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1964-03-13 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十三日(金曜日)    午後二時二十七分開会     ―――――――――――――  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            稲浦 鹿藏君            藤野 繁雄君            矢山 有作君            村尾 重雄君    委員            江藤  智君            久保 勘一君            熊谷太三郎君            小柳 牧衞君            林田 正治君            森 八三一君            森部 隆輔君            武内 五郎君            吉田忠三郎君            渡辺 勘吉君   国務大臣    運 輸 大 臣 綾部健太郎君    自 治 大 臣 早川  崇君    国 務 大 臣 宮澤 喜一君   政府委員    総理府総務長官 野田 武夫君    経済企画庁総合    開発局長    鹿野 義夫君    大蔵政務次官  齋藤 邦吉君    農林政務次官  松野 孝一君    農林大臣官房長 中西 一郎君    運輸省鉄道監督    局長      廣瀬 眞一君    建設政務次官  鴨田 宗一君    建設省道路局    長      尾之内由紀夫君    自治省財政局長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (東北地方雪害に関する件)  (東京湾等ノリ被害に関する  件)     ―――――――――――――
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから、災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、東北地方雪害に関する件について御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 武内五郎

    武内五郎君 きょう、各省関係でだれだれを呼んでおりますか。だれだれが出席しておりますか。
  4. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 現在出席しておりますのは、齋藤大蔵政務次官農林省松野政務次官農林省中西官房長、間もなく参りますのは、経済企画庁宮澤長官自治省早川大臣建設省河野建設大臣運輸省綾部運輸大臣総理府野田長官が見えるはずですが、ただいまちょうど衆議院の本会議中でして、本会議のほうに入っておられるそうですから、本会議のほうが終わり次第来ることになっております。
  5. 武内五郎

    武内五郎君 了解。
  6. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まず、齋藤大蔵政務次官お尋ねをいたします。  実は、先週の同じこの金曜日、六日でありますが、この災害対策特別委員会が開かれたこの同じ日に、岩手県の久慈山根町の県道でなだれが発生して、通行中のダンプカーが雪に埋まって、そのダンプカーの荷台に乗っておった山根町深田の民生委員韮山元吉さんが頭の骨を折って即死をしております。同乗しておった久慈市の社会福祉協議会書記中田徳一さんも頭にけがを負っておる。この人たちは、この先週六日金曜日に市役所山根支所で開かれた山根地区民生協議会出席しての帰りに、バスがなかったので、ちょうど豪雪状況調査を終わって市役所に帰る市の大型ダンプカーに便乗しての不慮の災難であったわけであります。世は春だというのに、これらの青森岩手の両県においては、いまだ豪雪そのもの被害の恐怖におののいておるのが現状であります。各地とも常時なだれ注意報が発令中の状態に置かれておるのであります。三月十一日現在で、豪雪のため、いまだ交通途絶をしておる市町村道については三十カ所の多きに及び、その距離も四十六・二キロの長区間に達しておるのが実態であります。したがって、私がこれからお伺いすることにつきましては、これらの現実をひとつ脳裏に置いて、具体的な誠意のある前向きの御答弁を前もって期待をして御質問をいたしたいと思うのであります。  大体、農業基本法の前文なり、あるいは第一条にもうたっておりますように、農林漁業というものは、これらの産業に従事している従事者努力をもってしても、いかんともしがたい自然的な、経済的な、社会的な不利益をこうむっておるわけであります。したがって、そういう農業基本法に盛られておる精神を体すならば、これらの不慮災害に対しては、抜本的に政府でこれを補償するという措置がなければ、これらの不利益を補正する手段とは言いがたいと考えるのであります。時に、この地方は、三十六年にフェーン火災にあいまして、ちょうど今度の豪雪地帯が、そのまま全山が山火事に遭遇をしておる地域であります。しかも、この地域は、この県の中でも、同じ農林業の中でも、所得格差水田地帯の約二分の一に定着をしておるという、政治からは見放された地域住民を中心とする地帯なのであります。したがって、私は、こういう災害が起きたときには、その災害に対しては、まず抜本的に政府としては基本法に掲げてある精神にのっとって、迅速果敢にその災害に対して補償すべきものだと思うのでありますが、大蔵当局のこれに対する見解をまず伺いたいと思います。
  7. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 今回の豪雪またはなだれ等によりまして、民生委員方々不慮災害を受けられましたことは、まことに遺憾なことでございます。私どもといたしましては、先ほどもお述べになりましたように、農業の置かれた自然的、社会的な不利な状況、これを何とか農業基本法精神にのっとって補正をするということは当然なことであるわけでございまして、農業災害につきましても、御承知のように、農業災害補償法というものによってその損失を補てんをし、農業生活の安定をはかる、こういうふうに考えておるわけでございますが、この農業災害補償法だけで不十分な点も私は多々あるかと思いますが、そういう問題につきましても、できるだけの力をいたしまして調査をし、その完ぺきをはかるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 特に、この地方農林産物の受けた被害実態から申しますと、現行農業共済制度対象にもならない被害を受けておるわけです。具体的に言えば、裏作としてまきつけた雑穀なり、あるいは牧草なり、あるいは林産物等が、その地方としては壊滅的な被害を受けておるわけで、そういう現行制度共済対象にもなっていないというようなものを、それでは具体的にはどう補償措置を講じられるのか、ということをもっと具体的に大蔵当局見解を伺いたい。
  9. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) すでに御承知のように、農産物につきましては、農業災害補償法につきましては、麦はその適用になっておりますが、そのほかの畑作につきましては適用になっていないわけでございます。しかし、そうした麦以外の畑作等につきましても何らか補償方式考える必要があるだろう、こういうふうなことを前々から考えておりまして、従来の基礎的な調査結果に基づきまして制度化をはかろう、そうした畑作物についての補償については制度化方式考えてみようというふうなことからいたしまして、明年度予算におきましては、学識経験者を加えた調査会を設けまして、麦以外の畑作についての補償方式検討しよう、かようなことに相なっておる次第でございます。  なおまた、果樹等につきましては、これも農業共済対象にはなっておりませんが、三十八年度に続きまして、そうした果樹共済制度化検討調査会を設けておるわけでございまして、一日も早く調査会の結論を持ちまして、そうしたものを対象とした共済制度の実施に当たっていく、こういうふうにいたしたいと考えておる次第でございます。
  10. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いま次官の説明を再確認いたしますと、麦なり、あるいは桑なりというものは、畑作の中でも共済対象になっているが、その他の雑穀なり牧草等は一切対象になっていない。これに対してはすみやかに調査検討の上補償措置を講ずるように善処するということでございます。選択的拡大と称する畜産をやって、今度の豪雪のために、大体集乳個所まで酪農生産者が運ぶ距離は、今度受けた酪農民の約三割が四キロ以上家から集乳個所まで搬出をしなければならない。それが全部豪雪に閉ざされて、腐って捨ててしまったというようなことでありますので、これらは、基本的に共済対象果樹等も含めて、選択的拡大と称するものもこれを制度の中に入れるということは、方向としてはまことにけっこうだと思います。  しかし、私の伺うのは、さしあたり、こういう被害を受けて何ら法律の恩恵にも浴し得ない、そういう被害に対して、一体どういうふうに大蔵省当局としては考えておるのか、ということをお伺いいたすわけであります。
  11. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) ただいまお答え申し上げましたように、果樹やあるいは麦以外の畑作等につきましては共済制度を何とかつくりたいというようなことで、調査会をつくって検討をしようということでございまして、さしあたりの問題といたしましては、こういう共済制度がございませんので、農業金融その他の系統金融融資等によりまして、その生活の安定をはかるというふうな方向さしあたりの問題として検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 さしあたりとしては、系統融資等によってということでありますが、これは別段行政庁どうこうということではなしに、自主的に組合金融としてはそれぞれの緊急措置をやっておるんであります。問題は、被害を受けた者に金を貸したところで、償還能力のない実態に対して融資をするということは非常に不合理な措置であって、やはり、そういう何らあらゆる現行法律なり行政措置の目からはずれておる、そういう災害に対して、金融ではなしに、もっと政府補償するということを応急的にお考えがないのかということをお尋ねをいたしておるのであります。これは、まあいま急にどうこうという、われわれの納得するような御答弁が得られれば幸いでありますが、もしもないとしますと、いまの次官の御答弁にありましたようにも制度金融あるいは組合金融というもので金融措置を講ずるという措置以前に、政府としてとるべきまた施策が幾多あるわけであります。たとえば、略称天災融資法という法律がある。この発動をすることによって、比較的これらの措置に対する措置が講ぜられるのが従来の災害に対する一つの慣例なわけであります。  で、この天災融資法は、大蔵省も十分御承知のように、第二条には「当該天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて」ということで、従来は非常に機械的に、ある一定の全国的な被害額を算出して、その全国的な基準に達するか達しないかで天災融資法発動等がなされてきた慣行があるわけでありますけれども、そうしたような従来の慣行にとらわれることなく、繰り返し私はその主張をしておるのでありますが、この青森岩手にわたる豪雪地帯は、その県においてもさらに格差がきわめて大きく、最も経済の谷間に放置されておる地帯であるということ、なお三十六年には、この全地域を襲ったフェーン火災によって非常に大きな痛手を受けて、それらの融資等の返済の見込みも十分立たないうちに、またこういう四十年来の豪雪被害を受けているということ、それらのいろいろな情勢を客観的に判断したならば、これこそまさに、国民経済に及ぼす影響はきわめて重大なものであるという認定が下さるべきものだと思うのであります。したがって、制度金融なり、あるいは組合金融で自主的に融資によって措置をするということを拱手傍観するということではなしに、すみやかにこういう天災融資法発動によって、とにもかくにも暫定的な行政施策を講ずるということは、これは地域住民の共通した願いであるわけであります。このことは、単に地域要請であるばかりではなく、青森県議会においても、あるいは岩手県議会においても、全員一致で、これらを政府意見書を提出しておる。また各政党は、与党たると野党たるとを問わず、これらの現実を踏まえて天災融資法発動を決議をして政府要請をしておる。そういう事態を踏まえて、大蔵当局は、これをいかに適用されようとするのか、所信のほどを向いたいのであります。
  13. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 今回の豪雪被害の大きいことにつきましては、いろいろお述べになられたとおりと思うのでございますが、天災融資法発動するという問題につきましては、いま現在のところ、承りまするところによりますと、大体二億程度被害ではないであろうかというようなことを承っておるわけでございます。そこで、二億程度被害、もちろん相当大きな被害には違いございませんが、二億ということになりますと、従来の例から申しまして、また法律趣旨から申しまして、天災融資法発動するということは困難ではないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。しかし、何ぶんとも、被害の全体がおそらくまだはっきりつかめない面があろうかと思います。そこで、将来どの程度ほんとう被害になってくるのか、そうした点もあわせて十分検討はいたしてみたい、かように考えておるような次第でございます。
