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吉田忠三郎君 長官から
答弁がございましたが、私は、長官、法規を無視してやれとは申し上げていたい。法治国家ですから、
法律はもとよりその精神を十分生かして順法しなければいかぬ。ですから、
法律を無視したりなんかしてやれということじゃないので、長官御承知のように、今日まで各種
災害をこの
委員会で扱ってきておりますけれ
ども、言ってみれば、
災害の
対策等々ではなくして、
災害の塩後処理
対策のようなことばかり
政府がやっているのですね、あなた方は。池田さんも常にそういうことを本会議などで言いますけれ
ども、前向きにという言葉をよく使います——政策でも施策でもですよ。それが今日、たとえば激甚法ができて後でもかなり日数がたっているにもかかわらず、具体的に
災害に対する、たとえば豪雪にしても、あるいは集中豪雨にしても、あるいは
長雨にしても、このような
火災にしても、地震にしても、何ら私は、言い方はちょっとどうかと思いますけれ
ども、前向きの姿勢で
政府が取り組んでいるというような具体的なものが出ていないような気がするのですよ。ですから、将来
政府が、これは
災害というのは突発的に起きますから、なかなか予測はできないにしても、少なからず、今日までの
災害等々を照らし合わして
調査をしてまいりますれば、かなりの資料なり統計なり、データというものが出ていると思う。そういうものを
参考にして、
政府はやはりいつも
答弁するような前向きの姿勢に、具体的な政策なり施策というものに取り組まなければならないのではないか、こう思うのであります。これが一つです。
それから、あなたの答えに対して決して反論するとかなんとかということではなくて、いろいろの
法律ができておりますけれ
ども、完全だとは言い切れないと思うのです。これは
先ほど来
藤野委員からも指摘されたように、激甚法をつくる場合にも、そういう
質疑応答の中にあったと思う。具体的な実際問題に直面したときに、この
法律の面で、悪い面がたくさんあると思うのです。あるいはその
法律に基づいて政令を出したり、あるいはその諸法規というものが、各省庁でつくられるものだと私は思うけれ
ども、そういうものについてもかなり問題がいま出ているのではないかと私は思う。ですから、そういう場合には、すみやかに
政府はよりよいものにするという
方向で改正をする、こういうことにならなければ前向きの施策とは言えないのではないかと、こう思うのですが、この点どうお考えになりますか。
私は具体的な例をひとつ申し上げます。たとえば今度の
利尻島の
火災などは——御承知のように、
利尻島は
離島なんです。しかも、小さい
離島でございますことと、海面からも絶壁な山岳地帯になっている地形から、きわめて立地条件がよくないところです。
火災になりますれば、必ずや
大火になるというところなんです。過去においてこの
離島はかなり
大火をたび重ねているところの場所です。これは、もう
消防庁の統計に載っていると思う。ところが、それだけに行政をあずかる理事者は必死になって、わずか一億足らずの財政規模の中でかなりの
消防力をつけるために施策を施しております。全国的に見まして、その
消防力の
充当率というものは五五%くらい、ぼくの調べている資料では。
北海道だけ全体で見ますればどうなるかというと、
北海道全体では四九%くらい。ところが、この
離島はどうなっているかというと、前に申し上げた事精から八〇%をこえているのです。
充当率は。ところが今度の場合、八〇%の
充当率があるからといって、
政府の補助
基準の対象にならないからといって、たとえば
消防ポンプの補助金を打ち切っておる
実情がある。五月の四日にそれが決定をされているのであります。その翌日がこの
大火なんですね。ですから、こういう事柄が、いま
離島全体として、
政府に対するいきどおりから、きわめて私は不信感を持っているのではないか。あまりにも
基準であるとか法規であるとかというものにとらわれて、機械的に一般的な常識の域を出ない扱い方をしたところに問題があるのではないか、こう思うのです。私は
北海道新聞社に行きまして、いろいろ
調査をしたところによりますと、この資料にもございますけれ
ども、
風速が三メートルないし四メートルと書いてある。これは事実なんです。しかも、
火災の出火発見というものは、きわめて早い時期に発見している。ポンプ車があればこれほどの
大火にならなくて済んだと、
先ほどここで
陳情を受けました町長以下、理事者、
関係者、島民全部がいま言っているわけですね。これがいま社会問題になって新聞に載っているのですよ。しかも、このポンプが購入されたのは昭和二十五年で、
消防庁のこの資料では、タンク車が一両ございまして、あるいは
小型の動力用ポンプが十五台ございます。
消防力の
充当率というものは八割をこえているから、他の町村から見ますれば、非常に高い率であるのだという、のめのめとここで
答弁をしておりますけれ
ども、このポンプは使えないのです。廃車になってナンバー・プレートがはずされている、私は実体を見ましたけれ
ども。ところが、このポンプ車が、
消防力の中において次の段階の予備段階の一つの役割りを示すことは、これは長官も御承知のとおりだと思う。それで今日働いていなかった。人間の手で、水の便が悪いのです。
水利が非常によくない、
離島ですから、消火に使う水というものは、海水をくみ上げなければならぬ。それを当初発見した当時に、人手で海岸まで持ち運んで、つまり
小型のポンプに中継をしていく、これがためにかなりの時間が消耗されて
大火になった、こう一般的に言われている。出火原因はわかりませんけれ
ども、
大火になった原因はこうだ。しかも、補助金をきめるときに、どういう理由でこれがつまりこの補助決定から除外されたかというと、常設の
消防士が
基準として六名ないし七名いなければならぬ、こうなっている。われわれも承知をいたしております。しかし、いま申し上げたような赤字再建整備団体に指定されて、町財政が、
先ほど読み上げた事情の中で、六名ないし七名と規則にあるから、
基準にあるからといって、常設の、常備の
消防士を置けるような
実態であるかどうか。さなきだに、これは
離島でございますから、漁村でございますから、これはここのみならず、日本全国的に沿岸農業というものがどうなっているかということなんです。魚族が枯渇してきちゃっている。そうしてそれに対する対応策として
政府は何をしているかというと、今日なおかつ漁業基本法さえ制定されていない。言いたくはないけれ
ども、池田内閣に漁業政策があるかと言うたら、ないと言わざるを得ない。そういう
実態から当然漁民一人一人の粗収入も少ないであろうし、それのもとになる村の財政というものは、言を待たないと私
ども思うのですね。そういうときに
基準があるから、この
基準に当てはまるのでだめだ、これが除外された第一の条件である。
第二の条件は、
先ほども申し上げましたような
消防力の
充当率が八二%であるから、
消防庁の七〇%以上の補助については再検討しなければならぬが、それはできません、こういう現地の立地条件も、何ら
状況を知っているわけでもない。机上でただ単に
基準をたてにとって、理論的に町長ないし
関係の諸君が
陳情に来た場合に、こういうかっこうに
説明をしておいて、そうして補助決定では除外をする、こういう事柄などは、私は血の通った思いやりのある政治でもなければ、行政でもないと思うのです。あるとするならば、一ぺんの官僚的な行政以外に私はないと思う。こういう点非常に私は遺憾に思う。しかも、最近になってから、
離島というものは特殊事情であるから考慮してやらなければならぬというふうに、私は、お気づきになったのじゃないか——気がつかないよりは、私はましだと思うけれ
ども——あらためてこのポンプ車については、再申請してくれぬか、こういう指示があったやに私は伺っておるのであります。まことにあほうのような話ではありませんか。長官、こういう点、
先ほど基本の問題として
二つ聞きましたけれ
ども、具体的な事例を私はあげたのですが、長官、どうお考えになりますか。