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1964-06-25 第46回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午前十一時十七分開会   ——————————  出席者は左のとおり。    委員長     小柳 牧衞君    理事            後藤 義隆君            館  哲二君            鈴木  壽君            中尾 辰義君    委員            青柳 秀夫君            石原幹市郎君            西郷吉之助君            斎藤  昇君            長谷川 仁君            増原 恵吉君            吉江 勝保君            秋山 長造君            占部 秀男君            小酒井義男君            成瀬 幡治君            林  虎雄君            基  政七君   衆議院議員    修正案提出者  青木  正君   国務大臣    自 治 大 臣 赤澤 正道君   政府委員    自治省選挙局長 長野 士郎君   事務局側    常任委員会専門    員       鈴木  武君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (閣法第一四三号)(内閣提出、衆議  院送付) ○衆議院議員定数是正に関する請願  (第二一八二号) ○国会議員定数是正に関する請願  (第二七八四号) ○選挙公営化に関する請願(第二八  〇二号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件    ——————————
  2. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ただいまから委員会開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院送付)を議題といたします。  本案につきましては、衆議院において修正されておりますので、まず、修正部分について御説明を願います。衆議院議員青木正君。
  3. 青木正

    衆議院議員青木正君) ただいま議題に供されました公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして提案者を代表し、提案趣旨並びにその内容概要を御説明申し上げます。  本年三月二十四日、政府は、選挙制度審議会答申趣旨に基づき、衆議院議員の総定数及び各選挙区において選挙すべき定数について是正を行なうため、公職選挙法の一部を改正する法律案を提出したのであります。  この法律案によりますと、十二選挙区にわたって十九名の議員定数が増加することとなるのでありますが、このうち東京都第一区、第五区、第六区、愛知県第一区、大阪府第一区の五選挙区については、その定数が六人ないし八人となることとなっているのであります。  申すまでもなく、選挙制度にとって、最も重要、かつ、欠くべからざる基本要件は、すべての選挙区を通じて、各選挙区は平等であるとのたてまえのもとに、一定の原理ないし原則で一貫されていることであります。  ひるがえって、わが国現行衆議院議員選挙制度をみますると、大正十四年の普選実施以来、一選挙区につき、その議員定数最低三人最高五人を配当するといういわゆる中選挙制度を採用しているところであって、この制度自体の是非については、根本的な議論の余地はあるとしても、中選挙区制を維持する以上は、選挙配当定数を三人ないし五人とすべきものであって、この法律案のごとく、大都市を中心として六人区ないし八人区というような例外を認めることは、中選挙区制のたてまえをくずすことになり妥当ではないことはいうまでもないところであります。のみならず、この間の事情について、政府にただしましたところ、政府の真意は、国会審議過程において十分検討の上、中選挙区の原則を維持するために、六人区以上については分割するよう修正されたいとのことでありました。よって、当委員会は、選挙区に関する小委員会を設け、前後六回にわたる審議を続けたのでありますが、その過程において種々の参考案検討し、今回、ようやく成案を得るに至りました。  選挙区の分割にあたっては、  1、分割により設定される各選挙区の人口及び将来人口が、それぞれなるべく均衡のとれたものとなるようにすること。  2、行政区域を尊重し、この区域分割することとならないようにすること。  3、分割後の選挙区の地域が、それぞれ、地勢交通産業行政的沿革等諸般事情を考慮して合理的なものとなるように定めること。  4、分割後の選挙区の地域が、それぞれ、いわゆる拠点中心として地域的なまとまりを示すこととなる等社会的、経済的観点からも地域的一体性を保持することとなるよう配慮すること。  等の諸原則基本とし、かつ、地域特殊性を勘案して分割いたしたのであります。  以下各選挙区の分割について特に留意した事項について申し上げます。  東京都第一区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割することといたしておりますが、分割にあたっては、特に、人口均衡をはかるとともに、あわせて行政的沿革産業等事情を考慮して定めたのであります。  東京都第五区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割することといたしたのでありますが、将来人口推移により均衡を確保し得るとの見通しのもとに、交通機関等による各地域の社会的、経済的一体性等事情を考慮して定めたのであります。  東京都第六区については、それぞれ議員定数四名の選挙区に分割することといたしたのであります。分割にあたっては、人口を基準として行なうことも種々検討したのでありますが、この際は、荒川放水路がこの区を縦断し、自然の大きな境界線をなしているという地理的事情に重点を置くとともに行政的沿革、社会的、経済的一体性事情をも考慮して定めたのであります。  愛知県第一区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割いたしたのでありますが、将来人口推移により均衡を確保し得るとの見通しのもとに、地勢交通産業行政的沿革等事情と、南北各地域一体性を考慮して定めたのであります。  大阪府第一区については、それぞれ議員定数三名の選挙区に分割いたしたのでありますが、人口均衡をはかるとともに、同地域の二つの拠点中心とする交通、社会的、経済的一体性等事情を考慮して定めたのであります。  なお、分割後の各選挙区の名称については、改正されない選挙区の名称については変更を加えないこととする方針に立ち、現行の各選挙区の編成順位に従い、それぞれその順位により名称を付することといたしたのであります。  最後に、修正案は、政府案どおり現行公職選挙法の別表を改正するものではなく、その附則において、当分の間の措置としているのでありますが、これは、議員定数是正は、本来は、その前提となる選挙区制根本的検討とあわせて考慮すべきであるとの選挙制度審議会答申趣旨にのっとったのであります。  以上修正案概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) それではこれより質疑に入ります。御質疑の方は順次御発言を願います。
  5. 中尾辰義

