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1964-01-30 第46回国会 参議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年一月三十日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員異動 一月三十日  辞任       補欠選任   市川 房枝君   林   塩君   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     鈴木  強君    理事            高野 一夫君            徳永 正利君            藤田藤太郎君            柳岡 秋夫君    委員            加藤 武徳君            亀井  光君            紅露 みつ君            丸茂 重貞君            山本  杉君            横山 フク君            阿具根 登君            杉山善太郎君            藤原 道子君            林   塩君            村尾 重雄君   国務大臣    労 働 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    労働政務次官  藏内 修治君    労働大臣官房長 和田 勝美君    労働大臣官房会    計課長     鈴木 健二君    労働省労働基準    局長      村上 茂利君    労働省婦人少年    局長      谷野 せつ君    労働省職業安定    局長      有馬 元治君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   —————————————   本日の会議に付した案件労働問題に関する調査  (労働行政基本方針に関する件)  (労働省関係今期国会提出予定の法  律案に関する件)  (昭和三十九年度労働省関係予算に  関する件)   —————————————
  2. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ただいまより開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。本日、市川房枝君が委員を辞任され、その補欠林塩君が選任されました。   —————————————
  3. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 労働問題に対する調査を議題といたします。  まず、労働大臣より、労働行政基本方針についての所信を聴取いたします。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 第四十六回通常国会の再開にあたり、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  私は、労働行政推進する基本的心がまえとして、完全雇用の達成と労働条件向上を目標として、経済施策全体との調和を保ちながら一歩一歩着実に前進してまいりたいと存じ、明年度予算の編成をはじめ、機会あるごとにこの趣旨に沿って微力を尽くしてまいった次第であります。  特に、本年は、わが国経済がいよいよ本格的な開放体制への移行という局面を迎え、経済基盤の一そうの強化を急務とする年でありますので、今後とも国民全体の福祉との均衡をはかりつつ、この目標の実現のため真剣に努力してまいる考えであります。よろしく御指導御鞭撻くださるようお願いする次第であります。  最近の雇用情勢をみますと、経済拡大に伴い、雇用は著しい伸びを示し、特に若年労働者技能労働者を中心とする労働力不足の状態は、今後の経済発展新規労働力供給事情を考慮しますと、一そう強まるものと考えられます。  しかし、他面、中高年齢求職者等就職はなお容易でなく、ことに石炭産業等に見られるように、産業構造の転換に伴い、多数離職者の発生をみている状況であります。これに対処するためには、労働力需給関係の不均衡の是正と、労働力の有効適切な活用について計画的な施策がより一そう必要であると考えております。  このため、まず総合的な雇用計画を樹立し、全国的視野に立って有効適切な需給調整を行なう基盤を確立することが肝要であると考え、三ヵ年計画労働市場センター設置及び関連通信網整備を行なうこととし、全国の求人、求職状況を迅速、的確に把握し、有効な結合を促進する基礎をつくることとしたのもその意味にほかならないのであります。  これと並んで、移転労働者用住宅大量建設雇用促進融資拡大等措置強化中高年齢者に対する就職指導職業訓練促進炭鉱離職者に対する就職奨励金制度新設等、いわゆる広域職業紹介による就職の実をあげ、労働力全国的流動化を実現する具体的施策強化し、両々相まって真に実効ある総合的な雇用対策樹立推進に最大の努力を傾むけてまいる所存であります。  次に、技能労働者の養成と技能水準向上の問題でありますが、本格的な開放経済のもとで、きびしい国際競争に耐え、欧米先進諸国に伍して、わが国国際経済社会における地位を高めていくためには、生産の中核をなす技能労働者養成確保とその技能水準向上が喫緊の要務であります。  かかる事態に対処するため、民間の技能向上のための施策を援助助成することなどにより、技能水準の一そうの向上をはかるとともに、本年度に引き続き職業訓練拡充強化し、技術革新の時代にふさわしい技能労働者確保に努めてまいる所存であります。  すなわち、民間機関実施する各種技能コンクールに対しまして積極的な指導援助を行なうとともに、技能センター設置してその利用に供する等の措置を講じ、これと技能検定との連携調整をはかり、労働者技能習得意欲を一段と増進させ、技能水準向上に資してまいる考えであります。  また、公共職業訓練につきましては、再就職の困難な中高年齢失業者産業構造変革等により離職を余儀なくされる人々に対する転職訓練を重点的に推進し、これらの人々の雇用の安定をはかるとともに、技能労働力確保に資する考えであります。  さらに、事業内職業訓練につきましてもその推進をはかり、特に中小企業の現状にかんがみまして、これに対する助成援助を一そう強化してまいる所存であります。  次に、中小企業労働者労働条件福祉向上をはかる施策につきましては、中小企業生産性向上し、その成長発展をはかるためにも重要であります。  このため、中小企業経営基盤強化のための諸施策と相まって、最低賃金制の実効ある拡充労働時間の漸進的短縮労務管理近代化対策等の諸施策推進し、さらに、中小企業者等が自主的に設置する労働福祉施設に対する融資ワクを増大する等、今後とも積極的な諸施策を講ずる考えであります。