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1964-06-25 第46回国会 参議院 建設委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午後一時四十四分開会   ——————————   委員異動  六月二十四日   辞任      補欠選任    天埜 良吉君  森田 タマ君    ——————————  出席者は左のとおり。    委員長     安田 敏雄君    理 事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            瀬谷 英行君    委 員            熊谷太三郎君            小山邦太郎君            沢田 一精君            田中 啓一君            高橋  衛君            村上 春藏君            小柳  勇君            田中  一君            武内 五郎君            中尾 辰義君            田上 松衞君            村上 義一君   衆議院議員    発 議 者   野田 卯一君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設大臣官房長 平井  学君    建設省計画局長 町田  充君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○道路法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○土地収用法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○宅地建物取引業法の一部を改正する  法律案衆議院提出)    ——————————
  2. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  二十四日天埜良吉君が委員を辞任せられ、その補欠として森田タマ君が選任せられました。
  3. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) これより本日の議事に入ります。  道路法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 断片的に大体の考え方としては私どもはこうしなきゃならぬという気持ちを持っておりますけれども、最初に一つ伺いたいのは、今回の法律改正によって、道路という構築物だけを対象にしないで、いわゆる目的たる交通という面を大きく浮かび出さしておることは、前進であろうと思うんです。しかし、何といっても道路交通法という法律がありますから、この道路交通法に対する、交通行政に対するいわゆる協力の形でもってこの道路法改正が出された点については、まことに当然であり、かつまた、建設大臣が当然の責任を負うたということになると思うのですが、六ページにあります三十条の改正、「横断歩道橋さくその他安全な交通を確保するための施設」、これを受けて立つ構造考え方ですね、これをひとつ御説明を願いたい。これは道路局長でけっこうです。
  5. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまお話しのように、従来道路の技術的な構造保全、こういう観点が中心になりまして、道路建設その他の管理整備考え方がなされておりましたが、当然道路はそれを通ります交通のことを考えて、構造につきましても、安全につきましても考えるべきである。その点を明らかにするために、今回二十九条で「道路交通状況」という字句を挿入いたしまして、「安全なものであるとともに、安全かつ円滑な交通を確保する」、こういう趣旨を明らかにしたのでございます。そういう点に関連いたしまして、三十条で従来こういう点についてやっておったのでございますが、たとえば横断歩道橋でありますとか、ガードレール、その他いわゆる交通安全に関する施設につきまして、積極的に規定がございませんでしたので、今回、三十条のいま指摘がありました新たな一項を入れたわけでございます。従来もやっておりましたのを、さらに積極的にやるということを明らかにする意味におきまして、こういう規定を置いたのであります。なお、これらの細部につきましては、道路構造令のほうで考えてみる、こういう考えでございます。
  6. 田中一

    田中一君 大臣に伺います。神奈川県で、御承知のように一級国道いわゆる一号線を県費で街灯をつけました、東京——横浜間に。これはまことに交通の安全をはかるため当然なことであり、かつまた、神奈川県としては、これは県民の生命事故から守るということになるので、非常にけっこうな施策であろうと思います。それにこたえてか、これは、河野さんはいつも通っているからわかるでしょうが、東京がようやく、建設省が何らかの手を打たれたのですか、あるいは都の希望かわかりませんが、建造を始めております。そこで、一級国道——一般国道全部について国が責任を持とうというならば、この街路の照明灯というものは、当然道路交通不可欠施設であろう、また、なくちゃならぬ、こう考えるわけでございます。で、この法律案参照条文のうちの十八ページに、一応道路構造基準を示しております。「幅員、建築限界、線形、視距、こう配、路面、排水施設、交差又は接続、待避所、前各号に掲げるものを除く外、道路構造について必要な事項」こう示しておりますが……。  それから照明灯の問題には触れておらないのです。これは国が責任を持つということは、財政的な地方公共団体に対する援助も入っているだろうと思うのですが、国道には原則として照明灯をつけるということになぜ踏み切らなかったか。これは私がこういう質問をすると、河野さんは、それは全くそのとおりだからやろうじゃないかという答弁が私はほしいのですが、しかし、これは現在では大体三十メーターおきに一本ずつ水銀灯をつけておりますが、これは何も三十メーターに一本ずつという規定はしいて私はこだわりません。たとえば、横断歩道等とか、あるいは交差点とか、そういうあまり経費のかからないところから逐次始めていく。交通のひんぱんなところには当然三十メーターおきでも、五十メーターおきでもつけなくちゃならぬ。したがって、法律改正によって、原則として、必ず照明灯はつけるんだという原則、これをひとつこの際するんだという答弁が私は大臣からほしいのですが、当然これはしなくちゃならぬと思うのです。この政策が抜けておるのじゃないか、こう考えるのですが。
  7. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいまの御質問に対しまして、事務当局等から事情を聞きましたところが、いまあげていらっしゃるその十号の「横断歩道橋」のくだりの「安全な交通を確保するための施設」という規定がございます。この「安全な交通を確保するための施設」の中にそれは考えております。こういうことでございますから、私といたしましても、お話しのとおり、これはぜひ考えなきゃいかぬことであって、その点につきましては、今後お話しのような方針指導することにいたしたいと思います。  なお、この際つけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、今回の改正によりまして、私として最も考慮いたさなければなりませことは、従来の道路維持管理費の問題でございますが、これを、従来は御承知のようなことになっておりまして、その補助対象に実はなっているところと、なっていないところがあることは適当でございません。なぜ一体補助対象にしているものとしていないものがあるかということを調べてみますと、大蔵当局としては、たとえば側溝の掃除をするとか、非常に経費がわずかなものであって、一々これを取り上げて補助対象にしにくいものが維持管理費の中には多いから、そこで、それらのものについては、交付税で別に見るからそのほうは要らぬじゃないかというのが、従来の大蔵当局の意見だそうであります。そこで、衆議院の御審議の段階におきまして、附帯決議がついておりますように、私としましては、今後大蔵当局に、具体的にこの問題に触れて、ただいまお話し安全灯をつけるというようなことにつきましても、維持管理費において考えなければならぬ問題でございます。したがって、具体的に維持管理費の中で、これらのものについては、当然維持管理費として補助対象にするものを拾い上げまして、これらについては当然二分の一、もしくは三分の二にいたしますか、補助対象にするということに、次の機会に私は大蔵当局と話をまとめて、そうしていまお話しのような点については積極的に指導をしてまいりたい。お話しのように、いま神奈川県のような富裕県は、たくさん江ノ島海岸等にもつけております。私はああいうわけにはなかなかいきかねると思いますけれども、必要な交通の安全を確保する場所においては、ぜひそれを設置するということに、お話しのように取り進めていきたいと考えます。
  8. 田中一

    田中一君 まあ会期も短いのでありますから、私はここで希望するところは、第十号に、横断歩道橋さく照明灯その他安全な交通を確保するための施設というように、法律改正をしたいのです。修正をしたいのです。これはいま大臣からお話しのように、大蔵当局認識不足、ことに今日の社会ではその認識不足はもう当然に吹っ飛んでいるはずなんです。今日の交通地獄を見、また災害を見、交通事故を見た場合には、当然これを取り上げて、不可欠条件としての条件に確立しなければならぬのです。私は、ここに照明灯という修正をしたいのです。これは与党の諸君はどういうお考えを持っているかしらぬけれども、時間があれば、そうしたいのでありまして、この点は、いまの大蔵当局が云々なんていう程度のことじゃ、私は納得できないわけなんです。  そこで、これに関連して、もう一つの問題があるのです。これはむろん、これらの施設に対する行政上の扱い方は、おそらく補助ということになろうと思いますが、何といっても重大な地域社会生命を脅かす問題でありますから、喜んで地方行政庁がつくると思うのですが、電力の問題です。電力料が高過ぎるのじゃないかという気持ちがするのです。工業用電灯、または家庭用電灯、動力、その他みんな料金が違っております。ことにこれは常用灯的になりまして、昼間工場等で使う電力が休んでいる際に一番多く使うわけでありますから、いわゆる電力が、水が余れば放水しております。電力は捨てております。これらの現状から見ても、これらの工場施設に用いる電力を、これは九電力会社が相談すれば簡単でござまいす。また、政治指導すれば簡単でございますから、これらの電力料金を値下げをするというような方途も考えていただきたいと思うのです。それが照明灯建設が不可欠な条件と同時に、これに見合う国の補助制度と同時に、電力のほうで、これらの公共施設に対する電力料金の軽減と申しますか、これをひとつお約束願えれば、修正案は一応次の機会に譲りましても差しつかえございませんが、ひとつ大臣の強い見解を伺いたいと思います。
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 先ほど私の答弁がまずかったせいか、誤解があるようでございますが、いままで補助がなしにきておったのは、大蔵当局のそういう認識で、補助のある部分とない部分があったのだ、しかし、それでは適当でございませんから、次の機会には私は指摘して、これこれのものについては、指定区間であるとないとにかかわらず、全部補助対象にするということにすれば、いま補助しても、何に使ったかわからない、こまかなものだというようなことが大蔵当局の言い分ですから、そうでなしに、私のほうから積極的に、これこれのものについては、道路施設として維持管理対象として補助するということにして予算をつけたい、こういうふうに考えておりますという答弁を先ほど申し上げたのであります。ただいまお話しになりましたように、そういうわけでございますから、交通の安全を確保するために電灯をつけるということは、法案改正をいたしませんでも、いま申し上げたような次第でございますから、絶対その方針行政指導をするということは、私は賛成でございます。  なお、電力料金のことにつきましては、私がここでお約束はいたしかねますけれども、いまお話しのとおりだと私も考えますから、ぜひそれは通産大臣を通じて、その要求を強くいたしますということを申し上げておきたいと思います。
  10. 小柳勇