    中尾辰義君 提案者にお伺いしますが、この政府原案は、選挙制度審議会答申に基づきまして、定員の増員についてのみ答申が出ておりますが、それをこのように分割をされましたその理由についてお伺いしたい。
  6. 青木正

    衆議院議員青木正君) ただいま提案趣旨におきまして申し述べましたとおり、政府提案選挙制度審議会答申のまま提案されたのであります。しかしながら、選挙制度審議会答申を拝見いたしましても、選挙制度審議会といたしまして、本来はやはり中選挙区の線に沿って分割することが適当である、しかしながら、選挙制度審議会が御承知のように提出されましたのは、国会開会の直前でありましたので、その時間的なゆとりがないので、とりあえずこのまま出すということで、選挙制度審議会としても、本来ならば分割すべきであるという考え方に立っておるように私どもは拝承するのでありまして、そうしてまた提案説明にも申し述べましたとおり、政府側の意図といたしましても、できることならばやはり中選挙区制原則と申しますか、これは別に理論的根拠のあることではありませんが、長い慣行として中選挙区は三人ないし五人ということになっておりますので、できることならば分割すべきである。しかし、政府審議会答申どおり出す、出しましても国会段階において各党間で話ができることならば、分割することが望ましいというお考えを持っておるのでありまして、私ども衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会におきましても、政府案審議する過程におきまして、自由民主党並び社会党におきましては、やはり中選挙区制原則を貫くべきである。民社党側におきましては、分割することそれ自体に御異論はないようでありますが、ただ考え方としまして、本来ならばこの分割ということは公正な第三者がなすべきである、したがって、たとえば区割り委員会のようなものを設けて、そこにはかって分割案政府が提出すべきであって、政府案のように分割せずに出して国会分割するということは不適当である。こういうお考えのもとに、民社側におきましては遺憾ながら同調いたさなかったのであります。しかし、自由民主党並び社会党両党間におきましては、やはりこれは選挙制度審議会考え方も尊重し、またわが国の中選挙制度の長い慣行を維持するという観点からいたしましても、これを分割するように努力しようではないか、そうして民社さんの言うように、公正な第三者にお願いするということが適当でありますが、いまの段階ではそうするわけにまいりませんし、まあ両党間で話し合いするということになりますれば、いわゆるゲリマンダーというおそれも自然なくなりますので、これはお互いに協力して分割しようという考え方で小委員会を設けまして、六回の小委員会を重ね・その結果、分割ということになって修正案を提出することに相なったのであります。
  7. 中尾辰義

    中尾辰義君 選挙区の問題につきましては、区制の問題につきましては、過去いろいろ小選挙区、中選挙区あるいは大選挙区といろいろと変遷をたどっておりますが、その歴史的な選挙区の変遷経過ですね。これは明治二十二年ですか、当時の選挙法によりまして小選挙区が一番初めに始まったと思うのですが、その経過はどういうふうにたどっておるのか。その点につきましてちょっと説明を願いたいと思います。
  8. 青木正

    衆議院議員青木正君) 日本選挙区制沿革につきましては、私が申し上げるまでもなく、御承知のとおり、当初いわゆる小選挙区制で発足いたしたのであります。その小選挙区制をとった理由は奈辺にあるか。私どもその当時の事情をいろいろ検討いたしたのでありますが、まあ一応イギリスの例をとるというようなこと、あまりたいした理屈もなしに小選挙区制をとったようであります。小選挙区制を採用してまいったのでありますが、その後、これは藩閥内閣と申しますか、藩閥内閣におきまして、その当時の文献を調べてみますると、小選挙区制を採用すると政党が伸びてくると。そこで政党の台頭を押えるためには大選挙区にすべきであるというような意見が当時論議されたようであります。そこで藩閥内閣におきましてこれを大選挙区制に改めたのであります。改めましたのが明治三十三年でありますが、明治三十三年に大選挙区制にいたしたのでありますが、その後原内閣ができまして、原内閣は、当時の国会における提案説明を読んでみますと、政党基盤をつちかうためには小選挙区にしなければならないと、こういうことで、大正八年に床次竹二郎氏が内務大臣当時小選挙区制に改正いたしたのであります。ところが、小選挙区制によりまして、実際に選挙が行なわれましたのは、御承知のように、清浦内閣——清浦内閣護憲三派と争いました結果、護憲三派が勝利を得たのであります。そこで、加藤高明氏を中心とする護憲三派内閣ができまして、そうして若槻さんの内務大臣のときに現行のいわゆる中選挙区制を提出いたしたのであります。その当時の事情につきましては、いろいろ論議されておりますが、私どもの見るところをもってすれば、護憲三派内閣ができましたので、少なくとも各選挙区から玉名の候補者が立つことができ、また当選することができなければ護憲三派内閣基礎がゆらぐわけであります。そこで、大正十四年の若槻内務大臣当時、少なくとも三人ないし五人といういわゆる中選挙区制というものが提案されたのでありまして、当時の若槻さんの提案説明を読んでみますと、まあ大選挙区と小選挙区の短を捨て長をとる、こういう考え方であると申しておりますが、その実体は、要するに、護憲三派内閣というものは三党を基盤としておる内閣でありますので、やはり三党が、その基盤とする各党とも選挙にあたって選出することができるような姿にしなければならぬ、こういうことが一つ基本的な、内面的と申しますか、事情にあったのではないかと推察されるのであります。したがいまして、いわゆる中選挙区制というものは、日本にしかない制度であり、また三人ないし五人ということにする何ら理論的な根拠があるわけではなくして、その当時の政治的な情勢所産と、私どもはそう判断せざるを得ないのであります。しかしながら、その制度大正十四年から採用され今日に及んでおりますので、日本にとっては一つ慣行と申しますか、長い間の伝統ということに相なっておるのでありまして、その後、終戦後一時御承知のように大選挙区、そうして連記制という制度のもとに一回だけ選挙が行なわれましたが、再びまた従前の中選挙区制に戻りまして現在に至っておる、かように私ども承知いたしておるのであります。
  9. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますると、中選挙区の採用ということは、要するに法律的な根拠というものはないけれども、政治的な問題がからんでおる、政治的な判断というものが加味されておる、こういうふうに理解してもよろしいですか。
  10. 青木正

