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国務大臣(
河野一郎君) でございますから、先ほどお答えいたしましたように、この
法案を提出いたしましたゆえんのものは、現
時限においてはこの
程度までわれわれとしては引き上げていきたい。そうして一応ここで水についても
台帳をつくって一そうしてどういう水がどういうふうに
利用され、どういうふうに流れているかというものを一ぺん把握いたしたい。それで一応基礎的なものを十分つかみ、まず、今日の
状態において
河川の
行政をやる基礎になるべきものの
法律をこの辺まで引き上げて、そうしてその上に立っていま
お話しのように
——一体、いまのお話でもわかりますように、
熊本県は比較的に水が豊富でございます。
福岡県は比較的に水が乏しゅうございます。そういう
意味におきまして、しからば、水が楽に取れるところは一々やかましく
水利権だとかなんだとか言わなくても、水はほっといても流れておるのでありますが、一方では無理して持ってこなければ流れないものもございます。それで同じ水でも非常にやかましい地方もあれば比較的ルーズな地方もある、それがそのままでありますことは適当でない。現にいま問題になっておりまする、いかにして
熊本の水を
福岡のほうに流そうかというようなことも、実は問題になっておるわけでございまして、そういうことに順次広域経済のもとに水の
利用度を高めてまいろうということが、水の
行政の
基本でなければならぬし、
河川行政に対しましても、そういう
方向に前進してまいらなければならぬものでございますから、一応私といたしまして、
慣行の
水利権は尊重いたします。そしてその上に立って全部まとめまして、そして今度は一つ一つについて、どういうふうに御
利用になっておるか一どれだけ水を
——その
水利権は一体
利用しておられるかというようなものを、ケース・バイ・ケースでそれぞれ当たりまして、地方の水の
利用というものをどういうふうにもっていくかということを定めなければならぬ。と同時に、その水をいまのように、大体使っている水がどのくらいで、使わずに海へ流す水がどのくらいうような問題もたくさんあるわけでありまして、こういうようなものについても、
ダムをつくる、先ほど申しましたように、
砂防の工事もやるというようなことから、山のもとから固めて順に海に至る過程において水を
利用してまいるというところまで至らなければならぬというふうに
考えますと、まず、
予算において
相当のものを使わなければならぬだろう、ただ
法律ばかり先ばしったところで、
行政のない、もしくは国民諸君の側から見れば、縛るほうだけ縛ったところで、何にも施策はないじゃないかということになりますから、並行してまいらなければならぬと思うのでございます。そういう
意味において、その基礎になる限度までこ
河川法の
改正において、
明治時代からの
行政を明き上げていきたい。そして一応この
台帳をつくり、水の流れ方、川の
あり方というものについてもつかむものをつかんで、
水利権等についても調査を一応終わって、そしてさらに検討を加えて次の施策をしてまいりたい、こういうことでございますから、ただ、
農林省の方が見えたから、
水利権を尊重します、尊重します、このように
答弁するようにとられるのははなはだ遺憾でございます。そうじゃない、それはそれで一応
水利権は尊重して、そして安心していただいて、その中に立って
お話し合いをして、どの
程度の水が入り用かということに入り、そしてその川の水はどの
程度あればよろしいかというところに順次入っていくべきだと思うのでございます。したがって、水の
利用をさらに
考えるならば、
多目的ダムをつくって水を
利用して、いま
お話しのように、
工業用水その他のものは非常にたくさん入り用になってまいります。これはおのずから施策をして水を使うということでなければならぬと思いますので、従来のように
工業用水と取り合いをして水を使うということは適当でないというふうに
考えておるのでありまして、決してその場限りの
答弁をしているというつもりはございません。