    小柳勇君 いまの安全灯関連いたしまして、ガードレール整備など、これは書いてある——法が施行されたらすぐやるように書いてありますが、この間もバスががけの下に落ちて事故が起こって問題になっていますが、ああいうのが相当あるわけですね、観光地帯に。山奥の大曲り小曲りがたくさんある山道国道でやるのは当然でしょうけれども行政指導などによりまして、国道以外の危険な山道道路などには、強制的にこのガードレールをつけるという必要があると思うのですが、その点についてどういうふうにお考えですか。
  11. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ガードレールを、今回の改正案によりまして、はっきり「さく」ということばで出すつもりでございますが、それに従いまして、どういう個所ガードレールを設けるべきかという基準をきめまして、私どもといたしましては、そういう必要な個所にはガードレールを立てるように指導したいと思っております。具体的に申しますと、道路改良をやります場合には、改良工事費の中でガードレールをもちろん設置いたします。そうでない個所におきましては、工事がない個所につきましては、単独ガードレールをつけなければなりません。これにつきましては、従来こういう付属物に扱っておりますものについての助成というものが、単独助成が行なわれておりません。したがいまして、本年は手始めといたしまして、道路標識に対して早く助成の道を開きました。引き続きまして来年、再来年も標識以外のガードレール、また、いまお話しのような街灯、こういったものにつきましては助成の道を開くよう、財政当局に強く要求したい、こういうことでございまして、その結果、まだこれからの話でございますが、そういう方法で予算の獲得並びに設置の指導をしていく、こういうふうに考えております。
  12. 小柳勇

    小柳勇君 そこで、田中さんの質問にも出るかもわかりませんが、指定基準——こまかくまだ勉強しておらぬのでわからぬのですが、たとえば観光ルートなど重要な都市とか、あるいは重要な国道の連絡していない主として観光線ですね、そういうものはこれは国道に入るのですか。あるいはその中の何%が入るというようなことがきまっていますか。
  13. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 観光ルートというものは、実はまだはっきりしておりませんが、観光的なことは国道の認定の基準の中には考えております。これは大体国際観光という立場で、国際観光に必要な道を中心にいたしまして、そこに到達する路線、こういうものを国道基準として考えるような仕組みになっております。
  14. 小柳勇

    小柳勇君 車のほうが急速度に大型になりまして、道路のほうが追っつかない。これは皆さんもうしょっちゅうそういう場面にぶち当たるんですけれどもね。いままで一級・二級国道のあるところはまあまあですけれども、非常に危険な山道などが観光ルートになって大型バスが動いているんですから、そういうものもでき得ればこの指定基準の中に具体的に書いて、積極的に一般国道にすべきだと思うんですがね。これからの日本の立場国際観光立場考えまして、そういう問題について積極的にこの法案の中に考えられておりますか。あるいは行政指導の中に入りますか。
  15. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は基本的に申し上げますと、国でやる仕事府県でやっていただく仕事と、もしくは民間でやってもらっていい仕事と、なるべく分けて考えたいと思っております。観光ルートにつきましては、いま申し上げましたように、むろん考えなければならないことでございますが、その観光ルート民間でこれを計画してやるということは、また、そういう意図のあるものにつきましては、指導監督は十分いたします。民間でなるべくやってもらったほうがいいではないか。民間でやらないで、このごろは府県が非常にそれに熱意を持っております。これらにつきましては、なるべく協力して府県でやっていただく。そうして国でやる仕事は、何さま縦貫道路の大仕事をかかえております。それから、さらに横断道路もつくらなければならない。そういった仕事に実は金がなかなか十分回りませんので、しかも、これは一刻も早いほうがよろしいというふうに考えますので、お話しの点につきましては、決して私は観光ルートを軽視するわけではございませんけれども、大体観光ルートの場合には、その付近まで、もしくはその最寄りまでは道路が行っておるわけでございますから、そういう場合にはひとつ、なるべく民間もしくは府県でやってもらいたい。それに協力態勢をとっていきたい、こう思っておるわけです。たまたま、いま、十月でしたか、開通いたしまする阿蘇の、九州横断道路、こういう長距離でしかも大きなものにつきましては、道路公団でやられることを私は賛成いたしますし、奨励いたしますけれども、最近は観光道路が非常に要請されておりますが、こういうものについては、いま申し上げましたような順序でいきたいと、こう思っております。
  16. 田中一

    田中一君 そこで、私のさっきの質問関連するのですが、道路公団が行なっている高速道路、これも御承知のように電灯が少ない、街灯が少ないのです。街灯というか、照明灯が少ないのです。で、この指導は従来どうしているのか。たとえば箱根の新道などは落石が非常に多いのです。大きなカーブのところには、従来からでありますけれども、もう落石があった場合には、それに車が乗り上げようものなら必ず事故が起きるのです。したがって、道路公団有料道路、この有料道路は、絶対に必要なところに対しは——ほんとうなら全線です。箱根のようなところは原則として全線という形で、間隔は長くしてもかまわないけれども、必ず照明灯はつけるというような原則を同じように確立してほしいのです、単なる一般国道のみならず。道路公団はことに料金を取っている、金を取っているのです。そのために料金が上がるというようなことはない。私はおそらくないと思うのです。むろん国民の税金で行なっているものが多いのですが、道路公団の場合には、償還年限が延びてもそれだけの施設は必ずするということに方針をきめていただきたいのです。この点はどうですか。これは大臣から伺います。
  17. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お説ごもっともでございますので、そのとおりいたします。
  18. 田中一

    田中一君 これは道路局長に聞きますが、要綱の六の——これは昭和四十年四月一日から実施ということになっておりますが、この第六項の条文の「当分の間」というのは、四十年をこえて当分の間ということですか。
  19. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) そういう意味でございます。
  20. 田中一

    田中一君 そうすると、この「当分の間」というのは、どのぐらいの期間をさしているのですか。
  21. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) たてまえは、なるべく早く建設大臣管理下に置きたい、こういう趣旨でございます。ただ御承知のように、いまの二級国道府県知事の所管でございまして、工事施行体制並びに職員配置が、すべてそういうふうになっておりますので、建設省側といたしましても、それは直ちに受け入れ態勢等も同時にできてはおりませんので、したがいまして、なるべく円滑にこの管理の移行ができるようにする、こういう趣旨考えております。できるだけ早くと考えておりますが、その辺の時期が、四年になるか五年になるか、まだはっきりいたしませんが、また、各都道府県側と協議いたしまして、なるべくすみにやかに、こういう趣旨考えております。
  22. 田中一

    田中一君 国道管理部分が、直轄部分が相当延びていると思うのですが、これに従事している職員は、どのくらいございますか、道路管理事務所に。
  23. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 三十八年度延長は約五千キロでございます。それに対して、これに当たっております職員の数が三千二百五十二人ございます。三十九年度は約七百キロ延びまして、五千七百十三キロでございます。これに対しまして、職員は三千三百六十三人、延長当たり、おおむね〇・六人ということになります。
  24. 田中一

    田中一君 この一般国道として直轄する場合には、どのくらいの職員を要すると考えますか。現在の一級国道、二級国道全部ですね、建設大臣直轄管理をするという時期には、どのくらいになりますか。
  25. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いろいろ推定しておりますが、およそ六、七千人くらいさらによけい要ると考えます。
  26. 田中一

    田中一君 さらに……。
  27. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) さらにです。
  28. 田中一

    田中一君 いろいろ建設省労働組合でも、首になるのではないかという心配をだいぶ持っている人が、善良な職員におるわけですが、こういう新しい職場ができれば、これに対する配置転換も行なわれると思いますから、しごくいいと思うのですが、その一点、心がけていただきたいと思うのです。  そこで今後、道路審議会の持つ役割りはどういうものになるか、そうして大体二十五名を三十五名だったかに……
  29. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 二十名を二十五名です。
  30. 田中一

    田中一君 五名ふやすのですね、二十名を二十五名に。そこで、これはどういう方を五名補充しようとするのか。それから今後道路審議会役割りはどういうことになさろうとするのか。
  31. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 道路審議会につきましては、道路法規定がございますが、今回の改正では、所掌事務につきましては特に考えておりません。ただ人員を、ただいまお話しございましたように、五名増す、こういうことでございます。この点、なぜ増すかということでございますが、最近道路の他の事業との関連が非常に多くなりまして、新産都市でございますとか、各種の国の他の施策に依存する道路計画関連事業が多くなりましたので、他の審議会等とにらみ合わせまして、若干少なかったとこういうこともございますので、そういう趣旨で補充したい。しかし、まだ具体的には、どういう方面の方をふやすかということにつきましては、未定でございます。
  32. 田中一

    田中一君 大臣、ひとつどういう人を選ぼうとするのか。むろんどういう人が足りないからどういう人を選ぶという構想はなくてはならないと思います、五名増すということになりますと。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、国道として扱いまして、全国に及びますので、地方の意思を十分反映できる人を加えなければいかぬというような点に、私としては重点を置いて選びたいと考えております。
  34. 田中一

    田中一君 そうすると、今度直轄になろうとするかつての二級国道実態を詳しく把握している人たち、たとえば、ブロック別にするならば、九州から一人とか、北海道から一人とかというような形で選ぶのですか、対象になるものは大体そんなものですか。それとも学者を選ぼうとするのか、あるいはまた、いつもたくさんおる天下り官僚ですか、天下り天上がりかしらぬけれども官僚の古手から選ぶのか、その点ひとつお聞きしたい。
  35. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しになりました地方地域を代表する人も、むろんその一つの要件であるわけです。さらにまた産業開発という面からも考える必要があるだろうと思います。また、これを利用しておられる利用者の側からも選ぶ必要があるのではないかというので、いまお話しのとおり、学者とか役所の古い人とかというような人にという私は考えを持っておりません。
  36. 田中一