    衆議院議員青木正君) まあ見る人によって、いろいろ見解もあろうかと存じますが、私は少なくともさように理解いたしておるのでありまして、中選挙区をつくるときには、石井謹吾、なくなりましたが、石井謹吾という議員中心となりましてこの案をつくりまして、その当時私も若干、石井謹吾氏のところに参りまして、内部事情等も承ったこともあるのでありますが、私の理解する限りにおきましては、護憲三派内閣出現という、その当時の変態的な政治情勢所産、これがまた一番大きな理由ではなかったかと、こう考えざるを得ないのであります。
  11. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあ御承知のとおり、選挙権の行使につきましては、これはもっと公平でなければならない。これはわかりきったことでありますが、憲法の第十四条を見ましても、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、」、その次は「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、こういうふうになっておるわけですが、そこで、中選挙区というものは結局法的な理論というものはないわけですね。
  12. 青木正

    衆議院議員青木正君) この修正案というか、一般論でありますので、あるいは自治大臣のほうから御答弁申し上げることが適当かと存じますが、私の理解する限りにおきましては、三人ないし五人としなければならぬという理論的根拠というものを私は発見しがたいのではないか。世界各国選挙区制を見ましても、いずれも小選挙区、しからずんば大選挙区、中選挙区という制度はないのであります。選挙制度審議会におきまして、御承知のように、現在そういう根本問題については検討中に属しておりますので、それはその結論を待ってやるべきこととは存じますが、少なくともその結論が出るまでの間、現在の中選挙区制を採用しておる限りにおきましては、理論的根拠はないといたしましても、長い一つ慣行と申しますか、でありますので、やはりこれは尊重すべきものではないか、根本改正はいずれ選挙制度審議会答申を待って根本的に検討することといたしまして、現段階におきましては、中選挙区制が現に実施されておりますので、大正十四年からの長い慣行というものは守っていくことが適当じゃないか、こう私ども考えざるを得ないのであります。
  13. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕   〔委員長退席理事後藤義隆君着   席〕
  14. 後藤義隆

    理事後藤義隆君) 速記をつけて。
  15. 基政七

    基政七君 区割りの問題ですけれども、私は私まず第一に、中選挙区制という概念ですが、これはどういう歴史的な事実があって、何かに基づいての事実があるのですか、それをひとつ。
  16. 青木正

    衆議院議員青木正君) ただいまも御質問がありまして、申し上げたのでありますが、日本選挙区は最初小選挙区制に始まり、途中藩閥内閣当時、小選挙制は政党が伸びてくるおそれがあるというので大選挙区に変わりまして、そうしてしばらくたちまして原内閣ができまして、政党内閣が成立いたしますと、当時床次さんが内務大臣で、政党基盤をつちかうためには小選挙区制たるべきであるということで、小選挙区制にいたしたのであります。ところが、まことにふしぎな運命と申しますか、その小選挙区制でありました選挙が、清浦内閣護憲三派との争いの中であったわけであります。選挙の結果、護憲三派内閣が成立いたしまして、加藤高明氏を首相として内務大臣若槻さん、若槻内務大臣当時に、現在の中選挙区制提案されたのであります。その若槻さんの提案理由を読んでみますると、大選挙区と小選挙区の短を補い長をとる、こういう表現をいたしておりますが、その当時の事情を私の理解する限りにおきましては、護憲三派内閣ができましたので、護憲三派内閣基礎と申しますか、を確立するためには、やはり三党がともに立候補でき、三党から当選者が出るような選挙制度でなければ、護憲三派内閣基礎がゆらぐわけであります。そういう事情が内部的にありまして、世界に類例を見ないこういう制度ができたものと私は理解いたしておるのであります。したがいまして、中選挙区制というものは、別段理論的根拠があるわけでもなくして、いわばその当時における変態的な日本政治情勢所産と見るべきが至当ではないかと私は理解いたしておるのであります。
  17. 基政七