とりわけ中小企業退職金共済制度につきましては、昨年十一月の中小企業退職金共済審議会の答申の趣旨にのっとり、適用対象である中小企業者範囲拡大掛金月額最高額の引き上げ、中小企業退職金共済事業団の資金の還元融資建設業等における期間を定めて雇用される者についての特別措置等を骨子とする改正法律案提出し、今国会において御審議を願う考えであります。  なお、これと関連して、労働者五人未満の事業所に対して失業保険を当然適用することにつきましては、各方面の要請もあり、労働省としてもその必要性に着目し、労災保険の五人未満事業所に対する当然適用とともに、昭和四十一年度実施を目途として諸般の準備を進めたいと考えております。  次に、賃金問題につきましては、最近の経済成長の過程における雇用労働情勢の推移に伴って、賃金制度をめぐって種々の問題が生じておりますので、先般来学識経験者の方々に賃金制度について国民経済全般の見地からの調査研究お願いしている次第でありまして、有益な研究の成果が得られることを期待しております。  また、賃金は、国民経済と調和を保ちつつ、消費者物価の安定と相まって実質的に改善されるべきものと考えますので、今後とも関係労使がかかる観点から賃金問題を合理的に解決するよう期待し、そのために政府としては必要な基本資料整備、提供につとめてまいりたいと考えております。  さらに、最低賃金制度につきましては、さきの中央最低賃金審議会の答申に基づき、その実効ある拡充をはかってまいる所存であり、また、すでに決定をみました最低賃金のうち、実情に沿わなくなったものにつきましては、その改正について鋭意努力しているところでありまして、今後とも一そうこの面の努力を続けてまいりたいと存じます。  次に、労働災害防止につきましては、労働政策の最も重要なものの一つとして、従来から格段の努力をいたしてきたところでありますが、なお多くの災害が発生し、多大の経済的損失をもたらしているのみならず、多数の尊い人命が失われていることは遺憾にたえません。  このような実情に対処するため、労働基準法に基づく監督、指導強化関係規制整備行政体制充実等により、労働者が安心して働くことのできる職場環境の形成のために全力をあげて当たりたい所存であります。その一環として、かつ、これらの諸施策を実効あらしめるために、労働災害防止計画の作成と実施事業主の行なうべき労働災害防止活動を効果的ならしめるための体制の整備と、これに対する指導、助成、建設業等の特に危険かつ特殊な作業についての特別規制措置等実施いたしたいと考え労働災害防止に関する法律案を重ねて本国会に提案することといたしたのでありますが、御承知のように、本法案実施に要する経費はすでに今年度予算にも計上いたしてありますので、労働省としては、本法案早期成立を期待いたしている次第であります。  さらに、労災保険制度につきましては、最近における社会経済労働情勢の変化にこれを適応せしめ、これを一そう充実させるため、昨年末、労災保険制度全般の再検討について、労働者災害補償保険審議会に対し諮問いたしたところであり、同審議会の検討の結果をまって、関係法律改正を考慮いたしたいと考えております。  また、労働保険審査会の能力を拡充し、審査の迅速、適正を期するため委員の増員を行なう等、労働保険審査官及び労働保険審査会法に所要の改正を行なうため、本国会の御審議お願いする考えであります。  次に、労使関係の問題であります。  経済の繁栄と民主主義発展とは、健全な労働運動の進展と、よき労働慣行の確立に負うところがきわめて大であります。  政府といたしましては、従来から労働教育その他の施策を通じ、自由にして民主的な労働運動発展と正常な労使関係の形成につとめてまいりましたが、今後とも、かかる施策をさらに推し進める考えであります。  特に今後は、開放経済体制への移行等を控え、これに対処して問題を円滑に処理するためには、労使が平素より相互信頼を基調とした話し合いによる合理的な問題処理の慣行を確立しておくことが最も大切であると考え全国的な話し合いの機運の醸成につとめているところでありますが、今後もかかる考え方を基本として労使問題の解決に当たる考えであります。  婦人年少労働者対策でございますが、職業対策といたしましては、若年層を中心とする婦人労働力の需要に対処し、未開発な面の多い婦人労働力を適正かつ有効に活用するための諸施策推進するとともに、中高年層婦人就業援助強化するため、家事サービス訓練施設内職相談施設の充実につとめる考えであります。  また、婦人及び年少労働者保護福祉の増進をはかるためには、かねて中小企業密集地域に「働く婦人の家」、「勤労青少年ホーム」を設置してまいりましたが、これらの整備拡充をはかるとともに、中小企業団体設置を勧奨してまいっております年少労働者福祉員につきましても一そう活動の活発化促進し、年少労働者のための産業人事相談制度の普及につとめる所存であります。  最後にILO八十七号条約につきましては、できる限り早期にその批准をいたしたい政府基本方針に変わりはなく、私といたしましても、就任以来最も力を尽くしてきた問題でありますが、今国会においても、すでに開会冒頭に同条約批准承認案件及び関係法案提出しておるところでありまして、関係案件の成立を期するために、引き続き一そう努力を傾注してまいる所存であります。  以上、労働行政の当面の諸問題につきまして所信の一端を申し上げましたが、今後各位の御意見を十分拝聴しながら、労働行政推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。  何とぞよろしくお願いを申し上げます、ありがとうございました。   —————————————
  5. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、今期国会における労働省関係提出予定法案について、政府より説明を聴取いたします。
