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1964-03-17 第46回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十七日(火曜日)    午前十時三十分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君            武内 五郎君    委員            小沢久太郎君            小山邦太郎君            高橋進太郎君            村上 春藏君            小柳  勇君            瀬谷 英行君            田中  一君            田上 松衞君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設大臣官房長 平井  學君    建設大臣官房会    計課長     吉兼 三郎君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   参考人    住宅金融公庫総    裁       師岡健四郎君    住宅金融公庫理    事       町田  稔君    住宅金融公庫理    事       中平 栄利君    日本住宅公団総    裁       挾間  茂君    日本住宅公団理    事       関盛 吉雄君    日本住宅公団理    事       潮   洸君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本住宅公団法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  先ほどの委員長及び理事打ち合わせ会の結果を御報告いたします。  本日は、前回に引き続き、日本住宅公団法等の一部を改正する法律案に対する質疑を行ないます。  次に、本日の議事に入る前に、御報告申し上げたいことがございます。  本委員会委員であります田中清一君は、リューマチと高血圧のため、本年一月中旬より、沼津の御自宅において療養されておりまするので、一昨日、委員会を代表するという意味で、中島調査室長委員部渡辺参事の両君がお見舞いに参りました。さよう御承知を願いたいと思います。  ちょうど本院医務室山田医師が診察に見えたそうで、その所見として、現在の状態は、あまりはかばかしいものではない、すぐ入院加療を要するとのことでありまするので、ここ当分の間、療養生活を続けられるものと思われます。  なお、委員各位に、くれぐれもよろしくとの御伝言がありましたので、申し添えます。  右、御報告申し上げます。   —————————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは本日の議事に入ります。  日本住宅公団法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日の出席者は、政府側から河野建設大臣平井官房長前田住宅局長、吉兼会計課長小林文書課長参考人として、日本住宅公団から、挾間総裁関盛理事潮理事住宅金融公庫から、師岡総裁町田理事中平理事が出席しております。  本案の質疑を続けます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 田中一

    田中一君 今回の法律改正宅地債券、いわゆる民間資金住宅建設のために導入しようというところにありますが、従来ともに政府並びに住宅公団住宅金融公庫等は、海外に多くの職員派遣しております。ソビエトヨーロッパアメリカ等にもずいぶん派遣しておりますが、これらの国々から帰国後、各公団公社政府等報告された事項が、日本住宅政策住宅建設のためのプラスになっている点があったかどうか。それから具体的に、私は、先進国、ことにヨーロッパ等におきますところの住宅建設に対する各国々の首脳部政府の意欲というものは相当強いものがあります。それだけに、どういう点がそれら視察された方々の結論として、おみやげとして持ってこられたかを、各政府並びに各公団公社公庫総裁から説明を願いたいと思う。
  5. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 初めに私から御説明申し上げます。  ただいま田中先生お話のとおり、戦後、特に最近数多くの者が外国に行っておりまして、勉強いたしております。それによりまして、われわれが戦後とってきました事業相当部分が、これら諸外国の特に進歩している状況資料を持って帰り、実地を見学いたしまして、それによった経験基礎にいたしまして、毎年の住宅政策、あるいは今後の具体的な建設事業参考にしておるのでございます。特に最近は、たとえば住宅建設喪を下げて、しかも、良質な住宅をつくるためにプレハブ様式を取り入れまして、日本においても、公共住宅についてはプレハブを促進するということから、かなりの成果をおさめております。それから個々の住宅設計にいたしましても、もちろん西欧諸国生活様式わが国様式とは違いますが、あるいは都市の再開発のやり方、あるいは住宅団地設計等につきましては、いずれも諸外国の実際の経験及び建築様式研究いたしまして、それを具体的な仕事に取り入れまして、でき得る限りよいものはとるということで、努力をいたしておるのでございます。
  6. 田中一

    田中一君 プレハブ建設コスト低減等は伺いましたが、よいものは取るということは、悪いものはどんなものですか。
  7. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 悪いものと申せませんけれども、まだわが国に取り入れることができないようなものがございます。たとえば非常に高度な住宅でございまして、暖房なり冷房等がついておるものがその例でございますが、そういうものは、日本の実情に合わないものもございますし、アメリカのように都市を根本的に再開発するようなことは、日本現状ではなかなか困難であります。しかし、でき得る限り日本社会なり財政の許す限りにおいては、都市の改造につきまして、これを努力いたしたいと考えております。
  8. 挾間茂

