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1964-06-10 第46回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十日(水曜日)    午前十時二十六分開会   —————————————   委員異動  五月二十一日   辞任      補欠選任    亀田 得治君  佐野 芳雄君  五月二十五日   辞任      補欠選任    鈴木 市藏君  上林 忠次君  五月二十八日   辞任      補欠選任    塩見 俊二君  西田 信一君  六月二日   辞任      補欠選任    佐野 芳雄君  柴谷  要君  六月六日   辞任      補欠選任    鬼木 勝利君  渋谷 邦彦君  六月十日   辞任      補欠選任    渋谷 邦彦君  鬼木 勝利君   委員長異動 六月三日横川正市君委員長辞任につ き、その補欠として柴谷要君を議院 において委員長に選任した。   —————————————  出席者は左のとおり。    委員長     柴谷  要君    理事            佐藤 芳男君            野知 浩之君            山崎  斉君            相澤 重明君            小酒井義男君    委員            北口 龍徳君            鈴木 恭一君            仲原 善一君            西田 信一君            二木 謙吾君            杉山善太郎君            横川 正市君            鬼木 勝利君            二宮 文造君   国務大臣    厚 生 大 臣 小林 武治君    通商産業大臣  福田  一君    建 設 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 山村治郎君   政府委員    内閣法制局第一    部長      吉國 一郎君    行政管理庁行政    管理局長    石川 準吉君    大蔵省主計局次    長       中尾 博之君    大蔵省主計局司    計課長     江口  穣君    文部政務次官  八木 徹雄君    文部大臣官房会    計課長     安嶋  彌君    文部省社会教育    局長      齋藤  正君    文部省管理局長 杉江  清君    厚生大臣官房会    計課長     戸澤 政方君    厚生省公衆衛生    局長      若松 栄一君    厚生省環境衛生    局長      舘林 宣夫君    厚生省社会局長 牛丸 義留君    社会保険庁医療    保険部長    竹下 精紀君    農林政務次官  丹羽 兵助君    農林大臣官房経    理課長     竹内 直一君    農林省農地局長 丹羽雅次郎君    農林省園芸局長 酒折 武弘君    建設大臣官房会    計課長     吉兼 三郎君    建設省都市局長 鶴海良一郎君    建設省住宅局長 前田 光嘉君   —————————————    会計検査院長  芥川  治君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    文部省初等中等    教育局財務課長 岩間英太郎君    中小企業庁次長 阿部 久一君    建設省道路局次    長       三橋 信一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○昭和三十七年度一般会計歳入歳出決  算、昭和三十七年度特別会計歳入歳  出決算昭和三十七年度国税収納金  整理資金受払計算書昭和三十七年  度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十七年度物品増減及び現在額  総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和三十七年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)   —————————————
  2. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告をいたします。  五月二十一日亀田得治君が委員辞任され、その補欠として佐野芳雄君が選任されました。五月二十五日鈴木市藏君が委員辞任され、その補欠として上林忠次君が選任されました。五月二十八日塩見俊二君が委員辞任され、その補欠として西田信一君が選任されました。六月二日佐野芳雄君が委員辞任され、その補欠として私が選任されました。六月六日鬼木勝利君が委員辞任され、その補欠として渋谷邦彦君が選任されました。以上でございます。   —————————————
  3. 柴谷要

    委員長柴谷要君) この際、理事辞任及び補欠互選の件につきおはかりいたします。  小酒井義男君から文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事野知浩之君を指名いたします。   —————————————
  6. 柴谷要

    委員長柴谷要君) それでは、昭和三十七年度決算外三件を議題とし、前回に引き続き審査を行ないます。質疑の通告がございますので、順次これを許します。小酒井義男君。
  7. 小酒井義男

    小酒井義男君 先日、行政管理庁のほうへお願いして出していただきました資料に基づいて少し質問をしたいと思いますが、お出しいただいた資料を見ますと、特殊法人関係の総数が九十三にのぼっておるのでございます。そこで表をいろいろ分析をしてみますと、この表にのぼっておるもので、昭和三十年当時にすでに設立をされておったものは三十一機関ところがその後、ことしの三十九年度の鉄道建設公団一つ加えますと九十三になって、おります。この九年間に三倍になっておる、こういう傾向について行政管理庁長官はどういう御見解をお持ちになっておるか、最初に承りたい。
  8. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) お答え申します。  日本の経済の飛躍的な増大並びに社会情勢の大きな変化は、この行政面に対するところ仕事も相当ふえてまいる趨勢に相なりまして、あるいは予算であるとか、あるいは機構であるとかもこれに伴いましてある程度まで増大してまいることは、これはやむを得ない情勢じゃないかと考えておる次第でございます。特にこの特殊法人の問題につきましては、単なるいわゆるお役所仕事と申しましょうか、この行政事務政府仕事を別な面からまた見て、かえって国民皆さんに対するところのサービスも向上し、また能率もあがるような面のあることも考えられますときに、ちょうど役所としては、予算面あるいはまた機構面等でもって制約されましてできない面がある、特殊法人としてやれば、かえって能率があがり、そしてまた非常に国民皆さんにも喜んでいただけるというような結果になりまするがゆえに、多少最近の趨勢といたしまして、この特殊法人というものがふえてまいる傾向に相なったと思うのでございます。しかし、いずれにいたしましても、間接、直接は別にいたしましても、国民の皆さまの貴重な税金がやはり相当関係する問題でございますので、行管といたしましては、この機構のいたずらなる膨張につきましては、厳重にこれを制約するように方針をとっておる次第でございます。ちょうどことしの要求につきましても、実は二十二の要求各省からあったのでございますが、私どもといたしましては、それを最小限度に押えまして、八つの特殊法人を認めたという現況がこの一つのあらわれでございます。したがいまして、大きな時勢の変化に伴いまして、ある程度まで特殊法人がふえてまいりますることは、一つの世の中の要求であるとも考えられますが、しかし、これはどこまでもできるだけ押えてまいるような方針でまいるつもりでおる次第でございます。
  9. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまの答弁でございますが、そういう要望、要求もいろいろの政策の執行の上において出てくるかもわかりませんが、予算決算という面から考えると、非常に複雑になる、そうしてその効率的な予算執行に対するところの目のとどかない点が出てくるのじゃないかという心配があると思うのです。これは私のほうで調べた資料でありますし、三十七年度の決算を少し通り越して、三十九年度の数字もときどき出てきますけれども予算として国会に提出されてくるものは、政府機関、これは予算書に出てくるものが十三機関、それから決算検査報告に出てくるものが二十五機関財政投融資計画に載ってくるものは三十六機関よりない。いま言う九十三の特殊法人、いろいろなものがあって、政府から出されてくる予算決算を通じて、われわれに数字の示されてくるものの数はきわめて少ない、そうすると、それ以外にどういうことになっておるかわからぬものが非常に多いということです。こういう傾向をどうお考えになりますか。
  10. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御指摘のこの特殊法人役所の隠れみのになってはいけないということは私も同感でございまして、ぜひこの経営内容等につきましては、やはり国会で御審議いただく予算と同様に、慎重な経営がなされてしかるべきであると考える次第でございます。したがいまして、たまたまこの前の国会から問題になっておるのでございまするが、特に監事制度の問題につきましては、これはいままでは実は各特殊法人ばらばらの状態でございまして、ほんの形式的な監事制度の——まあどっちかといいますと、あり方であったのでございまするが、これを実際に監事の職権というものが十分にその使命が発揮できるように、したがって、その内容経営の面、あるいはその運営の面において、むだのないように、十分に監察ができるようにという立場をとろうと考えまして、この問題につきましては、十分に各公団にもこれを徹底いたしまして、現在におきましても、いままではどちらかといいますと理事長報告だけの、あるいは総裁報告だけのものであったのでありますが、これが直接に主務大臣監事報告できるという体制を整えてまいった次第でございます。したがいまして、その経理内容業務内容等につきましては、十分監事仕事を活用することによりまして、厳重にこれを監査してまいるつもりでおるのでございます。
  11. 小酒井義男

    小酒井義男君 たまたま監事の問題が出ましたので、続いてお尋ねしたいと思いますが、この公社公団公庫事業団というものをずっと検討いたしますと、公社において総裁が三名で、理事長というのが一名ある。公団へいくと、総裁が四名あって理事長が六名ある。事業団あるいは銀行、金庫は、これは大体一つでまとまっておると思いますが、株式会社のほうへいきますと、総裁あり、社長あり、あるいは社長もない、取締役ということで社長という名義の出ておらないのもありますね。こういうのはどうしてこういうばらばらな形のものが出てくるのか、そういうことになって出てきておる原因をひとつ御説明願いたいのです。
  12. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) またたま、いままではちょうど御指摘の本年度で九十三の特殊法人に相なる次第でございますが、これの成り立ちにつきましてはいろいろないきさつがございまして、大小さまざまの特殊法人がございます。その関係等もございましたが、確かに同じ政府機関でありますところ特殊法人が、各特殊法人ばらばらの形態であるというのはおかしいじゃないかという御議論は、他の委員会等におきましてもたびたび御指摘されてまいりました次第でございますので、私どもといたしましては、これを監督するたてまえ上、ぜひひとつ国会の御意思を尊重いたしまして、何とかこの形をひとつ全部一緒にならないまでも、ある程度まで同じような形に整えてまいりたい、こういう方針のもとにおきまして、ただいま事務当局にこれらの問題について検討をさせておる次第でございます。
  13. 小酒井義男

    小酒井義男君 内閣法制局のどなたかいらっしゃいますか……。それでは、従来のいきさつは、またあらためて従来扱ってきた方から聞こうと思いますが、管理庁のほうでお調べになって、たとえば公社の中の総裁理事長では職務権限とかあるいは待遇の上で相違があるのか、そういう点はどうなんですか。
  14. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 局長から説明させます。
  15. 石川準吉

    政府委員石川準吉君) 実は行政管理庁設置法の昨年の改正に伴いまして、この特殊法人全体の制度的な新設、廃止、ないし法律事項として制定せられましたものの重要改正審査する権限を付与されましたのでございますが、自来、実体をいろいろ整備すべく事務的努力を重ねておりますが、ただいま御指摘のような既往における、すでにできておるものの個々具体的内容につきましては、まだお尋ねの点を詳細お答えする段階にまいっておりません。具体的にこれとこれというような御指摘がございましたら、調べまして適当な機会にお答えさしていただきたいと存じますが、包括的に申しまして、先ほど長官よりお話のございましたとおり、ずいぶん古くからできたものが多いのでございますが、予算財政投融資等との対比をみましても、これらの特殊法人増加趨勢は、ほぼ大数の傾向としては合致いたしております。すでにできているものにつきましては、いま御指摘のような具体的な決定は、そのつど予算査定及び法制審査においていままでは議論されましたので、今後におきましては、これらを何らか統一ある基準を設定して、既存のものも一法改正のつどある程度の制度的な整序を加えるべきものであろうと存じますが、直接のお答えにならぬで恐縮でございますが、現段階はさような事情でございますので御了承願いたいと思います。
  16. 小酒井義男

    小酒井義男君 検討中ということでしたら少し私の感想と言いますか、意見だけ述べておきたいと思うのですが、これを見てみますと、たとえば株式会社という名義を便っておる中に総裁がありますね、社長がありますね、そうして社長というものがなく取締役ということで出ておるのがある。株式会社でしたら大体これは社長というのが常識だろうと思うのですが、社長がなぜこれに出てこないか、社長という名義が。こういうのはやはり責任者をきめるべきじゃないかと思うのです。それからいろいろの会という名義が出てくる中に、会長というのがある。ある。あるいは理事長というのがある。そういうのをみると、やはりその人の人間によってそういう役職名がつくられておるような気がします。こういう点はやはりそうでない一貫した一つ基準なり何かつくってやっておいたほうが、かっこうがいいんじゃないか、そういう点を痛感するのです。これをみまして、そういう点はひとつ将来の問題として検討されるべきだと思うのですが……。
  17. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 御指摘の同じ株式会社でありながら、総裁になったりまた取締役になったり、いろいろの形になっているということは、まことに外から見ましても、同じ政府機関延長でありながら、体裁上から言ってもおかしなものがございますが、まあ私もまだよく調べておりませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私の想像では、多分その就任当時の在職の役柄、いろいろな関係からつり合い上、多分そういうような情性できたような傾向がございますので、こういうような点ただいまの小酒井委員の御意見を十分尊重いたしまして、私ども善処するつもりでおります。
  18. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから次に任期の点でお伺いしたいのですが、任期が四年のものがあり、三年のものがあり、二年のものがある。これはどうしてこういうふうに任期段階をつけなければならぬのか、何かこういうふうにつけておる理由があるのだったらお聞かせ願いたいと思います。
  19. 石川準吉

    政府委員石川準吉君) 詳細な点は前申しましたとおりでございますが、ある程度終了の時期を予定いたしまして、三年で事業が終わるというような予定を設立当時持った場合には、そういうものが一つ任期のきめ方になった場合もあろうと存じますし、規模事業その他ございますが、確かに御指摘のとおり、従前は統一方針のもとに、おおむね任期を何年とするというようなことを政府全体で検討した時期がなかったように存ずるのでございますが。今後この点は十分御指摘の線で検討を加えたいと存じます。
  20. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、大蔵省主計局に伺いますが、この特殊法人を見ておって、ほとんど政府出資というのがあるのですが、一つだけ年金福祉事業団ですね、これだけが借り入れ金でやっているのですが、この相違はどういうところにあるのですか。
  21. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 政府関係のいわゆる特殊法人でございますが、この中にいろいろ性格がございまして、多分に社団的なものもございますし、財団的なものもございますし、また会社的な資本色の強いものもございます。資本の元入れをいたしまして大体仕事をいたしているというのが一般趨勢でありまするから、大体最近におきましては、いま御指摘のような例外を除きましては、何がしかの資本の元入れをいたしておる次第でございます。しかしながら純然たる経済活動原則だけによって資本の任用だけで必ずしもやっているということではございませんので、その出資のやり方も資金の手当てという面が一つございまするのと、あるいはまた運用資金の利回りの関係を調整いたしまする等の関係、あるいは経費を支弁いたしまする財源をある程度補助するというような関係、いろいろな配慮から出資が行なわれている次第でございます。そういうような配慮延長といたしまして、いわゆる機能法人と申しまするか、ある働きをしておる、資本の元入れを必要としないで、おおむね損金的な経理を、一定の資金借り入れなら借り入れを行ないましてそれを回していく。あるいは委託的な費用をもらいまして、それを直ちに損金的に経理していくというようなことを主体といたしまして、特に資本の元入れを必要としないというような場合におきましては、出資がないというような形になっておる次第でございます。もちろんいま申し上げましたのは類型的に申し上げましたことであります。説明の中にも触れておきましたが、純粋な性格機関というものはございません。それぞれニュアンスの相違がありますが、極端な場合には資本の元入れを必要としないものもあるわけであります。したがいまして、公庫あたりにつきましても一資本金のきわめて少ないものもございます。   —————————————
  22. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ただいま委員異動がございましたので御報告いたします。渋谷邦彦君が委員辞任され、その補欠として鬼木勝利君が委員に選任されました。以上でございます。   —————————————
  23. 小酒井義男

    小酒井義男君 個々機関内容についてはそれぞれ各省別審査の際にお尋ねをいたしますが、もう一点大蔵省お尋ねしておきたいのですが、九十三にわたる特殊法人経理実情各省関係しておるのもあるのですが、大蔵省としては全体的にこれを掌握されておりますか。
  24. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) 経理でございますが、経理経理関係いろいろございますわけでありますが、いわゆる国会の議決を要しまする予算関係があるものにつきましては、国の予算と同じように国の財政当局といたしまして、関係所管省とのほかに定められた責任を持ってこれを審査し、あるいは協議に応じておる次第でございます。それからそれ以外のものにつきましては、経理関係主務大臣が直接の責任者でございまするが、実際問題といたしまして、ただいまも御質疑の中にございましたように出資もある、あるいは貸し付け金もある、委託費もあるというような関係で、事実上国予算との関係がございます。あるいは投融資との関係がございます。そういうようなことから、事業計画段階におきまして、あるいは資金計画という段階におきまして、所管各省からの協議に応じておるということでございます。これはもちろん関係予算の目的に照らしまして、それが実行に移されておるかどうかということと同時に、それらのもののいろいろ所管が分かれておりまするが、まあ一人の目で見まして、その間のバランスも一考えるということも配慮いたしておる次第でございます。なお、経理の手続その他の規定につきましては、特に統一的な、法的な規制はございませんわけでございます。それらをつくります場合には、やはり先例に従いましてやってまいります。そういう場合には、事実上大蔵省といたしまして、この経理規定の作成につきましてアドバイスをいたしておりまするし、事実上それに相談してまいるというのが実情でございます。
  25. 小酒井義男

