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政府委員(町田充君) ただいま
議題となりました
土地収用法等の一部を
改正する
法律案につきまして、逐条的にその
内容を御
説明申し上げます。
この
法案の第一条は、
土地収用法の一部
改正であります。まず、第五条の
改正でありますが、海底を直接に第三条各号列記の事業の用に供するためまたは第三条各号列記の事業のために海面を埋め立てもしくは干拓して造成した
土地を必要とする場合に
支障となる漁業権を収用し、または使用することができるようにするものであります。
第十一条の
改正は、事業の準備のための立ち入りについて
都道府県知事の許可を要することになっておりますが、国が起業者である場合には、
知事に対する通知のみで足りる旨が
規定されており、今回は、これに
地方公共団体が起業者である場合を加えようとするものであります。
第十五条の
改正は、これに伴う
規定の整理であります。
第十六条の
改正は、第三条各号列記の事業の施行に伴い必要を生じた他の第三条各号列記の事業、たとえば、
ダムをつくります場合に水没する市町村道のつけかえ等を関連事業として原因事業の施行者があわせて
土地取得のための収用手続を進めることができる旨を明確にしたものであります。
第十七条第一項の
改正は、関連事業をあわせ行なう場合の事業認定権者を明らかにしたものであります。
同条第三項の
規定の追加は、
建設大臣または
都道府県知事は認定申清書を受け取った日から三ヵ月以内に事業の認定に関する処分をするようにつとめなければならないとする努力義務
規定であります。
第十八条第二項の
改正は、第十六条の関連事業の
規定の
改正に伴い事業認定の
申請の際に添付する書類に、起業者が関連事業をあわせ行なおうとするときは、関連事業の施行につき、その必要を生じたことを証する書類を加える旨を定めたものであります。
第十八条第三項の
改正は、第二項の
改正に伴う
規定の整理を行ない、及び事業を施行する
土地に
土地を収用し得る他の事業の用に供している
土地がある場合に、その
土地の
管理者の
意見書及び事業の施行について
関係行政機関の
意見書または許認可書を添付しなければならない場合に、これらを求めても三週間以内に得られないときには疎明書をもってかえることができることとし、事務処理の迅速化をはかろうとするものであります。この
改正は、
公共用地の取得に関する特別
措置法第四条第三項にあります
規定を
一般収用法に取り入れたものであります。
第二十四条の
改正は、事業認定
申請書の縦覧を
市町村長が二週間以内に行なわない場合には、起業者からの
申請により
都道府県知事がかわって縦覧をすることができるようにするものであります。これも特別
措置法第九条の
規定を
一般収用法に取り入れ、収用法適用対象事業全部に対して適用することにしたものであります。
第三十一条の
改正は、現にあっせんに付されているものについては、その事件があっせんに付されてから三カ月を
経過しないうちは、
土地細目の公告をすることができない旨を定めた第二項を削り、起業者はいつでも
土地細目の公告の
申請をすることができるようにし、手続の迅速化をはかろうとするものであります。
第三十五条及び第三十六条の
改正は、それぞれ第十一条及び第六十一条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第三十七条の二の
規定の追加は、
裁決申請書に添付することを要する
土地調書及び物件調書の作成のために起業者が
土地に立ち入るのを
土地所有者等が正当な理由がないのに拒み、妨げたために立ち入ることができない場合には、他の
方法で知り得る程度でこれらの調書を作成すれば足りるとするものであります。この
規定もまた、特別
措置法第十五条の
規定を収用法に取り入れたものであります。
第三十八条の
改正は、この
規定の追加に伴う
規定の整理であります。
第四十条のただし書きの追加は、起業者は、
土地細目の公告後、
土地所有者及び
関係人と
土地等の取得について協議しなければならないことになっておりますが、協議をすることができないときまたは
土地細目の公告前において協議を重ねており、その交渉
経過から見て協議が成立する見込みがないことが明らかであると認められるときには、あらためて協議をすることを要しないものであることを明らかにしたものであります。
第四十一条の
改正は、第四十条ただし書きに該当する場合には、起業者は直ちに収用
委員会に
裁決申請をすることができるようにするものであります。
第四十二条の
改正は、追加された第三十七条の二の
規定により起業者が
土地調書及び物件調書を簡易な
方法で作成した場合において、
裁決申請書の記載事項も同様に簡略化することができることとしたものであります。
第四十四条の
改正は、
裁決申請書の縦覧を
市町村長が行なわない場合には、事業認定
申請書の縦覧の場合と同様に、
都道府県知事がこれを代行することができるようにするものであります。この
規定もまた、特別
措置法第十八条の
規定を
一般収用法に取り入れるものであります。
第四十六条の
改正は、収用
委員会は、
裁決申請のありました事件につき、審理の促進をはかり、
裁決が遅延することのないようにつとめなければならない旨の努力義務
規定を加えるものであります。
