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1964-02-21 第46回国会 参議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十一日(金曜日)    午後一時四十二分開会     —————————————   委員の異動 二月二十一日   辞任      補欠選任    佐多 忠隆君  渡辺 勘吉君     —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     小平 芳平君    理事            藤野 繁雄君            矢山 有作君    委員            久保 勘一君            小柳 牧衞君            林田 正治君            森部 隆輔君            武内 五郎君            吉田忠三郎君            渡辺 勘吉君            森 八三一君            岩間 正男君   政府委員    経済企画政務次    官       倉成  正君    経済企画庁総合    開発局長    鹿野 義夫君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    農林政務次官  松野 孝一君    農林省農林経済    局長      松岡  亮君    建設政務次官  鴨田 宗一君    自治省財政局長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    警察庁警備局警    備第二課長   後藤 信義君    農林省畜産局参    事官      吉岡  茂君    林野庁指導部長 森田  進君    建設省道路局次    長       三橋 信一君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (東北地方雪害に関する件)  (東京湾等のノリの被害に関する  件)     —————————————
  2. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  本日、佐多忠隆君が委員を辞任され、その補欠として、渡辺勘吉君が選任されました。     —————————————
  3. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 災害対策樹立に関する調査として、東北地方雪害に関する件を議題といたします。  まず、政府から被害状況説明願います。警察庁後藤警備第二課長
  4. 後藤信義

    説明員後藤信義君) 青森県及び岩手県に発生いたしました雪害状況を御報告申し上げます。  両県下には、一月から断続的に雪が降ったのでございますけれども、特にこの二月の十一日の夕方から二月十二日の朝にかけまして、三十センチから六十センチの降雪がありましたために、積雪量は、岩手県の県北沿岸地方におきまして二メートルないし三メートル、青森県下におきまして七十センチないし一メートル二十センチという積雪になったわけでございます。この降雪及び積雪によりまして次のような被害が起こったわけでございます。  まず、人身の被害でございますが、死者は、青森県におきまして一名、岩手県におきまして五名、計六名でございます。負傷者は、青森県におきまして一名、岩手県におきまして六名、計七名でございます。  建物は、住家——人の住んでおります建物でございますが、これが青森県において全壊一棟、岩手県において全壊二棟、計三棟でございます。それから住家の一部損壊、これは青森県におきまして三棟、岩手県において十一棟、計十四棟でございます。それから倉庫あるいは納屋のような、人の住んでおりません非住家被害でございますが、これは青森県におきまして二棟、岩手県において二十棟、計二十二棟でございます。  それから列車が立ち往生したのがございまして、これは、青森県の大湊線におきまして二本ございました。  それから雪のために孤立いたしました部落が、岩手県下におきまして四つございます。  それから罹災者の概数でございますが、世帯数におきまして青森県で一世帯岩手県におきまして千五百四十五世帯、計千五百四十六世帯でございます。それから、その罹災者の数でございますが、これは青森県におきまして四百八十六名、岩手県におきまして九千六百九十名、合計一万百七十六名でございます。  このうち、死者が六人出ておりますけれども、その内容を申し上げますと、まず、岩手県の死者五名は、二月一日の夜十時ごろでございますが、岩手県の久慈市におきまして、長さ三十メートル、幅二十メートル、厚さ一・三メートルのなだれがございまして、そのなだれのために家が倒れたわけでございますが、その下敷きになりましてその家人が二名死亡したわけでございます。このとき二名は救出いたしましたが、二名死亡いたしたわけでございます。それから二月十日の午前十一時ごろでございますが、岩手県の江刺市におきまして、工事現場におきまして作業中の二名が、なだれのためにやはり下敷きとなって死亡しております。それから二月の十日の夕方、午後四時ごろ、岩手県の下閉伊郡田老町の地内におきまして、小学生三名がスキーをやっております間に行くえ不明となりまして、捜索いたしました結果、二名は救助いたしましたが、一名が死亡しておる。こういう事案でございます。それから青森県の死者一名と申しますのは、一月の二十三日夜に、上北郡の六戸町内におきまして、ふぶきのために一名が凍死をしたという事案でございます。  それから、ただいま申し上げました列車の運行不能になりました状況は、青森県の大湊線でございますが、二月の十一日に、乗客二百三十七名ばかり乗りました列車が、大湊線陸奥横浜駅という駅がございますが、その付近で運行不能になりまして、翌日午後二時半ごろまで車内に滞留したという事案でございます。それから同じ日の午後二時ごろ、同じ大湊線に近川という駅がございますが、その付近一つ列車が立ち往生いたしまして、乗客二百四十名がその日の夕方六時半ごろまで列車内に滞留した、こういう事案でございます。なお、大湊線は二月の十二日の夕方には開通いたしております。  それから孤立部落は四件発生したということを申し上げましたが、これは、ただいま申し上げましたように、岩手県の県北沿岸地方におきまして、二月の十一日から二月の十二日朝にかけまして、相当な積雪になりました——降雪があり、積雪になりましたと申し上げましたが、このために、岩手県の久慈市、その中の山根という地区におきまして三百七十四世帯、二千二百五十七名の部落でございますが、これが孤立をいたしました。それから九戸郡の山形村、これは千百六十八世帯、七千四百十名でございます。それから下閉伊郡の岩泉町、ここにおきまして、三十三世帯、百八十九名、それから同じく下閉伊郡田野畑村千百五十一世帯、六千七百三十名、合計いたしまして二千七百二十六世帯、一万六千六百六名が孤立状態におちいったわけでございますが、これは十三日から十八日にかけまして、自衛隊員とそれから一般の人々の除雪作業によりまして、全部孤立が解けたわけでございます。  これらの被害に対しまして、警察のほうでは、青森県におきまして、延べ二百三十六名、岩手県におきまして延べ五百六十名、計七百九十六名を出動させまして活動いたしたわけでございます。なお、自衛隊におきましては、青森県におきまして五十九名、岩手県におきまして三百八十四名、計四百四十三名が出動いたしております。なお、消防団員は、青森県におきまして五百三十名、岩手県におきまして四千二十四名、計四千五百五十四名が出動いたしまして活動いたしておる、こういう状況でございます。  警察庁でとりまとめました被害概況は、以上のとおりでございます。
  5. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次は、農林省松野政務次官
  6. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) この間の東北地方における降雪による農林水産関係被害概況は、お手元に差し上げておきました資料でごらんいただけばおわかりのことと思いますが、二月十九日までに青森県及び岩手県からの御報告のあったところによりますと、施設関係で約一億九千万円、農林水産物関係で約三億六千万円、合計いたしまして約五億五千万円と相なっておるのであります。そのうち、農業用施設被害は主として工事施行中のものでありまして、また林業用施設被害におきましては、治山施設約一億三千万円あるのであります。また、炭がま約二千万円となっておるのであります。また、農作物につきましては、麦類、なたね、果樹及び桑園等被害でありまして、また牛乳の被害につきましては、主として開拓地等における交通途絶による滞貨腐敗によるものであります。農林省といたしましては、これは県の御報告だけでございますが、農作物被害等については目下統計調査部において別途調査中であります。まだ御報告するまでにまとまってないのでありますが、目下しきりにその取りまとめを急いでおる状況であります。  これが対策につきましては、被害状況の詳細な判明把握を取り急いでおります。それを待って、従前の例によって検討して処置していきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  7. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  次は、建設省三橋道路局次長
  8. 三橋信一