    基政七君 いわゆる戦前普通選挙以前の場合と、普選が施行されてからの情勢というのは、選挙される人もする人も、非常にムードが変わってきていると思う。その上に、戦後になりますと——婦人参政権の問題も一応運動が行なわれておりましたけれども、戦後は一応婦人参政権を得たわけです。ですからそう考えますと、前の当時の中選挙区の場合の考えと、それから小選挙区と同様だと思うんですよ。非常に条件が変わっているんじゃないかと思うんですね。ですから、私ども分割することについては、根本的に反対するわけじゃないんですけれども、それらのことが考慮されずに、ただ八人区を四人区にするんだ、六人区は三人区にするんだ——最低としては、この場合に言いますと、中選挙区の場合は三人以上六人以内、こういうことになっていますね。その三人の幅というのは、選挙する側から見ましたならば、はたして分布状態は公平に行なわれるのかどうか。その辺が、私は、きわめて不明確なままに論議されているんじゃないかと思うんですね。ですからその辺が、戦前の歴史の事実はそれは私は認めるんですけれども、当時は、実は、選挙する人も——選挙資格者も、国税の納税者でないといけない。普選が実行される前の話であればそうなんです。普選が行なわれましても、事実上まだ経験が十分でなかったために、いろんな選挙制度上欠陥があったと思う。選挙区の場合、こういう問題は根本的に検討した上でないと、非常にあとで将来に何か問題を残すような気がする。ですから、その辺の審議過程をもう少し御説明いただければ、納得するということになるんじゃないかと思うんです。
  18. 青木正

    衆議院議員青木正君) 私どももそのとおりと思います。そこで、政府におきまして選挙制度審議会諮問をいたしまして、そういう問題も含めまして、選挙制度区制の問題、あるいはまた、比例代表制を採用するかどうかというような根本的な問題につきまして諮問を受けて、現在、御承知のように、選挙制度審議会検討中に属するわけであります。そして、今般のアンバランス是正につきましても、選挙制度審議会答申を見ましても、本来この問題は、根本的な問題と取り組んで、そうしてその機会解決すべきものである、しかし、それにはまだ若干の時間を要する、しかし、現在そういうアンバランスの著しい状態で、そのままにしておくこともどうかと考えられるので、根本的改正を待ってやるべきことではあるが、さしあたり、とりあえず十九名だけ増員して、ひどい極端なアンバランスだけ直すべきである、こういう考え方で、選挙制度審議会も全くお話のとおり同じ考え方と私は考ます。私どもも同じ考えで、これはやはり根本的に検討すべきものだ、しかし、この際はとりあえずアンバランスというところだけ直すということにする、私どもはこう考えざるを得ないのであります。   〔理事後藤義隆退席委員長着席
  19. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  20. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。
  21. 基政七

    基政七君 一応考え方としては、私どももそう違っているんじゃないんですけれども、ただ、今度十九名を増員されましたのも、人口アンバランス是正だとおっしゃっているんです。が、これもかなり、いろんな関係で移動が激しくなるんじゃないかと思います。これから先の新産都市の関係なり、都市計画等もこれからもどんどん新しい観点議論の対象になってきますから、いまここで十九名を増員をして、アンバランスのある程度の是正が行なわれたとしても、近い将来、私は、また問題が起こってくると思う。ですから、この機会増員を急ぐんではなくて、もっとやはり選挙制度それ自体根本に触れて、それの一つ解決見通しがついてから増員されても、私はそうおそくはなかったんじゃないかと思う。ことに今度の場合、聞きますと、小さい県でも、人口が希薄になっても三人は確保しなきゃならぬというような結論が出てくる可能性が、私は多分にあると思う。ですから、根本的に考えますならば、減員すべきところはやはり減員をして、そしてアンバランス是正を最も公平に行なって、将来に禍根を残さないように、しかも立法それ自身が、将来にかなりの保証があるという形をとらなければ、私は根本的に解決はできない。ですから、その意味では、私は、少し拙速主義に走り過ぎたんじゃないかという感じを持っている。これは、八人区と三人区の場合の選挙やり方は、それほど私は大きな差はないと思う。同じことです。三人の中で一人、八人の中で一人選ぶんですから、選ぶほうの側から見れば、私は、そんなに複雑な問題でないと思う。そこで、結局、その人口アンバランス是正するという大義名分のために区割りをあまり急ぎ過ぎて、かえって将来に禍根を残す懸念がある。その辺がひとつ非常に心配の種ですから、その辺を——この提案理由説明によりますと、相当議論されたとおっしゃっていますから、その辺の内容について、もしございましたら詳細にお話し願いたい。
  22. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) さっきから、今回の中選挙区制を従来どおりとって、三人ないし五人区ということで、六人、八人区を割ったことについていろいろ御質疑があったんですが、私も青木議員がおっしゃるように三人ないし五人の中選挙区に、厳密に理論的根拠は私もないと思っています。しかし、世界中一様に、やはり死に票はできるだけなくするということ、選挙を通じて民意をくまなく反映させるにはどういう方法があるかということにつきましては、ずいぶん検討も加えられておりまして、ドイツあたりが一番進んでいることは、早くから比例代表制を採用している経過なんか見ましても、一番いいやり方をやっておると思っておるわけでございます。  大体、私が初めて衆議院選挙をやりましたときも、これまた話題にのぼっておりませんけれども、一回だけ例の中選挙連記制を採用したわけであります。しかし、あれは結果から見ますと、かんばしくなかったので一回きりでやめてしまったわけでございますが、当時から、言うまでもなく死に票をなくすためにはどうしたらいいかということはずいぶんここでも検討をされたわけでございます。一般的に言えば、やっぱり小選挙区一人一区にすれば政党が大きなウエイトを占めることになる。これは少数党というものがちょっとできないような状態に当然なるわけでございまして、選挙区は安定いたします。逆に言えば、大選挙区の場合に小党が当然たくさん乱立をするわけでございまして、少数派というものは実にたくさんできるわけです。だから先ほど青木議員がおっしゃいましたように、長をとり短を捨てるということは、ここらの調整が主ないし五人区にしぼったほうがいいんじゃないか。マッカーサー司令部の指令では——指令そのものじゃありませんけれども、当時の議論は、やはり衆議院地域代表である、だからできるだけこまかく割って、まんべんなく議員が出るようにしたらどうか。同時に参議院は職能代表である、できるだけ選挙区というものを大きくして、そうして職能代表的なものが出る、そしてそれを加味してやったほうがいいんじゃないかという最終の結論になった。最初は御承知のとおり、一院制をGHQは主張したわけでございますが、しかし、日本も、昔の衆議院、貴族院というあの考え方が頭にこびりついておった面もあるし、いろいろ検討いたしました結果、二院制にするということだけは強く主張して、憲法にはほとんど手が入れられなかったけれども、一、二点、こういった重大なことがいれられたわけでございます。自来ずっと中選挙区をやってまいりましたが、最近の考え方、つまり審議会の動きは私は気配を察するわけですけれども、やはり同じ区で同じ党の者がせり合う姿というものはかんばしくない。あわせて政党法的なものが、何らかの形でこれが解決できるような方向に向かえばいいけれども、いずれにしても、これは一人一区という姿がいいのじゃないかということで、だいぶ御検討が進んだやに承知しておりますが、なかなか一人一区ということになると、さらに区割りをこまかくやっていく上においてはなかなか難点がある、もう少し時間をかけようということじゃないかと私には想像されるわけでございます。で、今度の答申を見ましても、さしあたりといった文字が出てまいりますが、そうしたことも基因いたしまして、これも議論の対象になりましたが、まあ暫定的にということで一応こういうことをやることになったわけでございまするけれども、私はやはり近い将来そういう方向へ動いていくんじゃないかというふうに想像されるわけでございます。が、しかし、先ほど申しましたように、やっぱり小選挙区制をとりますと死に票が一番多くなるわけですから、議論されております中心は、これにどういう形で比例代表制を加味するかといったようなことがずいぶん討論されておるようでございます。それで、大体最近の考え方はそういうのじゃないかと思うんですけれども、やはりこの主ないし五人区というのも日本選挙制度の歴史から考えましてもまあ長い間これでやってきたわけでございまするので、いま急にこれを変改するということも——つまり二人区のところもあるし八人区のところもあるということでは、筋としての、日本の歴史を背景とする三ないし五人区という線がくずれてしまうわけでございますので、とりあえずのところはまあこの基本的な日本の主ないし五人区ということでやっておこうこの次はやはり相当思い切った答申が出てくるのではないかということを私ども——というふうに見ておる——期待をしておるというわけではございませんけれども、というふうに見ておるわけでございます。
  23. 基政七