    田中一君 都道府県道が将来国道に編入されようという時代は、現在の二級国道が完全に一般国道として完成というか、溶け込んで後において考慮さるべきであると思いますけれども、しかし、都道府県道の中にも、主要道路として国道に準ずるようなものもあろうかと思います。これらのものに対する実態からくるところの国道に編入しようという考え方等はありませんか。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) それは、当然私はそうしなければならぬと思っております。
  38. 田中一

    田中一君 その場合に、道路審議会にかけて審議を願うということになるのでしょうかね。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) さようでございます。
  40. 田中一

    田中一君 まあ従来とも、道路審議会というものは、一級、二級等の道路の指定、あるいは昇格等の場合に活動しているのが主でありましたが、今後交通面、——今度出ました「安全な交通を確保するため」に云々ということで、それらの経験者というか学者等もこれは入れようとするならば、これはもっと、二十五人どころではない、三十人ぐらい入れたほうがいいのではないかという気持ちもするわけです。その点はどうですか。二十五名に限ったというのはどういう理由ですか。
  41. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) まあ御指摘のように、もっと多いほうがいいという考え方もあったのでございますが、これは事務的にやはり政府関係当局と相談いたしてまいりました結果、この辺の数字ということになったのでありまして、二十五人で十分であるということは、私どもも思いません。
  42. 田中一

    田中一君 道路審議会委員に対する処遇はどうなっていましたかな。
  43. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 他の審議会と同様に無給でございます。
  44. 田中一

    田中一君 無給……、給料はないけれども審議会があった場合には、一回幾らだかしらぬけれども、三千円か五千円は、あるいは一万円かしらぬけれども、車馬賃とか日当という形で出しているはずでしょう、どの審議会もみなそうですよ。
  45. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) この審議会手当は、他の審議会でも出しておりますけれども、一回当たり、会長三千円、委員二千五百円だと思います。
  46. 田中一

    田中一君 それは非常に安いですね。たしか鉄道でしたか、一万何千円か、けっこう払うはずですよ。他の審議会と同様にというのは、その審議会の委員手当というのですか、そういうもの、ちょっとあらわしてみてください。安いと思う。昔から、国会に無理やりに参考人を呼ぶ場合には、一番安いのでいまでも笑われておりますが、大事な講義を打っちゃって講義一時間やれば何千円かもらえるやつを、それを打っちゃって、もらわないで、こっちへ来て三分の一ぐらいしかもらえない。それは名誉と思って来ているのでしょうけれども、それはあまりに安い、もっとも名誉と考えている人もあるかもしれませんけれども。これはひとつほかの審議会と同じような待遇をしなければいかぬと思うのです。建設大臣が諮問する機関の各委員の手当はみな同じですか、厚薄があるでしょう。
  47. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) はっきり調べまして、御返事いたしますけれども建設省関係のは、大体大蔵省と毎年やって、行政部費で審議会手当というものを積算いたしておりますから、大体同じであると考えております。
  48. 田中一

    田中一君 道路譲与税は、二級国道が国の直轄になると、向こうにその分だけいかなくなりますね。それはどのくらい減りますか。
  49. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) この問題につきましては、先ほど要綱の第六項で、都道府県知事に、当分の間、改築をやらせる、こういうことになっておりますので、さしあたり四十年度にどの程度国が直轄でやるか、これは事業量と関連してくると思います。他のものは従来どおり都道府県知事にやらせますので、逐次その量が変わってくるかと思いますが、来年はまだ事業規模というものをきめておりませんので、まだ積算いたしておりません。
  50. 田中一

    田中一君 結局直轄になるのでしょう。直轄になった暁にはどうなるかということを伺いたいのです。それと補助金とを相殺してみて、どのくらい地方公共団体のほうが財政的な余裕ができるか、金が余るかという点を伺っておきたいと思うのです。どのくらいか、全部でですね、これはパーセンテージでいいですよ。
  51. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ちょっと、ただいまの私のお答え、少し違っておったかと思いますけれども、譲与税は、揮発油税に対してある割合のものでございますから、今度二級国道直轄になりましても、それによって譲与税の率が下がるというものでございません。ですから、一般的に各地方公共団体の財源として配分される、こういう性質のものであろうと思います。したがって、全部、都道府県知事がやります二級国道はもちろんでございますが、他の都道府県道の財源として充当されると、こういうふうに考えております。
  52. 田中一

    田中一君 いや、そうじゃないでしょう。道路譲与税は、自分でやはりその府県管理を負担する%に見合った税の配分ということになっているはずですがね。何もつかみ取りでやるわけじゃないですよ。だから減るわけです。管理部分が減れば減るほど譲与税も減るのじゃないですか。そうすると、譲与税そのものが今度余ってくることになるのじゃないですか。
  53. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 総額としてはガソリンに対する一定の税率でかかったものが配分されますから、総額としては変わりません。お話しのような点は、都道府県に配付されるときに、都道府県ごとの割合いが変わるということはあり得るかもしれませんが、総額としては変わることはないと思います。
  54. 田中一

    田中一君 総額としては変わるということはありませんといったところが、道路管理費として地方に余裕を持たせようというところに発生したのが地方譲与税のはずなんです。負担を軽減しようというところに出発したと思うのです、地方に分け前をよこせということで。だから、その分だけは地方譲与税が減額される、率が。その総額は変わらぬということではなくして、これだけ国が直轄することになったのだから、いままでは何十億でしたか、何百億でありましたか、その分だけが減額されるということになるのじゃないかと思います。それはどのくらいになるかと伺っているのです。これは、税のことは私は知らぬと言ってしまえばそれっ切りになるのですが、これは知っているわけでしょう。これは地方行政が関係しているでしょう。自治省がやっておるでしょう。自治省に聞いてみてください。国の直轄になりましても、いままでの率は必ず地方に渡します、と言うなら、それでいいのです。おそらく減額されるんじゃないかと思うのです。
  55. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 譲与税——いま地方道路税といっておりますけれども、譲与税ができました当時の考え方はそうであったと思いますが、実際には、国と地方との財源を適当に負担するように、ガソリン税は国へ、地方道路税は地方へ、こういうことになっております。しかし、いま大臣から御注意を受けたのでありますが、今回、国道一般国道になりましても、国と地方との財源負担は従来と同じように、改築につきましては四分の三ということになっておりますので、依然として四分の一は地方の負担ということになっております。そのことから地方の負担が減るということには制度上にはならないと思います。
  56. 田中一

    田中一君 河野さん、あなた国務大臣として自治大臣のかわりに答弁しようということですか。私は、いままでもちょっとでも理不尽な——理不尽なというか、情勢が変われば、余分に払ったものはちょん切って取り返す、また、やるということを、税制の問題ではいままでしていると思うのです。また、ガソリン税を負担するほうの側から、直轄というなら地方に渡すのはおかしいじゃないかという意見も生まれるかもわからない。その点が、大臣が、そういうことになろうともいままでの配分は絶対確保いたすようにいたします、というくらいの返事が出れば、これは私は信頼いたしますが、しかし、これは自治大臣の問題ですからね。
  57. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いま道路局長から申し上げましたのは、理論を申し上げております。日本の道路全体を管理して改造、造営していくということに対する税の負担は、それは国が管理しようが地方管理しようが、国が出すのが三分の二、地方が出すのが三分の一、したがって、それに見合うものを、いま言っただけガソリンから取り上げて、地方にもそれを分けておるということでございますから、道路の費用が国全体に対して減ってまいりますと、これは別だと思いますけれども、むしろ積極的にこれからやってまいるのでございますから、当然地方にそれだけのものは自治省からやってもらわなければ、地方が負担に耐えられないということに私はなると思います。私といたしましても、かねて申し上げておりますとおりに、道路に対する全額投資は、急速にできるだけしていきたいと、こう考えておりますので、地方の財源を圧迫するようなことについては、十分考えなければならぬ、こう思っておりますので、お話しの点につきましては、十分注意いたしまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。
  58. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  59. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記を起こして。  ほかに御質問もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  61. 田中一

    田中一君 幹線的道路は、その管理者は当然国にいくべきが正しいのであって、本法の改正には賛成でございます。  しかしながら、これがために地方自治体の事業の減少、負担の増加、あるいは国の管理の弱さ、不十分さから、地方地域住民に及ぼす影響等を考慮して、それらの点を十分に配慮されるような管理方式を確立していただきたい。これは先ほど質疑の過程で申し上げたように、ガードレール整備とか、あるいは照明灯の取りつけとか、これに関連する電力料の軽減措置等、完全に日本が平和国家として交通の安全をはかるというところに重点を置いていただきたいと思うわけです。  希望するところは、三十条の一項十に、安全な交通を確保するための施設として照明灯等の修正を行ないたいのでありますけれども、会期もありませんし、これは次回に譲りますけれども、いま大臣答弁の中にあったように、必ずそれを実施するということばを信じて、社会党を代表して、この法律案に賛成をするものであります。
  62. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終わったものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  道路法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  64. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記を起こして。    ——————————
  67. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは土地収用法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔午後二時三十五分速記中止〕   〔午後二時五十八分速記開始〕
  68. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは速記を起こしてください。
  69. 田中一