    参考人挾間茂君) お答え申し上げます。  私の方針といたしましては、でき得る限り、たとえば技術方面におきましては、相当将来性のある優秀な技術者外国派遣いたしまして、いわば先進国住宅建設における長所を視察し、その報告を求め、これを基礎として、われわれ担当いたしております公団住宅建設面におきましての参考資料といたしております。西欧諸国では、たとえばフランスでは、御承知のとおり、カミュという会社がございまして、ティルト・アップ建設における非常に先進的な計画をもって住宅建設いたしております。また、ソビエトにおきましても、同様、大量に建設をいたしております。ただ日本現状といたしましては、土地の地盤の関係、地震の関係等がございますので、その点についての研究を特に命じまして、勉強させました。いままでわれわれのほうでティルト・アップ建設をやっておりますのは、二階建てまででございますが、少なくとも四階、五階までのティルト・アップ建設をすることに大体成功を見るに至りまして、昨年度から国会の御承認を得て創設いたしました量産試験場において、これを実施し、耐震強度等にも、外国の手法を用いまして実験をいたしまして、大体成功の域に達しております。また、室内の設備につきましても、これは生活様式が違いますから同様には申せませんが、この面の研究をいたしております。なお、建設に用いますメタルフォーム研究もできまして、現在メタルフォームは、もうすでに実施の段階に入っておりまして、幾つかの団地においてこれをつくっております。  次に、私の特に留意いたしておりますのは、公団住宅が相当な数にのぼっておりまして、その管理の面において非常に改善を要すべき点があるということを考えまして、昨年度は、管理方面の若い職員派遣いたしまして、特に西欧諸国における住宅管理の面につきましての研究をいたさせまして、その報告を求め、それぞれ管理における実施について改善を加える、こういう方針で進んでおります。来年度におきましても、なおこの点を研究させたいというようなことを考えまして、それに適応した職員派遣をいたしまして、長をとって建設の推進とまたコストダウンをするという方針で進んでいきたいという方針のもとに、外国派遣を、随時数名の者を出すことにいたしております。
  9. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 私どものほうでは、毎年一名ぐらいずつ派遣しておるわけでございまするが、従来視察してまいりました事柄は、大体私どものほうでやっております産住関係の様子、それから宅造——宅地造成仕事、それから住宅金融全般に関する仕事について、諸外国の事情を調査させております。また、技術的な面につきましても、居住水準あるいは、たとえば公団等からもお話がありました建築費コストダウンというような問題につきましても研究させております。直ちに外国の例が、私どものところにすぐに採用するというわけにもまいりませんけれども、いろいろと教えられるところが多いのでありまして、今後、私ども仕事を進めてまいりまする上におきまして、これらのすぐれましたところを取り入れまして執務の参考にしたい、かように思っておるわけでございます。在来あまりたくさん出しておりませんので十分な成果を得ておりませんが、今後一そう住宅問題の発展のために、かような制度を活用してまいりたい、かように考えております。
  10. 田中一

    田中一君 では最初に、住宅金融公庫総裁から伺いますが、この住宅金融公庫法は、こういう目的をもってつくられておるんです。第一条にあります「目的」ですが、「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設住宅の用に供する土地の取得及び造成を含む。)に必要な資金で、銀行その他一般金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」と、こうはっきり書いてある。そこで、いま産住、宅造あるいは住宅金融等視察研究もしてきたというのだから、それならばこの目的に合致するようないわゆる金を——住宅資金を持っていない者、住宅資金が借りられない者に貸すのだという、この根本的な目的と、現在住宅金融公庫が置かれているところの住宅金融というものの考え方、これは国民的な感情からいっても、相当幅があるのです。しょせん住宅金融公庫は、住宅金融を行なう金貸しです。これはもうしようがありません、本質的にそれなんだから。そこで、そういう面について、あるいは金利または融資条件、保証、あらゆる住宅金融を行なう場合、市中銀行等から融通できない者に貸すのだというたてまえに立ちながら、返してくれる者、返せる者、それから担保物件としては、ただ単に七割五分の資金を借りるのでありますから、建ち上がるものは、少なくとも担保にする場合には、その融資された金額よりも大きいわけです。ましてや政府がきめられている住宅建築費と、実際に建てられるところの建築費とは、相当幅があって、自己負担の分が大きいわけです。にかかわらず、なお土地をも担保にしたければ金融しないという現状は、これは少し担保力がオーバーになるわけです。むろん二番目の抵当権を設定すれば、その分も金融するであろうことは、通常金融社会における現状であるかもしれぬけれども、何といっても、五十万円借りるために、その五十万円の建物はもちろんのこと、そのほかにかかった五十万円、いわゆる百万円の住宅担保にして、なお、一坪十万とするならば、たいへんな金の価値がある宅地担保にして、それで五十万円借りるなんてことは、いわゆるこの住宅金融公庫法に書かれている目的とは、およそかけ離れた施策だと言わざるを得ないのですが、そうした意味における研究等はして帰ってきましたか。また、それらの問題は、これは当然政府責任であって、政府がそういう方向を示してくれれば、自分のほうとしてはどこまでもそういう形はとらないのだ、こういう気持ちは、当然担当している総裁としては考えておられようけれども、そういう研究等は、視察等はしてきて、政府にその点を、今度法律を改正されたら、監事の手から行くのかどうか知らぬけれども総裁から建設大臣のほうにお出しになったことはありますか。
  11. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 先ほど申しましたように、私どものほうは、十分な人数も出しておりませんし、期間も十分でありませんので、海外出張研究の結果、かくかくのことを直したらいいではないかということを、建設省に直接申したことはございません。ただ、私どもとしまして、現在の私どもやり方で必ずしも十分でないと思っている点がございます。そういう点につきましては、絶えず監督官庁に申し上げまして、この私ども金融実質を向上さすということに主眼を置いてやっているつもりでございます。で、お話にありました担保問題——いろいろございます、金利の問題もありまするし、また、貸し付け額が十分でない——漸次土地の価格も高くなりまするし、建築費も高くなるに応じて、貸し付け額が十分でないというふうな面もございます。これらの点につきましては、絶えず改善努力しておるつもりでありまするが、今後といえどもこの努力を続けてまいりたいと、かように考えておるのであります。
  12. 田中一

