○説明員(戸沢政方君) それでは、私から来年度の厚生省の
予算要求の概要につきまして、簡単に御説明申し上げたいと思います。
お手元に、資料といたしまして、来年度
予算要求のおもな事項をあげまして、簡単に説明を付しておりますので、これを読みながら御説明を加えてまいりたいと思います。
まず、要求総額でございますが、総額は五千百八十六億六千九百万円でございまして、前年度予算額が三千九百八十九億、約四千億でございましたので、これに対する増額は一千百九十六億でございまして、増加率はちょうど三〇%いっぱいになってございます。四十年度の
予算要求につきましては、前年度予算の三割増し内にとどめるという新しい閣議了解がなされましたので、この三割増しの中にぎりぎりの線でおさめてあるわけでございます。
次に、主要事項の概要を申し上げます。資料のカッコの中は三十九年度の予算額でございます。
第一は、
国民医療対策の強化に関する諸施策でございまして、その一は、
医療保険制度の充実、まず、その一つとしまして、
国民健康保険制度の強化で、読み上げますと、「昭和三十九年度を初年度とする給付改善四カ年計画を強力に推進するとともに、事務費に対する
国庫負担の増額を図る。」と、この分が約千百六十七億円の要求となってございます。その内容としましては、一つは、三十九年度を初年度としまして、四カ年計画をもって国保の世帯員に対して七割給付を実施するということでございまして、すでに今年度全体の二五%を実施する計画でおるわけでございます。来年度はその率を少しスピード・アップいたしまして、三〇%を対象にして、九百十五万人分を七割給付の対象にするということでもって組んでございます。その実施が四十一年の一月実施ということでございまして、それに対する
療養給付の
特別補助金その他の
国庫補助額でございます。
次に、もう一つはイの事務費の補助、これは現在
国保実施主体になっております市町村あるいは組合等に対する事務費が非常に少なくて、実際にかかる経費の半分にも満たないといったような状況でございますので、この大幅の増額をはかってございます。被保険者一人当たり、市町村につきましては現行百五十円を二百五十九円、組合につきましては百四十円を二百十四円というわけでございます。
その次、(2)番目は、
医療保険財政の健全化の問題でございます。「医療費の増大等に伴い
健康保険等各種医療保険の財政の赤字が増大し、収支の著しい不均衡の傾向を示している実状にかんがみ、
国庫負担の大幅な増額等の施策を実施し、
健康保険制度及び
日雇労働者健康保険制度の整備と財政の健全化を図る。」政管健保あるいは
日雇健保の財政が非常な危機に立っておりまして、これに対する対策その他の問題につきましては、いずれ別途詳細に御審議願うことになると思いますが、このままに放置いたしますれば、政管健保におきましては、四十年度
赤字見込みが約四百五十億、
日雇健保につきましては二百二十億程度の赤字になるというような状況にかんがみまして、これに対する各種の対策を強化する必要があろうと思われるわけであります。それで、いろいろの対策を考えているわけでありますが、
国庫補助につきましても従来以上の大幅な増額を必要とするというところから、健保、日雇、両方につきまして約百八十億の
国庫補助を要求してございます。
次に、二番目は、
医療関係者の確保及び
医療体制の整備に関する諸問題でございまして、その(1)は
保健所医師の充足対策で、「
保健所医師の充足を図るため、待遇の改善、大学との
技術提携体制の強化、
公衆衛生修学生貸与金の増額、医学生の
公衆衛生活動に対する助成等を行なう。」これが約六千万円、前年度が約二千万円でございました。内容といたしましては一待遇改善といたしまして
研究調査費の増額、現行六万五千円を八万五千円に増額、それから、新しく医師等の公舎の整備について補助金を要求するというような内容でございます。
イは、
公衆衛生修学生の貸与金で、現在やっております
貸与制度をさらに増額いたしまして、学生については月額四千五百円を九千円、
インターン生につきましては六千円を一万二千円に増額という要求でございます。
ウは、新規のものでありまして、
保健所活動指導調査費補助、約一千万円でございますが、これは
保健所活動について大学の医科教室との連携を密にいたしまして、その指導援助を仰ぐという意味から、大学の
