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1964-06-17 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十七日(水曜日)    午後一時五十分開会     —————————————   委員異動 六月六日   辞任      補欠選任    野田 俊作君  森部 隆輔君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君            村尾 重雄君    委員            石原幹市郎君            久保 勘一君            熊谷太三郎君            林田 正治君            村山 道雄君            森部 隆輔君   国務大臣    国 務 大 臣 河野 一郎君    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    文部省管理局長 杉江  清君    農林大臣官房長 中西 一郎君    通商産業大臣官    房長      川出 千速君    気象庁長官   畠山 久尚君    建設政務次官  鴨田 宗一君    建設大臣官房長 平井  學君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君     —————————————    本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (新潟地震に関する件)  (凍霜害及び長雨被害に関する件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  六月六日町田俊作君が委員を辭任され、その補欠として森部隆輔君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する調査として、新潟地震に関する件を議題といたします。  まず、赤澤自治大臣から、被害状況等について御説明願います。
  4. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) けさ参議院の本会議で、私は実際きのうの夕方派遣されまして、けさ新潟を離れますまでの間にいろいろ事実を見てきた事柄を中心といたしまして、御報告申し上げた次第でございます。大体私も立場上、公安委員長として警察庁を担当しております。それから自治大臣として、地方自治並びに消防関係を担当いたしておりまするので、私の所管中心にして御報告申し上げたいと思います。  まず、警察庁処置についてでございますが、今回の地震発生報告は、きのうこの地震が起こりましてから、私が衆議院警察情報を第一報から第十報まで報告をして議員の皆さんにお伝えしたわけでございますが、その間に逐次情報に基づきまして警察関係指示を与えたわけでございます。大体、四時半に自衛隊のヘリコプターに乗りまして現地に参りました。約三時間半ばかりかかったわけでございます。今度の地震は、気象庁の発表にもありますが、大体昨日の午後一時二分ごろ新潟県の沖合いで発生いたしまして、その規模は、二十三年の福井震災よりも大きく、大正十二年の関東大震災よりもやや小さいマグニチュード七・七であります。震度の大きかったおもな地域は、新潟、酒田、仙台の震度五、それから山形秋田、小名浜、福島・前橋・石巻の震度四などでありまして、東京お互い地震を感受したわけでございますが、東京の場合は震度二という計測になっております。  このたびの地震により、激甚な被害を受けた地方は、新潟山形秋田などでありました。その被害の総数は、死者二十四名、行くえ不明十名、負傷者二百八十二名、建物全壊八百七十九棟、半壊千六百二棟、床上浸水七千九百四十一棟、床下浸水五千四百三十七棟、一部破損七千三百一棟、こうなっております。  さらに、震災被害は、地震規模が大きかったわりあいには、福井震災などに比較いたしまして少なかったということでございますが、不幸にして災害にあわれた方々に対しては、衷心より哀悼の意を表する次第であります。  昨晩、到着いたしますと同時に、県の対策本部を訪問いたしまして、住民の各位に政府の意のあるところをお伝えした次第でございます。  治安に関しましては、現在のところ特段の問題はございません。平穏に保たれておりまして、治安維持責任を担当する国家公安委員長としては、まず安堵をいたしている次第でございます。  次いで、被害の激甚でありました各県の被害状況について説明いたしますと、新潟県では死者が十一名、行くえ不明十名、負傷者百七十九名、建物全壊七百四十九棟、半壊千百十棟、床上浸水七千九百二十四棟、床下浸水五千二百八十四棟、一部破損四千百九十一棟となっております。特に、新潟市におきましては、地割は、地下水の湧出、防潮堤の決壊などが発生いたしまして、電気、ガス水道等の供給が停止するに至っております。それから信濃川の昭和大橋などが落下いたしまして、新潟駅前のビルはほとんど傾斜して、新潟市川岸町の県営アパートも倒壊するなどの被害発生するほか、昭和石油株式会社新潟工場石油タンク爆発いたしまして、付近一帯市営住宅に延焼いたしましたので、新潟県警察機動力を中核とする警察部隊地域住民約千五百人の避難誘導に当たっております。  山形県におきましては、死者九人、負傷者七十二人、建物全壊百二十五棟、半壊四百六十三棟、床上浸水十二棟、床下浸水三十九棟、一部破壊二千七百六十三棟となっております。特に鶴岡市内京田幼稚園が倒壊いたしまして、園児三名が下敷きとなって死亡し、十三名が重傷を負っているという痛ましい災害発生いたしまして、まことにお悔やみのことばもない次第でございます。  秋田県におきましては、死者が四名、賃傷者十六名、建物全壊三棟、半壊十九棟、床上浸水五棟、床下浸水百十棟、一部破損五十五棟となっております。  このたびの地震に対する警察対策活動につきましては、地震発生と同時に、関係管区警察局及び関係県警察と、無線あるいは有線の通信を用いて現地状況収集及び甚大な被害発生したことが推察されましたので、警察庁内に警備局長を長とする新潟地震災害警備本部を設置いたしまして、被害情報収集並びに関係管区警察局及び関係県警察災害警備実施指示並びに連絡調整に当たりますとともに、新潟県警察に対する照明器材などの支援について必要な措置をとりました。また、関東管区警察局におきましては、同局長を長とする新潟地震対策本部を設置いたしますとともに、同局の公安部長などの職員を新潟県に派遣いたしまして、効率的な災害警備実施指示調整に当たっております。  東北管区警察局におきましては、公安部長を長といたしまして警備連絡室を設けまして、管区内関係県警察警備実施指揮連絡に当たっております。  県内に激甚な被害を受けた新潟山形などの各県警察におきましては、地震発生の直後に災害警備本部を設置いたしました。警察官延べ四千五百人を出動させ、人命救助避難誘導防犯パトロール交通規則等災害警備実施いたしております。  なお、警視庁、神奈川県警察等におきましては、装備資器材支援ヘリコプターなどによる警備要員応援派遣など、新潟県警察に対しまして積極的な援助を行なっております。  