    田中一君 これは住宅局長に、大臣にはいずれそのうちに機会がありますからゆっくり伺います。住宅局長に伺いますが、いま住宅金融公庫総裁に私が質問した点については、戸数、いわゆる建設戸数というものに重点を置いて、政治的にそれを国民に知らしめて事足れりといっているような面が、昭和二十五年あたりからGHQの許可を受けて住宅政策政府施策が実現して以来、そういうきらいが多分にあるのです。当初の融資条件というものと、現在のものとを比較いたしますと、現在のほうがその方法、目的によっては——目的というのは、建築する対象物によっては、非常に当初の考え方から遠のいてきておる。たとえば金利を上げるとか、あるいは融資比率が、自己負担が重くなるとかいうようなことになっているわけなんです。むろんこれは国民所得というものが多少伸び、かつまた、それが大多数の国民の常態になった場合には、そういうこともあり得ることもあろうかと思いますけれども、少なくとも国民負担を軽減しよう、そうして住宅を求める多くの国民のために積極的にあらゆる条件を緩和して融資をしようという考え方に立った研究というものは、法律改正その他によってわれわれの承知するところにおいては、逆なコースをたどっていることは事実であります。年々の予算を組む場合に、そのような前向きの考え方というものは省議に出たことがないのですか。
  13. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 住宅金融が、住宅を求める人に最も適切に行なわれるように融資条件等改善することは当然でございまして、その面の手続は、毎年の予算折衝の際に必ずやっております。先生の御指摘の、だんだんと金利の高いものがあるじゃないかという御指摘は、たぶん、当初考えなかった新たな融資をやる場合に、当初にきめた五分五厘で三十五年以内、あるいは十八年以内という程度資金じゃなくてもいい。その当時想定しなかった新しい、たとえば中高層建築なり、あるいは宅地造成なり、こういうものについては、必ずしもこういう条件が必要でないという観点から、違った条件で創設いたしましたので、その間決して従来の、当初考え庶民のための五分五厘で十八年、あるいは三十五年につきましては、これは戸数こそふやしておりますが減らしておりませんので、仕事はそれだけ一般に広く行き渡っていったというふうに考えております。  それから、この融資条件につきましては、やはり庶民に借りやすい条件であると同時に、資金を獲得しやすいという点も必要でございますので、そのためには、やはり一定の利子のついた金も活用いたしませんと、国の財政資金をふやすことも困難でございますので、両方相考え合わせまして、現在のような条件が現在において最も考え得る最善の案だと、こういう観点から毎年の貸し付け条件貸し付け資金というものを勘案いたしまして予算を組んだわけでございます。
  14. 田中一

    田中一君 これは局長——局長は長い間局長しておるわけじゃないのだから、古いことの責任というか、古いことの事実をもって局長に追及してもしようがないのだけれども省議として、少なくともいままで国民負担がだんだん重くなってきておるということより、国民のほうに向いて、もう住宅融資というものはどっちみち抽せんなり何なりでやっておるのだから、書類審査適格者に対しては、全額貸してしまおうじゃないかということに、そこまでの考え方にいままで立ったことありますか。そういう考え方議論になったことがありますか。
  15. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 全額貸すということは考えたことはございません。やはりある程度は、建築資金を借りる以上、その人の信用を判定する必要がございますし、それから、やはり民間にお持ちになっておる資金はできるだけ御活用願いたいという考えもありますので、二割五分あるいは二割とかいう頭金という制度は、これは住宅金融観点から必要であるということで、それを廃止いたしまして全部個人に全額貸すということは、いままでのところ、それほど議論にはなっておりません。
  16. 田中一

    田中一君 それでは頭金比率を軽減しろということは、そういう問題はありますか。
  17. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) その問題はございます。これは単に法律上の頭金の率というもの以外に、建築には単価の問題が、実際お建てになる実際の建築の差がございます。このために、表面上は二割五分の頭金でありましても、実際上御負担なさるのは相当、三割、四割という場合もございますので、実質上の負担をなるべく軽減をしたい、少なくとも法律に規定されたような程度のところに持っていきたいということは、絶えず議論をし、財政当局とも検討いたしまして、その年度における財政状況及び住宅需要状況等から考え合わせまして、われわれといたしましては、極力頭金を少なくしたいということで努力いたしております。
  18. 田中一

    田中一君 師岡さんにお伺いしますがね、いまのような、住宅局長説明のような方向に向いているとするならば、あなたのほうでも仕事が非常にやりやすいと思うのです、そういう方向に向いているならば。そこで、貸し付け建設コストのきめ方は、これは公庫が自由にできますか。融資対象に対する融資標準建設費といいますかね、これをきめるのは自由にできるのですか、あなたのほうの独自の立場で。
  19. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 建築貸し付けをいたします基準となりまする標準建設費につきましては、予算単価が一応きまっておるわけでありまするから、その範囲内で、地域ことに——甲地域乙地域丙地域、現在三地域になっておりますが、地域を分かちまして、それぞれの標準建設費をきめまして、これは主務大臣承認を得て公示しておるところでございます。
  20. 田中一

    田中一君 それじゃ、その問題はいいわ、いまここで結論出すと困ることがあると困るから。  そこで、住宅金融公庫融資、これは木造耐火建築比率は、どんなものになっておるのですか。三十七年度また三十八年度の傾向はどうですか。
  21. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 三十七年度はちょっとございませんが、三十九年度予算で申し上げますれば、総体的に見まして、不燃率は三七・四%となっております。私どものほうは、個人住宅が非常に多いのでありまして、これは木造が非常に多いわけですが、漸次、中高層等はもちろんこれは全部不燃化しておるわけでございますが、総体十三万戸についていいますれば、三七・四%ということになっております。最近数年来漸次不燃率は上げてまいっております。
  22. 田中一