    田中一君 三十六年に特別措置法として成立いたしました公共用地取得に関する用地収用の問題について、その際にも、提案された政府に質問しておいたのですが、一体建設大臣は、今回の筑後川上流の下筌ダムについて、いろいろ被収用者の抵抗があったにかかわらず強制執行いたしました。私は、なぜ室原君が最後まで、もはや論理をこえた感情的な興奮状態においてああした抵抗を示したかということについて、これを所管する建設大臣としてどういう見解を持っておるか。なぜあすこまで追い込まねばならないような事態になったかという点についての見解を伺いたいのです。それで、これはいろいろいままで八年間の蜂の巣城の抵抗は、事務当局から聞かれて御承知になったと思いますけれども、私もかつてたしかあれは橋本建設大臣の時代に収拾の一役を買いまして、数度にわたって現地に参り、一応大臣との間に話し合いができるルートを敷設してまいったものです。ところが当時の建設大臣は、当時の身辺にいる官房長その他官僚の指図するがままに動いたために、最後のルートをも締め切ってしまいまして、今日に及んできたのです。今回の提案も、それらの経験等から学ばれた一つの措置として考えられたものと思うし、かつまた、田中大蔵大臣建設大臣に先立って、今回の提案されている法律改正等も口ばしっております。これはむろん財政当局としては、一応収用が延びる場合に受ける財政的損害等を考慮されたものと考えておりますけれども建設大臣土地収用法を執行するにあたっての心がまえをまず最初に伺っておきたいと思うのです。
  70. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 前段の御質問に対して最初にお答えいたします。私は建設大臣に就任いたしましてから、就任以前にいろいろ承っておりました経緯等にかんがみまして、最も慎重に行なう必要があるという意味合いから、たびたび、もし私がお目にかかる機会があればお目にかかるという申し入れもいたしました。また、現地に近い諸君を通じて先方の御意思もいろいろ問いただす方法もとりました。しかしいずれも、会おうと申し入れましてもなかなか実現いたしませんで、だんだん時日が経過するのみでございまして、解決の方向に向かいませんでした。最後に私は、本問題を本質的に考えまして、非常に山を愛する人だし、自分の持っておる山林が水没することは非常に残念だということを言うておられるということも聞きまして、それならばひとつ宮崎県方面に相当に国有林で美林があるはずだから、そういうものと交換したらどうだろうかということを考えまして、もしそういうことが交換の方法によって解決がつくならば、他の国有林と交換していただくわけにはいかぬだろうか、そういう御意思があるなら具体的に自分も農林当局にも話をし、その方途を講じてみる、考えてみるが、どうだろうかという申し入れもいたしました。ところが、いずれもこれらは受け入れていただくことができませんで、ついに今回の処置をとらなければならないことに相なりました。判決がありましてからも、にわかにこれを実行するということは必ずしも適当でないと考えまして、たまたま御承知のように、別府に私が参る予定をしておりましたので、最後に自分は別府に参りまして、御承知のように、木下大分県知事は相当に真相を、もしくはその立場から一つの見解を持っておられるんじゃないかというようなことを考えまして、細部は木下君に会ってよく意見を聞いてみるということで、ひそかにその時期を待っておりました。そうして私は別府に参りまして、木下知事から前後の事情、もしくは木下知事のこれに対する見解等をつぶさに拝聴いたしました。たまたま室原君のごく近しい人がそこにおられましたので、この人からも最近の室原君の実情等についても詳細承りまして、私の意向も流してございましたから、私が大分に来たならば当然質問をするだろうと思って私が参りまする数日前から、それは室原君と遠縁関係に当たっているので、面会を申し込んだけれども、面会すら拒否されてできないという事情にありましたので、これ以上当局がいたずらに解決を遷延することは、御承知のように十数人あるいは三十数人の人たちの、それらの同意をした諸君の気持ちを動揺させていたずらに事態を悪化させるだけである、したがって、すみやかに問題の解決をはかることがとるべき手段であるということを、一様に別府で私は地元に近い諸君の意見を聞きました。もちろん木下知事も、いま私が申し上げましたことと同様の御意見でございました。  したがって私は、このときに最後の決意をいたしまして、帰ったならば、すぐに決裁をして問題の解決をはかることがよろしいという決意をいたして東京に帰ってまいりました。帰ってまいりましたらば、御承知のように成田君と総評の太田君はじめ代表の方がおいでになりましたので、これらの諸君にもお目にかかりまして、それらの事情を承りまして、適当な解決策、もしくはこれに対して考慮する点がございますならば、御協力いただきたいということをお願いしてお別れをいたしました。そうして約束をした期限を私は遷延してお待ちしておりましたら、これらの諸君から、いろいろ骨を折ってみたけれども、もう方法はない、行政上のとるべき措置をお進めになってけっこうですという御返事をいただきました。こういうふうに私としては一応の手段をすべて私は終わったつもりでございます。もちろんそこまでこじれる原因は何であったかということになりますと、私には、当時当面の私は責任者でございませんでしたので、その当時のことはつまびらかにいたしませんが、少なくとも私は建設大臣になりまして約一年、二年に近いこの間の事情については、ただいま申し上げましたように、最も慎重に、しかも、あらゆる手段を講じて、私は、平和的な解決を意図いたしまして努力いたしたのでございます。いま申し上げましたような結末になりましたのは、まことに遺憾でございますが、やむを得ぬことだと考えております。  そこで、一般の公共施設に対する土地収用に関する問題でございます。御承知のように、この制度が実施されましてから、現在の状況について考えますのに、この法律の適用を受けて私が決裁をする事項は非常に少のうございます。そういうふうに適用の対象になるもの、収用の対象になるものは少ないのじゃないかというお話もよく承わるのでございますが、この点は、私は、そうではないのでございまして、現に収用法の適用を受けてこれが問題の解決までに相当の時間が現在ではかかっておりますことは御承知のとおりであります。それだけの時間が、この方法をもって、この手段によりますると相当の時間が、時日が経過いたしますから、それよりも話し合いで、努力によって問題を解決するほうがよろしいというふうに、それぞれの係の者と申しますか、当事者は考えまして、そうして、今日御承知のように、用地取得に非常に時日を遷延をいたしております。この用地取得に時日が遷延いたしまして、目的達成にこれが非常に障害になっておるということは皆さまが御承知のとおりでございます。それはどこからきておるかと申しますと、この土地収用についてこれを適用いたしますと非常に時間がかかる、それだけ時間がかかるならば、一方話し合いでということで、その話し合いのほうが非常に時間がかかっているのでございますから、実際用地を取得して工事にかかるまでに非常に時間がかかる、そして、ごてごてやっておる間に地価が上がる、そうして、いわゆるごて得になるというようなことで、私は非常に遺憾である、こう考えまして、何とか収用法を適用した場合に、これが短時間に——やむを得ず適用せざるを得なくなったというときに法律を適用したらば、その法律の結論がなるべくすみやかに出るようにしなければ、せっかくこういう方法があっても、かえってそれがいま申し上げるように、それに非常に時間がかかるのでありますから、その時間のかかる道を歩むよりも、話し合いに時間をかけるということが今日の現状になっておる。これが根本的に解決されなければ、公共施設の円滑なる運営は困難であるというふうに考えまして、今回、この改正趣旨をお願いいたしておるのでございます。  しかし、さればといって、最も注意をしなければならぬことは、今度はこれはすぐできるのだから、何でもこれにかけてしまえばいいのだというようなことになることを、私はおそれます。これは、これがあるから、努力を一通りしたらば、いけなければこれでやればよろしいのだということになって、そうしてそれぞれの係の者があまりにこれにたより過ぎるというようなことになりますことは、厳に戒めなければならないと考えまして、すでに私は、衆議院をこの法律が通過いたしました直後におきまして、建設省関係、公団関係、それぞれ用地関係の責任者を招致いたしまして、この法律が施行されるようになったならば、一番気をつけなければならぬ点はこの点だ、少なくともこれだけの努力をしなければ、この法律を適用してはいかぬという基準を定めまして、これだけの努力をしてなおかつ解決をしないものは適用してやるべきだということを厳に守れということの指示もいたしておるわけでございます。私としては、その点に十分注意をして、公共施設の円滑な促進をはかりたいと考えておるわけであります。
  71. 田中一

    田中一君 三十六年にできました公共用地の取得に関する特別措置法も、私は、公共用地という限定された対象に対する法律であるからこれを認めようとしたのでありまして、今回はそうじゃございません。公共用地取得に関する土地収用という面からくるものならば、まだ許せる範囲のものはございますけれども、本法の改正というこの考え方に対しては、どうしても納得できないものを持っておる。建設大臣は一体、土地収用法という法律はだれのためにあるのか、私はちょうど二十六年にこの法律を、当時とすれば大法案です。とうとうとして民主主義というものが謳歌され、そうして国民主権という思想も曲がりなりにもそれぞれの国民の心に浸透してきたころであります。したがって、この土地収用法という本法は、行政官庁の執行権を認めておりますけれども、あらゆる面において私権を擁護するために制定せられた法律であります。むろん、これは憲法上の財産権と公共の福祉という一つの物件に対して反対な見方をしておるのが、今日、憲法の財産権に対する規定でありますけれども、その中で、この収用法は少なくとも財産権を認めようという立場から制定されてきておりまして……
  72. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記をつけてください。
  74. 小柳勇

    小柳勇君 局長、下筌ダムの問題を少し具体的に質問します。  まず第一は、室原さんのあとの代替地はまだきまりませんか。今後の生活設計あるいは植林なり、あの土地を離れることになるのに、その話は全然進んでいないわけですね。
  75. 町田充

    政府委員(町田充君) まだその話は進んでおりません。
  76. 小柳勇

    小柳勇君 次は、これから測量を始めてあそこにダムをつくるのですが、つくり始めるとすれば、ダムはいつごろ竣工するのですか。
  77. 町田充

    政府委員(町田充君) 上流のほうの下筌ダムは、いまのところでは昭和四十一年、下流の松原ダムのほうは昭和四十五年に完成の予定でございます。
  78. 小柳勇

    小柳勇君 それから上のほうの、いま調査を始めているのですけれども、調査が終わって、ダムをつくるのに一番最適の上地であるというので始めるわけでしょう。けさの新聞を見たら、いまから調査をやるのだということを書いてあったのだが、どうなんですか。
  79. 町田充