    基政七君 それじゃ自治大臣にお尋ねしたいんですが、今度、区割りの問題を政府は、そのままでまあほうり出したようなかっこうで、議員さんのほうで御都合のいいようにおやりなさいという、まあ非常に悪く言えば、そういう表現でも必ずしも不適切では私はないと思うんですけれども、そうされておる意味はどこにあるんですか。
  24. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) これは、アンバランスがひどくて、つまり一人当たり当選票というものが非常に大きな差が出てきておりまして、中心東京ですけれども、いかにも不合理だと、これはだれが見てもそうでございますので、やはりこのアンバランスをこの際できるだけ直そうという議論は当然起こってきたわけでございます。しかし、これをさらに審議過程において、三ないし五人区に割るという、こういうやり方は私どもも本来は感心いたしません。これは先ほどあなたがたのおっしゃるように、第三者機関できちっと割って答申されておったら問題ありませんでしたけれども、先ほど青木議員が申しましたように、この前の選挙の直前に出てきたものですから、どうにも手がつけられない。大体、八人区なんというものでやっちまったら、それがくずれますから、ずいぶんこの問題は悩んだようでございますが、とにかく拙速だということで、とりあえず提案をいたしまして、そうして審議過程でということになったわけでございます。  しかし、この審議過程も、実際のことを申しますと、いろいろ議論もありまして、三党ともそれぞれのお考えがお立場からあったわけでございます。私はそれを承知はいたしておりましたけれども、私もまあこの法案を何とかこの国会中に日の目を見させなきゃならぬという責任もございますし、それから自治省案というのも、しさいに検討をしてみました。しかし、実は自民党の内部から申しましても、たとえば東京六区でも非常にこれに異論のある方もあるわけですし、それから社会党の中にもこれでいいというお考えの方もあるし、異論をお持ちの方もあることは承知をいたしておりますので——民社党にとっても同じでございます。しかも次の段階である候補者のことまで考えるようになってはこれはどうにもならぬ。そうしたらどう検討したって最終案がまとまるわけじゃございませんので、それから申しますと、事務的に、地理だとか沿革などを中心として割っておりましたもので、大体しんぼう願うのが一番早道じゃないか。私は、自治大臣になりましてからも、この問題につきまして、いろいろ面会を求められましたけれども、全部お目にかかるのをお断わりして、ほおかぶりでこれは実はひた押しに押してまいったわけでございます。で、大体第三者機関ではありませんけれども国会でお割りになったのは、みなそれぞれの立場というものを忍んでいただいて、そうして今日こういう形でまとまることができましたので、世間からゲリマンダーなどという批判は、今回は私は受けることはないという気持ちがいたしているわけでございまして、東京六区のごときも、たいへん社会党の皆さんから、あれだけのアンバランスのままで割るのはおかしいじゃないかという御議論もよくわかりますが、しかしまあ、幸か不幸か、あそこへ大きな川が流れておったわけだから、自然条件には合っているのじゃないですかということで、無理を承知の上で、ごしんぼう願ったわけでございますので、そういったいろいろな経過というものにつきましては、ひとつ、御了解願いたいと思います。
  25. 基政七

