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国務大臣(
河野一郎君) 私は、
農林大臣当時と
建設大臣になりましてと、
農村に対する
考え方がだいぶ変わってまいったのでございます。つまり、
農林大臣当時には、
日本の
経済がこれほど急速に
公開経済もしくは
世界経済の一環として変革してまいるという
気持ちを持っておりませんでしたので、従来の
日本の
農村をその次元において構造を
改善をする、もしくは新しい経営をするということで単純に
考えておりましたが、現在の時点におきましては、これは大きな誤りであった。少なくとも、これからの
日本の
農村の果たす役割りというものは非常に変化してくる。
日本の国内における全体の産業の構造が変わってくる。その中にどういうふうに農業というものがとけ込んでいくか。従来は、農業はそれ自身に主体性を持っておりましたものが、非常に変わってこなければならぬ。たとえば農業それ自身でいくのもありましょうし、半農、もしくは半分は月給によるという経営の
方向も相当多くなるでありましょうし、というようなことが、国柄からしまして、欧米各国にありますように、非常に広範な
地域で農業を専業とするということは、
日本の国内においては非常に地理的に少ない、そういう地点が。したがって、それぞれが道路のあり方、交通のあり方等によって工場の分布が行なわれ、工場の分布に関連して農業の経営がまた
考えられるというようなことで、産業全体の中の農業として、これにとけ込んだ農業経営というものを
考えなければいけないのだろうと思うのです。したがって、ただ単に
日本の農業を、はなはだ無礼な言い分ですが、
共同化——
共同化ということだけでいいところもむろんございます。いいところもむろんございますが、それだけで離して指導するということについても、
考えなければならぬ点があるのじゃなかろうか。先んずるものは公共投資である。そうして
日本全体の産業の分布配置というようなものが先である。その立地的に固定したものに付随して農業というものをどう経営するか、どう安定をさせていくかというふうなことじゃなかろうかと思うのです。
そういうふうにここ数年の間に、
日本農業というものは全面的に変わってくるのじゃなかろうか。でございますから、その
方向がある
程度固定しまして、その農業の経営に合うような
住宅というものは
考えられるということになるのじゃなかろうかと思うのです。中小企業についても、そういうことが
考えられるのじゃなかろうかと思うのでございまして、
住宅問題は、当面大
都市の非常に過密しておる、非常に緊迫しております
住宅の対策というものといまもっぱら取り組んでおりますが、順次もう明
年度あたりから、いま申し上げましたような
意味合いで、たとえば名神ができる、そうすると栗東に工業地帯ができる、そこに新しい
住宅問題が起こってくるというようなことが、
日本の各地にそういう問題が起こってくるだろう、これに対する
住宅はどういうふうにこれに取り組んでいくかということが、新しい
住宅問題として起こってくるのじゃなかろうか、こう思うのです。その場合に、そういうふうなものに対応する
住宅として、それはどういう
住宅形成がよろしいか。お説のような、非常に高層
建築を主とするものがいいか、それとも、
日本は一方において、農業のかたわら、これらの工場に勤務するというかっこうで、相当の距離から通勤するという
住宅がいいのかというようなものも、こういう山岳地帯でございますから、非常に違うと思うのです。そこで、農業者に対する
住宅問題としましては、私、
建設大臣になりましてから、こういう
予算はわりあいに強く力を入れたのでございますけれ
ども、さしあたり
都市の
住宅問題がある
程度進んできたときに、
農村において、嫁さんをもらうとか、新しい夫婦が一緒に暮らすとかいちょうな
農村の声がやかましくなってきたので、そこで増築、改築というようなものの
資金を中央において
予算化しました。他の方面においては、別に
農村の
住宅という名称はつけませんけれ
ども、一部そういう
方向にいくことは歓迎だということでやっておりますが、いずれにしましても、十分徹底した
一つの
方針をもってやるというところまでいっていないといううらみがあるわけでございます。