  6. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) お手元に「第46回国会提出予定法案労働者)」という資料がまいっておると存じます。それをごらんいただきながらお聞き取りを願いたいと存じます。  今国会提出予定しておりますのは、総計で六件でございまして、三十九年度予算関連をいたしますもの四件、その他二件でございます。  まず第一は、労働省設置法の一部を改正する法律案でございまして、これは労働省労働研修所を新たに設置することといたしたいというものと、労働行政を進めていく上に必要な定員増加お願いをいたしたいというものでございます。定員増加は、全体では七百五十名の定員増加でございますが、直接設置法との関連のあるものは六百四十六名でございまして、他は都道府県の地方事務官として、地方自治法改正お願いすることになろうかと考えております。  次は、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案でございます。労働保険審査会におきましては、年間ただいまのところ二百七、八十件の処理をいたしますが、年度繰り越しも同じく二百七、八十件ございます。こういう事情にかんがみまして、救済を求めておられる労働者側の声をすみやかに判断をする意味からいたしまして、審査会委員の定数、現在三名を六名にふやしまして、審査方式も三人ずつによる、いわゆる小法廷式方式によって、審査会を幾つかに分けることによって、事務の迅速な処理をはかりたい、かように考えておるものでございます。そのような中身のものがこの審査会法の一部を改正する法律案でございます。  次は、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、これはILO八十七号条約関連します国内法規でございまして、同法案の四条三項の削除、これはすでに通常国会冒頭国会提出をいたしております。  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案も、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案と同趣旨のものでございまして、同法案の五条三項の削除内容とするものでございます。  次は、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案でございます。中身といたしましては、中小企業退職金共済法は、現在、中小企業範囲を、従来員二百人ということで制限をいたしておりますが、その範囲拡大をいたしまして、現在の予定といたしましては、従業員を三百人のところまで対象範囲を広げてまいりたい、多少その他の点がございますが、大まかに申しますればそういうことでございます。  次は、掛金月額は一人について二百円から千円までという制限がございますが、その千円を二千円に引き上げたいということでございます。  それから、中小企業退職金共済事業団によりまして共済事業実施いたしておりますが、事業団余裕金も漸次ふえてまいりましたので、その一部を加入者に対する還元融資として加入者側に貸し付けることのできる制度を設けたいということが第三点でございます。  第四点は、現在の退職金共済法によりますと、短期雇用のものでありまして、業者を転々と変わるものにつきましては適用除外になっておりますが、最近におきます建設業のような特定の業種におきましては、これらの労働者確保のために非常に苦慮いたしております。そういうものに対する一つの手助けと申しますか、そういう意味合いもございまして、そういうような労働者対象にした退職金共済制度を新たに設けたいという中身のもの、その他事務的のささいなものが内容となっております。  最後に、労働災害防止に関する法律案でございます。これは前通常国会に御提案をいたしまして、次の臨時国会において多少政府原案を修正をいたして提案をいたしましたが、それと全く同じ内容のものを今国会提出をいたしております。中身についてはそういうことでございますので、特に申し上げることは省略さしていただきたいと思います。  以上の案件でございます。  なお、未提出法案が三法案あるわけでございますが、いずれも二月上旬には国会に御提出を申し上げたいと、かように考えております。  以上、簡単でございますが、御説明を終わらしていだきます。   —————————————
  7. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 次に、昭和三十九年度労働省関係予算について説明を聴取いたします。
  8. 鈴木健二

    政府委員鈴木健二君) 労働省所管昭和三十九年度予算概要につきまして、お手元に御配付いたしております資料に基づきまして御説明申し上げます。  第一ページの総表をごらんいただきたいと思いまするが、一般会計の歳出、上から二行目でございまするが、三十九年度要求額八百二十一億四千二百二十万二千円でございまして、三十八年度予算額七百三十三億五千五百九万八千円に比べまして、八十七億八千七百十万四千円の増でございます。三十八年度予算額は、本年度補正予算四億二千七百五十七万三千円を含んでおりますので、それを差し引きますと、当初予算に比べますと九十二億千四百六十七万七千円の増額になっておりまして、その比率は一一二・六%となっております。  特別会計につきましては、後ほど特別会計のほうで御説明を申し上げたい  次に、各事項に入りまして、六ページをお開きいただきたいと思います。  第一が、近代的労働市場育成労働力流動化促進に必要な経費でございます。現下の労働力需給の不均衡と、これを契機として今後予想されます労働力不足の情勢に対処いたしまして、さしあたり近代的労働市場育成のために、三カ年計画に基づく職業安定組織網改善強化と、従来行なってまいりました労働力流動化推進をさらに強化しようとするものでありまして、要求額といたしましては、財政投融資で六十億、予算額で百十七億一千百七十二万三千円を計上いたしております。  その第一が労働市場センター設置及び関連通信網整備でございます。三十八年度予算におきまして、失業保険保険者期間通算制度実施するために失業保険計算センター予算が計上されたわけでございまするが、この施設を利用し、かつ、それを一歩進めまして、労働市場センター並びにこれに関連する連絡通信網整備を行なう、こういう構想で臨みたい。すなわち、中枢機関としての労働市場センターと第一線の職業安定所とをテレタイプ及びテレックスによって直結いたしまして、電子計算機を使いまして、従来安定所ごとに分断されておりました労働市場を再編いたしまして、全国にわたる労働市場形成し、労働力流動化円滑化をはかろうとするものでございます。これを完成いたしますまでの総費用は約三十億と想定されておりまするが、これを三カ年間で実施著たしい。その第一年度分といた肥しまして九億九千八百九十四万円を計上いたしておるわけでございます。この労働市場センターの果たす機能につきましては、この概要に書いてありますとおり、広域職業紹介迅速化労働市場情報の迅速な把握とその提供失業保険保険者期間通算失業保険料徴収事務能率化失業保険金不正受給防止という、職業安定関係のもろもろの業務を、人によってできない仕事をこれによって果たすという体系に持っていきたいと考えておるわけでございます。  第二番目が七ページでございまするが、広域職業紹介活動強化及びその裏づけとしての移転労働者用住宅大量建設雇用促進融資拡大でございます。いま申し上げました労働市場センター等に関することは、組織の問題として最近の雇用情勢に対処しようとするもでございまするが、実際問題といたしまして、労働力が移動する場合に、その移転する労働者のための宿舎と申しますか、住宅がなければこの流動化問題は解決できないわけでございまして、三十八年度に引き続きまして、三十九年度におきましても、こういった意味移転労働者用住宅を大量に建設いたしたい、その数といたしましては一万戸を計画いたしておるわけでございます。