  14. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その被害額でありますが、これはまだ、奥地の被害実態というのは、融雪によらなければ、その被害実態確認はいまだ不可能な地域がかなりあるわけであります。その金額が二億になるか五億になるかは別といたしまして、この被害がその地域におるその産業に従事しておるものにとっては非常に大きな、年間の農業経営に致命的な打撃を与える被害になっておるわけです。そういう地域における実態というものを見て、繰り返すようでありますが、従来は、被害の総額という額にとらわれて、これらを発動するかどうかの基準をいままでやってこられたようでありますけれども、こういうことをもう一歩前進して、弾力的に、その国民経済に及ぼす影響が大であるという確認をしてその運用をはからなければ、前に申しましたように、たとえば農業基本法では、これは単に法律が言うているばかりではなくて、池田総理大臣が、われわれの国会における質問に対しても、農業は自然的にも経済的にも社会的にも不利な産業だから、これを保護するのは当然であると言っている。そのことが口頭禅でない限りは、この農業基本法精神に沿うても、こういう被害実態に対しては、その災害を直接政府補償するということは今後の前向きの施策の実現にゆだねるとしても、さしあたりは、いまある天災融資法発動等をすみやかに措置をするということでなければ、私は、農業基本法も、これはまさに絵にかいたもちに終わるという判断をせざるを得ない。国民のこれに対する不信感は一そう深まることを憂えるのであります。したがって、そういう硬直的な解釈だけではなく、大蔵省がこれらの最後のイニシアチブを握っておると判断するがゆえに、私は大蔵大臣出席を要求したのでありますが、政務次官がかわって御答弁を願う方向としては、そういう諸般の情勢を判断して、困難であるという表現からもう一歩前進して、これを適用する方向善処をするという御答弁がなければ、私はこれらの被害地域対策としては何ら前向きの措置にはなり得ない。農業基本法趣旨に沿うて、もう一回、これらの取り扱いについて納得のいく答弁を願いたいわけであります。
  15. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 私は、そうした、かたい意味において特にお答えしたわけではございませんが、先ほども申し上げておりますように、まだ被害実態というものが、ほんとうを申しますと、はっきりつかめない状況にもあります。そういうようなことで、今後農林省のほうでいろいろ御調査を願うわけでございますが、農林省において、いまいろいろな調査をしておりますので、その調査実態というものと見合いながら検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  先ほど申し上げましたのは、いま現在では大体二億程度被害のようであるということでありましたので、まあそういう程度では天災融資法適用ということも困難であろうということを申し上げたのでございますが、被害実態が詳細的確にまだつかむ段階に至っておりません。農林省において今後その実態把握していただいて、十分農林省と相談いたしまして、地元の方々気持ちも十分考えながら善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  16. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと……。いまのお答えですが、私は、この災害委員会に出て、例のノリ被害の問題で、大蔵省から主計官の方に出ていただいて、いろいろやりとりをしたわけですが、そのときに受けた感じとしては、大蔵省考え方というものは、法に規定されておるものを、よりきびしく解釈しようという傾向が非常に強い。さらに、文理解釈にとらわれて、災害実態を踏まえてそれに対処するというお気持ちが薄い。特に、農業基末法にうたっておるような、そういう精神にのっとって具体的な法の適用をしようという態度が薄いということを痛感しているわけです。そういう点で、先ほど答弁があったように、よく実情を調べられた上で、あまり文理解釈にこだわらないで、あまりこの法に規定してある規制を厳重に解釈しないで、あくまでも農業基本法のいっている精神というものを踏まえて解釈適用をやっていただきたいということを申し添えたいと思います。
  17. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 天災融資法発動等につきましては、私どもは必ずしも金額でしばろうとか、あるいは特に厳格にしよう、きびしくしょうというふうな考えはありません。あくまでも、この法律にありますように、災害が激しく、国民経済に及ぼす影響がきわめて重大であるということを頭に入れながらこの法律運用に当たっていきたい、かように考えておる次第でございまして、事務当局にもよくその趣旨は徹底させてまいりたいと思います。
  18. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは、農林省のほうにも伺うのでありますが、すでに青森県では、総被害額が、この前の実態調査では二十五億円をこえておる。岩手県でも二十五億をこえておる。この中で、いま取り上げた農林産物被害が、それぞれ二億あるいは一億という推定が出ておる。その時点において、政府においても、実態調査した上で、「以前にこの地帯には災害も多かったという事情、特殊の地帯であるという事情十分考慮していく、その条件になるべく適合するように考えていきたい、こういうふうに思います。」というのが、この前の二月二十一日のこの災害特別委員会における、私の天災融資法発動についての質問に対する松野政務次官の御答弁であったわけであります。そういう、あの時点における災害程度、なお融雪すれば出てくるであろう多少プラス・アルファの被害の増額というものは大体くろうと的には判断されるわけであります。そういうことで、実態調査して、その被害報告とたいして違いがないという場合であれば、いま言ったように、この地帯は三十六年もフェーン災害があったところである、またこれは特殊な、政治的にはまさに恥部とも言うべき、一つチベット地帯とも言われておるような地帯である、そういうことを十分承知して、これらを適用するように考えていくという御答弁であったわけでありますので、この点は、農林省としては、その後の調査に基づいて確認をされたその実態と、その実態に基づいて十分考慮をするということが、どういうふうに農林省としてはお進めになっておられるか、その点をお伺いいたします。
  19. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 前回の当委員会においても私が御答弁申し上げましたが、今回における青森岩手両県下における豪雪被害は、それぞれ報告を受けておる次第でありまして、われわれのほうも、それぞれの機関を通して調査をいたしておるわけでありますが、ただいま大蔵政務次官からもお話がありましたとおり、二月二十五日現在の被害額でありますが、農作物の被害といたしましては約二億程度と承っておるわけであります。この程度被害は、むろん地域的には非常に大きい被害ではあるのでありますけれども、従来の天災融資法発動状況から見ますれば、かような適用は困難な模様にあるように考えられる。しかしながら、いま大蔵政務次官からお話がありましたとおり、われわれといたしましても、現存その積雪の中にある、しかも非常に不便な地域被害が起こっておるように思いますので、被害実態把握というものが、まだ十分にできていない、その結果、実態把握いたしまして、その結果に応じて天災融資法発動の要否を検討していきたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 実態把握実態把握ということで一月も経過をしておるのでありますが、まあ、そういうことであれば、これ以上この問題をきょうの委員会で詰めても何ともしようがないような政府の御見解でありますから、すみやかに実態調査を完了して、大蔵政務次官がいま申されましたように、従来これらを発動する場合の基準を、事務的な基準にとらわれることなく、弾力的にやらせるように配慮するという齋藤政務次官の御発言でありますから、大蔵政務次官のこの御発言をひとつ尊重して、農林当局としても、これに対しては積極的にこれを発動するような方向で今後善処をしていただきたいというふうに考えます。  で、この問題については、ちょうど参議院の予算委員会で、きょう委員長をしておられる小平委員予算委員会発言をされております。それに対して赤城農林大臣は、なかなか天災融資法発動は現段階では困難であるというような御発言がありましたが、そのあとに、その天災融資法発動というものは、今後の現地調査の結果によるということでありましょう、さしあたり農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律、これをひとつ適用して、農業施設なり、あるいは製炭用原木の払い下げなりというものに措置をする、こういう意味答弁委員会であったわけであります。  私の大蔵政務次官にお伺いしたいのは、当然こういうような農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助法律というものは、また公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法ともこれは並行して、直ちにそれらの措置を講じてもらえるものだと思います。これは農林大臣の御答弁にも出ておるわけであります。  で、私はここで、大蔵省に伺いたいのは、こういう国庫補助についての法律適用されるという、そういうさしあたり行政措置をおとりになる場合に、この法律適用することによって、前段に私がお尋ねをいたしました天災融資法発動と同じような関連するいろいろな諸施策を講じていくのが当然だと思うのであります。たとえば、天災融資法発動ではありませんけれども自作農創設資金のワクを、特に豪雪地帯被災農家に拡大して、これを自創資金融資によって救済に充てるとか、あるいは天災融資法発動することによって、従来取り上げられておったいろいろな施設補助であるとか、具体的に言えば、こういう山手においては、木炭の炭がまの二割補助、あるいはこれらの発動によって当然出てくる国税、地方税の軽減免というような措置だけは、少なくとも、こういう災害復旧国庫補助法律、あるいは土木施設災害復旧国庫負担法という一連の発動によって、天災融資法と大体同程度の関連する諸施策を実施させるということだけは、これは出てくる当然の筋道だと思うのでありますが、この点についての大蔵次官見解を伺いたいわけであります。
  21. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 農業施設公共土木事業補助等につきましては、ただいまお述べになりましたように、適用することが当然でございますので、農林省建設省、それぞれ被害状況の査定がお済みになりますれば、さようなことをいたす考えでございます。さらにまた、自作農創設資金の問題につきましては、これにつきましても、天災融資法との関係もありまして、いますぐということも、あるいはどうかとも思われますけれども、この点につきましても、農林省と十分相談いたしまして善処をいたす考えでございます。  いずれにせよ、私ども考え方といたしましては、先ほどもたびたび申し上げましたが、現在ありまする法律の許す限りにおいて、できるだけ現地の被害補償に当たっていく、こういう考えでおります。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 念を押して伺いますが、これらの国庫補助暫定措置に関する法律なり国庫負担法なりを、当然、適用される場合に、天災融資法発動したときに関連していろいろとられた諸般の行政措置に準じてとらしていくということと理解してけっこうですか。
  23. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 先ほども申し上げましたように、いま申し上げましたような農業施設、あるいは土木の補助に関する法律適用のありますことはもとよりでございますが、そのほかにつきましても、行政措置等において、できるだけのことはいたしたいと考えておる次第でございます。しかし、そのことが、被害実態を何しろまだはっきりつかんでおりませんので、その辺で多少の問題はあろうかと思いまするが、私どもといたしましては、法律の許す限り、行政措置において可能なる限りにおいて善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  24. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 おおむね了解いたしました。実態、これももっと的確なる把握の上で、それらの被害に対して、天災融資法発動した際にとられるいろいろな関連する行政の諸施策も、天災融資法発動と同じようにやるように考えるということでありますから、これによって、天災融資法が困難で、その発動がきわめて時期的に本間に合わない現段階では、これらの発動に関連するいろいろな諸施策が、災害復旧国庫補助法律なり、公共土木の国庫負担法なりの発動によって、同等のいろいろな措置をとっていただくということでありますから、これに関連する、特に主管省である農林省も、そういう措置を当然積極的にとっていっていただけるものと、こういうふうに理解をして、この問題は、これで一応打ち切ります。  次に、大蔵省にお伺いをいたしますのは、今度の災害によって、非常に税金というものがまた重くのしかかって、その支払い能力が激減をしておるわけでありますので、所得税の減免ということについても、災害による租税の減免に関する法律適用によって、これはすみやかに措置をしていただけるものと思いますが、念のため、この点に関する大蔵省見解を伺っておきます。
  25. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 今回の災害によりまして、課税の問題、いろいろ私問題があると思います。そういうものにつきましては、法律の定めるところに従いまして所得税の軽減、免除、そういったふうな措置をとる考えでおります。
  26. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、時間の都合で、経済企画庁長官が、三時二十五分ですか、までに御退席ということですから、経済企画庁長官にお尋ねをいたします。  この前のこの委員会でも、政務次官お尋ねをいたしたのでありますが、あのときはまだ仮定の段階でございました。二月の二十一日でありますから。それが二月の二十五日に閣議決定をされた「豪雪地帯対策基本計画」というものについて、経済企画庁のこれに対する今後の取り扱いをお伺いをいたしたいのであります。  で、当時、政務次官からの説明にもありましたように、この豪雪地帯対策基本計画は、もとより国の豪雪地帯に対する恒久的な施策をうたったものでございましょう。したがって、これらが閣議決定された段階におきましては、ただいま若干触れましたような現実豪雪被害ということが、まあ今後も頻発するだろうと想像される点もありますので、この決定した豪雪地帯対策基本計画に基づいて、経済企画庁としては、これらの措置を一体具体的にはどうお進めになられるのか。もちろん、恒久的な施策でありますから、長期の展望による基本的な政策というものが、総合的に経済企画庁によって確立されることだろうと思うのでありますが、それらの今後の基本計画に対するお考え等をこの機会に伺っておきたいわけであります。
