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1964-02-20 第46回国会 参議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十日(木曜日)    午前十時二十分開会   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     北村  暢君    理事            石井  桂君            稲浦 鹿藏君            増原 恵吉君    委員            小沢久太郎君            小西 英雄君            小山邦太郎君            高橋進太郎君            瀬谷 英行君            中尾 辰義君            田上 松衞君   国務大臣    建 設 大 臣 河野 一郎君   政府委員    建設大臣官房長 平井  學君    建設省計画局長 町田  充君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省河川局長 畑谷 正実君   建設省道路局長 尾之内由紀夫君    建設省住宅局長 前田 光嘉君    建設省営繕局長 建部 仁彦君   事務局側    常任委員会専門    員       中島  博君   説明員    林野庁林政部長 丸山 文雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業労働者住宅資金融通法等の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○公営住宅法第六条第三項の規定に基  づき、承認を求めるの件(内閣送  付、予備審査) ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (建設行政基本政策に関する件)  (昭和三十九年度建設省関係予算に  関する件) ○派遣委員報告に関する件   —————————————
  2. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  先ほどの委員長及び理事打ち合せ会の結果を簡単に御報告いたします。  本日は、初めに、本月十日予備付託になりました産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案、十一日予備付託になりました公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件の提案理由説明を聴取した後、前回に引き続き、建設大臣建設行政基本政策及び昭和三十九年度建設省関係予算に対する質疑を行ない、一昨日の田上委員派遣報告に関し、政府側より答弁を聴取し、質疑を行なう予定であります。  次に、本日の議事に入る前に御報告を申し上げたいことがございます。  本委員会委員であります村上義一君は、胆嚢炎のため、国立第一病院に先月二十七日より入院されておりまするので、昨日、委員会の一同を代表するという意味で、不肖私と中島調査室長並びに委員部渡辺参事とともに、お見舞に参りました。さよう御承知を願いたいと思います。  病状の程度は、来月一ぱいくらいで退院されるようなお話でございましたので、たいして心配するような状態でないようにお見受けをいたしました。なお、委員各位にくれぐれもよろしくとのことでございましたので、申し添えます。  右御報告申し上げます。   —————————————
  3. 北村暢

    委員長北村暢君) それでは本日の議事に入ります。  産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、提案理由説明をお願いいたします。河野建設大臣
  4. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま議題となりました産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、中小企業者等に使用されている産業労働者のための住宅建設を一そう促進し、その福祉の向上をはかるため、住宅金融公庫資金貸し付けについて、制度の改善を行なおうとするものであります。  改正の第一は、産業労働者住宅資金の一戸当たりの貸し付け金限度を、中小企業者等に使用されている産業労働者のための住宅にかかるものについて、耐火構造または簡易耐火構造住宅は従来建設費の六割であったものを七割五分に、木造などの住宅は従来建設費の五割五分であったものを七割に、それぞれ引き上げることとしたことであります。  改正の第二は、住宅金融公庫は、中小企業者等産業労働者住宅建設して譲渡する事業を行なう会社その他の法人に対して、資金貸し付けを行なうことができることとしたことであります。  また、中小企業者等については、住宅建設資金だけでなく、その購入資金をも貸し付けることができることといたしました。  なお、北海道防寒住宅建設等促進法につきましても、産業労働者住宅資金融通法における貸し付け金限度引き上げ等改正と同様に、北海道の区域内の産業労働者住宅資金貸し付け規定について、所要の改正を行なうことといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。
  5. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、公営住宅法第六条第三項の規定に基づき、承認を求めるの件について、お願いいたします。河野建設大臣
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) ただいま議題となりました公営住宅建設三カ年計画につきまして、提案理由及びその内容について御説明申し上げます。  公営住宅建設につきましては、公営住宅法に基づき、政府は、昭和二十七年度以降の毎三カ年を各一期といたしまして、公営住宅建設三カ年計画を作成し、その計画の大綱につき国会承認を求めることとなっておりますので、今回、昭和三十九年度を初年度とする公営住宅建設三カ年計画について国会承認を得るため、本計画提案いたしました次第であります。  政府は、現在、昭和四十五年度までに、すべての世帯が安定した住生活を営むことができる「一世帯住宅」を実現することを目標として施策を進めており、このため、今後七カ年間に必要とされる住宅おおむね七百八十五月の建設を促進することとし、特に、このうちの三百万戸以上につきましては、国及び地方公共団体において、みずから建設し、または、その建設について援助する方針でありますが、本公営住宅建設三カ年計画は、以上の方針に基づいて住宅対策審議会意見を聞いて作成し、閣議の決定を経たものであります。  本計画内容を御説明申し上げますと、まず、建設戸数について、従来の三カ年計画に比し、戸数を大幅に増加し、昭和三十九年度から四十一年度までの三カ年間に、第一種公営住宅おおむね八万戸、第二種公営住宅おおむね十二万戸、計二十万戸を建設することといたしております。  また、その建設にあたりましては、地域別の需要に即応するとともに、母子世帯炭鉱離職者等で特別の考慮を必要とするものについての対策についても十分配意することとしております。  さらに、公営住宅は、原則として不燃堅牢構造とし、その立体化と規模の引き上げをはかるとともに、総合的な住宅団地計画に基づいてその建設をはかることといたしております。  以上、公営住宅建設三カ年計画提案理由及びその内容を申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認下さるようお願いいたします。
  7. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいま聴取いたしました二法案に対する質疑は、後日に譲ります。   —————————————
  8. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、建設事業並びに建設計画に関する調査議題といたします。  建設行政基本政策及び昭和三十九年度建設省関係予算について、河野建設大臣に対する質疑を続行いたします。  質疑の通告がございまするので、この際発言を願います。田上君。
  9. 田上松衞

    田上松衞君 先日河野大臣のほうから、横浜の戸塚のいわゆるワンマン有料道路、これ等を開放していくという方向に踏み切られた旨を発表されたわけですが、このことについては、これはまあ非常に住民が感謝することだと率直に申し上げておきたいと思う。おせじでもなんでもなしに、いいことはだれがやられてもいいことに違いないのでございまして、私は、むしろ気持としては、東京、神奈川、静岡等中心とする関東方面人々意向を代表して、というと大げさですが、申し上げて、感謝をささげて率直に申し上げておきたいと思う。  だが、問題は、そうした方向に踏み切られたこと非常にけっこうなことは、いま申し上げたとおりですけれども、残る問題は、具体的にいつごろからこれを実行されることになるか。
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大体十一月ごろの予定にいたしております。
  11. 田上松衞

    田上松衞君 十一月ごろになるということで、いよいよこれが明確になりましたわけですが、重ねて申し上げますけれどもラジオ関東等を通じまして、河野大臣発表というものが広く報道されたその後、きのうもきょうも電車等の中でいろいろ、特に関係業者中心とする人々から、いいことだなと、もっぱら列車の中でもそういう話がかわされて、だから先申し上げましたように、これはお礼を申し上げることだと。その後においてさらに計画されておるようなことも御発表になったんですが、どうぞお約束を違えないように、どんどんそういう方面をやってもらいたい。このことは、くどく申し上げるようですけれども、最近、道路整備、特に有料道路、こういう問題に対する国民の認識をはっきりさせるということ、実にいいテスト・ケースだと。りっぱになるのはなるんだけれども、一体住民全般のためにはこれがいつごろ無料になさるものかということが、いままでただ希望だけお互いが言うておっただけで、かつて日の目を見なかったものである。ここへ目をあけて下さったものだと、その点について感謝申し上げ、あわせて将来強くこの問題をどんどん進めて下さるようにお願い申し上げておく、こう申し上げるゆえんであります。  せんだっての質問に続けて申し上げますが、私どもの特に有料道路建設に対する基本的な要望というものは、表現いたしますならば、点というよりもむしろ線に移行させることを急がなければならぬ時代になってきた。まあすでに阪奈道路等のごとく、これをやっておられるわけですが、こういうことは急ぐべきだ、先日質問申し上げましたように、補助的なものじゃなくして、むしろ主体性を強く持たせるものに考えたいという御意向、これは全く私ども意を得たような感じがいたすわけでございまして、これを延長いたしまして、とりあえず線にどんどん具体的には移行していくことが必要だ、こう考えるわけです。しかし、申し上げますると、遺憾ながら、いままでしておったところの道路公団、これらの事業対象というものを見ると、まあこまかい理屈は抜きにいたしまして、事実東京大阪地区、これのみを中心にした地域に限られ、そのために存在している公団のような感じを強く受けておったわけであります。したがって、線づくりじゃなくして点づくりのほうをまずしておった、こういう行き方では、国民が望むところの、いわゆる地域格差の縮小ということにはならないで、むしろそれは逆に地域格差を拡大していくということをおそれるがゆえに、そういう感覚で申し上げているわけなんです。このことについて、くどいようですけれども、もう一ぺん大臣の決意をお伺い申し上げたい。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これまでは何ぶんにも道路の改修、新設を要請する声が非常に多うございまして、これにこたえる予算が十分でございませんので、すべて追い詰められたところからやる、ことに従来のように公共事業で、国費、地方費をもって支弁をしておったものではとうてい足りませんので、そこに有料道路形式があらわれてきた。さらに、この有料道路形式に加うるに、大都市で比較的財源のあるところでは、首都高速道路公団もしくは阪神高速道路公団というような形式もまた出てくる。考案してそういうものをつくりまして、そうして急に備えて、今日までやってまいったと私は思うのでございます。ところが、今回ある程度費用をもって、まあ、一応四兆一千億をもって、全国的に全面的に、全部の道路に一定のめどを立てることができたのでございます。たとえて申し上げますれば、一級、二級国道につきましては、四十三、四年までに、全国全部これの舗装を完了する。それから主要県道については、四十五年までに、一応の舗装を完了するということで、少なくとも主要県道以上のものは、四十五年までに、全国的に舗装を完了するという一つ方針を打ち出したのでございます。こういうことにいたしましたので、そこで、いま申し上げましたように、道路公団には、従来道路のなかったもの、新たに大きな使命が生じたものというものについて、主として東京大阪−神戸間というものの道路をまず完遂せしめる。そうして二次的に、東京から東北もしくは中央道の完成もしくは中国縦貫道路九州縦貫道路というようなものについて、調査もしくは一部着手ということを、道路公団には主としてこれを行なわせ、また、大都市のものについては、御承知のような特殊な二公団について、市街地の道路はこれに当たらせるという一つ目安を立てたのでございます。  さらに、そういうふうに方針をきめますると同時に、明年度予算の施行からは、従来とかく大都市偏重ということもありましたので、これを改めて、終戦後の早々の際に、いろいろ府県事情等で大いに制約して道路予算が組まれていましたものを、全く平時的な感覚により、面積、人口、さらに府県の財政その他の要因を勘案して、そして各県の道路予算街路予算というものの再分配をいたそうということにしてせっかくいま検討中でございまして、かくすることによって、私は、いま申し上げましたような方針昭和四十五年度までに、できるならばいま四兆一千億でスタートいたしました新道路五ヵ年計画をなるべく早い機会にさらに私は拡大して、そして道路公債の発行とか、新たな財源の獲得とかいうことによって、大幅に早期にこれらの事業を完遂することにさらに努力をすべきだと考えておるのでございます。
  13. 田上松衞