次に、雇用促進融資拡大でございますが、いま申しましたような流動化対象となる雇用労働者雇用する事業主が、住宅とか福祉施設とか訓練施設とかいうものを設置整備しようとする場合に低利の融資を受ける必要がありますので、この融資額といたしまして、契約ベースで六十億——昨年度四十億でごさいましたが、契約ベースとして六十億、資金計画額といたしまして五十億を計上いたしておるわけでございます。  三番目が、労働市場別賃金実態の速報でございますが、労働力流動化裏づけといたしまして、各地域ごとの各労働市場別ごと賃金実態がわかりませんと、労使ともに非常に不便を感じます。不便を感ずるのみならず、労働力需給結合円滑化の妨げとなりますので、この労働市場別ごと賃金実態調査いたしまして、それをできるだけすみやかに、大体年二回程度労使にその情報を御提供申し上げる、こういう考え方でございます。  次の四の、雇用動向調査、これはここにも書いてありますとおり、雇用労働力地域間、産業間、規模間及び職業等移動状況の実感を明らかにする基本資料が現在までございませんので、こうした資料を整えまして今後の雇用失業対策基礎資料といたしたい、こういう考え方でございます。  以上が労働力流動化に関する問題でございますが、第二番目が失業対策推進に必要な経費でございます。  個々の事項に入ります前に、政府考えておりまする三十九年度における失業対策全貌についてお話を申し上げたいと思いますが、失業対策全般といたしましては、三十九年度対象人員といたしまして三十三万五千九百人を考えております。その内訳は、就職指導促進措置におきまして十二万人、失業対策事業におきまして十九万四千人、失対就労者就職対策関係で二万一千九百人、合計三十三万五千九百人でございまして、三十八年度対象人員二十六万六千五百人に比べまして六万九千四百人の増でございます。予算にいたしますと、三十九年度のいま申しました三十三万五千九百人を対象といたしまして、失業対策費予算総額は……(「どこだ。出てないじゃないか。」と呼ぶ者あり)いまのは補足して説明させていただいたわけでございます。あと、おのおの細目で人数が出てまいります。あとでイロハに分けておのおの各項目ごと人数が出てまいりますが、全般の概況を補足して説明させていただいているわけでございます。  そうして、いま申しました三十九年度予算総額が三百六十四億九千二百万円でございますが、右肩に書いてあります五百九十九億六千万円の要求額は、失業保険国庫負担金の二百三十四億七千三百万円を含んだ数字になっておりますので、この失業保険国庫負担金を除きますと、いま申しました三百六十四億九千百九十六万六千円になるわけでございます。
  9. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を止めて。   〔速記中止
  10. 鈴木強

    委員長鈴木強君) 速記を始めて。
  11. 鈴木健二

    政府委員鈴木健二君) 失礼申し上げました。それで、いま全貌を申し上げたわけでございますが、その内訳につきまして、ただいまから各事項につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず第一が、中高年齢失業者等に対する就職促進措置強化でございますが、これは昭和三十八年七月、職業安定法改正に基づく中高年齢失業者等に対する就職促進措置を忠実に実行してまいろうという経費でございまして、対象人員といたしまして、先ほど申し上げましたように、十二万人を考えております。御承知のとおり、就職促進措置は、数字はここには書いてございませんけども、十二万人を一応対象として考えております。その就職促進措置内容といたしましては、一つ就職指導でございまして、一つ転職訓練になるわけでございますが、その前提といたしまして、こうした人たち就職のお世話を申し上げるためには、従来のように、単に形式的な職業紹介というのではなかなか実効をあげませんので、求職者一人一人の生活実態その他と結びついて、特定の指導官が求職のお世話を申し上げるという体制をとらなければなりませんので、そのための就職促進指導官を三十九年度におきまして三百五十人増員いたしまして、従来おります促進指導官と合わせまして七百七十六人でこうしたお世話を申し上げたいという考え方でございます。また、就職指導をやっております過程におきまして、就職指導手当を支給するわけでございますが、その月額は三十八年度九千百五十円であったものを一万五十円として計上いたしております。もう一つ転職訓練実施でございますが、三十九年度における転職訓練は、公共訓練、速成訓練、委託訓練、職場適応訓練等、全部含めまして総計七万八千四百人を考えております。また、その転職訓練をやります過程において、その間におきまして訓練手当を支給するわけでございますが、一〇ページの半ばごろでございますが、その訓練手当の額は、月額にいたしまして三十八年度は一万二千五百五十円であったものを一万三千三百円として計上いたしております。  次に、失業対策事業実施についてでございまするが、失業対策事業の一日平均吸収人員は、三十九年度におきまして十八万六千人といたしております。三十八年度の二十万三千人に比べまして一万七千人の減になっております。事業費単価は五百一円九十銭でございまして、三十八年度の四百五十八円に比べまして九・六%の増になっております。これは労力費でございます。事業費単価の中の労力費についていま申し上げたわけでございますが、労力費につきましては五百一円九十銭計上いたしております。この五百一円九十銭につきましては、失業対策事業賃金審議会の意見のとおり、昭和三十八年八月に実施いたしました屋外労働者職種別賃金実態調査によりまして、建設業総合工事中、失対事業の事業種目に対応いたします道路とか河川等の工事におきまして定額制通勤の日雇い労働者の一般的な給与額を基準として算定いたしました四百九十九円九十銭に、北海道冬季加算分といたしまして前年どおり二円を加えた額でございます。なお、資材費、管理監督費、事務費につきましては、それぞれ若干の増をみまして、事業費単価といたしましては、三十九年度におきましては六百五十七円八十五銭を計上いたしておるわけでございます。  次に、一一ページをごらんいただきたいと思います。高率補助につきましては、三十八年度は四億でありましたけれども、地方の財政負担をできるだけ軽減するという意味におきまして、億円といたしております。特別失対事業につきましては、金額としては三十八年度と同額の四十一億、一日平均吸収人員は八千人でございます。  次は、失業対策事業就労者就職促進でございますが、まず第一が雇用奨励制度拡充でございます。