    政府委員(町田充君) 調査は終わっておるわけでございます。ダム地点として最も適当な地点であるということの調査は終わっておるわけでございますが、さらに実施のための設計をいたしますために、土質の調査、ボーリング調査、そういう実施を前提としての細部の調査に入る、こういうことかと思います。
  80. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、治水計画としてダムをつくるのですが、四十一年——あと二年ですが、二十八年のような水害は百年に一回か六十年に一回かということですが、その竣工については、二年ぐらいというのが一番最短の距離ですね、四十一年。
  81. 町田充

    政府委員(町田充君) 下筌ダムの完成のためには、スピードをできるだけ早めましても四十一年にならないと完成の見込みがない、こういうことでございます。
  82. 小柳勇

    小柳勇君 北九州のほうに工業用水などを取る計画について、先般、これから調査だというような話でしたが、もう少し進んでいるのでしょう、計画は。
  83. 町田充

    政府委員(町田充君) 先般、この多目的ダムの法律に基づきます事業計画というものが決定いたしましたので、それで多目的、すなわち農業用水なり工業用水なり、あるいは発電用、これらにどれだけの水を供給するかという細部の計画はもうすでにきまっておるわけであります。
  84. 小柳勇

    小柳勇君 その話をもう少し具体的にお話しくださいませんか。
  85. 町田充

    政府委員(町田充君) 実は、河川事業のほうは河川局のほうで所管をいたしておりまして、私のほうはその事業に必要な土地を収用するに値する事業であるかどうかという事業認定の事務をやっておりますので、計画の細部は、直接は河川局の所管でございますので、私からちょっと具体的に御説明申し上げかねるのでございます。
  86. 小柳勇

    小柳勇君 いまそこに書類を持っておられるようですが、もう少し、その計画の面でいいですが、実はその下筌・松原からは水を取らないということを聞いておるから、水を取るとすれば、もっと下流のほうで総合ダムをつくらなければ北九州に水を取れないと聞いているもんだから、いまあなたのお話では下筌・松原からは若干水を取るような話に聞いたものですから。
  87. 町田充

    政府委員(町田充君) 私手元に持っておりますのは、松原・下筌ダム建設のための収用計画一覧表でございます。そういう事業計画の細部は河川事業の関係になりますので、ひとつ……。
  88. 小柳勇

    小柳勇君 それではちょっと担当局が違うようだから、細部の問題についてはまた別途の機会質問しますが、最後に、地元に反対運動も相当あって、反対の宣伝なり説得方も相当行き渡っておるわけですね。たとえば下筌・松原というのはほんとの治水ダムにならないとか、あるいは土砂が流れてきて杖立温泉なども将来埋まるのではないか、水びたしになるのではないかというようなことも相当住民に知れわたっておるわけです。したがって、このダムを建設すればそういうものも、常に説得活動なりPRをしまして、そうではないのだ、このダムは治水の目的を達し、かつ、それ以外の被害はないのだ、そういうことを十分に建設省として宣伝される必要があると思う。住民の人に納得してもらって、ダム建設協力してもらう態勢が必要であると思うのですが、そういうものを、これは大臣にも別の機会にお頼みしておきたいと思うのですが、あなたのほうは直接担当の局ではないかもしらぬけれども、いい機会ですから、そういう面でもし、いままでおやりになっているか、あるいはこれからおやりになるようなことがあればお教え願いたいと思う。
  89. 町田充

    政府委員(町田充君) もちろん、こういった公共事業を行ないます場合には、十分計画の内容を地元の関係住民に説明をいたしまして協力を求める、こういう措置を事実上とっているわけでございますが、特に特定公共事業というふうなことになりますと、法律的に、そういった説明会を催して、関係地元住民の協力を得られるようにつとめなければならぬということが特にうたってございますので、今後、土地収用法の一般手続あるいは特別措置法の手続、こういうものを援用してまいります場合、十分御指摘のようなPRと申しますか、事業の計画の内容なり、それがどういう効果を持つのだということを、十分御説明をするような努力をするはずでございます。
  90. 小柳勇

    小柳勇君 それから、収用手続に入るかどうかわかりませんが、室原さんは、なおこれから裁判で争うと言うておりますが、どういうことになりますか。その裁判の争い、それからあなたのほうの収用の手続は、これから先はどういうふうになりますか。
  91. 町田充

    政府委員(町田充君) 今回一応代執行ということで措置がとられましたのは、いわゆる下筌ダムのダムサイトの地点だけの問題でございます。したがいまして、今後下筌ダム、松原ダムの建設に伴います工事の実施のためのつけかえ道路の問題、あるいは湛水地域に対する、つまり水没する山林なり家屋に対する補償の問題というのは、これからの問題でございます。
  92. 小柳勇

    小柳勇君 そうしますと、その土地収用ということがこれから起こってまいりますが、そういうものも含んで計画が四十一年に完成できるということですか。
  93. 町田充

    政府委員(町田充君) それまでの間に用地交渉、いま申し上げたような交渉問題、そういうものが一切解決した上で、四十一年には完成する、こういうめどを立てているわけであります。
  94. 小柳勇

    小柳勇君 河野大臣は、さっき宮崎県のほうにあの杉山にかわるようなところがあるから、腹案としてあるような話がありましたが、そういう代替地を建設省としても考えてあるのですか。
  95. 町田充

    政府委員(町田充君) 特にまだ具体的には考えておりませんけれども、元来がああいう美林地帯でございますので、水没するところはどこか他に生活の場を求めるということになりますと、やはりこれにかわる山林というふうなことは考えられますので、そういう意味合いで適当な代替地——いま大臣が宮崎県とおっしゃいましたが、私ども具体的に大臣がどこにお考えになっておられるのか伺っておりませんけれども、そういう方法も十分考えられるかと思います。
  96. 小柳勇

    小柳勇君 これはほかのダムのときも、私決算委員でずいぶんダム見て歩いて問題が出てくるのですが、土地収用の場合の代替地の問題は、ダム建設の場合、それにかわるのはどこかというようなことはあらかじめ調査しておかなければ、大臣がかわったらあとはどうなるかという心配がありますが、全然ございませんか。
  97. 町田充

    政府委員(町田充君) 候補地と目されるようなところは若干あるようでございますが、個々の候補地について具体的に話し合いをするというふうな段階にまで、まだきていないのでございます。
  98. 小柳勇

    小柳勇君 室原さんだけでなく、下のほうの松原ダム建設になりますと、室原さんから下のほうにも相当被害があるんでしょう。それから、りっぱな杉の山が水没するわけですから、あと上のほうに少しはげ山があって、そこはどうかという案もあったけれども、あんなところはとても植林などできないわけですね。だから、宮崎県というのがどういう具体的なものか、私まだ初めて聞いたものですから、聞いてないのですけれども、これはほかのダムの建設にも関連しますけれども、少し計画的に調査しておいてもらって、ただこの法律で土地を収用するというようなことではなく、もう少し話し合って、こういうところがありますとか、こういう仕事がありますとかというところから出発するのがたてまえじゃないかと思うんですが、まあそれは釈迦に説法で、私が言わぬでも、そういう方向でやっておられると思いますけれども、あれだけ大きい問題になりました下筌ダムの建設ですから、あとできるだけスムーズに問題解決できるように、そうして下流の福岡県なり佐賀県の住民は二十八年災のあの水害を非常におそれておりますから、待っておるのは事実です。せっかくつくられるならば、馬力をかけてひとつ治水の目的を達成をしていただく、これは最後のは要望でありますからお返事は要りませんが、そういうことは今後も起こりますから要請しておきます。
  99. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記をとめてください。   〔午後三時四十二分速記中止〕   〔午後四時二十五分速記開始〕
  100. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記を起こして。  ただいま議題となっております土地収用法等の一部を改正する法律案につきましては、都合により後刻に回すことにいたします。よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) そのように決定いたします。    ——————————
  102. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) それでは宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、提案者から提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員野田卯一君。
  103. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) ただいま議題となりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、その提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  宅地建物取引業法は、御承知のとおり、宅地建物取引業者の登録を実施し、その業務の適正な運営と宅地建物の利用の促進を目的として昭和二十七年に制定されたものであります。その後、営業保証金制度、取引主任者の設置及び宅地建物取引員試験制度の創設等について、所要の改正を行ない今日に至ったのでありますが、最近、宅地建物の取引が国民生活あるいは産業活動の上でもますます重要となり、かつ、取引の内容も複雑化しつつある反面、やみ業者のばっこ、業務に対する規制の不備、業者に対する監督取り締まりの不徹底等のため、依頼者その他取引の関係者に多大な迷惑を及ぼし、各種の事故や紛争があとを断たない現状であります。  かくして、今回、かくのごとき状況にかんがみ、依頼者その他取引の関係者の保護をはかる見地から、業者に対する規制と監督をさらに一そう強化し、宅地及び建物の取引の公正を確保するとともに、業務の適正な運営をはかるため、所要の措置を講ずることとして、本法案を提出した次第であります。  次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。  第一は、宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施することとしたことであります。すなわち、宅地建物取引業を営もうとする者は、建設大臣または都道府県知事の免許を受けなければならないこととし、建設大臣または都道府県知事は、その免許の申請前二年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者等、一定の欠格要件に該当する場合には免許をしてはならないことといたしました。  第二は、従来の宅地建物取引員の名称を廃止し、あわせて取引主任者の資質の向上に関する措置を講じたことであります。すなわち、宅地建物取引員の名称は、ややもすれば正規の業者と誤認されやすい等の理由から、試験合格者を宅地建物取引員と略称することを廃止するとともに、従来の宅地建物取引員試験を宅地建物取引主任者資格試験と改称し、当該資格試験の受験資格を高等学校卒業程度に引き上げることといたしました。  第三は、依頼者等の保護をはかるため、営業保証金の供託限度額三十万円を撤廃することとしたことであります。  第四は、業務の規制に関する事項であります。すなわち、宅地建物業者に対し、報酬の掲示、従業者の証明書の携帯、取引に関する帳簿の備えつけを行なわせる等業務の適正をはかるための措置を講ずることとしました。  第五は、監督に関する事項であります。すなわち、建設大臣または都道府県知事は、宅地建物取引業者が法律違反その他一定の事由に該当する場合においては、免許を取り消し、または業務の停止を命ずることができることとするほか、依頼者等に損害を与え、または損害を与えるおそれが大であるとき等においては、必要な指示をすることができることとしております。また、建設大臣または都道府県知事は、宅地建物取引業者及びその団体に対し、必要な助言、指導及び勧告ができることといたしました。  第六は、宅地建物取引業者の団体設立に関する事項であります。すなわち、従来は、都道府県並びに全国単位にそれぞれ宅地建物取引員会、宅地建物取引員会連合会の設立を認めるたてまえとなっていましたが、昭和四十二年四月一日を境として、免許を受けた宅地建物取引業者は都道府県の区域ごとに宅地建物取引業協会を、また協会は全国を単位として宅地建物取引業協会連合会を設立することができることとし、宅地建物取引業の適正な運営とその健全な発達に資することといたしました。  第七は、宅地建物取引業を営む信託会社及び信託銀行は、すでに銀行法等による免許を受けておりますので、この法律による免許を受けることを要せず、ただ建設大臣への届け出にて足りることとしたことであります。しかし取引主任者、営業保証金、業務等に関する規定は、適用することとしております。  第八は、従来この法律の適用がなかった山林原野等の取引についても、建築基準法による用途地域の指定のあった地区内の土地に限り、この法律を適用することとしたことであります。  第九は、建設省の付属機関たる宅地審議会に宅地建物取引業に関する重要事項を調査審議させるため、建設省設置法に所要の改正を加えることといたしました。  第十は、施行期日についてでありますが、この法律は、免許制度の採用その他相当大規横の改正を内容としております関係上、昭和四十年四月一日から施行することといたしましたが、業者の団体に関する規定は、免許制度が完全に実施される昭和四十二年四月一日から施行することにしております。  なお、今回の改正に伴う新しい制度が円滑に実施されるよう、附則において、現に宅地建物取引業者として登録されている者は当該登録の有効期間満了までは免許を受けないでも引き続き業を営むことができること、その他営業保証金の供託等について所要の経過規定を設けました。  以上がこの法律案の提案の理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  104. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) ただいま提案理由の説明を終わりましたが、本件につきまして質疑のある方は、順次御発言をお願いいたします。
  105. 田中一