    田上松衞君 お考えになっておりますことはよくわかりますし、私ども、望ましい姿というものがどんどん打ち出されておるということについては、敬意を表したいと思います。これと関連いたしまして、建設省の中で、きのう、いわゆる道路法改正案の要綱というものをおきめになって、近くこれを閣議にはかって国会提案したいというようなことも発表されております。あの内容をいろいろ拝見したわけですが、このことも、道路自体としての考え方はまさに同感だと、これも率直に申し上げておきたいと思います。ただちょっと不安になりまする問題は、いわゆるこれを活用していくための工業方面、具体的に申し上げますると、工業都市——普通いうところの工業都市と、今後力を入れられようとするところの新産業都市というものとは、どういうぐあいにお考えになっておられるか。すでに新産業都市については、数カ所の御指定があったわけですが、ここを工業重点地区としておられるのか。俗にいいまするところの、世間が考えておるところの既存の工業都市というものについては、道路等の問題を重点といたしまする施策については、御計画はお持ちになっていないかどうか、ついでにこのことをお聞きしておきたいと思います。と申し上げまするゆえんは、さっき申し上げました線にいろいろ移行すべきだ、これを中心にして考えてみますると、新産都市といい、あるいは工業都市といい、この道路というものが完備されなければ、いわゆる、俗にいうところの拠点開発というようなものもできない。これはさっき申し上げた地域格差とは別な角度から申し上げるわけです。そこの完全な開発すら困難であろうと、こういうことを考えますゆえに、こういうことを常に並行してお考えになっているだろうかどうかという疑問を常に抱いておりますので、この点についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話しになりましたとおりに、新産業都市といい、また、いわゆる開放経済に発足いたしました日本経済の伸展によりまして、日本の国内における人口の分布が相当に大幅に変わってくる、交通等につきましても、道路交通量が変わってくるというようなこと等を十分に検討いたしまして、将来十年、二十年先にはどういう姿になるだろうかというような政策につきましても、いまの識者の意見を十分拝聴いたしまして、二十年計画というようなものを一応つくって持っておるわけであります。これをむろんそのまま二十年間それでやっていくのだというわけじゃございませんけれども一つ目安といたしまして、これも道路を改修する、もしくは新設するというようなものの、どうせ道路のことでございますから、東京−青森間の道路をつくる、東京−仙台間の道路をつくるにいたしましても、一部分ずつ延びていくわけでございますから、そういう際に、将来の日本のあるべき姿がどういうことになっていくだろうかということを勘案しつつ、たとえば新産都市との関係をどう結びつけていくかというようなことも十分考えつつ新しい道路設計建設をしていくということにいたしておるわけでございます。
  15. 田上松衞

    田上松衞君 話を変えまして、近畿圏構想について、これは大きな問題でないのですが、この調査に関する費用のことですが、計画樹立のための調査費は、わずか二千六百万円にすぎないわけですね。一体、この程度のものではたして満足な調査が遂げられるだろうかという不安を持つわけなんです。前にいわゆる官庁都市計画、これはあとで研究・学園部計画というぐあいに変更されたわけですけれども、あのときの調査でも、決算の上から見てみますると、七千三百万円というものが使われておるはずであります。もっともあの問題は、ただ筑波山麓だけのことでなくして、確かに五カ所ほどのいわゆる候補地調査されたということであるが、それにしても近畿圏計画樹立基礎調査を真剣にやろうとしまするならば、その経費がたったの二千六百万円では、一体どんなものが、これは看板倒れしやしないかということを考えるのですが、この点についてはどうお考えになっておりますか。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 近畿圏整備のための予算につきまして、実は私も同様の考えを持ちまして、相当大幅の予算の要求を実は明年度いたしたかったのでございます。ところが、これよりさきに首都圏整備委員会がございまして、首都圏整備委員会が長年にわたって、予算が非常に実は少なくもあるし、仕事もあまり遅々として進んでいないのでございます。そのために首都圏整備委員会よりも近畿圏整備委員会予算が多いのはおかしいじゃないかというようなことになりまして、首都圏のほうから制約を受けまして、この程度で来年はがまんをしておいてもらいたいということで、実は予算も少のうございますけれども、一応その程度で、デスク・プランを立てる程度予算だけしか持たぬということで、はなはだ私としても意に満たぬものがございますけれども、これはいま首都圏整備委員会につきましても、行政調査会のほうでこれじゃいかぬ、何とかひとつ抜本的に変えなければいかぬという御意見もございますので、それとこれとからみ合って、首都圏の問題を取り扱う行政費等につきましては、相当考え直されるだろうと思うのでございます。また、そういたさなければ、いまの首都圏整備委員会をもっていたしましては、すべてのことがどうもちぐはぐになって進みにくいという現状で、私も非常にこれは苦慮いたしておるところでございます。したがって、このほうが一つ方向が打ち出されましたならば、それぞれ並行をして、一歩おくれておるかもしれませんけれども近畿圏整備についても同様の角度でやっていきたいと、こう考えて、せっかくいま委員の諸君にお願いして明年度は、まず、各府県のそれぞれ持っておりまする開発計画というようなものを総合的に調整する、そうして近畿圏全体をにらみ合わせて、どういったようなプランを立てるか、具体的の調査、具体的な設計等は明後年というようなことにいくことがいいんじゃないかと、とう考えておるのでございまして、お説の点、私も全く同感でございますが、事情はそういうことになっていることを御了承いただきたいと思っております。
  17. 田上松衞

    田上松衞君 この場合、ついでですから誤解のないようにあらかじめ申し上げておきます。私は、いろいろな問題をただ追及して、みずから快しとするようなけちな考えは持っておりません。やはり国民が要望する事業は大胆にやっていかなければいけない。特に、変な言い分ですけれども、いままでいろいろ各大臣に期待は持っておったのですけれども、なかなか、河野さんみたいな実力者でなければ、これはもう言ってもやぼだというような感じを持っておったので、河野建設大臣に対する国民のいろいろな、望ましいことはやってもらいたいという希望は、これは確かに強いものがあるのだ。したがって、いいことについては、どんどんわれわれもバック・アップしなければいかぬと、こういうつもりで申し上げているわけなんです。  いま申し上げた問題に、ついでに申し上げておきますが、たとえば、日本横断運河建設計画調査費、この面も、考えてみるとまさに大きな問題だ。これの調査も、たった二千万円しか計上されていないわけなんですね。このことも、ただ、いわゆる河野構想なるものにいろいろ出されるけれども、はたしてこれが真剣に行なわれるだろうかという危惧を別の面に持つからあえて申し上げるわけなんです。このことについても、もう少しいまお話しになったような気持で十分やってもらいたい。  もう一つついでに申し上げておきますと、富士川導水計画調査費、こんなものに至っては、全くお話にならぬですね。たった五百万円ですね。今日の金の五百万円なんというようなことでは、航空写真を写す程度くらいのものでしかないのじゃないかということですが、私はそれすらも満足にできないだろうと思う。私は、かつて科学技術の面の委員長をやっておった経験から、いろいろ航空写真等の問題について真剣にやってみたわけなんですけれども、このことを振り返ってみましても、富士川導水計画調査、大きな内容を持ちますものに、これは十分なあれが必要なんですが、繰り返すようですが、航空写真すら完全にはできないだろう、こういうことをいまから見通さざるを得ないと思うのですが、このような姿であっては、お題目だけになってしまいはしないかということを非常に心配いたしますので、このことについても十分ひとつお考えになっていだたきたい。  そこで、いわゆる調査費というものを考えてみるときに、この建設予算の中で抜けておりますものは、科学技術に関するいろいろな経費というものが全然見当たらぬということなんです。これもいけないと思うのです。何のかんのといったって、これで今日は予算がありさえするならば、日本科学技術者というものは、相当先進国に劣らぬりっぱなものを持っておるのでありますから、いまこそこれを大きく伸ばして国土開発のために十分役立たせなければいけない。この点に十分意を用いていただきたい、こう考えるわけですが、この際これに関します御所見を拝聴しておきたい。
  18. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話のとおり、日本予算の編成の長年の慣行といいますか、必ずしもほめたことじゃないと思いますけれども、まず、初年度はごく小さくスタートする癖があります。初めて表に出ますのは、初年度だからとの辺でがまんしなさい、まあまあ初年度はがまんしておこうじゃないかというようなことのために、いまお話のように、すべてのものが相当こまかくなっておりますことは、お話のとおりでありまして、はなはだ遺憾であります。ただ、いまの富士川の水を東京へ持ってくるというものにつきましては、首都圏のほうにさらに五百万円ありまして、両方で一千万円になっております。それと同時に、この水については、すでに民間相当調査がございまして、基礎調査資料等民間のものを集めてそうして検討するというような面も実はあるわけでございます。いずれにいたしましても、実地設計とか、実地測量ということに入ってまいりますれば、大幅の予算を必要とすることは当然でございまして、お話のとおり今後は十分注意してまいりたいと考えます。科学技術については、お話のとおりそこまで当然いかなければならぬのでございますけれども、他の厚生省とか、その他通産省と違いまして、実際に道路建設、港湾建設等やっておりまする関係から、相当の研究所は、建築研究所その他のものを持っておりますけれども、十分にやっておらない点があると思いますが、なお、これにつきましては、専門の事務当局が来ておりますから、一応御説明さしていただきたいと思います。
  19. 平井學