雇用奨励金につきましては、三十八年度と同じ対象人員六千人でございます。考え方も同じでございます。次の、就職支度金につきましては、貸し付額の単価を二万円であったものを三万円に上げる、また、対象人員も九千人であったものを一万五千人とする、こういうふうにしております。次の(ロ)の、転職促進訓練につきましては、本年度の実績等にかんがみまして、ほぼ同程度の転職訓練計画いたしております。  次に、一二ページをごらんいただきたいと思います。失業保険国庫負担金でございますが、一般失業保険の保険金総額、まん中から少し下に書いてございますが、八百八十五億三百万円でございます、この大体四分の一、完全に四分の一はなりませんのは、失業保険の給付金で、広域職業紹介に基づく給付援助の分は三分の一国庫負担になっておりますので、若干のズレはございます。二百二十一億四千七百万円の一般失業保険国庫負担金。日雇いにつきまして、保険金総額三十八億五千四百万円の三分の一が十二億八千五百万円。事業費負担といたしまして四千百万円、合計二百三十四億三千二百万円を失業保険国庫負担金として計上いたしているわけでございます。  次が、炭鉱離職者の対策の強化に必要な経費でございまして、これは昨年三十九年度は一億増額いたしまして五一の通常国会における臨時措置法の改正に伴いますものを確実に実行しようとするものでございまして、金額といたしして六十六億六千四百四十四万二千円を計上いたしております。  その第一が、炭鉱離職者援護業務の充実でございますして、この概要欄に書いてありますとおり、一から七までその援護業務の内容を書いておりますが、四の、再就職奨励金支給費、五の、民営事業助成費を除きましては、従来ともやっていたものの踏襲、あるいに若干の拡充でございまして、新規のものは、いま申しました四と五でございます。四の、再就職奨励金の支給と申しますのは、石炭合理化による離職者の再就職促進するために、やはり就職支度金制度を設けようとするものでございまして、 これもここに書いてないので非常に恐縮でございますが、その内容は、離職後一年以内に就職した場合には給付日数の七十五日分、一年から一年半の間に就職したものにつきましては給付日額の五十日分、一年半から二年の間に就職したものにつきましては給付日額の三十日分を支給するという制度を新しく創設するものでございます。その金額は、ここに書いてありますように、三億五千五百八十四万七千円でございます。五の、これも規新事業でございますが、民営事業助成費と申しますのは、炭鉱未亡人対策としての家政婦施設の中の宿舎、託児所に対する助成金として八百十二万四千円を計上いたしております。その他につきましては、先ほど申しましたように、三十八年から実施いたしておりますものの若干の拡充程度のものでございます。  2の、炭鉱離職者の緊急就労対策事業の実施でございますが、御存じのとおり、現行法では三十九年十二月十七日で緊就事業は廃止することになっておりますけれども、これを昭和四十三年三月三十一日まで実施するという方針のもとに、三十九年度におきましては、二十四億九千四百万円の予算を計上いたしております。吸収人員は六千四百人、事業費単価は千五百円でございます。  次が、炭鉱離職者職業訓練の充実でございますが、訓練定員内容等、大体三十八年度の訓練内容を若干充実するという程度の予算を計上いたしております。  次に、一五ページの就職促進指導実施等でございますが、就職促進手当、広域職業紹介実施等については、三十八年度と同じ考えでございます。  次に、一六ページの技能労働者育成技能水準向上に必要な経費に移りたいと思います。技術革新の進展に対応いたしまして、今後経済発展推進力となります技能労働者育成技能水準向上のために、技能コンクールの実施促進及び技能検定等、飛躍的な拡大職業訓練の充実をはかるものでございまして、総額といたしまして七十億二千八十一万二千円を計上いたしております。その第一が、技能コンクールの実施促進及び技能検定との連絡調整でございまして、民間における自主的な技能コンクールの実施を助長し、さらにこの技能コンクールと技能検定制度連携調整を行なって、技能検定の実質的拡大をはかるという趣旨のものでございまして、民間が自主的に行ないます技能コンクールにおきまして、国が定める一定の基準以上の成績をおさめた者に対しましては、技能検定におきまする実技試験を免除するという方策を行ないますと同時に、こうした民間の行なう技能コンクールに対しまして国が補助を行なおうと、こういう趣旨のものでございます。それで、技能コンクールの実施と国際職業訓練競技大会への参加、これは(ロ)に書いてあります国際競技大会への参加は昨年度と同じでございます。(ハ)に書いてあります技能検定実施、これはいまし申ましたように、実技試験につきましては技能コンクールのほうに譲るわけでございまして、その職種は三十六職種でございまするが、それとうらはらになりました学科試験は国がやるわけでございます。それがやはり同じ三十六職種を計上いたしておるわけでございます。  また、次に、こうした技能コンクールの実施を円滑ならしめ、また、コンクールを実施しない場合には事業内訓練の助成というふうなことで、技能センターを一ヵ所設置いたしたいという考え方でございます。  次が、転職訓練中心とする公共職業訓練施設及び内容の充実でございますが、次のページをお開きいただきたいと思います。一七ページの一般訓練所におきまして、三十九年度におきまして、新設しようとするものは十ヵ所で二十職種でございます。職種の増設をはかろうとするものが二十職種でございます。総合訓練所におきましては新設は考えておりませんで、職種増を十五職種考えております。中央訓練所につきましては、学年進行等に伴う経費を計上いたしておるわけでございます。次の一八ページに書かれておりまする身体障害者職業訓練所は、これは新規でございまして、北海道に一ヵ所身体障害者職業訓練所を新設いたしたいという考え方でございます。  次に、転職訓練推進でございますが、これは先ほど失業対策並びに炭鉱離職者対策のところで述べたことの重複計上になっておりますので、省略させていただきたいと思います。  次は、一九ページの4の事業内職業訓練強化拡充でございまするが、その(イ)は共同職業訓練団体に対する運営費の補助でございます。その対象人員がごらんのとおり伸びておりますので、それに伴う運営費の補助の増額をいたしております。(ロ)の、共同職業訓練施設費、これは昨年と同じく十五ヵ所分でございます。(ハ)の、事業内職業訓練施設設置資金の貸付は、財政投融資といたしまして一億九千万円を計上いたしておりまするが、これは先ほど申しました財政投融資ワク六十億の内訳になるわけでございます。  次が、中小企業労働対策の推進に必要な経費でございまして、総計六億四千八百五十九万二千円を計上いたしております。