  27. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 過般、当委員会において御質問がございました後に、前月の末に、豪雪地帯対策特別措置法に基づきまして、豪雪地帯対策基本計画を政府として決定をいたしました。これは、申し上げるまでもないことでございますが、いわゆる豪雪地帯が、豪雪というハンデキャップを背負っております結果、地方民の生活環境というものがそれだけ恵まれていないということ、及び農業その他あらゆる産業を含めましたいわゆる産業基盤の整備というものが、それだけおくれがちである、この二つの事実を基本の認識といたしまして、いわゆる雪害をどうやってあらかじめ特別な施策を講ずることによって防除するかという基本的な計画を政府として定めましたものであります。したがって、その計画の内容は、ただいわゆる産業基盤を強化するというばかりでなく、広く交通、通信、教育、環境衛生あるいは電力等々、各般の施策の面において特別な考慮を豪雪地帯に払わなければならない、こういう考え方に立ちましたのが、この基本計画でございます。したがって、ただいま政府各部内で作業を急いでおりますのは、これらの基本計画に基づいて関係各省がそれらの地域に対してどのような施策を特に緊急に行なうべきかという計画を具体的に樹立をするという段階にあるわけでございます。したがいまして、この基本対策は、もとよりその文字の示しますとおり、防除的な、予防的な意味で力点を置いた基本の計画でございますが、このたびの東北地方雪害を見ておりますと、やはり、この基本計画で問題にいたしましたような問題が現実に生じておるように承知をいたしております。すなわち、国道四十五号線の改良といったようなものがいかに必要であるかということも、このたびの雪害から明らかになっておりますし、また、東北本線の電化あるいは複線化といったようなものも緊急の問題である、こういうような教訓をこのたびの雪害から関係各省も学びとっておるわけでございます。したがって、ただいま政府部内としては、基本計画に基づきまして、各地方に必要な、特に必要だと思われる降雪の対策を具体的に樹立をして、それを実行していく。具体的な実行そのものは、計画ができました後は、各省が公共事業を中心に、あるいは政府機関の予算の配分を中心にやっていくわけでございますけれども、なお、当然事業の調整ということも起こりますので、経済企画庁には、ただいま参議院で御審議を願っております三十九年度予算の中でこのための調整費を計上をして、国会における御可決をお願いをいたしておるというのが大体の現状でございます。
  28. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 長官、私は特に焦点をしぼってお伺いしたいのでありますが、豪雪地帯と称する地帯は、私から申し上げるまでもなく、国民経済の観点からいっても、最も地域格差の底辺に置かれておる地帯に共通的な問題であります。したがって、この豪雪地帯対策基本計画を現実に各現業庁で立案をする場合にも、高い次元に立って、経済企画庁としては、それらの豪雪地帯地域格差の底辺に置かれている点を、これらの豪雪対策の中でも率先して解消する方向へ、これは基本方針として指示をするという客観的な姿勢が必要ではないかというふうに考えるわけであります。また所得格差も、最も底辺に置かれておる農山漁民の密集する生産地帯になっておるわけです。そういう点を、これらの現実の恒久的な施薬に具体的に反映してまいりませんと、平面的な措置では、これはいかんともしがたいというふうに考えるわけです。  そこで、いま例をとって申されましたように、この被害実態から、一級国道四十五号線というもの、これは、いずれ後ほど建設大臣が参りましたなら具体的にお尋ねをするんでありますが、この一級国道四十五号線内に、いまだ、岩手県だけの範囲を見ても、改良工事の未着工分が十四カ所もある。そのキロ数が二百五十八キロもある。御承知のように、これは従来村道であったものが県道に格上げされ、二級国道に格上げされ、さらに一級国道に格上げをされたけれども、名称のみの格上げであって、実質は村道のままに放置されているという事態があればこそ、今度の豪雪被害が予想外に激甚になっている要因の一つでもあったわけであります。したがって、いま長官が例にとられたように、四十五号一級国道の整備ということも、これは重点的に社会資本の投下を濃密に集中するという施策を基本方針として現業庁に出すという方向でなければならぬと考えます。  また、これらの豪雪地帯におきますと、切実に問題になっておりますのは、いまの三陸縦貫鉄道の問題であります。こういう点に対して、まだ長官はお触れになりませんでしたが、本線の複線化、電化ももとよりでありますが、こういう地帯の三陸縦貫鉄道というものについては、どういうふうな措置で一体これは運輸章にお当たりになるか。まず、その点をつけ加えて長官からお考えを伺っておきたいと思います。
  29. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、関係各省あるいは政府関係機関が、いわゆる公共投資を配分実施いたします際に、従来、ともすれば、当面の経済効率ということに最大の主眼点が置かれたわけでございます。それが、最近になりまして、ことに国土総合開発あるいは所得倍増計画の発足以後、地域格差の是正ということにもう一つ大切な主眼点を置くべきであるというふうに考え方が少しずつ変化をしてまいりました。そうして、いわゆる地域格差があると思われる地域につきましては、そのおのおのの地方地方開発促進計画が、法律に基づきまして、ただいまでき上がりつつございます。東北などは、すでにでき上がっておるわけでございます。そういう地方開発促進計画の中で、その地方格差是正のために、いかに重点的な公共事業の配分をすべきかということが、抽象的ではありますが、かなりはっきり述べられております。東北地方の場合には、たまたまそういう本来的な地域格差の問題の上に、豪雪というハンデキャップがもう一つ乗っかっている。本来的な地域格差のほかに、豪雪というもう一つ別の要素が乗っているのは東北ばかりではございませんが、北陸地方にもございますけれども、東北の場合はそれが著しいというように考えられるわけであります。したがって、そういう観点からいいますと、公共事業あるいは政府関係機関の予算を配分いたしますときに、そういう二重に重なりました要素を、やはり投資効率ばかりでなく、一つの主眼的に予算の配分をしていくべきだ。これは、政府の公共事業ばかりでなく、電電公社あるいは国鉄等、政府関係機関の予算の重点配分についても同様であるというふうに考えるわけでございます。結局、もっと平たいことばで申せば、このように予算の配分をいたしますときに、雪という要素を一つあらためて追加して考えろということが、非常に端的に申しますと、豪雪地帯対策基本計画を閣議決定いたしましたゆえんであるというふうに考えております。  でございますから、鉄道の問題にいたしましても、道路の問題にいたしましても、そういう要素を加味して、そこにも一つ重点を置きながら予算の配分と執行をやっていこうというのが、政府のこの計画を決定いたしました基本的な意味でございます。  ただいま御指摘になりました三陸縦断鉄道につきまして、いま計画がまだ各省から出てまいりません段階で、私が具体的にかくあるべしと申し上げることはいかがかと思いますけれども、少なくとも、各省はそういうそこに一つ主眼点を置いた計画を考えるべきであるというのが、政府の基本計画の考え方であるというふうに考えております。
  30. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 長官も時間がないようですから、もう少し、二、三点に触れて伺いたいのですが、実は、長官が所管しておる東北開発審議会の委員会で私は提案をしたのですが、東北縦貫高速道路の早期建設ということであります。これは、もうすでに調査も大半を了しておる。したがって、三十九年度から建設にもう入るべきであるという全会一致の決議を審議会であげたわけです。三十九年から、もう調査を終えた個所について、具体的に言えば、郡山-仙台間を建設に入るべきである、こういう満場一致の決議を審議会としてはあげたのでありますが、一体その決議がどう生かされておるか。あなたのいま言われたように、単に投資効果だけではなく、社会効果を考えてもそうでありますし、投資効果からいっても、東北の未開発の状態を開発する、これは基本的な問題であり、科学技術庁の諮問機関も、これに対しては重点的に縦貫道路の建設を採用すべきであるという科学技術庁長官に対する勧告も昨年なされておるのであります。それについて、所管の宮澤大臣は、いかにこの決議を取り上げられ、どういう方向でこれを実施するように現業庁に御示達になったか、その辺のことをお伺いいたします。
  31. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) 東北開発審議会において、そのような御意思表示のありましたことは、よく承知をいたしております。その御意思表示は、東北開発促進計画にも盛られておりますし、また、総理大臣を通じまして、関係各省の長はそれを承知をいたしております。私の知っております限りでは、このような御意思表示もありまして、すでに建設省においては、昭和三十九年度から発足することにすでに決定をいたしております。道路新五カ年計画において東北縦貫自動車道路の経過地点を確定いたしました上で、これを新五カ年計画の内容の一部として実行をする、着手をするということになっておる。建設大臣も、他の委員会において、そのような方針について述べられたと承知しておりますので、その趣旨は、関係行政機関に現実に徹底をしておるものというふうに私は承知をいたしております。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと、せっかくの機会ですから、長官に、関連してお聞きしたいのですが、この間、あなたのほうで、国民所得倍増計画の中間的な検討報告書を出されましたね。ああいったことに基づいて、池田総理も、農林漁業のようなおくれた産業に対しての、いわゆる革新的な政策を打ち出し、これに財政投融資の総力をあげるというような御発言があったと思うのです。そういうところから踏まえて、私どもがいま考えるのに、災害の面で農民の所得を補償するという点においては、非常に不十分な点がある。たとえば、いま問題になっております天災融資法発動状況を見ても、一つ災害の原因に対して、それに対してどれだけの額の損害があったかということを考えてこの天災融資法発動される、こういうことになっておるわけですね。したがって、一つ災害があって、それに一定の期間をおいてまた災害があったという場合に、それが一定の基準に当たらない場合には天災融資法発動すら受けられない、こうなっておるわけです。ところが、それが積み重なっていくことによって、農家の経営の安定性は非常に害されるし、まして再生産の確保ということは非常に困難になってくる、こういうような問題があるわけです。そうすると、こうしたおくれた農林、水産、漁業というようなものに対して根本的な施策を講ずるということになると、たとえば、災害対策という問題に限定をいたしましても、それに対してもっとその対策というものを根本的に考え直す必要があるのじゃないか、総合的な方針というものが成り立ってこなければならんのじゃないか、こういうふうにわれわれは考えるわけです。そういう点で、今後、災害対策に対して、総合的な国民所得の保障という面から、何らかのお考えがあれば承っておきたい。考えがないということになれば、これはいたし方ございませんけれども、しかし、少なくとも国民所得倍増計画の中間検討報告雷をつくられてああいった反省をしておられる以上は、私は、かなりの方針も考えられながらああいう報告書が出ておると思うのです。そこでひとつ、お考えを承っておきたいと思います。
  33. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘になりましたのは、個々の農産物について一定水準以上の被害があった場合のことでなく、おそらくは、推察いたしますと、年間を通じて農民の所得に一定額以上の所得の減があった場合に、国として何かのことをすべきではないか、そういうお説になるのではないかと、結着するであろうと思います。そういう考え方は従来から確かにございます。いろいろに議論をされておる問題でございまして、たとえば、勤労所得がなくなりました場合に失業保険というものが可能であるように、それと同じような考え方で、共済あるいはそれ以外の方法に基づいて所得補償方式はないかということになると思うわけでございます。そういう考え方は、従来から議論としてはございますけれども政府として本格的にまだそういう問題に取り組むという姿勢にはなっておらないのではないか。所得倍増計画の中間検討をやってまいりますと、農家所得はともかくとして、農業所得ということになりますと、他産業に比べてきわめて伸びが悪く、しかも天然自然の影響を受けやすいということは、そのとおりであります。で、ただいまの御指摘のような問題がやがて現実の話題になって検討せられるときがあろうということは、私にもよくわかります。ただ、政府として、いまの問題としてそれに取り組むほどの姿勢にまだ至っていないということを申し上げておかなければならないと思います。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 そういうような姿勢で御検討をぜひ願いたいと思うのですが、特に私ども考えますのは、たとえば豪雪による被害があったと。ところが、その被害額基準に達しないと。それから一カ月か二カ月、間を置いて、また今度は長雨災害による被害があったと。たとえば、これが天災融資法基準に達しないとこれもだめだ、そういう形でいくと、再生産の確保なり農民の経営の安定ということはできないということなんですね。そこらが、だから根本的な方策が立つ前の段階としても、天災融資法発動一つを例にとった場合、その発動のしかたというものをある程度ゆとりを持って考えていく必要があるのじゃないかと、これをもあわせて、含めて申し上げたわけです。
  35. 宮澤喜一

    ○国務大臣(宮澤喜一君) ことに、各種の自然災害が重なって起こりやすい地方というのは、わが国の中でも経験的に一定をしておりますと申しますか、かなりわかっておるわけでございます。先刻申しましたようなことが実現をされるときには、特にまずそういう地方についてはどう考えるかという問題が出てまいるであろうというふうに考えます。