    政府委員(平井學君) 大臣の御答弁を補足する意味で一、二御報告しますが、科学技術と申しますか、建設行政推進の上で必要となるこの技術面の推進につきましては、特に河野建設大臣からの種々御構想もありまして、来たる新会計年度におきまして、技術参事官、これは現在建設省には技監制度がございまして、建設技術の最高の指導に当たっている組織でございますが、この技監の最高の補佐機関として通称副技監、正式には技術参事官というものが従来欠けておったのでございますが、これを予算の面で実現することができましたし、また、これと相関連する組織として土木研究所に新しく技術管理室長制度、これを設けまして、ただいまの技術参事官と相提携して実際面と理論の面とを両方研究するような組織が、新たに三十九年度から認められました。  なお、建築研究所につきましても、地震工学その他わが国の今後の重要な建築部門について、ささやかながら一歩前進した予算の実現を見ております。  なお、こうした新しい制度を生かすためにも、全国的に技術者の配置状況を再検討いたしまして、本省、あるいはこの建設省部内といわず民間建設業界に対する指導も兼ねて、いま申し上げましたような新しい組織機関を通じて科学的技術の向上につとめていく、こういうふうに進めてまいるつもりでございます。  補足いたします。
  20. 田上松衞

    田上松衞君 さっき近畿圏の交通に関連いたしまして、大臣のほうから、首都圏構想というものについて、いろいろなものを持っておられるというような意味のおことばがございました。たしか去年の二月の半ばごろ、田中一君の首都圏構想に関する質疑がございまして、河野大臣が、いままで第一次、第二次というものをいろいろやってきたけれども、これを推進していくことのためには、現実にそぐわないものがあるような気がしておるのだ、そこで、まあ網をかぶってしまっておくようなものについては、はずすべきものはこれははずすというような行き方をとって、何といいますか、いわゆる改訂版なるものを近くつくる、それもおそくとも三月三十一日限り——去年の——にこの構想を練り上げてお目にかける、そこで、これについてひとつ真剣な御批判を願いたい、こういうことを発言されておることをお忘れではないだろうと思うのです。私は、この問題についてはそういうことですけれども、田中君が一体その改訂版なるものは、できたのかどうかということを質問されるのじゃないかと冒頭考えておったけれども、そのことに触れておらない。そこで、あえてお聞きするわけですが、私は、少なくとも、一たん大臣が言明されたようなことについては、これを、先刻申し上げましたような観点からいたしまして、特に注意深く、どういうものが出るだろうと待ちこがれておったのです。ところが、いまだにそれが示されないのですが、一体その改訂版なるものは、できましたかどうかということなんです。もちろんこのことについては、途中でこれは、新聞等でいろいろ伺った範囲においては、いわゆる主として道路に関しますることで、神奈川、調布、国分寺、立川、所沢、川越、大宮、こういうような外郭を囲むところの環状線をつくりたいというような意味合いのことを発表されておることを記憶しておるわけですが、いま、まとまったものが、さっき申し上げました、いわゆる改訂版というものがおできになっておりますか、どうでしょうか。
  21. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) いまのお話は、東京都の従来の都市計画を全面的に改定いたしまして、新都市計画をつくり変えたということだと私は思います。それは、環状六号線の中だけにつきましては、都市計画委員会審議を終わっておりますから、すでに発表して、従来のいろいろふくそうしておりました非常に金のたくさんかかる理想の都市計画を簡素にいたしまして、これだけは必ずやる、実行できるという都市計画に改定をいたしたのでございます。これをやりましたゆえんのものは、御承知のように、東京都内を皆さんが御注意あそばすとすぐおわかりいただけると思いますが、表通りでこれから都市計画をやろうというところは、一応建築の制限をいたしております。一番いい例は、私はよく申すのでございますが、この三田の通り、あれだけ道幅が狭い、主要道路になっておりますが、両側には大きな家は建てさせないということになっております。これは、いま言うとおり建築制限をいたしております。これは、全都にわたってそういうふうな姿があるわけでございます。東京都の将来の二十カ年計画の都市計画が一応できております。これは非常に各地に構想を持って、それぞれにいま申し上げましたとおりに、二十年先にはこういうものになるのだ、何兆円かかるのだ、したがって、それまではここには家を建ててはいけないということで押えております。しかし具体的には、それじゃこれからやってみようじゃないかというて当たってみますると、現実にはなかなかできないのです、そういうことは。わずかくらいでも実際家を建てておる人をのけて、そうして道路を広げるといったらたいへんなことでございまして、なかなかできることじゃない、一方をやろうとすればできない。ところが、そこに住んでいらっしゃる人は、逆に今度は家を建築しようといえば、建築が制限で家は建てられない。家も立てられない、道路も広がらないというような両方から追い詰められた姿になっておるのが非常に多い、というものを私はつぶさに検討いたしまして、これじゃ困るというので、これだけはどうしてもやらなければいけないという道路だけに、都市計画の中から拡幅する、もしくは新設するという道路はこれだけであって、あとのものは現状でやらないというので建築制限を撤廃する、そうしてやるべきだ、ということに変えまして、いま申し上げましたようなふうに、東京都のこれまで第一次、第二次、第三次、二次か三次か知りませんが、終戦以来都市計画がたびたび変わってきております。それを今度大幅に簡素化いたしまして、それでこれだけをやる、このほかのものについては解除することにしようというので、これを都市計画委員会にかけて決定して、すでに東京都のほうで、それについていまいろいろ実行することにいたしておる。これが東京都内の分であります。こういうふうにして東京都の周辺についても考えると同時に、いまお話のありましたように、環状線につきましては、六号、七号、八号という環状線、いま、オリンピックを契機にして一番重点的にやっておりますのは環状七号線、その外側に、多摩川の内側に環状八号線というものまでを環状道路としてこれは大幅に取り上げております。さらにその外に、御承知のように、東名道路もしくは中央道、さらに、東北から入ってまいりますもの、もしくは高崎方面から入ってまいります道路というような、外から入ってくる道路を、どこを拠点にしてどこで受けとめるかということが、都市計画もしくは交通の情勢からいって、非常に重要でございます。したがって、一応は外環状線をめどにしていこうじゃないかということを目途にいたしまして、こちらのほうは多摩川の堤防もしくは多摩川の河川敷というものを検討いたしまして、これを上流に上がってまいります。一方東側は、荒川の堤防を上に上がってまいります。これをだいぶ上のほうでこの二つのものを結びつけたものを東京の外環状線ということにする、ということにして、これから放射的に各外部にわたっての路線を出していくというような案を一応立てて、そうしてこれに着手してまいるということにいたしておるのでございまして、これを私は申し上げたのだと思うのでありまして、その後、いま申し上げたようなところまで計画は進める、もしくは実行をいたしておったというのが現状でございます。
  22. 田上松衞

    田上松衞君 時間が相当進んで参りますから、このことについては、もっと詳しくお聞きしておきたい点もあるし、また、私どもも特に注文も申し上げたいようなことがありますけれども、これはいずれ他の機会に譲りたいと考えます。  住宅問題について一言お聞きしたいのですが、いわゆる「一世帯住宅」ですか、ということばは、これは自民党だけのあれではなくして、各党各派が一致して、たとえば、露骨に言うならば、選挙公約等にもなっておる事柄であることは御承知のとおり。ところが、これに関連して一、二お伺いしておきたいことは、七年間に七百八十万戸を見込んでいかれる。ところが、このうちで政府施策によりまするものは四割足らずの三百万戸、残りの四百八十万戸というものが実に民間に依存するということになってしまうわけであります。まさにこの数字は六割をこしてしまうということなんですが、一体、民間のものを見込んでいかれる限りにおいては、それぞれしかるべき手を打っておかなければ、こういうような具体的に、七カ年に七百八十万戸を建てましょう、というようなそんなことは言えないはずだと思うのですが、どのような手を打っておられるのか、あるいは今後どういうような方法で民間の四百八十万戸を達成させようとお考えになっているのか、これについて御所見を承りたい。
  23. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 実は、私も建設大臣になりますまでは、住宅問題について、住宅住宅をと言うけれども民間の依存度が非常に高いじゃないか、政府はわずかしかやらぬじゃないかという感を非常に深く持っておりました。ところが、建設省に入りまして、いろいろ検討を加えてみますると、事実民間の大会社の社宅もしくは個々の民間人がお建てになりまする戸数は少ないように考えられますけれども、終戦以来今日までの統計によりましても、このほうが多うございます。そしてそういう実績を持っております。それがまた年々ある一定の増加率を示して増加してまいっております。そういう過去の実情、実績等を勘案して一応の案を立てますと、いま申し上げる数字よりもさらに民間のほうがふえます。しかし、そう民間がふえるからといって、民間に依存してよろしいというものではございませんから、政府もしくは公団、公社、公営というものにつきましては、過去の増加の趨勢、すなわちこれがおおむね一〇%くらいずつふえております。したがって、過去の趨勢でありまする一〇%の増加、これをさらに上回った増加率にして政府のほろの案は一応立てました。計画を立てております。その反面、民間におきましては、政府と同様、もしくはそれ以上に増加の傾向がありますけれども、これを一応八%に民間については押えまして、その八%に押えた数字で積み上げてまいったのが、七カ年間に、お示しの数字に相なっておるものでございまして、決してこの数字は架空な、根拠のない、また、民間にいたずらに依存しておる数字ではないということを、私は、過去の趨勢もしくはいま申し上げましたような、政府のほうの割合を上げて民間のほうを下げてこれからのものについては計算をして期待をしておるということでも、御承知を一応いただけると思いますが、それだけでなしに、それはそれとして、民間建設をさらに大幅に増すよう、または過去における、ただ数さえあればいいというふうでなしに、質についても考慮されるように、不動産取得税もしくはその他の固定資産税等についても考慮するように、せっかく大蔵省においても検討され、自治省においてもこれを検討されて、そしてそれらが予算の上にも数字になってあらわれてくるようになっておると思います。詳細については説明をさせますから……。したがって、そういうものからも従来に増して刺激を加えて、そしてこれが十分にその目的が達成できるように計らうようにいたしまして、また、政府のほうにつきましても、御承知のように、いろいろな角度から新しい資金を求めるような施策についてやっておるわけでございします。
  24. 田上松衞