    田中一君 この法律案は、自民、社会、民社三者の共同提案でありますから、質疑は主要なる点二、三にとどめますが、提案者に対する質疑の後に、建設大臣に、この法施行についての部分的な質問をいたしたいと思うのです。  最初に伺いたいのは、要綱で質問いたしますから、提案者もごらんになってひとつ答弁していただきたいと思うのです。民法上の法人で、これには宅地建物取引業協会及び宅地建物取引業協会連合会を設置することになっておりますが、名称使用の制限については、現在同様の名称を使っている団体があった場合、これは実施の昭和四十二年四月一日からその名称を変えさせるということであるのか。あるいは、この法律が成立の後においてかかる名称を、発効の以前においてこの名称を僣称——僣称というか、用いた場合に、これに対する制限をどうするのか。これは提案者が答弁していただいてもけっこうだし、これによって計画局長のほうで答弁してもけっこうです。  それでまた、当然二年後には、これらの団体を設立しなければならぬから、その場合に対処して以前に法人でない任意の同様の名称のものをつくってよろしいか。あるいは二年後に、これを受け入れるための法人格を申請した場合には、その団体が正当な、ということばはどうかしりませんが、正当であると認められるならば、建設大臣は、連合会等の法人としての設立を認められるかどうかという点について伺いたいと思います。
  106. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) ただいまの御質問は、要綱の一四ページの第五項に触れる問題だと思いますが、ここには「宅地建物取引業協会及び宅地建物取引業協会連合会でない者は、宅地建物取引業協会又は宅地建物取引業協会連合会という名称を用いてはならないものとすること。」、それからその次に、「前五項の規定は、」——前の項をさしておりますが、「昭和四十二年四月一日から実施するものとし、それまでの間は、」云々と書いてございまして、この宅地建物取引業協会並びにその連合会ができるのは昭和四十二年の四月一日からでございます。それ以前の段階においては、民法上の三十四条の規定に基づく公益法人としての宅地建物取引業協会並びに連合会はないわけであります。したがいまして、民法の規定に基づくものはない、たまたまあるとすれば、同じ名前を使っている任意の団体があるかどうかということでございます。今日の段階におきましてこういう名前を使っているものがあるかどうかしりませんが、今後業界並びに行政官庁の指導において、そういう名称を用いるということは避けたほうがいいのじゃないか、混乱を来たしますから、と考えております。なお、今日宅地建物取引員会並びに連合会がございますが、それは法律によりまして、昭和四十二年四月一日以降三カ月以内に定款を変更して、今度新しく設けられました取引業協会及び連合会に変わり得る道を開いた、こういうような次第でございます。
  107. 田中一

    田中一君 計画局長、この法律の発効は四十二年の四月一日なんです。事前にそういう団体が、たとえば民法上の法人として申請があった場合には、それを拒否する権限はないと思うのです。しかしそれでは、そうなると、二年後にはそれはこの法律によって、そういう名称の使用を禁じられておりますから、混乱があると思うのです。それで、それは行政監督官庁としてどういう工合に論理的に対決をしようかという点はどう考えておりますか。
  108. 町田充

    政府委員(町田充君) かりにそういう申請がございますれば、この改正法の趣旨というものを十分説明をいたしまして、かりにこの改正法の施行前においては、法律的に私どもは拒否する権限はないといたしましても、十分行政上の指導でそういうまぎらわしい名前の利用なり、そういう種類の団体の設立につきましては、十分行政指導してまいりたいと考えております。
  109. 田中一

    田中一君 連合会は、建設大臣の許可権限になっております。地方の各都道府県にありますところの団体は、これまた都道府県知事の権限になっておりますから、その際には十分に行政指導によって各都道府県知事の間違いが起こらないような通牒をお出しになりますか。
  110. 町田充

    政府委員(町田充君) そういう種類の通達も、当然この法律の施行の注意事項として出すことも考えてみたいと思います。
  111. 田中一

    田中一君 現在これをこのものずばり、並びにこれに似通った名称を使っておるものがあった場合には、どういう措置をとるつもりですか。
  112. 町田充

    政府委員(町田充君) 現在この種の名前のものがあるかどうか、私現在確認いたしておりませんが、直ちにいまこれを改めさせるということは、少し無理かと思いますけれども、この法律の施行の前に、十分間に合いますように、この法律趣旨、そういうものをよく説明いたしまして、この法律趣旨に沿う団体に組織がえできるものならそのままでいいとして、もしそういう改変ができないというようなものにつきましては、この法律趣旨に従って指導をしてまいりたい、こういうつもりでおります。
  113. 田中一

    田中一君 現在あります取引員会そのものの実態が、この法施行以前にこの名称を使いたいという申し出があった場合には、これを許可しますか。
  114. 町田充

    政府委員(町田充君) 法律的に拒否する理由はございませんが、この法律趣旨を十分説明をいたしまして、できるだけそういうまぎらわしい名前の使用、そういったものを自発的に阻止するように十分行政指導はいたしたいと考えます。
  115. 田中一

    田中一君 これは議員提案ですから、法律案をまだ十分に御理解になっておらないと思いますけれども、現在取引員会という制度はこれを廃止する、そして取引員会そのものを再編成させようという趣旨でできております。そこで、現在の取引員会そのものが二年後に備えてそのような準備をする、いつでも乗りかえる準備をするというようなことが、確実にそのものであるということが認められたならば、その使用は認めますかどうかということなんです。
  116. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 関連事項ですから私のほうから——役所のほうでおわかりにくいかもしれませんから申し上げたいと思うのですが、現在取引員会並びに連合会がございますが、それかまだ二年間——二年間と申しますか、四十二年三月三十一日までは存続するわけでございますが、存続の間におきましても、定款を変える等の方法によりまして、宅地建物取引業協会の内容と同じようなものに近づけるというようなことが考えられるわけです。ただそのときに問題になりますのは、宅地建物取引業協会並びに連合会というものは、そのメンバーが全部この改正法に基づきまして免許を受けたものばかりになるわけです。ところが、それはそういう団体はちょっとできないだろうと思います——そういうものも入ったものはできましょうけれども、全部免許を受けた業者だけのものはできない、こういうわけですから、その辺のところ実際上なかなかむずかしい点が出てくる。同じようにしようと思ってもできないことになりはしないか、そうすると免許を受けたものだけで、一部分だけでやるというようなことにでもしなければできないから、技術的に非常にむずかしい問題があるから、行政当局で十分その点は検討なさるべきだ、こう思っております。
  117. 田中一

    田中一君 それじゃ提案者並びに政府に伺いますが、東京のような一万をこえる業者が存在するという地域におきましては、これを細分化しまして既成市街地ならば区単位の何らかの団体、それから三多摩方面ならば限定した地域中心として団体をつくるということは、これはあり得ると思うのです。現在もできております。その際、その団体の名称は、この法律で示されているものは、都道府県単位の業協会になっておりますが、その構成団体として個人並びに法人、これははっきりと明記してありません。団体でもよろしいし、個人でもよろしいということになっておりますけれども、その場合に、地域にできる地域的組合あるいは団体等は団体として加入し得ることになろうかと思うのですが、その点はどうですか。その名称は地区取引業協会になるのか、あるいはそれは、たとえば協同組合組織をもってやっている場合もあるならば、協同組合としての単位で加入できるのかという点について。
  118. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) この取引業協会のメンバーは、免許を受けた宅地建物取引業者であるということになっておりますから、そういう免許を受けた取引業者は、それが個人であっても、法人であっても、協会のメンバーになり得る、こういうふうに解釈をすべきではないかと思います。
  119. 田中一