以上が警察関係の御報告でございますが、別に消防庁を担当いたしますものといたしまして、実は市内にたくさん火災が起こっているかのごとき情報がみだれ飛びましたが、これはそうではなくて、行ってみましたところ、昭和石油タンクに火が入りまして、これが非常な勢い爆発しながら燃えておりました。現在の瞬間でもなお燃え続けております。製品も加えまして、原油とともに大体二十万キロ見当の油があるわけでございますが、これがいまの瞬間でも埠頭に流れ込みますと全滅いたしますし、また、付近民家に延焼のおそれがありますので、また、化学消防はいろいろ努力いたしますけれども、容易にこの火を鎮圧することができませんので、いま民家に類焼いたしかねない、そこで、破壊消防を現在午前八時から実行いたしておりますが、ただいまの情報は、報告に接しておりません。  自治省関係としましては、やはり住民皆さんのいますぐ何が必要か、何に困っておられるかということを突きとめまして、内閣に設けられました、災害地のための防災本部ができておりまするので、ここの本部長には河野建設大臣が当たられることになりましたことは、皆さん承知のとおりでございますが、現地からも即刻連絡をとりまして、応急資材、たとえばかます類、つまり、どろを詰めますためのあき俵あるいは給水のためのいろんなトラック、また、ドラムかんなどに水を入れまして配給しておりますが、そういったもの、あるいはろうそく、あるいは、とりあえずこういうものをぜひという御要求があった場合は、米あるいは乾パンなどに至るまで、こういうものは、本部長連絡をとりましてここで適切な処置が行なわれておるはずでございますし、また、まだ被害の全貌が計数的にはつかめる段階になっておりません。そこで、自治省といたしましては、都道府県、市町村の財政面でいろいろ配慮しなければならぬ点がありまするので、こういうことにつきましては、やはり私ども所管といたしまして、着々と御期待に沿うような形で準備を進めつつあるわけでございます。  全般といたしまして、まあ災害は忘れたころに来るといいますけれども、近ごろは忘れるひまがないぐらい、この間から昭和電工のあの爆発事故衆議院緊急質問を受けておりまする間に、今度は昭和石油でこういう爆発が起こる、まあとにかく引き続いてこういう事故が起こっております。まことに遺憾なことでございますが、天災もやはりこういう形で間々来るということになりまするならば、最近石油コンビナートなどをつくる際におきましても、相当この面の手当てをいたしませんと、どんな不測な事故が起こらぬとも限りませんので、今度のこの事故にはさらに私ども教えられるところがあったわけでございます。現地を視察いたしまして、また御要望など承りまして、私、即刻この具体化につきまして政府全体に御協議を願っておるわけでございまするが、一応私が見ましたまま、また、所管事項といたしまして私が対処いたしましたことについて、若干申し述べまして私の御報告といたします。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  ただいまの報告に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 自治大臣にちょっとお伺いしたいんですが、きのう発生した災害で、十分の実情もまだつかめておいでにならぬだろうし、われわれのほうとしても、したがって、詳細な事情はわからない段階ですし、さらに、それに対しての対策等についても、そちらでもまだ本格的な対策を立てるという段階には至らないでしょうし、われわれのほうとしても、それに対して具体的にこまかい点にわたって質問を申し上げるというような準備もできておりません。しかしながら、私がきょう参議院の本会議から、また、この委員会における現地を視察された自治大臣の御報告を聞いておって、非常に奇異の感を受けたのは何かといいますと、御承知のように、最近は石油だとかガスだとか、その他引火性の強いものを貯蔵する施設というのは非常にふえております。特に都市においては、あるいはまた、これから新潟のように新産業都市として指定されておって、開発されようとしているところについては、ますますふえる傾向にある。そうすれば、そうしたものが火災発生したときに、それに対しての消火対策というものが十分に研究されておらなかったのではないか、こういう感じを強く受けるわけです。それはなぜかといいますと、本会議でも言っておられましたが、昭和石油のあのタンク火災についても、消火設備はあったのだ、ところが、電力が途絶してしまったのでそれがいうことをきかない、こういう説明もあった。また、泡沫消火剤も十分用意しておったのだが、水道が切れたのでこれが使えなくなった、こういうことをおっしゃっておる。ところが、日本の国というのは地震国といわれるくらい地震の多い国なんです。災害は忘れたころにやってくるということわざがあるが、なかなか、忘れぬ間に災害がやってくるとおっしゃったのはそのとおりだと思う。そうすれば当然私は、そういう最近の引火性の強いものを貯蔵しておる施設が非常にふえた、それに対する消火対策というものは十分検討をされておらなければならぬし、また、一たん地震が起これば水道ガスやあるいは電力その他が一切途絶するということも予想されないことではない。それは何ら地震に限ったことではない、ほかの災害でもそういうことが予想されるわけです。それなのに一体、消防のほうの関係としては、そういったものを全然考えて対策を立てておられなかったのかどうかこの点は私は非常にふしぎな気がしてあなたの御報告を聞いておったのですが、担当の大臣として、その点どういうふうなんですか、実情をひとつ御説明願いたいと思います。
  7. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) お答えいたします。全く御指摘のとおりでございまして、私も教えられるところがあったと申しますのは、普通の事故による火災を防ぐことにつきましては、十分研究も進んでおりますし、それぞれの設備があるわけでございますが、今回のような地震でもう水も電力もみな途絶してしまったという際は、地震がたびたびあってはたまりませんけれども、実際こういう災害手当てについては、全く不十分だと私も考える。そこで、本会議のときにも申し上げましたが、もうこれは化学消火剤を空中より散布して何か火をとにかく瞬時に消すという方法はないものかということで、ことし初めて予算を取りまして消防研究所でやっておる最中でございまして、まだこれが完成いたしておりませんのは残念ですが、世界的にこの研究をやっておりまするけれども、まだきめ手がないわけでございます。しかしながら、いまの消防のやり方は、向こうでもいろいろ研究いたしましたが、いろいろな化学薬品を使いまして、周囲から——ずっと油は流れていきますからどんどん広がりますものを、ずっと周囲から狭めていって、そうして油が尽きるのを待つというふうなこそく的な方法がいま講ぜられている、その域であるわけでございます。それにもかかわりませず、やっぱりここでも、本会議の席上で私申しませんでしたけれども、とにかく化学的な消火ということでいろいろ知恵をしぼって、たしか倉敷レーヨン中条工場と申しましたか、そういうところに化学消防ポンプ車が二台あるというので、それをさっそく借りるということで、会社側で入れたようでございますが、私は、あの火の勢いから見まして、そんな消防車が三台や五台あってみたところでどうにもなるものではないではないか。また、爆弾みたいなものを投下して真空状態をつくって一瞬に消す方法があるようです。