    小酒井義男君 いま、私は公団等内容についていろいろお尋ねしておるのですが、これと関連をして、実は予算関係を調べてみたのです。公団の数を三十年を基点として私は数を調べましたから、三十年度の予算から数字を拾い出してみたのですが、こまかい数字は言いませんけれども、パーセンテージだけ二、三あげますと、昭和三十年当時に実は補助金あるいは補助費委託費というものが出ておったのは予算の三〇・九%、他会計繰り入れをしておったのが二一・九%で、これを合わせると予算の五二・八%というものになる。それがだんだん公団その他の数がふえてくるのと私は関係を持っておると思うのですが、このパーセントがだんだん上がってきて、昭和三十七年になりますと、補助委託費と他会計繰り入れを合計して予算の六七・九%になる。少し今年度の予算にさかのぼってみますと、この二つで予算の七二・九%を占めている。こういう傾向をたどっておるのですが、財政当局として、予算がこういうようなふうに内容変化しているということはいいことだとお考えになっておるかどうか。
  26. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) ただいまの数字は、実ははなはだうかつでありますが、手元に参照いたします資料がございませんので、数字についてはそのままの姿でお答えいたしかねますが、そういう傾向にあるということは、私ども実は承知いたしておる次第でございます。御承知のとおり、予算は、この国民経済規模と同時に、各般の財政事情を反映いたしまして、ここ数年来、まあ過去にも例を見ない、あるいは外国にも例を見ない非常に珍しい例であると同時に、その規模が発達いたしておる次第でございまするが、元来こういうふうになってまいりまするということは、一方におきまして諸般の施策が伸びるということでございまするが、基本的なと申しまするか、役所本来のファンクションを営みまする部分は、実は必ずしもそうは伸びないのであります。それで、予算規模が伸びること、これが現状の国政の要請に対して対処いたして伸びていく姿といたしましては、やはり一方で社会保障充実、それから一方で社会資本のおくれを取り戻すというような点が重点になるわけであります。もちろん科学技術その他いろいろ重要施策といたしまして、国会審議の際にもお願いいたしましたような、幾つかの柱がございまするが、いま申し上げましたような公共事業あるいは社会保障という関係は、予算の全体のワクの伸び率よりも、はるかにこれをオーバーする大きな伸び率を示しておるというのはそういう点でございます。これらの関係におきましては、どうしても、事業というものの充実ということになりまするので、社会保障関係でございますると、国が直接やっておりますると申しましても、やはり末端は、手足といたしまして、府県なり町村を使うことになります。したがいまして、多くの部分補助金になる。あるいは国民年金のように、国の経理でやっておると申しましても、実際の取り扱いは町村に対する事務委託で行なわれておるというような関係がございまするので、どうしても補助費委託費がそういう形でふえてまいります。  それから、一方で他会会繰り入れの問題でございますが、これは社会保障関係と申しまするよりも、むしろ公共事業関係におきまして、会計の数が最近におきまして相当ふえておることは事実であります。これらはいずれも財政投融資一般会計との間におきまして、その総合的な運用によりまして、あるいは地方公共団体の資金あるいは民間の資金といったようなものを総合いたしまして、早急にこの社会資本のおくれを取り戻すというところにねらいがあるわけでございます。そういうような関係におきまして特別会計ができております。しかも、それが事業量が伸びておるという関係がございまするので、ただいま御指摘のような姿になっておることであると存じます。  これに対して、いいか悪いかというお話でございますが、内容におきまして、いずれもいわゆる国民一般の方々の需要に応ずるところ仕事でございまするので、その意味におきましては、財政当局といたしましても、これはやむを得ざるところの経費である、こういうふうに申し上げるほかはないのでございますが、やり方といたしましては、いまの特別会計をそういうふうにつくることはどうであるかというような問題につきましては、当然御注意なり御批判があるべき問題であろうと存じます。この点につきましては、われわれも特別会計をつくる場合におきまする検討におきまして、そういう点の御批判が十分にあることを前提にいたしまして、そういうふうな、いわゆる予算の通覧を妨げる、あるいは膨脹の端を開くというような、従来からの議論がございまするが、またしかし、そういう弊害はあり得ることでございまするので、それらの点につきましては十分考え、一方でもって注意をいたしまして、それをためるためには、その内容といたしますところ事業を、それによって初めて強力に遂行できるその利益等を勘案いたしまして、慎重に取り扱っておるというのが実情でございます。  なお、補助金の点につきましても、地方公共団体というものがどうしても国民の方々に隣り合わせに密接する組織でございますから、ここに施策を施しまする場合には、どうしても補助金あるいは委託費の形をとることが多いのでございまするが、何と申しましても、国の直接経理とは違いまして、間接になります。したがって、それらの業務の能率性ということももちろんでございますが、お話にございましたような効率性という見地から、その間にむだがないように、あるいは行き届かない点がないようにという点は、補助金の適正化といったような観点から、そのほか一般の行政の運営のあり方としても、常に関係各省に対しましてもその注意を促しておるところでございますし、それから大蔵省といたしましても、諸般の手続その他もちろん業務の遂行に過大な迷惑をかけるようなことは避けなければなりませんが、それらの点でもって、どちらかといえば少しうるさ過ぎるではないかという御批判があるくらいに、おりに触れまして、その間が効率的に行なわれますように注意いたしておる次第でございます。したがいまして、大きな金額についての問題につきましてはそういうことでございますが、補助金と申しますのは実は数が一ぱいございまして、地方公共団体を相手にいたしますものにつきましても、相当零細なものもあり、それからいわゆる陳情の弊害であるとか、伝えられるごとき弊害をかもしておるという事実は、これを目をおおうことはできないと思います。それらの点につきましては、それによって得られるところの利益というものを勘案いたしまして、多少の苦痛は忍んでも、そういうような弊害を切除するように努めたいと考えまして、毎年私ども努力しておるつもりでございます。今後ともそういうことでやっていきたい。こういうふうに考えております。
  27. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一点。いろいろなこまかい点は言いませんけれども一般会計の歳出の予算の使途別の分類の中で、一番顕著な点として見られるのは、昭和三十年の当時は、人件費、物件費、それからいまあげました補助金委託費、他会計への繰り入れ等を除いたものが予算の中で一七・二%あることになっているのです。これは私の調査ですから、大蔵省でお調べになったらどういう数字になるかわかりませんが、こういう数字になっておる。三十九年度の例を引いてみますと、それが七・五%よりないのです。一七・二%その他のほうで使われる予算があったのが、三十九年度には七・五%になっておる。一〇%の相違がある。これは財政制度の非常な変質だと思うのです。こういう点について、大蔵省には財政制度審議会なんというのがあるのですが、そういうところでこういう問題を取り上げたことはなかったのですか。
  28. 中尾博之

    政府委員中尾博之君) いまの数字でございますが、その他のものというのが積極的にどういうものであるかということは、私もちょっと頭に浮かびませんが、その外側の関係といたしまして、いわゆる補助金委託費あるいは他会計繰り入れといったようなもののシェアが大きくなっておるということにつきましては、十分に自覚をいたしております。それにつきましては、先ほどお答え申し上げましたような事情であるというふうに心得ておりまするし、それに伴うところの問題点としては、先ほど申し上げたものを意識いたしまして、それぞれ粗漏のないようにということは考えておる次第でございます。  いまのこれらの問題が異質のものであるということでありますが、何をもって本質といたしまするか、要するに、福祉国家とかあるいはそういうような活動が、幅の広い財政になってまいりますると、どうしても国プロパーの機関であるという仕事よりも、あるいは府県あるいはその他の機関という仕事が割合に多くなってまいるということはやむを得ないことであろうと存じます。しかしながら、それにはそれとして当然問題があるわけでございまするから、それらの点につきましては、十分に間違いのないように運営をしてまいらなければならないという自覚は持っておる次第でございます。  なお、具体的にこの問題につきましては財政制度審議会にかけるかというような点でございまするが、おそらくこういう点そのものということではどうかと思いまするが、あるいは特別会計の問題として、あるいはその他の手続等の問題につきまして、当然問題にすべき点が多々あるかと存じます。しかし、実は財政制度の問題は相当問題が広範でございまして、率直に申し上げまして、私どもも、実は相当人が足りない。そういうような関係で、足りない人を集めまして、法案の審査とか、あるいは予算の査定とかということになるべく関係のない者を集めまして、それらの問題点をいま整理いたしておるという段階でございます。そのほうはまだいまこの段階でお答え申し上げるほどの問題としてどう扱ったかということを申し上げる段階にございませんわけであります。ただ、補助金のほうの面におきましては、内閣におきまして補助金の合理化の審議会をお持ちになりまして、あのほうから相当有力な、しかも示唆に富んだ、十分傾聴しなければならぬところの御意見が出ておりますので、これらの点をどういうふうに実行に移していくかという点が当面の問題になっております。これは来年度以降の予算あるいは今年度の予算の実行においても同様であります。できるだけその御趣旨に従いまして、間違いのないようにもっていきたい、こう考えております。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは、いま答弁があったように、補助金制度に対する答申を出されたように伺いましたが、そういう点について行政官理庁として、これはもう行政管理庁各省へ勧告を出されておるわけなんですが、政府部内でおそらくこれをまとめることになると思うのですけれども、この際には補助金制度の整理とやはり並行していろいろ問題が出てくると思うのです。私は、特殊法人等が数が多くどんどんできていって、そうして予算の配分の比率が、いま例を引いたようなふうに変質をしていくということは、どうもその財政の近代化とは逆の方向に進んでおるように思うのです。そういう点について、むろんこれは大蔵省行政管理庁が中心になってやられることになると思うのですが、早急にやはり作業を進めて、四十年度の予算にもうそれが実行できるような方向に向かうべきだと思うのですが、そういう御決意をお持ちになっておるでしょうか。
  30. 山村新治郎

    国務大臣山村治郎君) 補助金の問題につきましては、すでに行管といたしまして監察をいたしまして、これを勧告をいたしておる次第でございます。なお、これが特殊法人のまあ何と申しましょうか、たくさんできることとのかね合いの問題も、御指摘の点、多分に傾聴に価するものがあると私は考える次第でございます。今後ともどんな制度ができましても、それに伴う欠点も長所もございますが、その欠点につきましては、行管といたしまして十分これを指摘いたしまして、欠点があらわれないように、長川が十分発揮されるように善処いたすつもりでございます。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 行管長官、これで私はあなたに対する質問は一応終わります。  それで、法制局にお尋ねしたいのですが、先ほど行管のほうからは答弁を受けたんですが、いろいろな特殊法人役職名の不統一がありますね。こういう問題が、今後は行管で整理をしていくという答弁であったのですが、従来やはり何か基準というものがあって、総裁なんという名称を便ったり、理事長にしたり、会長をつくったりというようなことを何かおやりになったのか、その従来の経緯を承っておきたいと思います。
  32. 吉國一郎

    政府委員吉國一郎君) お答え申し上げます。今日までの御質疑とこれに対しまする政府側の答弁を私直接伺っておりませんので、あるいは不備があるかと存じますが、その点は御指摘によってまた補充してまいりたいと存じます。  政府関係特殊法人が、行管から御説明申し上げたと思いますが、その名称といい、また組織、構成等が種々の形にわたっておるということは私ども否定できないことでございます。占領下の法制ができましてから、今日まで十数年の間にその名称におきましても何種類かにわたっておりまするし、資本金の構成あるいは役員の名称、構成、員数、その任命の方式、あるいは役員の解任の方式、また役職員 に対しまする給与等の基準の決定のしかた等等につきまして、まことに御指摘のように種々な形態ができております。なぜこのように相なったかということでございますが、戦後、占領中に当時の連合国軍最高司令部の強い指示に基づきまして立法が行なわれておりましたことは御承知のとおりでございますが、一たんそのようにしてある形態の法人ができ上がりますと、その次に同じような業務を行なう法人なり、あるいは同様な目的を持った法人を設立したいという場合に、当該各省におきましては、そのような法人の類型として既存の法人の例によりまして立案をいたして内閣法制局審査を受けにくるわけでございます。そのようなことから昭和二十三、四年ごろにいろいろな形ができ上がりまして、その類型がそれぞれ模倣されまして今日に至ったようなわけでございますが、その模倣の段階におきましても、それぞれの特殊法人の実態によりまして、こまかい話で恐縮でございますが、たとえば法人を代表すべき者は役員のうちだれであるか、通常は総裁とか、理事長というような名称を持っております役員の筆頭の者が唯一の代表権を有する者ということになっておりますが、法人の性格によりましては、総裁なり理事長なりが代表権を持っているばかりでなくて、その次の地位にある副総裁であるとか、副理事長であるとか、場合によりましては専務理事というような名称を持っておる者についても、この法人については特に代表権を付与する必要がある、と申しますのは、いろいろな社会経済的な実態によりまして、総裁はいわば象徴のような地位にあって、実際の仕事は副理事長なり副総裁が行なうというようなことから、特にこの法人については、法人を代表すべき役員を二名置いてもらいたいというような実態上の要請がある場合もございましょう。そういうようなことで、次第次第に法人の規定が区々になってまいりまして、今日それを全体として通観をいたしますと、まことに不備不統一があるではないかという御指摘に相なると思います。しかしながら、いま申し上げましたように、この規定の中には、その法人の業務の遂行の態様なりあるいは目的によりまして、どうしてもそのような規定に相ならなければならないというような実態上の要請もある点もございます。端的に申し上げまするならば、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社、いわゆる三公社でございますが、これと農林漁業金融公庫というようないわゆる公庫、それと日本輸出入銀行、日本開発銀行についてはその予算決算国会の御審議を受けるようになっておりますので、その他の公団事業団等につきましては、これは政府主務大臣の認可によって済ますというようなことに相なっておりますが、これはそれぞれその法人の営む業務の重要性、その法人の予算決算等の政府の全体の予算の中に占めまする割合というようなものから、現在このような制度になっていると思うわけでございますが、現在いろいろな規定がございますけれども、その全体を行政管理庁を中心にいたしまして、十分検討いたしまして、ゆえなく不統一になっている部分がございまするならば、それは当然改める必要があると思います。従来の私ども考え方では、たとえば名称の問題もございますが、名称はまず予算においてある法人の設立をすることが決定をせられまして、その予算に何々事業団、何々協会という名称が掲げられるわけでございます。その予算の大綱が決定になりましてから、各省において法律案の作成にかかりまして、それから私どものほうに審査を受けにまいるわけでございますので、名称につきましても、よほどの強い不合理性がない場合以外はできるだけ原案の名称を私どもとしても尊重してまいらざるを得ない。特に全く同じような公庫としての性格を備えながらも、ある部分については公庫と言い、あるものについては協会と言うようなことがございまする場合には、これは調整していくというような態度でおりますが、今後はそのような調整をできるだけやってまいって、なるべくそごすることのないように努力してまいりたいと思っております。
  33. 小酒井義男

    小酒井義男君 いまの答弁に対して具体的に少しお尋ねしたいことがあるのですが、建設大臣が来られましたから、またあらためてこの内容についてお尋ねをすることにして、きょうは途中ですけれども、最後に検査院長に一点だけお尋ねしておきます。  会計検査院で検査報告にされている特殊法人というのは、先ほども言ったように数がきわめて少ないのですが、この九十三にわたる特殊法人決算というものは、なかなかそこまで毎年やることはできないものかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  34. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 御承知のように、出資法人関係がだんだんとふえてまいっておりますので、私どものほうの検査も、出資関係は数年前には二課で検査をいたしておりました。もちろん全部こまかいところまで検査するということは、これは不可能でありまして、これも御承知のように当委員会でも御要望があり、定員もふえ、また参事官も一名、課長も今回三名課長級がふえましたが、三十八年度の予算では出資関係をふやしまして、五部門にいたしましたのを、三十九年度からはこれを十部門にふやしまして、それぞれ担当の出資法人関係を少なくして、できるだけ徹底して検査ができるように、ようやくただいま発足をいたしておる段階でございまして、できるだけこまかい点も、これは私どものほうの院法によりまして、二分の一以上政府出資しているものは当然検査をすることに相なっておるわけであります。実際問題としては行き届いておりませんので、この方面に力を入れて御要望に沿うようにやっていきたい、こう考えております。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 他の質問者があるようですから、私はこれで。
  36. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 相澤重明君。
  37. 相澤重明

    ○相澤重明君 しばらくぶりで河野建設大臣の顔を見たので、ひとつ建設省の決算審議に入るのですが、大臣お忙しいようで、なかなかこの決算委員会に見えないのですが、実は当委員会としては大臣になるべく御出席を要求してもらおう、こういうつもりでおります。  きょうは、とりあえず時間の関係で二、三の点を大臣にお尋ねしておきたいのですが、ます第一に、会計検査院が指摘をしておる中に、建設省の河川敷の管理について体制が不十分である、こういうことが述べられておるわけでありますが、このいわゆる国有財産あるいはそういう河川敷の管理についてどうこれを処理しようとするのか。建設省では本年の二月ですか、建設省河川局の考え方を出して、将来に向かっての改善方束を出しておるようでありますが、どうも新河川法が通ったらこうやりたい、こういうような意向が見えるわけです。現在の国会における法律審議のは別として、私は現行法において毛建設大臣が会計検査院から指摘をされた改善事項については、当然この現時点においてどう処理しなければならぬかということがあってしかるべきだと私は思います。こういう問題について建設大臣のひとつお考えをこの際聞かしておいていただきたい。
  38. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ただいま御指摘のとおり、当然河川法の改正はさることながら、現時点におきましては、御指摘のとおり会計検査院の指摘されておりますように、われわれとしては河川の敷地その他について国有財産を管理してまいらなければならぬと考えております。ただ、しいて申し上げますれば、現行河川法におきましては、河川に関する台帳と申しますか、河川の実態を調査すべきものを持っていないわけであります。したがって、部分的にそれぞれ担当しておりますものはやっておるわけでございますけれども、たとえば河川敷の中に私有地がどのくらいある、国有地がどのくらいあるということにつきましても、実は明瞭を欠いております。これは現行河川法におきましては、その調査をすることになっておりませんので、そういう実態でございまして、全部これを一々調査し、洗ってまいりますれば、わからぬこともありません。ありませんけれども、それを常時一つ基準台帳を持ってやっておるわけではございませんので、ついつい従来そういうことになっておったと私は思います。しかし、これは適当でございませんので、今回の河川法において、こういう点を明瞭にしようといたしておりますが、お話のとおり、それがあるとないにかかわらず、できるだけひとつわれわれとしては努力をしなければならない、こういうように考えます。
  39. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの私の質問に対しての河野大臣の御答弁をいただいたわけでありますが、私は建設省自体が一体国有財産の管理について、ほんとうに熱意を持ったのかどうか、これがやはり基本的な問題だと思うのです。昭和三十二年に国有財産の調査を三カ年計画で行なって、そうして大蔵省を中心に、各省庁に対しても協力を求めたはずだと私は思うのです。しかし三カ年ではそれが結果としてできなくて、さらに一年間延長して国有財産の調査をまとめたことは、これは政府側御承知のとおりです。これは私は、昭和三十二年の当決算委員会で、国有財産の調査をしろということを主張しておった。そういうことから言って、その当時にしても、大蔵省の国有財産ということで——国有財産という問題については文部省が持っていようと建設省が持っていようと同じなわけです。当時池田さんが、いまの総理の池田さんがたしか大蔵大臣をやっておったですね、その当時だと私は思うのです。そういうことから言って、私はやはり国有財産の管理については事務当局をして、やはり政府の首脳部が徹底をさせることが欠けておったのではないか、こういう点を率直に批判しなければならぬと私は思うのです。幸い実力大臣としての河野さんですから、いまのあなたのお話のように、徹底をしてやるというお話ですが、どのくらいの計画で、これは実態心を把握して明らかにするおつもりですか。
  40. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) いま申し上げますように、河川法が通りますれば、これは改正河川法に基づきまして河川の台帳をつくります。この台帳は、たしか三年くらいだと思いますが、これは届け出式になっておりますし、一方建設省自身としては調査する、地方の自治体の協力を得てやることでございますから、できるだけ早く完全なものを河川については把握してまいりたい。御指摘になりましたようなことは、非常にごもっともに考えますので、最近まで私は実はその点については大いに欠ける点があったと私自身も考えます。と申しますのは、御承知のとおり建設の仕事が非常に膨大になってまいりまして、たとえば道路敷地その他のものにつきましても、極端に申せば、毎日毎日新たに民有地を買い上げて国有地に転換いたしておるわけであります。これらの登記その他につきましても、多少おくれがちになっておるというもののあることを私は最近聞きまして、はなはだよろしくない、同時に処理していくべきものだ、用地の買収に非賞に追われておるものですから、そういう方面に専念いたしまして、そのほうの前進は、たとえば土地収用法その他のものを改正して、どんどん進むことには非常に努力いたしておりますが、あと始末に欠ける点があることは、ただいま御指摘のとおり、私も実は考えます。したがって、この点につきましては深く反省をいたしまして、至急に善処いたしますことをお約束いたします。
  41. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、河川敷等の国有財産としての問題点がはっきりしたならば、その河川敷と国有財産についての利用問題、こういう点は私はやはり国民全体から見ると非常な問題だと思うのです。そこでその一つとして、建設大臣が今月ですか、多摩川河辺の住宅建設という問題を一つの方向として述べられたと思うのですが、今後はそういう大都市周辺なり、あるいは地域開発ということで、国有財産の管理の体制の中で利用化というものをお考えになっていくのかどうか。これは住宅政策の一面もあるので、ひとつ大臣からどういうふうにこれからやろうとするのか。ただそこだけひとつぽかっと浮き上がらしたというだけでは、私はやはり問題点の解決にはならぬとこう思うので、ひとつ多摩川の問題を含んでお答えをいただきたい。
  42. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 従来河川の管理は地方長官におまかせしてありましたために、時には意に満たない管理も実はございます。御承知の相模川の砂利問題のごときはその大きな例でございます。いま多摩川の話が出まして、これについても簡単に申し上げますと、今年度じゅうに、年度内に、二子玉川と丸子玉川の間の堤防に二千戸の住宅を住宅公団をして建設いたさせます。明年は対岸をやる。そして一部は川の中に川の流域のいまゴルフ場その他になっておりますところに大体百メートル前後の東京の外環状線をつくります。そうして堤防の中にはさらに地方道としておおむね十何メートルの道路を——まん中に住宅、その川の中のほうには外環状線として高速道路、内側には普通の道路ということにして完全に管理していくことにいたしたい。同時に川の中のいまいろいろなものに利用されておりますが、決してこれも悪いことはございませんけれども、私はこれらにつきましても、全国の河川に対して、先般文部大臣から、学校の運動場が非常に大都市周辺において減っておる。あの河川敷の利用できるものを学校の運動場にまず優先して使うように協力してもらえぬだろうかというお申し出がございました。たいへんけっこうなことと考えまして、私はまず公共使用を優先せしめ、順次使用の方向を民間の利用に持っていくということに切りかえていきたいというふうに考えておりまして、なるべくこれらの河川敷については有効に利用していくということにいたしてまいりたいと考えております。
  43. 相澤重明