その第一が、中小企業労務管理近代化のための集団指導推進でございまして、中小企業の企業集団ごとに指導いたしまして、それぞれ近代化計画を樹立してもらいまして、それを着実に実行してもらって、中小企業の実質的な労働条件のレベル・アップをはかるということで、昭和三十七年度より基準局におきまして実施をいたしておる施策でございまするが、そういうことで、大体の予算の体系は従来からでき上がっておるわけでございまするが、三十九年度におきましては、特にその中の下から三行目の欄に書いてありますような、これに従事いたします労務管理近代化推進員、これは民間人でございまするが、これを従来三千人委嘱申し上げておりましたのを、千人増加いたしまして四千人にいたすという予算を計上いたしておるわけでございます。次の二一ページの(ハ)に、週休制及び一斉開閉店制の促進指導中小企業災害防止個別指導実施は、三十八年度予算と大体同額あるいは若干拡充という形のものでございます。  次が、中小企業退職金共済制度の改善と加入促進でございますが、これは先ほど官房長から四十六回国会提出予定法案といたしまして、中小企業退職金共済法改正内容を申し上げておりますので、内容については省略させていただきますが、建設業退職金、この中で、いわゆる予算を要しますのは、建設業退職金共済制度の創設に伴なうものでございまして、この事務費の補助約三千万円を計上しております。なお、融資制度につきましては、中小企業退職金共済事業団余裕金が、これもここに数字が載せられておりませんが、来年度末に約百三億になる見込みでございますので、その約一割の十億を融資のワクとして考えていきたいと思っておるわけでございます。  次が、中小企業労働者福祉対策の推進でございまして、その(1)が、福祉協議会の設置でございます。三十八年度におきまして、この福祉協議会を九十協議会認められたわけでございますが、それを倍の百八十協議会で三十九年度は進めてまいりたいという考え方でございます。二番目の、年少労働者福祉対策でございますが、その(イ)は、勤労青少年ホームの増設でございまして、増設分八ヵ所を明年度計上しております。勤労青少年対策の重要性にかんがみまして、設置個所の増加数をいわゆる倍増、従来四ヵ所程度の増加でございましたが、八ヵ所にいたして、いわゆる倍増いたしたいという考え方でございます。次が、年少労働者カウンセリング制度の普及でございますが、年少労働者の職業生活への適応を高めるために、職場あるいは家庭におきまして生じた緊張とか、不満とか、そういったものを適切な人によって生活相談によって解決することが必要なわけでございまするが、そういった意味産業カウンセリング制度を普及のための広報とか講習会の開催に要する経費を計上いたしておるわけでございます。
  12. 徳永正利

    ○徳永正利君 カウンセリングというのは何ですか。
  13. 鈴木健二

    政府委員鈴木健二君) 生活相談でございます。
  14. 徳永正利

    ○徳永正利君 生活相談と書いておいたほうがわかりやすいような気がする。ぐあい悪いよ。
  15. 鈴木健二

    政府委員鈴木健二君) 次に進めさせていただきます。(ハ)の、年少労働者福祉制度充実等につきましては、大体三十八年度の踏襲でございます。  次は、婦人労働者福祉対策でございますが、働く婦人の家の増設につきましては、昨年のとおり二カ所の増設でございます。働く婦人労働者福祉増進運動等につきましては、昨年度予算を若干拡充さしていただいております。  次に、中小企業労使関係の安定促進でございますが、ここに書かれております中小企業労使関係改善指導中小企業労働相談員の委嘱及び講習会の開催等、中小企業向け指導資料の発行等でございますが、若干の事務費の増額を計上しております。二三ページに移りたいと思います。小規模事業所に対する失業保険適用拡大でございます。先ほどの大臣のごあいさつにもございましたように、昭和四十一年度を目途に、五人未満事業所を当然適用にいたしたいという考えでございまするが、それまでの期間、できる限り多くの小規模事業所適用をはかる必要がございまするので、事務費としてはかなり高額の六千三百五十五万六千円を計上いたしておるわけでございます。6の事業内職業訓練強化拡充につきましては、先ほど技能労働者育成技能水準向上説明のほうで申し上げたのと重複になっておりますので省略さしていただきたいと存じます。  次が、二四ページでございますが、近代的労働条件促進に必要な経費でございます。要求額といたしまして七億三千五百十九万八千円を計上いたしております。1の、中小企業労務管理近代化のための集団指導推進につきましては、先ほどの中小企業対策のところで申し上げましたので省略さしていただきます。賃金に関する施策推進につきましては、趣旨は先ほど大臣のごあいさつにあったとおりでございますが、予算に計上いたしておりますもののおもなものの一つ最低賃金制度拡充でございます。(1)が、最賃法に関する昨年の答申に基づきまして、関連業種の労使の意見を反映さすために専門部会の回数を増加し、平均六回を八回にするという増額と、業者間協定の件数増を予算上計上いたしておるわけでございます。  次に二五ページに移りまして、二五ページの新規の事業といたしましては、(ロ)に書いてあります賃金構造基本調査実施でございまして、三年に一回賃金センサスが行なわれるわけでございまするが、その年に当りますので、賃金構造基本調査実施といたしまして三千五百三十七万七千円を計上いたしておるわけでございます。次が、産業災害防止対策の推進でございますが、新産業災害防止五カ年計画の強力な推進、特に重大災害防止のための指導監督体制強化整備、検査検定の強化労働災害防止協会の育成強化、重要職業性疾患防止対策の強化等の経費を計上いたしております。高率災害事業場災害防止対策の推進につきましては、これはここに書いてありますような電源開発とか港湾とか、建設工事中に災害が発生するものにつきましては、ひんぱんに特別の監督を行なうという旅費と調査費に関するものでございます。次の、労働災害防止協会の育成でございますが、法案が通った暁におきましては、中央の一団体、中央労働災害防止協会、業種別労働災害防止協会五団体ができるわけでございますが、これに対する交付金三億四千万円を計上いたしておるわけであります。検定検査につきましてはボイラーとかクレーンとかの検定検査に要する費用を増額いたしまして計上いたしておるわけでございます。次の、重要職業性疾患防止対策の推進につきましても、同じような考え方でございます。(5)に、科学技術の振興と、非常に何か少しちぐはぐな表現を使っておりますが、予算項目上、こういう名前になりますので、中身につきましては産業安全研究所、労働衛生研究所の研究費の増額と機械設備の整備等に要する経費でございます。  次に、二七ページの、労働時間関係実態調査でございますが、労働時間問題の重要性にかんがみまして、商店等サービス業、監視断続的労働等の特殊な部面における労働時間に関する実態調査整備しておきたい。