アメリカでやっておるようですが、これは油田が爆発した際等には効果的であるようでございますけれども、こういうようなことも、流れた油が広い範囲に燃えさかっておるものに対しては、効果がないということは技術者の意見でございました。しかし、いずれにいたしましても、こういう事故が当然わが国においては残念ながら考えられまするので、それに対処する措置というものは、常時綿密に検討いたしまして、直ちに火を消す方法がない場合には、やっぱり次善の策としてどういうことがあるかということには、十分意を用いて平素から検討しておかなければならぬものであるということを痛感いたすものでございます。  ただ何も拱手傍観しておるわけではございませんので、いまわれわれとしては、消防ということに全能力を傾けてこの火を押えようと努力しておる最中でございます。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 私は、大臣に申し上げたいのは、現在あらゆる技術的な研究を積極的に進められておって、それでなおかつ、そういった化学消防技術が十分に整っておらぬとおっしゃるならば、それは理屈はわかる。ところが、あなたがさっきおっしゃったように、災害が起きた場合には、今度のような災害になるということは予想されなかった。しかし、地震に限らないのです。災害が起これば、少し規模の大きい災害なら、あるいは水道がとまることもあれば電力も切れることがある。そのことが災害対策上当然予想してかからなければならぬ問題だと思う。  それからもう一つは、最近日本都市だって非常に引火性の強い物資を貯蔵する場所がたくさんふえておるということは、これは私が申し上げないでも大臣のほうがよく御存じなんです。そうすれば当然それに対して、一たん災害発生した場合にどうして予防しなければならないかということは、いち早く手をつけられておらなければならないはずだ。それをやっておらなかったのは、これは行政の怠慢です。それが今度、の災害にぶち当たってみて、なるほどいままでの対策手抜かりであった、これはそういう反省を持たれたこと、だけでもけっこうです。けっこうですが、一つ一つ災害に当たるたびに気がついておったのでは、これはどうにもならない。昔から待てば追いつく、言えば気がつくということばがありますが、そういうことでは災害に対応していくということはできないと思う。むしろ現在の科学というものを駆使して、現在の都市状況というものを見て、先手先手を打っていかなければ災害に対する万全を期することはできない。そうなればこれは私は、大臣としてはいままでのことは、それはあなたのおっしゃったように、なるほどこれはできたことでしかたがないといえばそれまでの話ですが、そういうような状態に落とし込んでおったいままでの政府行政上の怠慢というものは深く、反省してもらわなければならぬし、その反省の上に立って今後そうした災害に対処する対策というものの万全を期してもらわなければならぬということなんです。あらためてあなたのいままでの怠慢に対する反省ことばと、それに基づいての今後万全を期するという決意のほどを私はもう一ぺん伺っておきたいと思います。
  9. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私が気がついたと申し上げれば怠慢とおっしゃるわけですが、実際にこの間のプロピレン・オキサイドの事故にいたしましても、実際は、法規上もまた消防処置でも、私は手抜かりはなかったと考えておりますが、ああいう事故が現に起きたわけでございます。そこで、消防といたしましては、現場を査察する権限があります。あそこも三カ月に一回ずつずっと技術員が行って査察しておりました。三月末に査察いたしましたときには異常は何もなかったわけでございます。間もなくああいう事故が起こった。そこで原因の究明ということになりますが、おそらくパイプ配管工事の何かから、どこかからガスが漏れておったものに、付近工事をやっておったものの溶接でスパークして飛んだのであろうという一つの見方、もう一つは、タンク内部自体に何か爆発するような因子を含んでおったということで爆発したかもしれないという原因をいま調査しておるわけでございますが、それに対処する方法としては、私が申し上げましたとおりに、これは工場側でも自主的に、こういう事故に備えて自主的な査察というものを厳重にやるように指導しなければなりません。また、消防といたしましても、三カ月に一回の査察で十分とはいえませんから、これは技術者を増員しなければなりませんが、やはり消防配置転換、いろいろなことをやりまして消防としても努力いたしますが、ただ最後に申し上げました点は、どうもこういうふうに科学技術がどんどん進みまして、工場施設がオートメーション化していきますと、それに消防技術が追いついておるかどうかということにつきまして、私は申し上げたわけです。いまの行政で手の届かない何かがある、それがこういう災いを起こしておるんだということを私は明らかに申しました。そしていまの行政上手の届かない何かとは一体何だ、このことについて科学者も、民間の学識経験者等も集まっていただいて、そうしてこれに対する適切な方法を考えていかなければならない。いまのところではこれを防ぎ切るだけの知恵が残念ながらわれわれにはないわけでございますので、御指摘のように、怠慢かもしれませんけれども、とにかく、われわれとしては、こういう事故を絶滅する努力はしなければならないということを私は申し上げたわけです。ところが、今度はちょっと様相が変わっておりまして、どうも原因をいろいろ聞いてみますのに、地震のために、ああいう石油コンビナート的なものですから、パイプがあちこち折れて、どんどん流れ出して、油に火がついたものですから、ああいう事故になったわけですから、地震その他のことを考えて、そのときに手抜かりのないようにせよという御趣旨でございますが、そのことをよく考えまして、私どもとしては、あちこちコンビナートがどんどんできる、新産都市の計画の中にもたさくんあるわけでございますが、そういうおのおのが事故を起こしましたことは、全くわれわれの怠慢と申されれば、そういうおしかりを受けなければならぬことでございますから、さらに知恵をしぼりまして何とか今度の経験というものを無にしないように、将来地震による災害の防除につきましても、十分な研究をして対処していかなければならぬと、かように考えておる次第であります。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 あのね、大臣、私はあなたと議論するつもりはないのですけれども、私の言ったことをあなただいぶ取り違えておるというように思うのです。私は、何も昭電で起こった事故原因だとか、今度の昭和石油石油が燃え出したその原因のことを言っておるのじゃないのです。人為的な事故にしろ、あるいは自然災害にしろ、一たん災害が起こった場合には、ああいった石油ガスだとか、そういったものの設備が非常にふえている、だからそれに対する消防のあり方というものは十分検討されておらなければならなかったはずである、それがなされなかったということについて行政上の責任がありはしませんか。もしあなた方のほうで、十分研究をやったが現代の科学技術をもってしては、いかなる知恵をしぼってもその災害を防いでいくことはできぬのだとおっしゃるなら別なんです。ところが、私は、そういう災害発生した場合に、それを消していく、防いでいく、そういう面の研究というものが非常におくれておるのじゃないかということを指摘したわけなんです。それが証拠に、せっかく消火設備があるのに電力がなくてどうにもならなかったとか、あるいは泡沫消火剤があるのに水がなくてどうにもならなかったという御説明がなされた。ところが、立川の米軍に頼めば、米軍が、十分な成果はあげないにしても、ドラムかん消火剤を持っていって、空からまいたら多少とも効果がありそうだという話をきょう本会議で聞いたわけです。だからそういうふうな十分な、そうした災害に対してそれを消しとめていく、そういった際の研究手抜かりではなかったか、こういうことを言っておるのです。それには予防措置をやっていただかなければならぬことはあたりまえの話なんです。その点誤解のないように、ひとつこれからどういう災害があるかわかりませんので、特にこういう石油だとかガスだとかいうものがふえておりますから、それに対応できる消火能力といいますか、それを十分整えておくようにお願いをしたい、こういうことです。