    ○相澤重明君 その際やはり問題となるのは、個人の所有地の問題が私はあろうと思います。これは必ずしも国の財産ばかりでなくて、河川の周辺には個人所有地というものがたくさんある。これが問題になっておる。私の神奈川県でも相模川の砂利採取についても、いわゆる河川法による問題と、個有の所有地というものからいっていつも紛争があるわけです。こういう問題の処理はどういうふうにお考えになっていますか。
  44. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 先ほど申し上げましたとおりに、河川の実態の調査がございませんので、現実に民有地もあることはもう明瞭でございます。これはもうはっきり確認されております。がしかし、それがどの川にどの程度にあるかという実態心はわかっておりません、つまびらかにいたしておりません。そこで方針としては、これらの河川敷内における民有地は順次買収して、国有地に変えていくべきものだという方向で順次整理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  45. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、これはひとつ河野さんが、いま直接の問題ではないけれども、やはり国務大臣としてお考えをいただきたいと思う。それは、ちょうど農林政務次官も出席しておりますが、近ごろゴルフ場の建設というものが非常に多い。特に農地、山林をつぶすということが目に余るほどです。中にはせっかく道路をつくっておっても、そのゴルフ場建設のトラック、ダンプカーのために道路が破壊をされる。せっかくの補助金をもってつくったり、あるいは地方が一生懸命道路をつくっておっても、それが使用できない。これはまあ率直にいって神奈川県の各所に見られる。いま河野建設大臣が文部大臣からのお話で、近ごろ子供の遊び場が少ない、緑地帯が少ない、こういうことでいま多摩川辺のところの河川敷等を利用するという片りんもうかがえたのでありますが、私はいまのようなゴルフ場を無制限にするということは、決して国全体から見て得策ではないと思う。したがって、できるならば一県一つぐらいにしてしまって、あとは全部取り上げてしまったらどうか。そしてそれを連動場に使ったらどうか。公園にしたらどうか。公園ということになれば建設省になるか厚生省になるかしらぬが、また運動場にするということになれば建設省になるか文部省になるかしらぬが、いずれにしてもゴルフ場の建設、もうければいいということで周囲の住民やあるいは多くの者に迷惑をかけるということは私は許されないと思う。ゴルフというものが私は必ずしも不健全だとは考えていません。いませんけれども、いまのような法の盲点をつくような形におけるいわゆるゴルフ場建設のブームというものは規制をしなければいけないのじゃないかと思う。こういう点について農林政務次官もおりますが、農地の転用の問題については一体どう考えるか。それからひとつ河野さんには国務大臣として、またあなたは農林関係にも深い理解者であるし、事実長く行政を担当したのでありますから、ゴルフ場の問題についてどうお考えになっておるか、これを承っておきたいと思います。
  46. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私はゴルフができませんので、ゴルフにあまり興味を持っておりませんから、ついこの問題に意見を述べますと、お前できぬからそんなことを言うのだろうと言われますので、意見が公正に受け取られませんので発言を慎んでおりますが、私も無制限にゴルフ場ができていくについてはどうかという気持ちがございます。金さえあってやることならば何をしてもよろしいということじゃなかろうと思います。したがって、この道に興味を持たれる諸君もお互いに譲り合って、そしてこの狭い国土でございます。いまお話のとおりわれわれ宅地の造成その他に全力をあげて道路網をやっておりますが、せっかく道路を引っ張ったらその宅地の適地がゴルフ場に、しかも非常に広範な地域でございますから利用されてしまう。しかも、その利用の価格等につきましては、宅地として高過ぎるところでもゴルフ場として利用されるというようなことになりますのは、はなはだ遺憾に考えておりますが、どうもこれをいまお話のように、私も建設大臣をいたしておりまして、気軽に発言をすることはどうかと思いますので、まあよく検討はいたすということで、また私も議員にでもなりましたならば、皆さんと一緒に議員立法ででも、ひとつこういうことは規制をすることが適当じゃないかと考えますから、ひとつ御了承を願いたいと思います。
  47. 丹羽兵助

    政府委員丹羽兵助君) 国務大臣としての建設大臣からお話がございましたが、これは私ども農林省といたしましても、先生の御指摘のように農地をゴルフ場に転用するということはあまり好ましいことでもなければ望んでおることでもないのであります。できるだけそうした転用を拒んでおります。しかし、やむを得ないというような小さな区域につきましては許可をしておるところもございますが、できるだけ農地以外のところでゴルフ場等はおつくりを願いたい、こういう方針でやっておるのであります。建設大臣が申されましたと同様に、農林省といたしましてもできるだけ農地は保護をしていく考えで進んでおります。
  48. 相澤重明

    ○相澤重明君 時間の関係で、農林省の問題はあとでやります。  建設大臣に次に伺っておきたいのは、あなたが人情大臣として話をされてもいいということで、ちょっと新聞に報道されたのですが、九州の例の蜂ノ巣城はどういうことです。あなたは話をされる気があるのですか。残されている人間は幾人でもないので、ダム建設については国の方針としてあなたがお進めになっておるけれども、しかし話をして、やはり理解をさせるということは必要なことじゃないですか。そういう意味で九州の関係者の方も、むしろ河野建設大臣がじかに話をするならばと言う。あなたも何かもしそういう御要望があればということを言われたと私は聞いておるのだけれども、事実はどうなんですか。それでただ強権を発動して、まあ二人や三人だから弱い者だからということだけでは私は済まされないと思うのですが、これは時間の関係で簡単にしか質問できませんけれどもいかがですか、大臣。
  49. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) だいぶ誤解があるようでございますが、実はこの問題は御承知のように、六年も前から始まっておる問題でございまして、私は二年前に建設大臣に就任いたしましたときに、すぐにお話し合いができるならばという申し入れをいたしました。その当時から、できることならばお目にかかってお話し合いをして御要望も承り、こちらとしても考えられる点があるならば考えるということで申し入れをいたしました。たびたび人を介して先方の御意見も伺うべく努力もいたしました。あるときには私から具体案を提案いたしまして、たとえて申しますれば、非常に山林に愛着を持っていらっしゃる、そういうことでございますから、それならば国有林とあなたの持っている山と交換したらどうでしょうか、そうして他に適当な山をひとつお世話申し上げたらどうでありましょうかという話もいたしました。いたしましたが、何を申しましても——この二年間私が建設大臣になりましてから、九州に出向いてもよろしい、何をしてもよろしいと言って申し入れをいたしましたが、ついに一ぺんもこれに対して何らの応対がございません。そこでついこの一カ月ほど前に最後の決定が下ったわけでございます。そこで私は最後の決定が下りましてから、すぐに決定があったのだからやれという御意見もございましたけれども、そういうものではないというので、私としても最後の尽くすべき手を尽くさなければいかぬという考えで、皆さまのほうの同志の方にもお願いをしました。行かれても、これらの人が行っても実際相手にされない、会ってくれない、だから口のききようがないという御返事も私は承っております。また私はそこで、御承知のように一カ月ほど前から大分に参る予定を立てておりました。したがって、私自身が別府まで出向きまして、そうして別府もしくは大分で何とか最後の手は打てぬだろうかというので、これについても努力いたしました。ところが、私は大分においてまあ知事さん——申し上げればこれはおわかりだと思います。また私どもの自民党の幹事長や各党を代表する地元の有志の御意見も率直に承りました。そうしてこれらの諸君は、いずれももう尽くすべき手は尽くしたから、建設大臣として即時実行したまえ、それが一番地元におる者としては好ましいことだというお話を承りまして、それで私は部下に対してやってよろしい、もりやれという指令を出しました、尽くすべき手はないという決意をいたして私は東京へ帰ってまいりました。それから帰りましたらば、太田さん、成田さんから面談の申し出がございましたから、お目にかかって、るるこの間の事情を御説明申しましたしそうして私は建設大臣としてはこういうわけでございますから、きょう決裁をして、そうしてこれを最後の断を下します。ただし、せっかくのお申し出でございますから、五日間それでは最後に猶予を申しましょう、その間に具体的にこうすればああすればという案がありましたら承りましょう、室原さんが東京においでになるというならばお目にもかかりましょう、五日間待ちましょうということで、いま五日間待っているというのが現在私のとっております行政措置でございまして、私は建設大臣として、これよりほかにとるべき道はない、尽くすべき手は一切尽くしたという私の考えのもとにやっておることでございまして、いまお話しのように、ただ法律で最後の刀を抜けばいいじゃないか、切ればいいじゃないかというような軽率な簡単な考えは私は持っておりませんので、一切尽くすべき手は尽くした。しかもこの間には決して、私は政党政派をこえて、わが自民党の諸君に、地元の諸君に頼んだとかいうようなことでなしに、社会党の方にもお願いしました。民社の方にもお願いしました。そうしてこれら地元のあらゆる人にお願いを申しまして、尽くすべき手は尽くしたということを御了承いただきたい、こう思うのでございまして、私としてはこれでやることはない、こう考えております。
  50. 相澤重明

    ○相澤重明君 まあ多くの農民の人やあるいは労働組合の人も、いろいろな立場、それぞれの意見もあろうと思うのですが、私はやはり行政執行者の立場というものは一番強く響くわけですから、そういう面で、あなたにやはり最後の段階まで十分相手側に納得させるという行政執行者の立場というものをとってほしい、こういうことを申し上げたわけであります。あなたのいまのお話を聞いて私もたいへんうれしく思うわけですが、せひこれは命令を出したからこれでもう何でもいいということでなくて、いまのお話しのように、特に報道関係の人なんかは非常にそういうもの、いろいろな模様をつかんでおると私は思うのです。私の聞いたことでは、建設大臣がじかにお話をされればというような面もちょっと聞いたのでお話をしたのですが、ひとつ最後まであなたの努力をしていただきたい。  それから、これで終わりたいと思うのですが、ひとつ国道十六号線の問題について、これは横須賀の海軍ベースのところです。あの拡幅等の問題についてロータリーがあるのに、建設省はたしかこのロータリーを取ることをお考えになったと思う。ところが、そのロータリーの中に消防せん、水槽がある、こういうことで、建設省はせっかくの地元の横須賀市やあるいは交通や道路関係者が非常に多くが期待しておるものについて、消防関係のものについては、これは地元で負担をしろと、こういうことのように突っ張っておるというようなお話です。これは私はせっかくの大臣の所管ではあるけれども、少し違いはしないか。これは一つの例で、私は大臣にやはり聞いておいてもらいたいと思うのですが、国道十五号線の拡幅についてもそういう政府間の意見というものがやはり一致してない。たとえば国道十五号線の拡幅については駐留軍に貸与しておる雑図書倉庫というものがある。この雑図書倉庫を市の区画整理の問題でやろうとしたら、防衛施設庁は、これは当然建設省なりあるいは横浜市が負担をすべきだ、こういう意見で、なかなか国道拡幅について進まないのです。私は政府機関がやることは、特に日本とアメリカとの条約の問題ならば、これは日本政府にまかしていいのじゃないか、こういうことを当委員会でも何回か言って、ようやく進むようにはなってきたのだけれども、まあこれは話は若干違うけれども、横須賀ベースの近くにあるロータリー、それを取ってしまえば非常に交通のためにはいいわけだ。建設省もその方針予算を組んだのでしょう。それを何で百五十万や二百万の移転の問題で、建設省はそれを地元がどうしても出さなければ拡幅することはできない、ロータリーを取ることはできないということを言うのですか。そういう点は少し河野さん、あなたのせっかく国道を有効に利用しようという考え方で予算をつくっても、それができぬじゃ、これは何にもならぬでしょう。これは大臣としてひとつ御見解を承っておきたい。
  51. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 事務当局から話を聞きますと、お話のようにまだもめておるとかなんとかいうことはございませんので、いま打ち合わせ協議中であって、そして協議がととのい次第、すぐ実行するということになっておるそうでございます。ただかかる金をみんな建設省で出してどんどんやればいいというのは、それは少しむちゃじゃないかと思うのでありまして、やはりかかる金でも、予算のあることでございますから、建設省の所管においてやるべきことは建設省が出す、それからそのほかのほうに関係のものはほかのほうで出していただくということにいたしませんと、また決算委員会でお小言をちょうだいしたりして、またいろいろとあやまらなければならないことが起こりますので、そこらのところは御期待に沿うように早くやりますということだけははっきり言っておきます。
  52. 相澤重明

    ○相澤重明君 これで終わりますが、決算報告に出ている農林省と建設省の災害問題に対する処置が両省からそれぞれ査定額が出ているように指摘をされております。これは連絡不十分ですね、いわゆる現地のそういう各省の縄張り根性というか、予算さえ組んでおいとけばよいというようなことがこういう指摘をされていることになるわけです。これはひとつ今後改めてもらいたい。こう思うのですが、大臣いかがですか。これで終わります。
  53. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘のように努力はいたしますが、何ぶん災害のことで急げ急げということでございますから、それを農林省だ建設省だと両方で手を引いておれば落ちてしまいますし、出過ぎれば両方から出るということになりまして、実際ああいうふうなことでございますから、親切の度合いが過ぎるとお小言をいただくことになる。決してこんなことで縄張り争いだとかいうような気持ちは毛頭私は持っておりません。自今御指摘の点について十分注意いたしますが、これから行政機構の改革によりまして地方に委譲いたします、出先でやらすことにいたしますから、それらの点については十分注意をして間違いないようにいたしたいと思います。
  54. 丹羽兵助