    説明員三橋信一君) お手元資料によりまして、岩手県におきます雪害地域道路交通確保状況を御説明申し上げます。  お手元にお配りいたしましたのが二十日現在でございますが、本日の正午現在の状況が判明しておりますので、それを加えながら御説明さしていただきたいと思います。  被害状況につきましては、一月三十日から二月の二日、それから二月の九日から十二日の二回にわたりまして、岩手県の三陸沿岸豪雪が襲ったわけでございますが、多いところで二メートルないし三メートル、少ないところでも一メートルの積雪深に達しました。一級国道四十五号線をはじめといたしまして、地域内の道路は一時全面的に途絶いたしました。  そこで二月の二十一日、本日正午現在の交通確保状況を申し上げます。以下御説明いたしますのは、積雪寒冷地道路交通確保法律がございますが、その法律によりまして国から補助をする対象路線として選ばれましたもの、指定いたしましたものの状況でございます。一級国道、二級国道につきましては、ここにございますように、全路線交通確保されております。それから県道につきましては、下に五路線あげてございますが、本日正午現在では四路線、約二十七キロメートルが不通でありまして、これにつきまして目下懸命に除雪作業が続けられております。  まず、路線名といたしまして、一番目の軽米——種市線、これは九戸軽米大道口から同町の増子内に至ります不通延長八キロでございます。これは開通予定がここに二十一日とございますが、二月の二十二日に開通予定でございます。それから二番目の大野——八戸線、これは九戸大野村三本木から青森県境まで達します道路でございます。これは、七キロメートルが不通でございまして、本日、二月の二十一日に開通いたす予定でございます。それから三番目の、戸呂——軽米線、これは九戸山形戸呂町から軽米町円子まで至る道路でございますが、この路線につきましては、六キロ不通でございまして、これも二月の二十一日に開通予定でございます。それから、その次の四番目の久慈——岩泉線、これにつきましては、二十二日開通予定と書いてございますが、これは開通いたしました。それからその次の、五番目の大田名部——小屋瀬線、これにつきましては、不通延長が八キロとございますが、六キロでございまして、二月の二十五日に開通する予定でございます。  以上、不通路線は四路線、二十七キロということになっております。これに対しまして、三十八年度の除雪補助事業除雪事業費追加分といたしまして、岩手県に八百万円を追加して配付するということに考えております。  なお、青森につきましては、資料を差し上げてございませんが、これは二月の十七日現在で、除雪計画路線につきましては全部開通いたしております。なお、青森県には、除雪事業費追加分といたしまして、九百万円を追加するということの措置をとっております。
  9. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 御苦労さまでした。  ただいまの誤明に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  10. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この岩手県北を襲った豪雪は、特に二つの特徴のある地帯であります。一つは、地域格差の最も底辺に沈澱させられておるという地帯であります。大都会と地方という地域格差の中でも、同じ岩手県の中でも、地域格差のさらに底辺に沈澱しておる地帯である。第二は、所得格差もまたさらに底辺に、政治の光を仰ぎ得ない地帯でありまして、農業自体所得格差という全国的な課題の中に、さらに岩手におきましても、山間畑作地帯という立地条件の劣悪さに放置されておる。さらに、同じ農業の中でも、所得格差がさらに極端にひどい地帯であるということであります。これが今度局部的に豪雪被害を受けた条件であります。それからもう一つは、天災害を受けまして、ちょうどこの豪雪地帯そのものが、ほとんど連なる山々は、火災によってまる坊主になっておる地帯でございます。これらの要因は、特にべた雪であって、三メートルに達するということから、融雪時における災害がきわめて憂慮される事態に置かれておるということであります。したがって、そういう特殊な地帯におけるこの豪雪災害に対しては、政府も特段の意をここに配って、後顧の憂いのないような施策を個々具体的に確立する要があると考えるわけであります。したがって、これから具体的な恒久施策あるいは応急施策各般にわたって政府当局お尋ねをいたしたいと思います。  で、具体的なそういう問題についてお尋ねをする前に、この豪雪地帯に対する基本的なあり方というものが、今月の十七日に豪雪地帯対策審議会会長から内閣総理大臣意見を具申をいたしております。この審議会内閣総理大臣答申をした豪雪地帯対策基本計画というものを受けて、政府ではこれをいかように措置をされるおつもりであるか、また、その方針の大筋をひとつお伺いをして具体的な質問の参考にいたしたいと思います。
  11. 鹿野義夫

