるのでありまして、ほんとうの調査研究というものはこれから本格的に始まるのだ、こういう程度に考えております。いずれにしましても、冒頭申し上げましたように、この問題は政府部内の連絡調整というものがまだ十分いっておらぬ、これをいまからすぐそういうふうな組織をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
  41. 日下部文雄

    説明員日下部文雄君) 気象庁におきましては、この大気汚染という問題は、結局大気中の現象でございますので、気象と非常に密接な関係があることは申すまでもないことでござすいまので、数年来、三十六年ごろから気象研究所で、スモッグが発生した場合にどういうような気象状況になっておるか、どういう場合に煙がたまりやすいかというような問題につきまして、東京を中心にし、大阪方面でも調査を重ねてまいりまして、大体スモッグが濃い場合、薄い場合どういう状況であるかというようなことに関しましては、かなり調査は進んでまいったわけでございます。しかし、これで完全にいくという状態にはなかなかまいりませんので、今後ともそういう方面の研究を続けていかなければなるまいと思っておりますが、ばい煙排出規制の法律が出まして、それの細則によって、たとえば無水亜硫酸その他有害のガスがどのくらいの条件になったときには、気象の状況の通報を受けて排出の規制をやられるというような手続がきまってまいりましたので、私どもとしましては、発生したスモッグがそのまま持続するか、濃くなるか、あるいは消えていくかというような、気象条件に関する部分につきましては、できるだけ規制のお役に立てるような通報をいたしまして、排出規制に御協力してまいりたいというふうな方向に進んでまいっているわけでございます。しかし、スモッグの問題と申しますと、在来から行なわれております気象の観測という範疇で考えてみますと、こういう濃い煙霧という問題は、われわれのほうは昔からおもに取り扱っておりましたのは、大体視程の障害、要するに見えぐあいが悪くなるために、たとえば飛行機の離着陸とか、自動車の運行に障害を来たす、要するに視程障害、視程が悪くなるということを目安にしてスモッグの観測を従来やっておったわけでございまして、それに関しましては、濃霧注意報とか、そのほかの情報なんかを出すような仕組みが一応できているわけでございますが、公害の大きい部分として公衆衛生の問題ということになりますと、それ自身を観測して、それの予測をするというような問題になると、ちょっと問題がむずかしいことになるわけでございますので、現状においては、そういうほうっておくとあぶなくなるという状況厚生省なりほかの機関でおはかりになって、こういう状態になってきている、そういうところからスタートして、そういう状態が続くであろうか、あるいは解消していくであろうかという、気象的な見通しのほうを通報してお役に立っていくのだというような方向で現在は考えているわけでございます。もちろんこの問題は、たとえば濃霧注意報というような問題に関しましても、地域性の非常にある問題でございまして、たとえば東京都の中でも、特定の場所に濃く滞留するというようなこともございますので、これをどういうふうに解決し、お役に立てていくかという問題については、今後大いに調査研究を重ねていかなければならない問題であると考えて、その方向で、そういう観測のやり方であるとか、どういうような機械を使えばいいかというような問題についても、非常にたくさん問題を残しておりますので、鋭意努力してまいるつもりで考えている次第でございます。
  42. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) 公害の問題につきましては、通産省といたしましても、今後の産業の健全な発展というためにも、この公害の問題を十分処理しなくちゃいかんという考え方で、前向きにこれを処理することで積極的な諸対策を講じているわけでございますが、現在、ばい煙規制法——昨年の九月一日に指定地域の指定と排出基準適用がありまして以降、私ども通産省の施策としましては、諸般の技術的な指導に特に重点を置きまして、これに必要な技術開発、すなわち、公害防止のための一般適用できる技術の開発を、私たちの試験所を中心にしまして、相当数の予算を組みまして、開発に鋭意努力中でございます。それとともに、私どもは各工場、事業場等を中心にしまして、この防止技術について十分な普及をいたしたいということで、研修会及び講習会等を開催中でございます。なお、助成につきましても、開発銀行ないし中小企業につきましては中小企業近代化資金というような制度を活用いたしまして、各事業場、工場等の防止施設の設置を鋭意促進している次第でございます。また、スモッグのときの措置につきましては、厚生省、気象庁ともお互いに連絡をとりまして、現在、法の二十一条に基づく措置を、各府県を通じて、周知徹底する方向でやっておるわけでございますが、一応二十一条に書いてございますような事態が生じた場合につきましては、工場、事業場等について、不急不要の燃焼の自粛とか、あるいは燃焼法の改善等について一般の協力を求めることにしております。さらに非常に濃度が高まってきた場合につきましては、さらに適宜に具体的な事項を示しまして、個別的に協力するように指導しております。  以上でございます。