    政府委員丹羽兵助君) 現在御指摘を受けていることはたいへん遺憾であり、申しわけございませんが、今後は十分連絡をとりまして、二重査定になることのないように注意いたしたいと思います。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 大臣、お忙しいところたいへん恐縮ですが、たびたび御出席を願うのは無理だろうと思いますから、この機会に一つだけお尋ねをしておきたいのですが、実はいまのように公共事業がいろいろの面で進められていきますと、公用地の取得などというようなことに対するああいう法案を出さざるを得ぬという情勢はわかるのです。ごね得やなんかがあるのはけしからぬと思うのですが、その逆に非常に気の毒な問題も出てくる。実は自分も一ぺん体験したことがあるのですが、そういう事業のために、いままで住んでおったところの自分の用地にはかからないぎりぎりのところに、たとえば壁などができて全然風が入らない、日が当たらないというような状態ができて犠牲といいますか、そういうものが出てくるのですね。そういうものに対する補償を何とか見てやらなければ、これではほんとうに個人の健康な生活ができるわけがないわけです。そういうところを何とかほかで——特別な余分な金を出す必要はないと思うのですが、同じような条件で移転して生活の営めるような補償ぐらいはしてやらないと実際は気の毒だ、そういう逆の場合があったわけです。そういう問題を取り上げると、公共事業をやる関係の地方の自治体等がそういうものを補償してもらっては困る、ほかにもそういう例が出るから困るというようなことを言っているというようなことも仄聞をしたのです。また会計検査院の立場から、そういう問題に対するところの補償というものはなかなかいろいろ議論があるようなんです。そういうのを何とかしてやらなければならぬと思うのですが、建設大臣のひとつ所見をお伺いしておきたい。
  56. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘になりました点は私もしばしば経験することでございます。したがって、そういうところは土盛りをしないで橋の形式で通れというような要求も現にあるところもございます。橋の形式にいたしますと非常に予算がかかります。実はそういう関係で非常に困難をきわめるのでございますが、いまお話のとおり、さればと言ってそれは敷地に入っていないから、やればどんどんかってにいってしまうということになります。私はこれを要するに、道路ができて全体的に非常によくなることは間違いないのでございます。一部そういう犠牲者ができるのでございます。しいて申せば、用地ぐるみ取られてしまって、開発された利益のなんにも恩典に浴さない人もあるわけであります。でございますから、地方の自治体の責任者にぜひここに道路をつくってくれ、こうしてくれと言ってお話のありますときに、相なるべくならば、ひとつ地元で協力会の形式のものをおつくりいただくわけにいかぬだろうか。昔のように受益者負担というようなことがありますれば、受益者負担の関係でそれぞれ調整もできますけれども、いまはそういうことでやっておりませんから、むしろ民間で自主的に協力会をおつくりいただいて、政府予算でやっていく、そういうお気の毒な地主さんができたら、そういう人には協力会で、ほかの人がよくなるのだから、よくなる人が出し合ってひとつめんどうを見てあげる。いまお話のようなお気の毒な立場の人も、そういう意味において補償するというようなことをやってくれぬか、そういうようにしてもらうと、非常に政府のほうとしても仕事がしやすいが、そういうふうになって、官民もしくは地方も一体になって仕事をやるならば、私のほうも優先して積極的に御協力申し上げますと言っているのです。そういう形式をとっていただいておるところが、全国に最近ぼちぼちできてきておるわけでございます。いまはすでに区画整理法のような形式によりまして、全体からの歩減りによって敷地を求めるというようなことは、漸次行なわれなくなってきております、困難になってきております。ほとんどが地元負担、政府負担ということで、そのものずばりで工事をやることになっていますから、したがって、いま申し上げるように非常に不公平なかっこうになっておるのが現状でございます。何らかの形式におきまして、これをひとつ是正しなけりゃいかぬということをいま考えて、法律の関係でいくか、どういう行政の関係でいくかということを検討中でございます。御指摘の点、私も今後十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  57. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 速記をつけて。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 通産大臣にお尋ねするわけでありますが、第一は、会計検査院の指摘事項で、保険金がよけいに渡されておるというのが出されておるわけですが、こういう通産省として監査をすれば当然出てくることが、どうして会計検査院に指摘されるようなことが起こるのか、こういう点については、通産大臣としてはどういうふうに今後こういう事故が起きないようにするのか、その対策をひとつお示しをいただきたい。
  60. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいまの御質問でございますが、実はいまその内容を、はなはだ申しわけないのですが、つまびらかにいたしておりません。担当の者を呼びまして事情を聞いた上でお答えをさしていただきたいと思います。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣が全部というわけにいかぬだろうけれども、しかし、少なくとも会計検査院から指摘をされておるいわゆる機械類、あるいはまた中小企業庁等の関係指摘事項については、これは十分厳重な監督をして、こういうことのないような、しかも決算委員会には、こういう事故が起きたからには、こういう対策をもって今後は起きないように是正をしますという答弁がなければ私はいかぬと思うのですよ。そういう点は、通産大臣にひとつ今後そういう答弁のできるように、いまのような答弁では私、これは決算委員会としては了承しませんからね。いま一度御答弁願いたいと思うのです。
  62. 福田一

    国務大臣(福田一君) まことにおしかりを受けて、そのとおりで恐縮いたしておるのであります。今後は十分注意をいたしたいと存じます。
  63. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、特に私は通産省の問題としては、中小企業関係が非常に大きな問題だと思うのです。政府としても努力されておると思うのですが、今年はいわゆる中小企業の倒産という問題がいつも新聞報道でにぎわっておるわけです。これは私は大蔵省の総括質疑の際に、山中大蔵大臣や宮澤経企長官を呼んで当委員会で言ったのですが、実は少し池田内閣の経済政策というものが場当たり的でないか、あまりにも高度経済成長政策を謳歌して、設備投資が多過ぎて、その結果というものが、こういうような問題に発展してきたのじゃないか、こういうようなことを話をして、いろいろ議論をしたわけです。しかし、それはそれとして、特に通産省の監督下にある中小企業というのは、なかなかたいへんなことだと私は思う。そういうことで、たとえば三月期における一千万円以上の資本金で倒産の数というものはどのくらいあるのか、どのくらいの総額になっておるのか、こういうようなことは当然政府としても、三月、四月のこういう時期の点についての統計というものは持たれておると思いますので、それに対する今度はそういう倒産を少なくしていき、また中小企業を育成するための中小企業対策はごうするのか、実は中小企業対策というものも、三十九年度の方針というものはちょっと見せてもらいましたけれども、ひとつ大臣から、この際一体どうするかということを御説明をいただきたい。
  64. 福田一

    国務大臣(福田一君) お説のとおり、中小企業問題については、通産省はいま非常な力を入れまして、中小企業基本法というものもつくっておるわけでありますが、御質問の内容にありますところのいわゆる倒産が起きたのは、あまりにも中小企業が設備の増設あるいは近代化というようなところに急ぎ過ぎた結果が、今日こういう結果を招いておるのではないかということでございます。これにつきましては、これは総理その他からいろいろお答えをいたしておるとおりにわれわれも考えておるわけでありまして、開放経済下におきまして、日本の経済は、日本の産業界は、それぞれ先進諸外国の同種の産業と競争をしなければならない立場に置かれておるのでありますから、どうしても産業に力をつけるということが一番必要になります。そういう場合においては、まず基本産業である、基礎産業であるエネルギーとかあるいは大企業というようなものに先に重点が移りまして、中小企業がある程度のことはやっておったけれども、それが十分行なわれておらない、そういう度合いが非常に少ないという点は、これは認めないわけにいかないと思うのであります。しかしこれをやらないでいて、自滅を待つというわけにはいきませんから、どうしてもやる。そのやった場合に、自分の力を顧みないで、あまりにも多くのいわゆる社債とかあるいは借金を持ってやっておりますというと、何らかの機会にこれがうみを出すというようなことも、ままあるところでございますが、実を言いますと、そういう意味合いで、今後は中小企業に対しましては近代化を進めまして、その生産性を高めて、そうしてそれがりっぱに立ち行くような産業にしていく、いわゆる成長させていくというのがわれわれの考え方であります。もちろん、その中小企業がそういうふうなことをいたしますには、日本の今の経済において、また世界の経済において、その業種がそれだけの必要性を持っておるかどうかということをまず第一に考えていかなければならないことであります。この点は十分考慮をいたしますが、しかしそういうものについては、これは今後も生産性を高める上で近代化を進めていくようにいたしたい。  それから今後の問題、これからそれほど重要性がない、しかし、まあいまある程度は必要だという場合においては、設備の改善はしないながらも、経営の合理化というようなものを通じてまずこれを助けていく、中にはだんだんその必要性がなくなってくる中小企業もあるわけでございます。こういうものにつきましては、何としても、やはり社会保障的なものの考え方を加味した中小企業対策というものを今後われわれとしては考えていかなければならないという意味合いで、これに対処いたしておるのでありますが、御承知のように中小企業というものは、たいへんいろいろな業種のものがございまして、そうしてこれは通産省が怠けておったからだといっておしかりを受ければ、もうおわびをいたすよりいたし方がないのでありますが、実態の把握というものが非常におくれておるわけであります。昨年中小企業基本法をつくりまして以来、中小企業庁はその前からもやっておりましたが、いま一生懸命にその実態の把握をやっておる。病根をまず確かめて、その病気に応じて薬を投入する、こういうやり方でなければならないという考え方で、いま調査をせっかくいたしておるということを申し上げたいと思うのであります。  そこで、いまの倒産の問題でございますが、倒産につきましては、御指摘がございましたこの数字でありますが、これはわれわれもとっておるのでございまして、実はこの問題は昨年の十月ごろからちょっと心配をいたしておりましたが、倒産の件数は十月に百五十九件で、負債の金額が百十六億円、十一月が二百九件で二百十七億円、十二月が百九十四件で二百三十九億円、こういうふうにふえてまいりまして、これは相当昨年に比べてふえておりますが、これは御案内のように暖冬異変というので、むしろ繊維の関係で冬物が必ず売れるだろうと思ったら売れなかったということからこういう事態が出てまいりました。その後一月に百九十八件、二月には二百三十八件、三百五十一億、三月に二百七十五件、三百五十五億、四月には最高をレコードいたしまして、三百三十二件の三百六十三億円という金額が数字の上であらわれておるのであります。これに対しまして私どもはどういう措置をとったかといいますと、御案内のように、昨年の暮れ以来六百五十億円の中小企業向けの買いオペをやったり、あるいはまた政府関係国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工中金というような三機関の貸し出しワクの増大をはかるというようなことをいろいろやってまいりました。四月には二百億円の買いオペをやり、六月にはまた二百億円の買いオペをやるというようなことをやっておるのでありますが、五月になりますと、これがちょっと数字が減ってまいりまして、四月が三百三十二であったのが五月は二百八十二件、そしてこの三百六十三億の倒産額が二百五十二億というふうにちょっと減っております。しかし私たちはこれで安心はできないと思っておるのでありまして、今後もこれは十分ひとつ考えにゃいかぬ。こういうふうになった原因を考えてみますというと、一つはこの税金の延べ払いを若干認めておるのであります。これがかなりの額になっております。そのしわ寄せが七月、八月、九月に来るのではないかということを非常に心配をいたしております。そこで七、八、九に対しましては、政府の三機関の融資ワクも積極的に増大するという、いま大蔵省と打ち合わせをいたしております。場合によってはまた買いオペもこれを行なわなければならない、こういう考え方でせっかく努力をいたしておる段階でございます。
  65. 相澤重明

    ○相澤重明君 通産大臣の率直な批判とそれから対策が述べられましたが、これはやはり中小企業についてはその事業の診断ということも大事なことだと思う。それとやはり中小企業を育成するには、いまのお話のような資金手当、一面においては徴税の猶予、こういう点が伴わなければなかなか近代化するのは私はむずかしい問題だと思う。そこでいまのお話にさらに私は一歩を進めていただいて、過日大蔵大臣が金融界に対して両建てをやめろと、歩積み、両建て制度というものは、これはもう中小企業は困るじゃないかと、こういうことを指示をされておるわけです。特にこれは私は大企業、独占企業といわれるそういうよりなところはあまり金融でもそう心配ないと思う。それは国自体が取り組んでおるようなものですから。ところが中小企業というものは、あなたのいまのお話しになった国民金融公庫や中小企業金融公庫や商工中金という零細な金を借りるところが多い。民間の銀行にしても、なかなか政府の保証がなければ貸さないところが多いと思う。そこでこの銀行に対しては、どうしても歩積み、両建てというような問題が起きてくると思う。これはひとつ通産大臣がそういう業界の人たちの意見、中小企業関係意見を十分聞いて、率直にひとつ大蔵大臣と協力をして、そういう銀行についてはひとつ政府としての方針として、いわゆる規制をするというくらいなことをしなければ、私はただ大蔵省の銀行局長の通達を出したからそれで能事終われりというようなことでは、ほんとうの歩積み、両建て問題というものは解消しないと思う。特に中小企業には一番そのしわ寄せをされるわけです。こういう点についてあなたのいまの御指摘の方向とともにそういう点について御努力いただけるかどうか、この際ひとつ承っておきたいと思います。
  66. 福田一

    国務大臣(福田一君) たいへん大事な問題を御指摘をいただきまして、実は私もよく中小企業関係の団体の会合などに出ますと、常に出てくるのはいまの歩積み、両建ての問題であります。したがって従来もしばしば閣議においてこの廃止の主張をいたしてまいりました。もっとも歩積み、両建てというものは、これは全廃するわけにはいかないのでありまして、これは諸外国におきましても約一〇%くらいは信用調査をするという意味においてみな残しております。アメリカでもイギリスでもみなそうであります。しかし、いまのように三〇%、五〇%、場合によっては八〇%というような歩積み、両建てをしているという実態は、何としてもわれわれとして許せないと考えているところでありまして、これは大蔵省と協力して、御趣旨のように強力に行政指導を行ない、もしそれができないならば立法措置に訴えてでもこれは解消させるという決意で臨んでまいりたいと思っているところであります。
  67. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、中小企業関係について通産大臣のなみなみならぬ御決意のほどを承ったのですが、そこで厚生大臣も一緒に出席しておりますから一つ伺いたいのでありますが、九州地方、福岡県地方においてクリーニングの問題について大メーカーと中小企業とのいさかいの問題がある。これはいまの自由主義、資本主義社会においての競争ということからいけば、それはもう何でも金のあるもの、物のあるもの、権力のあるものがやれば、それはもう自由勝手ということは言えると思うのです。しかし中小企業を育成する、そうして公正な競争をさせるということからいけば、私はやはりむしろ零細業といわれるような人たちを政府が力を入れてやるのが当然ではないか、こう思うのです。厚生省もそういう点についてはだいぶ小林厚生大臣も努力をされたように私は思うのだけれども、通産省は一体どういうふうにこういう問題について力を入れているのか。これは厚生大臣には、クリーニングの零細業、中小企業の協同化とかあるいは合同経営とかいろいろあるでしょう。そしてまた値段の問題もあるでしょう。そういうような近代化に伴ういわゆる当面の措置というものを、そういう中小企業、零細企業に手厚い保護というものを加えるべきだと私は思う。そういう点について厚生省としては通達をして、そして中小企業、零細業を育成をする考えを明確にしてほしいと私は思うのだが、同時に通産省はそういう設備をする場合に、設備資金というものはどの程度まで出せるのか。これがたとえば協同化組織、あるいはそういう合同経営というようになった場合に、その中小企業に対する資金融資が五万や十万の金ではこれは話にならぬわけです。ですから、その地方のクリーニング組合の人たちがそういうふうな近代的な経営に移ろうという場合には、中小企業に対する融資条件というものを私は変えてやる必要があるだろう、こう思うのです。せっかく通産大臣がこういうりっぱな方針というものを出してくれたのでありますが、それを地でいくことが私は大事なことだ、こう思うので、小林厚生大臣と福田通産大臣から福岡県等におけるクリーニングの零細企業に対する経営についての育成についてどうするか、こういう点について両者からひとつお答えをいただきたい。
  68. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 先に、通産大臣の答弁に対して関連質問の通告がありますので、発言を許したいと思います。それによって御答弁いただきます。佐藤芳男君。
  69. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 先ほど相澤委員の質問に対しまして通産大臣の福田さんは、外国の例を見ても歩積み、両建ては一〇%くらいは信用調査の必要上認めておるからというようなお話がございました。通産大臣の御指導の結果だと思いますが、まるまる財政投融資に依存をいたしておりまする中小企業金融公庫、それから国民金融公庫等はきわめて厳重な調査のもとに貸し出しをされておられるのであります。また中金も同様であるのであります。それで私が伺いたいことは、今日のように中小企業が不況のどん底にあえいでおりまする際には、外国の例というようなことはたなに上げられて、しかも、りっぱに信用調査もできた上でなければお貸しになっていないのでございまするから、政府方針として大蔵大臣が、歩積み、両建てについては抜き打ち検査もいたすであろうということを新聞発表もされておるのでありまするから、歩積み、両建ての問題については、一割程度はけっこうなんだというような印象を与えることは、まことにこの際禁物でなければならぬと考えるのであります。ことに、私が心配をいたしておりまするのは中金でございます。ここはまるまる財政投融資でなしに、その一部はごやっかいに相なっていないのであります。したがいまして、そういうところはえてして、の健全化ということであるかもしれませんが、歩積み、両建てにやはり大きな関心をお持ちになるわけであります。大臣の御指導によって一割程度以上に中金等において歩積み、両建てを現に実行しているところは全然ないとかようにお考えでございますか。まずこの点を伺いたいのであります。
  70. 福田一

    国務大臣(福田一君) 私の発言が誤解を生むおそれがあるということでの御質問かと思うのでありますが、実は政府の三機関につきましては、われわれは歩積み、両建ては認めておりません、これはさせてはいけない、またしてはいけないのであります。ところが、商工中金の場合におきましては、中金債というのがございまして、まあ百万円貸したら二十万円買ってくれとか、いままでの例で三十万円買ってくれとかいうようなことをやった例があるやに聞いております。そこで今度私たちといたしましては、そういうことは絶対しないように、貸したら買えとこういう形ではいけないということを実は強力に行政指導をいたしておるのでございまして、政府関係機関については、われわれは歩積み、両建てというものは全然考えておりません。ただこの金融の問題で考えてみますと、政府の三機関が中小企業といいますか、融資をいたしております額は全体の大体九%でございます。あとが市中、普通の一般銀行、あるいは信用組合、あるいは相互銀行と、こういうようなところが九一%、これが一番例の歩積み、両建てをいたしておる。こういうところの場合に私が一割ということを申し上げましたのは、手形の割引等をいたします場合に、全然金を置いておかないとこれがなかなかできないということがございますので、そこで欧米あたりでもその程度はあるということを申し上げたのであります。しかし私は、それだからといって、それはいい、そのまま肯定していいという意味で申し上げたのじゃないのでありますから、この点は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  71. 佐藤芳男