教授クラスの人に
保健所活動についていろいろ
指導調査をお願いしたいというための経費でございます。
次に、エは、
医学生公衆衛生活動訓練費補助、これも新規のものでございますが、大学の医学生について
公衆衛生活動に対する認識と理解を深めてもらうために、保健所に来てもらっていろいろ実習をし、勉強をしてもらうというための経費でございます。
あと、保健所の医者の
外国派遣費の補助とか、図書の整備費の補助金でございます。
次に、(2)は、
看護職員の確保、
看護職員の不足の実情にかんがみ、
養成施設に対する助成、
修学貸与金制度に対する助成、
看護職員研修所の設置等の対策を強化するということで、総額で約六億六千万円。内容としましては、
看護婦等養成所整備費の補助、従来も長期計画に基づいて補助いたしておりまするが、さらにその新設、
増改築等の整備を一段と促進したいというわけであります。
それから、次に、その養成所の運営が非常に困難な状況にかんがみまして、運営費の補助に一億八千万円要求しておるわけです。あとは、
看護婦等の
貸費生貸与金の制度で、これは従来やっているものでありますが、新しく国立の
看護職員の研修所を新設したいという計画を持っております。これは
看護婦養成所の
指導職員を養成するというような趣旨のものでございます。
それから、次は、いろいろ問題も提起いたしました
インターン制度に関する改善でございます。
医師実地修練施設における
指導体制の強化及び指導内容の向上をはかるため、
実地修練施設に対し指導医及び
整備費等について助成を行なうもので、四億五千万円ほど要求してございます。内容としましては、結局その
インターン生を指導する施設に対するいろいろな指導員の謝金とか、あるいは施設の損料、あるいは実修生に対する被服費とか食糧費、そういったものの補助、そういった趣旨のものでございまして、
指定病院三百二十四カ所、
インターン生三千百人を対象としまして、三億九千万円要求してございます。それから、新しく
実地修練教材整備費補助、これは
インターン生を教育するためのいろいろな
スーパースコープ、機械、教材の整備費に対して補助しようとするものであります。
次は、
救急医療体制の確立、
交通事故等、不慮の事故による傷病者に対する
救急医療対策を強化するため、
救急病院等の
救急医療に対する協力を促進するために必要な補助、
救急医療担当医師に対する研修の実施、
救急医療に関する研究費の助成、
救急医療センター、
救急病院の整備を行なう、こういった経費としまして四億八千万円ほど要求してございます。内容としましては、一番大きいものが
救急病院等協力促進費補助三億三千万円、これは
救急指定病院になっております病院につきまして、夜中とか、あるいは明け方、あるいは休日等におきまして、救急患者がかつぎ込まれたときに、その医療に支障なからしめんために、
救急病院につきましては、常に必要な医師、
看護婦等を最小限度確保しておこうというための経費でございまして、それを
指定病院について輪番制でもって義務づけまして、その待機をしておる者についての経費を半分国でもって補助しようという趣旨のものであります。内容としましては、したがって、医者等の超勤とか、いろいろ準備するための光熱費とか、そういったものに対する補助ということになるわけであります。あとは
救急医療施設の医師研修の委託費とか、さらに何カ所か
救急医療センターを整備しまして、
救急医療についての治療に当たると同時に、連絡調整とか、研修とか、そういったものの中心にしたいという趣旨のものであります。
五番目は、
医療機関の整備等に関する問題でありまして、
国立病院及び
国立療養所については、その施設の
近代的整備改善を行なう必要があるので、
一般会計による整備を行なうほか、
資金運用部資金の借り入れをはかる。なお、
国立療養所については、
国立療養所整備特別会計を設ける。また、
私的医療機関については、その整備に必要な資金の需要増加に応ずるため、
医療金融公庫に対する出資金を増加する。また、
国立医療技術研究所の設置、ガンの診断治療、
リハビリテーション等の専門病院の整備を行なうというもので、まず、
国立病院、
国立療養所の整備につきましては、六十八億七千万円ほど要求してございます。それから、
国立療養所の整備、結核とか