    田上松衞君 一応数字の上については、過去の実績、あるいはいまのいろいろな推移等によってこういうものが出る、その点はよく了承しております。私もそのとおりだと思います。それは決して違っているとは申し上げません。ただこの場合で考えたいことは、いわゆる三百万戸の政府施策によるものの対象が、少し私ども考えとは違っているのではないかということを考えているのです。いまお示しになりましたような実績、特にこれは阪神方面においては、もっと、大臣説明より以上に民間が多くつくっておるということを私は知っております。しかしこれを見ますと、それはみずからつくるというだけでなくして、相当貸し家をつくっておられることは事実です。だがその家賃というものは実に多大なものなんですよ。建物自体が全く投資的な、営利的な、そういうことでやっておることでありますから、とても一般庶民階級には手が届かぬ、そうかといって雨露をしのがないわけにいかぬから、しかたなくいろいろな経費を一般低所得階層は切り詰めながら、まず住むことだとしてやっているわけです。まあ時間がありませんから、このことについては、わかりやすく申し上げることはできないこともあることを遺憾としますけれども、しかし賢明な大臣ですから御了承になっているだろうと思います。私は、そのことが産業の上に及ぼす影響というもの、常に家のことを考えているという低所得者層のこの影響というものは大きなものがあるのだろうと思うのです。まじめに日本の産業、生産性向上を目ざしていきまするものの中で、まあこのくらい目に見えない大きな阻害をなしているものはないのじゃないか。そこで、これは希望になりますけれども、対象にされているところのものを、ただ家をつくりさえずればいいのだという、そういうことでなしに、政府施策によりますものは、少なくともそうした低所得者層、収入の上でいきますと、二万四千がいま幾らになったか、三万六千以下をいうのですか、こういう階層に対しまする真剣な思いやりをしていただきたいと、こう考えるわけです。したがって、このことのためには、もう大きくひとつ予算をおさきになりましても、これはまじめに日本の興隆の問題を考えておりまする大部分の国民というものは、これは喜んでそういうことに国民の血税を使ってもらいたいということに間違いないとわれわれは感じているわけです。これに対して、今後でも、将来たとえばこれが修正できないとしまするならば、追加予算等をもちまして、まあ七百八十万戸だけが七年間にできればいいという、そんなわけではないのですから、一刻も早くこれを達成するためにお考え願えないかどうか、この際あえて御所見を承っておきたいと思います。
  25. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も低所得者の諸君が住宅に非常に困っていらっしゃる、これは「一世帯住宅」ということ以上に、その資、内容もしくはその相手になる人について考えなければならないというふうに思って、この住宅問題について取り組んでおるのでございまして、御趣旨の点十分考えまして、今後あらゆる機会に御期待に沿うように努力をいたしたいと考えます。
  26. 田上松衞

    田上松衞君 この際よけいなことを申し上げておきますが、いろいろまあ土地造成をされる、そうして住宅建設に大きくひとつハッパをかけていこうと、非常にけっこうです。で、一般低所得者層に向けられなければならぬ性格のいわゆる公営住宅、これにつきまして、これをまあ分譲していくような考えに関連いたしまして、先般、田中委員あるいは小山委員のほうから、角度は違っておったけれどもいろいろ質疑があった。これに答えられた大臣の御答弁というものは、私は全面的にあのことを、おことばのとおりが正しい、望ましいことだとこれは考えておるわけです。だがしかし、何と言いましても——決して小山さんにといこうというわけじゃないんですけれども、やはり、いわゆる政府与党の別個な大きな力というものからして、いろいろな圧力があった場合に、どんどんそれは分譲してしまえというような方向へ持っていかれると、いま申し上げた低所得者層の住宅確保の問題について、大きなひびを入れてしまいやしないかということを心配しておるので、くどいようですけれども、重ねてこのことについての御決意を承っておきたい。
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 何ぶん終戦直後建設いたしましたごく簡素な住宅につきましては、相当年限もたっておりますし、また、非常に非能率にもできておりますので、これをどうするかということが当面の問題になってきておりますことは、御承知のとおりでございます。各知事さん、市長さん等の御意見も、いろんな角度で私は伺う機会が多うございます。いずれも何とかしなければという御意見でございます。したがいまして、この問題について、あらためて積極的に再検討いたしまして、そうして従来のように、ただ、それは建設大臣の許可認可事項であるというだけで——私に権限があるというだけでなしに、一つの基準を設けまして、積極的に指導をして、そうして、建てかえて、宅地の利用をもっと高度化して、立体的に利用するとか、ないしはまた個人に払い下げるとか、その場合には、どういう基準によるとかというようなものを、時宜に適した解決策をひとつ積極的に講じまして明瞭にいたしたい、そしてこの処置をいたしたいと、こう考えます。
  28. 田上松衞

    田上松衞君 だんだん時間がなくなってしまいますから、次に移りますが、下水道整備について、一言お聞きしておきたいと思うのです。  一応、文明国民としてこれはまあ自他ともに許されるわが国の中で、おけても都市生活をする中で、下水道の整備を急がなければならぬということは、これはもうお説を待つまでもない、そのとおりです。だけれども、お示しになっておりまする五カ年計画策定の面では、実際問題としてこれが御計画のとおり進むだろうかということを非常に心配しておるわけです。言うまでもなく、この事業は国の負担が三分の一、地方が三分の二と一応なっておりまするけれども、地方の三分の二の中では、その半分は実際は受益者負担となってしまっていること、これは御承知だと思うのです。言いかえますならば、下水道整備についての負担の割合は、国と地方と受益者個人、これが平等に三分の一を負担する、これがなければ成り立たないということが、これは現実の問題です。理屈は抜きです、これは。そこで問題になっておりまする点は、いわゆる受益者であるところの住民個人が、負担が困難だという場合には、必然的に専業が延びるか、あるいは最悪の場合不可能になってしまうということにおちいらざるを得ない、これにぶちかかってしまうわけです。もちろんこのことは、生活環境施設整備緊急措置法ですか、これにのっとってやられるという説明をされたわけですけれども、あの中身についても、実際非現実性というものが幾多ありますることを、私ども考えているわけです。とういう問題を考えた場合に、住宅等の問題と違いまして、受益者が個人であるからというこれと同じような考えで見ちゃ困ると、下水道の場合は明らかに公共事業なんです。したがって、こうした公共事業というものに対しまする性格の中に個人負担というものを持ち込んでしまうということは、これは理論的にも、あるいは現状のこれを可能ならしめる点から見ても、少し不合理であるばかりでなくして、危険なものになってしまうのじゃないかという感じを持つわけです。にもかかわらず大臣は、本格的な事業の推進をはかるということばでやっておりますけれども、一体これに対しまする具体的な指導方針ないしは施策というものをお持ちになっておりまするかどうか。
  29. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) ただいま下水道につきましての受益者負担のお話をいただきまして、現実に受益者負担金を取っておりますのは、二十二都市でございます。下水道をやっております都市が約百六十都市でございますが、そのうちの二十二都市でございます。また、それらの都市の徴収額は、都市によっていろいろ変わっておりまして、九分の一程度を取っているところから三分の一程度を取っているところまでございます。この受益者負担金制度につきましては、かぬて、昭和三十五年ごろでありましたか、全国市長会に置かれました下水道財政に関する研究委員会というものがございまして、そこで学識経験者等に御研究をいただいた結果の報告の中で、下水道設置区域の住民は、他の住民よりも明らかに特定の利益を受けるという面で、その受益の限度におきまして建設費の負担をすることが適当であるというふうな報告をいただいたわけでございます。われわれもさようにいま考えておりまして、むしろ受益者負担金制度は活用していくべきであろうという考えで進んでいるのであります。
  30. 田上松衞

    田上松衞君 このことについても、もっと掘り下げていろいろただしておきたい点がありますけれども、ますます時間がなくなってしまいます。いずれほかの機会にこまかくお聞きしたいと考えます。  いままでいろいろ申し上げたんですが、この際、別の面でひとつ考えていただきたいことは、いろいろな御施策の中で、いわゆる官公需、こういうものの面を考えてみますると、国が各種の経済政策をもって中小企業経営の安定をはかっていくというところに重点を置いて、今度の総理の施政方針演説の中にも、これを強く強調されておるわけであります。ところで、実際問題考えてみますと、いろいろりっぱなことを言っておられるが、現実にこれを行なっていきまするものが大会社、こういうもののみに役務あるいはいろいろな必需品というものをゆだねておるような気がしてならない。そこで、これについて中小企業、これもちっぽけなものまでというわけじゃないのですけれども、おおよそこれならやっていけるというようなものについて、ひとつ公入札をやらすことによって、いま申し上げる別面の中小企業経営安定の道に資すべきだと考えるわけなんですが、そういう方向をひとつ御研究いただけないかどうか。
  31. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 私も、わが国の全国にありまする多数の建設業者の諸君は、災害があれば仕事があるけれども、災害でもなかったらばまとまった仕事にありつけないというような人からはじまって、ある地方でも、相当の機械でも持っておる、人から地方の大業者といわれるものまで、非常に内容が種々雑多でございまして、だんだん工事が大型化してまいる、もしくは技術が高度化してまいりますると、地方の中小の業者がおくれをとりましてついてとられない、現状のままではどうにも扱いようがない。また、われわれにいたしましても、公入札にいたしましても、はたして責任をもってこれらがこのむずかしい設計のものをこなし切れるかどうだろうかというような心配もあるわけでございます。そういう意味からいたしまして、実は各府県の単位の業者の諸君に企業共同化を極力推奨いたしまして、共同して機械を整備をする、共同使用によって仕事をでかし上げるというようなことの奨励を極力いたしております。そしてこういうふうにして共同して仕事をする慣行ができ、そういう経験を経たものにつとめて仕事の切れないように与えてやるというように仕向けておるので、ある程度の効果をあげておるということを期待いたしております。
  32. 田上松衞