    ○佐藤芳男君 御真意はきわめて明瞭であります。これを了承いたします。ただ私が望むところは二つあるのであります。一つは、大臣がただいま政府機関の金融機関においては歩積み、両建ては絶対認めない、かようにおっしゃったのでございますが、現実には歩積み、両建てをいたしておるところがないとは限らぬから、特に私は政府機関の金融機関に対して御質問をいたしたのでございます。どうか特に中金につきましては、御承知のように財政投融資だけによっていないのでございますから、えてして、そういうことはありがちだと思うのでありますが、そのほうに対しましては、ひとつもっと強力な御指導を賜わりたいことが第一点。  第二点といたしましては、一般市中銀行に対しましても、これは相澤委員のおっしゃるとおり、大蔵省におまかせでなしに、通産省におかれましても適当なるひとつ指導と申しますか、要請と申しますか、これをひとつ行なってもらいたいということが第二点であります。この二点につきまして、格段の御配慮をお願いをいたしたいのでございます。
  72. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいまの御趣旨はごもっとものことでございまして、いままで政府機関で歩積み、両建て式のものはなかったかというと、私も実は承知をしておるものがあるのでございます。したがいまして、そういう御質問なり御要望が出るのは当然のことと考えます。今後とも厳重に処置をいたしたいと思います。なお、この歩積み、両建ての問題につきましては、大蔵省と通産省は非常に緊密な連絡をとりながら、公正取引委員会とも協力をいたしつつ、これの解消に向かって全力をあげておりますが、今後も御趣旨に沿って善処をいたしてまいりたいと思います。
  73. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 続いて相澤委員への答弁を。
  74. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいまの九州地方のクリーニングの問題でございますが、私に対する御質問は、そういう場合に共同作業場を作るような場合の金融問題かと存ずるのでありますが、設備近代化等々のことでやります場合、あるいはまた組合を結成をいたしましてやる場合等がございます。もちろんこれにはワクがございますが、大体設備近代化等は六百万までこれを許すことにいたしておりますし、それから商工中金から組合で借りるという場合には三千万円までは借りられるわけでございます。
  75. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 次に小林厚生大臣。
  76. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 北九州のクリーニングの問題についてでありますが、私どもの担当しておるこのサービース業というものは、合理化あるいは機械化の余地がきわめて少ないと、こういうことでありますが、クリーニングの問題につきましては、その中でも一番機械化の余地があると、合理化の余地があるとこういうことでありまして、一部の業者が相当大規模の機械化によって相当の低料金で一部の商品についてこれを行なっておる。それで多くの零細な業者が非常な打撃を受けて赤字を出しておるということでありますが、このいわゆる規制命令を出すということは、一面から申せば、多少一部の業者が値上げをしなければなるまいと、こういうふうな問題が起きて、低物価政策をとっておる政府としても非常に矛盾に悩むと、こういうことでありまして、私どもも一年もこの問題をいろいろ相談をしてまいったのでありますが、福岡の知事も、この際何とか多少の規制をしてもらいたいと、こういうふうな話でありまして、多くのものはさような点に抵触しないのでありますが、ごく一部分のものがこれに抵触するということで、初めてまあ規制命令を出すことがどうかということを適正中央審議会のほうへ諮問をした、こういうことであります。いかにも消費者からいえば安いほうがいい、しかし零細業者がこのために倒産等の危険があるということになると、やむを得ずある程度の調整をせざるを得ないと、こういうことでありまして、私ども、きしむきの問題としては、多少の調整が必要ではないかと思って、いま審議をしてもらっておりますが、しかし、方向としては、それではいけないので、やはり零細企業者も、少なくとも、機械化の余地が、クリーニングについてはある程度ある、こういうことからいたしまして、共同化等によって、機械の共同作業場等をやってもらいたい、こういうふうな一方、指導をしながら、いまの問題に取り組んでおる、こういう状態でありまして、通産省等にも連絡をしまして、クリーニングの共同工場というようなことをやってもらいたい。そして、いま、それでもある程度引き下げられる余地がある、こういうふうに思いますから、さしむきの問題としては、規制の問題を扱っておりますが、しかし、私どもは、消費者大衆のためには、どうしてもこの合理化あるいは機械化によって、下げられるところまで下げる、こういうくふうをしてもらいたいと思って、両方のいま措置をとりつつあるのでございます。  あと美容とか理容とかいうのは、ごく機械化の余地が少ないので、ほとんど大部分人件費だろうと思いますが、しかし、これらについても、設備の改善というものにつきましては、ある程度融資等によってコストを安くする余地がありますので、これらの業種につきましても、設備改善に対する融資というようなことは、ひとつ心配をしてやって、そして、これの引き上げをしないようにというふうなくふうをいまいたしております。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣がそれぞれ時間の関係で、あまり長い時間質問するといけませんし、また、同僚議員もあと質問者がありますから、私なるべく簡単に御質問して終わりたいと思うのですが、そこで、いま厚生大臣のお答えで、中央審議会に御意見を求めておるようですが、それはいつごろ出るのですか、出たのですか、どうなのですか。
  78. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 諮問はもう二週間ぐらい、二十日ばかり前に出ましたが、結論はいつ出るか、いま予想をいたしておりません。十分に、こういう問題でありますから、いろいろの各方面の代表者が出ておられますから、慎重に検討してもらいたいということで、時期等については区切ってもおりませんし、まあ、いつになるかわかりません。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 これはもう事態は、そう長くのんびりしたことでもないようですから、せっかく厚生大臣も、いろいろの点を総合されて諮問されたと思いますから、なるべくひとつ、もちろん諮問機関の御意見も大事なことですが、そういうことで、出た場合には早急にひとつ手を打っていただく。それから、いませっかくお話のございました、通産大臣も御同席ですから、これはむしろ、厚生大臣は通産大臣のほうに、中小企業育成のための協力を求めるということになるのだと思うのですが、先ほど通産大臣が、六百万と三千万という融資の問題をお話しになりましたけれども、この償還期間あるいはその利子、そういうものはどういうふうになっておりますか。
  80. 福田一

    国務大臣(福田一君) 事務のほうから……。
  81. 阿部久一

    説明員(阿部久一君) 一年据え置きの四カ年均等償還、五カ年でございます。無利子でございます。
  82. 相澤重明

    ○相澤重明君 通産大臣いかがですか。いまの日本の中小企業なり零細企業という底辺にあるもの、そういうものについて、特にあたたかい手を差し伸べるというのが、いまの厚生大臣やあなたの御意見です。私はぜひそれをやってほしいと思うわけです。そこで、一年据え置きの四カ年返還、いわゆる五カ年ということでは、なかなか近代化をしてそれだけの利潤を上げるというのは、私はむずかしいと思うのです、事実上。それは無利子というお話でありますが、とにかく、少なくとも二年ないし三年ぐらいの据え置きぐらいで、そして返還は十年間ぐらいに延ばしてやるのが、中小企業をほんとうに育てることになるのではないかと思うのです。しかし、これは法律問題もあるから、あるいは予算問題もあるでしょうから、政府検討していただかなければならないことだが、ひとつ、この点については、特に通産大臣のあなたの所管ですから、そういう点について、やる御意思があるかどうか。厚生大臣はひとつ、通産大臣に協力を要請してもらいたいと思うのですが、そういうことで、ひとつ御両所から御意見をお伺いしたい。
  83. 福田一

    国務大臣(福田一君) お説のとおり、金利にいたしましても低いがよろしい、償還期限もなるべく長いほうがいい。われわれも予算のときには、いつもそういうつもりで案を出して努力をしている次第であります。今後もそういう趣旨で努力したいと考えます。
  84. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) ただいまのお話のとおり、とにかく五年で償還というのは、相当私も無理があるというふうに存じますので、期限延長等につきましても、今後とも強く主張をいたしたいと思います。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 今度はひとつ、通産大臣と農林政務次官お尋ねするわけですが、通産大臣には、まことにどうも少しきびしいことになるわけなんですが、五月七日の経済閣僚懇談会ですか、閣議ですか、レモンの自由化ということをあなたが発言をされ、実施に移されたということで、私は、前回あなたがおいでにならなかったときに、実はひとつよく相談してみてくれぬかということをお話をしたので、特に農林省には、農民の保護育成という立場からいっても、この点については再検討する余地はないか、通産大臣とよく相談したらどうかということを、実は農林当局には申し上げたわけですが、それはすでにこのレモンの自由化については、三十一年に自由化をして、三十三年にまたもとに戻して、そうして今回の自由化ということを断行することになったように私は思うんですが、いかがですか、通産大臣、いろいろと人の意見というものがあることは、私もよく承知をしております。しかし、あまり誤解を受けることはよくないし、それから、やはり実際の話が経済問題、特に農業構造改善事業というものは、政府が積極的に推し進めてきたことなんですね。そういう面からいくと、農民がせっかく政府方針に沿って、少なくとも実収をあげよう、生活を向上させようということでレモンを栽培しておったのが、今回の自由化によって相当の打撃を受ける。自由化ということは、他面、国際的には、日本に与えられた至上命令という立場かもしれぬが、やはり国内の国民の立場というものも十分お考えにならぬと、不必要な議論が起きる、不必要な混乱が起きる、こう私は思う。私は、前の特定の新聞を読んで、それがいいとか悪いとかいうことを判断するのではない。ないのだけれども、せっかく政府が進めてきた農業構造改善事業というものが、こういう問題でそごを来たし発展しないということを私はおそれるわけであります。特に通産省のこのレモンの自由化という問題が非常に大きな問題になっておりますから、私はむしろ、この際は、いま一度自由化の問題について御検討をいただくことが必要ではないか、そういうふうに率直に思うんですが、この点については、農林政務次官と通産大臣と、御両所からひとつ御答弁いただきたい。
  86. 福田一

    国務大臣(福田一君) この問題は、いろいろ私たちの考え方がよくおわかりを願っておらない面があると思いますので、考え方から申し上げますと、御指摘のように、生産者の問題を考えるということは、これは私は当然必要であると考えております。したがって、農林省のほうでもお考えをいただいていると思いますが、私はむしろ、レモンなどというようなものは、ほんとうは日本で全部できるようにしたい、こう思っておりますが、ただ、残念なことには、レモンは日本では一年一回しかとれません。アメリカでは三回とれるわけであります。なかなかその面での太刀打ちはすこぶる困難であろうかと思います。しかし、現実の問題といたしましては、いま非常にレモンが高かったせいでありますか、それほどレモンを栽培しておいでになる方が困難を感ぜられたというふうには理解はいたしておりませんが、しかし、レモンを自由化して値が下がったということになりますと、これが与える影響は大きいと思います。したがって、これは当然考えなければならない、こう思うのであります。  そこで今度は、レモンを取り扱っております輸入業者の問題になりますが、これは九十一社ほどございまして、半年の間に百二十万ドルぐらいの購入をいたしております。半カ年の間に、そのうちの四社ぐらいが六十万ドルぐらいのシェアを持っておりまして、あとは一万ドルとか、あるいは一番小さいのは千ドルぐらいしか輸入をしていない、まあほとんど発券の形でやっておるというような形になっておるのであります。しかし、われわれが自由化をいたしますことは、先ほど御指摘のように、自由化をなるべくしたほうがいいという趣旨でやったわけでありますが、その場合に、御案内のように、新聞にも出ておりましたが、サンキストが何かソール・エージェントを日本につくるというような動きがある。いままでありました四、五社のものはかなりの独占の権利を持っていたが、今度はまた別のものができるということでは、われわれとしては全然意味のないことである、こう私たちは考えておるのであります。そういうことはないように、自由化というのは、だれでもが売ったり買ったりできるという姿でなければいけないのでありまして、そういうようなことがいささかでも障害を受けるような姿では私はいけないと思います。そこで、はっきりと、自由化をいたした後におきましても、もしサンキストがソール・エージェントをつくるような考え方であるならば、これはもう一ぺん、取り消して考えてみよう、こういうことを実ははっきり発言をいたしました。そして、アメリカ大使館を通じまして、これは、私が通産省を通じて直接話をしようかと思いましたが、かえって誤解を招く、そういうことをすると。だから、アメリカ大使館を通じてやったほうがいいと思って、アメリカ大使館を通じてサンキストに連絡をいたしました。どういう意図であったかということを明らかにしていただきたい、そういうことを申し送りました。そうすると、向こうから責任者のアンダーソンという方がやってまいりました。ほかに関係者が二人来まして、そういうことを考えたことはある、実はソール・エージェント的なことを考えたこともある、話もしたこともありますが、いままで契約は何もいたしておりません——というのは、サンキストは、世界各国に売る場合には、みんな代理店みたいなものをつくりておるようであります。だから日本にもつくったほうがいいと思った、むしろ独占者ができて、あまり高い価格でわれわれのつくったものを食べさせるということは、これはあなた方の意図に反するのであるから、むしろ代理店をつくって安い値段で供給するようなつもりでやったのだけれども、あなたのほうでそういうような御意図もあるということでもあるし、それから業者の間でも非常に御不満もあるということでありますから、それは一切やめます、全部取り消します、そして、だれでもが金を持って買いに来てくださればお売りをいたしましょう、こういうことに変わったわけであります。変わったというのは、最初から契約があったのじゃなくて、話し合いが進んでおる途中で、そういうふうなこともあるというので、そういうことが全然なくなったということであります。  こういたしますと、われわれといたしましては、自由化というのはそういう効果があって、まあ現実にレモンは向こうで一個十円から十五円であります。日本へ入ってくると、十円から十五円のものが七十円、八十円、九十円というように高値を呼んでいるということは、われわれとしてはあまりおもしろくない。しかも、それが、数の少ない人が独占的な形で利益を壟断しておるということは、われわれとしてもあまりおもしろいことではないと思っておるわけであります。それが自由になる。しかし、いままでそういうことをやって商売をしていた人が買えなくなるということでは、これはいけません。これではいけないから、私はそれは全然認めない、自由であるべきであるという趣旨を貫いてやったつもりであります。また、そういうことに相なったわけであります。  そこで、いま見てみますいうと、レモンの値段が最低一個二十五円から三十五円ぐらいに下がったのでありまして、七十円−九十円したものがそこまで下がっておるというのが実情でございます。  しかし、それが国内のレモンにどういう影響を与えるかといいますと、やはりいまの値段でございますと、やっぱり国内のレモンは十五円とか十円とかいうようなことにならぬでしょう。そうすると、かなり私は影響が起こり得ると思っております。しかし、そういうことではいけないので、これはやはりそういうことであれば、国内のレモンをつくっておる人たちには、私たちとしては相当な措置をとるべきである、これはみなの考えでありまして、これはみんなでいま研究をしなければいけない、こう言っておるのでありまして、やはり向こうで十円、十五円のものが国内で七十円、八十円もで売られるという姿をそのまま認めておくということは、われわれとしては何としても耐えられない、こういう感じもあったわけでございまして、この間の事情は、実はいろいろ誤解を生むようなことがありまして、だれそれが金をもうけた、政治家がこれに若干関係している、これは総裁問題にもからんでいるのだというふうなことを言ったり、これは私は、両方の関係者のために、全然そういうことがないということをはっきり申し上げておきます。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 中立か。
  88. 福田一

    国務大臣(福田一君) いやいや中立という意味で私は申し上げておるのじゃない。私は、そういうことは全然ない、これはほんとうに両方にお気の毒だと思っておるので、私は、あらゆる場合にそういうことは全然ない、それを事実をもって証明してもいいと思うのでありまして、もっと詳しく申し上げたいと思いますが、しかし、ここは政治の場ではございませんから、私はこれ以上申し上げませんが、これはいま候補者に上がっている人たちのどちらにも全然関係ないということだけは、よく御理解を賜りたいと思います。
  89. 丹羽兵助

    政府委員丹羽兵助君) ただいま通産大臣も申されましたように、レモンが自由化されて、なるほど輸入レモンの価格は安くなったでありましょう。と同時に、その影響を受けて国内産のレモンも相当影響を受けて安くなりつつあることは認めていかなければならぬと思います。これは消費者の側にとりましても、たいへんけっこうなことでありますが、生産者の立場を見ますところの農林省としては、真剣に考えていかなければならない問題であります。ただいま先生から御指摘がございました、いかに耕作、反別が少いとか、あるいは生産量が少いとはいえ、やはりいままでの国内のレモンの生産所得というのは、一反当たりの所得というものが、他のかんきつ類とかの所得と比較いたしまして相当高かった、比較にならないほどの高所得があった、しかし、自由化によってそれが下がったということを、これは十分考えていかなくちゃならぬのであります。そこで、私どもは、自由化されたことについてはやむを得ない。もちろん、農林省としては、国民に新鮮な、しかも豊富な食料を与えていかなくちゃならぬ立場でありますから、自由化されたことについて、とやかく考えるものではございません。賛成をいたしておりまするが、いま申し上げましたように、生産者の側に立っての施策というものを考えていかなくちゃならぬと鋭意努力をしております。  まず、その一つといたしまして、なるほど日本は一年に一回、しかしアメリカにおいては年に二回も三回も収獲できる。もうレモン栽培の気象状況もうんと違っておりましょうし、また、その品質もだいぶ日本のものは劣っておるのであります。しかし、これらは努力いたしますれば、品質の改良とか、あるいは、とったあとの色づけ、熱処理の問題を考えますると、何とか今日以上のものが生産されると私ども考えておりまするので、今後そういうことに——前からもやっておりましたが、自由化をされましたのを機会に、うんと国内生産を高め、何とかいいものができるように、いろいろと具体的な努力を払ってまいりたいと、かように考えておるのであります。  なお、そのために、いまも通産大臣が言いましたように、にわかに生産者所得が下がった、そのことによって、何とか価格補てんの道を考えたらどうだというような御意見、陳情等も聞いておりまするが、そこまで暫定的な措置をとるなどということは考えておりません。しかし、検討はいたしておりまするが、考えておりません。それよりも、恒久的な、外国の輸入レモンとの太刀打ちのできる品種増産を考える、それに政府が全力をあげていく、こういう方針をとっておるのでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  90. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの農林政務次官の答弁だけでは、これはおそらく農民諸君も納得しないと私は思う。そこで、私はひとつ資料提出を要求したいと思うのです。いま政府が言うところのレモン栽培をしておる日本農民のいわゆる生産価格あるいは収入、そういうようなものをひとつ——協同組合か、あなたのほうの管理か知らぬが、これは出せば出せると思うのです。そういう問題の資料をひとつ提出してもらいたい。静岡児であるとか、兵庫県であるとか、あるいは四国であるとか、あると思うのですね、生産しておるところが。そういうところのものを資料としてひとつ提出していただいて、現実に自由化されて、先ほどの十円なり十五円の生産費で、実際に小売り価格が三十円なり四十円で済むものかどうか。また、それで農民というものが、事実、生産を喜んでいかれる立場にあるかどうか、こういうことは次の機会に、私は農林省の決算のときにやりたいと思うのです。そういう意味で、現在までの農業生産者に対するところのそういう資料をひとつ政府から提出をしてほしい、こう思います。それでこのレモンの問題を、私は本日は終わっておきたいと思います。  その次に、厚生大臣に伺うわけですが、これもできるだけ、はしょってひとつお伺いするわけですが、厚生省の指摘をされておるのは、会計検査院から三六ページに指摘をされておるわけですが、その中で特に保険、「健康保険および厚生年金保険料の徴収不足をきたしたもの」、あるいに三八ページの「船員保険保険料の徴収不足をきたしたもの」——特にこれはひどいのですね。船員保険の場合、「北海道ほか十六都県における十六保険課および四社会保険事務所管内の六千四百十三船舶所有者のうち四百三十七船舶所有者を調査したところ、その五二・八%に当たる二百三十一船舶所有者に徴収不足の事態が見受けられ」た。これはもう全く厚生省としての職務怠慢であるということを指摘をしなければならぬと私は思うのです。こういう点について、どういうふうにこれからこういうことを是正をするか、また、その対策をどうするかということについて、厚生大臣からひとつお答えをいただきたいと思います。
  91. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 先に、農林政務次官要求をした資料、至急出せるかどうか。
  92. 丹羽兵助