こういった関係の予算でございます。  次が、合理的労使関係の樹立に関する経費でございまして、1が、労働問題懇話会でございまするがこれは中央地方を通じまして三十八年度と同様に運営をしてまいりたいということで金額を同額に計上いたしております。  二九ページの2の、労使関係の安定促進は、若干の事務費の増額程度でございます、3の、日本労働協会事業委託費につきましては、三十八年度予算におきまして四千五百万円の事業委託費が計上されたわけでございますが、それにさらに五百万円を加えまして五千万円計上いたし、その範囲内で日本労働協会として適切な事業を営んでいただきたいということで五千万円を計上いたしておるわけでございます。  次に掲げてございます4、5、6は、おのおの中小企業対策のところで御説明申し上げました事項でございますので、省略させていただきたいと思います。三〇ページの婦人年少労働者等対策の推進に必要な経費でございますが、その一が、中高年齢婦人の職業援護対策の推進でございまして、(イ)が、家事サービス職業訓練充実強化でございます。これは失業対策事業就労者の中で新しく家事サービス等の職業につこうとする者の職業訓練でございます。これを三十八年度に引き続き実施いたしたいという考え方でございます。(ロ)は、内職相談施設拡充でございまして、二カ所新設、それの新設費と設置運営費でございます。(ハ)の、婦人労働力有効活用に関する調査は、各婦人労働者につきまして就業状況とか、職業生活経験、職業への関心状況、就業上の問題点等を調査いたしまして、婦人労働力の有効活用に資したいという調査でございます。(ニ)の、未亡人等の就業に関する相談業務の強化につきましては、三十八年度と同じでございます。  次が、婦人及び年少労働者福祉対策の推進でございますが、この中の勤労青少年ホーム産業カウンセリング制度、働く婦人の家等につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますし婦人少年室協助員活動といたしましては、やはり第一線の婦人少年室に活動してもらわなければなりませんので、それで協助員の活動費を若干増加いたしております。  次の、勤労者家庭生活向上対策の推進でございますが、大体ごらんのとおり、ここでふえておりますのは、三二ページをごらんいただきたいと思いますが、(ハ)に、家事福祉施設の運営とございまして、これは失対就労者の職業促進施設でございますので、これが平年度化いたしますので、約九百万円程度ふえておりますが、あとは大体三十八年度内容を補完するという程度の予算でございます。次の4の、婦人の地位向上対策の推進でございますが、これも項目といたしましては、ここに掲げてありますように、婦人週間の開催、中央会議及び地方会議の開催、日本婦人実情についての海外広報活動実施、売春防止対策の推進婦人問題に関する基本調査実施等で、若干の事務費の増額を計上いたしております。  次の三三ページに移りたいと思いますが、この項に掲げておりますのと若干性質を異にいたしておりますけれども、便宜上ここの項に掲げさせていただいておりますが、脊髄損傷者に対する特殊療護施設の新設でございます。要求の概要に書いてありますとおり、労災病院等において療養中の脊損患者のうちに症状が安定し、理学療法、機能回復訓練、日常生活動作訓練等の過程も終了し、進んで、復職更正を希望している者に対しまして、みずからの勤労の報酬によって生活を営む、こういうことをやらしたいというので、長野県の諏訪に一カ所脊損患者に対する更正作業所を設置いたしたいという考え定員は五十名でございますが、一億一千三百九十二万四千円を計上いたしておるわけでございます。  三四ページに移りたいと存じます、これは国際労働行政充実強化に必要な経費でございまして、一億四千七百七十万九千円を計上いたしております。その一つは、海外広報活動充実でございまして、百五十万程度の増額をいたしております。(ロ)は、OECD諸会議の参加でございまして、OECDの会議のうち労働に関する必要なものに参加する必要があるということで、海外渡航費二百九十四万一千円を計上いたしております。(ハ)は、従来のILO諸会議の参加と国際労働関係分担金でございます。  三五ページに移りたいと存じます。行政運営の刷新改善に必要な経費でございまして、その一は、両特別会計の業務処理の機械化でありまして、特殊自動車、オートバイ、電子計算機整備、会計機、加算機の整備等をはかってまいりたい。(ロ)に、職員管理対策の強化と書いてございますが、これは、ここに掲げておりますのは、管理職手当と、また職員管理に関するブロック会議等を開く費用が計上されております、(ハ)の、労働研修所整備運営でございますが、三十八年度におきまして、労働研修所施設費が認められまして、その建物ができ上がるわけでございまして、三十九年度から業務が運営されるわけでございますので、その諸調弁費と運営費を計上いたしておるわけでございます。  三六ページの、一般行政事務費等に必要な経費でございますが、1は、じん肺等長期傷病者補償費の国庫負担金でございます。2が、政府職員等失業者退職手当、3が、労働保険審査会費、4が人件費及び事務費、大体事務費とか人件費という性質のものでございます。特に御説明申し上げることもないと思いますが、先ほど大臣が申し上げました、あるいは官房長から提出予定法案に掲げてあります労働保険審査会委員の三人の増設は、この3の、労働保険審査会の中に計上いたしておるわけでございます。  次に、特別会計に移ります。最初に三八ページでございますが、歳入のほうで、保険料収入といたしまして五百九十億五百万円でございます。じん肺等の国庫負担の受け入れが十一億三千二十万八千円、おもなものだけ申し上げますが、そういうものを合わせまして、歳入総額といたしましては九百三十三億六千一百一万一千円でございます。  それから、歳出のほうを見ていただきたいと思いますが、歳出のおもなものだけを申し上げたいと思いますが、保険金が四百六十三億三千一百万円でございます。  次に、こまかいものは抜きまして、四一ページでございます。保険施設費が八億八千九百八十七万円。次のページに移まりして、四二ページ、労働福祉事業団資金二十五億五千九万五千円。次の四三ページの予備費三百七十八億八千三百十一万五千円、歳出合計九百三十三億六千一百一万一千円でございます。  歳入歳出全般につきまして、その概況を申し上げたいと存じますが、歳入歳出の主体をなします保険料及び保険金は、前年度より適用労働者数なり賃金等の伸長によりまして、ある程度の増加を見込んでおります。歳出につきましては、大体同じ平年度のベースでございますが、特に申し上げたいのは、先ほど申しましたように、労働災害防止に関する法律の施行に関しまして、いわゆる労働災害防止協会に対する助成金三億四千万円を計上いたしております。これも先ほど申しましたけれども、身体障害者職業訓練所の新設費を特別会計で一カ所計上いたしております。脊損に対する特殊療養施設、これを一億一千三百九十二万四千円を計上している。なお、新規に労災病院の食費とか薬価代等の運転資金として五億円を計上いたしております。そういうことが特に新規の事業であったり特殊の問題であったりするものでございまして、その他につきましては、大体平年度のベ−スで予算を組み立てておるわけでございます。