    政府委員鹿野義夫君) 御存じのように、豪雪地帯対策特別措置法は……   (「委員長委員長」と呼ぶ者あり)
  12. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ちょっとお待ちください。
  13. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 こういう内閣として重要な問題の基本的な答弁ですから、長官がおいでになっていないことは、非常に私は不自然に思うのです。一体長官が出ていないが、委員長としてどうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  14. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をとめて。   〔午後二時二分速記中止〕   〔午後二時二十三分速記開始
  15. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 速記をつけて。  ただいまの渡辺君の質問に対しては、経済企画庁政務次官が間もなく到着いたしますので、それから答弁していただくことにしていただきまして、次の問題に移ります。
  16. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいまの扱いは、これは本災害特別委員会に対する政府のかまえについて反省を促す意味で、次の質疑に入る前に、私は厳重に警告を発しておきたいと思います。この災害対策そのものは、国の政策としても最も早急に、しかも適切なる措置を講じなければ、その時期を失し、手段を誤ることによって、さらに倍以上の損害を中央地方においてかぶらなければならない問題でありますので、こうした問題に対する政府のかまえとしても、この特別委員会が開かれる場合には、もっとその姿勢を正して、責任ある——次元の高い問題について直ちに取り上げるべきは取り上げるような問題も多々あるわけでありまして、一例をただいまの例にとりましても、あたかも雪害地帯対策基本路線というものがしかれようとしているにあたりましては、大臣のそれに対する適切なる運営というものをお聞かせ願いませんと、個々具体的な問題も、その基本線に沿うてやりがたきものでありますので、そういう点を強く政府警告を発していただきたいと思います。その扱い委員長におまかせいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。  ただいま経済企画庁次官がお見えでありますので、繰り返して次官にお伺いを申し上げますが、この豪雪地帯対策審議会長が今月の十七日をもって内閣総理大臣答申を行なっておるのであります。それは、従来この基本的な計画路線というものが確立されずに、その措置が適切を欠くうらみがあった経過にかんがみて、その答申がなされたわけでありますので、国民はひとしくこの計画に対する政府取り扱いについては多大の関心を寄せているところでございます。この答申を受けた内閣といたしましては、この計画をどういうふうにお取り上げになられるのか、その計画概要等の御説明を承り、なお今後のこの取り扱いについて次官から率直なる御意見をまずお伺いをいたします。
  17. 倉成正

    政府委員倉成正君) たいへんおそくなりまして恐縮いたしております。ただいま渡辺委員から御質疑がありました、今後の取り扱いをどう進めていくかという問題でありますが、御案内のように、先般豪雪地帯対策審議会を開きまして、豪雪地帯対策特別措置法に基づく基本計画についての御審議をいただきました。この内容につきましては。後ほど御説明を申し上げますが、いろいろと審議委員の各位から適切なる御質疑がございまして、この過程を経まして一応基本計画についての審議会の御答申をいただいたわけでございます。この御答申に基づきまして、今月の二十五日の日に閣議決定をいたしまして、政府としては正式にこの基本計画を軌道に乗せる、そのあとは、各省におきましてこの基本計画に基づく実施計画を立てるということになり、この実施計画経済企画庁といたしましていろいろと調整いたしまして、基本計画の精神が十分この実施計画の中に盛られていくということを調整をはかっていくという段取りになっておるわけでございます。  この計画の全般について申し上げますと非常に繁雑になりますので、要点だけを申し上げてまいりますと、御案内のように、豪雪地帯における雪害防除、その他積雪によって劣っている産業基礎条件改善に関する施策基本となるべき事項決定しているわけであります。重点といたしましては、雪害防除をはかるために、積極的に防雪を推進することを主眼とし、産業の基盤の整備拡充保全生活環境施設整備改善教育施設質的充実及び雪に対する総合的調査研究を行ない、雪害対策を効果的に進める、こういうことになっておるわけであります。  内容は、法の四条に示す規定によりまして、第一は、交通通信等確保に関する事項。これは、御案内のように、雪害がございまと、まず交通通信をどうやって確保するかというのが一番基本的な問題になるわけであります。第二番目は、農林業等の振興に関する事項、第三番目は、教育保健衛生社会福祉施設等整備に関する事項、この保健衛生等につきましては、先般は新潟その他の雪害について、し尿の処理ということが非常に大きな問題になりました。そういったことを含めた事項。第四番目は、国土保全施設整備に関する事項。第五番目は、雪に関する総合的調査研究体制及び気象業務整備強化に関する事項。どうしても雪に関する研究がまだわが国において、部分的にはございますが、総合的にいろいろ検討することが十分でございませんので、これをもう少し総合的に調査研究をするという体制を整えるということにいたしました。先般科学技術庁のほうからお話があっていると思いますが、科学技術研究機関をつくることにいたしておるわけであります。審議会におきましては、科学技術だけでなくて、もっと社会経済的な総合的な研究機関をつくってはどうかというお話がありましたが、とりあえず、そういう機関をつくるということに配意をいたしておる次第であります。  大まかな大綱は以上のとおりでございますけれども、さらに細部について御質問がございますれば、それに対してお答えを申し上げたいと思っております。
  18. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいま次官からの御答弁によって、来週の二十五日の閣議で、この答申豪雪地帯対策基本計画決定を見る予定と承りました。したがって、これを閣議決定した上は、これらに盛られた計画の、基本的な計画重点なり基本計画内容なりというものは、少なくとも経済企画庁が中心となって各関係省に総合的にこの計画を実施運営するという責任が当然あると思うのであります。しかし、従来もこの種の経済企画庁が担当しておりますいろいろな計画、構想というものが閣議決定されても、ともすれば、それが一片作文に終わって、それぞれ原局担当各省によって分散し、総合性のないまま地方にこれが浸透する結果、地方における混乱というものが間々見受けられたのであります。  そこで、私はもっと具体的な内容にわたって二、三経済企画庁次官にお伺いをいたすのでありますが、たとえば、来週の閣議決定の際に、これが変わらないということを前提としてお伺いをいたすわけでありますが、基本計画内容の「交通通信等確保に関する事項」について、次のような表現があるわけであります。「積雪期における交通通信電力供給確保は、常に民生の安定に欠くことができないばかりでなく、地域経済活動基幹的役割を果たしている実態であるので、これに関する各種の対策は、あらゆる雪害対策の中で最優先的に推進されるべきものである。」——最優先に取り上げることをうたい、具体的には、「道路交通確保」について次のように言っております。「地域内の国道その他の重要な路線について、冬期自動車交通確保するために必要な除雪体制強化と、除雪事業効率的実施を図る」、「前項の路線のうち、なだれ発生のおそれのある個所、吹だまりその他の条件により積雪量の特に多い箇所積雪期間の長い箇所等について、重点的になだれ防止壁防雪さく、円おおい等の防雪施設流雪溝等の消雪施設整備を図るものとする。」、次に「融雪等による路盤の破壊を防止するため、必要に応じ路盤改良を行ない、排水施設整備を図るものとする。」、その他にもありますが、一つのこの計画内容の中で、道路について私は取り上げてお尋ねをいたしたいのであります。  先ほど建設省で、岩手県における雪害地域道路交通確保状況報告の中で、県道については五路線について説明があったのでありますけれども、現実は、この報告があった五路線は、今度の豪雪地帯のこれは外縁的な地帯に出ておる道路でありまして、問題は、この建設省が取り上げた以外の、この北部、東部沿岸を縦貫する県道に問題があるわけであります。で現実には、この道路は、積寒法の区域、岩手全体は指定地域になっておりますけれども、それは寒冷地帯指定としての道路でありますので、今回のように積雪によってこうむったいろいろな路盤整備、あるいは擁壁等普通工事というものについて、場合によっては、これらの除雪事業を受ける対象になっておらぬのであります。雪害に対しては優先的に道路に対して適切な措置を講ずるというのが、この豪雪地帯基本計画にうたっているのでありますが、これを総括する経済企画庁としては、この現実を踏まえて、これらの現在指定対象から除かれておる積雪道路というものを指定をし、この計画にあるように、この地域交通麻痺状態を解除し、やがて起こるなだれ、あるいは融雪による河川のはんらん等も、この地帯重点的な施策を講ずる必要が、この計画の中にも基本的にうたわれておるのでありますが、これを所管する経済企画庁としては、これらの関係各省に対して、私がいま具体的に取り上げたような問題を、現実にその施策の中に生かす措置関係各省に対しておとりになるというところまでこの閣議決定内容を推し進めなければ、この計画一片作文に終わる懸念を持つのでありますが、その点に対する次官の所信のほどを承りたいのであります。
  19. 倉成正