    政府委員丹羽兵助君) 大至急、御要求資料を提出させていただきます。
  93. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) この問題が、この年度に限らず、前々からかような注意を受けておるのでありますが、改まらないところのあることを非常にわれわれも遺憾と存じ、申しわけなく思っておるのであります。それで、これらにつきましては、いろいろの方法を検討をいたしておるのでありますが、非常に困難な事情もあったのでございまして、これらにつきまして、私は事務当局を督励して、かようなことを毎年注意を受けないようにひとつくふうをすべきであると強く指示しておるのでありまして、今後の方策等につきましては、事務当局からひとつお答えをさせていただきたいと存じます。
  94. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 漁船の船員保険の歩合給の問題につきまして、かねがね御指摘を受けておりますことは、まことに残念でございまして、申しわけない次第でございます。御案内のように、漁船の報酬自体につきまして、国を離れて海外で活動いたしております、また、近海で操業いたしますものの、船舶所有者の場所と水揚げの地域が違っておりまして、そういった関係で、なかなか実際の報酬がつかみにくい、こういう問題があるわけでございまして、この点につきましては、かねがねから指摘を受けまして努力を加えてきたわけでございます。昭和三十五年に、そういう事情から、全国の漁船関係につきまして一斉調査を行なった次第でございまして、相当実報酬と標準報酬との間に差がございまして、これを一定の基準によりまして三十五年の十一月から実施することにいたしております。三十七年度はちょうど二年目に当たりまして、まだまだこういった新しい方式が理解されない、こういう状況であったわけでございまして、この点に関しましては、制度の普及自体につきまして徹底が足りなかったということもございますので、もよりの漁船船主をできるだけ集めまして、これが徹底をはかっておるわけでございます。遺憾ながら、二万一千の船舶所有者がございますが、職員がわずかに三百五十二名、こういうようなことで、かつ遠隔の地にございますので、調査に参りましても十分話し合いができない。船主自体が海洋に出かけておる、こういうこともあったわけでございまして、こういう点につきましては、そういう欠点、従来の経験に徴しまして、調査員活動を強化いたしまして、調査員の活動の重点項目としてこれをあげているわけでございます。三十七年度以降、逐年効果があがっておるような次第でございますので、なお一そう絶無を期しまして努力をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
  95. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、この保険問題について、政府管掌の保険と、それから組合保険とがあるわけですが、この現状はどうですか。政府関係の保険の保険料の徴収がこういうふうに悪いという反面に、最近においては組合保険というものが非常に伸びてきておるということを私ども聞いておるのですが、政府が把握しておる現状はどういうふうになっておりますか。
  96. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) ただいまのお尋ねでございますが、内容をどういう点を御指摘くださっておるか、その点もう一度ひとつ恐縮ですが。
  97. 相澤重明

    ○相澤重明君 つまり、会計検査院から指摘されたものは、保険料の徴収等が実に悪い、これに指摘されておるのは。政府管掌保険の問題については、非常に問題点を出されておるけれども一般にいう民間の組合保険というものは、その反面、非常に近ごろは伸びておる。加入者もふえておるし、そういう組合団体もふえておるということから考えて、そういう政府管掌保険と組合保険との問題について、いま一度厚生省としては考え段階が来ておるのではないかというように私は思うのです。そこで、政府が、どういうふうに組合健康保険というものがふえておるかという実態を把握しておらなければ、これは私は、そういう問題が出てこないと思うのです。ですから、その点をどういうふうに把握しておるかということを聞いておるわけなんです。わかりますか。資料はありますよ、こちらに。
  98. 竹下精紀

    政府委員(竹下精紀君) 健康保険組合の現況でございますが、毎年三、四十ずつふえておるわけでございまして、昭和三十七年度末におきまして千百九十七という現状でございます。
  99. 相澤重明

    ○相澤重明君 特に私は、やはり保険問題について重要なことは、大会社、あるいは二千人なり三千人なりの集団が組合をつくれば保険業務ができるわけですね。そうしますというと、政府管掌の保険にむしろ、だんだん遠ざかっていってしまうということが言えるわけです。ですから、これを端的に言えば、政府の保険料というものをもっと下げてやる努力をしなければ、この組合保険の安い掛け金、あるいは業務の範囲の広さ、もっとサービスのできること、こういうことから考えていって、私はやはり問題が出てくるのではないか。これは時間がないから、そういうこまかい点について私から意見を申し上げる時間がないけれども、私はそういう点、保険業務を管掌をしておるところの厚生省として、今日の段階でいま少し考える必要があるのではないか。  それから大都市といわゆる地方の差というものがだんだん大きくなりつつある。つまり、大都市における勤労者の給与条件というものがだんだん上がってくれば、必然的に保険料は高くなってくる。しかし使うのは、大都市よりはむしろ地方のほうが多いかもしれぬ。こういうような問題も内包しているわけです、保険業務については。したがって、こう見ても、単に徴収の不足を来たしたという会計検査院の指摘ばかりではなく、もっと大きく見て、進んで厚生行政についてはいかにするかということについて検討する段階に来ているのではないかというふうに思うわけです。そういう点について一度政府側のひとつ御検討を願いたいと、私はこう思うのですが、いかがですか。
  100. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) ただいま、御存じのように、組合健康保険は一事業所三百人、こういう制限がありますが、一事業所でなくて、同一業種のものが集まって、県単位等において健康保険組合をつくりたい、こういう希望が非常に多くて、このほうは一応三千人以上同一業種でもって集まれば、健康保険組合を認める、こういう方向にありまして、そういう希望者も相当多い、これは要するに、いま組合健康保険のほうは——一応標準の給付ということは、政府管掌も組合健康保険も本人が十割、家族が五割、こういうことになっておりますが、健康保険組合の中で財政状況のいいものは、このうちおそらく半数くらいは、家族は七割くらいまでいっておる、こういう状況でありまして、政府管掌はまあ五割をいまそのまま用いておる、こういう状況にありまして、給付に格差も考えられているのでありまして、私どもはやっぱり、いまの国の健康保険も、家族五割はこのままではいけない、しかるべきときにこれは上げなければならぬ、こういうことを考えておるのでございます。保険料の問題はとにかくといたしまして、給付の問題にいまのような問題が起きているのでございまして、実は私ども、これらの給付の是正と申しますか、均衡をとる、こういう方向で、これらの保険の格差をなくす、全体のひとつ調整というものをいま、いろいろ考えておるのでございます。すなわち、同じ健康保険でありながら、家族給付等にいまでも、ある程度差があるということは、非常に私はこれはよろしくない、こういうことで、この格差是正のために調整の方法も考えていく、もう一つは、政府管掌としては、五人以上のものは一切健康保険に入っているが、五人未満の人も、どうしてもこの際、収容しなければならぬ、こういう問題が起きているのでございまして、これを入れると、なお一そう保険料の徴収問題、あるいは保険の財政問題ということに大きな難点があるのでありまして、いずれにしましても、お話のように、これらの問題は早急に検討をして適当な解決をしなければならぬ、こういうように考えております。
  101. 相澤重明

    ○相澤重明君 ぜひひとつ検討をして、これは社会保障的な面での一番大きな私は問題だと思う。そういう点でひとつ、いま大臣の御答弁のように、前向きの姿勢で検討してもらいたいと思う。  それから、ひとつ伺っておきたいのは、きょうは公庫決算はしておりませんけれども、あなたのほうの所管ですから。医療金融公庫の問題でありますが、これは病院、診療所等の設立をする場合に、公庫は貸し出しができると私は思う。しかし、話を聞くと、すでに今年度は、融資を申し込んでも、それはもう事実融資はできないのだというような話があるとかないとかということを聞いたのですが、そんなことが年度当初においてあるのかどうか。厚生大臣は、今年度の予算において公庫の融資額の増額を行なっていると思うのですが、そういう点はどうなっているのか。  それから、たとえばそういう病院なり診療所なりをつくるために申請した場合には、貸し出しという条件というのはどういうものか。  それから、そういう申請をされた場合に、どのくらいの期間内にそういう審査というものは終わり、融資ができるのか。  これはきわめて関係者にとっては大事なことでありますから、その点をひとつお答えいただきたいことと、いま一つは、あなたはだいぶ矢面に立ったのでありますが、例の医師会の問題の一点単価の問題については、あなたは最終的にどうおきめになるのか、この点をひとつこの際承っておきたいと思います。
  102. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 医療金融公庫は、ことしも、私いま正確な数字を存じませんが、二百数十億円の貸し出しができることになっておりまして、もういますでにどうこうというような、お話のようなことはないと、こういうふうに存じます。しかし、資金につきましては、非常に希望者が多いのでありまして、われわれも年々これを増加しなければならぬと思っているのでございます。非常にいま老朽の施設が多いからして、改築等において相当な資金需要があるので、私どもも、ことしのまた要望も見きわめまして、来年度の要求もいたしたい。  それからなお、貸し出し条件等の問題につきましては、社会労働委員会でしばしば問題になりまして、いま八分五厘でありますか、これが現在ある程度、たとえば日赤とか済生会とか、こういうものは厚生年金から融資をいたしているのでありますが、その融資の条件に比べて悪い、すなわち高い、こういうことで、この点もいま直すくふうをいろいろいたしております。  それで、これはまあ実は貸し出しにつきましては、直接貸し出しではなくて、関係者が銀行に申し入れて、銀行を通して医療金融公庫に申請が出る、こういうことになって、多少の手間はとれておりますが、これもなるべくひとつ期間の短縮をするというふうなことで、具体的な事例によってそれぞれ違いますが、そういうことはいま督励もし、監督もいたしております。  それから次の医療費の問題でありますが、再診料十点という問題が医師会から強く要望されておりますが、これはどうしてもこういうものを新設するということは、医療費の全体の体系に大きな影響がありますので、この際、いまわれわれが作業をしている緊急是正の中にこれを取り入れることは非常に無理がある、こういうことで、これに続いてひとつ検討をして、この問題もひとつ御相談を願う、こういうことにいたしておりまして、さしむきは、緊急是正として、この問題を除いた他の人件費、物件費等の値上がりに対応する何がしかの是正をいたす、こういうことで運んでおります。この問題を排除したわけでありませんで、今後、本格的なひとつ医療費の体系を定めたい、その際に一緒にやりたいと、かような考えを持っております。
  103. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はもうこれで終わりますが、先ほどの河野建設大臣の答弁でややいいと思うのですが、確認をしておきたいと思うのです。建設省の先ほどの、国道十六号線のロータリー問題について整備をするのに、地元の消防のいわゆる水槽問題について、地元負担ということで意見が合わないという場合を申し上げたのですが、それらの法律上、あるいは運用上、あるいは資金上の問題について、どういうふうにやるという意思があるのか、これはひとつ担当者から御説明をいただいて、私はこの点を終わります。
  104. 三橋信一

    説明員(三橋信一君) ただいまの相澤先生の御質問に御答弁申し上げます。  大要は、先ほど大臣が申し上げたとおりでございますが、私どもの出先のほうを招致いたしまして、いろいろ私どもの出先と、市と警察と消防と、この四者でこの件について協議をいたしております。それを聴取いたしましたところ、現在、国道のロータリーにつきましては、警察の要請がございまして、それでこれを撤去するために今年度の私どものほうに予算が計上されております。この内容は、ロータリーを撤去いたしまして、いままでの防火水槽を埋めまして、そしてこれを道路の姿に戻す、その予算が計上されております。私どもといたしましては、やはりこれは道路を使っておられたものでございますから、かわりのものを市の当局でよそへおつくりになった時期に、直ちにただいまのロータリーをつぶすということにいたしたい、そういうふうに考えております。
  105. 柴谷要

    委員長柴谷要君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  106. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 速記をつけて。
  107. 二宮文造

    ○二宮文造君 文部大臣の御出席をお願いしたのですが、衆議院との関係でおいでになれないというようなので、大臣への質問は、後日所管別にやりますときに譲りまして、きょうは、具体的な問題でひとつ文部省にお伺いをしたいと思います。  その前に、教育費の住民負担の問題につきまして、解消あるいは軽減について、文部省がこれまで次官通達とか、あるいは局長通達でもって、それぞれ関係当局に行政指導しておりますが、その年次及びそのあらましについて最初にお伺いしておきたいと思います。
  108. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 父兄負担の軽減の問題でございますが、これは、文部省といたしまして本格的に取り組みましたのは昭和三十五年以来でございます。その財源措置でございますけれども、国庫負担金、それから補助金等がございますが、そのほかに、主としまして、地方交付税によりまして財源措置をするというふうな方法をとってまいりました。その関係で、地方交付税が毎年きまりましたときには、それに伴いまして、私どものほうで父兄負担について特に通達を出しておるような次第でございます。それ以外、過去二回ほどそれと関係なく次官通達を出しております。ただいま直接手元に資料がございませんので、その年次ははっきりいたしませんが、後ほど御連絡いたしたいと思いますが、さらに毎年市町村の教育委員会の教育長等を集めまして講習会を開催いたしております。その際にも、特に父兄負担の軽減という一項目を設けまして、その際に、市町村の教育委員会の教育長に対しまして、じかに指導をするというような方法もあわせてとっておるような次第でございます。
  109. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと会計検査院にお伺いしたいのですが、教育費に限らず、警察とか、消防とか、あるいは土木事業とか、そういうものについての住民負担の問題で、これまで会計検査院として、それが予算執行上の問題で大きな問題にもなってきたときもあったと思うのです。そういう意味で、会計検査院としてその事項を指摘して政府の善処を求めたという、そういうような事情はありますかどうか、お伺いしたい。
  110. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 御承知のように、検査院は、国から支出された費用の決算について重点的に検査をいたしておるわけでありますので、たとえば補助金について二分の一国が負担する、あとは地方団体が残りの二分の一を負担する、こういう場合に、国から支出されました二分の一以上に実際使って、地方団体の負担が少なかった、こういうものにつきましては、検査報告にごらんになりますように、指摘いたしておりますが、その他の一般の負担につきましては、検査院としては、そこまで指摘しておらないのが従来の例になっております。
  111. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど文部省のお方の、いわゆる通達の内容で、住民負担を軽減させようという努力をはらってきたということでございますが、いま問題になっております昭和三十七年度は、いわゆる中学校における児童のピークのときです。また、昭和四十年には高校生がピークになる、そういう事態を控えておりましたし、また危険校舎の改築だとか、あるいは屋内体育施設の整備だとか、あるいは統合中学校の新設だとか、非常に市町村においては財政需要が強かったわけです。しかも、そういうふうな事業を進めてまいる上において、市町村の財政で非常に超過負担をやっている、市町村財政を危うくするほど超過負担を余儀なくされているということが強く言われております。そこで、これらの資料はあとでいただきたいと思いますが、昭和三十七年度におけるそういう施設整備事業における補助基準単価と、それから認証坪数、それから実施単価、そういうものの資料がありましたら、あとでけっこうですから提出していただきたいと思います。  それから、それに関連して、昭和三十七年度における市町村の超過負担という問題を文部省がどういうふうに把握されているか、その点を概略でけっこうですが、お伺いしておきます。
  112. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 答弁の前に。要求された資料はすみやかに提出してください。
  113. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 資料は後ほどお届けいたします。
  114. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 市町村における父兄負担の問題でございますが、私どものほうで毎年決算によりまして調査をいたしておりますが、三十五年度は、公費で負担すべきものの父兄負担が百六十七億、それから三十六年度は百五十六億、こういう数字が出ているわけでありますけれども、三十七年度はまだ決算がまとまっているかどうか、調査局のほうでやっておりますが、まだまとまっておらないのじゃないかと思うのであります。そこで、三十五年度、六年度につきましては、資料を差し上げることができますが、三十七年度につきましては、あるいはできないのじゃないかと存じますので、その点お含みおき願います。
  115. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が伺いましたのは、父兄負担の問題ではありませんで、その前の市町村の超過負担ですね、施設整備における。その点をお伺いしたい。
  116. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 施設について考えますと、現在、中学校校舎、それから統合学校の校舎等については二分の一でありますけれども、小学校それから危険改築等については三分の一になっております。ところで、実際の市町村の負担は、国の補助金の裏側の負担にとどまらず相当多額の負担をいたしております。国の補助金は炎際には四分の一ないし五分の一になってまいっておったのが実情でございます。  どうしてそうなったかと申し上げますと、まず第一に、従来は、施設の基準が非常に低かったということであります。その具体的内容としては、基準の立て方が、生徒一人当たり何坪というような立て方になっておったということと、それから特別教室分の見込み方が非常に少なかったということ。ところで、、実際建物を建てる場合には、やはり教育上必要な施設はどうしてもいたさなければならないものでございますから、その基準以上に建てなければならぬということがあったわけでございます。なお、従来は小学校の屋体等は全く補助の対象になっておらなかった、こういった事情が市町村の負担を大きくした第一の原因でございます。  次に、単価が低かった。これも毎年努力いたしてまいって、今年は五一%、昨年度は一〇%の引き上げ等をやっておりますが、なお一般的に低いということがあります。  もう一つ、構造比率、すなわち、木造部分とそれから鉄筋、鉄骨部分の比率が実際よりも低くなっておる。予算上は実際よりも低くなっておるということが市町村の負担を多くさした原因になっております。  なお、国の負担を対象とする部分は、基準で計算いたしましたいわゆる資格坪数全部を国の負担の対象とするのでなくして、従来その二割を、国の三割は自前でやるものとして、国の負担対象を限定してまいっておるということが、やはり市町村の負担を大きくした大きな原因になっております。  大体市町村の負担を大きくしたおもなる原因は以上のとおりでありまして、以上のような事情に基づくものでありまして、そのために、二分の一ないし三分の一の補助率の原則が実際上くずれてまいったということでございます。そういうことでありましたので、本年度においてはこの基準の改定をいたしました一それからなお、国の負担対象となる部分も、従来の七割から一割引き上げて八割にいたしましたし、その他小学校の屋体を新しく負担の対象にするとか、単価、構造比率についても改善するとか、そういうふうな点、その原因の除去に、本年度においては大幅な努力をいたしたわけでございますが、なお、必ずしも十分とは申されない現状だと思います。
  117. 二宮文造

    ○二宮文造君 私の手元にある全国の市議会議長会の資料、これは市の立場から集めたものですから、あながちそのままというわけにはいかないでしょうけれども、いわゆる補助坪数とか基準単価の問題で、補助坪数と実施坪数が四割の差がある、また坪当たりの基準単価で二万一千円ですね、それらの差額がある。たびたびのお話なんですけれども、それらの金額が一体市町村の財政でそのまままかなっておられると文部省では把握されているのですか。それが住民負担のほうにはね返っていく原因になっておる、私どもそう思うのですが、文部省のほうのお考えはいかがですか。
  118. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 確かに、先ほど申し上げましたような点が、施設費について父兄負担を増大させる原因になっておりたということは事実だと思います。このような点は十分ひとつ今後改善に努力してまいらなければならないことと考えております。
  119. 二宮文造

