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1964-05-13 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十三日(水曜日)    午後一時二十七分開会     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            熊谷太三郎君            小柳 牧衞君            林田 正治君            森部 隆輔君            武内 五郎君            吉田忠三郎君            岩間 正男君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    総理府長官  古屋  亨君    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      松永  勇君    科学技術庁研究    調整局長    芥川 輝孝君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    農林省蚕糸局長 久宗  高君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    気象庁長官   畠山 久尚君    建設省河川局長 畑谷 正実君    自治省財政局長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    警察庁警備局警    備第二課長   後藤 信義君    農林省農林経済    局農業保険課長 岡安  誠君    農林省農林経済    局作物統計課長 富樫 覚悟君    建設省住宅局住    宅計画課長   角田 正経君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (東北地方等霜害に関する件)  (九州四国地方長雨被害に関す  る件)  (新潟長崎県下の地すべり被害に  関する件)  (東北地方地震被害に関する件)     ―――――――――――――
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査として、東北地方等霜害に関する件、九州四国地方長雨被害に関する件、新潟長崎県下の地すべり被害に関する件及び東北地方地震被害に関する件、以上を議題といたします。  ます、東北地方簿霜害及び九州四国地方長雨被害について御報告願います。中西農林大臣官房長
  3. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 順序としまして、東北その他十数県にわたります先月末に発生しました降霜関係被害概況対策につきましての現況を申し上げたいと思います。  被害見込み金額は、まだ最終的には締めくくりができておりませんけれども農林省統計調査部を動員して調べた結果によりますと、合計六十三億五千万円程度と現状で相なっております。そのうち、一番大きな被害は桑の関係で約三十億、果樹関係が次いでこれも約三十億というような状況であります。降霜概況はすでに御承知だと思いますけれども、二十八日、二十九日の気象条件によりまして、大陸の高気圧が三陸沖に移動するというような関係もありまして、最低気温が非常に下がりまして、はなはだしい所では零下八度というようなぐあいであります。  被害状況は麦、なたね、バレイショ、さらに果樹関係ではリンゴ、桃、ナシ、ブドー、カキ、それから桑、野菜等にわたっております。それぞれ前回三十二年、三年ごろの凍霜害と比較してみて、やはり相当大きな被害があるというふうに受け、取られております。そこで、すでに各方面、特に県当局からいろいろな要望が出てまいっております。それを集約しまして対策を立てることを進めておりますが、とりあえず先般の閣議におきまして、五月八日の閣議でございますが、天災融資法による融資措置を講ずるという基本方針をきめていただきまして、同日付で、金融機関関係に対しまして、所要のつなぎ融資をするようにという通達を出した次第であります。そのほかにいろいろな御要望が出ておりますけれども、それらにつきましては、被害の実態をさらに詰めまして、被害の額も確定いたします段階で、できるだけ早く対策を講じてまいるという気がまえで目下作業をやっております。  それから九州方面長雨関係でございますが、四月の間、いろいろ気象条件が見受けられますが、特に気温が非常に高かった、また雨が多かったという実情がございます。そこで現段階では、統計調査部被害数字がまだ固まっておりませんので、農林省数字を申し上げるわけには参りませんが、各県から取り急いでの報告も参っております。それを集計したところによりますと、約九十六億円の被害といわれております。特にその中で大きいのは、麦類関係で約六十六億円といわれております。なたねで約二十億円、それが非常に大きな被害の二つであります。あとは数億円ということでございますけれども野菜あるいは果樹等にも被害が見られております。これらにつきましては、私ども統計調査部のほうの数字が固まりますのは大体二十日過ぎではないかと思っておりますが、その数字をもとにしまして、対策をさらに講じてまいりたいと思います。前年の長雨が非常に長期にわたってございまして、そういう意味で五月に入りましてからの気象にも十分留意する必要があると考えておりますが、どの段階で区切って対策を講ずるかというようなことにつきましては、とりあえずの調査が上がってきて、それが固まりました上で判断をいたしたい、さように考えております。  以上であります。
  4. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に、新潟長崎県下の地すべり被害について御報告願います。畑谷河川局長
  5. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) お手元に差し上げました松之山地区地すべり報告を申し上げます。  新潟県の松之山地区についてまず御報告申し上げますが、これの地すべり発生の時期は、三十八年の一月の三日に起こっております。その区域はここに書いてございますとおり六百四十五町歩、こういうことになっております。それで、その概況は、すでに三十七年の十一月四日に松之山の道を中心にしまして、地すべり徴候があらわれまして、それが三十八年の一月三日に五百五十ヘクタールに及んだわけでございます。それから引き続きまして三十八年の八月から十二日ころまでには、一日平均五センチという程度の相当な移動があったわけでございまするが、その後いろんな工事施行の結果、その後におきましては非常な地すべり徴候が少なくなっております。この被害状況は、建物にしますと、住宅が百九十二戸、内取りこわしが十五戸ございます。それから公共施設が十三戸――役場、学校、郵便局。その他の家屋が八十三戸。合計二百八十八戸になっております。それから公共施設としまして県道町道県道が一千三百八十二メートル、町道が一千五十五メートル、そういう状態になっておりまして、これに対しまして、いずれも三十七年度から地すべり対策事業というものをやっておるわけでございまして、それに対する調査費が五百五十万で調査をいたしておりまして、その結果三十八年度におきましては、地すべり対策事業といたしまして五千万の地すべり対策事業、それから一月三日の急激な地すべりに対しまして、公共土木施設災害復旧事業といたしまして採択しました結果、三十八年度分として二億円の工費をもちまして、それぞれ県道に沿いまして、くい打ち工、地下水排除集水井の建設をいたしておるわけでございます。なお今年度におきましても引き続き地すべり対策事業として七千万円、それから公共土木施設災害復旧事業の二年度といたしまして、二億五千万円の費用をもちまして引き続き地すべり復旧対策をいたしております。これが松之山地区地すべり状況でございます。  次に、本年の四月十日に発生しました下鰕地区でございます。これは川を隔てました対岸になるわけでございまして、松之山町の下鰕池場所でございまして、これはことしの四月十日に地すべりが起こりまして、川をふさぎまして、そのために家屋にいわゆる出水の被害を生じたわけでございます。大体地すべり概況は、四月四日ごろから地すべり徴候があらわれまして、十日に滑動が行なわれて、大体面積にして二十五ヘクタール、その間の地すべりのために東川を完全に埋没しまして、その上流の千二百メートル間に川の水がせきとめられまして湛水したわけでございまして、その結果、人家十七戸、非住家二戸、それから砂防ダムが二基、それからそのために県道が六言メートル、町道が百五十メートル、耕地が十八ヘクタールにわたって被害があったわけでございまして、これに対しましては、さっそく現地にそれぞれの専門の係官を派遣いたしまして、これの原因、それから応急の対策を立てまして、現在におきましては、この河川の埋塞した部分の一部をはねまして水位を下げる、それから引き続き道路の交通の確保を応急的に仮工事をつくってやる、さらに今後下流にその埋没した土砂がくずれ落ちないようにダムをつくりまして、それの工事に取りかかっておる、こういうことで現在進めておるわけでございます。以上が新潟県の松之山地区における二地区状況でございます。
  6. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に中西農林大臣官房長
  7. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 長崎峠の北松浦郡吉井町の高峰地区地すべりについての御説明を申し上げます。  この地区は第三紀層からできておりまして、かねて、地すべりのおそれがあるということで、昭和三十八年の十一月に、林野庁の所管でございますが、地すべり地域に指定をいたしております。その後、若干の調査費、三十八年度では三百万円、三十九年度には三百五十万円計上いたしまして、調査をしてまいっております。  被害状況でございますが、当初はその動きは非常に緩慢であったわけです。ところが、ことしの一月になりますと、非常に活発な動きを示してきまして、愛宕山の頂上を含みます大きな地すべりとなりました。最近の被害状況、五月十一日現在でございますが、被害面積で申しますと、水田が二十九ヘクタール余り、畑が七ヘクタール強、林地十七ヘクタール強、原野六ヘクタール強、その他全体で六十四ヘクタールばかりの被害面積になっております。金額にしてみますと、一億二千万円強の被害ではないかと考えられるわけでございます。  で、現地からの報告によりますと、当分の間被害が続くという見込みで、そういう見方が非常に強うございます。さらに問題点として、この地すべり原因が、最近まで石炭の採掘をしていた現場の近くでもあります。そういうことで、鉱害による被害であるという考え方もできます。その点も調べる必要があるわけでございます。  それから、いかなる対策を講ずるかということにつきましては、ただいま申し上げました鉱害によるものか、そうでないかというような点を至急調べて、その上で何らかの対策を講じていくという段取りになるわけでございます。  以上でございます。
  8. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次に東北地方地震被害について御報告願います。警察庁警備第二課長
  9. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 五月の七日、午後四時五十八分ごろに青森県の西のほうの沖で発生いたしました地震によりまして、山形秋田青森県下にそれぞれ被害発生したわけであります。なお、この地震に伴いまして弱い津波発生いたしております。その被害状況を申し上げます。  地震の強さでございますが、これは酒田秋田では震度四でございます。それから新潟青森、盛岡、函館では震度三でございます。それから相川、仙台、八戸、小名浜では震度二でございます。それから山形、長男、室蘭では震度一でございます。なお震源地でございますが、これは気象庁の発表によりますと、青森県の西のほうの沖約言二十キロメートル、深さ約六十キロメートルの地点であると推定されておるのであります。  被害状況でございますが、山形県では住家が一むね半壊いたしておるわけでございますが、これは飽海遊佐町でございまして、地盤沈下によるものでございます。それから住家がやはり同様に一むね地盤が約六十センチメートル沈下いたしましたために、飽海遊佐町におきまして損壊いたしております。それから酒田市内送電線が約二十カ所切断されましたため、十分ないし三十分間酒田市内において停電をいたしております。  次は秋田以下の状況でございますが、住家が一むね倒壊しております。これは男鹿市の脇本支所応接室でございまして、これが倒壊したのでございます。それから何様に住家の一部損壊、これが十一むねございまして、場所は山本郡の八竜村地内でございまして、地盤が約二十センチないし三十センチメートル沈下いたしましたためにこの十一むねが一部損壊をしたわけでございます。  それから次は鉄道被害でございますが、船川線脇本の付近で線路にひずみが生じましたために約復旧に三十分間要しております。それから堤防沈下が二カ所ございました。これは八郎潟の干拓工事排水堤防が約一メートル沈下したものでございます。これは二カ所ございます。それから水道管の破裂、これは男鹿市におきまして一カ所、南秋田郡の天王町において一カ所、そのために男鹿市においては百戸、天王町におきましては三百五十戸が被害を受けたわけでございますが、約一時間でこれは復旧をしております。次は停電でございますが、秋田市、能代市等で送電線が切断しましたために、約五万三千戸が三十分間の停電という被害を受けたわけでございます。それから列車船川線におきまして、上り下り各一列車ずつ運休をいたしております。それから奥羽線、羽越線、五能線につきまして、二時間ないし二時間三十分の列車のおくれを出しております。  次は青森県下の被害状況でございます。これは西津軽郡深浦町の地内におきまして、水田の護岸が約三十メートル決壊をいたしましたものが一カ所ございます。それから列車運休でございますが、五能線鳴沢-鯵ケ沢間におきまして、地盤がゆるみましたために安全逆転をいたしまして、安全のために五時から八時までの間は列車運休をしております。  次は津波による被害でございますが、これは日本海の沿岸に午後五時四十分ごろ青森深浦で九十センチ程度津波が押し寄せております。平均いたしますと約六十センチの津波でございますが、これは、津波は来襲いたしましたが、これによる直接の被害はございませんでした。  これらの被害を総計いたしますと、山形県におきまして建物の半壊が一戸、一部の損壊が一戸、罹災世帯が一で罹災者数は六でございます。秋田県におきましては、建物の全壊が一戸、一部損壊が十一月、堤防決壊が二カ所、鉄道被害が一カ所であります。青森県下におきましては、堤防決壊が一カ所、鉄道被害が一カ所という状況でございます。
  10. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでございました。  以上の報告に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  11. 武内五郎

    武内五郎君 ただいま霜害地すべり等について説明がありましたが、お尋ねいたします。  まず、私は地すべりについてお伺いいたします。今年の四月十日に新潟東頸城郡松之山町の下鰕池部落発生いたしました地すべりのために東川が閉塞されました。約三十町歩にわたる地域が完全に水びたしになった。全部落耕地が水の下になる。家屋の十数戸が水をかぶって、ようやく屋根が見える程度であったのであります。私はそれから一週間ばかり経ったのちでありまするが、現地を見ましたときに、まだ水は洲のように全耕地をおおっておりました。家屋もようやく屋根が出ておる程度であった、そういうふうな災害が起きた。これはいま説明がありましたような松之山町の全地域にわたっていま盛んに地すべりの活動が行なわれております。その様相というものは全く地獄の上に立ったような感じがする。もしダンテが地獄編をいまにして書けば、その様相を書いたのじゃないかと思うくらいなものすごい状態であります。私はさらに松之山から山を越えまして、中頸城地域地すべり地帯調査いたしました。中敷城妙高、新井、清里の大台地域、板倉町の猿供養寺地域並びにそれに隣接している地域等を十数カ所調査したのでありまするが、そう様相は大なり小なり松之山に起きている惨状と差がない。で、私はなぜ地すべりの問題を委員会でお取り上げを願ったのかと申しますると、およそ地すべり発生する地域というのはたいてい山間僻地であります。その山間僻地にわずかな耕地を耕し、山林でようやく口をしのいでいる零細な農民の集落地域であります。したがって、地すべりがそういう地域に、おおむね社会の円から離れた地域発生しておりまするので、往々これを見のがして、あるいは軽視したりする傾向が今日までないとは言われない。たまたま私は昭和三十六年三月に沼津におったときに、東海道の由比に発生しました地すべりを見た。そのスケールは、現にいま新潟児等に起きておりまする地すべり状態等から見ますると、きわめて小さいけれども、その影響東海道道路を、閉塞したり、あるいはその下の鉄道をふさいだりするようなことがあっては、経済上、社会上の大きな影響があると考えられたのだと思うのでありまするが、きわめて急送にその復旧がはかられている。ところが、今日取り残されておりまする新潟県あるいは福島県、宮城県、山形県、秋田県等に起きておりまする地すべり状態は、その惨状は全く比較にならない、言語に絶した状態になっておるのでありまするけれども、ほとんどこれに対する基本的な、根本的な対策というものは立てられていない。そこで私は、それは政治の公平を欠く、山間僻地には忍苦をしいる、これを救済する基本的な対策を立てないというところに今日私が取り上げた大きな原因があったのです。  新潟県における地すべりは、統計上から見ましても全国一であります。その件数においても、その面積においてもきわめて大きい。少々古い統計でありまするが、昭和三十七年新潟県全体で一千二百九十二カ所、これは全国の二三%を占めておって全国第一であります。面積において二万一千九百三十五ヘクタール、これが全国第二、こういうようなことで、特に私は新潟県を中心としていろいろ対策を検討したいのであります。地すべり対策地すべり等防止法ができましたのが昭和三十三年、きわめて新しい法律で、それまではあるいは砂防法等によってわずかにこれを防止する方針を立てておったようであります。地すべりとして取り上げられましたのが、長崎児等に起きました地すべり事件を契機として取り上げたと考えられます。したがって、地すべり対策としての基本的な対策というものはまだ年数からいって若いかもしれません。若いかもしらぬが、地球は古い。すでにそれらに対する対策というものが立っていなければならないと考えます。私は総務長官が時間の関係もあるそうでありまするので、まず総務長官からお伺いしたい。  私は地すべり原因というものはいろいろあろうと考えまするが、ことに、これを誘発する直接の原因というものは、多くは豪雪多雨地域豪雪多雨の年、この年に発生する件数の多いことを考えてみますると、豪雪地帯、さらにこの地帯において豪雪の年において非常に多く発生しておるのであります。たとえば昭和二十八年、この年も豪雪多雨の年でありました。非常に多数の発生を見ております。こえて三十一年、三十二年、三十三年、豪雪多雨の年が続いた。さらに三十六年のあの豪雪にあたっては、他年度における発生件数をはるかに突破して発生しております。いま説明がありましたように、松之山発生年度昭和三十七年になっておりまするが、その徴候はすでに三十六年に出ておる。私が三十七年の十二月にこの地域調査に入ったのでございますが、もうすでに雪がきておる。ところが、道路という道路は階段を上がるような状態にくずれておる。民家は軒が傾いておる。あるいはもうすでに取りこわしを開始したり、あるいは土台がもう半分だけわずかに土についているというような状態であったのであります。それからすでに二年、二年たって今日まだ依然としてその滑動が停止していないのであります。総務長官にお伺いしたいことは、そういうようなことでありまするので、私はこれを総合的な立場で対策を立てなければならないのではないか、建設省農林省等でそれぞれの任務を持って対策を立ててはおりますけれども、総合的な対策樹立というものが必要ではないかと思うのであります。まずその点から総務長官のお考えをお伺いしておきたい。
  12. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) ただいま武内さんから地すべり対策、特に新潟その他の地方の実例をお示しになりまして御質問がございました。傾聴いたしました。政府といたしましては、このあらゆる災害対策基本であります国土保全事業というものは、特に重点を置いて促進につとめねばならぬことはもとよりでありまして、その事業計画及び実施にあたりましては、ただ単に経済的効率のみにとらわれることなく、事業公共性を十分配慮すべきことはもとよりであります。ただいま特に地すべりの問題を政府が軽視しているんじゃないかというおしかりもありましたが、これは地すべりは何と申しますか、特に先ほどお話のありましたとおり、新潟その他の豪雪多雨地区が非常に多いのだ、こういうことで全国的にこれが出なくて、そういう特殊の地域のほうがよけいにそういう現象があらわれるということで、決して政府といたしましては、特別の意味をもってこれを軽視するようなことはもう万々ないことでございまして、お説のとおり、実は地すべり国土保全の点においてきわめて正慶であることにかんがみまして、お話にも出ましたとおり、昭和三十三年に地すべり等防止法ができた。まあこれは言葉をかえて言えば、やっとできたというようなものでございまして、いままでできなかったのがこれは確かにおそ過ぎたといわざるを得ないのでございます。この対策につきましては、主として建設省農林省が担当してやっておりますが、政府といたしましては、今後ともこの治山治水事業あるいは海岸の保全事業、こういうものとともに地すべり対策といたしましては、国土保全事業の重要な一つの柱といたしまして、お話のとおり、御意見のとおり、総合的な地すべり対策事業をさらに強化するという必要は私どもは当然認めなければならんと思っております。したがって、そういう見地に立ちまして、政府といたしましては今後この地すべり対策事業に対しまして、一そうその事業促進をはかりたい、こういう所存でおります。
  13. 武内五郎