  43. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 このスモッグ、ばい煙、それから自動車の排気ガス、まあ私は学問的には詳しく分けることはよういたしませんけれども、亜硫酸ガスといいますか、いろいろな要素のものがスモッグと一般的にいわれているわけでございます。そこで、私は、一昨年でしたか、朝日新聞の好意によって、東京の上を飛行機で一時間半ほど見て回ったわけでございます。いま気象庁は特定の場所にとおっしゃいましたけれども、私らの知識で感じたことで見ますと、特定の場所じゃなしに、特定の地方の空の上を五百メートルから七百メートルぐらいのところにかたまりとして移動をしている、風があったら移動をしている、十メートルぐらいの風じゃ飛ばない、そして雨が降ったり雪が降ったぐらいじゃなかなか落ちないのであって、その当時話をされた人の意見によりますと、しとしと雨が三日ぐらい降らなきやなかなか晴れないんじゃないか、こういうことを言われておったと私は思うんです。このばい煙規制の問題、スモッグ規制の問題は法律をつくってやることになったんですけれども、私は、先日大阪へ行って驚いたわけなんです。天気はよいのに、もうほとんど夕やみのような状態です、昼の日中に。私は大阪ばかりじゃないと思うので、最近出された資料を見ると、大阪の辺が一番最高度に最近の状態はなっているようです。そういう状態が北九州にもあるようであります。そうなってくると、たとえば川崎や千葉から東京湾を包むばい煙、スモッグというものが、風の方向で東のほうへ行ったり西のほうへ行ったり、上のほうだけで移動をしておって、そして五百から千ぐらいのところにかたまったものは、しょっちゅうその地域国民生活に非常に深刻な害を与えている。これの根をもっと深くやっていくと、さっき厚生大臣がおっしゃったようなことに私はなると思うんです。何といっても一番主たるものはばい煙です、やっぱり煙だと思うんです。工場の煙突から出る煙、その他の煙突から出る煙、それにいろいろなものがまじって、われわれが想像しないようなかっこうで私たちの生活の上を舞っている。ですから、川崎の上がどうの、東京の都心がどうのという問題じゃないのです。東京の郊外なら空気がいいんだというような認識には今日立てないほど深刻な問題だと私は思うんであります。ですから、そういうことを根元から私はとっていかなければ、いま通産省の方は、昨年の九月に指定して云々というお話がありましたし、研修会や講習会を開いてということがありました。しかし、私は、通産行政については非常に大きな批判を持っているわけであります。意見を持っている。なぜかと申し上げますと、あまりにも生産本位に物事をお進めになり過ぎるんじゃないか。だから、こういう問題は、あとをついていくというか、置き去りにされているというのがいまの現状ではないか。だから、私はここで一番お願いしたいことは、私は、通産省は、ばい煙の規制の問題について、もっと真剣に取り組んでもらいたいという気がするわけであります。いずれ問題は、社労の委員会にはもっと通産省の関係が出てくるわけであります。たとえばこれと直接関係がありませんけれども、炭鉱の災害の問題も炭鉱保安、要するに労働災害の問題も非常にこの問題と同じようなと言うのは言い過ぎかもしれませんが、生産ということにあまりに力をお入れになって、それから出てくるいろいろな障害というものがどうも置き去りになっておるような、私は気がするわけであります。この前の法律条項を見てみまして、いま二十一条の規制をとおっしゃいましたけれども、どういう程度におやりになっておるのか。大阪を見ますと、三十七年の四月は二一だったものが、今度は大阪は八一になっておるわけであります。たとえば大阪の例をとって、最高八一、平均二一になっておる。この前の資料で見ますと、その四分の一の状態なんですね。そうすると、これはどうなるのでしょうか。総量が二一ということになっていますが、これとどういうぐあいに——この前の資料とこっちの資料とは資料の出どころが違うので、よく見当がつきませんけれども、一つのところをとらえてみても、非常に急速にふえておる。それから、九州の若松なんかへ行くとものすごいものなんですね、八幡、若松というものは。この前の資料で見ますと、これが合うておるのか合うていないのか、ぼくはよくわからぬけれども、そんな数字になってこないような気がするわけですけれども、総量だけをとらえたものかどうか、よくわかりませんけれども、相当急速にふえておるところがある。そこは産業の発展だ、だから、やむを得ないといえばそれまでかもしれませんけれども、そうは私は済まされないのじゃないか。