    田中一君 三十七、三十八……、三十九年はいまの予算ですね、これはわかりましたけれども、これはどのくらいの伸び率を持ってきておりますか。資料を持ってきておりませんか。
  23. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 資料がございませんが……。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると、三十九年度はこれが完遂するという見込みでおりますか。
  25. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) この住宅政策におきまして、できるだけ不燃化を達成していきたいということは強い要望でございまするので、私どもは、予算に定めましたこの不燃率をできるだけ達成してまいりたいと、かように考えておるわけであります。
  26. 田中一

    田中一君 農村住宅改良費に対して、幾らでしたかね、三十九年度はどのくらいになっておりますか。
  27. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 農村住宅改修に関する貸し付けは十二億円を予定いたしております。
  28. 田中一

    田中一君 住宅金融公庫では、農村における農家住宅農家も、それから市街地における一般住宅も、同じような条件申し込みは受けておるわけですか。
  29. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 農村住宅貸し付けにつきましては、個人住宅の中に特別のワクを設けまして、この分につきましては、本年度から大体申し込み順選考によって貸し付けを行なっていく、一般個人の場合におきましては、一定期間の間に申し込みをとりまして、そして抽せんを行なって貸し付けをするというやり方をしておりますが、農村の場合には、ただいま申しましたように、選考によってやっているという状況でございます。
  30. 田中一

    田中一君 それは、いまの十二億のワク内のことを言っているのですか。それとも、一戸の独立した新築家屋の場合は、どう扱っておりますか。
  31. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 先ほど申し上げました十二億は、改修融資、でございまして、農家住宅の修繕の分でございます。いま師岡総裁お話しになりましたのは、これとは別に農村向け住宅新築貸し付けを行なうものでございます。
  32. 田中一

    田中一君 それはどのくらいになっておりますか、三十九年度予算で。
  33. 前田光嘉

    政府委員前田光嘉君) 農村の特別のワク予算といたしましては、五千五百戸分を予定いたしております。
  34. 田中一

    田中一君 これはおおむね木造ですか。
  35. 師岡健四郎

    参考人師岡健四郎君) 大体木造が多いわけでございます。
  36. 田中一

    田中一君 河野さん、いま農村住宅の面について、新築家屋として、三十九年度では五千五百戸というものを一応計上している、それから農村住宅改良部分については、十二億の予算を計上しているというお話があった。そしてそれはおおむね木造建築だ、こういうお話を伺っているのですが、これはあなたの専門というか、われわれ常識的には、かつての農林大臣河野さんのほうがずっと専門家のはずですから、伺うのですが、農村住宅問題の解決というものは、私は、根本的に、一戸一戸改造したり改築したりすることにあるのじゃなくて、やはり農村経営共同化ということが主にならないと、農地の確保の問題にいたしましても、災害から守ることにいたしましても、また、生産性の向上といいますか、これをはかるためにも、あらゆる面において農村そのものが近代化しなければならないのじゃないかと思うのです。それで私は、住宅金融公庫がもしも農村住宅に本気で取っ組むならば、それを条件として、いわゆる農村部落共同化ということを一つ条件としていくべきが正しいのじゃないかと思います。農村におけるところの農地共同化が前提となるのが望ましいのでありますけれども、できないならば、せめて住宅だけでも、一部落全部つっくるめて建てましょう、ここに八十戸部落があれば、八十戸のうちの第一期として四十戸建てましょう、皆さんそれに移るべきである、共同作業場なり、すべて付帯するものは全部そこに集約するという一つ農村住宅に対する基本的な態度というものがなくちゃならぬと思うんです。そうして、ただ単に住宅改良資金も十二億だ、農家新築に対しては、木造部分について五千五百戸だという、融資だけでは済まないものがあるのじゃないかと思いますが、建設大臣、どうお考えですか。
  37. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、農林大臣当時と建設大臣になりましてと、農村に対する考え方がだいぶ変わってまいったのでございます。つまり、農林大臣当時には、日本経済がこれほど急速に公開経済もしくは世界経済の一環として変革してまいるという気持ちを持っておりませんでしたので、従来の日本農村をその次元において構造を改善をする、もしくは新しい経営をするということで単純に考えておりましたが、現在の時点におきましては、これは大きな誤りであった。少なくとも、これからの日本農村の果たす役割りというものは非常に変化してくる。日本の国内における全体の産業の構造が変わってくる。その中にどういうふうに農業というものがとけ込んでいくか。従来は、農業はそれ自身に主体性を持っておりましたものが、非常に変わってこなければならぬ。たとえば農業それ自身でいくのもありましょうし、半農、もしくは半分は月給によるという経営の方向も相当多くなるでありましょうし、というようなことが、国柄からしまして、欧米各国にありますように、非常に広範な地域で農業を専業とするということは、日本の国内においては非常に地理的に少ない、そういう地点が。したがって、それぞれが道路のあり方、交通のあり方等によって工場の分布が行なわれ、工場の分布に関連して農業の経営がまた考えられるというようなことで、産業全体の中の農業として、これにとけ込んだ農業経営というものを考えなければいけないのだろうと思うのです。したがって、ただ単に日本の農業を、はなはだ無礼な言い分ですが、共同化——共同化ということだけでいいところもむろんございます。いいところもむろんございますが、それだけで離して指導するということについても、考えなければならぬ点があるのじゃなかろうか。先んずるものは公共投資である。そうして日本全体の産業の分布配置というようなものが先である。その立地的に固定したものに付随して農業というものをどう経営するか、どう安定をさせていくかというふうなことじゃなかろうかと思うのです。  そういうふうにここ数年の間に、日本農業というものは全面的に変わってくるのじゃなかろうか。でございますから、その方向がある程度固定しまして、その農業の経営に合うような住宅というものは考えられるということになるのじゃなかろうかと思うのです。中小企業についても、そういうことが考えられるのじゃなかろうかと思うのでございまして、住宅問題は、当面大都市の非常に過密しておる、非常に緊迫しております住宅の対策というものといまもっぱら取り組んでおりますが、順次もう明年度あたりから、いま申し上げましたような意味合いで、たとえば名神ができる、そうすると栗東に工業地帯ができる、そこに新しい住宅問題が起こってくるというようなことが、日本の各地にそういう問題が起こってくるだろう、これに対する住宅はどういうふうにこれに取り組んでいくかということが、新しい住宅問題として起こってくるのじゃなかろうか、こう思うのです。その場合に、そういうふうなものに対応する住宅として、それはどういう住宅形成がよろしいか。お説のような、非常に高層建築を主とするものがいいか、それとも、日本は一方において、農業のかたわら、これらの工場に勤務するというかっこうで、相当の距離から通勤するという住宅がいいのかというようなものも、こういう山岳地帯でございますから、非常に違うと思うのです。そこで、農業者に対する住宅問題としましては、私、建設大臣になりましてから、こういう予算はわりあいに強く力を入れたのでございますけれども、さしあたり都市住宅問題がある程度進んできたときに、農村において、嫁さんをもらうとか、新しい夫婦が一緒に暮らすとかいちょうな農村の声がやかましくなってきたので、そこで増築、改築というようなものの資金を中央において予算化しました。他の方面においては、別に農村住宅という名称はつけませんけれども、一部そういう方向にいくことは歓迎だということでやっておりますが、いずれにしましても、十分徹底した一つ方針をもってやるというところまでいっていないといううらみがあるわけでございます。
  38. 田中一