    武内五郎君 今日地すべり対策としてのとられておりますいろいろな防止等の経過を見まするときに、あとを追っかけて防止をやっているような感じが避けられない。特に私は、国の災害の総括的な責任を負っておられまする総務長官、その対策として今日ようやく持っておりまするのが地すべり等防止法であります。その防止法もいろいろと専門家から見ますると、改めなければならぬ点もあろうかと存じまするが、一番大きい点は、防止に関する工事を規定した以外にはほとんどないのであります。しかも、それは小さな部落あるいは民家の少ない地域等発生いたしまするので、そのために起きる災害等に適用されるいろいろな救済の方法というものが非常に薄いのであります。民生を救う道はきわめて薄いのであります。そういう点についてまず地すべり等防止法の改正を考えられるか、あるいはまた、それに付随した救済の立法的な措置考えられるか、そういう点についてのお考えは持っておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  14. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 三十二年にできました地すべり等防止法でございますが、先ほどお話のありましたとおり、実施以来年をそう経ておりませんので、今日まで数年間のこの法律施行にあたりましての実績と申しますか、その内容につきまして、政府といたしましては、ことさら今日改正せねばならないという考えは持っておりません。しかし、その法の週刊にあたって、実施面で非常に欠陥があるということが明らかになりますれば、これは基本的な考え方はやはり国土保全の非常な緊要性があるという立場からやったのでございますから、これは改正しなければどうしても実際に合わないんだということになりますれば、政府としてやはりこれに対する検討を加えることは当然だと思っております。また、これに関連して、その足らざるところを他の立法措置によって、実施面の不完全なところを補っていくかというような御意見も拝聴いたしましたが、それは当然検討いたします場合には、これら各般のことを考慮に入れて検討すべきでございまして、私は前段で申し上げましたとおり、この地すべり対策というものが、非常に日本全体として考えましても、また特に常に被害がある場所から考えましても、実はだいぶんまあ手おくれの感があると、これは私は率直に認めます。そこで、それらにつきまして、やはり実際に政府といたしましてもこれらを検討いたしまして、その必要によってはどういう措置をもっていったほうが一番適正か、ことに今日まで建設省農林省が主としてこの問題に当たっておられますので、これらの役所の調査、または意見等も徴しまして、先ほどのお話のとおり、総合的にまた実際的に実効の上がる方法をどうすればいいかということを検討することはやぶさかでないと思っております。政府といたしましては、これらにつきましてさらに各関係省と連絡をとりまして、これらに対する検討をしてみたいと思うのでございます。
  15. 武内五郎

    武内五郎君 例を松之山町の町財政にとってみますると、私は昨年の数字だけを記憶しておりますが、たぶん今年もそう差がないと思う。一億二、三千万円。その一億二、三千万円の町財政のうち、ほとんど四割近くというものが地すべり対策、これは防止工事等の関係もありまするが、村民の救済に当たっておる。ただそれだけ。いまの地すべり対策防止法によりますると、村民被害者に対しては、被害者を守る点で具体的に出ておりまするのが、わずかに危険を回避するための勧告である。その勧告を受けた被害者がかりに家屋を取りこわして移転しようとしましても、これに対する何ら財政的な救済の道がない。一軒の家をいま取りこわすだけでも二十万、三十万はかかります。さらにそれを運搬して安全な地に再建しまするときには百万はかかります。これに対する何ら救済の道もないのであります。政治は人命、財産を尊重するために危険を回避するように勧告する親心を出しておる。その親心を裏づける何らの財政的な措置がない。私はここに大きな欠陥があるのではないかと思う。そういう点を考えまするときに、貧困な町財政ではこれはとうていやっていけるはずがございません。去年ようやく五万円町で出した、一軒の立ちのきに。あまりにそのみじめさに、県もこれに十五万円を加えて二十万円の補助を与えた。ところが、家を取りこわすだけでも三十万、四十万かかっております。これがとうてい零細な農民、零細な村の商人にはたえられない。そこで勧告を受けたが、危険と知りつつそこにいなければならぬ、あるいは補修、ジャッキを持ってきて根太を引き上げて石をかって、それでがまんしようとする。だが、日々動いている大地に抵抗することはできない。またすぐ引き上げた土台もずり下がってくる。こういうようなことで、終始大地の動きと村民は戦っていなければならぬ。私も一晩農民のうちに宿泊いたしました。そのおそろしさには全く寝る気持ちにはなれない。家鳴りはする、何かしらん下から持ち上げられるような惨たんたる状態で、一夜を過ごした。これらに対する一体救済の道というものはお考えになっているかどうか。厚生省のほうだって、あるいは災害に対する家屋の回復の道等もあるような話もしておりまするけれども、とうていそんなことでは追いつかない。もう少し基本的なお考えに立って、まず民生をどうするか、こういう点からお考えをいただきたいと思うのですが、総務長官のお考えを伺いたい。
  16. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 地すべり地域のいまのおそろしい状況その他を聞きまして、私もやはりごもっともだと思っております。その地域の方の不安、それからすべての御困難な点、よくいまのお話でわかります。ただ、この地すべり等防止法は、御承知のとおりいわゆる地すべり防止を目的としてつくった法律でございまして、政府といたしましては、まずもって防止ということに重点を置くたてまえでございます。これは武内委員もよくおわかりいただけると思います。そこで、現実に地すべりが起こった場合どうするか、これはもうこの救済措置をとるべきはこれは当然のことでございます。その応急策といたしまして、たとえば災害復旧の問題、これらにつきましても、やはりそのおのおのの法律に基づいて予算措置もしなければならぬ、また民生安定の問題、これも当然なことでございまして、住宅問題につきましても、やはり住宅資金をどうするかというのは、この防止法以外の他のやはり救済法によってこれを適用していくというのはもう当然のことでございます。しかし、いまお話のとおり、政府としてもおそらく-私も自分の所管でございませんからかれこれ申しませんが、各関係の省庁はこれに対しまして一生縣命やっておりましょうが、やはり政府全体としまして気がつかない点なんかもあるかと思っております。これらは、いま防止法そのものに手をつけるということもさることながら、現在これらに関連する各法律ができております。これらをやはり十分活用する。それでもなおかつ不備だ、こうなりますと、これは当然政府はその点に留意いたしまして、いま武内委員の御意見は、私もっともと思いますから、これの対策を立てるということはこれは当然でございます。そこで防止法だけの問題といたしますと、これは決して言いわけをしているのではございませんで、法律のたてまえからして、これは防止ということになっておりますので、おそらくこの防止法の中には救済策までは手が伸びてないようでありますから、防止法一本で地すべりの全部の対策ができるなんということは、私ども政府としても考えておりません。これらにつきまして各関係の省庁、またさらに不備な点があれば、先ほどもお話しいたしましたとおり、政府としては総合的にひとつこういう計画対策の立案をする、これは必要だと思っております。したがって、これらにつきましては、やはりおのおのいま炎例をお示し願いましたので、これらに基づきましてやはり関係各省とも一応これらについて検討する、その上で私ども考え方をきめたい、こう存じている次第でございます。
  17. 武内五郎

    武内五郎君 ぜひ真剣に御検討願いたい。それで、地すべり発生いたしますと、まず交通が途絶する。人家、人命、財産が損害を受ける。押し出されました土砂で河川が閉塞して災害が起きる。農地が決壊する。いろいろな災害がこれに伴ってまいります。したがって、そういうような広い範囲に深い傷を与える地すべりで、これに対する対策というものは、工事をもって災害をできるだけ縮小する、あるいは防止するというようなことが緊急に必要なことは申すまでもない。往々にしてそういう僻地でございまするので、非常に工事がおくれがちなんです。松之山に例をとってみましても、盛んに地すべりが活動しておりまするときに、まだ工事が行なわれていなかったことは事、実であります。最近になりまして、ようやく鉄管パイルを打ち込み、コンクリート・パイルを打ち込み、あるいは集水井戸を掘って地下水をそこに集めて防止に当たってまいりましたが、多くの地すべり地域では、一般災害発生しました地域よりもうんと仕事がおくれる、どうしてもおくれている。三十七年ですか、西頸城の能生の小泊の地すべりの際、汽車が転覆した。海に押し流されて人命が四名も行くえ不明になった、火災が起きた、私はその災害調査発生直後やはりこれもいろいろな困難をおかして現地に入ったのでありますが、どこへ行きましても、早く復旧工事をしてもらいたい――これは被害者ばかりでなく、その町の当局、村の当局が強く要望することは、早く工事に荒手してくれることが、その町の、村の、被害者の心を安んぜしめる大きな動機になる、早くやってもらいたいというのがまず第一に要求されることであります。  次は、多くはそういう地方は、先ほども松之山の例を見まするように、財政はきわめて貧困、地方財政でこれをまかなうことはとうていできません。地方財政の負担をできるだけ軽くして、そういう災害に対する国の強い援助を要求しておる。こういうような点について、なるほど地すべり等防止法には財政負担に関する規定がございます。あるいは三分の二または二分の一の国の負担を決定している条項がございまするが、それでは地方の財政では背負い切れないのであります。これらに対する長官救済についてのお考えをひとつ熱意のあるところお伺いしたい。
  18. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) ただいま武内さんから被害地の町や村の財政面からこの対策に非常に困窮しているというお話であります。私はそのお話を聞きまして、そういう場合も相当あると存じます。もとより被害の内容によって違いますけれども、非常にひどいところ、またしばしばそういう事態が起こるところというものは、これは確かにそういう町の財政や村の財政で非常に困窮されるということもわかります。したがって、いまここで私が、政府としてその場合にどうするかということをはっきり申し上げられませんのは、やはり現在の防止法の適用範囲で、今日までこの地すべり等防止法を運営しておったのでございます。またその事態によりましては、先ほど申しましたとおり、ただひとり地すべり等防止法のみにたよらず、ほかの救済関連の立法によって行なわれる場合も十分あり得ますけれども、しかし基本的には、いまお話のありましたようなこたとは、私は非常に何かしらん打たれたものがございまして、これらにつきまして、私ここでただお答えするというのじゃなくて、ひとつ政府といたしましても、これらの実情にかんがみまして、やはり何といっても災害対策としては財政面の相当な強い裏づけがなければ、それはなかなか実効はあがりません。そういうことを伴いますと、これはひとり建設省とか農林省だけとお話しするということでなく、やはり大蔵当局とも話し、またそれらの各般の事態を考慮いたしまして、私はこの際必ず検討すると、そうしてこれらについて、できるだけの方法を、われわれは対策を立てるほうに向かいたい、こういうことをこの際お答え申し上げておきたいと思います。
  19. 武内五郎

    武内五郎君 災害に対する総括的な責任を持っておられますので、総務長官には、最後に申し上げておきたいのでありますが、何といっても、かりに防止工事施行しまするにあたっても、基本的な調査が必要である、しかもその地すべりというのは、その土地土地によっていろいろな形が出ております。私はもちろんしろうとでありまするが、私の見ただけでもいろいろな形のものが出ているようであります。しかも、そのすべっていく方向もいろいろあるのであります。おのおの違った地域で遮った杉が出ております。それらに基づいた基本的な調査、この基本的な調査がないならば、画一的な防止工事をやっても、それは単なるこう薬ばりにすぎないというような点を十分お考えになって、対策を立てらるべきであると思うのです。  次に私は、今日のところでは、何といっても危険から回避することよりほかに道がない、逃げることであります。そこで常に発生するおそれのある危険地帯、これを常に把握しておくことが第一だ、その危険地帯においては監視、観測の対策が必要である。危険を知った場合における危険通報、危険警報伝達の対策が必要ではないか。なるほどいまあるいはひずみ計器あるいは測定器等が設置されているところもあります。これらを十分そういう危険な地域には設置することが必要である。さらにあるいは携帯無電機を持って常にパトロールをする必要がある。それくらいのまず危険予測の、危険監視の施設というものを必要とするでああろうと思うのでありますが、今日の対策の何といっても唯一の道というものは、危険から回避する対策よりないのでありますから、それらについて長官のお考えをお伺いしておきたい。
  20. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 地すべり防止並びにその発生に対する対策は、先ほど武内さんのお話を傾聴いたしまして、私の愚見を率直に申し上げたのでございますが、もちろん政府としていままで考えておりますこと以上に、いろいろとまた示唆に富んだ御意見を承りました。大体防止工事につきましては、相当国家は財政的な高率の負担をすることになっております。また地方財政への援助、これは自治省その他いろいろとこれもやはり考えておられると思いますが、特別交付税なんかの問題もありましょうし、農地の場合は農地の災害復旧の補助も出ると、いろいろな諸般のことは大体今日まで政府が当たっておること、ございますが、いまお話のとおり、どうしても現状の施策ではまだ足りないのだということでございまして、私どもはやはりすなおにこれは承って、政府としては先ほどから申し上げましたとおり、関係各省庁ともひとつ再検討をするということも必要でございますとともに、これにはやはりいまお話のとおりに基本的な調査も必要かと思っております。しかし、今日の場合もでさるだけのことは政府対策を講じておるつもりでおります。現にこの防止対策、またその倍旧工事その他につきましても、建設省が大体実施機関としておやりになっております。これらのお考えもこの際率直に申し上げて、政府全体がやはり国土保全の、しかも、非常な住民の方の不安を増す、こういうことでございますから、私は先ほど申し上げましたとおり、私ども政府といたしましては総合的な立場においていまの御意見を非常に尊重して、ひとつ、検討いたしたいと、こう存じております。
  21. 武内五郎