ですから、この前の法律をおつくりになるときに、つまり既設のものは二年間適用を除外するとか、それから一番大きなたくさんのお化け煙突といわれたような、電気事業法の適用及びガス事業法の適用を受けるものについては適用除外、この法律を適用せずというようなことが前の法律に入っておるわけであります。そうすると、このばい煙の規制というのは、根元を押えずに、いま法律改正の問題を議論しておるわけじゃありませんけれども、問題は、スモッグをなくしようという一環としてこれができた。だから、そのスモッグをなくしようという根本理念が、大臣のおっしゃったように、公害閣僚懇談会といいますか、そういうようなかっこうでやる中で通産省が大きな役割りを果たしていただかなければ、この問題は解決しないのじゃないかという気が私はするわけです。  それから、気象庁のほうもおっしゃいましたけれども、どうぞひとつ、天気予報とか何とかには云々というお話がありましたけれども、いま日本の空がどうなっているか、雨、雪、風という問題を中心に、天気図その他において御努力をいただいておることは感謝いたしますけれども、実際にいまのスモッグがどういう条件であるというようなことは、私は、やはりもっと的確に、飛行機か何かを飛ばしていただいて、予算を要求していただいて、そうして公平な立場からひとつ定義をしていただきたいと思うのですよ。定義をしてもらって、こういう状態の中ではこうなるのだ、これは人体にどうなるかということは厚生省がよく分析して研究されるわけですから、ひとつ雨が降ったり風が吹いたりしたらスモッグは飛んでしまうのだというような考え方で、みんな郊外が空気がいいというような考え方は、もう現実では通用せぬような状態になってきているというようなところも、私は、気象庁はざっくばらんに、もっと大胆に問題を投げかけていただきたい。そうして一つの面からは人体に関係する問題として、ひとつ厚生省でうんと研究してもらって、厚生省がやはりそれを意見として出していただいて、その予防措置を——とこに原因かあるか。たとえば運輸省の自動車排気ガスにも問題がありましょうし、ばい煙の問題もありましょうが、主として私はそういう亜硫酸ガスですが、そういうところの根源というものだけはいまわかっているのですから、それを排除するように、大臣のおっしゃるように、公害の閣僚懇談会でもやって、適切な措置を講じていただかなければ問題は解決しないのじゃないか、私はこういうぐあいに思うわけであります。  それで、きょうは詳しい資料といって通産省にもお願いしておいたのですけれども、きょう言ってきょうできないというお話しでございましたから、いずれ通産省から資料をいただけると思います。けれども、そこらについて厚生省事務当局としていままでどうやってこられたか、関係の出先について、ここにきょういただいた資料にありますが、ロンドンの一九五二年の死亡なんてたいへんなことですね、私はこれが日本にないとはいえないと思うのであります。だから、そういう立場から、そういう研究をされてどういう処置をとってこられたか、ひとつお聞かせいただきたい。
  44. 館林宣夫

    政府委員(館林宣夫君) 藤田先生御承知のように、大気汚染に対します世界的レベルの規制というものも、イギリスは比較的進んでおりまして、大気浄化法によって規制が行なわれておるわけであります。その大気浄化法の基本となりましたものは、いまお話のございました一九五二年の約四千名一度にスモッグのために死んだという事例がもとになっております。この大気汚染防止の措置の非常にむずかしい点は、とのような種類のガスが——ガスというか、大気汚染がどのような時間継続すればどのような人体障害が起こるということの的確な資料が世界的にまだ確定されていないということが、スモッグ行政を基本的にむずかしくしておるわけであります。したがって、大気の汚染の許容度はこれ以上は困るという線が出れば、絶対にその線を確保するために各種の規制を強く行なうことができるわけであります。したがって、その場合には、それ以上の工場はその地区には一切許さない、あるいはそれ以上の大気汚染の放出物を排出する施設の拡張も許さない、家庭のばい煙も取り締まる、こういうような措置がとれるわけでございますが、今日私どもが一応の基準としてスモッグ警報の基準をつくって出したわけであります。それは昨年の十二月でございますが、それはめどとしまして亜硫酸ガスの濃度を考えてつくったわけであります。〇・二PPM以上が三時間以上、あるいは〇・三PPM以上が空気中に二時間以上漂ったときはスモッグ警報を発して工場側に協力を求め、一般大衆に知らせる、こういうめどをつくったわけでありますが、これが世界に通用する基準であるかといえば、これは一応現在のいろいろな経験、学者の意見をもとにして、私どもが暫定的につくったものであります。今日のばい煙規制に対しまする規定は、したがいまして、むしろこれ以上は人体に困るという絶対絶命の線がなかなか出せないために、どちらかというと、工場側の防除能力に基準が置かれる気配にあるわけであります。すなわち、大施設に対しては相当きびしい排出基準を設ける。たとえばばい煙、すす等におきましては、大施設に対しては〇・二%まではよい、〇・六%まで規制する。