    田中一君 農林大臣時代の考え方、それを率直に、誤りだったというこのあなたの考え方というものは、非常に勇気があっていいと思うのです。ただ今後、私がいま質問している、この農村経営あるいは農村そのものが、どう変わるかの問題に対して、いまここでもって伺おうと思いません。しかし、どう変わるということだけでは困るのであります。こう変わるべきだ、また、こう変わるであろうという一つの予想を立てなければ困るのであります。そこで、このいまの住宅問題から考えてみますと、ただ単に農村住宅改良費として十二億、新築として五千五百戸というものを融資しましょうというだけでは、いわゆる農村住宅としての対策としては、これは無能に近いと思うのです。たとえば、この地区は年々歳々どうも水害がある、しかし、こうして河川改修をし堤防のかさ上げをした、それから排水等も完備したから、もう洪水はなかろうというような推定のもとに建てられる住宅もあれば、しかし、集中豪雨等でその地区においては相当また危険があるのじゃなかろうか、あるいは伊勢湾台風によってこわされた干拓地等が、今回の堤防のかさ上げによってこれは心配ない、しかし、もしもあったならばどうするかということを考えると、一つ住宅の面からまた施策が出されなければならぬ、方針が出されなければならぬのです。集中豪雨は必ず周期的にどこに来るときまったものじゃありません。ここ二、三年というものは比較的災害はありませんけれども、大きな災害はありませんけれども部分的には、常に脅かされておるのがもう実情であります。であるから、せめて改良住宅のほうは、これはいままでも木造に住んでいたんですから、木造でやむを得ませんけれども、たとえばその部落二十戸なら二十戸か、自分たちの狭い——ほんとうに一戸の耕作面積というものは非常に狭い。狭いが堅固な背面を控えた、たとえば丘陵に集団的に建てていくということも一つの方法だと思うのです。したがって、現在置かれておる状態の中において、農村住宅というものは、五千五百戸というものをただ部分部分にぽつぽつと建てればいいんだということではなしに、計画的な、いわゆる災害を守るというものを第一に考えながら方針を出すことが正しいのではないかと思うのですが、建設大臣、どうお考えになりますか。
  39. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御承知のように、わが国住宅問題は、とにかく量を早くというような時代から、質の時代に入ったのが現在の時点だろうと思います。お話のような点は、もう徐々に量の住宅の段階から適正な住宅という段階に入るべく、また、入っていかなければならぬ、また、入ることのできるようなまでの多少の余裕のできてきた時代だと思いますので、お示しのように、また御要望のように、それぞれの地方において、それぞれ考えなければならぬことは、むろん必要だと思います。現に、たとえば、すでにお話し申し上げたかもしれませんが、伊勢湾台風によって侵された地点には、集合住宅といいますか、どういう名前でございますか、公営でモデル建設をしておる例もあるわけでございます。こういったようなものは、はたしてこれでよく期待に沿うか沿わぬか、順次各地方、各府県において、そういうものの御研究を願って、そうしてわれわれのほうもともにこれに協力して、適切なものを指導していくということが必要な段階に入っておる、こう思います。これはお話のとおりだと思います。
  40. 田中一

    田中一君 住宅公団のほうに伺います。住宅公団ははっきりとこれは耐火建築です。もう文句ないわけです。木造一つもありませんね。たとえば、伺いたいのは、むろん予算面から見た場合には、全部耐火建築公団が、公団の厚生施設等でつくっている住宅とか、あるいは、いろいろかりにつくるようなものなどでも、やはり木造というものは一つもありませんか。かりにつくるといえばおかしいが、現場なんかどうです。
  41. 挾間茂