精神療養所とか、いろいろなものにつきましては、非常に古い施設が多くて、毎年少しずつの整備費をもって整備していくのでは非常に非効率的であるというところから、この
国立療養所の整備を促進する意味合いにおきまして、整備のための
特別会計を設けまして、これによって先行投資いたしまして、重点的に整備、あるいは
精神療養所の増床をはかるというような趣旨のものでございまして、来年七十六億円要求してございます。
特別会計による整備については、次のページに書いてありますが、計画としては八十三施設、三万六千三百床を対象にしまして、整備五カ年計画で、初年度三百五十億円をもって整備したいということになっております。
次に、(2)は、
医療機関の整備で、一般の
公的医療機関の整備につきましては五億五千万要求してございます。一般のベッドの少ない地区を重点的に対象にしまして公的の
医療機関を整備する費用。それから、地方の
がんセンター、そういった特殊病院の整備、さらに、新しいものとしまして、
リハビリテーション施設の整備、あるいは
救急医療センターの整備、そういった内容でございます。それから、
医療金融公庫の出資につきましては、前年二十九億に対して三十八億円要求してございます。さらに、新しく
国立医療技術研究所の設置を計画いたしまして、その要求をいたしてございます。これは電子工学その他新しい医療の技術の進歩に伴いまして、そういうものの研究をやはり公的な機関の手によって促進する必要があるというところから国立の研究機関を設けたいという趣旨のものであります。
三番目は、各種の疾病対策でありまして、(1)は、
精神衛生対策の推進で、社会諸情勢の複雑化に伴い、ますます
精神衛生の問題は重要となっているので、
在宅患者に対する
指導体制の整備、
精神衛生相談所の拡充強化、
精神病床の整備のほか、新たに外来患者に対する
医療費公費負担制度及び
職親制度を設け、その急速な解決をはかる。
精神衛生対策の強化充実が非常に叫ばれておるおりから、各種の施策を強力に推進してまいりたいという趣旨で百六十六億四千万円ほど要求してございます。内容としましては、保健所の
精神科嘱託医、
精神衛生相談員の設置、保健所については
精神衛生の予防、
相談事業を強化する意味におきまして必要な医療員の充実をいたしたいというものであります。それから、イは、
措置入院費の補助でございます。これは現在やっております措置命令による入院患者の医療費でございます。次の、ウの、
外来医療費の補助、これが新規の施策でありまして、これは措置入院させるほどではないけれども、
在宅患者で必要な医療を必要とする者、あるいは非常な強い看護を必要とするというようなものにつきまして、その外来の医療費について公費でもって半分を負担してやろうという趣旨の新しい施策でございます。これに対して国が十分の八補助しまして、あと十分の二を県が持つという趣旨のものであります。来年度は七万二千九百人を対象にしまして、約四億七千万円要求してございます。
次のページにまいりまして、
地方精神衛生センター、これは従来の
精神衛生相談所を強化する趣旨のものでありますが、その整備費といたしまして約一億円。施設の整備とか、そのセンターの職員、医師、その他のケースワーカー、そういった職員を充足する趣旨のものであります。それから、オは、
国立精神衛生研究所の整備、現在ございます
精神衛生研究所をさらに増設、内容の充実をはかりたいという趣旨のものであります。それから、
精神病床の整備につきましては、これも年次計画的に実施しておりますが、来年度は三千四百床、六億円の
予算要求をしております。内容としましては、一般の
精神病床の整備のほか、
社会復帰病床、病院を退院しましてから社会に復帰するまでの間これを保護する病床を新しく整備してまいりたいという趣旨のものを出しておるわけでございます。
それから、その他、
国立結核療養所の結核病床を
精神病床に転換するとか、それから
職親制度の新設、
精神病患者の治療策の一環としまして、職業訓練による治療促進を考えまして、新しく
職親制度というものを設けたいという趣旨のものであります。
二番目は、
原爆被爆者の対策で、
原爆被爆者の
健康管理の強化、
医療手当の増額をはかるほか、
原爆病院の増床、
特別養護老人ホームの設置、
被爆者福祉センターの拡充をはかる、このための経費として総額十四億九千万円であります。