    政府委員倉成正君) ただいま渡辺先生からいろいろお話がございましたこの基本計画は、申すまでもなく、各省とよく打ち合わせ、もちろん建設省も入りまして、審議会の議を経て来週閣議決定する性質のものでございますから、この計画の中に盛られた精神を十分もって遺憾のないように全力を尽くして豪雪対策に当たりたいという所信でございます。具体的にどの路線をどうするかという問題は、これは建設省のほうにお願いをいたします。同時に、われわれといたしましても、この精神にのっとりまして、その間について、いろいろと調整をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。
  20. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 それでは、来週、閣議決定を見る予定豪雪地帯対策基本計画を踏まえて、さしあたりの問題、恒久的な問題について、関係各省お尋ねをいたしたいと思います。  順序不同でございますが、まず第一に、農林政務次官お尋ねをいたしたいのでありますが、参考資料にも差し上げましたように、今度の岩手県北を襲った豪雪被害というものは、全く異例な被害でありまして、従来は、日本海に発生した低気圧によって豪雪でこうむる被害があったわけでありますけれども、今回は、太平洋側に発生した低気圧によって、この岩手県北が、豪雪に見舞われた特殊な地帯でございます。したがって、従来、この豪雪に対する施策というものも、きわめて不十分であったところに、集中的に、一週間程度の間に一メートルないし三メートルのべた雪被害ということでありますので、予想せざる被害であるだけに、いま判明しただけでも二十五億をこえるという悲惨な実態にあるわけであります。もちろん、被害の絶対額は、必ずしも多いとか少ないとかいうことではございませんけれども、特にこの地帯は、前段にも申しましたように、岩手でも最も立地条件に恵まれない山間畑作地帯でありますので、その生産性もきわめて低く、したがって、その農作物に与える被害の絶対額も、他地域に比較しては低いのでありますが、この地域に依存する地域住民にとっては、決定的といってもいいほどの大きな被害の打撃をこうむっておるわけであります。そこで、こうしたような被害の実態に対応して、特に、農林省所管の被害対象に対しては、私は抜本的な施策を、この際、講じていただきたいのであります。  現行、いろいろな災害に対する法律がありますけれども、特に、天災融資法というようなものも、これは、収穫が災害によって減収されたものに対して金を貸しつけるという制度であります。そういう償還財源がないものに融資をするといういまの制度以前の問題として、ここで、これら被害を受けた、そういう実態に対して、抜本的に、これを政府で補償するという措置をおとりを願いたいのであります。池田総理は、国会において、しばしば、この問題に関連して御発言があるのは、農業というものは、自然的、経済的、社会的に不利な条件に置かれておる特殊な産業だから、農業は保護をしなければならないということを言うておるのでありますが、それを口頭禅に終わらせずに、現実地域住民の努力をもってしてもいかんともしがたい、こういう豪雪被害によってこうむる所得の減少というのは、農林省としても、それに対しては天災融資法以前の基本的な方向としてお考えを願いたいと思うのでありますが、まず、その点について次官の御所信のほどをお承りいたしたいのであります。
  21. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 豪雪そのほか非常な災害におきましては、ただいま企画庁のほうからお話がありましたとおり、豪雪地帯における答申閣議決定に相なりまして、そうして農林省で具体的な計画を立てることに相なっております。そういう根本的なものにつきましては、その答申閣議決定というようなものに従いまして処理してまいりたいと、こういうふうに考えておりますが、ただいまお話しのように、岩手県下を中心とした豪雪に対しましては、ただいま委員会の開会前にも岩手県の副知事から御説明を承ったのでありますが、非常な災害で、私も御同情にたえない次第でありまして、従来、御承知のとおり、農作物に関しましては、天災融資法という法律がありまして、私のほうで県の報告やら、あるいはまた農林省の直轄の統計調査部のほうの報告を待ちまして、そうして天災融資法の条件に適合するかどうかを検討いたしまして、今回の豪雪に対しましてもすみやかに検討をいたしまして、できるだけ天災融資法が発動できるようにわれわれも考えたいと、こういうふうに考えております。天災融資法は、御承知のとおり、特に激甚な災害に対しましては、全くの補償というようなことにはなりませんけれども、きわめて低利な資金で貸し付けをいたしておる。また、先ほども岩手県の副知事さんからお話がありました、事業資金の問題もありましたが、天災融資法が発動すれば、当然に事業資金もこれに伴うことに相なりますので、そちらのほうも考慮できることに相なるわけであります。問題は、天災融資法に適合するかどうかについて、十分私どもは実情をよく見て、また以前にこの地帯には災害も多かったという事情、特殊の地帯であるという事情も十分考慮していく、その条件になるべく適合するように考えていきたい、こういうふうに思っております。
  22. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいまの御発言は、たいへん基本的な問題からそれた、第二の私の考え方に対する御答弁が中心であるわけでありますが、少なくとも——繰り返しますけれども、これらの災害というものは、これは政府の責任で、これを補償するというのが、私は災害に対する国の基本的な姿勢でなければならぬということを重ねて強く要望申し上げます。しかしこれは、従来の経過を考えましても、容易に実現の困難であることも承知でありますので、少なくとも、そういう方向に善処をしていただきたい。それから天災融資法については、現地の実態等も勘案して、できるだけ対象になるように善処をするという御答弁でありますが、その問題がもっと具体化して、事務的な判断等になりました際には、従来の経過からかんがみますと、なかなかこういう特殊な一局部に限られた、しかしながら、その被害地帯としては激甚なる影響を受けておるというようなものには、適用しがたい経過があるわけでありますので、従来のそういう硬直した取り上げ方を、もっと弾力性を持った、——ただいま政務次官から誠意を持って御答弁をいただきました、できるだけ天災融資法の対象にもしたいと思う、善処をするということを、現実にそういう場合にも弾力を持って適用することを、強く重ねてこの点は要望をいたしておきます。いずれ、本院からも地方の実態を調査をすることでもありましょうし、それらが終わって再びこの特別委員会を開くまでには、少なくとも一歩前進したこれらの措置について御答弁が願えることを強く期待を申し上げるわけでございます。  農林省関係で次にお伺いをいたしますのは、特にこの地帯は、開拓者によって、副業製炭等が冬山によって副業収入を得ておる地帯でございます。中には専業製炭者もございます。この被害がきわめて重大で、決定的な打撃を製炭者に与えておるのであります。いまだ交通が途絶して、その被害の実態を把握しがたい状況にあります。ただいま判明いたしました数字でも、一億七、八千万ということでありますが、これがさらに実態の調査によって、この数字はふくれ上がることは必至であります。そこで、製炭者の唯一の生産手段である炭がまなり木炭倉庫なり、これらが壊滅状態に陥っておるわけでありますが、これに対してどういう措置をおとりになられるのか、その具体的な措置についてお伺いをいたしたいのでありますが、その前に、従来、こうしたような豪雪によって受けた木炭の倉庫なり炭がまなりというものに対して、政府がおとりになった実績をまず御紹介を願い、その実績を伺った上で、さらに具体的な今回の措置に対する御質問をいたしたいと思います。
  23. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 先ほどは、私は主として農作物被害関係について申し上げましたが、この林産施設、特に炭がまでありますが、これもたいへんな被害を受けておるようであります。なお、雪が多いから十分の調査ができないので、さらにまた拡大することも考えられるのでありますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたまず天災融資法の発動条件にかなうかどうかについて、調査が集まってさましたら、すみやかに検討を加えてまいりたいと思っております。また、この天災融資は、融資でございますが、あるいはまた特殊の助成方法がとれるかどうかについても十分検討していきたいというふうに考えておる次第であります。
  24. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは次官でなくてけっこうでありますから、従来炭がまなり木炭倉庫なりというものの豪雪によって受けた被害をどう措置されたか。また、その措置した金が、その被害発生時からどれだけの期間を経て現地に到着したか、それらの点を具体的にまずお伺いをいたしたいのです。
  25. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いまの点については、林野庁の指導部長が来ておりますから、指導部長からお答えいたします。
  26. 森田進