    ○二宮文造君 三十七年度には、いわゆる終戦処理的な性格を持った児童が三十八年から高校へ進学する、いわば前年度に当たりますが、その三十七年における、高校生の急増という問題に対してはどのような手を打たれたか。それはここに出ておりますが、金額において非常に少ないわけです。そこで打った手は、公立の高校ですが、県や市の力ではどうしてもそれが建てられないということで、全額PTAが銀行から借りまして、そうして建ててしまう、あとで分割払いで市とかあるいは県から返還を受けるというケースが全国にあるわけですが、それは文部省として御承知だったのですか。
  120. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 承知いたしております。
  121. 二宮文造

    ○二宮文造君 そこで、非常に私どもが見まして不自然な形になってくるのですが、これは高校の場合ですけれども、地方の公立の高校ですが、そのPTAの決算報告を見ました。これは三十九年度の予算並びに三十八年度の決算ですが、一つには体育館建設基金収支決算書というのがございました。その中に、市よりの返還金として計上しておりますし、それからまた銀行返済金としてやっております。公的な建物であるところの高校の体育館が、任意団体であるところのPTAの会計によってまかなっていかれるということが、はたしてこのまま続いていいものかどうか、それが一つ。  それから、前年度PTAで支払ってしまって、次年度に入学してきた子供たちが納める、いわゆる施設充実費と称しておりますが、それによって前年度の銀行借り入れ金を支払っていく。ですから、ことし生徒から徴収される施設充実費として学校に納める金額は、それはそのまま前年度の建設費の穴埋めに使われるわけです。そうして、危険校舎もあるし、特別教室もつくらなければならないものですから、ことしまた建設しますが、それはそれでまた別にPTAが銀行から借り入れて、次年度から入学する、在学する生徒がそれを負担していくという形がずっと繰り越されていっているのですが、この点については、文部省はどうお考えですか。
  122. 杉江清

    政府委員(杉江清君) 体育館について特に父兄の負担が多いという現状は、まことに遺憾だと存じます。ただ、体育館について父兄の負担が多いということの事情には、実は、体育館の建設には、国が定めております基準以上のものを、まあいろいろな集会等を催すというようなことも考えまして、かなり大きいりっぱなものを建てようとする傾向もあると思います。で、もちろん現在高等学校についてもそういう事情がございます。(二宮文造君「教室もあります」と述ぶ)そういうふうな、高等学校についても国の以上のものを、いろいろな集会の便宜等を考えてつくろうとする一般傾向があります。基準の改定には努力すべき課題がございますが、そういうふうな事情もあるということも一応御了解いただきたいと思います。しかし、公の施設について父兄負担が非常に大きいということは、これはぜひとも今後改善してまいらなければならないことであります。ことに、一時借り入れ金によって建てておる、それを、次年度以降入ってくる生徒の父兄にその負担を転嫁する、こういうやり方は最も望ましくない方法だと考えております。
  123. 二宮文造

    ○二宮文造君 体育館の場合は、体育施設の場合は、そうかもしれませんが、危険校舎の改築とか、普通教室の改築とか、そういうものが三十八年度に建てられてしまって、三十九年度の在学生から徴収されていくわけです。ことしはことしでまた工事が始まりますから、それだけのものはまたPTAから借り入れて、そうして支払っておいて、次年度の学生から徴収する。こういうことを、PTAの役員会の席で、総会の席で、校長先生からるる学校の事情説明があって、そうして、満場一致という形なんでしょう、二、三人の人が手を打って、了解ということで進んでいくわけですから、こういうことに対する市とか県への文部省の指導が適切になされていないのじゃないか。一般通達は出ておりますけれども、具体的な問題について行政指導が手を抜かっているのじゃないか。文部省のほうは、補助単価も少ないし、また坪数も少ないから、当然そういうような無理は起こるだろうというふうな憶測があるために、強く言えないのか。反面、今度は、住民のほうには、事が学校の問題ですから、反対するわけにはいかないわけです。また、二、三その中で非常に批判的な意見を述べる人もおりますけれども、もしそれを述べれば、異端者みたいな顔をされまして、白い目で見られるものですから、つい発言もだんだんと弱まってしまう。何か、私たちPTAの会合に行ってみまして、ほんとうにあちこちでささやく父兄の声というものは、一体国はなにしているのだ、県や市はなにしているのだ、こういうことが許されていいのか、というふうに、非常に怨嗟の声——といってはひどいですが、それに近いような声があるわけです。ですから、これは直ちに文部省としても——そういう具体的な事実をここにあげたわけですが、おそらくこれは一市に限らず、各地でやられていることではないかと、科そう聞きます。ですから、急遽手を打っていただきたいのです。それに対する対策をお伺いしたい。これは、もちろん政務次官から。
  124. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 問題が大きいですから、政務次官から。
  125. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) いま御指摘のありました高等学校の寄付行為の問題でございます。これは、当時、高校急増対策を実施するときに、この急増期間中は、それに見合う施設設備の整備については国が助成すべきである、こういう有力な意見がございました。しかし、現実においては高校については理工系の施設にのみ助成をいたしておりまして、あと全部起債並びに交付税対象になっておるわけでございます。急増時期におきましてもその基本原則を変えることができなくて、しかし十分なる起債並びに交付税によって、それらのものに見合うような配慮をするということで現在推移をいたしておるわけであります。しかし、同時に、いま二宮先生のおっしゃったように、両校の施設等について寄付行為というものを存続するということは望ましくないということで、昭和三十九年度からは一切の書付行為をしないという地財法の改正がなされております。その寄付行為というものは、御指摘のような生徒一人当たり何ぼの負担をするということは許されないわけでありますから、そういうようなきめをされますならば、すなわち地財法違反でございますので、そういうことは、市当局、あるいは県当局においてなさるはずはないと思うのであります。しかし、いままでは、先ほど管理局長が申しましたように、確かに足らぬところをそういう方法でとっておったことは間違いないことでありますから、これから三十九年度以降は、御指摘のような心配事項はなくなるのではないか、こう思うのであります。今後われわれは、急増対策が済みましたといいましても、あるいは老朽改築という問題もありますし、あるいは社会増という問題もありますし、これから後も高等学校の施設増というものをやっていく場合が多いわけでありますが、それにつきましては、単価構造比率等、先ほど来申しました施設基準の改定を義務教育諸学校においてはすでになされたはずでございますので、高等学校についてもそれらができるような措置というものを講じてまいらなければならぬのではないか。われわれが当面一番これから問題にしなければならぬ課題は、屋内体育館については、ようやく小学校のいわゆる補助が認められたばかりでございます。小学校については本年からようやくできたということでございまして、高等学校にまだまだ及んでおりません。これについてこの助成をするか、あるいは、いままでどおりの起債等のワクというものを拡大するか、何はともあれ、間接的に住民負担になることのないような配慮というものは当然してまいらなければならないと思いますので、今後も努力いたしたい。また、単価構造比率については、大体地元の要請にこたえられるところにまで来ておりますので、そういうところに重点を償いて施設の努力をしていけば、問題の心配の点は徐々になくしていけるようになると、このように考えております。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 政務次官の今後のお話なんですが、私いま問題にしているのは、三十九年度からはそういう寄付行為はさせないということですが、三十八年度に建てたものを現在PTAから借りて支払っております、三十八年度に建設したものをですね。そして三十九年度に、現にいま生徒から徴収をしております。施設充実費と称して、一人当たり月額四百円です。これは、それじゃ政務次官がおっしゃる地財法の違反になりますか。そういうふうな会計操作をやらせている市とか県当局は、地財法違反になりますか。その点明確にしておいていただきたい。
  127. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 三十八年度中に建てたものを、三十九年度以降寄付行為において返済していくということは、厳密な意味においては地財法違反にならぬと思います。三十九年度以降そういうことをしてはならない、そういう寄付行為によって学校建築をしてはならぬという規定でありますから、ならぬと思いますが、しかし、御指摘のとおり、二宮先生のおっしゃるとおり、これは非常にずるいやり方だと思いますので、そういう意味で、行政指導において、遠慮してもらうように、自粛していただくように、努力を重ねるよりほか方法がないと思いますので、現実そういう問題があるといたしますれば、私どもといたしましては、そういうやり方をやらないように勧告をし、修正をするようにいたしてまいりたい、こう考えます。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 それからもう一件。  公立の高等学校で入学金を取っておりますが、その点は、文部省御存じですか。
  129. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 入学金と申しますのは、ただいま公立では、条例に基づきまして、百円から五百円程度取っている事実はございます。しかし、これはまあ入学時の手数料というふうな性格のものでございまして、これは条例に基づいて、別に違法なことではないというふうに私ども考えております。
  130. 二宮文造

    ○二宮文造君 それ以外に、入学金と称して取っているような事実はお聞きになったことはございませんか。
  131. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) ただいまの入学金ということではなくて、入学に際しての寄付金というふうなものは、これまたあろうかと思います。そういうようなものがあるということも承知いたしております。
  132. 二宮文造

    ○二宮文造君 そういう場合に、たとえば市の金庫とか県の金庫を通るものと文部省は了解されておりますか。
  133. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) 私ども、ただいままで承っているところでは、県のほうで、条例に基づくものではございませんけれども、寄付金というふうな項目で歳入に入れているというふうに承知いたしております。
  134. 二宮文造

    ○二宮文造君 非常に残念ですが、これもこの当該の学校ですけれども、PTAが入学金を取っております。それで、市の金庫には入っておりません。その入学金を銀行借り入れに充当いたしております。これは私非常に問題だと思うのです。というのは、 現に、 もう高校は、義務教育ではありませんけれども、中学の卒業生の七〇何%が高校に志願いたしまして、六〇何%が入学をしております。ほとんど義務化に近いような形になっております。したがって、高校に入学するその父兄には、そんなに財政力にはゆとりがないと見なければならない。にもかかわらず、この学校におきましては、入学式に際しまして、校長から、協力を願いたいということで、一人当たり五千円の入学金を徴収いたしております。そして、もしもそれを納めなければ通学できないような雰囲気をつくって、そして御協力を願いたい——全員納めたそうです。しかも、それが市の金庫に入りませんで、PTAの会計を通して使われているというふうなケースがここに出ておりますが、この場合は、文部省としてはどのように指導されますか。
  135. 岩間英太郎

    説明員岩間英太郎君) たいへん恐縮でございますが、ただいまのお話が高松の高等学校でございましたら、私どもは、市の予算に組み入れられて支出されておるというように伺っております。
  136. 二宮文造

    ○二宮文造君 お答えですけれども、私は市のほうに確認してまいりました。さらに御答弁願います。
  137. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) いまの二百先生の御指摘は、先ほどの寄付行為と関連を一にするものだと思うのであります。元来、施政設備といったような問題によって、入学金あるいは寄付金という形にでもせよ、そういうものをつくるということは好ましくないということが三十九年度から地財法改正の意図であるわけでございますから、その意味で、おそらくは入学金といっても、それがほんとの入学金ではなくて、寄付金という性格のものではないか。それは三十七年度あるいは八年度において行なったものの終戦処理的な性格のものではないか。その意味で、先ほどお答えいたしましたように、それは望ましくないことであります。文部省として、そういうごまかしというものが行なわれるとするならば、厳重にひとつ注意して、そういうことのないように、少なくとも、おっしゃるとおり、その性格のものがこの県の支金庫を通ぜずに直接処理されるということは、経理を非常に不明確にいたすのでございますから、終戦処理的なものであっても、それはいわゆるルートは通すべきである。そういう意味で指導を重ねて、誤解のないようにいたしてまいりたい、こう思います。
  138. 二宮文造

    ○二宮文造君 政務次官の答弁ですが、私、実はこの役員会に出ております。校長いわく、来年度も入学金をもって充当いたしたいつもりでございますから、この役員会において御了承願いたい。いわゆる終戦処理的なものではなくて、文部省から三十九年度以降はそういうことをしてはならぬという通達があるにもかかわらず、すでに四十年度の入学金というものを役員に予約するような形で進んでおりますから、この点はひとつ文部省でとくと了解されて、適切な指導をお願いしたい、こう思うわけです。もう一度政務次官からお願いしたいと思います。
  139. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) おっしゃるとおり、行政指導によって、そういうことのないように努力いたしたいと思います。
  140. 二宮文造

    ○二宮文造君 それから、同じく施設の充実に関連するのですが、これは予算委員会でも問題になったことでございますが、ある地方団体で、体育館を建設しますのに、いわゆる政府資金補助というものをとるということに非常に繁雑な手続を要するということで、一億五千万円の縁故債を募集する、それでもって体育館を建設しよう——この地方団体の予算案が通過いたしました。これは非常におもしろくないことでありますし、縁故債ですから、いつか償還されるとはいいながら、関係の住民にたちまち金銭的な負担をかけるわけですけれども、そのときの自治大臣の答弁は、これは借金であって、税外負担とは若干性質が違うけれども、なお問題点がある、こういうふうな答弁で、今後研究することを約されました。もし、文部省として、そのようなケースで体育館を建設したいというふうな認証手続が入りましたときに、文部省としてはどのようにされますか。これをお伺いしておきたいと思います。
  141. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 起債の条項は、御承知のとおり、自治省の関係でございますから、いわゆる起債の一環としての縁故債だというならば、これは自治省のほうにおまかせしなければならないと思いますが、そうじゃなくて、いまおっしゃるのは、やみ起債と申しますか、自治省に届けないで、いわゆる独自でやるということであるならば、そのことを事由に文部省が察知することができるといたしましたならば、そうさしてはならないというように強力にひとつ指導をいたしたい、こう思います。
  142. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 関連質問。  税外負担の問題がいま議論されておるようですが、私、先般この予算分科会で大蔵大臣にも質問したのですが、なかなか要領を得ないのですが、国立高専の用地の寄付提供についてお伺いしたいのですが、原則として国有地を提供する、あるいは国有地と公有地とを交換する、こういうことになっておると思いますが、三十九年度の国立高専新設校が十二校予定してある。その中で用地の費用の予算が組んでない。これはもう先般も論議したのですが、その間どういうふうにこれはなっておりますか。その点、事情をひとつ……。
  143. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 御指摘のとおり、過去三年間、国立高専を実施する過程において、用地費というものを予算の中に入れてないということは事実でございます。いまおっしゃいましたように、国有地があれば国有地を活用する。あるいは国有地と公有地を交換をして、それを使用するといったような措置をいたしておるのでございますが、実は、率直に申し上げますけれども、明治以来、大学関係の用地というものは、悪い伝統でございますけれども、伝統的に地元負担的な色彩が強いわけでございますので、その意味で、われわれは、この際高専の用地についてもこれをひとつ政府責任においてやるということにいたしたいというふうに考えたのでございますけれども、現実には、そういうふうなやり方でもって高専を拡充強化しようとする場合には、その進度が非常におくれるということでございます。それがために、地元のほうでは、地元のいわゆる財界の寄付といったこと等からいって、川地は自分のほうで積極的に提供するからどうしてもやってほしいというような要望等もございまして、そのことが、過去三年間、毎年十二校ずつできたという原因にもなるわけでございます。現実には、おっしゃるとおり、あるいは国が心配をしないで、用地を提供しておるという実態があるわけでございます。決しで、それは喜ばしいことではないと思いますけれども、進度が促進するということ等もございまして、積極的なそれらの寄付行為というものは、われわれも受け入れてここまで持ってきたというのが事実でございます。  そのことについての当否という問題が当然あると思いますけれども、決してこちらのほうから、いわゆる用地を提供しなければやらぬぞという言い方で用地を強制をして寄付をさすといつようなことはいたしてないつもりでございます。いろいろ問題のあることでございますけれども、ひとつ事情を御推察いただきたいと思うのでございます。
  144. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 大体その事情はわかります。同僚議員の二宮委員から先ほど高等学校のお話もあっておりました。私も、長いこと教育界におりまして、家も数回建てましたし、校長職にも私は長いことおりましたので、みずから体験いたしておりますが、国立の高専の今回の十二校新設ということに対して、五校は民間から寄付しておる。なお、三十六年度より未処理のままで、学校はすでに建っておる。こういうことを放置されておる。ただいま政務次官のお話を承りますというと、進度がおくれる、無理に強制したわけではないけれども、これこれの土地があるからぜひつくってくれ、だから、やむを得ず、それにほだされてつくる。これでは、文部省として私は指導性がないと思う。そういう土地を提供するからつくってくれ、だからそこにつくてやるというようなことでは、何が国立かと言いたい。これは、明らかに地方財政法第十二条二項の違反であります。いま政務次官御自身も寄付行為だということを明らかに認められております。寄付行為は、これは私は明らかに違法だと思う。その事情はよくわかりますけれどもね。その点をひとつもう少し明確に御答弁を願いたい。
  145. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 好ましくないということについては全く同感なのでございますが、ただ、いま行なっておる措置が、それでは十二条違反であるかどうかという法律論になってまいるのではないかと思いますが、十二条では、地方公団体に対して経費を負担させるような措置をしてはならないということでございます。地方公共団体に負担をさしておるということではない。現実に行なっておることは、それはどういうふうに意味されるかは別といたしまして、寄付をするためのいわゆる財団的なものができ、団体ができて、そこによってこの寄付をしておる。直接的に地方公共団体に寄付をさして高専を建てたということではないわけであります。その点ひとつ、われわれも心苦しいところではございますけれども、いわゆる法律違反をして、地財法違反をして建てたということでは毛頭ない、こういうふうに申し上げたいと思います。
  146. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 それは、地方公共団体が直接寄付したんじゃない、期成会なんかをつくったり、あるいは外郭団体をつくって、その手を通して寄付をしておる、そういうことをあなたはおっしゃっておるんだと思いますけれども、これはあなた方のお考え違いであって、少なくとも、国立高専が国の予算において設立されるという場合に、いかなる経路を通ろうが、寄付行為を受けるということは、これは明らかに十二条二項に違反ですよ。地方財政再建促進特別措置法の第二十四条にもこれは違反であります。違法であります。好ましくないことは当然わかっている。そういうことを、家を建てるのに、用地を予算入れないで、これは最初から寄付行為を待っているようなものであって、そういう御説明では私ら納得できません。もう一つ御答弁を願います。
  147. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) いま御指摘の二十四条の二項のことでございますが、これは前にも大蔵大臣が答弁をいたしておりますように、この二項という問題は、いわゆる民間の積極的な寄付行為をもこの中に含めるものではないという、そういう解釈で答弁なさったと思いますが、その解釈に従ってこちらとしては寄付行為を受けたと、こういうことでございます。
  148. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 昭和二十三年の一月三十日の閣議決定も私はまだ生きておると思うのですが、いかなる寄付行為であろうが、それは形を変えた寄付行為であって、少なくとも地財法十二条にに違反する、そういうことでなければ、それでは形を変えていろんな外郭団体を、寄付行為をなさんがために一時的に団体を組織して、そしてその指導は、あるいは県や市がやり、あるいはその土地がやって、そしてこの法をのがれるために、脱法行為をなさんがためにそういう手を打てば、何ぼでも手は打てる。あなた方がそういう法の解釈をなさるならば、これはいつまでたったって、寄付行為は、税外負担ということは、軽減あるいは解消することはできない。それは、先般の予算分科会でも、大蔵大臣はそのように説明しておりました、あなたによく似た。あなたも大蔵大臣のまねをしておるんだと思うけれども、期成同盟とか、あるいは父兄会とか、あるいはPTAとか、そういうものが自発的にやるので強制的ではない。一応形の上では強制的ではないかもしれないけれども、寄付をなさんとする者は強制的に感じます。割り当てのように考えます。だから、あなた自体も好ましくないとおっしゃる。そういう好ましくないことを、国自体が、文部省自体が、予算も計上しない。どういうわけで予算を計上しないんです。しかも、三十六年度から未処理のままに学校は建っている。好ましくないんだったら、なぜ好ましいようにこれを処理しないか。その点をもう一つ政務次官から御答弁願いたい。
  149. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) いままで三十六年度以降三年間そういうやり方で実際に国立高専というものが建ってきたという事実は、これは隠すべくもない事実でございます。なぜ要求しなかったか、なぜということでございますが、もちろん、この要求するという行為を全然怠ったということではないのでございまして、御案内のとおり、文部、大蔵町省の間でこの問題をどうするかという話というものは進めていって、そして結果として、国有地をひとつ活用する、あるいは公有地との交換をする。その他、積極的に協力するところにおいては、これを受け入れるということが確立をして、それでひとつやろうということになりましたから、だから予算の面にはそれが載っていないということでございます。確かに、そういうことがいいことでないことは言うまでもないことでございますが、幸いに、本年度から国立学校の特別会計制度もできたわけでございますから、今後の課題といたしましては、そういうことのないように努力いたしたい。いままで行なったことについて、それが違法であるかどうかということになれば、先ほど言ったようなことでひとつ御了承がいただきたい。こういうことでございます。
  150. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 関連質問で、時間がないので、委員長から催促を受けていますので、これで私は終わりますが、いずれにいたしましても、この問題は、これは文部省自体が好ましくないということを是認しておりながら、なおかつそういうことを続けておる。こういうことは、私に言わしむれば、安易な考えで、寄付をやるところから建ててやろう、そういうような、文部行政に対する指導性がない。だから、これはいなかにまいりますと、教育の機会均等といいますけれども、都心はいい学校が建つけれども、へんぴなところになると、そういう寄付行為ができないから、いつまでたったって学校が建たない。勢い、都市偏重というような、教育の機会均等を叫んでおりながら、そういう偏狭な教育が行なわれておる。これは文部省自体に私は責任があると思う。  ただいまも、先ほどから何回も政務次官も、好ましくない事実であると、こういうことをおっしゃっておるが、好ましくない事実であるならば、好ましいように一日も早くそれを解決すべきである。違法であるということに対しては、あなた方はどうしてもそうじゃないとおっしゃるから、違法でなくても、あるいは脱法行為でなくても、好ましくない事実であるならば、それを好ましいように一日も早く解決をしていただきたい。そして正しい教育行政の姿勢に戻していただきたい。今後そういうことのないように、税外負担ということに対しては、ほうはいとして全国的に大きな声として起こっておるので、切にその点を、きょうは大臣がお見えでないから、政務次官に要望いたしておきます。また来年度こういうことになりますれば、私らは、徹底的にこれは追及いたします。最後に私はその点を政務次官にくれぐれも申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 会計検査院長お尋ねしますが、先ほど税外負担の問題については、会計検査院は、国の補助金の問題について監査をするんだ、したがって、われわれの所管外であるというふうなお話でございましたが、なるほど確かに所管外のことですが、間接的には非常に影響があるわけです。そしていま、この会計検査院の決算報告を見ますと、文部省の関係で、不正不当事項の指摘の中に、長野県で危険校舎の補助対象の坪数を過大に見積っているというので一件、それから山形県で国庫補助の要なしというので一件、指摘をしておりますが、先ほどから文部省当局の説明のように、補助単価とかあるいは基準坪数が低いために、その削減によって、ほんとうに二分の一ないしは三分の一という補助の割合が、そのまま適正にされてない。いうならば、国の責任を果たしていない。こういう事態が全国各地にあるわけですが、その問題に対しては、決算報告を見たのですが、会計検査院の指摘はないわけです。これはひとつ、そういう意味で、今後会計検査院が、市町村の財政の超過負担並びにまた国の補助事業の単価の見積りが過少であるということについて、何らか適切な方法を講じていただかなければならないと思うのですが、お考えを承りたいと思います。
  152. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 先ほど来、るる御説明がありましたところ実情につきましては、私どもも聞いてはおります。聞いてはおりますが、これは、あくまで文部省の行政面の問題でありまして、先ほど政務次官からもお話がありましたように、すでにもう、これは行政面で改善されておる問題であると考えます。ことに、地方関係の負担の問題につきましては、地方公共団体の経理全般については、検査院としては権限はございませんので、そこまで立ち入るわけにはまいりません。したがいまして、私どもとしては、これは行政の問題であり、地方の財政の問題でありますので、そこまで深く立ち入って、とやかく申すべき問題ではない。したがいまして、ただいまの御質問の問題は検査院の検査の対象外であると考えておりますので、検査院長として特に意見を申し上げることは差し控えたいと、こう存じております。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 では、もう一つ申し上げたいのですが、検査院が立ち入るべきでないと。だけれども、三分の一の国庫補助を受けて、建物、施設をつくった。ところが、それが、実施単価が高い、国の基準単価の見積りが低いということは、これは当然会計検査院としては指摘すべきじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  154. 芥川治