    参考人挾間茂君) 建設いたします住宅は、賃貸住宅にいたしましても分譲住宅にいたしましても、全部耐火構造一〇〇%であります。それから付帯施設としまして、たとえば管理事務所を置きますとか、あるいは巡査の派出所を置く、もちろん学校等もありますが、あるいは集団電話の電話交換室をこちらで建設をなし、そうしてそれを組合に貸与するというような場合も、全部耐火構造でいたしております。ただ宅地造成等の現場におきまして、あるいは住宅建設の現場事務所等は、軽量鉄骨等でつくっております。
  42. 田中一

    田中一君 先ほど海外視察の結果の御報告がいろいろありましたが、まあ日本ではニュー・タウンといいますか、全然荒野に新しい都市をつくるということは、日本の立地条件からいって困難だ、困難な面もある、こういうお話がございましたが、最近の住宅公団建設、いわゆる東京、福岡とか大阪とか京都とか、いわゆるベッド・タウンとしての大都市の疎開の意味でなくて、恒久対策としての団地計画がありますが、もっと大規模な、たとえば河野さんの筑波山ろくの疎開施設なんという構想もあった。住宅公団も一緒になって、そして、ことに通産省、あらゆる事業官庁というか、指導官庁というか、行政官庁というか、行政官庁というよりもそうした民間企業を動かすというような部局が一緒に一なって、内閣の責任において、私はニュー・タウンの建設は可能だと思うのです。それならば。部分的になるからなかなかできないのですよ。私が昨年イギリスに行ったときに、あなた方もごらんになっているニュー・タウンの完成した一つを見てまいりましたけれども、そこではミサイルかなんかの工場がある。その工場を中心に、三千人の労働者がいるから、それをまず中心に考えてニュー・タウンをつくった。これはたいへんな失敗であったということを言っております。これは何かというと、いわゆる三千人のミサイル工場があるから、それを中心に考えた。ところが、国の施策というものはどうしても変わるというのです。いつその工場が閉鎖されるかもわからぬ。また、伸びるか、大きくなった場合には、計画がそごを来たし、縮まった場合にも、これも計画がそごを来たす。したがって、民間の企業というものを中心としたニュー・タウン・システムが正しかったということを、その担当の係官から説明を聞きましたけれども公団公団自前の形として団地をつくるから、ここにいまある「朝日ジャーナル」の三月一日号なんかにおいて、団地はもうだめなんということを批判されるのです。全体の、全体というか、いわゆる新都市としてのあらゆる機能を持ったもの、たとえば中央線にばかりいま集中しておった団地計画というものが、あの中央線の冬の間のラッシュのあのような悲劇を生むことになる。国鉄に依存すると、国鉄が、われわれがこれから調べようという、また現在も調べておりますような、二分間に一台とかなんとかいう列車の運転をしなければならなくなってくるのです。したがって、もう道路の問題も、あらゆる施設が——新都市としてのほんとうの施設ができ上がったところに移るという計画を公団が立てられると、全体の総合開発的な、総合的な歓迎される団地が生まれると思うのですが、そういうような考え方は部内でもお持ちになったことがあるかどうか。私が河野さんなら、さっそく挾間さんを督励して、そういうものをつくろうではないか、計画を立てようじゃないかと言うと思う。これは住宅局だけにまかしておくべき問題でなくて、その点は、そういうことを考えたことがありましたか、その報告を聞いて。実際見て来た人たちが、これが可能である、あるいは不可能である——むろんいまの住宅公団法律によるところの制約下においてはこれはできませんけれども、しかし、これはもう少し——法律はいつでも変えられるのです、国民の求める方向がきまればどんどん変えていっていいんです。そういうような考え方を持ったことがございますか。また、ありませんか。
  43. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) その点、私も全く同感でございまして、公団については、ある程度いまのお話の中央線の周囲に公団住宅が非常にふえ過ぎて、交通の面において道路、鉄道がいまのような状態になっている。これは首都圏整備の初期において、多少私は研究の足らなかった点があったと思うのでございます。現に首都圏のほうにおきましては、御承知のように、もう東京というものを考えないで、東京の周囲にニュー・タウンの建設をしよう、これはいま言うとおりベッド・タウンとか団地とかいう考え方でなしに、総合的な産業都市をつくろうということに方向を変えまして、建設省としては総合的にこれに協力していこうということに変えております。東京で考えますと、たびたび申し上げておりますように、西湘都市——神奈川県の西の方面です。その次は高崎の手前、それから宇都宮の手前、水戸の手前、関東にこの四カ所の拠点を置きまして、この四カ所に、いずれも数十万の新軽工業都市をつくっていくということに重点を置いて、鋭意検討中でございます。
  44. 北村暢

    委員長北村暢君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  45. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。
  46. 田上松衞