    説明員(森田進君) 私からお答えいたします。  過去の災害によりまして被災いたしました炭がまの復旧につきまして、国で助成いたしました事例は三件ございます。最初は、三十三年の狩野川台風のときでございまして、このときの被災は二十三県にわたりまして、被災いたしましたかま数は約八千四百基でございます。それから三十四年の伊勢湾台風の際にも国が助成いたしましたが、このときの被災県は二十八県、被災いたしましたかま数は約一万六千六百でございます。第三回は、昨年の豪雪災害でございまして、このときには、被災県三十県、被災かま数は約二万八千に達しておりました。過去の事例はそのようなものであります。
  27. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 助成の内容は。
  28. 森田進

    説明員(森田進君) 助成は、製炭者が共同で製炭をすることにいたしまして、その築窯に必要な経費の二〇%を国でもって助成いたしております。
  29. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 逐次どうも追加して答弁漏れを聞かなければならぬのは不経済ですけれども、それがいつ被害を受けて、この二〇%の助成金がいつ現地に届いたかという、その期間をあわせてお伺いをします。たとえば、去年のところでけっこうです。去年の豪雪三十県二万八千基というものが、いつ豪雪被害が出て、二割の共同製炭用の炭がまの補助がいつごろ地方にそれが流れたかということを、まず参考にお伺いしたいわけです。
  30. 森田進

    説明員(森田進君) 昨年の三十八年の災害に際しましては、二月の初旬に交付決定ずみでございます。
  31. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 これは、炭がまの助成だけを具体的に伺うのではありませんが、従来、これらの助成なり融資なりというものが、その被害発生時から非常に長期間を経なければこれが現地に届かないということが共通的にあるわけであのます。これらを踏まえて、そういう場合には、それらに要する金利等もこれは加算するという公約もあるのでありますけれども、これが実行されたためしがない。私たちは、何もその利息をどうこうということを問題にするのではなくて、こういう被害に対しては、迅速果敢にそれらの決定された措置を末端に浸透しなければ、意義が一そう薄くなるということで、炭がまの具体例をお伺いをいたしたわけであります。それでは、今回のこの岩手豪雪に対しても、従来とられたような措置農林省としてはおとりになるというお考えでありましょうかどうか。この点をお伺いいたします。
  32. 森田進