  36. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、建設大臣がまだお見えになりませんので、順序は多少逆になりますが、最初にいらっしゃった運輸大臣にお伺いをいたしたいのであります。  今度の青森岩手豪雪被害を受けた道路の関係ですが、一級国道四十五号線というのがあるわけです。で、これが積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の積雪道路に全県指定になっておらぬわけです。関連については全県指定になっておりますが、積雪道路としては指定になっていない。これを建設省で指定をする場合には、法第三条によって、建設大臣はあらかじめ運輸大臣の意見を聞いた上にこれを指定するとなっておりますが、後ほどお見えになる建設大臣から伺って、大臣としては運輸大臣にも相談をされたとすればお伺いの要もないのでありますが、まだそういう法三条の協議がないということであれば、そういう相談があった場合に、第三条で協議を受ける運輸大臣は、これにいかに対応されるかを、まずお伺いをします。
  37. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 岩手県内の一級国道四十五号線のいまだ指定区域になっておらないところの指定につきましては、ただいま御趣旨のように建設大臣から意見の照会があれば、私どもはその要望に沿うべく努力いたしたいと考えております。
  38. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まだ相談がないわけですね。
  39. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) まだありません。
  40. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 では、建設大臣が見えたら、その点をまた伺うことにして、これは、建設大臣から相談があったら、その意に沿うように善処をするという大臣の御答弁で了解をいたしました。  それで、次に運輸大臣にお伺いをいたしたいのは、いま宮澤長官も触れましたように、これらの豪雪地帯としては懸案事項でありますところの三陸縦貫鉄道の建設促進という問題があるわけでありますが、これらの現実に建設に着工する見通し、それらの全体の新しい路線の中で、どういうふうにお考えになっているかの点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  41. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) いわゆる三陸縦貫鉄道と申しますのは、北から鉄道新線の久慈線、それから既成の山田線、新線の盛、既成の大船渡線の一部及び新線の気仙沼線を一本の線と考えましての総称でありまして、青森岩手、宮城県の沿岸を縦貫する重要な鉄道と考えておりまして、私どもも、でき得る限り早くやりたいと考えております。  鉄道新線の久慈線及び盛線は、御承知のように、昭和三十七年三月鉄道建設審議会において着工すべき旨の答申がされ、ただいま測量設計中であります。また、早い機会に工事に着手したいと考えております。また、気仙沼線は、昭和三十六年七月から工事に着手、ただいま用地の買収を進めております。これらの新線建設は、この間法案が通りました日本鉄道建設公団の事業といたしまして今後建設が達成されることになりますが、その重要性は、実際、私が拝聴いたしておりました東北の豪雪による格差是正等、重要性を非常に認めておりますから、私どもは極力その推進をはかりたいと考えております。
  42. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連して。  ただいま運輸大臣から、同僚の渡辺委員からの三陸縦貫鉄道の質疑に対して答弁がございました。そこで、大臣はどこか、おそらくこの運輸省の役人が書いた文書を読み上げたものだというふうに善意に理解しますが、私は先般来、大臣もいま申し上げたように、建設公団法を審議する場合に、実際、企画庁の長官と当面の責任者でございます運輸大臣と、この点をかなり私の意見も入れて論争をいたした記憶を持っております。その会議録がすでにもうでき上がってまいりまして手元にございます。六号と七号に載っておりますから、十分御承知だと思いますが、どうも、大臣のいまの答弁を聞いておりますと、私は、この建設公団法を審議したときとは、かなり変わった考え方に立って答弁をされておるように考えられる。なぜかと申し上げますと、この三陸縦貫鉄道なるものは、いま答弁を聞いておりますと、重要な線である――確かに所得倍増計画の交通部会が答申した中には、こうしたいわゆる不採算路線というものはやるべきではない、既存のいわゆる鉄道路線についても採算ベースに乗らないものはやめなさいという答申をしておりますることは大臣も御承知だと思う。さてその後、この議論に入って、経済企画庁もかなり、その当時から計画は変わったのである、こういう言い方をして、ここで最終的には、こういう、あなたが答弁いたしておりますように、つまり、所得倍増計画なるものが若干変わったと理解してもよろしいと――私が、修正したのじゃないか、池田内閣の一本柱でありまする所得倍増計画が変わったのじゃないかと、こう追及したところが、あなたはびっくりして、いや、変わったとみなしてもよろしいと、こういう言い回し方で答弁している。これらの関連を考えてみると、私があの場合に一番指摘をしておいたように、いまのあなたの答弁を聞いておりますると、これから建設公団が四月一日から発足をいたして、今日の四十三線の調査線――着工線、調査線含めましてですね、こういうものなどを建設していく場合に、いまの答弁では、ややともすると、地方のいわゆる政治的な勢力、特定の権力にあなた方押されてやらなければならぬという実態が出てくるのではないか、このことを心配したから、私はあの法律を審議する場合に強く提議いたしました。御注意を申し上げたり、指摘をしていたわけなんであります。  なぜ私はこういうことを申し上げますかというと、この三陸縦貫鉄道については、選挙のたびに、自民党の諸君は、おれが当選すると、この三陸縦貫鉄道は、あすにも直ちに施工するのである、着工させる、こういうことをやってきただけに、私はそのことを事実知っておるから、あえてこの際運輸大臣に、これらの動きに対して、あなたはどう見るかということを非常に私は重視をしているのですが、この点あなたはどう考えていますか。
  43. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) 私、非常に重視いたしますからして、この間御審議を得て本院を成立いたしました建設公団法ができれば、十分考慮いたしまして、この点を重視をしてやろう、こういうように考えております。
  44. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そうしますと、運輸委員会におけるあなたの答弁どおり、これからは一部権力者であるとか、あるいは一部政治の力によって、断じてそういう方向にとらわれずして従前の正しい意味の建設をしていくという、こういう理解でよろしいのでございますか。
  45. 綾部健太郎

    ○国務大臣(綾部健太郎君) もちろん、さようでございます。私も、従来とも、権力に屈して、そういういろいろ、政治路線、世上言うようなことはやってないと思いますが、これは主観ですから、あなたがやっておると言えば、私はそれに承服せざるを得ませんが、私はやっていないと思います。
  46. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 運輸大臣はいま主観ということばを使いましたけれども、主観ではないのです。あなたがやっているということを言っているのじゃない。あなたはすぐ大臣をかわるかもわかりませんよ。かなりあなたは実績のある大臣ですから、長い問大臣をやっておるほうですから、だからって、あなたはあしたにも大臣をやめなければならぬ場合があるかもしれない。そうあなたは長い大臣じゃないと見ているのですから。いいですか、だから、あなたがやるというのじゃない。法律をつくったら、法律精神というものは、大臣がかわるたびにかわるものじゃないと私は思うのですよ。ですから言っている。しかも、主観じゃない、私が言っているのは。なぜかならば、週刊誌に、こういう私がいま言ったようなことが出ておったでしょう。週刊新潮のたしか三月の二日付かなにかの週刊誌に出ておったでしょう。しかも週刊誌には、自民党の派閥の関係であるとか、あるいは現職大臣の名前であるとか、あるいはそれぞれの現職の政治家の名前が掲載されているのです。こういう事実は否定できない。いままでのやり方ではですよ。だから、そういうことが二度と再び国民から誤解の起きないように、ここで私はあなたに注意をしてるのですよ。あなたは、さようなことはないようにするということだったから……。これは決して大臣、私の主観ではない。その点誤解のないようにして、ぜひ運輸委員会で審議した場合のあなたの考え方で、あるいは先ほど答弁されたような精神で、建設に当たっては、貫いていただきたい。強く要望しておきます。
  47. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、自治大臣がお見えでありますから、自治大臣に二、三お伺いをいたしたいと思います。二十一日には大臣の御出席がなくて、柴田政府委員からいろいろ所管のことについて御答弁をいただいたのでありますが、そのうちの一点として、特別交付税の配分のことを大臣からお伺いをいたしたい。  前回の柴田政府委員の御答弁をここに繰り返して記録を読んでみますと、「災害対策諸費の中でも応急の除雪の経費、それから豪雪災害に関連いたしまして行ないますもろもろの諸対策事業費、これらのものにつきましては、今回の特別交付税の配分に際しまして、すみやかに実情をつかんで配分をいたしたい、こういうことで現在いろいろ資料を収集中でございます。」と、こういう御答弁なので、先週の特別委員会では、もはやそれらの資料も整備し、年度内にはこれが交付になるだろうから、きょうの委員会では具体的な交付税のこれらの費用に対する配分がどうなっているかということを答弁できるように用意をしてきてほしいということを希望しておったのでございますが、これはどういうふうになっておりますか、具体的なその金額に触れて御答弁をお願いいたします。
  48. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 今次の青森岩手両県における豪雪に伴いまして、自治省といたしましては、従来の普通交付税による積雪補正三十五億円に加えまして、道路除雪費、公共建物の雪おろし経費、その他道路、建物の補修費、災害救助の諸対策等に対しまして、県分といたしましては六千万円、市町村分といたしまして七千三百万円、合計一億三千三百万円を従来の特交にプラスいたしまして配分することに決定をいたしたわけであります。
  49. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、次に普通交付税についての大臣の所信を伺いたいのでありますが、やはり、この前の柴田政府委員の御答弁によりますと、三十八年も単価を訂正されておられたようでありますが、「現在の補正係数の補正の増額と、補正による配分の適正化をはかりたい」、こういう御答弁があったのでありますが、その補正係数がどう勘案されておるのか、それらの点について、もっと具体的にお伺いいたしたいわけです。
  50. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) この積雪寒冷補正につきましては、昭和三十五年度にこれを創設いたしまして、三十七年度に大幅に係数を引き上げまして、三十八年度においても引き続き増額をしてきたところでございますが、三十九年度は、さらにこの種の補正を強化いたしたいと存じまして、目下検討中でございます。
  51. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 まだ検討中ということでありますから、もうこれ以上は、きょうの段階では、ちょっと具体的にお伺いはできないと思いますので、すみやかに適正化をはかって、これらの補正による配分の増額ということを迅速に措置をされたいと思います。  それから今度は、起債ワクの問題でありますが、今度の公共事業の被害については、災害復旧というふうな問題が起こってくるわけであります。起債の問題になるわけです。間に合うなら、ことしの災害のワクの中に合わしてほしいのでありますが、それは一体可能なのかどうかということであります。  それからなお、ごく小さいといいますか、具体的なことを一つ例にとってお伺いしたいのでありますが、特に今回の豪雪に関連して、この被害市町村で除雪用のブルドーザーというものを備えつけるという計画が当然出てくると思います。そうした場合に、これらの起債ワクを当然承認していくということにならなければならぬと思うのでありますが、こういう具体的な問題については、どう大臣はお考えになっておるか、あわせて御答弁を願います。
  52. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) 災害復旧事業は三十九年度にかかりますが、確定次第、その府県市町村に対しまして、災害復旧でございますから、一〇〇%起債を充当する考えでございます。  なお、私はよく東北を見て回るのでありますが、どうしても市町村の豪雪地帯にはブルドーザーの一つや二つは持ってもらいたいと思っておるわけであります。この財源をどうするかという問題でございますが、これは、単独事業の起債ワクもございますから、現実に必要なる市町村につきましては、除雪用のブルドーザーを買うというようなものにつきましては特別の配慮をして、今後豪雪があったような場合には、それに備えていくというように考えておるわけであります。しかしながら、ブルドーザーだけでなく、北陸の豪雪では、線路なり道路の除雪には、また非常に金のかかる機械がずいぶんあるわけでありまして、これの維持管理というもので、北陸地方では相当頭を悩ましておることも承知いたしております。こういった問題につきましては、特に豪雪自治体の特殊事情考えまして、今後十分、起債のみならず、特別交付税も来年度の場合等はぜひ考慮してまいりたい、こう考えておるわけであります。
  53. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう一ぺん自治大臣にお伺いいたしますが、今度の通常国会に政府は道路法の改正を準備していると、まあ伺っておるわけであります。で、これは、われわれから考えますと、大体この国道そのものは、建設費についても、あるいは国道を維持する費用についても、あるいは国道を管理する費用についても、これは全額国庫で負担すべきものであるというふうに考えるわけであります。また、岩手にも具体的な例があるわけでありますが、この道路の安全施設基準に合わない段階にこれを使用に供するということは、幾多の問題を惹起するわけでありますので、こういう点についても、道路の条件、施設基準に合致しない間は供用を開始しないという一つ措置が、特に国道としてはとるべき方向ではないかというふうに考えるのでありますが、順序は逆でありますが、自治大臣はどういうふうにこの私の意見をお考えになるかを、この機会に伺っておきたいと思います。
