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政府委員(中西
一郎君) 四月下旬から五月の中下旬にかけました三回の凍霜害並びに四月中に四国、九州等を
中心にして起こりました長雨の
災害についての
対策のその後の経過を御
説明申し上げます。
凍霜害の
関係の天災融資法発動でございますが、事務的には、昨日を目標にしましていろいろ作業をやっておったのでございますが、若干おくれまして非常に残念なんですが、とりあえずの作業が全部完了いたしまして、来たる金曜日の閣議で天災融資法、それから激甚法の適用等についての一連の閣議決定をしていただく段取りになりました。
この際、四月下旬の凍霜害と、五月中下旬の凍霜害を、天災としては別な取り扱いをいたすことに相なりました。その際の激甚法の適用の基準等について、いろいろ事務的に困難もございましたけれ
ども、結果としまして、
山形、宮城、福島さらに長野の四県を指定の対象の県とするということに内定をいたしております。
それから、つなぎ融資等については、もうすでに申し上げたとおりでございまますが、そのほか自創資金の特別ワクの設定等についても、同時に行なうということで作業を進めております。そのほか、共済金の概算払い率の引き上げについて作業中であります。前回申し上げてございますが、六月六日に農林省令第二十一号で、従来、再保険金の見込み額の二分の一というふうにきめられておりましたのを、農作物共済に合わせまして三分の二に引き上げるということの
措置を講じております。
それから、一般的に予備費を目下要求中で、事務的な折衝が完結いたしていないわけですが、
技術員あるいは普及員の事務費に対する助成、病虫害の防除器具の購入の助成につきまして、おおむね結論に至りつつあります。病虫害防除器具の購入、それにつきましては、スピード・スプレヤー、あるいは果樹、桑の凍霜害の防止のための重油燃焼機あるいは散水
施設等について最終的な詰めに入っております。
さらに、救農土木等につきましては、地元の市町村あるいは県当局のほうで、適当に事業を繰り上げ施行してほしいというような要望を、その地元の就労
状況等見合わせて要求がございましたら、それに対応して事業をやっていくという
準備を整えておるわけでございます。
一つ論点になりました肥料と農薬についての樹勢の回復といいますか、病害虫防除用の農薬、そういう点についての補助金、いろいろ検討したんでございますが、現
段階では、特別交付税で
措置するということで
自治省と折衝いたしておおむねの了解を得ております。ただその場合に、何といいますか、補助金の場合は、使途なりその予算の対象がはっきりしておるという意味で長所があるという御議論もあります。そこで、特別交付税で
措置します場合に、市町村長等がその特別交付税をある程度予測し得るような事前の指導体制といいますか、そういった
連絡をとることによって補助金と実効の変わらない
方法があるんではないかというふうに考えまして、この点は、いずれにしましても年度末の市町村に対する財源の補てんという
措置になるわけで、ここ数日に拙速をとうとぶよりはじっくりかまえまして、将来の
災害対策のいわば基礎を打ち立てることができれば、そういうふうにしたほうがいいんではないかということで、検討いたしております。
それから、長雨の
関係でございますが、天災融資法の適用あるいは、つなぎ融資あるいは激甚
災害法の適用等につきましては、昨日の閣議のあとで、農林
大臣から記者会見の際に、そういう方針であるという言明がございました。そういう作業をやっておるわけですが、現
段階で残っております問題は、特例法の制定をするかどうかという問題でございます。九州各地の地元から、昨年の特例法、すなわち裏作の収入の百分の八十以上の
被害があった場合というのに対しまして、前年度と合わせて二百分の百三十というふうにその条件を緩和する提案が行なわれておりますけれ
ども、その辺のことをここ両三日詰めまして、会期も残り少なくなっておりますけれ
ども、農林省としては、特例法をやはり制定いたしたいということで、御審議をわずらわすために法案をせっかく急いでおるところでございます。
それから、そういうことがそれぞれ段取りがつきましたならば、自創資金等につきましては、それぞれ凍霜害等について述べましたと同様の
措置を講じてまいるわけでございます。
特に、長雨だけに特殊な項目についてさらに補足しておきたいのですが、
一つは、水稲の不時出穂の問題がございます。これは、その後の作物の
状況等見ておりますと、やや回復といいますか、事態は好転しておるように聞いております。しかし、どうしても植えかえなければならなかったというようなところもあるようでございますので、県当局にその間の事情を
調査してもらっております。そのために必要がありますれば、苗しろの再仕立て等についてのかかり増しの経費といいますか、よけいかかった経費を何らかの形で予備費で補助するというようなことも考えていいのではないかということで作業をしております。場合によっては、面積が非常に少なくなるかもわかりませんが、そういう場合には、一般的な
対策ということで国が見る必要はないという判断になるかもわかりませんが、現
段階では、
政府としてそういう見通しを立てて作業をしておるわけでございます。
それから九州
地方の共済組合で特に
責任部分の削減払いを余儀なくされるという点が
指摘されておりますが、これらにつきましては、いろいろ検討してみましたが、農業共済基金法を改正するという
措置が必要なんですけれ
ども、それをいたしたとしましても、さらに共済組合の実力といいますか、赤字処理
能力といいますか、等についての見通しが立ちませんと一法律を改正するだけでは、うまくいかないようにも思われます。制度全般にかかわる問題ではないかという意味でさらに検討は続けますが、当面これを国で一割分を援助するということには、困難な事情がございます。
それから予約概算金の早期支払いの話でございますが、これは前回も申しげ上ましたが、予約制度発足以来十周年に当たっております。そういう意味で力を入れて予約を集める動きがこれから出てまいると思うのですけれ
ども、そういうこと等かね合わせて
災害対策ということも含めまして、二千円の予約金をできるだけ早い時期に払えるように
準備をいたしたいと考えます。昨年のような二千五百円の増額ということは、今年度は考えておりません。
それから等外下麦あるいは規格外の麦等につきましての飼料用などへの用途に融通する場合の格づけの、何といいますか、立ち会いなり、あるいは、それの売り手、買い手のあっせんなりについては、昨年同様やってまいることにしております。それから食糧用麦の払い下げ等についても、また、
政府手持ち飼料の払い下げについても、昨年度同様の
措置をいたすつもりでございます。
そのほか、植えかえ用の種子の問題、あるいは麦類の種子の問題等については、これも
実情を調べましてそれぞれ
措置したいと思っておりますが、昨年の事情に比べますと、たとえばバレイショ、あるいは菜種等につきましては、それほどの心配は要らないというふうな
情報を得ております。
さらに、農業倉庫等の保管料に関連します収入の減についての要望も、昨年同様出ておるのでございますが、これらはやはり農協の経営全体としてどうするか、あるいは系統組織の中でどういうふうにそれを受けていくかという一般的な問題として処理することにしまして、保管料に対する直接の援助ということは、昨年同様考えないわけでございます。
長雨と同時に
発生したといいますか、クリのキクイムシ等についての要望もございます。これにつきましては、長雨
対策といいますか、長雨による
被害といえるかどうか若干の問題があるのですけれ
ども、独立した問題といたしましても、キクイムシの蔓延というのは相当なものであります。これを防止する必要を
政府としても認めまして、
対策を講ずることにいたしております。クリ苗の購入の助成等の要望がありますが、
災害復旧資金だとか、あるいは果樹園経営改善資金等にわたって融資の
措置がありますので、そういうことを
中心として対応をしていく方針でございます。
植物防疫法の指定有害動植物に加えるという問題につきましては、病害虫の
発生予察の実験事業を本事業化していくわけですが、その際クリの病害虫も含めるという方向で検討を進めております。
以上でございます。