第四十八条の
改正は、収用
委員会が損失の補償を受けるべき者の氏名及び住所を確知できない場合においては、
裁決書にこれを記載することを要しないこととし、
土地所有者または
関係人が所在不明または
土地所有権もしくはその他の権利について争いがあるためこれを確知することができない場合においても
裁決することができる旨を明確にしたものであります。
同条第五項は、
土地に関する
所有権以外の権利の存否について争いがある場合には、
裁決の際に、一応その権利があるものとして補償金の額を算定して
裁決し、別途訴訟等において権利がないということが確定した場合には、
土地所有者が受けるべき補償金を定めて
裁決しなければならないことを定めたものであります。
第五十二条第四項の
改正は、収用
委員会の
委員及び予備
委員は、
地方公共団体の議会の議員または
地方公共団体の長もしくは常勤の
職員と兼ねることができないこととする兼職禁止の
規定を置くものであります。
同条第七項の
改正は、収用
委員会の
委員のうち
政令で定める
都道府県においては、
政令で定めるところにより一部を常勤とすることができるようにするものであります。
第五十八条の
改正は、収用
委員会の事務を整理させるため、収用
委員会に専任の
職員を置くことができるものとし、その任命
方法を定め、事務量その他から見て必要でない場合においては、従前どおり
都道府県知事が
指定する局部においてその事務を整理させることができるものとするものであります。
第六十条の
改正は、第六十条の二の指名
委員の
規定の追加に伴い、指名
委員が審理を行なう場合には、定足数の制限の
規定を適用しないこととするものであります。
第六十条の二の
規定の追加は、収用
委員会が
委員を指名して、
裁決及び決定を除く審理または
調査に関する事務の一部を行なわせることができるものとするものであります。
第六十一条の
改正は、第五十二条第四項の兼職禁止
規定の追加に伴う
規定の整理を行なうものであります。
第六十四条及び第六十五条の
改正は、第六十条の二の指名
委員の
規定の追加により、指名
委員が審理または
調査を行なう場合における審理指揮権及び
調査権を定めたものであります。
第六十七条の
改正は、二以上の
都道府県が合同して審理を行なう場合においても、第六十条の二の指名
委員の
制度を適用することができるよう、審理についてその定足数の制限の撤廃をはかろうとするものであります。
第九十五条の
改正は、第四十八条第五項の追加により、権利の存否不明の
裁決をした場合における補償金の供託
方法を定めたものでありまして、採決において一応あるものとされた権利にかかる補償金を供託しなければならないを定めたものであります。
第九十七条の
改正は、第九十五条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第百六条の
改正は、
土地を収用された者またはその包括承継人が収用された
土地を買い戻すための買い戻し権の行使の相手方を収用にかかる
土地の現在の
所有者に改め、起業者が収用にかかる
土地の
所有権を他に移転しても買い戻し権の行使ができるものである趣旨を明確にしたものであります。
第百七条の
改正は、第十六条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第百八条、第百十五条及び第百十六条の
改正は、いずれも第四十条ただし書きの追加に伴う
規定の整理であります。
第百三十八条の
改正は、第五条の
改正に伴う
規定の整理であります。
次に、この
法案の第二条は、
公共用地の取得に関する特別
措置法の一部
改正であります。
まず第二条の
改正は、特定
公共事業に該当する事業として各号に列挙するものを
土地収用法第三条各号及び都市計画法第十六条第一項の
規定による都市計画事業のみならず、他の
法律により
土地を収用しもしくは使用することができる都市計画事業に広げ、特定
公共事業に該当する事業を施行する起業者が
土地収用法第十六条に
規定する関連事業をあわせて施行する場合においては、これらの関連事業を特定
公共事業として施行することができるようにするものであります。
また、同条に第八号を加えましたのは、
土地収用法第三条各号の一に該当する事業もしくは都市計画法その他の
法律の
規定により
土地を収用しもしくは使用することができる都市計画事業のうち、第一号から第七号までに掲げる事業と同程度に
公共の利害に重大な
関係があり、かつ、その
整備の緊急性があるもので
政令で定めるものを特定
公共事業に該当する事業とすることができるようにするものであります。
第四条の
改正は、特定
公共事業の施行者が関連事業をあわせて施行しようとする場合においては、特定
公共事業
申請書に添付する書類に、関連事業を施行する必要を生じたことを証する書面を追加するものであります。
また、第四項は、特定
公共事業の
申請があったときは、
建設大臣はその認定に関する処分を三カ月以内に行なうようにつとめなければならない旨の努力義務
規定を加えたものであります。
第七条の
改正は、第二条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第九条、第十四条及び第十五条並びに第十七条及び第十八条の
改正は、これらの
規定をいずれも
土地収用法に取り入れ、