  54. 早川崇

    ○国務大臣(早川崇君) これは建設大臣の所管でございまするが、自治体側からの、自治省としての希望からいいますと、一級国道にいたしましても、四分の一自治体地元負担と、また維持管理につきましては特定指定区域だけが二分の一国が負担しておるという面におきましては、いろいろ改善すべき点があろうかと思っておりまして、御意見の線は、自治省としては、まことに同感する点が多いのであります。しかし、目下道路法の改正で政府間で問題になっておりますのは、一級国道、二級国道の差を撤廃するという程度までしか進んでおりませんので、一級国道、二級国道なべて建設費も修繕費も全額国庫負担ということまで検討する段階には来てないということでございます。
  55. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  56. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記を起こして。
  57. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 建設政務次官に若干お尋ねをいたします。  前の運輸大臣に伺ったことに触れる問題でありますが、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法において、御承知のように、岩手県では、全県寒冷の道路指定がなされておるのでありますが、積雪道路は、今度の豪雪地帯にはずれておるということで、現実災害を受けて痛切にその問題点が住民の意識にのぼっておるわけであります。したがって、これらの県北沿岸及び県南に通ずる道路について、すみやかに寒冷と同様に積雪道路に全県を指定するということが、今回の豪雪被害に対応する、また基本的なあり方でもあるということは、ここでくどくど申し上げるまでもないことであろうかと思います。県議会等においても、そういう意見書も出ておるはずであります。これについて、建設当局の御見解はどうなっておるのか。先ほど伺いますと、数日前に衆議院で開かれた際にも、運輸省の協議を経なければならぬというような答弁であったのでありますが、きょう聞いても、運輸大臣はまだ相談がない、建設大臣から相談があれば、その第二条によって当然合意をするという意思表示があるのに、主管省がいまだそういう措置を進めていない。きわめて遺憾だと思うのであります。その点についての、これにとられる措置及びその方針というものをお伺いいたします。
  58. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいま渡辺委員の御質問並びに御意見のとおり、本国道は、三十八年四月に一級に昇格いたしましてから、まだまだ未改良の地区が相当ございます。もちろん、先ほども、この豪雪被害の大きな原因が、未改良地区並びに今回のこの問題の解決に必要でありまする指定地区に漏れておるという点にあるという御指摘のことは、確かにごもっともでございまして、建設省といたしましては、調査いたしまして、いよいよもう大体の案はまとまりました。ただ御承知のとおり、御地区に対しましては、路線の指定ということは、先ほども運輸大臣の言われましたとおり、こちらの出方待ちというところまでいっておりまするけれども、これを具体的に決定いたしまするのは、やはり昭和三十九年のことに相なりますので、来年度の四月からのことに和なりまするし、また、全国の地区とのにらみ合いもありますので、早急にひとつこれを具体化いたしたい、こう考えております。
  59. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすると、なんですか、これは、今月中には指定ということはできない、四月に入る、しかも全国的なにらみ合いで判断する――何かわかったようなわからぬようなことなんですが、一体全県地区について積雪道路に指定をされるのか、されるとすれば、四月以降といえば、いつごろになるのか、もっと具体的に御答弁を願います。
  60. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいまの御質問でございますけれども予算の伴う問題でございますので、どうしても三十九年度ということに実は言及したわけでありまして、もちろん全国的と申しましても、この問題は具体的な問題でありますので、早急に取り上げたい、こういうふうに考えております。
  61. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そうすれば、年度を越えた四月早々には指定になると、こう考えていいのですか。
  62. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) そういう解釈でけっこうだと思います。
  63. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、やむを得ませんから、そういう解釈で、四月早々には全県指定するという政務次官の責任ある答弁で、四月待ちということにいたしましょう。  まあ、次官も触れたように、この一級国道は、名前は去年一級国道に昇格しましたけれども、実際は村道なんですね、多くは。村道が県道に昇格し、二級国道に昇格し、一級国道に昇格したのは名目昇格であって、実態は、村道の原始的な状態に放置されておる。したがって、この一級国道四十五号線だけをとらえてみても、県下に改良工事の未着工の部分が十四カ所もある。そのキロ数が二百五十八・六キロもある。これが関東、関西であったなら、おそらくこんな状態に置くはずもないし、そういう事態も考えられない。いかにこれが政治的に放置されておるかという、これは一つの具体的な、いまの政治の全く恥辱的な部面であるともいえる。したがって、これは、従来顧みられなかったこういう地域に対する、当然なる政治的な施策というものを期待して取り上げたのであります。  それから、第二点としまして建設次官に伺いますのは、県道なり市町村道に対する改良費というものに対しても、特に今回の豪雪被害等にかんがみまして、国庫助成というものが望まれるのでありますが、これに対する基本的な見解はいがかでありますか。
  64. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) 局長からお答えいたします。
  65. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 三十九年度の予算の問題になると思いますが、三十九年度の予算につきましては、いろいろ各地域格差の是正というようなことも考えまして、おおむね、人口あるいは面積、未改良の道路の延長、あるいは地方の財政、というような問題を要素にいたしまして、ただいま地域的に配分をし、また、それに応じまして県に配分する、こういう考え方に立っております。なお作業の途中でございます。
  66. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 総体の国の年度の予算の中で、地域に配分する際の基本的な姿勢を私は伺いたいのです。交通量その他経済的な一つの投資効果、そういうこと以前の問題として、こういう県道なり、市町村道というものを考える場合にも、改良工事費を考える場合にも、全国的な視野に立った政策効果というものを考えなければならない、ことに、今回の豪雪被害対策の一環として取り上げていかなければならない、そういう場合には、配分には特にこの実態を踏まえて優先的に配慮をすべきであるということでありますから、これは局長ではなしに、次官にひとつ御答弁を願いたい。
  67. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) 今回の豪雪地区、しかも重ねて地方格差の是正ということの要望されておりまする現在の公共投資の問題につまきしては、先ほど渡辺委員の御意見のとおり、われわれといたしましても、でき得る限り格差の是正と、さらに豪雪地区に対して重点的に、予算の配分をいたしたい、こういうふうな考えで、従来全国的に、大体本年度予算の伸びがかりに二割といたしますれば、平均して二割というような案分をいたしましたのを、大臣の御意向ももちろんそうでありまして、これを是正いたしまして、やはり地域差の是正ということに重点を赴いて実は配分をすることになっておりまして、もちろん、加えて豪雪の問題もございますので、この点、局長答弁させましたとおり、現在作業中でございますので、御了承を願いたいと思います。
  68. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いろいろまたお伺いしたい問題がありますから、次に進みます。  これも、貧弱な地方の自治体でありますから取り上げるのでありますけれども、除雪用ブルドーザーというようなものを県が購入する場合には、その補助があるわけですが、今回の豪雪にかんがみまして、市町村でも除雪川のブルドーザーの投函が絶対必要なことになってくるわけです。そういう場合に、従来なかった市町村のこれらの除雪川ブルドーザー購入に対する補助というものは一体どうお考えになっているのか、起債の点は、先ほど自治大臣から、起債が出たなら、それは認めるにやぶさかでないという御答弁がありましたが、肝心のその補助がつかなければ、その購入も容易でないということでありますので、県の購入には従来補助があるが、市町村にはなかった。今度の豪雪にかんがみて、貧弱なこれらの該当市町村が除雪川ブルドーザー等を購入する場合には、予算措置があった場合には、最優先的にこれにその補助をつけるということが望ましい方向であるという観点でお伺いするのでありますが、これについての次官の御答弁を伺っておきます。
  69. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいまの御質問でございますけれども、従来、都道府県の府県のほうに対しまする補助に対して、昭和三十八年から試験的に三、四に除雪用ブルドーザーに対する補助金を交付いたしました。昭和三十九年からは、特に市町村分といたしまして予算を計上いたしまして、予算は一億五百万でございます。先ほども自治大臣の御答弁をお聞きしておったんでありますけれども、やはり、地方財政の特に行き詰まっておりまする現在、しかも加えてこういうふうな災害のありまするところに対して、われわれといたしましては、この予算補助金の配分につきましても考慮して配分いたしたい、こう考えております。
  70. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 先ほど自治大臣に伺った同じ問題でありますが、国道というものについては、今度道路法の改正をあなたのほうの省として考えておられるそうですが、建設費といえども、維持費といえども、あるいは管理費といえども、一切これは全額政府で負担すべきものだと思うのでございますが、これについての御見解はいかがですか。
  71. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいまの御質問でございまするけれども、私たちも、実は理想としてはそういうふうに国道におきましては全額負担というのが、ほんとうに理想ではございまするけれども、国の財政状況を勘案いたし、また、やはり国道にいたしましても、各県を通る以上は、県におきましても、ある程度の責任を分担してもらう、こういうふうな考え方で、すぐ直ちにこれを全額国庫負担ということにはなりかねる、こう存じております。
  72. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これはもう河野大臣の御出席を願って、もっとこの問題を伺いたいのでありますが、また、東北高速縦貫自動車道路の建設の年次の繰り上げ等についても、もっと具体的にお伺いをいたしたいのでありますが、きょうは、まだこの豪雪について特に中心である農林関係にも全然入っておりませんので、いずれ、他日また機会を得て大臣にお尋ねをすることにして、一応建設省所管事項は、私の質問は、これで打ち切ることにいたします。  農林政務次官にお伺いをいたしますが、いろいろ大蔵当局の意向も伺ったのでありますけれども、きょう一応私が理解した範囲では、天災融資法発動はなかなか困難である、しかし、その被害実態を見てさらに検討し、できるだけ特殊な地域におけるたび重なる災害という特殊事情を見て、できるだけ前向きに考えたいという意味の御答弁がありました。もとより、この中心的な農林産物被害を管掌しておる農林省としては、もっと積極的に――大蔵政務次官でさえ、あの程度答弁をしておるのであるから、もっと積極的に、天災融資法発動については、従来の適用基準というような、そういう事務的な一つの線を離れて、機動的に災害実態に即した措置を講じてほしいと思うのですが、この点についての次官のお考えはいかがでありましょうか。
  73. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この点につきましては、先ほども御答弁申し上げました。前回にも、私は前向きにひとつ検討しようということを申し上げたのであります。いまもその点は変わらないのでありますが、ただ、先ほども申し上げましたごとく、まだ相当雪が多いのであって、そうしてまた交通不便な地帯にありますので、農作物の被害状況その他農業施設被害程度、農林関係被害程度は、一般にまだ推定の域を脱しない状況でありますので、よく実態を、融雪するとともに参り、それによって善処したい、そういうふうに考えておる次第でございます。  なお、天災融資法発動に限らず、現存農林省が所管しておるいろいろな施設に対する助成があるのでございます。あるいはまた、行政措置を通してやる諸般の仕事を持っておるのでありますから、単に天災融資法発動をただ待っておるというにとどまらずして、ことにこの地帯は、あなたからもお話がありましたとおり、たいへん所得の低い地帯である、なおかつ、先年はまたフェーン火災も起こしておる地帯でありますので、なるべくあらゆる施設というものを、そういう点から考慮して、そうして必要な措置考えていきたい、こういうふうに思っております。