    基政七君 もう一、二点質問をいたしたいのですが、これは本則を変えずに附則でおやりになったのはどういう意味ですか。引っぱり出してみますと、選挙法自身は、四百四十六名と本則で書いてありますね。それで、別表もそのままにして、附則で補っておられるのは、私はこの法律のたてまえ上といいますか、こういう重大な問題を扱うには、少し不適切な感じがするのですが、これはどういうわけですか。
  26. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) なるほどおっしゃるとおりでございますが、しかし、先ほど申しましたように、続いて大きな改正が行なわれる——答申待ちでもございますし、附則と申しましても、附帯条件とは違いまして、やはりこれは法律でございまして、それぞれ本文の中に盛ったのも附則で盛ったのも、拘束する法律的効果というものは全然同じでございまするので、形は少しおかしいとお思いになるかもしれませんけれども、私たちはそういう形をとったわけでございます。
  27. 基政七

    基政七君 そうしますと、この答申が出ますと、いまの四百八十六名というのは、変更されることは一応予想されたのでございますか。定数全員、今度の場合は四百八十六名ですね、附則でね。それは今度答申が出ますと、多少変更される可能性が出てくるというお考えはあるのですか。
  28. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 審議会のこの次の答申が出まするならばもちろんこれは尊重しなければなりませんが、ただ先ほどの新産都市の問題、それから東京の六区の改正にいたしましても、逐次人口の変動があるわけでございますから、そのつど若干名ということを、すぐ答申どおりにするとは申し上げられませんけれども、しかし、今度はおそらくまとまった答申が出るのじゃないかというふうな私たちは気持ちがいたすわけでございますので、もうたびたびこういうふうに、三名ふえた五名減ったということの御審議は、おそらく願わないことになるのじゃないか、かように考えております。
  29. 基政七

    基政七君 もう一点お尋ねしたいのですがね。大体この選挙のまあ選挙人名簿というか、人口アンバランスの一番基礎になりますのは、国勢調査が一番重要に考えられているわけですね。いままで国勢調査によって人口の移動があれば、それに基づいて定数の変更があるべきだというように、一般的には常識で考えられておったのですけれども、それがいままで全然行なわれずに、今度減員の問題に全然触れずに十九名の増員だけ審議されたように、まあ、表面的には見られるわけです。そうしますと、これから先答申の有無にかかわらず、政府としては、国勢調査の結果、人口に非常に大きなアンバランスを生じた場合には、当然これは修正すべきであるという基本方針は持っていらっしゃるわけですか。それをちょっと自治大臣にお尋ねしておきたいのです。
  30. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) もちろん持っておりますが、しかし、それも程度問題でございまして、だから国勢調査の結果というものは始終尊重いたしまして、これをやはり選挙法自体に反映させなければならぬというのは、これは当然のことでございます。しかし、先ほど申しましたように、多少三名、五名計算上その定数がふえる減るからといって、そのつどやるということにつきましては、やはり問題もありますので、まあ、最近どういう状態になりますか存じませんけれども基本的にはやはり変えていかなければならぬと考えております。
  31. 基政七

    基政七君 よろしゅうございます。
  32. 中尾辰義

    中尾辰義君 定数の問題、大体了解をいたしましたが、ただ今度の分割東京の第九区あるいは第五区、こういったところは、五区は豊島区と練馬区、九区は北区と板橋区、このようにわずか二つの行政区になっているわけですがね。そうしますと、やはりこの国会議員の選択にあたって、こういうような小さい範囲におきましてはやはり制限されるのじゃないか、候補者の選択というものが制限されるのじゃないか、こういうような気もするわけです。極端な例を言いますと、これまたほかの行政の区が人口がふえてきますと、やはりこういうふうにだんだん小さくなっていくのじゃないか、こういう気がする。この点はどうですか。——ですから私の考えでは、何もこの際に、暫定的な答申案でありますから、分割はぜずに、むしろ全面的に一緒に解決すべき問題ではないか。先ほどの政党間における同士打ちというか、そういうものを避けるために分割をしたほうがいい、こういう大臣の御意見もありましたが、それならば地方だってやはり全県一区のところもあるし、そういうところは自民党なら自民党、社会党なら社会党でやはり同士打ちというものはあるのですから、これはやはり全面的に審議会区制答申等も待って検討すべきじゃないか、こういうふうに私は考えているわけです。
  33. 青木正