  11. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 私、御質疑趣旨を取り違えたわけではございませんので、やはり原因もあわせて研究しなければなかなか——どうせ起こるのだからそれに対して消防をするということでは解決にならぬわけでございますので、そのことをるる申し上げたわけでございますが、かといって、起こったこの災害に対する消防措置を怠っておるわけではございません。  それから、いまの米軍のことですが、米軍を頼もう、米軍を頼もうということをすぐ現地人たちが言う。何か米軍が魔法を心得ておるかのごとく言いますけれども、実際には、米軍が親切にも、ある薬品を持ってまいったわけでございますけれども、私が向こうを立ちました後にこれは散布されておりますが、そうたいした効果はなかったように私は情報を聞いておるのでございます。ただ御指摘のとおりに、日本ではどうにも手が届かぬから、アメリカなら手が届くということは、もってのほかでございます。そういう点につきましては、世界の最新技術を入れて、こういった点には手抜かりがないようにいたしたいと、かように考えております。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 ぼくはこれでやめますが、大臣、あなたが現地で痛感されたように、災害が起これば、米軍現地人たちが依存したがるということは、事ほどさように、日本人自身が政府を信じておらないということです。あなた方を。だからそういう点は今度の災害で肝に銘じられて、ひとつ積極的に災害予防措置なり、あるいは災害発生した場合の対策などにも万全を期していただきたい。このことを最後に希望しておいて、このことについてのあなたに対する質問を終わります。
  13. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、河野非常災害対策本部長から、被害状況等について御説明願います。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 災害対策状況は、あらためて私から御報告申し上げなくても、大体お聞きになっておると思いますが、本会議で御報告申し上げた程度でございまして、そのほかに新しい情報を持っておりません。御質問ありましたならお答えすることでお許しを願いたいと思います。
  15. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 河野さんのおっしゃるように、もうすでに本会議で聞きました。いまの自治大臣から聞きました、あなたからいまあらためてお伺いしても格別新しいものも出てこぬだろうと思うのです。ただ私が一つだけお伺いしておきたいというのは、今度の災害対策については、こまかい点については、院からもそれぞれ調査団が出るはずですから、調査団が出て、その暁に、こまかい点はそれぞれまとめて御質問したいと思うのですが、先ほども赤澤大臣にもお聞きしたのですが、私が一つ気にかかりますのは、最近高度経済成長あるいは新産業都市の建設ということで盛んに臨海工業地帯の造成がなされておる。そして石油化学工業というものがどんどんできていっておる。ところが、今度の新潟のあの昭和石油火災状況を見たときに、これは何かそうした貯蔵施設等について、建設士に問題があったのではないか。十分そうした地震といったようなものを配慮しながら建設が行なわれなかった面があるのではないか。特に、日本地震国といわれておるのですから、当然そういう点については十分配慮がなされるべきであったのに、その点の配慮に欠けた点があったのではないか、こういう感じがするわけです。特に、そういうような石油化学工業というのは大体臨海工業地帯なんですから、そうすると、当然地盤は軟弱であるということが予想されるわけです。したがって、今度のあの昭和石油火災等から考えて、大臣はその点でどういうふうにお考えになっておるのか。さらに、今後そうした臨海工業地帯の造成等について、地震等も考え合わせて、どういう方針で臨まれるのか、こういう点もあわせてひとつお伺いしたいと思います。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話でございますが、臨海地帯必ずしも地盤が脆弱であるということではないように私聞いております。たとえて申しますれば、鶴崎の辺は、つい先日私も視察に参りましたが、非常に地盤がよろしいということで、地盤堅牢の上に建設しておるというところもあるようでございます。また、瀬戸内についてみましても、地盤のよろしいところもあるようでございます。したがって、一がいに申し上げることができぬと思います。私は今回の新潟地震で特に考えなければならぬと思いますことは、建設省といたしまして、東京都内もしくは大阪等に近時営造いたしておりまするものは、いずれも関東震災経験等を基礎にいたしまして設計等をやっております。したがって、そういう点に十分配慮いたしておるのでございますが、たまたま新潟の例についてみますると、長大橋等においてこれが破損いたしております。亀裂を生じておるのがございます。これらにつきましては、なお検討をする必要があると思いますけれども、いまお話しのとおり、地盤の脆弱性と設計の上において遺憾な点があったのではなかろうか、こう思うのでございます。  こういう震幅の大きなものに対して、どの程度のものを対象にして設計したか、また、その地質等については、どの程度勘案をしてやったかということについて、多少遺憾の点もあり、今後十分検討しなければならぬ点があるのじゃなかろうかと思うのでございます。とりわけ考えなければなりませんことは、最近公団住宅等におきまして四階建て、五階建ての公団住宅を進んで建造いたしております。しかも、これらはなるべく予算を安くというようなことを言うておりますから、そういうものについて、万一粗漏なことがあってはいかぬというふうに深く反省をいたす次第でございます。新潟の場合にこれら永久建造物が相当な被害を受けております。いずれも基礎工事において欠ける点があり、地盤等において至らない点があり、研究の余地があると私は思うのでありまして、ただいまお話しになりました点は、ただ単に、石油コンビナート等についてはもちろんのことでございますが、公団住宅等についても深く反省をして、そうして十分に指導監督をしなければいかぬだろう、こう考えております。  御質問石油コンビナートにつきましては、おそらく私は今後これらの点を、新潟の例等も考えまして、堅牢な地盤の上に十分そういう点を計算しつつ建築をしていくことにわれわれも指導し監督する必要がある、こう考えます。