    武内五郎君 なおつけ加えまして、地すべり発生地域というのはおおむね周期的に発生しております。したがって、いまここに地すべりが起きた、それがたまたまそこに起きたというのではなくて、必ずといっていいくらい何年か前にやはり発生した歴史を持っておる。したがって、それらの地すべり地帯の実態というものを把握する意味からいっても、地すべり地帯における地すべり活動の履歴というものを持っておる必要があるのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
  22. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 正式な台帳としてそういう履歴簿を持っておるわけではございませんが、全国に約五千五百カ所にわたる地すべり地区が想定されておるわけでございます。これはいまお話のように、ただ表面から見てこれは地すべり地区だということはわからないわけでございます。やはりいままでの過去の経験からいいまして、そういう地すべり発生しておった、そういうことから見て、そういう個所が推定されるわけでございまして、その個所個所におきまして、やはり履歴というものはある程度わかるわけでございます。
  23. 武内五郎

    武内五郎君 その履歴は、たいていのところには文書なんかでは、残っていないのであります。言い伝え――新しい明治中期以降、大正以降でなければ、その記録はないと思うんです。言い伝え――現に松之山町の今度の下鰕池の付近も二百五十年ばかり前に発生して、元屋敷というのは、そこに集落があった、いま山林田野になっておりますが、いま元屋敷といっておりますところに集落があった。地すべりで皆逃げた。この下鰕池でも過去十年の間に三回起きた。そういうような私は地すべり履歴というものを台帳といいますか、そういうものを調製して、特に危険な地域に対しては観測施設等の設置が必要でないかと思いますが、どうですか。
  24. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 先生のお話のとおりでございます。私どもも、地すべり防止といいますから、地すべり発生する前に地すべり防止するというところまで成果をあげていかなければなりませんが、実際問題はいまお話のとおりに、すでに地すべり発生しておる、それに追っつかなければならぬという個所が非常に多いわけでございます。しかもいまお話のとおり履歴ということになりますと、過去何百年前にこういうことがあった、過去何十年前にこういうことがあったというようなことで、はなはだ私どもとしても非常に遺憾に存じ上げるわけでございますが、私どもも最近におきまして地すべりの問題は、法律の制定もさることながら、非常に大きな問題でございまして、工法の問題にしましても、そういう問題にしましても、新たにもっと本格的な調査をしなければならないというので、三十七年から現地におきまして、いわゆる試験場も設けなければならないし、あるいは今年度の四月から地すべり専門の研究室というものを土木研究所につくるというような状態で、非常にお粗末ではございまするが、何とか全力をあげてそういうふうにしたい。  もう一つは、いま計器の問題がございましたが、確かにお話のとおりに、計器を用いまして地すべり発生に対する予防処置といいますが、そういうことを考慮すべきでございまして、これらの計器についても相当前からわれわれ研究いたしております。しかしながら現状におきましては、現在地すべり発生して、非常にもういま瞬時に困るというところにそういう計器が活用されているような現状、さらに進みまして、これから起こるであろうというところまでそれを持ち運びまして、そういう観測を続けるという段階に至っていないのは、まことに遺憾でございます。これらについてはもっと積極的に進めていきたい、こう思っております。
  25. 武内五郎

    武内五郎君 河川局長にお伺いしますが、もうすでに復旧工事の対象が下鰕池においては考えられておると思うのです。まず下鰕池に対する対策をお伺いしたい。特に私は現地で聞いてなるほどと考えてまいりましたことは、東川を土砂が閉塞したものを自衛隊で爆薬を使って三回にわたって口を開いた、だが、すぐまたあとからずるずると押されてくる。村民が出て鋤簾やスコップで連日十数名、またさらに出たときは二十数名だったそうでありますが、土砂さらいをやっておる。けれどもまた押される。したがって、吐き出す水の量というのはきわめて少なくなる、入ってくる量もまた少ないわけです。いつになったらあの湖水のようにたまった水が吐き出されるかわからない。そこで村民の考え方は、対岸対岸と言っても右岸であります。右岸はかたい岩盤でおおわれている。もしあの岩盤をくり抜いて隧道にするならば、少々の地すべりや何かにあっても十分水を吐き出されるんじゃないかと言っておるのでありまするが、私はしろうとなりにはそれがいいかもしれないと考えておる次第であります。それらを含めて、いま考えておられまする対策をお伺いしたい。
  26. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) この下鰕池地区の問題でございまするが、四月十日に地すべりが起こりまして、東川が閉塞されたわけでございまするが、私どもこれが復旧について、この閉塞したやつを、極端に言うならばもとに戻すということが常道でございます。ただし、こういう場合に往々にしてこれをそのまま放置することによって、この閉塞された土砂が一ぺんに決壊をいたしまして、下流に大災害を起こすというような別な面の災害が起こるわけでございまして、現状において湛水している地区の人には、はなはだお気の毒でございまするが、これはやはり、徐徐にそういう動作をしていただかないと、かえって下流に非常に影響を及ぼす。そういうことで、この掘さくについては確かにお話のとおりに遅々として進まないというような多少の現状もございますかしれませんが、私ども下流の災害を除去するために、いま当面考えておりますことは、その下に土砂どめの堰堤をつくりまして、そこで土砂を完全に上からどういう状態になってもとめるということをことしの七月中に完成する。それからいまのたまっておる水については、できるだけそれを家屋の浸水が少なくなるように早急にやるということで工事を進めていきたい。それからもう一つ、いま先生のお話のとおりに、堅硬な岩盤の地帯だというお話でございまするが、私どもももっと調査しなければならぬと思いますが、そこに隧道を掘って通したらどうかということでございまするが、これは御承知のとおりにこの地すべり地帯というのは、やはり相当大きな広域的な地すべり地帯というのがございまして、道路復旧にしましても、水路の復旧にしましても、やはりつくったものがそのまま永続して持つかということになりますと、相当慎重な考慮を払って、ただ部分的に撃破であるからというのでそれを通すということは、ちょっとなかなかできないわけでございます。常識的に言いましても、その付近に隧道を掘っても、また地すべりのためにそういう状態が起こるということは当然考え得られるわけでございます。こういう点については相当慎重に考慮してやらなければならぬ、こういうふうに考えております。
  27. 武内五郎

    武内五郎君 時間の関係もありまするので、建設省地すべり対策の結論としてお伺いしたいことは、松之山を含めて新潟県各地に起きております地すべりに対する対策、並びに長崎にも起きていることを聞いております。福島県にも起きております。千葉県にも起きておりまするが、それらに対する建設省として今年度以降どういう対策で積極的に防止工事を進めるかどうか、その点。特に流水十カ年計画の改定期にもあり、新計画の中で地すべり対策がどういうふりに盛られるか、お伺いしておきたいと思います。
  28. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 私のほうで所管しておると言うとあれですけれども建設省として全国的な規模で考えまするならば、大体県の名前をあげましても、新潟県を初めといたしまして、長野県、富山県、石川県、山形、福島、佐賀、長崎、熊本、こういうようないわゆる第三期層の地すべり地帯を持って、おる県、それから破砕帯の地すべり地帯を持っております徳島県、愛媛県、高知県、和歌山県。それからもう一つの分類といたしまして、火山温泉地の地すべり地帯を持っております神奈川、鹿児島、大分県と、数え上げましても十六県にわたりまして、相当地すべりというような現状があるわけでございます。この中に大体約三千五百カ所ぐらいの地すべり地帯を私どもとして想定しておるわけであります。そのうちで現在まで約千五百カ所につきましては、地すべり指定地区としてそれぞれ工事施行なり工事の規制なりをしておるわけでございます。引き続きまして、そういう全体にわたりまして積極的な対策を練りたいと思っておりますが、私どもはなはだここで申し上げるのは遺憾でございまするが、地すべり対策に対するいわゆる技術的な工法の問題でございます。これはたとえば橋梁とか、あるいは川の中に水を何万トン流すというような、一つのそういうような外力というようなものが、はっきり原因というものが非常につかみがたい。いわゆる地殻の中のいろいろな地下水の模様であるとか、あるいは地殻のいろいろな状態というものは、極端に言うと全部土を掘り返してしまわなければわかないというようなことでございまして、ある程度調査を対象といたしましてつくった工法が、実際に施行してみますと、どうもそれに合わないというような、あるいはそのためにいろんなまた別な現象が起こる。その別な現象をまたつかみまして、さらに対策を練るというような問題が非常に多いわけでございます。なお、それらに対するいろいろな計器の問題にしても、それから工法の問題にしましても、まだまだ研究しなければならなぬ余地が、残されておるわけでございます。先ほど申し上げましたとおりに、三十七年度来、現地において試験所もつくり、今年度からは新たに研究上という専門地すべりの研究の専門一を置きまして、それらを総合的に積極的にやるという体制はできておるわけでございます。それぞれの個所における工法、あるいはワクというものはきめてございまするが、これをもって完全なものだということはなかなか言いがたいというのが現状でございます。なお、今後上長期計画に対しまして、砂防とあわせまして地すべり対策事業というものは、われわれとしても非常に現状においてはおくれておったわけでございます。四十年度以降新しい長期計画を立てるという立案の最中でございますので、ワクが何ぼであるということはまだ出ておりませんが、この中には十分この地すべりのそういうような対策というものを練りまして、新しい治水対策として出発していきたい、こういうふうに思っております。
  29. 武内五郎

    武内五郎君 現地へ参りますと、いろいろな話を聞くのです。それで松之山で、建設省調査に行った方にいろいろ陳情をいたしますると、あれもやりたい、これもやりたい、方針はいいんだというのだが、財政がこれを許しませんで、大蔵省がなかなか言うことを聞きませんのでと言って逃げておりまするが、何とかなりませんかと言っておる。その点はどうですか。それについて大蔵政務次官からもお伺いしたい。
  30. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) いろいろそういうお話もおありと思います。私どもいまお話をしましたとおりに、あらゆる可能性というものをすべての方面から考慮いたしまして、最大限というとおかしいですけれども、絶対間違いない、極端に害うと全部土地を掘り直してもそういうことを完全にやるといういろいろな考え方、それから当面こういうことをやったらこういうふうになるだろうという問題、それからもう一つは、工法的にこれをとらえるといいますか、一つの相手といいますか、土地の出方を見ながら、それに合うような経済的な見方をもって進んでいく、いろいろな方法なり議論、あるいは対策方針がございまして、それぞれの状態がございますが、少なくとも私ども技術者といたしまして、これだけは最小限どうしてもこの期間に要るというものは何としても大蔵省にお願いをしてこれは確保して、それを実行してもらっておるわけでございます。さらにそれ以上のいろんな考慮なり配慮なり、あるいはいろんな対策に対する方針なりは、それぞれその段階においていろいろ議論もし対策考えておりますが、少なくとも現状においてはこの程度ということは私ども技術的には判断してやっておるつもりでございます。
  31. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 先ほど来の御熱心な御意見まことに傾聴いたしておった次第でございますが、財政当局といたしましても、地すべり対策につつきましては、できるだけの予算を出すようにしようということにいたしておわけでございまして、ちょうど資料もありますが、三十九年の予算を見ましても、国費分だけで前年に比べまして四〇%程度の増をすでに見込んでおるわけでございまして、国土保全の緊急性から申しましても、財政当局としてはできるだけの予算をつけるように努力をいたしております。各地区ごとのいろいろな事情等もございましょうが、財政当局としては許す限りの努力はしておるということを、どうか御了承願いたいと思います。
  32. 武内五郎

    武内五郎君 農林省に。松之山の話になるのでありまするが、松之山で去年の十月三十日に、農民が耕地決壊して耕作ができなくなって絶望のあまり自殺をした。しかも、これは仮設住宅のはりに首をつって死んでしまった。越えて十一月の五日に、わずか一週間たっていないのでありますが、やはり松之山で一町余の水田がようやく三分の一の程度の耕作よりできなくなて生活に対する自信と絶望からこれも自殺した。裏のイチョウの木に首をつって死んだのであります。その当時新聞は、「動く大地の人柱」と、はなはだむごい痛ましい見出しでありまするが、そういう報道をやったのであります。耕地決壊はそれほど農民に対する大きな衝撃を与えました。農業を継続することができない状態におちいることは、生活を奪い生命までみずからなくしてしまうという惨たんたる状態になってまいりました。松之山でも全地域が五百町歩にわたる被害を受けた。そのうち水田、畑等を含めまして約三千町歩近い被害を受けております。これらはほとんど耕作ができません。ペンペン草がぼうぼうと生えております。くずれかかった土地の、割れた土地の中から草が芽を出している。用水が決壊して水路の用をなしておりません。ため池が数カ所あります。非常に水の不便なところで、天水をためて水田を耕しておったのでありまするが、そのうちの一番大きいため池に用水施設がありますが、それすら、もう水は一滴もないざるのため池になっております。本年の耕作はほとんど望み得ない状態であります。そこへもってきて、下鰕池部落においては満々たる水をたたえて、これもまた耕作の可能性がまだ見出せない。こういうような状態で、まず農地の復旧、その復旧のための助成、さらに耕作を継続するための用水施設の復旧、こういうことが必要であると考えますが、松之山ばかりでなく、特にこういうふうに急激に決壊した農耕地に対する復旧対策身お伺いしたい。
  33. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お活のとおりの惨状であり、できるだけ早くその地域の住民あるいは農民が正業につくことができる、経営を再開することができるというのが望ましいと考えておる次第でございますが、ともかく進行中の個所でもございますし、調査をいたしました上で、復旧事業をやつでいいと判断できました地域、たとえて申しますと、鰕池地域のことき所でございますが、そういう所につきましては、早急に県当局から計画概要書を出してもらうように手配をいたしております。で、その計画概要書が出てきましたならば、直ちに現地で査定をいみしまして、事業に取りかかれるようにいたす手配をいたしておるわけでございます。そのほか、災害のありました地域につきまして、それを原形に復旧することが非常に困難である、あるいは不可能であるというような事例もあろうかと思います。そういうところで考えられますことは、その地域の労農をあきらめて、むしろほかの地域、適地がございましたならば、それを選んでそこを開墾する、そこへ入ってもらうというようなこともあわせて考えていきたい、かように考えております。
  34. 武内五郎