    田上松衞君 お気持ちを承ったんですから、これ以上ただす必要もないかと思います。ただ念押しに、もちろん大臣承知のとおり、私どもが調べた例によりますると、たとえば昭和三十七年度の国民総支出十九兆三千百五十二億円、この中で、政府の財貨サービス購入だけでも三兆九千三百五十二億円を占めておるわけなんです。この割合は、まさに二〇・三%になってまいりますが、こんなに大きなものがどんどんやられておるわけなんです。この場合、あるいは適切でなかったかもしらぬけれども、私は、いま大きく仕事をやっておりまする、たとえば日本住宅公団あるいは日本道路公団、首都高速道路公団阪神高速道路公団あるいは水資源開発公団、愛知用水公団、もろもろのものがこうやってことごとくこれは国の施策のもとに行なわれておるわけですが、こういうものの事業及び役務あるいはいろいろの必需品、そういうものの発注を中小企業に——全部とは申し上げませんけれども相当のものをこれに持っていく。そのことによって、いま政府が約束するところの中小企業の事業の活動分野の維持と、その健全な発達をはかるということに意を用いていただきたい。いまのおことばの中で、そうした感覚をお持ちになっておりますることは、まことに多とするわけなんですけれども、さらに、このことについて真剣にひとつ突っ込んで御検討を重ねられて国民の期待に沿っていただきたい、これは希望として申し上げておきたいと思うのです。  時間がございません。最後に一点だけですが、いま、いろいろ、この前から言われておるわけなんですけれども、屋外広告物の撤去あるいは制限禁止、こういう問題に関してですが、これは少なくとも、オリンピック大会までに一切の屋外広告物を禁止したり撤去したり制限したりしなければならぬ、これは国民の要望なんです。ところが、せんだってこのことに関して、国鉄当局の考えというものが、ラジオあるいはテレビ等で放送されました。私は興味深くこれを見たわけなんですが、これによりますと、国鉄が構内に有料でもって掲示されるところの広告料金が年間十一億になるのだ、こう言っておるわけなんですね。そこで、この数字というものは、これはどういう工合に受け取ればいいのか。国鉄当局の感じは、この撤去に協力するのかしないのか、さっぱりわけがわからぬのですけれども、表現されたことは、年間四千億といういろいろな運賃等の収入に比べてみれば、十一億なんというものは微々たるものだ、こうも言うわけなんですね。言うかと思うと、今度は、しかしながら、ないよりかあることが望ましいということは、これは議論の余地はないのだ、こうも言っているわけなんです。一体どこをどうとればいいのか、協力の気持ちなのか非協力の気持ちなのか。河野大臣がそんなことを言ったって、おれのところは関係ないという気持ちなのか、ここで全然惑わされてしまうわけなんですよ。そこでお聞きしたいことは、これらの面について、河野構想を達成することのために、何かの話し合いをされたことがあるのかどうか。さらには、国鉄だけでなくして、これら私鉄関係等についても、すでに一応のお話し合いでもされたのであろうかどうだろうか、そうして結果的にお見込みはどうなりますか、お聞かせいただきたいと思います。
  33. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お話のとおり、日本の屋外広告物につきましては、いろいろな角度から検討しなければならぬと思うのでございますが、現に各地方庁がそれぞれ条例によって、これの取り締まりをいたしておるものがあります。ところが、これも非常に繁雑でございますので、できれば建設省中心になりまして、政府におきましてひとつ各省とも打ち合わせをし、模範と言うとおかしいですが、基礎になるべき、モデルになるものをつくりまして、政府はこういうふうに期待するというものを各府県に流しまして、各府県府県条例でこれをつくるということを推奨するということによって、一つ方向を定めて、これが取り締まり指導に当たりたい、こう考えております。
  34. 田上松衞

    田上松衞君 希望だけを申し上げておきます。  すべて、こういう一つの構想、確かにとれは私はおせじでなしに申し上げますよ、実にいい感覚をお持ちになっておると。国民がこうあってほしいということをぽんぽんお出しになる。問題は、これを実現させなければ——まあすべてに関する問題ですけども、こういうことだけ一角からくずれて、まあ何のかんの言うたところで、そこまで建設大臣が権限があるのかなんということでやられてしまうと、さらに大きなひびを生じてしまって、ついには政府の権威というか、こういうものまでおそるべき影響を来たすことを憂えているわけなんで、思い切ってとういう問題については、国民向けにひとつどんどん遠慮なく推進していただきたいということの要望を申し上げまして、他の委員の質問の時間を相当食い込んでしまって申しわけないのでありまして、本日はこれで私の質問は終わることにいたします。
  35. 北村暢

    委員長北村暢君) 以上をもちまして、建設大臣に対する総括質疑は終わりました。   —————————————
  36. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に、一昨日、田上委員より派遣報告を聴取いたしましたが、その際、政府側に対する要望事項がございますので、この際政府側より答弁を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 北村暢

    委員長北村暢君) 速記を起こして。  それでは、中島調査室長から説明を聞くことにいたします。
  38. 中島博

    ○専門員(中島博君) 第一番の道路関係について、道路関係のナンバーで順次申しますと、一級国道四十二号線の早期改築——和歌山県からの要望でございますが、これは和歌山から津市に至る一級国道でございます。これの改修が非常におくれておりますので、また、現状を見ましても、非常に未改良部分が多い。これらについての早期改築を要望したいということでございます。  第二の阪和国道、これは国道二十六号線でございますが、並びに一部四十二号線に入っておりますが、相当車両数がふえておりまして、すでに飽和状態でありますので、この第二阪和国道の整備ということについて地元の要求でございます。  第三番目は、これは二十四号線でございます。ちょうど奈良の中心市街地を通る部分が、あとにもちょっと都市計画の中に出てまいりますが、非常に奈良の市街地が狭くて、現状は、ここを相当の砂利トラックなどが走っております。特に近畿地方は、五条付近における砂利の採取のために日に数千台通っております。この二十四号線は、砂利トラの道路と言ってもいいくらいに使われております。この市街地を避けたところに、一級国道二十四号線の奈良バイパスを建設していただきたいというのが第三番目であります。  四番目は、一級国道一号線及び九号線の整備、この線では、一号線については、枚方国道及び宇治国道、九号線につきましては、丹波町−夜久野間及び老ノ坂トンネルの整備を至急に実施していただきたいというのであります。  五番目は、二級国道一六一号線、これは阪本−京都のバイパスでありますが、名神もできまして、ちょうど京都南インターまで入ってきまして、最近ここらあたりは、滋賀県の琵琶湖の北岸のほうに抜ける自動車が非常に多く、これは現在の大津市、逢坂山の付近が非常に難渋しております。京都南インターから大津市下阪本町のほうに至ります約九・五キロのバイパスをすぐに建設してほしいというのが第五番目でございます。  第六番として、これは二級国道一六五号線の大和高田のバイパスでございます。本路線は、やはり相当国道が入ってきて、また、ここは平面交差になっております。国鉄、私鉄の平面交差の四カ所が非常に幅員が狭いので、早急にこのバイパス建設をしていただきたいというのでございます。  七番目は、二級国道一七〇号線で、これは橋本から大阪府のほうを結ぶ二級国道でありますが、ちょうど大阪のほうに出ます重要路線であります。すでにこの紀見峠の付近は、これは隧道でもってやっていただいているわけでございますが、特にこれを有料でない公共事業でもってやってもらいたいという要望でございます。現在これはすでに三十八年度からやっております。  入番目は、これは主要地方道の国道昇格ということでございまして、滋賀県におきましては、草津−柘植線、岐阜−揖斐川−木之本線、それから木之本−今津線、小浜−木之本線、それから彦根−水口線、枚方−水口線、それから田辺——これは和歌山県でありますが、田辺−本宮−新宮線、また、瀞公園線の二級国道昇格の要望でございます。  九番目は、これは現在滋賀県で行なっておりますびわ湖大橋の建設費のための起債並びに両側からそれぞれ国道につながります関連道路を早期にひとつ完成をしていただきたいという要望でございます。  十番は、大津インターチェンジ取り付け道路と国道一号線の立体交差。大津市街地の琵琶湖の湖岸のほうを経て二級国道の一六一号に至る都市計画街路でございますが、これはちょうどインターから出てくるところで相当難渋をしておるという状況でありますので、このところの立体交差化をはかってもらいたいということでございます。  十一番は、これは米原湖岸線と東海道本線並びにこの新幹線との間の立体交差でありまして、この八号国道と主要道路を結んでおります都市計画街路であるので、その路線の立体交差をはかってもらいたいということでございます。  十二番は、これは地方重要路線の整備でございまして、滋賀県であります。仰木−雄琴線、近江八幡−水口線、湖南の湖周道路、江勢道路の改良促進をはかるということでございます。  十三番は、これは第二阪奈道路建設ということでございまして、現在の阪奈道路ができましてから相当もう詰まっておりますので、第二阪奈有料道路建設を願いたいということでございます。  十四番は、これは京都府からでございますが、近畿縦貫高速自動車道、これは阪神の工業地帯のほうから福知山、舞鶴を通りまして敦賀に至る縦貫高速道路をひとつ計画して、このための調査等に着手してもらいたいという要望でございます。  十五番は、これはやはり二級国道への昇格でございまして、田辺市−熊野市間の県道を二級国道に昇格してもらいたいという要望でございます。  十六番は、これは一般的なことでございますが、道路整備事業に対する補助事業費のワクの増大をはかってもらいたいということでございまして、和歌山県、奈良県からそれぞれ出ております。  次の河川関係におきましては、大滝ダム、入之波ダムの建設、特に吉野川の上流総合開発として多目的ダムの建設を特に要望しております。  次は、吉野川の施行区域の延長と工事促進でありまして、現在は五条市までは直轄となっておりますが、この下市付近までは非常に人口が密集しております。また、実際上かなりの額を要しますので、この直轄の施行区域の延長を望んでおるようでございます。  3は、大和川直轄工事の促進並びに第四番目の野洲川の直轄河川の改修の促進でございます。  5は、紀ノ川の直轄河川の改修でございますが、紀ノ川は、一応改修はほぼ終わっておりますけれども、やはり相当部分なお残っております。換算しまして、四十年間に六十億くらいの費用しかかけておりません。なお地元によりますと、八十億くらいが必要とされておりますので、この紀ノ川の改修工事を大いに促進してもらいたいということでございます。  6は、一般的なことでございますが、和歌山県の、今度考えておりますところの治水十カ年計画改定にあたりましては、この補助事業に対する増額をはかってもらいたいという要望でございます。  次は、三は、都市関係でございまして、これは奈良公園の第一次整備計画、これは御報告にもありましたような、県としての整備計画を一応立てておりますが、この計画を進めるにあたりましては、何ぶん費用がかかるものでございますので、大幅な援助を願いたいという要望でございます。  2は、これは現在公園区域の一部で地獄谷国有林が、これは営林局関係でありますが、この百七ヘクタールほどの地獄谷が非常にもろ利用者がふえてきておる。この地域を県の奈良公園の中の公園地域に編入したいということで、この国有林の払い下げを要望しているわけであります。  3は、これは奈良市内の駐車場の建設でありまして、現在三カ所ほど計画が立っておりますが、この駐車場の建設につきまして特段の御援助を賜わりたいという要望であります。  次は、道路の近鉄奈良駅前の約一キロばかりの道路の拡幅工事でございますが、約四十億ほどかかるのですが、その十億は近鉄が出すというような話がついておるような話でございますが、これの事業の実際できるような援助をしていただきたいという要望でございます。  5は、福知山市長田野工業地帯造成事業を京都のほうで進めていきたいので、これについての低利融資の制度をひとつぜひ進めてもらいたいということでございます。  第四番目は、住宅関係でありまして、これは奈良県からのもので、橿原の付近に約三十万坪ほどの土地に住宅団地の造成を計画いたしておるのでありますが、これを、昨年施行されました新住宅開発法によるところの住宅市街地をつくりたいということでございますので、ここに公団等の住宅等もできるような援助をしていただきたいというものであります。  住宅の2は、これは京都の宇治でありますが、そこに約百六十ヘクタールばかりのやはりこれも国有林がありまして、それの払い下げを受けまして、ここに一団地約一万二千戸ばかりを収容する住宅団地をつくりたいということでありまして、長年交渉しておるようでありますが、との国有林の払い下げをしていただきたいという要望であります。  五は、その他といたしまして、公共事業費のワクの増大並びにこれに対する地方財政の拡充措置を財政上講じてもらいたいということでございます。
  39. 北村暢