  18. 矢山有作

    矢山有作君 まあ今度の新潟地震というのは、大臣のおっしゃるように、石油化学コンビナートだけでなしに、橋の問題にしたって、あるいは住宅の問題にしたって、地震工学的な立場から相当検討しなければならぬ余地があるということを痛感されたと思うのです。特に、日本では地震に対する研究というものは相当進んでおると私どもは聞いておるのですが、その研究の成果の上に立って耐震建築をどうやっていくとかという点については、私は専門家でありませんから詳しいことはわかりませんが、まだまだ研究をして万全を期する余地があるのだと思うのです。そういう点は、あなたが建設大臣という立場からも、また、今度の本部長という立場からも、将来を期してひとつ十分の措置をとっていただきたい、このことを御要望いたしまして私のあなたに対する質問は終わります。
  19. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 関連して。新聞、テレビ等の放送だけで知ったものですから、なお詳しい報告を受けた上でなければお話しできませんが、われわれが受けている印象で、一番打撃を受けたのは県営、公営住宅だと思うのです。これが非常に傾くし、破損をしている。ただ、これは新潟が五度という地震震度ですね、五度程度であれほどの建築物が被害を受けたということは、私なりに割り切っているのは、新潟は地盤が脆弱だということでわれわれは割り切っているのです。同士と語り合っても、新潟は地盤が脆弱だからあれほどの被害を受けたのだと思っているのですが、あれほどの地盤の脆弱なところは全国各所にあります。ということは、やはり県営住宅というものがあれほどの相当の被害を受けるということは、相当なショックだと思うのです。この点関連質問になりますが、ひとつ万全を期していただきたいという要望を申し上げておきます。
  20. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま御注意をいただきました点、さらにまた御要望をいただきました点は、先ほど来私がお答え申し上げましたとおり、建設省といたしまして十分研究し、指導監督の上において万全を期する必要があるということを痛切に考えるのでございまして、特に今後におきましては、そういうことのないように、私はすみやかに善後処置をとりたいということをお約束申し上げます。
  21. 村山道雄

    ○村山道雄君 私は、多少対策の恒久的な問題につきまして二点ほど、本部長にお伺いをいたしたいと存じます。御所管でない事柄につきましても、本部長として、また国務大臣としてお返事いただき、御処理を願いたいと存じます。  第一の点は、今度被害を受けました地域は、地盤が脆弱であるということにつきまして、ただいま村尾さんからお話がございましたが、もう一つわれわれが注意すべき問題は、非常な深い積雪地であるという事柄であると思います。特に小学校の被害が非常に多いのでございまして、いただきました資料によりましても、新潟県が一番多いのだと思いますが、まだ資料が出ておりませんので、この資料は新潟県を除いた数字で百二十四校、そのうちで山形県が八十六校を占めております。これらはみんな深い積雪地帯にある小学校、中学校でございますが、この積雪寒冷地帯の公共的な営造物は、その他の建物と同じように非常に特別な注意を要するのでございます。従前からがんじょうな建物を建てる必要がございまするので、その国庫補助の増額等につきましても、積雪地帯では要望いたしておるのでございまするが、わずかにその雪に耐えるだけの太い柱を立てなければならないので、面積を少し広くしてやろうという程度のわずかに柱の面積分だけぐらいの補助の増額を認められておる程度でございまするが、しかしながら、こういう雪に毎年おおわれましていたんでおりまする建物、特にこういう大きな地震のことを考えますると、やはり雪の特に深い地域における公共の建物、ことに子供を収容いたしまする小学校や、今回も小学校の付属幼稚園におきまして、三名の死者と十四名の重傷者を出しておるのでございまするが、そういうことのございませんように、公共建物の補助等につきましては、特別の積雪地帯に対する御配慮をいただきたい、これが第一点であります。  第二点は、災害復旧のこれから補助事業がいろいろと行なわれてくるだろうと思うのでございます。この災害復旧の補助事業につきまして、従前は非常に厳重に復旧ということばを解釈をいたしまして、元どおりに直すのでなければ補助金を出すことは不当である、会計検査院もそういう解釈をとっておりました。最近はやや改められてまいりまして、復旧の部分と新設の部分とを区分をいたしまして、そして復旧の部分にはたくさん補助金が出るが、新設の部分には普通の新設と同じだけの補助を出す、そういう複雑な計算をして出しておるようでございます。しかしながら、いまや国土建設の非常な重要な時期でございまするし、また、地震でやられた橋を元のとおりの橋でかけておきますれば、また地震かくれば同じようにやられることは明らかだと思います。したがいまして、この復旧をする場合に、やはり今度の震災にかんがみまして、改良すべきものは改良をいたしまして、これをひっくるめて復旧事業を認めていく、そうして補助の割合等につきましても、これはやはり復旧と新設の区分のあることはわかりまするけれども、できるだけ仕事がしやすいように復旧事業の補助金をお出しいただくことにつきまして御再考をいただきたい。  この二点についてお伺いを申し上げる次第でございます。
  22. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 学校の建物、主として申しますれば、比較的大きな営造物が耐雪の目的の非常に大事なことからいたしまして、基礎工事——別の意味で申しますと、基礎工事等について、私は欠けるところがあったと思うのでございます。したがって、この種のものの被害が多かったと思うのでございまして、今後におきましては、当然上と下、もしくはこういったものに対する配慮を十分にしていく、上に大きな重いものを載せる場合には、それだけの考慮をした設計によって補助をするということにしてまいらなければなるまいと思います。これにつきましては、十分大蔵当局にも意見を具して、御期待に沿うようにいたしたいと思います。第二の復旧について万全を期する、しいて申しますれば、改良を必要とするものにつきましては、改良して復旧する、しなければいかぬ、これもごもっともなことでございまして、私は明後日、現地のほうに視察に参りまして、そうして最終的にどういう形式で復旧工事をやるか一対策を講じていくかということを決定いたしたい、こう考えておりますので、御期待に沿うようにひとつ努力いたしたい、こう考えております。
  23. 矢山有作