    武内五郎君 実は私は、そういう地域における水田耕作はもはやある程度まであきらめる必要があるのじゃないかと思うのですが、そういうふうに、ざるの水田であるとか、ざるの川水だめをもって耕作をしなければならぬというようなところは、水田耕作はあきらめてて思い切った転換をする必要があるのじゃないか。ことに、いま安全な地域の開発というようなことを言われまするが、なるほどそういうことができる地域であればいいが、私は特に松之山のようなところはその点は絶望だと思うのであります。だから、今日すでに五十戸に余る農家が一家をあげて離村している。離村した農民があるいは東京へ出る、川崎へ出る、長岡へ出るというようなことがあったって、工場へ入ったって、これはろくな給料――生活を支える給料にはならぬのであります。農民はやはり農で立っていける道を考える必要があるのじゃないかと思うのでありまするが、そこで、これは地すべり地帯における農地からなかなか離れがたい気持も農民にあることは、そういう地域は収量がわりにいいのだ。だからそういう点もあって、もちろん立ちのく費用などを考えると、容易に立ちのくことはできないのでありまするが、なお、そういう田畑はわりに収量があるから離れられないという気持がある。しかし、そういうようなところでは、農業の継続なんというものは私はいまの農業の時代に合わぬと思うのです。もしできるならば、たとえば八郎潟の干拓地にあっせんをするとかというような新しい方法、またその土地における農業形態を思い切った転換を考えるとかというようなことがあろうと思うのでありますが、どう考えますか。
  35. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 私伺っておりまして、考えますのは、そういう方向で措置しなければならないというふうに思われる点が多いのでございますが、われわれ具体的な例としましては、三十六年に長野県の伊那谷で大きな災害がございました。そこで営農あるいは生活ができないという事情もございまして、そのときは災害復旧事業の査定の予算のワクの中でほかの地域への移住をしてまいった例もございます。その予算上の実施は自治省でやっていただいたのでございますけれども、そういうようなことも、緊急の対策はないということが明らかであれば、考えなければならない一つの有力な方法であろうかと思います。八郎潟等のお証もございましたが、それぞれの現在におけるその営農の実態にかんがみまして、あまり飛躍した農業にいきなりつけるわけにはいかないかと思いますが、そういうこともあわせて考えながら、先ほど申し上げました伊那谷の場合には、都市での転業まで含めて対策を講じたわけでございます。そういうことも考えていきたい、かように存じております。
  36. 武内五郎

    武内五郎君 さしあたり農地の復旧に対する対策がどうしても必要だ。これをできればここで案があったらお話を承って、その実現に努力するようにお願いしたい。  次に、今回の下鰕池災害の際、布川という農協の倉庫の保管米を千六百俵運び出して移管しているわけです。中魚沼郡の外丸という村に保管している。その前に一昨年でありますが、三十七年の十二月松之山の農協で保管しておりまする二千四百俵の米を移管命令を出しているわけであります。これはまあ善意に解して、災害の際危険から大事な米を避けたほうがいいという食糧庁の考えであったに違いないのでありますけれども、どちらも実は災害を受けるような状態の倉庫ではなかったのであります。ところが、これが農協経営としますると唯一の収入であります。保管米は。はなはだ困っているのでありますが、しかも、松之山の農協は現在約八十万円以上の赤字が出ておる。したがって、保管料として入ってくる収入というものは大きなものになっている。なるほどこういう場合には災害の実情というものを把握して移管をするのが当然だと考えるのでありまするが、いきなり命令を受けまして、しかも松之山のごときは非常な災害であり、多忙な年末である、水害の最中であるというようなときに、その強い命令でそっちのほうに大きな費用と人手をとられなければならないという状態であったのでありまするが、これらは私は実情さえ正確に把握しておれば、そういう無理なことをせずに済んだのじゃないかと思いますが、もうすでに過ぎ去ったことですが、今後十分考える必要があるのじゃないかと思うのですが、いろいろそれを考えていただきたいと思います。特に田畑の復旧についての対策をさしあたってお願いしたい。
  37. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) ただいまお話しの松之山地域地すべり被害災害の起きたことに対する対策についてでありまするが、これはお話しのごとく軌後最大と思われる大規模の地すべりであります。すでに御答弁もあったかと思いますが、まず災害復旧対策といたしましては、昭和三十七年の十二月とそれから三十八年の五月及び九月の三回にわたって現地の査定を行なっておる。その査定額は農地復旧は七千五百万円、それから農業用施設は三億五千二百万円、合計四億二千七百万円となっております。災害復旧事業実施状況は、昭和三十八年度では四百九十万円、昭和三十九年度では一億三千万円となっておるわけであります。ただお話しのごとく災害復旧事業の進度が低いのであるのであります。緩慢な状況になって申しわけないのでありますけれども、ただ行って見ますと、大部分の地域については、なお地すべりが継続しているような状況下にありまして、もう一年待って地すべりの安定をみて、そうして四十年度からは本格的に実施する計画にいまいたしておるのであります。
  38. 武内五郎

    武内五郎君 なかなか緩慢な対策だと思うのでありまするが、土地は急激に動いております。ぜひひとつ急速に、今年度拙速対策でもいいから、立てるべきじゃないかと思うのです。十分お考え願いたいと思います。
  39. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) なおよく農地局方面を呼んでよく聞きまして、なるべく早く事業を進行させるようにいたしたいと思います。
  40. 武内五郎

    武内五郎君 厚生省に。いままでのお話で想像がつくと思うのであります。住宅もすでに八十戸立ちのき命令を受けております。松之山だけで。それから中頸城へまいりますると、十数戸が立ちのき命令を食っている。それで、問題は住宅建設、特に災害が急激にまいっておりまする松之山等においては、災害対策としての住宅の建設が考えられると思うのでありまするが、今日までどれくらい建てて、今後それに対する対策というものがどういうふうになっておるかお伺いしたい。
  41. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 松之山地区地すべりにつきましては、三十七年の地すべりのときに、災害救助法の適用地区といたしまして、そのときに住宅の応急修理二十五戸、それから飲料水の供給等をやり、また応急仮設住宅を十二戸設置したわけでございます。今回の地すべりにつきましては、県当局にさっそく私どものほうで災害救助の適用の要否を指示したわけでございますが、保当局としては、災害救助の適用までには至らないということでございまして、私どもあほうで建設いたします応急仮設住宅は、災害救助の適用をして初めて応急仮設住宅を設置するわけでございますので、本年に入りましてからの仮設住宅の建設は、現在のところ行なっていない状況でございます。
  42. 武内五郎

    武内五郎君 あれは厚生省関係ですか、金融方面は。災実住宅における金融。
  43. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 建設省でございます。
  44. 武内五郎

    武内五郎君 住宅局のほうですね。
  45. 角田正経

    説明員(角田正経君) はい。
  46. 武内五郎

    武内五郎君 あなたも御想像がつくと思います。立ちのきのために町が五万円、県が十五万円出して二十万円で立ちのく。それ以外に金がないのであります。先ほど申し上げましなように百万円ぐらいかかる。立ちのきのために三、四十万円、再建するために五、六十万円からかかるわけです。これは最低であります。金がないのでおそらく突っぱりをかったりなんかしてがまんしておる。金融の道がない。住宅に対する金融融資等の対策、方法をひとつお話し願いたい。
  47. 角田正経

    説明員(角田正経君) 地すべり関連住宅につきましては、住宅金融公庫で現在災害復興住宅と含めまして、三十九年度におきましても十億円の融資のワクの中でお貸しすることにいたしております。貸し付け限度額は木造の場合四十二万円を一応限度にお貸しするということで、申し込みがございますれば、いつでもお貸しできるような体制になっております。
  48. 武内五郎

    武内五郎君 四十二万円ですか。
  49. 角田正経

    説明員(角田正経君) はい。
  50. 武内五郎

    武内五郎君 四十、五万円じゃないんですか。
  51. 角田正経

    説明員(角田正経君) 木造の場合四十二万円でございます。
  52. 武内五郎

    武内五郎君 それがなかなかうまくいかないのであります。その返済の見込みがないと思うのか、ただでさえ窓口が狭いのに、いよいよかたく閉ざされるような状態であると地元の人々は言っておるのであります。しかも、これは特に能生町の小泊の災害地すべりの際に四十何戸の家がつぶれたので、家を建てたいのだが、融資の窓がきわめて細くて手が届きませんと、もう少し拡げて手も腕もはいれるような対策をひとつ立てていただきたい。お考えを……。
  53. 角田正経

    説明員(角田正経君) お話でございますが、融資のまあ条件と、それから申し込みを受けました場合にそれをいろいろ選考いたします。両方ございまして、選考につきましては、申し込みがございますれば、必要に応じてお貸しするというふうにいたしておりますので、窓口で非常に窮屈になっておるということはないというふうに存じております。ただ貸し付け額につきましては、ほかの全体の貸し付け額というふうなものとのバランスがございまして、現在一応一戸当たり木造の場合四十二万円というふうに限度額がきめられておるということでございます。
  54. 武内五郎

    武内五郎君 その選考が問題なんです。選考が問題。そういう災害のときにおいて選考が問題なんであります。その選考をもう少し大きく開いてもらうようにやってもらいたい。  最後に厚生省に。松之山、それから能生、そのほかこれは中頸城郡であったはずですが、医者が逃げてしまう。松之山のごときは中央診療所という町営の診療所がある。医者が逃げてがらあき。六千人の人たちが松之山の湯本という約二型近いところまで行かなければいま医者がない。したがって六千人に一人の医者の状態です。こういう僻地では無医村が方々にあるようでありますが、医者もおそれをなして逃げてしまうのであります。能生町においてもそうなんです。中頚城の多分板倉の部落だったと思いますが、そこでも。そういうようなことに対する医療衛生、まことにこれは市大な問題だと思うのでありますけれども、厚生省でにどういうふうな対策を持っておるか、医者と保健婦、また看護婦等の配置が全然ない。たいへん困っております。救済の道があったらお話し願いたい。
  55. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 私の直接の所管ではございませんが、現在そういう六千人もいる部落なり地域において医者がいない、看護婦がいないというふうな事態は非常に困られるわけでありますが、そういう地区に対しましては、私どものほうでは僻地の医療対策といたしまして、その地域に医者の確保ができない場合は、児なりあるいはその地区の保健所等に、あるいは国立病院等に委託いたしまして巡回診療をする。あるいは巡回の保健相談を行なうというようなことで、医療の確保なり保健の確保につとめておるわけでございますので、この地域に対しましては、私どものほうで関係当局とも連絡いたしまして、県当局に適当な指示なり措置をしていただくように早急に連絡いたしたいと思うわけでございます。
  56. 武内五郎

    武内五郎君 指示しますか。
  57. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 連絡をいたしたいと思います。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 運営について。総務長官が戻ってこないとすれば副長官を出してもらいたいということと、それからいつも感ずるんだが、どうも責任者が……。
  59. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をつけて。
  61. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 武内先生が熱心にやられたから、私はできるだけ簡明にお尋ねしたいと思いますが、返事は要領よくひとつ御答弁をお願いします。最初に凍霜害長雨対策地すべり、こういうふうな順序でやります。何といっても凍霜害及び長雨あるいは地すべりというようなものは、これは今日の学問の進歩したところであれば、気象学上予想することができると私は信ずる。しかるに、年々その予想ができなかったのであるが、連絡が悪かったのであるか、災害を繰り返しておる。こういうふうなことはいかなる理由によって予報ができなかったのであるか、予報はしたけれども、それを実行しなかったのであるか、あるいは予防方法が十分でなかったのであるか、まずこの点からお尋ねいたします。
  62. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 凍霜害発生しました四月二十八日、九日の以前に、相当な霜害がくるのではないかということは予測されておったようでございます。気象関係の予報に基づきまして、県当同等では数日あるいは十日くらい前からそういう警告を各地に流しておったようでございます。東北の名川でそういう状態でございますが、何といいますか、残念ながら末端でそれを受けて予防的な措置を十分講ずるだけの用意が至らなかったようです。所によりまして、特に国の試験場等ではそれを受けて、十全の措置を講じたというようなことで、被害も最小限にとどめられておるというような実例も実はございます。そういう中で特にその重油の買い方が不足であった。十分買っておりましたところでは数時間燃焼し続けて温度の低下を防いだということもあります。一時間程度しかストックがなかったところが、結果として数時間にわたって非常な低温が続いたというようなことで被害防止できなかったというようなことであります。そういうことで、概して用意が、被害といいますか、天候の異変に対して十分でなかったというのが実情であったというふうに考えております。
  63. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 気象庁長官からひとつ……。
  64. 畠山久尚

    政府委員(畠山久尚君) ただいま、霜害あるは長雨あるいは地すべりということについて、これが予想できないのかというのが御質問であったと思いますが、この予想という点は、現象によりまして、予想のわりあいやさしいものと、わりあいむずかしいものとがあるわけです。自然現象によりまして、そういうことになっております。しかし、いずれにいたしましても、ある程度は予想できるのでありまして、そういうことによりまして現在気象庁は予報を出し、また、必要な場合には、注意報、警報というものを出して一般に発表すると、必要なところに対してはこれをお知らせするということをやっておるわけでございます。  それで、先ごろの四月の下旬のいわゆる、ただいま凍霜害と言われましたが、これはわりあい予想が簡単なほうな、わりあいやさしいほうの現象でありまして、すでに、一カ月予報でも、この四月の下旬にはそういう心配があるということをいっておりますし、また、これは当日も、まぎわになりましても、そういうことを一般に御注意申し上げておるわけでございます。ただ、温度が何度まで下がるかという、そういうことになりますと、量的にはまだなかなかむずかしいという点で、ぴたりと正確には、また地域的にこまかく、どこでは幾らという点では、正確には予想ができないような段階であるということでございます。  それから長雨のほうは、これはむずかしいほうの現象でありますが、とにかく長い期間の長期予報でも、雨の量が多いか少ないかというような、そういう見当だけは予想してやっておるというほうであります。  それから地すべりのほうは、これはむしろ私どものほうの所管ではございませんので、申し上げないほうがいいのかと思います。  予想できるかどうかという点については以上でございます。
  65. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 大体において予想ができるということだったらば、その予想を最末端に徹底させなくてはいけない。最末端に徹底させたら、それを実行させなくてはいけない。実行するためには、資料がなくちゃできない。それだけの準備を整えて今後はこういうふうな問題が起こらないようにお願いして、この気象問題は終わります。  次は、いま重大問題となっているのが凍霜害であります。衆議院では本会議で質問があり、また、参議院でも近く質問があると、こういうふうな問題なのであります。この大体の状況は、いま官房長から説明をしていただいたのでありますが、それで了承いたします。ただ、ここに問題になるのは、いかにして対策をすみやかに確立するかということなのであります。そのうちの第一は、融資の問題でありますが、融資については、今月の八日に閣議で決定し、各金融機関に対しては、つなぎ資金を出して応急策を講ずるというようなことにしておるということは、まことに政府措置について敬意を表します。しかしながら、実際問題にすれば、この決定したところのものが、最末端の必要な人に金がいつ到達するかという問題であります。現在一番問題になっているのは、手続が繁雑であるから、所要の資金を申し込みたいけれども、申し込んでも間に合わない、であるから、高利貸しからでも借りて応急策を講じていかなくちゃできないというのが現在の状況なんです。現在の状況がこういうふうなままであるといたしましたらば、政府は、この欠点をいかにして補うて、急速に行き詰まっているところの凍霜害を受けた農民を救われるかということをお尋ねしたいと思うのであります。
  66. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) これは、大災融資法の発動に関しては、目下急いでおるわけでありますが、これが成立をしていきましてから、各被害町村において、だれにどれだけやるか、あるいはそのうちの激甚なものは幾らか、普通のものは幾らかという区分をして申請してくるのでありまして、相当時間かかると思いますが、できるだけ早くこれを急がせようとわれわれはいたしておるのであります。まあ、そのつなぎ資金として、先ほど申し上げたように、とりあえず金融機関につなぎ資金を出すように、こちらから通達を出しておるわけでございます。なるべく手続を簡単にしてやっていきたいと。なおさらに、その中で激甚災害法の適用をしなければいかぬものも出てくるかもしれませんけれども、そういうのは、その次に被害の態様を見て検討したい、まあとりあえず天災融資法の発動をすみやかに、もう末端に早く届くように努力したいと思っております。
  67. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私は、本委員会で取り上げた千葉県、そのほかのノリの被害に対しては全県全部を特別被害地域として指定して三分五厘の金利を出していただいたということは、政府当局に感謝いたします。それと同様に、今回の零霜害に対しても、前回に劣らない程度の、そして迅速に融資していただくように希望いたします。  次は長雨対策です。これはまだ統計事務所の報告がないのでありますが、各県からの報告によるというと、九十六億、そのうちの麦の被害は六十六億円になっているのであります。これからいったらば、長雨対策に対しても、天災融資の方法であるとか、その他いろいろと政府は検討しておられることがあろうと思うのであります。でありますから、それらの方法をすみやかに検討して、ひとつ策を講じてもらいたいと思うのでありますが、ここに問題になるのが一つあるのであります。それは、異常災害発生したならば、農業共済組合等は共済金を支払わなくちゃいけない。その共済金を支払う場合においては、手持ち資金がなかったらば削減払いをして差しつかえないという法律になっているのです。であるから、削減払いを前年もやったのであります。しかし、これが年々削減払いをやるということになれば、農民は非常に困るのであります。しからば、児の保険金の不足金はどうしているか、連合会の保険金の不足はどうしているか、こういうふうなことを検討してみまするというと、政府の金に対しては、一般会計から予算を組んで補っている。連会合のものは、基金があってその基金から補ってやる。ただ最末端の共済組合等のは、その融資の方法がない。だから、現在においてはそれはいたしかたない、削減払いをしてよろしいという法律になっている。大体この法律が私は間違いと思っております。自分などがつくって間違いということはおかしいけれども。であるから、こういうものが年々同じ災害をこうむるような場合においては、県が基金から融資することができるということであれば、組合のほうでも融資する道を講ずべきじゃないかと思うのです。この点についての御意見を拝聴します。
  68. 岡安誠