    衆議院議員青木正君) 本質的な問題ですから、自治大臣が御答弁を申し上げるのが適当かと思いますが、衆議院審議段階で、私ども考え方がいろいろ出ましたので、そのことをちょっと申し上げておきたいと思います。  お話のように、私ども基本的には、やはり選挙制度審議会で現に根本改正についていろいろ審議中でありますので、その答申を待って、根本的な改正をすべきことが最も適当と思うのであります。審議会自体もそう考えているようであります。しかし、私どもは先般、御承知のように、東京のこのアンバランス問題で訴訟が出まして、それに対して最高裁から判決が出ているわけであります。その判決を読んでみると、議員定数アンバランスということは違憲ではない。違憲ではないが、そのひどいアンバランスのままにおくということは、これは立法上の問題であり、立法府の責任であるということを最高裁の判決に述べているのであります。そういうことを考えますと、根本的な改正がいつ出てくるか、それを待つまでの間、このひどいアンバランスを放置しておくということは、私は立法府としてのやはり責任上望ましい姿でないのではないか。根本改正が出るまで、そのままほうっておくということでなしに、根本改正が出れば、当然それによって先ほど来いろいろお話のとおり直していかなければなりませんが、しかし、それまでの間といえども、現に極端なアンバランスについては選挙制度審議会も、とりあえず直せ、こう言っているのでありますから、それを直すということが私は立法府の責任ではないか、最高裁でそういう判決を下しておりますので、その立法府の責任を果たさなければいけない、こういう気持ちを持って、お話の点十分考えながらも、なお、とりあえずこの際訂正をすべきである、こういう結論に到達をいたしたのであります。
  34. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと議事進行。  先ほど来、大臣にしても青木さんにしても、選挙制度審議会でやっている、やっていると言って、いま審議中のようなことばかり言っておられますが、選挙制度審議会は現在存在しないじゃありませんか、昨年の暮れ以来。だから、そこいら辺をきちっと答弁をしておかなければ、速記録を見たら、選挙制度審議会でいま審議中のような答弁ばかりしておられる。
  35. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 本来ずっと続いているはずでございます。しかし、まあ私どもといたしましても、この間答申があったばかりでございますので、その答申もまだ実現しないでおって、その次のことをさらに御検討を願うのもいかがかと——この法案が一日も早く通ることを私どもが待っておるのは、やはりすぐ新しい審議会を出発させる準備を整えておるわけです。やっと国会議員委員というものをやはり各党から出していただくのもきめまして、これに学識経験者を加えて、大体七月一日には出発するようにしたいという準備は進めておるような次第でございまして、ただそういったような、この法案の上がるのを待っておるような状態でございますので、そのように御理解を願いたいと思います。
  36. 秋山長造

    ○秋山長造君 私はそんなことを言っておるのではない、別にとがめておるわけではない。この法案を上げることもけっこうなんだけれども、ただ事実問題として何かずっと鋭意審議中だというような答弁をしきりにしておられるから、その点はやはり事実と異なるからということを御注意しておるので、別に他意はないのです。だからその点は、近くやるつもりだということは、それはそれでけっこうだけれども、そのやるつもりだということは、いまやっておるということとは別ですから、その点だけを……。
  37. 中尾辰義

    中尾辰義君 いま大臣の答弁ですが、この法案はきょう初めての審議なんです。それであなた方の趣旨説明は慎重審議を願いますということになっているんですからね、少し関連した質問をしたから、早くそういうのはやめて、早く通してくれ、こういうのは少しまずいんじゃないか、こう思うんです。話はよくわかりますけれども……。
  38. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) 実は、大体うすうすは、まあ同じ両院で、片一方、同じ屋根の下で御審議を願っておるわけですから、御承知でしょうけれども衆議院の皆さんは、これが一日も早くきまらないと不安定で困るということで、たいへん御心配のことは御理解いただけると思います。ただ、かといって隣のことだから、参議院さんのほうでそうやかましく言ってもらいたくないということを言うものはありませんけれども、しかし、衆議院では、ずいぶん割ることについて、御案内のとおりに、いろいろ議論が百出して今日まで時間がかかったわけでございますので、よほど不合理の御指導でない限り、ひとつこれで通していただきたいということをお願いしておるわけです。
  39. 中尾辰義

    中尾辰義君 青木さんに、さっきの続きですが、アンバランス是正するということは、要するに議員一人当たりの人口というものがアンバランスがある、こういう意味じゃないですか。もしそうであれば、それは答申通りに議員定数の増減だけでアンバランス是正されるんじゃないかと、こう思うわけですが、この点いかがですか。
  40. 青木正

    衆議院議員青木正君) アンバランス是正ということは、お話のとおり、議員一人当たりの人口均等でなければならぬということであります。原則はそうでありますが、実際問題になりますと、やはり選挙区制というものは、行政区画を尊重しなければなりませんし、あるいはまた地理的経済的土地の状態等も勘案しなければなりませんので、そう算術で割ったような数にはなかなかいきにくい。そこで選挙制度審議会におきましても、平均の二十万ということを中心といたしまして、上下七万の幅を置いて十三万ないし二十七万という範囲で、今回の是正をしよう、こういう結論になったわけであります。望ましいことは、あくまで数学的には均等でなければならぬことは言うまでもないのでありますが、実際問題とすると、なかなかむつかしいのではないか。外国の例等を見ましても、アメリカは大体五倍ぐらいの偏差があるようでありますし、イギリスはわりに少ないようですが、各国の例を見ましても、理想はほんとうに議員一人当たりの人口が均等でなければならぬと考えながらも、実際問題になると、若干そこに偏差が出てくることもやむを得ないことだと私ども考えざるを得ないのであります。そういう問題等いろいろ問題がありますので、そこで衆議院におきましては附帯決議として、今後の人口の変動あるいは国勢調査の結果等に見て、できるだけそういうこともさらに引き続いて検討すべきである、こういう附帯決議を各党一致でつけたような次第であります。
  41. 中尾辰義