原爆被爆者対策につきましては、いろいろ各方面から御要望を受けておりますが、その御要望に沿えるものをほとんど網羅したつもりでございまして、
健康管理の強化、定期外の
健康診断の新設とか、
交通費交付金を拡充するとか、次のページにまいりまして、
医療手当交付金につきましても、その限度額の引き上げをそこに書いてありますようなふうに引き上げる、所得制限の緩和も行ないたい。それから、新しくエとしまして、
原爆病院の増床も、広島、長崎、それぞれ五十床、三十床ずつしたい。それから、さらに、被爆者のだんだん老齢化していく実情にかんがみまして、
特別養護老人ホームをほしいという要望がございますので、これを広島と長崎に一カ所ずつつくりたい。それから、さらに、
健康管理センターを設けまして、絶えず人間ドック的な
健康管理の充実をはかりたいというような
施設整備費でございます。
それから、あとは、三番以下は大体従来の対策を推進していきたいという趣旨のものでありますが、三番は
結核対策、四番は
成人病対策、それから、五番は性病対策でございます。
次のページの六番に
予防接種対策としまして、従来定期の
予防接種につきましては、その経費は本人負担という扱いになっておりますが、これを定期の
予防接種につきましても、そのうちワクチンの経費につきましては、これを
全額公費で負担する措置をとりたいという趣旨で要求してございます。
予防接種の被接種者の負担の軽減をはかり、実施率の向上を期するため、
定期予防接種に必要なワクチンの経費を
全額公費で負担する等の措置を講ずる、このために三億円要求してございます。それから、
インフルエンザ特別対策、これは数年来やっております乳幼児とか学童等に対する
インフルエンザの
予防接種でございます。
四番の、血液及び麻薬対策の強化は、従来の施策を一段と推進してまいりたいという趣旨のものであります。
次に、大きい項目としまして、第二の、生活環境の整備、その一つは
環境衛生施設の整備等でありまして、
生活環境施設整備緊急措置法に基づく整備五カ年計画の実行を強力に推進するとともに、簡易水道の普及、水資源に関する調査を行なう。そこからアからオまで各種の
環境施設の整備費の
補助金要求が書いてございます。これは、し尿処理につきましては、昨年
緊急措置法の計画に基づきまして非常に予算も倍加され、また、軌道に乗ってまいりましたが、ごみその他の施設につきましても一段と推進してまいりたいという趣旨でございます。それから、
水飢饉問題等にかんがみまして、水資源の
開発調査、そういったものにも一段と力を入れたいという趣旨のものでございます。
二番目は、
公害対策の推進で、
ばい煙防止対策の強化、騒音、
自動車排ガス等、
規制外公害の実態調査、
大気汚染測定網の整備、地域開発に当たっての
事前調査指導を行なうほか、
国立公害衛生研究所を設置するとともに、
社会開発事業団により
公害防止施設の設置を促進する、このための経費としまして約三億九千万円要求してございます。調査費、指導費的なものがずらっと並んでおります。カにまいりまして、
国立公害衛生研究所の設置を要求してございます。これは主として医学的、
衛生的見地から、公害の人体に及ぼす医学的な影響とか、あるいはまた公害の具体的な影響というものを技術的に測定するといったような仕事をねらいといたしたものであります。この公害の対策につきましては、通産省とか文部省その他関係のある省、いろいろございますが、お互いに提携いたしまして、厚生省のほうでは主としてそういう公害の医学的な影響、あるいは技術的な測定、そういったものを中心に実施していく。そして、その各企業の
公害防止設備というものにつきましては、
通産省等で主として対策を講ずるというような調整のもとに
公害対策を総合的に進めるということで話し合いをいたしております。
次のキの、
社会開発事業団も、同じ趣旨からこの公害の
防止対策を促進したいという趣旨のものでありまして、これは新産都市とか
工業整備地域等につきましては、先ごろの三島、
沼津問題等にかんがみましても、だんだんと企業と地域社会におけるトラブルというものが問題化してまいりましたので、その間の摩擦を解消し、また、必要な施設を公的な機関によって整備いたしたいという趣旨のもとに、事業団を設置して必要な施策を進めたいという趣旨のものでありまして、この事業団の事業の内容といたしましては、そういう工業都市の周辺に共通的な緩衝地帯、グリーンベルト的な緩衝地帯を整備して、そこに必要な