    説明員(岡安誠君) お答えいたします。おっしゃるとおり、現在末端の農業共済組合に対しましては、融資の措置がとられておりません。したがって、異常災害発生したような場合には、原則として刑減払いということになっておりますが、これは現在その法律のたてまえといたしまして、共済組合が相互組織をもって形成されておる、したがって、そういうような場合には、制度のたてまえから申し上げまして、削減払いというものも認めていいんではないかというような考え方から法律が成り立っておるのでございますが、御指摘のとおり、連年災害があったような場合には、その削減されます金額も相当多額に上るということも予想されますので、御指摘の点等につきましては、今後の問題といたしまして検討をいたしてまいりたいというふうに考えております。たとえば基金から融資の道を講ずるということ本一つの方法ではございますが、そのための資金の造成の方法にもいろいろ問題がございますし、現在基金からは連合会に対しまして融資をやっておりますが、連合会におきましては、その融資に対応します赤字の問題も相当大夫な問題になっております。それらの問題を慎重に検討いたしまして、なるべく御期待に沿うような方法で考えていきたい、かように思っております。
  69. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それで、現在の法律は、いま農林省から御答弁があったとおりであるのでありますが、これは、私などが法律をつくるときの私はミスと思っております。ミスは是正していかなければいけないのですから、十分にひとつ御検討をお願いしたいと思うのであります。  そこで、その次にお尋ねしたいのは、こういうようなことなんです。凍霜害の問題の解決にしてでも、長雨対策にしてでも、現在の法律ではどうしたって解決ができないのです。その証拠には、昨年の豪雪及び寒波の場合においては、三つの法律をつくったのです。そして救済をやったんです。であるから、いまだかってないというような東北の凍霜害、また、いま私が申し上げたように、九州方面長雨が九十六億というような数字になっている。こういうふうなことであれば、私は、いま返事は皆さんからちょうだいしなくてもいいのでありますが、今後調査を進めていくに従って、今年も昨年の豪雪及び寒波の被害と同様な特別立法をしなくちゃいけないところの時期がいままさに到来せんとしておるのじゃないかと、こういうふうなことを考えるのであります。どうかこの点については、政府当局で十分に連絡のもとに御検討をお願いします。そういうふうな希望を申し上げておきます。  その次は地すべり地すべりについては、武内さんから、いろいろと詳細にわたってお話があったのでありますから、私は同一のことは繰り返しません。ただ、政府の資料によってみまするというと、地すべり防止区域に指定せられているところのものは、全国で千五百七カ所、そして三十五年から三十八年度まで実施せられたところのものは五百十七カ所、そして三十九年度実施せられたところのものは三百七十一カ所、そしてそのうちの三百二十七カ所が継続であるのであります。こういうふうな状態であるのでありますが、さっき武内さんからもお研があったとおりの事情でありますから、私は、この地すべりに対しては国の補助率を引き上ぐべきであるということをまず申し上げるのであります。それは、これはそのままにしておいたならば災害が起こるのでありますから、地すべりに対しては、公共土木の災害復旧事業と同様の率の補助金を出すべきではないかと、こういうふうに考えているのでありますが、この点いかがでございましょうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  70. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) お話でございますが、地すべり防止工事に要する経費でございまするが、災害と違いますことは、災害を未然に防止するというやはり一つの改良工事でございまして、そういう点で、この災害復旧事業とは一つ違っている。ただし、これは普通の改良事業と違いまして、やはり砂防と同じような性格から、地すべりは非常に災害に近いというので、普通の改良費よりは、比べまして三分の二という補助でやっておるわけです。なお、いよいよ災害が起こったという場合には、当然災害復旧事業でやっているわけでございます。ただ、いろいろ先ほど武内先生からもお話がありましたけれども地すべり災害によって起こるいろいろな現象が、地すべり防止工事だけを施行することによってすべての問題が解決するのでなく、あらゆる諸般の施策と合わせて一緒にやるという観点がございますわけでございます。ですから、その別な面におけるいろいろな諸施策と一緒に合わさった対策というものは必要でございますと思いまするが、ただ地すべり防止工事という観点からすれば、一応現状のところで、三分の二という高率で施行していいのではないか、こういうふうに考えております。
  71. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 お話はわかるのです。お話はわかるけれども、実際からいえば、その災害防止の施策を講ぜなかったらば、次には災害が起こる。そうするというと、その災害が起こったときの費用は、防止の費用よりも多くの費用がかかるの、だから、一銭を惜しんで百円の損というようなことにならぬとも限らないでありますから、公共土木災害と同様に、その場所のいかんによっては、三分の二であるとか、四分の三であるとか、四分の四であるとかというような、完全にこの費用で工事ができるように進めていくべきであると私は信ずるのでありますから、私の意見をそれだけ申し上げておきます。  次は、指定基準の緩和であります。現在の指定基準によってみますというと、五ヘクタール以上でなくちゃできない。これはあまり広過ぎると思う。であるから、これを少なくともヘクタールぐらいにすることができないか。それなら、そういうふうなことをしているところがあるかというと、私はしている県を知っているのであります。児の名はあげません。これは、私などが災害視察に行ったときの実例があるのでありますから、それだけつけ加えておきます。一ヘクタールにすることができないというようなことであったならば、公共土木災害復旧と同じように、一カ所の工事が十五万円以上のものであったならば、これは指定すると、こういうふうに緩和をしてもらいたいと思うのであります。また、緩和すべきであると思うのでありますが、この点いかがですか。
  72. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 現在私どもで取り扱っておる規定というのは、いま先生のお話のとおりに、五ヘクタールという規定でやっております。やはり一つの基準として、こういう費用を出す以上は、ある程度の基準を定めてやっておるわけでございますが、いまお話しのとおりに、いろいろな実情があって、そういう問題があるというお話でございまするが、私どもも、これが非常にぐあいが悪い、実務的にはもっと考えなければならぬということであれば、これは十分にひとつ検討したいと思います。ただ、五ヘクタールといいましても、これ以下でやっているのは、たとえば防止工事を行なわずに関連事業の計画を立てて家屋の移転なんかするという場合には、これにとらわれずにやっている例はございますが、防止工事を伴って云々という問題になりますと、私はおそらくないんじゃないかと思いますが、ただ実際問題として、それは非常に運営上まずいということであれば、私ども十分これから検討いたしたいと思います。今後検討したいと思います。
  73. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから、耕地被害をお尋ねする予定であったが、耕地被害は、武内さんからお活があったから繰り返して申し上げませんが、長崎県の高峯地区のようなものは、次から次へ地すべりがあって水路が破壊し、本年は全く田植えはできない。別なことばだったらば収穫皆無だ、こういうふうな状態になっておるのであります。これは事実であります。  それから、一方のほうにおいては住宅の問題。これも武内さんがお話しのとおりです。もう地すべりがくるんだから逃げなくちゃ、家を動かさなくちゃ、どうしようもない。そして、どうであるかというと、現在の住宅金融公庫の話もあったのでありますが、住宅金融公庫からは融資する道は講じられておるけれども、実際に山間僻地のところまでその住宅公庫が金を出してくれることはほとんど皆無であるといっても差しつかえないんです。これは事実なんです。しかし、家を移さなくちゃいけない、どっかから金を借ってこなくちゃいけない。借りるところがなかったならば、さっき申し上げたように、高利貸しからでも借ってこなくちゃいけない。農耕地がやられているから収入はない。払うことはでなきい、こういうふうなことになってくるのであります。でありますから、ここで住宅金融公庫から貸す場合においても、一定の金額を貸されると同時に、その借ったところの金を支払うところの能力が直ちにはないんだから、支払いすることができる期間までは年賦償還、あるいは利息を保留してもらわなくちゃできないということになってくる。しかるに、現在では、単独にそういうふうな個々の家に住宅組合が金を貸す場合においては、据え置き期間がありますか、ありませんか。
  74. 角田正経

    説明員(角田正経君) 地すべり関連住宅につきましては、三年以内の据え置き期間はございます。
  75. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、これは冬個個の家に対して三年間の据え置きがあるのですか。
  76. 角田正経

    説明員(角田正経君) さようでございます。
  77. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それは、いま私の手元にあるのによってみれば、償還期限が十八年、簡易の耐火設備をやったのは二十五年、ほんとうの耐火設備をやったのは三十五年であって、据え置き期間は三カ年間は認めるというようなことであるが、災害関係の個人住宅の特別貸し付けについても三年間の猶予がありますか。
  78. 角田正経

    説明員(角田正経君) 同様でございます。
  79. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、この金を借りて、耕地が回復せず、収入がないということだったらば、三年以上の期間を要するというようなことになれば、その場合においては、特別措置として据え置き期間を延期してもらうことができますか。
  80. 角田正経

    説明員(角田正経君) 現行制度では三年以内ということで、これは災害の場合も同様でございまして、現行制度としてはできませんことになっております。ただ全般に、どうしても支払い能力がございません場合、これはどうしても金融の立場からいってお貸しすることができないような場合になりますと困りますので、そのような場合は、公営住宅等の優先配付というふうなもので処理できないだろうかというふうに考えております。
  81. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 公庫の金利は幾らになりますか、住宅金融公庫の。
  82. 角田正経

    説明員(角田正経君) 五分五厘でございます。
  83. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私どもは、この点につきましても、実際に災害地を視察した結果によるというと、これも県の名は申し上げませんが、三分五厘で融資しております。それで、県では三分五厘で融資することができるのであったならば、こういうふうな特別のものに対しては、何とか善後策が講じられないのでしょうか。
  84. 角田正経

    説明員(角田正経君) 住宅金融の全般の金利の問題でございまして、災害復旧の場合におきましても五分五厘になっておりますので、それとの関連がございまして、全般の問題としての検討はございますが、地すべり関連住宅だけについて金利を引き下げるというふうなことは困難かと思っております。
  85. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それじゃ、これで結論をやりますが、現在の地すべり法律によっては、さっきから武内先生のお話しのあったとおり、地すべり被害を受けたところのものは救済はできないのです。現在の法律そのままでは絶対的に救済はできないのです。そういうふうな悲惨な状況にあるのが地すべり地帯の実情なんです。でありますから、いまの私とあなた方との質疑応答は、現在の法律ではできない。しからばこういうふうな窮状におちいっているところのものは、いかにすれば救済ができるかどうかということを、今後検討していただくように、私の希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  86. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は、特に凍霜害等の問題を中心にしてお伺いしたいと思うのです。まあ時間の関係もありますから、先ほどお話しありましたように、簡明な答弁を願いたいと思います。  私は、この問題が起こりまして、できるだけ資料をまとめてみたのですが、まだ十分だとは言えません。当面する資料を整理して、この点で、きょうの質問では、特に次の二点についてお聞きしたい。それは応急対策の問題です。もう一つは、恒久対策の問題です。この二つについて、以下質問申し上げたいと思います。  第一にお聞きしたいのは、先ほど政府からもらいましたこの資料によりますと、今度の農作物の被害は六十三億ということになっておる。ところが、われわれが手にしました、当委員会を通じてもらいました各県の要求を見ますと、九十四億ということになってるんですね。そうするとだいぶ開きがある。私は問題は、この応急対策をやるにしても、実情把握をどうするか、どれだけ深く実情を把握したかどうかということで、この対策の手がきまると思うんですが、ところが、どうもこういう点からいいますと、政府統計ではなるべく少なく見積もろうとする、それから府県のほうではこれはまあ過大なところがあるかもしれない。しかし実際は、さっきの話もありましたように、これは最終的な調査ではないわけですね。第一に、何日現在のこれは調査によって政府統計は資料が出されてるのか、こういうことです。こういうことをまず最初にお聞きしたい。この食い違いの問題と、それからこれは何日現在なのか、この点をお伺いしたい。
  87. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 先月の被害につきまして、五月の八日までに各地方から報告があったものを取りまとめたものでございます。
  88. 岩間正男

    ○岩間正男君 五月の八日といいますと、すでに一週間近くたっていますが、その後追加の報告はあるんですか。
  89. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 事務所によっては参っておりますが、まだ全部出そろってはおりません。
  90. 岩間正男

    ○岩間正男君 すでにこれは半月たってますね。――いつでも感ずることだが、当委員会に出て感ずるのは、どうもこの調査が敏速性を持っていない。したがって、当然対策も手ぬるい、時間がかかる。ところが、スピードというのは命です。こういう問題のとき、スピードがなかったら、どんなくらいいい方針を出したってもこれは役には立たない、こういう事態が起こるんですね。これはいつごろまでにまとめるんですか。すでに天災融資法の適用ということが、これは閣議決定になっている、そういうことから考えますと、これに対して、その結果を待ってそれから適用を具体的にはかるんだということを言っているんですが、この点非常にまどろっこしいように思いますが、いかがでしょう。
  91. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お話しのように、被害がございましてから約半月たっております。できるだけ急いでやっておるわけですが、末端の被害調査員をそれぞれオートバイその他で現地でぐるぐる回しての集計をいたすわけでございます。で、凍霜害関係気象状況がまだ少し残っておるといいますか、さらに発生するといいますか、そういうおそれもあるんですけれども、一応二十八日、九日というところに眼差しまして、で、相手が生物でございますので、やはり見直しも若干必要でございます。そういうことをやりまして、われわれの現段階での目標は二十日までにはきちっとした数字で確定をいたしたい、さように考えております。
  92. 岩間正男