    説明員(森田進君) 今回の岩手災害につきましては、なおその実態を十分に把握いたしました上で、過去の事例を勘案いたしまして、十分検討いたしたいというふうに考えております。
  33. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 実態を把握されることはもとよりあたりまえのことであって、検討するということじゃなくて、そういう過去の事例もあるのですから、実態が報告されたごとくであるならば、これは実施をするということで、前向きにひとつ対処してもらわぬと、これは何もよけいな金を引っぱり出そうとか、そんなさもしい根性で私は言っているのじゃなくて、少なくとも、この木炭生産者の実態というものは、農林省もよくわかるように、その日常の生活のレベルというのは、私は人間以下の生活状態にあるという、そういう現実を踏まえて、こういう問題についてはもっと血の通った愛情のある措置をとってもらわなければならぬということで申し上げておるわけであります。決してお願いをするとか、そういうことではなくて、そういう実態に即応して、政府は適切に、迅速にその対策を講じなければ、先ほど前段で御紹介がありました豪雪地帯基本計画の趣旨にもこれは反するわけでありますから、この点も、検討ということではなしに、実態かくのごとくであるならば、従来の事例に徴してその処置をという方向に善処方を強く要望いたします。  で、従来の実態の御紹介は炭がまだけでありますけれども、木炭倉庫も同様に壊滅状態にある。あるいは特にフェーン災害を受けた地帯でありますので、なだれの防止がもう当然予想されるわけであります。これに対して、農林省所管のこのなだれ防止林その他についての措置はいかようにお考えになっておられるのか、その点をひとつお伺いをいたしたいと思います。
  34. 森田進

    説明員(森田進君) なだれ防止の問題につきましては、昨年の豪雪の際にも、林野庁で予定いたしておりました約一億五百万円余のなだれ防止林の造成事業のほかに、一般治山事業費から約一億二千七百万円追加いたしまして、約二億三千万円をもちまして、なだれ防止施設を所要個所に実施いたしたわけでございます。で、三十九年度におきましては、約一億八千万円の予算を目下要求中でございますが、この施設につきましては万全を期してまいりたいというように考えておる次第でございます。
  35. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 この地帯は、特に山間畑作地帯でありますから、主作目は酪農に重点が置かれております。こういう鮮度をたっとぶなま乳が、搬送不能で腐敗廃棄処分をしておる。これに対する施策も当然補償等の措置を講じてほしいのでありますが、この抜本的な措置はしばらくおくとしても、いずれ、食わせるえさもないという状態でありますから、政府措置によって、政府手持ちえさを特段な措置によってこれを配給する。私は、無償配付というようなことが地元からも要請がありますが、無償で配給するということは、これは容易じゃないと思いますが、少なくとも、これらの地帯に対する酪農を継続するための緊急措置として、えさの持配をする、その払い下げ価格は、特段の価格をもってこれに対処するという措置がすみやかにとられなければ、この酪農の緊急対策にはならぬと考えるのでありますが、その点はいかがお考えでありますか。
  36. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 従来、畜産関係の、特に酪農を中心といたしました被害につきましては輸入ふすまの売却、それから牧草種子の補助、それから牧道の復旧、そういうようなことをやってきたわけでございますが、今回の豪雪被害対策につきましても、被害の実態に応じまして、そのような措置をとってまいりたい、かように考えております。  それから、牛乳の腐敗、そういう話も若干聞いております。ただ問題は、いままでの例から申し上げますと、そういうことをやったことはございません。そういう意味で、なかなかむずかしかろうと思いますが、被害状況を見て研究してみたいと思います。  それから、輸入ふすまの値段につきましては、これは昨年一月の北陸の豪雪、それから長雨の場合も、そのときの政府の売却価格でもって売却をいたしております。豪雪のときには、約千三百トンほど売却いたしております。それから長雨のときは約九百八十トン、千トン足らずでございますが、そういう意味で、いまのところ、いままでの例に準じた値段でやってはどうか、そういうように考えておりますが、研究させていただきたいと思います。
  37. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの政府所管のふすまについては、政府の売却価格で売却するというのはどういうことですか。
  38. 吉岡茂

    説明員(吉岡茂君) 現在の輸入ふすまの売却値段六百十七円、これは三十キロ裸でございますが、現在の市価より三十キロで大体六十円ないし八十円ぐらい安値になっております。そういう意味で、市価より相当安い。そういう意味で、現在の政府の売却価格で売却してはどうかと、こういうように考えております。
  39. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 自治省の局長が予算委員会のほうに回られるそうですから、自治省に一つだけお伺いをいたします。  今回の豪雪災害による災害復旧費とか、あるいは応急費の地方負担の増額ということが現実の大きな問題になっておるわけであります。これに対しては、特別交付税による財源措置を講じなければ、さなきだに財政負担力の弱い市町村では、この豪雪による被害の諸経費に圧倒される思いでありますが、この特別交付税の交付については、県段階、市町村について、いかなる措置をおとりになる御用意があるか、その点を要約してお伺いをいたしたいのであります。  なお、普通交付税、基準財政需要額の算定に際して、この積寒地帯における除雪経費とか、あるいは除雪対策の経費を大幅にこの交付税にも見積もってほしいのでありますけれども、またこの算出はどういうふうになさるおつもりか、それをあわせてお尋ねをいたします。
  40. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 昨年の災害の例を申し上げますと、とりあえず災害に見舞われました場合に必要になってまいりますのは、資金繰りの問題でございます。昨年は、普通交付税の配分を終わってしまってから災害が起こりました。したがって、算定増になりました部分が一部繰り上げ交付という問題が起きたのでございますが、本年度は、ちょうど給与関係経費の再算定分、これは年末に補正になりました交付税の配分分でございますが、これをちょうど二十日——きのうでございますが、きのうその分を、それぞれ現地に算定額を交付いたしました。それで大体資金繰りの問題は一応片づくのではないかというふうに考えております。  あとは災害対策諸費でありますが、交付税で考えなければなりませんのは、災害対策諸費の中でも応急の除雪の経費、それから豪雪災害に関連いたしまして行ないますもろもろの諸対策事業費、これらのものにつきましては、今回の特別交付税の配分に際しまして、すみやかに実情をつかんで配分をいたしたい、こういうことで現在いろいろ資料を収集中でございます。  それからなお、公共施設の被害のものにつきましては、災害復旧という問題が起こってまいりますが、これはまあ起債の問題になります。間に合えば本年度の災害のワクで間に合わしたい。ただ実際問題といたしましては、おそらくは査定等が間に合いません。したがって、そういうものにつきましては、まあ三十九年度のワクから来年度早々措置をするということに相なります。今までの例もさようであります。  それから積雪関係の経費の基準財政需要額への算入の問題であります。積雪地帯につきましては、それぞれ積雪に関連する経費、道路につきましても特殊工法のいろいろの経費が要るわけでございます。これを雪寒補正という補正係数を使ってやっておるわけでございます。従来の補正係数が必ずしも適当でないというふうに感じておりますので、気象庁をわずらわしまして補正係数の再検討というものを現在行なっております。間に合えば三十九年度の普通交付税の算定から新しい係数を使って補正をいたしたい、もっとはっきり申しますならば、現在の補正係数の補正の増額と、補正による配分の適正花をはかりたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いまの御答弁の中にもありましたが、できるだけ三十八年度の作業対象に入れて措置をとっていただきたいということを重ねてこれは要請をいたしておきます。  次に、この道路関係について要約してお伺いをいたしますが、積寒地域における道路交通確保に関する特別措置法の、この寒冷地帯としては全県が指定になっておるわけでありますが、積雪についても、この道路指定というものがないために、前段申し上げたようないろいろなその措置対象になっていないわけであります。今回のこの地帯は、特にその積雪の特別指定をその道路に対して行なわなければこれは救いがたき状態に放置されるわけであります。前段で申しましたように、この豪雪地帯の特別の基本的な計画というものは、優先してこれらにその政府施策重点を充てるという基本方針は、いずれ来週の火曜日の定例閣議で確定されるそうでありますが、そういう基本計画の一環として具体的には若手の豪雪について生じた、従来指定対象でなかったこの海岸中心の道路に対して、積雪を中心とする道路指定をしてこれらのいろいろな措置を早急にとっていかなければ、この豪雪対策が大きくこれは狂うわけであります。当然路盤がいたむわけでありますし、なだれがまた出てくるわけでありますので、この指定ということを全県に対して行なうという措置を、この際おとりを願わなければ、この特殊地域に対する対策にはならぬわけであります。特に二十五億のうちの過半が、この道路を中心とする路盤整備にこれはウエートがかかっておるわけであります。この点について、建設省の御所信のほどを承りたいのであります。  なお、そのお伺いをする前に、二十三日の参議院の本会議で武内議員が、内閣総理大臣及び建設大臣質問したこれらの関連の問題についても、大臣はこの点をはっきりと対象にする意味の御答弁をされておるわけでありますが、これについてひとつ具体的な問題として、その私がお尋ねをする点にしぼってひとつ御答弁を願いたい。
  42. 鴨田宗一