  74. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 そこで、それらを前向きに配慮するということで、きょうの時点では了解するよりほかないわけですが、あまり前向きに行くと、いつまで前に行くのか、時間が限りなく経過するので、できるだけある時点でひとつこれを善処されるように強く要請をいたしておきます。  なお、大蔵政務次官答弁にもありましたように、その他のいろいろな関連する措置を、たとえば災害暫定措置法なり公共土木の国庫負担法なりをそれぞれ適用していくということは明らかになったわけであります。その際に、大蔵政務次官もふえんして述べられたように、これらの諸般の法律の実施にあたっては天災融資法発動になると同様の関連する行政施策を講じることに善処をするということがありますので、特にこの点については、山間畑作地帯被害でありますだけに、農林省所管においてが行政的に運用によって解決される点が非常に多いと思うのであります。さいふを握っておる大概省みずからがそう言うのでありますから、積極的にこの発言を踏まえて、農林当局としてはあらゆる方面において最大の善処をひとつお願いをいたしたいと思います。  そこで、具体的にお伺いする問題に入りますが、第一には、これらの山岡地帯被害に対応して、いろいろ現地でも、林野庁関係、営林局関係でも指令を出しておることは、私は国会から現地に参った際に伺いました。たとえば、今回の豪雪による素材とかあるいは木炭あたりの搬出が不能のために、その期間の延期あるいは延期料の免除ということも青森営林局ではもう通達をしておる、これはけっこうだと思います。なお、それらの被害者の復興のために、製炭用原木とかあるいは復旧用用材というものの緊急払い下げということも一応お考えになっておると思いますが、それは迅速にやって、しかもこれをできるだけ安い値段で払い下げをするという措置が、またこれらの被災者に対する配慮だと思うのでありますが、そういう点についてのお考えをまず伺いたいと思います。
  75. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 今回の雪害によりまして、たとえば製炭業者のほうの被害も相当ありました。そのほかのいわゆる入植施設等の被害もあるわけであります。なおそのほかの被害の復旧用用資材というようなものもあるのでありまして、それに対しては、すでに青森営林局が出したように、こちらからもそれぞれ話をしまして、営林局で各所管営林署を通して、そういう資材をすみやかに払い下げるような準備はさせておる次第であります。それからまた、払い下げ条件というような点についても、あるいはすぐ支払いの困難なようなものもありましょうし、そういうような点についても、延納の措置とかいう点も考慮いたしておる次第であります。
  76. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 その必要な製炭用原木なりあるいは復旧用用材の払い下げを迅速にやっていただくとともに、安くといってもこれは容易じゃないことだと思うわけですが、できるだけこれらの復旧に応援する意味において、払い下げを受ける者にとって最もこれは適正な価格であるという価格をひとつ考慮してほしいということです。これは御答弁は要りません。  それから、あなたの所管の中ではいろいろあるわけでありますが、たとえば災害暫定措置法を適用する、これは当然でありましょう。いろいろこの地帯には、森林組合所有の木炭倉庫の損害も出ております。あるいは、下閉伊の普代では農協の共同資材の倉庫が全壊をしておる。こういうものに対しては、すみやかに、法で定めた範囲でもやむを得ないわけでありますから、二割の補助を出すということを速急にやっていただきたい。なかなかこういう地帯は、そういう手続についてはかなり不備だと思う。それで、やったりとったりしているうちに半年もかかるということでは、これはせっかくな法律も泣くわけですから、それをあまり形式にとらわれずに、大筋がわかればひとつ速急に措置をするという点が、従来とかく非常にこれが阻害されておった実態でありますから、そういう複雑な手数に事務的にあまりとらわれないで、迅速にやるような緊急措置をひとつ講じて、これらの法律運用の妙をはかっていただきたいと思いますが、これは要請ですから御答弁は要りません。  それで次に、一番この木炭生産者にとっては、その炭がまが全壊したということが致命的な損害になっておるわけでありまして、したがって、先ほど政務次官が言いましたように、天災融資法発動と同じような行政措置を関連したものはとっていくように配慮をするということでありますから、炭がまの復旧に対してもこれは特段の配慮を農林当局としてはとってもらいたいわけですが、そういう点についてはいかがお考えになっておるかということをまずお伺いをいたしたい。
  77. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 製炭業者のこの炭がまの損壊もあるのでありますが、これに対しましては、前に北陸の豪雪地帯の際は約一万基くらいの損壊がありましたので、これに対して検討の結果助成措置をとった例があるのでありますが、今回におきましてはわれわれがつかんでいるのは六百基くらいの程度になっております。しかしながら、その地方々々としては、その人その人にとっては非常な損害であると思うのでありまして、目下資料を検討いたしておる最中でございますが、二面この別個の予算として三十九年度も要求しておるわけでありますが、製炭事業合理化対策一つとして、チェーン・ソウ、あるいはまた簡単なケーブル等の助成事業をやることにいたしておるわけであります。そういう点もこれは考慮して必要な措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  78. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 炭がまの復旧に対する措置については、北陸の被害よりは総体の基数が少ないということで、何かネガティブな意味お話があったのでありますが、繰り返すように、北陸のようなスケールの大きい地帯被害ではないにしても、この地帯としてはきわめて甚大な被害を受けておるということでありますから、その措置については、何ら被害実態には変わりがないわけであります。個々の被害については。したがって、天災融資法発動し、さらに北陸に特段の配慮がなされたような措置を、炭がまの助成についても二割助成という措置を目下検討中ということでありますから、検討確認された上は、それを実施するような御配慮を強くこれは期待するのでありますが、その点をもう一回念を押して御答弁を願いたい。  それから、製炭事業合理化対策費でありますが、これはもとより、そのケーブルなり、あるいは炭切り機なり、そういうものは製炭の上から、特に共同製炭を進める上からいっても、非常に適切なこれは農林省施策一つとして、製炭者には喜ばれているものであります。したがって、これらを従来の各県に配分する慣習にとらわれずに、これらの豪雪地帯には従来のワクを越えた分を濃密に配分をして、被害対策の一手段として重点的に講じてほしいのですが、これもあわせてもう少し具体的に御答弁を願います。
  79. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この炭がまの損壊に対する助成ですが、いま検討はいたしておるのでございますけれども、現在の私の考えでは、三十九年度に要求をいたしております。つまり製炭合理化事業の助成方法として、搬送施設とか、あるいは炭切り、包装の施設とか、あるいはまたチェーン・ソウ――自動のこぎり、そういうものを要求しておるのでありますから、そちらは三分の一の補助に相なっておるわけでありまして、前のいわゆる北陸地帯施設については、これは二割補助というような状況でもありますので、私はいろいろな点を考慮して、むしろそちらのほうが、いまの合理化対策で、濃密指導といいますか、やったほうがいいことではないかというふうに考えておるような次第であります。
  80. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私の伺うのは、合理花対策の費用に重点を置くということはけっこうだというのですよ。ただ、従来の配分のほかに、こういう被災地の市町村の製炭共同施設に、さらに積み上げをした配分をして、今度の豪雪被害対策の救助の一端に充てる御意思ありやを伺っておる。
  81. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) それは、お話のとおりでございます。そういう考えでおります。
  82. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それではもう一つ伺いますが、木炭について、従来二十五県ですか、各県がそれぞれ思い思いの内容の共済制度を実施しておるわけであります。そうして、その共済の内容も千差万別、傷害の共済まで含めるものもあれば、炭がまだけの共済に限るものもある。私は実は焦点をしぼって、炭がま共済制度――製炭者に対する炭がまの損害に対する共済制度だけは各県がやっておる。これは共通的な手段であることにかんがみまして、今次の災害でも、岩手青森等においては、自主的な共済でなかなか処理し切れないという一つの限界に到着しておるのであります。したがって、これらを機会に、政府では全国的な共済制度を確立して、そうして製炭者に安心して生業に従事できるようなあたたかい思いやりのある措置を講ずる必要があると痛感をしておるわけであります。御承知のように、農林省所管の中では、農業ではきわめて不十分ながら農業共済制度がある。不十分というのは、抜本的改正と称しながら、抜本改正には至らないという内容について私は言うわけでありますが、とにもかくにも農業共済制度がある。漁業についても、近く今国会に漁業の共済制度を中心とする法案の提出があるやに伺っておるわけであります。そうしますと、残るのはこの木炭の共済制度だけであります。これについて政府は一体どういう具体的な――政府として産業の中でも最低の地位に置かれている木炭生産者に対する共済制度というものを実施する御意向があるのか。あるとすれば、一体どういう構想の中にそれが準備をされているのかを、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  83. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ちょっとそのことについてお答えすると同時に、先ほどの製炭合理化事業の補助三分の一というお話ですね。それとは別個に、炭がま災害復旧補助金――北陸の例では二割ですか、それとは別個に補助金についても検討中である、そういう意味ですかどうか、そのこともあわせてお答えになってください。
  84. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) まず、委員長からお話のありました点について申し上げますが、これは炭がまに対する二割補助というのを振りかえて、いまの合理化事業の補助を濃密にやりたい、こういう考えで申し上げたのであります。何しろ以前は、先ほど渡辺委員にも申し上げたごとく、北陸の災害においては、大きいから、一万基ぐらいというのがあったのであります。今回は局部的に非常な被害でありますが、六百基程度でありますので、二割補助といいましても、非常に金額もそう大きくならない――大きくなる、ならないは別といたしましても、やはりいま要求中のその合理化事業でいったほうがむしろ製炭者にとってはいいじゃないかというふうに考えているのです。振りかえの意味で申し上げたのであります。  それから共済制度の問題でありますが、これも農林省といたしましてはかねてから検討いたしておりまして、三十八年度には二百万円の予算をとりまして、実態調査をいたしたわけであります。そうして三十九年度は、それに基づいて共済制度創設のいろいろな可能性、諸般の問題について、学識経験者に委嘱して十分検討を行なわせることにいたしているわけであります。したがって、いま渡辺委員からのお話しの、たとえば炭がまだけについてやっても、こういうふうにしてやるか――非常に炭がまというのは奥地に散在している関係もあり、どういうふうにしてそれをやっていくかという問題もあり、またいろいろこれに伴う困難な問題もあるように思われますので、いま具体的に農林省の案というものは申し上げる段階になっていないわけであります。しかし、私はやはり、各県で、二十五県でもまちまちにそれぞれの形においてそれぞれの規模において行なっているような状況でありますから、これは全く必要性があるからやっているわけでありますので、何とかしてこれは固めていきたいというふうに思っているわけであります。三十九年度のこの学識経験者の意見がまとまりましたら、ひとつ積極的に実施の可能性その他具体的に検討を進めていきたいというふうに思っております。
  85. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 前段の御答弁は、私ははなはだ不満足であります。炭がまに対する北陸に適用した二割の補助というのはやめて、製炭の共同施策、簡易なケーブル、あるいは炭切り機、あるいはチェーン・ソウというものにすることは、これではいかぬので、それが適用されるかどうかは検討にまつとしても、それらは当然別個な措置でなさるべきであって、私は、今度の災害に対しても、その地域としてはきわめて甚大な被害であるがゆえに、北陸のようなスケールの大きいかま数にはならないけれども被害者の被害程度というのは、北陸にまさるとも劣らない被害を受けておるがゆえに、その実態調査をし、また検討中ということでありますから、現に岩手の現地においても、奥山の融雪を待たなければ被害の的確なる把握は困難な実態でありますから、いま全壊何基、半壊何基という数字をもとにして申し上げているのではないから、あなたの言うように、その実態を調べて、その上に善処をするということに、これはどうしてもやってもらわぬと困る。そうして、実態がおかったならば、少なくとも構築費の二割補助ぐらいはやってやるということが、まず政務次官としては、きょうのところは答弁をしてもらわぬと、これは私としては納得ができない。  それから、合理化資金のこういう共同利用施設は、まあ限られた原案では予算があるわけでありましょう。あるいは、二千百何十万という予算が出ておるようであります。しかし、その予算の範囲内でも、あるいは範囲外でも、運用上はやる気があれば可能な要素もあるはずでありますから、そういうものを考慮して、従来各県に配分したもののほかに、それらの考慮したものをこの豪雪地帯に特に特定をして上積みをして、政府の県を通じて流す予算の中に織り込むということぐらいは、あなたも聞いておったように、大蔵政務次官があれだけの答弁をしておるのですから、農林省自体の機能としてやる気があればできると思う。やる気があるかないか、事務的な範囲を離れて、政務次官の立場で、私はひとつもっと客観的な御答弁を願いたいと思います。