    ○岩間正男君 この食い違いの点はどう考えてるんですか。大体五〇%違ってる。
  93. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 県の報告は、われわれ集計いたしましたところで九十四億、お話しのとおりであります。で、きょう御提出申しましたのは六十三億四千八百万円、約三十一億の差がございます。これは、例年そうなると言うとあるいはおしかりを受けるかもわかりませんが、実情であります。で、これは非常に被害の大きい地域につきましては、役所の調べました――農林省で調べましたものと県当局報告されるものとの間にそう大きなズレはございません。被害がだんだん緩和された地域に移るに従ってその幅が大きくなってまいります。それが例年そういうふうなかっこうで対照されるわけですが、まあ農林省統計調査部の組織は、御承知のように、金融をしあるいは補助金を出す各局とは別個の独立した組織でやっております。で、やはり十数年の経験を経ておりますが、そういう経験の上で理論的に積み上げ計算をやっておりまして、いろいろな制肘を受けない、いわば第三者的機関として、独立をいたしております。  で、余談になるかもわかりませんが、統計調査部の組織を都道府県に移したらどうかという話も、かねて非常に議論されております。最近でも議論されておりますが、そういう場合に、農林省としましては、信用するとかしないとかいう問題でなしに、融資をし、あるいは補助金を出すその担当のところで調査したものよりは、第三者的な立場で理論的に積み上げた数字のほうが正しいという原則に基づいて対応しているわけであります。そういう意味で、われわれ農林省としましては、被害調査というものは、あくまで統計調査部数字によって固めていく、それに基づいて対策を講ずるという基本線をとっているわけであります。
  94. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ、いつでも災害のとき思うのですが、官庁の仕事というのは、やはりくつを隔ててかゆいところをかくような感じは免れぬ。第一、この凍霜害が起こって、これは本省から現地を見ましたか。これは私たち、あなたたちのこれに対処する態度をお聞きするのは、非常に重要なんだ。とにかくずぶっと現地に入って見て、そうでなければつかめないのです。これは凍霜害で桑が枯れて霜で全滅したというこの姿、御存じの方もいらっしゃるだろうし、この席にはね。まあ、御存じでない方もいらっしゃるだろう。それから果樹も全滅を食ったなどというこの姿というものは、全くこれはもうほんとうに、新緑の芽がもえたのが、これがみんな死んでしまうのだね、死滅ですよ。死滅の姿だ。ほんとうにこれは南条としたものだ。行ってみれば。これは私もこういう霜害地に幼時育ったものだから、つくづく知ってるわけです。どうです。参考までにお聞きしますけれども、これは農林省――本省からだれか行きましたか。
  95. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 二十九日に情報が入りまして、三十日すぐに四名派遣いたしました。関係局から二人ずつ責任者を出しまして、県庁を一緒に回らした次第です。
  96. 岩間正男

    ○岩間正男君 じゃ、お聞きしますけれども、この桑の実というものは、これは霜害、たとえば福島県が二十二億ですか、こういうふうに計算しているわけですね。その他宮城や山形で約十億、両方で三十何億。ところが、これは桑の値段でしょう、これは桑の値段、どれくらいに見たのですか。桑の値段をどれくらいに見て、そうしてこういう計算をしている、これはどうです。
  97. 富樫覚悟

    説明員(富樫覚悟君) これは、その桑を使って飼育して得られる繭の値段で換算して、被等価を算定したものでございます。
  98. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、繭換算ということになるわけですか、桑の原価じゃなくて。そうすると、大体これはあなた方のほうでは計算ついていますかな。桑の値段の何倍になりますか、繭は。そういう計算できていますか。
  99. 富樫覚悟

    説明員(富樫覚悟君) 実はこの繭のほうは、私のほうの課で担当しておりませんので、ただ聞いたことを申し上げてまことに恐縮ですが、大体大十五万円ですね、この六十五万円で計算をしております。
  100. 岩間正男

    ○岩間正男君 むろん変動はあるでしょうが、春繭というのは非常に値段がいいわけですね。ですから特にこれは質が一番いいわけです。四季の中で。秋蚕、晩秋蚕、夏蚕、こういうものに比べて一番いいので、こういうところの積算の基礎というやつは、これはやはり私は農民の立場に立ってやっているかどうか。――官庁の統計でやはりなるたけ災害は少なく出したほうがいい、補助金の関係もある、こういうようなことで、いつも問題になっているのじゃないかと思いますが、そういう積算の基礎を今度当委員会へ出してもらいたい。そうでないと、この額だけでばあっとやっていたって、実際は実態に合っているかどうか、農民のほんとうの要求に合っているかどうか、この点、非常に重要だと思います。これは資料としてお願いしたい。  同時に、これは気象庁にお願いすることになると思うのですが、戦後でもいいですが、歴年の霜害、そうしてそれの額、それからさらにそれと開運して、それに対するいろいろ融資その他の政府対策として出されたこれは金、こういうような資料がほしいのですが、これはどうでしょうか。
  101. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 農林省はいいね。
  102. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 私のほうでできるだけ調査いたします。
  103. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういう中で、どうです。私は被害調査の中でもう一つ除くことのできないのは、これは関連産業に非常に深い関係を持ちます。たとえば福島を見ますというと、ほとんど全滅だ。ところが、福島の市だけでこれは六つの桃のかん詰会社があるはずです。そうして七つの工場があるわけです。そうしてここに製かん工場もあるわけです。そうすると、この関連産業はほかから高い原料を買わなければならぬわけです。こういうことになりまして、二次産業、三次産業、こういうところで非常にこれは影響を受けるわけです。こういう問題について、これをひとつつかむということは実態把握のために絶対必要だ。こういうことを抜きにしてやっては絶対まずい。  もう一つは、東北の農村地帯においていま地すべり的に起こっている出かせぎの問題です。御承知のように、これは東北は約八百万の人口がありますが、この中で五、六十万がオリンピックを中心とした東京の出かせぎをやっている。たとえば秋田県では、大体人口六人に一人くらい出ているというかつこうになっております。これが、そろそろ八月でオリンピックの工事が終わる、したがって農村へ帰っていく。それから、出かせぎといっても農閑期の出かせぎでありますから、蚕も始まる、植えつけが始まる、果樹が非常に忙しい、こういうことで全部帰っていったわけです。帰っていったけれども、さてこの霜害にあってシャット・アウトを食ったという形で、したがって今度は新たに職を求めてやはり出かせぎ態勢をとらなければいまの経済態勢をささえることができないという重大な問題が起こっている。これについて、たとえば農林省がこれをおつかみになっているか。それから総務副長官にお伺いいたしますが、こういうものをはっきりつかんでいないと、単に天災融資法の発動を閣議ではきめた一なるほど宣伝にはなるかもしれない。しかし、ほんとうにこの問題を根本からやはり私は解決する道にはならないと思う。だから、少なくともそういう問題についてタッチされたかどうか、閣議の席上で出たかどうか、こういうことをお聞きしたい。この二つをお聞きします。
  104. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 出かせぎの実態は、これは毎月統計調査部の末端を通じて、サンプル調査でございますが、それぞれの地域の実態を把握できる程度には調査をいたしております。現段階で先生おっしゃったような数字であるかどうかという締めくくりはまだできておりません。  なお、出かせぎでどの程度帰農しておるかというのもあわせてその調査で出てまいります。若干時間的余裕をいただきたいと思います。
  105. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) 私案は閣議には出席しておりませんので、総務長官にお聞きいたしまして当委員会に御連絡いたしたいと思います。
  106. 岩間正男

    ○岩間正男君 おそらく、私は推定ですから大きなことは脅えないけれども、これはこういうところまで、かゆいところまで手が届くような閣議になればわれわれはありがたいと思うのだが、おそらくこういう問題は出なかっただろうと思う。ところで、これは非常に重要です。なぜ私は重要かというと、いままでの例があるのだ。小さい例だけれども、ちょっとこれはここであげておいたほうがいいと思う。たとえば三十二年の五月四日の凍霜害ですね。これは山形県の例です。そのときに、被害は今度に比べればわりに少ない、八千七百万程度で、そのときに県当局の要求として、樹勢回復用肥料の無償交付、これが一つ。二、病虫害防除薬剤無償交付。三、掃き立て不能蚕糸代金の助成。四、夏秋蚕購入代金の助成。五、稚蚕委託飼育の経費助成。六、蚕、繭共済保険金の緊急概算払いの実施。七、罹災農家に対する課税減免。八、営農低利資金の融通措置。――この八つの要求を出したわけです。ところが、実際政府のとった措置はどうかというと、この三分の一です。自作農維持資金の貸し付けに二百三十九戸、二千二百七十九万円。それから天災資金の貸し付けとして二百九十一戸、千二百五十九万円。計三千五百三十八万円、こういうことになっています。そうすると、被害金額が八千七百万円。大体三分の一、つまり三分の一政策、三分の一政治ということになるわけです。これで実態が救われるかどうか。全滅した一もう桑やそういうものはたいへんなことなんですね、全く一年間だめなんです。もっとも蚕の桑のごときは、いまどんどん霜害で枯れたやつは切っています。そのあとから芽をふき出させて、これは夏蚕なり秋蚕に間に合わせる、こういうことになるわけですけれども、しかしその間の生活資金をどうつないでいくか、このことからしてたいへんです。それから、これをどういうふうにして復興するかということになると、たいへんな問題です。そういう問題をかかえているんですよ。そういう問題をかかえておるというときに、皆さん御承知のように、いま農家は非常に苦しい。最近の農家の状態というものは、ここで私がくどく申し上げる必要はないと思うんです。もうとにかく自由化、それから農作物の買いたたき、農業構造改善事業、こういうものの負担、そうしていま、御承知のように、六人に一人は出なければならないという出かせぎ、これでまかなっているというのが実態で、ことに東北のような低開発地帯においては、非常にこれはたいへんなんです。そこにこの天災が起こっているんだということを考えてみなければなりません。そうすると、まず平均五、六十万円の収入の道は閉ざされてくる。これは全体の農家の相当の収入の部分を占めている。こういう生活実態の調査というものをはっきりして、その上に立って対策というものを私は具体的に講じられなければならない、こういうふうに思いますが、これは総務剛長官にお伺いしますが、こういう問題についてこの際、出席されなかったというんですが、ですから私は、総務長行が出、そうしてもっと責任者が出なければ、当委員会の国策論議はだめなんで、ここは陳情請願のところじゃありません。ここは国策を論議すべき立場のところなんです。そうでなければ、災害特別委員会の権威を高めることにはならぬ。そういう点から、私どもはいつでももっと責任のある大臣たもの出席を求めておるのに、残念ながらここではそういう形になつていない。これがやはり当委員会の一つのいま持っている弱点になるのであります。これは委員長を前にしてはなはだ申しわけないけれども、私はそういうふうに考える。いまのような問題、いかがですか、これはどういうふうにお考えになるか、これに対してどういう対策を持っていられるか、お聞きしたい。
  107. 古屋亨

    政府委員(古屋亨君) ただいまの御意見は、私ここで私見等は申し上げるべきではないと思いますので、御意見をそのまま総務長官にお伝えをいたしまして、所見等につきましては、しかるべき機会にお話をさせていただきたいと思います。
  108. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのような御答弁では、当委員会の論議というやつは全く困るですよ。空転だよ。災害はやはり来たときだけじゃないんですよ。桑の葉が枯れて、そうして人の心も枯れているんだ。私は見て知っているんだ。ほんとに何ともならぬですよ。そういうときに、いまのような御答弁でいたんでは、当委員会の任務を果たすことはわれわれはできないんです。だから、どうしてもこれは責任ある立場の人が出て、そうしてずばりそのもので答弁をする、この答弁がすぐにやはり実際罹災者に反映していく、そういう形で私たちは政治を考えなければならぬと思うんですがね。残念ながらそういうことになっていない。あなたのように、御意見を述べることができないなどと言う人がここにいま出席している、一番偉い人としてとにかく出ている、こういうかっこうでは、当委員会の権威というものは苛めることはできない。農林大臣はもとより、池川総理が出ても少しも恥ずかしいことはない。そういうふうにはっきりしておると思うのですが、これは委員長並びに委員皆さんに善処方を求めます。私自身努力しなければならない問題ですが。そういう点で、いまの問題は、いまの御答弁のようですから、これは伝えてもらいたいと思うのですよ。とにかくこれはたいへんなことですよ。普通の場合よりももっと深刻です。いまの農村の現状というものをはっきりつかめばつかむほど。結局、長い間東京に出まして、そうして、工事で働いて、そうして千五百円とか何して、金を五万円あるいは十万円――たまったかどうかわかりませんが、ためて営農資金に持っていっているのですよ。それでこれから実際の植えつけをするときの肥料を買う。そういうことに回す。そうでなければやっていけないのが、いまの農家の経済です。そういう態勢の中で、ほんとうにこれからやる蚕とか果樹、最もこれは今度霜害を受けた山形地帯のああいう人には命です。ところが、そういうところはぴしゃっと閉ざされてしまった。それから労働者なんか、非常に収入の少ない人たちは、果樹園の場合だったら、果樹の手伝いをやるわけです。袋かけをやるとか、それからいろいろやるわけです。そうして収入の道をちゃんと予測に組んでいる。ところが、そういうことができなくなってしまった。やはり一番問題なのは、富農や中農の人には道がある。そうして、いままでの助成金なんかを見ても、そういうところに優先的に割り当てられるようになっている。ところが、それ以下のいわゆる貧農層というものは全く恩恵を受けることができない。だから、たとえば先ほどの、山形の要求があった。このうちの三分の一は政府が出した。しかし、なるほどこれで富農の層は潤ったでしょうが、しかしほんとうの貧農の層には及んでいない。こういう現実というものを明確に把握しなければ、とても政治にならぬと私は思います。こういう点いかがでしょう。この点について、これは感想でけっこうですが、御意見を伺いたい。農林政務次官お戻りのようですが、農林次官、あなたも更北でありますから、御存じだと思うが、どうですか、これについて御答弁を願いたい。
  109. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 途中から参りまして、御指摘の点十分把握しなかったかもしれませんが、今回の東北地方の凍霜害は、実に非常に甚大な被害を受けております。前々から官房長の答弁、その他の方からも答弁されたように、至急に諸般の対策を立てるべく準備中でありますが、急を要することなので、一生懸命やっておる次第でございます。  いまのお活のように、農民が非常に困っている。ことに貧農は一そう困っているというようなお話、ごもっともだと私は思います。この点につきまして、天災融資法、それからそれに伴う自作農維持資金の貸し付けとか、あるいはまた、さらに激甚地災害法の適用の域を早く検討する、それから近代化資金についての償還の猶予についてできるだけやっていく、それから保険金の概算払いをすみやかにやるようにしたい、しかも概算払いの率を引き上げたい、それからまた場合によっては救農土木事業実施ども考えなければいかぬと思いますし、それからまた、その他肥料、農薬に対する助成とか、あるいは夏秋蚕種の確保の購入費助成とか、再生産用種子の確保の助成とか、そういうこまかい問題でありますけれども、これらの問題についても検討をいたしたいというふうに考えておる次第であります。  それから、さらにまた恒久対策としては、今後果樹その他について、目下三十八年度から三カ年計画をもって試験調査をやっておるのですが、その結果を待って早く、災害補償制度をどういうふうに適用していくかと、こういう根本問題も考えていきたい。あるいは蔬菜等に対しては、はたしてこれが共済制度として適当かどうか至急に研究したい。こういうふうにあらゆる分野にわたって実際に農家の経営の安定が早くできるように善処いたしてまいりたいと、こういうように考えております。
  110. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 質問する人をはっきり言ってやってください。
  111. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあどなたでもいいのですが、福島県の双葉郡葛尾村の松本辰男さんという、三十七歳ですが、三十日にこれは自殺をしています。「自宅から約一キロはなれた国有林近くのあき家で、首をつって自殺した。松本さんの家族は七人。水田四十アール、畑五十五アール(うち桑園二十アール)を耕作していたが、ことしは葉タバコの苗に根ぐされ病が発生して困っているところに、凍霜害で桑園が全滅したため、ノイローゼ状態となり、三十日朝「山仕事に行く」とでかけたまま帰らぬ人となった。」、こういう例が発生しておるのじゃないかと思います。まあ自殺の例はまだこれしか聞いておりませんけれどもね。それだけの激しさをもって農民に襲いかかっておるのが今度の凍霜害の実態だということを把握するかしないかということが、今度の問題を本気になって解決するかしないかということに関係がある。私はそういう点から、いろいろ各地の要求を、これは聞いたのですが、これをここで伝えておきますから、これについて、これは簡単でいいですから一つ一つ答えていただきたい。  天災融資の適用がきまりました。これはやはり激甚地の指定を早くやる。それからこの指定については、先ほどお話がありましたように、全面的にやる。そうしてしかも、これは十五万円という限度では現状の経済状態に合わぬ、少なくともこれは倍にしてほしいという要望があるのですが、これについてどうされますか。これは大蔵政務次官ですか、この点いかがです。これをお伺いします。
  112. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 今回の東北の凍霜害は、お話を待つまでもなく、きわめて甚大であるのでございまして、わが財政当局といたしましても、この災害に対しましては万全の措置を講じたい、こういうふうに考えておるわけでございます。先ほど来お話しのように、天災融資法の発動だけは一応きめたのでございますが、そのほかの災害対策につきましては、目下農林省においてそれぞれ資料を集めておられますので、その資料の集まったぐあいによって災害の実態というものを判断しませんと何と申しましても、対策を立てるということは困難でございます。そこで、目下農林省が鋭意資料を集め、災害の実態を判明させるということに努力をしていただいておるわけでございますが、そうした実態が判明いたしましたならば、財政当局としては、ひとつできるだけの財政的な面、金融的な面で努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。そこで、実態がまだ判明いたしませんので、この対策をどうする、あの対策をどうするということをいま具体的に申し述べるという段階ではございません。この実態が判明いたしますれば、それに即応して、被害を受けた農家の生活を安定させるにはどういう対策に一番重点を置くべきかということからいたしまして、まあ具体的に一つ一つきめていく、こういうことになろうか、としたがっていまにわかに融資の限度をどうするというようなことを一つ一つきめるという段階ではないと思っておりますが、天災融資法の限度の問題については、御承知の十五万円ということでございます。十五万円ではどうにもならぬじゃないか、三十万円くらいにはしてもらいたいという各府県からの要望がありました点は、十分承知をいたしております。したがいまして、その要望とにらみ合わせまして、激甚地災害のほうの適用の問題ということになるか、あるいは天災融資法のまた新たなる改正によって限度額引き上げということになるのか、その点についてはいまにわかにここでお答えはできませんけれども災害の実態が判明いたしまするならば、現在の農民の生活安定という観点に立ってひとつ各般の対策について財政的な努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  113. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうなると、限度をはずして三十万にすることもあり得る、こういうふうにいまの御答弁をお伺いしていいのですか。
  114. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) そういうこともあり得るかどうか、全般的な災害状況が判明いたしましたあとにそういうことを検討いたしたい、こういべことを申し上げたわけでございます。
  115. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく、先ほど申しましたように、スピードが命ですから、少なくともこの次の当委員会までに当然できるように準備してほしいと思うのです。半月すでに経過しておる。  第二には、自作農維持資金、これについて非常に要望があるわけですが、この点いかかでございますか、これは農林省にお伺いします。
  116. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 自作農維持資金は、天災融資法を発動するとこれはできることに相なっておるのでありまして、ただ特別ワクの設定をどの程度にするかという問題は、もう少し被害の実情を見て大蔵省と相談していきたい。こういうふうに思っております。
  117. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも、実情を見てと言うのだけれども、実情は変わっている。もう木は切っているのです。桑なんか。それから果樹なんかだってこれじゃ使いもあになりませんから、この打撃というものは一年にとまらない。したがって、樹勢回復をやらなければならぬ。そのためには肥料です。これをよく施すとか、枝剪定をするとか、こういうことをやらなければならぬのです。こういうことを考えますと、もっと実情を見てといううちに国会が終わってしまって、国会が終わりますと、もういつも――これは百年同じような答弁をいただいて、それで引き下がるというようなかっこうでは、お互いにいかぬじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。この辺の答弁をもう少し改善するわけにはいきませんか。答弁を改善するとともに、実行が伴なわなければならぬ、どうでしょう。
  118. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) これは、緊急対策でありますから、一日も早くしたいのであります。決してのんきにかまえているのじゃありませんから。ただ、やはり統計調査報告を確認して、大至急やるつもりでございます。
  119. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、この前の千葉のノリの件でだいぶ松野政務次官は健闘されましたので、さらに拍車をかけてやってもらいたいと私思うのです。  それから第三に、先ほど樹勢の回復の問題が出ましたが、今度病中害予防用の薬品の購入の問題、こういうものも出されておるのですが、こういうものについても十分に考慮をされる必要があると思う。  それから、これは自治省に伺いますが、特別交付税の増額の問題、しかもこれをほんうとに早期にこれについて何とか措置をとってもらいたい、こういう要望が切実に起こっているのです。ことに地方自治体から起こっているわけですけれども、これについてはいままで検討されましたでしょうか。どういう御答弁いただけるのですか。
  120. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 凍霜害に関しまする市町村の財政需要につきましては、例年特別交付税算定の際に必要財政需要の中に算定いたしまして交付をいたしております。今回起こりました災害につきましても同様の措置をとるつもりでありまして、また特別交付税の概算交付という問題でございますが、この問題につきましては、特別交付税というものの性格上、全体の見通しを立てませんと現在の法制のもとにおきましては困難でございますし、また支出上も困難でございます。しかしながら、資金操りその他につきましては、市町村もいろいろ困っている向きもあろうと思いますので、調査いたしまして荷処いたしたいと思います。
  121. 岩間正男