ところが、中小施設に対しましては、そのような基準を要求することは実際問題としてむずかしいということから、二%程度まで許すと、こういうことになっております。家庭ばい煙に至っては全然規制がない。こういうように、施設側の能力のほうへ基準が置かれる結果になるわけであります。そういたしますとどうなるかと申しますと、工場がどんどんふえ、工場が拡張し、家庭の燃料がばい煙を出すような燃料に切りかわれば切りかわるほど大気が汚染するわけであります。ただいま御指摘のように、どんどん汚染するやつを防除できない、こういう状況が今日のわが国状況であるし、おそらく外国もそういう状況だと思います。  私どもとして、一日も早くこれ以上許容できない大気汚染の限度というものを知りたいわけであります。このほうの研究を鋭意進めているわけであります。今日このような研究は、必ずしも系統立っているわけではありませんで、各種の研究者が寄り寄り集まって特殊な協議会をつくって団結しておりますけれども、必ずしも十分でない現状であるというのが今日の現状であります。したがいまして、昨年九月一日に地域指定が行なわれ、排出基準がいまのような方向でつくられましたけれども、その後の進展状況はなかなか容易でない。一応スモッグ警報の基準だけは出しましたけれども、これもなかなかきめ手でないというのが現状でございまして、私どもとしては、今後さらに努力をしてまいりまして、三十九年度には、人体と大気汚染との関係を特別に詳しく調べたいということで、先ほど大臣から申し上げましたように、特に大気汚染のはなはだしい大阪、四日市地区について特別調査をいたしたい、かように考えているわけでございます。
  45. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあそこで、私は、やっぱり厚生省は九千六百万の人命をあずかっている行政庁ですから、なかなか出ないのだということでなしに、私はやっぱり努力をして出してもらわなければ困ると思うのです。このお出しになるときには、そのスモッグがどう空の上で移動して、どういうあんばいになるかというようなことは、気象庁の御努力でもっとはっきりして、あらゆる場合をとらえて出していただいて、そして人体的にどうやるかということを厚生省はぜひ至急に出していただきたい。そうでないと野放しですよ。法律はできたけれども野放し。そしていま人体に障害を与える限界というものもまだ出ていない。大企業中小企業と家庭ということになったら、だんだんとゆるんでしまってどうにもならぬ。まあそういうことではこれはなかなかたいへんなことだと私は思うのです。ここで議論してみても、スモッグが出ているけれどもどう押えるかと、われわれが国民に答えようがないのですよ、ざっくばらんに言って。どうしたらこれが処置ができるのかという答えようがないわけです。そうかといって、生産をとめるわけにはまいりません。生産をやらなければならぬけれども、生産機関の中の根元をやっぱり規制をしていただく方向にこれから議論が私は進んでいくと思いますけれども、しかし、どういう状態のもとにおいて人体に障害があるかという基礎は、やっぱり厚生省努力して出していただかなければならぬと私は思う。そればかりではなしに、空気を吸って人体に影響するというばかりでなしに、昼、太陽が上には照って、下の人間生活は地平線の生活、環境は一日夕暮れと同じような環境で生活を人間はしている。これは私は、空気を吸う吸わぬということで身体障害を起こすということと同時に、人間生活というものはもうまっ暗やみだと私は思うのですよ。そんな環境で生きていかなければならぬということは、このことも私はやっぱり直接科学的な人体障害というものとあわせて、人間生活環境の問題についても重要な問題だと私は思うので、そういう両面からひとつそういう措置を厚生省は考えていただきたい。  そこで、通産省ばかりに言うわけではないけれども、通産省としては九月にどういう規制をされたかということと、その規制をしたことによってどれだけ汚染が救われるか、どこにポイントを置いてやろうとしておられるかということですね。そういう点と、それから、今日、都会の便利のいいところに工場が集中化しておりますけれども、そういう点について御配慮をなさっているのか、そういう点を含めてひとつお話を伺いたい。