    政府委員(鴨田宗一君) ただいま渡辺委員の御質問に対しまして、特殊的な地域であり、しかも、ほんとうに私たちお聞きをいたしまして、災害の大きいことに、雪害の大きいことに実はたまげておるわけでございまして、ただいまの御質問の積寒の特別措置法の中の寒冷地帯には指定はされておりまするけれども、特に積雪地帯には指定せられておらないのが現状でございます。これは、いわゆる措置法によりまして御承知のとおり、いろいろな条件がございまして、現在五年間平均をとりまして、五十センチ以上の積雪の場合、または零度以下の地域の場合と、こういうふうに実はいろいろの条件があり、しかもその上に、交通関係でありますので、運輸省との協議を待ってやると、非常にまあ私たちから見ますると、現在のこの地域に合わないように考えられます。おそらく大臣も、参議院におきまする答弁はそういう面を取り上げまして、もちろんこれは全国的な問題でありますので、私たちといたしましては、審議会答申にも沿いまして、前向きの姿勢でひとつこれを善処いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  43. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 前向きに善処をしていただくということでは、なかなかどうもすっきりしないのでありますけれどもいずれこれは政務次官のそのおっしゃったことを、具体的にいま出した問題について、従来のそれらの指定条件には合わないけれども、現実にこれを救済するには、特例をもってこの豪雪をこうむった道路という現実を踏まえて指定をするような方向に善処をするというふうにまあ理解をいたしまして、いずれ本院から実態調査をした経過によって、またさらに具体的にその前向きがどこまで前進したか、そういう将来の時点でまたお尋ねをいたすことにいたして、この問題はその程度でとどめておきます。  それから、生活保護世帯なり、あるいは児童あるいは社会福祉施設というものに対する除雪費の助成とか、それから、この豪雪で破壊された家屋の建設費、修理費というものについては、これまた政府の特段の施策を得なければ、復旧が至難なことであります。したがって、それらの措置についての特段の配慮を講じてほしいのでありますが、それを総括してひとつの所信のほどを承りたいと思います。
  44. 牛丸義留

    政府委員(牛丸義留君) 厚生省関係の、特に生活保護世帯除雪の経費につきましては、家屋の修理費の中に含めて、一般には一万円を限度として助成をいたしているわけでありますが、雪害地におきましては、知事におきまして、特別基準を設定いたしまして、その金額を一万五千円まで増額し、その範囲で処理をしていただくようなことを、昨年の北陸の雪害から特別にこういう措置を講じているわけでございますので、今回におきましても、岩手なり青森の実情をよく——報告は私どものほうにも来ておりますが、その点を考慮して善処したいと思っております。
  45. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 いろいろまだお尋ねしたい点はありますけれども、いずれこの岩手もまた青森も出てくると思いますが、岩手青森を通じての豪雪対策について、次回の委員会でお尋ねをすることにいたしまして、きょう私のお尋ねすることは、以上にとどめておくことにいたします。  ただ最後に、私が強く要請をいたしたいのは、豪雪地帯対策基本計画が来週の閣議決定する、その計画を踏まえて、おそらくその会議の第一号にこの岩手豪雪が運用されると思います。その運用にあたっては、この閣議決定されるであろう基本計画の趣旨を十全にこれは取り上げて、そうして適切なる措置を講ずる。従来の慣例にとらわれることなく、これらの地域住民の実情と、ことばにはあらわし得ない深い影響と打撃というものを復元するためにも、少なくとも、きょう御答弁になった抽象的な検討する、善処をするというものを、もっと本院の現地調査に基づいて得たデータ、政府がみずから聴取されたデータ等を勘案して、この検討、善処から、具体的にしからばどうするかという内容まで、さらに突っ込んだ御答弁ができるように、きょうにもまして、政府の最高責任者が出席をして、次の委員会に御答弁をしていただきたいということを申し上げて、私の質問は終わります。
  46. 小平芳平