    ○田上松衞君 過般委員長とともに近畿、関西方面を視察したわけだったのですが、その報告にも若干触れておりましたし、特に、当時の実感といたしまして、堺市から泉大津、あるいは和泉市、この一帯の臨海工業地帯の異常な発展に備えまして、背後地に約八百万坪、人口四十万を収容するという予定のこういう宅地造成を急ぐことは、むしろ当然だと思っているわけなんです。このことに関しまして、その団地の一部でありまするところの光明池団地ですか、これの約三十数万坪の買収価格ですが、公団の大阪支所では、坪単価大体千円程度の評価をしていたものを、公団のほうで四千百円、合計約十五億円という高値で賢い取ってしまった。この事柄は、あまりにもずさんのそしりを受けはしないかというような意味のことを、先般の衆議院の建設委員会質疑がなされたようです。ただし、このことについては、挾間総裁の当時の御答弁の内容も、私よく承っておりまするが、いまさらそのこと自体を繰り返してお聞きしようなんていうような愚はいたしません。ただこの場合、一言大臣にお聞きしておきたいことは、当時の大臣の御発言の中で、価格としては一応肯定してもいいのではないかと考えている。問題は、その地に団地造成することの是非のことである。すなわち泉北方面に大阪府あたりが大規模な住宅団地をつくることがしばしば問題になっておったので、自分としては、いろいろの観点から、なるべくならば大きな、大規模なものをやったほうがよろしい。そのことが合理的でもあり、かつ、経済的でもあり、わけても居住する人々のためにも理想的であると考えるから、そこで、国有地であるあそこの演習場をむしろ全面的に払い下げをしたらどうだろう、こう言っておったのであるけれども、防衛庁のほうでなかなか承諾しないようだと、まあそういう意味お話があったように承っておるわけなんです。もし私がお聞きしたことがほんとうであるといたしまするならば、いまの大臣のお考えは、これは私ども全面的に賛成だと、そうあるべきだと、こう考えておるんですが、それはもう不可能になってしまったのか、その話をさらに続けていかれるという余地はないのか、おあきらめなさったのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思うわけです。
  47. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 当時、防衛庁に相当に強く折衝いたしまして、そのうちの一部分は、これを防衛庁から移管いたしまして、住宅公団に移していったのでございます。しかし、それは十五万坪だけでございまして、まだ膨大なものが防衛庁として残っております。実は、大阪府知事にも、私はつい最近もそのことを申しましたところが、大阪府知事の言いますには、東京のことはさることながら、大阪はこれだけ大都市で、やはり全然演習地がなくなるということはどんなものでございましょうか、大阪を防衛するという意味においてここに自衛隊の存在が必要であり、その演習地としてある程度なきゃいかぬものじゃないでしょうか、そういう点からまいりますと、やはりある程度あの地を残しておいたほうがいいんじゃないでしょうか、というようなことを左藤大阪府知事も発言しておりました。こういうようなこともおそらく私はあるんじゃないかと思うのですが、防衛庁としては、なかなかこれを全面的に開放して住宅地に変更することには同意をいたしません。そのために現在のようなことに相なっておりますが、私としては、今後引き続き演習地は演習地、まだ百万坪以上演習地があるのでございますから、可能なものは私はこちらのほうに考えていきたい、こう考えております。
  48. 田上松衞

    ○田上松衞君 御答弁をいただいて非常に満足したわけですが、繰り返して、あえて要望申し上げたいと思うのです。いつも言うことですけれども河野さんみたいな実力者がこの機会に勇気をふるってやっていかれなければ、これは一体日本住宅問題等も、特にこの場合そうですが、いろいろの事柄が、いつの日にか国民がほんとうに期待できるような形ができるかということを憂えているわけなんです。ひとつこれに類似するもろもろの問題もあるだろうと思うのですが、この際勇気をふるって、やはり党内の事情あるいは各省間のいろいろなもつれはあると思うのですけれども、こんなことはわかり切っておりますから、私は、やはり国民向けの大きな筋を打ち出していただきたい、特に要望申し上げておきます。
  49. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  50. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記起こして。
  51. 小柳勇