  86. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 天災融資法発動に関しましても、従来の状況ではなかなかむずかしい点があるのでありまするけれども、しかしながら、まだ実態も十分把握してないのでありますから、把握した後に十分その要求を検討したいということを申し上げたのです。やはり炭がまについても同じことであります。天災融資法と同じように、まだ実態が十分把握されていないから、結果を待って検討するつもりであります。  それから、いまの新しい、いわゆる農林省がそれぞれ持っておる助成施設、事業があるわけであります。それらの点におきましては、いま例をとって申し上げましたが、乾燥施設とか、自動のこぎりとか、そういうものが予算要求中でありますから、そういうものもむろん濃密に、さっき申し上げたように、あらゆる方面から考えていきたい、こういうふうに思っておるわけです。
  87. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 きょうの私の質問はこれで終わりにしますが、最後にもう一回重ねて伺うのは、木炭の共済制度であります。次官のいまの御答弁にもありましたように、三十八年度は二百万の調査費をもって、すでにかなり膨大な報告書を私も拝見をいたしておるんであります。なお、ただいまの御説明では、三十九年度も前年に上回る調査費を予算で計上されておる、学識経験者を動員してこの木炭の共済制度のあり方を諮問する、その結論が出たならば、これについて実施をする方向考えておるような全体の御答弁でありますが、私は、もはやこういう問題はあまり遷延日を追うことをせずに、すみやかに四十年度から、木炭の共済制度については、国も応分の財政支出をし、県にもそれ相当の支出をさせ、また製炭者にもある部分の負担をさせて、三者協力でこの木炭の被害に対する共済制度を確立するということをやらなければ、この木炭生産者は不慮災害に対してはぼう然自失の状態におちいる。これを救済することは、担当の農林省の大きな行政的な問題点でもあると思いますので、この点について、もう一ぺん学識経験者を動員して検討されることも必要でありましょう。三十九年度も上半期早々にそれらの結論を出して――これはたいしてむずかしい問題ではありません、私も木炭にはかなりの経験を持っておりますが、それを踏まえて――三十八年度の実態はあるのでありますから、三十九年度後半にはそれを制度に移すという姿勢をとって、四十年度にはこれが行政の中にはっきりと打ち出される方向で、私は次官善処ある御答弁を望むのでありますが、次官は一体どうお考えになりますか、重ねてお伺いいたします。
  88. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この三十八年度には実態調査もいたしましたし、三十九年度には、いま申し上げたように、それを学識経験者に依頼して制度的な研究をいたしたい。それで、その結果によりまして、四十年度までにはたしてできるかどうか、はっきりしたことは申し上げかねますけれども、私の考えとしては、とにかく、二十五県も現にやっているんだから、これは前向きにひとつ検討して、四十年度にでき得れば実施するようにしたいと考えております。     ―――――――――――――
  89. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 次に、東京湾等ノリ被害に関する件について御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 昨年の九月以降の異常水害による全国の漁業者の被害が非常に甚大であったということは、御承知のとおりであります。ことに青森岩手、宮城、福島、千葉、神奈川、愛知、三重、岡山、山口、熊本の十一県の養殖ノリ被害は、特に激甚であったのであります。政府の本年の二月十日現在の調査によって見まするというと、年度の初めには生産見込み額が二百十二億円であったのが、被害見込み額は九十三億円に達しておるのであります。そのうちでも被害の大きいのは、千葉県の五十二億七千余万円、宮城県の十一億五千余万円、三重県の八億七千余万円、山口県の八億二千余万円というように、非常に被害は大きいのであります。こういうふうなことにかんがみまして、農林省では、本年の二月には、天災融資法をこれに適用するという方針を決定されておるのであります。しかし、天災融資法適用するのについても、直ちにその資金が被害者の手に入らないのでありますから、つなぎ資金として政府は各金融機関に対して善処方を要望しておられるのであります。一体、つなぎ資金は現在、いま申し上げた十一県に対しては、どのくらいの金額をつなぎ資金として融資しておるのであるか、これを承りたいと思うのであります。
  91. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) ただいま藤野委員お話のごとく、天災融資法発動することにいたしておるわけでありますが、その前に、二月十八日に、農林次官通達をもって、関係金融機関に対して、つなぎ資金の融通方をやってくれということをお願いしておるわけであります。そのつなぎ資金は出しておるのであろうと思いますけれども、ここに資料がございませんので、ちょっといま御報告を申し上げかねます。
  92. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは、後日資料として御提出をお願いいたします。
  93. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 承知しました。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 つなぎ資金を出したならば、いよいよ天災融資法によって天災融資をしなくてはいけない、その天災融資の見込みの期日はいつであるか、 これが一つ。  その次には、天災融資法によっては、普通の融資の場合と、特別被害地域に指定するというのと、二通りあるのであります。激甚の被害地には、天災融資法であってでも、普通の天災の融資と、特別地域に対する融資と、二通りあるのでありますが、さき申し上げました十一県に対して、あるいは十一県のうちで特別被害地域として推定しようというお考えの個所がどのくらいあるか、またその特別被害地域として指定される見込みはいつごろであるか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  95. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 前回もこの委員会で申し上げましたが、いまのところ三月二十日を目途にして閣議決定ができるように、目下準備中でございます。天災融資法発動につきましては、それから、天災融資法発動とともに、なおそのうちで特に災害の激甚なものというのは、その政令が出ると同時に、その中に書かれておりまして、その市町村ごとに、これは災害が特にひどいというのは、市町村長の証明によってこちらへ出てくるわけであります。ですから、政令が出ると同町に、それが行なわれることに相なります。向こうの申請によって出てくることになります。
  96. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、天災融資法発動は、今月の二十日ごろと考えていいのですね。
  97. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) さようでございます。
  98. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は、激越法のことに触れてみたいと思うのであります。  今回の異常水温による養殖ノリ業者の被害は、いま申し上げたとおりに、非常に大きいのであって、青森県外十県の被害額は九十二億円に達するということは、いま申し上げたとおりであるのであります。いま激甚法の第二条を見てみまするというと、「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合には、当該災害を激甚災害として政令で指定する」と、こうなっているのであります。今回の異常水温による災害は、国民経済に著しい影響を及ぼすとは考えられないかわかりませんが、養殖ノリ業者に対する被害は、局地的ではあってでも、その被害は非常に激甚であるのであります。でありますから、今回の、さっきも申し上げましたように、千葉県であるとか、あるいは宮城県であるとか、こういうふうなところには激甚災害法を適用して、そうして政府は最善の援助を与えるべきであると信ずるのであります。しかし、天災法による特別被害地域と、この激甚災害法による政令とは、大体において同一の点もあるのでありますが、二つのものを比較検討していきましたならば、何といってでも激甚法による指定が被害民に対する優遇が講ぜられることになってくるのであります。  そこで、総務長官にお尋ねしたいのでありますが、総務長官は激甚法を適用するべく検討を速めておられるかどうか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  99. 野田武夫

    政府委員野田武夫君) 今回のノリ養殖に対する災害がきわめて激甚であったことは承知しております。また、その被害も、いまお示しのとおり、十一県に及ぶというきわめて広範囲でございます。そうして、この対策といたしましては、もちろん主管省の農林省が中心となっておやりになっております。しかも、ただいま政務次官から、この二十日ごろに天災融資法を実現する、行なうと、こういうことをお答えいたしておりまして、実はただいまのところ、天災融資法の政令を出すという段階で、政府といたしましてはいま直ちに激甚災害法を適用するという段階まで至っておりません。率直に申します。しかし、いまお話しのとおり、これが各般の資料に基づきまして、ここに激甚災害に対する財政援助という法律にありますとおり、最初にお読み上げになりましたとおり、「国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる」場合、こういうことがございます。それで、これは私は、天災融資法がこの二十日ごろ、いま農林省の御説明のとおり閣議にかかるということにいたしましても、その実態によりましては、これは当然考えねばならぬことだと思います。しかし、今日の段階では、農林省調査――特にこれは実態調査をおやりになったと思っております。その状況等を勘案されまして、一応天災融資法適用したらいいという御見解のようであります。したがって、繰り返して申し上げますが、その農林省の解査された実態と、また現実が非常にかけ離れておって、いまたとえば、私はそこまではよく存じませんが、皆さんのお話しの被害が九十何億、こういうお話でございます。農林省被害の大体額はどのくらいかとか、いろいろなことがありまして、政府におきましても、この災害がやはり非常に激甚であったということが、大体各方面の、各官庁の資料がまとまってまいりますれば、総理府といたしましては、新たに取り入れ、検討することは、これは当然でございまして、その用意はございます。しかし、いまのところ、農林省のお考えのように、天災融資法適用するのが一応妥当であろうという御見解のようでございますから、ことさらいま総理府からこれは激甚法に適用すべしという意見をもって折衝していることはございません。しかし、その場合における用意は、そういうふうに一応の心がまえを持っております。これをお答えいたしておきます。
  100. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうするというと、農林省にお伺いしますが、激甚法の法律によらなくても、天災法の特別被害地域に指定したならば、現在の千葉県等の被害は、天災法を適用したのとほとんど同一の効果をあらわすような対策がとられるのであるかどうか、これをお伺いしたいと思うのであります。
  101. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いま総務長官からもお話のありましたとおり、われわれのほうといたしましては、まず第一に、天災融資法発動すると、これは話がついておりますので、諸般の手続も近々できるわけであります。それでもう一つ法律に基づく激甚災害に対処する特別の法律があるわけであります。この法律基準というのは、なかなかむずかしいのでありまして、ただいま藤野委員からのお話のごとく、今回のノリ災害は、千葉県が一番大きいのであります。最も災害の甚大なる県と連絡をとって、その報告に基づいて、目下、全般的にはその必要はないとは考えられますけれども、そういう特定の地域について、さらに検討をいたしているところでございます。
  102. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっとお伺いしたいのですがね、千葉県では、この間、私は二月の五日の日に質問をしたときにも申し上げたと思うのですが、県独自で早急に対策をとらなければならぬということで、農中から県が借り入れをやって、利子補給を、二分の一県、町村で持って、そして何とか救済措置をとっていっているわけです。したがって私は、この天災融資法発動についても早急に検討されたいということを特に強く要望しておいたわけなんですが、それがようやく、三月二十日にならなければ発動できないというようなことでは、実際に災害に即応した対策が立ちにくいということが一つと、それからもう一つ、いま藤野委員質問でお答えになったのに、三月の二十日に天災融資法発動の見込みが立っておるだけであって、その間何にもやってない、農林省は。こういうふうに解釈してもいいんですか。
  103. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) これは前回、矢山委員いらっしゃらなかったんでしょうか、答弁申し上げたのです。それで、これは災害が非常に全国的に波及していまして、その後におきましても岡山県から申請があり、さらにまた山口県、熊本県まで延びていって、次々と申請が多くなってきましたので、その取りまとめ、調査などに時間をとりまして、ついおくれたわけでありますが、三月二十日ごろには、これは閣議のほうに上っていける状況にまで進む見込みであります。それから、そのときにも申し上げましたが、――申し上げたかどうかはっきりしませんが、これは天災融資法発動でございまして、天災融資法の中でも、一般のと激甚のと二つありまして、一般のは三分五厘ということに相なるわけであります。そのほかに、いわゆる激甚災害というのがあるわけですね。その方面は、これは一々、非常に手順がむずかしいものですから、やっておりますと時間をとりますので、まず、天災融資法発動して、しかる後に、いま申し上げたように、何といいますか、激甚災害に対処する特別法律ですね、法律適用についてよく検討しよう、こういうふうに検討しつつあるわけであります。