    田中一君 いまの野田議員の御答弁で、計画局長、よろしゅうございますね。
  120. 町田充

    政府委員(町田充君) けっこうでございます。
  121. 田中一

    田中一君 その際に、その名称が地区の取引業協会という名称を使わずに、たとえば練馬区宅地建物取引業協同組合というような名称でもこれは一向差しつかえないのだと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  122. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) それはこれと違った名称のものは、すなわちこの法律に定めているものではないと思います。別個のものだと思います。ですから、業法に定めるものは、あくまで宅地建物取引業協会あるいは宅地建物取引業協会連合会という名前を使うものと、こう思います。
  123. 田中一

    田中一君 その際、やはり業協会という名称を使うのは、都道府県単位にその団体が持たれるということであって、その末端の地域の名称は差しつかえない。野田卯一でも田中一でもよろしいし、また練馬区協同組合でもよろしいということですね。
  124. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) そのときには、東京東京都、あるいは神奈川県という各県とか府は、一つという考え方を持ちますから、東京都宅地建物取引業協会、神奈川県の宅地建物取引業協会というもの一つでありまして、それ以外のものは、この法律に基づく——新しい案文ですね、これに基づく取引業協会とは考えていないわけです。
  125. 田中一

    田中一君 いや、そこはこういうことなんです。東京は広いですから、一万人なり二万人なりが、一団体に個人個人で登録するなんということはなかなか困難であるから、地区で共通の利害を中心として団体が設けられる例がたくさんあるんです。たとえば地域でいえば練馬宅地建物取引業協同組合というような、むろんこの資格を持った業者が集まっている法人があります。その際、その法人で加入できるのは、いまの答弁にあったとおりよく了解いたしましたけれども、そういう名称を使っても一向差しつかえないというように理解してよろしいですね。
  126. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) いまの田中さんの御趣旨は、少しわかりにくいのでありますが、この法律の予定しているのは、各都道府県一つずつという取引業協会を認めようというわけなんです。ところで各地域に、たとえば東京都でいえば各区にいろいろな業者が任意団体をおつくりになるという意味なのか、それが本法に基づく取引業協会をおつくりなさる意味なのか、もし、本法に基づく取引業協会をおつくりになるということならば、これは東京都単位に設けるべきである。それから、各地域でおつくりになるものは、本法の規定で予想しているものではないということです。
  127. 田中一

    田中一君 ですから、それはたとえば東京都宅地建物取引業協会練馬支部というかりに名前を使う場合がある。その練馬支部というものは何かというと、地域地域で、たとえば練馬宅地建物取引業協同組合という法人組織に基づいているものもあるわけです。そういう場合には、いかようにも——支部という名称があるならばいかようにも内容は、内容というか名称は何を使っても差しつかえない、こういうふうに理解していいんですね。
  128. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) だいぶ問題がはっきりしてまいりましたが、宅地建物取引業協会は東京都一本であるが、たとえば地域が広いと、たとえば各区ごとに支部を設けるというような場合があり得るということでございますが、支部になりますと、その支部というものはおそらく法人格はないだろう。東京都本部で一つにまとまったものは法人格を持っておりますが、支部というものは法人格を持たないので、事実上の存在じゃないかと、法律的にはそういうふうに考えます。
  129. 田中一

    田中一君 この法律を適用される団体、直接の団体は、東京都宅地建物取引業協会、そしてその協会が各地域に支部を設ける、その場合には、その支部は当然この法律の制約をそのまま、定款、約款等でそれを徹底させるということになるわけですから、その場合の名称は支部という名称でなくちゃならないのか、あるいは田中一という個人が加入することもできるし、また、宅地建物取引業協同組合という協同組合組織の団体として加入もできるということに理解していいのですか。
  130. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) これは、たとえば練馬区なら練馬区におるところの業者か、あるいは会社である場合もありましょう、あるいは個人である場合もありましょう、それが免許を受けてこの取引を行なうわけです。それが東京都の取引業協会のメンバーになり、そのものが練馬に集まって支部を構成する。その支部が法人格を持つかどうかということは、本法に基づく法人格は持たないだろう。その場合どういう名前をつけていいかということは、この本法の元の取引業協会という名前はこれはほかのものに使わせない。ひとつはっきりしたものにしようという趣旨から申しますと、同じ東京都の取引業協会の支部が別々の違った名前をつけるということは、行政指導としてはそういうことをさせない、統一していく。まぎらわしくないということが必要と思います。
  131. 田中一

    田中一君 私がこういうことをしつこく伺うのは、実体が存在するから混乱があってはいけないから伺うわけですけれども、一番すっきりするのは、この法律によって受ける資格者というもの、業者というものが、法律によって規制されるというか、認められる業者が集まって支部を、東京都宅地建物取引業協会の何々支部をつくることはこれは一向差しつかえないわけです。その支部に加入する単位というものが、個人の場合と、あるいは業者が任意に練馬宅地建物取引業協同組合というものをつくっている場合には協同組合としての加盟ができるか。あるいは全部そうでなくて、そういう協同組合というものは別個の存在であって、これはそれら協同組合の目的をもって任意につくったので、加入する場合には個人個人でございますというようなことになるのか、その点を伺いたいと思っているのです。
  132. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 私は、いまの田中さんのお話では、協同組合が支部のメンバーになるというわけじゃないと思うのです。協同組合が東京都の取引業協会のメンバーであれば、それは当然支部のメンバーになりますけれども、その取引業協会のメンバーになり得るかどうかというのは、そういう協同組合を業者としてこれで免許制で免許するかどうかという問題にかかってくると思う。私は、いまその場合にもかってに法人とか——法人といいましても会社とか個人というものを考えたのでありまして、協同組合というものを業者として許可するかどうかということは、検討を要するだろうと思います。
  133. 田中一

    田中一君 むろん協同組合は、これは宅建業法上の協同組合でなくて任意な協同組合法の協同組合であるわけなんでして、これを許可するのは、当然これは、何も建設省の許可を受けなくてもいいわけなんです。そこでそういう点が、たとえば一つの例として、会費を払う場合にも協同組合として五十名が加盟している、五十名で権利といいますか、資格を持っている業者が集まって五十名で協同組合をつくっているという場合に、これはもう当然東京都の協会のほうに加入すべき資格は持っているわけです。その場合に、協同組合という単位でもって加入するのは一向差しつかえないわけなんです。個人じゃだめだということになると別ですけれども、商法上の法人も協同組合法上の法人も、法人の単位に違いないわけですから、そういう場合は認めるかどうかという問題を伺っているのであって、まあこれはこういう例はたくさんございます。たとえば建設業協会は、個人の会員というものがございます。それからまた団体で加入しているもの、団体加入のものもいるわけです。その点をひとつ明確にしておかないといけないと思って伺っているわけですが、これはいままでほかの業法等の関係もありますから、町田君のほうでどういう見解を持つか。また、そういう点は、いま野田提案者が言っているように、今後よく話し合ってこの法律を守り得るいい条件のもとに認めるか認めないかをきめるということならそれでもけっこうでございます。
  134. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 大体いま田中さんのおっしゃったように、協同組合に正規の取引業としての免許を与えるかどうか。これはいろいろな他の、たとえばたばこの販売を許す場合、個人と法人と、それから協同組合の場合と、いろいろな問題がたくさんございますから、そういうものといろいろなものを実際の経験に照らして、それがほんとうに業界の団結とかレベル・アップにいいかどうかという観点から、建設省でよく研究して考えてみたいと思っております。
  135. 田中一

    田中一君 政府のほうはよろしゅうございますね。
  136. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私、承っておりまして感じましたことは、この法律が完全に動き出すのは四十二年、今後二カ年ございます。二カ年の経過に照らしまして、政府といたしましては、このままでよろしいか、これを適当に改正して実態に、また一般の都合のいいような点があれば改正をしていくか、いまのお話しの点私は承っておりまして、東京のようなものは必ずしも一つでなければならぬものではない。組合が二つあっても三つあっても差しつかえないじゃないか。とにかく一千万からの人間がおるのですから、また、仕事も非常に広範に及ぶのですから、これをただ小さな山梨県や島根、鳥取と同じに一団体でなければならぬ必要はない。しかし、まあ一つのはうがいいという業界の要望がある。要するに問題は自主的にうまく運用されるということが一番必要なのであって、それを法律で規制するものがあれば規制して、この取引が円滑に進むように協力するということに目的があるだろうと思いますから、その目的に合致するように政府としては考えたい。必要があれば、四十二年までに改正をしなければならぬ点があれば、さらに勉強いたしまして改正をお願いすることもあるかもしれませんが、このままでよろしければこのままでいく、こういうつもりでおります。
  137. 田中一