    委員長北村暢君) 以上で説明が終わりましたが、相当要望事項が多いですから、簡単に、できるものとできないものと、それから検討をするものというようなことを考慮に入れてひとつ答弁なり説明をしていただきたいと、このように思います。  最初に尾之内道路局長。
  40. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 道路関係について申し上げます。  一番目の一級国道四十二号線の早期改築につきましては、昭和三十八年末におきましてこの路線は約五〇%の改良率を示しておりますが、三十九年度におきましては、和歌山市と白浜間をおおむね完成させることになっております。したがいまして、引き続きまして全線の改良を促進するように努力いたしたいと思っております。  第二番目の第二阪和国道の早期整備につきましては、現在この区間の路線の位置、あるいは交通状況につきまして検討中でございまして、できるだけ早く結論を出しまして工事に着手したい、かように考えております。  第三番目の一級国道二十四号線の奈良市のバイパスにつきましては、大都市道路調査の一環といたしまして検討いたしておりまして、ただいままだ検討中でございまして、この検討、調査を終わりまして後に、この着工について考えてみたいと思っておりますが、このバイパスにつきましては、各方面に多くの要望がございますので、着工につきましては、必ずしも容易ではないと考えております。  四番目の一級国道一号線及び九号線の整備につきましては、枚方国道及び宇治国道の整備につきましては、枚方はすでに着工いたしております。三十九年には八幡−伏見大橋の長大橋を着工いたしまして、おおむね四十年度に全線完成の目途を立てておりまして、目下鋭意工事をやっております。宇治国道につきましては、まだはっきりした構想を持っておりません。今後の問題として検討いたしたいと思っております。九号線につきましては、三十九年度に、丹波町−夜久野間は全線用地買収を完了いたしまして、福知山につきましては、このバイパスの完成をはかりますとともに、その他の区間につきましても、なるべくすみやかに完成をいたすよう努力いたしたいと思います。老ノ坂トンネルは、現在幅員が狭小のために交通に障害を与えておりますが、これは三十九年度に、特にトンネルでございますので、地質調査を実施いたしまして、その上で各工事に着工いたしたいと考えております。  五番目の二級国道一六一号線のバイパスにつきましては、目下滋賀県において、この路線計画調査いたしておるようでございますが、実はこれにつきましては、今年度、この区間の二次改良が完了するところでございまして、直ちにこのバイパスに着手するということは、ただいまのところまだ考えてはおりません。  六番目の二級国道一六五号線につきましては、一応一次的な改良を終わっておりますが、名阪国道の計画との関連もございますので、目下日本道路公団及び県当局において検討中でございます。  七番目の二級国道一七〇号線の早期改築につきましては、三十八年度より、特に緊急を要します寝屋川−柏原市間の整備に着手いたしたいと思っております。なお、紀見峠のトンネルにつきましては、道路公団事業として検討いたしましたが、適当でないと考えましたので、公共事業としてやる予定で目下これも検討中でございます。  八番目の主要地方道の国道昇格、いろいろ要望がございますが、国道昇格につきましては、実は昭和三十八年度に一級国道十六路線、二級国道三十三路線の昇格を行なったところでございまして、また、建設省といたしましては、現在の一級国道、二級国道の級別を廃止いたしまして、国道管理体系を一本にするように道路法の改正考えておりますので、このような新たな国道昇格の問題につきましては、今後これらの問題もございますので、あわせて検討いたしたいと考えております。  九番目のびわ湖大橋有料道路及び関連道路整備につきましては、びわ湖大橋の資金調達につきましては、特に問題があるとは当方では聞いておりません。おそらくこれは自治省に対する要望であろうかと思いますが、一応予定どおり竣工するものと考えております。関連道路につきましては、とのびわ湖大橋の開通までに完了するよう、取り付け道路整備予算的措置をいたしております。  十番目並びに十一番目は、後ほど都市局長のほうから御説明を願うことにいたしまして、十二番目の地方重要路線の整備、仰木−雄琴線につきましては、昭和三十九年度、特殊改良一種事業で、特に悪い区間を実施いたしたい考えでございます。また、近江八幡—水口線につきましては、全区間おおむね改良済みでございますが、現在舗装新設工事を実施いたしております。それから湖周道路につきましては、主要地方道、大津−能登川−長浜線につきましては、長浜市の平方町、彦根市松原町、近江八幡市の各地内を道路改良事業として継続実施中でございます。また、木之本−今津線につきましては、昭和三十九年度、西浅井村地内を新規に着工いたしたいと考えております。江勢道路につきましては、滋賀県から三重県にわたりまして鞍掛峠がございまして、まだこの峠の地帯には着工いたしておりませんが、その前後で改良事業としては両県から実施中でございます。  十三番目の第二阪奈道路建設でございますが、これにつきましては、相当現在の阪奈道路が混雑いたしておりますが、他方名阪有料道路等の新たな着工も考えておりますので、目下のところ、第二阪奈道路計画については、具体的な策定をするに至っておりません。  次の十四番目の近畿縦貫高速自動車道路建設でございますが、これについては、まだこのような構想につきまして、はっきりした具体的な資料を持っておりませんし、また、これらの問題については、近畿圏整備委員会のほうでも検討されると思いますが、まだ当方においては、これに対する具体的な対策、措置は持っておりません。  十五番目の二級国道の昇格につきましては、先ほど主要地方道の昇格の際に申し上げたとおりでございます。  最後の十六番目の財源措置につきましては、おおむね幹線道路であります一級国道の整備の見通しもついてまいりました。また、続いて二級国道についても、その整備の目標が立つようになりました。逐次二級国道その他の一般地方道の整備についても、重点が振り向けられるようになるものと期待いたしております。昭和三十九年度におきましては、過日も御説明いたしましたように、前年度に比べまして、地方道の整備は約三〇%程度増加する予定でございまして、新五カ年計画においても、その整備の促進をはかりたいと考えております。  道路関係は以上でございます。
  41. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に畑谷河川局長。
  42. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) 河川関係の御要望について御説明申し上げます。  第一番目に、「大滝ダム、入之波ダムの建設について」という御要望でございますが、大滝ダムにつきましては、昭和三十七年度から実施計画調査に着手して現在に至っております。この地点につきましては、地元の立ち入りとか調査に対する反対が非常に多いので、なかなか具体的な着手といいますか、調査がおくれておるわけでございまするが、私どもとしましては、四十年度から工事に着手をするということで、三十九年度中には、全部調査を終わりまして、四十年度からやる、こういうふうに努力をし、県ともあわせまして、この地元の御協力を得るように努力しておるわけでございます。それから入之波ダム、これは上流のダムでございますが、特に発電、工業用水等の利水上から非常に要望されておるわけでございまして、これにつきましては、今年度三十八年度から調査をいたしまして、これについても引き続き三十九年度調査をつけまして、なるべく早い機会にこの結論を出したい、こういうふうに思っております。  それから二番目の、吉野川の直轄施行区域の延長と工事の促進という御要望でございまするが、吉野川につきましては、現在中小河川改修工事として施行しておりまするが、御要望のとおりに、非常に工事が進んでおらない。まあ治水のワクが少ないために非常におくれているわけでございまするが、できるだけこの促進をはかりたい。今後においても、私どもとしまして、緊要地区については大体御要望の個所を四カ年くらいで完成したいということで、できるだけ早く進めていきたいと思います。  なお、直轄施行に編入という問題につきましては、これはいままでも検討しておりまするが、河川法の施行の問題もございまするので、十分今後検討してその方向に進めてみたいと、こう思っております。  それから大和川の直轄工事の促進についての御要望でございまするが、これは現在大阪湾の高潮対策緊急三カ年計画に即しまして、下流部の高潮対策工事、それから上流の捷水路工事に重点を置いて現在施行しておるわけでございまするが、これも実際問題としては、非常に工事が進まないという状態で、私どもできるだけ工期を短縮するために、新しい五カ年計画をつくりまして、抜本的にそれをやり、その計画においては、大体本地区を概成するということでこれを進めてみたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから四番目の野洲川の直轄河川の改修でございまするが、これは現在まで改修計画というものがはっきりと立案されておらなかったのでございまするが、大体改修計画が立案されまして、その改修計画による法線についても、地元の人たちのいろいろな問題もございましたが、大体それも解決いたしたことで、いよいよ着工できるという段階になってございますが、ただ直轄で三十九年度からやるということはまだ未定でございまして、これも河川法の施行と関連して、直轄施行の問題については検討したい、こういうふうに考えております。  それから五番目の紀ノ川の直轄河川の改修問題でございまするが、これも現在の進捗の状態からいくとなかなか進み得ないのでございまして、これも新しい五カ年計画を立案していただきまして、これらのいままでの継続施行の個所は特に重点を置きまして、それから橋本市から下流の築堤工事、それから五条地区における緊要地域の分は、この五カ年で概成したいと、こういうふうに考えておるわけでございます。  六番目の治水十カ年計画の改定、これはまことにごもっともな次第でございまして、私どもも、この現在の治水十カ年計画というものを改定いたしまして、先ほどお話の新しい五カ年計画をつくりまして、抜本的に治水対策を講じていきたい。それが実現されれば、当然このような台風災害地帯、特に中小河川のような事業については、相当の治水対策ができると、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上、河川関係でございます。
  43. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に鶴海都市局長。
  44. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 道路関係の10と11につきまして、まず、10の路線につきましては、すでにこの路線の事業を始めておりますが、引き続き一級国道一号線との交差部分の立体化に着手すべく、ただいま計画中でございます。  それから11の路線でございますが、この立体交差につきましては、昭和三十八年度よりすでに着手いたしております。ただ、この立体交差の場所が米原駅の構内でございまして、列車の運行等もひんぱんでございますので、その制約を受けまして、事故防止の点等からも、技術的にいいましても、慎重を要する個所でございますので、そのためにかなり口数が要ると考えられますが、できるだけ事業の促進をはかりたい、かように考えております。  それから次に都市関係の一でございます。奈良公園でございますが、すでに県におきまして五カ年計画を立てまして、その整備を行なうことにいたしております。特に県におきましては、若草山のふもとから西の部分約七万坪につきまして整備をはかりたいという希望を持っておるようでございます。建設省といたしましても、本公園の特殊性にかんがみまして、重点的にその整備に援助したい、かように考えております。  次の地獄谷国有林の問題でございますが、この地獄谷国有林は、すでに奈良公園の一部として都市公園として決定されております現状では、県が営林局より当該土地を無償貸し付けを受けまして、すでに園地の整備あるいは県営のキャンプ場の開設等の事業を行なっております。したがいまして、実質上公園として整備されておるのでございますが、営林局の特別会計の財産である関係上、現在無償貸し付けという形をとっております。この財産の移管につきましては、なお今後検討を要する問題があるわけでございます。  次に3の駐車場でございます。奈良市におきます駐車場の必要性につきましては、観光都市としての性格を考慮いたしますと、早急に整備しなければならぬことは当然でございまして、この問題につきましては、地元市におきまして目下調査を進めております。調査ができますれば、都市計画事業として駐車場の建設をする方向資金的な援助も考えたいというふうに思っております。  4でございますが、4の路線は奈良県庁前の道路でございますが、現在、奈良県庁前から近畿日本鉄道の奈良駅の間の工事を進めています。さらに引き続いてこれを西まで延ばしていくということを考えておりますが、その際、近畿日本鉄道の路線につきまして立体化をはかるべく、現在計画を進めておる次第でございます。  それから5でございますが、工業地帯造成につきまして、都市局で所管いたしておりますのは、住宅公団が施行いたしております工業団地の造成でございまして、その他の工業地帯造成につきましては、他省で所管しておるものもあるように聞いております。実は福知山の工業地帯造成事業につきまして、都市局としてはまだ詳細に内容承知いたしておりません。したがいまして、京都府より実情を聴取いたしました上で、当省で処理すべきものでありますれば措置したい、こういうふうに考えております。
  45. 北村暢

