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国務大臣(
河野一郎君) 前段の御
質問に対して最初にお答えいたします。私は
建設大臣に就任いたしましてから、就任以前にいろいろ承っておりました経緯等にかんがみまして、最も慎重に行なう必要があるという
意味合いから、たびたび、もし私がお目にかかる
機会があればお目にかかるという申し入れもいたしました。また、現地に近い諸君を通じて先方の御意思もいろいろ問いただす方法もとりました。しかしいずれも、会おうと申し入れましてもなかなか実現いたしませんで、だんだん時日が経過するのみでございまして、解決の方向に向かいませんでした。最後に私は、本問題を本質的に
考えまして、非常に山を愛する人だし、自分の持っておる山林が水没することは非常に残念だということを言うておられるということも聞きまして、それならばひとつ宮崎県方面に相当に国有林で美林があるはずだから、そういうものと交換したらどうだろうかということを
考えまして、もしそういうことが交換の方法によって解決がつくならば、他の国有林と交換していただくわけにはいかぬだろうか、そういう御意思があるなら具体的に自分も農林当局にも話をし、その方途を講じてみる、
考えてみるが、どうだろうかという申し入れもいたしました。ところが、いずれもこれらは受け入れていただくことができませんで、ついに今回の処置をとらなければならないことに相なりました。判決がありましてからも、にわかにこれを実行するということは必ずしも適当でないと
考えまして、たまたま御
承知のように、別府に私が参る予定をしておりましたので、最後に自分は別府に参りまして、御
承知のように、木下大分県知事は相当に真相を、もしくはその
立場から
一つの見解を持っておられるんじゃないかというようなことを
考えまして、細部は木下君に会ってよく意見を聞いてみるということで、ひそかにその時期を待っておりました。そうして私は別府に参りまして、木下知事から前後の事情、もしくは木下知事のこれに対する見解等をつぶさに拝聴いたしました。たまたま室原君のごく近しい人がそこにおられましたので、この人からも最近の室原君の実情等についても詳細承りまして、私の意向も流してございましたから、私が大分に来たならば当然
質問をするだろうと思って私が参りまする数日前から、それは室原君と遠縁関係に当たっているので、面会を申し込んだけれ
ども、面会すら拒否されてできないという事情にありましたので、これ以上当局がいたずらに解決を遷延することは、御
承知のように十数人あるいは三十数人の
人たちの、それらの同意をした諸君の
気持ちを動揺させていたずらに事態を悪化させるだけである、したがって、すみやかに問題の解決をはかることがとるべき手段であるということを、一様に別府で私は地元に近い諸君の意見を聞きました。もちろん木下知事も、いま私が申し上げましたことと同様の御意見でございました。
したがって私は、このときに最後の決意をいたしまして、帰ったならば、すぐに決裁をして問題の解決をはかることがよろしいという決意をいたして
東京に帰ってまいりました。帰ってまいりましたらば、御
承知のように成田君と総評の太田君はじめ代表の方がおいでになりましたので、これらの諸君にもお目にかかりまして、それらの事情を承りまして、適当な解決策、もしくはこれに対して考慮する点がございますならば、御
協力いただきたいということをお願いしてお別れをいたしました。そうして約束をした期限を私は遷延してお待ちしておりましたら、これらの諸君から、いろいろ骨を折ってみたけれ
ども、もう方法はない、
行政上のとるべき措置をお進めになってけっこうですという御返事をいただきました。こういうふうに私としては一応の手段をすべて私は終わったつもりでございます。もちろんそこまでこじれる原因は何であったかということになりますと、私には、当時当面の私は
責任者でございませんでしたので、その当時のことはつまびらかにいたしませんが、少なくとも私は
建設大臣になりまして約一年、二年に近いこの間の事情については、ただいま申し上げましたように、最も慎重に、しかも、あらゆる手段を講じて、私は、平和的な解決を意図いたしまして努力いたしたのでございます。いま申し上げましたような結末になりましたのは、まことに遺憾でございますが、やむを得ぬことだと
考えております。
そこで、一般の
公共施設に対する土地収用に関する問題でございます。御
承知のように、この制度が実施されましてから、現在の状況について
考えますのに、この
法律の適用を受けて私が決裁をする事項は非常に少のうございます。そういうふうに適用の
対象になるもの、収用の
対象になるものは少ないのじゃないかというお話もよく承わるのでございますが、この点は、私は、そうではないのでございまして、現に収用法の適用を受けてこれが問題の解決までに相当の時間が現在ではかかっておりますことは御
承知のとおりであります。それだけの時間が、この方法をもって、この手段によりますると相当の時間が、時日が経過いたしますから、それよりも話し合いで、努力によって問題を解決するほうがよろしいというふうに、それぞれの係の者と申しますか、当事者は
考えまして、そうして、今日御
承知のように、用地取得に非常に時日を遷延をいたしております。この用地取得に時日が遷延いたしまして、目的達成にこれが非常に障害になっておるということは皆さまが御
承知のとおりでございます。それはどこからきておるかと申しますと、この土地収用についてこれを適用いたしますと非常に時間がかかる、それだけ時間がかかるならば、一方話し合いでということで、その話し合いのほうが非常に時間がかかっているのでございますから、実際用地を取得して
工事にかかるまでに非常に時間がかかる、そして、ごてごてやっておる間に地価が上がる、そうして、いわゆるごて得になるというようなことで、私は非常に遺憾である、こう
考えまして、何とか収用法を適用した場合に、これが短時間に
——やむを得ず適用せざるを得なくなったというときに
法律を適用したらば、その
法律の結論がなるべくすみやかに出るようにしなければ、せっかくこういう方法があっても、かえってそれがいま申し上げるように、それに非常に時間がかかるのでありますから、その時間のかかる道を歩むよりも、話し合いに時間をかけるということが今日の現状になっておる。これが根本的に解決されなければ、
公共施設の円滑なる運営は困難であるというふうに
考えまして、今回、この
改正の
趣旨をお願いいたしておるのでございます。
しかし、さればといって、最も注意をしなければならぬことは、今度はこれはすぐできるのだから、何でもこれにかけてしまえばいいのだというようなことになることを、私はおそれます。これは、これがあるから、努力を一通りしたらば、いけなければこれでやればよろしいのだということになって、そうしてそれぞれの係の者があまりにこれにたより過ぎるというようなことになりますことは、厳に戒めなければならないと
考えまして、すでに私は、
衆議院をこの
法律が通過いたしました直後におきまして、
建設省関係、公団関係、それぞれ用地関係の
責任者を招致いたしまして、この
法律が施行されるようになったならば、一番気をつけなければならぬ点はこの点だ、少なくともこれだけの努力をしなければ、この
法律を適用してはいかぬという
基準を定めまして、これだけの努力をしてなおかつ解決をしないものは適用してやるべきだということを厳に守れということの指示もいたしておるわけでございます。私としては、その点に十分注意をして、
公共施設の円滑な促進をはかりたいと
考えておるわけであります。