    ○岩間正男君 いままでの例によると、この実施はずっと年度末、おくれるわけですれ、特別交付税は。しかし、これが担保になって地方財政は見返りをやって急場をしのいでいくという形だと思うのですが、これについてはいま言った全体を見通さなければならぬということもありましょう。しかしどうなんでしょう、こういう要求については。これは考慮する――むろん考慮する立場から言っておられるのだと思うのですが、前例はないのですか。過去にもこういう災害がよく発生しているのですが、これについて……。
  122. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 在来から大体一定の算定方式がありますので、その算定方式をとってくればある程度の見当はつくわけでございます。で、特別交付税は総ワクきまっておりますし、そのワクの中でいろいろな要因を処挿するわけでございますので、金額の確定をこの現在の段階においてどうこうという状態は実際問題としてできかい。しかしながら、大体の見当はつかぬわけでもありませんし、また従来の大きな災害――凍霜害でございませんで、普通の土木災害で大きな災害につきましても同じようなやり方をとってきているわけでございまして、別段それによって大きな支障は生じておりません。  問題になりますのは、資金繰りを緩和するために繰り上げ交付をどうするかという問題でございます。この問題につきましては、市町村の財政資金の状態を現在調べておりますが、その調査状況とにらみ合わせまして善処いたしたいと、かように考えております。
  123. 岩間正男

    ○岩間正男君 大蔵政務次官にお伺いします。さらに、この所得税はじめ税の軽減の問題ですね、これが切実な要求になっています。むろん、これは所得が減るのですから、当然所得税の減免というやつは起こってくると思うのです。しかも、先ほどからたびたび繰り返して申しましたように、これは受けている打撃は非常に大きいのですね。特別やはりこれについての考慮をするのかどうか。  それから同時に、これは国民年金の問題とか、あるいは国民保険税の問題とか、こういうような負担の問題で、これはまあ中農以上ではそれほどじゃないかしりませんけれども、実際は貧農の立場に立ちますとこういう問題まで深刻に反映してくるわけです。したがって、こういう問題についても、これは十分に私は考慮する立場をとるべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  124. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 岩間さんの先ほど来の凍霜害の薬その他の災害対策等のお話でございましたが、先ほどもお答え申し上げましたように、災害の実態が判明いたしませんと具体的にどういう対策を講ずるかということはきめかねるということを申し上げたわけでございます。災害の実態が判明いたしますれば、十分地方のいろいろな要望等も承っておりますので、農林省御当局と十分御相談いたしまして万全の対策を講ずる、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、ただいまお尋ねの、所得の減少に伴う税の減免等の問題でございますが、これはもちろん所得の損失がありますれば、それだけは控除されていく、これはもう当然のことでございましょう。さらにまた、それだけの減額申請ということがありますれば、税の減税ということもあろうかと、かように考えておるのでございまして、そういう点については、十分農民の方々に税法の趣旨を徹底させまして、遺憾ないようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  125. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体御答弁聞いていますと、対策を具体的に決定するのは災害の実情が把握できたあとだ、こういうことだ。それが前提条件だ。これはいつごろはっきりつかめるのですか。大体もう半月になっている。いつごろです。これははっきりしてもらいたい。
  126. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 先ほどほかの方には官房長がお答えしましたように、二十日ごろにははっきり出ると思います。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、この次の委員会には間に合うというのですね。もっとやっぱりはっきりこれについて回答を要求したいと思うのです。  もう一つ要求になるのですが、失業対策ですね。やっぱり失業対策事業費をふやして、そうして仕事の保障をやらなければ、先ほどから申し上げましたような実情で、出かせぎの人がせっかく帰っていっても、働く場がない、仕事の対象がない。そこで、今度は東京に戻るというのに、東京に戻ったってもう仕事になりません。もう高架道路は着々できつつある。こういうかっこうでは間に合わぬ、八月までにはオリンピックの工事は一切打ち切る。したがって、わざわざ関西のほうへ仕事を求めて行っている実情が起こっている。そうすると、どうしてもこの問題とやはり対峙しなければならぬと思う。そうしたらどうでしょう。この問題について、これはもう齋藤次官はあなたの郷里なんだ。この問題だって、当然これは力を尽くさなければならぬ問題だと思う。これは自治省にもお伺いをするのですが、どうでしょう。この失対事業のワクの拡大、そして少なくとも、あそこでこの災害の中に含まれているような人たちを、故郷を失うという、そういうところに落としちゃならない。これは切実な問題があるのですが、この問題をあわせ考えなくちゃならぬが、いかがですか。
  128. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 私、何も答弁のために答弁を申し上げているのじゃございません。災害の結果どの程度の失業者が、現金収入を得ることができない者が出てくるか、そういう実態が判明しないで、やるかと、この言われましても、何とも答弁のしようがございません。これはおわかりのとおりであります。したがって、災害対策として、地方から、救農失対事業を起こせとか、救農土木事業を起こせという要望がありますことは、十分承知いたしておりますので、これをやはり実態を把握いたしまして、それと見合って対策をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、あなたの浜通りの北のほうがやられておる。双葉郡なり相馬郡がやられておる。もうほんとうに当然善処をされるべきだと思いますが、そういう意味からも。  もう一つ、農業共済金の繰り上げ支給の問題というのは、やはり切実な要求になってくると思いますが、これはどうでしょう。
  130. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お話の点、保険金の概算払いにつきまして、たとえば共済基金から融資をして、国の再保険金の概算払いをするというような形で、円滑に概算払いができますように、いま準備を進めております。そのやり方等につきましては、知事あるいは共済連合会長にあてて、五月十一日に通達を出しております。現地でも手続は動いておるというふうに考えております。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 大体何ですか、見通しとしては、月末ぐらいまでにこれはわかる可能性がありますか、どうでしょう。手続は県の段階でなかなかはかどらない。中央からはそういう指令が行っておったとしても、なかなか動かないという実態だと思いますが、これはどうですか。
  132. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 早いところは今月ちゅうかと思いますが、おしなべて言いますと、来月上旬になるのじゃないかと思います。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 応急対策について、その他いろいろあると思いますが、時間の関係もありますので、以上の点をお聞きしておきます。いずれにしましても、切実な実態把握の上に立ってこの問題を解決する。そういう立場に立って善処してもらいたい。  次に、恒久対策の問題を簡単にお聞きしたいと思いますが、これはどうなんですか。霜の害、凍霜害というものは、いまの科学技術をもってして一体防げるのかどうか。それからこれに対するいままでのデータをちゃんと用意されておると思います。それから、これについての化学処理、そういう方法というものをこれは検討されていなければならぬと思うのです。年々歳々こういうことを繰り返しておる。おそらく災害のない日はないでしょう。どうですか。これはないのだろうと思いますが、これは資料を出していただきますから、その資料で見ればわかるわけですけれども、ことしは戦後最大と、こう言われているわけです。おそらく実際を調査し、私の計算方法をやっていけば、百億をこえる。これは私の計算方法でなくて、農林省統計調査部の計算方法では、どうも農作物の被害の面だけ見ておりますから、われわれはもっと深い関連産業、それから労働者の問題、貧農層の問題、そこにきている有形無形のそういうものまで、これはほんとうは調査して、実態を把握しなければ、被害の実相をつかんだということにならない。そういうことになりますと……。
  134. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ちょっと申し上げますが、農林省に対する資料の要求は先ほどなされて、農林省で出すと答弁ありましたから、いまお話しの科学技術の問題は、科学技術庁から研究調整局長が出席しておりますから。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 ああそうですか。それで局長さんにお伺いするのですけれども、この問題についてどうでしょう。科学技術庁として、凍霜害に対する化学処理の問題、こういう問題に研究課題になっているのかどうか。それから、こういうものが実験の段階に達しているのかどうか。それから理論的にでもいいです。これに対して、相当広域にこれはわたっているわけですね。北関東、それから東北の南部、中部から半分、それから長野、甲府ですか、こういう地帯にずっと及んだわけですが、これが一体化学処理でできるのかどうか。これはコストの問題もあるでしょう。しかし、こういうものは研究されていて初めてこれは生産と結びついた科学技術ということになると思うのですね。そういう点から私はお聞きするのですが、これはいかがでしょう。
  136. 芥川輝孝

    政府委員(芥川輝孝君) 霜害防止という問題は、非常にこれは科学技術的に見ましてもむずかしい問題であろうと考えます。科学技術庁におきましては、防災科学技術というものを非常に重要視いたしまして、昨年三十八年度から科学技術庁の付属機関といたしまして防災科学技術センターというのを置きまして、自然災害によりまする、自然現象によりまして生じます災害の、第一番には未然の防止、それから発生した場合にはこれの被害拡大の防止、さらに災害復旧ということを科学技術的に研究する、あるいは科学技術的にこれを処理するという点につきまして、昨年度から防災科学技術センターというものを置いて、防災科学技術の研究の展開を行なっているわけでございます。その中で取り上げておりますテーマは、現在のところ霜害の問題は直接にはございません。科学技術庁といたしましては、その庁の設置されました性格上、各省庁がまず第一義的におやりになりまして、それから各省庁の境界になるような分野を主として研究推進の対象にしているわけでございます。したがいまして、この霜害の問題につきましても、まず主管官庁であるところの農林省なり、あるいは北海道開発庁なり、あるいは気象庁なりがすでに予算を持って従来とも研究が進められておると思うのでございますが、さらに必要である場合には、科学技術庁と協力いたしまして、これを総合的に推進する、そういう形で霜害災害防止という研究を進めてまいることに相なるかと思う次第でございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあこれは、一つは理論的にやはり追求することが必要だと志ます。したがって、これは委託研究ということもできるだろうと思います。その気が科学技術庁になければだめだ。それから、各主管官庁はやるでしょう。そういうことを指弾する、あるいは助言を与える、そういう一つの任務がこれはあるわけですね。そうでないと、農林省がどの程度これについて研究を進めているのかわかりませんからね。こういう問題がもっと、災害をとにかくなくすのだという方向に努力されなくちゃならぬと思うのですが、農林省の実態はいかがでしょう。これは霜害に対して、つまり私は科学技術の立場から言っているのですよ。科学技術的なそういう対策というようなものを一体打ち出しているのか、そういうものは全然ないのか。いままでのやり方で、とにかく火をたくとか、それから重油を持っていってたくとか、最近はそれから古タイヤを持っていってたくとか。しかし、こんなものはネコの頭みたいなこれは対策ではないか。とにかく広大なあの地域に、数県にまたがるそういうところに起こる霜害に対して、上昇気流で対決するのだ、こういうことになれば、とてもこれはそんなものでは間に合わないだろうと思うのですが、部分的にはそんなことをやっていますけれども、よく霜が来るのだというので、汽車に乗っていると、火をたいているのが見えます。あれでいくととてもいけない。痛の深さによっても、とてもあんなもので締まりがつかないと思う。一体、それに対して、どういう対策をとっているか。とにかく有徳の損害ですよ。その百億の損害を防ぐためにここで三十億の金を出すということは、非常に経済効率が大きいのですよ。こういうことになっていない、そうでしょう。つまり、政治が科学化されていないという何よりの証拠です。それが今日の政治の実態じゃないか。そういうでどういうふうになっているかをお伺いしたい。
  138. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 四月-五月の間の気象状況、数年前に連続して霜害が起こりました。その間、若干安定しておりましたが、今年また起こるということで、お話のように、非常に大きな気象全体の変化の問題、そこで農林省自体として、たとえば水稲――稲の場合等に早期栽培などをやって台風をよけるというような品種改良をやっていった例もありますし、同様の、何といいますか、よけて通るというような意味合いでの研究はそれぞれやっておるのですけれども、四月-五月という間にわたる相当長期にわたって、凍霜害というのは予想されますし、それを避けてどうこうするということは、非常に困難な実情だと思います。そういう意味で、はなはだ、いわば原始的かもわかりませんが、地上の近接しておる気温をできるだけ高めるということで現在はやらざるを得ないのであります。  さらに長期的にといいますと、そういう凍霜害に対して非常に強い品種を育成していくということも含まれるのですけれども、それには、何しろ相当な時間もかかるということで、とりあえずは、重油というお話が出ましたが、まさにそういう手段で対応しているわけです。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 凍霜害対策費というのは、農林省でどのぐらいございますか、予算。
  140. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) 凍霜害の予防的措置としての予算は、特段にはございません。試験研究というような意味合いでの予算は、農林水産技術会議のほうで当然やっておりますけれども、試験場を中心にやっておる予算の中で措置しています。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 意識的にあまり要求していないのじゃないですか。これはどうですか、大蔵政務次官、こういうとすころに出す金はさっぱり惜しくないと思うのですが。
  142. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 凍霜害の被答を防止するということについては、まことに同感でございまして、科学技術的な面でそういう方法がある、そういう要求があれば、私どもは十分その要求に対して検討いたしたいと思います。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんなことを言って、来年度の予算編成のときにばさっとやられないように、大いにひとつ出してください。ほんとうにそういうことをやらないと、毎年毎年同じことを繰り返しているのですよ、ばく大なものです。非常に国家的な損失なんですからね。  そこで、私は最後に、委員長要望しておきますけれども、これはやはり農林大臣なり、それから先ほどのいろいろの問題もありますから建設大臣なり、もう少しやっぱり出て、この次の委員会には、はっきり明確な答弁をして、この問題を処理する方向に御努力をいただきたい。このことを私は要望して、私の質問を終わります。
  144. 矢山有作