保健福祉施設とか、運動場とか、
文化施設とか、そういった施設を設けるとかいう事業と、もう一つ各企業に対する公害の
防除施設融資をここで行ないたいという内容からなっております。これは通産省と共同提案のかっこうになりまして進めていく予定で話し合いを進めております。ここには六千万円、これは事務費でございまして、別に資金計画としまして来年度は百億の事業費を要求してございます。
三番は、
僻地対策で、これは従来の各種の
僻地対策を一段と進めたいというものでありまして、僻地、離島における
保健福祉の向上をはかるため、
僻地診療所の整備等により
医療水準を引き上げるとともに、
僻地保育所等を整備するために七億四千万円ほど要求してございます。内容は、大体そこに書いてありますような、従来やっておるような内容のものでございます。
それから、四番の、
環境衛生関係営業に対する指導ですが、
環境衛生関係営業者等に対する
経営指導の強化等を行ない、その近代化、合理化をはかるために約一億二千万円、これは浴場とか興業施設とか、そういった
環境衛生関係に対する非常に非近代的な経営のものが多いわけでございますが、これに対する
経営指導を行なってその合理化をはかるとともに、
環境衛生の弊害をなくしたいという趣旨のものでありまして、関係の団体の
指導助成費とか、あるいは指導員を置いて必要な企業診断、指導を行なうというような趣旨のものでございます。
それから、大きい第三の柱としまして、
国立公園等の整備、その一は
国立公園施設整備事業団の新設で、
国立公園施設整備事業団を新設し、レクリエーションのための道路、駐車場、
レストハウス等の施設を整備する、そのための政府出資として二億円要求してございますが、このほかに財投に二十億の要求を来年度いたしております。これは
国立公園の整備を従来細々とやっておるわけでありますが、だんだんとこれが企業化され、
国立公園の風致その他自然環境が非常に害されるというところから、この整備をやはり強力にまた促進する必要があるという趣旨から、これも先行投資によって整備を大々的に促進したいという趣旨のものであります。それで、事業団によってこの整備を行ないまして、大体ある程度の収益を予定されるものにつきましてはこの事業団をもって整備をする。小さい整備は
一般会計の整備費でもって従来どおりやっていくという構想でございます。そのあとの二番以下は従来やっておるような各種の整備でございます。これは省略さしていただきます。
次のページの第四の柱としましては、
社会福祉施策及び
児童家庭対策の強化、その一は
生活保護制度の改善で千百四十二億円、これにつきましては、今回は例年の要求のしかたを改めまして、一応前年度の保護費の三割増しに近い額をワクとして要求してございます。それで、基準を何%上げるかというようなことは、ただいま
社会福祉審議会のほうで生活保護の基準のあり方といったものにつきまして御審議を願っておりますので、その答申等を待ちまして予算編成までにきめたいという所存でおります。
二は、
老人福祉対策の強化で、老人の健康診査の拡充、
家庭奉仕員の増員及び
老人クラブの増設等をはかるということで、従来の
老人福祉法に基づく各種の施策を一段と進めたいという趣旨のものでありまして、全体として七十五億八千万円ほど要求してございます。
三番は、
世帯更生資金の充実等でございまして、
世帯更生資金の資金量の増額、内容の改善を行なうといたしまして、そこに書いてありますとおり、新しく
修学資金とか小口の
貸し付け資金を設けるとか、あるいは従来の資金の引き上げを計画しております。
次のページへまいりまして、四番は、
母子保健対策の強化で、妊産婦、乳幼児に対する
健康管理の体制を強化するとともに、低所得世帯の妊産婦に対し
ミルク等の栄養食品を無料または低額で配付する等の措置を行なうというもので、これも大体従来の対策でございますが、未熟児、
妊産中毒症、そのほかに妊産婦に対しまして、その栄養強化の意味でミルクの無料配付を計画しております。
五番は、家庭児童の福祉の強化で、
家庭児童相談室の整備をはかるほか、野外活動の促進等、児童の
健全育成対策を推進するというもので、児童の積極的な