  46. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) 昨年九月一日に、先ほど申しましたように、排出基準決定と、それから指定地域の指定を行なったわけでございます。これは全国で五地域、つまり京浜、阪神、北九州、この三地域地域指定をやったわけでありまして、したがって、この三地域についてのみ法律上の規制対象地域になったわけであります。それで、この規制の基準というものは、同時に排出基準というかっこうで出たわけでございます。これは業種別に、それぞれのばい煙発生施設ごとにその許容限度をきめておるわけでございます。この許容限度に従いまして、まあそれに合格していない施設につきましては、それぞればい煙防止施設というものを設置させるために、現在それぞれ指導しておるわけでございます。現在、私ども、大企業につきましては開銀の融資あっせん等を依頼している向きもございます。それから、中小企業につきましては、近代化等によって府県援助をお願いしている向きもあるのでございますが、いずれにしても、公害防止のために役立つ施設については最優先で扱いまして、私ども融資あっせん等を行なっておるわけであります。もちろん、これと同時に、私ども法律の趣旨も十分徹底させるために、厚生省と御一緒に、各地説明会等をやり、同時に、技術者の指導のために講習会等を行なっておることは先ほど申したとおりでございます。  それから、スモッグのときの緊急時の措置でございますが、これは先ほども申し上げましたが、各業種ごとにつきまして具体的な措置をやっていただくように、それぞれ業界とお話をしておりまして、たとえばセメントにつきましては、セメント焼成炉、乾燥炉については、一定のときには三〇%以上の操短を実施するようにお願いをするというようなことになっております。それから、鉄鋼につきましては、たとえば製鋼用の平炉、電気炉の酸素の吹き込みを一時中止するということまで、特にお願いをすることになっております。  以上でございます。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これは三つの地区でございますね。三つの地区のことをおっしゃったわけですが、いま聞いていると、セメントの操業を三〇%押えるとか、いま製鋼の酸素の吹き込みを云々というお話でございましたが、これはどうなんでしょう。片一方は生産であって、その操業短縮をやれということをおっしゃっているわけですけれども、官庁としてそうおっしゃることは、形の上では私はいいと思いますけれども、しかし、業者はその生産と利益という関係においてやっているわけですから、そんなものが規制できるのか、私はなかなかむずかしいと思います。生産を続ける中でそういうものを規制する、公害が起きないような処置を通産省は科学的な見地からなぜお考えにならないのでございますか。私いま聞いていると、ばい煙の出る量を操業を短縮することによって規制するというようなことはどうなのですかね。むしろ大気を汚染しないという立場で生産を続ける、こういう科学的な研究をなさらないと、利害関係の上に立っている企業なんというようなものは、そうあなたの帳面づらでやったことにどうこうなんというようなことは、なかなか幾らでも逃げ道が出てきて、思いどおりにいかないということになる、そこのあなたのひとつ置き方が違うのじゃないですか。
  48. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) ただいまセメント、鉄鋼業界の具体的な措置につきまして申し上げましたが、これはもちろん第一には集塵器とか、所要のばい煙の防止施設はもちろんつけてやっているわけでございますが、特殊の気象条件等が生じた場合におきましてはただ集塵器だけの効率だけで期待はできないとううような非常に緊急時につきましては、ある程度の操短もやむを得ないのじゃないかということを考えまして、私どもは業界といろいろ話し合いまして、業界が操業上できる技術的に可能な限度を出していただいたわけでございます。
  49. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたは、通産省が汚染の問題で、厚生省と打ち合わせをしているとおっしゃいますけれども、空へ上がって、各地がどういう状況にあるかということをごらんになったことがありますか。
  50. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) 上空と申しますか、ヘリコプター等に私乗って見たことがございますが、大体工場の集合した地方ですね、これの上空の状態というものは見たことがございます。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 東京のこの空だけを一ぺんごらんになったらどうでしょうかね。工場の煙突によって違いますけれども、千葉県の側からあの真黒な——大きい電気会社とか、発電の大きな煙突とかのばい煙が東京の空に上がって、その地域を一ぺんにおおうように吹いているのですよ。それが五百から七百くらいのところでみんな固まって、そこから上へ上がらないのですよ。その状況を一ぺんごらんになって、そうして口で言うだけでなしに、大気汚染というものの処置をお考えにならないと、それは下のほうではどこからどうなっているかよくわかりませんけれども、一ぺんごらんになってその対策をお考えになってもらわなければ、実感が出てこないじゃないかという気がするわけです。私はそういう点が抜けていやせんかという気がします。だから、厚生省は非常に困るのだと私は思うのですね。そういうものがたくさん出てくる。