    田中一君 どうも建設大臣そっくりかえってものを言っているけれども、それじゃ困る。これはやっぱり一応一本のものでその支部組織ということをわれわれは望むのであって、これはむろん法律上唯一の団体でなければならぬというような強制加入的な規制はなかなかこの法律でもできません。できませんが、当然監督する立場建設大臣としては、十あるよりも一つのほうがやりいいのであって、望ましいのは一つである。しかしながら、二つ、三つでなければならぬという条件が出れば、おのずからそれはそういう団体が生まれるでありましょうけれども、少なくとも自民、社会、民社三党の協同提案の精神というものは、一つになるのが望ましいという点にあるのではなかろうかと思いますが、その点を明らかにしていただきたい。
  138. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) ただいま建設大臣がおっしゃいましたが、三党の共同提案であり、また、そのうしろには業界を健全なものにし、りっぱな建設業に協力しようという趣旨においてできているものですから、その趣旨に従って建設省でもこれをやっていただけるものじゃないかというふうに私は期待いたしております。
  139. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御意見でございますけれども、私は、認可を受けて営業する人、すべての人がなるたけ多数の人がこれに加入してりっぱに営業のできるようにするということが最終の目的であります。それを期待するわけであります。その場合に、一つであるために往々にして見られるように、人的構成等がなかなかやかましい。これは間々あることでございます。そういうものを一つにしぼらなければならぬ理屈は私はないだろう。したがいまして、今後の推移を見て、実情に照らして考えたいと、こう私は申し上げたのであります。必ずしも多いほうがいいという議論を私は持っておりません。しかし、実情に合うように、四十二年実施するまでの経緯を見まして、その上で必要があれば改正をしてやっていくというゆとりを残しておいたほうが私の考えとしてはよかろうと思って申し上げたわけであります。御趣旨は十分体してやるつもりでございます。
  140. 田中一

    田中一君 それから、直ちに四十年四月一日から実施しようという宅地建物取引業審議会、これももう明年四月から発足しなければならぬことになっております。これにはむろん学識経験者あるいは行政庁の方々もあるいは入るかもしれません。しかしながら、これには当該取引業者の団体の代表は、むろん府県審議会並びに中央審議会には入る、任命、委嘱をされるものと理解してよろしゅうございますか。
  141. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) もう一ぺん……。
  142. 田中一

    田中一君 来年の四月一日からいよいよ審議会のほうは発足いたします、この法律改正によって。そうすると、都道府県審議会並びに中央審議——これには、都道府県の区域ごとの審議会と、それから全国的な審議会と二つできるようになっておりますが……。
  143. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 法律は中央だけ……。前のは変わっているのです。
  144. 田中一

    田中一君 それじゃ質問を訂正しますが、十六項の「附属機関たる宅地審議会」ですね、これにこの業者の団体の代表を一名入れることは望ましいと思うのですが、その点は、提案者はどうお考えになりますか。
  145. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 私は、業界の代表であり、しかも人格、識見ともに優秀な人を得られれば入れていただくことがいいと思います。
  146. 田中一

    田中一君 いまの点です。建設省の付属機関たる宅地審議会は、この法施行と同時に、来年の四月一日から発足いたしますから、それに間に合うように、現在の有資格者を審議会の委員として何名か入れることが望ましいと思うのですが、それはそういうようにひとつ取り計らっていただけますか。
  147. 町田充

    政府委員(町田充君) この調査審議事項に関して十分公正に御意見をいただけるような方々にぜひともこの審議会に参加していただきたいと、こう考えております。
  148. 田中一

    田中一君 この中に「宅地建物取引業者名簿の……」といろいろ事項が出ておりますが、これらは「建設省令で定める。」と、いわゆる省令で定める事項が相当ほかにも行政上の措置として必要であろうと思うのですが、その際には、宅地審議会にもしも相談して——相談してというか、意見を聞いて、事を行なうとするならば、早急に業者代表という者を入れるべきであると私は考えておりますが、その点は、この法律の制定後には、そのような措置をすみやかにとっていただけますか。
  149. 町田充

    政府委員(町田充君) 宅地審議会に新しい調査事項がふえたわけでございますから、当然宅地審議会令を改正いたしまして、たとえば委員の数をふやすというようなこともいたさなければなりませんので、この際、十分に検討いたしたいと思います。
  150. 田中一

    田中一君 最後に、建設大臣に。この法施行をするにあたりまして、なぜこのような法の制定をしたかということか、あまりにも業界に——業界というか、業界と言うのはどうか、業者らしく装って法律違反を犯している業者が多いのであります。業者というと、この法律に制約を受けている業者という意味ではなくて、全然これは制約を受けない……、この法律は正規の住所で登録をして、そうして扱われている業者を規制する部分があるのでありますけれども、全然やみで行なっている業者がたくさんおります。これらの人たちに対する行政上の監督、それから多くは、それらの人たちが間違いを犯しているわけなんですが、できるならばこういった業者に対する許可制なり、あらゆる行政上の監督権が及ぶことになりましたから、政府としても、これに加入しない業者を装う業者かな、やみの業者に対する取り締まりをしていただきたいと思うのです。この際、四十年度予算の編成にあたっては、これらを取り締まる予算措置をとっていただきたいと思うのです。で、これに登録するには、三千円の登録料並びに三年ごとの登録更新料を取っているのですから、そのくらいのことは当然国が扱わねばならぬと思うのです。したがって、四十年度予算編成にあたって、これらの要求をしていただけるかどうか伺っておきます。
  151. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) 提案者としていまの御質問に意見を申し上げておきます。われわれといたしましては、いままで登録制度がございまして、また、営業保証金制度がございます。国家試験の制度がございまして、そういうようなものの制約を受けて、あるいは負担をして業を営んでいる者と、そういうことを全然しないでやっているやみ業者がございますが、やみ業者に対する取り締まり、処罰を要望したのでありますが、監督官庁の処罰が厳重にいっておりません。手ぬるい。免許制になりまして、建設大臣が一々免許を与えることになります。その他取り締まりが厳重になってきましたので、この改正を基礎といたしまして、やみ業者に対して、徹底的に所管官庁として取り締まっていただきたいということをわれわれとしては心から要望しているのであります。
  152. 田中一

    田中一君 建設大臣、私は、いま野田提案者の意見に全く賛成であります。したがって、四十年度予算編成にあたっては、ただ単に登録料や更新料を取るばかりでなくて、それらの金を若干でも——若干というか全部なら全部でいいですが、それを還元して、そうして悪徳業者というか、やみ業者を一掃するような措置をとっていただきたいと思うのですが、ひとつ御答弁を願います。
  153. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  154. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記を起こして。
  155. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御趣旨のほどは十分体しまして、最善を尽くして努力していきたいと思います。
  156. 田上松衞

    ○田上松衞君 ちょっと関連して。ここであえて申し上げますが、私は、この法が施行されて以来、二十七年からずっと実務を扱っている者なんです。宅地建物取引業審議委員をやっておって感ずるのですが、いま言っておる問題は、業者にあらずして、いわゆるもぐりのことなんですよ。これを取り締まる方法は、これは全く手をあげておるわけなんです。建設省がそういう権限があろうはずがないのです。そうかといって、警察が、そこがこれによって報酬あるいは利得をするという実態は、これはどこで判定するかということなんですね。善意でもってやったというようにごまかしてしまえば、何らかの謝礼を持ってくるとか、あるいは実費を届けたとかいうようなことが、一々これが犯罪だとすることができるかどうかということは、警察でも困り切っておるわけです。したがって、結論から申し上げますと、これはきわめて至難だということに終わることになるわけですね。それを善処します、なんということばだけ言われても、どうなるのだと、これについてひとつはっきりした、迷わせないような、何といいますか、構想をお聞かせ願いたい。
  157. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 重ねての御注意でございますが、私は非常にむずかしいことを考えますけれども、先ほど田中さんからもお話がありましたとおり、各府県にその旨を十分に連絡いたしまして、できるだけ取り締まりを厳重にするように督励してまいりたい、こう思うのでございまして、初めから、むずかしいことでございますから、なかなか御期待に沿うようなことは困難でございますが、要は官民一体となってやらなければできるものではない。政府にだけ要望されることは私は間違っていると思います。したがって、業界自身が自分の商売を守るために自分自身で大いにやるということが主になりまして、そしてそれぞれの係の者を引っぱっていくというぐらいに、それぞれの地区における業者もひとつ奮発してもらうということでなければならぬと思います。それでもしその地区の係の者が不勉強であるとか、不注意であるとかいうことがあれば、私としても十分督励をして、協力していくのでなければできない、私はこう思います。
  158. 田中一

    田中一君 最後の希望する事項でありますが、成規の手続を経て業を営んでいる者の間にも非常なる悪徳が横行しております。これは例をあげれば枚挙にいとまがございません。そこで、今度免許制になりまして、免許になる以上、政府としても良貨であるということを確認して、これに対する許可を与えるべきだと思うのです。したがって、責任は当然でございます。その免許された業者に対する監督権は、いままでと違って倍加されなくちゃならぬと思うのです。したがって、それだけの確保を要求しているのが今回の法律改正だと思います。したがって、それらの免許を受けたところの業者に対しましても、実態を十分に把握して、悪い業者がいたならばどしどし処分するというようなき然たる態度をもって臨んでいただきたいと思うのです。ただ単にもぐり業者だけではございません。現に登録をしている業者の中にもそれがございますから、その点はひとつ要望いたします。したがって、それに対する態度も、大臣からひとつ言明していただきたい、こう思うのです。
  159. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お述べになりました点につきましても、私も同感でございますから、よく注意いたします。
  160. 田中一

    田中一君 私の質疑はこれで終わります。
  161. 田上松衞

    ○田上松衞君 野田さんに念を押しておきますが、やはり要綱の第七の取引主任ですかの項の第二項ですが、「従前の宅地建物取引員試験に合格した者は、宅地建物取引主任者資格試験に合格した者とみなす」という規定は、これは未来永久というぐあいに考えてよろしいですか。
  162. 野田卯一

    衆議院議員(野田卯一君) そう考えております。
  163. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 他に御質疑はございませんか。——ほかに御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——御意見もないようでございますが、討論はないものといたします。  それでは採決に入ります。  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  164. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  166. 安田敏雄

    委員長安田敏雄君) 速記を起こして。  先ほど一時中断いたしました土地収用法等の一部を改正する法律案の質疑は、都合により次回に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十三分散会    ————————