    矢山有作君 これは気象庁のほうにちょっとお聞きしたいのですが、建設大臣もちょっと聞いておいてください、あまり時間はとりませんから。私は、気象学や地震工学なんということは、ややこしいことはしろうとですからわかりませんが、ただ一つ特にお伺いしたいのは、私が常識として聞いておるのは、日本地震学やあるいは観測技術というものは世界水準を抜いておると、こういうふうに私は常識的に聞かされておるわけです。そういうふうに非常に学問的には発達しておるのだが、実際問題として地震予知というのはできないのかどうか、今度の新潟地震に見られるごとく……。その点をひとつ、しろうとですからよく教えていただきたいと思います。
  24. 畠山久尚

    政府委員(畠山久尚君) ただいまの地震予知の問題でありますけれども、現在のところで地震予知はできないと申し上げたほうがいいんだろうと思います。この地震の専門の研究者の人たちの中で、地震予知研究グループというのをつくりまして、数十人の人たちが集まりまして、こういうことをしたならば、こういう観測を数年間あるいは十年間続けたならば……、この地震予知はどうしたらできるかというような、そういう研究計画をつくりまして、これはその人たちの仲間で一つの計画をつくりまして、それを学術会議に持ち出しまして、学術会議政府に対する勧告として扱ったというところまではいっておりますけれども、その計画はどういう計画かといいますと、地震の観測をする、あるいは地震についてのこまかい観測をするということです。あるいは検潮所で潮の満ち干の観測をする。この検潮儀の記録をこまかく調べることによって、地盤の上がり下がりをこまかく調べることができるわけです。この地盤の上がり下がりを現在よりはずっとこまかくやってみるということ、あるいは水準測量を回数もこまかくやるし、ルートもこまかくやるし、そういうようなこと、なおそのほかに、地磁気、地電流の関係もありますが、そういうこまかいこういうことをやったならば、こういう観測を数年間ないし十年間続ければ、地震の予知ということについて何か手がかりを得るであろうという、そういう計画はあるようでありますけれども、現在のところでは、確実に地震を予知させるということは、現状ではできないという段階だろうと思います。
  25. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、現状の学術の水準をもってしては地震予知は的確にはできない、こうおっしゃられることはわかりますが、ただいまのお話しのように、基礎調査なりあるいはデータの収集を徹底をしていくならば、確実な予知はできないにしても、ある程度の地震の予測ができるという可能性はあると、こういうことに解釈をしていいわけですか。
  26. 畠山久尚

    政府委員(畠山久尚君) おっしゃるとおり、そういう観測を数年間ないし十年間続ければ何かめどがつくであろう、その研究者の人たちが言うところに従えば、そういうことであります。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 それで、そうした勧告を政府に出されて、それに従って研究をいま続け得るような措置政府のほうからとられておりますか。
  28. 畠山久尚

    政府委員(畠山久尚君) これも、私の申し上げる筋ではないのかもしれませんけれども、私に対しての御質問の形になっておりますので、便宜上私申し上げますが、学術会議から政府に対してそういう勧告が出されたということで、それはおそらく科学技術庁で扱っておられるところだろうと思います。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 これは、今度は本部長にお伺いしたいのですが、気象庁の長官のほうの御答弁では、そういうふうな学術会議から勧告を出して、実際にそれが行なわれておるかどうかということについては不確実のようです。しかし私は、一たび地震があれば、何千億というほどの大災害を受ける、この物心両面にわたる損害というものはばく大なものだろうと思うのです。特に、日本のように地震がしょっちゅう起こる国では、私は、地震を予知するということのためには、全力をあげて、国自身がその研究に取り組んで、少々の経費を惜しまないでやっていくべきだと思うのです。ところが、きょう本会議で話を聞いておりますと、大体気象観測に出されておる予算というのは、まあ私が申し上げる必要もないと思いますが、三十六年度で四億少々三十七年度で四億六千万、三十八年度で五億一千七百万、三十九年度で六億八千六百万と、こういうのですが、専門家でありませんから、これだけの金で十分の研究ができるかできないか、それは存じませんが、しかし、少なくとも今度のような大災害を防ぐということのためには、私は本部長としても、今後政府で十分配慮されて、特に、地震予知等については十分な学者の研究ができるように、さらに、その研究の成果を十分応用できるようにということを特にお願いして、きょうのあなたに対する私の質問は全部終わらせていただきたいと思うのですが、それに対するお考えを承りたいと思います。
  30. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまのお話し、私も承ってごもっともと考えます。本部長といたしましても、本部長の結論におまして、政府にそう要望いたしたいと考えます。
  31. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。  ほかに御発言もございませんようですから、本件につきましては、この程度にとどめます。     —————————————
  33. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、長雨被害及び凍霜被害に関する件について、その後の経過を御報告願います。中西官房長
  34. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 四月下旬から五月の中下旬にかけました三回の凍霜害並びに四月中に四国、九州等を中心にして起こりました長雨の災害についての対策のその後の経過を御説明申し上げます。  凍霜害の関係の天災融資法発動でございますが、事務的には、昨日を目標にしましていろいろ作業をやっておったのでございますが、若干おくれまして非常に残念なんですが、とりあえずの作業が全部完了いたしまして、来たる金曜日の閣議で天災融資法、それから激甚法の適用等についての一連の閣議決定をしていただく段取りになりました。  この際、四月下旬の凍霜害と、五月中下旬の凍霜害を、天災としては別な取り扱いをいたすことに相なりました。その際の激甚法の適用の基準等について、いろいろ事務的に困難もございましたけれども、結果としまして、山形、宮城、福島さらに長野の四県を指定の対象の県とするということに内定をいたしております。  それから、つなぎ融資等については、もうすでに申し上げたとおりでございまますが、そのほか自創資金の特別ワクの設定等についても、同時に行なうということで作業を進めております。そのほか、共済金の概算払い率の引き上げについて作業中であります。前回申し上げてございますが、六月六日に農林省令第二十一号で、従来、再保険金の見込み額の二分の一というふうにきめられておりましたのを、農作物共済に合わせまして三分の二に引き上げるということの措置を講じております。  それから、一般的に予備費を目下要求中で、事務的な折衝が完結いたしていないわけですが、技術員あるいは普及員の事務費に対する助成、病虫害の防除器具の購入の助成につきまして、おおむね結論に至りつつあります。