    ○小柳勇君 建設大臣に、住宅問題——これは何回も委員会でも言われていることですけれども、私もこの公団法が変わるにつきまして、公団法との関連で一、二問質問いたします。  大臣のほうの住宅政策については、長期計画については承知いたしておりますが、いま青年層が、結婚しても住宅がないということで非常に苦慮して、また青年層だけではありません、相当住宅の緊急性があると思うのです。したがって、五カ年なり十カ年の整備計画というものをうんと繰り上げて、政府責任をもって住宅公団にも金をつくってやるし、あるいは直接にもやるというような、もっと積極的な住宅政策をやってもらいたいと思うのですが、大臣のお考えを聞いておきたい。
  52. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私は、先ほどから田中さんはじめいろいろお話を承っておりまして、要は住宅対策、住宅施設に対する公共投資の少ないということから、いろいろな条件を付して——貸し付け金額が少ないとか、条件がやかましいとかいうようなことは、条件をやかましくして、みんなになるべく均てんしてゆくようにということでやっているわけじゃございませんけれども、結論は、やはり元金が少ないからにほかならないと思うのです。私、元来建設大臣になりますまでは、なるべく住宅は自分でやるということが理想だというふうに考えて、そういうふうに指導するというつもりでおりましたけれども、もう世相がこうなりまして、欧米にもその例は少なしといたしませんが、公共住宅とか住宅に対する国民諸君の期待とかいうものがこうなりました以上は、政府責任において、ある程度積極的に住宅問題を解決するということでなければ、もうしかたがないという気持ちを最近深く持っております。そこで、事態がそういうことでありますれば、他の社会政策等に投入されておりまする資金、これらと同じような意味において住宅政策に取り組むべきだ、つまり相当の金額を長期低利というもので大幅に貸し付ける、そうして各個人の諸君が政府融資を借りて、そうして自分の住宅建てるということが一番理想であろう、したがって、明年度予算編成には、相当思い切ってこれと取り組みたいという考えでございます。これは要するに、農業政策におきましても、中小企業対策におきましても、いずれも長期低利の資金が、すべての問題の解決のかぎであります。同様に、サラリーマンの諸君、低所得者の諸君が安心して、その職務に安んじて家庭生活を営むためには、住の問題を解決してやることが絶対必要だという意味において、私は、政府としてもこれに対して相当大幅なものを考える必要があるであろう、いまやっておりますような程度のものでは、とうてい期待にこたえるわけにはいかない、ただ最小限度のこう薬ばり程度以上のものじゃないか、これではいかぬという感を深くいたしておりまして、ぜひ明年は何らかの方法でひとつこの道を打開いたしたい、かく考える次第であります。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間がないようですから、もう一問、これは住宅公団法全体との関連——監督大臣としての関連ですがね。住宅公団法の運営が非常に複雑で困る。金を借りるにいたしましても、住宅公団に届けた書類が、今度は銀行に行って、あるいは建築の許可をとるとか、公団法自体が、非常にその運営が複雑だから、たとえば住宅公団というものがあるならば、もう公団に書類を持ってゆけば、一切公団でやってくれて、金はどこの銀行に取りに行けと、そのくらいでなければ、なかなかもうサラリーマンや、あるいは商店で忙しい仕事を持った者は家が建たない。したがって、住宅公団法全般をもっと改正して、民主的に運営できるようにしなければ、もうなかなかめんどうくさいと、だから住宅公団に金がもっとあっても、なかなか家は建たぬのじゃないかという心配があります。  それと、大臣、聞いておってくださいよ、非常にこれは大事なことですから。それからこれも、だれでも質問していることですけれども、少なくとも一割か二割の頭金さえ持っておれば家が建つようにすれば、さっき大臣も言われたように、家を建てようという意欲のある者がたくさんあるわけですよ。たとえばいま百五十万円の家を建てるためには、百万円準備しなければ家が建たぬのです。単価の問題、いろいろありますけれども、もう少し時代に即応するように手続を簡素化して、そしてもう少し公団が金を貸してやる、単価を引き上げて。それを役所仕事で一年、二年たってこの運営規則を改正するのでは、住宅公団法は死んでしまいますよ。あとで直接聞きますけれども国民が家を建てたいと思って住宅公団に走っていったら、非常に親切にその書類を見てくれて、そして銀行にも電話をかけてくれるし、県庁にも書類を手続してくれる、そして頭金一割か二割持っておったら家が建つと、それくらいのビジョンを持って運営しなければ、せっかく建設大臣が意欲を持っておられても、家が建たぬと思うのです。したがって、住宅公団法も全般的に考え直さなければいかぬと思うのだが、いかがでしょう。いまの私の、住宅金融公庫法にも関連ありますけれども、これは大臣も頭で十分わかっていますから、そういうものと、家を建てるという立場から、大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  54. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまお答え申し上げましたように、問題は、手続もめんどうだし扱いも悪いとおっしゃる、そのとおりだと思います。金が十分ありますれば、もっとその扱い方もあると思うのです。ところが、このくらいめんどうでも、ちょうど一ぱい貸すくらいの金で、ちょうどいいくらいになっておるので、問題は、元金が足りないからだと私は思うのです。これをいまおっしゃるように直せば、今度はくじ引きでもってどれから先に貸そうかということで貸し先を争わなければならないことになってしまう、いまのままでしたならば。問題は、資金をどの程度にふやすかということだと思うのでございまして、それには、現在のままでは資金が足りないのがもとだと、こう思いますから、明年度においては、ぜひ資金を増加することに努力をいたしまして、これを御承知のとおり今度もある程度ふやしたわけです。——これでもふやしたわけですが、この程度じゃとうてい問題にならないということで、ぜひ来年は本格的にひとつやりたいと、こう思います。
  55. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ちょっと関連して一分間……。  この住宅問題でいろいろ楽しみのある御答弁や御質問を伺ったのですが、最近において宅地公債なり住宅公債が出たということは、私はもう非常に喜んでおります。三、四年前から私は、それと構想は同じ方向ではありますけれども、この負担力ということが、どうしたって家を建てたい、もしくは宅地を買いたいという者については、公庫にしても公団にしても考えなければいけない。ところが、義務教育だけ終わって就職した者と、大学の教科を終えて就職した者と、おのずからその負担力が違う、もう当初の初任給から差がありますから。そこで、わずかな収入しかない間にでも未来の住宅建てたいということで、何年か後には家庭生活をするということはさまっておるのですから、そこで収入の何%かを計算して、そうしてコンスタントに貯蓄しておる者が何年か継続した、そうすると、それは習慣になっていくのですから、貯蓄の習慣、習性になる。そういう者は、私は、そのときの負担力は少なくとも、長く長期にやっておりさえずれば必ず返せる、それを何年か、研究をしてもらっていけば、それはいい人間をつくるということになる。私は義務教育しか終わらぬけれども、こうやってまじめにさえやっておれば、何年か後には家が建てられるのだ、これは私は人をつくる上にも非常にけっこうなことだと思うので、こういうこともあわせてひとつ御研究をわずらわしたいと思うのでお願いを申し上げます。御答弁は要りません。
  56. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまも、多少趣旨は違うかもしれませんが、ある程度の公債をお買いになれば、ある期間持てばその人には家を建てて差し上げるということにしておりますけれども、それとは別に、ただいまのお話も非常にけっこうなことですから、よく研究させていただきます。
  57. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 ありがとうございました。
  58. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  59. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。  別に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十分散会    ————・————