    委員長小平芳平君) ほかに御質疑もございませんようですから、本件につきましては、この程度にとどめます。     —————————————
  47. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 矢山君。
  48. 矢山有作

    ○矢山有作君 ちょうどこの機会に、松野農林政務次官がお見えになっておりますので、ちょっとお伺いしておきたいのですが、先般の千葉外七県のノリの被害がありましたが、その問題について、二月の五日の災害対策特別委員会で取り上げ、さらに先般の農林水産委員会でも申し上げたところなんですが、その後の処理状況がどういうふうになっておりますか、ひとつ御説明いただきたいと思います。
  49. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) ノリの被害につきましては、十分私も承知しておりまして、目下、実地調査その他、統計調査のほうの報告等を取りまとめて、それによって天災融資法の発動をはかるべく、いま作業をいたしているような状況であります。なお、そのうちの災害激甚とかいうことにつきましても、目下検討をいたしておるような状況であります。
  50. 矢山有作

    ○矢山有作君 このノリの災害問題を取り上げましたのが二月の五日です。それでその際に、もう繰り返しては申しませんが、私も被害地の状況というものを、千葉県へ参りましたので、特にその状況等を詳しく御説明申し上げて、早急に天災融資法の発動なり、さらにそれに加えて融資ワクなり、あるいは融資条件等について特別の配慮をいただくようにということを御要望申し上げたわけです。ところが、それからすでに二週間以上経過しておるのですが、いまだに天災融資法の発動すらきまらないということでは、こうした災害に、先ほども話が渡辺委員から出ましたが、十分に対処していくことにならぬのではないか。対処のしかたがおくれてくれば、せっかく天災融資法が発動いたしましても、その効果は半減、さらに三分の一にも減ってくるわけです。したがって、私のほうとしては、早急に対策を立てていただくことを特に強く希望したのですが、いまだにその天災融資法の発動すらきまらないというのは、具体的にどういうところに問題があるのか、このことを御承知ならお伺いしたいと思うのです。
  51. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 時間のかかっておるのははなはだ遺憾とするものでありますが、主として私は、申し上げた被害のうち、いわゆる災害激甚地をどこどこ取り上げるかという問題について、まだ決定を見ていないというような状況であり、極力やります。近いうちにやりたいと考えております。
  52. 矢山有作

    ○矢山有作君 それじゃ、天災融資法の発動は決定したと解釈していいですね。
  53. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 最後的決定ということは申し上げかねますけれども、その方向でいま進んでおります。
  54. 矢山有作

    ○矢山有作君 まあ、私のいろいろな方面から聞きましたところでは、天災融資法を発動する場合の文理的な解釈の問題から、なかなか話が進んでおらぬのじゃないかと思います。しかしながら、私どもは、天災融資法というものが制定された趣旨がどこにあるのかというその大筋を踏まえていかれたら、個々の文理解釈などというものはあまり問題にならぬと思うのです。先般の災害対策委員会なり農林水産委員会でも、あのノリの被害が天災であるということはお認めになったのですから、そうすれば早急に天災融資法の発動に踏み切られるということも、さらに被害の激甚な状態にかんがみて特別な措置をとっていく、この方法で早急に善処していただきたいということを重ねて申し上げます。善処のしかたがおくれると非常な問題が起きてくる。特に先般も申し上げましたが、千葉県のノリ業者のごときは、これはもうノリの収入によって生活しておる。しかも、東京湾では漁業ができない状態なんです。しかも、他に収入を求めようといっても、それも非常に困難な状態なんであります。そうすれば、早急にこの発動をやらないというと問題が起こるおそれがあるわけであります。したがって、このことを十分政務次官もお含みおきをいただいて、ぜひ処置を早めていただくようにしたい、こういうふうに重ねて要望いたしておきます。  それからなお、きょういただきました資料で、公害等の関係の資料もいただいたわけですが、しかし、公害と漁業の問題等については、いろいろの問題もありますので、災害対策委員会なりあるいは農林水産委員会であらためてお聞きをしたいとは思っておりますが、いまの点については、これはもう口先だけでおっしゃっていただいたんじゃいけないのです。もうすでに二月五日から二週間以上たっておるのですから、早急に発動をぜひお願いしたいと思います。
  55. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) 御指摘の点はよくわかりました。もういまの段階では別に解釈の問題じゃありません。天災だということを認めておるような状況であります。ただ、その事務的な段階でおくれておりますが、できるだけ早くやりたいと思います。
  56. 矢山有作

    ○矢山有作君 これは、私も理事の一人として特に申し上げておきたいのですが、渡辺委員のほうからも話がありましたが、この委員会には極力大臣が出ていただくというように委員長のほうで配慮いただく。それが万々不可能な場合は、やはりそれにかわるべき人を出していただく。このことはやはり重ねて要求をしておきたいと思いますので、委員長のほうで十分ひとつ善処していただきたい。
  57. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 本回の委員会における政府側の出席については、きわめて遺憾な点がありましたので、今後はかかることのないように、強く政府に善処を委員長として要望いたしたいと思います。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 いまのノリの天災融資法ね、それの発動については、次の委員会には必ず報告を求めるということにしておいたらどうですか。そうでないと、ほんとうにとどまるところを知らない。それで、具体的にどこを指定してどうやるのか、それでもおそいと思うのですけれどもね、その前に中間報告ができるなら、それにこしたことはないけれども、少なくとも次の委員会にちゃんと報告するならする、大蔵省も来るなら来て、大蔵大臣もほんとうは出るべきだから、間に合わなければ次官ぐらい来ないと、あんな主計官なんか来たってしようがない、話にならない、この点確認してください。そうでないと進まない。
  59. 松野孝一

    政府委員松野孝一君) いまの岩間委員の御指摘のように、この次の委員会に報告できるようにいたしたいと思っております。
  60. 小平芳平

    委員長小平芳平君) 他に御質疑もございませんようですから、本件につきましては、この程度にとどめます。  なお、委員派遣につきましては、本国会当初、その取り扱い委員長に御一任願うことに決定いたしておりましたが、東北地方雪害に関して、本委員会散会後、委員長及び理事によりまして、その取り扱いを協議いたしたいと存じます。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会