    委員長北村暢君) 次に前田住宅局長。
  46. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 1の橿原神宮の外苑に接した住宅団地開発は、奈良県が中心になって計画を立案されておりますが、けっこうな計画だと存じます。具体的に融資その他をどうするかということにつきましては、まだこの段階で申し上げられませんけれども計画が非常によろしいので、できる限りの援助をしたいと考えております。  その次の京都の宇治の国有地の払い下げでございますが、これは大阪の営林局の所管の国有林を払い下げ、付近一体の土地区画整理事業を実施するようでございますが、営林局に対しましても、私のほうからも積極的に払い下げ方を推進するようにいたしたいと存じます。
  47. 北村暢

    委員長北村暢君) ただいまの説明に対して御質疑のある方は御発言願います。
  48. 田上松衞

    田上松衞君 いまここに掲げてあります問題は、地元府県の要望事項だけを申し上げておるわけなのです。私、せんだって報告いたしました中に、やはり特に道路関係において注目していただきたい点があるわけであります。たとえば五条におきまする、内容は御承知かと思うのですが、あすこにはせっかく完成しておるにかかわらず、二カ所ほど非常に困難な問題にぶつかっておる。これは露骨に申し上げますけれども一つは、お寺、千三百年ですか、たった由緒あるお寺であって、それを軽々には収用に応じないというようなことで、まあかろうじてあの山門を大きな補償を積むことによって何かめどはついております。これは目鼻がついております。もう一つの問題は、きわめて露骨ですけれども、家の持ち主が郵便局に勤めておる職員なんです。しかも、全逓の地本の委員長をやっておるという立場を、しいて申すならば逆用と申しますか、これをもっていわゆる私権の侵害、憲法違反じゃないかというようなことでがんとして応じないで行き詰まっておるという問題があります。それとなくこれに触れて報告しておいたわけですから、後刻十分会議録をごらんいただきまして、そうして現地とさらに綿密に打ち合わせをしていただきまして、一刻も早くこれが、道路が活用されるようにしていただきたい。まあ繰り返して申し上げて恐縮ですけれども、とかくああいうところにあせってしまいますと、いわゆるごね得というようなことを一つでも見せてしまうと、将来いろいろな問題に大きな支障を来たすということも心配いたしますので、十分そういう点をお考え、考慮の中に入れまして目的を達せられるようにお願い申し上げておきたいと思います。
  49. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ただいまの五条の国道の用地取得につきましては、御指摘のとおりでございますが、櫻井寺の補償につきましては、すでに円満解決いたしました。近く移転する予定でございます。  その他の個所につきましては、鋭意折衝中でありますが、なかなか予定どおりいかないという事情もございまして、土地収用法に基づきます事業認定の手続も並行して行ないまして、取得の万全を期したいと考えております。特にこの点につきましては、前から問題がございまして、話し合いで進める方針でやっておりましたけれども、その話し合いがつかないために、かように遅延いたした次第でございますが、今度の公共用地の取得につきましては、一定の買収期間を過ぎた場合には、直ちに収用法の手続を適用いたしまして、迅速に取得する、こういうように指導いたしたいと考えております。
  50. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この調査の資料には載っておりませんが、ちょうどこの前予算委員会の派遣がありました際に、やはり問題になっておったことなんですけれども、琵琶湖の水位が非常に下がった。そこで滋賀県側では、建設省に対していろいろ御要望をしておったという話を聞いたわけなんです。ところが、現地では、滋賀県側と京都、大阪等の見解が必ずしも一致しないといったような話を聞いたのでありますけれども、この琵琶湖の水位の問題等について、その後どのように解決をされておるか、お伺いをしたいと思います。
  51. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) 琵琶湖の湖水の低下の問題につきまして、今冬非常に雨量が少ない、いわゆる渇水のためにいろいろな問題といいますか、特に琵琶湖の沿岸の人たちは、渇水で水位が低下したためにいろいろな被害が起こった、これをどうしてくれる、こういう御要望がございましたわけでございます。これは、あそこから出ております洗堰、これを直轄で管理いたしまして、湖水の調節をいたし、なお、それらの調節の規則といいますか、そういう要領も私のほうでつくっておるのでございますが、実際問題には、そういうようないろいろな規程によってやっても現実に困るという——具体的にいいますと、マイナスの五十センチ以下になると、実害がある、それでそれをどうしてくれる、こういう御要望があったわけでございます。もちろん一方におきましては、下流側としては、あれから出ている水を利用いたしまして、下流の、特に大阪、神戸の人たちの飲み水用水に使っておるわけでございまして、これが渇水のために、琵琶湖から流れ出る水が少なくなりますと、非常に水質の点で問題がある、こういういろいろな問題がありまして、上流側ではせきをとめてくれ、下流側ではとめては困る、こういう問題が実はあったわけでございまして、いずれにしましても緊急、そういうような事態になるということになると、当面それによって起こる実害というものを両者ともに明確に把握いたしまして、下流は下流でどういう実害がある、それから上流、琵琶湖の沿岸の人たちはどういう実害がある、こういうことをはっきり調査をいたしまして、きちっといたしまして、それで現実の問題をどうするか、こういうことでひとつ緊急に調査並びにそういうようないろいろな打ち合わせをやろうじゃないかというので、本年当初から、大阪府それから滋賀県それから地建が中心になりまして、いろいろな交渉あるいは調査を進めておったわけでございまするが、たまたま最近におきまして、非常に珍しい豪雨といいますか、降雨がありまして、現在のところはかえって水がたまって困るという現状で、実は当面そういう緊急な事態はふさがっておるわけでございます。現在大体琵琶湖の水位がマイナスの六十五ぐらいまで——南郷の洗堰のところでございますが——ありましたところが、ちょっときょう現在はわかりませんが、それが約マイナスの十センチぐらいになっておるかと思います。それからそこの水門で放流しておる水は五トンまで下がったわけでございまするが、現在は十五トンまで放流しておる、そのため下流の水も十分確保されております。それから上流の琵琶湖の沿岸の人たちも、これは下げてもわぬと困るというような現状になっておるわけでございまして、渇水の問題については、いまのところ、解消というとおかしいですけれども、そういうような現状になって、その後の推移を見ている、こういう状態でございます。
  52. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 たまたま雨が降ったので、一息つけたというところだと思うのですけれども東京都の水の場合は、昨年の現在に比べると、だいぶ貯水池の水量が減っているという話を聞いたわけです。琵琶湖の場合も、現在間に合っているときはないんですけれども、これが渇水期になった、あるいは雨が降らなかったというようなことでまた水位が下がるというような事態になった場合に、同じような問題に直面するのじゃないかと思うのです。水位が下がった場合の実害というのは、はたしてどの程度のものか、もちろん下流のほうだったら水が来なければ飲料水にも固まるだろうし、工業用水、農業用水、いろいろな面で支障がくるだろうと思うのですけれども、それをてんびんにかけた場合に、琵琶湖の水位が下がった場合には、一体琵琶湖の周辺でどの程度のどういう実害が生ずるかという調査はでき上がったんでございましょうか、もしわかったらお知らせ願がいたいのであります。
  53. 畑谷正実

    政府委員(畑谷正実君) いまのお話でございまするが、私どもも確かに当面の問題だけにきゅうきゅうとしまして——そういう事態は今後もあり得るわけでございまして、渇水に対して根本的にはどうするのか、そういう問題、当然御指摘のとおりでございまして、私どもも、そういう観点からもっと根本的に琵琶湖をどうするのだ、いわゆる琵琶湖の開発問題というものをきちっと立てて、それによって、それによるいろいろな問題が解決していかなければならぬじゃあないかというので、実は調査をやっておるわけでございまして、ある程度におきまして、そういうような琵琶湖の水位がこれくらい下がったらこういう程度だという、いまちょっと資料がないのでございまして御返答ができませんが、大体は見当はついてございまするが、さらに詳細にこれをまとめまして、なるべく早い機会にそういうような一つの琵琶湖の問題をいかにするかという観点について、はっきりした資料といいますか、そういう結論を出したい、こう思っておる次第でございます。
  54. 北村暢