厚生省事業の中で、じんあい処理場というものが地域によって一番大きなばい煙を吹いているということなんで、これには何の処置もされておりませんし、だから、関係省の始末がそういうことになっているということも、私はやはり一応考えてもらわなければならぬと思うのです。だから、関係のある官庁がぜひひとつ、大臣が先ほどおっしゃったように、公害、大気汚染の閣僚懇談会を開いてもらって、適切な処置をぜひひとつ大臣、これはやっていただかなければこの問題は解決しないと思うのです。自分の行政上の利害だけを主張していては私は解決しない問題だ、こう思うのです。だから、そういう総合的な閣僚懇談会とか、そこらできちっとしていただければ、気象の面では気象庁が自由に全国状態をお調べになるであろうし、通産省は、その方針に従って、ほんとうに汚染をしないような科学的な処理をおやりになるであろうが、いまの状態ではなかなら進められないので、困るのは国民だという回答以外何もないですよ。これはぜひ大臣、約束していただきたいと思うのです。いかがです。
  52. 小林武治

    国務大臣小林武治君) 毎々そういう話をしておりますので、至急ひとつ実現をさしたいと思います。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 気象庁の日下部さん、どうなんでしょうかね、先ほどの御意見があって、私、少し違ったような意見を述べたのですけれども、気象庁の立場から、どうすればいいかと、予算の要るものもあるでしょうが、ひとつもう少し掘り下げた御意見をいただきたいと思います。
  54. 日下部文雄

    説明員日下部文雄君) 先ほど申し上げましたのは、ばい煙排出規制法に直接お役に当座立てる方向のお話を申し上げたわけでございまして、根本的な問題になりますと、なかなかいろいろな問題を含んでいると思うのでありますが、まず、煙が滞留するという種類の問題について、私どもが考えておりますのは、実際上日本という地域は、スモッグの多い冬の時期においては、割合に大陸から季節風が吹き出す地域であって、しかも、東京とか大阪は海の岸にあるのだから、条件としては、割合に煙の滞留する可能性は少ないところと考えられるわけであります。それにもかかわらず、こういうような状態になっているということは、非常に煙のソースが多いためであると思われますので、まず、やはり問題は、その辺に一つあるということと、先ほどのお話で、ばい煙が上空で、非常に停滞して広がるというお話、これは非常にごもっともなお話でありまして、逆転層というのが上にありまして、そこで煙がつっかえてしまって、そして滞留しているわけなんでありますから、われわれのほうとしては、気象の状況として、そういう煙が滞留しやすい気象条件であるかどうかというような問題につきましては、これから研究を重ねてまいりますれば、そういうことの予防なり、その後の推移を、ある程度的確に申し上げる可能性はあると考えております。しかし、このスモッグの場合にもう一つ考えなければならないのは、私ども観測できますことについて、煙がたまっているという場合ですと、煙があるために遠くのほうが見えなくなる、写真に撮影できる、目にも見えるということで、これはある程度いわゆる大きい冬ばいじんというような形で起こるもの、すすのようなもの、浮遊物、それによって形成される、平たくいえば、煙によって起こるほうは、わりあいに私どものいまのやり方でうまくいくと思うのですが、亜硫酸系統の目にも見えないという種類のもの、これに関しましては、どうも現状においては、何か特別な方法で観測していただかないことには、何もいまのところ、手がかりがあまりない。現に、ただいま観測しておられる下の低いところでは、こうなっているということはおわかりになっておると思うのですが、それがはたして、煙と同じ状態で、上にとどまっていて、流れるものかどうかということにつきましては、これから相当研究を重ねなければならないのじゃないか。そういうような面で、スモッグの問題を、目に見える視程障害の部分と、それから人体に害を与える目に見えない気体の部分とについて、私どものほうとしても、そういうものの流れとか何かをもう少し研究してまいらないと、なかなか根本的な解決のお役に立てる状態になることはむずかしいと考えております。それで、そういう究極において、私どもがまずできますことというのは、そういう煙なりガスなりが滞留し得る気象状態であるか否かという、要するに場の観測と、それからその推移の状況の判断というものの資料は、私どもが責任を持ってやるべき義務ではないか、したがいまして、やはり厚生省あるいは通産省のほうとよく連絡をいたしまして、どういうものがそういう規制に必要であるかということをよく伺って、そういう資料が提供できるような形に持ってまいらねばならない。独自な形ではなかなか進みにくいものではないか、そういうふうに考えております。