一般の収用法適用対象事業についても適用することとしたため削除するものであります。
第二十条の
改正は、特定
公共事業の起業者から収用
委員会に対して緊急
裁決の申し立てがあったときは、収用
委員会は、二カ月以内に
裁決をしなければならない旨の義務
規定を新たに加えたものであります。
第二十七条の
改正は、
土地収用法第九十五条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第三十八条の二から第三十八条の六までの第四節の
規定は、
建設大臣が収用
委員会にかわって
裁決を行なう場合の要件、手続等を定めたものであります。
まず、第三十八条の二の
規定は、収用
委員会が、起業者から緊急
裁決の申し立てがあってから二カ月以内に
裁決を行なわない場合に、起業者が行政不服審査法に基づく
異議申し立てがあったときは、
異議申し立てのあった日から一カ月以内において
裁決を行なう期日を定めてこれを起業者に通知した場合を除き、事件を
建設大臣に送らなければならない旨を定め、それに伴う事務処理
規定を定めたものであります。
第三十八条の三の
規定は、前条の
規定により送られた事件については、
建設大臣が
公共用地
審議会の議を経て
裁決を行なう旨を定めたものであります。
第三十八条の四第一項及び第二項の
規定は、
建設大臣が
裁決を行なうための審理及び
調査の一部を指名した
職員に行なわせることができる旨を定め、この場合において
土地収用法に
規定する指名
委員に関する
規定を準用し、これに伴う必要な技術的読みかえの
規定を置いたものであります。
同条第三項及び第四項の
規定は、
建設大臣の行なう代行
裁決の形式及びその送達について定めたものであります。
第三十八条の五の
規定は、
建設大臣が代行
裁決として緊急
裁決をしたときは、補償
裁決を収用
委員会に行なわせるため、事件を再び収用
委員会に
送付すべき旨を定め、あわせてこれに伴う必要な手続を定めたものであります。
第三十八条の六の
規定は、事件が収用
委員会から送られて
建設大臣が代行
裁決を行なう場合及び
建設大臣が緊急
裁決を行なった事件について収用
委員会が補償
裁決を行なう場合における両者の事務手続の連絡を保つための必要な事項を定め、あわせてこれに伴う必要な技術的読みかえの
規定を置いたものであります。
第三十九条の
改正は、第二条及び第四条等の
改正に伴う
規定の整理であります。
第四十条の
改正は、本
法案第三条におきまして行なう都市計画法第二十条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第四十二条の
改正は、
建設大臣の行なう代行
裁決に対する
異議申し立てまたは訴えの提起について、いずれも
土地収用法の
規定を準用することとし、これに伴う必要な技術的読みかえの
規定を置いたものであります。
第四十八条の
改正は、第三十八条の三第二項の
規定が加えられたことにより、
公共用地
審議会の権限が拡張されることとなるため、これに伴う
規定の整理を行なうものであります。
最後に、この
法案第三条は、都市計画法の一部
改正であります。
第二十条の
改正でありますが、従来都市計画事業にかかる
土地等の収用または使用につきましては、収用または使用の
裁決を主務
大臣が行ない、損失の補償に関する事項は収用
委員会で
裁決するという構成になっておりましたのを、第二十条を削ることによりまして、都市計画事業にかかる
土地等の収用または使用についても、収用法適用事業と同様、すべて収用
委員会で
裁決することといたしました。
以上をもちまして、
土地収用法等の一部を
改正する
法律案の本則についての逐条
説明を終わり、次に、この
改正法案の施行期日、
経過規定等について定めた付則について御
説明申し上げます。
附則の第一項は、この
法律案の施行期日を定めたものでありまして、公布の日から施行することにいたしております。
第二項は、本
法律案による
土地収用法第五十二条第四項の兼職禁止
規定は、現在
地方公共団体の議会の議員または
地方公共団体の長もしくは常勤の
職員と兼ねている収用
委員会の
委員または予備
委員については、その任期の満了するまでの間は適用しない旨を
規定した
経過規定であります。
第三項は、
建設省設置法の一部
改正でありますが、これは、本
法律案による
公共用地の取得に関する特別
措置法第四十八条の
改正に伴い、
公共用地
審議会の権限が拡大されたことに伴う
規定の整理であります。
第四項から第六項までは、首都圏市街地開発区域
整備法の一部
改正、
公共施設の
整備に関連する市街地の改造に関する
法律の一部
改正及び新住宅市街地開発法の一部
改正でありますが、これらはいずれも、本
法律案による都市計画法第二十条の
改正に伴う
規定の整理であります。
第七項は、
改正前の都市計画法第二十条の
規定により現在主務
大臣に収用または使用の
裁定を
申請している事件については、本
法律案による都市計画法第二十条の
改正にかかわらず、主務
大臣が収用または使用の
裁定をすべき旨を定めた
経過規定であります。
第八項は、租税特別
措置法の一部
改正でありますが、これは、本
法律案による
公共用地の取得に関する特別
措置法第二条の
改正に伴う
規定の整理であります。
以上、
土地収用法等の一部を
改正する
法律案について、逐条的に御
説明申し上げた次第でございます。