健全育成対策としまして、そこに書いてあります各種の従来のやっております施策を一段と推進したいというものであります。
六番は、
母子福祉対策の強化で、これも従来大体やっておるものでありますが、
母子福祉貸し付け金の資金量の増額、
母子福祉センター及び
母子休養ホームの増設をはかるための経費としまして六億五千万円要求してございます。
それから、次のページの七番は、要
保護児童対策の拡充で、施設収容児童の処遇の改善をはかるほか、心身障害児に対する施策の拡充をはかるというもので、児童福祉法に基づく保護措置のほか、結核あるいは身障児、あるいは重症心身障害児に対する療育援護のための経費でございます。
八番は、児童扶養手当及び重度精神薄弱児扶養手当の改善で、児童扶養手当につきましては三十三億七千万円、それから、重度精神薄弱児扶養手当につきましては、これは前年度初めてできた制度でございますが、さらにその手当額の引き上げとか所得制限の緩和、そういった改善を行なうために四億要求してございます。
それから、九番は、社会福祉施設及び児童福祉施設の整備で、社会福祉施設及び児童福祉施設の整備のために前年約二十五億の予算でございましたが、三十億に増額要求をしてございます。
十番は、社会事業施設職員の処遇改善で、これは保育所とか、各種の収容施設の職員の処遇が一般に比べまして低いという現状から、いろいろな対策を例年講じておるわけでありますが、来年度はこの給与のベースアップを行ないたいという趣旨で、二十億八千万円を要求してございます。それから、また、職員の増員保母とか職業指導員とか、そういった職員についての増員をはかりたいという趣旨のものでございます。
次の柱は、児童手当制度の準備で、この児童手当制度の実施につきまして、この促進方が要望されておりますが、来年度はこのための準備の組織を設ける、創設準備室といったようなものを設けて、制度の検討、それから必要な調査等を行なうというような費用、それから、さらに、各界の識者を集めまして、児童手当制度調査会を設けて御審議を願うための費用でございます。
次の第六の柱は年金保険制度の充実でございまして、その第一は、厚生年金保険制度については、一万円年金の円滑な実施をはかる、これは次の臨時国会に提出いたすべく考えておるわけでございます。
次の二番目は、福祉年金の改善でございまして、国民年金制度については、福祉年金の年金額の引き上げ、所得制限の緩和、支給対象の拡大等、その改善をはかるというもので、総額といたしまして、福祉年金の給付費が四百三十四億、うち、改善分が七十三億、改善の内容としましては、年金額を月三百円引き上げたい、現在老齢年金月千百円でございますが、これを千四百円にいたしたい。その他の障害年金等につきましても三百円ずつ上げていきたいという趣旨のものであります。それから、所得制限の緩和につきましても、第一子、第二子以降の所得制限の額を引き上げたい。それから、あと扶養義務者の所得制限の緩和とか、配偶者の所得制限は撤廃したい、夫婦受給制限も撤廃したい。それから、支給範囲の拡大、これは二十歳以下の重度精薄者につきましては、先ほどの重度精薄者扶養手当が支給されますので、二十歳以上のおとなの重度精薄者については、福祉年金をもってカバーいたしたいという趣旨のものであります。それから、最後は、併給限度額の引き上げでございまして、公務扶助料等の受給者で、年金額が八万円に満たない者につきまして、従来福祉年金の併給を認めておりましたが、今度福祉年金の額を月三百円上げるに基づきまして、従来の既得権を保護する意味で、併給の限度額を八万円から八万三千六百円に引き上げたいという趣旨のものであります。
第七は、戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の拡充で、これも例年いろいろ改善を加えておりますが、来年度におきましても、若干の改正をいたしたい。戦傷病者、戦没者遺族等につきましては、事変中の死亡、障害に対する額の引き上げとか、準軍属にかかる遺族一時金の支給の引き上げとか、その他の改正をいたしたい。また、戦傷病者特別援護費につきましても、そこに書いておりますような、かねて要望されておるような各種の改正をいたしたいという趣旨のものであります。
以上、簡単に御説明申し上げましたが、来年度
予算要求のおもなるものについて御説明を終わりたいと思います。