  16. 丸茂重貞

    ○丸茂重貞君 その五億は何に使うの。
  17. 鈴木健二

    政府委員鈴木健二君) たとえば労災病院は独立採算制をとっておるわけでございますが、その収入に入るまで、なかなか資金がないわけでございます。したがって、薬価代を払うにしても食費代を払うにいたしましても、その運転する金がないわけであります。そうしたものを五億の運転資金でまかなうという考え方でございます。  次に、失業保険特別会計について申し上げたいと思います。四五ページをごらんいただきたいと思います。歳入は、保険料収入が八百七十二億五千九百万円、印紙収入が十三億一千八百万円、一般会計よりの受け入れが、先ほど御説明申しましたとおり二百三十四億七千三百万円、運用収入、いわゆる失業保険の積立金の運用から生ずる収入が七十六億八千二百六十万四千円、雑収入が九億六千五百九十五万円、合計千二百六億九千八百五十五万四千円の歳入でございます。  歳出のおもなものを申し上げます。四六ページの保険給付費でございますが、九百二十三億五千七百万円。保険施設費といたしまして二十九億一千四百九十一万七千円。次が四七ページに移りまして、雇用促進事業団資金百二十一億六千六百八十四万二千円。ずっと飛びまして、四九ページの予備費七十四億三千二百九万九千円。歳出合計一千二百六億九千八百五十五万四千円でございます。その概要につきましては、保険給付費につきましては、一般保険につきましては、保険規模の増大と最近の給付の実績にかんがみまして、これは数字にここの四六ページに書いてございまするが、月平均受給実人員を三十八年度予算の五十一万九千人に対しまして、三十九年度につきましては、五十二万八千人に見込んでおります。給付月額につきましては、賃金の上昇を織り込みまして、三十八年度予算の一万六百十円を一万二千二百九十一円として計上いたしております。  次に、日雇い保険につきましては、三十八年度予算の、ここに四六ページでございます。人数はこの資料に出ておりませんが、三十八年度予算の十八万一千人に対しまして十九万四千人といたしまして、受給実人員を見込んで計上いたしております。  失業保険につきましては、全般といたしまして、保険施設充実を期するために、三十八年度に引き続きまして総合職業訓練施設職業訓練の項で申しました総合職業訓練施設とか、労働力流動化のための移転就職者用の宿舎、これは初めに申しました一万戸の宿舎でございます。簡易宿泊所等の建設及び職業訓練特別給付金の支給を行なうほか、三十九年度におきまして新規に行ないます事業が、失業保険受給者のうち、就職指導手当に満たない者につきまして、その差額を支給するという制度を新しく設けましたことが特に特記する事項で、その他は、大体平年度並みの考え方でございます。  以上、簡単でございますが、労働省所管の三十九年度予算案についての概況の説明を終わりたいと存じます。
  18. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いずれこれは審議されると思いますが、一言だけ聞いておきたいのですが、三五ページの職員管理対策の強化、それから三六ページの政府職員等失業者退職手当、片一方は、九千四百万、片一方は二億四千万、これは特別会計でもないのに、何でこんなものをここに掲げにやいかぬかということ。国家公務員の年金だとか、一般給与の中に入っていなきゃならぬものを、これだけ何で摘出したのか。
  19. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) 三六ページのほうの政府職員等失業者退職手当は、先生、御存じのように、短期でやめました者の失業保険金を下回る分に対する差額支給でございます。いわゆる俗称マル政といっております。これを安定所のほうで扱いますので、労働省予算として、ここに二億四千万円を計上しております。一般的にいいます退職金とか、恩給というものは、これは全然このワク外の問題でございます。季節労務で、短期的に政府職員として雇われまして、一番多いのが林野庁関係の季節労務でございます。これは林野庁の特別会計から一般会計のほうへ財源を繰り入れまして、それを労働省予算の中に計上して職業安定所から支給をする、こういうことにしておるのであります。  それから三五ページの職員管理対策の強化というのは、ちょっと言葉が過ぎまして、まことに恐縮でございます。別に予算的に見ましても、それほどの強化ではございません。従来やっておりますものを多少旅費等がふえました程度でございます。つい言葉が過ぎておそれ入ります。
  20. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 季節労働者のやつは、農林省、林野庁から金を出して職安の会計へ入れて、職安で先に出しておいて補てんするということでしょう。それはわかっておるのです。わかっておるのだけれども、なぜ、それでも足らぬから差額をここに書いたということですか。
  21. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) これは差額という考え方ではございませんで、短期的に政府職員になりまして、恩給とか、退職金があまりもらえない分につきましては、失業保険を下回るところの部分は、失業保険にプラス失業保険を下回る部分だけ国庫から負担をするわけでございます。そのワクの総額が二億四千万、ほとんど全部が林野庁関係で、この九〇%でございます。林野庁で御存じのように、季節の労務で夏場働いて冬林野庁をやめて失業者になるという者に支給する金額でございます。
  22. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ民間もそういう……。
  23. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) 民間の場合は、普通の失業保険で参る……。
  24. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その失業保険というのは、これに該当するような処置ができておるわけですか。
  25. 和田勝美

    政府委員和田勝美君) はあ、ございます。
  26. 鈴木強

    委員長鈴木強君) ありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会    ————・————