病虫害防除器具の購入、それにつきましては、スピード・スプレヤー、あるいは果樹、桑の凍霜害の防止のための重油燃焼機あるいは散水施設等について最終的な詰めに入っております。  さらに、救農土木等につきましては、地元の市町村あるいは県当局のほうで、適当に事業を繰り上げ施行してほしいというような要望を、その地元の就労状況等見合わせて要求がございましたら、それに対応して事業をやっていくという準備を整えておるわけでございます。  一つ論点になりました肥料と農薬についての樹勢の回復といいますか、病害虫防除用の農薬、そういう点についての補助金、いろいろ検討したんでございますが、現段階では、特別交付税で措置するということで自治省と折衝いたしておおむねの了解を得ております。ただその場合に、何といいますか、補助金の場合は、使途なりその予算の対象がはっきりしておるという意味で長所があるという御議論もあります。そこで、特別交付税で措置します場合に、市町村長等がその特別交付税をある程度予測し得るような事前の指導体制といいますか、そういった連絡をとることによって補助金と実効の変わらない方法があるんではないかというふうに考えまして、この点は、いずれにしましても年度末の市町村に対する財源の補てんという措置になるわけで、ここ数日に拙速をとうとぶよりはじっくりかまえまして、将来の災害対策のいわば基礎を打ち立てることができれば、そういうふうにしたほうがいいんではないかということで、検討いたしております。  それから、長雨の関係でございますが、天災融資法の適用あるいは、つなぎ融資あるいは激甚災害法の適用等につきましては、昨日の閣議のあとで、農林大臣から記者会見の際に、そういう方針であるという言明がございました。そういう作業をやっておるわけですが、現段階で残っております問題は、特例法の制定をするかどうかという問題でございます。九州各地の地元から、昨年の特例法、すなわち裏作の収入の百分の八十以上の被害があった場合というのに対しまして、前年度と合わせて二百分の百三十というふうにその条件を緩和する提案が行なわれておりますけれども、その辺のことをここ両三日詰めまして、会期も残り少なくなっておりますけれども、農林省としては、特例法をやはり制定いたしたいということで、御審議をわずらわすために法案をせっかく急いでおるところでございます。  それから、そういうことがそれぞれ段取りがつきましたならば、自創資金等につきましては、それぞれ凍霜害等について述べましたと同様の措置を講じてまいるわけでございます。  特に、長雨だけに特殊な項目についてさらに補足しておきたいのですが、一つは、水稲の不時出穂の問題がございます。これは、その後の作物の状況等見ておりますと、やや回復といいますか、事態は好転しておるように聞いております。しかし、どうしても植えかえなければならなかったというようなところもあるようでございますので、県当局にその間の事情を調査してもらっております。そのために必要がありますれば、苗しろの再仕立て等についてのかかり増しの経費といいますか、よけいかかった経費を何らかの形で予備費で補助するというようなことも考えていいのではないかということで作業をしております。場合によっては、面積が非常に少なくなるかもわかりませんが、そういう場合には、一般的な対策ということで国が見る必要はないという判断になるかもわかりませんが、現段階では、政府としてそういう見通しを立てて作業をしておるわけでございます。  それから九州地方の共済組合で特に責任部分の削減払いを余儀なくされるという点が指摘されておりますが、これらにつきましては、いろいろ検討してみましたが、農業共済基金法を改正するという措置が必要なんですけれども、それをいたしたとしましても、さらに共済組合の実力といいますか、赤字処理能力といいますか、等についての見通しが立ちませんと一法律を改正するだけでは、うまくいかないようにも思われます。制度全般にかかわる問題ではないかという意味でさらに検討は続けますが、当面これを国で一割分を援助するということには、困難な事情がございます。  それから予約概算金の早期支払いの話でございますが、これは前回も申しげ上ましたが、予約制度発足以来十周年に当たっております。そういう意味で力を入れて予約を集める動きがこれから出てまいると思うのですけれども、そういうこと等かね合わせて災害対策ということも含めまして、二千円の予約金をできるだけ早い時期に払えるように準備をいたしたいと考えます。昨年のような二千五百円の増額ということは、今年度は考えておりません。  それから等外下麦あるいは規格外の麦等につきましての飼料用などへの用途に融通する場合の格づけの、何といいますか、立ち会いなり、あるいは、それの売り手、買い手のあっせんなりについては、昨年同様やってまいることにしております。それから食糧用麦の払い下げ等についても、また、政府手持ち飼料の払い下げについても、昨年度同様の措置をいたすつもりでございます。  そのほか、植えかえ用の種子の問題、あるいは麦類の種子の問題等については、これも実情を調べましてそれぞれ措置したいと思っておりますが、昨年の事情に比べますと、たとえばバレイショ、あるいは菜種等につきましては、それほどの心配は要らないというふうな情報を得ております。  さらに、農業倉庫等の保管料に関連します収入の減についての要望も、昨年同様出ておるのでございますが、これらはやはり農協の経営全体としてどうするか、あるいは系統組織の中でどういうふうにそれを受けていくかという一般的な問題として処理することにしまして、保管料に対する直接の援助ということは、昨年同様考えないわけでございます。  長雨と同時に発生したといいますか、クリのキクイムシ等についての要望もございます。これにつきましては、長雨対策といいますか、長雨による被害といえるかどうか若干の問題があるのですけれども、独立した問題といたしましても、キクイムシの蔓延というのは相当なものであります。これを防止する必要を政府としても認めまして、対策を講ずることにいたしております。クリ苗の購入の助成等の要望がありますが、災害復旧資金だとか、あるいは果樹園経営改善資金等にわたって融資の措置がありますので、そういうことを中心として対応をしていく方針でございます。  植物防疫法の指定有害動植物に加えるという問題につきましては、病害虫の発生予察の実験事業を本事業化していくわけですが、その際クリの病害虫も含めるという方向で検討を進めております。  以上でございます。