    ○矢山有作君 時間の関係がありますので、いままで触れられなかった問題二、三点だけ簡単にお伺いしたいのですが、今度の凍霜害長雨状況を見ておりましても、昨年の豪雪長雨状況を見ておりましても、こうした災害の経過を見ておりましても、そういったところから考えられるのは、大体災害でやられておるところというのは、毎年同じようなところがやられておるのではないか。今度の東北、北関東、九州にいたしましても、やっぱり去年も長雨災害を受けておった、こういう感じがするのですが、まあ、はたして、しょっちゅうそういった災害の繰り返される地域が固定しておるかどうかというのは、資料がありませんからわかりませんが、大体災害常襲地帯というのはさまっておるのじゃないか、こういう気がするわけです。そうすると、そういう地帯災害を受けるその災害によって農家の所得が非常に打撃を受けるわけです。すると、融資という方法だけで、はたして農家が災害に対処することができて、そうして農家の再生産を確保していくということができるのかどうかということが、私は非常に疑問なんです。そういう点で、政務次官なり、あるいは官房長なりにひとつお答えをいただきたいと思うのですが、どうお考えになりますか。
  145. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) お話のように、災害多発の傾向のある地域が相当ございます。で、融資だけで対処をしておっては、何といいますか、償還すべき負債がかさばっていくばかりではないかというようなお話のように伺うわけですが、農作物――御承知のように、表、裏、その他ささいなことになりますと年に何回ということになります。そういう点、とりあえずの前向きの営農資金なり事業資金なりがあれば、短期間に償還できる場合も多いと思います。で、必ず二年あるいは三年というふうに続けば、これは特別被害地域とか、あるいは農家についても特別な被害があったという認定をしていくわけですけれども、五年のうち二年続くというような形の場合には、それは克服し得る仕組みになっておるというふうに、達観的に言えば言うことができるのじゃないか。といって、保険制度などもかたがたございますけれども、そういうものとあわせてみて、ほんとうに負債が累積することによって営農が困難になるということになれば、それはそれとして解決しなければならない問題だと思います。そういう意味も含めて全体の態勢を検討しておるわけですが、個別の問題については、個個の農家についてそういう配属をするシステムになっております。現状でまあ符に悪いという点が、さほどといいますか、痛切に感じられていないのですけれども、実情等調査しまして、御要望のあることがどうしても必要だということになれば、制度上の検討もあわせてしなければいかぬ、かように思います。
  146. 矢山有作

    ○矢山有作君 そういう点で、やっぱり審議をもう少しやっていこうと思うのですが、私どもがほしいのは、――農家負債の実態調査をおそらくやられておるのじゃないかと思うのですが、そういうものをやはりこういう災害に対する対策を立てる上の貴重な参考資料にしたいわけです。したがって、この際、農家負債の実態調査をやったものがあれば、ぜひ災害委員会に資料として御提出を願いたいと思います。これは資料のお願いですが、いまお答えになったように、大体そういう災害を受ける地域というのはしょっちゅうやられておって、借り入れ金の償還も済まぬのに、また災害にやられて借り入れをしなければならぬ、こういう状態になる場合が非常に多いのじゃないか。これは私そう思うわけですが、そうなってくると、災害で所得はないのに、それに融資をしてやる、しかも、融資をして幾ら安くてもいま三分五厘――六分五厘、そういった利息を取って融資をしていくというのが、いまの天災融資法のやり方なんです。所得のないところに持っていって国が高利貸しじゃあるまいしお金を貸してやって、さらに利息を取るのだ。これではたして、言われる農業の再生産を確保することができるのか。これは非常に大きな問題だ。農業基本法というものをおつくりになって、その中で一日われておるのは、自然的な、経済的な、社会的な不利を是正して、そうして農家と他産業との所得格差をなくしようというのが、一つの大きな目標になっておるわけです。そうすると、何といっても、われわれが農業というものを考える場合に、一番大きいのは自然的な不利、つまり、災害による影響だと思うのです。そうすれば、そういった自然的な不利を是正していくためには、災害を受けて所得がないのに利子を取って金を貸してやる、それで何とかやりなさいというような、なまぬるい対策でなしに、もし一挙に、私がさっき申し上げるところまでいかぬにしても、少なくも無利息の融資があってしかるべきじゃないか。しかも、比較的災害でやられる地域というものは固定化する傾向があるとするならば、そういう地域に対しては、特に償還期限等も相当長くして、無利息の融資も考えるべきじゃないか、私どもはそう思いますし、さらにもっと進んでは、災害に対して国として所得を補償する方策というものが何かあってもいいのじゃないか、こういう感じがするわけなんです。  で、災害があった場合には、ただ単に、災害として所得が非常な減収になるということだけでなしに、たいていの場合が、農業関係の施設もやられるわけです。農業施設が災害でやられた場合に、これもやはり農家が、ある程度のものは負担しなければ、災害復旧ができない。また、実際に所得を補償するという制度としては、現在のところ、不完全な共済制度があるだけだ。これでは私は、災害に対する対策としては非常に不完全きわまるものじゃないかという感じがするので、今後、これだけしょっちゅう災害が続いておるのですから、そうすれば、農業基本法をつくられた政府の立場としても、あるいは与党の立場としても、災害に対しての対策というものはもっと抜本的に考えていくべきじゃないか、こう私は思うのですが、そういう点で、現在、松野政務次官おられますが、政務次官どういうふうにお考えになりますか。
  147. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) よくわかりました、御指摘の点は。災害の常襲地帯というものに対しましては、なおわれわれも検討しなければならぬというふうに思っております。これは農業基本法にも、「国は、災害によって農業の再生産が阻害されることを防止するとともに、農業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補てん等必要な施策を講ずるものとする。」とありますので、われわれは、できるだけ今度の災害補償法の改正により補てんの充実をはかるとともに、幾多の面において努力を続けておる次第であります。なお、御意見の点は十分考えてまいりたいと思います。
  148. 小平芳平

    委員長小平芳平君) それから、先ほどの農家負債の実態調査については、資料はできますか。
  149. 中西一郎

    政府委員中西一郎君) できるだけ用意させていただきます。
  150. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 関連。現在、常襲地帯法律があるが、最近は、あの常襲地帯法律はほとんどこういうふうな場合には適用されていないようだが、いま答弁のようだったらば、あの法律を改正される意志があるのであるかどうか、お尋ねいたします。
  151. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) その点は何者あわせて検討いたしたいと思っております。
  152. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 あの法律によるというと、地域指定については蕨市なる規定があるのです。立法当時、私は直接関係があったから細大なく知っているのでありますが、あれを適用するということであれば、あの法律をさらに政府は根本的に検討して、いま御答弁になった意見に沿うように修正をお考えをお願いしたいと思います。
  153. 矢山有作

    ○矢山有作君 大蔵省のほうに御意見を伺っておきたいと思うのですがね。まあ私はいまさらここで時間をとって申し上げぬでも、いわゆる高度成長政策の中で農林漁業というものがどういう立場に置かれてきたかということは、よく御承知だと思うのです。しかも、そういうふうな何というのですか、農林漁業がみじめな状態に置かれておる、そのことはいろいろな原因があると思います。しかし、その一つの原因は、やはり災害を受けやすいということが一つの原因にもなっているわけです。そうすれば、少なくとも農業基本法の趣旨からいって、災害に対して農家が再生産をやることのできるように所得補償の対策考えて、やるということが、大蔵省としても、財政の面からいろいろあるでありましょうが、配慮されてもいいんじゃないか。農林省のいまの松野さんの答弁によりますと、何とか災害対策というものは根本的に考え直して充実していきたい、基本法の精神に沿うようにしたいとおっしゃるのですが、基本法の精神に沿うように財政的に配慮するためには、やはり大蔵省がもっと積極的になっていただかなければいかぬわけです。そういう点で、政務次官は災害に対する今後の抜本的な対策、特に所得が災害によって減収を見ておる場合の所得補償という部面をどういうふうにお考えになるか。もし御意見があれば、この際承っておきたいと思うのです。
  154. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) 災害を受けた場合のそういう問題につきましては、現在の農業共済法というものがあるわけでございますけれども災害が起こりますと、やはりそれだけでは済まぬということで、天災融資法だとかいうような法律で、できるだけめんどうを見ようと、こういうことになっておるわけでございます。しかし、そうした場合のほかに、そのつどそのつど起こる災害の特殊性と申しますか、その災害の実態に応じて、既存の法律だけではいけない問題があるわけでございますので、既存の法律以外においても、そのつどそのつど災害に対応いたしまして、農民の生活の安定という観点から、いろいろな対策をあわせて考えていく、こういうふうにすべきだろうと、かように考えております。現在の農業共済法につきましても、農林省のほうで、もっといろいろ改善しなくちゃならぬ、あるいは天災融資法についてもいろいろ改善しなくちゃならぬというふうな点がございまするならば、われわれ財政当局といたしましては、それぞれの必要に応じて一緒に御相談申し上げて、よりよき法律をつくるために努力するということは、財政当局としても当然のことでございますので、そうした全般的な災害対策につきまして金を出し惜しむというようなけちな考えでなしに、前向きでひとつ十分協力して検討していきたい、こういうふうに考えております。
  155. 矢山有作

    ○矢山有作君 しかし、おことばですが、まあ最近の財政当局のやり方というのは、政府自体がそうなんですが、経済合理性を非常に追求しておられるような感じがするのです。したがって、農業のような、案外投資効果のないところには、なるべく金をかけない、そういうような傾向が私は顕著に見えているような気がします。その点をやはり政務次官としては十分お考えになって、いわゆる災害対策というものを考えていただきたいのです。  で、先ほど、農民の所得の補償の問題では、共済の制度があるとおっしゃったんですが、これは松野さんも中四さんもよく御承知のとおり、大蔵政務次官もよく御承知でしょうが、今度のこの災害なんかでも、やっぱり大きな災害を受けているのは果樹とか桑とか、こういうものが受けている。ところが、現在の共済制度では、果樹なんか全然対象にならない。しかも、こういうようなものは、霜害なら霜害で審を受けたそのことが、そのときだけの損害で終わるということにはならない。あとの生炭量にまでやはり影響を及ぼしていくのではないかということも考えられる。そうすると、あとの生産に対して相当影響を及ぼしていくという点まで考慮してどうこうということになると、いろいろまたむずかしい問題が出ましょうが、少なくとも、その年度において非常に生産量が減って農家の所得が減収を見る、そういうような場合に、ただ、次の生産対策というような形で金を貸すということだけでは、ぼくは先ほども言ったように解決つかぬ、どうしてもこれはやはり所得に対する災害補償制度というものを、この際考えていただかなきゃいかぬと思うんです。これが災害対策に対する農業基本法の精神に従った行き方だと私はそう思う。ただ、そういうような災害補償の基本的な体制をつくる場合に、現在ある共済制度との関連というものが問題になってくると思います。だから、これとの関連をどうするかということは問題に残るにいたしましても、少なくとも、災害対策としては、先ほど言いましたような、いわゆる根本的な所得災害をどうして補償していくか、それは再生産が可能な状態を目安として補償していくかという問題が、今後の重大な問題になると思いますので、十分な御検討をいただきたいと思います。  で、これはさらに災害対策委員会、今後まあ、それぞれ開かれるわけですから、やっぱりそういう場合にも、私どもは、どういうふうな立場で対処されていくか、機会あるごとにこれはお尋ねもしたいし、また、そういうふうな方向に向かってやっていただけるように申し上げもしたいと思っておりますので、ひとつそういう点についての積極的な御配慮を願いたい、そういうふうに思うわけです。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 やっぱり補償の問題、これを決定するのには、私は、果樹園とか農地とか、これは個人の財産でもありますけれども、国家的な生産手段としての性格を持っているだろうと思う。これを認めるかどうか、ここのところが、私は非常に分かれ道になると思うんです。どうですか。個人のものであると同時に、国家的に見たら、これは国家的な生産手段じゃないですか。これはやっぱり機能が破壊される、これについてやっぱり国家的な立場で再生産を可能な方向に変えていく、ここのところが、補償するかしないか、当然の義務としてこれを考えるかどうか、恩恵的なものとして。そうして、全くこれをちゃらんぽらんにしてしまうかという根本的な分かれ目になると思うのです。これはむろん、われわれとあなたたちの立場は違うかもしれません。しかし、あなた方の立場にいて自由主義経済に立ったって、これは国家的立場から見れば、国家的な生産手段の面が非常に問題があるわけです。これについてどう考えるか。これは理論的な問題で、この次の課題です。これはここで答弁は要らないけれども、この次の大きな課題になりますから、これは検討してきてやっぱり答弁してもらわなければならぬ。
  157. 齋藤邦吉

    政府委員(齋藤邦吉君) こういう災害に伴う農家初心の補償の問題については、先ほどお答え申し上げましたように、農業共済というものがありますけれども、恩恵によって、不十分な点があるということでございますれば、その点は農林省とも十分相談し合って、前向きで検討したいということを先ほど来申し上げたわけであります。私どもは、経済の、農業の合理性ということばかりあれだということでございますけれども、本年度の予算をごらんいただきましても、農業金融については、実は相当大きな資金を算入いたしましたし、農業予算につきましても相当考えておるのでございまして、その点は十分ひとつ御理解をいただけると思う次第でございます。
  158. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) 私は、農業基本法が示しているように、災害によって農家が農業の再生産が阻害されるのを防止しなければならない、こういうふうに思っております。
  159. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは所得補償というところまで考えていく姿勢があるかどうかということです。農業問題として。
  160. 松野孝一

    政府委員(松野孝一君) よく検討します。
  161. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御発言もございませんようですから、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      ―――――・―――――