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、亜硫酸ガスはどういう状態の中で空気の中にまじっておって、まず地平線からどの程度で、どういうぐあいに、たとえばそれが濃度が強くなるとか薄くなるとかいうようなことを赤裸々に、そういうことなら厚生省はいまでもおわかりになると思うので、ひとつ気象庁と連絡をとっていただいて、そういうことの結論を国民にわかるようにしていただきたいと思うのです。目に見えるスモッグ、要するにスモッグといわれるのは、大体四、五百メートルから千メートルの間を移動をする、この処置を大気の中でどうするかというようなことは、これはたいへんな問題ですけれども、問題は、それが起こらないようにする措置をどうするかという問題に入っていくわけですけれども、だから亜硫酸ガスとか自動車の排気ガスは何でございましょうか、あとからちょっとお聞きしたいのですけれども、亜硫酸ガスというのはどういうところから出てどういうところにいくかということもひとつ御解明しておいていただきたいと思う。
  56. 館林宣夫

    政府委員(館林宣夫君) 亜硫酸ガスは、ただいま気象庁からお話がございましたように、非常に問題の大気汚染の根源でございます。もちろんばい煙も相当大きな問題でございますが、ただいまわりあいに医学的に問題にされておりますのはむしろ亜硫酸ガスでございまして、ロンドンの大きな災害、あるいは各地におけるぜんそくなどひき起こす主たるものは亜硫酸ガスではないかとむしろいわれております。ばい煙のほうは、場合によりますと肺ガンに影響があるというようなこともいわれておりますが、とにかく亜硫酸ガスが相当大きな問題でございます。その亜硫酸ガスの根源は、どちらかというと、燃料の中に含まれている硫黄分でございます。この硫黄分は非常に皮肉な現象でございまして、石炭を燃料にする場合は亜硫酸ガスはわりあいに少ないけれども、ばい煙が多いわけです。わが国は石炭燃料を石油燃料にだいぶ切りかえましたので、ばい煙の発生はむしろ昔ほどひどく伸びてはおらぬ、あるいは場合によると減る傾向にあるのでございますが、亜硫酸ガスはむしろふえる傾向にある。しかも、この亜硫酸ガスの発生の根源たる石油は、産地によりまして非常に含有量が違うわけでございます。今日わが国の石油燃料の約七割ぐらい、これは詳しいことは通産省の方が御存じでございましょうけれども、七割ぐらいの石油は中近東のもの、これが不幸にして非常に硫黄分の含有量が多いわけでございます。普通石油の中に二・五%前後含んでおります。とえろが、非常に少ない含有量のボルネオとかスマトラとかいう南方系のものでございますと、〇・〇五、多くて一%という程度でございますので、ほんとうは石油を産地別に切りかえるだけでも数分の一に減らされるという問題もございますが、これは通産省側にもいろいろ問題点もあろうかと思いますが、とにかくそういうむずかしい燃料上の問題があるが、かなりの部分で亜硫酸ガスがだいぶふえてまいっているわけであります。亜硫酸ガスと疾病との関係は、かなり詳しく実は調べがいっております。だんだん調査がいき届いてきておりまして、毎日の相当こまかい時間の亜硫酸ガスの濃度のカーブとぜんそくの患者発生状況というものとは割合一致するとか、あるいは流感の患者発生がその濃度の高いところに一致するとかいう資料はだいぶ出てまいっておりますので、漸次身体障害と亜硫酸ガスの濃度という関係は明らかになってぐると思います。今後厚生省としましても、この方向を特に努力いたしたいということで、地上の観測点をふやすために県に補助金をやったり、国みずから調査したりということで努力しております。  それから、お尋ねのございました自動車の排気ガスの問題でございますが、自動車の排気ガスの中で、たくさんガスが出ますが、一番問題になるのは一酸化炭素でございます。そのほか窒素酸化物、あるいは炭水化物、フォルムアルデヒド、鉛化合物、それから、もちろんばい煙、こういうものが出るわけでございまして、この炭化水素の中には三・四ベンツピレンといいます一応ガンの発生原因をなすものも含まれておる、こういわれておりますけれども、一応医学的に最も問題視されるのは一酸化炭素でございます。この一酸化炭素の測定は必ずしも十分でございません。だんだん努力をしてまいって、少しずつ判明いたしてきておりますけれども、今日の段階では必ずしも十分でないわけであります。ただ、一応今日まで一酸化炭素についてわかりましたことは、わりあい地域的に濃度の変化があるわけであります。要するに自動車が非常に通りやすいところは非常に濃度が強い、そこからちょっとはずれると濃度はそれほどでない。したがって、自動車の排気ガスの影響を受けますものは、交通巡査のような、たえずそれを吸っておる人に非常に影響があるわけでありまして、その意味では、住民というよりは、そういう特殊職業の方がわりあい多く受けている。大阪でそれを調査したところによりますと、内勤の警察官に比べて、交通巡査は倍ほど血液の中の一酸化炭素の容量が多いわけであります。そのために非常に疲労して足がふらつくというような身体障害がすでに起こっておるわけであります。したがって、わが国はこれからますます自動車がふえてまいるということで、このほうの問題もゆゆしい問題になることは間違いないわけでありますが、これは今日ある程度詳細な調査が行なわれておるのは東京、大阪だけでございます。