  104. 矢山有作

    矢山有作君 私、もう一つお伺いしたのは、だから、天災融資法の問題でいままで検討を続けておっただけで、その間、その被害地に対して農林省としては何もやってないというふうに藤野さんに対する答弁解釈していいのですか、ということを言っているわけです。
  105. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いや、そうですが、そうじゃなくて、つなぎ資金を出したわけでございます。
  106. 矢山有作

    矢山有作君 つなぎ資金は出しているのですか。
  107. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 出しております。やはりおくれるものですから、早くつなぎ資金をやろうというので、二月十八日に、つなぎ資金の通達を出しております。
  108. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いま農林省の説明によって、応急策としてはつなぎ資金を出す、これが第一なんです。次には天災法を適用する、そして天災法を適用して第二の手続をとって、第三段階になったならば激甚法を適用する、そして激甚法を適用するならば、前に融通しておったところのものを、さらにそれを振りかえていけばいいのだから、その順序でいいんです。ただ問題は、こういうことなんです。激甚法と天災法の特別被害地域と指定せられた場合の融資の特典が異なっている。融資の特典が異なっているのであるから、今回のノリ被害というものは、さっきも申し上げましたように、国民経済には重大なる影響は及ぼさないけれども被害を受けたその地区の者に対しては、再び立つことができないような被害を受けているのであります。でありますから、私に言わせれば、そういうふうな被害を受けておるところの者に激甚法を適用せずして、特別被害地域として指定しただけで、それで最後の目的まで達成することができ得るのかどうか、こういうふうなことをお尋ねしているのです。
  109. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 天災融資法は、法律にもありますとおり、十五万円以下、こういうことになっているわけでございます。それから激甚法のほうによりますと、二十万円以下、そこが違うのです。
  110. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 償還期限も……。
  111. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 償還期限は同じだそうであります。  それで、そこが違うのだから、激甚なところは、いま目下検討を加えておるわけであります。  それから償還期限でございましたか……。
  112. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いや、法律の二つの差。
  113. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いまの十五万円と二十万円という五万円の差になっております。
  114. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いや、ぼくの質問しているのは、今度のノリ被害者に対しては、あなた方のほうでは、天災法による特別被害地域と指定すれば、金利も三分五臓になるからそれでよろしいのだと、こう話しておられるが、激甚法に対しても、三分五厘は三分五厘なんだ。しかしながら、被害者に対する貸し付け金のワクが違っているから、特別被害地域として指定したところの金額で、それで足りるのであるか、足りないのであるか。足りないのであれば激甚災害に指定しなくちゃできないのじゃないか、こういうふうなことです。
  115. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) どうも失礼しました。いまのところ、大作十五万円程度で足りる見込みで計算しておるわけでありますが、しかし具体的には、足りないところがあれば――特に激甚災害のひどかった千葉県あたりですね、それぞれの目下県の報告に基づいて検討を加えておるわけであります。
  116. 矢山有作

    矢山有作君 それは、松野政務次官、足りるという考え方で万事処理してもらっては困るのですよ。それはノリの養殖の地域の実情によって、いろいろとあると思いますが、十五万あるいは特別被害漁業地域と指定した場合、二十万ですね。激甚災害法を適用しても二十万ですね。二十万でも足りない地域というものが出てくるわけですよ。だから、そういう場合に、激甚災の指定だけではまだ足らないというところをどうするかという問題も、その次には出てくる。それをどう処理されますか。
  117. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 天災融資法あるいは激甚法では、それぞれ限界がございますので、その他の融資方面については、やはりつなぎ資金で、われわれが勧告していると同じように、農林中央金庫とか、漁業協同組合とか、信用漁業協同組合連合会とかを利用してやるよりほかないというふうに考えております。
  118. 矢山有作

    矢山有作君 先ほど言っているのは違っておりました。特別被害漁業地域と指定しても、金額は十五万円、それから激甚災と指定されれば、金額は二十万円。さきのところは訂正します。  もう一つお伺いしたいのは、じゃ、現在激甚災として指定可能な地域というものの調査というのが、実際として農林省で進んでおるかどうか、その状況はどうですか。
  119. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) それは、いま調査中でございます。
  120. 矢山有作

    矢山有作君 その場合、激甚災の指定の基準というのがあるように聞いております。ところが、その指定基準というのは、私の見ている限りでは、直接漁業の場合には、いままでなかった関係かもしれませんが、基準が示されておりません。したがって、その場合に、農林省としては、激甚災として指定できる可能性のある地域については、積極的にこの際激甚災としての地域指定をやりますかどうか、その点をお伺いします。
  121. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いま矢山委員のおっしゃったごとく、農業方面においてはずっとやっておりまして、激甚の基準というものはあります。ありますけれども、漁業は今回初めてで、ほんとうはないのです。ないのですから、その基準に非常に困難を来たしているわけであります。なかなかむずかしいので検討を加えているわけであります。われわれも、何も困難だからそれをやめるとかいうような考えは毛頭ない。これはまず、とにかく天災融資法発動しておいて、そうして、さらにその基準について検討を加えていきたい、前向きに考えたい、こういうふうに思っております。
  122. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いま農林政務次官と総務長官との話によって、大体の見当はついたのです。まず、つなぎ融資をやって、その次に天災融資法適用して、そして、その適用をして仕事を進めていっている間に、激甚法を適用する必要がある地区が出てきたらば、それは激甚法を適用すべく準備を進めておる、こういうふうなことだから、今後政府に希望したいのは、農林省と総務長官と、それから大蔵省とよく協議をしていただいて、すみやかに天災法を実施し、応急の措置を講じ、さらに、今回のノリ被害というものは、いまだかつてない激甚な被害でありますから、その対策を練って、すみやかに結論を出して、被害漁業者が念願している目的を達成することができるように希望を申し上げます。  次に、私のお伺いしたいのは、水産に例をとってみまするというと、昨年は、寒波の襲来によって、水産物に非常な損害を与えた。ことしは、海水があたたかかったために被害を受けた。去年とことしは、まるで正反対なんです。こういうふうなことは、政府としては科学的に検討を加えていって――これは科学技術庁のことになるかもわかりませんが、検討を加えて、こういうふうな被害を未然に防ぐ方法を検討せなくちゃいけないと考えるのでありますが、こういうふうなことについて、何か予算措置明年度予算考えられておるかどうか、大蔵省か、あるいは総務長官か、農林省でもいいから、お願いします。
  123. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 藤野委員のおっしゃったごとく、昨年は寒波で、ことしはまたそういう異変が生じて、ノリ被害を生じておるというようなことでありますので、三十九年度予算におきましては、海況調査のための費用を要求しておりまして、これが成立の暁においては、海況調査の実施をやって、そういう海のいろいろな海況の状況をもう少し訓育していく、そうしてその対策を講ずる資料にしたい、こう思っております。
  124. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから、このノリのことしの被害対策は、もしも農業に対する農業災害補償法と同じように、漁業災害補償法が生まれておったならば、この被害対策は直ちに実行ができる予定であったのであります。しかるに、漁業災害補償法は、政府は出すという方針はきめていながら、いまだに提出されないというのは、どういうふうな理由か、また、いつごろ提出される予定であるか。また、もしもこれが現在予定している漁業災害補償法によって補償制度が実現しておったとしたなら、今回のノリ被害に対しては、どのくらいの金が支出できる予定であったか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  125. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 漁業災害補償法案ですが、これは極力提出を急いでおるわけでありまして、きょうあたり衆議院に出たのじゃないかというくらいにまでなっております。もう印刷しておるわけでございます。きょうかと私聞いておりましたが、そういう状況になっております。  それから漁業災害法案がもし成立しておって、これを適用すれば、今回のノリ被害としてどれだけの補償になるかという問題については、ちょっとここで資料がございませんので、後ほど資料によって申し上げたいと思います。
  126. 矢山有作

    矢山有作君 この際、ちょっと最後にお伺いしたいのですが、先ほど松野政務次官のほうから、漁業に対しては、激甚災の指定をしたことがない、したがって、それの基準がないので非常に困っておられるということなんですが、私は、沿岸漁民の実態については、この前の農林水産委員会で、いろいろ論議をしたと思うのです。その沿岸漁民に対する一つ対策として、沿岸漁業構造改善事業が行なわれる中で、大きなウエートを置くのが、いわゆるノリ養殖等なんですね。ところが、そのノリの養殖漁民というのは、その将来に非常に大きな希望をかけてやっておったのです。ところが、これが、これだけの大災害を受けたということになりますと、積極的に、これが救済策を講じないというと、沿岸漁業構造改善事業の一つの柱になっておるノリ養殖自体が非常に不安定なものだという印象を与えてくるというふうに思うのです。したがって、基準がないということはわかりますが、積極的に被害実態調査されて、早急に基準を策定され、できるだけ激甚災としての指定をやっていただくと、そしてその際、さらに考えなければならぬのは、激甚災の指定を受けても、二十万ぐらいしか借りることができないわけです。ところが、地域の実情によれば、やはり二十万では、とうてい再生産を確保していくだけの段取りができないと、三十万程度はかかるという地域も出てくるわけです。そういう場合をも含めて、特例的な措置をとっていただくと、こういう方向農林省には考えていただきたいと思いますし、そういうものに対して、大蔵省としては、どういうふうに対処されていくのか、私は、農林省が出された結論というものを尊重して、大蔵省にも、このノリ被害対策というものには積極的な助成をやっていただきたいと、こう思うのですが、農林省並びに大蔵省のほうの、それぞれの政務次官のほうから、御答弁いただきたいと思います。
  127. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 先ほど申し上げましたように、何も天災融資法で満足しておるわけじゃありませんので、さらに調査をいたしておりまするし、県とも連絡をとっております。それで、そのもう一つ法律である激甚災害法の適用について、目下しきりに検討いたしているわけであります。養殖というと、ことにノリ養殖の生産減退に対する地位というものはよくわかっております。十分考えておるつもりであります。  それから、その天災融資法の二十万円とかの限度というものも同時に考えたいと思っております。
  128. 齋藤邦吉

    政府委員齋藤邦吉君) 激甚災害法の問題につきましては、先ほど農林省から御答弁のありましたとおりに考えておるわけでございますが、こうした問題につきましては、総理府にあります災害対策中央防災本部において、関係各省が寄り合って相談をするわけでございまして、私どもも誠意をもってそれに臨む考えでございます。
  129. 矢山有作

    矢山有作君 これは、だめ押しの形になるのですがね、私はこの間、二月の五日からの論議において、ずっと振り返ってみて、先ほども言いましたが、とかく大蔵省事務当局というのは、法律文理解釈に走りがちでして、定められた基準というものをきびしく規制しがちなんです。したがって、そこら辺はやっぱり政治家としての政務次官の立場から、特に先ほど私が言いましたノリ養殖というものの今後の日本の漁業の中に占めていく地位、そういったものも考え、さらに、そうしたノリ養殖を現在まで進めてきた政府の立場というものも考えて、その生産が将来阻害されることのないようにということだけは、十分考慮していただいて、事務当局にも、その旨を含めてひとつ作業を進めていただきたいと思いますし、もちろん中央防災会議等におきましても、総務長官もその意を体して善処していただきたい、こういうふうに考えております。
  130. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御発言もございませんようですから、本日は、この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会