    会計検査院長(芥川治君) 先ほど申しましたように、大体文部省のほうでおわかりになっておって、行政的措置によって改善されることと存じまするが、私どものほうから見て、国の負担すべき単価が非常に不当であるというような問題につきましては、今後とも検討してまいりたいと存じます。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど、入学金の問題を取り上げて文部省のお考えを聞いたわけですが、私立学校の場合、公立学校に収容力がない、あるいはまた、私立学校が名門であって、教育行政に非常に貢献してきたという関係で、私立学校の存在というのが、いままで教育界には非常に貢献してきたわけですが、ただ一部に、私非常に心配なのは、公立学校の入学試験の前に私立学校の入学試験をして、合格発表以前に私立学校の発表をして、入学金ないし一学期分の学費ないしは半年分の学費、極端なところは一カ年の学費、こういうものを前納させて、今度公立学校に入学できますと、それは全然むだになるわけですが、これは、ことしの二月ごろでしたか、どなたか問題にしまして、文部省の何らかの規制が必要じゃないか——当然私考えますのは、そうしなければ私立学校の定員が確保できなかったという時代もかつてはございました。ところが現在では、そうしなくても、二次募集、三次募集によって私立学校は完全に定員が埋まり、かつ、どの学校も、私の知った範囲内では定員以上でございます。  そうしますと、何かその辺に私矛盾を感ずるわけですが、これはもうすでに過去の問題ですが、今後高等学校にはこういうふうなことはないと思いますが、それが引き続いて大学の入試に関連してまいります。したがって、私立学校−大学、高等学校含めまして、入学金の問題とか、あるいは学費の問題とかいうことについて、文部省から規制ができないものかどうか。あるいはまた、適当な査定ができないものかどうか。また、寄り寄りそういう協議機関をつくれないものかどうか。この点、何らかの措置を講じていきませんと、大学の入試を控えて、たいへんな問題が起きてくると思うのですが、これについて政務次官のお考えを承りたい。
  156. 八木徹雄

    政府委員(八木徹雄君) 私学の入学金あるいは私学の授業料等について、いろいろと問題があるということは、われわれ十分承知をいたしております。しかし、率直に申し上げまして、私学の自主性という問題から関連をいたしまして、強制をしてそれをやめさすという方法はないわけであります。われわれは、あくまで行政指導あるいは勧告という形で、行き過ぎたそれらの措置について自東を促すという措置をとる以外に方法はないわけでございます。  それで、そういう問題をなくするようにするためにはどうしたらいいかということでございます。  一つは、いわゆる人件費の高騰等を中心に、私学経営が非常に困難になっておる、それがために、入学金や授業料に依存する度合いというものが非常に大きいということであるわけでありますから、その意味で、私学経営を困難ならしめておるところ一つの要因るようにしむけていく、そのことが昨年から、振興会資金だけではなくて、財投の金を回わしたというゆえんでもあるわけでございますが、まだまだそれらが十分でございませんので、それがために、私学側が自衛上入学金や授業料に依然としておんぶするということがございますわけでございますから、今後とも振興会資金に対する考え方というものを、もう少し大幅にふやして、そういうことのないようにわれわれは努力をしてまいりたい。  もう一つは、私学の経営補助をしてくれたらどうか、そうすることによって、それらの問題が解決できるのではないか、ということがございます。しかし、私学の経営費を補助するということは、私学内部の問題としては、それだけ自主性がそこなわれるということの反作用があるわけでございますので、経営補助については、当方としても、また私学側と一緒になって、なお検討しなければならぬ課題だと思うわけでございます。  現行のままの中では、われわれは、おっしゃるとおり、この入学金の早期支払いの問題であるとか、あるいは授業料の高騰の問題であるとかいうことは好ましいことではございませんから、今後とも、不当なそういうことのないように努力をいたさなければならぬと思います。感情的には、いま二宮先生の御指摘になったように、公立の学校の受験の発表の前に私学が入学金を取るということはおもしろくないという感情はわかりますけれども、私学側から言うならば、自分のところの学校を志望してきているのだから取るのはあたりまえじゃないかと、こういう議論も成り立つと思いますので、そこらの間は、理屈で話をするのではなくて、いま言った前段の措置等を講ずることによって、両者の間で話し合いを進めて、そういうようなことの、住民感情に反するようなことのないように、いつまでもこの大学急増でもない、いずれは私学自身に対するはね返りがあるわけでございますから、それらの問題は今後ともによく協議をいたしまして、そういうことのないように努力をしてまいりたいと、こう考えております。
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 私も、何も私学が悪いというのではなくて、公立学校のはね返りを私学が受けて、そしてその学校経営の面から、背に腹はかえられぬような措置で、このような方法を講じられたということは了解するわけです。したがって、文部省のほうとして、そういうふうな私出子の経営について、もっともっと積極的な方法を講じれば、結局国民全体が利益があるのですから、その面について格段の措置を講じていただきたいというわけなんです。  最後に、PTAの問題についてちょっとお伺いしたいのですが、PTAは、戦後ずっと学校の運営に非常に協力をし、施設の充実や、それから教育効果をあげてきたということは、これは私ども、ほんとうにPTAのその活動というものは高く評価しなければならない、こう思うわけですが、最近のPTAの動きというものが、やや学校の経営にあまりにも参画し過ぎるのじゃないかというふうなきらいも感じないわけではないわけです。これでは、教育効果は逆にそこなわれるような感じもするわけですけれども、文部省として、PTAをどのようにこれまで指導なされてきたか、その主眼点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  158. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) PTAにつきましては、御承知のとおり、昭和二十一年ごろから積極的な指導もございまして、ほとんど小中高名段階の学校ごとに設けられるようになりました。その後、その運営の一つの見本を示す意味もございまして、昭和二十七年ごろから検討をしてまいりまして、PTAの参考規約というようなものも配布をして、それに基づきまして、各学校は、そういうものを参考にしながら、PTAのあり方の基本である規約を定めるということをいたしております。で、その内容は、これは各学校大同小異だろうと思うのでございますが、要するに、自分の子供を学校にあげたことを機縁といたしまして、先生と生徒は、それぞれによい父母となり、よい教員になるということにつとめる、あるいは学校における教育と家庭との緊密な連絡をはかっていって、結果として、児童、生徒の幸福になるように、あるいはやや社会的に、児童、生徒の生活環境をよくするような活動をする、あるいは教育施設の充実ということについてもいろいろな知恵を出し合って、あるいは頼むべきは頼むというようなことが主でございまして、PTAの指導につきましては、そういう集団を利用して、子供を媒体にいたしますけれども、相互がそれぞれに研さんをし、自分たちの資質を向上し、また児童の教育をよく理解するということがねらいでございまして、御指摘のとおり、私どもは、それが学校の管理そのものをどうこうするというようなことにならないことがいいことである、あくまで成人教育の場として活用されることを期待するわけでございます。そういう意味におきまして、昭和三十年度から全国的なPTAの協議会が発足いたしまして、そのころからPTAの指導者の講習会等も実施いたしております。またPTAが全国的に、あるいはそれぞれの地方におきまして、たとえば社会における児童愛護でありますとか、青少年の指導とかいうようなものの研修会を実施いたしますものにつきましては補助金を出すということにいたしまして、この団体ができるだけ適切なリーダーを得て、成人教育の場として活用されるような事業に対しましては補助金を出すというようなことをいたしておるわけでございます。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 御説明もっともと思うのですが、私、心配しますのは、教育効果に非常に寄与してきたPTAが、最近の経済的な負担があまりにも強くなってきましたために、むしろ経済団体のような性格を帯びてきつつある。たとえば、体育館に対して地元が寄付をしておりますので、体育館の使用についてはPTAの役員と協議をしなければならない。PTAの承認がなければ体育館を貸さない。あるいは学校の経営についてそれらしいPTAの介入が非常に強くなってまいりました。また反面、あくまでも私は任意団体だ、任意加入だというような考え方を持っておったのですが、PTAの規約を見ますと、本校在学生の父兄並びに教師をもって組織するというふうに、その学校の生徒であれば当然もうPTAに加入しなければならない。加入した以上は、PTAの決議に従わなければならない。そこで、入学金の問題だとか、施設充実費の問題だとか、何々会費の問題だとかいうふうに、PTAというものが圧力になって、その在校生の父兄に相当な負担を与えているというふうな傾向がいまあるわけですけれども、こういう場合には、ひとつ文部省としてはどういうふうな方法でもって——これは一部です。その一部の役員の中に、はき違えた者がいてそうなったんで、全般的な傾向では決してございません。全般的には教育に非常に貢献してきたということは一応横にのけておいて、一部のそういう問題について、文部省としては今後どういうふうにされますか。その今後の方針をさらに承っておきたいと思うのです。具体的な問題が出てきておりますから。
  160. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) PTAの参考規約を出します場合にも、そのひな形といたしましては、むしろ重点を「この会の会員となる者は」とか、「ならない者は」とかいうようにしないで、「なることができる者は」というようなことで、全部が加入することは望ましいけれども、たてまえとして強制加入というようなことのひな形は出さなかったのでありますが、いま先生御指摘のとおり、二様のものがあることは、私も個々の規約を見て承知いたしております。また、先般来お話がありましたように、一体PTAの会員になったからといって、その決議で、そもそもPTAの目的として規定されている以外のような寄付金の議決しましたからといって、私は、それが会員を理論的には拘束するものでもないし、また実際にそういうことを守らないからといって会員を除名するとか、まして先般お話のありましたように、そのために通学さえできないような状況をつくるというようなことは、PTA結成の趣旨から見て全く相反することでございます。これは、いま御指摘のございましたように、学校段階とか、あるいは学校の種類によって、非常に経済的な色彩の濃いところと、本来の成人教育的な活動の濃いところと、いろいろございまするけれども、本来PTAをつくりました趣旨に従って、PTAの活動、これは全国的にも、ブロックでも、県の段階でも、それぞれそのリーダーたちが相互に学習します機会というものが非常にあるわけでございまするし、また、その機会には、社会教育関係者の切言というものも行なわれるわけでございますので、本来の趣旨に従って進むように、そういうリーダーの自覚あるいは学習活動を通じて誤りのないようにいたしてまいりたい。かように存ずる次第でございます。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 さらに今度、私がいま手元に持っておりますあるPTAの会計を見ますと、大体年間で千七百万円の予算をもっております。これは任意団体の会計であって、当然公的な性格は持っていないと言い得るものの、じゃ私的なものかといえば、あながちそうとも言えないと思う。このPTAの経理というもの、これは現在学校で校長並びにPTAの役員、監事がおりますが、その人たちの手で運営されて、総会で承認されるような形で、半ば自由に行なわれているようでありますが、そういうところに、いわゆるPTAの会員に対する圧迫といいますか、余分な負担というものができてくるのじゃないか。このPTAの経理について、今後もう少し文部省として、あるいは事務当局として、それを監督とかあるいは是正さし得るようなお考えがあるかどうか。これをひとつ承っておきたい。
  162. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) これは、先ほどのPTAの性格から見まして、やはり会員相互が自発的に結成をして——たてまえといたしましては。そうして、みずから選んだ事業を実施し、みずからその会を経営していくということが趣旨でございまするから、第一段といたしましては、むしろ会計委員でありますとか、監査委員でありますとかという方が、実情に応じて適切な明朗な運営をいたすということに第一の主眼を置くべきだろうと思います。しかし、やはり学校ごとに行なわれておりますし、実際の活動というものが、学校なり教育委員会との活動と密接に関連がありますから、監督ということではなくて、当然に教育行政の任務といたしましては、それが適切に行なわれるように指導助言すべき立場にあることと思いますので、その指導助言を活用することによりまして不明朗なことが起こらないようにしていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 先ほど来、たいへんおそくなりまして恐縮でございましたが、これで終わりますが、市町村財政の超過負担、それが住民負担にはね返る、そうしてまた今度はPTAの負担金にはね返ってくるということはたいへんな問題だと思うのです。今後善処するとか、あるいは措置を講ずるとか、そのつどにいろいろなお話がございましたけれども、決してこの場に終わらないで、直ちにその適切な具体的な措置を講じて、PTAの指導なり、あるいはまた学校の建築に対する考え方を是正するなり、あるいはまた市町村における財政措置を適切に指導するなり、具体的な方策を講じて、ひとつ今後の是正策をお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  164. 柴谷要

    委員長柴谷要君) 本日は、これにて散会いたします。    午後二時十四分散会