    中尾辰義君 最後に、大臣にお伺いしますが、政治資金の規正につきまして、選挙資金あるいは政治資金というものは、これは個人献金のほうがいいと、こういうふうな答申が第一回も第二回も出ておるわけですが、これは全然政府答申というものを取り上げないというのは、理由はどこにあるのか、これ一点だけ最後にお伺いいたしまして終わりたいと思うのです。
  42. 赤澤正道

    国務大臣赤澤正道君) これは実にむずかしい問題でございまして、なるほど政治資金のことにちょっと触れられてあります。いつも触れられてありますけれども、実際私どもといたしましては、審議会でもう少し掘り下げて検討して、何と申しますか、すぐそのまま実行に移せるような何か答申がいただきたいわけでございまして、ただこういうふうに一行か二行ばかりちょっと答申されておる、それはもっとも千万なことですけれども、そうして掘っていきますと、なかなか議論百、出するわけでございます。個人でありまする場合には、だれしも問題はありますまいけれども、さあ団体ということになれば、会社も団体なら組合も団体といったようなことが出てくるものでございますから、やはりこういった政治資金につきましては、それだけでも少し時間をかけてもっと掘り下げた御答申をいただきたい。それを待って私どもといたしましては、根本的に手を加えなければならぬ、こういうように考えております。
  43. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御発言もないようでございますので、本案についての質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  44. 中尾辰義

    中尾辰義君 私はただいま議題となりました公選法の一部を改正する法案に対し、反対の意を表明する者であります。  反対の理由は、選挙権の公平は選挙法基本問題であり、議員定数人口とのアンバランス是正することは当然の急務でありまするが、昨年の選挙制度審議会答申は、どこまでも暫定的なものであり、しかも選挙区の定員の是正に関しては答えておりまするが、根本的な選挙区制の問題についても、これを保留をいたしておるのであります。区制定数是正の問題は、おのずから別に考えられるから、選挙区を分割することは、次期の選挙制度審議会答申を見てから慎重に考えるべきである。  第二番目は、今回の分割案は、東京五区の選挙区は豊島、練馬区、東京第九区は北区、板橋区の二つの行政区域になっておりまするが、国会議員の選出に当たっては、このように選挙区域を小範囲にすることは、候補者選択の自由が制限され、しかも買収あるいは情実等に動かされやすい弊害が大きいと思われます。  第三点は、分割案は一応中選挙区を維持するようにいわれておりますが、反面から見ますというと、これは大政党候補者間のいわゆる派閥同士間の同士打ちの解消にあるやに思われるのでありまして、この点につきましても、こういった党利に偏したものには賛成できかねる。  以上の理由をもちまして、私は公明会を代表して本法案に反対をいたします。  以上であります。
  45. 基政七

    基政七君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました定数是正選挙区割りの改正案に反対の意を表します。  本改正案は、昨年十月の選挙制度審議会答申に基づき、人口アンバランス是正せんとして提案された法律栄でありますが、人口アンバランスの点については、すでに最高裁が憲法違反とはいわないまでも、国民に平等公正な国政参加の権利を与えるべきであるという趣旨の判決を行なっている点からも、ぜひとも是正をされるべき問題であります。わが党は人口移動に伴う十九名の衆議院議員定数の増加には決して反対するものではありませんが、選挙区割りは直接利害関係のある議員が行なうべきものではなく、公正を期するためには、第三者において公正かつ適正な区割りが行なわれて、しこうして国会提案されるのが正しい法案の提出方法であると考えるものであります。  しかるに政府は、今回、国会審議過程区割りをしてもらいたい、しかも当分の間、暫定措置として十九名の増員のみを提出してまいったのであります。かような法案の提出方法は責任ある政府としてはとるべき態度でなく、きわめて無責任な、しかも不公正なものと言わなければならないのであります。さらに提案理由説明にありますとおり、当分の間、暫定措置という前提の上に提案されている点でありますが、衆議院議員定数という、民主政治の基本問題がかかる軽々しき措置で取り扱われることは、将来のため、まことに遺憾に存じます。  公職選挙法の本文にある第四条の議員定数を改めることなく、附則でわが国最高機関である国会議員定数増員するなんという方法は、きわめて不見識であり、国会議員が恒久議員と暫定議員とに分かれるなんということはあり得ないのであります。わが党は、法律的にも政治的にも筋の通らないこのような改正案には賛成できないのであります。  特に強調いたしたいことは、選挙される立場にある者が、みずから区割りをきめたものであるがゆえに、これはしょせんゲリマンダーのそしりを免れ得ないものであります。  以上申し述べた諸点からして、わが党は今回の区割り案に断じて反対いたすものであります。政府並びに自民・社会両党に猛省を求め、民主社会党を代表して私は反対の討論を終わります。
  46. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  公職選挙法の一部を改正する法律案衆議院送付)全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  47. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 多数であります。よって本案は、多数をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案の審査報告書につきましては、委員長に御一任を願います。    ——————————
  48. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) お手元に配付いたしております請願三件を議題といたします。  速記を中止して御懇談を願います。   〔速記中止
  49. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 速記を始めて。  ただいま御懇談願いました請願第二一八二号外二件については保留と決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) さよう決定いたします。    ——————————
  51. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 次に、閉会中の継続調査並びに委員派遣についておはかりいたします。  閉会中の継続調査は、これを行なうこととし、その要求書の取り扱い並びに閉会中の委員派遣につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 小柳牧衞

    委員長小柳牧衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十一分散会    ————————