もちろん自動車が多いのはこの二都市が特に多いわけでございますが、今後その他の都市につきましても私ども努力して調査いたし、また、人体との関係を調べてまいりたい、かように思っております。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、これはいずれ資料を出していただきたいと思いますが、そうすると、亜硫酸ガスとか一酸化炭素というものは、空気の中で濃度の多いところと少ないところとありますが、どういう現象の中でこれは浄化するのですか。たとえば外へ散ってなるのか、植物が吸収してしまうのか、空気の中で化合されて吸収するのか、そのことはどうですか。
  58. 館林宣夫

    政府委員(館林宣夫君) この空気中に排出されたものが濃度が低下する原因は、主たるものは風でございます。風で空中に雲散霧消いたしまして大気と混合し、非常に希薄になる。その間に空気中の酸化が行なわれ変化するということで、その都市の浄化が行なわれるわけであります。したがいまして、気象条件が非常に重要なわけでございまして、風がなければそれが上にたまってしまうわけであります。ただいまのスモッグの状態は、逆転層ができまして、地上から排出されたガスが上に上がっていかない、風も出ない、こういう状況で閉じ込められ、しかも、非常に霧の発生が多いということの状態がまさにスモッグであるわけであります。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、確認いたしますが、いまのスモッグといわれる中に、移動しているうちにそういうものが皆一緒に入って、同じ条件のもとに動いている、こう理解していいわけですね。  そこで、通産省の方にお尋ねしたいのですが、この前ばい煙の排出規制等によって三カ所指定されたとおっしゃるのですが、電力関係はいまどうなっていますか。
  60. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) 電力関係の発電所につきましては、電気事業法に基づきます公益事業令の適用を受けておりまして、ばい煙の規制自体は電気事業令によっているわけです。排出基準そのものは、ばい煙規制法できめられております。したがって、規制のもとになります排出基準、それから地域指定、こういうものは、ばい煙規制法できめられている。それから、実際の現実の規制は電気事業令に基づく規制を受けている。というのは、ばい煙規制法よりもはるかに強い規制を電気事業については受けているために、この法律の規制面については適用除外をしているというかっこうになっております。つまり電気事業令による規制に譲っている、こういうかっこうになっております。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 まあ、私はこれでやめますけれども、しかし、先ほどから私は少しお尋ねしておりましたが、厚生大臣が公害の特別閣僚懇談会に出てやる、こうおっしゃるものですから、そこでひとつやってもらうということで、私は、きょうあまりこれをやりませんけれども、通産省に、ぜひこれをいままで規制してどういうぐあいにやってきたという資料を出していただきたい。そして、あなたのほうで測定されている汚染の度合いを年次別にひとつ出してください。私の問題にしているのは、せっかくばい煙規制法ができたのに、生産というものが中心になって、阪神間の汚染の度というものはひどいですよ、このごろ。政府は新産業都市をこしらえられましたけれども、臨海に面しない産業都市の開発なんて一つも進まないわけですよ。それは生産の面から言えば利益を中心にやるのですから、一つの形としてはやむを得ないこともあるかわかりませんけれども、しかし、集中的に同じようなところに固まっていったらそこの住民はどうなるかということも、公害の面をお考えになって立てていただかなければ私はどうにも解決しない問題だ、こう思うわけです。しかし、この議論はこれ以上いたしません。これはひとつ内閣でやってもらうということですからいたしませんが、いままでおやりになってきた規制の条件の問題が一つ。それから、あなたのほうから、スモッグ状況がどういうぐあいに動いてきているかということを個々に、年次別に、できたら三十年ごろから、最近のことしあたりまでの調査を出していただきたい。よろしゅうございますか。
  62. 加藤庄市

    説明員加藤庄市君) はあ。
  63. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃそれでけっこうです。
  64. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 他に御発言もなければ、本件についての御質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十八分散会    ————・————