    委員長北村暢君) 私からもひとつ質問をしておきたいと思いますが、一つは、奈良公園の問題ですが、奈良公園の特殊性にかんがみという御答弁があったようですが、これは、建設省所管では都市公園法に基づいて予算措置その他をする、こういうことになるだろうと思うのですが、そうしますと、全国の都市公園の予算規模からいって大した予算でもない。そうしますと、この奈良公園一つ整備するだけでたいへんなことになるだろうと思う。いまの状態で都市公園法の程度予算でいったならば、この国際観光都市である奈良公園、これは今後荒廃をしていくんじゃないかという状況にあるようでございます。そこで、奈良県でも、県としても特別に五カ年計画を立てて整備をやっていこう、こういうことのようでございまするので、この五カ年計画予算規模を見ますと、いまの都市公園の整備予算の規模ではとうていこれはできないじゃないか、こういうような感じがするわけであります。したがって、この大幅な援助ということを要望されておるのですが、こういう特殊な奈良公園といったようなところについては、都市公園法による措置では措置し切れないじゃないか、こう思うので、この点について、どのようなお考えを持っておられるか。  それから地獄谷国有林の県立公園への編入は、無償貸付で国から県へ貸し付けるということのようですが、これは無償貸付ということと、しかも、これにはだいぶ施設をするわけですね。そうすると、施設は完全な公営でやるのか、民間貸し付けてまた県が地代等の使用料を取るのか。そういうような点からいくと、この無償貸し付けしたものが、県が公園施設をしたことによって地代その他で又貸しみたいになって利益の上がるようなことになるのかならないのか。その点は、無償貸し付けということであれば、かえってこれは払い下げてしまって、県の所有として管理したほうが合理的であるようにも考えられる。何かこの無償貸付ということで置かなければならない特殊な事由というものはおありになるのかどうか。これは丸山林政部長が見えておりますから、そこら辺のいきさつをお伺いいたしたい。  それからもう一つは、宅地造成について、伏見の国有林の百七十ヘクタールですか、これを基礎にして新住宅市街地開発法ですか、これに基づいて三百三十ヘクタールくらいの住宅団地を建設する、こういう京都府の計画なんですが、これに関連して、これの百六十ヘクタールについての払い下げ要望に対して、林野庁はどのように対処せられるのか。  それからもう一つ私お伺いしておきたいのは、こういう都市周辺における国有林——いま宅地造成する場合にも非常にその用地の取得について困難を来たしております。先ほど奈良の橿原神宮外苑の三百万坪の住宅団地の造成について、計画は非常にけっこうだから大いに援助してやっていきたいのだ、こういう御意見のようですけれども、ここは相当農地を含んでいるわけですね。そうして地元の農民は、これに対して相当反対しておる、こういうことのようです。したがって、この用地の取得は、非常に将来、計画はいいのですが用地取得でもめるのじゃないか、私はそういうふうに聞いておるのです。したがって、伏見の場合のように、国有林ということになれば国の所有なんですから、そういう面では非常に取得の面からいえば容易だ、こういうように思います。その場合に、全国で都市周辺の国有林というものを宅地造成する場合に、よほどやはり建設省と農林省と協議をして、その宅地造成した場合のあとの処理がどのようにいくか、国有林でありますから、宅地を造成すれば造成費はかかるでしょうけれども、それにしても、時価からいえば非常に安いものができるのじゃないかと思われるのです。私の聞いた範囲では、京都の国有林でこういう宅地に国有林を払い下げた際に、それが払い下げたあとが、土地ブローカーなり何なりによって、不当に地価がつり上げられそして売買される、こういうことがあっちこっちにある、こういう事実があるようであります。したがって、国有林のような国有地に対する宅地造成をした場合のあとの管理について、やはり確たる方針がなければならないのじゃないか、このように思いまするので、一体どのように対処せられておるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  55. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 最初にお話のございました奈良公園の整備につきまして、追加して御説明を申し上げます。奈良公園の現在の両積は、百五十万坪ほどございますが、県がさしあたり五カ年で整備したいと計画を立てておりますのは、先ほども申しましたように七万坪でございます。この七万坪につきまして、五カ年間に約一億三千万円程度事業を要望してまいっておるわけでございますが、御承知のように、国が持っております公園の予算は、日本全国を対象にいたしまして三億をちょっと上回った程度にすぎないわけでございまして、全部を公園予算から出していくということについては、お話のように不可能だと思います。現在の段階では不可能であると思うわけでございます。この奈良公園は、先ほどにも申し上げましたように、百五十万坪の林地を持っておりまして、林産物等の自己収入が相当見込まれております。そういう収入が年によって相当上がり下がりがあるようでございますけれども、そういう自己収入等ともにらみ合わせまして、配り得る限りにおきまして国として援助していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  56. 丸山文雄

    説明員(丸山文雄君) 第一点の、ただいま建設省のほうから御答弁がありましたことに関連いたしますけれども、私のほうの調査によりますと、現在の段階では、この県立公園に対する編入という話は、まだ地元の折衝はないように聞いております。一般的に考えますと、公園に入れるということは、必ずしもこれは所有権の問題とは関連がありませんので、具体的にこの個所は、現在水源涵養保安林になっております。したがいまして、持っておる者がどっちのほうであって、要するにわがほうといたしましても、保安林の関係でかってに切ったりいたしませんから、したがって、編入が必要であれば、編入手続だけ行ないますれば、あとそういう土砂流出防止保安林、水源涵養保安林という角度からはいろいろな仕事をいたすわけでございます。したがいまして、県に払い下げるということも可能でありますけれども、必ずしも直ちにそうしなくてもいいのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、いま申し上げましたように、県等の折衝もないようでございますので、今後の問題として検討してまいりたいと思うわけであります。  それから現在無償貸し付けになっておるというお話がございましたが、これはおそらく最近、相当前からの問題じゃないかと思いますけれども、貸したあとがどういう形で管理されておるかということは、現在今日までまだつまびらかにいたしておりません。いずれ国有林の問題と関連いたしまして現地で検討さしてみたい、こう考えております。  それから第二点の住宅造成等につきまする一般方針といたしましては、いわゆる国有林野の事業をやるたてまえからいたしまして、都市近郊等にぼつぼつ、ぽつぽつと各種の大小の団地を持っておるということは、いわゆる管理費とその他の面からいたしましても、あまり好ましい姿ではないわけでございます。したがいまして、そういうものが将来も適正に利用されるという保証がございますれば、できるだけこれは払い下げをしたい方針でございますが、ただ国有林といたしましては、いわゆる現在民間の会社でありましても、相当奥地等にありまして、民間資本ではなかなか経営もできないところを今後やはり国として経営をしていくということが適当であろうというお考えもございますので、払い下げの場合におきましても、できればそういう土地と交換等の方法によってやっていきたいという一般的方向があるわけでございます。具体的に当該場所につきましては、現在大阪営林局と京都府その他各種の候補者があるようでございますが、まだ話は進んでおりません。われわれが調べましたところでは、今後百六十ヘクタールのうち三十ヘクタールくらいが宅地可能のようである、こちらから見ました場合そういうことになっておるようでございます。それから、ここは土砂流出防止保安林になっております。したがいまして、この土砂流出防備につきましては、これは木を置くことだけではありませんで、これにかわる当然各種の防災施設があとで実施できれば、これは保安林をやめまして具体的工事でもってカバーしていくという方法もあろうかと思います。そういういろいろな問題を含めまして、当該個所については、なお今後いろいろ地元関係者と相談をしてまいりたい、こういうように考えております。
  57. 北村暢

    委員長北村暢君) 住宅局長、ただいまの住宅の宅地造成についての一般的な考え方について、農林省と、この国有財産の土地に対する考え方ですね、こういうものが連絡とれているのかとれてないのか。いまの林政部長のお話ですと、百七十ヘクタールのうち三十ヘクタールしか宅地造成に適地がないのだと、こういうことのようです。そうしますと、百七十ヘクタールですから、相当部分は適当でないという判断のようであります。そうすれば、ちょっと団地の造成ということについて計画が狂ってくるのじゃないか、このように思いますので、そこら辺の連絡はどういうふうになっておるのですか。
  58. 前田光嘉

    政府委員(前田光嘉君) 最近、都市の郊外における団地開発がだんだんと、既存の適当な宅地が手に入れにくいために、あるいは農地、あるいはいまお話のような林野等にも求めておりますが、特にわれわれのほうでは、農地の転用につきまして農林省に特別のお願いをいたしております。先年法律をお願いいたしまして、公共団体等が新住宅市街地開発法で行なう場合には、従来の農地法の規定によるところの農地局の許可は要らないということにいたしまして、農地転用が円滑にいくようにお願いをいたしております。それ以外の個所につきましても、公共的に行なうものにつきましては、農地転用につきまして格別の取り扱いをお願いいたしております。しかし、さらに最近の宅地難にかんがみまして、積極的に都市近郊で将来農地としておくよりも宅地として使ったほうがいいという場所につきましては、さらに積極的な農地転用の方法を農林省にもお願いし措置を講じてまいりたいと考えております。  さらに国有地につきましては、これはまず優先的にできる限りお願いをしたいと思いまして、単に農林省所管の財産にかかわらず、国有地であってしかも住宅地に適するものにつきましては、大蔵省とも相談をし、つとめて住宅団地に転用お願い方を折衝し、実績もかなりあがっております。  ただいまお話の京都の区画整理につきましては、これは京都府におきまして区画整理事業を実施するということを聞いておりまして、まだ実は本省の段階まで上がってきておりません。たぶんそのほうで計画を立てるに際しまして、事前におきまして大阪営林局と折衝をしておるようでございまして、われわれはまだ詳細に承知しておりませんので、この希望の百六十ヘクタールが適当であるか、あるいはそのうちどの程度住宅地として利用できるかにつきましては、さらに詳細に府のほうと連絡をして調査をしたいと思います。
  59. 北村暢

    委員長北村暢君) 別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会