  35. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまの報告に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  36. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいま官房長から、いろいと微に入り細に入って検討の結果報告されたのでありますが、この前の本委員会、その前の委員会にも申し上げたように、今年の長雨は、昨年に続く長雨でありますから、この点については、きのうの農林大臣の記者会見でも発表しておられますように、適当な特例法をつくるべく政府が一そう努力していただくように要望しておきます。  また、最末端の共済組合の削減払いの問題でありますが、これもだいぶ検討していただいたようでありますけれども、これまた昨年に続く連年災害であるのでありますから、いかに積み立て金があるにしても、数年間のものが積み立ててあるはずはないのであります。でありますから、融資の方法その他について、さらに御検討をお願いしておきます。  また、水稲の不時出穂については、いまいろいろと御検討のようであるのでありますから、さらに検討をしていただきたいと思うのであります。  それから、最近特に長崎県で大きく取り上げておるのは、昨年の被害が五十億だったのが今年は四十億になっている。しかるに、その四十億の内訳を調べてみますというと、愛知が二十四億で果樹が約十三億、こういうふうな数字になっているのであります。これは長雨のために、一たん結果されたところものが落果したために、ほとんど収獲皆無ではないかというような心配をしているのでありますから、こういうふうな点についても、さらに特段の御検討をお願いしたいと思うのであります。  また、農業倉庫の問題については、いろいろとお話があったのでありますが、御承知のとおり、農業君津は政府の米麦を入れるための倉庫で特定の倉庫であるのでありますから、減収のために入庫がなかった、保管料の収入がない、したがってまた、販売手数料もないというような実情を考慮して、昨年もこの問題は取り上げたのでありますけれども、そのままになっておるのでありますが、今年は、連年災害であるのでありますから、特別の御配慮をお願いするように、私の希望を申し上げて私の質問を終わります。
  37. 矢山有作

    矢山有作君 もう藤野先生のほうから質問がありましたが、九州の長雨の災害に対して、現段階では特例法制定の有無が問題になっているということですが、これは私は、昨年に引き続いてことしも相当の災害があるのだから、これはやはり特例法の制定をやるのがあたりまえじゃないかと思うのですが、その点で、まあ農林省はそういう意気込みで折衝しておられるのでしょうが、見通しはどうなんですか、率直に言って。
  38. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) 現段階までのところでは、なかなか相手方がうんと申しておりませんが、もう両三日かければ、うんと言うのじゃないかと思っておるわけです。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 それはひとつうんと言わせるように、中西官房長の得意の手腕を発揮していただいて、大臣を先頭に全力をあげてもらいたいと思うのですが、それと、この際ちょっとお聞きしておきたいのですが、これは本格的な論議はまた農林水産委員会等でやらしていただきますが、今年の麦の作付というのは百万町歩を割る状態になっておりますね。これはやはりこれだけ連年災害が続くと、そうでなくてさえ麦の収益率というのが低いのに、こういう作付の反別が減っていくのはあたりまえだと思うのです。これだけ災害でやられると。しかも、他に収入の道を求めるところが幾らでもあるということになれば、当然そういうふうな傾向になると思うのですがね。そうなってきて、そんなに麦の作付が減るということになると、当然小麦にしたって、大麦にしたって、去年よりもことし、ことしよりも来年と、これは輸入量というのはどんどんふえていくと思うのですがね。それは飼料問題等とも大きな関連をもってくるし、ひいては畜産の問題にも関連してくるのですが、そういう点で農林省としては、これだけ年々減っていく麦作の対策というものをいま検討されておるのかどうか。そのことだけちょっとお伺いをしておいて、あとは突っ込んだ議論は別の委員会等でやらせていただきたいと思いますが、どうなんですか。
  40. 中西一郎

    政府委員(中西一郎君) お話しの点、たしかに大問題であります。特に労働力の問題、それから兼業農家の問題、大型機械化をいたします場合の現在の圃場の条件の問題、いろいろなからみ合いがございまして、それに災害が加わるということで年々麦作が減っておるわけです。これにつきましては、農林省の農林水産技術会議等が中心になりまして技術的に検討もいたし、モデル的には、生産性の高い、コストの安い麦作というものの可能性もあるということは指摘され始めておるわけです。そこで、そういうふうな農業がどういうふうにすれば日本で育ち得るのか、これは経営の主体の問題についても検討が要りますし、圃場の条件をどうするかということも関連を持ちます。それらを合わせていけば、いつということは申し上げかねますけれども日本にも相当の生産性の高い麦作農業があり得るのだということは確実にそうであろうと思うのです。そういうふうな道に進むために、目下制度的にもあるいは技術的にも研究を進めておるわけでございます。
  41. 森部隆輔

    森部隆輔君 重ねて私も同様なことを御質問なり、あるいは希望を申し上げておきたいと思いますが、九州地方の長雨は、さっき藤野さんからお話のありましたように、また、その他矢山さんからもお話があったと思いますが、昨年来引き続いた災害でやはり農家の受ける経済的な数字に見えた収入減も非常にありますが、一方、精神的にも非常に農業に対して、何といいますか、愛着の念がだんだん減っていくのですね。そこで、やはりこれは農業基本法でもいろいろいわれておりますが、農業というものの性質から見て、自然の制約を受けることが非常に大きいので、しばしば災害はどうしても起こるのです。台風がくるとか、やれ、いまのような長雨であるとかが起こるわけですから、よほど政府はやはり思い切ったあたたかい援助を、保護政策を立てていかなければ日本の農業というものは立っていかぬと思うのですね。それで、ただ単に機械的に数字がどうだこうだというばかりでなくて実情によく照らし合わせて、ひとつ思い切った前向きの姿勢で保護政策をとっていく、こういうような方針でいっていただきたいと思うのです。  それから、いまの特例法の問題は、これは重ねて藤野さんからもお話がございましたので申し上げませんが、これは非常に地元では熱望いたしております。そこで、やはりその希望にこたえるように御配慮をぜひ願いたいと、こう思っております。  それから、いまの麦の問題の麦作に対しては、非常に、農民はだんだん熱意を低下していっているのです。で、御存じのとおり、西日本では裸麦が従来のところは多くて、しかし、だんだん最近小麦もなにですが、小麦は少なくとも、御承知のとおり、国家に二百万トン以上も買い取っておる状態です。えさも、千三百億円以上のえさを購入しているという状況ですから、この際買い上げにあたっては、等外麦のごときは、少し思い切って格は下げても買い上げて、どうしても食糧にならぬものは飼料にでも回すというようなことをひとつお考えを願いたいと思っております。これは、畜産のいままでの経営の上に政府がいろいろ飼料の対策を考える点からいっても、当然そういうふうなことは考えなければいかぬじゃないか。いまのように外国のえさに大部分を依存するというような、いまの畜産政策というものは、私はなっておらぬと思うのです。その点、ひとつお考え願って、麦の買い入れにあたっても、十分思い切った、検査の上においてもお考えを願いたいと思います。  希望を申し上げておきます。
  42. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御発言もございませんようですから、本件につきましては、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会